説明

飲料を調製するためのカプセル、装置及び方法,並びにそのカプセルを製造する方法

【課題】飲料の調製用の改良されたカプセルを提供すること、具体的には抽出圧力の低下による飲料の品質劣化の問題点を少なくとも減らすことである。
【解決手段】抽出可能な製品、例えば焙煎し挽かれたコーヒーを用いて、摂取に適した所定量の飲料を調製するカプセル(2)であって、外周の第一壁(14)、該外周の第一壁を第1の端で閉じている第二壁(16)、該第二壁の反対側の第2の、開いた端で該外周の第一壁を閉じており、カプセルから調製した飲料を排出するように配置された穿孔された及び/又は多孔質の第三壁(20)を有し、ここで、該第一壁、第二壁及び第三壁は、抽出可能な製品を備える内部空間を取り囲んでおり、ここで、該カプセルの該内部空間内の該抽出可能な製品は、少なくとも部分的にコンパクト化されている。さらに、本発明はそのようなカプセルを製造する方法、飲料を調製するそのようなカプセルを備えたシステム、および飲料を調製する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽出可能なまたは水溶性の製品、例えば焙煎し挽かれたコーヒーを用いて摂取するのに適した所定量の飲料を調製するためのカプセルに関しており、該カプセルは、外周の第一壁と、該外周の第一壁を第1の端で閉じる第二壁と、および該外周の第一壁を該第二壁と反対側の第2の、開いた端で閉じている、カプセルから調製した飲料を流すために配置されている穿孔された及び/又は多孔質の第三壁、を備えており、該第一、第二及び第三壁は抽出可能な製品を備える内部空間を囲んでいる。
【背景技術】
【0002】
そのようなカプセルはそれ自体知られていて、飲料を調製する装置に使用できる。それらのカプセルは、使用に便利でもあり、再現可能な抽出状態をもたらし、一定品質の1杯のコーヒーを簡単に調製できるようにする。既知のカプセルは開いたカプセルでありうるが、外周の壁および調製した飲料をカプセルから流すのに適した出口領域を備えている。このカプセルの内部空間に、或る量の抽出可能な製品、例えば焙煎し挽かれたコーヒーが、例えば内部空間の容積より少ない量のコーヒーを供給することによって入れられる。そのようなカプセルは飲料作成装置に使用でき、該装置内では、カプセル内の抽出可能な製品と作用させるために、そしてカプセルからの飲料を装置外からコーヒーカップのような容器に流すために、加圧された液体がカプセルに入る。
【0003】
開いた出口領域を有しかつ焙煎し挽かれたコーヒーが緩く容れられた既知のカプセルを使用すると、カプセルに供給された水はカプセルの中を早く通過し、カプセル内部に生じる圧力が所望の圧力より小さくなり、そのため比較的低い抽出圧力でコーヒーを抽出することになる。このことは飲料の調製工程が制御されないものとなり、調製した飲料に悪影響を与えることになるであろう。特に、コーヒーの質が劣ることになるが、それは、例えば低い抽出圧力のためにコーヒーは薄くなるであろうし、またはCOは泡を作るのに重要であるが、低い抽出圧力で抽出するとコーヒー飲料のCOの含有量がより低いために、あまり良くない泡層が生じるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、飲料の調製のために改良されたカプセルを提供することであり、より具体的には少なくとも上記の問題を減らすことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
さらに、本発明の第一の局面に従うと、上記した種類のカプセルが提供されるときには、該カプセルの内部空間内の抽出可能な製品は少なくとも部分的にコンパクト化(圧縮成形)されている。
【0006】
