説明

食品生地成形機

【課題】食品生地を延展する際に効率よく打粉を振ることができて、食品生地の貼り付きを有効に防止することのできる食品生地成形機を提供する。
【解決手段】食品生地を載置する皿体と、この皿体の上方でこの皿体に対して昇降自在かつ水平回転自在に設けたローラ支持枠体と、このローラ支持枠体の下方に先端同士を近接させるように放射状に配置され、前記ローラ支持枠体の垂直軸回りを公転しながら自転して前記食品生地を均して延展する複数の円錐形のローラとを備えた食品生地成形機において、前記ローラ支持枠体と前記円錐形のローラとの間に打粉受け皿を配設し、該打粉受け皿は、複数の断面円弧状のテーパー形状突条部と谷状の打粉収容部とを形成するとともに、裏側凹部にそれぞれ前記円錐形のローラを遊嵌し、前記収容部に隣接する前記テーパー形状突条部の側壁に打粉排出孔を穿設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピザなどの食品生地を、塊状態から平坦に均し成形する食品生地成形機に関するものであり、詳しくは、延展時の食品生地に打粉を振る機能を持たせた食品生地成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から捏ね作業終了後に団塊状にまとめた食品生地を円形に延展する食品生地成形機が知られている。この食品生地成形機は、食品生地を載置する皿体と、この皿体の上方でこの皿体に対して昇降自在かつ水平回転自在に設けたローラ支持枠体と、このローラ支持枠体の下方に先端同士を近接させながら放射状に配置される複数の円錐形のローラとを備えている。この食品生地成形機は、前記ローラ支持枠体が垂直軸回りに水平回転することによって、前記複数の円錐形のローラを食品生地の上面に公転させながら自転させて、食品生地を薄い均等な厚さの円形に延展するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、食品材料に打粉を振るための技術も提案されている。その例として、ホッパに収容された粉体をホッパの底部から落下させる粉供給手段と、この粉供給手段から落下した粉体を打粉ブラシの回転運動でコンベヤ上を移動される食品材料の表面に払い飛ばし、当該食品材料の表面に付着させる打粉手段と、この打粉手段の下方に前記打粉ブラシと接触状態に設けられ、前記食品材料に付着しなかった粉体を打粉ブラシへ戻して該打粉ブラシへ再供給する粉戻手段とを含む粉体循環式粉付機がある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2007−174953号公報
【特許文献2】特開平11−243836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような食品生地成形機は、主としてピザ生地や伸し餅等の食品材料を薄い円形に延展するために用いられるが、一般に粉体の食品材料を加水して捏ね、これを団塊状にまとめて薄く延展する場合に、食品生地がローラに貼り付いて食品生地が破けたり食品生地表面に凹凸が生じたり、貼り付いた食品生地をローラから剥がすために成形作業を中断する必要がある。
【0005】
このような食品生地の貼り付きは、そのときの温度や湿度,加水量によっても変化するがいずれにしても、延展時の食品生地に打粉を振って食品材料とローラとの貼り付きや食品材料同士の貼り付きを防止することが求められる。
しかしながら、上記特許文献1の食品生地成形機では延展時の食品材料に適宜適量の打粉を振ることが困難であった。その理由は、延展作業中に複数のローラをそれらの上部で支持している枠体が回転しているため打粉を食品生地全体に振るう障害となること、また、延展作業中は常時その食品生地の上部に複数のローラが接触回転しているために食品生地へ均一に打粉を振ることができないこと、またローラとローラ支持枠体とが食品生地から上方へ後退した場合にも、装置全体がコンパクト化されているために食品生地とローラとの間の上下スペースが僅かであり、食品生地全体に打粉を振りにくいといったことがある。
【0006】
また特許文献2は、食品材料に打粉を振るだけの専用の粉付機に関する技術に関するものである。したがって食品生地を成形する場合には、特許文献1のような食品生地成形機と特許文献2の粉付機の双方を用意しなければならず、経済的並びに設備的負担が大きいばかりか、食品生地の成形作業と打粉を振る作業が別々となるために作業性が甚だ悪いものとなる。
【0007】
