説明

食用組成物

(1)高融点脂質、(2)保湿剤、及び、(3)ゲル化剤を含有する、ネコ向けトリート又はフードとして用いるために適している組成物であって、約16%以下の水を含み、約0.65以下の水分活性を有する組成物を提供する。低い水分含有有量は、必要ない微生物が成長できないことを意味し、したがって、味を悪くする防腐剤の需要をなくしている。よって、組成物は、柔らかいテクスチャーを保持しながら、比較的にレベルの高いおいしさを有する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001] 本願は、2008年1月2日付けで提出された米国仮出願番号61/009828の優先権を主張し、この出願の内容を参照により援用する。
【技術分野】
【0002】
[0002] 本発明は、食用組成物に関し、特に、動物向けフード、トリート又はスナックとして使用するために適している柔らかい食用組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 柔らかいフードは、多くの動物、特に猫のようなペットの口によく合う。ほとんどの柔らかいフード、トリート又はスナックは、多くの水分含有量を有する。水分含有量が多いと、フードに魅力的なテクスチャー又は口当たりを与えることができるが、多くの水分を有するフードは、一般的に微生物増殖及び微生物腐敗しやすくなる。水分含有量を低くすることによって、微生物腐敗のリスクを減らせることは望ましいが、組成物の所望な柔らかいテクスチャー品質を保持しながら、組成物の水分含有量を十分に低くすることは難しい。さらに、スナックフード及びペットトリートの分野において、顧客の好評は、多くの場合テクスチャーに直接関連している。したがって、高い水分含有量に関係する微生物腐敗を減少又は回避することができる比較的少ない水分含有量を実際に有しながら、比較的高い水分含有量を有するフードによって与えられている柔らかいテクスチャーを特徴とする食用組成物が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004] したがって、本発明の目的は、フード、トリート又はスナックとして用いるために適している組成物を提供することにある。
【0005】
[0005] 本発明の他の目的は、ネコ向けトリートを含むペットトリートとして用いるために適している組成物を提供することにある。
【0006】
[0006] 本発明の他の目的は、別の抗菌剤又は他の防腐剤が少量しか又は全く含まれていない食用組成物を提供することにある。
【0007】
[0007] 本発明の他の目的は、柔らかいテクスチャーのフード組成物を処方又は製造するための方法を提供することにある。
【0008】
[0008] 本発明の更なる目的は、別の抗菌剤又は他の防腐剤が少量しか又は全く含まれていない柔らかいテクスチャーのフード組成物を提供することにある。
【0009】
[0009] 本発明の更なる目的は、動物の1つ以上の栄養上要求を満たすために有用な情報及び組成物の組合せを収容するキットの形態にある製品を提供することにある。
【0010】
[0010] 1つ以上のこれらの目的及び他の目的は、1つ以上の高融点脂質、1つ以上の保湿剤、1つ以上のゲル化剤を含み、比較的低い水分含有量及び水分活性を有する新規食用組成物を用いて達成される。高い水分含有量を有する組成物と同様な柔らかいテクスチャーを有するこの組成物は、従来の組成物と比べて改良された味を有し、更に、腐敗を阻止するための他の添加剤又は抗菌剤を少量しか又は全く必要としない。本発明の他の及び更なる目的、特徴及び利点は、当業者にはすぐ分かるであろう。
【定義】
【0011】
[0011] 以下の略語がここに用いられている。「Aw」は「水分活性」を意味し、「HMP」は「高融点」を意味する。
【0012】
[0012] 用語「動物」は、本発明の組成物を消費することができるヒト又は他の動物を意味し、鳥類動物、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヤギ、オオカミ、ネズミ、ヒツジ、ブタを含む。好ましい動物には、哺乳動物かつペットを含む。「ペット」は、任意の家畜であり、これらに制限されることなく、猫、犬、兎、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、スナネズミ、馬、牛、山羊、羊、ロバ、豚、及び同様なものを含む。犬及び猫は、特定の実施形態において好ましい。特定の実施形態において、用語「哺乳動物」は、ヒトを含み、また、他の実施形態においては、ヒトが明確に除外されることが好ましい。
【0013】
[0013] 用語「食餌サプリメント」は、動物の通常の食餌に加えて摂取される予定の製品を意味する。食餌サプリメントは、任意の形にあってもよく、例えば、固体、液体、ゲル、錠剤、カプセル、粉末、及び同様な形にあってもよい。食餌サプリメントは、便利な剤形で提供されることが好ましい。いくつかの実施形態において、このようなサプリメントは、大量の粉末剤、液剤、ゲル剤又は油剤のように消費者向け大量パッケージで提供される。他の実施形態において、サプリメントは、大量で、スナック、トリート、サプリメントバー、飲み物、及び同様なもののような他の食品に含まれるように提供される。
【0014】
[0014] 用語「フード」又は「フード製品」は、動物による摂取を目的とし、動物による摂取のために安全である、かつ、動物に栄養を与える製品又はフード組成物を意味する。ここに用いる「ヒト向け消費のために処方されたフード組成物」は、明確に人間による摂取を目的とする任意の組成物である。用語「ペットフード」又は「ペット向けフード組成物」は、動物、特にペットによる消費を目的とする組成物を意味する。「完全な、栄養的にバランスの取れたペットフード」は、ペット栄養分野における例えば広く認識されている当局の提案に基づいて、フードの目的受容者又は消費者ための全ての既知の必要な栄養素を、適切な量及び比率で含むものである。したがって、このようなフードは、補足的な栄養源の添加なしに、生活を維持するための又は生産を促進するための唯一の食餌摂取源として働くことができる。栄養的にバランスの取れたペットフードは、広く知られており、この分野に用いられている。
【0015】
[0015] 用語「フード組成物」は、ヒト又は他の動物を対象とした、フード、飼料、スナック、フードサプリメント、トリート、ミール代用品又はミール代替品のいずれかを含む。ここにおいては、このような組成物を「食餌組成物」ともいう。「動物フード」は、任意の家畜又は野生種を対象としたフード又は飼料を含む。好ましい実施形態において、動物向けフードは、栄養上完全なフード又は食餌組成物を意味し、例えば、ペレットフード、押出成形フード又は乾燥フードがある。このような動物フードの例として、押出成形されたペットフードを含み、例えば、ドッグフード及びキャットフードである。
【0016】
[0016] 用語「ゲル化剤」は、このゲル化剤がフードの中に用いられている条件下で、フードをゲル化する能力を示す食用化合物を意味する。ゲル化剤は、ゲルの形成により、フードにテクスチャーを与える。特定の実施形態において、ゲル化剤を使用しない場合には、フードは液体のままであるか、フードに自由な液体が存在するであろう。他の実施形態において、ゲル化剤を含まない場合には、液体が徐々にフードから分離するであろう。更に他の実施形態において、ゲル化剤は、水分活性を減らすのに役立ち、これによって、フードの微生物腐敗に対する感受性を減らすことができる。特定のゲル化剤は、多糖成分又は蛋白質成分を含む。ゲル化剤の例として、天然ゴム、テンプン、ペクチン、寒天及びゼラチンを含む。藻類又は海藻からの海洋性多糖の具体例として、アルギン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及びカルシウム塩等)、寒天並びにカラギーナンを含む。ゴムの例として、ローカストビーンゴム(locust bean gum)、キサンタンゴム(xanthan gum)、グアーゴム(guar gum)、アラビアゴム(gum arabic)、ゴムトラガカント(gum tragacanth)、タラヤゴム(tara gum)及びカラヤゴム(karaya gum)を含む。ゼラチンは、部分的に加水分解したコラーゲンに由来する畜産物である。天然のゲル化剤又は天然物由来のゲル化剤は、ここに用いるために好ましい。テクスチャーを与えることは別として、ゲル化剤はしばしば、フード製品の加工処理中(例えば、調理中に、材料が分離する、蒸発する、又は、完全性を失うであろう)又は貯蔵中において機能性を与えている。
【0017】
[0017] 用語「高融点脂質」又は「HMP脂質」は、室温で融解しない食用脂質を意味し、すなわち、約25℃を超える融点を有する脂質をいう。このような脂質は、製品を柔らかくするために一般的に用いられている。例として、ラード、水素化動物脂肪、水素化植物油がある。好ましい高融点脂質は、室温でも固体のままであり、かつ、少なくとも約40℃の融点を有する脂質である。他に有用な高融点脂質は、約50℃を超える融点を有するものである。組成物に1つ以上の脂質が用いられる場合には、脂質の平均融点ともいう。脂質の平均融点は、含まれている脂質の加重平均を意味する。例えば、2つのHMP脂質源が同じ量で用いられており、HMP脂質1が40℃の融点を有し、HMP脂質2が54℃の融点を有する場合、平均融点は47℃である。組成物が75%のHMP脂質2及び25%のHMP脂質1を有する場合には、HMP脂質の平均融点は、50.5℃である。
【0018】
[0018] 用語「保湿剤」は、フードにおける水分の保持を促進する食用物質を意味する。より具体的には、保湿剤は、周囲の(例えば、空気又はパッケージ内の環境から)水分を吸収する傾向を有する吸湿性物質又は化合物である。保湿剤はしばしば、水酸基のような様々な親水性置換基を有する少なくとも1つの分子を含む。保湿剤は、エステル化可能なアミン及びカルボキシル基を有する置換基も含むことができる。保湿剤はしばしば、フード内で空気からの水分子と水素結合を形成するための能力及び親和性を特徴とする。
【0019】
[0019] 用語「個々」は、任意の種又は種類の個々の動物を意味する。
【0020】
[0020] 用語「微生物」は、少なくとも細菌、カビ及び他の菌類、並びに酵母を含む。特別な微生物は、フードの性質及び環境(pH,温度、成長に利用可能な湿度(例えば水分活性)及び同様なものを含む)に応じて変化するフードの中で又はフード上で成長する。特定の微生物は、容易に検出可能な腐敗をもたらすかもしれないが、他の微生物の成長は、容易に検出されない。このような成長によって、フード経由の感染又は中毒をもたらすことがあり、したがって、フード組成物を消費する動物への危険となり得る。有益な微生物は、当技術分野に知られており、ここに与えられた組成物の処方に含むことができる。