カプセル内の抽出可能な製品を圧縮することによって、焙煎し挽かれたコーヒーは交換可能なカプセルの内部空間の壁に対して押し付けられ、それによって、カプセルの夫々の壁に沿う優先的な流体流路が発生するのを防止する。このことは、外周側壁が下を向きかつ出口フィルタが横向きにされるように、カプセルを装置内に配置しなければならない場合にも有利になりうる。コンパクト化されたコーヒーを内部に、またカプセルの回転された位置に有するカプセルを用意することによって、コーヒーは出口フィルタ全体に隣接して配置された状態に留まり、そのため、優先的な流体流路を防ぐことになる。その結果、供給された流体、例えば水は、カプセルの位置に関係なく、入口領域からコーヒー床を通ってカプセルの出口領域に向けられ、これにより制御された飲料の調製が行える。それ故に、コーヒーを圧縮することによって、流体流の速度は交換可能なカプセルの入口領域と出口領域との間で制御することができる。さらに、コーヒーの出口領域と共にそのような圧縮されたコーヒー床は、飲料の調製の間カプセル内での所望の流量制限をもたらす。このことは、カプセルの内部空間内により高い抽出圧力が生じることを可能とし、それによりカプセル内により高い抽出圧力を生じさせる。例えば、所望の濃さの且つ高いCO含有量のコーヒー飲料、これは泡層を有した上質のコーヒー飲料をもたらす、を得ることができるほどである。
【0007】
好ましくは、抽出可能な製品は、焙煎し挽かれたコーヒー、例えば1人前の飲料、好ましくはカップ1杯の飲料、例えば調製した飲料の30〜200ml、を調製するために適当な量を含んでいる。カプセルは、従って、4.0〜8.0gまたは4.5〜8g、好ましくは5.0〜6.5g、より好ましくは約5.2g±0.15g、さらに好ましくは5.3g±0.2gの焙煎し挽かれたコーヒーを含んでいる。例えば、約5.3gを含むカプセルは1杯のエスプレッソコーヒーを調製するのに用いることができ、さらに、約6.0g±0.15gを含むカプセルは、コーヒー・ルンゴのカップの調製に適しうる。勿論、4.0〜8.0gの間の違った量のコーヒーを含んでいるカプセルは、別の種類のコーヒーを調製するために使われうる。交換可能なカプセルは、従って、1人前のパックである。それ故に、このカプセルは、高圧で所定の量の湯をカプセルに供給することによって所定量のコーヒーを調製するのに適している。前述した量のコーヒーを含むカプセルは、好ましい量の泡、コーヒー出発物質から抽出された所望量の可溶性の乾燥物質を有するコーヒー飲料を提供する。調製された約40mlの飲料の上の、好ましい量の泡は望ましくは少なくとも5mlの泡、あるいはそれ以上、例えば9mlの泡であることに注意されたい。さらに、カプセルは、コーヒー床全体において流量制限が形成されるのを妨げるのに十分なゆるやかな粒子分布を有しており、望ましくない長い飲料の調製時間および飲料中に含まれる大量のコーヒー・オイルを抑える。
【0008】
本発明の別の詳細においては、カプセルの内部空間は、好ましくは、約10〜14ml、好ましくは11.5〜12.5ml、より好ましくは約11.8mlの容積を有する。
【0009】
内部空間全体が、抽出可能な製品、例えば焙煎し挽かれたコーヒーで占められていることは有利である。それ故に、挽かれたコーヒーの整合した密度が使われるときに、最適な利用はカプセルの内部空間の粒子でなされうる。このことはさらに、流体がカプセルを通して流れるときに、抽出可能な製品は内部空間内で全く変移できないので、優先的な流路が形成されないという利点をもたらす。さらに、全内部空間がコーヒーで占められるので、飲料を調製後、コーヒーと夫々の側壁との間のカプセル内に水が残らない。従って、カプセルから漏れる水のために装置が汚れるリスクを最小にして、カプセルを装置から取り外すことができる。
【0010】
本発明の別の詳細によれば、焙煎し挽かれたコーヒーは、カプセルの内部空間内の圧縮されたコーヒーがほぼ均質な密度を有するように圧縮されるならば有利であることが、本出願人によって分かった。使用中に、カプセル内部のそのような均質なコーヒーの粒子は再分布されて、第二壁付近、従ってカプセルの入口領域のコーヒー床の層を比較的にゆるくさせ、そして第三壁付近、従ってカプセルの出口領域のコーヒー床の層を比較的に圧縮する。出口フィルタと共にそのようなコンパクト化されたコーヒー床の層は、所望の圧力降下と共にカプセルのフィルタ能力をもたらす。従って、コンパクト化されたコーヒー床の層と出口フィルタとは一緒に、カプセルからの調製したコーヒー飲料の流出を遅らせる。