本発明は、このような実情を背景にしてなされたもので、その目的とするところは、構造を大きく変更したり装置を大型化したりすることなく、食品生地を延展する際に効率よく打粉を振ることができて、食品生地の貼り付きを有効に防止することのできる食品生地成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明の食品生地成形機は、食品生地を載置する皿体と、この皿体の上方でこの皿体に対して昇降自在かつ水平回転自在に設けたローラ支持枠体と、このローラ支持枠体の下方に先端同士を近接させるように放射状に配置され、前記ローラ支持枠体の垂直軸回りを公転しながら自転して前記食品生地を均して延展する複数の円錐形のローラとを備えた食品生地成形機において、前記ローラ支持枠体と前記円錐形のローラとの間に打粉受け皿を着脱自在に配設するとともに、この打粉受け皿に、収容した打粉を前記各ローラに供給する打粉排出孔を形成した。
打粉受け皿は、隣接するローラ間にそれぞれ打粉収容部が形成されていればよく、ローラ支持枠体と円錐形のローラとの間に一体的な構成で配設してもよいし、隣接するローラ間にそれぞれ独立して配設してもよい。
また、前記排出孔も任意形状・任意の数とすることができる。例えば、矩形状としたり、円状としたり、三角形状として複数並べたりすることができる。前記排出孔の位置は、ローラの傾斜面を利用してローラの先端部に打粉が届くように、ローラの大径部寄りに設けることが望ましい。
【0009】
また、前記食品生地成形機の発明において、前記打粉受け皿は、その中心部より外側へ放射状に向かう複数の断面円弧状のテーパー形状突条部と、その突条部間に介設した谷状の打粉収容部とを周方向に交互に配列して形成するとともに、前記断面円弧状のテーパー形状突条部の裏側凹部にそれぞれ前記円錐形のローラを遊嵌し、しかも前記打粉収容部に隣接する前記断面円弧状の突条部の側壁に前記打粉排出孔を穿設した構成とすることができる。
前記打粉収容部には、各テーパー形状突条部の側壁と、それらを連接する板によってその空間全てを打粉収容部としたり、前記排出孔へ打粉を流れやすくする断面山形状突条部の傾斜面を形成したり、仕切って箱状としたり、漏斗形状としたりすることができる。
【0010】
また、前記食品生地成形機の発明において、打粉受け皿の上方に逆円錐台状のローラ駆動盤を回転自在に配設し、該ローラ駆動盤の下面側のテーパー状外周面を前記テーパー形状突条部の上面に形成した動力伝達口を介して前記各ローラの外周面に圧接することにより、前記ローラ駆動盤の回転駆動により前記各ローラを自転させる構成とした。
前記テーパー状外周面には、フリクションを大きくしてローラ駆動盤の回転が十分伝わるように摩擦体を取り付けることができる。例えば、リング状のゴム体である。その他にテーパー状外周面に突条部を形成したり、樹脂シートを貼着することができる。また、動力伝達口の形状は、上記のようなテーパー面の構成に応じて矩形状など任意の形状とすることができる。
【0011】
また、前記食品生地成形機の発明は、前記ローラ支持枠体に前記打粉受け皿上へ打粉を投入する投入口を形成した。
投入口の形状及び大きさは任意に決めることができる。丸形でも四角形でもよい。投入口の数についても、打粉の収容部の数に対応するものでもいいが、1か所に形成して、各収容部に打粉を配給することもできる。
【0012】
さらに、前記食品生地成形機の発明は、前記円錐形のローラの外周面に、打粉が一時的に貯留される凹状の打粉貯留部を形成した。
凹状の打粉貯留部としては、螺旋状・リング状の溝を設けたり、ディンプルを多数形成したり、ローラの先端部から大径部へかけて放射状の溝を多数設けることもできる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、前記ローラ支持枠体と前記円錐形のローラとの間に打粉受け皿を着脱自在に配設するとともに、この打粉受け皿に、収容した打粉を前記各ローラに供給する打粉排出孔を形成したため、打粉の収容部を備えたコンパクトな食品生地成形機を提供することができる。また、打粉が打粉排出孔から円錐形ローラの外周に付着して、このローラが回転することによりローラの先端部へ打粉が広がる。これにより食品生地の延展中でも、食品生地とローラとの間にスペースが無くても、食品生地に均一に打粉を振ることができる。そして、この打粉を振る作業が食品生地の延展と同時に行われるので、食品生地成形機と別に打粉を振る装置や手作業による打粉作業を必要としない。