説明

食品生地切断装置

【課題】搬送コンベアに損傷を与えることなく、かつ食品生地の計量をより精度よく行って切断することのできる食品生地切断装置を提供する。
【解決手段】適宜幅および適宜厚さで帯状又はシート状に成形された食品生地3を下流方向へ搬送する搬送コンベア5と、上記搬送コンベア5によって搬入された食品生地3の計量を行う計量コンベア9と、この計量コンベア9の下流側に近接して配置された計量チェックコンベア11と、上記食品生地の計量値が設定値になったときに前記食品生地を切断するためのカッター7と、このカッター7によって切断された食品生地3の切断片の重量をチェックするための前記計量チェックコンベア11とを備え、前記搬送コンベア5よりも計量コンベア9を僅かに高く設け、上記搬送コンベア5に対する食品生地3の接触位置29と計量コンベア9に対する食品生地3の接触位置31との間で上記食品生地を切断すべくカッター7を配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に供給される菓子パン生地や食パン生地あるいはその他穀粉材料でつくられた帯状あるいはシート状の食品生地を、切断分離して所定の重量の食品生地片を連続的に生産するための食品生地切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関する先行例として、例えば特開昭46−6932号や特開昭60−110237号がある。上記先行例に記載されているように帯状あるいはシート状に成形された食品生地を長手方向へ搬送し、搬送される連続帯状生地を秤量装置で計量し、その計量値が所定値(設定値)に達したときに切断装置を作動させて、所望重量の生地分割切断を行うようにしている。
【0003】
上記した生地切断装置がパン菓子生産工程設備に設置され、パン菓子の生産が行われている。
【0004】
しかし、消費嗜好の多様化によるパン菓子品目のバラエティ化の消費動向によって、パン菓子等製品の種類および形状は、益々多様化しており、パン菓子製造設備にあっては、従来に増して製造装置の多品種生産機能、多形状生産機能の可能な設備が更に求められている。
【0005】
本出願人はパン菓子等製造工程において、パン菓子生地(以下食品生地という)を先ず帯状又はシート状生地に成型する装置を各種提案している。そして、シート状に成形された食品生地を、各種所望重量に切断した後工程で各種形状の製品を製造する装置も提案している。
【0006】
ところで、従来は各種所望重量の食品生地を得る範囲がせまく、上記した製品品目のバラエティ化に追従するためには、より広い範囲の重量の食品生地を得ることの出来る切断手段が必要となっている。
【特許文献1】特開昭46−6932号公報
【特許文献2】特開昭60−110237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように従来の食品生地切断装置においては、食品生地シートを所望重量、所望寸法で得ることのできる範囲がせまいので、この所望重量、所望寸法の範囲を拡げることのできる食品生地切断装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、適宜幅および適宜厚さで帯状又はシート状に成形された食品生地を下流方向へ搬送する搬送コンベアと、上記搬送コンベアによって搬入された食品生地の計量を行う計量コンベアと、上記食品生地の計量値が設定値になったときに前記食品生地を切断するためのカッターとを備え、前記搬送コンベアよりも計量コンベアを僅かに高く設け、上記搬送コンベアに対する食品生地の接触位置と計量コンベアに対する食品生地の接触位置との間で上記食品生地を切断すべくカッターを配置した構成である。
【0009】
また、前記食品生地切断装置において、前記カッターは、前記計量コンベアの始端側から離れた上流側の位置であって前記搬送コンベアの終端付近の上側に配置してあるものである。
【0010】
また、適宜幅および厚さで帯状又はシート状に成形された食品生地を下流方向へ搬送する搬送コンベアと、上記搬送コンベアによって搬入された食品生地の計量を行うべく並列配置された複数の計量コンベアと、上記各計量コンベアの下流側に近接して配置された各計量チェックコンベアと、前記計量コンベアの上流側で前記食品生地を切断するためのカッターと、前記カッターによって切断された食品生地等の切断片の重量チェックをするための前記各計量チェックコンベアと、前記各計量チェックコンベアによる計量値の和が設定値より大又は小のときに前記カッターによる切断タイミングを、前記大小に対応して早く又は遅くずらすべく制御するための制御装置とを備えてなることを特徴とするものである。
