説明

食品泡及び飲料泡

食品用途に適合しており、HLBが9を超える界面活性剤の水性又は水性エタノール性溶液を含む泡であって、例えば泡送出機からスプレーすることによって飲料又は食品の表面に泡トッピングを形成するために用いられる泡。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品泡及び飲料泡に関し、該食品泡及び該飲料泡は、特に、カプチーノスタイルコーヒーのような頂部が泡で覆われた飲料、並びに、デザート、カクテル及び他の食品の表面上の泡トッピングの調製における使用に適している。
【0002】
カプチーノは、表面に泡状のミルクを有するコーヒーのポピュラーな形態の1つである。カプチーノは、泡を生じさせるために比較的大型で高価な装置を必要とし、そのことにより、商業施設用の調製が制限される。カプチーノはミルクアレルギーの消費者又は菜食主義者若しくは低脂肪食者には適していない。
【0003】
スプレー式の噴霧質ミルク泡をつくる試みがなされており、これは、特別な装置を必要とせず、家庭での使用に適しているが、消費者に受け入れられる製品を得ることは困難であった。乳製品は、一般に貯蔵寿命が限られており、冷凍の必要がある。現在のところ乳成分を含まない製品は入手不可能である。また、例えば、カクテル及びデザートのような種々の食品及び飲料用のトッピングとして、あるいは、それ自体で砂糖菓子として、味付された泡、及び、特にアルコール性の泡に対する潜在的需要がある。
【0004】
例えば、運転手が運転中の眠気を避けるために飲むような、物理的又は精神的活動を必要とすることに従事する人々に頻繁に断続的に飲まれている栄養飲料などの製品に特有な問題が生ずる。このように液体を飲むことは、こぼす危険性があり、運転中は潜在的に危険である。口の中へ直接スプレーできる泡は、より安全でより便利である。
【0005】
我々は、HLBが9を超える食品等級界面活性剤の泡状水溶液をコーヒーカップの表面上にスプレーすることにより、ミルクを含まないカプチーノスタイルコーヒーを調製できることをみいだした。また、我々は、このような泡を用いて他の様々なトッピング、飲料又は砂糖菓子を提供できることをもみいだした。
【0006】
さらに、我々は、上記食品等級界面活性剤を用いて水性アルコール性飲料を発泡させて飲料及び食品に魅力的なトッピングを提供できること、並びに、栄養飲料を同様に発泡させて直接的に口へスプレーできることをみいだした。
【0007】
特に、我々は、水溶性アルコール、メチルセルロース及び/又はグリセロールと共に使用する場合に、HLBが9を超える糖エステルが、食品及び飲料用に特に好ましいことをみいだした。
【0008】
さらに、我々は水性アルコール中の糖エステルの溶解度が糖の存在によって向上することをみいだした。
【0009】
我々は、HLBが9−12の範囲の界面活性剤とHLBが12を超える界面活性剤との混合物が特に安定な泡を提供することをみいだした。
【0010】
また、我々は、サポニンとメチルセルロースとの混合物、また、特に、メチルセルロースとキラヤサポニンなどのトリテルペノイド配糖体との混合物が約10%未満のエタノールを含む発泡系において特に好適であることをみいだした。
【0011】
さらに、我々は、糖エステルのような非イオン性界面活性剤が濃縮エタノール(例えば、ジン及びウォッカなどの飲料の原料として一般に用いられるニュートラルスピリットのような95%〜97%エタノール)に可溶であることをみいだした。これらは、一般に、ニュートラルスピリットと任意の香味料又は他の香味料とからなる濃縮物をエタノール最終濃度(最終濃度は通常30〜40%の範囲内である)に希釈することにより調製される。我々は、例えば糖エステルが希釈して発泡性製品を供給するために充分なほどニュートラルスピリットに可溶であることを発見した。
【0012】
また、本発明によるアルコール性泡は、香水、コロン及びアフターシェイブローションを使用する際によく生じるように、芳香化粧品をこぼしてしまうことなく皮膚に塗布する媒体としても有用である。