【0011】
カプセルがコーヒーで満たされる前に、例えば、焙煎し挽かれたコーヒーの適切な流れが加圧下のダイヤフラムを通過するのを許容することによって、コーヒーは密度を高められうることが理解されよう。
【0012】
本発明の別の実施態様によると、もし焙煎し挽かれたコーヒーが以下に示す重量での粒径分布を備えていると、フィルタ能力はさらに改善されうる。該分布の10パーセンタイル値(第10百分位数、10百分位点などともいう)は、20〜60μm、好ましくは40μm未満(例えば33〜37μm)の粒径を有し、該分布の50パーセンタイル値は370〜470μm(好ましくは370〜570μm)、好ましくは490μm未満の粒径を有し、該分布の90パーセンタイル値は600〜800μm、好ましくは700μm未満の粒径を有している。そのようなカプセル内の焙煎し挽かれたコーヒーの粒径分布は、水でコーヒーに圧力をかけると生じるコーヒー床の崩壊を防ぐ。コーヒーの圧縮によって、比較的小さな粒子は、比較的大きな粒子によって取り囲まれ、比較的小さな粒子は、飲料の調製前には、出口フィルタの方へ移動することができない。カプセルの内部空間へ水を供給するとき、比較的小さな粒子は、出口フィルタの方へ水と共に流れることができ、上記出口フィルタと一緒に流れ抵抗を形成する。同時に、そのような粒径分布は良い風味をもつ高品質コーヒーを提供する。もし全体的に粒径が小さ過ぎると、コーヒー床は崩壊しうるし、調製された飲料は容易には通り抜けられず、望ましくない長い飲料調製時間をもたらす。一方、もし全体的に粒径が大き過ぎると、供給された流体は素速くコーヒーを通過し、泡の層がなく、溶解した乾燥物質の密度の低い水っぽいコーヒー飲料をもたらすであろう。
【0013】
本発明による上記の優越的な粒径分布は、一般に知られているシンパテック(Sympatec)社の分析器で決定されることが知られている。この分析器は乾燥製品の粒子分布および粒径を決定するのに適切である。そのような分析器は、シンパテック中央ユニット(Sympatec Central Unit)の「ヘロス(Helos)」であり、乾式分散システムであるロドス(Rodes)T4.1と組合せて使用される。使われた測定範囲R7は0.5/18.0〜3500μmを含んでいる。試料は測定ユニット内に置かれる。レーザー回折技術によって、その試料の粒径分布が決定される。レーザーから発せさられた光は、その試料の粒子によって回折される。回折量は、試料の焙煎し挽かれたコーヒーの粒径に依存する。拡散光はレンズ、そのレンズはR7レンズである、を通過後に検出器によって検出される。
【0014】
最終製品、すなわちコンパクト化された抽出可能な製品は、重量による粒径分布、ここでは、粒径の10パーセンタイル値は、20〜60μm、好ましくは40μm未満、粒径の50パーセンタイル値は、400〜600μm、好ましくは450〜550μm、粒径の90パーセンタイル値は、700〜1000μm、好ましくは825〜950μmを有していることが見出された。
【0015】
コンパクト化された抽出可能な製品の粒径は、圧縮されたとき複数の粒子が一緒にくっ付きうるために、出発物質の粒径よりもわずかに大きいことがありうることが理解されよう。
【0016】
本発明の別の局面によると、第三壁は、調製した飲料をカプセルから流すための出口フィルタを備えており、該出口フィルタは例えば複数の出口開口を備えたろ過紙またはポリマーフィルムで形成されている。使用中、そのような出口フィルタは、このフィルタに近接したコンパクトなコーヒー床と一緒に、所望の流量制限をもたらして、良い品質の且つ良い風味のコーヒー飲料をもたらしうる。出口開口は、カプセルの直径にわたるまで、好ましくはフランジ領域は覆わないで、広げられうることが理解されよう。出口フィルタとしてろ過紙を使用すると、低価格の第三壁を得ることができる。さらに、ろ過紙である第三壁は、カップのような容器にコーヒーを供給する前に、飲料、即ちコーヒーからオイルをろ過することになるであろう。これは、コーヒーの味及び/又は質を損なうことになるかもしれないコーヒー内のオイルの量を減少するので都合が良いであろう。特に、コーヒーからカフェストールをろ過する利点がある。なぜなら、カフェストールは血液のコレステロール物を増加させると理解されているからである。さらに、多孔質の第三壁は、内部空間のほぼ全断面にわたってカプセルから飲料を流し出すことができるという有利な点をもたらしうる。その故に、飲料は内部空間から非常に均一に流れ出ることができる。これは、内部空間内に優先的な流体流路が存在するのを防ぐことになりうる。優先的な流体流路は、飲料を調製する方法の再現性を悪くすることが知られている。
