説明

食道癌、結腸癌、頭頸部癌、およびメラノーマにおけるマーカーの同定

【課題】食道癌、扁平上皮細胞癌、頭頸部の扁平上皮細胞癌、結腸癌、そしてメラノーマの存在の指標であるマーカーの発現を同定するための方法を提供する。
【解決手段】患者のリンパ節中の食道癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法であって、この方法は、CEA、CK19、CK20、TACSTD1、VIL1、PVAおよびCK7の一つに特異的な第一のmRNA種がリンパ節から調製したRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、ただし第一のmRNA種がCEAである場合にはこの方法はさらにCK19に対して特異的な第二のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、それらのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の食道細胞の存在の指標である、前記方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、ともに2004年7月9日に出願され、その全体を参考文献として本明細書中に援用される、米国仮出願60/586,599および60/587,019に基づく35 U.S.C. §119(e)の優先権を主張する。
【0002】
背景
1. 発明の属する分野
癌を診断するための改良方法、およびその様な方法を行う際に有用な組成物および装置を提供する。
【0003】
2. 関連技術の記載
癌の初期検出は、一般的に生存率の増加をもたらす。転移性病変は一般的に、免疫組織化学的技術を含む組織学的技術により検出される。転移細胞は一般にリンパ節に浸潤し、そしてその結果、ほとんどの場合において、特定の前哨(sentinel)リンパ節(転移細胞が一般に最初に浸潤するリンパ節)は、各癌タイプについて認識され、そして微小転移を含む病変の存在について解析される。訓練を積んだ組織学者は、しばしば、前哨リンパ節由来の組織から切片を作成しそして染色すると、視覚的に転移性病変を検出することができる。高度に訓練を積んだ組織学者は、しばしば、微小転移を視覚化することができるが、その様な病変を視覚化する能力は、組織学者によって異なる。
【0004】
腫瘍を取り除くための多数の外科的処置において、前哨リンパ節のバイオプシーが行われる。その後、外科的処置が中断され、そして切除されたリンパ組織を解析する。いったん腫瘍が転移されたものであると決定されると、2回目のより根本的な外科的処置が行わ
れ、所属リンパ節(regional lymphatics)を取り除く。したがって、より多くのアッセ
イが所定の時間内に行われ、それにより研究室の所要時間が増大するためだけではなく、2回目の外科的処置を行わずに、正確に術中判定を行うことができるようにするため、腫
瘍を同定するための迅速な方法が保証される。リンパ節微小転移の迅速な検出および/またはリンパ節微小転移の術中検出を本質的に可能にする、悪性度についての有用な診断を同定することが望まれている。
【0005】
概要
本発明は、癌細胞の存在の指標である特定のマーカーの発現を同定することにより、患者における癌細胞の存在を検出するための診断方法に関するものである。
【0006】
一態様において、本発明は、患者のリンパ節中の食道癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法に関する。この方法は、CEA、CK7、CK19、CK20、VIL1、TACSTD1
、およびPVAの1またはそれ以上に特異的なmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプ
ル中で過剰であるかどうかを決定することを含む。そのmRNA種の過剰は、リンパ節中の転移性の食道細胞の存在の指標である。
【0007】
別の態様において、本発明は、患者のリンパ節における頭頸部の扁平上皮細胞癌の存在の指標である、マーカーの発現を同定する方法に関する。この方法は、CEA、CK19、PTHrP、PVA、TACSTD1およびSCCA1.2(SCCA1+SCCA2)の1またはそれ以上に対して特異的なmRNA種が、リンパ節から調製したRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含む
。このmRNA種の過剰は、リンパ節中における頭頸部の扁平上皮細胞癌の転移性細胞の存在の指標である。
【0008】
さらに別の態様において、本発明は、患者のリンパ節における扁平上皮細胞癌の細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定するための方法に関する。この方法は、PVAに対
して特異的なmRNA種が、リンパ節から調製したRNAサンプル中において過剰であるかどう
かを決定することを含む。このmRNA種の過剰は、リンパ節中における扁平上皮細胞癌の転移性細胞の存在の指標である。
【0009】
さらに別の態様において、本発明は、患者のリンパ節における結腸癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定するための方法に関する。この方法は、CDX1、TACSTD1およ
びVIL1の1またはそれ以上に対して特異的なmRNA種が、リンパ節から調製したRNAサンプル中において過剰であるかどうかを決定することを含む。このmRNA種の過剰は、リンパ節中における転移性結腸癌の存在の指標である。
【0010】
さらに別の態様において、本発明は、患者のリンパ節中におけるメラノーマの存在の指標であるマーカーの発現を同定するための方法に関する。この方法は、MAGEA136-plex、MART1、およびTYRの1またはそれ以上に対して特異的なmRNA種が、リンパ節から調製したRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含む。このmRNA種の過剰は、リンパ
節中でのメラノーマ細胞の存在の指標である。
【0011】
さらにさらなる態様において、本発明は、包装材料、およびCEA、CK7、CK19、CK20、VIL1、TACSTD1、およびPVAの1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上の核酸を含む製品に関する。この包装材料には、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節中の食
道癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示す、例えば、文書、説明、ラベル、タグ、本、小冊子および/または添付文書などの(これらには限定されない)、しるしが含まれる。
【0012】
さらにさらなる態様において、本発明は、包装材料、およびCEA、CK19、PTHrP、PVA、TACSTD1およびSCCA1.2の1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上の核酸を含む
製品に関する。この包装材料には、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節中の頭頸
部の扁平上皮細胞癌の細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしが含まれる。
【0013】
さらなる態様において、本発明は、包装材料、およびCDX1、TACSTD1およびVIL1の1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上の核酸を含む製品に関する。この包装材料
は、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節における結腸癌細胞の存在の指標である
マーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は、包装材料、およびMAGEA136-plex、MART1およびTYRの1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上の核酸を含む製品に関する。この
包装材料は、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節におけるメラノーマ細胞の存在
の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む。
【0015】
さらに別の態様において、本発明は、包装材料、およびPVAに対して特異的な1またはそれ以上の核酸を含む製品に関する。この包装材料は、1またはそれ以上の核酸を、患者の
リンパ節における扁平上皮細胞癌の細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む。
【0016】
さらに別の態様において、本発明は、CEA、CK7、CK19、CK20、VIL1、TACSTD1、PVA の1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および
食道癌と診断されたかまたは食道癌を有することが疑われる患者のリンパ節から抽出されたRNA、またはそのRNAに由来する核酸またはその類似体、を含む組成物に関する。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、CEA、CK19、PTHrP、PVA、TACSTD1およびSCCA1.2の1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および
頭頸部の扁平上皮細胞癌と診断されたかまたは頭頸部の扁平上皮細胞癌を有することが疑われる患者のリンパ節から抽出されたRNA、またはそのRNAに由来する核酸またはその類似体、を含む組成物に関する。
【0018】
さらにさらなる態様において、本発明は、CDX1、TACSTD1およびVIL1の1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および結腸癌と診断さ
れたかまたは結腸癌を有することが疑われる患者のリンパ節から抽出されたRNA、または
そのRNAに由来する核酸またはその類似体、を含む組成物に関する。
【0019】
さらにさらなる態様において、本発明は、MAGEA136-plex、MART1およびTYRの1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、およびメラノー
マと診断されたかまたはメラノーマを有することが疑われる患者のリンパ節から抽出されたRNA、またはそのRNAに由来する核酸またはその類似体、を含む組成物に関する。
【0020】
別の態様において、本発明は、PVAに対して特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および扁平上皮細胞癌と診断されたかまたは扁平上皮細胞癌を有することが疑われる患者のリンパ節から抽出されたRNA、またはそのRNAに由来する核酸またはその類似体、を含む組成物に関する。
【0021】
発明の詳細な説明