【0011】
また、適宜幅及び適宜厚さで帯状又はシート状に成形された食品生地を下流方向へ搬送する搬送コンベアと、上記搬送コンベアによって搬入された食品生地の計量を行うべく並列配置された複数の計量コンベアと、上記各計量コンベアの計量値の和又は上記各計量コンベアの下流側に近接して配置された各計量チェックコンベアの計量値の和あるいは上記各計量コンベア及び各計量チェックコンベアの計量値の和が設定値になったときに前記食品生地を切断するカッターと、上記カッターによって切断された食品生地の切断片の重量をチェックすべく前記各計量コンベアの下流側に近接しかつ並列して配置された複数の前記計量チェックコンベアと、前記計量チェックコンベアによる計量値が前記設定値より大又は小のときに前記カッターによる切断タイミングを、前記大小に対応して早く又は遅くずらすべく制御するための制御装置とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば搬送コンベアよりも計量コンベアが僅かに高くしてあるので、食品生地が搬送コンベアから離れる離反位置と計量コンベアに対して接触を開始する接触開始位置との間を、搬送コンベアと計量コンベアとが同一高さ位置の場合よりも長くすることができる。したがって、カッターによる切断位置が搬送コンベアの終端付近の上側になる場合であっても、搬送コンベアに損傷を与えることなく食品生地の切断を行うことができると共に、計量コンベアは計量コンベア上の部分及び搬送コンベアから浮上した部分の食品生地の計量を行うこととなり、より設定値に等しい計量を行うこととなって計量精度がより向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照するに、本実施の形態に係る食品生地切断装置1は、生地延展装置あるいは生地シート成形装置(図示省略)によって適宜幅および適宜厚さで帯状又はシート状に成形された例えばパン生地等の食品生地3を下流方向へ搬送するための搬送コンベア5を備えており、この搬送コンベア5の下流側には、上記食品生地3を切断するためのカッター装置7が設けられている。
【0014】
また、上記搬送コンベア5の下流側には、この搬送コンベア5から搬入された食品生地3の計量を行うための計量コンベア9が近接して配置されており、この計量コンベア9の下流側には、前記カッター装置7によって前記食品生地3から切断分離された切断片3Aの計量チェックを行うための計量チェックコンベア11が近接して配置されている。さらに上記計量チェックコンベア11の下流側には前記切断片3Aを次工程へ搬送するための搬送コンベア13が近接して配置されている。
【0015】
食品生地をシート状又は帯状に成形するための前記生地延展装置や生地シート成形装置は公知の構成であり、また、上記生地シート成形装置等によって成形されたシート状の食品生地3を搬送するための前記搬送コンベア5及び切断片3Aを次工程へ搬送するための前記搬送コンベア13は公知の構成であるから、それらの構成については説明を省略する。
【0016】
前記計量コンベア9は、前記搬送コンベア5側から搬入された食品生地3の計量を行うためのもので、図2に示すように、前記搬送コンベア5より僅かに高く配置してある。この高さ位置は、搬送コンベア5側から搬入される食品生地3の先端部が計量コンベア9の搬入端側(始端側)に当接したとき、計量コンベア9に備えたベルトコンベアの回転に追従して食品生地3が計量コンベア9へ容易に乗り上げることのできる高さである。図1,図2に概略的に示すように、食品生地3の計量を行うために前記計量コンベア9はロードセル15を介して架台17上に支持されている。
【0017】
前記計量チェックコンベア11の構成は前記計量コンベア9の構成と同様であり、ロードセル19を介して架台21に支持されている。この計量チェックコンベア11は前記計量コンベア9と同一高さに配置してあり、かつ計量チェックコンベア11の長さは、食品生地3から切断分離された切断片3Aの全体を載置し得るように、前記計量コンベア9より長く設けてある。
【0018】
前記計量コンベア9及び計量チェックコンベア11を支持した前記各ロードセル15,19は、例えばコンピュータ等のごとき適宜の制御装置23に接続してあり、上記各ロードセル15,19の検出値を入力するようになっている。
【0019】