また、打粉受け皿を取り外すことでそのメンテナンスも容易に行える。これにより設備的負担や経済的負担が減少し、作業効率を高めることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、前記打粉受け皿は、その中心部より外側へ放射状に向かう複数の断面円弧状のテーパー形状突条部と、その突条部間に介設した谷状の打粉収容部とを周方向に交互に配列して形成するとともに、前記断面円弧状のテーパー形状突条部の裏側凹部にそれぞれ前記円錐形のローラを遊嵌し、しかも前記打粉収容部に隣接する前記断面円弧状の突条部の側壁に前記打粉排出孔を穿設したため、ローラ支持枠体と円錐形のローラとの間に1つの打粉受け皿を配設した構成となり、部品点数が減るとともに、よりコンパクトとなるとともに、打粉受け皿の着脱作業が容易となり、製造効率が向上するとともにメンテナンス性もより向上する。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、打粉受け皿の上方のローラ駆動盤の回転運動によって、前記各ローラがいずれも同じ速度で自転する。このため、一部のローラが回転を止めたり回転が遅くなったりすることがない。これにより食品生地が破けるなどの不具合がなく、食品生地を均一に伸ばすことができる。また、このローラ駆動盤をローラ支持枠体直下であって各ローラの上部の空間に設置できるので食品成形機をコンパクトにすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、前記ローラ支持枠体に投入口を形成したことにより、打粉の投入作業が容易となり、作業効率を高めることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、前記円錐形のローラの外周面に、前記打粉が一時的に貯留される凹状の打粉貯留部を形成したことにより、打粉排出孔から円錐形のローラに供給され、一旦ローラの外周面に付着した打粉が直ちに落下することなく打粉貯留部に一時的に留まるため、ローラの回転とともに打粉貯留部に貯留された打粉により、食品生地の表面全体に均一且つ確実に打粉を振るうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明を実施するための基本的形態を説明し、その後に具体的内容を説明する。
なお、図1は一実施形態に係る食品生地成形機の一部省略斜視図、図2は同実施形態に係る食品生地成形機の斜視図、図3は図2のA−A部における食品生地成形機の断面図、図4はローラ支持枠体と打粉受け皿とローラとを連結した状態の斜視図、図5は打粉受け皿とローラの関係を示す分解図、図6はローラ支持枠体と打粉受け皿とローラを連結した状態の斜視図、図7は図6のA−A部で展開した状態の使用状態説明図、図8はローラの変形例を示す説明図である。
【0019】
本実施形態に係る食品生地成形機1は、食品生地Mを載置する皿体5と、この皿体5の上方でこの皿体5に対して昇降自在かつ水平回転自在に設けたローラ支持枠体16と、このローラ支持枠体16の下方に先端同士を近接させながら放射状に配置され、前記ローラ支持枠体16の垂直軸回りを公転しながら自転して前記食品生地Mを均して延展する複数の円錐形のローラ7とを備えた食品生地成形機1において、前記ローラ支持枠体16と前記円錐形のローラ7との間に打粉受け皿18を着脱自在に配設し、この打粉受け皿18に、収容した打粉を前記各ローラ7に供給する打粉排出孔28を形成していることを特徴とするものである。
【0020】
前記打粉受け皿18は、その中心部より外側へ放射状に向かう複数の断面円弧状のテーパー状突条部27と、その突条部27間に介設した谷状の打粉収容部42と、を周方向に交互に配列して形成するとともに、前記テーパー状突条部27の裏側凹部にそれぞれ前記円錐形のローラ7を遊嵌し、しかも前記打粉収容部42に隣接する前記テーパー状突条部27の側壁に前記打粉排出孔28を穿設している。
【0021】
また、前記打粉受け皿18の上方に逆円錐台状のローラ駆動盤20を回転自在に配設し、該ローラ駆動盤20のテーパー状外周面を前記テーパー状突条部27の上面に形成した動力伝達口32を介して前記円錐形のローラ7の外周面に圧接することにより、前記ローラ駆動盤20の回転駆動により前記円錐形の各ローラ7を自転させている。
さらに、前記ローラ支持枠体16には前記打粉受け皿18上へ打粉Nを投入する打粉投入口40を形成している。
【0022】
