説明

飲料の泡増強にシソ科ハーブ調合物を使用する方法

本発明は、泡増強調合物を完成した飲料に又は飲料製造の工程に加えることによって、多数の飲料の泡特性を増強させる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡増強調合物を完成した飲料に又は飲料製造の工程に加えることによって、多数の飲料の泡特性を増強させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの飲料, たとえばビール, 麦芽飲料, 特定の炭酸ソフトドリンク, カプチーノ, ホットチョコレート 及び特定のフレーバーコーヒー及びティーに関連する泡又はヘッドの量 (容量), 外観、安定性及び口当たりは、消費者及び製造業者にとって重要な審美的パラメータ及び品質パラメータである。
ビール及び麦芽飲料
【0003】
色及び清澄度と共に, 泡 は麦芽飲料の品質を判定するための消費者によって使用される重要な視覚的属性である。高品質のビール泡は、ビールを飲む時に ビールの口当たりのなめらかさを増加させることによって、及び新たに注がれるビールの外観を向上させることによって、ビールに有利な影響を与えることができる。泡のゆっくりした崩壊が良好なレース状の模様を残す場合、それは偽りなく極上の泡とみなされる。本発明は、ビール及びその他の麦芽飲料の泡を改善する方法及び調合物に関する。本明細書中に、フレーバー又はその他の所望されない特性 に影響を与えない添加物の使用によって麦芽飲料及びその他の飲料の泡ヘッドの外観, 安定性及び崩壊を変更し、そして改善する方法及び調合物を記載する。
【0004】
ビール泡はビールの表面に浮かぶ液体膜マトリックスに包まれた気泡の集合体である。クリーム、 ヘッド, フロス(froth), カラー(collar) 及び サズ(suds)は、しばしば 用語「泡」のしばしば見かけられる同義語である。ビールグラス中の泡ヘッドの形成は、ある程度の時間安定した状態を保つフロス膜中にコロイド状気体粒子が凝固することに起因する。ビールグラス中のこの安定なヘッドがその他のドリンクとビールを区別する何よりもすべてである。
【0005】
本明細書において, 用語“ビール” を27 CFR サブパートB, セクション25.11の定義にしたがって使用する。すなわち:
“アルコール分0.5%以上を有する、あらゆる名称又は銘柄のうちのビール, エール, ポーター, スタウト及びその他の類似の醗酵飲料(酒又は類似品を含む)であって、これらは全部又は一部が麦芽から、又は麦芽のあらゆる代替物から醸造されるか又は製造される。”
【0006】
麦芽飲料(malt beveages) は27 CFR サブパート B セクション7.10で次のように定義される。すなわち:
“大麦麦芽とホップ, 又はその一部, 又はその生成物を, その他の麦芽穀物の存在又は不在下に, そして麦芽処理していない又は処理した穀物, その他の炭水化物又はこれから製造された生成物の添加又は不添加下に, そして二酸化炭素の添加又は不添加下に, そしてヒトの食物摂取に適するその他の有益な生成物 の存在又は不在下に、飲料用醸造水(potable brewing water)中でインフュージョン又は煮沸式仕込み(decoction)又はこれらの組み合わせによるアルコール醗酵によって作られた飲料。”
【0007】
本明細書において, 用語"麦芽飲料" はビール, エール, ドライビール, ニアビール, ライトビール, 低アルコールビール, 低カロリービール, ポーター, ボック ビール, スタウト, 麦芽酒(麦芽酒), ノン-アルコール麦芽飲料 、 アルコールが除かれたビール等のような泡を形成する、醗酵した麦芽飲料を含む。その他に明記しない限り, 用語"ビール" はフレーバー麦芽飲料 でない、 醗酵麦芽飲料の全グループの総称として本明細書全体を通して使用される。
【0008】
ビール泡特性に作用するファクターは長い間研究されてきたが, 醸造工業において高品質の泡を有する製品をどのように安定に流通販売するかほとんど分っていない。泡品質 、すなわち気泡容積, 安定性, 外観, 口あたり等々はおおくのファクターに依存する。付着(cling)はもう一つの重要な泡性質であり、そして泡が崩壊するときに、泡のグラス側面に付着する能力である。この作用もレーシング(lacing)として周知である。泡に影響を与える重要なファクターのいくつかは以下の項目を含む:
1)蛋白質レベル(分子量, 疎水性の度合又はその他の性質が最も重要であるかどうかについで意見の一致はないけれども)。
2)苦味。 ホップビター酸 (イソフムロン) 及びその還元対応物(ジヒドロ-イソフムロン, テトラヒドロ-イソフムロン 及び ヘキサヒドロ-イソフムロン)は、泡形成及び安定化の重要なファクターであることは知られている。今のところ完全に解明されていない方法によって、これらが蛋白質と相互に作用し、蛋白質間を架橋すると考えられる。
3)ポリフェノール類。これらがポップ由来であろうと、麦芽由来であろうと, 特定のポリフェノール類がビール 泡に作用することがわかった。ポリフェノール類と蛋白質の相互作用はビールヘイジィ(hazy=やや濁っている状態), 望ましくない副作用を導く可能性があり、そしてビール醸造者はビール中のポリフェノール類の量を制限して、ヘイジィ形成を避ける。
4)メラノイジン, すなわち蛋白質と砂糖の反応生成物も、ビール泡に重要であると考えられている。
5)気体濃度及び種類。標準ラガーに関して, 二酸化炭素が泡形成及び安定性に顕著な役割を果たす。窒素ガスは、低炭酸化ビール中に極めてよいビール泡を生じさせるために使用された。
【0009】
本発明に対する要求は、醸造の実施 (高い比重の醸造法の採用) 及び 消費者の要望(より薄い 及び あまり苦くないビールへの嗜好の増加)の変化によってもたらされた。ビール 製造において効率を増加させ、費用を低下させるために, 多くの醸造者は高い比重の醸造法として知られている方法を採用してきた。
【0010】
高い比重法は、醗酵中に、固体、たとえば糖のより一層高い濃度を用いてより一層濃縮された原料を醸造し、ついで醸造工程の最後で希釈段階を伴う。醸造者は、その工程で同時により大きいビール容量を有効に製造してより一層高い総生産高を得る。高い比重の醸造法の使用は、醸造者にとってビールを経済的に製造するのにほぼ必須であり、そして多くの醸造会社はこのパートをその製造戦略にしている [非特許文献1] 。経済的に魅力的であるが, その方法はいくつかの問題を生じる。高い比重の醸造は良好な総品質を有するビールを製造するが、しばしば悪い泡特性を有する。これは、ひとつには、希釈段階の結果として、重要な泡形成蛋白質の低いレベルを有する高い比重醸造物によるものであると考えられる。したがって 高い比重法によって製造されたビールの 泡品質を改善する方法及び改善する調合物を見出すことは利点となる。
【0011】
世界中で, 消費者はより弱い、そしてあまり苦くないビールを選んでいる。ライトビール及び低炭水化物ビールも 泡の低い量及び悪い泡安定性を有することが問題となっている。これらの製品において、高い比重法によって製造されたビールの多くのように, 泡が極めて速く崩壊し、消費者に “ヘッドレス” ビールを与える。ライトビールに対して、高品質の, 安定な泡をもたらす調合物及び方法が非常に望まれる。 ホップビター酸 (イソフムロン)がビールの 泡特性を増強させることはよく知られている。これらの化合物及びそれらの還元対応物(ジヒドロ-イソフムロン, テトラヒドロ-イソフムロン 及び ヘキサヒドロ-イソフムロン)は、極めて苦い。完成したビールに移行する不随的なレベルはその使用を制限する。消費者があまり苦くないビールをますます好むので, 泡品質及び 安定性 の課題は醸造者の製品中でホップビター酸のレベルを低下させるという醸造者の要望によって悪い影響を受けている。
炭酸ソフトドリンク
【0012】
いくつかの炭酸ソフトドリンク, たとえばルートビール, クリームソーダ及び バーチビールで、泡のヘッドの存在は重要な特性である。炭酸ソフトドリンク は香味料, 甘味料, 二酸化炭素及び場合により 着色剤を含む水を主体とする 飲料として定義される。本発明の泡増強調合物の添加は、量 (容量), 持続期間, 外観 及び 口あたりによって測定されるように泡の品質を変え、そして改善することができる。本発明の泡増強作用は、製造業者に伝統的に泡ヘッドを有しない炭酸ソフトドリンクに泡ヘッドを発生させる能力を与える。たとえば, 安定な泡ヘッドのある コーラフレバーソフトドリンクは、本発明の方法を用いて容易に製造することができる。幾人かの製造業者は、製品ラインの拡張の一部として製造業者に伝統的に関係しない飲料に泡状ヘッドが加えられることを望むかもしれない。
カプチーノ, フレーバーコーヒー, ティー 及び ホットチョコレート
【0013】
機械からの本格的カプチーノは発泡ミルクをブラックコーヒーに加えてつくられ、それによって コーヒーの表面上に白い泡を生じさせる。本発明の泡増強 調合物をカプチーノの調製に使用されるミルク又は乳製品に加えて、泡の品質を変えることができ、それは量 , 持続期間, 外観 及び 口あたりによって測定される。同様に, 発泡ミルク又は発泡香味料をベース液体に添加する方法によって製造されたフレーバーコーヒー 及びホットチョコレート 飲料の泡性質を、本発明の調合物及び方法を用いて増強させることができる。
