説明

食用油の再生装置

【課題】 粒状の処理剤を用いて食用油の再生処理を行う場合に、食用油の処理量の割に、装置の設置エリアを小さくできる。
【解決手段】 油溜め20の底部を上下に貫通し、かつ、上部側が閉塞され、下部側が開放され、複数の開口からなる流入口30aが、一定間隔で上下方向に複数段形成されていて、この流入口を用いて、油溜め20内に導入された食用油Yを強制的に排出させる油排出筒3と、ろ紙F上に置かれて、内部に処理剤Sを一定厚さで収容する収容筒5と、油溜め20内の、ろ紙Fの下方に配置され、処理剤Sとろ紙Fとを通過した食用油Yを、油排出筒3の流入口に導くとともに、ろ紙F、処理剤S、収容筒5と対になって、油排出筒3の流入口の段数分だけ、上下方向に重なり合うように設けられる複数の油ガイド4とを有しており、かつ、各収容筒5内の処理剤S上方に、油溜め20内の食用油Sを、この処理剤S側へ導く油流入空間Vを設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、調理によって生じた食用油中の変質劣化成分を、粒状の処理剤に吸着させることにより、この食用油を精製して再生させる食用油の再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フライヤー内の食用油中には、揚げ物の調理に起因した揚げ滓(かす)等が生じる。このため、この食用油は、ろ過装置内に導かれ、このろ過装置を通して揚げ滓等が除去された後、再びフライヤーに戻される。
【0003】
また、このような食用油には、揚げ物の水分や加熱等に起因して、油の変質や劣化が生じ、この食用油中には、遊離脂肪酸、過酸化物、臭気成分、着色物質等の変質劣化成分も生じる。このような変質劣化成分は、上記ろ過装置では充分に除けないため、揚げ滓等の除去がなされた食用油は、粒状の処理剤を有する再生装置に通され、この処理剤に、調理により生じた変質劣化成分を吸着させることにより再生処理され、再使用される場合も多い。
【0004】
図9は、このような再生装置の一例を示している(特許文献1)。この再生装置200は、袋状フィルタ211内に、粒状の処理剤212が収納されている充填式フィルタ210を、容器220内に設置したものである。この再生装置200では、容器220の上部側から食用油Yを導入して、この容器220の下部側から、内部の食用油Yをポンプ230により吸引し、食用油Yを充填式フィルタ210中を通過させることにより、油中の変質劣化成分を処理剤212に吸着させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−334221
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような再生装置200では、食用油Yを処理剤212に充分に接触させ、かつ、食用油Yの流動抵抗があまり大きくならないようにするため、充填式フィルタ210が、食用油Yの流れ方向に対して、処理剤212が一定の厚みhを有するように、容器100内に設置される。
【0007】
このため、食用油Yの処理量が多くなると、処理剤212、すなわち、充填式フィルタ210の占めるエリアが大きくなり、容器220が大型化して、揚げ物工場内に、再生装置200をうまく設置できないという問題があった。
【0008】
この発明は、以上の点に鑑み、粒状の処理剤を使用して、食用油の再生処理を行う場合に、食用油の処理量が多くなっても、装置の設置エリアを小さく抑えることができる食用油の再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の請求項1記載の発明は、フライヤーによる調理が終了した使用済みの食用油を、一定の厚さとなるように収容された粒状の処理剤中を通過させることにより、調理により生じた油中の変質劣化成分を、前記処理剤に吸着させて、前記食用油を再生させる食用油の再生装置であって、前記食用油が導入される凹状の油溜めと、前記油溜めの底部を上下に貫通するように設けられ、上部側が閉塞されるとともに、下部側が開放され、1又は複数の開口からなる流入口が、一定間隔で上下方向に複数段形成されていて、この流入口を用いて、前記油溜め内の前記食用油を強制的に外部に排出させる油排出筒と、フィルタを介して、内部に前記処理剤を収容する収容筒と、前記油溜め内の、前記フィルタの下方に配置され、前記処理剤とこのフィルタとを通過した前記食用油を、前記油排出筒の前記流入口の1つに導くとともに、前記フィルタを介して前記処理剤を収容している前記収容筒と対になって、前記油排出筒の前記流入口の段数分だけ、上下方向に重なり合うように設けられている複数の油ガイドとを有しており、かつ、各前記収容筒内の前記処理剤上方に、前記油溜め内の前記食用油を、この処理剤側へ導く油流入空間を設けていることを特徴とする。
【0010】
この発明では、油ガイドと、この油ガイド上に、フィルタを介して処理剤を一定厚さだけ収容した収容筒とからなるユニット(以下これを処理ユニットという)が、油排出筒の流入口の段数分だけ、上下方向に重ね合わせるように配置されている。
【0011】
油溜め内に導入された使用済み食用油は、各処理ユニットの処理剤上方に設けられた油流入空間に達した後、この処理剤と接触して、油中の変質劣化成分が処理剤に吸着されつつ、この処理剤中を下降する。そして、フィルタを通過して処理剤と分離された食用油は、油ガイド内に流れ込み、この油ガイドから、流入口を介して油排出筒内に流入して、油溜め外に排出される。なお、この食用油は、必要により、再び油溜め内に戻され、油中に残存する変質劣化成分が、繰り返し、処理ユニットの処理剤により吸着される。