次に、本発明の実施形態の一例をより具体的に説明する。この食品生地成形機1は、図1〜図3に示すように、略箱状の機枠3の内部に、生地載置部6と押圧部8とからなる生地成形部4と、生地成形部4を駆動するための駆動部9a,9b等を備えている。
【0023】
生地成形部4を構成する生地載置部6は、食品生地Mを載置する前記皿体5を備え、同じく生地成形部4を構成する押圧部8は、前記ローラ支持枠体16と、前記複数の円錐形のローラ7とを備えており、駆動部9aは前記ローラ7を公転及び自転させ、駆動部9bは前記ローラ支持枠体16を昇降駆動させるようにしている。
【0024】
駆動部9aは、機枠3内上部に設けられており、図3に示すように、駆動モータ45から出力軸46が上下に突出し、出力軸46の下部には下駆動ギア47aが連結され、該下駆動ギア47aは下受動ギア48aと噛合している。また、出力軸46の上部には上駆動ギア47bが連結され、該上駆動ギア47bは上受動ギア48bと噛合している。
上受動ギア48bは、後述するローラ駆動盤20に下端を連結して垂設された内軸19bの上端と一体的に連接される一方、下受動ギア48aには、前記内軸19bの外側に二重筒状に配設された外軸19aの下端部が一体に連接されている。このように、内軸19bと外軸19aとの二重構造によって、駆動モータ45からそれぞれの軸に別々の動力が伝達されるように構成されている。
かかる二重構造の内外軸19b,19aは、駆動部9aの上部をケーシングする連動ケース36に軸支されるとともに、前記連動ケース36の側方に設けられた昇降機枠35を含む昇降装置70に連動連結され、押圧部8と一体に昇降自在に構成されている。
【0025】
また、外軸19aの下端には、図1、図3及び図4に示すとおり、ローラ支持枠体16が連接されている。
ローラ支持枠体16は、略矩形板状に形成され、四側部にそれぞれ下方へ突出させたフランジ部を形成するとともに、四隅に打粉Nの投入口40を形成しており、前記各フランジ部に略逆三角形状のローラ軸受板17をそれぞれ螺着している。
【0026】
ローラ軸受板17は、図4及び図5に示すとおり、上部両隅寄りにU字状の切り欠きを形成し、この切り欠きを介してグリップ付き螺杆23でローラ支持枠体16のフランジに形成した螺孔に螺合して下方拡開状に取り付けている。それぞれのローラ軸受板17は、ローラ7を片持ち支持する構成となっており、ローラ軸受板17に対して直角方向へ伸延するローラ軸24でローラ7を軸支している。
【0027】
各ローラ7は、図5及び図6に示すとおり、先端同士を近接させながら放射状に配置され、図3及び図4に示すとおり、各ローラ周面の下縁30が皿体5の上方において皿体5と平行になるように、ローラ軸受板17で片持ち支持されている。こうして、各ローラ7は、上述の外軸19aの下端に構成されたローラ支持枠体16の回転に伴って公転することとなる。
【0028】
ローラ支持枠体16とローラ軸受板17で片持ち支持されている円錐形のローラ7との間には、図1、図3、図4及び図5に示すとおり、打粉受け皿18が介設されている。
打粉受け皿18は、略円盤状に形成され、その表面は、中心部より外側へ放射状に向かう4つの断面円弧状のテーパー状突条部27と、その突条部27間に介設した谷状の打粉収容部42とが周方向に交互に配列されて波打ち形状に形成されている。そして、谷状の打粉収容部42には、打粉受け皿18の中心部から外周方向へ断面山形状突条部29が形成されている。
また、ローラ支持枠体16の周縁で各ローラ軸板19の間には打粉Nの流出防止板41が介設されており、流出防止板41には、L字状係止具25が挿貫されて、該係止具25を介して打粉受け皿18がローラ支持枠体16に一体に連設されている。
また、打粉受け皿18の中心部には、スペーサ用の中心軸26が立設されており、後述する逆円錐形状のローラ駆動盤20の中心凹部66に遊嵌され打粉受け皿18とローラ駆動盤20とが一定の距離を保つように構成されている。
【0029】
図5に示すとおり、打粉受け皿18の波打ち形状において、前記テーパー状突条部27の裏側凹部にはそれぞれローラ7を遊嵌しており、また、打粉収容部42に隣接するテーパー状突条部27の側壁に打粉排出孔28が穿設されている。
前述したように、谷状の打粉収容部42には、打粉受け皿18の中心部から外周方向へ断面山形状突条部29が形成されているが、これは、1つの打粉収容部42に対して左右にそれぞれ形成された打粉排出孔28それぞれに収納した打粉Nが自重で向かうようにするためである。
