説明

食器、調理器具及び食材の洗浄乾燥方法と同法に用いる洗浄乾燥装置

【課題】食器、調理器具及び食材等の洗剤による擦り洗いや食器洗い乾燥機の使用をせずに、短時間で楽に洗浄乾燥できる洗浄乾燥方法と、この方法の実施に適した噴射具、洗浄台、乾燥かご、移動式作業台、及び排水装置を有する洗浄乾燥装置を提供する。
【解決手段】噴射体20と噴射体20に揺動自在に結合されたカバー体23を備えた噴射具2により温水又は水を洗浄台3に置かれた被洗浄物Wに噴射し、カバー体23によって洗浄時における温水又は水の飛散及び蒸気の拡散を抑制しながら洗浄する洗浄工程と、被洗浄物Wの水切りと蒸発乾燥を行う乾燥工程を行なうようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器、調理器具及び食材の洗浄乾燥方法と、この方法の実施に直接使用する洗浄乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、食器や調理具を手洗いする場合、多段階の作業工程、すなわち、温水又は水を用いた予備洗浄工程、浸し工程、洗浄工程、濯ぎ工程、次に、水切り工程、乾燥工程を食後毎回行っている。
【0003】
手洗いでは、(社)日本電気工業会基準があり、食器60点小物24点、水源の温度20℃(実際の平均水温は13℃)、40℃のお湯5Lで予備洗い後、洗い桶に5Lの40℃のお湯を溜めて、1本450ml270円の洗剤14.4mlを1回洗浄で使用し、毎分6Lで食器1点当たり13.5秒、小物は1点当たり5.5秒流し湯ですすぎ洗浄する、電気料金は単価は1KW当たり22円、ガス料金は単価1m当たり165円、水道料金は1m当たり228円の条件が定められてる、乾燥に食器乾燥機を使用すると、食器32点の乾燥で5円かかり60点では10円掛かる、乾燥機の償却も含めて、手洗いの総経費を計算すると一日当たり116円もかかる、68円がガス代であり相当なエネルギィー損失し、COを排出している、年間費用は、42,000円もかかる。この原因は、無活用の水圧、温水の放流、高温の排水、応答性が遅い不便な水栓、1個づつの洗浄処理にあると考えられる。ガス料金は一層上がり家計の負担となる、又地球の温暖化防止ため、CO削減を家庭でも求められている。
【0004】
更にこの洗浄方法には、以下の難点があった。まず浸し工程や水切り工程及び乾燥工程で被洗浄物を収納する容量が小さく、一日一回の洗浄では、回収された被洗浄物は、シンクの内部を埋め尽くし、洗浄、調理、給水又は排水等の邪魔になるばかりか、常に見苦しい状態である。更に浸し工程では、被洗浄物から溶解した油が膜を張り、取り出すとき被洗浄物の全面に油が付着し、触ると気持ちが悪い。洗浄工程では、スポンジに洗剤をつけて擦り洗いするが、洗剤が付着した被洗浄物を片手で保持し、他の手で擦ると力がかかり、被洗浄物の保持が非常に不安定になり、気を使いながら力がいる危険で疲れる作業であるため、病弱な人、熟年者、若年者及び身体障害者には負担がかかる作業である。
【0005】
上述の(社)日本電気工業の基準で乾燥機を使用し、洗浄乾燥時間 を算出すると、食器60点小物20点を、食器は13.5秒で濯ぎ洗いは16.5秒で、1個当たり30秒かかる、小物は5.5秒で濯ぎ4.5秒で洗い1個当たり10秒で洗浄すると、洗浄時間は34分かかる、実際は調理器具の洗浄の加わり1時間近くの洗浄時間がかり姿勢が悪く足腰に相当の負担がかかる、一方乾燥機を使用した乾燥時間をメーカーのカタログから算出すると、食器32点で45分かかり60点の乾燥には2回使用し90分掛かる、洗浄乾燥には総計124分(約2時間)かかる。
【0006】
また、最近の洗剤は、洗浄力が強力で、長いこと洗剤に浸ると皮膚の脂肪を脱脂し、爪の生え際等に侵入し炎症を起こし、また、指に傷でもあれば炎症は一段と激しくなる。更に水道水には多量の塩素が投入されていることから、人体への影響が懸念されている。塩素は人の操作で酸素と結合し次亜塩素酸になり、活性化が極めて強くなりたんぱく質やビタミンCを破壊する作用がある。毎日長時間、手で洗浄すると塩素が皮脂と反応して塩素化合物を作り、身体に吸収され塩素の酸化力のため老化を促進したり、アトピー性の皮膚炎や血圧を上げる危険性がある。また、野菜を洗浄するとそのビタミンCが破壊される。従って、食器や調理器具及び食材の手洗いは、短時間でなるべく洗剤に触れないことが重要である。
【0007】
また、食材の野菜等は土つき状態のものや、農薬、酸性雨、殺虫剤、防腐剤で汚染されたままのものがあり、魚介類は流通経路で粉塵に曝されたものもあり、これらは小売り直前に包装されて販売される。そして、冷蔵庫に低温で保管又は冷凍保管され、そこから取り出された食材は、長時間常温に放置され鮮度が低下し、洗剤も付けられず、温水又は水により簡単な洗浄しかできないので、汚れが十分に落ち難い難点があった。また、野菜は複雑な形状をしているので洗い難いという難点もあった。
【0008】
また、洗浄した食器等を少量づつ水きりし、乾燥かごに収納する場合、従来では、食器等を安定的に収納することができず、食器が転倒してしまう難点があった。また、被洗浄物に水が溜まったり、被洗浄物を並べて収容する場合、被洗浄物同士の間に密閉部が生じ、乾燥が阻害される難点があった。また、被洗浄物の収容量が少ない難点もあった。特許文献1は、食器の種類に応じて部分的に特殊形状に加工することで、食器が転倒してしまう難点を解決しようとするものであるが、食器の種類や数が限定され、更には調理具などの収納が困難であり食後毎回の洗浄乾燥を必要とした。
【0009】
また、近年、食器洗い乾燥機が多数提案され、商品化されている。しかしながら、従来の食器洗い乾燥機には以下の難点があった。
【0010】
食器洗い乾燥機は、運転時間が長くバッチ処理となり、また、水栓の分岐工事が必要で工事費が高価で、また、様々なメーカーがあり、多種多様なタイプがあり施工が面倒である。
【0011】
また、限られた洗浄スペースに多くの食器を入れるためには、食器の種類を統一して限られた種類にしなければならず、収容個数も限られ、洗浄性能に大きく作用する。平たい小皿はそうでもないが、比較的底の深い丼の場合、極端に収容数が減る。また、従来使用していたもの及び贈答品等で所有している食器は、洗浄できない物が多い。ビン類やペットボトルなども洗浄できず、また、専用の食器かごに食器や調理器具をセットするのに訓練が必要で1回当たり5分以上がかかり3回すると15分以上もかかり面倒である。また、家族構成や来客などによる洗浄量の変動に弱く、一日数回を要する半自動機であり、管理が面倒である。また、食器洗い乾燥機の庫内を特別な洗剤で定期的に洗浄する必要もある。
【0012】
また、少量の温水を循環して使用するため、食器や調理器具に食物の残物があると、拡散して洗浄に多大な悪影響をもたらすので、汚れがひどい場合や、食料品の残物が残っている場合は、あらかじめ手で予備洗浄することが求められる。予備洗浄するならそのまま手洗いしたほうが良いと感じているユーザーも少なくない。
【0013】
また、食器を並べて狭い空間に配列するため、噴射温水が最適な角度で当たらず、ほとんどは間接的な反射流で洗浄することになり、噴射衝撃による汚れの剥離力に劣る難点があった。また、食器の形状及びサイズ等の原因で、温水がかかり難い陰になる部分が生じることが避けられず、洗い残しができ、洗浄性能が低下する難点があった。これを補うため、食器を入れ直し、高価な洗剤を使って食器洗い乾燥機を再稼働せざるを得なかった。また強く当たりすぎる部分は絵柄が落ちる問題もある。
【0014】
また、流し台のスペースには限りがあり、食器洗い乾燥機をおくことで調理スペースが制限される難点があり、その結果、料理に時間がかかり、本末転倒のきらいがある。
【0015】
また、調理器具は、多種サイズの鍋、土鍋、ボール、網、フライパン、炊飯器釜、ガスレンジの皿、排気扇の部品、食器入れ容器等、沢山使用されている、これらの調理器具は食器洗い乾燥機では、大きさ及び形状に制限され、収納治具を使用しても、少量で限定した一部のものが洗えるだけである。上述の手洗い条件の食器60点小物30点を松下電器製のNP−P45MD1Wを適用すると食器は45点処理でき、洗浄乾燥で約100分程度かかり、2回する必要があるので200分もかかる、更に限定された数個の調理器具を一回で洗えたとして100分程度かかり合計300分(5時間)もかかる。この運転管理が大変でいつも気にしていないといけない。これは、一工程ずつは自動であるが、全工程から見ると半自動であり、その管理が非常に面倒である。必要なときに、必要な物を、必要量、連続で且つ短時間で1回の洗浄乾燥で行えることが好ましい。
【0016】
また、従来の食器洗い乾燥機は、たとえ給湯器が台所に既に設置されている場合であっても、温水を高価な電力で作り、また、水道圧を利用せずに、電気でポンプを駆動して温水を噴射し、ヒーターで蒸発乾燥させ、更に20万円もする設備を2重投資するので経費を試算すると、いかにカタログが誇大宣伝であるかがわかる。上述の食器60点小物30点の経費を装置の償却を10年の条件で行うと、上述したように食器だけで2回の運転が必要であり、かかる総費用は129円で年間47,000円で手洗いと変わらないことがわかる。機能は実際には、食器洗い乾燥だけで、調理器具や食材等の洗浄は出来ない、またビルドインしたタイプは、数年使用すると修理費が高価で部品も確保できない可能性もあり、流し台全体の取替えのリスクもありえる。外部に設置するタイプは僅かなスペースで細々販売されているが淘汰される運命にある。
【0017】
また、流し台に組み込んだ食器洗い機として、下記の特許文献2〜特許文献4に記載のものが提案されている。
【0018】
特許文献2に記載のものは、洗浄機能付きシンクに関し、シンクの片隅で、被洗浄物をシンクの底部に置いて、蓋をスライドして飛散を防止し、ジェット水で被洗浄物を洗浄するものである。しかしながら、シンクの全幅に亘って設けられたノズルを用いて水道水を角度固定で噴射していたので、被洗浄物に集中噴射することができず、汚れの剥離力が弱く、洗浄に寄与しないで無駄になる水量が多く、効率的な洗浄はできない。また、常にカバーを開いて手で被洗浄物を回転させたり、移動させなければならず、非常に面倒であり、また、結果的に噴射水の飛散も多かった。また、シンクの一部しか使えず広いシンクが遊ぶ難点があった。
【0019】