【0012】
ここで、処理ユニットの処理剤は、食用油の流れ方向(上下方向)に対して厚さが一定となるように収容されているので、どの場所においても、処理剤中やフィルタ中を通過する食用油の流動抵抗は等しく、処理剤上のどの場所にある食用油も処理剤と等しく接触する。また、上方と下方の処理ユニット間に存在する、食用油のヘッド圧の差により、下方の処理ユニットの処理剤側には、上方の処理ユニットの処理剤側より多くの食用油が流れ込む傾向にはあるが、再生剤中やフィルタ中を流れる食用油の流動抵抗が、上記ヘッド圧の差分の油圧に比べて非常に大きいため、各処理ユニット内の処理剤中を流れる食用油の流量には大きな差は生じない。
【0013】
この発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の場合において、前記油ガイドは、上面側が、前記フィルタを介して前記処理剤を支持する網目部材から形成されており、かつ、前記収容筒は、内部の処理剤上方が前記油流入空間となるように、この処理剤から上方に突出した上部側周部に、前記食用油を内部に流入させる複数の開口が形成されており、さらに、前記油ガイドと、前記フィルタを介して前記処理剤を収容した前記収容筒とは、前記流入口の段数分だけ、前記油ガイドが、直下の前記収容筒上に支持されるように、互いに積み重ねられるとともに、中央部に前記油排出筒が貫通した状態で、この油排出筒に位置決め支持されることを特徴とする。
【0014】
この発明では、各処理ユニットは、油ガイド上に、フィルタを介して処理剤を収容している収容筒が積み重ねられているが、各処理ユニットどうしも、上方の処理ユニットの油ガイドが、下方の処理ユニットの収容筒上に支持されるようにして、互いに積み重ねられている。この場合、処理剤から上方に突出した収容筒の上部側に開口を形成して、処理剤上方が油流入空間となるようにしているので、処理ユニットどうしを積み重ねても、食用油の流れに不都合は生じない。また、各処理ユニットは、貫通している油排出筒に対して、位置決め支持されている。
【0015】
この発明の請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の場合において、前記油排出筒は、上下方向の所定位置に位置決めされて、この油排出筒の前記流入口のうち、上方にある流入口からの前記食用油の排出を阻止する、上下動自在なピストンを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明の請求項1記載の発明によれば、フィルタを介して収容筒内に一定の厚さとなるように収容された処理剤を、油排出筒の流入口の段数だけ、上下に重なり合うように配置した場合でも、各収容筒内の処理剤中を通過する食用油の流量をほぼ等しくすることができるので、各収容筒内の処理剤によりほぼ等しく食用油の再生をすることができる。したがって、この発明では、粒状の処理剤を使用して、食用油の再生処理を行う場合に、食用油の処理量が多くなっても、処理剤Sの占有する面積を充分に小さくでき、装置の設置エリアを小さく抑えることができる。
【0017】
この発明の請求項2記載の発明によれば、各処理ユニットは、油ガイドと、フィルタを介して処理剤を収容した収容筒とが積み重ねられるが、各処理ユニットどうしも、互いに積み重ねられるので、各処理ユニットの支持と位置決めを容易になすことができる。また、各処理ユニットは、油排出筒に位置決め支持されるので、各処理ユニットの油ガイドと、油排出筒の各流入口との位置合わせも容易になすことができる。
【0018】
この発明の請求項3記載の発明によれば、油排出筒内のピストンの位置を変えることにより、食用油が通過する処理ユニットの数を変えることができるので、食用油の量に増減がある場合等に、これらに合わせた適切な装置の運転をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施の形態の係る再生装置の正面図である。
【図2】図1で示される再生装置の平面図である。
【図3】再生装置の内部構造を示す詳細断面図である。
【図4】再生ユニットの主要部を示す拡大断面図であり、(a)は上方からの加圧前の状態を示し、(b)は加圧後の状態を示す。
【図5】油吸引筒等の断面図である。
【図6】再生ユニットの構成物の主要部分の断面を示す図であり、(a)は収容筒を示し、(b)はろ紙を示し、(c)は油ガイドを示し、(d)はパッキンを示している。
【図7】再生ユニットの加圧手段の主要部の断面を示す図であり、(a)は中央加圧具を示し、(b)は周部押さえを示し、(c)は周部加圧具を示している。
【図8】調理後の食用油をろ過処理と再生処理する場合の流れ図である。
【図9】従来技術の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2は、この発明の一実施の形態に係る再生装置の外観を示しており、図3は、この再生装置の内部構造を示している。また、図4は再生ユニットの詳細を示している。なお、図3において、再生ユニットは、下方に加圧されているが、理解を容易とするため、図面上は加圧されていない状態で示されている。
【0021】
