説明

食後検査時間アラームを有する計測器

【課題】
【解決手段】
分析物濃度測定値を求めるようになされた計測器の使用方法及び計測器(10)。計測器は、計測器のユーザーに対して情報を表示するようになされたディスプレイ(12)にして、食後分析物濃度測定値を取得するようユーザーに注意を促すようになされた食後検査時間アラーム(22”)に関する情報を含むディスプレイと、ユーザーが食後検査時間アラームを機能発揮可能状態にするのを許容するようになされた少なくとも1つのユーザー入力機構(15)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体として計測器及び該計測器を使用する方法に関し、より詳細には、食事の後で分析物濃度を測定する時間にこれをユーザーに知らせる食後検査時間アラームを有する計測器に関する。
【背景技術】
【0002】
体液中の分析物の定量は、一定の生理学的異常の診断及び管理において非常に重要である。例えば、乳酸、コレステロール、ビリルビン及びグルコースの値は一定の人々においては監視されるべきである。特に、体液中のグルコースを求めることは、体液中のグルコース濃度を頻繁にチェックして飲食物におけるグルコース摂取量を調節しなければならない糖尿病の人々には重要である。
【0003】
糖尿病の人々はしばしば血中グルコース計測器を介して彼らの血中グルコースレベルを検査する。健康管理専門家は、糖尿病を抱える人にとって食事から約2時間後に彼又は彼女の血中グルコースレベルを検査することは特に重要であることを認める。食事後のこの時間の長さは、血中グルコースレベルが通例急上昇し、最も大きな害を引起こすことのある時間枠である。このように、食事から約2時間後にユーザーに彼又は彼女の血中グルコースレベルをチェックするよう注意又は刺激を提供する計測器を有することは望ましいであろう。
【発明の開示】
【0004】
本発明の1つの実施の形態によれば、計測器が開示される。本計測器は分析物濃度測定値を求めるようになされている。計測器は、計測器のユーザーに対して情報を表示するようになされたディスプレイを含む。ディスプレイは、食後分析物濃度測定値を取得するようユーザーに注意を促すようになされた食後検査時間アラームに関する情報を含む。計測器は、ユーザーが食後検査時間アラームを機能発揮可能状態にするのを許容するようになされた少なくとも1つのユーザー入力機構を含む。
【0005】
本発明の1つの実施の形態によれば、分析物濃度測定値を求めるようになされた計測器を使用する方法が開示される。計測器はユーザーに対して情報を表示するようになされたディスプレイを有する。本方法は、食後検査時間アラームと関連する情報を表示させる行為と、入力機構を介して食後検査時間アラームを機能発揮可能状態にする行為と、所定の時間後に食後検査時間アラームを鳴動させて食後分析物濃度測定値を取得するようユーザーに注意を促させる行為とを含む。
【0006】
上述の本発明の概要は、本発明の各々の実施の形態又はすべての態様を表すことを意図しない。本発明の追加の特徴及び利点は以下に明らかにする詳細な説明及び図面から明白であろう。
【発明の実施の形態】
【0007】
本発明は、ランセット装置で採取した体液試料における分析物濃度を求めるようになされた計測器に向けられている。採取され得る種類の分析物の例は、グルコース、脂質プロフィール(例えば、コレステロール、トリグリセリド、LDL及びHDL)、微量アルブミン、ヘモグロビンA1C、フルクトース、乳酸又はビリルビンを含む。他の分析物濃度も求め得ると考えられる。分析物は、例えば全血試料、血清試料、血漿試料、ISF(間質液)及び尿のような他の体液、並びに非体液中のものとし得る。この出願で使用される限り、“濃度”の用語は、分析物濃度、活性度(例えば、酵素及び電解質)、力価(例えば、抗体)又は所望の分析物を測定するのに使用される他の任意の測定濃度のことを指す。
【0008】
本発明の1つの実施の形態は、図1に示す計測器10である。計測器10は、計測器10のユーザーに対して情報を表示するようになされたディスプレイ12を有する。ユーザーに表示され得る情報のいくらかは濃度測定値、日時指示器、標識及びアラームを含む。計測器10は、ユーザーが1つ又は複数のユーザー機能に関し選択を行うのを許容するようになされた少なくとも1つのユーザー入力機構15をも有する。ユーザー入力機構15は、例えば押しボタン、スクロールバー、タッチスクリーン又はかかる品目の任意の組合せを含み得る。計測器10は、濃度測定値その他を記憶するようになされたメモリ装置17をも有する。
【0009】
本発明の1つの実施の形態によれば、計測器10は食後検査時間アラーム18を含む。このアラーム18は、食後ユーザーに彼又は彼女の血中グルコース濃度を検査するよう注意を促すようになされている。好ましくは、アラーム18は、食事から約1と1/2から約2と1/2時間後に、最も望ましくは約2時間後に、ユーザーに彼又は彼女の血中グルコース濃度を検査するよう注意を促す。食事の後のこの時間の長さは、血中グルコースレベルが一般に急上昇し最も大きな害を引起こすことのある時間枠なので、最も決定的なグルコース監視時間とされている。いくらかの計測器は検査時間アラームをプログラムする可能性を提供するが、本発明はアラームを自動的に食事標識に結び付け、所定の時間後にアラームが鳴り出すようにする。本明細書での残りの開示は、グルコース計測器と関連付けられた食後検査時間アラームに向けられるが、該食後検査時間アラームは他の分析物を求めるのに使用される計測器にも実装され得ることは理解されるべきである。