特許文献3に記載のものは、食器洗浄機付き流し台に関し、ホースを介して水道蛇口に連結されたシャワーノズルを洗浄槽まで導き、洗浄槽の開閉式の蓋にシャワーノズルを連結して水道水を噴射するものであり、食器の汚れ面に洗浄水がかからない問題を解決しようとしている。しかしながら、この流し台は、シンク部に隣接して食器洗浄機を配設したものであり、設置コストがかかり、既存の流し台に適用できない難点があった。
【0020】
特許文献4に記載のものは、皿洗器付流し台に関するものである。しかしながら、この流し台は、シンク全体を覆う蓋が設けられており、この蓋を安全に開閉し保持するのは大変であった。また、この蓋が調理作業の邪魔になり、既設の設備に取り付けられない難点があった。
【0021】
【特許文献1】特開2002-330880号公報
【特許文献2】特開平11−235302号公報
【特許文献3】特開2001−204559号公報
【特許文献4】実開昭48−73140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、従来の食器等の洗浄乾燥方法に上記のような難点があったことに鑑みて為されたもので、食器等の洗剤による擦り洗いや食器洗い乾燥機の使用をせずに、従来の流し台に洗浄機能及び乾燥機能を付加して、洗剤に浸して濯ぐだけで洗浄又は洗浄乾燥が短時間で楽にでき経費も節約しCO削減して、洗浄乾燥できる洗浄乾燥方法とその実施に直接使用する洗浄乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る洗浄乾燥方法は、食器、調理器具、及び食材の洗浄乾燥方法であって、噴射ノズル部が設けられた噴射体、該噴射ノズル部を囲み揺動自在に結合されたカバー体、を備えた噴射具により温水又は水を被洗浄物に噴射し、前記カバー体によって洗浄時における温水又は水の飛散及び蒸気の拡散を抑制しながら洗浄する洗浄工程と、被洗浄物の水切りと蒸発乾燥を行う乾燥工程と、を有することを特徴とする。
【0024】
請求項2に係る洗浄乾燥方法は、請求項1に記載の洗浄乾燥方法において、前記洗浄工程では、流し台のシンク内に洗浄台を置き、該洗浄台上に被洗浄物と前記カバー体を載置し密閉空間を形成した状態で被洗浄物を洗浄することを特徴とする。
【0025】
請求項3にかかわる洗浄方法は、 請求項2に記載の洗浄乾燥方法において、 前記洗浄工程では、噴射ノズルを最適の位置に揺動させ、噴射温水を被洗浄物に最適な角度で当てて、被洗浄物を加熱し蓄熱しながら洗浄する洗浄工程と、水分をすばやく水きりし、該被洗浄物の蓄熱を利用して蒸発させる乾燥工程とを有することを特徴とする。
【0026】
請求項4に係る洗浄乾燥方法は、請求項2又は3に記載の洗浄乾燥方法において、前記洗浄工程では、前記洗浄台を前記シンクの底面との間に隙間をあけてシンク内に置き、該隙間を通して洗浄時の排水を流すことを特徴とする。
【0027】
請求項5に係る洗浄乾燥方法は、請求項1乃至4のいずれかに記載の洗浄乾燥方法において、前記洗浄工程の前に、流し台に洗剤の水溶液を入れた浸し容器を置き、トレーを搭載した移動式作業台を該容器に近接して配置し、被洗浄物を洗剤の水溶液に浸した後、その被洗浄物を移動式作業台のトレーにストックして浸し工程を進行させることを特徴とする。
【0028】
請求項6に係る洗浄乾燥方法は、請求項5に記載の洗浄乾燥方法において、浸し工程を経た被洗浄物を一旦、浸し容器に溜めた温水に浸すことを特徴とする。
【0029】
請求項7に係る洗浄乾燥方法は、請求項1乃至6のいずれかに記載の洗浄乾燥方法において、前記乾燥工程を行う乾燥かごを流し台に設置し、未洗浄の被洗浄物又は洗剤の希釈液が付着した被洗浄物が入ったトレーを搭載した移動式作業台を該乾燥かご及び前記シンクに近接して配置し、洗浄工程が完了した被洗浄物を乾燥かごに収納し、被洗浄物を移動式作業台のトレー又は上記の温水を溜めた浸し容器から取り出してシンク内に投入することを特徴とする。
【0030】
請求項8に係る洗浄乾燥方法は、請求項1乃至7のいずれかに記載の洗浄乾燥方法において、前記洗浄工程では、被洗浄物の一の面を上に向けて該被洗浄物を洗浄台に載置する第一ステップと、該被洗浄物の該一の面に噴射温水又は水を当てて該一の面を洗浄する第二ステップと、該被洗浄物を反転させ、該被洗浄物の他の面を上に向けて該被洗浄物を該洗浄台に載置する第三ステップと、該被洗浄物の該他の面に噴射温水又は水を当てて該他の面を洗浄する第四ステップと、該被洗浄物を再度反転させ、該被洗浄物の該一の面を上に向けて該被洗浄物を該洗浄台に載置する第五ステップと、該被洗浄物の該一の面に再度、噴射温水又は水を当てて該一の面を洗浄する第六ステップと、から成る洗浄を行うことを特徴とする。
【0031】
請求項9に係る洗浄乾燥方法は、請求項8に記載の洗浄乾燥方法において、前記第一ステップ乃至第六ステップを、温水又は水を連続又は断続噴射しながら、前記洗浄台上に並べて載置した二つの被洗浄物に対し交互に行い、一の被洗浄物を洗浄しながら、他の被洗浄物を反転又は取り替えることを特徴とする。
【0032】
請求項10に係る洗浄乾燥装置は、食器、調理器具、及び食材の洗浄乾燥装置であって、温水又は水が噴射される噴射ノズル部及び作業者に把持されるグリップ部が設けられた噴射体と、該噴射ノズル部を囲むように噴射体に揺動可能に結合されるカバー体と、一端部が該噴射体に接続され、他端部が温水又は水の供給管に接続される可撓ホースと、を備える噴射具を有することを特徴とする。
【0033】
請求項11係る洗浄乾燥装置は、請求項10に記載の洗浄乾燥装置において、前記カバー体はその内面に当たる温水又は水による曇りを防いで洗浄作業の視認性を維持するよう透明又は半透明材料から成ることを特徴とする。
【0034】
請求項12に係る洗浄乾燥装置は、請求項10又は11に記載の洗浄乾燥装置において、前記噴射体と前記可撓ホースは迅速継手により着脱自在に接続されることを特徴とする。
【0035】
請求項13に係る洗浄乾燥装置は、請求項12に記載の洗浄乾燥装置において、前記噴射具は、前記温水又は水の供給管に迅速継手が接続され、かつ、前記噴射体と分離した前記可撓ホースがループを形成してその一端部が着脱自在に接続されるように、迅速継手が一端部に設けられ、前記供給管に固定された短管蛇口に接続されることを特徴とする。
【0036】
請求項14に係る洗浄乾燥装置は、請求項10乃至13のいずれかに記載の洗浄乾燥装置において、被洗浄物と前記カバー体を載置しカバー体との間で密閉空間を形成可能な載置部と、流し台のシンク内に置いたとき該載置部と該シンクの底面との間に洗浄時の排水を流すための隙間を形成する該載置部の下部に設けられた脚部と、を備えてなる洗浄台を更に有することを特徴とする。
【0037】
請求項15に係る洗浄乾燥装置は、請求項10乃至14に記載の洗浄乾燥装置において、水平面に対し傾斜し多数の水平横長の隙間が並列状態で形成された底部と、該底部の下縁に設けられ、該底部に置いた被洗浄物を寄り掛からせた状態で支持する支持壁部と、を備えてなる乾燥かごを更に有することを特徴とする。
【0038】
請求項16に係る洗浄乾燥装置は、請求項15に記載の洗浄乾燥装置において、前記乾燥かごの底部と前記支持壁部は折り畳み可能に連結され、被洗浄物の重心が該支持壁部側にあるように該支持壁部が水平面に対し傾斜可能であることを特徴とする。
【0039】
請求項17に係る洗浄乾燥装置は、請求項15又は16に記載の洗浄乾燥装置において、前記乾燥かごの底部及び支持壁部は合成樹脂材又は線材のプレートで形成されて二つずつ含まれ、自立して設置できるように該底部の上縁同士が連結されて略W形状を成すことを特徴とする。
【0040】
請求項18に係る洗浄乾燥装置は、請求項10乃至17のいずれかに記載の洗浄乾燥装置において、上下の板を両側面の板が挟むように取り付けられた移動台車と、その上下の板のそれぞれに搭載された1又は2個のトレーと、を備える移動式作業台を更に有してなることを特徴とする。
【0041】
請求項19に係る洗浄乾燥装置は、請求項10乃至18のいずれかに記載の洗浄乾燥装置において、流し台のシンクの傍に配置され浸し洗剤の水溶液又は温水を溜める、浸し容器を更に有してなることを特徴とするとする。
【0042】
請求項20に係る洗浄乾燥装置は、請求項10乃至19のいずれかに記載の洗浄乾燥装置において、排水ホースが接続される貫通孔が周壁上部に形成されている熱交換外部容器と、その内側に配設され、流し台のシンクからの別の排水ホースが接続される貫通孔が底部に形成されている熱交換内部容器と、該熱交換外部容器の内周面と該熱交換内部容器の外周面との隙間に螺旋状に配設され、水道水の供給路に接続される水流入端と給湯器に接続される水流出端が設けられた熱交換パイプと、を備える排水装置を更に有することを特徴とする。
【0043】
請求項21に係る洗浄乾燥装置は、請求項20に記載の洗浄乾燥装置において、前記排水装置は、基部とその中央近傍に突出部を有する平盤を更に備え、該平盤は、突出部にエアー供給チューブからエアーが供給されると平盤の周囲から泡が噴出するように、基部に分散されて付された接着部材により熱交換外部容器の底部に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0044】
請求項1に記載の洗浄乾燥方法によれば、温水又は水を噴射して被洗浄物にダイレクトに最適角度で当て、しかも、はね返った温水又は水の飛散を防止することで、洗剤による擦り洗いがなくても温水又は水の衝撃で汚れが剥離され洗浄されるので、洗浄工程を短縮し、かつ、濯ぎ工程を省略できる。
【0045】
請求項2に記載の洗浄乾燥方法によれば、洗剤による擦り洗いのような、被洗浄物の洗剤による不安定で力が要る保持はなく、一方の手が開放され洗浄具を保持し可動さすことができ、他方の手は被洗浄物の操作や投入取り出しを可能にし、被洗浄物を2個置くと連続洗浄ができ、短時間洗浄が可能で作業者の手が直接に温水又は水や洗剤に触れることが少なく、足腰に負担がかかる姿勢での長時間の作業がなくなる。更に、密閉空間を容易に形成することができ、はね返った温水又は水の飛散をより防止することができる。
【0046】
請求項3に記載の洗浄乾燥方法によれば、更に、噴射温水を用いると衝撃力及び温水(38〜60℃)が有する熱量の熱伝達率を手洗いと比較して著しく向上させ、被洗浄物に蓄熱しながら急速加熱し、汚れを熱で溶解し衝撃力で剥離して加熱洗浄するので洗剤による擦り洗いがなくなる、しかも蓄熱した被洗浄物を温水の粘度が低下し水きりが早く蓄熱で蒸発乾燥する、洗浄乾燥時間は温水の温度により13〜15秒で最速で洗浄乾燥できる。(社)日本電気工業会基準の手洗いの温水40℃で13.5秒間の濯いだ場合の熱量は、流量が同じであれば、温水約50℃で9秒間の噴射に相当し相当無駄な使用をしていることにきずく、また段取りが悪く放流するケースは、瞬間に噴射停止でき防止できる、その他の時間も考慮して上述した時間で洗浄乾燥ができる。忙しい人、病気や高齢者で体力が弱っている人や油汚れのひどい対象物には最適である。