【非特許文献1】Bryce, J.H., Cooper, D.J., Stewart, G.G. “The Potential to Improve Foam Stability of High Gravity Brewed Beer”, European Brewery Convention on Beer Foam Quality, Monograph 27, October 1998, pages 141-153。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明者は、シソ科ハーブ 調合物の特定の成分がいろいろな飲料中で泡を増強させ、そして安定させる驚くべき新しい能力を有することを見出した。特に本発明者は、カルノシン酸 (CA) 及び カルノソール (CN) 及び 関連する化合物が1ppmの低い濃度で顕著な泡増強性質を示すことを見出した。その泡増強性質は、フレーバー閾値をかなり下回った濃度で生じる。したがってこの性質は、ビール, 麦芽飲料, 炭酸ソフトドリンク, フレーバーコーヒー, ホットチョコレート又はカプチーノに所望されないフレーバーを付与することなく良好な作用するのに向いている。本発明者はまたカルノシン酸 及び(又は) カルノソール 及び(又は) その他の 関連するシソ科ハーブベース化合物は、その他の泡系, たとえばポイップ卵白の性質を安定化し、そして増強させる。
関連技術の説明
麦芽飲料 及び ビール
【0015】
多くの研究が、ビールの泡特性, 品質, 増強及び安定性に与えるファクターを解明するために行われた。3つの記事が先行技術の代表として選ばれ、そしてそこに挙げられた文献は良い技術背景を提供する。下記の研究のほとんどはBamforthによる総論に由来する [Bringing Matters to a Head: The Status of Research on Beer Foam” European Brewery Convention on Beer Foam Quality, Monograph 27, October 1998, pages 10-23]。 しかしながら、そこには間接的にさえ本発明を予測させ、そしてそれ故に麦芽飲料の悪い泡品質の課題に対する全く新しい解決策として本発明を提示する参考資料又は請求の範囲は見出されなかった。
【0016】
Bamforthは、泡品質に悪い影響を及ぼすファクターとして脂質及び蛋白質分解酵素のような化合物を示している。彼はまた脂質トランスファー蛋白質 (LPT1)がビール泡の主要な成分であると考えられると報告する。彼は更に、実験系でイソ-α-酸, 二酸化炭素, エタノール及び無機イオンを用いて再現した場合、LPT1が最良の泡 安定性をもたらすという、Lusk 及び 共働者による研究を示す。他の者は、ビール中の良好な起泡性能が1つより多くの蛋白質の相互作用に起因することを提案した。
【0017】
ビールポリペプチドの疎水性は、より良い泡特性を提供するさらに疎水性のポリペプチドと共に 泡安定化の主要なファクターであると提案されている。この理論は Onishi 及び Proudloveの研究によって裏づけられる[Onishi, A., Proudlove, M.O. Journal of the Science of Food and Agriculture, 1994, 65, 233-240] 。かれらはまた プロピレングリコール アルギナートが、ビール ポリペプチドの疎水性を増加させることによって泡安定性を恐らく増加させることを示した。しかし, ポリペプチドのサイズがかえって良好な役割を果たすとも考えられる。このことは研究団体によって完全にまとめられず、そしていくつかの対立する主張がある [Hollemans, M., Tonies, A.R.J.M. Proceedings of the European Brewery Convention Congress, Zurich, 1989, 561-568. b) Gibson, C.E., Evans, D.E., Proudlove, M.O. Ferment, 1996, 9, 81-84. c) Douma, A.C., Mocking-Bode, H.C.M., Koorijman, M., Stolzenbach, E., Orsel, R., Bekkers, A.C.A.P.A., Angelino, S.A.G.F. Proceedings of the European Brewery Convention Congress, Maastricht, 1997, 671-679. d) Horiuchi, S., Kouno, K., Yamashita, H., Mori, T. Yabuuchi, S. Proceedings of the 23rdConvention of the Institute of Brewing, Asia Pacific Section, 1994, 198. e) Sheehan, M., EvansE. Proceedings of the 25th Convention of the Institute of Brewing, Asia Pacific Section, 1998, 198. f) Lusk, L.T., Goldstein, H., Ryder, D. Journal of the American Society of Brewing Chemists, 1995, 53, 93-100.]。
【0018】
脂質結合蛋白質は、脂質を介して不安定化を防ぐことによってビール泡を保護するように作用する[Onishi, A., Canterranne, E., Clarke, D.J., Proudlove, M.O. Proceedings of the European Brewery Convention Congress, Brussels, 1995, 553-560. and Clark, D.C., Wilde, P.J., Marion, D. Journal of the Institute of Brewing, 1994, 100, 23-25.] 。
【0019】
Lusk はメラノイダンが泡を安定化する能力 があり、そして多糖類が泡を生じさせることができるが, これらは不安定であることを示した [Lusk, L.T., Goldstein, H., Ryder, D. Journal of the American Society of Brewing Chemists, 1995, 53, 93-100]。メラノイダンは 、アミノ酸と還元糖の間のメイラード反応の結果生じる、不完全に定義された構造を有する化学物質の複合体混合物である。
【0020】
ポリペプチドは、すべてのビール泡の骨格を形成し、そしてその他の分子が果たす役割は蛋白質骨格を強化するか (苦味化合物, 金属イオン [Bamforth, C.W., Canterranne, E., Chandley, P. , Onishi, A. Proceedings of the European Brewery Convention Congress, Oslo, 1993, 331-340.], メラノイダン,) 又は崩壊させることである (脂質及び洗剤)。添加される安定剤、たとえばプロピレングリコール アルギナートは崩壊物質, たとえば脂質の作用を妨害し, 脂質が骨格を崩壊させないようにする。興味深いことは、 蛋白質 及び界面活性剤 (たとえば脂質及び洗剤)単独で良好な泡をもたらすことができることである。しかし, この2つが同時に存在する場合、生じた泡はより劣った品質である。というのはこれらが異なる泡安定化メカニズムを経て作用するからである[Sarker, D.K., Wilde, P.J. and Clark, D.C. Cereal Chemistry, 1994, 75, 493-499]。苦味化合物、たとえばイソ-α-酸は、 疎水性 及び イオン-双極子相互作用を介して架橋ポリペプチドによって作用すると考えられる [Simpson, W.J , Hughes, P.S., Cerevisiae & Biotechnology, 1994, 19, 39-44]。還元イソ-α-酸は、その非還元対応物よりもさらに実際上泡活性であるが, これらの材料の間違った使用は極めて目障りな泡を生じうる[Goldstein, H., Ting, P. Proceedings of the European Brewery Convention Symposium on Hops, 1994, 141-164] 。これらが使用することができる濃度は実際にその苦味によって制限される。
【0021】
Forster は、ポップ由来 ポリフェノール類の範囲がビール 泡に影響を与えないが [Forster, A., Beck, B. Schmidt, R. Proceedings of the 24thConvention of the Institute of Brewing, Asia Pacific Section, 1996, 243], カテキンが蛋白質を架橋することによってラクトグロブリンの発泡を促進する [Sarker, D.K., Wilde, P.J., Clark, D.C. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 1995, 43, 295-300]ことを見出した。しかし, われわれの研究で、カテキンはビール中で全く泡に作用しないことが分かった。 Bamforth2は、Forsterのカテキン研究に基づき、ポリフェノール類がビール泡に影響を与えないという更なる報告がないことは驚くべきことであると述べている。というのは醸造者はポリフェノール類の酸化生成物が蛋白質と交差反応して、ヘイジィを生じうることをわかっているからである。 しかし, ヘイジィは所望されない品質であり、そして本発明は、本発明の分子がBamforth が言及するポリフェノール類 でない点で他に類をみない。更に、 本発明は 空気の存在下でヘイジィに対して増強された安定化をもたらす。その上, 空気の不在下で,カルノソール及び カルノシン酸を含むビールは、コントロールと同じヘイジィ形成を有する。
【0022】