【0010】
図1をより詳細に参照すると、ディスプレイ12は分析物濃度測定値16を示す。測定値16は、数値と適切な単位、すなわち180mg/dLを含む。ディスプレイ12は、食前標識20を表すアイコンと、食後検査時間アラーム22を表すアイコンをも示す。ディスプレイ12上に同様に含まれるのは、日時指示器25である。上述の品目に加えて他の標識及び/又は機能をディスプレイ12上に表示し得る。
【0011】
1つの実施の形態による計測器10及び食後検査時間アラーム18の使用法を説明すると、一たび血中グルコース濃度測定値16が取得されると、計測器10は一定の標識及び/又はユーザー機能を表示する。これらの機能は計測器10がユーザーにより使用される前に計測器に予めプログラムされ得、あるいは計測器10は使用が開始された後に特定のユーザーの必要性に合せてカスタマイズされ得る。表示される品目の1つは食前標識アイコン20である。図1の例において、食前標識アイコン20はりんごの形状により表されている。このアイコン20がユーザーにより選択されると、計測器10は自動的に食後検査時間アラームアイコン22を点滅させて応答する。図1の例において、食後検査時間アラームアイコン22は時計の文字盤により表されている。ユーザーはユーザー入力機構15を使用して食後検査時間アラームアイコン22を選択して食後検査時間アラーム18を機能発揮可能状態にさせる。上述のアイコン、すなわちりんごと時計に加えて、他のアイコンも食後標識及び食後検査時間アラームを示すものとして使用され得ると考えられる。
【0012】
いくらかの実施の形態において、アラーム18は、食前標識が選択されてから約2から3時間後に生じるビーッという長い音又はビッビッという連続的な短い音を発生させ得る。インスリンが作用し始める時間を考慮して、食前測定が実際には食事より1/2時間前に行われるものと仮定すると、理想的には、アラーム18は、食前標識が選択されてから約2と1/2時間後に鳴動されるものとする。このように、食前標識の選択から2と1/2時間の遅延で食後検査時間アラーム18は作動され、ユーザーが食事をとってから後約2時間に鳴動する。もしユーザーが食後検査時間アラーム18を機能発揮可能状態にさせたくなければ、ユーザーは入力機構15を介して他の選択を行い得、食後検査時間アラームアイコン22はディスプレイ12から見えなくなる。
【0013】
上述の食前標識に加えて、他の標識を使用して一定の事象と関連付けられたアラームを機能発揮可能状態にすることも行い得る。本発明で使用し得るいくらかの他の標識の例(図示せず)は、運動標識、投薬標識、絶食時間標識、日誌標識、及び病気標識である。アラームは、低又は高濃度測定値等の特定の事象の後に作動させることもできる。例えば、1つの実施の形態において、アラームは低濃度測定値から1時間後に作動させることができる。別の実施の形態において、アラームは高濃度測定値から2時間後に作動させることができる。追加として、ユーザーは、正午アラーム等、毎日の特定の時間に作動するようアラームをセットすることができる。この場合、アラームの使用は特定の事象に結び付けられていないが、毎日特定の時間に濃度測定を行うようユーザーに注意を促す。
【0014】
Ascensia(登録商標)CONTOUR(登録商標)血中グルコース監視システム及びAscensia(登録商標)BREEZE(登録商標)血中グルコース監視システム等の米国ニューヨーク州タリータウンのバイエルヘルスケアLLCにより製造され及び/又は販売される計測器等のいくらかの市販の計測器は、本発明を組込むよう再設計され得る。上に列記した計測器に加え、他の計測器もここに説明した本発明を組込み得ると考えられる。
代替的な実施の形態A
分析物濃度測定値を求めるようになされた計測器であって、
該計測器のユーザーに対して情報を表示するようになされたディスプレイにして、食後分析物濃度測定値を取得するよう該ユーザーに注意を促すようになされた食後検査時間アラーム、に向けられた情報を含むディスプレイと、
該ユーザーが食後検査時間アラームを機能発揮可能状態にするのを許容するようになされた少なくとも1つのユーザー入力機構とを備える、計測器。
代替的な実施の形態B
代替的な実施の形態Aに記載の計測器において、前記分析物濃度測定値を記憶するようになされたメモリ装置をさらに備える、計測器。
代替的な実施の形態C
代替的な実施の形態Aに記載の計測器において、前記分析物はグルコースである、計測器。
代替的な実施の形態D
代替的な実施の形態Aに記載の計測器において、前記食後検査時間アラームは、所定の時間の後に、前記食後分析物濃度測定値を取得するように該ユーザーに注意を促すようになされている、計測器。
代替的な実施の形態E
代替的な実施の形態Dに記載の計測器において、前記食後検査時間アラームは、食事から約1と1/2から約2と1/2時間後に、前記食後分析物濃度測定値を取得するよう該ユーザーに注意を促すようになされている、計測器。
代替的な実施の形態F
代替的な実施の形態Eに記載の計測器において、前記食後検査時間アラームは、食事から約2時間後に、前記食後分析物濃度測定値を取得するよう該ユーザーに注意を促すようになされている、計測器。
代替的な実施の形態G
分析物濃度測定値を求めるようになされた計測器にしてユーザーに対して情報を表示するようになされたディスプレイを有する計測器を使用する方法であって、
食後検査時間アラームと関連する情報を表示させる行為と、
