食品容器
【課題】 衛生的であると共に、力の弱い者であっても簡単に開口操作できるという利点を有し、また、容体の通気口を水密に塞ぐ必要と、通気口から漏水する心配とがないという効果を発揮し、さらに、フィルムの密着度合による製品のフィルム剥離性にバラツキが発生せず、このことによって需要者が使い易くなるというハイクオリティーな食品容器を提供する。
【解決手段】 容体の一端部に充填食品取出口3が形成され、かつその容体の他端部に充填食品取出操作部2が形成された食品容器Aにおいて、該充填食品取出操作部に外向突設された開口部材4を、開口操作具として操作中のキャップ5で倒して容体1内に通じる通気口6を開口し、かつその通気口開口操作終了後のキャップで前記充填食品取出操作部2を閉塞する。そして、前記開口部材4を前記キャップ5で倒し始めると、圧縮され始めた内部空気が次第に排出される。さらに、キャップ5の開口操作によるキャップ移動方向が容体1の軸方向又は周方向である。
【解決手段】 容体の一端部に充填食品取出口3が形成され、かつその容体の他端部に充填食品取出操作部2が形成された食品容器Aにおいて、該充填食品取出操作部に外向突設された開口部材4を、開口操作具として操作中のキャップ5で倒して容体1内に通じる通気口6を開口し、かつその通気口開口操作終了後のキャップで前記充填食品取出操作部2を閉塞する。そして、前記開口部材4を前記キャップ5で倒し始めると、圧縮され始めた内部空気が次第に排出される。さらに、キャップ5の開口操作によるキャップ移動方向が容体1の軸方向又は周方向である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とうふ、プリン、水羊かん、寒天、ゼリーなどのゲル状物質の食品の充填及び取出しに適した食品容器に関する。
【背景技術】
【0002】
前記ゲル状物質の充填及び取出しが可能な食品容器としては、容体底部の外面に開口部材を有し、開口部材に対応する容体底部内面に開口部材の横断面積とほぼ同程度の面積を有するくぼみを設け、かつ開口部材の周辺に保護枠を設けた筒状容器という構成の考案が実公昭54−40349号公報(特許文献1)に記載されて広く知られている(以下、この刊行物記載の周知技術を第1背景技術と称す)。
この第1背景技術によれば、ゼリー状物の入った容器を倒置し、開口部材を倒すと、開口部材と容体底部との形成する部分が破れて通気口が開口され、その通気口から容体内に空気が流入し、容体に密着していたゼリー状物が簡単に容体から抜け出るから、容体内形状を保ったものが得られるという利点がある。
上記第1背景技術は、叙述の利点を有するものの、開口部材を倒すときに開口部材と保護枠との間に指先を入れ、その指先で直接開口部材を倒さなければならないため、不衛生になりやすいという心配があると共に、開口部材を倒すときに指先に力を込めなければならず、力の弱い女性や子供にとっては、簡単に倒すことが困難になるという不利がある。
【0003】
前記第1背景技術のほか、容体の底部に通気口を開口すると共に、該容体とは別体に栓を設け、該栓は上記通気口と係脱可能で、かつ該通気口を閉塞可能として成ることを特徴とするプリンカップという構成の考案が実開昭54−109708号公報(特許文献2)に記載されて周知となっている(以下、この刊行物記載の周知技術を第2背景技術と称す)。
かかる第2背景技術によるときは、プリンを容体から取り出す場合に栓を抜くだけで容体内の底部側に空気を流入させることができる。従って、プリンを取り出す時に容体内の底部側が負圧になるようなことはなく、容易に容体からプリンが剥離してプリンが取り出し易い。しかも通気口は、栓で塞ぐようにしてあるので、繰返し使用可能なプリンカップとすることができて経済的であるという効果を有する。
しかし、この第2背景技術は、容体底部の通気口を水密に塞ぐことが技術的になかなか難しいため、商品が揺動したり、震動したりすると栓が緩み、栓の周りから漏水することが心配される。そして、容体底部の通気口に栓を水密に嵌めることが可能になると、上記漏水の心配が解消するものの、簡単に栓を引抜くことが難しくなり、力の弱い女性や子供にとって使いにくい商品になってしまう。
【0004】
上記した2つの背景技術のほかに、連続または断続した貫通する切り込み部で囲繞してなる通気口部を底部及び/又は側壁部に有する合成樹脂製の容器であって、切り込み部はその外面がフィルムで密封されていることを特徴とする容器という構成の発明が特開2002−12267号公報(特許文献3)、特開2003−95371号公報(特許文献4)、特開2004−217231号公報(特許文献5)等に記載され周知となっている(以下、これら刊行物記載の周知技術を第3背景技術群と称す)。
これらの第3背景技術群によるときは、フィルムの密着度合(密着の強さ、弱さという度合)によって、フィルムを剥離することが容易になったり、逆に困難になったりすることが多く、製品にバラツキが発生し、このバラツキの発生によって、需要者が使用しにくい商品になるという問題点がある。しかも、このフィルムの剥離性にバラツキが生じるという問題点は、外見上では判断が難しく、フィルムの剥離動作を実際にやってみて、初めて理解できるというやっかいな問題点である。
【0005】
【特許文献1】実公昭54−40349号公報
【特許文献2】実開昭54−109708号公報
【特許文献3】特開2002−12267号公報
【特許文献4】特開2003−95371号公報
【特許文献5】特開2004−217231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記第1背景技術から第3背景技術群が有する問題点に鑑みてなされたもので、衛生的であると共に、力の弱い者であっても簡単に開口操作できるという第1背景技術が奏し得ない利点を有し、また、容体の通気口を水密に塞ぐ必要と、通気口から漏水する心配とがないという第2背景技術が発揮できない効果を発揮し、さらに、シールの密着度合による製品のシール剥離性にバラツキが発生せず、このことによって需要者が使いやすくなるという第3背景技術群改良効果を奏するハイクオリティーな食品容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、容体の一端部に充填食品取出口が形成され、かつその容体の他端部に充填食品取出操作部が形成された食品容器において、該充填食品取出操作部に外向突設された開口部材を、開口操作具として操作中のキャップで倒して容体内に通じる通気口を開口し、かつその通気口開口操作終了後のキャップで前記充填食品取出操作部を閉塞するという技術手段を提案する。
【0008】
そして、本発明は、前記充填食品取出操作部に外向突設された開口部材を、開口操作具として使用するキャップで倒し始めると、圧縮され始めた内部空気が次第に排出されるという技術手段を提案する。
【0009】
また、本発明は、キャップの開口操作によるキャップ移動方向が容体の軸方向であるという技術手段を特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、キャップの開口操作によるキャップの移動方向が容体の周方向であるという技術手段を提案する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、叙上のように容体の一端部に充填食品取出口が形成され、かつその容体の他端部に充填食品取出操作部が形成された食品容器において、該充填食品取出操作部に外向突設された開口部材を、開口操作具として操作中のキャップで倒して容体内に通じる通気口を開口し、かつその通気口開口操作終了後のキャップで前記充填食品取出操作部を閉塞することを特徴とするという請求項1の記載により、次のような諸効果を奏する。
第1に、開口部材を直接指先で倒さず、キャップで倒すという手段により、通気口開口操作を衛生的に行うことができ、第2に、開口部材が充填食品取出操作部に外向突設されているという手段により、通気口を栓で水密に塞いで容体内を密封する必要がなくなり、栓が揺動、震動などで緩んで通気口から漏水する心配が解消し、第3に、通気口をフィルムで密封するという手段を採用していないので、フィルムの剥離性にバラツキが発生しない製品が得られ、このことによって、使用者が使いやすい商品になるという効果を奏し、第4に、通気口開口操作終了後のキャップで充填食品取出操作部を閉塞するという手段により、これら2つの通気口開口操作と充填食品取出操作部閉塞動作とを連続した動作として行い得、能率よく開口及び閉塞をなし得るという効果を発揮する。
【0012】
そして、充填食品取出操作部に外向突設された開口部材を、開口操作具として使用するキャップで倒し始めると、圧縮され始めた内部空気が次第に排出されるという請求項2記載の手段により、強い力でキャップを操作しないですみ、力の弱い者でも簡単に開口操作でき、誰でも手軽に使用できるという利点を有する。
【0013】
また、キャップの開口操作によるキャップ移動方向が容体の軸方向であるという請求項3記載の手段により、開口部材を確実に倒して通気口を開口できるという効果と、充填食品取出操作部を確実に閉塞できるという利点とを有する。
【0014】