自家醸造共同体はインターネットでレシピを共有する。独特のフレーバーを得ることを目的とする醸造工程にスパイスを添加することを特徴とするいくつかのレシピがある。http://byo.com/feature/56.html websiteで, タイム, バジル, ペパーミント及びローズマリーを自家製ビールに添加することが議論されている。使用法は、ウォッカを用いて調製されたスパイスのエタノールエキス又は溶液又はペパーミントの場合熱い水から調製されたお茶を添加することについて述べられている。これらのスパイスは、これらがビールに与えるフレーバーのためだけに添加される。 これらは泡を改善するために添加されず、泡又は 泡安定性への何らかの影響について全く言及されていない。これらは香味料として、そして量的にフレーバー閾値を軽く上回って単に添加され、生成物にフレーバーを与える。その他の例として http://byo.com/recipe/298.html 及び http://www.cs.csustan.edu/~gcrawfor/beerfiles/holiday.html. が挙げられる。これに反して、本発明はフレーバー変化を飲料に与えない、泡増強法である。
【0023】
Hsu 等 (米国特許第5,387,425号明細書)は、麦芽飲料の泡性質を増強させる方法及び調合物を示す。 この方法は、イソフムロンエキスを飲料の重量あたり約 0.1 ppm〜約20 ppmの量で及び発泡蛋白質を飲料の重量あたり約 2 ppm 〜約250 ppmの量で飲料に添加することから成る。醗酵した麦芽飲料 泡増強調合物は、イソフムロンエキスと発泡蛋白質の混合物を含む。この場合イソフムロンエキスと発泡蛋白質の割合は、約 1:約 1 〜約 1:約 2500である。更に、(a) 醗酵した麦芽飲料, (b) イソフムロン (ホップ) エキス, 醗酵した麦芽飲料の重量あたり 約 0.1 ppm 〜約20 ppmを含むエキス; 及び (c) 発泡蛋白質, 醗酵した麦芽飲料の重量あたり約2 ppm〜約250 ppmを含む蛋白質を含む、泡性質を増強させる飲料調合物が記載されている。
【0024】
Shah 及び Milner, PCT 国際特許出願( WO)第 2003010277 A1 号明細書(2003) に、ボディー(body), 泡 及び 麦芽飲料の味の増強のために醸造工程で添加される糖ポリマーを使用することが記載されている。
【0025】
Tripp, Rader, Rao 及び Ryder, PCT国際特許出願( WO)第9612788 A1号明細書 (1996)に、添加される泡 増強剤を用いて無色清澄なビールを製造する方法が記載されている。
【0026】
Geller (米国特許第2,559,612号明細書) は、麦芽飲料中で泡安定性を増強させるために精製されたアルギナート誘導体を使用することを言及している。
【0027】
Tripp 等, 公開された米国特許出願第 20040086580号明細書に, 第一成分としてホップ由来のフラクション;及び第二成分として、ローズマリー, ローズマリー由来のエキス,ローズマリー由来の化合物, トリテルペン類, ジテルペンラクトン類 及び炎症反応に関連する病理学的状態を治療又は抑制するトリプタントリンより成る群から選ばれる少なくとも1種の成分を含む調合物が記載されている。
炭酸ソフトドリンク
【0028】
Dickinson 及び Stainsby [Food Technology, 1987, 41 (9), 74-81+116]は、エマルション及び泡の開発の最近の進展を検討している。
【0029】
Watanabe, Daido 及び Yoshihiro, PCT 国際特許出願( WO)第 2003205610号明細書(2003)に, カテキン成分が増強されたティー リーフ エキスを含む泡維持剤を製造することが記載されている。
【0030】
San Martin [Proc. Phytochem. Soc. Eur. (2000) 45 (Saponins in Food, Feed and Medicinal Plants) 271-279] 及び Briones [Econ. Bot. (1999) 53(3), 302-311] の一般評論記事に, 飲料中の泡増強剤としてサポニンの使用が記載されている。
【0031】
サポニン誘導体(常にユッカ, キラヤ,又はサルサパリラエキス由来)は、ソフトドリンク 工業で泡を増強させるために使用されるよく知られた添加である。 いくつかの製造業者はこれらの化合物をたとえば ルートビール, バーチビール又は クロームソーダ に添加する。 ユッカ エキスを 618 ppmの最大レベルで使用する。キラヤエキスを約100 ppmで使用する。これらのサポニンに対する潜在的に不都合な生物学的活性、たとえば赤血球を溶解させるその能力を示す研究によって、何人かの製造業者はその使用の中止に納得した (Lueng and Foster, Encyclopedia of Common Natural Ingredients, 1996, John Wiley and Sons, New York, pp. 432-434, 462-463 and 524-525)。
カプチーノ, フレーバーコーヒー, クリームド(Creamed) ティー 及び ホットチョコレート
【0032】
Bisperink, Ufheil, Vuataz 及び Schoonman, 欧州特許出願公開(EP)第 1074181 A1号公報 (2001)に、飲料中に増強された泡を生じさせるために炭水化物, 蛋白質 及び エントラプトガス(entrapped gas)を含む可溶性クリーマー粉末を使用することが言及されている。
【0033】
O’Connell, 米国特許出願公開第2004105923 A1号公報 (2004)に, 泡オクテニルコハク酸化工でんぷん 及びラクチル酸アシル塩, 蛋白質, 蛋白質加水分解物, ショ糖エステル及びこれらの混合物を含む群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有する泡を安定化する調合物が言及されている。
【0034】
Van Hekezen 及び Wiestra, 欧州特許出願公開(EP)第1329162号公報 (2003)に、添加された加水分解した牛乳蛋白質を含む、機械的泡立てに適する乳製品が記載されている。乳製品は 機械的手段によって又は噴射ガスを用いてたたかれて、カプチーノ 及び関連する飲料に適する泡(フロス)を生じることができる。
その他の 泡製品
【0035】
Mott, Hettiarachchy, 及び Qi (J. Amer. Oil Chem. Soc. (1999), 76(11), 1383-1386)によって、キサンタンガムのホウェイ蛋白質に対する影響 及び泡立てられた食品、たとえば 蛋白質飲料, エンゼルケーキ及び独特の特殊調製粉乳中に組み合わせて使用することが記載されている。
図面の簡単な説明
図 1 泡増強剤として作用する化合物の名称及びその化学構造を示す。
図 2 ビール中の典型的ポリフェノール類の構造を示す。
図 3 泡増強のためのカテコール類及びジフェノール類の構造要素を示す。
【0036】
本発明の簡単な要旨
本発明者は、特定の添加物が麦芽飲料, 特定のその他の飲料 及び本明細書に記載したようなその他の食品関連適用中で泡に対する有効な及び新規な増強剤であることを見出した。低いレベルのカルノシン酸 及び(又は) カルノソール又は構造上これに関連する化合物 は、麦芽飲料, 特定の炭酸飲料; ホイップされた卵白; 泡だてられたコーヒー, ティー 又はチョコレート飲料を製造するために使用される乳製品; ホイップクリーム; 非乳製品ベースホイップクリーム代替物, 及び その他のホイップ菓子製品に関連する泡の形成及び安定性を増強する。
【0037】
これらの添加物は、非食品関連適用で泡の有効な増強剤でもあることができる。 低いレベルのカルノシン酸 及び(又は) カルノソール又は構造上関連する化合物は、非食品関連適用、たとえばヘアームース, シェイビングクリーム, 洗浄剤, 化粧料及び泡難燃剤に関連する泡の形成及び安定性を増強する。
【0038】
カルノシン酸, カルノソール 及び これらに関連する化合物は、いくつかのシソ科ハーブ中に及びシソ科ハーブの種々のエキス中に存在する。カルノシン酸及び(又は)カルノソールを含有するシソ科ハーブは、ローズマリー (Rosmarinus officinalis), セージ (Salvia officinalis) 及びその他のものを含む。多くの場合, 得るのがより困難である精製された成分の代わりにシソ科ハーブエキスを所望の泡増強作用を得るために使用することができる。その他の場合,粗製エキスを精製して、泡増強成分の濃度を増加させ, そしてフレーバーが多いか又は完成した飲料製品と何らかの理由で適合しないそれらの成分を除去することが必要である。部分的に精製されたカルノソール又はカルノシン酸(25〜 70% 有効成分を含有する)は、本発明に適合する有用な形態である。高度に精製されたカルノシン酸及び カルノソール (>70% 純度)を本発明において有効に使用することができる。カルノソール, カルノシン酸 及び泡増強成分として以下に示すその他の 化合物の混合物も本発明においても有効である。
【0039】
多くの構造上関連する化合物は、著しい泡増強素質を有することが分かった。 これらの化合物はつぎの化合物を含む: ロズマリキノン,ロズマノール, エピ-ロズマノール, イソロズマノール, ロズマリジフェノール, 12-メトキシカルノシン酸, 及び カルノシン酸のエステル, たとえばメチルカルノサート及びエチルカルノサート。種々のシソ科ハーブ中にも見出されるロズマリン酸は 泡増強剤でない。
【0040】
シソ科ハーブ中に見出されないその他の化合物(これらのうちのいくつかは合成) は選別され、泡増強作用を有することを示した。これらは次の化合物を含む: 3,5-ジ-t-ブチルカテコール, 4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジメチルフェノール), 及び テトラヒドロパパベロリン ヒドロブロマイド (化学構造に対する図 1 参照)。
図 1 泡増強剤として作用する化合物の名称 及びそれらの化学構造
[図1]