【0021】
[0021] 用語「経口投与」又は「口から投与する」は、ここに記載の1つ以上の動物向け組成物を、動物が摂取すること、又は、ヒトが食べさせるように指示されたことを意味する。ヒトがこの組成物を食べさせるように指示された場合、このような指示は、この組成物を使用することによって、参照の利益を提供することができる、又は、参照の利益を提供するであろうということをヒトに説明及び/又は通知することであってもよい。このような指示は、(例えば、医者、獣医又は他の医療専門家等からの口頭の説明による)口頭の指示、ラジオ或いはテレビメディア(すなわち、公告)、書面による指示(例えば、医者、獣医又は他の医療専門家等からの書面による指示(例えば、処方箋)、販売員又は販売組織等からの書面による指示(例えば、マーケティングのカタログ、パンフレット、又は、他の有益な道具))、書記媒体(例えば、インターネット、電子メール、ウェブサイト又は他のコンピュータ関連媒体)、組成物に付随するパッケージ(例えば、組成物を収容する容器にあるラベル)、又は、これらの組合せ(例えば、より多くの情報を取得するためにウェブサイトにアクセスするための指示が挿入されているラベル又はペッケージ)であってもよい。
【0022】
[0022] 用語「定期的に」は、少なくとも毎月、より好ましくは毎週、組成物を投与又は消費することを意味する。週2回又は週3回のようなより頻繁な投与又は消費は、特定の実施形態において好ましい。少なくとも1日1回の消費を含む養生法がより好ましい。
【0023】
[0023] 用語「同一パッケージ」は、キットの構成要素が、1つ以上の容器の中で又は1つ以上の容器をもって物理的に関連し、かつ、製造、流通、販売又は使用の単位と見なされることを意味する。容器は、バッグ、ボックス、カートン、ボトル、任意種類のパッケージ、任意デザインのパッケージ、任意材料(全体の包装フィルム、収縮包装フィルム)のパッケージ、添付された構成要素(例えば、ホチキスで留めた構成要素、付着した構成要素、又は同様な構成要素)、又は、任意の前記の組合せを含むが、これらに限定されない。例えば、同一パッケージキットによって、製造、流通、販売又は使用の単位と見なされるように物理的に関連している個々の組成物及び/又はフード組成物の容器が提供されてもよい。
【0024】
[0024] 用語「スナックフード」は、動物による摂取を意図した、かつ、このような摂取にとって安全なものであるフード組成物を意味する。ここに用いるようなスナックフードは、ミールを取って代わるのではなく、サプリメントとして用いるために好ましく意図されたものであり、動物の全ての既知の栄養ニーズを満たすように処方されてもよく、動物の全ての既知の栄養ニーズを満たすように処方されなくてもよい。「ペットトリート」(例えば、キャットトリート及びドッグトリートを含むものである)は、動物(ペットであることが好ましい)による消費を意図したものである。スナックフードのように、ペットトリートは、ミールの代替品ではなく、サプリメントとして好ましく意図されたものである。ペットトリートは、動物の全ての既知の栄養ニーズを満たすように処方されてもよく、動物の全ての既知の栄養ニーズを満たすように処方されなくてもよい。特定の実施形態において、ペットトリートは、一定の割合の動物栄養ニーズを満たすように処方されており、また、更なる栄養ニーズ又は補足的な栄養ニーズを満たすように処方されてもよい。
【0025】
[0025] 用語「実質的に含まない」は、その化合物が、いずれかの量でもその組成物に意図的に添加されていないことを意味する。さらに、化合物が含まれている場合でも、ある機能(この機能を果たすために、この化合物が一般的に添加される)を果たすようにフード組成物に一般的に添加されるときの最少レベルの約10%未満の量で含まれている。この化合物は、この化合物をラベルにリストしなくてはならないかもしれない任意の閾値を下回る量で含まれることが好ましい。この化合物が含まれている場合でも、この化合物用の標準的な分析検出方法の検出限度を下回る量で含まれることがより好ましい。任意の通常の実験分析方法でも、この化合物を検出することができない量で含まれることが最も好ましい。
【0026】
[0026] 用語「仮想のパッケージ」は、キットの構成要素が、1つ以上の物理的な又は仮想のキット構成要素上にある指示によって関連をもつことを意味する。この指示は、ユーザが、例えば同一バッグ又は1つの構成要素及び説明書を収容している他の容器内にある他の構成要素を取得するための方法を教えるものであり、前記説明書は、ユーザが、ウェブサイトにアクセスして、記録されているメッセージ又はファックスバックサービスに接するように、或いは、可視的なメッセージを読むように教えるもの、又は、介護者又はインストラクターに接して、例えば、キットの使用方法に関する指示、キットにおける1つ以上の構成要素に関する安全性情報、或いは、技術情報を取得するように教えるものである。仮想的なキットの一部に提供され得る情報の例としては、使用に関する説明、素材の安全性データシートのような安全性情報、中毒管理情報、潜在的は副作用に関する情報、比較研究結果及び同様なもの、フード組成物又はカロリー組成物のような食餌情報、栄養素又は栄養要求に関する一般的な情報、栄養治療問題又は栄養不足に関する一般情報、栄養に関する自己援助、動物に特別又は特殊な栄養上必要品を与えるための介護者向け情報を含む。
【0027】
[0027] ここに明示されている重量の全ての割合は、他に明示されてない限り、全ての組成物及び材料を混合した後の組成物の重量に基づくものである。
【0028】
[0028] ここに用いる場合、用量は、他に明示されない限り、ミリグラム/キログラム(体重)/日(mg/kg/日)で表される。
【0029】
[0029] ここでは、数値範囲内にある各値及びあらゆる値を長々と記載せざるを得ない状態を避けるために、数値範囲は、簡略化してここに用いられる。数値範囲内にある任意の適切な値を選択することができ、必要な場合、大きい値、小さい値、又は、この範囲の端値を選択することができる。ここに用いる場合、用語「約」は、所定値にプラスマイナス10%を意図していることを示す。したがって、「約」は、明示された正確な値からの小さな変動も本発明の範囲内に含まれるという認識を反映する簡略化した表現として用いられている。
【0030】
[0030] 明細書及び添付の特許請求の範囲において、文脈により別に明確に示さない限り、単語の単数形は、逆に、複数形を含む。したがって、単数形(「a」、「an」及び「the」)への言及は、各用語の複数形を一般的に含む。例えば、「子犬」、「方法」又は「フード」への言及は、複数のそのような「子犬」、「方法」又は「フード」を含む。ここにおいて、例えば「抗酸化剤」への言及は、複数のそのような抗酸化剤を含み、同様に、「複数の塊」への言及は、単一の塊も含む。同様に、単語「含む」(「comprise」、「comprises」及び「comprising」)は、排他的に含むことより、包含的に含む意味に解釈される。同じく、用語「含む」及び「又は」(「include」、「including」及び「or」)の全ては、このような解釈が文脈から明確に禁止されない限り、含まれると解釈すべきである。ここに用いる場合、用語「例」は、特に、この用語の後に専門用語のリストが続く場合、ただ例示列挙及び説明のためのものであり、排他的又は包括的に見なすべきではない。
【0031】
[0031] ここに開示されている方法、組成物及び他の進歩は、当業者によって変更し得るため、ここに記載の特定の方法論、プロトコル及び試薬に限定されない。さらに、ここに用いられる専門用語は、特定の実施形態を説明することを目的とするのみであり、記載又は主張しているものの範囲を制限することを目的とせず、その範囲を制限しない。
【0032】
[0032] 他に規定されない限り、ここに用いられる全ての技術用語及び科学用語、専門用語、並びに頭文字は、本発明の分野における当業者又はこの用語が用いられている分野における当業者に一般的に理解されている意味を有する。任意の組成物、方法、製造用具、又は、ここに記載されているものと類似の又は同様な他の手段或いは材料が、本発明の実施に用いられ得るが、好ましい組成物、方法、製造用具、又は、他の手段或いは材料は、ここに記載されている。
【0033】
[0033] ここに記載又は言及される全ての特許、特許出願、出版物、技術論文及び/又は学術論文、及び、参照文献を、法律によって許可された範囲を参照することにより、全体として援用する。これらの参考文献への説明は、単に、そこの主張を要約することを意図している。このような特許、特許出願、出版物或いは参照文献のいかなるものも、又は、これらのいかなる部分も、関連技術、重要技術又は従来技術であるということは認められない。すなわち、このような特許、特許出願、出版物及び他の参照文献を関連技術、重要技術又は従来技術とするいかなる主張における正確性及び適切性に異議を申し立てる権利は残っている。明細書内に十分に記載されていない出版物の完全な引用について明細書の最後に明記する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[0034] 一態様において、本発明は、1つ以上の高融点(HMP)脂質、1つ以上の保湿剤及び1つ以上のゲル化剤を含む組成物を提供する。この組成物は、約16%以下の含水率及び約0.65以下の水分活性を有する。本発明は、HMP脂質、保湿剤及びゲル化剤を含む組成物が、比較的に高い水分又は水の含有量(例えば20%〜30%の含水率)を有する組成物のように柔らかくて口に合うテクスチャーを有し得る発見に基づいている。さらに、低い水分活性のため、本発明の組成物は、任意の更なる抗菌剤又は他の防腐剤を少量しかで又は全く含まず処方され得る。さらに、この組成物は、更なる抗菌剤又は他の防腐剤がなくても、微生物増殖が原因で腐敗しないであろう。基本的に、この組成物は、望ましくない微生物増殖が原因で腐敗しない、柔らかくて湿気を有する口に合う組成物である。この組成物は、動物向けの食用組成物として有用であり、例えばスナック又はトリートである。この組成物は、この分野において適する(特に、スナック又はトリートのようなフード組成物に適する)任意の方法によって作られ得る。
【0035】