【0047】
請求項4に記載の洗浄乾燥方法によれば、更に、洗浄時の排水を効率的に流すことによって、排水による被洗浄物の再汚染を防ぐことができる。
【0048】
請求項5に記載の洗浄乾燥方法によれば、更に、浸し工程を行う場合に、少量の洗剤を少量の水で希釈し浸したらすぐ移動式作業台でストックするので、一日分をストックできシンクは常に他の作業に開放され清潔である、短時間連続洗浄及び一日一回の集中洗浄に欠かせない要素である。
【0049】
請求項6に記載の洗浄乾燥方法によれば、更に、温水浸し工程を行う場合に、被洗浄物が蓄熱し、また、付着した洗剤が乾燥していても元の状態に戻り、次の噴射具による水の噴射で汚れが溶解して剥離し易くなる。このプロセスは水洗浄に適用され、上述した手洗いの基準(食器60点小物30点)や食器洗い乾燥機の基準と比較をすると、最小のエネルギィーでCOも削減でき総経費は46.3円で年間17、000円で洗浄乾燥でき、手洗いに比べ25、000円、食器洗い乾燥機に比べ30、000円節約できる。洗浄時間も移動式作業台から複数個の食器を温水を溜めた浸し容器に投入する時間が延びるだけで、食器1個当たり17秒以内に洗浄でき食器60点で17分小物30点で3分かかり計20分で洗浄でき手洗いの約半分の時間で洗浄できる。地球温暖化防止対策として各家庭に広まると非常に大きな効果がでる。
【0050】
請求項7に記載の洗浄乾燥方法によれば、更に、移動式作業台を用いることで、洗浄工程が完了した被洗浄物の乾燥かごへの収納の動作と移動式作業台のトレー又は温水を溜めた浸し容器からの被洗浄物の取り出しの動作を片手で行い他の手は噴射具を把持することにより連続して洗浄を行うことができる。
【0051】
請求項8に記載の洗浄乾燥方法によれば、第二及び第六ステップの洗浄は、食品を入れ汚れた被洗浄物の内面を2回洗浄する事を意味し、1回目の洗浄では食品と洗剤で覆われているので完全に取れない場合が生じる、その為内面外面を温水(38〜60℃)で洗浄すると加熱と同時に蓄熱され、頑固に付着している汚れも溶解する、それを2回目の温水衝撃を与えて残留する汚れを剥ぎ取り濯ぎ洗浄を行うと同時に乾燥のための蓄熱を行う。水での洗浄は被洗浄物が浸し洗浄後更に温水浸しで一定時間加熱され、汚れを取れやすくして、被洗浄物の内面に衝撃を与え洗浄し、外面も同様に洗浄し、再度内面に衝撃を与えて洗浄と同時に濯ぎも行う。他の方法として、工程を簡略化するため内外面1回ずつの計2回の洗浄で完了するため、内面の噴射時間を長くする方法があるが、水が溜まり衝撃力が著しく低下し汚れが残る場合が生じる。
【0052】
請求項9に記載の洗浄乾燥方法によれば、更に、洗浄工程を二つの被洗浄物に対し並行して行うようにしているので、迅速な連続洗浄が可能であり噴射している時間の割合が一個ずつに比べ高く約半分の時間で洗浄を可能にした、更に応答性の速い断続噴射で無駄な放流は無く、密閉にしてから噴射するので飛散が無いし、洗浄と段取りのステーションが分けられるので、手に噴射温水や水がかからない。
【0053】
請求項10に記載の洗浄乾燥装置によれば、噴射体により温水又は水を被洗浄物にダイレクトに最適角度で噴射し、カバー体によってはね返った温水又は水の飛散及び蒸気の拡散を抑制するので、洗剤による擦り洗いがなくても温水又は水の衝撃で汚れが剥離され洗浄され、洗浄工程を短縮し、かつ、濯ぎ工程を省略できる。また、洗剤による擦り洗いのような、作業者の手が直接に温水又は水や洗剤に触れることが少なく、被洗浄物の洗剤による不安定で力が要る保持はなく、足腰に負担がかかる姿勢での長時間の作業がなくなる。その結果、短時間で楽に洗浄乾燥が可能になる。
【0054】
請求項11に記載の洗浄乾燥装置によれば、更に、視認性を維持しながら被洗浄物に容易に最適角度で当てることができる。
【0055】
請求項12に記載の洗浄乾燥装置によれば、更に、迅速継手により噴射体と可撓ホースが着脱自在であるので、通常の蛇口との接続をも可能にする。
【0056】
請求項13に記載の洗浄乾燥装置によれば、更に、可撓ホースから噴射体を取り外し、可撓ホースを短管蛇口に取り付けることで、短管蛇口を温水又は水の通常の供給管として使用することができる。更に又前記温水又は水の供給管の水栓との回転機能及び供給管の先端の迅速継手の回転機能とループ状の可撓ホースの開放で、直線上に伸ばすと約900mmになり、噴射体がシンク内部を自在に可動さすことができる。壁つき水栓も可撓ホースを備えた水栓に簡単に改造できる、更にシンクの水栓の位置が左右いずれににあってもカバーができる、又短管蛇口に浄水器を取り付けることもできる。流し台が非常にシンプルで高機能化ができ且つ安価になる。
【0057】
請求項14に記載の洗浄乾燥装置によれば、洗浄台の載置部とカバー体との間に密閉空間を形成することで、はね返った温水又は水の飛散をより防止することができる。温水を用いると、洗浄台及び密閉空間に蓄熱させることにより温水の熱量の散逸を抑制し、被洗浄物に効率的に蓄熱するので、汚れを熱で溶解し、更に洗浄工程を短縮することができる。また、洗浄時の排水を効率的に流すことによって、排水による被洗浄物の再汚染を防ぐことができる。被洗浄物を掴まないで置いて洗浄ができることが連続洗浄を可能にする。
【0058】
請求項15に記載の洗浄乾燥装置によれば、乾燥かごの底部が水平面に対し傾斜し、かつ、多数の水平横長の隙間を有しているので、その隙間に差し込んで置かれた被洗浄物同士が密着状態で重なることもなく、蒸発乾燥が阻害されるようなこともなく、水きり後の水は落下し、隙間から空気が送り込まれて効率よく乾燥する。また、食器の種類や数が限定されることもない。
【0059】
請求項16に記載の洗浄乾燥装置によれば、被洗浄物を傾斜した支持壁部に寄り掛からせ、重心が支持壁部側に有るようにして立てた姿勢で安定にしかも置く場所を制限されることもなく収納することができるので、温水で連続加熱洗浄蓄熱乾燥する場合は、収納する位置や置き方を考える余裕はなく、洗浄後即座に収納し時間の短縮と蓄熱された被洗浄物は速乾性(蓄熱乾燥)が得られる、もしここで時間を少しでもロスすると蓄熱乾燥は出来なくなる。
【0060】
請求項17に記載の洗浄乾燥装置によれば、W形状の一方は食器を他方には調理器具を収納し、移動式作業台の収納容量と同程度で、一日分の食器や調理器具を収納することができるので、寝る前に1回連続洗浄し、水洗浄の場合は夜間の自然乾燥すればいいので労力を大幅に低減できる。
【0061】
請求項18に記載の洗浄乾燥装置によれば、移動式作業台を用いることで、準備工程の浸し工程を必要とする場合に浸し工程を効率的に行うことができ、また、洗浄工程が完了した被洗浄物の乾燥かごへの収納の動作と移動式作業台のトレー又は温水での浸し容器からの被洗浄物の取り出しの動作を片手で行い他の手は噴射具を把持することにより連続して洗浄を行うことができる。
【0062】
請求項20に記載の洗浄乾燥装置によれば、その排水装置を用いることで、40%近くの温排水の熱量を回収することが可能である。
【0063】
請求項21に記載の洗浄乾燥装置によれば、更に、熱交換パイプの汚れを効率的にクリーニングすることで、熱交換の性能を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
以下、図1〜図13を参照しながら、本発明に係る食器、調理器具及び食材の洗浄乾燥方法と、この方法の実施に直接使用する噴射具、洗浄台、乾燥かご、移動式作業台、浸し容器及び流し台の排水装置を備える洗浄乾燥装置について説明する。
【0065】
図1は、本発明に係る洗浄乾燥方法を実施するために、既存の流し台100に、噴射具2、洗浄台3、乾燥かご7、移動式作業台5、浸し容器150及び排水装置を備える洗浄乾燥装置を設けた一の実施例を示したものである。
【0066】
噴射具2は、流し台100の水栓110から吐出される温水又は水を噴射して被洗浄物Wを洗浄するものである。噴射具2は、図2に示すように、温水又は水を噴射する噴射ノズル部21、及び作業者が握るグリップ部22を備えた噴射体20と、この噴射体20に揺動可能に設けられ、噴射ノズル部21を囲むカバー体23と、一端部が噴射体20に接続され、他端部が温水又は水の供給路たる水栓110に接続される可撓ホース25と、から構成されている。
【0067】
本実施形態の噴射具2は、噴射体20のグリップ部22に、温水噴射又は水噴射の開始、停止を操作するためのトリガー26を備えており、また、噴射ノズル部21を回転操作することで温水又は水の噴射状態を変更できるように構成されている。トリガー26は、必要なときのみ瞬時に噴射又は一時停止が操作できるので、例えば、次の被洗浄物Wに移る間の噴射を停止して、密閉状態になったときに噴射を開始すれば、飛散は生じないし、無駄な放流を防止出来る。但し、温水を用いた場合において、給湯器130の性能によっては、断続噴射では温度変化が大きい場合もあるので、この場合は、次の被洗浄物Wに移る間も連続噴射する、この飛散防止として図示しないが乾燥かご7のシンク側に飛散防止プレートが設けてある。連続噴射の場合の噴射具2は、必ずしもトリガー26を有するガンタイプである必要はなく、周知のシャワーノズルを採用しても良いが温水や水を無駄に使用しない配慮が必要である。
【0068】
また、本実施形態のカバー体23は、円板状の天板部231と、この天板部231に周設された略円筒形状の周壁部232とから構成されている。なお、カバー体23の形状は、種々の設計変更が可能であり、例えば半球形状に形成しても良い。天板部231の中央には、噴射ノズル部21の外径よりも内径が小さい円形の貫通孔230が開設されており、この貫通孔230と噴射体20との間に隙間(遊び)を有して挿入された状態になっているこのカバー体23は、噴射温水又は噴射水によりはね返った温水又は水の飛散を防止する。また、カバー体23を通して洗浄作業を視認するため、カバー体23は透明乃至半透明の合成樹脂材から形成されているのが好ましい。また、視認性のためには、後述のように被洗浄物Wからはね返った温水又は水が天板部231及び周壁部232の曇りを取り除き易く又大皿や箸類が収納できるサイズとするのが好ましい。
【0069】