さらに、キャップの開口操作によるキャップの移動方向が容体の周方向であるという請求項4記載の手段により、容体及びキャップの外面形状を同じ角形に成形し、容体またはキャップのいずれか一方を周方向(所定の周方向)に移動すれば、その外面の移動前の方向と、移動後の方向との違いにより、開口部材が倒されて通気口が開口されたことを知ることができるという効果と、この効果に続いて充填食品取出操作部がキャップで閉塞されたことを知ることができるという効果とを奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態例を、添付の図面を参照しながら説明する。
【0016】
実施形態例1(図1〜図9参照)
食品容器Aは、容体1及びキャップ5からなり、両方とも合成樹脂で製造する。素材となる合成樹脂は、熱可塑性軟質合成樹脂(たとえば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、その他)、熱可塑性硬質合成樹脂(たとえば、アクリル樹脂、スチロール樹脂など)などを用いることができる。
【0017】
容体1に充填される食品8は、とうふ、プリン、水羊かん、寒天、ゼリーなどのゲル状物であって、容体1内に加工済材料を充填し、常法によって製造する。
【0018】
容体1は、一端部(図1で下端部)を開放端部となして充填食品取出口3を形成すると共に、この食品取出口を前記加工済材料の充填口として利用するようにする。容体1は、他端部(図1で上端部)の端壁1’に開口部材4を外向に突設すると共に、周壁を端壁1’よりも外方に延設して開口部材4を囲む囲繞壁1”を構成し、キャップ5を嵌めるのに利用すると共に、キャップ5を開口操作具として使用するのに利用するようにする。
容体1は、不図示であるが、プリンカップで周知の小鉢状形状のほか、図示例のように細長い筒状形状に構成するようにし、棹物と称される細長い食品8を製造し得るようにする。そして、容体1の横断面形状は、図示例の角形のほか、真円形、楕円形、六角形など色々な断面形状に構成する。
【0019】
充填食品取出操作部2は、前記外向突設された開口部材4、前記囲繞壁1”、キャップ5、押倒部9等で構成され、該キャップで開口部材4を押倒し、通気口6を開口して食品8を充填食品取出口3から取出すのに使用する。
【0020】
開口部材4は、容体1の端壁1’の外面に外向に突設するが、その形状は、図示例の細杆状のほか細い円錐形などに端壁1’と一体に形成して突設し、キャップ5の軸方向移動によって、押倒部9で押倒されると、端壁1’に通気口6を開口するように構成する。
開口部材4は、キャップ5で押された際に基部付近からポッキリ折れてしまうと、端壁1’に通気口6が開口されないことになるため、この弊害が発生することを避ける手段として、基部に厚肉大径の台座4’を一体に形成し、この台座を端壁1’と薄肉部1’−1で一体に成形して、開口部材4がキャップ5で押されると、台座4’の周辺の薄肉部1’−1が切断され、通気口6が開口されるように構成する。
開口部材4の配設部位は、容体1の端壁1’の中心部でも、それ以外の部位でも構わないと共に、その高さは、容体1の囲繞壁1”と同じ高さを最長とし、該囲繞壁から突出しない高さに突設する。
【0021】
キャップ5は、開口部材4を押倒すための押倒部9を天板5’の内面に突設し、その押倒部の先端部の角部(図1、図6で下端部の右側角部)に半円凹面状の押倒面9’を形成し、開口操作具としてキャップ5を容体1の軸方向に移動して操作すると、押倒面9’で開口部材4が基部の台座4’周辺の薄肉部1’−1から押倒され、その薄肉部の全部又は一部が切断されて通気口6が開口され、容体1内に空気が流通し、該容体内の食品8が取出されるように構成する。なお、容体1内の食品8を取出す通気口開口操作を行う場合は、充填食品取出口3を下向にして充填食品取出操作部2を操作する。
【0022】
キャップ5に構成した押倒部9の押倒面9’は、キャップ5の軸方向移動によって開口部材4を押すと、該開口部材が前後方向(図2で上下方向)へ顕著に往復動することなく側方(図1で右方向)へ押倒されるように半円凹面状に構成する。
【0023】
処で、押倒部9の押倒面9’を半円凹面状に形成する目的は厚肉大径の台座4’を開口部材4と一緒に端壁1’から切離して上記側方へ倒すことにあり、そのためには台座4’を押倒部9でスムースに捉える必要があるからである。
従って、押倒部9の押倒面9’は、開口部材4の台座4’よりも僅か大径に成形する。
【0024】
通気口6は、容体1の端壁1’に開口部材4の台座4’の大きさに開口されるが、その台座は、自体の周辺の薄肉部1’−1が切断されることによって通気口6を開口し、容体1内に空気が流入し、該容体内の食品8が取出される。
【0025】
処で、キャップ5の天板5’の適宜部位又は周壁5”の天板5’に近い適宜部位に排気孔7を開穿し、キャップ5を軸方向移動して開口部材4を押倒し始めると、容体1の囲繞壁1”及びキャップ5で形成される内腔内の内部空気が圧縮されて排気孔7から次第に排出され始め、キャップ5の軸方向移動を円滑ならしめ、開口部材4を軽い力でスムースに押倒し得るようにする。
【0026】
キャップ5で開口部材4が倒されて通気口6が開口され、容体1内に空気が流入したとき、キャップ5は、容体1と相互に係合かつ係外する係合部10が係合し、容体1から外れずに保持され、通気口6が開口された充填食品取出操作部2を閉塞する。
【0027】
係合部10は、容体1の外周面に形成された係合突条又は係合凹条10’と、キャップ5の周壁5”の内面に形成されて前記係合突条又は係合凹条10’に係合かつ係外する凹条又は突条10”とで構成する。なお、係合部10は、前記係合突条又は係合凹条10'、前記凹条又は突条10”に限定されるものではなく、相互に係合かつ係外するものであれば、凸部と凹部とで構成することができる。
【0028】
図1に符号11で示す部材は、充填食品取出口3に着脱可能に装着した被蓋であり、容体1に充填されている食品8を取出す際は脱離する。
【0029】
実施形態例2(図10〜図14参照)
この形態は、実施形態例1と部分的に相違するので、相違する構成について説明し、実施形態例1と同じ構成については、実施形態例1に使用した符号と同じ符号を実施形態例1の符号記入部位と同じ部位に付して重複説明を省略する。
【0030】
充填食品取出操作部2は、容体1の端壁1’に開口部材4を外向突設する構成を実施形態例1の構成と同じくするが、その開口部材の構成(形状と配設部位)が実施形態例1の形態と相違する。
【0031】
開口部材4は、容体1の端壁1’に細い円錐形(又は角錐形)という形状に突設する点が実施形態例1と相違し、かつ開口部材4の配設部位が容体1の中心部を外れた偏心部位となっている点が実施形態例1と相違する。この開口部材4の配設部位は、キャップ5の押倒部9の配設部位と相対的関係を有するもので、前記偏心部位だけに制約されるのもではない。
【0032】
キャップ5は、天板5’の中心部位の内面に逆円錐形の押倒部9を設けた点、及び容体1(の囲繞壁1”)とキャップ5(の周壁5”)との嵌合形態がねじ嵌合(換言すれば螺合)である構成が実施形態例1の構成と異なる。
【0033】
開口部材4と押倒部9との径寸法は、一方が他方よりも径大であればよく、配設部位は、図示の形態と逆の形態にすることも考えられるが、図示の形態のほうが、開口部材4を側方(図12で左方向)へ確実に押倒すので好ましいと思料する。
【0034】
開口部材4と押倒部9の配設部位を図示の形態と逆の形態にすると、即ち、開口部材4を容体1の中心部位に、押倒部9をキャップ5の偏心部位に夫々配設した場合、キャップ5をねじ込み方向に回して軸方向移動しても、押倒部9が開口部材4の周りを回りながら、開口部材4を容体1の径方向に撓らせ、簡単には側方(図12で左方)へ押倒さない構成になるので好ましくない。
【0035】
処で、実施形態例1及び2の形態における薄肉部1’−1の面積は、実施形態例1における開口部材4の台座4'の横断面積及び実施形態例2における開口部材4の基部の横断面積よりも広い面積とするか、或いは同程度の面積とし、どちらか通気口6を開口し易いほうを採用する。
【0036】
この実施形態例2は、容体1とキャップ5及び被蓋11との嵌合部を除く他の部位の横断面形状を同じくするも、異にするも任意である。
【0037】
実施形態例3(図15〜図29)
本形態は、実施形態例1と発明の要部の構成が相違するので、その相違する構成を説明し、実施形態例1と同じ構成については、実施形態例1に使用した符号と同じ符号を実施形態例1の符号記入部位と同じ部位に付して重複説明を省略する。
【0038】
容体1は、囲繞壁1”を構成していない点が実施形態例1と相違する。
充填食品取出操作部2は、容体1の端壁1’に外向突設された開口部材4、キャップ5、押倒部9等で構成される点を実施形態例1の構成と同じくするが、開口部材4の構成(形状と配設部位)、容体1に対するキャップ5の取付構成、キャップ5の内面に設けられる押倒部9の構成などが実施形態例1の構成と異なる。
【0039】
開口部材4は、容体1の端壁1’に円錐形(又は角錐形)という形状に突設する構成が実施形態例1の構成と相違し、かつ開口部材4の配設部位が容体1の偏心部位となっている点が実施形態例1の構成と相違する。