リンパ節における微小転移を含む食道癌細胞、結腸癌細胞、頭頸部癌細胞およびメラノーマ細胞を同定する際に有用な方法および組成物を提供する。転移の初期検出は、一般的に、患者の生存と関連する。非常に小さな転移が、しばしばリンパ節バイオプシーの組織学的研究においてしばしば見逃され、その結果、結果的に患者の生存の可能性を低下させる偽陰性の結果を生じる。本明細書中で記載される核酸検出アッセイは、ほとんどの事例において、組織学的研究よりは、かなり際だったもの(discriminating)であり(わずかな優秀な組織学者しかリンパ節切片において微小転移を同定することができない)、そしてわずかしか訓練を受けていないテクニシャンのいずれの手にも骨の折れそして繰り返されることである。本明細書中で記載される方法および組成物は、必然的に特異的mRNAマーカーの発現を含む方法および組成物を示すが、このことが、特異的マーカーやその他の当該技術分野において既知のマーカーとの組合せを含む方法および組成物を排除するとはみなされないことを理解すべきである。
【0022】
この目的を達成するために、食道癌、結腸癌、頭頸部癌およびメラノーマを含む特定の癌型において発現される、多数の分子マーカーを同定する。これらのマーカーは、特定の癌型を生じる組織に特異的なマーカーであり、そして典型的には、リンパ系組織において、少なくとも同一レベルにまでは発現されない。前哨リンパ節組織における1またはそれ
以上のこれらのマーカーの発現の存在および/または上昇は、リンパ系組織における転移細胞の指標であり、癌の診断と強力に相関する。本明細書中で使用する場合、“扁平上皮細胞癌”は、少なくとも部分的に扁平上皮細胞集団から生じた癌および/または少なくとも部分的に頸部癌;陰茎癌;口腔、唾液腺、副鼻腔および鼻腔、咽頭および喉頭を含む(これらには限定されない)頭頸部癌;肺癌;食道癌;メラノーマ以外の皮膚癌;陰門癌および膀胱癌;を含む(これらには限定されない)扁平上皮細胞集団を含有する癌である。
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語“発現”および“発現された”は、細胞により遺伝
子特異的なmRNAの産生を意味する。本明細書中の開示の文脈において、“マーカー”は、リンパバイオプシー中で異常に発現される遺伝子である。一態様において、本明細書中に記載されるマーカーは、リンパ系細胞中での発現と比較して、顕著に高いレベルで特定の腫瘍源の細胞中で発現されるmRNA種である。
【0024】
mRNAの発現レベルは、多数の方法により定量することができる。伝統的な方法には、ノザンブロット解析が含まれる。より最近では、転写物の定量を容易にする核酸検出方法が開発された。PCR法の例は、米国特許出願No. 10/090,326(US 10/090,326)に記載され、本明細書中に参考文献として全体が援用される。所定のmRNAの発現レベルを決定するためのその他の方法には、例えば以下に記載されるものなど(それらには限定されない)の当該技術分野において既知の、等温増幅アッセイまたは等温検出アッセイ、およびアレイ技術が含まれる。
【0025】
本明細書中およびUS 10/090,326中で記載される改良PCR法、および本明細書中で記載されそして当該技術分野において既知であるその他の核酸検出方法および核酸増幅方法は、リンパ節組織中の癌細胞の迅速な検出を可能にする。これらの迅速な方法を、手術中に(intraoperatively)使用することができ、そしてまた稀な核酸種を検出する際に有用であり、より優勢な対照核酸を同時に検出する多重化PCR反応においても有用である。
【0026】
典型的なPCR反応には、標的核酸種を選択的に増幅する複数の増幅工程またはサイクル
が含まれる。転写物の検出が必要であるため、PCR反応を、逆転写工程と組み合わせる(
逆転写PCRまたはRT-PCR)。典型的なPCR反応には、3つの工程:標的核酸を変性させる変
性工程;1組のPCRプライマー(フォワードプライマーと逆向きプライマー)が相補的なDNA鎖にアニールするアニーリング工程;そして熱安定性のDNAポリメラーゼがプライマーを伸長する伸長工程;が含まれる。このステップを複数回繰り返すことによりDNAフラグメ
ントが増幅され、標的DNA配列に対応するアンプリコンが生成される。典型的なPCR反応には、30回またはそれ以上のサイクルの変性、アニーリングそして伸長が含まれる。多くの場合において、アニーリング工程と伸長工程は、同一の温度で同時的に行うことができ、その場合サイクルは2工程のみを含有する。
【0027】
変性工程、アニーリング工程および伸長工程の長さは、どのような望まれる長さの時間であってもよい。しかしながら、PCR増幅反応を手術中診断のために適した時間にまで短
縮することを試みて、これらの工程の長さは、分の範囲ではなく、秒の範囲であってもよい。変性工程は、1秒以下の長さの時間で行うことができる。アニーリング工程および伸
長工程は、場合により、それぞれ10秒未満であり、そして同一温度にて行う場合、組合せアニーリング/伸長工程は、10秒未満であってもよい。Rayleigh-Benard対流セル中でPCR反応を行うなどの、最近開発された増幅技術を使用することにより、これらの時間制限を超えてPCR反応時間を劇的に短縮することもできる(Krishnan, My et al., "PCR in a Rayleigh-Benard convection cell." Science 298:793 (2002)およびBraun, D. et al.,
"Exponential DNA Replication by Lominar Convection," Physical Review Letters, 91:158103を参照)。
【0028】
US 10/090,326中に記載される様に、アンプリコンの生成を実質的に低下させることな
く、各サイクルをかなり短縮することができる。高濃度のプライマーを使用することは、PCRサイクル時間を短縮する際に役に立つ。プライマーの最適な濃度は、アッセイごとに
いくらか異なるが、高濃度は、典型的には、約400nMよりも高く、そしてしばしば約800nMよりも高い。RT-PCRアッセイの感度は、感度の高い逆転写酵素(以下に記載する)および/または高濃度の逆転写酵素プライマーを使用して、初期標的PCRテンプレートを生成す
ることにより、向上させることができる。
【0029】
いずれかの所定のPCR反応の特異性は、プライマー組の独自性(identity)に、それだ
けというわけではないが、かなり依存する。プライマー組は、フォワードオリゴヌクレオチドプライマーとリバースオリゴヌクレオチドプライマーの組合せであり、標的DNA配列
にアニールして、標的配列の増幅を可能にし、それにより標的配列特異的なアンプリコンを産生する。PCRプライマー組には、標的配列の内部にある2つのプライマーが含まれていてもよく、あるいは一方のプライマーは標的配列の内部でありそしてもう一方は“ライゲーション-アンカーPCR”として知られる技術(Troutt, A.B., et al. (1992), "Ligation-anchored PCR: A Simple Amplification Technique with Single-sided Specificity," Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:9823-9825)を使用してDNAにライゲーションされる標的配列またはcDNA標的に対して特異的なものであってもよい。
【0030】
本明細書中で使用される場合、特定のオリゴヌクレオチドの“誘導体”は、特定のオリゴヌクレオチドと同一の標的配列に結合し、そして同一の標的配列を増幅して、特定のオリゴヌクレオチドとその誘導体との間の差異以外については特定のオリゴヌクレオチドと本質的に同一のアンプリコンを生成する、オリゴヌクレオチドのことをいう。誘導体は、誘導体が特定の配列と同一の目的のために使用する際に特定の配列の特徴を実質的に残存している限りにおいて、特定の配列のいずれかの残基の付加、欠失および/または置換により、特定のオリゴヌクレオチドとは異なっていてもよい。
【0031】
本明細書中で使用される場合、逆転写およびPCRなどのいずれかのアッセイまたは反応
のための“試薬”は、酵素、ヌクレオチドまたはその類似体、プライマーおよびプライマーセット、プローブ、抗体またはその他の結合試薬、検出可能標識またはタグ、バッファー、塩および補因子(co-factors)を含む(これらには限定されない)、反応混合物に対して添加される、いずれかの化合物または組成物である。本明細書中で使用される場合、特に記載しない限り、それらの化合物または組成物が明示されていなくても、所定のアッセイまたは反応のための“反応混合物”には、そのアッセイまたは反応を行うために必要なすべての必要な化合物および/または組成物が含まれる。酵素反応などの多数の一般的なアッセイまたは反応のための試薬は、当該技術分野において既知であり、そして典型的には、アッセイまたは反応キットが販売される場合に、提供されおよび/または示唆される。
【0032】
US 10/090,326にも記載される様に、多重化PCRアッセイを、プライマー濃度を操作することによってではなく、アンプリコンの生成を時間移動させることにより、最適化しまたは平衡化することができる。このことは、2つのプライマーセットを使用することにより
、達成することができる。各プライマーセットは、異なるTmを有し、それにより、一方のアンプリコンの生成にとって他方のものより有利に働く、各段階ごとに異なるアニーリング温度および/または伸長温度を用いて、2段階PCRアッセイを行うことができる。この時間移動および温度移動法により、プライマー濃度の操作を使用してこの反応を平衡化する場合に直面する困難性を伴うことなく、多重化反応の最適な平衡化が可能である。この技術は、稀なcDNAを対照cDNAと共に増幅することが好ましい、多重反応において特に有用である。
【0033】
RNA分子集団(例えば、限定的ではないが、全RNAまたはmRNA)中の低量のRNA種を迅速
にそして正確に検出する定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(QRT-PCR)には、a)RNAサンプルを、逆転写酵素および高濃度の標的配列特異的逆転写酵素プライマーと共に、cDNAを生成するために適切な条件下でインキュベーションする工程;b)それに引き続き、適切なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬を、cDNAに対して特異的な高濃度のPCRプライマーセットおよび熱安定性のDNAポリメラーゼを含む逆転写酵素反応物に対して添加する工
程、そしてc)所望のサイクル数、cDNAに対して特異的なPCR産物(“アンプリコン”)を生成するために適切な条件下、PCR反応を繰り返す工程、が含まれる。逆転写酵素とPCR反
応とを時間的に分離することにより、そして逆転写酵素-最適化プライマーおよびPCR-最
適化プライマーを使用することにより、優れた特異性を得る。反応を、1本のチューブ内
で行うことができ(反応が行われるすべてのチューブ、容器、バイアル、セルなどは、時々、本明細書中で一般的に、“反応容器”と呼ばれる場合がある)、2本のチューブ中で
行う反応において典型的に見られるコンタミネーション源が除去される。これらの反応条件により、典型的には、逆転写酵素反応を開始してから40サイクルのPCR反応が終了する
まで、20分のオーダーで、非常に迅速なQRT-PCR反応が可能になる。
【0034】