噴射体20と可撓ホース25は、ワンタッチで着脱可能なように、公知の迅速継手(ワンタッチ継手)28を介して接続されている。図3は噴射体20を可撓ホース25に取り付ける直前の図である。迅速継手28の操作により容易に、洗浄時には噴射体20を可撓ホース25に接続することができる。噴射ノズル部21を囲むカバー体23の取り付けは、噴射体20を可撓ホース25から外し、噴射体20のグリップ部22をカバー体23の内側から貫通孔230に挿入し、再度可撓ホース25に接続することで容易に行うことができる。図示されていないが、噴射体20、噴射ノズル21が同径の場合は、噴射ノズルにリングがネジで固定されている、この部品の形状を変更することで同様な機能が果たされる、このリングの外形は貫通孔230より大きくカバー体23に接する形状が球面状の一部をなし着脱可能でカバー体23を組み込んでいる、この構造は噴射体20の可動範囲を大きくし可動も容易である。
【0070】
水栓110には、迅速継手28を介して可撓ホース25と着脱自在に接続されるようにした短管蛇口29が、迅速継手28の一部、迅速継手27の一部及び取付具290を介して固定されている。取付具290は継手を包むサイズの塩ビパイプを半割にして加熱して曲げ加工で製作されたものであるが、蛇口、継手及び取り付け具290の固定は3本のボルトと3個のナットが2箇所しようされ、それぞれを確実に固定できる構造になっている。洗浄時以外は、図4に示すように、噴射体20を可撓ホース25から外し、噴射体20と分離した可撓ホース25は、邪魔にならないよう約1回転のループを形成して迅速継手28を介して短管蛇口29に接続される。洗浄時以外では、可撓ホース25を水栓110に接続したままにできるので、噴射体20とカバー体23を組み込んだ状態でだけを片づければ良い。水栓110の蛇口と短管蛇口の固定は、樹脂の成型部品もしくは適当な部品を介して溶接やネジで固定しても良い。
【0071】
なお、図2に示す本実施形態では、可撓ホース25の他端部が、迅速継手27を介して水栓110に着脱自在に接続されており、回転の機能も有し、水栓110も回転機能を有するので、水栓110の長さと可撓ホース25の全長及び噴射体の長さが加算された範囲が可動でき、可撓ホース25のフレキシブル機能とで、噴射体20及びカバー体23はシンク120の内部を自在に可動し、噴射体20を洗浄時自在に移動又は揺動して被洗浄物の全体を洗浄できる。又迅速継手27はエルボ型で可撓ホース25を水栓110の中心方向に導きループ状にして再度水栓110の先端に向かい短管蛇口29を固定している迅速継手28と連結される。可撓ホース25の種類は、ステンレス製のシャワーホースや高重合pvc製の飲料水用ホース(労働省告示台20号適合)等が使用できる。
【0072】
調理中の噴射具2は、図示しない流し台100の上部に設置された棚に吊るされたフックに可撓ホース25を引っ掛けて吊るしておき、シンク120に洗浄台3を入れて調理すれば頻繁に発生する洗浄作業を効率化でき、水を節約し時間も短縮できる。又短管蛇口29には浄水器(図示されていないが)が取り付けられる、使用方法として、可撓ホース25中の残留空気を除去して浄水器をしようする、そのため洗浄後のみ原水にして水を流し切り替えが行われる。
【0073】
また、図5のように、可撓ホース25の他端部が温水又は水の供給路に常時接続され、かつ、この可撓ホース25が流し台に設けられた収納スペースに収納可能に設けられた場合、洗浄作業を行う際には、作業者が噴射体を持って手前に引くことで、収納スペースに収納された可撓ホースを適当な長さ分、引き出すことができ、その取り扱い性を向上させることができる。洗浄が完了したら、通常蛇口に迅速に戻すことが重要である。
【0074】
噴射具2を用いて、被洗浄物Wとして食器、調理具及び食材が洗浄できるが、レンジ調理部品や排気扇の部品などの備品も洗浄可能である。流し台100のシンク120に入らない大きいサイズの被洗浄物W(例えば、ガス台のトッププレート、排気扇のカバー、屋外に設置された塵収集箱等)又はシンク120で洗いたくない汚れの被洗浄物W(例えば排気扇のファンやダクト、運動靴や農作業靴、介護で汚物が付着した衣類及び寝具)は、流し台100に近い屋外の排水溝エリアで洗浄を行うこともできる。そのためには、噴射具2の可撓ホース25を排水溝まで届くように長い予備の噴射具を準備する。
【0075】
また、噴射具2は台所における非常時の消火器としても使用でき、この場合も噴射具2の可撓ホース25は長めのものが好ましい。
【0076】
洗浄台3は、図6示すように、被洗浄物Wを載置可能な平面視長方形状の平板状の載置部31と、載置部31の下面の四隅に設けられた脚部32と、から構成されている。洗浄台3は、被洗浄物を支えるとともに、カバー体23との間に密閉空間を形成して被洗浄物Wを密閉することで、はね返った温水又は水の飛散をより防止する。 また、洗浄台3は、温水を用いた洗浄時に噴射温水の熱を蓄熱して被洗浄物の加熱に寄与する。また、この洗浄台3を流し台100のシンク120の底面121に置いたとき、脚部32により載置部31と底面121との間に隙間33が形成される。この隙間33を通して、洗浄時の食材の残物や汚れを含んだ排水を迅速にシンク120の排水口124へ流すことができ、排水による被洗浄物Wの再汚染を防ぐことができる。また、洗浄台3をまな板と兼用し、調理の工程に度々洗浄がはいる場合、調理と洗浄を分離せず、洗浄台3上で調理をも行うことで調理時間を短縮でき、置く場所も無駄がない。被洗浄物の洗浄と同時に、まな板の洗浄も同時に行い得る。また、洗浄台3は、合成樹脂製とすることで噴射温水又は噴射水の衝撃音や食器や調理具の操作音も小さくすることができる。洗浄台3は、後述する二つの被洗浄物の交互連続洗浄のため、及び、多くのシンクに適用可能とするため、カバー体23が2個置けるスペースであるのが好ましい。合成樹脂製の洗浄台3は、SUS製の板金で製作したものに比べ半分以下の価格であるという利点もある。
【0077】
なお、公知の流し台のシンク120は、その底面121が平面視略長方形状を成しており、その長辺及び短辺がそれぞれ外側へ膨らむように湾曲し、かつ、底面121と壁面122との間に湾曲部123を有しているのが一般的である。したがって、シンク120の対向する一対の湾曲部123同士の間隔に合わせた大きさの板部材を準備し、この板部材を洗浄台として、一対の湾曲部123に架け渡すように載置すれば、この板部材から成る洗浄台と底面121との間に隙間を形成することができる。このように、洗浄台3として板部材を使用しても良い。
【0078】
乾燥かご7は、洗浄された被洗浄物を安定に収容して乾燥させるものである。乾燥かご7は、図7及び図8示すように、流し台100の天板上に配置したとき、水平面に対して傾斜する二つの底部71と、各底部71の下縁に設けられ、各底部71に置いた被洗浄物を寄り掛からせた状態で支持する二つの支持壁部72と、を備え、全体側面形状が略W形状を成している。この乾燥かご7は、自立して設置できるので、設置場所が自由である。底部71及び支持壁部72はそれぞれ、合成樹脂材のプレートで平面視長方形状の板状に一体成形されており、多数の水平横長の隙間712が並列状態に形成されている。なお、隙間を形成する合成樹脂材のかわりに、ステンレスの鋼線などの金属の線材を縦横に溶接接合して水平横長の隙間を形成しても良い。この場合、清潔感を高めることができるが、価格は高くなる。
【0079】
水平面に対し傾斜する各底部71の上縁同士は、公知の丁番から成るヒンジ部73によって折りたたみ収納可能に連結されており、各底部71の下縁には、丁番から成るヒンジ部74によって支持壁部72の下縁が折り畳み可能に連結されている。また、各底部71の下縁側同士は、両端にフック751を備えたチェーンから成る固定線材75により連結されており、各底部71の上縁側と支持壁部72の上縁側とが、両端にフック761を備えたチェーンから成る二つの固定線材76により連結されている。これらヒンジ部73、74によって乾燥かご7を折り畳んでコンパクトに収納することができ、また、固定線材75、76の長さを変えることによって、底部71及び支持壁部72の傾斜角度を適宜変更して被洗浄物の重心WGが支持壁部側に有るようにすることができる。例えば、底部71及び支持壁部72の傾斜角度を水平面に対し約45度とする。なお、底部71及び支持壁部72に、固定線材の両端をネジ止め固定することによって、これら底部71の下縁側同士、或いは底部71の上縁側と支持壁部72の上縁側とを連結しても良い。
【0080】
各底部71の上縁同士を連結するヒンジ部73に隣接する横列の隙間712の中央部には、仕切り713が設けられている。仕切り713は、ヒンジ部73に集中する荷重によるストレスを分散するものである。この仕切り713がない場合、本発明者の試作品ではヒンジ部73周囲の破壊の頻度が極めて高かった。また、各底部71の下縁と支持壁部72の下縁を連結するヒンジ部74に隣接する横列の隙間712の中央部にも、仕切り713を設けるのが望ましい。更に底部71と支持壁部72は全く同じプレート部品で構成すれば、金型が1種類となるので支持壁部72にも余分な713を設ける。
【0081】
各底部71の隙間712のサイズは、通常使用する食器の開口縁が挿入し易いように、長辺と短辺の長さはそれぞれ、150〜200mm、15〜17mmであり、厚さ方向の長さは、3〜5mmであるのが好ましい。各支持壁部72の隙間の長さは、通気性と剛性があれば、特定する必要はない。乾燥かご7の横方向(水平方向)の長さは、600mm程度が好ましい。また、各底部71の縦方向の長さは、200〜250mm程度が好ましい。底部71には隙間712が横方向に3個、縦方向に10個近く並ぶことができ、一つの底部71に食器を置き、もう一つの底部71に調理器具を混ぜて置くことで、標準家族の一日一回の使用に適当なものとなるからである。勿論、乾燥かご7の長さは限定されず、流し台が狭い場合は、食器専用などとして横方向の長さを400mm程度とすることもできる。
【0082】
このように乾燥かご7は、被洗浄物を寄り掛からせて支持する支持壁部72が傾斜しているので、図9に示すように、被洗浄物Wが例えば底の深い丼鉢等であっても、底部71に置いた被洗浄物Wを、傾斜した支持壁部72に寄り掛からせ、重心WGが支持壁部72側に有るようにして立てた姿勢で安定に収容することができる。なお、重心WGが支持壁部72側に有るとは、被洗浄物Wを支持する底部71の点を通る鉛直線Vよりも重心WGが支持壁部72側に有ることをいう。被洗浄物Wを立てた姿勢で収容できるので、被洗浄物Wに付いた水分が被洗浄物W内に溜まるようなこともなく、迅速な水切りと蒸発乾燥を行うことができる。しかも、底部71が水平面に対し傾斜し、かつ、多数の水平な隙間712を有しているので、適当な隙間712を選び、その隙間712に被洗浄物Wを一部差し込んで置くようにすれば、たとえ同一形状の被洗浄物Wを並べて収容する場合でも、被洗浄物W同士が密着状態で重なることもなく、被洗浄物W同士の間に蒸気がこもって蒸発乾燥が阻害されるようなこともない。
