説明

食品

【課題】写真等の情報内容をプリントした可食フィルムを積層した食品において、その情報内容があたかも動くように見える可食フィルムを積層した食品を提供する。
【解決手段】外表面を滑状としたベースとなる食品1本体を有し、その食品1本体の外表面に3D画像処理をした情報内容表示を可食インクで印刷した可食フィルム2を固定積層し、その可食フィルム2の外表面をレンズ処理加工する。また、前記情報内容表示は、前記レンズ処理加工した可食フィルム2と食品1との間に一枚の可食フィルム6を積層挟持させ、その積層挟持された可食フィルム6の一方面に施されていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品に関し、特に表面を凹凸のない滑状とした食品、それも主としてチョコレートやクッキーをはじめとする、原材料を加工した洋菓子類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上記した食品、特に洋菓子類に関し、表面に写真や好みに応じた文字や記号、イラスト、パターンを可食インクを用いてプリントした可食フィルムを重合したものが提案されている。これは各種のプレゼントやイベント用等として利用されている。
【0003】
これらのベース食品に対し、コーティングあるいはラミネートされる可食フィルムはレンズ効果を得られるように加工処理がなされてはいるが、この加工処理は所定の厚さでコーティング材を印刷面に塗布して、写真や文字等のプリントされた内容を浮き立たさせるためのものとなっているにすぎないものであった。
【特許文献1】特許第3273507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、従来の写真等の情報内容をプリントした可食フィルムを積層した食品は、そのレンズ効果を持たせたコーティング材が、その写真等の情報内容を浮き立たせるものであるにすぎず、擬似的にでも動きを表出することはできなかったという点であり、また、加工対象となる食品は表面がフラットな板面状となっている必要性があったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる問題点を解決するために、本発明に係る食品は外表面を滑状としたベースとなる食品本体を有し、その食品本体の外表面に3D画像処理をした情報内容表示を可食インクで印刷した可食フィルムを固定積層し、その可食フィルムの外表面はレンズ処理加工してあることを特徴とし、前記したレンズ処理加工した可食フィルムと食品との間に一枚の可食フィルムを積層挟持させ、その積層挟持された可食フィルムの一方面に前記印刷が施されていることを特徴としている。
【0006】
また、本発明に係る食品は前記したレンズ処理加工はホログラムシート状の処理加工としてあることを特徴とし、前記したレンズ処理加工はストライプシネマ(オンブロシネマ)処理加工としてあることを特徴とし、前記したレンズ処理加工は干渉縞処理加工してあることを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明に係る食品は前記した可食フィルムは澱粉、コラーゲン、ゼラチン、オブラート、水飴、コーン、砂糖、食品衛生法で認可されたポリエステルの素材のうち、一つを選択して材料として使用してあることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る食品は上記のように構成されている。そのため3D画像処理した情報内容が可食インクでプリントされた可食フィルムを、ベースとなる食品本体の外表面に固定積層してあるため、前記した情報内容は光の回折干渉によってあたかも動くように見えることとなり、従来にも増して、食品の付加価値を高め、需要者の趣味感を満足させることとなる。
【0009】
また、かかる構成によると、対象となる食品はフラットな板状のものに限らず、球状やその他異形の立体物の全外表面に対しても加工処理を施すことが可能となり、その使用範囲は大きく広がるものとなっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面に示し、実施例で述べたように構成することで実現した。
【実施例1】
【0011】
次に、本発明の好ましい実施の一例を図面を参照して説明する。図1は本発明を実施した食品を示す分離部分断面図、図2は同じく製作過程を示すチャート図、図3は同じく3D画像処理の手順を示す図、図4は同じくストライプシネマ(オンブロシネマ)用の専用シートを示す図である。
【0012】
これらの図にあって1はベースとなる食品を示し、この実施例では表面を滑状としたチョコレートを想定している。このチョコレートは無垢のものでも、あるいはクリームやゼリー等を内包した構造のものであってもよい。
【0013】
また、図中2は可食フィルムを示しており、この可食フィルム2は一方面、特に外側となる表面にレンズ処理加工がなされている。この実施例でのレンズ処理加工は交互に溝3、3‥とその溝3、3‥を境界とした条4、4‥とを平行に並設したホログラムシート状の処理加工とされている。そして、この溝3、3‥、条4、4‥の生成はシリコンを使用した型に可食フィルム2の原材を溶融状態で流し込むことでなされる。
【0014】
この可食フィルム2は底面から条4の頂点までの高さが約0.35mm程度のものとし、素材としては食品衛生法で認可されているポリエステルフィルムのほか、澱粉、コラーゲン、ゼラチン、オブラート、水飴、コーン、砂糖等のうち任意のものが製造目的や用途に応じ自在に選択採用される。
【0015】
前記した可食フィルム2の他方面(内側面)にはプリント層5が約2μmm程度の厚さでダイレクトに形成される。ここで、このプリント層5は可食インクで形成され、この可食インクとして、本実施例では紫外線硬化インクが使用されている。
【0016】