十分な試薬を逆転写酵素(RT)反応物に対して添加することにより、逆転写酵素反応と同一のチューブ内で反応c)を行い、PCR反応が進行するために良好な、あるいはさらに最適な条件を作成する。1本のチューブには、逆転写酵素反応を実行する前に、以下のもの
:1)逆転写酵素反応混合物、そして2)逆転写酵素反応が完了した後にcDNA混合物に混合されるべきPCR反応混合物、を装填することができる。逆転写酵素反応混合物およびPCR反応混合物は、逆転写酵素反応のインキュベーション温度以上の温度、しかしPCR反応の変
性温度以下の温度で溶解する組成物の固体バリアまたは半固体バリア(アモルファス、ガラス質物質、およびワックスを含む)により、物理的に分離されていてもよい。バリア組成物は、疎水性の性質のものであってもよく、RT反応混合物とPCR反応混合物が液体形状
である場合に、それらにより第二相を形成してもよい。その様なバリア組成物の一例は、PCR反応において一般的に使用されているワックスビーズ、例えばApplied Biosystems(Foster City, California)から商業的に入手可能なAMPLIWAX PCR GEM製品、である。
【0035】
あるいは、逆転写酵素およびPCR反応物の分離は、逆転写酵素反応が完了した後、PCRプライマーセットおよび熱安定性のDNAポリメラーゼを含むPCR試薬を添加することにより達成することができる。好ましくは、PCR試薬は、サンプルコンタミネーションの可能性を
低く抑え、そしてヒューマンエラーを除去するため、自動機械手段または流動性手段により機械的に添加する。
【0036】
QRT-PCRプロセスの生成物は、固定数のPCRサイクルの後、所定のリポーター遺伝子と比較して、RNA種の相対量を決定するために比較することができる。QRT-PCRプロセスの生成物の相対量を比較する一つの方法は、ゲル電気泳動によるもの、例えば、サンプルをゲル上で泳動し、そしてサザンブロッティングおよびそれに引き続いて標識プローブによる検出すること、エチジウムブロマイドにより染色すること、およびアンプリコン中に蛍光または放射性タグを導入すること、を含む(これらには限定されない)、多数の既知方法の一つにより、それらのサンプルを検出すること、によるもの、である。
【0037】
しかしながら、定量的PCR反応の進行は、典型的には、各PCRプライマーセットについて、アンプリコン生成の相対速度を決定することによりモニタリングする。アンプリコン生成をモニタリングすることは、蛍光プライマー、蛍光発生プローブ、および蛍光色素(いずれも二本鎖DNAに結合するもの)を含む(これらには限定されない)、多数のプロセス
により達成することができる。一般的な方法は、蛍光5'ヌクレアーゼアッセイである。この方法は、特定の熱安定性のDNAポリメラーゼ(例えば、TaqまたはTfl DNAポリメラーゼ
)の5'ヌクレアーゼ活性を利用して、PCRプロセスのあいだにオリゴマープローブを切断
する。そのオリゴマーは、伸長条件下において増幅された標的配列に対してアニーリングするために選択される。このプローブは、典型的には、その5’末端に蛍光リポーターを
、そして3'末端にリポーターの蛍光クエンチャーを有する。オリゴマーが無傷である限りは、リポーターからの蛍光シグナルは消光される。しかしながら、オリゴマーが伸長プロセスのあいだに消化されると、蛍光リポーターはもはやクエンチャーに隣接しない。所定のアンプリコンについての遊離の蛍光リポーターの相対的蓄積を、対照サンプルについての同一アンプリコンの蓄積および/または対照遺伝子(例えばβ-アクチンまたは18S rRNA)の蓄積と比較して、RNA集団中の所定のRNAの所定のcDNA生成物の相対的存在量を決定
することができる。蛍光5'ヌクレアーゼアッセイについての生成物および試薬は、例えばApplied Biosystemsから、容易に商業的に入手可能である。
【0038】
Cepheid(Sunnyvale, California)から商業的に入手可能なSmart Cycler、Applied Biosystemsから商業的に入手可能なABI Prism 7700配列検出システム(TaqMan)を含む、装置およびソフトウェアもまた、PCR中、蛍光5'ヌクレアーゼアッセイに従うQRT-PCR中、およびその他のQPCR/QRT-PCR方法中のアンプリコン蓄積のモニタリングのために、容易に入手可能である。カートリッジベースのサンプル調製システム(GenXpert)は、組織サンプルから特定の核酸を自動的に抽出しその核酸に対してQPCRまたはQRT-PCRを行うことがで
きる、液体回路とプロセッシング要素を伴うSmart Cycler製品の能力を有する、サーマルサイクラーと蛍光検出装置とを組合せる。このシステムは、多数の試薬を事前に装填する様に構成することができる、使い捨てのカートリッジを使用する。その様なシステムを、組織を破壊し、そしてサンプルから全RNAまたはmRNAを抽出する様に構成することができ
る。逆転写酵素反応構成要素を、RNAに対して自動的に添加することができ、そしてQPCR
反応構成要素を逆転写酵素反応の完了に際して自動的に添加することができる。
【0039】
さらに、PCR反応を、反応に由来する特定の蛍光物質の産生(または喪失)についてモ
ニターすることができる。蛍光物質レベルが所望のレベルまで到達(または落ち込む)時、自動化システムがPCR条件を自動的に変化させることもできる。あるサンプルにおいて
、このことは、より多量な(対照)標的種が、第一の相対的に低いTmのプライマーセットにより、第二の相対的に高いTmのプライマーセットにより増幅されるより少ない種よりも、より低い温度で増幅される場合に、上述した多重化の態様において特に有用である。PCR増幅の最初の段階において、アニーリング温度は、第一のプライマーセットの有効なTm
よりも低い。次いで、アニーリング温度は、第一のプライマーセットにより第一のアンプリコンの生成が検出されると、第一のプライマーセットの有効なTmよりも高くまで自動的に上昇される。GeneXpertシステムなど、カートリッジから複数の試薬を自動的に調合す
るシステムにおいて、第一のPCR反応を第一のTmで行うことができ、そして第一のPCR反応が閾値レベルを越えるまで進行すると、異なるTmを有する第二のプライマーが添加され、結果的に連続的な多重化反応が生じる。
【0040】
上述した反応において、特定の逆転写酵素およびPCR反応構成要素の量は、典型的には
、いくつかのサーマルサイクラーのより迅速な傾斜時間(ramp times)を利用するためのものである。具体的には、プライマー濃度は非常に高い。逆転写酵素反応のための典型的な遺伝子特異的なプライマー濃度は、約20 nM未満である。1〜2分のオーダーでの迅速な
逆転写酵素反応を達成するため、逆転写酵素プライマー濃度は、20 nMよりも高く、好ま
しくは少なくとも約50 nM、そして典型的には約100 nMまで、上昇させた。標準的なPCRプライマー濃度は、100 nM〜300 nMの範囲である。より高い濃度が標準的なPCR反応におい
て使用され、Tmの変動を埋め合わせることができる。しかしながら、参照されたプライマー濃度は、Tm埋め合わせが必要ない場合の状況についてのものである。比例的に(Proportionately)より高いプライマー濃度が経験的に決定され、そしてTm埋め合わせが必要と
される場合にまたは望まれる場合に使用される。迅速なPCR反応を達成するため、PCRプライマー濃度は典型的には、200 nMよりも高く、好ましくは約500 nMよりも高く、そして典型的には約800 nMである。典型的には、PCRプライマーに対する逆転写酵素プライマーの
比率は、約1〜8、またはそれ以上である。プライマー濃度の上昇により、40サイクルのPCR実験を20分未満で行うことができるようになる。
【0041】
感度の高い逆転写酵素は、低量のRNAが存在するか、または標的RNAが低量しか存在しないRNAである場合のいずれかである特定の条件において好ましい。用語“感度の高い逆転
写酵素”により、低コピー数の転写物からPCRテンプレートとして使用するための適切なPCRテンプレートを生成することができる逆転写酵素を意味する。感度の高い逆転写酵素の
感受性は、酵素の物理的性質に由来するか、または感度を上昇させる逆転写酵素反応混合物の具体的な反応条件に由来してもよい。感度の高い逆転写酵素の一例は、Qiagen, Inc.(Valencia, California)から商業的に入手可能なSensiScript RT逆転写酵素である。この逆転写酵素は、<50ngのRNAサンプルからのcDNAの生成に最適化されているが、しかし
低コピー数の転写物からPCRテンプレートを生成する能力をも有する。実際には、本明細
書において記載するアッセイにおいて、適切な結果が、約400 ngまでおよびそれ以上のRNAについて得られた。低コピー数の転写物を逆転写することができる同様の能力を実質的
に有するその他の感度の高い逆転写酵素は、本明細書中で記載する目的のためには、同等の感度の高い逆転写酵素であろう。上記にもかかわらず、感度の高い逆転写酵素が低量のRNAからcDNAを生成する能力は、低コピー数の配列からPCRテンプレートを生成するための酵素または酵素反応システムの能力に対しては二次的なものである。
【0042】
上述したように、本明細書中で記載される方法はまた、多重化QRT-PCRプロセスにおい
ても使用することができる。その最も広い意味において、多重化PCRプロセスは、同一反
応容器内で2またはそれ以上のアンプリコンの生成を行う。複数のアンプリコンは、ゲル
電気泳動、およびエチジウムブロマイド染色、サザンブロッティング、およびプローブに対するハイブリダイゼーションなど(これらには限定されない)の多数の方法の一つによるアンプリコンの検出により、または蛍光性物質または放射性物質をアンプリコン中に取り込ませ、そしてその後連続的にゲル上の生成物を観察することにより、解析することができる。しかしながら、2またはそれ以上のアンプリコンの生成のリアルタイムモニタリ
ングが好ましい。蛍光5'ヌクレアーゼアッセイは、最も一般的なモニタリング方法である。同一チューブ中での2またはそれ以上の蛍光リポーターの蓄積のリアルタイムモニタリ
ングを可能にする装置(例えば、上述したSmart CyclerおよびTaqMan製品)が、現在利用可能である。蛍光5'ヌクレアーゼアッセイの多重化モニタリングのため、検出すべき各アンプリコン種に対応してオリゴマーを提供する。各アンプリコン種に対するオリゴマープローブは、それぞれ他のアンプリコン種についての(1または複数の)オリゴマープロー
ブとは異なるピーク放出波長を有する蛍光リポーターを有する。それぞれの消光されていない蛍光リポーターの蓄積を、各アンプリコンに対応する標的配列の相対量を決定するためにモニタリングすることができる。
【0043】
従来からの多重化QPCRおよびQRT-PCR法においては、同様のアニーリング動態および伸
長動態を有するPCRプライマーセットを選択すること、そして同様のサイズのアンプリコ
ンを選択することが好ましい。適切なPCRプライマーセットの設計および選択は、a当業者に対して周知なプロセスである。最適なPCRプライマーセットを同定するためのプロセス
および平衡化された多重反応を行うためのそれぞれのプロセスの速度もまた、既知である。 “平衡化された(balanced)”により、(1または複数の)特定のアンプリコンが、dNTPまたは酵素などの供給源に関して、(1または複数の)その他のアンプリコンを排除(out-compete)しないことを意味する。例えば、RT-PCRにおいてより多量のRNA種に対するPCRプライマーの量を限定することにより、実験では、より量が少ない種の検出が可能になる。すべてのPCRプライマーセットについてのTm(溶融温度)の平準化もまた、奨励され