【0013】
本発明は次の実施形態を提供する。
【0014】
1.食品若しくは飲料として、食品用若しくは飲料用のトッピングとして、又は、食品若しくは飲料の成分として用いられる泡であって、HLBが9を超え、食品用途に適合する界面活性剤の水性又は水性エタノール性溶液を含む泡。
【0015】
2.飲料又は食品の表面に泡をスプレーするステップを具える、飲料又は食品の表面に泡トッピングを形成する方法。
【0016】
3.前記界面活性剤の水性又は水性エタノール性溶液を含む泡を調製するための手段、及び、該溶液を泡として送出するように構成される手段。
【0017】
4.発泡飲料若しくは発泡食品又は頂部が泡で覆われた飲料若しくは頂部が泡で覆われた食品を製造するための水性又は水性エタノール性食品等級界面活性剤の使用。
【0018】
5.9〜12のHLBを有する少なくとも1つの界面活性剤と、12を超えるHLBを有する少なくとも1つの界面活性剤とを含む前記使用のための食品等級界面活性剤の水性又は水性アルコール性溶液。
【0019】
6.前記界面活性剤は基本的に非イオン性界面活性剤及び/又はサポニンからなる前記水性又は水性アルコール性溶液。
【0020】
7.前記界面活性剤が実質的にエトキシ化されていない前記界面活性剤の水性又は水性アルコール性溶液。
【0021】
8.基本的に糖エステル、変性されたセルロース及びサポニンから選択される界面活性剤からなる前記界面活性剤の水性又は水性アルコール性溶液。
【0022】
9.平均HLBが9を超え、メチルセルロースと糖エステルとの混合物を含む食品用途に適合した界面活性剤の水性又は水性アルコール性溶液。
【0023】
10.平均HLBが9を超えるを有し、メチルセルロースとサポニンとの混合物を含む食品用途に適合した界面活性剤の水性又は水性アルコール性溶液。
【0024】
11.前記泡の調製に用いられ、10〜40重量%のエタノールと、発泡剤として有効であるために充分な量の、9を超えるHLBを有する糖エステルとを含む水性アルコール性溶液。
【0025】
12.さらに、7〜40重量%の糖を含む上記第11実施形態に記載の水性アルコール性溶液。
【0026】
13.さらにグリセロールを含む上記第5〜12実施形態のいずれかに記載の水性又は水性アルコール性溶液。
【0027】
14.ニュートラルスピリットと必要濃度の糖エステルとを含む上記第11実施形態に記載の溶液の製造における使用に適合する濃縮物。
【0028】
本発明の以下の考察において、反対に記載していない限り、許容範囲のパラメータの上限及び下限に対する代替値の開示であって、この代替値のひとつが他の値よりも更に好ましいという表示のある開示は、前記代替値のうちより好ましい値とより低い程度で好ましい値との間に存在する、前記パラメータの各中間値それ自体が、該より低い程度で好ましい値よりも好ましいこと、及び、該より低い程度で好ましい値と該中間値との間に存在する各値よりも好ましいことを示唆する記載として解釈される。
【0029】
5Psを超える組成物は発泡ヘッドを容易に通過することができない。スプレーすることができる調合物の粘度は、好ましくは4Ps未満であり、より好ましくは3Ps未満であり、さらにより好ましくは2Ps未満であり、最も好ましくは1.5Ps未満である。ここにおける粘度に関するすべての言及は、反対に記載していない限り、21s−1におけるブルックフィールド粘度計で測定した粘度である。
【0030】
補助安定剤を用いずに満足な泡を得るために、HLBが10を超える非イオン性界面活性剤又はサポニンを用いることが好ましい。界面活性剤は、より好ましくは11を超えるHLB、さらに好ましくは12を超えるHLB、さらにより好ましくは13を超えるHLB、最も好ましくは14.5を超えるHLBを有する。さらに高いHLBはさらに好適になりえるが、発泡の観点からは、食品使用に適しており、かつ、実質的にHLBが15を超える商業的に入手可能な製品は実際に特定することができない。最高HLBの界面活性剤は、食品用途に許可されていないか又は隠すことが困難な望ましくない香味を有する。界面活性剤のHLBは、40未満、より好ましくは30未満、さらに好ましくは20未満、最も好ましくは16未満であることが好ましい。
