説明

食品生地の切断方法及びその装置

【課題】帯状の食品生地を搬送方向に沿って多列の食品生地に分割する際に、各列の単位時間当たりに搬送される列食品生地の重量をほぼ等しくすることができ、さらに、各列の食品生地から幅方向に沿って所要重量の食品生地片を切断する際に、各列の切断回数をほぼ同一にすることのできる食品生地の切断方法及びその装置を提供する。
【解決手段】搬送される食品生地Fを切断部材5の取付け位置に基づく基準位置に対し調心変位量だけ変位した位置に調心する。調心変位量は、食品生地Fの幅寸法と、両側に位置する列状食品生地から切断される食品生地片同士の長さの比率に基づいて算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送供給される帯状の食品生地を搬送方向に沿って多列に分割するための切断方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
混捏されたパン生地などの食品生地塊から所定重量(例えば40g)の食品生地片を分割する手段として、上記食品生地塊から連続する帯状の食品生地を成形し、該食品生地を搬送装置で搬送しながら例えば矩形の食品生地片に分割するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されたパン生地分割機は、パン生地塊を搬送するベルトコンベアと、上記パン生地塊をほぼ一定の厚さに延展する延展ローラと、上記延展されたパン生地を搬送方向に沿って多列の列状パン生地に分割する複数の縦切りロータリカッタと、上記分割された列状パン生地を幅方向(搬送方向に直交する水平方向)に沿って矩形のパン生地に分割する横切りロータリカッタを備えている。このような生地分割機を用いると、帯状の食品生地から同一形状の矩形の食品生地片が成形される。
【0004】
しかしながら、搬送方向に沿って幅寸法が変動する帯状の食品生地を多列の列状食品に分割する場合には、その両側の列状食品生地が一定の幅を有しない、つまり、幅寸法が変動した列状食品生地となってしまう。そのため、上記両側の列状食品生地を不要生地として廃却する場合には生産性が低下してしまい、また、両側の列状食品生地を原材料に配合して再混捏する場合には生産される食品生地の品質が安定せずに低下してしまうなどの問題があった。
【0005】
また、本出願人は、帯状の食品生地から設定重量の食品生地片を得ることのできる食品生地成形システムを提案している(例えば、特許文献2)。上記食品生地成形システムは、ほぼ一定の厚さに形成された帯状の食品生地を搬送する搬送コンベアと、上記食品生地の搬送位置を調心する調心装置と、上記食品生地を多列の列状食品生地に分割する切断部材としてのカッターと上記列状食品生地を分離して搬送する分岐コンベアを備えた分離拡開装置と、搬送される上記分割された食品生地の重量を計量する秤量コンベアと、上記計量値に基づいて上記分割された食品生地から矩形の食品生地片を切断する切断装置を備えている。このような食品成形システムを用いると、帯状の食品生地から同一重量の食品生地片が成形される。そして、上記食品生地片は、人手による手作業、あるいは、後続するモルダーや丸め機などにより二次成形される。
【0006】
しかしながら、上記食品生地の幅寸法が搬送方向に沿って逐次変動し、または、部分的に、特に両側部分における厚みや密度など生地の性状が不均一となる場合に、上記食品成形システムにおいて幅寸法が逐次変動する2列の列状食品生地を分割すると各列の単位時間当たりに搬送される食品生地の重量に大きな差異が生じることとなり、各列の食品生地から所要重量の食品生地片を切断すると各列の単位時間当たり(例えば1分間)の切断回数(食品生地片の切断個数と同義)に極端な差異が生じてしまい、二次成形部分において食品生地片が停滞(過供給)したり、未供給になるなどの問題がある。
【0007】
また、上記食品成形システムにおいて2列に分割された列状食品生地から食品生地片を切断する場合、上記食品生地片の形状は、生地重量が小さくなるに従って横長な略長方形(短冊状)に成形され、二次成形に適さない形状となってしまう。この様な場合には、上記帯状の食品生地から3列、あるいはそれ以上の列からなる列状食品生地を分割し、さらに、上記列食品生地を幅方向に沿って食品生地片に切断することにより二次成形に適した、例えば略正方形の食品生地片を得ることが可能となる。
【0008】
しかしながら、上記食品生地成形システムにおいて、上記食品生地の幅寸法が搬送方向に沿って逐次変動し、または、部分的に、特に両側部分における厚みや密度など生地の性状が不均一となる場合に、上記帯状の食品生地を間隔の固定されたカッターで搬送方向に沿って3列以上の列状食品生地に分割すると、その両側の分割された列状食品生地の幅寸法が変動することとなる。従って、両側の列状食品生地と中央の列状食品生地との間において、あるいは、両側の列状食品生地同士において、単位時間当たりに搬送される列状食品生地の重量に大きな差異が生じることとなり、各列状食品生地から所要重量の食品生地片を切断すると各列の単位時間当たりの切断回数に極端な差異が生じてしまい、二次成形部分において食品生地片が停滞(過供給)したり、未供給になるなどの問題がある。
【特許文献1】特開平4−66044号公報