る。例えば、ABI PRISM 7700 Sequence Detection System User Bulletin #5, "Multiplex PCR with TaqMan VIC Probes", Applied Biosystems (1998/2001)を参照。
【0044】
上述にもかかわらず、非常に低コピー数の転写物の場合には、より多量な対照種に対するPCRプライマーセットを制限することによっても、正確な多重化PCR実験を設計することは困難である。この問題の一つの解決策は、より多量な種についてのPCR反応とは別個の
チューブ中で、低量のRNAについてのPCR反応を実行することである。しかしながら、その様なストラテジーは、多重化PCR実験を行うことの利益を利用しない。2チューブのプロセスは、費用、PCRアッセイにおいては重大なより多くの実験過誤の余地の追加およびサン
プルコンタミネーションの機会の増加、を含む、いくつかの欠点を有する。
【0045】
1またはそれ以上のより高コピー数の種と共に低コピー数の核酸種を検出することがで
きる、QRT-PCRおよびQPCRを含む、多重化PCRプロセスを行うための方法が、WO 02/070751中に記載された。低コピー数の核酸種と高コピー数の核酸種との間の差異は相対的なものであり、少なくとも約30倍の低(より低)コピー数の種および高(より高)コピー数の種の存在度(prevalence)、しかしより典型的には少なくとも約100倍の存在度の差異とし
て、本明細書中では言及される。本明細書中の目的のため、増幅される2種の核酸種の相
対存在度は、所定の核酸サンプル中のその他の核酸種と比較して、2種の核酸種の相対存
在度よりも突出したものである。というのも、核酸サンプル中のその他の核酸種は、PCR
供給源について、増幅される種と直接的には競合しないからである。
【0046】
本明細書中で使用される場合、所定の核酸サンプル中の所定のいずれかの核酸種の存在度は、試験の前には未知である。したがって、核酸サンプル中の所定の核酸種の“予測される”数のコピーが本明細書中では使用され、そしてそれは核酸サンプル中のその種の存在度についてのこれまでのデータに基づくものである。いずれかの所定の核酸種の組合せに関して、当業者は、サンプル中の2種の相対的存在度を以前に決定したことに基づいて
、それぞれの種の存在度がある範囲に落ち着くことを予想することができる。これらの範囲を決定することにより、当業者であれば、それぞれの種についての標的配列の予想数における差異を決定することができる。正常な患者またはリンパ節から得たサンプル中のmRNA種の正常な存在度に対してあるmRNA種が統計的に有意な量で存在する場合に、そのmRNA種は、“過剰量(overabundant)”と同定される。実施例において詳細に説明し、そして筋立てを本明細書中で提供するように、当業者であれば、1またはそれ以上のmRNA種のい
ずれかについての“過剰量”の正確な定義を決定するための、統計的に有意な範囲またはカットオフを解明することができる。
【0047】
多重化方法には、2種(またはそれ以上の)段階のPCR増幅を行い、それぞれの増幅段階の間の第一のプライマーセットによる第一のアンプリコンの生成と第二のプライマーセットによる第二のアンプリコンの生成の相対速度を修飾することができることが関連する。この方法により、より低量の核酸種に対するアンプリコンを生成するためのPCR増幅は、
より多量な核酸種に対するアンプリコンを生成するためのPCR増幅により、効果的に“平
衡化”される。反応を2またはそれ以上の一時的な段階に分離することは、第一の増幅段
階において生成されるべきではないいずれかのアンプリコンに対するPCRプライマーセッ
トを排除することにより達成することができる。このことは、上述したGenXpertの原型システムなどの自動化プロセスを使用することを介して、最も良く達成される。2またはそ
れ以上の別個の増幅段階を使用して、それぞれのプライマーセットの濃度を調整する(tailor)ことと共に、またはそれとは関係なく、多重化アッセイを調整し(tailor)そして平衡化することができる。
【0048】
PCR増幅プロセスを2またはそれ以上の段階に一時的に分離するための第二の方法は、それぞれのTmにおけるバリエーションを持ったPCRプライマーセットを選択することである
。一例において、より低コピー数の核酸種についてのプライマーは、より多量な種についてのプライマーのTm(Tm2)と比較して、より高いTm(Tm1)を有しても良い。このプロセスにおいて、PCR増幅の第一の段階は、Tm2よりも十分に高い温度で、予め決定された数のサイクルを行い、それによりより多量な種の増幅を実質的になくす。増幅の第一の段階の後、PCR反応のアニーリング段階および伸長段階をより低温で、典型的には約Tm2で行い、それによりより低量のアンプリマーおよびより多量のアンプリマーの両方ともを増幅する。本明細書において使用される場合そして特に注記しない場合には、Tmは、プライマーの核酸配列および反応混合物中のプライマー濃度を含む(これらには限定されない)種々の因子に依存する、所定の反応混合物中のいずれかの所定のプライマーについてのTmである“有効なTm”を意味することに注目すべきである。
【0049】
PCR増幅は、動的なプロセスであることに注目すべきである。多重化PCR反応におけるそれぞれのPCR反応を修飾するための温度を使用する場合、より高い温度のアニーリング段
階は、反応がより高いTmのプライマーセットによりアンプリコンの生成に好ましい限り、典型的にはより低いTmの直上の温度からより高いTmの直下の温度までの範囲であるいずれの温度で行っても良い。同様に、より低温の反応についてのアニーリングは、典型的にはより低温のTmのプライマーセットのそのTm以下のいずれかの温度である。
【0050】
上述した例において、より高温の段階において、低量のRNAについてのアンプリコンは
、より多量なRNAについてのアンプリコンよりも早い速度で増幅され(そして第二のアン
プリコンの生成を実質的に排除することが好ましい)、それにより、すべてのアンプリコンの増幅が実質的に平衡化された様式で進行することが好ましい第二の増幅段階の前に、より低量のRNAについてのアンプリコンは、より多量のRNAの増幅がより低量のRNAについ
てのアンプリコンの増幅により妨害されない程度の、十分な量である。増幅の第一の段階において、低量の核酸についてのアンプリコンが優先的に増幅される場合、アニーリング工程および伸長工程を、Tm1以上で行って、効率以上に特異性を得ても良い(増幅の第二
段階の間は、比較的多量の低量の核酸アンプリコンが存在するため、選択性はもはや重大な問題ではなく、アンプリコン生成の効率が好まれる)。したがって、多くの事例において有益ではあるが、温度のバリエーションは、必ずしも結果として一つの増幅反応を他の増幅反応から完全に遮断することにはならない可能性があることは、注目すべきである。
【0051】
上述した増幅反応の別のバリエーションにおいて、第一のTmを有する第一のプライマーセットは、より多量なテンプレート配列(例えば、対照テンプレート配列)を標的にすることができ、そしてより高いTmを有する第二のプライマーセットは、より低量のテンプレート配列を標的とすることができる。この場合において、より多量なテンプレートおよびより低量なテンプレートはともに、第一のプライマーセットの(より低い)Tmよりも低い温度で第一段階において増幅することができる。より多量のテンプレートに相当するアンプリコンが閾値量に到達した場合、反応のアニーリング温度および/または伸長温度が、第一のプライマーセットのTmよりも高いがしかし第二のプライマーセットのより高いTm以下まで上昇され、より多量のテンプレートの増幅を効果的に遮断する。
【0052】
3またはそれ以上の異なるTm(例えば、Tm1>Tm2>Tm3)を有する3またはそれ以上のPCRプライマーセットを選択することは、所望される配列の優先的な増幅が、所望されるサイクル数の間、所望されない配列を実質的に排除することができる程度にTm間の相違が十分に大きい限り、段階的な様式で変化する量の配列を増幅するために使用することができる。そのプロセスにおいて、最低量の配列が、予め決定されたサイクル数のあいだ、第一段階において増幅される。次に、最低量の配列およびより少ない配列が、予め決定されたサイクル数のあいだ、第二段階において増幅される。最後に、すべての配列が、第三段階において増幅される。上述した2段階反応と同様に、それぞれの段階についての最低温度は
、多重化反応のそれぞれの単一増幅反応の相対的な効率に依存して、変化しうる。2また
はそれ以上のアンプリマーは、いずれかの段階の増幅プロセスにて同様の量の1種以上の
増幅を可能にするため、実質的に同一なTmを有する可能性があることが認識されるべきである。2段階反応と同様に、最低アニーリング温度での最大量の核酸種の増幅から最高ア
ニーリング温度での最小量の種の増幅まで、3段階反応を段階的に進行させることもでき
る。
【0053】
この連続的な増幅方法により、多重化PCR反応の“平衡化(balancing)”のため、Tmのマッチングおよび限定量の1またはそれ以上のPCRプライマーセットの使用に加えて、追加のツールが提供される。特定の状況下において、追加的なプライマーセットの順次的な追加に対して、異なるアンプリコンを連続的に増幅させるための方法として、異なるTmを有
するPCRプライマーセットの開発をすることが好ましい可能性がある。しかしながら、多
重化PCR反応の温度-依存的な配列決定を使用することは、単一反応混合物に対するプライマーセットの連続的な物理的添加と組み合わせることができる。
【0054】
ネガティブな結果についての特定の増幅反応の操作を確認する内部陽性対照もまた、利用することができる。内部陽性対照(IPC)は、標的遺伝子(CEAまたはチロシナーゼ)と同一のプライマー配列を有するが、異なる内部プローブ配列を有する、DNAオリゴヌクレ
オチドである。IPCの選択された配列は、場合により、チミンの代わりにウラシルを用い
て合成することができ、それにより高度に濃縮された模倣物によるコンタミネーションを必要な場合にはウラシルDNAグリコシダーゼを使用して調節することができる。IPCは、プライマーセットの内在性標的のCt値よりも典型的に高いCt値をもたらすように、経験的に決定される量で、いずれかのPCR反応マスター混合物に対して添加することができる。次
いで、PCRアッセイは、標準的なプロトコルにしたがって行われ、そしてプライマーセッ
トに対する内在性標的が存在しない場合であっても、IPCを増幅し、それにより、標的内
在性DNAの増幅ができないことがマスター混合物中のPCR試薬の問題ではないことを確認する。この態様において、IPCプローブは、内在性配列に対するプローブとは異なるように
、蛍光を発する。RT-PCR反応において使用するためのこれのバリエーションは、IPCがRNAであり、そしてそのRNAにRTプライマー配列が含まれる場合である。この態様において、IPCは、RT反応およびPCR反応の両方の機能を証明する。RNA IPCおよびDNA IPCの両方とも
(異なる対応するプローブを有するもの)は、RT反応およびPCR反応における困難性を区
別するために利用することもできる。
【0055】