【0041】
これらは周知のキッチンハーブ(culinary herb)に由来するので, カルノシン酸, カルノソール, 及び(又は)カルノシン酸、カルノソールを含むシソ科ハーブのエキスが本発明の好ましい形態である。 カルノシン酸 及び(又は) カルノソールの精製された形態は本発明の最も好ましい形態である。というのはこれらが実際の適用で本発明の使用を妨げるかもしれない不純物を僅かにしか含まないからである。
【0042】
これらの化合物は1ppmの低い濃度で使用することができ、そして飲料中での適度の泡増強を与えることが分かった。泡増強は、泡の容量, 持続期間 (安定性), 外観又は口あたりの改善を意味する。飲料 及び その他の 食品関連適用での濃度の上限は、いくつかのファクターに依存する。溶解度, フレーバー効果, 価格、及びあまりにもはっきりした、あまりにもしっかりした、又は外観に不自然さのある泡を発生する可能性は、重視すべき事柄である。一般に, 適用に応じて濃度が高くなればなるほど、見られる効果はますます大きくなる。いくつかの適用に関して, 最高100 ppmの活性泡増強剤が 必要である。ビールの場合,泡の有効な増強は2 〜10 ppmの低いレベルでもって生じることがわかっている。
【0043】
時折、本発明の泡増強成分の添加は、外観にどことなく不自然さがある泡の形成を生じさせる。麦芽飲料において, 特にこの泡はグラスの真中で盛り上がりがちである。また, 泡崩壊として, グラスの内面(付着)に残った残留物が、ときどき粒状の外観を有する可能性がある。しばしば,これらの望まれない作用は、泡増強成分の濃度を調整することによってなくすことができる。
【0044】
本発明者は、泡の外観及び泡増強作用を表わす度合いをコントロールする別の方法も見出した。脂肪酸を泡増加調合物に, 又は直接飲料に, 又は飲料製造の段階で添加することは, 泡の性質及び外観を変化させるが分かった。飲料中の最終濃度1-2 mg/Lをもたらすために添加されるスレアリン酸, 又はその他の脂肪酸は、 カルノシン酸で増強された泡を真中の盛り上がりの変化及び付着の外観の変化によってより“自然”に見せることが分かった。適当な濃度での 脂肪酸の添加は、泡崩壊の速度に影響を及ぼさない。長鎖脂肪酸に対するあらゆる媒体を使用することができ、当業者は特定の要求に合った脂肪酸及びその濃度の選択を最適化することができる。 重要なことは、特定の脂肪酸がこれらを所定の適用に適さなくさせるフレーバー特性を有することに留意しなけれなならない。その他の脂肪酸, 特に不飽和脂肪酸は、フレーバー安定性への懸念を生じさせる。というのはこれらが容易に酸化されるからである。最も好ましい脂肪酸は炭素原子を10 〜24個を有する飽和酸である。
【0045】
したがって本発明に含まれると考えられる事項を特に以下にまとめて示す:
【0046】
飲料の泡の性質を改善する方法であって、シソ科ハーブ調合物及び場合により、10〜24個の炭素原子を有する脂肪酸又はそれらの混合物を含み, 場合により食品用キャリヤー中で調製された泡増強調合物の泡増強量を、直接飲料に又はその製造のある段階で添加する、上記方法。
【0047】
泡増強が、遅延された泡崩壊, 遅延されたカバーブレイク 及び(又は)ヘビーホームクリング(heavy foam cling)を含む、上記方法。
【0048】
泡増強調合物が飲料ヘイジング(hazing)をもたらさない、上記方法。
【0049】
泡増強調合物がフレーバー閾値未満で供給される、上記方法。
【0050】
シソ科 ハーブ調合物 が粗製 シソ科 ハーブエキス, カルノシン酸, カルノソール, ロズマリキノン,ロズマノール, エピ-ロズマノール, イソロズマノール, ロズマリジフェノール, 12-メトキシカルノシン酸, カルノシン酸のエステル, カルノシン酸メチル及びカルノシン酸エチル, 又はそれらの混合物を含む、上記方法。
【0051】
飲料が醗酵した麦芽飲料, ビール, エール, ドライビール, ニアビール, ライトビール, 低アルコールビール, 低カロリービール, ポーター, ボックビール, スタウト, 麦芽酒, ノン-アルコール麦芽飲料, アルコールが除かれたビール, カプチーノ, フレーバーコーヒー, ティー, ホットチョコレート 及び 炭酸ソフトドリンクから選ばれる、上記方法。
【0052】
飲料が麦芽飲料又はビールである、上記方法。
【0053】
シソ科 ハーブ調合物をつぎの工程:
- 麦芽製造工程の前,
- 麦芽製造工程の間,
- 焙燥工程の前,
- 焙燥工程の間,
- マッシング工程の前,
- マッシング工程の間,
- 麦汁濾過工程の前,
- 麦汁濾過工程の間,
- 麦汁煮沸工程の前,
- 麦汁煮沸工程の間,
- 醗酵の前,
- 醗酵の間,
- 低温殺菌の前,
- 低温殺菌の間,
- 容器詰の前 及び(又は)
- 容器詰の間
から選ばれる、その製造工程のうちの1つ以上の段階で添加する、上記方法。
【0054】
シソ科ハーブ調合物がカルノシン酸を含む、上記方法。
【0055】
カルノシン酸の濃度が飲料中で0.5 〜100 ppmである、上記方法。
【0056】
シソ科ハーブ調合物がカルノソールを含む、上記方法。
【0057】
カルノソールの濃度が飲料中で 0.5〜100 ppm である、上記方法。
【0058】
シソ科 ハーブ調合物がカルノシン酸とカルノソールの混合物である、上記方法。
【0059】
カルノシン酸とカルノソールの混合物の濃度が飲料中で0.5〜100 ppmである、上記方法。
【0060】
泡増強調合物が更にホップエキス又はその誘導体を含む、上記方法。
【0061】
泡増強調合物が更にホップ油、又はホップ油又はその誘導体の混合物を含む、上記方法。
【0062】
泡増強調合物が更にホップエキス 及びホップ油又はホップ油の混合物を含む、上記方法。
【0063】
泡増強調合物がカルノシン酸を含む、上記方法。
【0064】
泡増強調合物がカルノソールを含む、上記方法。
【0065】
泡増強調合物がカルノシン酸とカルノソールの混合物を含む、上記方法。
【0066】
ホップエキスがイソフムロン, ジヒドロ-イソフムロン, テトラヒドロ-イソフムロン, ヘキサヒドロ-イソフムロン 又はそれらの混合物を含む、上記方法。
【0067】
シソ科 ハーブ調合物が、プロピレングリコール, エタノール, 水, 脂肪酸のモノグリセライド, 脂肪酸のジグリセライド又はグリセリン, 又はそれらの混合物を含む食品用キャリヤー中で調製される、上記方法。
【0068】
シソ科ハーブ調合物が0.25重量%〜 50重量%の濃度範囲にある、上記方法。
【0069】
シソ科 ハーブ調合物が 0.5重量%〜20重量%の濃度範囲にある、上記方法。
【0070】
2,2’,6,6’-テトラメチルビスフェノール-A,
3,5-ジ-tert-ブチルカテコール,
テトラヒドロパパベロリン ヒドロブロマイドから選ばれた化合物の泡増強量, 及び場合により10〜24個の炭素原子を有する脂肪酸 又はそれらの混合物を直接 飲料に又はその製造のある段階で添加する、飲料の泡の性質を改善する上記方法。
発明の詳細な説明
【0071】
本発明者は、カルノシン酸, カルノソール及び多くの関連誘導体を含む多数の化合物の驚くべき泡増強及び泡安定化作用を見出した。これらの化合物, 又はこれらを含む調合物は飲料, ビール, 麦芽飲料, 特定の炭酸ソフトドリンク, カプチーノ, フレーバーコーヒー及びティー, 及び ホットチョコレートの泡性質を増強させるために使用することができる。これらの化合物, 又はこれらを含む調合物はまた卵白及び 乳製品の泡性質を増強させるために使用することができる。これらの化合物, 又はこれらを含む調合物はまた非食品物質、たとえばヘアームース, シェイビングクリーム、洗浄剤, 化粧料 及び 泡難燃剤の泡性質を増強させるために使用することができる。
麦芽飲料 及び ビールの泡の改善
【0072】
本発明者は、カルノソール (CN), カルノシン酸 (CA) 及び 特定のその他の添加物を種々のビールに添加することが大きい泡増強及び安定化作用 をもたらすことを見出した。この作用は、調節して注いで、2インチまで泡が崩壊するのに必要な時間を測定することによって, カバーブレイク 時間 (泡のてっぺんから約50% の液体ビールを見ることできるまでにかかる時間), 泡崩壊 (付着)の後にグラスの側面に付着する残留物の量及び性質を観察することによって, 及び手段として NIBEM法を用いて [J. Inst. Brewing, 2003, 109 (4), 400-402.] 数値で表わされる。これらのデータを、表 5に示されたNIBEMデータを除いて表 1にまとめて示す。
【0073】
最終ビール中の有効な泡増強成分, たとえば カルノシン酸 及び(又は)カルノソールの濃度が泡増強を生じるのに十分であるように、本発明の泡増強調合物を、完成したビール又は多くの段階で 醸造工程に添加することができる。極めて簡略化された醸造工程の式を以下に示す。
麦芽製造