【特許文献2】特開2001−95468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、帯状の食品生地を搬送方向に沿って多列の食品生地に分割する際に、各列の単位時間当たりに搬送される列食品生地の重量をほぼ等しくすることができ、さらに、各列の食品生地から幅方向(搬送方向に直交する方向)に沿って所要重量の食品生地片を切断する際に、各列の切断回数(食品生地片の切断個数と同義)をほぼ同一にすることのできる食品生地の切断方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、請求項1に係る発明は、帯状の食品生地を搬送コンベアで搬送し、上記食品生地の両端位置を生地幅検出装置にて検出し、その検出信号に基づいて上記食品生地の幅の中心位置と幅寸法を制御装置で算出し、上記食品生地の幅の中心位置と搬送位置とを調心装置にてに調心し、上記搬送コンベアの下流に備えられた切断部材により帯状の食品生地を搬送方向に沿って多列の列状食品生地に分割し、各列状食品生地から所定重量の食品生地片を食品生地片切断装置にて切断する方法において、上記搬送位置は、切断部材の取付け位置に基づく基準位置に対し調心変位量だけ変位した位置であり、上記調心変位量は、上記食品生地の幅寸法と、両側に位置する列状食品生地から切断される上記食品生地片同士の長さの比率に基づいて制御装置により算出されることを特徴とする食品生地の切断方法である。
【0011】
請求項2に係る発明は、帯状の食品生地を搬送する搬送コンベアと、上記食品生地の両端位置を検出する生地幅検出装置と、上記生地幅検出装置の検出信号に基づいて上記食品生地の幅の中心位置と幅寸法を算出する制御装置と、上記食品生地の幅の中心位置と搬送位置とを調心する調心装置と、上記搬送コンベアの下流にあって上記食品生地を搬送方向に沿って多列の列状食品生地に分割する切断部材を備えた多列切断装置と、上記列状食品生地から所定重量の食品生地片を切断する食品生地片切断装置とを備え、上記搬送位置は、切断部材の取付け位置に基づく基準位置に対し調心変位量だけ変位した位置であり、上記調心変位量は、上記食品生地の幅寸法と、両側に位置する列状食品生地から切断される上記食品生地片同士の長さの比率に基づいて算出された値であり、上記調心装置を上記調心変位量に応じて作動制御する制御装置を備えることを特徴とする食品生地の切断装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、帯状の食品生地の幅の中心位置を設定位置に調心して搬送する際に、従来のごとく上記中心位置を切断部材に対して変動しない設定位置に調心するものでなく、上記中心位置と上記食品生地の変動する幅寸法や上記列状食品生地から分割された食品生地片の変動する切断長さに基づき制御装置で算出された設定位置とを調心するため、上記食品生地の幅寸法や厚み、密度など生地の性状が不均一の場合であっても、各列の列状食品生地の単位時間に搬送される生地重量をほぼ同一に制御することが可能となる。
【0013】
また、本発明によれば、帯状の食品生地を多列の列状食品生地に分割する際に、従来のごとく例えば回転刃などの複数の切断部材を所定の間隔を開けて固定して配置するものでなく、切断部材の間隔を上記食品生地の変動する幅寸法や上記列状食品生地から分割された食品生地片の変動する切断長さに基づき制御装置で算出された間隔に調整するため、上記食品生地の幅寸法や厚み、密度など生地の性状が不均一の場合であっても、各列の列状食品生地の単位時間に搬送される生地重量をほぼ同一に制御することが可能となる。
【0014】
つまり、本発明によれば、搬送される帯状の食品生地から搬送方向に沿って多列の列状食品生地を分割する際に、上記食品生地の幅寸法や厚み、密度など生地の性状が不均一となる場合であっても、各列の列状食品生地の単位時間に搬送される生地重量に大きな差異が生じることが抑制できるため、各列の列状食品生地から所定重量の食品生地片を切断する単位時間当たりの切断回数(切断個数と同義)をほぼ同一にすることができ、後続する二次成形部分において食品生地片が停滞(過供給)したり、未供給になることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る切断装置1について図面を用いて説明する。図1は、切断装置1を概略的に示した上面説明図である。図2は、図1のA−A断面矢視による正面説明図である。図3は、図2における左側面説明図である。
【0016】
図1乃至図3を参照するに、切断装置1は、搬送コンベア3により搬送される帯状の食品生地Fを搬送方向Sに沿って例えば4本の列状食品生地F1,F2,F3,F4に切断する多列切断装置2を備えている。多列切断装置2は、切断部材としての3個の円形の回転刃5と、該回転刃5の取り付け間隔を調節する切断部材間隔調節機構7と、上記回転刃5と対向し食品生地Fを搬送する搬送ローラ9を備えている。また、多列切断装置2は、搬送コンベア3のコンベアフレーム11の側面に固定された対向するサイドプレート13に取り付けられている。
【0017】