本明細書中で記載する迅速なQRT-PCRプロトコルは、約20分で実行することができる。
この短い時間により、アッセイを手術中に実行するが可能になり、それにより、外科医が1回の手術の間に外科的な経過を決定することができ、(典型的には、試験されるサンプ
ルを取得してから手術中アッセイが完了するまでの間に待ち時間がある可能性はあるが、患者に一回の“手術”において、麻酔をかけたままおよび/または鎮静させたままである)、2回目の手術を必要とせず、または外科医が不必要なくらいにあるいは過度に広い予
防的な行為を行うことを必要としない。例えば、乳癌、メラノーマ、肺癌、食道癌、および結腸癌を含む、特定の癌の外科的な評価において、腫瘍および前哨リンパ節が最初の手術において除去される。前哨リンパ節を微小転移についてその後評価し、そして患者の前哨リンパ節中に微小転移が検出される場合、患者は2回目の手術を受ける必要があり、そ
れにより、複数回の手術に伴う患者の外科的リスクや患者の不快症状が増加する。本明細書中で記載される、特定の腫瘍特異的マーカーの発現レベルを、30分未満で正確性を高めて決定する能力により、医師は、患者を手術室または付属施設に放置する必要なく、どのように進めるかについて即時の決断を行うことができる。この迅速な試験は、医師の研究室で行われる注射針バイオプシーに対しても適用することができる。患者は、バイオプシー(腫瘍またはリンパ節の注射針バイオプシーなど)の結果を得るまでに何日も待つ必要がなく、しかも今や非常に短時間でより正確な結果を得ることができる。
【0056】
本明細書中で使用される場合、遺伝子発現解析の文脈において、反応条件下において、プローブがサンプル中のその遺伝子の転写物あるいはそれに相補的な配列に対して特異的にハイブリダイズ可能である場合、そしてその他の転写物に対しては特異的にハイブリダイズしない場合、プローブは、遺伝子あるいは転写物“に対して特異的”である。したがって、診断アッセイにおいて、その他の転写物を実質的に排除する(検出アッセイを実質的には妨害しない)ように、試料から抽出したmRNA中の特異的転写物または転写物の所望のファミリーに対してプローブが結合することができる場合、プローブは遺伝子に対して特異的である。PCRアッセイにおいて、サンプル中のその他の配列を実質的に排除するよ
うに、プライマーは、それらがその遺伝子の配列を特異的に増幅する場合、遺伝子に対して特異的である。
【0057】
表Bは、実施例および図面において記載されそして示されるmRNA定量アッセイについて
のプライマー配列およびプローブ配列を提供する。図1〜16は、実施例において検出され
る様々なmRNA種のcDNA配列の限定的ではない事例を提供する。表Bにおいて提供される配
列は実施例において記載されたアッセイにおいては効果的であることが見いだされたが、その他のプライマーおよびプローブは、いずれも本明細書中に記載されるかまたは当該技術分野において既知であるQRT-PCRおよびその他のmRNA検出・定量アッセイにおいて使用
するために、等しく適しているようである。PCRアッセイ用のおよびその他のmRNA検出ア
ッセイ用の代わりのプライマーおよびプローブセットの設計は、十分に当業者の能力の範囲内の事項である。例えば、限定的ではないが、多数のコンピュータソフトウェアプログラムが、特定されたパラメータにしたがって、cDNA配列からPCRアッセイ用のプライマー
およびプライマーセットを作成することができる。その様なソフトウェアの限定的ではない例には、PREMIER Biosoft International(Palo Alto, California)から商業的に入手可能なNetPrimerやPrimer Premier 5が含まれ、この会社はモレキュラービーコンおよび
アレイアッセイ用のプライマーおよびプローブ設計ソフトウェアもまた提供する。2また
はそれ以上の異なるmRNA用のプライマーおよび/またはプローブを、例えば限定的ではないが、標準的な方法にしたがって2またはそれ以上の標的配列をアラインメントし、2またはそれ以上のmRNAのあいだでの共通配列を決定し、そして適切なプライマー設計コンピュータプログラム中に共通配列を入力することにより、同定することができる。
【0058】
本明細書中で使用される場合、特定のmRNA種を検出するための“プライマーまたはプローブ”は、特定のmRNA種を検出しおよび/または定量するために利用することができる、いずれかのプライマー、プライマーセットおよび/またはプローブである。“mRNA種”は、単一の遺伝子の単一のmRNA発現産物に対応する単一のmRNA種であってもよく、あるいは以下に記載されるSCCA1.2およびMAGEA136-plex種などの単一の共通プライマーおよび/またはプローブの組合せにより検出される複数のmRNAであってもよい。
【0059】
本明細書中に記載される方法の商品化において、特定の核酸の検出のための特定のキットが、特に有用であろう。キットには、典型的には、例えば、核酸プライマーまたはプローブなど(これらには限定されない)の1またはそれ以上の試薬が含まれ、それはバイア
ル、チューブまたはボトルなど(これらには限定されない)の容器中にパッケージされ、さらに箱、シールポーチ、ブリスター包装およびカートンなど(これらには限定されない)の商業的な頒布のために適した包装梱包される。包装は典型的には、パッケージされた試薬を、患者のリンパ節における癌細胞の存在の指標となるマーカーの発現を同定するための方法において使用することができることを示す、書類、挿絵、ラベル、書籍、小冊子、タグおよび/または添付文書など(これらには限定されない)のしるしを含有する。本明細書中で使用される場合、“包装材料”には、キット中の試薬の頒布のためのパッケージング中で使用される如何なる物質も含まれ、容器、バイアル、チューブ、ボトル、ポーチ、ブリスター包装、ラベル、タグ、指示書、および添付文書(これらには限定されない)が含まれる。その様なキットの一例は、上述した1チューブQRT-PCRプロセスについて必要な試薬を含んでいてもよい。一例において、キットには、上述した試薬が含まれていてもよく、逆転写酵素、逆転写酵素プライマー、対応するPCRプライマーセット、熱安定性
のDNAポリメラーゼ(Taqポリメラーゼなど)、そして適切な蛍光レポーター(蛍光5'ヌクレアーゼアッセイ用のプローブ、モレキュラービーコンプローブ、一色素プライマー、または二本鎖DNA特異的な蛍光色素(例えばエチジウムブロマイド)などが含まれるが、こ
れらには限定されない)が含まれる。プライマーは、上述した高濃度を得ることができる量で存在していてもよい。熱安定性のDNAポリメラーゼは、様々な製造者から一般的にそ
して商業的に入手可能である。キット中の追加の物質には、以下のものが含まれていてもよい:適切な反応チューブまたはバイアル、バリア組成物(典型的にはワックスビーズであり、場合によりマグネシウムを含んでいてもよい);必要なバッファおよびdNTPなどの
試薬を含む、逆転写酵素段階およびPCR段階用の反応混合物(典型的には10×);ヌクレ
アーゼ不含水またはRNase不含水;RNase阻害剤;対照核酸(1または複数)および/また
はQRT-PCR反応の逆転写酵素段階および/またはPCR段階において使用することができる、いずれかの追加のバッファ、化合物、補因子(co-factor)、イオン性構成成分、タンパ
ク質、および酵素、ポリマーなど。
【0060】
キットの構成成分は、商業的に実用的ないずれかの方法でパッケージされている。例えば、PCRプライマーおよび逆転写酵素を個別にパッケージし、アッセイを構築する差異の
柔軟性を促進し、あるいは同時に、使用の容易性を増加し、そしてコンタミネーションを減少させることができる。同様に、バッファー、塩および補因子を、別個にまたは同時にパッケージしてもよい。
【0061】
キットにはまた、組織サンプルからの核酸の手動抽出または自動抽出のために適した、試薬および機械的構成成分が含まれていてもよい。これらの試薬は、当業者に既知であり、そして典型的には、設計上の選択事項である。例えば、自動化プロセスの一態様において、組織は、キット中に提供される適切な溶解溶液中で超音波を利用して破壊される。次いで、得られた溶解物溶液を濾過し、そしてRNAをやはりキットまたは容器中にて提供す
るRNA-結合性磁気ビーズに対して結合させる。ビーズに結合したRNAを洗浄し、そしてRNAをビーズから溶出し、そして適切な逆転写酵素反応混合物中に入れ、その後逆転写酵素反応を行う。自動化プロセスにおいて、試薬の選択およびそれらのパッケージング様式(例えば、一回使い捨ての容器中)は、典型的には、特定のRNA抽出システム(例えば、限定
的ではないが、GenXpertシステム)のロボット工学および流体工学の物理的な構造により、影響を受ける。国際特許公開公報WO 04/48931、WO 03/77055、WO 03/72253、WO 03/55973、WO 02/52030、WO 02/18902、WO 01/84463、WO 01/57253、WO 01/45845、WO 00/73413、WO 00/73412およびWO 00/72970は、容器ベースのシステムの限定的ではない事例および本明細書中で記載する方法において有用な関連技術を提供する。
【0062】
キットの構成を、一緒にまたは別々にパッケージすることができ、そしてそれぞれの構成成分を1またはそれ以上のチューブまたはバイアル中、あるいは好ましくは、容器形状
中に存在させることができる。構成成分は、独立してまたは一緒に、脱水状態、凍結乾燥状態、ガラス化(glassified)状態または溶液状態を含む(これらには限定されない)、いずれかの有用な状態でパッケージすることができる。キットは、自動化プロセスにおいて使用するための容器の、上述した試薬を含む2またはそれ以上の区画を有する物理的な
形状を取ることができる。適切な容器は、例えば、米国特許Nos. 6,440,725、6,431,476
、6,403,037および6,374,684に記載される。
【0063】
アレイ技術もまた、所望の反応の性能を促進することにより2またはそれ以上の遺伝子
の発現レベルを決定することを容易にすることができ、そして複数の平行する反応を同時に実行することにより、それらの解析を容易にすることができる。アレイの一例は、Affymetrix, Inc.(Santa Clara, California)から商業的に入手可能なGeneChip(登録商標
)遺伝子発現アレイである。アレイ技術およびそのための使用について記載する特許には、米国特許Nos. 6,040,138、6,245,517、6,251,601、6,261,776、6,306,643、6,309,823
、6,346,413、6,406,844および6,416,952が含まれるが、これらには限定されない。有用
なアレイを行うことができる多数の物理的形状を示す、多数のその他の“アレイ”特許が存在する。“マイクロアレイ”などの“アレイ”は、1またはそれ以上の結合試薬を、典
型的には、別々の物理的な位置に含有する基材であってもよく、サンプルのアレイへの結合のハイスループット解析を可能にする。本明細書中で記載される方法の文脈において、アレイは、基材に固定された、本明細書中で記載される1またはそれ以上の遺伝子の転写
物に対して特異的なプローブを含有する。プローブは、核酸または当該技術分野において既知のその類似体であってもよい。アレイはまた、複数の別個の反応チャンバーのことを
いってもよく、複数の平行する反応および検出現象を小型スケールで可能にする。.