前記カッター装置7は例えばエアーシリンダ等のごとき駆動装置25によって上下動される切断刃27を備えた構成であって、前記搬送コンベア5と計量コンベア9との接続部付近において食品生地3の切断を行うように配置してある。より詳細には、図2に示すように、搬送コンベア5から計量コンベア9上に亘って食品生地3が載置支持されている状態にあるとき、搬送コンベア5から食品生地3が離れる離反位置29と、食品生地3が計量コンベア9に接触状態に移る接触開始位置31との間において食品生地3の切断を行うように、前記計量コンベア9の上流側に配置されている。
【0020】
前記搬送コンベア5,13、計量コンベア9、計量チェックコンベア11及びカッター装置7等の全体の作動は前記制御装置23によって制御されているものがある。
【0021】
以上のごとき構成において、搬送コンベア5,13、計量コンベア9及び計量チェックコンベア11を等速走行に制御し、搬送コンベア5によって食品生地3を計量コンベア9へ移送し、計量コンベア9に食品生地3が乗ると、ロードセル15によって計量コンベア9上における食品生地3の重量が検出される。上記食品生地3から切断分離する切断片3Aが少量でよい場合には、前記制御装置23に予め設定した設定値と前記ロードセル15による検出値とが制御装置23の比較部において比較され、上記設定値と検出値とが一致したときに前記カッター装置7が作動され、切断刃27によって食品生地27の切断が行われる。
【0022】
上述のごとく、食品生地3の切断が行われて切断片3Aが切断分離されると、計量コンベア9及び計量チェックコンベア11が速送り駆動されて、切断片3Aを計量チェックコンベア11へ移送する。上記切断片3Aの後端が計量コンベア9の終端(下流端)を通過したことをセンサ(図示省略)によって検出すると、計量コンベア9及び計量チェックコンベア11の速度は搬送コンベア5と等速の通常の移送速度に制御される。なお、上記計量コンベア9の速送り駆動は、切断片3Aが計量チェックコンベア11側へ送り出された後に、後続の食品生地3の先端部が計量コンベア9に乗るように制御されている。換言すれば、計量コンベア9の速送り駆動が終了し、搬送コンベア5と等速の移送速度になった直後に後続の食品生地3の先端部が計量コンベア9上に乗るように制御されているものであり、搬送コンベア5と計量コンベア9との速度差に起因して食品生地3を引き延ばすようなことはないものである。
【0023】
そして、計量チェックコンベア11において切断片3Aの重量チェックを行うべくロードセル19によって検出した検出値と制御装置23に設定した前記設定値とが前記比較部において再び比較され、一致した場合にはカッター装置7による切断位置は正しいものと判別される。計量チェックコンベア11のロードセル19による検出値が設定値より大きい場合、又は小さい場合には、前記カッター装置7による切断位置が正確でないと判別されて、切断タイミングをずらすべく制御される。
【0024】
この場合、検出値(計量値)が設定値より大きい場合にはカッター装置7による切断タイミングが遅いものであるから、切断タイミングを早めるべく、設定値に適宜パラメータを加えて設定値を小さくなるように補正すれば良いものであり、逆に、検出値が設定値より小さい場合には、上記設定値が大きくなるように補正すれば良いものである。そして、補正後の設定値(以後、補正値と称す)と重量検出値とを比較して切断することにより、切断片3Aの重量を予め設定した設定値に等しくすることができるものである。なお、上記パラメータとしては、検出値と設定値との差とパラメータとの関係を予めデータテーブル化あるいは実験式等の式化しておき、このデータテーブルからパラメータを検索して補正することにより、補正値を自動的に演算することができるものであって自動化が容易なものである。
【0025】
ところで、食品生地3の切断片3Aとして比較的大きく、計量コンベア9から計量チェックコンベア11に亘って切断すべき部分が載置される状態となる場合には、計量コンベア9におけるロードセル15の検出値と計量チェックコンベア11におけるロードセル19の検出値との和と制御装置23に予め設定された設定値とが比較部において比較され、上記和と設定値とが一致したときに、前記同様に食品生地3の切断が行われる。そして、計量コンベア9と計量チェックコンベア11との速送り動作によって計量チェックコンベア11上へ切断片3A全体が移動した状態において切断片3Aの重量チェックが行われ前述同様の補正が行われるものである。
【0026】
ところで、計量コンベア9に切断片3Aの1部が乗っている間に後続の食品生地3の先端部が計量コンベア9上に乗ると、後続の食品生地3の計量誤差を生じることもあるので、計量コンベア9から切断片3Aが送出された後に後続の食品生地3が計量コンベア9に乗ることが望ましい。そこで、前記カッター装置7による切断位置は計量コンベア9の始端側から離れた上流側の位置にある。