上記切断部材間隔調節機構7は、対向する上記サイドプレート13の内側に取り付けられた軸受け15に回転軸17を回転自在に軸支し、その回転軸17の一端を制御モータM1に連動連結している。上記回転軸17は、その中央部分に軸部19を備え、上記軸部19の両側には互いに逆のねじ山が刻設された左ねじ部21と右ねじ部23が備えられている。そして、上記回転軸17には、3個の回転刃5を等間隔に支持する支持部材25,26,27が取り付けられており、上記軸部19には止め輪29により軸方向に固定された固定支持部材25が嵌合され、上記左ねじ部21及び右ねじ部23には、それらのねじ山に対応したねじ穴を備えた可動支持部材26,27が上記回転軸17の軸方向に沿って移動可能に螺合されている。従って、図2において上記回転軸17を右回転すると上記回転刃5は互いに接近して取り付け間隔は狭くなり、逆に上記回転軸17を左回転すると上記回転刃5は互いに離反して取り付け間隔は広く変化する。なお、回転刃5を支持する支持部材25,26,27は、例えば図示されない錘や空気圧シリンダに連結され上記搬送ローラ9に回転刃5が押圧されるよう設けられている。
【0018】
さらに、上記回転軸17に連結された制御モータM1の出力軸の端部にロータリ型のパルスエンコーダ31を連結しており、上記パルスエンコーダ31から出力されるパルス数に基づき上記回転軸17の回転角度を検出することにより上記各回転刃5の間隔WDを算出している。なお、上記各回転刃5の間隔WDを算出するための検出装置として上記サイドプレート13の内側に距離センサーを固設し、上記回転刃5までの距離を直接検出することも可能である。
【0019】
また、上記搬送ローラ9は、上記回転刃5の下方、かつ、上記搬送コンベア3の下流側において制御モータM2に連動連結されて回転可能に備えられており、搬送コンベア3により調心されて搬送される食品生地Fを搬送するとともに、対向する上記回転刃5と協働して上記食品生地Fを4本の列状食品生地F1,F2,F3,F4に切断する。
【0020】
また、上記サイドプレート13の内側には、上記搬送コンベア3により搬送される食品生地Fの両端部までの距離を各々測定する例えば距離センサーなどの生地幅検出装置33が対向して設けられており、該生地幅検出装置33の検出信号に基づいて食品生地Fの幅の中心位置Cを算出している。本例においては、上記生地幅検出装置33は、搬送コンベア3の下流端付近に設けられている。なお、上記生地幅検出装置33は、距離センサーに限ることなく例えば搬送コンベアの上方において幅方向に沿って配置する複数の光電式センサーや上記食品生地を撮像するカメラセンサーなどであってもよく、食品生地Fの両側の位置を検出可能な装置であればよい。
【0021】
搬送コンベア3は、例えば特許文献1あるいは特許文献2などの公知の生地供給装置によりほぼ帯状に成形された食品生地Fを搬送する搬送部として設けられている。搬送コンベア3は、複数のローラに掛回された無端状のベルト35を備え、図示されない制御モータにスプロケット・チェーンなどの動力伝達機構を介して連動連結されている。
【0022】
また、搬送コンベア3には、上記生地幅検出装置33の検出信号に基づき算出された食品生地Fの幅の中心位置Cを搬送位置に調心するための調心装置37が設けられている。調心装置37は、上記搬送コンベア3の上流端側を中心として搬送コンベア3の下流端側を矢印Rで示す水平方向に揺動するよう設けられている。なお、上記調心装置37は、これに限らず例えば特許文献2に記載されたような搬送コンベアの先端ローラを搬送方向Sに直交する幅方向に移動することによりベルト35を幅方向に移動させて食品生地Fの幅の中心位置Cを搬送位置に調心するものであってもよい。
【0023】
多列切断装置2の下流側には、4列に切断された列状食品生地F1,F2,F3,F4を搬送する搬出コンベア39が連設されており、複数のローラに掛回された無端状のベルト41を備え、図示されない制御モータにスプロケット・チェーンなどの動力伝達機構を介して連動連結されている。さらに、搬出コンベア39の下流側には、特許文献2に記載されたような上記列状食品生地F1,F2,F3,F4を拡開して搬送する拡開コンベアと、上記各拡開コンベアから供給される上記列状食品生地F1,F2,F3の重量を計測しながら搬送する第1の秤量コンベアと、上記第1の秤量コンベアによる計量値が設定値に一致したときに上記列状食品生地F1,F2,F3,F4から食品生地片f1,f2,f3,f4を分割する例えばギロチン式の切断装置としての生地片切断装置と、分割された上記食品生地片f1,f2,f3,f4の重量を計測する第2の秤量コンベアが各々幅方向に沿って並設されるとともに搬送方向に沿って連設されている。なお、上記搬出コンベア39を上記拡開コンベアとしてもよい。
【0024】
制御装置43は、上記各装置の駆動を制御するものであり、上記搬送コンベア3、搬送ローラ9、搬出コンベア39などの搬送速度を制御するとともに、上記生地幅検出装置33の検出信号に基づき食品生地Fの幅の中心位置Cを算出する演算装置を有している。また、制御装置43は、切断部材5の取付け位置に基づく基準位置D(本例においては上記固定支持部材25に支持された回転刃5の刃先位置)に対し上記中心位置Cを所要量(以後、調心変位量Hと称す)ずらして位置合わせするよう幅方向補正指令を上記調心装置37に送信して搬送コンベア3を水平方向に揺動させて調心するものである。なお、上記基準位置Dは、上記中心位置Cを所要の搬送位置に調心する際に位置合わせするための原点位置であり、上記位置(回転刃5の刃先位置)に限らず任意に設定することができる。