【0031】
一般に、この範囲における比較的低いHLB(例えば、9〜12)を有する界面活性剤により、起立時に崩壊し、また、体積が減少するが、濃度を保持する傾向がある泡が得られ、一方、HLBが12を超える界面活性剤により、より長い時間にわたって体積を保持するが、排液してしまい、結果として発泡濃度を損失する泡が得られる。しかしながら、驚くべきことに、高HLBの界面活性剤と低HLBの界面活性剤との混合物は、前者の崩壊に対する抵抗性と後者の排液に対する抵抗性とを兼ね備える。
【0032】
界面活性剤は、界面活性剤の総重量を基準として、低HLBの界面活性剤を好ましくは少なくとも50%以上、より好ましくは少なくとも60%以上、さらに好ましくは少なくとも70%以上、最も好ましくは少なくとも80%以上含み、また、高HLBの界面活性剤を好ましくは少なくとも0.5%以上、より好ましくは少なくとも1%以上、さらに好ましくは少なくとも2%以上、最も好ましくは少なくとも5%以上含む。
【0033】
例えば、界面活性剤は、一般的には、脂肪酸エトキシレート、エトキシ化グリセリルエステル、アルキル若しくはアルケニル糖エステル(例えばスクロースエステル類)、エトキシ化ソルビタンエステル、サポニン、ヒドロキシル化リン脂質、及び/又は、セルロース誘導体を含む。特別な例には、パルミチン酸スクロース若しくはステアリン酸スクロース、オレイン酸スクロース、メチルセルロース、エトキシ化ソルビタンオレイン酸エステル、エトキシ化デンプン、及び、エトキシ化ヒマシ油が含まれる。
【0034】
これらのうち、我々は、エトキシ化ソルビタンエステルが特に好適な発泡品質を提供するが、若干の苦味を有し、したがって、一般に、強い隠蔽香味剤(masking flavouring)を有する製品においてのみに好適であることをみいだした。したがって、この溶液中の界面活性剤は実質的にアルコキシ基を有しないことが好ましい。すなわち、界面活性剤は、該界面活性剤の1分子当たり、平均1未満、好ましくは平均0.5未満、より好ましくは平均0.1未満、最も好ましくは平均0.01未満のアルコキシ基を有する。
【0035】
メチルセルロースは、単独で用いると、香味の点で好適であるが、それほど満足な発泡品質が得られない。一般的にメチルセルロースのHLBは約11であり、従って、完全に安定した泡を調製するためには、さらに高HLBの界面活性剤が少量必要である。
【0036】
糖エステルは、特に味及び発泡品質の理由で好ましく、特にアルコール又はメチルセルロース若しくはレシチンのような低HLB界面活性剤と併用される。エタノール又は共界面活性剤がない水溶性糖エステルは、従来の発泡ヘッドを通過できないほど粘性が高い溶液とする傾向がある。好適なエステルには、オクタン酸エステル、デカン酸エステル、ラウリル酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレイン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、エルカ酸エステル及びこれらの混合物が含まれる。ラウリン酸スクロースのような低分子量のアルキルエステルは、わずかに石鹸のような味を有しているが、ステアリン酸エステル及びオレイン酸エステルのような高分子量のエステルは、基本的に無味である。炭素数が小さい同族体を小量含む炭素数が大きい同族体を含んでなる混合物は、無視できる反対の味と組み合わされて、多くの場合、より高い溶解性を得るのに好適である。糖エステルは、特に低い濃度において、好適な泡を提供する傾向がある。
【0037】