さらに、本実施形態では、その稜線部を打粉収容部42の時計回り方向(ローラ7の公転方向)寄りにずらしている。すなわち、本食品生地成形機1のローラ7の公転方向は主に平面視で時計回り方向になっており、1つの打粉収容部42に対して左右にそれぞれ形成された打粉排出孔28からの打粉供給量には差が生じるため、供給量の多い打粉排出孔28側の打粉収容容積を大きくしているのである。
【0030】
また、打粉排出孔28は、打粉Nをローラ7の大径部寄りに付着させるため、打粉受け皿18の外周寄りに穿設され、横長矩形状であり、当該打粉受け皿18の打粉排出孔28の外方に前述の打粉Nの流出防止板41が設けられて打粉Nが当該打粉受け皿18の外方へ流出しないようにしている。なお、図7に示すように、打粉排出孔28の下には調整板43が設けられている。これは、打粉Nが排出孔28からローラ7に供給されるように排出孔28とローラ7との間隔を調整するとともに余分な打粉を排除するためである。
【0031】
駆動部9aの内軸19bの下端には、図3に示すとおり、各ローラ7を自転させるためのローラ駆動盤20が連設されている。ローラ駆動盤20は、所定厚みを有する逆円錐台形状であり、ローラ支持枠体16と打粉受け皿18との間に介在され、下側にテーパー状外周面が形成されている。
このテーパー状外周面が、打粉受け皿18の各テーパー状突条部27の上面に穿設した矩形状の動力伝達口32を介して円錐状のローラ7の外周面上部と接しており、このローラ駆動盤20の水平回転運動によって各ローラ7を全て同じ速度で自転させることができる。本実施態様では、ローラ駆動盤20のテーパー状外周面にはリング状の摩擦体31が取り付けられ、ローラ駆動盤20の回転を各ローラ7に確実に伝達してそれぞれが円滑に回転するように構成されている。
【0032】
本実施形態に係る食品生地成形機1は、上述してきたように、駆動部9aの外軸19aによって各ローラ7が公転し、内軸19bによって回転するローラ駆動盤20を介して各ローラ7が自転する。この駆動軸(外軸19a、内軸19b)の二重構造と、ローラ支持枠体16とローラ7との間に打粉受け皿18を配設した構成によって、各ローラ7に打粉Nを供給しつつ食品生地Mの延展することができる。なお、本実施形態では、ローラ7が公転する速度と自転する速度とを等しくして、食品生地Mに対して打粉Nのむらが可及的に少なくなるようにしている。
【0033】
ところで、図1〜図3に示すように、食品生地成形機1の本体前面には前蓋2が設けられており、生地成形部4における生地載置部6の下には、補給用の打粉収納皿10が設けられている。
【0034】
また、生地載置部6には、図1〜図3に示すように、コロ11,12を介して前後方向に水平スライド自在とした皿体保持テーブル13が備えられており、この皿体保持テーブル13上に食品生地Mを載せる皿体5が着脱自在に保持されている。
【0035】
皿体5は、図1及び図3に示すように、円盤状であり、中心に食品生地Mを載置する場所を特定するための位置決め芯63と、周縁付近にピザ生地の縁を形成するための断面逆三角形状の溝53が設けられている。なお、皿体5には、皿体5と食品生地とが貼り付かないように打粉Nを収容するディンプル状部を一面に形成することもできる。
【0036】
皿体保持テーブル13は、図3に示すとおり、皿体回転機構14と連動連結している。
皿体回転機構14は、生地載置部6の側方に配設された回転モータ57と、該モータ57の動力を受けて駆動する駆動プーリー61と、皿体5の中心下面に垂設した回転軸58に一体の受動プーリー59と、各プーリー61、59間に架設した連動ベルト60とから構成されている。図中、64は、連動ベルト60により連結された各プーリー61、59を収納するための連動ケース、62は、駆動プーリー61を支承するとともに、回転モータ57の出力軸65と連結可能とした回転軸を示す。
回転モータ57は、生地成形部4の昇降機枠35(図1参照)と一体に連設されており、昇降機枠35の降下により押圧部8が生地を押圧して進展作業を行い、食品生地Mが所定の厚さになった段階で、回転モータ57の出力軸65は駆動プーリー61の回転軸62と一体連結状態となる。すなわち、回転モータ57の出力軸65は垂下状態であり、この出力軸65は、筒状の回転軸62の内部とスプライン嵌合するように構成されており、回転モータ57の昇降に伴い出力軸65が回転軸62と脱着自在となるのである。
【0037】
次に、塊状の食品生地から扁平状の食品生地に成形する場合における食品生地成形機1の動作説明を行う。
【0038】