【0017】
出口フィルタが、例えばポリマーフィルムで、100〜170の開口、好ましくは110〜150の、より好ましくは約145の開口を有していて、開口の直径は0.20mm±0.05mmと0.40mm±0.05mmとの間であり、好ましくは約0.3mm±0.05mmである。そのような複数の出口開口は、湯が供給される間に再分布されそして開口の近くに落着く比較的小さなコーヒー粒子と共に、所望の流量制限と、従って圧力降下をもたらしうる。それらの開口のおかげで、調製された飲料は、調製時間が長くなりすぎないように、例えば高々40秒、好ましくは高々30秒となるような、所望の速度でカプセルを出る。さらに、開口は、コーヒー粒子がカプセルから出て、調製した飲料と一緒にカップ内に存在するのを防ぐのに十分なほどに小さい。出口フィルタの好ましい数の開口は、出口フィルタに近接するコンパクトなコーヒー床と共に出口フィルタが所望の流量制限を形成することを可能にし、容認できるオイル量、所望の抽出濃度及び許容できる調製時間で飲料を得る。そのようなコーヒー飲料は良い質と良い風味をもっている。
【0018】
さらに詳細には、第一の外周の壁は実質的に剛性である。一般的には、外周の第一壁は、円筒形、半球形、切頭円錐形または多角形、例えば六角形若しくは八角形のような任意の形状を有することができる。
【0019】
好ましくは、カプセルは入口フィルタを有し、該入口フィルタの流れ抵抗は、出口フィルタと組合された、コンパクト化された抽出可能な製品の流れ抵抗より低く、入口フィルタの上流で過剰な圧力が生じるのを回避している。これは好ましいことであり、それは、そのような上流で発生した圧力は飲料の調製に寄与しないからである。
【0020】
本発明の別の局面においては、抽出可能な製品は、コンパクト化されてタブレットにされている。このことは、コンパクト化された抽出可能な製品タブレットに優先的な流路が生じるリスクが減らされるという有利なことである。コンパクト化されたタブレットを使用すると、抽出可能な製品を流出させるリスクが極端に減少させられるので、第二壁はカプセルから省略されうることが理解されよう。
【0021】
本発明の別の詳細においては、タブレットは少なくとも孔を有し、その孔は第二壁に面するタブレットの側面から第三壁の方向に延在している。その孔は、従って、タブレットを均一な態様で濡らす注入手段となる。
【0022】
また、抽出可能な製品を、好ましくは互いに異なる充填密度の、複数のタブレットにコンパクト化することもできる。例えば、抽出可能な製品は、互いに異なる圧縮度を有する複数のタブレットを1個のスタックとして供給されることができる。例えば、圧縮度はタブレットごとに第二壁から第三壁への方向へ増加することができる。このように、1つのタブレットを完全に濡らすために求められる努力は、第二壁から第三壁の方向においてまた強まり、ずっと下流のタブレットを濡らすときには、それぞれの上流のタブレットが適切に濡らされることを確実にし、従って、抽出可能な製品の全量の非常に均一な湿潤をもたらす。
【0023】
本発明は、さらに前述したカプセルの製造方法に関するものであり、この方法は、
焙煎し挽かれたコーヒーを受入れるようにされた内部空間を画定する該外周の第一壁並びに該第二壁及び該第三壁のうちの一方を有するコーヒー収容カップを用意すること、
該コーヒー収容カップの内部空間内に、焙煎し挽かれたコーヒー出発物質のある量を用意すること、
該カプセルがコンパクト化されたコーヒーを含むように該量の焙煎し挽かれたコーヒー出発物質を圧縮すること、