糖は、好ましくは単糖、より好ましくは二糖、最も好ましくはスクロースであるが、例えば、フルクトース、マルトース、グルコース又は転化糖である。他の糖(これらは使用可能であるが、商業的に魅力的ではないと考えられる。)には、例えば、マンノース、リボース、ガラクトース、ラクトース、アロース、アルトロース、タロース、グロース、イドース、アラビノース、キシロース、リキソース、エリトロース、トレオース、アクロース、ラムノース、フコース、グリセルアルデヒド、スタキオース、アガボース、及び、セロビオース、又は、三糖若しくは四糖が含まれる。
【0038】
最も商業的に利用可能な糖エステルは、モノエステルとジエステルとの混合物を含む。飽和エステルの場合には、それらが、水性又は水性アルコール性の系において、すべての水/アルコール比率で完全に可溶であるとは限らない。さらに、低温で静置すると、時々、発泡ヘッドを詰まらせる沈殿物が生じることがある。
【0039】
この問題は、モノエステルを必須として含む製品を用いることにより、又は、低温(例えば5℃)で短い期間(例えば3〜5日)溶液を保存し、さらに、濾過、遠心分離及び/又は傾斜法によって沈殿物を分離することにより防ぐことができる。我々は、反直観的に、エステルの濃度を増加させることにより、多くの場合、非常に薄い糖エステル溶液における混濁を回避することができることを発見した。また、我々は、少量の糖(少なくとも約7重量%)の添加には、同様に、薄い糖エステル溶液における混濁を除去する効果があることをも発見した。
【0040】
安定した溶液を形成するためには、ほとんどの水/エタノール比率で水性アルコール性の系に完全に溶解することが判明しているオレイン酸スクロースを用いることが特に好ましい。商業用オレイン酸スクロースは、一般的に、少量のジオレイン酸エステルと少量の飽和エステルとを含むモノオレイン酸エステルで構成される。
【0041】
糖エステルは、アルコール濃度が約10重量%未満であると、粘度が高くなりすぎる傾向がある。メチルセルロースと糖エステルとの混合物は、非アルコール性又は低アルコール性溶液中において、いかなる異味も有しない持続性泡を提供するために特に有効である。メチルセルロースはアルコール性の系においてそれほど有効ではない。
【0042】
特に、無アルコールの系においては、メチルセルロースと糖エステルとの混合物であって、後者は、オレイン酸エステルが大部分で、ラウリル酸エステルのような低分子量の飽和エステルを小さい比率で含む混合物が好ましい。糖エステルの合計割合は、界面活性剤の総重量を基準として、例えば、少なくとも1%以上であり、より好ましくは少なくとも5%以上であり、さらに好ましくは少なくとも10%以上であり、最も好ましくは少なくとも15%以上であるが、60%未満であり、より好ましくは50%未満であり、さらに好ましくは30%未満であり、最も好ましくは20%未満である。オレイン酸エステルの比率は、糖エステルの総重量を基準として、好ましくは少なくとも50%以上であり、より好ましくは少なくとも60%以上である。低級アルキル酸エステルの比率は、糖エステルの総重量を基準として、好ましくは少なくとも20%以上であり、より好ましくは少なくとも30%以上である。
【0043】
糖エステルの1つの不利な点は、酸系における加水分解の不安定性である。これは、アルコール系における問題ではなく、アルコールが保存料として機能する、非アルコール系において製剤設計の選択を狭める可能性がある。非アルコール系においては、弱酸性(pH約4)で最も有効なソルビン酸エステル/安息香酸エステルのような保存剤が必要とされることがある。このような系において、酸安定性であり、かつ、特にメチルセルロースなどの低HLBの界面活性剤と共に用いられたときに好ましい泡を提供する、サポニン及び特にキラヤサポニンなどのトリテルペノイド配糖体を使用することが好ましい。界面活性剤の総重量を基準として、少なくとも0.5重量%以上のサポニンを含む低HLB界面活性剤の混合物を用いることが好ましく、このサポニンは、より好ましくは少なくとも1%以上、さらに好ましくは少なくとも1.5%以上、最も好ましくは少なくとも2%以上である。一般に、界面活性剤の総重量を基準として、サポニンの重量が20%未満、より好ましくは10%未満、さらに好ましくは5%未満、最も好ましくは2%未満であることが好ましい。