開口部材4は、容体1の端壁1’における偏心部位に円錐形(または角錐形)に突設し、かつ基部周囲の端壁1’に切込4’を形成して端壁1’に薄肉部1’−1を構成し、キャップ5を容体1の周方向(図16の矢印方向)に操作すると、押倒部9で開口部材4が薄肉部1’−1から押倒され、その薄肉部の全部または一部が切断されて通気口6が開口され、容体1内に空気が流通し、その容体内の食品8が取出されるように構成する。
【0040】
開口部材4を円錐形(または角錐形)に形成するのは、該開口部材が押された際に基部付近からポッキリ折れてしまうと、端壁1’に通気口6が開口されないことになるため、この不具合の発生を予め防止することを目的とするもので、そのための手段として、開口部材4を基部に至るに従って次第に太く構成するのである。
【0041】
キャップ5は、天板5’の内面に横断面略S字形の押倒部9を一体に構成したこと、及び容体1の端壁1’の中心部位に外向立設された支柱1”に押倒部9の中心部位を周方向移動可能に嵌め、キャップ5を周方向(図16で矢印方向)へ移動すると、押倒面9が同時に移動するように構成した取付構成などが実施形態例1の構成と相違する。
【0042】
キャップ5は、開口部材4を押倒すための押倒部9を天板5’の内面に横断面略S字形に一体成形すると共に、キャップ5の高さよりも若干低い高さに成形し、押倒部9の中心部位を、容体1の端壁1’に外向立設された支柱1”に周方向移動可能に取付け、かつ該押倒部の両端(又は片端)に反円凹面状(又はコ字状)の押倒面9’を形成し、開口操作具としてキャップ5を容体1の周方向に移動して操作すると、押倒面9’で開口部材4が薄肉部1’−1から押倒され、その薄肉部の全部又は一部が切断されて通気口6が開口され、容体1内に空気が流通し、該容体内の食品8が取出されるように構成する。
【0043】
しかして、容体1及びキャップ5の外面形状を同じ角形に成形することと、該キャップを開口操作具として容体1の周方向に移動せしめて、外面の方向の違いにより、通気口6が開口されたことを知り得る移動角度と、通気口6がいつ開口されたかという通気口開口時点との関係を図面参照のもとに説明する。
【0044】
キャップ5を容体1の周方向に移動する前は、容体1及びキャップ5の外面の方向を揃えて(一致させて)おく。この場合、押倒部9は開口部材4から離れている(図15、図16、図29(a)参照)。
【0045】
次いで、キャップ5を開口操作具として利用するため、周方向(図16の矢印方向)に回すと、容体1の外面と、キャップ5の外面が不揃い(不一致)となり、同時にキャップ5内においては、押倒部9の押倒面9’が開口部材4に当接し、その開口部材を押倒すための準備が終了する(図20、図22参照)。
【0046】
また、キャップ5を周方向(図22の矢印方向)へ回すと、容体1の外面及びキャップ5の外面がまだ不揃い(不一致)のうちに、開口部材4に当接していた押倒部9の押倒面9’が開口部材4を強く押して倒し始める(図23、図24、図25、図29(b)参照)。
【0047】
引続きキャップ5を周方向(図25で矢印方向)へ回すと、押倒部9(詳しくは、押倒部9の押倒面9’)が開口部材4を押倒し、容体1の端壁1’に形成された薄肉部1’−1の全部または一部を切断して開口部材4を上記薄肉部1’−1から切離すが、この時、容体1の外面とキャップ5の外面とは、未だ不揃い(不一致)であって、揃う(一致する)直前である(図23、図24、図25から図26、図27、図28へ変る途中)。
【0048】
さらに、容体1の外面とキャップ5の外面とが揃う(一致する)までキャップ5を周方向(図25で矢印方向)へ回せば、押倒部9が開口部材4を容体1(詳しくは、容体1の端壁1’に形成された薄肉部1’−1)からさらに切離して通気口6が開口され、容体1内に空気が流通し、食品8が取出し可能となる(図26、図27、図28、図29(c)参照)。
【0049】
上記をまとめると、イ.容体1の外面とキャップ5の外面とが揃った(一致した)外観では、通気口6は未開口、ロ.容体1の外面とキャップ5の外面とが不揃い(不一致)の外観では、開口部材4の押倒し開始から、通気口6の開口へと進行、ハ.再び容体1の外面とキャップ5の外面とが揃った(一致した)外観では、容体1内の食品8が取出し可能となり、開口操作終了となる。そして、上記イ〜ハまでの移動角度は、90度位であり(図28参照)、動作としては、休みのない連続動作である。
【0050】
次に、前述の実施形態例と一部重複するが、より詳細な実施例を図面に基づき説明する。
【実施例1】
【0051】
先ず、図1〜図9に示す実施例1について説明する。
食品容器Aは、容体1、キャップ5及び被蓋11よりなり、これら全てを合成樹脂製とする。原材料となる合成樹脂は熱可塑性軟質合成樹脂(たとえば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、その他)を用い、容体1を細長く構成する。
【0052】
容体1に充填する食品8は、細長い形状(棹物と称される細長い形状)の水羊かんであって、容体1内に周知の加工材料を常法によって充填し製造する。
容体1の長さと横断面積とは、周知の棹物と称される練羊かんと同寸程度の長さとし、横断面積も同練羊かんと同程度とする。
【0053】
容体1は、一端部(図1で下端部)を開放端部となして充填食品取出口3を形成すると共に、該食品取出口を前記加工済材料の充填口として利用し、充填工程終了後、不図示のフィルムで密封し、その後被蓋11を装着して閉塞する。
容体1は、他端部の端壁1’の外面中心部位に開口部材4を外向に突設すると共に、周壁を端壁1’よりも軸方向(容体1の軸方向)の外方へ延設して開口部材4を囲む囲繞壁1”を構成し、この囲繞壁をキャップ5を嵌合するのに利用すると共に、キャップ5を開口操作具として使用するのに利用する。
容体1は、横断面形状を図示例の角形に構成する。
【0054】
充填食品取出操作部2は、前記外向突設された開口部材4、前記囲繞壁1”、キャップ5(詳しくは、キャップ5の押倒部9)等で構成され、そのキャップを開口操作具として使用することで開口部材4を押倒し、通気口6を開口して食品8を充填食品取出口3から取出すのに使用する。
【0055】
開口部材4は、キャップ5で押された際に基部付近からポッキリ折れてしまうと、このことによって端壁1’に通気口6が開口されないことになるため、この不利が発生しないようにする手段として、基部に厚肉大径の台座4'を一体に形成し、この台座を端壁1’と薄肉部1’−1で一体に成形して、開口部材4がキャップ5で押されると、台座4’の周辺の薄肉部1’−1が撓み、その撓みが極限に達すると切断され、通気口6が開口されるように構成する。
【0056】
開口部材4の配設部位は、容体1の端壁1’の中心部位とし、その高さは、容体1の囲繞壁1”の高さよりも若干低い高さに構成し、容体1の周辺に存在する物に接触しないように配設して、開口部材4が損傷しないようにする。
【0057】
キャップ5は、開口部材4を押倒すための押倒部9を天板5’の内面に突設し、その押倒部の先端部の角部(図1、図6で下端部の右側角部)に半円凹面状の押倒面9’を形成し、開口操作具としてキャップ5を容体1の軸方向に移動(図7で下方へ移動)して操作すると押倒面9’で開口部材4が基部の台座4’周辺の薄肉部1’−1から押倒され、その薄肉部の一部が切断されて通気口6が開口され、容体1内に空気が流入し、該容体内の食品8が取出される。しかして、容体1内の食品8を取出す通気口開口操作を行う場合は、充填食品取出口3を下向にし、不図示のフィルムを剥し、被蓋11を外して充填食品取出操作部2を操作する。
【0058】
キャップ5に構成した押倒部9の押倒面9’は、キャップ5の軸方向移動(図7で下方移動)によって開口部材4が押されると、該開口部材が前後方向(図2で上下方向)へ著しく往復動することなく側方(図1で右方向)へ押倒されるように半円凹面状に構成する。
【0059】
処で、押倒部9の押倒面9’を半円凹面状に形成する目的は厚肉大径の台座4’を開口部材4と一緒に端壁1’から切離して上記側方へ倒すことにあり、そのためには台座4’を押倒部9にスムースに通す必要があるからである。従って、押倒部9の押倒面9'は、開口部材4の台座4'よりも少しく径大に構成する。
【0060】
通気口6は、容体1の端壁1’に開口部材4の台座4’の大きさに開口されるが、その台座は、自体の周辺の薄肉部1’−1が切断されることによって開口され、容体1内に空気が流入し、その容体内の食品8が取出される。
【0061】
処で、キャップ5の天板5’の適宜部位に排気孔7を開穿し、キャップ5を軸方向移動して開口部材4を押倒し始めると、容体1の囲繞壁1”及びキャップ5で形成される内腔内の内部空気が圧縮されて排気孔7から次第に排出され始め、キャップ5の軸方向移動を円滑ならしめ、開口部材4を軽い力でスムースに押倒し得る。
【0062】
キャップ5で開口部材4が倒されて通気口6が開口され、容体1内に空気が流入したとき、キャップ5は、容体1と相互に係合かつ係外する係合部10(たとえば、係合凸条又は係合凹条10')が係合し、容体1から外れずに保持され、通気口6が開口された充填食品取出操作部2を閉鎖し、衛生的な状態を維持する。
【0063】
図1に符号11で示す部材は、充填食品取出口3に着脱可能に装着した被蓋であり、容体1に充填されている食品8を取出す際は脱離する。
【実施例2】
【0064】