【0027】
前述のごとく搬送コンベア5よりも計量コンベア9が僅かに高くしてあるので、食品生地3が搬送コンベア5から離れる離反位置29と計量コンベア11に対して接触を開始する接触開始位置31との間を、搬送コンベア5と計量コンベア9とが同一高さ位置の場合よりも長くすることができる。したがって、カッター装置7による切断位置が搬送コンベア5の終端付近の上側になる場合であっても、搬送コンベア5に損傷を与えることなく食品生地3の切断を行うことができると共に、計量コンベア9は計量コンベア9上の部分及び搬送コンベア5から浮上した部分の食品生地3の計量を行うこととなり、より設定値に等しい計量を行うこととなって計量精度がより向上し、正確な計量値の切断片3Aを切断するための補正回数を少なくすることができるものである。また、カッター装置7による切断位置を、計量コンベア9の始端側からより離反可能となるものである。
【0028】
ところで、前述の説明においては、計量コンベア9による計量値が設定値と等しくなったとき、又は計量コンベア9による計量値と計量チェックコンベア11による計量値との和が設定値に等しくなった場合に、制御装置23によりカッター装置7を作動して食品生地3の切断を行う旨説明した。しかし、切断片3Aを大きくするために計量コンベア9から計量チェックコンベア11に亘って食品生地3が乗る場合には、計量コンベア9全体に食品生地3が乗った場合の重量は一定になり知ることができるので、前述のように、計量コンベア9から計量チェックコンベア11に亘って食品生地3が乗るような場合には、計量チェックコンベア11による計量値が所定の設定値に一致したときに、前記カッター装置7を作動して食品生地3の切断を行う構成とすることもできるものである。
【0029】
既に理解されるように、前記実施の形態によれば、計量コンベア9による計量値又は計量コンベア9の計量値と計量チェックコンベア11の計量値との和が制御装置23に予め設定した設定値と一致したときに切断片3Aの切断分離が行われ、そして、計量チェックコンベア11によって再度計量した計量値と前記設定値とを比較して、切断片3Aの重量が適正値となるように補正するものであるから、切断片3Aの重量を広範囲において正確に計量し切断分離することができる。すなわち、小さな切断片3Aから比較的大きな切断片まで正確な重量で切断できるものである。また、所定重量の切断片3Aを所定数切断分離した後に、制御装置23の設定値を変更することにより、重量の異なる切断片3Aを連続して切断分離することができるものであり、重量が同一である切断片の量産や、重量が種々異なる切断片の多種少量生産に有用なものである。
【0030】
図3を参照するに、図3は第2の実施の形態を示すものである。この第2の実施の形態においては、帯状又はシート状の食品生地3を複数列に分割するための分割装置33を搬送コンベア5上に設けた構成である。この分割装置33は、搬送コンベア5によって搬送されているシート状の食品生地3を搬送方向に沿って切断分割するための回転カッタ35を備えると共に、この回転カッタ35によって複数に分割された分割生地3D1,3D2を、前記搬送コンベア5によって搬送されるに従って所定距離だけ離反するように案内するためのガイド部材37A,37Bを備えている。
【0031】
したがって、前記搬送コンベア5によって搬送される食品生地3を回転カッタ35によって切断分割すると、複数列に分割された分割生地3D1,3D2はガイド部材37A,37Bによって互に離反されるように案内され、所定寸法だけ離れて平行状態を保持して搬送される。前記分割装置33は選択的に使用可能であって、使用時には前述したごとく搬送コンベア5の上部に設置して使用するものであり、不使用時には搬送コンベア5の上部から大きく離反せしめておくことができるものであり、この場合は、シート状の食品生地3の切断分割は行われないものである。
【0032】
なお、上記分割装置33は、食品生地3を適宜比率の幅に切断分離可能であるように、搬送コンベア5の幅方向へ位置調節可能に設けることが望ましい。
【0033】
複数に分割した分割生地3D1,3D2の切断を行うために、各分割生地3D1,3D2の搬送路に対応してそれぞれカッター装置7A,7Bが配置されている。上記カッター装置7A,7Bは切断刃が短いので前述したカッター装置7と同一の構成であるから、図3には切断位置を表示して詳細な図示は省略してある。