焙燥

マッシング

麦汁濾過

麦汁煮沸

醗酵

低温殺菌

容器詰

流通販売
【0074】
本発明の泡増強調合物を、上記醸造工程中のあらゆる時点で添加することができる。本発明の調合物を麦芽製造工程の前又はその間で添加することができる。 本発明の調合物を、焙燥工程の前又は焙燥工程中に添加することができる。 本発明の調合物を、マッシング工程の前又はマッシング工程中に添加することができる。本発明の調合物を、麦汁濾過工程の前又は麦汁濾過工程中に添加することができる。 本発明の調合物を、麦汁煮沸の前又は麦汁煮沸中に添加することができる。 本発明の調合物を、醗酵の前又は醗酵中に添加することができる。本発明の調合物を、低温殺菌の前又は低温殺菌中に添加することができる。 本発明の調合物を、容器詰の前又は容器詰中に添加することができる。
【0075】
有効成分が 醸造工程の種々の段階中で消費されうること及び 十分なカルノシン酸 及び(又は) カルノソール 及び(又は) これらに関連する化合物を添加して、完成した製品中に有効な泡増強量をもたらさねばならないことが分かった。適する添加レベルを、定期的な試験によって及びケースバイケースの原則に基づいて決定することができる。当然, 本発明の泡増強調合物を、醸造工程中の, マッシング中の及び低温殺菌の前の多数の時点で, たとえば、又は処理段階のあらゆる組み合わせで添加することができる。
【0076】
カルノシン酸 及び(又は) カルノソール 及び(又は)これらに関連する化合物の泡増強作用を生じるのに十分な濃度は、ビールの性質, 蛋白質の量, イソフムロンの含有量, メラノイジンのレベル, 炭酸化作用の度合い 及びその他の ファクターに依存するが, 一般に1 〜100 ppmの範囲にある。より好ましい範囲は重量あたり2 〜20 ppm であり、そして最も好ましい範囲は、重量あたり2.5 〜10 ppmである。これがとても多くの変動要素に依存するので, 泡増強成分の最適かつ有効なレベルは、各ビール 及び各添加方法に対して実験によって決定しなければならない。
【0077】
カルノシン酸は、完成したビールに食品用キャリヤー, たとえばエタノール, プロピレングリコール, ベンジルアルコール又はグリセリン中の溶液の形で容易に添加される。これらの溶液の濃度は消費者の要求にしたがって変化することができる。0.25 〜30% の典型的濃度が容易に使用される。カルノシン酸を、カルノシン酸ナトリウム又はカリウムとして水に添加する。アルカリ金属塩を製造し, 単離し、そしてビールに直接添加する。カルノシン酸を水酸化ナトリウム, 重炭酸ナトリウム, 炭酸ナトリウム, 水酸化カリウム, 炭酸カリウム, 重炭酸カリウム又はその他の許容し得る塩基性化合物を用いてpHを慎重に調整することによって水に溶解させることができる。あまり高いpHを避けることに配慮しなければならない。さもなければカルノシン酸分解, 変色又は酸化が生じるかもしれない。 水/エチルアルコール混合物は、カルノシン酸に対する有効なキャリヤーでもある。エタノール, プロピレングリコール又はグリセリン中にカルノシン酸を有する溶液及び 水 又は 水/アルコール混合物中にカルノシン酸のアルカリ金属塩を有する溶液を、溶剤から酸素を除去する方法を用いて製造するのが最も好ましい。 これは超音波処理, 排気, 不活性ガス又は従来公知のその他の方法を用いる浄化によって行うことができる。
【0078】
カルノシン酸をシソ科 ハーブエキスの形で添加することができる。これらのエキスは、しばしばその他の関連する誘導体、たとえばカルノソール, ロズマリキノン,ロズマノール, エピ-ロズマノール, イソロズマノール, ロズマリジフェノール, 12-メトキシカルノシン酸, 及び カルノシン酸のエステル, たとえば カルノシン酸メチル及びカルノシン酸エチル, 並びにオイル, ホスホリピド, ロウ, ウルソル酸, ベツリン酸及びオレアノール酸のようなトリテルペノイドを含む。 カルノシン酸のあまり純粋でない形を醸造工程の初期の段階に添加するのがより好ましい。より粗製の形のシソ科ハーブエキスを完成したビールに添加した場合, これが所望されない濁る沈殿物又はフレーバー変化を引き起こしうる。一般に本発明のあまり精製されていない形を醸造工程の初期段階で添加し、本発明の更に精製された形を醸造工程の後期で添加するのがより好ましい。
【0079】
カルノソールを類似の方法で及びカルノシン酸と同一の濃度範囲で添加することができる。醸造工程の初期に添加した場合, 十分な濃度が醸造工程の最後まで遂行されないかもしれず, したがって十分な量が完成した製品に移行されることを保証するために、十分なカルノソールが添加されねばならないか, 又は完成した麦芽飲料中に有効な濃度をもたらすために、さらにカルノソールを工程の後期で添加しなければならない。この最適化を、定期的な試験によって及びケースバイケースの原則に基づいて決定することができる。カルノソールは、上記キャリヤーにカルノシン酸よりも溶けにくい。カルノソールはカルボン酸基を有せず、したがってアルカリ金属カルボキシレート塩を形成しない。強塩基の場合, これは容易に酸化されるフェノキシレート塩を生じる。シソ科 ハーブエキス中の成分として添加した場合, カルノシン酸含有エキスに関して記載した醸造工程 での添加時期に関して同一の配慮が適用される。純粋形で、カルノソールはカルノシン酸よりも少なくとも1つ優れている。それはより安定であり、したがってより簡単に貯蔵される。
【0080】
カルノシン酸, カルノソール又はシソ科 ハーブエキス (ロズマリキノン,ロズマノール, エピ-ロズマノール, イソロズマノール, ロズマリジフェノール, 12-メトキシカルノシン酸, 及び カルノシン酸のエステル, たとえばカルノシン酸メチル及びカルノシン酸エチル)から得られる関連する化合物をビール又は麦芽飲料に添加する特に有利な方法は、ホップビター酸との混合物の形である。 シソ科ハーブフェノール性化合物又は合成化合物(単独又は混合物の形で)の溶液を, イソフムロン, ジヒドロ-イソフムロン, テトラヒドロ-イソフムロン, ヘキサヒドロ-イソフムロン, 又はそれらの混合物と、水, プロピレングリコール, エタノール, 又はそれらの混合物中で混合することができる。
【0081】
有効な泡増強剤 (たとえば 3,5-ジ-t-ブチルカテコール, 4,4’-イソプロピリデンビス-(2,6-ジメチルフェノール) 及び テトラヒドロパパベロリン ヒドロブロマイド)であると分かっている合成化合物を、溶液の形で添加することができる。これらの化合物を添加するために有用であるキャリヤーは、水, エタノール, プロピレングリコール 及び ベンジルアルコール, 又はそれらの混合物を含む。これらを純粋な形で(in neat form)添加することもできる。これらの化合物を醸造工程の種々の段階で添加することもでき、そして十分に高い濃度の有効化合物が完成醸造製品中に依然として存在する限り泡を増強する。
【0082】
醸造技術を実際の行う人に公知の種々の方法によって、泡増強調合物を添加することができる。これを技術上通常使用される計量システム、噴霧システム及び注入システムの使用によって添加することができる。これをかさ高い成分(bulk ingredient)として直接添加することもできる。調合物を工程の種々の段階で、たとえば 浸麦 (grain steeping), 湿式粉砕, 麦芽コンディショニング, マッシング, 麦汁濾過等々で使用される水に添加することができる。
ビール及び麦芽飲料中の泡崩壊
【0083】
泡崩壊を2つの異なる方法によって測定する。第一の方法は、制御された注入テスト下でグラスのトップから泡が2インチ崩壊するのにかかる時間を測定することを含む。このデータを表 1に示す。この表から、崩壊 時間はビールに依存するカルノソール又はカルノシン酸5 ppmの添加で20% - 95%増加されるのが分かる。 純粋 CA は、 コマーシャルピルスナー ビール 中で純粋 CNよりも僅かに良い効果を有し、そしてライトビール中で同等の能力を有するするように思われる (双方を5 ppm 濃度で評価した場合)。 CAのより高い濃度は、もっと大きな効果を生じる (表 1)。最後に, 泡品質 及び 安定性のより良好な増強は 、より薄いビールに対するより濃いビールの比較で観察する。泡安定性を測定する第二の方法は、 いわゆるNIBEM テストの使用を含む。これはJ. Inst. Brewing, 2003, 109 (4), 400-402に記載されているように業界標準試験である。 この試験からの結果を表 5に示す。
【0084】
純粋 CA 及びCAを含む特定のエキスを用いる実験の比較から, エキスがときどきより一層有効であって、泡崩壊の前により長い時間を提供することが分かる。 ベンジルアルコール エキスを含む調合物が特に有効であることが分かる。
ビール及び麦芽飲料中のカバーブレイク 時間
【0085】
カバーブレイク 時間 は、泡のトップを通して約50%の液体ビールを見ることができるのにかかる時間である。目覚しい結果がそのカバーブレイク 時間の結果を比較して観察される。 98%〜140%のこの増加は、コマーシャルピルスナー ビール 及び ライトビール中の純粋 CA Iに対して観察され, 一方 14% - 25% の増加はクリアーボトル輸入及びクリアーボトルビールで観察される。
【0086】
ベンジルアルコール中のCA エキスは、ライトビール中で純粋 CA に対して一層大きな改善を与える。
【0087】
CN はカバーブレイク 時間 をライトビール中で約149%, そしてコマーシャルピルスナー ビール 中で15%改善する。
ビール 及び 麦芽飲料中で付着, レーシング及び 盛り上がり結果
【0088】
CAをコマーシャルピルスナー ビール, クリアーボトル輸入, クリアーボトルビール, ライトラガー ビール, 及び ライトビールに添加した場合、CAは供給源に関係なく、コントロールに比べてより一層濃厚な付着を生じる。ライトラガー ビール, ライトビール 及びコマーシャルピルスナー ビールに対して見られるのと同じことがCNにも当てはまる。
ヘイジィ(やや濁っている状態) 形成結果
【0089】
ビール及び麦芽飲料中で, 添加物はヘイジィ形成の原因となる沈殿現象に寄与しないことが重要である。 ヘイジィは ほとんど麦芽飲料中で害となる性質とみなされる。
【0090】
Bamforth は、ビール泡にポリフェノール類が影響を与えるという報告の少なさに驚いていると論評した。というのはそれらの酸化生成物が蛋白質と架橋してヘイジィを形成することが知られているからであり, そして恐らく蛋白質と架橋して泡を形成する能力あるからである。Bamforthが言及しているポリフェノール類が本発明に含まれる極めて異なる構造を有するというこの点で規定されねばならない( 図 2参照) [Hop Chemistry: Homebrew Science”, Steve Parkes, Internet Reference : http://www.byo.com/departments/884.html; Hayes, P.J., Smyth, M.R., McMurrough, I. Analyst, September 1987, Vol 112, 1197-1204.; McMurrough, I., Madigan, D., Kelly, R.J, Smyth, M.R.. J. Am. Soc. Brew. Chem., 1996, 54(3), 141-148]。 Hayes, Smyth 及び McMurroughは、ビール中に見出されるポリフェノール性フラボノールが3つのカテゴリー: 簡単なフラボノール、たとえば (+)カテキン 及び (-) エピカテキン; 簡単なフラボノールの酸化重合から生じる高分子フラボノール; 及び 蛋白質と複合体を形成する複合フラボノールに分類されると報告している。ビール中に酸化したフラボノールが存在することは知られている。ビール中に見出される酸化したフラボノールの2つの例は、プロシアニジン B3 及び プロデルフィニジン B3であり、これらはカテキン及びガロカテキンの二量体構造である。 代表的なタンニン, 酸化されたフラボノール重合形と共にそれらの構造を、図 2に示す。
【0091】
ここでの問題は、この架橋が生じた場合, 蛋白質複合体はヘイジィを生じる溶液から沈殿することである。カルノシン酸 , カルノソール及びその他のシソ科ハーブ化合物 (ロズマリキノン,ロズマノール, エピ-ロズマノール, イソロズマノール, ロズマリジフェノール, 12-メトキシカルノシン酸, 及び カルノシン酸のエステル, たとえばカルノシン酸メチル及びカルノシン酸エチル)は 何らの物質も沈殿させないが, 驚くことに泡 を安定に保つために泡形成成分と相互に作用し、より長期間にわたって泡の崩壊を防止する。驚くことに, カルノシン酸又はカルノソール の添加は添加直後にヘイジィを形成しないばかりか, 熟成期間後ヘイジィ形成の一因にもならない。表 2に関して, 20 ppmのカルノシン酸又は20 ppmのロズマリン酸又は10 ppmのそれぞれロズマリン酸及びカルノシン酸のビールへの添加は, 40℃で14日間熟成した後でさえヘイジィ形成に不利な影響を与えないと結論づけることができる。同一の実験は 空気の存在下に行われ、 ロズマリン酸はヘイジィ形成にほとんど影響を与えないが, カルノシン酸は実際に改善を与えることが判明した。この挙動は Bamforth’s ポリフェノール類 と本発明の化合物との化学的違いを強調する。
図 2 ビール中の典型的なポリフェノール類の構造:カテキン, プロシアニジン B3 及び プロデルフィニジン B3及びタンニン。
[図2]