次に、図10〜図14に示す実施例2について説明する。本例では、実施例1と異なる構成について説明し、実施例1と同じ構成については、同例1に使用した符号と同じ符号を同例1の符号記入部位と同じ部位に付して重複説明を省略する。
【0065】
充填食品取出操作部2は、容体1の端壁1’に開口部材4を外向突設する構成を実施例1と同じくするが、その開口部材自体の構成(形状及び配設部位)が実施例1の構成と相違する。
【0066】
開口部材4は、容体1の端壁1’に、台座4’のない形状(細い円錐形)に突設した構成が実施例1の構成と相違し、かつ開口部材4の配設部位が容体1の中心部を外れた偏心部位となっている構成が実施例1の構成と相違する。
【0067】
キャップ5は、天板5’の中心部位の内面に逆円錐形の押倒部9を設けた構成及び容体1の囲繞壁1”とキャップ5の周壁5”との嵌合形態がねじ嵌合(換言すれば螺合)である構成が実施例1の構成と異なる。
【0068】
開口部材4と押倒部9との径寸法は、一方が他方よりも径大であればよく、配設部位は、図示例のように開口部材4を容体1の偏心部位に、押倒部9をキャップ5の中心部位に夫々配設すれば、開口部材4が側方(図12で左方向)へ確実に押倒されるので好ましい構成であると思料する。
【0069】
しかして、2つの実施例における端壁1’に形成した薄肉部1’−1の面積は、実施例1における開口部材4の台座4’の横断面積及び実施例2における開口部材4の基部の横断面積よりも若干広い面積に構成する。
【0070】
図13に示す例は、容体1とキャップ5及び被蓋11との横断面形状が同じであり、図14に示す例は、容体1とキャップ5及び被蓋11との横断面形状が異なる例である(図14示の例は、容体1の横断面形状が角形、キャップ5及び被蓋11の横断面形状が円形の例である)。
【実施例3】
【0071】
次に、図15〜図29に示す実施例3について説明する。本例では、実施例1と異なる構成について説明し、実施例1と同じ構成については、同例1に使用した符号と同一の符号を同例1の符号記入部位と同じ部位に付して重複説明を省略する。
【0072】
容体1は、囲繞壁1”を構成していない点が実施例1の構成と異なる。
【0073】
充填食品取出操作部2は、容体1の端壁1’に外向突設された開口部材4、キャップ5、押倒部9等で構成することを実施例1の構成と同じくするが、開口部材4の構成(形状と配設部位)、容体1に対するキャップ5の取付構成、キャップ5の内面に設けられる押倒部9の構成などがいずれも実施例1の構成と異なる。
【0074】
開口部材4は、容体1の端壁1’に円錐形に突設する構成、及び配設部位が容体1の偏心部位となっている構成が夫々実施例1の構成と相違する。
開口部材4は、容体1の端壁1’における偏心部位に円錐形に突設し、かつ基部周囲の端壁1’に切込4’を形成して端壁1’に薄肉部1’−1を構成し、キャップ5を容体1の周方向(図16の矢印方向)へ操作すると、押倒部9で開口部材4が薄肉部1’−1から押倒され、その薄肉部の全部が切断されて通気口6が開口され、容体1内に空気が流通し、その容体内の食品8が取出されるように構成する。
【0075】
開口部材4を円錐形に突設する理由は、その開口部材が押された際に基部付近からポッキリ折れてしまうと、端壁1’に通気口6が開口されないことになるため、この不具合の発生を予め防止することを目的とするもので、そのための手段として、開口部材4を基部に至るに従って次第に太く構成するのである。
【0076】
キャップ5は、天板5’の内面に横断面略S字形の押倒部9を構成したこと、容体1の端壁1’の中心部位に外向立設された支柱1”に押倒部9の中心部位を周方向移動可能に嵌め、キャップ5を容体1の周方向に移動すると、押倒部9が同時に移動するように構成したキャップ5の取付構成などが実施例1の構成と相違する。
【0077】
キャップ5は、開口部材4を押倒すための押倒部9を天板5’の内面に横断面略S字形に一体成形し、かつ該押倒部9をキャップ5の高さよりも若干低い高さに成形し、その押倒部の中心部位を、容体1の端壁1’に外向立設された支柱1”に周方向移動可能に取付け、かつ押倒部9の両端に反円凹面状の押倒面9’を形成し、開口操作具としてキャップ5を容体1の周方向に移動して(周方向に回して)操作すると、押倒面9’で開口部材4が薄肉部1’−1から押倒され、その薄肉部の全部が切断されて通気口6が開口され、該容体の食品8が取出し可能となる。
【0078】
処で、容体1及びキャップ5の外面形状を同じ角形に成形することと、そのキャップを開口操作具として容体1の周方向へ移動せしめて、外面の方向の違いにより、通気口6が開口されたことを知り得る移動角度と、通気口6がいつ開口されたかという通気口開口時点との関係を図面参照のもとに説明する。
【0079】
キャップ5を容体1の周方向に移動する前は、容体1及びキャップ5の外面の方向を一致させておく。この場合、押倒部9は開口部材4から離れている(図15、図16、図29(a)参照)。
【0080】
次いで、キャップ5を開口操作具として利用するため、周方向(図16の矢印方向)へ回すと、容体1の外面とキャップ5の外面が不一致となり、同時にキャップ5内においては、押倒部9の押倒面9’が開口部材4に当接し、その開口部材を押倒すための準備が終了する(図20、図22参照)。
【0081】
さらに、キャップ5を周方向(図22の矢印方向)へ回すと、容体1の外面とキャップ5の外面が未だ不一致のうちに、開口部材4に当接していた押倒部9の押倒面9’が開口部材4を強く押して倒し始める(図23、図24、図25、図29(b)参照)。
引続きキャップ5を周方向(図25の矢印方向)へ回すと、押倒部9(詳しくは、押倒部9の押倒面9’)が開口部材4を押倒し、容体1の端壁1’に形成された薄肉部1’−1の一部を切断し、開口部材4を上記薄肉部1’−1から切離すが、この時、容体1の外面とキャップ5の外面とは、未だ不一致であって一致する直前である(図23、図24、図25から図26、図27、図28へ変る途中)。
そして、容体1の外面とキャップ5の外面とが一致するまでキャップ5を周方向(図25の矢印方向)へ回せば、押倒部9が開口部材4を容体1(詳しくは、容体1の端壁1’に形成された薄肉部1’−1)から完全に切離して通気口6が開口され、容体1内に空気が流通し、食品8が取出し可能となる(図26、図27、図28、図29(c)参照)。
【0082】
上記をまとめると、イ.容体1の外面とキャップ5の外面とが一致した外観では、通気口6は未開口、ロ.容体1の外面とキャップ5の外面とが不一致の外観では、開口部材4の押倒し開始から通気口6の開口へと進行、ハ.再び容体1の外面とキャップ5の外面との一致した外観では、容体1内の食品8が取出し可能となり、開口操作終了となる。これら上記イ〜ハまでの移動角度は、図28に示す如く90度位であり、動作としては、連続動作である。従って、キャップ5を開口操作具として容体1の周方向に移動せしめ、外面の方向を異ならしめれば、通気口6が開口されたことを知り得る。具体的には、開口操作具として、キャップ5を90度だけ周方向へ移動せしめれば、容体1に通気口6が開口されたことになる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明食品容器の実施例1を表わす一部縦断切欠正面図。
【図2】図1の平面図
【図3】図1のA−A線に沿う横断面図。
【図4】図3のB−B線に沿う縦断面図。
【図5】容体の要部縦断正面図。
【図6】キャップの縦断正面図。
【図7】使用方法(通気口開口操作)の説明図。
【図8】キャップの通気口開口状態の拡大縦断正面図。
【図9】図8の平面図。
【図10】実施例2を示す要部縦断正面図。
【図11】図10の左半横断平面図。
【図12】使用方法(通気口開口操作)の説明図。
【図13】容体とキャップ及び被蓋との横断面形状が同じ場合の例。
【図14】容体とキャップ及び被蓋との横断面形状が異なる場合の例。
【図15】実施例3を示す要部縦断正面図。
【図16】図15のC−C線に沿う横断平面図。
【図17】要部の分解縦断正面図。
【図18】開口部材の基部及び容体の端壁の一部拡大縦断正面図。
【図19】図18の平面図。
【図20】通気口開口操作の開始を示す要部の縦断正面図。
【図21】図20の縦断側面図。
【図22】図20の横断平面図。
【図23】通気口開口操作が進行中の状態を示す要部の縦断正面図。
【図24】図23の縦断側面図。
【図25】図23の横断平面図。
【図26】通気口開口操作の終了を示す要部縦断正面図。
【図27】図26の縦断側面図。
【図28】図26の横断平面図。
【図29】通気口開口操作の開始から終了までを(a)、(b)、(c)の順序で示す要部の拡大縦断側面図。
【符号の説明】
【0084】
1:容体
2:充填食品取出操作部
3:充填食品取出口
4:開口部材
5:キャップ
6:通気口
【技術分野】
【0001】
本発明は、とうふ、プリン、水羊かん、寒天、ゼリーなどのゲル状物質の食品の充填及び取出しに適した食品容器に関する。
【背景技術】
【0002】
前記ゲル状物質の充填及び取出しが可能な食品容器としては、容体底部の外面に開口部材を有し、開口部材に対応する容体底部内面に開口部材の横断面積とほぼ同程度の面積を有するくぼみを設け、かつ開口部材の周辺に保護枠を設けた筒状容器という構成の考案が実公昭54−40349号公報(特許文献1)に記載されて広く知られている(以下、この刊行物記載の周知技術を第1背景技術と称す)。