【0044】
界面活性剤の総濃度は、溶液の総重量を基準として、好ましくは0.03%超、より好ましくは0.04%超、さらに好ましくは0.1%超、最も好ましくは0.3%超であるが、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、さら好ましくは3%未満、最も好ましくは1%未満である。最適濃度は、界面活性剤によって異なり、特別な場合においても容易に決定可能である。
【0045】
糖エステルは、0.04%では好適な発泡安定性を供与するが、0.02%では供与しない。他の大部分の界面活性剤は、好適な発泡安定性を得るには非常に高い濃度を必要とする。許容できる発泡安定性と矛盾しない最小濃度の界面活性剤が好ましい。一般に、最小濃度以上のレベルの界面活性剤の使用は、たとえあったとしても、ほとんど付加利益を伴わない。
【0046】
水及び界面活性剤に加えて、溶液には、エタノール、香味料、甘味料、泡安定剤、保存剤、緩衝液及び/又は香水などの補助的成分が含まれていてもよい。
【0047】
糖は甘味料として有効であり、また、低濃度の糖エステル及びアルコールで、アルコール性の糖エステル溶液中の混濁を防止しうる。また、糖は発泡安定剤として有用である。50重量%を超える糖濃度は、発泡ヘッドを通じて容易にスプレーすることができない程に粘度が高い溶液を生じさせる可能性がある。一般に、40重量%未満、より好ましくは30重量%未満の糖濃度が好ましい。糖は、好ましくはスクロースであるが、糖エステルの糖成分に関連して、上に一覧したもののいずれかであってもよい。
【0048】
エタノールは、一般的に、組成物の重量に対して50%以下の濃度で存在してもよく、好ましくは40%以下、より好ましくは37%以下、さらに好ましくは35%以下、最も好ましくは30%以下で存在してもよい。一般的に、ジン、ウォッカ、ブランデー、ウイスキー、シュナップス、ラム、リキュール、強化ワインのような飲用に適した蒸留酒、又は、発酵、強化及び/又は蒸留された他の任意の飲料を溶剤として使用してもよい。
【0049】
一般に37.5重量%を超える濃度のエタノールにおいて満足な泡を得ることは難しい。約5重量%から10重量%の間の濃度においても困難に直面するかもしれない。特に好適な結果は15重量%を超える濃度のエタノールによって得られる。40重量%を超える濃度のエタノールを含む蒸留酒を発泡させたい場合は、好適な泡を得るには一般に35%未満に希釈することが好ましい。
【0050】
均一性を向上させる必要がある場合は、エタノールとは別に、他の食品許容性があり及び水混和性である単価及び/若しくは多価アルコール並びに/又はイソプロパノールなどのアルコールエーテルを含めるようにしてもよい。
【0051】
グリセロールは、組成物の重量を基準として、例えば、0.1%超、好ましくは0.5%超、より好ましくは1%より大きく5%以下、好ましくは4%未満、より好ましくは3%未満、最も好ましくは2.5%未満の比率で存在するときに、発泡特性を向上させることが分かった。水性アルコール性の系において、グリセロールの量は、一般に、界面活性剤の量に対して多く、例えば、重量を基準として、6:1まで、好ましくは5:1までである。非アルコール性の系では、好ましい量は、より少なく、界面活性剤の重量を基準として、例えば1:2〜1:4である。平均HLBが比較的低い(例えば12未満)界面活性剤系用には、アルギン酸プロピレングリコールエステル、クエン酸三ナトリウム又はキサンタンガムのような発泡安定剤を有効な比率(組成物の重量を基準として、例えば、少なくとも0.001%以上、より好ましくは少なくとも0.005%超、最も好ましくは0.01%超、しかし、2%未満、より好ましくは1%未満、さらに好ましくは0.5%未満、最も好ましくは0.1%未満)で含有させることが好ましい。