を含んでいる。コーヒーの総量はカプセルの内部空間に準備されえて、引き続き前記量のコーヒーをコンパクト化するために圧縮される。
【0024】
本発明の方法の別の実施態様においては、該方法は、
内部空間内に焙煎し挽かれたコーヒー出発物質の総量の第一の部分を用意すること、
上記第一の部分がコンパクト化されるように該第一の部分を圧縮すること、
引続き、焙煎し挽かれたコーヒー出発物質の総量の別の部分をカプセルの内部空間内の圧縮された第一の部分の上に用意すること、
別の部分がコンパクト化されるように該別の部分を圧縮すること、
を含みうる。コーヒーの総量の部分を代わるがわる用意し圧縮することによって、コーヒーはより容易にカプセル内に挿入されえ、同時にコーヒー出発物質を損ずるリスクを減少させることができるであろう。
【0025】
本発明の別の局面によると、カプセルの内部空間内に挿入されるコーヒー出発物質は、上記コーヒー出発物質を圧縮する前に振動によって濃縮されることも可能である。
【0026】
好ましくは、焙煎し挽かれたコーヒーのコンパクト化された体積は、コーヒー収容カップの内部空間の容積とほぼ同じである。
【0027】
そのような方法は、交換可能なカプセルのコーヒー収容カップ内部のコーヒー粒子の分布を製造過程中に決めることができる利点を与える。従って、コーヒー粒子の分布は均一にでき、ここで、比較的に小さい粒子は比較的に大きい粒子に包囲されるかもしれない。コーヒーのコンパクト化のために、例えば交換可能なカプセルの輸送中に分布は大幅には変化しない。従って、カプセル内部の粒子の予め決めた分布は損なわれないままである。そのようなカプセルで飲料を調製することによって、コーヒーの調製作業は制御可能であり再現可能である。
【0028】
さらに、カプセルの内部空間内でコーヒーをコンパクト化することによって、平らな表面が交換可能なカプセルの側面(それに出口フィルタが結合されなければならない)に準備される。そのような平らな表面は交換可能なカプセルの外周の第一壁への出口フィルタの封止を強化し、それによって、例えば出口フィルタの薄片と第一壁との間に隙間が生じるのを防いでいる。このことは、そのような隙間のために質の劣る飲料を作ることになりうる低品質のカプセルをもたらすことになり、コーヒー及び流体は出口フィルタを通らないで隙間を通して漏れうることになる。
【0029】
さらに、コーヒーのコンパクト化は、外周の第一壁への出口フィルタの封止の質を高めるが、それはコーヒー粒子が外周の第一壁の表面上に存在するリスクを減らすからである。それ故に、外周の第一壁全体に沿う出口フィルタの封止の質は、該フィルタと該壁との間の粒子のために減少させられないであろう。
【0030】
本発明による方法の別の詳細においては、焙煎し挽かれたコーヒーは、略50〜300N、好ましくは50〜500N,好ましくは略400〜600Nの圧縮力で圧縮される。約500Nの圧縮圧力で良好な結果が得られた。
【0031】
体積が約10〜14ml、好ましくは11.5〜12.5ml、より好ましくは約11.8mlのコーヒー収容カップの内部空間に所定の量の焙煎し挽かれたコーヒー出発物質を入れるために、焙煎し挽かれたコーヒー出発物質の注入量は、好ましくはコーヒー出発物質の250g当たり600〜750mlの範囲に(好ましくはコーヒー出発物質の250g当たり620〜670mlの範囲に)、より好ましくはコーヒー出発物質の250g当たり約630〜660mlであるのが望ましい。そのような注入量で、焙煎し挽かれたコーヒーは、圧縮後は4.0〜8g、好ましくは5.0〜6.5g、より好ましくは約5.3g±0.2gの重量となりうる。
【0032】
本発明による交換可能なカプセルは、コーヒー出発物質250g当たり600ml未満の注入量を含むと、このカプセルを使用し調製したカップ1杯のコーヒーは、良い泡層の無い、薄い一杯のコーヒーとなることを本出願人は見出した。この観点から注入量は、カプセル内での濃縮工程後さらにコンパクト化工程前のコーヒーの状態に関係することが理解されよう。さらに、コーヒー飲料は比較的多くの量のコーヒー・オイル、これは調製した飲料の質に悪影響を与える、を含む可能性がある。前述した望ましい量よりも多い、大注入量も望ましいものではなく、それは飲料調製時間が長すぎることになるからである。