【0034】
前記各カッター7A,7Bによって切断される切断片3A1,3A2の計量を行うために、前記計量コンベア9と同一構成の複数の計量コンベア9A,9Bが並列に配置してあると共に、この各計量コンベア9A,9Bに対応して、前記計量チェックコンベア11と同一構成の計量チェックコンベア11A,11Bが並列に配置してある。
【0035】
上記構成により、搬送コンベア5によって搬送されるシート状の食品生地3を分割装置33によって複数の分割生地3D1,3D2に切断分割すると、各分割生地3D1,3D2はガイド部材37A,37Bによって僅かに離反されて搬送される。そして、上記各分割生地3D1,3D2がそれぞれ計量コンベア9A,9Bに至ると、各計量コンベア9A,9Bによって切断片3A1,3A2に相当する部分の計量が行われ、上記計量値(検出値)がそれぞれの設定値と一致したときに、各カッター装置7A,7Bが個別に作動されて、切断片3A1,3A2の切断分離が行われる。その後、上記各切断片3A1,3A2の重量が各計量チェックコンベア11A,11Bにおいて再び計量され、前述同様に適正重量であるか否かのチェックが行われる。
【0036】
前記各切断片3A1,3A2が比較的大きくなる場合には、図4に示すように、各計量コンベア9A,9Bから各計量チェックコンベア11A,11Bに亘って載置する状態となり、前述したと同様に、各計量コンベアと各計量チェックコンベア(9A,11A:9B,11B)との計量値の和がそれぞれの設定値と一致したときに、各カッター7A,7Bによって切断片3A1,3A2の切断が行われるものである。
【0037】
この実施の形態においては、各列毎に設定値を同一又は異にして個別に制御可能であるから、比較的大きなシート状の食品生地3を複数列に分割して、各列毎に計量を行って切断片の切断分離を個別に行うことができ、同一重量の切断片を大量に得ようとする場合は勿論のこと、重量の異なる切断片を同時に得ようとする場合に有用なものである。
【0038】
図5は第3の実施の形態を示すものである。この第3の実施の形態においては、前述した第1の実施の形態において、計量コンベア9A,9B及び計量チェックコンベア11A,11Bを、第2の実施の形態と同様に並列に配置した構成である。この実施の形態においては、シート状の食品生地3は複数列に並列配置した計量コンベア9A,9B及び計量チェックコンベア11A,11Bに乗るので、切断片3Aが比較的小さい場合には、計量コンベア9A,9Bの計量値の和が設定値に一致したときにカッター装置7によって切断片3Aの切断分離が行われるものであり、切断片3Aが比較的大きい場合には、各計量コンベア9A,9B及び各計量チェックコンベア11A,11Bの各計量値の和又は各計量チェックコンベア11A,11Bの計量値の和が設定値に一致したときに、カッター装置7によって切断片3Aの切断分離が行われるものである。
【0039】
そして、切断片3Aが計量チェックコンベア11A,11B上に移送されたときに計量チェックコンベア11A,11Bによって上記切断片3Aの再計量を行い、上記計量チェックコンベア11A,11Bの計量値の和と前記設定値とが比較されて、切断片3Aが適正な重量に切断されたか否かを判別して設定値の補正を行うものである。
【0040】
この実施の形態においては、複数の計量コンベア9A,9B及び計量チェックコンベア11A,11Bを並列配置することによって比較的幅の広いシート状の食品生地3に対応するものであるから、例えば前述した分割装置33を付加して食品生地3を複数列に分割するような場合にも容易に対応可能なものである。
【0041】
なお、シート状の食品生地3の幅が最初から比較的狭い場合には、図6に示すように、搬送コンベア5の適宜一側寄りで食品生地3の搬送を行い、適宜一方の計量コンベア9A、計量チェックコンベア11Aによって計量を行うことにより、容易に対応することができるものである。
【0042】
ところで、計量コンベア9A,9B及び計量チェックコンベア11A,11Bの幅寸法を小さくすることも可能であるが、この場合、食品生地3を複数列に分割して分割生地3D1,3D2を互に離反せしめると、各分割生地3D1,3D2が計量コンベア9A,9B及び計量チェックコンベア11A,11Bから外側へずれることがある。したがって、この場合には、計量コンベア9A,9B及び計量チェックコンベア11A,11Bを互に接近離反する方向へ移動可能に構成することが望ましい。
【0043】