【0052】
本発明の組成物、及び特に非アルコール性の組成物は、安息香酸ナトリウム及びソルビン酸カリウムのような保存剤の存在を必要とすることがある。ソルビン酸エステル/安息香酸エステル保存剤を用いる場合は、系のpHが7未満、好ましくは6未満、より好ましくは5未満、最も好ましくは4.5未満の酸価に調節することが好ましい。このpHは、好ましくは2より大きく、より好ましくは3より大きく、最も好ましくは3.5より大きい。溶液のpHは例えばクエン酸を用いて調節できる。
【0053】
例えば、ソルビタンエステル又はラウリル酸スクロースなどのいくつかの界面活性剤には味があり、該味は、例えば、バニラ、レモン、オレンジ、ライム、チョコレート又はショウガのように強い香味の存在によって隠すことができる。しかしながら、オレイン酸スクロース、サポニン及びメチルセルロースは、最適濃度において無味である。
【0054】
液体と、空気、蒸気又は不活性ガスとが混合される混合槽を具える泡発生器を通じて送出することにより前記溶液を発泡させてもよい。この溶液は、例えば、発泡ヘッドと、該発泡ヘッドを通して液体及び空気を同時に送り込む手段とを具えるボトルに詰めるようにしてもよい。
【0055】
ボトルは、使い易いようにスクイーズボトルであってもよく、また、ポンプ作用はこのボトルを搾ることにより達成されてもよい。あるいは、エアロゾル泡ディスペンサ、又は、押し下げたときにポンプを作動させるノズルを通して泡が送出される種類のディスペンサに前記溶液を詰めてもよい。好適なディスペンサは、例えば、ボディーソープ、シェービングフォーム用のパーソナルケア業界で広く使用されている。そのようなディスペンサのひとつは、登録商標「REXAM EZI FOAMER」の名前で商業的に販売されている。
【0056】
例えば、撹拌機又は泡立機を用いて溶液を空気中で撹拌することによって泡を形成することも可能である。この方法を適用して、従来の発泡ヘッドを通過することができない程度に高い粘度を有する溶液を発泡させることができる。このように成形した泡に液体を加えると、この泡は、液体上に層を形成する。
【0057】
本発明による製品を、カプチーノスタイルコーヒー用のトッピングとして、又は、例えばホットチョコレート若しくはミルクセーキなどの任意の種類の飲料の表面に又はデザートの表面に発泡頂部を提供するために、又は、それら自体で味付けされた砂糖菓子として、用いることができる。アルコール性の泡をそのように用いてもよく、あるいは、ビール、カクテル、アイスクリーム、シラバブ、及び、サンデーなどにトッピングを提供するために用いてもよい。
【0058】
本発明は、ニュートラルスピリットのような、充分に発泡するものよりもさらに高いレベル(例えば90重量%より高い)のアルコールを含む蒸留酒をベースとする濃縮物を対象とする。本発明による濃縮物は、該濃縮物を水で(例えば、アルコールレベルが15〜35%の範囲となるまで)希釈して、本発明の発泡性製品を提供するのに適した濃度とした界面活性剤を含む。この濃縮物は、ジュニパー抽出物やジン用の他の香味料のような最終飲料に必要な他の成分を付加的に含んでいてもよい。
【0059】
反対に記載されていない限り、本発明は、すべての比率が組成物の総重量を基準とした重量%である以下の実施例によって説明される。反対に記載されていない限り、オレイン酸スクロースへの言及は、「OWA−1570」に由来する全固形物を指す。「OWA−1570」は、Ryoto Ester SP社により販売され、21%のモノオレイン酸スクロース、7%のジオレイン酸スクロース、12%の他のスクロースアルキレート、4%のエタノール及び56%の水からなる。反対に記載されていない限り、サポニンへの言及は、Guinness Products社によって供給され、13を超えるHLBを有する「QUILLAJA LIQUID ULTRA 66 IF/PL」に由来するサポニン全固形物を指す。
【実施例1】
【0060】
カプチーノ