【0025】
さらに、制御装置43は、上記生地幅検出装置33の検出信号に基づいて変動する食品生地Fの幅寸法Wを算出しており、その幅寸法Wの変動に基づき各列状食品生地F1,F2,F3,F4の幅寸法W1,W2,W3,W4を算出するとともに、上記回転刃5の間隔WDが算出された幅寸法W2と一致するよう上記回転軸17を左あるいは右回転するよう制御モータM1の駆動を制御している。なお、上記回転刃5の間隔WDは、回転刃5の初期設定間隔と制御モータM1の回転方向と上記パルスエンコーダ31から上記制御装置43に送信されるパルス数に基づいて算出される。
【0026】
そして、制御装置43は、特許文献2に記載されたように各列に分割された列状食品生地F1,F2,F3,F4の重量を各第1の秤量コンベアで計量し、該計量値が設定値に一致した時に各列の列状食品生地F1,F2,F3,F4から食品生地片f1,f2,f3,f4を分割するよう上記生地片切断装置の動作を制御している。なお、各列の拡開コンベアには、例えばロータリー型のパルスエンコーダが駆動モータあるいはローラなどに連動連結されており、切断された食品生地片の長さに応じたパルス数が上記制御装置43に送信され、上記食品生地片f1,f2,f3,f4の切断長さL1,L2,L3,L4が算出されよう設けられている。なお、例えば、上記切断長さL1は、常に同一となるものではなく、食品生地Fの幅寸法Wが変動したり、食品生地Fの性状が不均一となることにより、食品生地片f1が切断される毎に変動するものである。
【0027】
上記食品生地片f1,f2,f3,f4は、設定重量に基づいて切断されており、さらに、幅方向に沿った上記切断長さL1,L2,L3,L4が同一となるよう制御装置43により制御されている。従って、全面にわたり均一な食品生地Fから4個の食品生地片f1,f2,f3,f4を分割する場合には、幅寸法W1,W2,W3,W4が同一の寸法となるよう回転刃5の間隔WDを変動可能に調整すればよい。しかしながら、食品生地Fの幅寸法Wが変動したり、部分的に、特に両側部分における厚みや密度など生地の性状が不均一となる場合には、上記中心位置Cを調心する設定位置と切断部材の間隔WDを制御装置で制御し、上記幅寸法W1,W2,W3,W4を各々調整して上記切断長さL1,L2,L3,L4が同一となるようしなければならない。なお、本第1の実施の形態においては、両側の列状食品生地F1,F4の内側に配置される列状食品生地F2,F3は、ほぼ同一の性状として説明する。従って、食品生地片f2,f3は、ほぼ同じ時機に切断され、食品生地片f2とf3が切断される毎にほぼ同一形状に切断されるものとして説明する。つまり、食品生地片f2,f3の幅寸法W2,W3と切断長さL2,L3は食品生地片f2とf3とが切断される毎にほぼ等しいものとする。
【0028】
次に、上記制御装置43における上記回転刃5の間隔WD(食品生地F2の幅寸法W2と同義)と調心変位量Hの算出方法について説明する。上記算出方法の一例として、各列の食品生地片f1,f2,f3,f4の連続した20個の寸法に基づき調心変位量Hと切断部材5の間隔WDを算出するものとし、各列の連続した20個の食品生地片f1,f2,f3,f4の平均切断長さAVL1,AVL2,AVL3,AVL4とする。なお、平均切断長さをAVL1,AVL2,AVL3,AVL4を算出するための食品生地片f1,f2,f3,f4の個数は20個に限らず任意に設定することができる。
【0029】
また、上記食品生地Fの幅寸法Wの平均を平均幅寸法AVWとする。該平均幅寸法AVWは、例えば、上記列状食品生地F2から上記食品生地片f2を切断する時機に合わせて計測した上記食品生地Fの幅寸法Wの連続した20個の計測値に基づいて算出したその平均値である。なお、上記平均幅寸法AVWを上記食品生地片f2を20個切断する間における逐次変動する食品生地Fの幅寸法Wを連続的に計測した計測値に基づいて算出られた平均値などであってもよい。
【0030】
回転刃5の間隔WDは、制御装置43において例えば下記の数1で算出され制御される。
【0031】
【数1】

【0032】
回転刃5の上記間隔WDは、食品生地Fの幅寸法Wが変動する場合や食品生地Fの性状が不均一となる場合に変動するものであり、本実施の形態においては上記食品生地Fを4列に分割するため上記幅寸法Wを4(列)で除算した寸法(W/4)と、食品生地片f1,f2,f3,f4の平均切断長さAVL1,AVL2,AVL3,AVL4に基づいて算出される補正値としての幅調整比率Eの乗算から算出している。
【0033】
上記幅調整比率Eは、各列の食品生地片f1,f2,f3,f4の連続した20個の寸法を計測する毎に更新される値であり、更新された幅調整比率E2は、前回の幅調整比率E1と、両側の食品生地片f1,f4の平均切断長さ((AVL1+AVL4)/2)に対する中央の食品生地片f2,f3の平均切断長さ((AVL2+AVL3)/2)の比で算出される両側・中央比率(AVL2+AVL3)/(AVL1+AVL4)と、両側の食品生地F1,F4の性状の違いを考慮した幅補正係数Kとを乗算した値から算出している。両側の食品生地片f1,f4の平均切断長さ((AVL1+AVL4)/2)と中央の食品生地片f2,f3の平均切断長さ((AVL2+AVL3)/2)が相違する場合には、上記両側・中央比率(AVL2+AVL3)/(AVL1+AVL4)は1とはならず、上記幅調整比率Eは更新され、回転刃5の上記間隔WDは、変動することとなる。なお、幅補正係数Kは、予め制御装置43に設定入力された値であり、食品生地Fの性状などにより変更する値である。