上記各計量コンベア9A,9B及び各計量チェックコンベア11A,11Bを互に接近離反する方向へ移動する構成としては、例えば右ねじ及び左ねじを備えた螺子杆を、各計量コンベア9A,9Bの各架台及び各計量チェックコンベア11A,11Bの各架台に螺合して、各計量コンベア9A,9B及び各計量チェックコンベア11A,11Bをそれぞれ互に接近離反する構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る食品生地切断装置の概念的な説明図である。
【図2】搬送コンベアと計量コンベアの高さ位置関係を示した説明図である。
【図3】第2の実施の形態に係る食品生地切断装置の概略的な平面説明図である。
【図4】同上の作用説明図である。
【図5】第3の実施の形態に係る食品生地切断装置の概略的な平面説明図である。
【図6】同上の使用例の作用説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1 食品生地切断装置
3 食品生地 3A 切断片
5 搬送コンベア
7,7A,7B カッター装置
9,9A,9B 計量コンベア
11,11A,11B 計量チェックコンベア
13 搬送コンベア
15 ロードセル
19 ロードセル
23 制御装置
27 切断刃
29 離反位置
31 接触開始位置
33 分割装置
35 回転カッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適宜幅および適宜厚さで帯状又はシート状に成形された食品生地を下流方向へ搬送する搬送コンベアと、上記搬送コンベアによって搬入された食品生地の計量を行う計量コンベアと、上記食品生地の計量値が設定値になったときに前記食品生地を切断するためのカッターとを備え、前記搬送コンベアよりも計量コンベアを僅かに高く設け、上記搬送コンベアに対する食品生地の接触位置と計量コンベアに対する食品生地の接触位置との間で上記食品生地を切断すべくカッターを配置したことを特徴とする食品生地切断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の食品生地切断装置において、前記カッターは、前記計量コンベアの始端側から離れた上流側の位置であって前記搬送コンベアの終端付近の上側に配置してあることを特徴とする食品生地切断装置。
【請求項3】
適宜幅および厚さで帯状又はシート状に成形された食品生地を下流方向へ搬送する搬送コンベアと、上記搬送コンベアによって搬入された食品生地の計量を行うべく並列配置された複数の計量コンベアと、上記各計量コンベアの下流側に近接して配置された各計量チェックコンベアと、前記計量コンベアの上流側で前記食品生地を切断するためのカッターと、前記カッターによって切断された食品生地等の切断片の重量チェックをするための前記各計量チェックコンベアと、前記各計量チェックコンベアによる計量値の和が設定値より大又は小のときに前記カッターによる切断タイミングを、前記大小に対応して早く又は遅くずらすべく制御するための制御装置とを備えてなることを特徴とする食品生地切断装置。
【請求項4】
適宜幅及び適宜厚さで帯状又はシート状に成形された食品生地を下流方向へ搬送する搬送コンベアと、上記搬送コンベアによって搬入された食品生地の計量を行うべく並列配置された複数の計量コンベアと、上記各計量コンベアの計量値の和又は上記各計量コンベアの下流側に近接して配置された各計量チェックコンベアの計量値の和あるいは上記各計量コンベア及び各計量チェックコンベアの計量値の和が設定値になったときに前記食品生地を切断するカッターと、上記カッターによって切断された食品生地の切断片の重量をチェックすべく前記各計量コンベアの下流側に近接しかつ並列して配置された複数の前記計量チェックコンベアと、前記計量チェックコンベアによる計量値が前記設定値より大又は小のときに前記カッターによる切断タイミングを、前記大小に対応して早く又は遅くずらすべく制御するための制御装置とを備えたことを特徴とする食品生地切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−101886(P2006−101886A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372399(P2005−372399)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【分割の表示】特願2000−42912(P2000−42912)の分割
【原出願日】平成12年2月21日(2000.2.21)
【出願人】(000115924)レオン自動機株式会社 (98)
【Fターム(参考)】