表1のように設定された溶液を「REXAM EZI FOAMER」(登録商標)に係る発泡スプレーヘッドを具えるスクイーズボトルに詰めた。5gの溶液を1杯の新たに用意したインスタントコーヒーの表面にスプレーした。コーヒーの表面に、50mlの、快い味わいの、クリーム状で、カプチーノ様の泡頂部が形成された。20分経過後においてもコーヒーの表面は25mlの泡によって完全に覆われていた。
【0061】
【表1】

【実施例2】
【0062】
表2の組成物を半パイントグラスを満たす(36gの溶液)ように「REXAM M3 Minifoamer」(登録商標)を通してスプレーした。チョコレート粒子をサポートできる好適なクリーム状の泡が得られた。30分経過後に体積の減少は認められなかったが、泡密度は低下した。検出できる苦味はなかった。
【0063】
【表2】

【実施例3】
【0064】
表3の組成物を半パイントグラスを満たす(36gの溶液)ように、「REXAM M3 Minifoamer」(登録商標)を通してスプレーした。チョコレート粒子をサポートすることができる好適なクリーム状の泡が得られた。30分経過後に体積の減少は認められなかったが、泡密度は低下した。検出できる苦味はなかった。
【0065】
【表3】

【実施例4】
【0066】
チェリーウォッカの発泡:
100gのウォッカ(アルコール37.5体積%);2gのパルミチン酸/ステアリン酸スクロース(HLB16.0、75%のモノエステル);1gの天然赤色食品着色剤(プロピレングリコール+カルミン);及び、2gのチェリー香味料を室温で15分間激しく撹拌し、6000Gで15分間遠心分離して、発泡機のノズルを詰まらせるであろう残留固形物を回転分離した。
【0067】
組成物は、21s−1及び20℃における測定で粘度が10cpsであり、透明な赤色であった。
【0068】
低温インキュベーターの中で5日間静置すると、大部分がスクロースジエステルからなると考えられる沈殿物が生じた。濾過により安定な産物を残してジエステルを除去し、「REXAM」M3ミニ発泡機に該産物を静かに移した。
【0069】
M3を通して半パイントグラスの中への送出すると、濃厚で柔らかく、淡いピンク色の発泡が得られ、該発泡は、約20分でゆっくりと崩壊し、25mlのチェリー味ウォッカが残った。スクロースエステルによって苦味は付加されなかった。
【実施例5】
【0070】
スコッチウイスキーの発泡:
100gスコッチウイスキー(アルコール40体積%)及び0.8gオレイン酸スクロースを共に3分間撹拌した。そのオレイン酸エステルはウイスキー中に完全に溶解し、透明で安定した溶液が形成された。「REXAM」M3ミニ発泡機を通して送出するとき、一回分と同等な量から、半パイント量の濃いウイスキー味の泡が得られた。
【実施例6】
【0071】
2.0%グリセロールと共に0.4%オレイン酸スクロースを含む水性エタノール性溶液の外観、及び、発泡ヘッドを通してスプレーされた後の挙動を、表4に設定されるような様々な範囲のエタノール濃度について測定した。:
【0072】
【表4】

【0073】
上記の結果に基づいて、実施例5で用いられたウイスキーをアルコール33重量%となるまで水で希釈した。その後、0.4%オレイン酸スクロース及び2.0%グリセロールを加えた。顕著に優れた泡が得られ、45分間持続した。
【実施例7】
【0074】
オレイン酸スクロースを、20%、25%、30%及び35%のエタノール溶液中において、0.02〜0.4%の様々な濃度で溶解させた。3℃及び室温でサンプルを保存した。一部の溶液は、起立時に分離する結晶状粒子の存在により混濁していた。結果は次の表5に記録されており、ここにおいて、「S」は透明な溶液を示し、「H」はわずかにかすんだ溶液を示し、また、「T」は混濁した溶液を示す。
【0075】
【表5】

【0076】
7〜40%の量でスクロースを添加すると混濁溶液は透明になった。また、エタノール25%において、エステル濃度を0.8%又は1.6%まで上昇させることによっても透明な溶液が得られた。