再生装置1は、調理によって生じた食用油中の変質劣化成分を、処理剤に吸着させることにより、食用油を精製して再生させるものである。この再生装置1は、図1や図2で示されるように、処理容器2と、処理容器2内に設置される、油排出筒3、4つの再生ユニットU、中央加圧具60、周部押さえ61、周部加圧具62と、処理容器2回りに取り付けられる、上及び下真空計90,91と、上及び下液面スイッチ92,93とから構成される。また、再生ユニットUは、図4で示されるように、油ガイド4と、油ガイド4上に支持されるシート状フィルタであるろ紙Fと、ろ紙F上に一定の厚さhだけ処理剤Sを収容している収容筒4と、油ガイド4下方に配置されるパッキンPとから構成されている。なお、再生装置1は、特殊なもの(例えば処理剤、ろ紙、パッキン、真空計、液面スイッチ等)を除き、全て金属材料から形成されている。
【0022】
処理容器2は、図1乃至図3で示されるように、食用油Yを再生処理するためのものであり、主要部が、食用油Yが導入される油溜め20と、油溜め20の上端側のフランジ部20gより下方を覆い、このフランジ部20gを介して油溜め20を支持する円筒状の側壁部材21と、側壁部材21側に取り付けられ、油溜め20の上端側開口をヒンジ23を介して閉じる開閉自在な上蓋22とから構成されている。油溜め20は、内径800mm、高さ600mmの有底円筒状の凹状容器であり、上部には、食用油Yの導入ノズル20aが設けられ、補強材20fで支持された平らな底部20dには、処理済みの食用油Yを排出する排出ノズル20bとドレンノズル20cとが設けられている。排出ノズル20bは、底部20dの中央窪み部20eの下端に取り付けられており、この排出ノズル20bとドレンノズル20cには、パイプ24,25が、スカート部材22から外方に突出するように取り付けられている。なお、油溜め20には、内面側に、導入ノズル20aからの食用油Yを下方と、側方の一方に案内するガイド20hが、周壁に沿うように設けられている。
【0023】
油溜め20より下方に延びる側壁部材21の下端には、装置移動用のキャスター26が取り付けられ、油溜め20のフランジ部20gには、上蓋22が開くのを防止するロックハンドル27が取り付けられている。なお、図2中、符号22aは、上蓋22の開閉用の把手であり、符号28は、高さ調整用のアジャスタである。
【0024】
上真空計90は、油溜め20内の、食用油Yの油面レベルL上方の圧力を計測するために、上蓋22に取り付けられ、下真空計91は、排出ノズル20b近傍の食用油Yの圧力を計測するために、圧力検出部がパイプ24の根本側に取り付けられている。上液面スイッチ92と下液面スイッチ93とは、油溜め20の上部側に取り付けられており、油溜め20内の食用油Yの油面レベルLに基づいて、油溜め20内への食用油Yの導入と、処理済みの食用油Yの油溜め20外への排出を制御するものである。
【0025】
油排出筒3は、処理容器2の油溜め20内に取り付けられ、この油溜め20内の食用油Yを、強制的に外部に排出させるためのものである。油排出筒3は、図5で示されるように、プラグ部材31により上端が閉じられた円筒状の本体部30(外径60mm)の下部に、再生ユニットU支持用の支持円板32が取り付けられ、かつ、本体部30内に、ロッド34を介して、ピストン33が上下に移動自在に収納されたものである。プラグ部材31は、外周下端部の雄ねじ部が本体部30上端側の雌ねじ部にねじ込まれて本体部30に取り付けられている。プラグ部材31の外周部には、周部加圧具62がねじ込まれる雄ねじ部N1が形成され、中央部には、ロッド34が挿通する貫通孔31aが形成されている。なお、符号31bは、本体部30内に連通するエアー抜孔である。
【0026】
本体部30の下部側には、支持円板32の少し上に、周方向に例えば6つの開口K1が形成され、これらによって第1段目の流入口30aが形成されているとともに、この流入口30aの上方に、一定間隔をおいて、第2段目から第4段目となる3つの流入口30aが形成されている。この流入口30aの開口K1は、本体部30の周方向に等ピッチで形成されており、例えば18mmの径を有している。
【0027】
また、本体部30の支持円板32より下方には、この油排出筒3を油溜め20に取り付ける雄ねじ部N2が形成されているとともに、本体部30の上端部には、中央加圧具60をねじ込むための雄ねじ部N3が形成されている。油排出筒3は、雄ねじ部N2を、油溜め20の排出ノズル20bの内面に形成された雌ねじ部M1にねじ込んで、油溜め20の中心位置に、この油溜め20を貫通するように取り付けられる。この場合、油排出筒3は、下端部が油溜め20の中央窪み部20e内に入れられ、支持円板32の上面と油溜め20の底部20dの上面とがほぼ面一になる位置に位置決めされる。
【0028】
ピストン33は、本体部30内の所定位置に位置決めされ、このピストン33より下方にある、本体部30の流入口30aからのみ、食用油Yを油排出筒3内に移動できるようにするためのものである。符号33aは、シール用のOリングである。
【0029】
ロッド34は、下端部がピストン33に固定されていて、ピストン33を上下動させて、位置決めするものである。このロッド34には、上下方向に3つの横貫通口Qが形成されており、これらをプラグ部材31の上端に位置決めして、これに不図示の位置決めピンを差し込むことにより、ピストン33を、第2段目と第3段目の流入口30a間に位置決めしたり、第3段目と第4段目の流入口30a間に位置決めしたり、第4段目の流入口30aの上方に位置決めして、食用油Yを排出できる流入口30aが定められている。そして、図5で示されるように、ロッド34の上端部34aがプラグ部材31の上端に係止され、ロッド34が本体部30内に充分に差し込まれている状態で、ピストン33は、第1段目と第2段目の流入口30a間に位置決めされる。