[0035] 好ましい実施形態において、この組成物は、意図したタイプの食用組成物に適する主要栄養素組成物を含む。一実施形態において、組成物は、ヒト向けフード組成物、ペット向けフード組成物又は食餌サプリメントである。一実施形態において、食用組成物は、約20%〜32%の蛋白質、約30%〜50%の炭水化物、約5%〜20%の脂質、及び、約15%〜25%の水分を有する。他の実施形態において、フード組成物は、ペット向けフード組成物であり、例えば、高級な又は超高級なペット向けフード組成物である。一実施形態において、ペットフードは、イヌ向けに処方されており、約20%〜30%の蛋白質量を有し、好ましくは約24%〜28%であり、より好ましくは約25%〜27%である。一実施形態において、ドッグフード組成物の蛋白質量は、約26%である。他の実施形態において、処方物は、ネコ向けのものであり、約35%〜45%の蛋白質量を有し、好ましくは約37%〜42%であり、より好ましくは約39%〜41%である。一実施形態において、キャットフード組成物の蛋白質量は約40%である。
【0036】
[0036] 他の実施形態において、この組成物は、乾燥重量を基準として、約15%〜約50%の蛋白質、約5%〜約40%の脂質、約5%〜約10%の灰分を含み、かつ、約5%〜約16%の水分含有量を有するフード組成物である。様々な実施形態において、組成物の含水率は、約10%以下である。他の実施形態において、含水率は、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%又は5%である。
【0037】
[0037] 組成物における水分活性(Aw)は、比較的に低く維持されている。様々な実施形態において、Awは、微生物増殖又は微生物腐敗を減らすほど低い。他の実施形態において、Awは、組成物における微生物増殖又は微生物腐敗を相当に低くするほど低い。また他の実施形態において、水分活性は、微生物活性による微生物増殖又は微生物腐敗を実質的に防ぐ又は完全に防ぐほど低い。このような実施形態において、フード組成物は、更なる微生物負荷にも抵抗を示す。様々な実施形態において、Awは、約0.65〜0.6、又は、0.6〜約0.4である。好ましい実施形態において、フード組成物の水分活性は、約0.5〜0.6である。したがって、ここの開示によって組成物が作られ得る場合、Awは0.65、0.64、0.63、0.62、0.61又はそれ未満である。他の実施形態では、0.6、0.59、0.58、0.57、0.56、0.55、0.54、0.53、0.52、0.51又は0.5のAwを有するフード組成物を特徴とする。0.5未満の水分活性も、一定の実施形態において好ましく、0.49、0.48、0.47、0.46、0.45、0.44、0.43、0.42、0.41又は0.4までのように低いAwを有する適用も含む。他の実施形態において、より低いAwが達成可能であってもよく、より低いAwが望ましくてもよい。
【0038】
[0038] 一実施形態において、この組成物は、約10%〜約35%の保湿剤の添加を特徴とする。一定の実施形態において、保湿剤は、約15〜約25%である。ここで用いられる保湿剤は、食用組成物として用いられる任意の知られている保湿剤を含む。砂糖(特に入手可能な単糖類及び/又は二糖類)、糖アルコール(例えばソルビトール)、多糖(任意の様々なデキストリン、マルトデキストリン及び同様なもの)及びグリセリンのような一般的な保湿剤成分の使用はここに含まれる。
【0039】
[0039] この組成物は、ゲル化剤も含み、約5%〜約20%である。一実施形態において、ゲル化剤は、少なくとも約8%であり、又はそれを超える。この明細書における一定の実施形態において好ましいゲル化剤は、デンプン、加工デンプン及びゴムである。
【0040】
[0040] 他の態様において、本発明は、更なる防腐剤又は抗菌剤添加物を部分的に含まない、実質的に含まない又は完全に含まない組成物を提供する。一実施形態において、組成物は、プロピオン酸、ケイ酸カルシウム又はソルビン酸を実質的に含まない。ここにおける他の実施形態に開示されている本発明の組成物は、約0.12%未満のプロピオン酸、約0.12%未満のケイ酸カルシウム又は約0.5%未満のソルビン酸を有する。多い水分(20%〜35%)を有する柔らかいテクスチャーの組成物が、濃度がそれぞれ0.125%、0.125%及び0.6%である、プロピオン酸及びその塩、ケイ酸カルシウム、及び、ソルビン酸又はその塩を含むことは珍しくない。様々な実施形態において、ここに開示されている組成物が、約0.12%未満、約0.11%未満、約0.10%未満、約0.09%未満、約0.08%未満、約0.07%未満、約0.06%未満、約0.05%未満、約0.04%未満、約0.03%未満又は約0.02%未満、更には約0.01%未満又は約0.005%未満のプロピオン酸及びその塩又はケイ酸カルシウムを含む。他の実施形態において、HMP脂質、保湿剤及びゲル化剤を含む組成物は、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満又は0.2%未満、更には0.1%又は0.05%未満のソルビン酸又はその塩を含む。一実施形態において、この組成物は、比較的に高い水分含有量(例えば約20%〜約35%)を有する組成物と比べて抗菌剤添加物又は他の防腐剤を少量しか含まない。
【0041】
[0041] 更なる防腐剤又は抗菌剤をなくす又は比較的になくすことは、それらの微生物安定性の観点から組成物にいかなる悪影響も与えない。様々な実施形態において、フード組成物又はこの組成物から作られる製品は、長期保存と共に安全性及び鮮度が維持されており、1週間、2週間、3週間又は4週間、更には最大1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間又は12ヶ月間、又は、室温より高い温度で、腐敗されず微生物的観点から安全であろう。特に、この製品は、それらの低い水分活性によって、カビ及び酵母による腐敗に耐性を示すであろう。
【0042】
[0042] 食用組成物は、HMP脂質、保湿剤及びゲル化剤を含む。特定の実施形態において、組成物は、約18%以下のHMP脂質を含む。他には、HMP脂質は、約10%以下である。他の実施形態において、HMP脂質は、少なくとも約5%である。したがって、組成物は、高脂質処方物の場合、約20%、約19%、約18%、約17%、約16%及び15%のHMP脂質を包含する様々な量のHMP脂質を含んでもよい。他に、組成物の低脂質処方物は、14%、13%、12%、11%或いは10%のHMP脂質又は9%、8%、7%、6%或いは5%のHMP脂質を含む。4%、3%又は2%、更には少なくとも1%又は0.5%のHMP脂質を含む低脂質処方物が、ここで用いられると考えられる。
【0043】
[0043] HMP脂質は、室温で固形物であり、したがって、室温を超える融点を有する。ここに開示されている組成物は、約37℃又は尚一層40℃を超える平均融点を有するHMP脂質を有することを特徴とすることが好ましい。いくつかの実施形態において、HMP脂質は、約50℃を超える平均融点を有する。様々な実施形態において、HMP脂質の平均融点温度は、約30℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃又は約59℃、更には約60℃以上である。
【0044】
[0044] 一実施形態において、ここに提供される組成物は、ネコ向けのフード組成物又はネコ向けのトリートとして処方される。好ましくは、組成物は、室温で6ヶ月間長期保存され得る。他の実施形態において、前記トリートは、20%〜35%の水分含有量を有する水分の高いネコ向けのトリートと同じ柔らかいテクスチャーを有する。このような実施形態において、インストロン(instron)装置を用いて測定されるような、破壊荷重、最大圧縮荷重は、約1重量ポンド(lbf)以下である。様々な実施形態において、トリートを破壊するのに必要な力は、約2lbf未満、約1.5lbf未満又は約1.25lbf未満である。他の実施形態において、この必要な力は、約1.1lbf未満、約1.0lbf未満、約0.9lbf未満、約0.8lbf未満、約0.7lbf未満、約0.6lbf未満、約0.5lbf未満又は約0.4lbf未満である。
【0045】
[0045] 他の態様において、本発明は、1つ以上のHMP脂質、1つ以上の保湿剤、1つ以上のゲル化剤を含み、かつ、約16%以下の含水量を有する、柔らかいテクスチャーのネコ向けトリートを提供することにある。ここで用いられる「キャット(向け)トリート」は、任意のネコへの投与に適しており、「ネコ(向け)トリート」と同じ意味を持つ。このトリートは、約0.65以下の水分活性、約1lbf以下の最大圧縮荷重、及び、約20%〜約35%の含水量を有する従来の柔らかいテクスチャーのネコ向けトリートと比べて改良された口当たりを有する。
【0046】
[0046] フード組成物の口当たりを比較するための様々な方法が知られている。ここで用いるために適する一方法は、テスト中に動物がどちらかの組成物を自由に選ぶことができるように、フード組成物を横に並べて置くステップを含む。
【0047】
[0047] 驚くことに、ここに開示されている方法によって処方されたトリートは、従来のキャット向けトリートと比べて著しく改良された口当たりを有する。その結果を実施例において示す。この改良は、様々な理由で予想外のものである。まず、従来のトリートは、著しく高い含水量を有するため、動物は、より柔らかくてより口当たりのよい従来のトリートに気付くであろうと予期されたが、気付いてなかった。次に、新規な組成物は、同量の食用獣脂も有するが、相当に少ない動物性加水分解物及び蛋白質を有し、これによって、更なるHMP脂質、保湿剤及びゲル化剤と共に、更なる口当たりが提供されると予期されている。最後に、HMP脂質は、一般的に体温を超えて融解し、口当たりにおける多くの上昇を提供することは期待できない。本発明を任意の理論に制限せず、発明者らは、防腐剤及び抗菌剤なしにトリートを処方することによって、従来のトリートにおける否定的な口当たり要素が除去され得ると考えていた。表10から分かるように、横並び式比較の期間中における消費量に基づくと、動物は、従来の又は対照のトリート処方物と比較して、平均して2対1以上の票差で新規なトリートを好んでいる。
【0048】