前記したプリント層5は3D画像処理による印刷となっている。この3D画像処理は写真、イラストのほか、好みの文字、記号、パターン等を基として行なうことができ、その手順は図3に示すようになっている。
【0017】
即ち、ここで示す実施例では四つのレイヤーを合わせて3Dデータ処理して、一つの画像を作成し、この画像を前記した可食インクによってプリント層5として生成する。四つのレイヤーを合わせ3Dデータ処理した画像が可食フィルム2の一方面に印刷されると、その可食フィルム2の他方面(表面側)がホログラムシート状処理されているため、光の特性によってその画像は動きを伴なったものとして視覚に認識されることとなる。
【0018】
一方、図中6は第二の可食フィルムであり、この第二の可食フィルム6は可食フィルム2のプリント層5とベースとなる食品(チョコレート)1の外表面との間に介在されるもので、プリント層5を形成する可食インクが不安定な場合に使用される。尚、この第二の可食フィルムは、厚さは約30μmm程度が想定される。
【0019】
また、この第二の可食フィルム6を使用する構成ではプリント層5を、この第二の可食フィルム6の一方側面に形成することも可能で、場合によっては可食フィルム2と第二の可食フィルム6の両方に可食インクによるプリント層5を形成することも可能である。
【0020】
さらに、可食フィルム2のプリント層5あるいは第二の可食フィルム6とベースとなる食品(チョコレート)1の外表面との一体化は格別に接着剤等の接着要素を用いることなく、ベースとなる食品(チョコレート)1や可食フィルム2のプリント層5、第二の可食フィルム6の素材自体が保有する粘性で、直張りでなされることとなる。この粘性が不足すると思われる場合、蒸気を用いて軽く溶解して粘性を生じさせてやることも可能となる。
【0021】
ここで、前記したプリント層5の形成にあたってはカラーインクを複数種(通例は4種類)に、白色インクをプラスしてなされることとなる。
【0022】
また、図4として示すのはストライプシネマ(オンブロシネマ)用の専用フィルムであり、この専用フィルム7も前記した可食フィルム2や第二の可食フィルム6と同様の素材で成形されている。この専用フィルム7には可食インクによって平行なライン8、8‥が所定のピッチで並列プリントされている。この専用フィルム7をストライプシネマ用とされたプリント層5に重ね、動かすことで、プリント層5における情報内容の画像が動いているように見えることとなる。ベースとなる食品(チョコレート)1を食べる時に、この専用フィルム7も同時に食することができるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明に係る食品は上記のように構成されている。プリント層5の成形として、実施例として述べたホログラムシート状やストライプシネマ(オンブロシネマ)のほか、干渉縞を構成して、画像を動くように見せる加工も可能である。
【0024】
また、本実施例はベースとなる食品としてチョコレートを例に挙げているが、これに限定されるものではなく、クッキー、ビスケット、クラッカー、キャラメル、ヌガー、キャンディ、ドロップ、タフィー、チューインガム、コーンカップ等にも応用実施できる。つまり、外表面が凹凸のない滑面となっていれば平坦な板状のものに限らず、球状やその他異形をした立体物の外表面に対する処理加工も可能なもので、その応用範囲は非常に広いものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を実施した食品を示す分離部分断面図である。
【図2】製作過程を示すチャート図である。
【図3】3D画像処理の手順を示す図である。
【図4】ストライプシネマ(オンブロシネマ)用の専用シートを示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ベースとなる食品(チョコレート)
2 可食フィルム
3 溝
4 条
5 プリント層
6 第二の可食フィルム
7 専用シート
8 ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面を滑状としたベースとなる食品本体を有し、その食品本体の外表面に3D画像処理をした情報内容表示を可食インクで印刷した可食フィルムを固定積層し、その可食フィルムの外表面はレンズ処理加工してあることを特徴とする食品。
【請求項2】
前記したレンズ処理加工した可食フィルムと食品との間に一枚の可食フィルムを積層挟持させ、その積層挟持された可食フィルムの一方面に前記印刷が施されていることを特徴とする請求項1に記載の食品。
【請求項3】
前記したレンズ処理加工はホログラムシート状の処理加工としてあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品。
【請求項4】
前記したレンズ処理加工はストライプシネマ(オンブロシネマ)処理加工としてあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品。
【請求項5】
前記したレンズ処理加工は干渉縞処理加工してあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品。
【請求項6】
前記した可食フィルムは澱粉、コラーゲン、ゼラチン、オブラート、水飴、コーン、砂糖、食品衛生法で認可されたポリエステルの素材のうち、一つを選択して材料として使用してあることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−88329(P2010−88329A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260322(P2008−260322)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(508301076)
【Fターム(参考)】