【0030】
なお、ロッド34は、上部ロッド34bと下部ロッド34cとがピン部材34dを介して屈曲可能に連結されており、図3で示されるように、上部ロッド34cを屈曲させて、ロッド34の上方への突出量を抑えることができるようになっている。
【0031】
油ガイド4は、図4で示されるように、油排出筒3の流入口30aの1つに位置決めされ、収容筒5内の処理剤S中とろ紙Fとを通過した食用油Yを、油排出筒3の流入口30aの1つに導くものである。この油ガイド4は、図6の(c)で示されるように、円板の外周部に起立部40aを有して、内部に食用油Yを保有できるようになっているとともに、この起立部40aの上端を内側に90度屈曲させて支持部40bが形成され、かつ、中央部に油排出筒3が差し込まれる開口40cが形成された本体部40と、本体部40の開口40cの上方で、支持部40bの上下位置に、開口40cと同芯状に位置し、中央部に開口40cと同サイズの開口41aが形成された小円板41と、小円板41と本体部40の支持部40bとを連結するように、小円板41と支持部40bの下面側に取り付けられる網目部材である金網42とから構成されている。金網は、例えば3メッシュの粗さのものであり、ろ紙Fを介して、収容筒5内の処理剤Sを支持する機能を有している。
【0032】
なお、本体部40は、高さ18mmで、680mmの外径を有していて、その板厚は1.6mmとなっており、小円板41は100mmの外径を有している。また、本体部40の起立部40aには、外方に、支持片43a上にナット43bが取り付けられた引き上げ具43が、等間隔に複数個(例えば4つ)取り付けられている。
【0033】
収容筒5は、図4で示されるように、ろ紙Fの上に置かれて、内部に一定高さh(例えば60mm)だけ処理剤Sを収容するものである。この収容筒5は、図6の(a)で示されるように、薄肉の外筒50と、外筒50内に、これと同高かつ同芯状態で配置される小径厚肉の位置決め筒51と、外筒50と位置決め筒51とを連結する4本の支持バー52とから構成されている。外筒50は、円筒状の筒本体50aの上下の両端部に、断面が(コ)の字状となるように、90度だけ外方に折れ曲がった水平部50bが形成されている。また、外筒50には、処理剤S上方に突出する筒本体50aの上部側に、油流入空間Vを形成できるように、この上部に、油溜め20内の食用油Yを処理剤S上に導く多数の開口50cが形成されている。
【0034】
位置決め筒51は、内部に油排出筒3が差し込まれることにより、収容筒5を油排出筒3に対して位置決めする働きを有するが、位置決め筒51と油排出筒3との隙間から、未処理の食用油Yが油ガイド4内に漏れ込んだり、油ガイド4内の処理済み食用油Yが、油排出筒3以外に流出しないように、内面側にOリング51aが設けられている。また、位置決め筒51には、下端側内面に、周方向に亘って切欠部51bが形成されている。支持バー52は、外筒50の上側水平部50bの上面と、位置決め筒51の上面とが面一となるように、外筒50と位置決め筒51間の上部に、4つのものが等ピッチで取り付けられている。この場合、支持バー52は、細長い形状をしているので、図4の(b)で示されるように、位置決め筒51に加圧力を加えることにより、容易に変形し、位置決め筒51の下部を外筒50下方に突出させることができる。なお、支持バー52は、外筒50より上方に突出しない位置に取り付けられている。
【0035】
ここで、収容筒5の外筒50は、油ガイド4の本体部40とほぼ同径に形成されており、収容筒5の位置決め筒51も、油ガイド4の小円板41とほぼ同径に形成されている。この外筒50と位置決め筒51間に、例えば、60mm厚さで、6kgの処理剤Sが収容される。なお、収容筒5は、例えば、80mmの高さに形成されている。
【0036】
処理剤Sは、調理によって生じた食用油Y中の変質劣化成分を吸着して、この食用油Yを精製し、再生するものであり、食用油Yと多くの面積で接触できるように、粒状に形成されている。処理剤Sの粒径は、50〜400μm(好ましくは、100〜300μm)程度のものが使用されるが、ここでは、200μmで白色のものが使用されている。
【0037】
ろ紙Fは、薄いシート状のものであり、処理剤Sが油ガイド4内に流出しないように、食用油Yから処理剤Sを、こし取る機能を有するものである。ろ紙Fは、図6の(b)や図4で示されるように、油ガイド4の本体部40とほぼ同径に形成され、中央部に、油排出筒3が差し込まれる開口F1が形成されていて、油ガイド4と収容筒5との間に配置されることにより、収容筒5内の処理剤Sを、油ガイド4の金網42上に支持させる。この場合、ろ紙Fは、外周部が、油ガイド4の支持部40bと収容筒5の水平部50bとで挟み付けられ、内周部が、油ガイド4の小円板41と収容筒5の位置決め筒51とで挟み付けられて、移動や変形が防止される。
【0038】
パッキンPは、薄いシート状のものであり、図6の(d)で示されるように、中央部に、油排出筒3が差し込まれる開口P1が形成されている。このパッキンPは、図3や図4で示されるように、油ガイド4の下方に配置されて、油ガイド4と油排出筒3間の隙間を通って、油ガイド4下方の未処理の食用油Yが、油ガイド4内に漏れ込んだり、油ガイド4内の処理済みの食用油Yが、下方の再生ユニットU側に流出するのを防止するためのものである。この場合、パッキンPは、油ガイド4の本体部40と、収容筒5の位置決め筒51、又は油排出筒3の支持円板32とで加圧される。