この第1背景技術によれば、ゼリー状物の入った容器を倒置し、開口部材を倒すと、開口部材と容体底部との形成する部分が破れて通気口が開口され、その通気口から容体内に空気が流入し、容体に密着していたゼリー状物が簡単に容体から抜け出るから、容体内形状を保ったものが得られるという利点がある。
上記第1背景技術は、叙述の利点を有するものの、開口部材を倒すときに開口部材と保護枠との間に指先を入れ、その指先で直接開口部材を倒さなければならないため、不衛生になりやすいという心配があると共に、開口部材を倒すときに指先に力を込めなければならず、力の弱い女性や子供にとっては、簡単に倒すことが困難になるという不利がある。
【0003】
前記第1背景技術のほか、容体の底部に通気口を開口すると共に、該容体とは別体に栓を設け、該栓は上記通気口と係脱可能で、かつ該通気口を閉塞可能として成ることを特徴とするプリンカップという構成の考案が実開昭54−109708号公報(特許文献2)に記載されて周知となっている(以下、この刊行物記載の周知技術を第2背景技術と称す)。
かかる第2背景技術によるときは、プリンを容体から取り出す場合に栓を抜くだけで容体内の底部側に空気を流入させることができる。従って、プリンを取り出す時に容体内の底部側が負圧になるようなことはなく、容易に容体からプリンが剥離してプリンが取り出し易い。しかも通気口は、栓で塞ぐようにしてあるので、繰返し使用可能なプリンカップとすることができて経済的であるという効果を有する。
しかし、この第2背景技術は、容体底部の通気口を水密に塞ぐことが技術的になかなか難しいため、商品が揺動したり、震動したりすると栓が緩み、栓の周りから漏水することが心配される。そして、容体底部の通気口に栓を水密に嵌めることが可能になると、上記漏水の心配が解消するものの、簡単に栓を引抜くことが難しくなり、力の弱い女性や子供にとって使いにくい商品になってしまう。
【0004】
上記した2つの背景技術のほかに、連続または断続した貫通する切り込み部で囲繞してなる通気口部を底部及び/又は側壁部に有する合成樹脂製の容器であって、切り込み部はその外面がフィルムで密封されていることを特徴とする容器という構成の発明が特開2002−12267号公報(特許文献3)、特開2003−95371号公報(特許文献4)、特開2004−217231号公報(特許文献5)等に記載され周知となっている(以下、これら刊行物記載の周知技術を第3背景技術群と称す)。
これらの第3背景技術群によるときは、フィルムの密着度合(密着の強さ、弱さという度合)によって、フィルムを剥離することが容易になったり、逆に困難になったりすることが多く、製品にバラツキが発生し、このバラツキの発生によって、需要者が使用しにくい商品になるという問題点がある。しかも、このフィルムの剥離性にバラツキが生じるという問題点は、外見上では判断が難しく、フィルムの剥離動作を実際にやってみて、初めて理解できるというやっかいな問題点である。
【0005】
【特許文献1】実公昭54−40349号公報
【特許文献2】実開昭54−109708号公報
【特許文献3】特開2002−12267号公報
【特許文献4】特開2003−95371号公報
【特許文献5】特開2004−217231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記第1背景技術から第3背景技術群が有する問題点に鑑みてなされたもので、衛生的であると共に、力の弱い者であっても簡単に開口操作できるという第1背景技術が奏し得ない利点を有し、また、容体の通気口を水密に塞ぐ必要と、通気口から漏水する心配とがないという第2背景技術が発揮できない効果を発揮し、さらに、シールの密着度合による製品のシール剥離性にバラツキが発生せず、このことによって需要者が使いやすくなるという第3背景技術群改良効果を奏するハイクオリティーな食品容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、容体の一端部に充填食品取出口が形成され、かつその容体の他端部に充填食品取出操作部が形成された食品容器において、該充填食品取出操作部に外向突設された開口部材を、開口操作具として操作中のキャップで倒して容体内に通じる通気口を開口し、かつその通気口開口操作終了後のキャップで前記充填食品取出操作部を閉塞するという技術手段を提案する。
【0008】
そして、本発明は、前記充填食品取出操作部に外向突設された開口部材を、開口操作具として使用するキャップで倒し始めると、圧縮され始めた内部空気が次第に排出されるという技術手段を提案する。
【0009】
また、本発明は、キャップの開口操作によるキャップ移動方向が容体の軸方向であるという技術手段を特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、キャップの開口操作によるキャップの移動方向が容体の周方向であるという技術手段を提案する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、叙上のように容体の一端部に充填食品取出口が形成され、かつその容体の他端部に充填食品取出操作部が形成された食品容器において、該充填食品取出操作部に外向突設された開口部材を、開口操作具として操作中のキャップで倒して容体内に通じる通気口を開口し、かつその通気口開口操作終了後のキャップで前記充填食品取出操作部を閉塞することを特徴とするという請求項1の記載により、次のような諸効果を奏する。
第1に、開口部材を直接指先で倒さず、キャップで倒すという手段により、通気口開口操作を衛生的に行うことができ、第2に、開口部材が充填食品取出操作部に外向突設されているという手段により、通気口を栓で水密に塞いで容体内を密封する必要がなくなり、栓が揺動、震動などで緩んで通気口から漏水する心配が解消し、第3に、通気口をフィルムで密封するという手段を採用していないので、フィルムの剥離性にバラツキが発生しない製品が得られ、このことによって、使用者が使いやすい商品になるという効果を奏し、第4に、通気口開口操作終了後のキャップで充填食品取出操作部を閉塞するという手段により、これら2つの通気口開口操作と充填食品取出操作部閉塞動作とを連続した動作として行い得、能率よく開口及び閉塞をなし得るという効果を発揮する。
【0012】
そして、充填食品取出操作部に外向突設された開口部材を、開口操作具として使用するキャップで倒し始めると、圧縮され始めた内部空気が次第に排出されるという請求項2記載の手段により、強い力でキャップを操作しないですみ、力の弱い者でも簡単に開口操作でき、誰でも手軽に使用できるという利点を有する。
【0013】
また、キャップの開口操作によるキャップ移動方向が容体の軸方向であるという請求項3記載の手段により、開口部材を確実に倒して通気口を開口できるという効果と、充填食品取出操作部を確実に閉塞できるという利点とを有する。
【0014】
さらに、キャップの開口操作によるキャップの移動方向が容体の周方向であるという請求項4記載の手段により、容体及びキャップの外面形状を同じ角形に成形し、容体またはキャップのいずれか一方を周方向(所定の周方向)に移動すれば、その外面の移動前の方向と、移動後の方向との違いにより、開口部材が倒されて通気口が開口されたことを知ることができるという効果と、この効果に続いて充填食品取出操作部がキャップで閉塞されたことを知ることができるという効果とを奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態例を、添付の図面を参照しながら説明する。
【0016】
実施形態例1(図1〜図9参照)
食品容器Aは、容体1及びキャップ5からなり、両方とも合成樹脂で製造する。素材となる合成樹脂は、熱可塑性軟質合成樹脂(たとえば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、その他)、熱可塑性硬質合成樹脂(たとえば、アクリル樹脂、スチロール樹脂など)などを用いることができる。
【0017】
容体1に充填される食品8は、とうふ、プリン、水羊かん、寒天、ゼリーなどのゲル状物であって、容体1内に加工済材料を充填し、常法によって製造する。
【0018】
容体1は、一端部(図1で下端部)を開放端部となして充填食品取出口3を形成すると共に、この食品取出口を前記加工済材料の充填口として利用するようにする。容体1は、他端部(図1で上端部)の端壁1’に開口部材4を外向に突設すると共に、周壁を端壁1’よりも外方に延設して開口部材4を囲む囲繞壁1”を構成し、キャップ5を嵌めるのに利用すると共に、キャップ5を開口操作具として使用するのに利用するようにする。
容体1は、不図示であるが、プリンカップで周知の小鉢状形状のほか、図示例のように細長い筒状形状に構成するようにし、棹物と称される細長い食品8を製造し得るようにする。そして、容体1の横断面形状は、図示例の角形のほか、真円形、楕円形、六角形など色々な断面形状に構成する。
【0019】
充填食品取出操作部2は、前記外向突設された開口部材4、前記囲繞壁1”、キャップ5、押倒部9等で構成され、該キャップで開口部材4を押倒し、通気口6を開口して食品8を充填食品取出口3から取出すのに使用する。