上述したように、PCRベースの技術を使用して、所定の組織サンプル中におけるmRNAレ
ベルを定量することができる。その他の配列特異的核酸定量法は、程度の差はあるが、適している可能性がある。一態様において、核酸定量法は、ローリングサークル増幅法である。ローリングサークル増幅法の限定的ではない例は、U.S.特許Nos. 5,854,003;6,183,960;6,344,329;および6,210,884に記載されており、そのそれぞれを、RNA種を検出しそして定量するための方法を教示する範囲で参考文献として本明細書中に援用する。一態様において、パドロック(padlock)プローブが、ローリングサークル増幅プロセスを容易
にするために利用される(Nilsson, M. et al. (2002), "Making Ends Meet in Genetic Analysis Using Padlock Probes," Human Mutation 19:410-415およびSchweitzer, B. et al (2001), "Combining Nucleic Acid Amplification and Detection," Current Opinion in Biotechnology, 12:21-27を参照)。パドロックプローブは、各末端に1つの標
的相補的配列を含む様に設計され、そして2つの末端が、標的配列に対してハイブリダイ
ゼーションに際してそれぞれのすぐ隣に来るように設計される、直鎖オリゴヌクレオチドあるいはポリヌクレオチドである。プローブにはまた、パドロックプローブスペーサー配列を検出するため、ポリメラーゼプライマー部位を含む標的相補的配列とモレキュラービーコンプローブなどのプローブに対して結合するための部位との間に、スペーサーが含まれる。RNAテンプレートに対して適切にハイブリダイゼーションされる場合、プローブ末
端は、次いで、酵素的DNAライゲーションにより結合され、相補的プライマーのポリメラ
ーゼ伸長により増幅することができる環状テンプレートを形成することができる。テンプレートのコンカテマーの何千ものコピーを、各プライマーにより生成することができ、もともとのRNAテンプレートの検出および定量が可能になる。例えば、限定的ではないが、
モレキュラービーコンプローブまたは標的配列の蓄積を検出することができるその他のプローブを使用することにより、定量を自動化することができる。異なるスペーサーを有するパドロックプローブを使用して、増幅されたスペーサーに結合した際に異なる色の蛍光を発する異なるモレキュラービーコンに結合させることにより、この自動化反応を多重化することができる。パドロックプローブ配列は、交差反応性が限定的かまたはない状態で、特異的な結合を確実にするため、標的RNAの独特な部分を標的する。RCAは、増幅が1つ
の温度で行われる等温性の方法である。
【0064】
別の等温性の方法は、例えば、限定的ではないが、核酸配列ベースの増幅(NASBA)で
ある。典型的なNASBA反応は、第一のオリゴヌクレオチドプライマーをRNAサンプル中のRNA標的に対してアニーリングすることにより開始する。第一のプライマーの3’末端は、標的分析物に対して相補的である; 5’末端は、T7 RNAポリメラーゼプロモータをコードする。アニーリング後、プライマーを逆転写(例えば、AMV-RT)により伸長し、cDNAを生成する。RNAをRNase Hで消化し、第二のプライマー(センス)をcDNA鎖に対してアニーリングさせ、逆転写酵素のDNAポリメラーゼ活性を保証し、一端に機能的なT7 RNAポリメラー
ゼプロモータを有するもともとのRNAテンプレートの二本鎖cDNAコピーを生成する。次に
、T7ポリメラーゼを使用して、追加のRNAテンプレートを生成し、逆向きではあるが同一
の生成物にしたがってそれをさらに増幅する。様々なその他の核酸検出法および/または増幅法は、本明細書中で記載される等温性鎖置換法、PCR法およびRCA法に対する改変を含め、当業者に既知である。
【0065】
実施例1 - 一般的な材料と方法
可能性のあるマーカーの同定:
広範囲の文献および公共データベースの調査を、何らかの可能性のあるマーカーを同定するために行った。この調査のための情報源には、PubMed、OMIM、UniGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)、GeneCards(http://bioinfo.weizmann.ac.il/cards)、およびCGAP(http://cgap.nci.nih.gov)が含まれる。調査の基準はいくらかフレキシブルであったが、目的は、腫瘍中で中程度〜高度の発現を伴い、そして正常リンパ節中で低度の発現を
伴う遺伝子を同定することであった。さらに、腫瘍中で亢進調節されたことが報告された遺伝子および限定的な分布を有する遺伝子が、有用である可能性があると考えられた。最終的には、癌精巣抗原およびhTERTなどの癌特異的であることが報告された遺伝子を評価
した。
【0066】
組織および病理学的評価:
組織試料は、IRBの承認を受けたプロトコルを介して、University of Pittsburgh Medical Centerの組織バンクから取得した。すべての試料を、液体窒素中で急速冷凍し、そしてその後凍結切片用にOCT中に包埋した。20個の5-ミクロンの切片を、RNA単離のために各組織から切り出した。さらに、切片を切り出し、そしてRNA単離用の切片の最初、途中(RNA用に10番目と11番目の切片の間)、そして最後を、H&E解析およびIHC解析用にスライド上においた。各試料から採取した3種類のH&Eスライドすべてを、腫瘍の存在および腫瘍%を確認するため、そして何らかの混入組織の存在を同定するため、病理的検査に供した。非染色スライドのすべては、-20℃で保存した。免疫組織化学的評価を、AE1/AE3抗体カクテル(DAKO, Carpinteria, CA)、およびVector Elite ABCキットおよびVector AEC Chromagen(Vecta Laboratories, Burlingame, CA)を使用して行った。IHCをH&E組織学を確
認するために必要とされるように使用した。
【0067】
スクリーニングアプローチ:
スクリーニングを、2段階で行った。すべての可能性のあるマーカーを一次スクリーニ
ング段階に投入し、そして癌を有さない患者から得た6個の原発腫瘍および10個の良性リ
ンパ節において発現を解析した(1プール当たり2個のリンパ節RNAを有する5つのRNAプー
ル)。リンパ節転移検出のための良好な特徴を示したマーカーが、二次スクリーニング段階に移された。二次スクリーニングは、20〜25個の原発腫瘍、20〜25個の組織学的に陽性のリンパ節、そして21個の癌を有さない良性リンパ節についての発現解析から構成される。
【0068】
RNA単離およびcDNA合成:
RNAを、RNeasyミニキット(Qiagen, Valencia, CA)を本質的に製造者により記載され
た通りに使用して単離した。唯一の修飾は、溶解試薬の用量を2倍にしそして2工程でカラムに充填した点であった。このことにより、おそらくは組織切片中のOCTから希釈した結
果として、より良好なRNA収率および精製度を提供することが見いだされた。表Cに示されるプローブおよびSuperscript II(Invitrogen, Carlsbad, CA)逆転写酵素を使用するランダムヘキサマープライミングによるかまたは配列特異的プライミングによるかのいずれかにより、逆転写を100-μl反応容量中で行った。一次スクリーニング用に、各500ngのRNAを有する3種類の逆転写反応を行った。cDNAを組み合わせて、そしてQPCRを反応あたり20
ng RNA等量を使用して行った。二次スクリーニング用に、原発腫瘍および陽性リンパ節
についてのRNA入力は、同様に500 ngであった。しかしながら、良性のリンパ節について
は、RNA入力は、QPCR反応あたり80 ng RNAに相当する、2000 ngであった。
【0069】
定量的PCR:
すべての定量的PCRを、ABI Prism 7700配列検出装置(Applied Biosystems, Foster City, CA)で行った。マーカー遺伝子の相対発現を、以前に記載されたデルタ-CT法を使用
して、そしてβ-グルクロニダーゼを内在性対照遺伝子として、計算した。すべてのアッ
セイは、5'ヌクレアーゼハイブリダイゼーションプローブを用いた用途のために設計されたが、コストを抑えるため一次スクリーニングをSYBER Green定量を使用して行った。ア
ッセイは、ABI Primer Express Version 2.0ソフトウェアを使用して設計され、そして可能である場合、cDNA特異性を提供するため、アンプリコンはエクソン結合部にかかっていた。すべてのプライマー対を、60、62および64℃のアニーリング温度で、増幅特異性(ゲル上で単一バンドを生成)について試験した。さらに、PCR効率は、一次スクリーニング
に使用する前に、SYBER green定量を使用して推定した。効率のさらなる最適化およびよ
り正確な推定を、二次スクリーニングにおいて使用されるすべてのアッセイのため、5'ヌクレアーゼプローブを用いて行った。
【0070】
Universal Human Reference RNA(Stratagene, La Jolla, CA)およびヒト胎盤、甲状
腺、心臓、結腸、PCI13細胞株およびSKBR3細胞株に由来するRNAの混合物が、マーカース
クリーニングプロセスにおける遺伝子すべてについてのユニバーサル陽性発現対照として機能した。
【0071】
SYBER Green(Primary Screen)を用いた定量(一次スクリーニング):
SYBR Green I-ベースのQPCRに関して、各50μl反応物は、1×TaqManバッファA(Applied Biosystems)、300 nMの各dNTP、3.5 mM MgCl2、0.06 units/μlのAmplitaq Gold(Applied Biosystems)、0.25X SYBR Green I(Molecular Probes, Eugene, OR)および200nMの各プライマーを含有した。増幅プログラムは、最初に95℃のTaq活性化段階を12分間行
い、その後95℃の変性を15秒間、60または62または64℃でのアニーリング/伸長を60秒、そして増幅された特異的PCR生成物のTmよりも2〜4℃低い温度で10秒のデータ回収工程を1サイクルとして40サイクル行う、2段階を含む(Tom B. Morrison, et al, 1998)。増幅
後、60℃〜95℃まで、20分かけて温度を上昇させながら蛍光データを回収することにより、溶融曲線解析を行った。
【0072】
5'ヌクレアーゼプローブ(Secondary Screen)を用いた定量(二次スクリーニング):
プローブベースのQPCRを以前に記載されたように行った(Godfrey, et al., Clinical Clin Cancer Res. 2001 Dec., 7(12):4041-8)。概説すると、200 nMのプローブ濃度および60℃、または62℃、または64℃で60秒のアニーリング/伸長段階により、反応を行った。二次スクリーニングにおいて評価した、遺伝子についてのプライマーおよびプローブの配列(IDT, Coralville, IAより購入)を、以下の表Bに列挙する。
【0073】
データ解析:
一次スクリーニングにおいて、溶融曲線から得たデータを、ABI Prism 7700 Dissociation Curve Analysis 1.0ソフトウェア(Applied Biosystems)を使用して解析した。溶融曲線の一次導関数を使用して、生成物のTmを決定し、ならびに特異的生成物が各サンプル中に存在することを確認した。一般的には、二重にしたPCR反応中でサンプルを解析し、
そして平均Ct値を発現解析において使用した。しかしながら、二次スクリーニングにおいては、各個体の良性リンパ節について三重にした反応を行い、そしてサンプルについてのバックグラウンド発現の最高値を得るため、最低のCt値を相対発現の計算において使用した。
【0074】
癌組織特異的研究を、以下の実施例において記載するように行った。その場合、多様な分子マーカーを、食道癌、結腸癌、頭頸部癌を含む癌におけるそしてメラノーマにおける病理学的状態と相関する様に同定した。表Aは、以下の研究において使用した遺伝子を特
定する。表Bは、本明細書中で記載される定量的PCR増幅およびRT-PCR増幅において使用されるPCRプライマー配列およびTAQMANプローブ配列を提供する。表Cは、ランダムヘキサマープライマーの代わりに使用したRTプライマー配列を提供する。すべてのPCR反応およびRT-PCR反応は、標準的な方法を使用して行った。すべての図面について、T=原発腫瘍;PN=腫瘍陽性リンパ節(組織学的スクリーニングによる。すなわち、H&E染色組織の検討によ
る。そして必要な場合には上述したIHCによる。);そしてBN=良性リンパ節(組織学的スクリーニングによる)。
【0075】
【表1−1】

【0076】
【表1−2】

【0077】
【表2−1】

【0078】
【表2−2】

【0079】
【表3】

【0080】
実施例2 - 食道癌
CEA、CK7、CK19、CK20、TACSTD1およびVIL1の発現レベルを、実施例1に記載した方法により決定した。図17は、原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節におけるCEA、CK7、CK19、CK20、TACSTD1およびVIL1の発現レベルを示す散布図である。図18A-Oは、2マ
ーカーシステムが、リンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す散布図を提供する。表DおよびEは、図17および図18A-Oのグラフを生成した際の生データを提供する
。このデータは、前哨リンパ節中でのCEA、CK7、CK19、CK20、TACSTD1およびVIL1マーカ
ー単独の発現または組合せの発現が、前哨リンパ節中の食道癌に由来する悪性細胞の存在と強力な相関を有することを示す。
【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
実施例3 - 頭頸部癌
図19は、原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節におけるCEA、CK19、PTHrP、PVA、SCCA1.2およびTACSTD1の発現レベルを示す散布図である。図20A〜Fは、2マーカーシステムが、リンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す散布図を提供する。表FおよびGは、図19および20A〜Fのグラフを生成した際の生データを提供する。このデータは、前哨リンパ節中でのCEA、CK19、PTHrP、PVA、SCCA1.2およびTACSTD1マーカー単独
の発現または組合せの発現が、前哨リンパ節中の頭頸部癌の扁平上皮細胞癌に由来する悪性細胞の存在と強力な相関を有することを示す。
【0084】
【表6】

【0085】
【表7】

【0086】
実施例4 - メラノーマ
図21は、原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節における、MART1、TYRおよびMAGEA136-plexの発現レベルを示す散布図である。図22Aおよび22Bは、2-マーカーシステ
ムがリンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す、散布図を提示する。このデータは、前哨リンパ節中でのMART1、TYRおよびMAGEA136-plexマーカーの単独の発現ま
たは組合せの発現と、前哨リンパ節中のメラノーマに由来する悪性細胞の存在との間での強力な相関性を示す。
【0087】
実施例5 - 結腸癌
図23は、原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節中の、CDX1、CEA、CK19、CK20、TACSTD1およびVIL1の発現レベルを示す散布図である。このデータは、前哨リンパ節中でのCDX1、CEA、CK19、CK20、TACSTD1およびVIL1マーカーの発現と、前哨リンパ節中の結腸癌細胞に由来する悪性細胞の存在との間での強力な相関性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、尾側型ホメオボックス転写因子1(CDX1)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 1)。
【図2−1】図2は、癌胎児性抗原-関連細胞接着分子5(CEA)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 2)。
【図2−2】図2は、癌胎児性抗原-関連細胞接着分子5(CEA)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 2)。
【図3】図3は、サイトケラチン7(CK7)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 3)。
【図4】図4は、サイトケラチン19(CK19)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 4)。
【図5】図5は、サイトケラチン20(CK20)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 5)。
【図6】図6は、メラノーマ抗原ファミリーA1(MAGEA1)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 6)。
【図7】図7は、メラノーマ抗原ファミリーA3(MAGEA3)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 7)。