【0039】
再生ユニットUは、上記パッキンP、油ガイド4、ろ紙F、処理剤Sを収容した収容筒5を、この順番で積み重ねたものであり、内部に油排出筒3を差し込むようにして、油溜め20内に設置される。この場合、油ガイド4の中央部が、油排出筒3の1つの流入口30aに位置決めされて、処理剤Sにより再生処理された食用油Yを、油排出筒3内に流入させることができるようになる。
【0040】
この再生ユニットUは、図3で示されるように、4つのものが、それぞれ、油排出筒3の流入口30aに対して位置決めされつつ、積み重ねられ、最終的に4つの再生ユニットUが油排出筒3に支持される。すなわち、最下段の再生ユニットUを、そのパッキンPを介して、油排出筒3の支持円板32上に支持させた後、この再生ユニットUの収容筒5の上に、次の再生ユニットUを、そのパッキンPを介して、積み重ねるようにして、順次、4つの再生ユニットUが積み重ねられる。
【0041】
中央加圧具60、周部押さえ61、及び周部加圧具62は、再生ユニットUの加圧手段であり、各再生ユニットUを油排出筒3に加圧して位置決めするものである。
【0042】
中央加圧具60は、再生ユニットUの中央部を下方に加圧するものである。この中央加圧具60は、図7の(a)で示されるように、内側に、油排出筒3の上部側の雄ねじ部N3にねじ込まれる雌ねじ部M2が形成された加圧部材60aの外面に、一対の棒状ハンドル60bが取り付けられたものである。この中央加圧具60の加圧部材60aは、収容筒5の位置決め筒51とほぼ同一径に形成されている。
【0043】
周部押さえ61は、再生ユニットUの外周部を下方に加圧させるものである。この周部押さえ61は、図7の(b)で示されるように、収容筒5の外筒50上に載せられる外リング部材61aと、この外リング部材61aの上方に、これと同芯状に配置され、中央部に、油排出筒3を差し込む開口K2が形成された小円板部材61bと、この小円板部材61bと外リング部材61aとを上下に傾斜した状態で連結し、小円板部材61bを外リング部材61a側に支持させる、6本の支持バー61cとから構成されている。なお、支持バー61cは、等間隔に配置され、かつ、小円板部材61bは、収容筒5の位置決め筒51とほぼ同一径に形成されている。
【0044】
周部加圧具62は、周部押さえ61を介して、再生ユニットUの外周部を下方に加圧するものである。この周部加圧具62は、図7の(c)で示されるように、内側に、油排出筒3の上端側の雄ねじ部N1にねじ込まれる雌ねじ部M3が形成された加圧部材62aの外面に、一対の棒状ハンドル62bが取り付けられたものである。この周部加圧具62は、周部押さえ61の上から油排出筒3にねじ込まれ、周部押さえ61の小円板部材61bを下方に押し下げるように加圧するため、外リング部材61aが、支持バー61cを介して、下向きの力を受け、収容筒5の外筒50を下方に押し下げる。
【0045】
つぎに、油排出筒3が取り付けられた油溜め20内への再生ユニットUの取り付け方法と、この油溜め20からの再生ユニットUの取り出し方法について説明する。
【0046】
最下段の再生ユニットUを、油溜め20内の油排出筒3周りに取り付けるには、パッキンPを油排出筒3の支持円板32上に載せ、このパッキンP上に、油ガイド4を載せた後、油ガイド4上に、ろ紙Fと収容筒5を支持させる。つづいて、ろ紙F上の収容筒5内に一定高さhだけ処理剤Sを入れれば、最下段の再生ユニットUの取り付けは終了する。つぎに、同様にして、2段目の再生ユニットUを最下段の再生ユニットU上に重ね合わせるようにして取り付け、以降同様にして、3段目と4段目(最上段)の再生ユニットUを取り付けていく。
【0047】
つづいて、中央加圧具60を油排出筒3にねじ込み、この中央加圧具60により、最上段の再生ユニットUの収容筒5の中央部(位置決め筒51)を下方に加圧する。このことにより、図4の(b)で示されるように、油ガイド4の金網42やろ紙Fが僅かに下方に押し下げられ、(最上段の再生ユニットUの)収容筒5の位置決め筒51上には、僅かな空間Wが形成される。この場合、最下段から3段目までの再生ユニットUのパッキンP側にも、一定の加圧力は加えられる。
【0048】
つぎに、周部押さえ61を最上段の再生ユニットUの収容筒5上に載せた後、周部加圧具62を油排出筒3にねじ込み、周部押さえ61を介して、(最上段の再生ユニットUの)収容筒5の外筒50を下方に加圧する。このことにより、図4の(b)で示されるように、上方の再生ユニットU側のパッキンPが、下方の再生ユニットUの収容筒5の位置決め筒51を下方に強く押し下げることとなり、上方の再生ユニットUは、油ガイド4が、下方の再生ユニットUの収容筒5の外筒50上に載せられた状態で、下方の再生ユニットU上に支持され、最下段から最上段までの再生ユニットUが、油排出筒3に位置決め支持される。この場合、各再生ユニットUの油ガイド4は、油排出筒3の各流入口30aの位置に位置決めされる。なお、流入口30aの一部は、位置決め筒51の切欠部51b側にも位置することになるが、このことにより、油排出筒3と、油ガイド4(小円板41)やろ紙Fとの隙間を通った油ガイド4内の食用油Yは、この切欠部51bを通って、油排出筒3内に容易に流れ込むことができる。
【0049】