[0048] 前記組成物について記載のように、HMP脂質、保湿剤及びゲル化剤を含むネコ向けトリートは、低い水分活性のため、更なる抗菌剤又は防腐剤なしでも調製され得る。一実施形態において、トリートは、プロピオン酸、ケイ酸カルシウム又はソルビン酸を実質的に含まない。一実施形態において、キャット向けトリートは、約0.12%未満のプロピオン酸、約0.12%未満のケイ酸カルシウム又は約0.5%未満のソルビン酸を有する。水分が多い(20%〜35%)柔らかいテクスチャーを有する組成物は、プロピオン酸及びその塩、ケイ酸カルシウム、及び、ソルビン酸又はその塩のような防腐剤又は抗菌剤を必ず含む。これらの化合物は、それぞれ0.125%、0.125%及び0.6%の濃度で従来の柔らかいテクスチャーのトリートに一般的に含まれる。様々な実施形態において、ここに開示されているネコ向けトリートは、約0.12%未満、約0.11%未満、約0.10%未満、約0.09%未満、約0.08%未満、約0.07%未満、約0.06%未満、約0.05%未満、約0.04%未満、約0.03%未満又は約0.02%未満、更には約0.01%未満又は約0.005%未満のプロピオン酸及びその塩又はケイ酸カルシウムを含む。HMP脂質、保湿剤及びゲル化剤を含むトリートの他の実施形態において、トリートは、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満又は0.2%未満、更には0.1%未満又は0.05%未満のソルビン酸又はその塩を含む
【0049】
[0049] かなり少ない含水量を有するトリートが、従来の水分が高いキャット向けトリートと匹敵するテクスチャー(最大圧縮荷重で示すような)を有するように処方され得ることも予期されていない。様々な新規な組成物及び従来の組成物について、インストロンデバイスを用いて分析した比較結果をここに提供する。
【0050】
[0050] さらに、従来のトリートが、20%〜35%の水分含有量を有することにより微生物腐敗及び微生物増殖にさらされるため、抗菌剤添加物又は防腐剤が必要となる。発明者らは、新規なトリートが、このような添加剤の使用を減らす更にはなくすほど少ないAwを有するように処方され得ることを見出している。
【0051】
[0051] したがって、ネコ向けトリートは様々な意外な特性を示す。(1)HMP脂質、保湿剤及びゲル化剤を含むトリートは、著しく減らされた含水量をもって処方されるが、20%〜35%の含水量を有する従来のトリートと同じぐらい柔らかいテクスチャーを有することができる。(2)トリートは、従来の柔らかいトリートより相当に低いAwを有するように処方されており、結果として、防腐剤及び抗菌剤の需要を減少又は除去することができる。(3)トリートは、水、動物性加水分解物及び蛋白質における減量、並びに、更なるHMP脂質、保湿剤及びゲル化剤にもかかわらず、従来のトリートを超える統計的に改良された口当たりを有する。
【0052】
[0052] 一実施形態において、ネコ向けのトリートは、約5%〜約10%のHMP脂質、約15%〜約25%の保湿剤、約8%〜約16%のゲル化剤、約4%〜約12%の水、及び、約0.50〜約0.60の水分活性を含む。一実施形態において、HMP脂質は、約50℃以上の平均融点を有する。保湿剤は、グリセリン、単糖類、二糖類、糖アルコール又は多糖の中から一つ以上を含むことができる。ゲル化剤は、加工デンプン、寒天、ペクチン又は食用ゴムの中から一つ以上を含むことができる。
【0053】
[0053] 本発明の組成物は、毎日の、「長期」の消費又は投与に一般的に広く適する。ここに用いるような「長期」投与とは、一般的に、一ヶ月を越える、繰り返される定期的な消費の期間をいう。2ヶ月、3ヶ月又は4ヶ月より長い期間は、特定の実施形態において好ましい。より好ましくは、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月又は10ヶ月より長い期間を含む、さらに延長された期間である。11ヶ月又は1年を超える期間も好ましい。動物の健康状態に有害な影響なく、1年、2年又は3年以上を越えて延長されている規則的な又は毎日の使用を含む長い期間もここに含まれる。本発明の組成物及びトリートを規則的に又は長期に亘って使用することによって、1つ以上の一般的又は特別な健康効果が得られることが好ましい。
【0054】
[0054] したがって、本発明の組成物は、(1)規則的な食餌組成物に加えて又はそれに併せて、(2)別々に、同様な又は異なる周期で、又は、(3)規則的な又はランダムなベースで周期的に、動物に投与され得る。組成物は、特定の動物に相応しいよう定期的にその動物に投与されてもよい。
【0055】
[0055] 他の態様において、本発明は、柔らかいテクスチャーのフード組成物を製造する方法を提供する。この方法は、一つ以上の高融点(HMP)脂質、保湿剤及びゲル化剤と一つ以上の更なる材料とを混ぜて混合物を用意するステップと、この混合物を加熱して、柔らかいテクスチャーのフード組成物を用意するステップと、このフード組成物を所望の形状及びサイズに形を作るステップとを含む。一実施形態において、フード組成物は、約16%以下の含水量、約0.65以下の水分活性、及び、約1lbf以下の最大圧縮破壊荷重を有する。この最大圧縮荷重又は破壊荷重は、このような荷重を測定することできる機器を用いて測定される。ある好ましい機器は、インストロン機器であり、これは、フード分析に一般的に用いられる。一実施形態において、前記加熱するステップはミキサーで実施され、かつ、前記形を作るステップは回転式成形装置で実施される。他の実施形態において、前記加熱するステップ及び形を作るステップは、抽出成形機で実施される。他の実施形態において、混合物は、形成されてから加熱されてもよく(調理又は部分的に調理される)、形成された後、必要に応じて更に加熱(例えば完全な調理)されてもよい。
【0056】
[0056] 一実施形態において、この方法は、(i)約5%〜20%のHMP(例えば、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%)、(ii)約10%〜35%の保湿剤(好ましくは、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%又は約25%)、(iii)約5%〜20%のゲル化剤(例えば5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%)、(iv)約4%〜12%の水(4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%又は12%を含む)、(v)約0.50〜約0.60の水分活性、又は、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59のような任意のその中間値等を含む、柔らかいテクスチャーの組成物を製造するために設計される。一実施形態において、HMP脂質は、約40℃、約45℃、約50℃以上の平均融点を有する。保湿剤は、グリセリン、単糖類、二糖類、糖アルコール又は多糖の中から一つ以上を含むことができる。ゲル化剤は、加工デンプン、寒天、ペクチン又は食用ゴムの中から一つ以上を含むことができる。
【0057】
[0057] 特定の実施形態によると、この方法は、高品質の市販フードとしての柔らかいテクスチャーの組成物を生産するために適している。ここに用いられるような、“高品質の市販フード”とは、動物における重要栄養素の少なくとも80%の消化率を提供するように製造された食餌のことをいう(上記値は、例えば、犬向けの米国学術研究会議(National Research Council)の推奨に記載の、又は、アメリカ飼料検査官協会(the Association of American Feed Control Officials)で定められたガイドラインに記載のものである)。同様に高い基準は、他の動物にも用いられ得る。
【0058】
[0058] この方法は、HMP脂質、保湿剤及びゲル化剤を一つ以上の更なる材料と混ぜるステップを必要とする。これらの更なる材料は、蛋白質、脂質、炭化水素、ビタミン又はミネラルを含むことができる。一実施形態において、この更なる材料は、動物のバランスが取れた食事に十分な栄養素を含む。この動物は哺乳類であることが好ましい。この哺乳類は、犬又は猫のようなペットであることがより好ましい。他の実施形態において、この動物は、人間であり、又は、他の例においては、人間及びペット以外の動物である。好ましい実施形態において、この組成物は、日常的に動物に投与され得る。
【0059】
[0059] したがって、一実施形態において、フード組成物は、全体組成物に与えるために選ばれた、任意の様々な更なる材料又はそれらの組み合わせを含む。熟練した食品技術者は、天然(例えば、植物又は植物由来、動物又は動物由来、及び、微生物又は微生物由来)の材料又は成分及び合成の材料又は成分の中から選択するであろう。特定の実施形態において、この材料は、任意の穀物及び/又はその一部分或いはこれらの成分、食肉及び食肉副産物、魚、貝類、或いは他のシーフード、他の畜産物或いはその副産物、任意の動物の卵、ビタミン、ミネラル、塩、甘味料、繊維、香味料或いは他の香料(palatant)、着色剤及び乳化剤、安定剤、軟化剤、機能性コーティングのような機能性材料及び同様なものを含む。
【0060】
[0060] ここに用いる目的で、様々なフード材料について説明する。フード組成物における任意の添加成分を材料と考えられる。例として、穀物、肉、畜産物、乳製品及び同様なものを含み、上記のそれぞれは、ここに又は以下において別途に指示されなければ一般的な意味を有する。「穀物」は、商業的農業において現在用いられている、又は、ただ実際に或いは生物学的に「穀物」だと知られている、「穀物」農作物として認識されている全ての植物を包括する。例えば、「穀物」は、トウモロコシ、小麦、米、大麦、ソルゴム(sorghum)、雑穀、オート麦、ライ麦、ライ、ソバ、フォニオ(fonio)及びキノアを含む。本発明のフード組成物において、一つ以上のこのような穀物製品を用いることは珍しくないことを当業者は知っているだろう。用語「食肉」は、任意の動物からの製品を含み、チキン或いは他の鶏肉、子羊肉或いは羊肉、小牛の肉或いはビーフ、又はポークのような筋肉組織からの製品であることが好ましい。他の「畜産物」及び「副産物」は、任意の哺乳動物種のミルクから得られる「乳製品又はその副産物」を含む。
【0061】
[0061] 指摘されている防腐剤及び抗菌剤は回避すべきであり、特別な実施形態において用いる場合には、最少濃度に保持すべきである。特に、組成物の製造において、更なる抗菌剤又は防腐剤を使用しない方法が好ましい。一実施形態において、柔らかいテクスチャーの組成物は、プロピオン酸及びその塩、ケイ酸カルシウム、又はソルビン酸及びその塩を実質的に含まない。ここの他の実施形態において、組成物は、約0.12%未満のプロピオン酸又はその塩、約0.12%未満のケイ酸カルシウム、又は、約0.5未満のソルビン酸又はその塩を有する。これらの化合物は、従来の柔らかいテクスチャーの組成物においては、例えば、それぞれ0.125%、0.125%及び0.6%の濃度で含まれる。様々な実施形態において、ここに開示されている柔らかいテクスチャーの組成物は、約0.12%未満、約0.11%未満、約0.10%未満、約0.09%未満、約0.08%未満、約0.07%未満、約0.06%未満、約0.05%未満、約0.04%未満、約0.03%未満又は約0.02%未満の、更には約0.01%未満又は約0.005%未満のプロピオン酸或いはその塩又はケイ酸カルシウムを含む。他の実施形態において、ここの方法によって製造された柔からないテクスチャーの組成物は、約0.6%未満、約0.5%未満、約0.4%未満、約0.3%未満、約0.2%未満の、更には0.1%未満又は0.05%未満のソルビン酸又はその塩を含む。