【0033】
コーヒー出発物質の注入量は、粉砕後の緻密化後のコーヒー250gの体積を測って決めることに注意されたい。この量を決めるために、ある量の焙煎し挽かれたコーヒー出発物質を、ファネルから注ぐためにその下に設けられた容積が250mlの受け皿へ注がれる。受け皿は閉じられるスライドを有し、そのため250mlのコーヒー粉砕物の量は受け皿に残る。そして、受け皿内のコーヒー粉砕物の量の重さが測定され、ml/250gで表された注入量に変換される。
【0034】
さらに、本発明の別の局面によると、焙煎し挽かれた出発物質は、カプセルの内部空間内で焙煎し挽かれた出発物質をコンパクト化する前に、1.0〜4.0%、好ましくは1.5〜2.2%、より好ましくは約1.5%の水分を有していることが望ましい。コーヒー出発物質の水分含有量は、コーヒー出発物質が挽かれる前に水蒸気と共に急冷却される際に形成される。含水率は、5gのコーヒー出発物質の重量損失の程度を、該コーヒー出発物質をオーブン内で103℃で3時間乾燥した結果として測定して決定される。
【0035】
好ましくは、本発明による方法の別の実施態様によれば、焙煎し挽かれたコーヒー出発物質用のコーヒー豆を、約250〜1000秒の間、好ましくは450〜700秒の間、焙煎し、ここで、焙煎し挽かれた出発物質の焙煎度は、以下で記載される測定技術に従うと、好ましくは30〜60単位の範囲内である。そのような焙煎し挽かれたコーヒーを備える交換可能なカプセルは、許容できる量のコーヒー・オイルを含む良い風味の1杯のコーヒー飲料を提供する。そのような焙煎度は、さらに前記したような所望の圧力で所望の方法でコンパクト化されうる焙煎し挽かれたコーヒー出発物質を与える。コーヒー出発物質の焙煎度は、挽かれたコーヒー出発物質の平坦にされた部分への反射光を測定することによって決定される。これは、例えば、カラー分析器LK100、ドクトア・ブルーノ・ランゲ有限会社(Dr. Bruno Lange GmbH)のLMG163型で行うことができる。例えば640nmの波長の光量が、平坦にされた粉砕物を含む試料に向けられる。破砕物の暗さによって決まる量の光が反射され、測定される。その値は焙煎度を示す。このカラー分析器は2つの較正タイルを続けて使用して毎日較正される。その後、その較正タイルが測定されて、それから試料が測定される。必要ならば、焙煎された豆は、平均粒径が約0.39mmを有する粒径である細粒(fine3/4)に挽かれる。コーヒーを平坦にするのは、定規を直立に保ち、コーヒー表面と90度の角度にして行わなければならない。コーヒーは、試料皿の縁を越える3回の平滑な運動(前後の)で平坦にされる。コーヒー表面の明らかな不規則性が判定できるならば、再び平坦化されなければならない。
【0036】
本発明の別の詳細においては、コーヒー豆が挽かれて、重量による粒径分布が、粒径の10パーセンタイル値が20〜60μm、好ましくは40μm未満、粒径の50パーセンタイル値が370〜570μm、好ましくは490μm、かつ、粒径の90パーセンタイル値が600〜800μm、好ましくは700μm未満である、焙煎し挽かれた出発物質を用意する。そのような焙煎し挽かれたコーヒー出発物質をカプセルの内部空間内で圧縮すると、前述したように、所定の均質な粒子分布が得られる。
【0037】
本発明はまた、前述した方法によって得ることが可能なカプセルに関し、本願特許請求の範囲の請求項28に従う摂取するのに適した所定の量の飲料を調製するシステムに関し、および請求項30に従う摂取するのに適した所定の量の飲料を調製する方法に関する。
【0038】
別の有利な実施態様は、1.0〜4.0%、好ましくは1.5〜2.2%、より好ましくは約1.5%、本発明に従うそのようなカプセルの製造方法、飲料を調製するシステムおよび方法が本願特許請求の範囲の従属項に記載されている。
【0039】