ビール及び麦芽飲料中で泡増強に対する構造/作用の関係
【0092】
表 3から、シリーズ (A, B, C, D, E, F)に関して, フェノール性基がヒンダードで、親油性であればあるほど, 化合物は泡増強剤及び安定剤としてますます有効であることが明白である。どうしてF が泡増強をもたらさず, 一方D が泡増強を行うのかあきらかでない。更に, G (ヒドロブロマイド塩) がなぜ作用するのか簡単に説明できない。その構造はロズマリン酸に似ているが、これはわれわれの測定では泡増強剤でない。化合物Gは、カルノシン酸, カルノソール, A 又はDに比べて、フェノールOHに隣接してより少ない親油性基を有する。さらに, 親油性基の欠如に関して, Gは泡増強効果を示す構造H, I 又はJ 及び E により一層似ている。オルト置換されたジヒドロキシフェノール構造に関して, ヒンダード 及び(又は) 親油性構造であればあるほどますます良好な泡増強能力を有するかのようにみえる。ジフェノール性構造、たとえばAに関して,ヒンダード 及び(又は) 親油性構造であればあるほどますます良好な泡安定剤及び増強剤であるようである。Gのような構造に関して, どの構造特徴が効果に関与するのか明らかでない。
【0093】
泡安定化性質を有する構造を予想することに困難性を示す別の例として, 3,5-ジメチルレソルシノール (L) はヒンダード カテコール及び ヒドロキノンの構造の点で類似するが, 泡増強剤でない。同一のことが4-tert-ブチルカテコール (M)に対してもいえる。2つのクマリンK 及び Nもまたレゾルシナール構造及びカテコール構造をそれぞれ有するが, どちらも全くヒンダードでなく、泡増強剤でもない。
【0094】
上記議論から明らかなことは、構造が泡増強剤になるかどうかを予想するのは極めて困難であることである。極めて類似する構造特徴を有する分子は、泡増強剤及び安定剤として極めて異なる有効性を有する。極めて親油性のジフェノール、たとえばFは 泡増強剤でなく, 一方A 及び Dは泡増強剤である。カルノシン酸, カルノソール, ロズマリキノン,ロズマノール, エピ-ロズマノール, イソロズマノール, ロズマリジフェノール, 12-メトキシカルノシン酸, カルノシン酸のエステル, たとえばカルノシン酸メチル及びカルノシン酸エチル, 及び化合物 A, D 及び Gが泡増強剤であるという偶然の発見は、例から明らかなように全く予期されなず、予想されなかったことである。
【0095】
この試みに基づいて重要であると思われるいくつかの構造要素は以下のとおりである。図 3で表わされる一般式カテコール構造中のR1 及び R4 は、かさ高い(bulky)基及び 好ましくは親油性基、たとえば分枝状アルキル基及び(又は)アリール基でなければばらばい。カルノソール及びカルノシン酸における場合のように、 図 3 中のカテコール構造のR2 及び R3も親油性でなければならない。
【0096】
一般式ヒンダード ジフェノールに対する図 3中のR1, R2, R3 及び R4 も親油性, かさ高い, 分枝状アルキル基又はアリール基でなければならない。R5 もR1, R2, R3 及び R4と同一の意味を有するのが好ましい。
図 3 泡増強に対するカテコール及びジフェノールの構造要素
[図3]


表 1 構造要素の作用としての泡増強
【表1】





【実施例】
【0097】
本発明を、以下の例によって更に詳述する。これらの例は本発明を説明することを意図し、本発明の範囲を限定するものではない。
例 1 カルノシン酸, カルノソール及びその他の添加物を用いるビール 泡増強
【0098】
純粋, 結晶性 (HPLC 99.9%) カルノシン酸の1% 溶液を、100 mgのCAを総容量10 mLの エタノールの溶解させて製造する。コマーシャルピルスナー ビール (その時点で2ヶ月たっている)をそれぞれ355 mL (12 オンス)ボトル2本に178 μL添加することによって 及び 次のボトル添加処理を用いて5 ppm カルノシン酸で添加する:
【0099】
ボトル添加は次のように行われる:
1.ビール1本を開け, 口を激しくたたき、泡立ちを誘い(“ホビング(fobbing)”と呼ぶ), ついで栓をする。ホビングは空気を排除する。この瓶を回転させ、 逆さにする。このサンプルを “無添加”に指定する。
2.ビール瓶を開け、カルノシン酸溶液のアリコートを、ビール中に所望の総濃度を生じる量で添加する。ついで瓶を上述のようにホビングし、栓をする。ついで瓶を回転させ、 逆さにする。このサンプルを、添加及び濃度を反映させて適切に指定する。
3.瓶を0-2°F に最低 4時間凍らない程度に冷却する。
【0100】
瓶1本あたり355 μLで添加して別の瓶に10 ppmで加えらる。 2本の瓶の栓を開け, ホビングし、コントロールとして無添加で栓をする。
【0101】
ビールをグラスに注入する標準化された方法を用いて及び泡が最初にグラスからあふれ出るそのタイミングでスタートして、グラスの真中でグラスのトップから2インチ崩壊する泡の時間を測定する。ビールが崩壊 (“付着(クリング)” 又は “レーシング”)したとき、グラスの側面に付着する泡の密度及び量, 及び 2 インチマークの下方に下がった後にビールのトップをカバーの密度及び量にも注目した。注入を特別にデザインされた装置を用いて行う。この装置は4本の瓶 に同時に正確に同じ高さから注ぎ、そしてあらゆる注入は制御されないノイズファクターを除ためにコントロールを包む。その結果は、崩壊時間及び付着で顕著な改善を示す.
【0102】
最初の試みが成功した後、実験を種々の供給源からのカルノシン酸 及び カルノソールを用いて繰り返す。純粋化合物及びこれらを含むエキスを使用して、液状添加物を製造する。種々のビールも試す。 すべて本発明の標準法によって添加される。
表 2 泡増強に対するビールの種類及びカルノシン酸 (CA) 及び カルノソール (CN)の濃度。その他に明記しない限り供給源はローズマリーに由来する。
【表2】



a) 泡崩壊は、グラスの口から2インチ泡が崩壊するのにかかる時間 である。 b) カバーブレイク時間は、泡のトップを通して約50%の液体ビールを見ることができるのにかかる時間である。 c)付着又はレーシングは 泡崩壊の後にグラスの側面にくっつく泡である。 d) すべてのパーセントは2又は3つの測定の平均結果である。
例 2 よくホップが効いているビールのヘイジィ(やや濁っている状態)に対するカルノシン酸 及び ロズマリン酸の影響。
【0103】
ロズマリン酸及び カルノシン酸 (2% w/v) の溶液を、精製された添加物 (500 mg)を25 mLの 100% エタノールに溶解させることによって個々に調製する。 使用されるボトル添加方法は、例 1に記載した方法と同一である。次のサンプルを調製した:
1.20 ppm カルノシン酸
2.20 ppm カルノシン酸 +空気
3.20 ppm ロズマリン酸
4.20 ppm ロズマリン酸+空気
5.10 ppm カルノシン酸 + 10 ppm ロズマリン酸
6.10 ppm カルノシン酸 + 10 ppm ロズマリン酸+ 空気
7.無添加+空気
8.無添加
【0104】
処理 1〜8 を40℃ で設定された温度調節される部屋で貯蔵し、1℃で維持する。
0 時間, 3 日, 7 日及び 14日間隔で, サンプルを回収し、ヘイジィをヘイジィメーター、 Type UKM1d, Radiometer, コペンハーゲンで測定し, これによってASBC ホルマジン単位でヘイジィ数が通知される。一列に、消すことができないマークのある、清潔, 乾燥, 清澄なフリントボトルをそれぞれの測定に使用する。ビール サンプルを測定する前に、装置を蒸留水で0とする。
【0105】
この研究の結果を以下の表3 及び 4にまとめて示す。
表 3. 空気の添加なしでのビール ヘイジィ
【表3】

表 4. 空気の添加のあるビール ヘイジィ
【表4】

例 3 NIBEM法を用いて、4 ppm のカルノシン酸で処理した瓶ビールの泡改善の測定。
【0106】
地元の小売店で購入されたビールを用いて, 3つの異なるメーカーの瓶ビールそれぞれ4本を、何らかの処理する前に2 〜3 ℃に冷却する。各メーカーのうちの瓶2本をコントロールを調製するために使用する。これらの栓を開け, ホビングして空気を排除し、泡が瓶の口に達したときに栓をする。 2本の瓶を処理したサンプルを調製のために使用する。これらの栓を開け、ビール中の最終カルノシン酸濃度 4 ppmを生じる142 μLの1% カルノシン酸溶液(エタノール中)で処理する。コントロールのように, 処理 サンプルをホビングし、ついで栓をする。処理 サンプルも、コントロールも60℃で10 分間低温滅菌し, ついで冷却し、 NIBEM分析に提供されるまで2〜3℃で貯蔵する。各コントロール及び処理サンプルを、NIBEM-T 泡 安定性テスター(製造元Haffman’s)に関するマニュアル中に概略された標準法を用いて分析する。その結果を表 5に示す。
表 5 NIBEM-T 泡 安定性測定
【表5】

【0107】
NIBEM-T 泡安定性テスターは、保護された、温度-監視環境中で10, 20 及び 30 mmの距離に泡が崩壊する速度を測定する。 これはEuropean Brewing Congressによって容認された方法である [J. Inst. Brewing, 2003, 109 (4), 400-402.]。このテストによって、3つの処理したビールの泡安定性は、NIBEM崩壊時間によって測定されるようにおおよそ19-32%まで改善されることが示される。
例 4 醸造工程においてカルノシン酸で処理したビール中の泡改善の測定。
【0108】
ビールを下記の商業的試作品醸造所(a commercial pilot brewery)で醸造した。
【0109】
マッシュ イン(Mash- in)
3.85 Kg のブレイス(Breiss) 2条ペール麦芽を50-60 mLの散水で湿らせ、0.025 インチに設定された2本のローラーの間を通って粉砕する。粉砕された穀粒を、16 L の濾過された醸造水に130°Fで添加する。 pHを5.1 〜5.4に 75% リン酸で調整する。
【0110】
マッシュ プログラム
第一泡増強調合物をマッシュインで添加する。泡増強調合物添加(コントロールも含めて)表 6にまとめて示す。10 分保った後, マッシュを11 分で1分あたり2度で145 °F に上げる(ramp)。マッシュを145 °F で45 分間保つ。マッシュを5 分で1分あたり2度で155 °F に上げる(ramp)。マッシュを155 °Fで30 分間攪拌する。30 分保った後, 混合温度を7 分で1分あたり2度で170 °Fに上げ、ついで170 °Fで10 分間保つ。
表 13 処理添加の要約
【表13】