つづいて、図3で示されるように、油排出筒3のピストン33が、ロッド34を用いて最上段の位置まで持ち上げられ、横貫通口34aに位置決めピンが差し込まれることにより、ここに位置決めされるとともに、上部ロッド34bがピン部材34d回りに折り曲げられ、ロッド34の上方への突出が抑えられる。この場合、ピストン33は、油排出筒3の全ての流入口30aから、油溜め20内の食用油Yを排出できる位置に位置決めされる。そして、処理容器2の上蓋22を閉じれば、この再生装置1を用いて、使用済み食用油Yの再生作業が開始できる状態となる。
【0050】
つぎに、処理剤Sによる食用油Yの再生作業が終了すると、処理容器2内から食用油Yが排出されて、上蓋22が開けられる。そして、ロッド34から位置決めピンが外されて、油排出筒3のピストン33を最下段の位置まで下降させた後、油排出筒3から、周部加圧具62と周部押さえ61と中央加圧具60とが取り外される。つづいて、各再生ユニットUが、油ガイド4の引き上げ具43を用いて、チェーンブロック等により、油溜め20から取り出される。この場合、正確には、再生ユニットUのパッキンPは、別途取り外されるか、又は、処理ユニット(再生ユニットUからパッキンPを除いたもの)上に置かれた状態で取り外される。なお、つぎの再生処理に対して、処理剤Sとろ紙Fは、新たなものと取り換えられる。
【0051】
また、例えば、下2段の再生ユニットUを用いて、食用油Yの再生処理を行う場合には、上の2段には、ろ紙Fと処理剤Sのない再生ユニットU(以下空ユニットU1という)が用いられる。すなわち、油溜め20内に、2つの再生ユニットUを重ねるように置いて、その上に2つの空ユニットU1を重ね、つづいて、これらを、中央加圧具60と周部押さえ61と周部加圧具62とを用いて油排出筒3の支持円板32に加圧する。このことにより、少なくとも2つの再生ユニットUは、油排出筒3に位置決めされるので、その後、油排出筒3のピストン33を2段目と3段目の流入口30a間に位置決めすれば、下2段の再生ユニットUを用いて、食用油Yの再生処理を行うことができる。
【0052】
つぎに、粒状の処理剤Sを用いて食用油Yの再生処理を行う場合の、この再生装置1の作用効果について説明する。この場合、油溜め20内の食用油Yは、油排出筒3を介して、吸引ポンプにより、外部に排出されるものとする。
【0053】
油溜め20内に、最上段(4段目)の再生ユニットU上方まで使用済み食用油Yが満たされると、食用油Yのヘッド圧により、開口50c等を介して、各再生ユニットUの油流入空間V内が食用油Yで満たされた後、各再生ユニットUの処理剤S中や油ガイド4中が食用油Yで満たされ、油排出筒3内も食用油Yで満たされる。つづいて、供給量と排出量とが等しくなるように、油溜め20内へ食用油Yを供給しつつ、油排出筒3を介して、油溜め20からの食用油Yを吸引していくと、各再生ユニットUにおいて、食用油Yは処理剤Sと接触しつつ一定の速度で下降し、調理によって生じた変質劣化成分が処理剤Sに吸着される。そして、ろ紙Fに達した食用油Yは、ろ紙Fを通過することにより、処理剤Sと分離された後、油ガイド4内に移動し、この油ガイド4中を水平移動して、流入口30aから、油排出筒3内に移動する。
【0054】
ここで、収容筒5内の処理剤Sの厚さhは一定であり、かつ、開口50cから油流入空間Vに入った食用油Yは、外筒50と位置決め筒51間の水平距離a(図4の(a)参照)だけ、ほぼ水平移動して、油排出筒3に達する。このため、各再生ユニットUにおいて、処理剤S上のどの位置から油ガイド4側に下降する食用油Yも、ほぼ同じ距離だけ移動して油排出筒3に達することとなり、食用油Yは、処理剤S中をほぼ等しい速度で移動することとなる。したがって、収容筒5内のどの処理剤Sも、ほぼ均一に食用油Yと接触し、食用油Y中の変質劣化成分を吸着する。
【0055】
また、最下段の再生ユニットUには、最上段の再生ユニットUに比べて、高さH分(図3参照)だけ、食用油Yのヘッド差Gがかかるため、このヘッド差Gだけ、最下段の再生ユニットUには、多量の食用油Yが流れ込むこととなる。この場合、具体的なヘッド差Gは、高さHが約300mmであり、例えば食用油Yの比重を0.85とすると、0.3×0.85/(10×9.8)=0.0026MPaとなる。
【0056】
しかしながら、食用油Yが、処理剤Sとろ紙Fを通過する時の流動抵抗は非常に大きい。例えば、この再生装置1を用いて、4800Kgの食用油Yを処理した場合、処理容器2に設けられた上真空計90の圧力は、ほぼ0MPa(大気圧)を示し、下真空計91の圧力は、−0.05MPa〜−0.08MPaを示している。すなわち、処理剤Sとろ紙Fを通過する場合の、食用油Yの流動抵抗は、食用油Yのヘッド圧を無視すれば、処理剤Sやろ紙Fが新しい時には、0.05MPaであり、処理剤Sやろ紙Fが汚れてきた時には、0.08MPaとなって、上記ヘッド差Gの20〜30倍の大きさとなる。
【0057】
すなわち、この再生装置1では、各再生ユニットUの上下位置に差があっても、食用油Yが処理剤Sとろ紙Fを通過する流動抵抗が非常に大きいので、この上下位置に基づくヘッド差Gは無視でき、各再生ユニットUには、ほぼ同量の食用油Yが流れることとなる。したがって、この再生装置1では、各再生ユニットUにより、食用油Yを等しく再生処理することができる。このことは、再生処理後の各再生ユニットU中の処理剤Sの汚れ具合(変質劣化成分の吸着状態)が、ほぼ等しいことからも証明されている。
【0058】