【0062】
[0062] 一実施形態において、この方法は、柔らかいテクスチャーのフード組成物、ペット向けフード組成物又はペットトリートの製造を対象とする。フード組成物は、スナック又はペットトリートであることが好ましい。一実施形態において、フード組成物はネコ向けトリートである。
【0063】
[0063] 様々な実施形態において、ペット向けのフード組成物又はペット向けのトリート組成物は、約15%〜約50%の粗蛋白質を含む。粗蛋白質の材料は、大豆ミール、大豆蛋白質濃縮物、トウモロコシグルテンミール、小麦グルテン、綿の実及びピーナッツミールのような植物性蛋白質、又は、カゼイン、アルブミン、食肉蛋白質のような動物性蛋白質を含む。ここに有用な肉食蛋白質の例としては、ポーク、子羊、馬、鶏、魚及びこれらの混合物を含む。
【0064】
[0064] 更に、柔らかいテクスチャーの組成物は、約5%〜約40%の全脂質を含んでもよい。フード組成物を処方するための植物性、動物性又は微生物性の様々な脂質源が入手可能であることを、当業者は知っているだろう。一実施形態において、脂質源は、植物脂肪(たとえば、トウモロコシ、大豆又はキャノーラ油)であり、いつでも入手できるものが好ましい。他の実施形態において、動物性脂質(例えば獣脂)は、肉食動物に魅力的なフレーバーだけではなく脂質からのカロリーを提供するために有用である。当然のことながら、任意の前述の材料(例えば脂質)を組み合わせることは、当技術分野に知られており、かつ、価格及び入手可能性だけではなく機能的な性質に基づいてフード組成物を最適化するために有用である。
【0065】
[0065] 更に、柔らかいテクスチャーの組成物は、炭水化物源を含んでもよい。この組成物は、約15%〜約60%の炭水化物を含んでもよい。このような炭水化物の例としては、例えば、穀類又は穀物を含み、例えば、米、トウモロコシ、ミロ、ソルゴム、ムラサキウマゴヤシ、オオムギ、キャノーラ、オート麦、コムギ、及びこれらの混合物である。組成物は、他の材料を随意に含んでもよく、例えば、乾燥ホエー及び他の乳製品副産物を含んでもよい。
【0066】
[0066] いくつかの実施形態において、柔らかいテクスチャーの組成物における灰分は、約1%未満〜約15%を超える範囲にある。本発明によって作られるフード組成物の多くにおいて、灰分は、約1%〜約10%の範囲にあることが好ましい。
【0067】
[0067] ここの記載に制限されることなく、柔らかいテクスチャーのフード組成物における水分含有量は、組成物の性質に応じて変化でき、例えば、2lbf未満、1.5lbf未満、好ましくは約1lbf以下の最大圧縮破壊荷重を有する。ただし、これは、そのテクスチャーが比較的に柔らかいままであるときのことである。一実施形態において、この組成物は、完全な、栄養的バランスが取れたペットフードである。この実施形態において、ペットフードは、約16%以下の水分含有量を有する。これは、ペットフード処方物及びその製造の技術分野における当業者によって認められているような、「乾燥フード」性質のようなものである。「乾燥フード」は、限られた水分含有量(一般的に、約5%から約15%までの又は約20%までの範囲にある)を含むペットフードを表し、したがって、しばしば、例えば小さなビスケットのような粗挽き穀物のように存在する。一実施形態において、組成物は、約5%〜約15%の水分含有量を有することが好ましい。ここに用いられるような乾燥フード製品は、比較的に長期保存可能な、かつ、微生物或いは菌による劣化又は汚染に耐性を示すような、様々な水分含有量を有する様々なフードを含む。更に好ましいのは、押し出しフード製品である乾燥フード組成物であり、このフード組成物は、人間又はペット向けのペットフード又はスナックフードのようなものである。
【0068】
[0068] この方法に用いる更なる材料として、少なくとも一つの繊維源を含んでもよい。用語「繊維」は、フードにおけるすべての「食物繊維」源を含み、それは、消化しやすい又は消化しにくい、可溶性の又は不溶性の、発酵性の又は非発酵性のものである。好ましい繊維は植物(海草を含む)からのものでありが、微生物からの繊維がここに用いられてもよい。様々な可溶性繊維又は不溶性繊維が(当業者に知られているように)利用されてもよい。繊維源は、ビートパルプ(beet pulp)(砂糖大根からの)、アラビアゴム(gumarabic)、タルハゴム(gumtalha)、オオバコ(psyllium)、米ぬか(rice bran)、安定化米ぬか(stabilizedrice bran)、イナゴマメゴム(carob bean gum)、柑橘類パルプ(citrus pulp)、ペクチン、フラクトオリゴ糖(fructooligosaccharide)、短鎖オリゴフルクトース(short chain oligofructose)、マンナンオリゴフルクトース(mannanoligofructose)、大豆繊維(soy fiber)、アラビノガラクタン(arabinogalactan)、ガラクトオリゴ糖(galactooligosaccharide)、アラビノキシラン(arabinoxylan)又はこれらの混合物であり得る。いくつかの実施形態において、ゴムは、ここのゲル化剤及び繊維源の両方の目的を果たすことができる。
【0069】
[0069] あるいは、繊維源は、発酵性繊維であり得る。発酵性繊維がペットの免疫システムに利益をもたらすことは既に記載されている。腸内でプロバイオティック微生物の成長を強化するプロバイオティック組成物を提供する、当業者に知られている発酵性繊維又は他の組成物も、動物の免疫システムに対する本発明による利益を強化するために役立つ組成物の中に組み込まれてもよい。
【0070】
[0070] したがって、特定の実施形態において、プロバイオティック組成物又はプロバイオティック微生物も、ここに提供された方法によって作られた柔らかいテクスチャーの組成物における添加材料として含まれる。ここに用いるために適するプロバイオティック生物は、例えば、腸球菌種、乳酸杆菌種、ビフィドバクテリウム種、サッカロミセス種を含む。任意の組み合わせにおける、これらのプロバイオティック生物及び他のプロバイオティック生物は、組成物の任意の材料に混ぜられてもよい。好ましい実施形態において、このような生物は、組成物又はフード製品が投与予定の動物の消化器官に特に適する。
【0071】
[0071] この方法は、所定の受容者又は消費群(例えば、成体動物、高齢動物又は幼体動物)向けに特別に処方された柔らかいテクスチャーを有する組成物を製造するために用いられ得る。例えば、柔らかいテクスチャーの組成物が子犬、子猫、活発な動物、妊娠中の動物、授乳中の動物、高齢動物又は老齢動物に適するように、処方物が用意され、かつ、材料が混合され得る。このような特殊な処方物は、様々な成長段階又は様々な年齢段階にある動物に相応しいエネルギー及び/又は栄養素に対する要求を含むことが好ましい。
【0072】
[0072] ここに開示されている組成物用の添加材料に更に有用なものは、ビタミンB及びビタミンCのような水溶性ビタミンである。ビタミンBは、特定の実施形態において特に有用である。ここに用いるような「ビタミンB」は、ビタミンB1(チアミン)、B2(リボフラビン)、B3(別名ビタミンP又はビタミンPP)(ナイアシン、ニコチン酸及び/又はニコチンアミドを含む)、B5(バントテン酸)、B6(ピリドキシン)、B7(別名ビタミンH)(ビオチン)、B8(ミオイノシトール)、B9(別名ビタミンM又はビタミンB−c)、B12(コバラミン)、又は、ビタミンBの活性を有すると認められた又は見出されたこれらの塩、複合体又は誘導体のことをいう。任意の前述のビタミンBの組み合わせもここにおいて有用であり、ここではビタミンBの「混合物」ともいう。様々な種によってビタミンに対する要求が変わるため、リストされた化合物の全てが、全ての種のためのビタミンであると考えられない。例えば、ミオイノシトールが人間によって合成できることが知られているため、(適切な人間栄養に必要ないため)もはやビタミンであると考えられない。
【0073】
[0073] 抗酸化剤は、フード技術及びフード処方物の技術分野において広く知られており、ここに提供される方法における添加材料として含まれてもよい。天然の抗酸化化合物として、ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンC及びビタミンE、並びに、これらの誘導体、複合体又は類似体)及び植物抽出物を含み、かつ、食物抽出物として、果物、野菜、ハーブ、種、並びに、食品の他の種類及び/又は部分を含む。リボ酸、葉緑素或いはその誘導体、グルタチオン、ユビキノール(例えば、補酵素Q10)、カロチノイド(例えば、リコピン)、フラボノイド、フェノール酸或いはポリフェノール、及び、ピクノジェノールのような化合物は、優秀な抗酸化剤であることが知られている。抗酸化剤の植物源におけるいくつかの例としては、ベリー類(サクランボ、ブラックベリー、イチゴ、ラズベリー、ガンコウラン、ブルーベリー、ビルベリー/野生のブルーベリー、クロフサスグリ)、ザクロ、ブドウ、オレンジ、梅、パイナップル、キウイフルーツ、グレープフルーツのようなフルーツからのもの、ケール、唐辛子、赤キャベツ、ピーマン、パセリ、チョウセンアザミ、芽キャベツ、ほうれん草、レモン、生姜、ニンニク及び赤カブを含む野菜からのもの、アプリコット、プルーン、ナツメヤシのようなドライフルーツからのもの、ソラマメ、インゲン豆、大豆を含む豆類からのものを含む。また、(ペカン、クルミ、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、ヒマワリの種のような)ナッツ及び種、並びに、(オオムギ、雑穀、オート麦、トウモロコシのような)穀物も含む。多くの天然の抗酸化剤も、クローブ、シナモン、ローズマリー及びオレガノを含む様々なスパイスから入手可能である。広く知られていない抗酸化剤源としては、ウヤク(uyaku)及びカリーカ・パパイヤのような熱帯植物、並びに、銀杏がある。赤ワインのような発酵製品だけではなく、様々な茶類及び緑茶の抗酸化作用も、近年大きな関心を集めており、かつ、ここの使用に適するであろう。セレンは、優秀な脱酸素剤であり、特に、ビタミン又は関連するトコフェロール化合物と共に働く。食物由来の合成抗酸化剤として、フード製品に一般的に用いられるブチルヒドロキシアニソール(BHA)及びブチルヒドロキシトルエン(BHT)を含む。天然及び合成の抗酸化剤の組合せがここの使用に適しているように、任意の前記抗酸化剤のそれぞれ又は組合せも、ここの使用に適している。