入力機構を介して該食後検査時間アラームを機能発揮可能状態にする行為と、
所定の時間の後に該食後検査時間アラームを鳴動させて食後分析物濃度測定値を取得するよう該ユーザーに注意を促すようにさせる行為とを含む、方法。
代替的なプロセスH
代替的なプロセスGに記載の方法において、前記食後分析物濃度測定値を記憶する行為をさらに含む、方法。
代替的なプロセスI
代替的なプロセスGに記載の方法において、前記分析物はグルコースである、方法。
代替的なプロセスJ
代替的なプロセスGに記載の方法において、前記食後検査時間アラームを鳴動させる前記行為は食事から約1と1/2から約2と1/2時間後に生じるようになされている、方法。
代替的なプロセスK
代替的なプロセスJに記載の方法において、前記食後検査時間アラームを鳴動させる前記行為は食事から約2時間後に生じるようになされている、方法。
【0015】
本発明は各種の改変や代替的な形態を受けやすいものであるが、その具体的な実施の形態及び方法を一例として図面に示し、またここにて詳細に説明した。具体的には、他の多くの標識が、ここで説明したのと同じやり方でアラームを機能発揮可能状態にするため本発明と共に使用され得ると考えられる。しかしながら、ここにおける説明はこれらの開示した特定の形態又は方法に本発明を限定することを意図するものではなく、逆に、本発明は添付の特許請求の範囲により規定される本発明の精神及び範囲に入るすべての改変例、均等物及び代替例を含むものであることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の1つの実施の形態による食後検査時間アラーム機能を有する計測器の正面図である。
【符号の説明】
【0017】
10・・・・・・計測器
12・・・・・・ディスプレイ
15・・・・・・ユーザー入力機構
16・・・・・・測定値
17・・・・・・メモリ装置
18・・・・・・食後検査時間アラーム
20・・・・・・食前標識アイコン
22・・・・・・食後検査時間アラームアイコン
25・・・・・・日時指示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物濃度測定値を求めるようになされた計測器であって、
該計測器のユーザーに対して情報を表示するようになされたディスプレイにして、食後分析物濃度測定値を取得するよう該ユーザーに注意を促す食後検査時間アラームに関する情報を含むディスプレイと、
該ユーザーが食後検査時間アラームを機能発揮可能状態にするのを許容するようになされた少なくとも1つのユーザー入力機構とを備える、前記計測器。
【請求項2】
請求項1に記載の計測器において、前記分析物濃度測定値を記憶するようになされたメモリ装置をさらに備える、前記計測器。
【請求項3】
請求項1に記載の計測器において、前記分析物はグルコースである、前記計測器。
【請求項4】
請求項1に記載の計測器において、前記食後検査時間アラームは、所定の時間の後に、前記食後分析物濃度測定値を取得するよう該ユーザーに注意を促すようになされている、前記計測器。
【請求項5】
請求項4に記載の計測器において、前記食後検査時間アラームは、食事から約1と1/2から約2と1/2時間後に、前記食後分析物濃度測定値を取得するよう該ユーザーに注意を促すようになされている、前記計測器。
【請求項6】
請求項5に記載の計測器において、前記食後検査時間アラームは、食事から約2時間後に、前記食後分析物濃度測定値を取得するよう該ユーザーに注意を促すようになされている、前記計測器。
【請求項7】
分析物濃度測定値を求めるようになされた計測器にしてユーザーに対して情報を表示するようになされたディスプレイを有する計測器を使用する方法であって、
食後検査時間アラームと関連する情報を表示させる行為と、
入力機構を介して該食後検査時間アラームを機能発揮可能状態にする行為と、
所定の時間の後に該食後検査時間アラームを鳴動させて食後分析物濃度測定値を取得するよう該ユーザーに注意を促すようにさせる行為とを含む、前記方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記食後分析物濃度測定値を記憶する行為をさらに含む、前記方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法において、前記分析物はグルコースである、前記方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法において、前記食後検査時間アラームを鳴動させる前記行為は食事から約1と1/2から約2と1/2時間後に生じるようになされている、前記方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記食後検査時間アラームを鳴動させる前記行為は食事から約2時間後に生じるようになされている、前記方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−502443(P2009−502443A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525256(P2008−525256)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/030594
【国際公開番号】WO2007/019384
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【Fターム(参考)】