特に、被洗浄物Wが蓄熱している場合は、被洗浄物Wの上方空間には蒸気を含む上昇気流が発生することになり、この上昇気流による負圧を利用して、底部41の下方空間から被洗浄物Wへ比較的に乾燥した空気を積極的に導くことが可能となり、また、蓄熱の温度が高いほど付着した水分の平面張力が小さく、更に迅速な(例えば、約1分以内の)水切りと蒸発乾燥を行うことができる。また、底部71では被洗浄物W同士は離れ、底部71が傾斜しているために水きりの水は落下し、隙間712から空気が送り込まれて効率よく乾燥する。発明者の実験によると、夏場3ヶ月間は、水で洗浄しても1時間程度で乾いた。また、2番目以降に重なる被洗浄物Wは、更に重心WGが支持壁部側に有るので、底部71のあらゆる場所で転倒せずに収納することができる。これにより、被洗浄物Wを用心して考えながら底部71に置く必要はない、一秒の遅れが乾燥効率に大きく影響する。また、底部71のあらゆる場所で隙間712はほぼ同一形状であって特別な形状のものが一部にあるわけではないので、食器の種類、サイズ、数が限定されることもない。更には、支持壁部72のプレートが600×240mmで大きく、調理器具を寄りかからせた場合全体又は大部分を保持できるので、調理器具の収納が容易に出来る。しかも、食器も調理器具も安定して位置を選ばず収納できる。したがって、収容量が従来のものに比べて数倍大きく一日分を一回で処理可能である。なお、被洗浄物Wから落下した水又は温水は、流し台100の天板上に溜まり、溜まった水は、食器等の乾燥が完了し、食器を後述の移動式作業台5のトレー52等に収納し、乾燥かご7を折りたたんだ後、残留している場合は布巾でふき取ることになる。乾燥かごを収納かごとしてそのまま使用してもよい。図には記述されていないが乾燥かご7のシンクサイドに飛散防止プレートを設け、洗浄で機密を保てずひさんした水滴を遮断し洗浄された被洗浄物Wにかからないようにしている、構造は簡単で透明のアクリルのプレートを流し台100に置き乾燥かご7に接して置き、シンク側に45度傾斜さして上部の一箇所をフックで引っ掛けて固定しているだけのものである、大きな効果が有り安心して洗浄できる。
【0083】
移動式作業台5は、図10示すように、作業台車51にトレー52を上段に2個下段に2個搭載して構成される。作業台車51の構造は、例えば600×300mmの塗装された板51aの4枚を、上下段の板を両側面の板が挟むように取り付ける。上段の板は、トレー52の落下防止のため両側面の板の上端から20〜30mm下げて枠を形成する。また、枠の8コーナーについて接する2枚の板を8個のL型金具51bを用いたネジ止め等により内方から固定する。下段の板の下面の4箇所のコーナーには、自在に方向が変えられるキャスター52cを取り付ける。上下段の板の上面にはそれぞれトレー52が2個ずつ並べて置かれる。トレー52は、互いに積み重ねでき、一部の側壁が低くして、時間の短縮を計るべく食器を取り出しやすい形状にしてある。上段のトレー52は食器類を収納するもの、下段のトレー52は主に調理器具を収納するものとしておくのが好ましい。収納容量は、乾燥かごと同量程度で一日分を一回で処理できる容量を有する。
【0084】
図1に示すように浸し容器150をシンク120を挟んで乾燥かご7と反対側に設ける。浸し容器150は、洗剤を少量いれ水で100〜1000倍程度に希釈し溶液を溜める、食後すぐ食器や調理具をこの溶液に浸して、すぐ移動式作業台5のトレー52にストックし洗浄を継続する、温水洗浄はトレー52から食器や調理器具は洗浄台3に投入される。水の洗浄は、洗浄開始時浸し容器150の希釈洗剤をすて、50〜60℃の温水を溜めトレー52から複数個の食器を投入する、その温水量は水使用量の10〜20分の一である。浸し洗浄で汚れが剥がれかかっている状態を温水に浸すことで水分と熱が供給されより剥がれやすくし、2個ずつ食器を洗浄台3に取り出して3回の水噴射洗浄し、水で年間を通して洗浄できるようにする。既に効果の項目で記述したように経費が大幅に節減でき、最大の省エネを達成しCO削減に非常に効果がある。
【0085】
排水装置9は、温水を用いた被洗浄物の洗浄時の、温排水の熱を回収するためのものであり温水洗浄を行う必要不可欠な装置ではない、十分条件として使用されるものである。この排水装置9は、図11に示すように、流し台100のシンク120の底部下に、温排水が流れ落ちるように排水筒90Aが取り付けられ、排水筒90Aの底部下には、更に温排水が流れ落ちるように排水筒90Aよりも断面積が小さい排水ホース90Bが接続されている。一方、内部に設置された底板104の上には、熱交換外部容器91が載せられ、その内側には、熱交換外部容器91の底部に厚みの薄い平盤97が固定されて置かれ、その上に、熱交換外部容器91よりも上端開口径が小さい熱交換内部容器92が排水筒90Aの周囲を取り囲むように置かれる。熱交換内部容器92は、温排水の浮力で浮き上がらないように開口部が3個のブラケット(留め具)92Aで熱交換外部容器91に固定されている。熱交換内部容器92の底部中央近傍には温排水が通るように貫通孔が形成され、それに排水ホース90Bの底部が接続されている。
【0086】
熱交換外部容器91の周壁上部には、後述の熱交換パイプ96の上端よりも少し上側に貫通孔が形成されて排水ホース93が取り付けられ、分岐管95の第一端に連結される。熱交換外部容器91の周壁部の底部近傍には、貫通孔が形成されてバルブ94が取り付けられ、排水管で分岐管95の第二端に連結される。分岐管95の第三端は、下水管等(図示せず)まで延在する外部排水ホース95Aに接続されている。
【0087】
熱交換外部容器91及び熱交換内部容器92の形状は、熱交換外部容器91の内周面と熱交換内部容器92の外周面との隙間Gを後述のように温排水が上昇し易いよう傾斜を設けた逆さ円錐台状が好ましい。熱交換外部容器91のサイズは、例えば、直径460mm、高さ400mmであり、熱交換内部容器92のサイズは、例えば、直径330mm、高さ270mmである。隙間Gは、30〜60mmが好ましい。平盤97は基部97aと一様に上に突出した中央近傍の突出部97bとから成り、いわゆる帽子(ハット)形状となっている。平盤97の外周縁と熱交換外部容器91の内周面との間には適度な隙間が有る。平盤97の基部97aは、分散されて付された接着部材(例えば、両面テープ)により、熱交換外部容器91の内底面に貼り付けられ固定されている。従って、平盤97の基部97aと熱交換外部容器91の内底面との間には、僅かな隙間が存在する。平盤97の突出部97bには、熱交換外部容器91の内底面との間の空間にエアーを供給するために、貫通孔が形成され、それにエアー供給チューブ98が接続されている。エアー供給チューブ98のもう一方側には、フットエアーポンプ99が接続されている。なお、平盤97と熱交換内部容器92の外底面との隙間G’は5〜10mmが好ましい。熱交換外部容器91、熱交換内部容器92、及び平盤97の材質は、限定されず、例えば、合成樹脂製である。市販の合成樹脂製の漬物樽やその蓋を利用してもよい。この合成樹脂性の市販の漬物樽は安価で保温性に優れている。
【0088】
熱交換パイプ96は、隙間Gに螺旋状に配設され、一方の端(流入端)が水源(水道水の供給路)に接続され、他方の端(流出端)が給湯器130に接続されて構成されている。符号96Aで指示するものは、熱交換パイプ96と水源とを連結する流入管(例えば、フレキ配管)であり、符号96Bで指示するものは、熱交換パイプ96と給湯器130とを連結する流出管(例えば、フレキ配管)である。熱交換パイプ96は、熱交換の効率性から、銅管が好ましい。例えば、銅管径12.7mm、巻数16、巻径400mmである。なお、水源及び給湯器130は、排水装置9の中心から3m以内に設置されるのが好ましい。図中、符号90aで指示するものは、シンク120の排水口124の口部に着脱自在に設けられたフィルタである。
【0089】
この排水装置9では、噴射具2により温水を噴射しているとき、シンク120からの温排水は、排水筒90A、排水ホース90B、平盤97と熱交換内部容器92の外底面との隙間G’を通り、熱交換外部容器91の内周面と熱交換内部容器92の外周面との隙間Gを下から上に周囲に広がりながら流れ、排水ホース93から排水される。一方、水源から供給された水道水は、隙間Gを上から下に配設されている熱交換パイプ96内を移動し、流出管96Bを経て、給湯器130に供給される。このとき、隙間Gを流れる温排水21は、熱交換パイプ96内を流れる水道水を加熱し、この加熱した水道水を給湯器130に供給することによって、温排水の熱量を有効に利用するようにしている。なお、温水の断続使用の場合は、噴射が止まっているとき、隙間Gに溜まった温排水21が熱交換パイプ96内部の流れが停止している間に水導水を加熱するので、給湯器130のQ機能が有る場合はそれを補助し、給湯器130にQ機能が無い場合でも再出湯直後の温水の温度の低下を最小限に抑えることができる。
【0090】
熱交換パイプ96は螺旋状に配設されているので、温排水との接触面積が大きく、効率的な熱交換を行うことができる。また、排水筒90Aから排水ホース90Bを通って流れ落ちる温排水の圧力により、隙間Gの温排水を下から上に押し上げるようにする必要があるが、熱交換パイプ96の巻数を増やしても、押し上げられる温排水に対する抵抗はさほど増加しない。これにより、熱交換パイプ96を適切な巻数として十分な熱交換を行うことができる。また、熱交換パイプ96の流入端は流出端よりも上側にあるので、温排水21と水道水の流れが逆である。これにより、水道水は徐々に温度の高い温排水から熱量を得ることになり、熱交換は更に効率的になっている。
【0091】
この排水装置9を用いた熱回収率の実験結果を以下述べる。水源の温度が10℃であり、給湯器130の設定温度を60℃として温水により食器等を洗浄したところ、排水筒90Aにおける排水温度は48℃であり、熱交換後の排水ホース93における排水温度は33℃であった。よって、水道水は、水源から給湯器130までに(60−10)=50℃分の熱量を得、食器や調理具には、(60−48)=12℃分の熱量が蓄熱されたことになる。すなわち、12/50×100=24%の熱量が蓄熱として洗浄乾燥に利用される。また、排水筒90Aの温排水は、水源の水道水に対し相対的に(48―10)=38℃分の熱量を有し、排水ホース93に至るまでに(48―33)=15℃分の熱量を水道水に与えたことになる。すなわち、15/38×100=39%の熱量が回収されたことになり、省エネとなる。