【0074】
[0074] 様々な実施形態において、柔らかいテクスチャーの組成物は、添加材料(例えば、ミネラル、他のビタミン、塩、機能性添加剤(例えば、香料、着色剤又は乳化剤))として更なる物質まで含む。このような組成物に有用なミネラルとして、例えば、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、ヨウ素、セレン、及び同様なものを含む。ここに有用な更なるビタミンの例としては、脂溶性のビタミンA、D、E、及びKを含む。様々な実施形態においては、イヌリン、アミノ酸、酵素、補酵素、及び同様なものが含まれてもよい。本発明の好ましい実施形態において、柔らかいテクスチャーの組成物は、更なる防腐剤及び抗菌剤の添加剤を実質的に含まない。
【0075】
[0075] 本製造方法によって、柔らかいテクスチャーの組成物に一つ以上の補助物質を含ませることができる。この補助物質は、一般的な健康を促進又は保持させるものである。好適な物質が、身体的又は精神的な健康に関連付けられるとよい。
【0076】
[0076] 更なる態様において、本発明は、柔らかいテクスチャーのフード組成物を処方するための方法を提供する。この方法は、(i)フードに約16%以下の最終含水量が付与されるように、フード材料を処方するステップと、(ii)一つ以上の高融点(HMP)脂質、一つ以上の保湿剤及び一つ以上のゲル化剤の材料を、フード組成物における水分活性が約0.65以下となるのに十分な量で含ませるステップと、(iii)フレーバー、アロマー、口当たり、動物の栄養バランス、全体的な蛋白質含有量、全体的な炭水化物含有量、全体的な脂質含有量、全体的なカロリー含有量、ビタミン含有量、ミネラル含有量、安定性又は寿命を含む一つ以上の所望な性質を有するフード組成物を提供するために、他の材料を選択するステップとを備える。処方されたフード組成物は、フード組成物の破壊に必要な、インストロン装置のような適切な測定器で測定された約1lbf未満の最大圧縮荷重(破壊荷重)を有する柔らかいテクスチャーを有する。
【0077】
[0077] ここに開示されている他の組成物と同様に、このように処方されたフード組成物は、いかなる抗菌添加剤も含まない。一実施形態において、本方法によって、約5%〜約10%のHMP脂質、約15%〜約25%の保湿剤、約8%〜約16%のゲル化剤、約4〜約12%の水分及び約0.50〜約0.60の水分活性を含むフード組成物が得られる。
【0078】
[0078] この方法によって、50℃以上の平均融点を有するHMP脂質を含む組成物が得られることが好ましい。結果として得られる組成物は、(a)グリセリン、単糖類、二糖類、糖アルコール又は多糖の中から一つ以上を含む保湿剤と、(b)加工テンプン、寒天、ペクチン又は食用ゴムの中から一つ以上を含むゲル化剤とを更に含む。
【0079】
[0079] この処方方法の結果として得られる組成物は、組成物、トリート及び柔らかいテクスチャーに対する上記の記載に適合する。提供された処方方法が、この方法に係る処方物の多くの実施例に加えて、食用組成物、トリート及び柔らかいテクスチャーのフード組成物の製造方法に関する上記記載に基づいて、即適応され得ることは当業者は理解するであろう。表3〜9において、ここの方法によって作られた様々なフード組成物における実際の処方物が提供される。
【0080】
[0080] 本発明のフード組成物の処方を行うに際して、処方物が、最大含水量、最大水分活性、必要な材料及び必要な柔らかさに関して与えられた制限内で変化され得ることは、当業者は理解するであろう。このような変化によって、当業者は、特定材料の分析におけるバッチごとの変化だけではなく、組成物における特定材料の値段及び/又は入手可能性も十分に考慮することができる。したがって、所定のフード組成物又は処方物は、このような要素に応じて、バッチごとに、工場ごとに更には季節ごとにわずかに変化させてもよい。特殊バッチのフード組成物を製造するために選ばれた特定材料におけるこのような変化にもかかわらず、全般的な組成物は(例えば、蛋白質、炭水化物、脂肪、繊維又は他の成分のようなマクロ栄養素分析ごとに)、例えば、特定成分の最少又は最大割合の要求又は保証のようなラベル要求に従って、一定に又は少なくとも実質的に一定に保持されてもよい。
【0081】
[0081] HMP脂質の任意組合せが入手可能であり、同時に又は混ぜてここに用いられ得ることは、当業者は理解するであろう。ここに用いるHMP脂質の量及び種類を選択するために、当業者は、所望の平均融点、及び、口当たり又はテクスチャーのような他の性質を考慮することができる。さらに、得られた組成物が所望の品質及び性質(例えば、Aw、甘さ、テクスチャー、フレーバー、口当たり、及び同様なもの)を確実に持つように、保湿剤の組合せが用いられ得ることは、当業者は理解するであろう。ここに必要な目的のために、任意の源からの任意の周知のゲル化剤が用いられ得ることは、当業者は理解するであろう。所望の範囲又は値のAwに達するために、保湿剤、ゲル化剤及び他の材料の添加は、当業者によって調整され得る。当業者は、実施例によって更に導かれて、必要な柔らかいテクスチャー(研究室において即評価され得る)を有する食用組成物用の更なる処方物を作るであろう。
【0082】
[0082] 他の態様において、本発明はキットを提供しており、このキットは、同一パッケージ内にある別々の容器、又は、仮想のパッケージ内にある別々の容器内に、キット構成要素の必要に応じて、(1)一つ以上の高融点脂質と、(2)一つ以上の保湿剤と、(3)一つ以上のゲル化剤とを含有する食用組成物を含む。キットに提供される組成物は、約16%以下の含水量及び約0.65以下の水分活性を有する。また、このキットは、(1)動物に組成物を投与することに関する説明と、(2)動物の利益のために組成物を使用するための一つ以上の方法に関する説明と、(3)組成物を含む目的栄養を動物に提供することに関する情報と、(4)抗菌剤に関する情報と、(5)組成物に関連する比較情報又はテスト結果との中で少なくとも一つを収容する。
【0083】
[0083] 好ましい一実施形態において、キット内の食用組成物は、最大圧縮破壊荷重が、インストロン装置を用いて測定されたとき約1lbf以下であるような、柔らかいテクスチャーを有する。他の好ましいキットにおいて、食用組成物は、更なる抗菌剤添加剤を含まない。キット内に提供される食用組成物は、ドッグ又はキャットのようなペットのために好ましく処方されている。
【0084】
[0084] 更なる態様において、本発明は、組成物に関する情報又は組成物の使用に関する説明を伝達するための手段を提供しており、前記組成物は、(1)一つ以上の高融点脂質、(2)一つ以上の保湿剤、(3)一つ以上のゲル化剤を含むものである。この組成物は、約16%以下の含水量及び約0.65以下の水分活性を有する。前記情報又は説明は、(1)動物に組成物を投与することに関する説明と、(2)動物の利益のために組成物を使用するための一つ以上の方法に関する説明と、(3)組成物を含む目的栄養を動物に提供することに関する情報と、(4)抗菌剤に関する情報と、(5)組成物に関連する比較情報又はテスト結果との中で1つ以上のものである。様々な実施形態において、伝達手段は、(情報、説明又はこれらの組合せを含む)任意の物理的又は電子的なドキュメント、デジタル記憶媒体、音による提示手段、オーディオビジュアルディスプレイ又はビジュアルディスプレイを含む。一実施形態において、伝達手段は、ディスプレイウェブサイト、ビジュアルディスプレイキオスク、パンフレット、製品ラベル、パッケージ添付文書、公告、印刷物、公共情報、オーディオテープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピュータ読取可能なチップ、コンピュータ読取可能なカード、コンピュータ読取可能なディスク、USB装置、ファイヤーワイヤー装置、コンピュータメモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0085】
[0085] 以下に記載の実施例を参照することによって、本発明のこれらの態様及び他の態様を更に理解されたい。実施例は、本発明の態様及び実施形態を説明するためのものである。したがって、添付の特許請求の範囲が、以下に例示されている実施形態に制限されないことを、当業者は理解するであろう。
【実施例1】
【0086】
[0086] 本発明の様々な態様を、以下の実施例によって更に説明する。これらの実施例は、単に説明の目的で含まれており、他に特別に指示されない限り添付した特許請求の範囲を制限しないことは理解されるであろう。
[実施例1〜9]
【0087】
[0087] 柔らかいネコ向けトリートとして、9種類の異なる食用組成物を用意し、動物のパネリストにおいて好みについてテストした。対応する表(表1〜9)にリストされている材料を混合及び調合するステップと、混合物を生地ミキサーの中で85℃まで加熱するステップと、及び、加熱調理された生地を回転成形機で成形して小さい塊を形成するステップによって、9種類の処方物(実施例A1−A2、B1−B7)をそれぞれ作った。これらの9種類のフードを二つのグループに分ける。グループAは、高い水分含有量(20%〜35%)及び高い水分活性(約0.85)を有する柔らかいネコ向けトリート用の既知の処方物(実施例A1〜A2)を含み、グループB(実施例B1〜B7)は、低い水分含有量(16%以下)及び低い水分活性(0.65以下)を有する本発明によって用意された柔らかいネコ向けトリート用の処方物を含む。
【0088】
[0088] 9種類の組成物用の処方物を表1〜9に示す。処方物において表示されている、「Halt」としてリストされている材料は、50%のプロピオン酸と50%のケイ酸カルシウムとの混合物を含むペットフード用防腐剤をいう。
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】


【表5】


【表6】


【表7】


【表8】


【表9】


[実施例10]
【0089】