先ず、前蓋2を上方に開き、ローラ支持枠体16の四隅に形成した投入口40から打粉受け皿18へ打粉Nを投入する。打粉Nの量は、最低量として打粉排出孔28が隠れるぐらいとし、作業者が適宜手動で打粉投入口40に供給して補充する。一定量の打粉Nを収容しておけば前蓋の開閉は不要である。生地成形部4内より皿体保持テーブル13を引き出し、皿体5に打粉をしておく。準備しておいた塊状の食品生地Mを皿体5の中心に載置する。なお、皿体5と皿体保持テーブル13の位置決めは、皿体5底面の被保持部51と皿体保持テーブル13上の受盤52とを係合することにより行われる。
【0039】
次に、皿体保持テーブル13を生地成形部4内に向かってスライド挿入し、ローラ7等を支持する押圧部8が皿体5の同心軸上に位置するようにセットした後、図示しない作動スイッチをオンする。作動スイッチがオンになると、昇降機枠35を有する昇降装置70によって押圧部8が下降する。なお、皿体保持テーブル13がスライド挿入されたことを感知して、自動的に作動スイッチが入って押圧部8が下降するような構成とすることもできる。
【0040】
押圧部8のローラ7が塊状の食品生地Mに接すると、負荷を検知するセンサー(図示せず)の働きで、駆動部9aの駆動モータ45が始動する。駆動モータ45の駆動力は、出力軸46の上下に設けた上下駆動ギア47b,47aを介して上下受動ギア48b,48aに伝えられる。なお、駆動モータ45の始動は、押圧部8が一定の高さまで降下したことを検知して開始するようにしてもよい。
【0041】
下受動ギア48aに伝えられた駆動モータ45の駆動力は、下受動ギア48aに連接された外軸19aを回転させる。これにより、押圧部8が水平に回転する。すなわち、外軸19aと連結しているローラ支持枠体16が水平回転すると同時に、ローラ支持枠体16に螺着されたローラ軸受板17に遊嵌され、先端を近接させた各ローラ7が該先端部を中心として公転する。当然ながら、ローラ支持枠体16と各ローラの間に配設され、流出防止板41によって連結された打粉受け皿18も回転する。
【0042】
一方、上受動ギア48bに伝えられた駆動モータ45の駆動力は、上受動ギア48bに連接された内軸19bを回転させる。これにより、内軸19bと連結しているローラ駆動盤20が水平回転する。ローラ駆動盤20が回転すると、ローラ駆動盤20のテーパー状外周面及びリング状の摩擦体31がテーパー状突条部27に穿設された動力伝達口を介して円錐状の各ローラ7の外周面上部を圧接し、あたかも傘歯車のように各ローラ7に駆動力を伝えて、各ローラ7を自転させる。
【0043】
この延展作業時に、各ローラ7に食品生地Mが付着して延展作業に支障が来たさないように打粉Nを供給するのであるが、本実施形態によれば、打粉受け皿18の打粉収容部42に収容された打粉Nが、各ローラ7の自転によって打粉排出孔28から引き込まれ、各ローラ7の外周面に自動的に供給されることになる。
【0044】
排出孔28から供給された打粉Nは、ローラ7のテーパー面によって先端へ滑り落ちながら各ローラ7の外周面全体を覆うようになり、食品生地Mにまんべんなく打粉Nが振られることになる。なお、打粉Nの供給量は、打粉排出孔28とローラ7との間隔を調整可能とした調整板43(図7参照)を打粉排出孔28の下部に設けておき、予め適宜供給量となるように前記間隔を調整しておくものとする。
【0045】
また、本実施形態では、延展作業の初期段階においては押圧部8を複数回上下動させ、下降する都度、自転・公転を逆方向に回すように制御している。そして、延展作業によって食品生地Mが一定の厚さになる作業終盤の段階では、機枠3の内部の下方後側にあって押圧部8とともに上下する駆動部9bの回転モータ57が回転軸62にスプライン嵌合して、駆動プーリー61に回転モータ57の動力が伝達され、その動力が連動ベルト60により受動プーリー59と皿体5の中心下面に垂設した回転軸58に伝えられるように制御される。
これによって、皿体5がローラ支持枠体16と同方向に回転し、食品生地Mに延展皺などが寄らないように、仕上作業が行われる。なお、このときの皿体5の回転速度はローラ支持枠体16の回転速度よりも遅いか同速であることが望ましい。
【0046】
食品生地Mが所望の厚みとなって延展が終了すると、押圧部8は上昇して回転を停止するとともに上限で停止する。
【0047】
その後、生地成形部4内から前方向へ皿体保持テーブル13を引き出し、皿体5を外して裏返すと扁平状かつ外周に縁が成形された所望の食品生地が得られることになる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0049】