本発明は、図面を参照しつつ限定的でない実施例によってさらに説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に従う飲料を調製するためのシステムの第1の実施態様の1実施例を示す概略図である。
【図2】本発明に従うカプセルの第1の実施態様の概略図である。
【図3】飲料を調製する間の図2のカプセルを示す概略図である。
【図4】本発明に従うカプセルの第2の実施態様の概略図である。
【図5】本発明に従うカプセルの第3の実施態様の概略図である。
【図6】本発明に従うカプセルの第4の実施態様の概略図である。
【0041】
異なる図面において同一の又は対応する構成要素は、同一の又は対応する参照番号で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明に従う、抽出可能な製品を用いて摂取に適した所定の量の飲料を作るためのシステム(1)の第1の実施形態を示す。システム(1)は、交換可能な開いたカプセル(2)と装置(4)を有する。装置(4)は交換可能なカプセル(2)を保持する収容器(6)を有する。図1において、カプセル(2)と収容器(6)との間に、明確のために隙間が描かれている。使用中は、カプセル(2)は収容器(6)に接触する位置にありうることが理解されよう。この実施例では、収容器(6)はカプセル(2)の形状に相補的な形状を有する。この実施例で、収容器(6)は上部(8)と支持面(10)を有する。
【0043】
装置(4)は、さらにある量の湯のような流体を、例えば約6バール(絶対圧力)を越える高圧で、交換可能なカプセル2に供給する流体供給器(12)を有している。
【0044】
図1に示すシステム(1)において、交換可能なカプセル(2)は、略剛性の外周の第一壁(14)、外周の第一壁(14)を第1の端(18)で閉じる第二壁(16)、及び外周の第一壁(14)を第二壁(16)の反対側の第2の、開いた端(22)で閉じる第三壁(20)を有する。外周の第一壁(14)、第二壁(16)及び第三壁(20)は、抽出可能な製品、この実施例では焙煎し挽かれたコーヒーを有する内部空間(24)を囲んでいる。本実施例では、交換可能なカプセル(2)は、1人前の飲料、好ましくはカップ1杯の飲料を、例えば、調製した飲料の30から200mlを調製するために適した、ある量の抽出可能な製品、例えば焙煎し挽かれたコーヒーが約5.0〜6.5g、好ましくは約5.3g±0.2gを有する。調製する飲料の好みの濃さによって、抽出可能な製品の量は変りうる。例えば、カップ1杯のエスプレッソを調製するために、カプセル(2)は約5.3gを有し、カップ1杯のコーヒー・ルンゴを調製するために、カプセル(2)は約6.0gを有するであろう。本発明の他の実施例では、カプセルは別な量の4.0〜8.0gのコーヒーを含むことができる。内部空間(24)は約10〜14ml、好ましくは11.5〜12.5ml、より好ましくは約11.8mlの容積を有するであろう。交換可能なカプセルは、そのため、1杯分のパックである。本発明の別の態様によれば、カプセル(2)の内部空間(24)内の抽出可能な製品はコンパクト化されている。
【0045】
図1の実施例においては、外周の第一壁(14)は実質的に剛性である。外周の第一壁(14)は、例えばプラスチック材料からなり、そして、例えば射出成形、真空成形、熱成形等で形成されうる。
【0046】
本実施例では、第二壁(16)は外周の第一壁(14)と一体である。この実施例では、第二壁(16)は実質的に剛性であり、流体がカプセル(2)に入ることを許容する複数の入力開口(26)を有する。第二壁はカプセル(2)の入口フィルタを備えている。
【0047】
本実施例においては、第三壁(20)は柔軟かつシート形状である。さらに、本実施例では、第三壁は多孔質である。第三壁(20)は、本実施例では、ろ過紙から作られる。本実施例では、ろ過紙はポリエチレン(PE)繊維を含む。本実施例では、第三壁(20)は外周の第一壁(14)に熱融着によって接続される。本実施例では、第三壁(20)はカプセル(2)の軸方向でのカプセル(2)の最も外側の境界を形成する。図1から分かるように、第三壁(20)は収容器(6)の支持面(10)に接触している。
【0048】