【0034】
上記数1に基づき回転刃5の間隔WDを調整すると、単位時間当たりに搬送される両側の列状食品生地F1,F4の生地重量の和と、中央の列状食品生地F1,F4の生地重量の和が同一となるよう制御される。
【0035】
また、上記の通り食品生地Fの両側部分における厚みや密度など生地の性状が不均一となる場合に、両側の食品生地F1,F4の幅寸法W1,W4を食品生地Fの幅寸法Wから上記列状食品生地F2,F3の幅寸法W2,W3を差し引いた値から2等分し、両側の各列状食品生地F1,F4から所定重量の食品生地f1,f4を切断するとその切断長さL1,L4は同一の長さにならない。従って、本発明の第1の実施の形態においては、上記基準位置Dに対して食品生地Fの中心位置Cを所要量(上記調心変位量H)ずらして調心し、列状食品生地F1,F4の幅寸法W1,W4を加減調節することにより食品生地片f1,f4の切断長さL1,L4が同一となるよう上記調心変位量Hを制御するものである。
【0036】
上記調心変位量Hは、制御装置43において例えば下記の数2で算出され制御される。
【0037】
【数2】

【0038】
上記調心変位量Hは、各列の列状食品生地片f1,f2,f3,f4の連続した20個の寸法を計測する毎に更新される値であり、更新された調心変位量H2は、前回の調心変位量H1と調心位置補正値Jとの加算(H1+J)により算出している。調心位置補正値Jは、両側の食品生地F1,F4の仮想平均幅寸法Tと、食品生地片f4の平均切断長さAVL4に対する食品生地片f1の平均切断長さAVL1の比率である両側平均切断長さ比率(AVL1/AVL4)と、両側の食品生地F1,F4の性状の違いを考慮した調心補正係数Uとを乗算した値から1を減算した値(T×(AVL1/AVL4)×U−1)である。
【0039】
さらに、上記仮想平均幅寸法Tは、食品生地Fの平均幅寸法AVWを4(列)で除算した値と、中央の列状食品生地F2,F3を意味する列数2(列)と、上記幅調整比率E2とを乗算した値を算出し((AVW/4)×2×E2)、さらに、該値を平均幅寸法AVWから減算した値を2(両側の食品生地F1,F3を意味する)で除算する((AVW−(AVW/4)×2×E2)/2)ことにより算出している。
【0040】
上記説明により理解できるように上記調心変位量Hは、食品生地Fの平均幅寸法AVWと上記両側平均切断長さ比率(AVL1/AVL4)に基づいて算出される。従って、平均幅寸法AVWが更新された場合や、上記両側平均切断長さ比率(AVL1/AVL4)が1とならない場合、つまり、食品生地片f4の平均切断長さAVL4と食品生地片f1の平均切断長さAVL1が相違する場合に、上記調心変位量Hは、変動することとなる。
【0041】
上記数2に基づき上記調心変位量Hを調整すると、単位時間当たりに搬送される両側の列状食品生地F1,F4の生地重量が同一となるよう制御される。
【0042】
なお、本実施の形態においては、回転刃5の間隔WDと調心変位量Hを上記数1と数2にて算出するよう説明したがこれに限らず変更が可能である。例えば、上記調心変位量Hの仮想平均幅寸法Tは、上記平均生地幅AVWと上記幅調整比率Eに基づいて算出されるよう説明したが、この値を上記食品生地Fから上記食品生地片f2を切断する時機に合わせて計測される食品生地F1,F4の幅寸法W1,W4の値を連続して20回計測し、各々の平均値であるAVW1,AVW4の平均値((AVW1+AVW4)/2)に基づいて算出するようにしてもよい。
【0043】
また、上記数1や数2に各平均寸法(AVWやAVL1など)を代入するよう説明したが、各平均寸法を各寸法(WやL1など)に置き換えてもよい。つまり、各寸法を計測する毎に上記数1や数2に代入して回転刃5の間隔WDや調心変位量Hの値を制御するようにしてもよい。
【0044】
次に、上記切断装置1の動作について説明する。図1に示すように、帯状の食品生地Fが搬送コンベア3により所定速度で搬送されている。上記食品生地Fは、搬送方向Sに沿って幅寸法Wが変動し、さらに、幅方向における中心位置Cが蛇行するように変動して搬送される。上記生地幅検出装置33の検出位置に搬送された食品生地Fは、その両側の端部までの距離データが上記生地幅検出装置33により各々検出され、該検出信号に基づいて当該検出位置における食品生地Fの幅の中心位置Cと幅寸法Wが上記制御装置43により算出される。そして、上記中心位置Cを上記基準位置Dに対し上記調心変位量Hだけ変位するよう搬送コンベア3が水平方向に揺動して調心する。そして、調心された食品生地F1は、搬送コンベア3と同速に回転する搬送ローラ9に載置され搬送される。
【0045】