【図8】図8は、メラノーマ抗原ファミリーA6(MAGEA6)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 8)。
【図9】図9は、T細胞により認識されるメラノーマ抗原1(MART1)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 9)。
【図10】図10は、副甲状腺ホルモン-関連タンパク質(PTHrP)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 10)。
【図11−1】図11は、尋常性天疱瘡抗原(PVA)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 11)。
【図11−2】図11は、尋常性天疱瘡抗原(PVA)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 11)。
【図12】図12は、扁平上皮細胞カルシノーマ抗原1(SCCA1)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 12)。
【図13】図13は、扁平上皮細胞カルシノーマ抗原2(SCCA2)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 13)。
【図14】図14は、腫瘍-関連カルシウムシグナル伝達物質1(TACSTD1)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 14)。
【図15−1】図15は、チロシナーゼ(TYR)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 15)。
【図15−2】図15は、チロシナーゼ(TYR)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 15)。
【図16−1】図16は、ビリン1(VIL1)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 16)。
【図16−2】図16は、ビリン1(VIL1)マーカーのcDNA配列の表示である(SEQ ID NO: 16)。
【図17】図17は、食道癌患者の原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節における、CEA、CK7、SCCA 1.2、CK20、TACSTD1、VILおよびCK19の発現レベルを示す散布図である。
【図18−1】図18A-Cは、2-マーカーシステムが食道癌患者のリンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す、散布図を提示する(陰性- 灰色丸;陽性- 黒丸)。
【図18−2】図18D-Fは、2-マーカーシステムが食道癌患者のリンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す、散布図を提示する(陰性- 灰色丸;陽性- 黒丸)。
【図18−3】図18G-Iは、2-マーカーシステムが食道癌患者のリンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す、散布図を提示する(陰性- 灰色丸;陽性- 黒丸)。
【図18−4】図18J-Lは、2-マーカーシステムが食道癌患者のリンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す、散布図を提示する(陰性- 灰色丸;陽性- 黒丸)。
【図18−5】図18M-Oは、2-マーカーシステムが食道癌患者のリンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す、散布図を提示する(陰性- 灰色丸;陽性- 黒丸)。
【図19】図19は、頭頸部癌患者の原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節中の、CEA、CK19、PThRP、PVA、SCCA1.2およびTACSTD1の発現レベルを示す散布図である。
【図20−1】図20A-Cは、2-マーカーシステムが頭頸部癌患者のリンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す、散布図を提示する(陰性- 丸;陽性- “+”)。
【図20−2】図20D-Fは、2-マーカーシステムが頭頸部癌患者のリンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す、散布図を提示する(陰性- 丸;陽性- “+”)。
【図21】図21は、メラノーマ患者の原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節中の、MART1、TYRおよびMAGEA136-plexの発現レベルを示す散布図である。
【図22】図22Aおよび22Bは、2-マーカーシステムがメラノーマ患者のリンパ節中の良性細胞と悪性細胞とを識別する能力を示す、散布図を提示する(陰性- 丸;陽性- “+”)。
【図23】図23は、結腸癌患者の原発腫瘍、腫瘍陽性リンパ節および良性リンパ節中の、CDX1、CEA、CK19、CK20、TACSTD1およびVIL1の発現レベルを示す散布図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のリンパ節中の食道癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法であって、この方法は、CEA、CK19、CK20、TACSTD1、VIL1、PVAおよびCK7の一つに特異的な第一のmRNA種がリンパ節から調製したRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定すること
を含み、ただし第一のmRNA種がCEAである場合にはこの方法はさらにCK19に対して特異的
な第二のmRNA種が、リンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定
することを含み、その場合、それらのmRNA種の過剰がリンパ節中の転移性の食道細胞の存在の指標である、前記方法。
【請求項2】
CEA、CK19、CK20、TACSTD1、VIL1、PVAおよびCK7の1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上の追加のmRNA種であって第一のmRNA種とは異なるものが、RNAサンプル中
で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、それらの第一のmRNA種の過剰および1またはそれ以上の追加のmRNA種の過剰がリンパ節中での転移性の食道細胞の
存在の指標である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第一のmRNA種がCK19に対して特異的であり、そして第二のmRNA種がCEAに対して特異的
である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第一のmRNA種がCK20に対して特異的である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
CK19に対して特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定する
ことをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中での転移性の食道細胞の存在の指標である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第一のmRNA種がTACSTD1に対して特異的である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
CEAに対して特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中での転移性の食道細胞の存在の指標である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
CK7に対して特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中での転移性の食道細胞の存在の指標である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
CK19に対して特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定する
ことをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中での転移性の食道細胞の存在の指標である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
CK20に対して特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定する
ことをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中での転移性の食道細胞の存在の指標である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
VIL1に対して特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定する
ことをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中での転移性の食道細胞の存在の指標である、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
第一のmRNA種がVIL1に対して特異的である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
CK19に対して特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定する
ことをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中での転移性の食道細胞の存在の指標である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第一のmRNA種がCK7に対して特異的である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
第一のmRNA種がPVAに対して特異的である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
RNAサンプル中でのそのmRNA種のレベルを定量し、そして1またはそれ以上のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
核酸増幅アッセイを使用して、1またはそれ以上のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
核酸増幅アッセイが、PCRアッセイおよび等温性増幅アッセイの一つである、請求項17
に記載の方法。
【請求項19】
核酸増幅アッセイがRT-PCRアッセイ、QRT-PCRアッセイ、ローリングサークル増幅アッ
セイおよび核酸配列ベースの増幅アッセイからなる群から選択されるアッセイである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
アッセイが、パドロックプライマーを使用するローリングサークル増幅アッセイである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
アッセイが多重化アッセイである、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
アッセイが、RT-PCRアッセイである、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
RT-PCRアッセイが、CEA、CK19、CK20、TACSTD1、VIL、およびCK7の1またはそれ以上に
対して特異的な1またはそれ以上のプライマー対を使用する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
プライマー対が、表Bに開示されるCEA、CK19、CK20、TACSTD1、VIL、およびCK7プライ
マーの少なくとも約10個の連続する核酸から本質的に構成される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
患者のリンパ節中における頭頸部の扁平上皮細胞癌の細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法であって、この方法は、CEA、CK19、PTHrP、PVA、TACSTD1およびSCCA1.2の一つに対して特異的な第一のmRNA種がリンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、それらのmRNA種の過剰がリンパ節中での頭頸部の扁平上皮細胞癌の転移性の細胞の存在の指標である、前記方法。
【請求項26】
第一のmRNA種がCEAに対して特異的である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
第一のmRNA種がPTHrPに対して特異的である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
SCCA1.2に対して特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中での頭頸部の扁平上皮細胞癌の転移性の細胞の存在の指標である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
PVAに対して特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中での頭頸部の扁平上皮細胞癌
の転移性の細胞の存在の指標である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
第一のmRNA種がPVAに対して特異的である、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
SCCA1.2に対して特異的な第二のmRNA種がRNAサンプルで過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中での頭頸部の扁平上皮細胞癌の転移性細胞の存在の指標である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
第一のmRNA種がCK19に対して特異的である、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
第一のmRNA種がTACSTD1に対して特異的である、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
SCCA1.2に対して特異的な第二のmRNA種がRNAサンプルで過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中での頭頸部の扁平上皮細胞癌の転移性の細胞の存在の指標である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
PVAに対して特異的な第二のmRNA種がRNAサンプルで過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中での頭頸部の扁平上皮細胞癌の転移性の細胞の存在の指標である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
PTHrPに対して特異的な第二のmRNA種がRNAサンプルで過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中での頭頸部の扁平上皮細胞癌の転移性の細胞の存在の指標である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
第一のmRNA種がSCCA1.2に対して特異的である、請求項25に記載の方法。
【請求項38】
CEA、CK19、PTHrP、PVA、TACSTD1およびSCCA1.2の1またはそれ以上に対して特異的な1
またはそれ以上の追加のmRNA種であって第一のmRNA種とは異なるものが、RNAサンプル中
で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、それらの第一のmRNA種の過剰および1またはそれ以上の追加のmRNA種の過剰がリンパ節中での頭頸部の扁平上皮細
胞癌の細胞の存在の指標である、請求項25に記載の方法。
【請求項39】
mRNA種がRNAサンプルであり、そして1またはそれ以上のmRNA種がRNAサンプル中で過剰
であるかどうかを決定することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
核酸増幅アッセイを使用して、1またはそれ以上のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定する、請求項25に記載の方法。
【請求項41】
核酸増幅アッセイが、PCRアッセイおよび等温性増幅アッセイの一つである、請求項40
に記載の方法。
【請求項42】
核酸増幅アッセイが、RT-PCRアッセイ、QRT-PCRアッセイ、ローリングサークル増幅ア
ッセイおよび核酸配列ベースの増幅アッセイからなる群から選択されるアッセイである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