なお、処理剤Sとろ紙Fを通過する時の食用油Yの流動抵抗は、処理剤Sの粒径や厚さ、ろ紙Fの目の粗さ等によって変化するが、少なくとも、この流動抵抗が、上下位置に基づくヘッド差Gの10倍以上あれば、ヘッド差Gは無視でき、各再生ユニットUで等しく、食用油Yが再生処理されていると考えることができる。
【0059】
以上のように、この再生装置1では、ろ紙F上の収容筒5内に一定厚さhさだけ収容された処理剤Sを、油排出筒3の流入口30aの段数だけ、上下に重なり合うように配置しても、各収容筒5内の処理剤S中を通過する食用油Yの流量をほぼ等しくすることができるので、各収容筒5内の処理剤Sによりほぼ等しく食用油Yの再生をすることができる。したがって、この再生装置1では、粒状の処理剤Sを使用して、食用油Yの再生処理を行う場合に、食用油Yの処理量が多くなっても、処理剤Sの占有する面積を充分に小さくでき、装置の設置エリアを小さく抑えることができる。
【0060】
また、この再生装置1では、パッキンPと、油ガイド4と、ろ紙Fと、処理剤Sを収容した収容筒5とが、この順番で重ね合わされる再生ユニットUを複数設けた場合でも、各再生ユニットUどうしが互いに積み重ねられるので、各再生ユニットUの支持と位置決めとを容易になすことができる。また、各再生ユニットUは、油排出筒3に位置決め支持されるので、各再生ユニットUの油ガイド4と、油排出筒3の各流入口30aとの位置合わせも容易になすことができる。
【0061】
さらに、この再生装置1では、油排出筒3内のピストン33の位置を変えることにより、食用油Yが通過する再生ユニットUの数を変えることができるので、食用油Yの量に増減がある場合等に、これらに合わせた適切な装置の運転をすることができる。
【0062】
なお、収容筒5への処理剤Sの収容厚さhは、現在の厚さ(60mm)の1/2や1/3であってもよいが、この場合、処理剤Sとろ紙Fによる食用油Yの流路抵抗を有る程度に保つため、ろ紙Fの目の粗さを細かくしたり、ろ紙Fの枚数を増やしたりする工夫が必要な場合も生じる。
【0063】
また、油溜め20内に配置される再生ユニットUの段数(数)は、5段以上であってもよいし、3段以下であってもよい。
【0064】
さらに、処理剤Sを、圧肉円筒状に形成された袋状フィルタ内に入れ、これを収容筒5内に一定の厚さとなるように収容してもよい。このことにより、処理剤Sの収容筒5内への収容作業の容易化や迅速化を達成できる。
【0065】
図8は、フライヤーで使用される食用油Yを、ろ過した後、再生処理する場合の食用油Yのフローの一例を示している。以下この図を用いて、食用油Yのろ過処理と再生処理について説明する。
【0066】
図中、符号100は、食用油Yを使って揚げ物調理がなされるフライヤー、符号101は、調理により生じた食用油Y中の揚げ滓等をろ過するろ過装置、符号102は、揚げ滓等がろ過された食用油Yを溜める油タンク、符号103は、油タンク102上に設置され、油タンク102内の食用油Yを再生装置1に供給する送油ポンプ、符号104は、再生装置1で再生処理された食用油Yを油タンク102に戻す吸引ポンプ、符号105は、ろ過装置101でろ過処理された食用油Yを、フライヤー100に戻すか、油タンク102に溜めるかを定める三方弁、符号106は、油タンク102内の食用油Yを、フライヤー100に戻す場合は開けられ、ろ過装置101によりろ過処理された食用油Yをフライヤー100に戻す場合には閉じられる操作弁、符号107は、送油ポンプ103の停止時に短時間だけ開けられ、再生装置1内に空気を送り込むためのモータ弁を示している。なお、フライヤー100は、架台R1によりやや持ち上げられており、油タンク102も、架台R2により、フライヤー100より充分高く持ち上げられているものとする。
【0067】
揚げ物調理がなされているフライヤー100内の食用油Yを常時ろ過処理する場合には、第1配管110中の止め弁109が開けられて、フライヤー100内の食用油Yは、ろ過装置101で揚げ滓等がろ過処理された後、ろ過装置101の内部ポンプ101aによって、三方弁105を経由した第2配管111と、油タンク102底部とフライヤー100を結ぶ第3配管112とを通って、フライヤー100へ戻され、同じルートを循環する。
【0068】
また、揚げ物調理中に食用油Yのろ過処理がなされていても、いなくても、フライヤー100による揚げ物調理が終了すると、フライヤー100内の食用油Yは、ろ過処理されて油タンク102内に一時保管される。すなわち、フライヤー100中の食用油Yは、第1配管110、ろ過装置101、第2配管111中の三方弁105を経由するとともに、三方弁105と油タンク102を結ぶ第4配管113を通って、油タンク102内に溜められる。
【0069】
つぎに、フライヤー100内の食用油Yが、ろ過処理されて油タンク102内に溜められると、この食用油Yは、再生装置1を用いて、油中の変質劣化成分が吸着され、再生処理される。すなわち、油タンク102と再生装置1の導入ノズル20aとを結ぶ第5配管114中の送油ポンプ103が作動され、油タンク102内の食用油Yは、再生装置1内に供給される。そして、再生装置1内の下液面スイッチ93が食用油Yを検知した後、上液面スイッチ92が食用油Yを検知すると、送油ポンプ103が停止されるとともに、再生装置1のパイプ24と油タンク102とを繋ぐ第6配管115中の吸引ポンプ104が作動し、再生装置1内の再生処理済みの食用油Yを油タンク102内に移動させる。
【0070】