【0092】
洗浄時以外又は洗浄が完了すると、バルブ94を開き、分岐管95を通して隙間Gに溜まった温排水を外部排水ホース95Aから排水する。すなわち、バルブ94を開閉することで温排水の熱量を回収するか否かを決めることが可能である。また、排水装置9のメンテナンスは、温排水に含まれた油等が熱交換パイプ96に付着しこれが放置されると積層していくので、クリーニングが必要となる。熱交換外部容器91の内周面と熱交換内部容器92の外周面及び熱交換パイプ96の汚れをクリーニングするため、平盤97の突出部97bと熱交換外部容器91の内底面との間の空間に、フットエアーポンプ99でエアーを供給すると、平盤97の基部97aと熱交換外部容器91の内底面との僅かな隙間をエアーのが通過して、平盤97の周囲から泡が噴出する。泡は上部の隙間Gに沿って上昇するので、熱交換外部容器91の内周面と熱交換内部容器92の外周面及び熱交換パイプ96の汚れを効率的にクリーニングする。それにより、熱交換の性能を維持することができる。なお、クリーニングは、洗浄後で排水前に行うことが好ましい。
【0093】
以上、本実施形態の洗浄乾燥装置を説明した。この洗浄乾燥装置は、既存又は新設の流し台を活用して、噴射具、洗浄台、乾燥かご、移動式作業台、洗剤及び温水浸し容器を、オプションとして排水装置を追加するだけなので、分岐栓工事等を必要とする食器洗い乾燥機を流し台に設置する場合や流し台の内部に内臓さす装置比べ、2重投資とならずコストは格段に低く(例えば、1/10〜1/20程度に)することができる。
【0094】
次に、この洗浄乾燥装置を使用した本実施形態の洗浄乾燥方法について説明する。ここでは、被洗浄物Wが食器、調理器具の場合を説明し、食材の場合については後に言及する。温水の場合は、洗剤浸し工程、加熱洗浄工程及び蓄熱乾燥工程で行われ、水の場合は、洗剤浸し工程、温水浸し工程、洗浄工程、及び乾燥工程を経て行われる。忙しい人、清潔感が強い人、洗浄乾燥作業が嫌いな人又は洗浄対象物の汚れが落ちにくい場合は温水を使用し短時間に綺麗に楽に洗浄乾燥できる。経費を節減し環境を重視する人は水洗浄乾燥を選定できる、また状況や季節にあわして組合して個人の好みで最適洗浄を行うことが出来る。まず温水洗浄を説明し、水洗浄を後述する。
【0095】
まず、洗浄工程の前段階の準備工程として、図1に示すように、流し台100のシンク120内に洗浄台3を置き、シンク120に隣接して乾燥かご7を配置する。そして、食卓等から回収した被洗浄物Wがトレー52にストックされている移動式作業台5を流し台100の近くに配置する、更にシンク120を挟んで乾燥かご7の反対側に洗浄及び温水浸し容器150を配置する。流し台100の水栓110に噴射具2を接続し、噴射体20のトリガー26を引けば、噴射ノズル部21から温水が噴射できる状態にしておく。
【0096】
温水洗浄の場合は、図示しない既設のガス又は電気給湯器130を作動させておく。温水を供給する給湯器130は、その吐出温水の温度を調節可能であるものが好ましい。温水の温度は、38〜60℃に適宜設定される。時間を短縮したい場合は、約45℃〜約60℃であることが好ましく、省エネのために、約35℃〜約44℃であることが好ましい。
【0097】
排水装置9については、温水洗浄乾燥を行うために必要不可欠なものではなく十分条件として扱われる。高温の洗浄乾燥を多用する場合は効果がある。排水装置9を備える温水洗浄の場合は、バルブ94を閉じ温排水の熱量を回収できるようにし、水洗浄の場合は、排水装置9のバルブ94を開き排水装置9の内部に水が溜まらず直接排水されるようにする。
【0098】
また、食後回収された被洗浄物Wは、準備工程の中に浸し工程が含まれる。すなわち、浸し容器150で洗剤の原液を100〜1000倍に水で希釈し洗剤の水溶液を作り、洗剤の消費量を少なくするため、大皿が入るほどの浸し容器150に溜める。そして、移動式作業台5をこの容器に近接して配置する。非洗浄物Wをトレー52から取り出して洗剤の水溶液に浸したらすぐにトレー52に返し、トレー52の中で浸し工程を進行させる。これにより、移動式作業台5のトレー52は、被洗浄物Wのストックや搬送以外に浸し工程の一部を担うことになり、シンク120の内部をいつでも調理等に使用できるように空けておくことができ、また、従来の浸し工程のような、容器に被洗浄物Wがすぐに溜まることで清潔感を欠いたり、少量しか処理できなかったりの問題は生じない。なお、浸し工程において洗剤は手に接触するが、洗剤が希釈されており、しかも接触が短時間であるので、手による擦り洗いに比べ100分の1以下程度の接触に相当し、手への影響は少ない。こうして、移動式作業台5上のトレー52には、浸し工程の被洗浄物Wが収容されることになり洗剤による洗浄が常に継続される。
【0099】
かかる準備工程の後、移動式作業台5を乾燥かご7に接近させて配置し、移動式作業台5上に載置されたトレー52から浸し工程の被洗浄物Wを一つずつ取り出し、洗浄台3上に載置し、被洗浄物Wの洗浄工程を行う。
【0100】
洗浄工程では、図6に示すようにして、噴射具2により温水を被洗浄物Wに向けて噴射することで、水圧エネルギーを無駄に放出せずに活用し温水を強力に噴射する。浸し洗浄で洗剤で汚れの剥離が促進され、更に温水が被洗浄物Wに対し激しく当たることで熱交換効率を高め、蓄熱しながら急速加熱し汚れや洗剤を溶解して容易に剥離し濯ぎまで行う、更に又乾燥工程に必要な蓄熱が同時に行われる。
【0101】
また、この洗浄工程では、噴射具2のカバー体23によって温水の周囲への飛散を抑制することができるので、周囲が濡れることもないし、カバー体23によって噴射ノズル21回りを保温し蒸気の発生や拡散を抑制するので、温水の熱を無駄なく被洗浄物Wの加熱に利用することができる。洗浄台3とカバー体23で密閉空間を形成して被洗浄物Wを密閉すると、温水の飛散を更に抑制し、洗浄台3及び密閉空間が蓄熱するので、温水の熱を更に無駄なく被洗浄物Wの加熱に利用することができる。なお、被洗浄物W間を移動するときや被洗浄物Wを交換するときは噴射を一時停止するのがよく、この場合は給湯器130の性能が良いことが条件となる。
【0102】
また、カバー体23が透明乃至半透明材料から構成されているので、洗浄作業をカバー体23を通して視認することができる。洗浄時には、被洗浄物W等に当たってはね返った温水が、カバー体23の内面に当たり、この内面を流れ落ちるので、カバー体23内面に蒸気の凝縮による曇りや付着する水滴の曇りが生じて視認性が阻害されることもなく、洗浄作業の視認性を維持することができる。
【0103】
更にまた、噴射具2は、水栓110と可撓ホース25によって連結されており、片手で操作することができるので、被洗浄物Wに対し最適な角度、位置で温水を噴射することができる。しかも、カバー体23が噴射体20に揺動可能に設けられているので、図6に示すように、カバー体23を洗浄台3に密着させて洗浄する際にも、被洗浄物Wに対する噴射の角度等を適宜に変更することができ、効率的な洗浄を行うことができる。カバー体23の貫通孔230と噴射体20との間には隙間があるので、噴射の角度や高さを変更し易い。また、被洗浄物として、例えばフライパンやグリルの内箱等の比較的に大きなものを洗浄する場合、噴射体20を横方向へ移動させながらカバー体23を被洗浄物に倣って揺動させることができ、効率的な洗浄を行うことができる。また、被洗浄物を反転したり取り替えたりするときは、噴射体20を持ち上げることで、カバー体23を持ち上げる。このとき、トリガー26を握ることにより、水流を止めたり開放したりする断続使用を行うことが好ましい。なお、連続噴射使用でも構わないことは勿論である。
【0104】
更にまた、本実施形態では、洗浄台3をシンク内に置いたとき、シンクの底面との間に隙間33が形成されるので、この隙間33を通して、洗浄時の排水を迅速にシンク120の排水口124へ流すことができ、汚れを含んだ排水による被洗浄物Wの再汚染を防ぐことができる。つまり、シンク120内に置いた洗浄台3によって、被洗浄物Wの洗浄領域と、汚れを含んだ排水の排水領域とを確実に分離することが可能となり、汚れた排水によって被洗浄物Wが再汚染されるおそれがない。
【0105】
次に、被洗浄物Wが皿状の場合とコップの場合に有用な洗浄方法を紹介する。本実施形態では、洗浄工程において、図12に示すように、一つの皿状の被洗浄物Wに対して計3回の温水噴射を行うようにしている。即ち、まず、図12(a)に示すように、被洗浄物Wの比較的に汚れ程度が大きい一の面F1を上に向けて洗浄台3上に載置する第一ステップと、この一の面F1に噴射温水を当てて一の面F1を加熱洗浄する第二ステップとを行う。次いで、図12(b)に示すように、被洗浄物Wを反転させ、比較的に汚れ程度が小さい他の面F2を上に向けて洗浄台3上に載置する第三ステップと、この他の面F2に噴射温水を当てて他の面F2を加熱洗浄する第四ステップとを行う。そして、図12(c)に示すように、被洗浄物Wを再度反転させ、一の面F1を上に向けて洗浄台3に載置する第五ステップと、この被洗浄物Wの一の面F1に再度、噴射温水を当てて一の面F1を加熱洗浄する第六ステップとを行う。
【0106】
このように、汚れ程度の大きい面を一の面F1として、計3回の温水噴射を合計10秒間行うことによって、汚れ程度の大きい一の面F1に対して計2回の温水噴射を行うことができ、皿状の被洗浄物Wを、温水を無駄にすることなく効率的に洗浄することができる。即ち、温水噴射を繰り返す度に、被洗浄物Wの温度を高めることができるので、一の面F1に対する第二ステップの洗浄により落し切れなかった頑固な汚れも、同じ一の面F1に対する第六ステップの洗浄によって、きれいに洗い落とすことができる。
【0107】
また、本実施形態では、このような一つの被洗浄物Wに対する計3回の温水噴射を、洗浄台3上に並べた二つの被洗浄物Wに対して交互に並行して行うようにしている。
【0108】
まず、図13に計3回の温水噴射による洗浄を交互に行う場合を示す、図13の(a)に示すように、洗浄台3上に、第一の被洗浄物WAと第二の被洗浄物WBとを並べて載置し(WA:第一ステップ、WB:第一ステップ)、第一の被洗浄物WAの一の面に対して温水を噴射して加熱洗浄を行う(WA:第二ステップ)。