例えば、ローラ7の変形例として、図8に示すように、ローラ7の外周面に渦巻き状凹溝の打粉貯留部44を形成することができる。この打粉貯留部44により、打粉Nが打粉排出孔28又はローラ7の外周面から直ちに落下せずに、ローラ7の外周面に一時的に貯留されつつ、ローラ7の先端にまで至るようになり、食品生地Mに対して、よりむらなく、かつ満遍なく打粉Nを振ることが可能となる。
【0050】
すなわち、ローラ7の外周面に渦巻き状凹溝の打粉貯留部44を形成した構成により、ローラ7に付着して排出孔28の位置より上に向かう打粉Nは、ローラ7のテーパー面によって先端へ滑り落ちながら、その一部は、ローラ7の外周面に形成した渦巻き状凹溝で貯留されて、各ローラ7の外周面を覆うようになるのである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施形態に係る食品生地成形機の一部省略斜視図である。
【図2】本実施形態に係る食品生地成形機の斜視図である。
【図3】図2のA−A部における食品生地成形機の断面図である。
【図4】ローラ支持枠体と打粉受け皿とローラとを連結した状態の斜視図である。
【図5】打粉受け皿とローラの関係を示す分解図である。
【図6】ローラ支持枠体と打粉受け皿とローラを連結した状態の斜視図である。
【図7】図6のA−A部で展開した状態の使用状態説明図である。
【図8】ローラの変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1 食品生地成形機
5 皿体
7 ローラ
8 押圧部
16 ローラ支持枠体
18 打粉受け皿
20 ローラ駆動盤
27 テーパー形状突条部
28 排出孔
29 断面山形状突条部
31 摩擦体
32 動力伝達口
40 投入口
42 打粉収容部
M 食品生地
N 打粉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品生地を載置する皿体と、この皿体の上方でこの皿体に対して昇降自在かつ水平回転自在に設けたローラ支持枠体と、このローラ支持枠体の下方に先端同士を近接させながら放射状に配置され、前記ローラ支持枠体の垂直軸回りを公転しながら自転して前記食品生地を均して延展する複数の円錐形のローラとを備えた食品生地成形機において、
前記ローラ支持枠体と前記円錐形のローラとの間に打粉受け皿を着脱自在に配設するとともに、この打粉受け皿に、収容した打粉を前記各ローラに供給する打粉排出孔を形成したことを特徴とする食品生地成形機。
【請求項2】
前記打粉受け皿は、その中心部より外側へ放射状に向かう複数の断面円弧状のテーパー形状突条部と、その突条部間に介設した谷状の打粉収容部とを周方向に交互に配列して形成するとともに、
前記断面円弧状のテーパー形状突条部の裏側凹部にそれぞれ前記円錐形のローラを遊嵌し、しかも前記打粉収容部に隣接する前記断面円弧状の突条部の側壁に前記打粉排出孔を穿設したことを特徴とする請求項1記載の食品生地成形機。
【請求項3】
前記打粉受け皿の上方に逆円錐台状のローラ駆動盤を回転自在に配設し、該ローラ駆動盤の下面側のテーパー状外周面を前記テーパー形状突条部の上面に形成した動力伝達口を介して前記円錐形のローラの外周面に圧接することにより、前記ローラ駆動盤の回転駆動により前記円錐形の各ローラを自転させる構成としたことを特徴とする請求項2記載の食品生地成形機。
【請求項4】
前記ローラ支持枠体に、前記打粉受け皿上へ打粉を投入する投入口を形成したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の食品生地成形機。
【請求項5】
前記円錐形のローラの外周面に、打粉を一時的に貯留する凹状の打粉貯留部を形成したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の食品生地成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−115152(P2010−115152A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290695(P2008−290695)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000236746)不二精機株式会社 (48)
【Fターム(参考)】