【0111】
麦汁濾過(Wort Straining)
マッシュを濾過樽(Lauter Tun)に滴下し、ついで30 分間そのまま置く。穀粒が移動したときに、濾過液を30 分間又は流出物が清澄になるまで“前処理する(Vorlauffed)” (麦汁を底から取り出し、噴霧形で頂部に再循環させる)。清澄になったときに, 液を醸造釜の底に150 °Fでポンプ送入する。 一方, 20 L のスパージ水を170 °Fに前加熱し、pH 5.1 〜5.4に75% リン酸で調整する。穀粒が最初の麦汁の表面を通して透けて見える前に、この “スパージ水” をグレインベッドの頂部を介して噴霧する。第二泡増強調合物を、噴霧前にスパージ水に添加する。すべての添加を表7にまとめて示す。最後の流出を屈折率で測定される3 °Brixで終了する。 麦芽カスをアッセイのためにサンプリングし、 廃棄する。
【0112】
釜煮沸
約11-12 Lの濾過された醸造水を醸造釜に添加して, 比重 5.5 〜6.5 °Brixにする。醸造釜を90 分間蓋をあけて沸騰させる。沸騰の開始時に、0.2g のホップ由来の非酸性樹脂コード及び2.6gのイソフムロンを添加する。第三泡増強調合物を醸造釜に釜煮沸の開始時に添加する。すべての添加を表 7にまとめて示す。釜煮沸の終了前の20分間, 1.6 Kg の液体醸造所シロップ 60/44 IXを煮沸麦汁に添加する。釜を約180 °Fに1時間そのまま冷却させる。麦汁のBrixをこの時点ではかり、 10.8 〜11.2の許容し得る範囲である。
【0113】
麦汁冷却
MasterFlex ぜん動ポンプを用いて、麦汁を熱交換器を経てポンプ送入し、瓶詰めされた医療グレード空気によってエアレーションしながら, 45-50°Fに冷却し、Gelman 0.2 um フィルターによって濾過する。麦汁を釜の底の上方に取り除き、ホットトルーブ(粕)を取るのを避ける。
【0114】
醗酵及び熟成
Wyeast 酵母株 2007 (300 mL)を、醗酵器中で酸素注入された麦芽液に添加する。第一 醗酵温度は50°Brixである。 醗酵中に、ビールをpH 及び比重示度のために毎日サンプリングする。醗酵マッシュを水浴中に 50°Fで 5-7 日間又は比重が3.3-3.6 °Brixに下がるまで放置する。ついで醗酵器をジアセチル残部のために3日間60°Brix水浴に移動させる。ついでビールを 滅菌水で満たされ、消毒されたタンクに移す。タンクに移す前に、ミニ樽中に酸素が残っていないことを保証するためにタンク内部をCO2 で吹き飛ばす。熟成のために、ミニ樽を45 °Fで7 日間貯蔵する。ついでミニ樽を32°Fで熟成の10 日間冷却貯蔵庫に移動させる。
【0115】
仕上げ
冷却貯蔵の後、ビールをCuno filter housing 及び Cuno 70-H four disc filterで濾過して、滅菌水で満たされ、タンク内部をCO2 で吹き飛ばされ、消毒されたタンクに入れる。この “ブライトビール” を12 psiで25 分間炭酸を注入し、ついで38°F でCO2 ヘッドスペースをもって貯蔵する。
【0116】
この実験の結果を表 7に示す。NIBEM 方法を例 3の概要のように行う。 カルノシン酸をマッシュインで及び スパージ水で添加した場合、泡増強に有利な作用が完成したビール中に認められる。 驚くことに, 別の有益な効果が見られる。 ビールを強制熟成 (32 ℃で 7 日間加熱)した場合, コントロールビールは泡及び泡安定性で劇的な減少を示す。泡増強調合物で処理した熟成 ビール (CA/RA)のうちの1つは、その改善された泡及び改善された泡安定性を極めて大きい範囲で保持する。この例は、醸造工程で添加された泡増強調合物のタイミング及び量を最適化するのに重要であることを示す。 明らかに, RA/CAの場合(カルノシン酸 が煮沸釜ボイルの開始時で比較的に低い量で添加される場合)、完成したビール中に生き残る泡増強調合物は不十分である。
表 7 醸造工程中に添加され、また熟成ビール又は加熱処理したビールの泡に対する処理の保存作用を示す泡増強処理の効果。 NIBEM 結果は秒単位である。
【表7】

例 5 脂肪酸を用いて泡外観を調節
【0117】
カルノシン酸の1% 溶液を、正確に25 mLの エタノールに250 mg の カルノシン酸 を溶解させることによって調製する。 純粋ステアリン酸の1%溶液も調製する。この例の実験のいくつで, ジヒドロ-イソフムロン (Rho)の1% 溶液も添加して、さらにホップ苦味を与える (表 8参照)。すべての処理サンプルを、瓶の栓を開け, 泡増強調合物又は苦味調合物の添加, ホビングして空気を排除し, ついで栓をすることによって調製する。コントロール サンプルの栓を開け, ホビングし、栓をする。すべての実験で使用されるビールは、市販のライトアメリカンラガーである。泡注入を、すべてのビールが同一方法で注がれることを保証する装置によってビール温度約10℃で行う。コントロール及び処理サンプルを無作為に注入 装置上に置く。
表 8 カルノシン酸 及びステアリン酸が添加されたビールに対する泡の結果
【表8】

例6 ルートビール ソフトドリンクの泡を増強させるためにカルノシン酸の使用。
【0118】
4つの異なる市販のルートビールを地場の市場から購入する。それぞれルートビール ブランンドに関して, 処理サンプル及び コントロール サンプルを調製する。コントロール サンプル(それぞれ355 mLのルートビールからなる)を開栓し, ホビングし、再び栓をする。処理 サンプル( また 355 mLの ルートビールからなる)を瓶の栓を開け, 355 mL のカルノシン酸溶液 (25 mLの エタノール中に250 mg の 純粋化合物)を添加し,ホビングし、再び栓をして調製する。コントロール瓶及び処理瓶のそれぞれを栓した後に逆さにし、ついで判定前の1時間35°Fで冷蔵庫中に置く。泡注入をタイミングを確実にするために 注入機を用いて機械的に行い、その他のファクターはすべての処理に対して同一である。コントロールを処理したサンプルの側面に沿って注ぐ。ルートビールを50 mLインクリメントで目盛りがつけられた三角1Lビーカーに注ぎいれる。 気泡容積 を0 時間 (注入直後), 1 分で 及び 2 分で判定する。コントロール及び 処理サンプルを2回実施し、平均データを表 9に示す。
表 9 添加されたカルノシン酸を有するルートビールの泡 (mL)の総容量。
【表9】

【0119】
泡外観.
ルートビール 1 コントロール:泡は細かくあわ立って, 均一コンシステンシーを有する。
ルートビール 1 処理 : 泡は細かく泡だって,均一コンシステンシーを有する。
ルートビール 2 コントロール:泡は細かく泡だって,均一コンシステンシーを有する。
ルートビール 2 処理:泡は細かく泡だって,均一コンシステンシーを有する。
ルートビール 3 コントロール:泡 は粗く、大きい不規則なバブルを有する。
ルートビール 3 処理 - 泡は細かく泡だって,さらに均一コンシステンシーを有する。
ルートビール 4 コントロール:泡 は粗く、大きい不規則なバブルを有する。
ルートビール 4 処理 :泡は細かく泡だって,さらに均一コンシステンシーを有する。
【0120】
4本の市販ルートビールを選び、製品系列を判定することができる。いくつかの製造業者はユッカ根由来のサポニンを使用して、泡を増強させる。4つの処理した製品のうち、それらのうちの2つ: 3 及び 4は増強剤を添加したように思われる。すべての場合、カルノシン酸添加によって泡の極めて顕著な増強がある。サポニン不含ルートビール (1 & 2)において, 泡 は1分たらずで消えた。カルノシン酸をサポニン不含製品に添加することによって、2分後にまだ実際の泡があった。サポニンを含むと思われる2つの製品で, コントロール泡は不規則な大きなバブルを有する。カルノシン酸の添加によって, 泡はより細かく、均一であった。
例 7 コーラフレーバーソフトドリンクの泡を増強させるためにカルノシン酸の使用。
【0121】
24-オンスボトルの有名ブランドのコーラフレーバーソフトドリンクを開栓し, 最終濃度10 ppmで生じたカルノシン酸エタノ−ル性溶液で処理し、ホビングし、ついで再び封印する。コントロールを開栓し, ホビングし、ついで 別の瓶に栓をして調製する。瓶の注ぎを調節する実験を行い、処理の泡への影響を測定する。その結果を表 10に示す。
表 10 コーラフレーバーソフトドリンクの泡へのカルノシン酸の影響。
【表10】