さらに、算出された上記食品生地Fの幅寸法Wの値に基づき回転刃5の間隔WD(食品生地F2の幅寸法W2と同一)が制御装置43により算出されるとともに、上記回転刃5の間隔が上記間隔WDと一致するよう補正指令が制御装置43から制御モータM1に送信され、上記切断部材間隔調節機構7の可動支持部材26,27に支持された上記各回転刃5の間隔が調整される。上記補正指令は、例えば回転刃5の間隔WDが狭まくなるよう変動させる場合には、図2に示された回転軸17を右回転するよう制御モータM1に指令し、各回転刃5を接近させるものである。また、例えば回転刃5の間隔WDが広まるよう変動する場合には、図2に示された回転軸17を左回転するよう制御モータM1に指令し、各回転刃5を離反させるものである。なお、上記回転刃5の移動距離は、上記パルスエンコーダ31から制御装置43に送信されるのパルス数に基づき算出されるものである。
【0046】
帯状の食品生地F1は、幅寸法Wの変動に基づいて変動する幅寸法W1,W2,W3,W4を有する4本の列状食品生地F1,F2,F3,F4に分割され、搬出コンベア39により搬出される。各列状食品生地F1,F2,F3,F4は、拡開コンベアにより幅方向に拡開搬送された後、各第1の秤量コンベアで計量され、該計量値が設定値に一致した時に生地片切断装置により所定重量の食品生地片f1,f2,f3,f4に切断される。そして、各食品生地片f1,f2,f3,f4が例えば20個切断される毎に上記調心変位量Hを算出する算出式の調心位置補正値J及び回転刃5の間隔WDを算出する算出式の幅調整比率Eが更新される。
【0047】
従って、第1の秤量コンベアで計量される各列の列状食品生地F1,F2,F3,F4は、単位時間(例えば1分間)に搬送される生地重量に大きな差異が生じることが抑制され、各列の単位時間当たりの切断回数(切断個数と同義)をほぼ同一にすることができる。従って、後続する二次成形部分において食品生地片が停滞(過供給)したり、未供給になるなどの問題が解決される
【0048】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態に係る切断装置1の概要を示す上面説明図である。第2の実施の形態において上記第1の実施の形態の構成と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして重複した説明は省略する。第2の実施の形態においては、帯状の食品生地Fを4列の食品生地F1,F2,F3,F4に分割する場合に中央の2列の列状食品生地F2,F3の幅寸法W2,W3を調整することにより切断長さL1,L2,L3,L4が同一になるよう制御する場合について説明する。
【0049】
多列切断装置2に備えた切断部材間隔調節機構7として回転軸17の上流側にもう一本の回転軸45を並設し、回転軸45の中央部に刻設された例えば左ねじ部47に可動支持部材49を移動可能に螺合する。さらに、上記可動支持部材49の基端部に切断部材5としての回転刃48を備え、該回転刃48を上記回転軸17に支持された2枚の回転刃5の間に配置する。上記回転軸45は、上記制御装置43に制御された制御モータM3に連動連結され回転可能に設けれている。また、上記制御モータM3の出力軸にパルスエンコーダ32が連動連結されている。
【0050】
第2の実施の形態においては、上記基準位置Dを回転軸17に可動支持部材26,27を介して支持された両側の回転刃5の中間位置とする。また、列状食品生地F2を切断する回転刃5と回転刃48の間隔をW2、列状食品生地F3を切断する回転刃48と回転刃5の間隔をW3とする。
【0051】
両側の回転刃5の間隔WCは(W2+W3)で表わされ、上記第1の実施の形態にて説明した回転刃5の間隔WDの2倍の値(WC=(W2+W3)=2×WD)として上記数1からで算出することができる。従って、上記間隔WDの値に基づく制御装置43からの補正指令により制御モータM1の回転を制御し、回転軸17及び可動支持部材26,27を介して両側の回転刃5の位置(間隔)を調整することができる。
【0052】
また、上記基準位置Dに対する上記食品生地Fの幅の中心位置Cの調心変位量Hは、上記第1の実施の形態にて説明した数2で算出することができる。
【0053】
また、上記基準位置Dに対する上記回転刃48の変位量を中央変位量Qと称し、制御装置43において例えば下記の数3で算出され制御される。
【0054】
【数3】

【0055】
上記数3におけるAVWCは、両側の回転刃5に分割される列状食品生地F2,F3の幅寸法の平均寸法(平均値)であり、間隔WCの平均間隔(平均値)である。該平均幅寸法AVWCは、例えば、上記列状食品生地F2から上記食品生地片f2を切断する時機に合わせて計測した上記間隔WCの20個の計測値に基づいて算出したその平均値である。なお、上記平均間隔AVWCを上記食品生地片f2を20個切断する間における逐次変動する上記間隔WCの寸法を連続的に計測した計測値に基づいて平均値を算出するなどしてもよい。
【0056】
上記中央変位量Qは、各列の食品生地片f1,f2,f3,f4の連続した20個の寸法を計測する毎に更新される値であり、更新された中央変位量Q2は、前回の中央変位量Q1と、中央位置補正値Yの加算(Q1+Y)により算出する。上記中央位置補正値Yは、両側の食品生地F2,F3の幅寸法に基づく平均中央幅寸法AVWCを2(列)で除算した値(AVWC/2)で表される仮想中央平均幅寸法Zと、食品生地片f3の平均切断長さAVL3に対する食品生地片f2の平均切断長さAVL2の比率である両側平均切断長さ比率(AVL2/AVL3)と、両側の食品生地F2,F3の性状の違いを考慮した位置補正係数Gとを乗算した値から1を減算した値(Z×(AVL2/AVL3)×G−1)である。なお、位置補正係数Gは、予め制御装置43に設定入力された値であり、食品生地Fの性状などにより変更する値である