[0089] グループAの(対照用の又は「従来の」)フード対グループBの(試験用の)フードの美味しさを比較した。同時に二つのボウルに餌をあげるテストで、グループA(対照用という)及びグループB(試験用という)の両方を横に並べて84匹の猫に提供した。方法論により、美味しさ/好みを評価することができる。フード提供における配置は、右側のボウル又は右側のボウルのどちらかに試験用フード及び対照用フードが配置されるように無作為に選んだ。各テストは3時間続いた。3時間の摂食テストの終わりには、試験用グループ及び対照用グループのフード量を、猫ごとに自動的に記録した。猫ごとに、各フードの消費量を、食べた両フードの合計量の割合で算出した。各動物の消費量データを平均して、全体的な平均消費量(%)を定めた。統計分析を行い、対照用フードと試験用フードとの差のP値を算出した。8回の摂食テストの結果を表10に要約しており、示された統計学的有意差を有する。
【表10】

【0090】
[0090] 表10を参照すると、この結果によって、猫がグループBの新規の柔らかいネコ向け処方物を著しく多く消費したことを示す。意外に、猫は、平均して2倍以上多くのグループB処方物を食べた。さらに、全ての比較差は、統計的に有意であり、全てのP値が0.05未満である。グループBにおけるフードの美味しさは統計的に優れている。
[実施例11]
【0091】
[0091] グループA及びグループB両方のフードのテクスチャーを評価するために、テクスチャープロファイル分析(TPA)を行った。TPAは、インストロン5500Rテクスチャー分析器を用いて行った。各処方物における15個のサンプル(乾燥フードの個々の小塊)をテストした。テスト方法論は、各小塊を圧縮することを必要とする。圧縮分析を行うために、中間サイズのT字状金属プローブを選んだ。各サンプル用小塊の最大荷重(又は破壊荷重)を記録した。個々の小塊のデータを平均して、平均の最大荷重/破壊荷重を定めた。結果を、lbfを単位で表した。1lbfは4.448Nである。処方A1、A2、B1、B2のTPAテスト結果を、表11に提供する。
【表11】

【0092】
[0092] 表11を参照すると、この結果によって、グループBの試験用グループの処方物が、対照用(グループA)処方物と同じ柔らかさを有するという驚くべき事実を示す。したがって、新規のネコ向けフードは、かなり少ない水分含有量を有するにもかかわらず、既知のネコ向けフードと同じテクスチャーを有する。さらに、テクスチャーは同程度であったが、驚くことに、グループBの処方物が、水分の多い対照用処方物よりかなり美味しい。
[実施例12]
【0093】
[0093] 処方B1を有する柔らかいキャットトリートにおけるpH値、水分活性、水分、好気性菌、酵母及びカビについて分析した。各サンプリング期間中に、トリートにおけるpH値、Aw及び水分について分析した。6ヶ月間、トリートにおけるサルモネラ菌、好気性菌、酵母及びカビについて分析した。柔らかいキャットトリートに、ソルベート耐性のペニシリウム属(Penicillium spp.)、アスペルギルス属(Aspergillus spp.)、ユーロチウム属(Eurotium spp.)の株を含む10cfu/gのカビ胞子を接種した。接種したトリートを分析し、初期カビ接種レベルを定めた。180種類の接種したサンプル(50g/パッケージ)を高バリヤ性ホイルパウチに包装した。トリートを室温で6ヶ月間保存した。各サンプリングポイントで(2ヶ月後、4ヶ月後及び6ヶ月後)、30袋の接種したトリートを開けて、カビ腐敗を観察した。カビが観察されなかった場合、サンプルの生菌数を分析した。その結果を表12、13及び14に示す。
【表12】

【表13】

【表14】

【0094】
[0094] 表12、13及び14を参照すると、このデータによって、製品が、5.7の平均pH、12%の水分(カールフィッシャー(Karl Fischer))及び0.57の水分活性を有していることを示す。接種した製品における10cfu/gの初期カビ数は、2ヶ月後、3.2分の1に(half a log)減少し、6ヶ月後は停止した(中間数値10cfu/g)。製品は、6ヶ月間保存した後も目に見えるカビ腐敗を有しない。
【0095】
[0095] 本明細書において、本発明の典型的な好ましい実施形態を開示し、かつ、特定の用語が用いたが、これらは、制限の目的ではなく一般的な意味かつ記載された意味でのみ用いられており、本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載されている。本発明の多くの修正及び変更が可能であり、かつ、前記教えを考慮すると、その修正及び変更が当業者に理解されるであろう。したがって、添付した特許請求の範囲内で、本発明の態様を、詳細な説明より他の方法で実施し得ることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)1つ以上の高融点(HMP)脂質、(2)1つ以上の保湿剤、及び、(3)1つ以上のゲル化剤を含む組成物であって、
約16%以下の含水量及び約0.65以下の水分活性を有する、組成物。
【請求項2】
前記含水量が約10%以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記水分活性が約0.6〜約0.4である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記保湿剤が約10%〜約35%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記保湿剤が約15%〜約25%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ゲル化剤が約5%〜約20%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ゲル化剤が約8%以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
別の防腐剤を実質的に有しない、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
抗菌添加剤を実質的に有しない、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
プロピオン酸、ケイ酸カルシウム、ソルビン酸を実質的に有しない、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
約0.12%以下のプロピオン酸、約0.12%以下のケイ酸カルシウム、又は、約0.5%以下のソルビン酸を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
約0.7%以下のプロピオン酸、約0.7%以下のケイ酸カルシウム、又は、約0.3%以下のソルビン酸を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記HMP脂質が、約18%以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記HMP脂質が、約10%以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記HMP脂質が、約5%以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記HMP脂質が、約40℃以上の平均融点を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記HMP脂質が、約50℃以上の平均融点を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記保湿剤が、グリセリン、砂糖、糖アルコール又は多糖の中から1つ以上を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記糖アルコールがソルビトールである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記多糖がマルトデキストリンである、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
ネコ向けフード組成物又はネコ向けトリートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
室温で少なくとも6ヶ月間長期保存可能である、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記トリートが、インストロン装置を用いて測定された約1lbf以下の最大圧縮荷重を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
ヒトのフード組成物、ペットのフード組成物又は食餌サプリメントとして処方される、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
柔らかいテクスチャーのネコ向けトリートであって、
1つ以上のHMP脂質、1つ以上の保湿剤、1つ以上のゲル化剤及び約16%以下の含水量を含み、
約0.65以下の水分活性と、約1lbf以下の最大圧縮破壊荷重と、約20%〜約35%の含水量を有する柔らかいテクスチャーのネコ向けトリートと比べて改良された味とを有する、ネコ向けトリート。
【請求項26】
0.12%以下のプロピオン酸、0.12%以下のケイ酸カルシウム及び0.5%以下のソルビン酸を含む、請求項25に記載のネコ向けトリート。
【請求項27】
別の抗菌添加剤を実質的に含まない、請求項25に記載のネコ向けトリート。
【請求項28】
約5%〜約10%のHMP脂質、約15%〜約25%の保湿剤、約8%〜約16%のゲル化剤、約4%〜約12%の水及び約0.50〜約0.60の水分活性を含む、請求項26に記載のネコ向けトリート。
【請求項29】
前記HMP脂質が、50℃以上の平均融点を有する、請求項25に記載のネコ向けトリート。
【請求項30】
前記保湿剤が、グリセリン、単糖、二糖、糖アルコール、多糖の中で1つ以上を含む、請求項25に記載のネコ向けトリート。
【請求項31】
前記ゲル化剤が、加工テンプン、寒天、ペクチン又は食用ゴムの中から1つ以上を含む、請求項25に記載のネコ向けトリート。
【請求項32】
柔らかいテクスチャーのフード組成物を製造する方法において、
1つ以上の高融点(HMP)脂質、1つ以上の保湿剤及び1つ以上のゲル化剤を1つ以上の別の材料と混ぜて混合物を用意するステップと、
前記混合物を加熱して、柔らかいテクスチャーのフード組成物を用意するステップと、
前記フード組成物を所望の形状及びサイズに形作るステップと、