カルノシン酸は、コーラフレーバー飲料中で気泡容積 及び 安定性に劇的に影響を及ぼす。レモンライムフレーバー ソフトドリンクを用いる同一実験は、泡量又は安定性に何ら影響を示さない。
例 8 ホイップされた卵白に対するカルノシン酸及びカルノソールの泡増強作用の実証。
【0122】
新たに黄身から分離された約400g の 卵白を大きいボウルにいれ、手動で混合し、十分に均一な混合物を製造する。それぞれのサンプルに対して、 100 g の 卵白を計量し、適当な添加物と共に添加する。コントロールサンプルを、0.50 mLの 95% エタノールを卵白に添加して製造する。 処理 サンプル Aを、 95% エタノール中にカルノシン酸を有する 1% 溶液0.50mLを添加して製造する。 処理 サンプル Bを95% エタノール中にカルノソールを有する 1% 溶液0.50mLを添加して製造する。 サンプルを金属ボウル中で調製し、2500 ワット, 5 スピード, サンビームハンドミキサー(Sunbeam hand mixer), モデル#2480を用いて混合する。サンプルを個々に スピード#3で1分間, すぐに更に何分かスピード#5で混合し、ついで 1000 mL のプラスチック製 医薬用シリンダーに直接注ぎ入れる。
【0123】
製品に添加されたカルノシン酸及びカルノソールの泡はより一層均一であり、そして、コントロールの泡よりも小さい泡を有し、処理したサンプルからの泡の最初の容量はコントロールの容量よりも大きい。
【0124】
時間がたつと泡は、容器の底に液体を生じながら分解する。25 分間放置した後, コントロール泡は15-20 mLの 液体になり, 処理 A (50 ppm カルノシン酸) は < 5 mLの 液体になり、そして処理 B (50 ppmのカルノソール)の泡は液体を生じなかった。カルノシン酸又はカルノソールを用いる卵白の処理は、これらからなる泡を明らかに安定化し、そしてそれらの外観に有利な影響を与える。
例 9 カプチーノの泡を増強させるためにシソ科ハーブ成分の使用。
【0125】
5 ppmのカルノシン酸を含んで作られたミルクを、市販に入手可能なカプチーノメーカーを用いてカプチーノを作る成分として使用する。得られた飲料中の泡(フロス(froth))は、未処理ミルクを用いて作られたカプチーノに比べてより長く継続し、優れた容量, より小さい泡サイズ及びよりクリーミーな口当たりを有する。カルノシン酸をカルノソールに変えた場合、カルノシン酸をカルノソールに変えた場合、より小さい効果が得られる。カルノソールとカルノシン酸の混合物を使用する場合、より小さい効果が得られる。カルノシン酸又はカルノソールのより高い濃度を使用する場合、より一層顕著な効果が得られる。 良好な効果は、最大100 ppmの有効成分濃度で得られる。カルノシン酸又はカルノソールは、精製された化合物の形で又は有効成分が >25%の濃度で存在する精製された(refined )シソ科 ハーブエキスの形であることができる。 これらは適当な食品用キャリヤー, たとえばプロピレングリコール, エタノール, ベンジルアルコール, グリセリン, モノ及び(又は) ジグリセリド, レシチン等溶液又は懸濁液の形で非常に容易に添加される。
例 10 ホットチョコレート飲料の泡を増強させるためにシソ科ハーブ成分の使用。
【0126】
5 ppmのカルノシン酸を含んで作られたミルクを、市販に入手可能なホットチョコレートディスペンサーを用いてホットチョコレートを作る成分として使用する。得られた飲料中の泡(フロス(froth))は、未処理ミルクを用いて作られたホットチョコレートに比べてより長く継続し、優れた容量, より小さい泡サイズ及びよりクリーミーな口当たりを有する。カルノシン酸をカルノソールに変えた場合、カルノシン酸をカルノソールに変えた場合、より小さい効果が得られる。カルノソールとカルノシン酸の混合物を使用する場合、より小さい効果が得られる。カルノシン酸又はカルノソールのより高い濃度を使用する場合、より一層顕著な効果が得られる。 良好な効果は、最大100 ppmの有効成分濃度で得られる。 カルノシン酸又はカルノソールは、精製された化合物の形で又は有効成分が >25%の濃度で存在する精製された(refined )シソ科 ハーブエキスの形であることができる。これらは適当な食品用キャリヤー, たとえばプロピレングリコール, エタノール, ベンジルアルコール, グリセリン, モノ及び(又は) ジグリセリド, レシチン等溶液又は懸濁液の形で非常に容易に添加される。
例 11 レモン-ライムフレーバー炭酸飲料中で泡を増加させる試み。
【0127】
例 7を市販に入手できるレモン-ライムフレーバー炭酸ソフトドリンクを用いて繰り返した場合,泡への増強効果は観察されなかつた。
【0128】
本発明は本明細書に記載された具体的な実施態様に限定されない。実際に,本明細書に記載された実施態様に加えて本発明の種々の変更は、前記記載から当業者に明らかとなる。
【0129】
すべての特許, 特許出願, 刊行物, テスト方法, 文献, 及びここに引用されたその他の文献を本願に引用して援用する。
【0130】
参考文献
Bryce, J.H., Cooper, D.J., Stewart, G.G. “The Potential to Improve Foam Stability of High Gravity Brewed Beer” European Brewery Convention on Beer Foam Quality, Monograph 27, October 1998, pages 141-153.
2Bamforth, Charles W. “Bringing Matters to a Head: The Status of Research on Beer Foam” European Brewery Convention on Beer Foam Quality, Monograph 27, October 1998, pages 10-23.
3Wilson, R.J.H., Roberts, T.R., Smith, R.J., Bradley, L.L. European Brewery Convention on Beer Foam Quality, Monograph 27, October 1998, pages 188-207.
4Slack, P.T., Bamforth, C.W. Journal of the Institute of Brewing, 1983, 89, 397-401.
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8Clark, D.C., Wilde, P.J., Marion, D. Journal of the Institute of Brewing, 1994, 100, 23-25.
9Lusk, L.T., Goldstein, H., Ryder, D. Journal of the American Society of Brewing Chemists, 1995, 53, 93-100.
10Bamforth, C.W., Canterranne, E., Chandley, P. , Onishi, A. Proceedings of the European Brewery Convention Congress, Oslo, 1993, 331-340.
11Sarker, D.K., Wilde, P.J. and Clark, D.C. Cereal Chemistry, 1994, 75, 493-499.
12Simpson, W.J , Hughes, P.S., Cerevisiae & Biotechnology, 1994, 19, 39-44.
13Goldstein, H., Ting, P. Proceedings of the European Brewery Convention Symposium on Hops, 1994, 141-164.
14Forster, A., Beck, B. Schmidt, R. Proceedings of the 24th Convention of the Institute of Brewing, Asia Pacific Section, 1996, 243.
15Sarker, D.K., Wilde, P.J., Clark, D.C. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 1995, 43, 295-300.
16Hop Chemistry:Homebrew Science”, Steve Parkes, Internet Reference: http://www.byo.com/departments/884.html
17Hayes, P.J., Smyth, M.R., McMurrough, I. Analyst, September 1987, Vol 112, 1197-1204.
18McMurrough, I., Madigan, D., Kelly, R.J, Smyth, M.R.. J.Am.Soc.Brew.Chem., 1996, 54(3), 141-148.
19Internet Source: http://www.micro-ox.com/chem_tan.htm
20Deprez, S. Brezillon, C., Rabot, S., Philippe, C., Mila, I., Lapierre, C., Scalbert, A. Journal of Nutrition, 2000, 130, 2733-2738.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料の泡の性質を改善する方法であって、シソ科ハーブ調合物及び場合により、10〜24個の炭素原子を有する脂肪酸又はそれらの混合物を含み, 場合により食品用キャリヤー中で調製された泡増強調合物の泡増強量を、直接飲料に又はその製造のある段階で添加する、上記方法。
【請求項2】
泡増強が、遅延された泡崩壊, 遅延されたカバーブレイク(cover break) 及び(又は)ヘビーホームクリング(heavy foam cling)を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
泡増強調合物が飲料ヘイジング(hazing)をもたらさない、請求項1記載の方法。
【請求項4】
泡増強調合物がフレーバー閾値未満で供給される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
シソ科 ハーブ調合物が、粗製 シソ科ハーブエキス, カルノシン酸, カルノソール, ロズマリキノン,ロズマノール, エピ-ロズマノール, イソロズマノール, ロズマリジフェノール, 12-メトキシカルノシン酸, カルノシン酸メチル及びカルノシン酸エチルを包含するカルノシン酸のエステル, 又はそれらの混合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
飲料が、醗酵した麦芽飲料, ビール, エール, ドライビール, ニアビール, ライトビール, 低アルコールビール, 低カロリービール, ポーター, ボックビール, スタウト, 麦芽酒, ノン-アルコール麦芽飲料, アルコールが除かれたビール, カプチーノ, フレーバーコーヒー, ティー, ホットチョコレート及び炭酸ソフトドリンクから選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
飲料が麦芽飲料又はビールである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
シソ科 ハーブ調合物をつぎの工程:
- 麦芽製造工程の前,
- 麦芽製造工程の間,
- 焙燥工程の前,
- 焙燥工程の間,
- マッシング工程の前,
- マッシング工程の間,
- 麦汁濾過工程の前,
- 麦汁濾過工程の間,
- 麦汁煮沸工程の前,
- 麦汁煮沸工程の間,
- 醗酵の前,
- 醗酵の間,
- 低温殺菌の前,
- 低温殺菌の間,
- 容器詰の前 及び(又は)
- 容器詰の間
から選ばれる、その製造工程のうちの1つ以上の段階で添加する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
シソ科ハーブ調合物がカルノシン酸を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
カルノシン酸の濃度が飲料中で0.5 〜100 ppmである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
シソ科ハーブ調合物がカルノソールを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
カルノソールの濃度が飲料中で0.5〜100 ppm である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
シソ科 ハーブ調合物がカルノシン酸とカルノソールの混合物である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
カルノシン酸とカルノソールの混合物の濃度が飲料中で0.5〜100 ppmである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
泡増強調合物が更にホップエキス又はその誘導体を含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
泡増強調合物が更にホップ油、又はホップ油又はその誘導体の混合物を含む、
請求項15記載の方法。
【請求項17】
泡増強調合物が更にホップエキス 及びホップ油又はホップ油の混合物を含む、請求項15記載の方法。
【請求項18】
泡増強調合物がカルノシン酸を含む、請求項15記載の方法。
【請求項19】
泡増強調合物がカルノソールを含む、請求項15記載の方法。
【請求項20】
泡増強調合物がカルノシン酸とカルノソールの混合物を含む、請求項15記載の方法。
【請求項21】
ホップエキスがイソフムロン, ジヒドロ-イソフムロン, テトラヒドロ-イソフムロン, ヘキサヒドロ-イソフムロン 又はそれらの混合物を含む、請求項15記載の方法。
【請求項22】
シソ科 ハーブ調合物が、プロピレングリコール, エタノール, 水, 脂肪酸のモノグリセライド, 脂肪酸のジグリセライド又はグリセリン, 又はそれらの混合物を含む食品用キャリヤー中で調製される、請求項1記載の方法。
【請求項23】
シソ科ハーブ調合物が0.25重量%〜 50重量%の濃度範囲にある、請求項22記載の方法。
【請求項24】
シソ科 ハーブ調合物が 0.5重量%〜20重量%の濃度範囲にある、請求項22記載の方法。
【請求項25】
2,2’,6,6’-テトラメチルビスフェノール-A,
3,5-ジ-tert-ブチルカテコール,
テトラヒドロパパベロリン ヒドロブロマイドから選ばれた化合物の泡増強量, 及び 場合により10〜24個の炭素原子を有する脂肪酸 又はそれらの混合物を直接飲料に又はその製造のある段階で添加することからなる、飲料の泡の性質を改善する方法。

【公表番号】特表2007−534301(P2007−534301A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526336(P2006−526336)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/029674
【国際公開番号】WO2005/028610
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(506083257)カラマズー・ホールディングス・インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】