【0020】
開口部材4は、容体1の端壁1’の外面に外向に突設するが、その形状は、図示例の細杆状のほか細い円錐形などに端壁1’と一体に形成して突設し、キャップ5の軸方向移動によって、押倒部9で押倒されると、端壁1’に通気口6を開口するように構成する。
開口部材4は、キャップ5で押された際に基部付近からポッキリ折れてしまうと、端壁1’に通気口6が開口されないことになるため、この弊害が発生することを避ける手段として、基部に厚肉大径の台座4’を一体に形成し、この台座を端壁1’と薄肉部1’−1で一体に成形して、開口部材4がキャップ5で押されると、台座4’の周辺の薄肉部1’−1が切断され、通気口6が開口されるように構成する。
開口部材4の配設部位は、容体1の端壁1’の中心部でも、それ以外の部位でも構わないと共に、その高さは、容体1の囲繞壁1”と同じ高さを最長とし、該囲繞壁から突出しない高さに突設する。
【0021】
キャップ5は、開口部材4を押倒すための押倒部9を天板5’の内面に突設し、その押倒部の先端部の角部(図1、図6で下端部の右側角部)に半円凹面状の押倒面9’を形成し、開口操作具としてキャップ5を容体1の軸方向に移動して操作すると、押倒面9’で開口部材4が基部の台座4’周辺の薄肉部1’−1から押倒され、その薄肉部の全部又は一部が切断されて通気口6が開口され、容体1内に空気が流通し、該容体内の食品8が取出されるように構成する。なお、容体1内の食品8を取出す通気口開口操作を行う場合は、充填食品取出口3を下向にして充填食品取出操作部2を操作する。
【0022】
キャップ5に構成した押倒部9の押倒面9’は、キャップ5の軸方向移動によって開口部材4を押すと、該開口部材が前後方向(図2で上下方向)へ顕著に往復動することなく側方(図1で右方向)へ押倒されるように半円凹面状に構成する。
【0023】
処で、押倒部9の押倒面9’を半円凹面状に形成する目的は厚肉大径の台座4’を開口部材4と一緒に端壁1’から切離して上記側方へ倒すことにあり、そのためには台座4’を押倒部9でスムースに捉える必要があるからである。
従って、押倒部9の押倒面9’は、開口部材4の台座4’よりも僅か大径に成形する。
【0024】
通気口6は、容体1の端壁1’に開口部材4の台座4’の大きさに開口されるが、その台座は、自体の周辺の薄肉部1’−1が切断されることによって通気口6を開口し、容体1内に空気が流入し、該容体内の食品8が取出される。
【0025】
処で、キャップ5の天板5’の適宜部位又は周壁5”の天板5’に近い適宜部位に排気孔7を開穿し、キャップ5を軸方向移動して開口部材4を押倒し始めると、容体1の囲繞壁1”及びキャップ5で形成される内腔内の内部空気が圧縮されて排気孔7から次第に排出され始め、キャップ5の軸方向移動を円滑ならしめ、開口部材4を軽い力でスムースに押倒し得るようにする。
【0026】
キャップ5で開口部材4が倒されて通気口6が開口され、容体1内に空気が流入したとき、キャップ5は、容体1と相互に係合かつ係外する係合部10が係合し、容体1から外れずに保持され、通気口6が開口された充填食品取出操作部2を閉塞する。
【0027】
係合部10は、容体1の外周面に形成された係合突条又は係合凹条10’と、キャップ5の周壁5”の内面に形成されて前記係合突条又は係合凹条10’に係合かつ係外する凹条又は突条10”とで構成する。なお、係合部10は、前記係合突条又は係合凹条10'、前記凹条又は突条10”に限定されるものではなく、相互に係合かつ係外するものであれば、凸部と凹部とで構成することができる。
【0028】
図1に符号11で示す部材は、充填食品取出口3に着脱可能に装着した被蓋であり、容体1に充填されている食品8を取出す際は脱離する。
【0029】
実施形態例2(図10〜図14参照)
この形態は、実施形態例1と部分的に相違するので、相違する構成について説明し、実施形態例1と同じ構成については、実施形態例1に使用した符号と同じ符号を実施形態例1の符号記入部位と同じ部位に付して重複説明を省略する。
【0030】
充填食品取出操作部2は、容体1の端壁1’に開口部材4を外向突設する構成を実施形態例1の構成と同じくするが、その開口部材の構成(形状と配設部位)が実施形態例1の形態と相違する。
【0031】
開口部材4は、容体1の端壁1’に細い円錐形(又は角錐形)という形状に突設する点が実施形態例1と相違し、かつ開口部材4の配設部位が容体1の中心部を外れた偏心部位となっている点が実施形態例1と相違する。この開口部材4の配設部位は、キャップ5の押倒部9の配設部位と相対的関係を有するもので、前記偏心部位だけに制約されるのもではない。
【0032】
キャップ5は、天板5’の中心部位の内面に逆円錐形の押倒部9を設けた点、及び容体1(の囲繞壁1”)とキャップ5(の周壁5”)との嵌合形態がねじ嵌合(換言すれば螺合)である構成が実施形態例1の構成と異なる。
【0033】
開口部材4と押倒部9との径寸法は、一方が他方よりも径大であればよく、配設部位は、図示の形態と逆の形態にすることも考えられるが、図示の形態のほうが、開口部材4を側方(図12で左方向)へ確実に押倒すので好ましいと思料する。
【0034】
開口部材4と押倒部9の配設部位を図示の形態と逆の形態にすると、即ち、開口部材4を容体1の中心部位に、押倒部9をキャップ5の偏心部位に夫々配設した場合、キャップ5をねじ込み方向に回して軸方向移動しても、押倒部9が開口部材4の周りを回りながら、開口部材4を容体1の径方向に撓らせ、簡単には側方(図12で左方)へ押倒さない構成になるので好ましくない。
【0035】
処で、実施形態例1及び2の形態における薄肉部1’−1の面積は、実施形態例1における開口部材4の台座4'の横断面積及び実施形態例2における開口部材4の基部の横断面積よりも広い面積とするか、或いは同程度の面積とし、どちらか通気口6を開口し易いほうを採用する。
【0036】
この実施形態例2は、容体1とキャップ5及び被蓋11との嵌合部を除く他の部位の横断面形状を同じくするも、異にするも任意である。
【0037】
実施形態例3(図15〜図29)
本形態は、実施形態例1と発明の要部の構成が相違するので、その相違する構成を説明し、実施形態例1と同じ構成については、実施形態例1に使用した符号と同じ符号を実施形態例1の符号記入部位と同じ部位に付して重複説明を省略する。
【0038】
容体1は、囲繞壁1”を構成していない点が実施形態例1と相違する。
充填食品取出操作部2は、容体1の端壁1’に外向突設された開口部材4、キャップ5、押倒部9等で構成される点を実施形態例1の構成と同じくするが、開口部材4の構成(形状と配設部位)、容体1に対するキャップ5の取付構成、キャップ5の内面に設けられる押倒部9の構成などが実施形態例1の構成と異なる。
【0039】
開口部材4は、容体1の端壁1’に円錐形(又は角錐形)という形状に突設する構成が実施形態例1の構成と相違し、かつ開口部材4の配設部位が容体1の偏心部位となっている点が実施形態例1の構成と相違する。
開口部材4は、容体1の端壁1’における偏心部位に円錐形(または角錐形)に突設し、かつ基部周囲の端壁1’に切込4’を形成して端壁1’に薄肉部1’−1を構成し、キャップ5を容体1の周方向(図16の矢印方向)に操作すると、押倒部9で開口部材4が薄肉部1’−1から押倒され、その薄肉部の全部または一部が切断されて通気口6が開口され、容体1内に空気が流通し、その容体内の食品8が取出されるように構成する。
【0040】
開口部材4を円錐形(または角錐形)に形成するのは、該開口部材が押された際に基部付近からポッキリ折れてしまうと、端壁1’に通気口6が開口されないことになるため、この不具合の発生を予め防止することを目的とするもので、そのための手段として、開口部材4を基部に至るに従って次第に太く構成するのである。
【0041】
キャップ5は、天板5’の内面に横断面略S字形の押倒部9を一体に構成したこと、及び容体1の端壁1’の中心部位に外向立設された支柱1”に押倒部9の中心部位を周方向移動可能に嵌め、キャップ5を周方向(図16で矢印方向)へ移動すると、押倒面9が同時に移動するように構成した取付構成などが実施形態例1の構成と相違する。
【0042】
キャップ5は、開口部材4を押倒すための押倒部9を天板5’の内面に横断面略S字形に一体成形すると共に、キャップ5の高さよりも若干低い高さに成形し、押倒部9の中心部位を、容体1の端壁1’に外向立設された支柱1”に周方向移動可能に取付け、かつ該押倒部の両端(又は片端)に反円凹面状(又はコ字状)の押倒面9’を形成し、開口操作具としてキャップ5を容体1の周方向に移動して操作すると、押倒面9’で開口部材4が薄肉部1’−1から押倒され、その薄肉部の全部又は一部が切断されて通気口6が開口され、容体1内に空気が流通し、該容体内の食品8が取出されるように構成する。
【0043】
しかして、容体1及びキャップ5の外面形状を同じ角形に成形することと、該キャップを開口操作具として容体1の周方向に移動せしめて、外面の方向の違いにより、通気口6が開口されたことを知り得る移動角度と、通気口6がいつ開口されたかという通気口開口時点との関係を図面参照のもとに説明する。
【0044】
キャップ5を容体1の周方向に移動する前は、容体1及びキャップ5の外面の方向を揃えて(一致させて)おく。この場合、押倒部9は開口部材4から離れている(図15、図16、図29(a)参照)。