【0109】
次に、図13(b)に示すように、温水の噴射を継続又は一時停止して噴射具を図面に向かって右側へ移動させ、第二の被洗浄物WBの一の面に対して温水を噴射して加熱洗浄するとともに、第一の被洗浄物WAを反転させる(WA:第三ステップ、WB:第ニステップ)。一方の手で噴射具を操作しながら他方の手で第一の被洗浄物WAを反転させるのである。
【0110】
次に、図13(c)に示すように、温水の噴射を継続又は一時停止して噴射具を図面に向かって左側へ移動させ、第一の被洗浄物WAの他の面に対して温水を噴射して加熱洗浄するとともに、第二の被洗浄物WBを反転させる(WA:第四ステップ、WB:第三ステップ)。
【0111】
次に、図13(d)に示すように、温水の噴射を継続又は一時停止して噴射具を図面に向かって右側へ移動させ、第二の被洗浄物WBの他の面に対して温水を噴射して加熱洗浄するとともに、第一の被洗浄物WAを再度反転させる(WA:第五ステップ、WB:第四ステップ)。
【0112】
次に、図13(e)に示すように、温水の噴射を継続又は一時停止して噴射具を図面に向かって左側へ移動させ、第一の被洗浄物WAの一の面に対し再度、温水を噴射して加熱洗浄するとともに、第二の被洗浄物WBを再度反転させる(WA:第六ステップ、WB:第五ステップ)。
【0113】
次に、図13(f)に示すように、温水の噴射を継続または一時停止して噴射具を図面に向かって右側へ移動させ、第二の被洗浄物WBの一の面に対し再度、温水を噴射して加熱洗浄する(WB:第六ステップ)。その後、一方の手で噴射具を操作して温水の噴射を継続または一時停止し、他方の手で第一の被洗浄物WAと第二の被洗浄物WBを乾燥かご7に入れる。本実施形態では、乾燥かご7をシンク120に隣接して配置しているので、洗浄済みの第一の被洗浄物WAと第二の被洗浄物WBを片手で素早く乾燥かご7に収容することができ、しかも、移動式作業台5をシンク120の傍らに設けているので、次に述べるように未洗浄の第三の被洗浄物WCと第四の被洗浄物WDを片手で素早く洗浄台5上に載置することができる。このように、片手で迅速に洗浄台上の被洗浄物の取り替え作業を迅速(例えば5秒以内)に行うことができる。連続噴射の場合は、連続取替え作業に時間がかかって噴射温水が無駄になるようなことも少ない。
【0114】
次に、図13(g)に示すように、第三の被洗浄物WCと第四の被洗浄物WDとを移動式作業台5上に載置されたトレー52から取り出し、洗浄台3上に並べて載置し(WC:第一ステップ、WD:第一ステップ)、第三の被洗浄物WCの一の面に対して温水を噴射して加熱洗浄する(WC:第ニステップ)。
【0115】
次に、図13(h)に示すように、温水の噴射を継続又は一時停止して噴射具を図面に向かって右側へ移動させ、第四の被洗浄物WDの一の面に対して温水を噴射して加熱洗浄するとともに、第三の被洗浄物WCを反転させる(WC:第三ステップ、WD:第ニステップ)。
【0116】
その後、第一の被洗浄物WA及び第二の被洗浄物WBに対して行った各ステップを、第三の被洗浄物WC、第四の被洗浄物WD、及び更に他の被洗浄物に対して順に繰り返して同時並行的に行うことによって、多数の被洗浄物の洗浄工程を素早く連続的に行うことが可能となる。
【0117】
このように本実施形態では、洗浄工程を二つの被洗浄物に対し並行して行うようにしているので、温水噴射を継続又は一時停止して連続的に洗浄工程を行うことができ、食器一個当たり10〜15秒以内の迅速な洗浄も可能とした。温水の噴射の継続又は一時停止の選択は、頻繁に噴射及び一時停止を繰り返しても、温水の温度変化がほとんどない場合例えば最近のガス給湯器やオール電化で夜間の電力で温水を作りタンクに溜めている場合は、一時停止を選び、完全に密閉の状態でしか噴射しないようにすることで飛散防止と省エネを達成する。噴射及び一時停止を繰り返すことで温度変化が大きい場合は、食器の置き換えには噴射を継続して洗浄するが、被洗浄物Wを取り替える瞬間に、一時停止する。
【0118】
また、一方の手で一の被洗浄物を加熱洗浄しながら、同時に他方の手で他の被洗浄物を反転操作し、或いは、被洗浄物の取り替え操作をすることができるので、噴射温水が直接、作業者の手にかかることもない。したがって、45℃以上の比較的高温の温水で洗浄する場合でも、安全に被洗浄物の洗浄作業を行うことができる。
【0119】
また、本実施形態では、被洗浄物Wが、例えば底の深いコップである場合、以下の手順で洗浄工程を行う。即ち、まず、被洗浄物たるコップを横倒しコップの底をシンクに当てた状態で洗浄台3に載置する。そして、このコップの口部に対し、水平と略30度の角度をつけて、温水を前後に移動して3〜4秒間噴射して該コップ内に温水の旋回流を発生させ、同時に外部にも噴射される、噴射を停止してコップを120度転がし上記と同様な噴射を行い再度120度位置を変え全体を洗浄する、この噴射でコップの内部には旋回流が生じコップを加熱しながら汚れを洗い落とすのである。この方法によって、従来の手洗いでは落し難かったコップ内の汚れも効率的に洗い落すことが可能となる。また、この方法では、コップの外部も同時に洗浄することができる。洗浄時間は噴射時間は9〜12秒であるがその他の動作も入れると15〜18秒で一個洗浄できる。
【0120】
以上に説明した洗浄工程の後、被洗浄物Wは直ちに乾燥かご7に移され、温水は低粘土で水切りが早く、高温蓄熱では数秒以内に乾燥し低温蓄熱では数分で乾燥する。
【0121】
次に水洗浄を記述する。水洗浄の工程は、洗剤浸し工程、温水浸し工程、洗浄工程、乾燥工程で行われる。洗剤浸し工程は温水と全く同じである、温水浸し工程の追加が重要である、浸し容器150の洗剤を捨て、代わりに50〜60℃の温水を入れて満たし、移動式作業台5のトレー52から複数個の被洗浄物Wを一度に浸し容器150の温水に投入する。洗剤で浸された被洗浄物Wは、汚れが洗剤で剥がされつつあるが、時間が経つと食器の水分が蒸発し、汚れと洗剤が固まり始める、これを防止し更に洗浄力を強化するために温水に浸すと水分が供給され、更に熱を加えると洗剤が汚れを剥ぎ取りながら溶解し除去し易い状態になる。
【0122】
洗浄工程は、被洗浄物Wの洗浄台3への投入は浸し容器150から行うとすれば、温水での洗浄方法と同じである、噴射力は水圧を全てかけて流量を大幅に制限されず噴射するので強力となり除去し易い状態の洗剤や汚れを噴射水で衝撃を与え洗浄できる。食器の一面に3〜4秒噴射する、一個の被洗浄物Wに3回洗浄するので噴射時間は9〜12秒(手洗いは温水を13.5秒間流す)であるが、移動時間や温水浸し工程の時間が加算されるので、洗浄時間は15〜17秒となり温水洗浄より被洗浄物W一個当たり2〜3秒ほど長くかかる。しかし温水の使用量は、全水量の十分の一以下なので最大の省エネを達成し、経費の節約も上述したように達成できる。
【0123】
大型の調理器具は、浸し容器150には入らないし、殆どが焦げ付きが生じ、これは洗剤浸しや噴射水又は噴射温水では落ちないので、食器を浸した残り洗剤で、本発明人が出願した柄付金属タワシ(特願2008−075265)で一個づつ磨いたものを、移動式作業台5のトレー52にストックし水又は温水で食器と同じ3回洗浄を個別に行う。
【0124】
小物の食器具(箸、スプーン、ホーク、さじ等)の洗浄乾燥は、洗浄浸しや温水浸し後に箸類と金属にわけ複数個を洗浄台3にのせ、噴射具を被せると密閉されるサイズにカバー体23が設計されていて、それぞれを一度に洗浄する、金属類は両面を洗浄する。
【0125】
被洗浄物Wの乾燥は、一日一回の連続洗浄で乾燥かご7に投入され、一日分を収納し夜間自然乾燥で乾燥する、最近は全員で揃って定刻に食事をすることが出来ない状況が多く食事はバラバラになる、各自が被洗浄物Wを浸しトレー52に入れストックしておき、一日一回の夜間洗浄乾燥ですますことが負荷がかからず効率的に洗浄乾燥できる秘訣である。
【0126】
食材については、野菜はSUSかご入れて洗浄台3に置き洗剤は使用せず水又は低温の温水噴射洗浄を行う、噴射洗浄の回数や置き方は、野菜の種類で個別に判断し洗浄する、複雑な形状をした野菜等に付着した土、農薬、酸性雨、殺虫剤、及び粉塵、等の汚れを噴射洗浄すると見違えるほど新鮮になる。又肉や魚は防腐剤や粉塵が付いたまま色々な経路を経て直前にパックで包装され販売されている、これを冷凍庫で保存し、料理直前に取り出し包装紙も肉や魚からでた水分で凍結している場合は、温水洗浄すると解凍しながら洗浄できすぐ料理に使用できる、凍結していない場合は水で洗浄する。噴射洗浄すると魚は見違えるほど新鮮に見える、安い肉は着色剤の汚れもでる場合がある。
【0127】
洗浄台3としてキッチィンまな板を使用しているので、料理を作る際には食材を包丁で切断後すぐ被洗浄物とキッチンまな板や包丁を洗浄するケースが多々有り噴射洗浄すれば一瞬に洗浄できる。料理中は流し台100の上部に設けられた棚からフック(図示されていない)を吊り下げ、それに噴射具2を吊るしておけば調理の邪魔にならず直ぐ使用でき調理の時間も大幅に短縮できる。
【0128】
また、移動式作業台5を用いると、前述のような浸し工程、洗浄工程、乾燥工程における合理的なシステム化ができるが、更に、次のことも可能である。すなわち、乾燥した食器をトレー52に移し、まとめて食器棚に搬送して収納する、食後、食器はトレー52に整理して回収し、流し台100に搬送する。
【0129】
以上、本実施形態の被洗浄物Wの洗浄乾燥方法、及びこの方法の実施に直接使用する噴射具、洗浄台、乾燥かご、移動式作業台、浸し容器及び排水装置を備える洗浄乾燥装置について説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づいて種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内でいずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良く、また、一体に構成されている発明特定事項を複数の部材から構成したり、複数の部材から構成されている発明特定事項を一体に構成した形態で実施しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、食堂、食材調理工場や家庭等における食器、調理器具及び食材の洗浄乾燥だけでなく、他の洗浄乾燥にも応用可能である。
【実施例】
【0131】