【0057】
上記中央変位量Qは、中央の列状食品生地F2,F3の幅寸法W2,W3の和の寸法WC(間隔WCと同義)の平均寸法AVWCと両側平均切断長さ比率(AVL2/AVL3)に基づいて算出される。従って、上記平均間隔AVWCが更新された場合や、両側平均切断長さ比率(AVL2/AVL3)が1とならない場合、つまり、食品生地片f3の平均切断長さAVL3と食品生地片f2の平均切断長さAVL2が相違する場合に、上記中央変位量Qは、変動することとなる。
【0058】
上記第2の実施の形態において、中央の2列の列状食品生地F2,F3の幅寸法W2,W3を調整することにより各第1の秤量コンベアで計量される各列の列状食品生地F1,F2,F3,F4の単位時間に搬送される生地重量をより均一となるよう制御でき、各列の単位時間当たりの切断回数(切断個数と同義)をほぼ同一にすることができる。
【0059】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図5は、本発明の第3の実施の形態に係る切断装置1の概要を示す上面説明図である。第3の実施の形態において上記第1及び第2の実施の形態の構成と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして重複した説明は省略する。
【0060】
上記特許文献2に示された切断装置において2列の列状食品生地を分割する場合には、食品生地Fの幅の中心位置Cを基準位置Dとしての切断部材5の切断位置に対してずらすことなく調心して両側の列状食品生地F1,F2の幅寸法が対称となるよう等分割するものである。しかしながら、上記の通り食品生地Fの両側部分における厚みや密度など生地の性状が不均一となる場合に、両側の食品生地F1,F2の幅寸法W1,W2を食品生地Fの幅寸法Wから2等分割し、両側の各列状食品生地F1,F2から所定重量の食品生地f1,f2を切断するとその切断長さL1,L2は同一にならない場合がある。従って、本発明の第3の実施の形態のごとく、上記基準位置Dに対して食品生地Fの中心位置Cを所要量(上記調心変位量H)ずらして調心し、列状食品生地F1,F2の幅寸法W1,W2を加減調整することにより食品生地片f1,f2の切断長さL1,L2が同一となるよう制御するものである。本例における基準位置Dは、両側のサイドフレーム13の間に固定された支持軸51に固定支持部材25を介して支持された回転刃5の刃先位置とする。
【0061】
上記調心変位量Hは、制御装置43において例えば下記の数4で算出され制御される。
【0062】
【数4】

【0063】
上記調心変位量Hは、各列の列状食品生地片f1,f2の連続した例えば20個の寸法を計測する毎に更新される値であり、更新された調心変位量H2は、前回の調心変位量H1と調心位置補正値J2との加算(H1+J2)により算出している。調心位置補正値J2は、食品生地Fの平均幅寸法AVWを2(列)で除算した値(AVW/2)である仮想平均幅寸法T2と、食品生地片f2の平均切断長さAVL2に対する食品生地片f1の平均切断長さAVL1の比率である両側平均切断長さ比率(AVL1/AVL2)と、両側の食品生地F1,F2の性状の違いを考慮した調心補正係数U2とを乗算した値から1を減算した値(T2×(AVL1/AVL2)×U2−1)である。
【0064】
上記調心変位量Hは、食品生地Fの平均幅寸法AVWと上記両側平均切断長さ比率(AVL1/AVL2)に基づいて算出される。従って、平均幅寸法AVWが更新された場合や、上記両側平均切断長さ比率(AVL1/AVL2)が1とならない場合、つまり、食品生地片f2の平均切断長さAVL2と食品生地片f1の平均切断長さAVL1が相違する場合に、上記調心変位量Hは、変動することとなる。
【0065】
上記説明から理解できるように、帯状の食品生地FからN列(Nは2以上の整数)の列状食品生地F1,F2,・・・,F(N−1),FNを分割する際、上記食品生地Fの幅の中心位置Cを切断部材5の取付け位置に基づく基準位置Dに対して調心変位量Hずらしてし調心することにより、さらには、上記食品生地Fを3列以上の多列に切断する切断部材5の間隔を等間隔あるいは制御された間隔に調整することにより、各列の列状食品生地F1,F2,・・・,F(N−1),FNが単位時間当たりに搬送される重量をほぼ同一に制御することが可能となり、さらに、列状食品生地F1,F2,・・・,F(N−1),FNから所定重量の食品生地片f1,f2,・・・,f(N−1),fNを切断する単位時間当たりの切断回数をほぼ同一に制御することが可能となる。なお、上記数1乃至数4に示された算出式は、これに限定することなく変更が可能であり、上記算出式を食品生地の幅寸法および両側の食品生地片同士の切断長さの比率に基づいて構成すればよい。
【0066】