【0045】
次いで、キャップ5を開口操作具として利用するため、周方向(図16の矢印方向)に回すと、容体1の外面と、キャップ5の外面が不揃い(不一致)となり、同時にキャップ5内においては、押倒部9の押倒面9’が開口部材4に当接し、その開口部材を押倒すための準備が終了する(図20、図22参照)。
【0046】
また、キャップ5を周方向(図22の矢印方向)へ回すと、容体1の外面及びキャップ5の外面がまだ不揃い(不一致)のうちに、開口部材4に当接していた押倒部9の押倒面9’が開口部材4を強く押して倒し始める(図23、図24、図25、図29(b)参照)。
【0047】
引続きキャップ5を周方向(図25で矢印方向)へ回すと、押倒部9(詳しくは、押倒部9の押倒面9’)が開口部材4を押倒し、容体1の端壁1’に形成された薄肉部1’−1の全部または一部を切断して開口部材4を上記薄肉部1’−1から切離すが、この時、容体1の外面とキャップ5の外面とは、未だ不揃い(不一致)であって、揃う(一致する)直前である(図23、図24、図25から図26、図27、図28へ変る途中)。
【0048】
さらに、容体1の外面とキャップ5の外面とが揃う(一致する)までキャップ5を周方向(図25で矢印方向)へ回せば、押倒部9が開口部材4を容体1(詳しくは、容体1の端壁1’に形成された薄肉部1’−1)からさらに切離して通気口6が開口され、容体1内に空気が流通し、食品8が取出し可能となる(図26、図27、図28、図29(c)参照)。
【0049】
上記をまとめると、イ.容体1の外面とキャップ5の外面とが揃った(一致した)外観では、通気口6は未開口、ロ.容体1の外面とキャップ5の外面とが不揃い(不一致)の外観では、開口部材4の押倒し開始から、通気口6の開口へと進行、ハ.再び容体1の外面とキャップ5の外面とが揃った(一致した)外観では、容体1内の食品8が取出し可能となり、開口操作終了となる。そして、上記イ〜ハまでの移動角度は、90度位であり(図28参照)、動作としては、休みのない連続動作である。
【0050】
次に、前述の実施形態例と一部重複するが、より詳細な実施例を図面に基づき説明する。
【実施例1】
【0051】
先ず、図1〜図9に示す実施例1について説明する。
食品容器Aは、容体1、キャップ5及び被蓋11よりなり、これら全てを合成樹脂製とする。原材料となる合成樹脂は熱可塑性軟質合成樹脂(たとえば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、その他)を用い、容体1を細長く構成する。
【0052】
容体1に充填する食品8は、細長い形状(棹物と称される細長い形状)の水羊かんであって、容体1内に周知の加工材料を常法によって充填し製造する。
容体1の長さと横断面積とは、周知の棹物と称される練羊かんと同寸程度の長さとし、横断面積も同練羊かんと同程度とする。
【0053】
容体1は、一端部(図1で下端部)を開放端部となして充填食品取出口3を形成すると共に、該食品取出口を前記加工済材料の充填口として利用し、充填工程終了後、不図示のフィルムで密封し、その後被蓋11を装着して閉塞する。
容体1は、他端部の端壁1’の外面中心部位に開口部材4を外向に突設すると共に、周壁を端壁1’よりも軸方向(容体1の軸方向)の外方へ延設して開口部材4を囲む囲繞壁1”を構成し、この囲繞壁をキャップ5を嵌合するのに利用すると共に、キャップ5を開口操作具として使用するのに利用する。
容体1は、横断面形状を図示例の角形に構成する。
【0054】
充填食品取出操作部2は、前記外向突設された開口部材4、前記囲繞壁1”、キャップ5(詳しくは、キャップ5の押倒部9)等で構成され、そのキャップを開口操作具として使用することで開口部材4を押倒し、通気口6を開口して食品8を充填食品取出口3から取出すのに使用する。
【0055】
開口部材4は、キャップ5で押された際に基部付近からポッキリ折れてしまうと、このことによって端壁1’に通気口6が開口されないことになるため、この不利が発生しないようにする手段として、基部に厚肉大径の台座4'を一体に形成し、この台座を端壁1’と薄肉部1’−1で一体に成形して、開口部材4がキャップ5で押されると、台座4’の周辺の薄肉部1’−1が撓み、その撓みが極限に達すると切断され、通気口6が開口されるように構成する。
【0056】
開口部材4の配設部位は、容体1の端壁1’の中心部位とし、その高さは、容体1の囲繞壁1”の高さよりも若干低い高さに構成し、容体1の周辺に存在する物に接触しないように配設して、開口部材4が損傷しないようにする。
【0057】
キャップ5は、開口部材4を押倒すための押倒部9を天板5’の内面に突設し、その押倒部の先端部の角部(図1、図6で下端部の右側角部)に半円凹面状の押倒面9’を形成し、開口操作具としてキャップ5を容体1の軸方向に移動(図7で下方へ移動)して操作すると押倒面9’で開口部材4が基部の台座4’周辺の薄肉部1’−1から押倒され、その薄肉部の一部が切断されて通気口6が開口され、容体1内に空気が流入し、該容体内の食品8が取出される。しかして、容体1内の食品8を取出す通気口開口操作を行う場合は、充填食品取出口3を下向にし、不図示のフィルムを剥し、被蓋11を外して充填食品取出操作部2を操作する。
【0058】
キャップ5に構成した押倒部9の押倒面9’は、キャップ5の軸方向移動(図7で下方移動)によって開口部材4が押されると、該開口部材が前後方向(図2で上下方向)へ著しく往復動することなく側方(図1で右方向)へ押倒されるように半円凹面状に構成する。
【0059】
処で、押倒部9の押倒面9’を半円凹面状に形成する目的は厚肉大径の台座4’を開口部材4と一緒に端壁1’から切離して上記側方へ倒すことにあり、そのためには台座4’を押倒部9にスムースに通す必要があるからである。従って、押倒部9の押倒面9'は、開口部材4の台座4'よりも少しく径大に構成する。
【0060】
通気口6は、容体1の端壁1’に開口部材4の台座4’の大きさに開口されるが、その台座は、自体の周辺の薄肉部1’−1が切断されることによって開口され、容体1内に空気が流入し、その容体内の食品8が取出される。
【0061】
処で、キャップ5の天板5’の適宜部位に排気孔7を開穿し、キャップ5を軸方向移動して開口部材4を押倒し始めると、容体1の囲繞壁1”及びキャップ5で形成される内腔内の内部空気が圧縮されて排気孔7から次第に排出され始め、キャップ5の軸方向移動を円滑ならしめ、開口部材4を軽い力でスムースに押倒し得る。
【0062】
キャップ5で開口部材4が倒されて通気口6が開口され、容体1内に空気が流入したとき、キャップ5は、容体1と相互に係合かつ係外する係合部10(たとえば、係合凸条又は係合凹条10')が係合し、容体1から外れずに保持され、通気口6が開口された充填食品取出操作部2を閉鎖し、衛生的な状態を維持する。
【0063】
図1に符号11で示す部材は、充填食品取出口3に着脱可能に装着した被蓋であり、容体1に充填されている食品8を取出す際は脱離する。
【実施例2】
【0064】
次に、図10〜図14に示す実施例2について説明する。本例では、実施例1と異なる構成について説明し、実施例1と同じ構成については、同例1に使用した符号と同じ符号を同例1の符号記入部位と同じ部位に付して重複説明を省略する。
【0065】
充填食品取出操作部2は、容体1の端壁1’に開口部材4を外向突設する構成を実施例1と同じくするが、その開口部材自体の構成(形状及び配設部位)が実施例1の構成と相違する。
【0066】
開口部材4は、容体1の端壁1’に、台座4’のない形状(細い円錐形)に突設した構成が実施例1の構成と相違し、かつ開口部材4の配設部位が容体1の中心部を外れた偏心部位となっている構成が実施例1の構成と相違する。
【0067】
キャップ5は、天板5’の中心部位の内面に逆円錐形の押倒部9を設けた構成及び容体1の囲繞壁1”とキャップ5の周壁5”との嵌合形態がねじ嵌合(換言すれば螺合)である構成が実施例1の構成と異なる。
【0068】
開口部材4と押倒部9との径寸法は、一方が他方よりも径大であればよく、配設部位は、図示例のように開口部材4を容体1の偏心部位に、押倒部9をキャップ5の中心部位に夫々配設すれば、開口部材4が側方(図12で左方向)へ確実に押倒されるので好ましい構成であると思料する。
【0069】
しかして、2つの実施例における端壁1’に形成した薄肉部1’−1の面積は、実施例1における開口部材4の台座4’の横断面積及び実施例2における開口部材4の基部の横断面積よりも若干広い面積に構成する。
【0070】
図13に示す例は、容体1とキャップ5及び被蓋11との横断面形状が同じであり、図14に示す例は、容体1とキャップ5及び被蓋11との横断面形状が異なる例である(図14示の例は、容体1の横断面形状が角形、キャップ5及び被蓋11の横断面形状が円形の例である)。
【実施例3】
【0071】
次に、図15〜図29に示す実施例3について説明する。本例では、実施例1と異なる構成について説明し、実施例1と同じ構成については、同例1に使用した符号と同一の符号を同例1の符号記入部位と同じ部位に付して重複説明を省略する。
【0072】
容体1は、囲繞壁1”を構成していない点が実施例1の構成と異なる。
【0073】