【実施例8】
【0077】
実施例6のウイスキー生成物をミルク発泡機を用いて泡立てることにより発泡させた。ホットコーヒーに加えると、液体上にの安定な泡の頂部が生じた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品若しくは飲料として、食品用若しくは飲料用のトッピングとして、又は、食品若しくは飲料の成分として用いられる泡において、少なくとも1つの界面活性剤の水性又は水性エタノール性溶液を含み、該界面活性剤は食品用途に適合し、該界面活性剤はHLBが9を超える泡。
【請求項2】
飲料又は食品の表面に泡トッピングを形成する方法において、該飲料又は該食品の表面に請求項1に記載の泡をスプレーするステップを具える方法。
【請求項3】
請求項1に記載の泡を作る手段において、前記泡はHLBが9を超える食品等級界面活性剤の水性又は水性エタノール性溶液を含み、該方法は前記溶液を泡として送出するように構成された手段を具える手段。
【請求項4】
発泡飲料若しくは発泡食品又は頂部が泡で覆われた飲料若しくは食料を作るための、HLBが9を超える水性又は水性エタノール性食品等級界面活性剤の使用。
【請求項5】
請求項4に記載の使用のための水性又は水性アルコール性溶液であって、HLBが9〜12の少なくとも1つの界面活性剤と、HLBが12を超える少なくとも1つの界面活性剤とを含む水性又は水性アルコール性溶液。
【請求項6】
請求項5に記載の水性又は水性アルコール性溶液において、前記界面活性剤は本質的に非イオン性界面活性剤及び/又はサポニンからなる水性又は水性アルコール性溶液。
【請求項7】
請求項6に記載の水性又は水性アルコール性溶液において、前記界面活性剤は実質的にエトキシ化されていない水性又は水性アルコール性溶液。
【請求項8】
請求項7に記載の水性又は水性アルコール性溶液において、前記界面活性剤は本質的に糖エステル、変性されたセルロース及び/又はサポニンからなる水性又は水性アルコール性溶液。
【請求項9】
請求項4に記載の使用のための食品用途に適合した平均HLBが9を超える非イオン性界面活性剤の水性又は水性アルコール性溶液において、メチルセルロースと糖エステルとの混合物を含む水性又は水性アルコール性溶液。
【請求項10】
請求項4に記載の使用のための食品用途に適合した平均HLBが9を超える界面活性剤の水性又は水性アルコール性溶液であって、メチルセルロースとサポニンとの混合物を含む水性又は水性アルコール性溶液。
【請求項11】
請求項1に記載の泡の調製に用いられる水性アルコール性溶液であって、該溶液は10〜40重量%のエタノールと、HLBが9を超え、発泡剤として有効であるために充分な量の糖エステルとを含む溶液。
【請求項12】
請求項11に記載の水性アルコール性溶液であって、さらに7〜40重量%の糖を含む水性アルコール性溶液。
【請求項13】
請求項5〜11のいずれかに記載の水性又は水性アルコール性溶液であって、さらにグリセロールを含む水性又は水性アルコール性溶液。
【請求項14】
請求項11に記載の溶液の製造に用いられる濃縮物であって、ニュートラルスピリット及び必要濃度の糖エステルを含む濃縮物。

【公表番号】特表2010−535491(P2010−535491A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519523(P2010−519523)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002690
【国際公開番号】WO2009/019486
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(510031051)リベレーション リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】LIBAERATION LIMITED
【Fターム(参考)】