従来の手洗いによる洗浄乾燥方法A、本発明の洗浄乾燥方法B、食器洗い乾燥機を使用した洗浄乾燥方法Cを比較し、本願発明者が評価しまとめた結果を表1に示す。評価は、極力客観的なものになるようにし、項目ごとに0〜9点、大きい数値ほど評価が高いものとした。結果、洗浄乾燥方法A、B、Cの評価点はそれぞれ、95点、150点、96点となった。
【0132】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本実施形態の食器、調理器具及び食材の洗浄乾燥方法の実施に直接使用する噴射具、洗浄台、乾燥かご、移動式作業台を示す流し台の平面図である。
【図2】本実施形態の噴射具の使用状態を示す部分断面側面図である。
【図3】本実施形態の噴射具を説明する部分断面側面図である。
【図4】本実施形態の噴射具の他の使用状態を示す部分側面図である。
【図5】本実施形態の他の例の噴射具の使用状態を説明する部分断面側面図である。
【図6】本実施形態の洗浄台及び洗浄工程を説明する部分断面側面図である。
【図7】本実施形態の乾燥かごの概略正面図である。
【図8】本実施形態の乾燥かごの概略平面図である。
【図9】本実施形態の乾燥かごに被洗浄物を収納した一例を示す部分断面正面図である。
【図10】本実施形態の移動式作業台の正面図及び側面図である。
【図11】本実施形態の排水装置の部分断面側面図である。
【図12】本実施形態の洗浄乾燥方法における洗浄工程を説明する概略側面図である。
【図13】本実施形態の洗浄乾燥方法における洗浄工程を説明する概略側面図である。
【符号の説明】
【0134】
W、WA、WB、WC、WD;被洗浄物
F1;被洗浄物の一の面
F2;被洗浄物の他の面
100;流し台
110;水栓
120;シンク
121;シンクの底面
122;シンクの壁面
130;給湯器
2;噴射具
20;噴射体
21;噴射ノズル部
22;グリップ部
23;カバー体
24;リング
230;貫通孔
25;可撓ホース
27、28;迅速継手
29;短管蛇口
3;洗浄台
31;載置部
32;脚部
33;隙間
5;移動式作業台
51;台車
52;トレー
7;乾燥かご
71;底部
72;支持壁部
9;排水装置
90A;排水筒
90B;排水ホース
91;熱交換外部容器
92;熱交換内部容器
94;バルブ
95;分岐管
96;熱交換パイプ
96A;流入管
96B;流出管
97;平盤
97a;平盤の基部
97b;平盤の突出部
98;エアー供給チューブ
99;フットエアーポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器、調理器具、及び食材の洗浄乾燥方法であって、
噴射ノズル部が設けられた噴射体、該噴射ノズル部を囲み揺動自在に結合されたカバー体、を備えた噴射具により温水又は水を被洗浄物に噴射し、前記カバー体によって洗浄時における温水又は水の飛散及び蒸気の拡散を抑制しながら洗浄する洗浄工程と、
被洗浄物の水切りと蒸発乾燥を行う乾燥工程と、
を有することを特徴とする洗浄乾燥方法。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄乾燥方法において、
前記洗浄工程では、流し台のシンク内に洗浄台を置き、該洗浄台上に被洗浄物と前記カバー体を載置し密閉空間を形成した状態で被洗浄物を洗浄することを特徴とする洗浄乾燥方法。
【請求項3】
請求項2に記載の洗浄乾燥方法において、
前記洗浄工程では、噴射ノズルを最適の位置に揺動させ、噴射温水を被洗浄物に最適な角度で当てて、被洗浄物を加熱し蓄熱しながら洗浄する洗浄工程と、水分をすばやく水きりし、該被洗浄物の蓄熱を利用して蒸発させる乾燥工程とを有することを特徴とする洗浄乾燥方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の洗浄乾燥方法において、
前記洗浄工程では、前記洗浄台を前記シンクの底面との間に隙間をあけてシンク内に置き、該隙間を通して洗浄時の排水を流すことを特徴とする洗浄乾燥方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の洗浄乾燥方法において、
前記洗浄工程の前に、流し台に洗剤の水溶液を入れた浸し容器を置き、トレーを搭載した移動式作業台を該浸し容器に近接して配置し、被洗浄物を洗剤の水溶液に浸した後、その被洗浄物を移動式作業台のトレーにストックして浸し工程を進行させることを特徴とする洗浄乾燥方法。
【請求項6】
請求項5に記載の洗浄乾燥方法において、
浸し工程を経た被洗浄物を一旦、浸し容器に溜めた温水に浸すことを特徴とする洗浄乾燥方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の洗浄乾燥方法において、
前記乾燥工程を行う乾燥かごを流し台に設置し、
未洗浄の被洗浄物又は洗剤の希釈液が付着した被洗浄物が入ったトレーを搭載した移動式作業台を該乾燥かご及び前記シンクに近接して配置し、
洗浄工程が完了した被洗浄物を乾燥かごに収納し、被洗浄物を移動式作業台のトレー又は上記の温水を溜めた浸し容器の内から取り出してシンク内に投入することを特徴とする洗浄乾燥方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の洗浄乾燥方法において、
前記洗浄工程では、
被洗浄物の一の面を上に向けて該被洗浄物を洗浄台に載置する第一ステップと、
該被洗浄物の該一の面に噴射温水又は水を当てて該一の面を洗浄する第二ステップと、
該被洗浄物を反転させ、該被洗浄物の他の面を上に向けて該被洗浄物を該洗浄台に載置する第三ステップと、
該被洗浄物の該他の面に噴射温水又は水を当てて該他の面を洗浄する第四ステップと、
該被洗浄物を再度反転させ、該被洗浄物の該一の面を上に向けて該被洗浄物を該洗浄台に載置する第五ステップと、
該被洗浄物の該一の面に再度、噴射温水又は水を当てて該一の面を洗浄する第六ステップと、
から成る洗浄を行うことを特徴とする洗浄乾燥方法。
【請求項9】
請求項8に記載の洗浄乾燥方法において、
前記第一ステップ乃至第六ステップを、温水又は水を連続又は断続噴射しながら、前記洗浄台上に並べて載置した二つの被洗浄物に対し交互に行い、一の被洗浄物を洗浄しながら、他の被洗浄物を反転又は取り替えることを特徴とする洗浄乾燥方法。
【請求項10】
食器、調理器具、及び食材の洗浄乾燥装置であって、
温水又は水が噴射される噴射ノズル部及び作業者に把持されるグリップ部が設けられた噴射体と、
該噴射ノズル部を囲むように噴射体に揺動可能に結合されるカバー体と、
一端部が該噴射体に接続され、他端部が温水又は水の供給管に接続される可撓ホースと、
を備える噴射具を有することを特徴とする洗浄乾燥装置。
【請求項11】
請求項10に記載の洗浄乾燥装置において、
前記カバー体はその内面に当たる温水又は水による曇りを防いで洗浄作業の視認性を維持するよう透明又は半透明材料から成ることを特徴とする洗浄乾燥装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の洗浄乾燥装置において、
前記噴射体と前記可撓ホースは迅速継手により着脱自在に接続されることを特徴とする洗浄乾燥装置。
【請求項13】
請求項12に記載の洗浄乾燥装置において、
前記噴射具は、前記温水又は水の供給管に迅速継手が接続され、かつ、前記噴射体と分離した前記可撓ホースがループを形成してその一端部が着脱自在に接続されるように、迅速継手が一端部に設けられ、前記供給管に固定された短管蛇口に接続されることを特徴とする洗浄乾燥装置。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれかに記載の洗浄乾燥装置において、
被洗浄物と前記カバー体を載置しカバー体との間で密閉空間を形成可能な載置部と、流し台のシンク内に置いたとき該載置部と該シンクの底面との間に洗浄時の排水を流すための隙間を形成する該載置部の下部に設けられた脚部と、を備えてなる洗浄台を更に有することを特徴とする洗浄乾燥装置。
【請求項15】
請求項10乃至14に記載の洗浄乾燥装置において、
水平面に対し傾斜し多数の水平横長の隙間が並列状態で形成された底部と、
該底部の下縁に設けられ、該底部に置いた被洗浄物を寄り掛からせた状態で支持する支持壁部と、を備えてなる乾燥かごを更に有することを特徴とする洗浄乾燥装置。
【請求項16】
請求項15に記載の洗浄乾燥装置において、
前記乾燥かごの底部と前記支持壁部は折り畳み可能に連結され、被洗浄物の重心が該支持壁部側にあるように該支持壁部が水平面に対し傾斜可能であることを特徴とする洗浄乾燥装置。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の洗浄乾燥装置において、
前記乾燥かごの底部及び支持壁部は合成樹脂材又は線材のプレートで形成されて二つずつ含まれ、自立して設置できるように該底部の上縁同士が連結されて略W形状を成すことを特徴とする洗浄乾燥装置。
【請求項18】
請求項10乃至17のいずれかに記載の洗浄乾燥装置において、
上下の板を両側面の板が挟むように取り付けられた移動台車と、
その上下の板のそれぞれに搭載された1又は2個のトレーと、を備える移動式作業台を更に有してなることを特徴とする洗浄乾燥装置。
【請求項19】
請求項10乃至18のいずれかに記載の洗浄乾燥装置において、
流し台のシンクの傍に配置され洗剤の水溶液又は温水を溜める浸し容器を更に有してなることを特徴とするとする洗浄乾燥装置。
【請求項20】
請求項10乃至19のいずれかに記載の洗浄乾燥装置において、
排水ホースが接続される貫通孔が周壁上部に形成されている熱交換外部容器と、
その内側に配設され、流し台のシンクからの別の排水ホースが接続される貫通孔が底部に形成されている熱交換内部容器と、
該熱交換外部容器の内周面と該熱交換内部容器の外周面との隙間に螺旋状に配設され、水道水の供給路に接続される水流入端と給湯器に接続される水流出端が設けられた熱交換パイプと、を備える排水装置を更に有することを特徴とする洗浄乾燥装置。
【請求項21】
請求項20に記載の洗浄乾燥装置において、
前記排水装置は、基部とその中央近傍に突出部を有する平盤を更に備え、該平盤は、突出部にエアー供給チューブからエアーが供給されると平盤の周囲から泡が噴出するように、基部に分散されて付された接着部材により熱交換外部容器の底部に固定されていることを特徴とする洗浄乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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