図6は、本発明の第4の実施の形態に係る切断装置1に構成される多列切断装置2の概要を示す上面説明図であり、多列切断装置2の切断部材間隔調節機構7にいわゆるパンタグラフ機構51に備えた構成を示している。パンタグラフ機構51は、図示されないサイドプレート13(図1参照)の内側に固設されたベース部材53に取り付けられた制御モータM4に連結されており、上記制御モータM4のねじ部材55をパンタグラフ機構51の連結部材57の上方位置に螺入し、上記制御モータM4を正逆回転することにより上記パンタグラフ機構51の交差連結部59が等間隔で伸縮するよう移動する。上記パンタグラフ機構51は、上記交差連結部59の下面に支持部材61を等間隔に備え、上記支持部材61を図示されないサイドプレート13の内側に幅方向(搬送方向Sに直交する方向)沿って並設された例えば丸棒からなるスライドシャフト63に摺動可能に支持されており、上記支持部材61に切断部材5を取り付けることにより各切断部材5の間隔を等間隔に調節することができる。
【0067】
また、上記実施の形態においては、切断部材を円形の回転刃5として説明したが、例えばウォータジェット(高圧の噴射水)などにより食品生地F1を切断することも可能である。
【0068】
また、上記実施の形態においては食品生地Fの幅の中心位置Cを基準位置Dから調心変位量Hだけ変位した設定位置に調心するために上記中心位置Cを食品生地Fの幅方向に移動するよう説明したが、搬送コンベア3で搬送される食品生地Fを幅方向に移動することなく、上記中心位置Cに対し上記基準位置Dを上記調心変位量Hだけ変位した位置に調心するよう上記多列切断装置2を幅方向に移動可能に設けてもよい。上記多列切断装置2の幅方向への移動機構は、公知の移動機構でよく、例えば、上記第2の実施の形態において説明した回転刃48を移動可能に支持する可動支持部材49と回転軸45のごとくねじ機構でもよく、距離センサ等の検出装置などを構成することにより多列切断装置2の移動位置を制御可能に設ければよい。このような場合であっても、帯状の食品生地Fの幅の中心位置Cと上記基準位置Dとを調心変位量Hだけ変位した位置に調心することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る切断装置1を概略的に示した上面説明図である。
【図2】図1のA−A断面矢視による正面説明図である。
【図3】図2の左矢視による切断装置の側面説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る切断装置1を概略的に示した上面説明図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る切断装置1を概略的に示した上面説明図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る切断装置1に構成される多列切断装置2を概略的に示した上面説明図である。
【符号の説明】
【0070】
1 切断装置
5 切断部材(回転刃)
7 切断部材間隔調節機構
17 回転軸
19 軸部
21 左ねじ部
23 右ねじ部
25 固定支持部材
26 可動支持部材
27 可動支持部材
33 生地幅検出装置
43 制御装置
45 回転軸
51 パンタグラフ機構
H 調心変位量
W (食品生地の)幅寸法
L1〜L4 (列状食品生地の)切断長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の食品生地を搬送コンベアで搬送し、上記食品生地の両端位置を生地幅検出装置にて検出し、その検出信号に基づいて上記食品生地の幅の中心位置と幅寸法を制御装置で算出し、上記食品生地の幅の中心位置と搬送位置とを調心装置にてに調心し、上記搬送コンベアの下流に備えられた切断部材により帯状の食品生地を搬送方向に沿って多列の列状食品生地に分割し、各列状食品生地から所定重量の食品生地片を食品生地片切断装置にて切断する方法において、上記搬送位置は、切断部材の取付け位置に基づく基準位置に対し調心変位量だけ変位した位置であり、上記調心変位量は、上記食品生地の幅寸法と、両側に位置する列状食品生地から切断される上記食品生地片同士の長さの比率に基づいて制御装置により算出されることを特徴とする食品生地の切断方法。
【請求項2】
帯状の食品生地を搬送する搬送コンベアと、上記食品生地の両端位置を検出する生地幅検出装置と、上記生地幅検出装置の検出信号に基づいて上記食品生地の幅の中心位置と幅寸法を算出する制御装置と、上記食品生地の幅の中心位置と搬送位置とを調心する調心装置と、上記搬送コンベアの下流にあって上記食品生地を搬送方向に沿って多列の列状食品生地に分割する切断部材を備えた多列切断装置と、上記列状食品生地から所定重量の食品生地片を切断する食品生地片切断装置とを備え、上記搬送位置は、切断部材の取付け位置に基づく基準位置に対し調心変位量だけ変位した位置であり、上記調心変位量は、上記食品生地の幅寸法と、両側に位置する列状食品生地から切断される上記食品生地片同士の長さの比率に基づいて算出された値であり、上記調心装置を上記調心変位量に応じて作動制御する制御装置を備えることを特徴とする食品生地の切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−118903(P2008−118903A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305993(P2006−305993)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000115924)レオン自動機株式会社 (98)
【Fターム(参考)】