この場合、油タンク102内の食用油Yは、油タンク102と第5配管114中の送油ポンプ103の吐出側とを連結する第7配管116を経由して再生装置1に供給されるが、送油ポンプ103の停止に合わせて、第7配管116の最上部に取り付けられた電動弁107が短時間(例えば十数秒間)開けられる。このため、電動弁107を介して、再生装置1側に空気が吸引され、再生装置1内の食用油Yのレベルが下がり、上液面スイッチ92による食用油Yの検出はなくなる。この状態で、油タンク102内の食用油Yは、第7配管116と第5配管114から再生装置1に供給されるとともに、再生装置1内の処理済みの食用油Yは、吸引ポンプ104により第6配管115を経由して、油タンク102に戻される。そして、上液面スイッチ92が再度食用油Yを検知すると、電動弁107が短時間開けられ、再生装置1の食用油Yのレベルが下げられる。また、下液面スイッチ93が食用油Yを検出しなくなると、吸引ポンプ104が停止されるとともに、送油ポンプ103が作動される。そして、再生装置1において、上記と同様な液面制御がなされる。
【0071】
そして、油タンク102内の食用油Yが、例えば、平均してほぼ2回(油タンク102内の食用油Yの2倍の量)だけ、再生装置1により再生処理されると、送油ポンプ103や吸引ポンプ104が停止されて、再生装置1による再生処理が終了する。その後、油タンク102内の食用油Yは、翌日の揚げ物調理に備えて、ヘッド差により、第3配管112を用いて、油タンク102からフライヤー100へ移される。
【0072】
なお、第5配管114を油タンク102の底部と連結し、かつ、配管サイズを充分に大きくして、油タンク102内の食用油Yを、ヘッド差により再生装置1に供給するようにしてもよい。この場合、送油ポンプ103の替わりに電磁弁を設け、再生装置1内の上液面スイッチ92が食用油Yを検知すると、電磁弁を閉じて、油タンク102から再生装置1への食用油Yの供給を停止するとともに、上液面スイッチ92と下液面スイッチ93間に中液面スイッチを設け、これによる食用油Yの検知がなくなると、電磁弁を開けて、油タンク102から再生装置1へ食用油Yを供給するようにする。
【0073】
また、再生装置1の処理容器2内を食用油Yで満たし、食用油Yの移動を、送油ポンプ103又は吸引ポンプ104のみで行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 再生装置
3 油排出筒
4 油ガイド
5 収容筒
20 油溜め
21d 底部
30a 流入口
33 ピストン
42 金網(網目部材)
50c 開口
100 フライヤー
F ろ紙(フィルタ)
h 厚さ
K1 開口
S 処理剤
U 再生ユニット
V 油流入空間
Y 食用油Y

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライヤーによる調理が終了した使用済みの食用油を、一定の厚さとなるように収容された粒状の処理剤中を通過させることにより、調理により生じた油中の変質劣化成分を、前記処理剤に吸着させて、前記食用油を再生させる食用油の再生装置であって、
前記食用油が導入される凹状の油溜めと、
前記油溜めの底部を上下に貫通するように設けられ、上部側が閉塞されるとともに、下部側が開放され、1又は複数の開口からなる流入口が、一定間隔で上下方向に複数段形成されていて、この流入口を用いて、前記油溜め内の前記食用油を強制的に外部に排出させる油排出筒と、
フィルタを介して、内部に前記処理剤を収容する収容筒と、
前記油溜め内の、前記フィルタの下方に配置され、前記処理剤とこのフィルタとを通過した前記食用油を、前記油排出筒の前記流入口の1つに導くとともに、前記フィルタを介して前記処理剤を収容している前記収容筒と対になって、前記油排出筒の前記流入口の段数分だけ、上下方向に重なり合うように設けられている複数の油ガイドとを有しており、
かつ、各前記収容筒内の前記処理剤上方に、前記油溜め内の前記食用油を、この処理剤側へ導く油流入空間を設けていることを特徴とする食用油の再生装置。
【請求項2】
前記油ガイドは、上面側が、前記フィルタを介して前記処理剤を支持する網目部材から形成されており、
かつ、前記収容筒は、内部の処理剤上方が前記油流入空間となるように、この処理剤から上方に突出した上部側周部に、前記食用油を内部に流入させる複数の開口が形成されており、
さらに、前記油ガイドと、前記フィルタを介して前記処理剤を収容した前記収容筒とは、前記流入口の段数分だけ、前記油ガイドが、直下の前記収容筒上に支持されるように、互いに積み重ねられるとともに、中央部に前記油排出筒が貫通した状態で、この油排出筒に位置決め支持されることを特徴とする請求項1記載の食用油の再生装置。
【請求項3】
前記油排出筒は、上下方向の所定位置に位置決めされて、この油排出筒の前記流入口のうち、上方にある流入口からの前記食用油の排出を阻止する、上下動自在なピストンを有していることを特徴とする請求項1又は2記載の食用油の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−245194(P2012−245194A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119963(P2011−119963)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(507381628)株式会社コマツ製作所 (1)
【Fターム(参考)】