充填食品取出操作部2は、容体1の端壁1’に外向突設された開口部材4、キャップ5、押倒部9等で構成することを実施例1の構成と同じくするが、開口部材4の構成(形状と配設部位)、容体1に対するキャップ5の取付構成、キャップ5の内面に設けられる押倒部9の構成などがいずれも実施例1の構成と異なる。
【0074】
開口部材4は、容体1の端壁1’に円錐形に突設する構成、及び配設部位が容体1の偏心部位となっている構成が夫々実施例1の構成と相違する。
開口部材4は、容体1の端壁1’における偏心部位に円錐形に突設し、かつ基部周囲の端壁1’に切込4’を形成して端壁1’に薄肉部1’−1を構成し、キャップ5を容体1の周方向(図16の矢印方向)へ操作すると、押倒部9で開口部材4が薄肉部1’−1から押倒され、その薄肉部の全部が切断されて通気口6が開口され、容体1内に空気が流通し、その容体内の食品8が取出されるように構成する。
【0075】
開口部材4を円錐形に突設する理由は、その開口部材が押された際に基部付近からポッキリ折れてしまうと、端壁1’に通気口6が開口されないことになるため、この不具合の発生を予め防止することを目的とするもので、そのための手段として、開口部材4を基部に至るに従って次第に太く構成するのである。
【0076】
キャップ5は、天板5’の内面に横断面略S字形の押倒部9を構成したこと、容体1の端壁1’の中心部位に外向立設された支柱1”に押倒部9の中心部位を周方向移動可能に嵌め、キャップ5を容体1の周方向に移動すると、押倒部9が同時に移動するように構成したキャップ5の取付構成などが実施例1の構成と相違する。
【0077】
キャップ5は、開口部材4を押倒すための押倒部9を天板5’の内面に横断面略S字形に一体成形し、かつ該押倒部9をキャップ5の高さよりも若干低い高さに成形し、その押倒部の中心部位を、容体1の端壁1’に外向立設された支柱1”に周方向移動可能に取付け、かつ押倒部9の両端に反円凹面状の押倒面9’を形成し、開口操作具としてキャップ5を容体1の周方向に移動して(周方向に回して)操作すると、押倒面9’で開口部材4が薄肉部1’−1から押倒され、その薄肉部の全部が切断されて通気口6が開口され、該容体の食品8が取出し可能となる。
【0078】
処で、容体1及びキャップ5の外面形状を同じ角形に成形することと、そのキャップを開口操作具として容体1の周方向へ移動せしめて、外面の方向の違いにより、通気口6が開口されたことを知り得る移動角度と、通気口6がいつ開口されたかという通気口開口時点との関係を図面参照のもとに説明する。
【0079】
キャップ5を容体1の周方向に移動する前は、容体1及びキャップ5の外面の方向を一致させておく。この場合、押倒部9は開口部材4から離れている(図15、図16、図29(a)参照)。
【0080】
次いで、キャップ5を開口操作具として利用するため、周方向(図16の矢印方向)へ回すと、容体1の外面とキャップ5の外面が不一致となり、同時にキャップ5内においては、押倒部9の押倒面9’が開口部材4に当接し、その開口部材を押倒すための準備が終了する(図20、図22参照)。
【0081】
さらに、キャップ5を周方向(図22の矢印方向)へ回すと、容体1の外面とキャップ5の外面が未だ不一致のうちに、開口部材4に当接していた押倒部9の押倒面9’が開口部材4を強く押して倒し始める(図23、図24、図25、図29(b)参照)。
引続きキャップ5を周方向(図25の矢印方向)へ回すと、押倒部9(詳しくは、押倒部9の押倒面9’)が開口部材4を押倒し、容体1の端壁1’に形成された薄肉部1’−1の一部を切断し、開口部材4を上記薄肉部1’−1から切離すが、この時、容体1の外面とキャップ5の外面とは、未だ不一致であって一致する直前である(図23、図24、図25から図26、図27、図28へ変る途中)。
そして、容体1の外面とキャップ5の外面とが一致するまでキャップ5を周方向(図25の矢印方向)へ回せば、押倒部9が開口部材4を容体1(詳しくは、容体1の端壁1’に形成された薄肉部1’−1)から完全に切離して通気口6が開口され、容体1内に空気が流通し、食品8が取出し可能となる(図26、図27、図28、図29(c)参照)。
【0082】
上記をまとめると、イ.容体1の外面とキャップ5の外面とが一致した外観では、通気口6は未開口、ロ.容体1の外面とキャップ5の外面とが不一致の外観では、開口部材4の押倒し開始から通気口6の開口へと進行、ハ.再び容体1の外面とキャップ5の外面との一致した外観では、容体1内の食品8が取出し可能となり、開口操作終了となる。これら上記イ〜ハまでの移動角度は、図28に示す如く90度位であり、動作としては、連続動作である。従って、キャップ5を開口操作具として容体1の周方向に移動せしめ、外面の方向を異ならしめれば、通気口6が開口されたことを知り得る。具体的には、開口操作具として、キャップ5を90度だけ周方向へ移動せしめれば、容体1に通気口6が開口されたことになる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明食品容器の実施例1を表わす一部縦断切欠正面図。
【図2】図1の平面図
【図3】図1のA−A線に沿う横断面図。
【図4】図3のB−B線に沿う縦断面図。
【図5】容体の要部縦断正面図。
【図6】キャップの縦断正面図。
【図7】使用方法(通気口開口操作)の説明図。
【図8】キャップの通気口開口状態の拡大縦断正面図。
【図9】図8の平面図。
【図10】実施例2を示す要部縦断正面図。
【図11】図10の左半横断平面図。
【図12】使用方法(通気口開口操作)の説明図。
【図13】容体とキャップ及び被蓋との横断面形状が同じ場合の例。
【図14】容体とキャップ及び被蓋との横断面形状が異なる場合の例。
【図15】実施例3を示す要部縦断正面図。
【図16】図15のC−C線に沿う横断平面図。
【図17】要部の分解縦断正面図。
【図18】開口部材の基部及び容体の端壁の一部拡大縦断正面図。
【図19】図18の平面図。
【図20】通気口開口操作の開始を示す要部の縦断正面図。
【図21】図20の縦断側面図。
【図22】図20の横断平面図。
【図23】通気口開口操作が進行中の状態を示す要部の縦断正面図。
【図24】図23の縦断側面図。
【図25】図23の横断平面図。
【図26】通気口開口操作の終了を示す要部縦断正面図。
【図27】図26の縦断側面図。
【図28】図26の横断平面図。
【図29】通気口開口操作の開始から終了までを(a)、(b)、(c)の順序で示す要部の拡大縦断側面図。
【符号の説明】
【0084】
1:容体
2:充填食品取出操作部
3:充填食品取出口
4:開口部材
5:キャップ
6:通気口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容体の一端部に充填食品取出口が形成され、かつその容体の他端部に充填食品取出操作部が形成された食品容器において、該充填食品取出操作部に外向突設された開口部材を、開口操作具として操作中のキャップで倒して容体内に通じる通気口を開口し、かつその通気口開口操作終了後のキャップで前記充填食品取出操作部を閉塞することを特徴とする食品容器。
【請求項2】
前記充填食品取出操作部に外向突設された開口部材を、開口操作具として使用するキャップで倒し始めると、圧縮され始めた内部空気が次第に排出されることを特徴とする請求項1記載の食品容器。
【請求項3】
キャップの開口操作によるキャップ移動方向が容体の軸方向であることを特徴とする請求項1記載の食品容器。
【請求項4】
キャップの開口操作によるキャップ移動方向が容体の周方向であることを特徴とする請求項1記載の食品容器。
【請求項1】
容体の一端部に充填食品取出口が形成され、かつその容体の他端部に充填食品取出操作部が形成された食品容器において、該充填食品取出操作部に外向突設された開口部材を、開口操作具として操作中のキャップで倒して容体内に通じる通気口を開口し、かつその通気口開口操作終了後のキャップで前記充填食品取出操作部を閉塞することを特徴とする食品容器。
【請求項2】
前記充填食品取出操作部に外向突設された開口部材を、開口操作具として使用するキャップで倒し始めると、圧縮され始めた内部空気が次第に排出されることを特徴とする請求項1記載の食品容器。
【請求項3】
キャップの開口操作によるキャップ移動方向が容体の軸方向であることを特徴とする請求項1記載の食品容器。
【請求項4】
キャップの開口操作によるキャップ移動方向が容体の周方向であることを特徴とする請求項1記載の食品容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2006−240705(P2006−240705A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−60894(P2005−60894)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(502060289)株式会社プランニングジャパン (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(502060289)株式会社プランニングジャパン (1)
【Fターム(参考)】
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