アッセイが、パドロックプライマーを使用するローリングサークル増幅アッセイである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
アッセイが多重化アッセイである、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
アッセイがRT-PCRアッセイである、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
RT-PCRアッセイが、CEA、CK19、PTHrP、PVA、TACSTD1およびSCCA1.2の1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上のプライマー対を使用する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
プライマー対が、表Bに開示されるCEA、CK19、PTHrP、PVA、TACSTD1およびSCCA1.2プライマーの少なくとも約10個の連続した核酸から本質的に構成される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
患者のリンパ節中における扁平上皮細胞癌の細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法であって、この方法は、PVAに対して特異的な第一のmRNA種がリンパ節から
調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、そのmRNAの過剰がリンパ節中での扁平上皮細胞癌の転移性の細胞の存在の指標である、前記方
法。
【請求項49】
患者のリンパ節中における結腸癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法であって、この方法は、CDX1、TACSTD1およびVIL1の一つに対して特異的な第一のmRNA
種がリンパ節から調製されたRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み
、その場合、それらの第一のmRNA種の過剰がリンパ節中での転移性の結腸細胞の存在の指標である、前記方法。
【請求項50】
第一のmRNA種がCDX1に対して特異的である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
第一のmRNA種がTACSTD1に対して特異的である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
第一のmRNA種がVIL1に対して特異的である、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
RNAサンプル中でのmRNA種のレベルを定量することをおよび1またはそれ以上のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
核酸増幅アッセイを使用して、1またはそれ以上のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定する、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
核酸増幅アッセイが、PCRアッセイおよび等温性増幅アッセイの一つである、請求項54
に記載の方法。
【請求項56】
核酸増幅アッセイが、RT-PCRアッセイ、QRT-PCRアッセイ、ローリングサークル増幅ア
ッセイおよび核酸配列ベースの増幅アッセイからなる群から選択されるアッセイである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
アッセイが、パドロックプライマーを使用するローリングサークル増幅アッセイである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
アッセイが多重化アッセイである、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
アッセイがRT-PCRアッセイである、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
RT-PCRアッセイが、CEA、CK19、PTHrP、PVA、TACSTD1およびSCCA1.2の1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上のプライマー対を使用する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
プライマー対が、表Bに開示されたCEA、CK19、PTHrP、PVA、TACSTD1およびSCCA1.2プライマーの少なくとも約10個の連続した核酸から本質的に構成される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
CDX1、CEA、CK19、CK20、TACSTD1、およびVIL1の1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上の追加のmRNA種であって第一のmRNA種とは異なるものが、RNAサンプル中で
過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、それらの第一のmRNA種の過剰および1またはそれ以上の追加のmRNA種の過剰がリンパ節中での転移性の結腸細胞の存
在の指標である、請求項49に記載の方法。
【請求項63】
患者のリンパ節中におけるメラノーマ細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法であって、MAGEA136-plexに対して特異的な第一のmRNA種がリンパ節から調製され
たRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することを含み、その場合、その第一のmRNA種の過剰がリンパ節中でのメラノーマ細胞の存在の指標である、前記方法。
【請求項64】
MART1に対して特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中でのメラノーマ細胞の存在の指標である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
TYRに対して特異的な第二のmRNA種がRNAサンプル中で過剰であるかどうかを決定することをさらに含み、その場合、そのmRNA種の過剰がリンパ節中でのメラノーマ細胞の存在の指標である、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
包装材料、および以下のものの1またはそれ以上:
(a) CEA、CK19、CK20、SCCA1.2、TACSTD1、VIL1、PVAおよびCK71またはそれ以上に
対して特異的な1またはそれ以上核酸(ここで、包装材料は、1またはそれ以上核酸を、患者のリンパ節中における食道癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む);
(b) CEA、CK19、PTHrP、PVA、TACSTD1およびSCCA1.2の1またはそれ以上に対して特
異的な1またはそれ以上核酸(ここで、包装材料は、1またはそれ以上核酸を、患者のリンパ節中における頭頸部の扁平上皮細胞癌の細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む);
(c) CDX1、TACSTD1、およびVIL11またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上核酸(ここで、包装材料は、1またはそれ以上核酸を、患者のリンパ節における結腸癌細
胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む);
(d) MAGEA136-plex、MART1、およびTYR1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上核酸(ここで、包装材料は、1またはそれ以上核酸を、患者のリンパ節におけるメ
ラノーマ細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む);そして
(e) PVAに対して特異的な1またはそれ以上核酸(ここで、包装材料は、1またはそれ以上核酸を、患者のリンパ節における扁平上皮細胞癌の細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができるしるしを含む);
を含む、製品。
【請求項67】
1またはそれ以上の核酸が、配列特異的核酸検出または増幅アッセイにおいて使用する
ための1またはそれ以上のプライマーである、請求項66に記載の製品。
【請求項68】
プライマーが、PCRプライマーセット、NASBAプライマーおよびRCAプライマーの一つで
ある、請求項67に記載の製品。
【請求項69】
プライマーが、PCRプライマーセットである、請求項68に記載の製品。
【請求項70】
1またはそれ以上の核酸が、基材に接着されている、請求項66に記載の製品。
【請求項71】
基材が、1またはそれ以上の核酸の2またはそれ以上のアレイである、請求項70に記載の製品。
【請求項72】
1またはそれ以上の核酸がプローブである、請求項66に記載の製品。
【請求項73】
1またはそれ以上のプライマーを使用する配列特異的核酸検出または増幅アッセイの生
成物の蓄積を検出する際に使用するための検出可能プローブをさらに含む、請求項66に記載の製品。
【請求項74】
1またはそれ以上のプライマーが、容器中に含有される、請求項67に記載の製品。
【請求項75】
CEA、CK19、PTHrP、PVA、TACSTD1およびSCCA1.2の1またはそれ以上に対して特異的な1
またはそれ以上の核酸を含み、そして包装材料が、1またはそれ以上の核酸を、患者のリ
ンパ節における頭頸部の扁平上皮細胞癌の細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む、請求項66に記載の製品。
【請求項76】
CDX1、TACSTD1、およびVIL1の1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上の核
酸を含み、そして包装材料が、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節における結腸
癌細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む、請求項66に記載の製品。
【請求項77】
MAGEA136-plex、MART1、およびTYRの1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以
上の核酸を含み、そして包装材料が、1またはそれ以上の核酸を、患者のリンパ節におけ
るメラノーマ細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む、請求項66に記載の製品。
【請求項78】
PVAに対して特異的な1またはそれ以上の核酸を含み、そして包装材料が、1またはそれ
以上の核酸を、患者のリンパ節における扁平上皮細胞癌の細胞の存在の指標であるマーカーの発現を同定する方法において使用することができることを示すしるしを含む、請求項66に記載の製品。
【請求項79】
(a) CK19、CK20、SCCA1.2、TACSTD1、VIL1、PVAおよびCK7の1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および食道癌と診断されたか
または食道癌を有すると疑われる患者のリンパ節から抽出したRNA;
(b) CEA、CK19、PTHrP、PVA、TACSTD1およびSCCA1.2の1またはそれ以上に対して特
異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および頭頸部の扁平上皮細胞癌と
診断されたかまたは頭頸部の扁平上皮細胞癌を有すると疑われる患者のリンパ節から抽出したRNA;
(c) CDX1、TACSTD1およびVIL1の1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および結腸癌と診断されたかまたは結腸癌を有すると疑われる患者のリンパ節から抽出したRNA;
(d) MAGEA136-plex、MART1、およびTYRの1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、およびメラノーマと診断されたかまたはメラノーマを有すると疑われる患者のリンパ節から抽出したRNA;または
(e) PVAに対して特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および扁
平上皮細胞癌と診断されたかまたは扁平上皮細胞癌を有すると疑われる患者のリンパ節から抽出したRNA;
を含む、組成物。
【請求項80】
CK19、CK20、SCCA1.2、TACSTD1、VIL1、PVAおよびCK7に対して特異的な1またはそれ以
上のプライマーまたはプローブ、および食道癌と診断されたかまたは食道癌を有すると疑われる患者のリンパ節から抽出したRNAを含む、請求項79に記載の組成物。
【請求項81】
CEA、CK19、PTHrP、PVA、TACSTD1およびSCCA1.2の1またはそれ以上に対して特異的な1
またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および頭頸部の扁平上皮細胞癌と診断されたかまたは頭頸部の扁平上皮細胞癌を有すると疑われる患者のリンパ節から抽出したRNA
を含む、請求項79に記載の組成物。
【請求項82】
CDX1、TACSTD1およびVIL1の1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以上のプラ
イマーまたはプローブ、および結腸癌と診断されたかまたは結腸癌を有すると疑われる患者のリンパ節から抽出したRNAを含む、請求項79に記載の組成物。
【請求項83】
MAGEA136-plex、MART1、およびTYRの1またはそれ以上に対して特異的な1またはそれ以
上のプライマーまたはプローブ、およびメラノーマと診断されたかまたはメラノーマを有すると疑われる患者のリンパ節から抽出したRNA請求項79に記載の組成物。
【請求項84】
PVAに対して特異的な1またはそれ以上のプライマーまたはプローブ、および扁平上皮細胞癌と診断されたかまたは扁平上皮細胞癌を有すると疑われる患者のリンパ節から抽出したRNAを含む、請求項79に記載の組成物。
【請求項85】
以下の(a)〜(g)の配列:
(a) GTGAGGAGGCAAGGTTYTSAG(SEQ ID NO: 18);
(b) AGACCCACWGGCAGATLTTGTC(SEQ ID NO: 19);
(c) AGGATTCCCTGGAGGCCACAGAGG(SEQ ID NO: 6、塩基80〜103);
(d) ACAGGCTGACCTGGAGGACCAGAGG(SEQ ID NO: 7、塩基90〜104);
(e) AAGCTGCAACATATCATGTTGATAGG(SEQ ID NO: 12、塩基267〜292);
(f) GGCGATCTTCAGCTCATATGC(SEQ ID NO: 29);および
(g) TGTTCATCACCAGTTTCAAAAGCTTCTGACT(SEQ ID NO: 12、塩基301〜331);
の10またはそれ以上の連続した核酸から本質的に構成される単離・精製された核酸。
【請求項86】
(a)〜(g)の一つの15個の連続した核酸から本質的に構成される、請求項85に記載の単離・精製された核酸。
【請求項87】
(a)〜(g)の配列の一つから本質的に構成される、請求項85に記載の単離・精製された核酸。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図17】
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【図18−1】
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【図18−2】
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【図18−3】
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【図18−4】
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【図18−5】
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【図19】
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【図20−1】
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【図20−2】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−5500(P2012−5500A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190962(P2011−190962)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【分割の表示】特願2007−520520(P2007−520520)の分割
【原出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(501102988)ユニバーシティ オブ ピッツバーグ オブ ザ コモンウェルス システム オブ ハイヤー エデュケイション (24)
【Fターム(参考)】