を含む方法であって、
前記フード組成物が、約16%以下の含水量、約0.65以下の水分活性、及び、インストロン装置を用いて測定したときの約1lbf以下の最大圧縮破壊荷重を有する、方法。
【請求項33】
前記加熱するステップ、前記形作るステップ又はその両方が、押出し成形機、ミキサー又は回転式成形機で実施される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記1つ以上の別の材料が、蛋白質、脂質、炭水化物、ビタミン又はミネラルを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記別の材料が、動物のバランスの取れた食餌のために十分な栄養素を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記動物が哺乳動物である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記哺乳動物がペットである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ペットがドッグ又はキャットである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記フード組成物がスナックフード又はペットトリートを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記フード組成物がネコ向けトリートである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記HMP脂質が、前記フード組成物の約18%以下である、請求項32に記載の方法。
【請求項42】
前記HMP脂質が、前記フード組成物の約10%以下である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記HMP脂質が、前記フード組成物の少なくとも約5%である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記フード組成物の約10%以下の含水量を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項45】
前記フード組成物の前記水分活性が、約0.6〜約0.4である、請求項32に記載の方法。
【請求項46】
前記保湿剤が、前記フード組成物の約10%〜約35%である、請求項32に記載の方法。
【請求項47】
前記保湿剤が、前記フード組成物の約15%〜約25%である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ゲル化剤が、前記フード組成物の約5%〜約20%である、請求項32に記載の方法。
【請求項49】
前記ゲル化剤が、前記フード組成物の約8%以上である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記フード組成物が別の防腐剤を実質的に含まない、請求項32に記載の方法。
【請求項51】
前記フード組成物が抗菌添加剤を実質的に含まない、請求項32に記載の方法。
【請求項52】
前記フード組成物が、プロピオン酸、ケイ酸カルシウム又はソルビン酸を実質的に含まない、請求項32に記載の方法。
【請求項53】
前記フード組成物が、約0.12%以下のプロピオン酸、約0.12%以下のケイ酸カルシウム、又は、約0.5%以下のソルビン酸を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項54】
前記フード組成物が、約0.07%以下のプロピオン酸、約0.07%以下のケイ酸カルシウム、又は、約0.3%以下のソルビン酸を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記HMP脂質が、約40℃以上の平均融点を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項56】
前記HMP脂質が、約50℃以上の平均融点を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項57】
前記保湿剤が、グリセリン、砂糖、糖アルコール又は多糖の中で1つ以上を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項58】
前記糖アルコールがソルビトールである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記多糖がマルトデキストリンである、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記組成物が、室温で少なくとも6ヶ月間長期保存可能である、請求項32に記載の方法。
【請求項61】
柔らかいテクスチャーのフード組成物を処方する方法において、
フードが約16%以下の最終含水量を含むように、フード材料を処方するステップと、
約1lbf以下の最大圧縮荷重を有する前記フード組成物において、約0.65以下の水分活性及び柔らかいテクスチャーに達するために十分な量で、1つ以上の高融点(HMP)脂質、1つ以上の保湿剤、及び、1つ以上のゲル化剤を前記材料の中に含ませるステップと、
フレーバー、アロマー、味、動物向けの栄養バランス、全体的な蛋白質含有量、全体的な炭水化物含有量、全体的な脂質含有量、全体的なカロリー含有量、ビタミン含有量、ミネラル含有量、安定性又は寿命を含む1つ以上の所望な性質を有するフード組成物を提供するために、他の材料の中から選択するステップと、
これによって、柔らかいテクスチャーのフード組成物を処方するステップと、
を含む、方法。
【請求項62】
このように処方された前記フード組成物が、いかなる抗菌添加剤も含まない、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
このように処方された前記フード組成物が、約5%〜約10%のHMP脂質、約15%〜約25%の保湿剤、約8%〜約16%のゲル化剤、約4%〜約12%の水、及び、約0.50〜約0.60の水分活性を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記HMP脂質が、約50℃以上の平均融点を有する、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記保湿剤が、グリセリン、単糖、二糖、糖アルコール又は多糖の中から1つ以上を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記ゲル化剤が、加工テンプン、寒天、ペクチン又は食用ゴムの中から1つ以上を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
キットであって、
当該キットの構成要素の必要に応じて、
(1)1つ以上の高融点脂質、(2)1つ以上の保湿剤、及び、(3)1つ以上のゲル化剤を含む食用組成物であって、約16%以下の含水量及び約0.65以下の水分活性を有する食用組成物と、
(1)動物に前記組成物を投与するための説明、(2)動物の利益のために前記組成物を使用するための1つ以上の方法に関する説明、(3)前記組成物を含む適切な栄養を動物に与えることに関する情報、(4)抗菌剤に関する情報、又は、(5)前記組成物に関する比較情報又はテスト結果の中から少なくとも1つとを、
同一のパッケージ内における別々の容器又は仮想のパッケージ内における別々の容器に含む、キット。
【請求項68】
前記食用組成物が、最大圧縮破壊荷重がインストロン装置を用いて測定されたとき約1lbf以下であるような柔らかいテクスチャーを有する、請求項67に記載のキット。
【請求項69】
前記食用組成物が、別の抗菌添加剤を含まない、請求項68に記載のキット。
【請求項70】
前記食用組成物が、ペット用に処方されている、請求項69に記載のキット。
【請求項71】
前記ペットがドッグ又はキャットである、請求項70に記載のキット。
【請求項72】
組成物に関する情報又は組成物を使用するための説明を伝達するための手段において、
前記組成物が、(1)1つ以上の高融点脂質、(2)1つ以上の保湿剤、(3)1つ以上のゲル化剤を含み、約16%以下の含水量及び約0.65以下の水分活性を有しており、
前記情報又は説明が、(1)動物に前記組成物を投与するための説明と(2)動物の利益のために前記組成物を使用するための1つ以上の方法に関する説明、(3)前記組成物を含む適切な栄養を動物に与えることに関する情報、(4)抗菌剤に関する情報、又は、(5)前記組成物に関する比較情報又はテスト結果の中から1つ以上のものである、手段であって、
前記情報又は説明を収容している、物理的又は電子的なドキュメント、デジタル記憶媒体、光記憶メディア、音による提示手段、オーディオビジュアルディスプレイ又はビジュアルディスプレイを含む、手段。
【請求項73】
ディスプレイウェブサイト、ビジュアルディスプレイキオスク、パンフレット、製品ラベル、パッケージ添付文書、公告、印刷物、公共情報、オーディオテープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピュータ読取可能なチップ、コンピュータ読取可能なカード、コンピュータ読取可能なディスク、USB装置、ファイヤーワイヤー装置、コンピュータメモリ、及び、任意のこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項72に記載の手段。
【請求項74】
フード組成物を製造する方法において、
前記フード組成物が、(1)1つ以上の高融点脂質、(2)1つ以上の保湿剤、及び、(3)1つ以上のゲル化剤を含み、約16%以下の水及び約0.65以下の水分活性を含む、方法であって、
前記高融点脂質、前記保湿剤、前記ゲル化剤及び水を他の材料と混合して、混合物を形成するステップと、
前記混合物を調理するステップと、
前記調理された混合物を所望のサイズ及び形状に形作るステップと、
を備える方法。


【公表番号】特表2011−509082(P2011−509082A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541426(P2010−541426)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/013869
【国際公開番号】WO2009/085192
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】