図1に示されたシステム(1)は、カップ1杯のコーヒーを調製するために次のように行われる。
【0049】
カプセル(2)が収容器(6)内に配置される。第三壁(20)が支持面(10)と接触させられる。流体、ここでは湯が圧力をかけられて、流体供給器(12)から入力開口(26)を通って内部空間(24)内の抽出可能な製品に供給される。流体供給器(12)は湯を交換可能なカプセル(2)に約4〜20バール、例えば9〜15バールの加圧下で供給するようにされている。流体供給器内に形成される圧力が約6バールで良好な結果が得られた。この湯がコーヒー材を濡らし、所望の物質を抽出してコーヒー飲料を作る。調製されたコーヒーはカプセル(2)から多孔質の第三壁(20)を通して流れ出る。コーヒー飲料は、さらに複数の出口(28)を介して収容器(6)から流れ出て、カップのような容器(30)に供給することができる。カプセル(2)の内部空間内のコンパクト化されたコーヒーに湯が供給される間、コーヒー粒子はカプセル(2)の内部空間(24)内で再分布させられるために、第二壁(16)に近接して比較的に粗いコーヒー床層Lが、そして第三壁(20)に近接して比較的コンパクトなコーヒー床層Cが形成される(図3参照)。比較的小さい粒子Sは湯と一緒に、出口フィルタを形成する第三壁(20)に向かって移動させられ、出口フィルタ(20)の開口(38)に近接して配置させられる。上記小さい粒子Sは、出口フィルタ(36)と一緒にカプセル(2)の流れ抵抗を形成して(図3参照)、所望の圧力降下を生じ、従って、所望の圧力をカプセル(2)内部に生じるため、コンパクト化されたコーヒーから水溶性の乾物を抽出することができ、所望の濃さと質を有した1杯の飲料が得られる。
【0050】
図1の実施例においては、複数の入力開口(26)が第二壁(16)のほぼ全体にわたって分布していている。従って、流体は、複数の入力開口(26)を介して抽出可能な製品に供給され、カプセル(2)のほぼ全断面にわたって抽出可能な製品が濡らされる原因となる。それ故に、抽出可能な製品への非常に均一な流体の供給が行える。従って、抽出可能な製品を通して流れる流体が通る優先的な流路が生じるリスクは非常に減少する。
【0051】
本発明によるカプセル(2)の他の実施例(図示せず)では、カプセル(2)の出口フィルタを形成する第三壁(20)を通して、飲料、ここではコーヒーがカプセル(2)から流れることができ、この第三壁がろ過紙のような多孔質シートで形成される。第三壁(20)全体を、その結果、多孔質シートとして形成することができる。例えば、第三壁(20)は、実質的にカプセル(2)の開いた第2の端(22)の全体に広がる、実質的に連続な流体透過性のシートで形成することができる。従って、流体はカプセル(2)から広い面積にわたって流れることができる。そのため、抽出可能な製品から飲料の非常に均一な流れが得られる。従って、抽出可能な製品を通して流れる流体の優先的な流路が生じるリスクは非常に減少する。
【0052】
システムの別の図示しない実施態様においては、装置は、システムの第1の実施形態で記載された該装置とは異なるものとしうることが理解されよう。例えば、装置は、カプセル(2)の第三壁(20)と装置(4)の出口開口(28)間に空洞を設けることができる。他の実施例においては、装置は、周知の密封されたカプセルの蓋に孔を開ける孔開け手段を備えうる。従って、本発明によるカプセルは、高圧を使用して飲料を調製するのに適した任意の装置に使うことができる。
【0053】
図2〜5は本発明に従うカプセルの実施態様を示している。図2においては、第二壁(16)は、図1におけるように外周の第一壁(14)と一体である。第二壁(16)は、該第二壁(16)に複数の入口開口(26)を備えている。第三壁(20)は複数の出口開口(38)を設けた柔軟性フィルム(36)、例えばポリマーフィルムで構成されている。図2においては、カプセル(2)は、外周の第一壁(14)の第2の端(22)に外方向に延在する周縁(40)を有している。第三壁(20)は外方向に延在する周縁(40)に、例えば接着、溶着、熱融着または同様のものを用いて取り付けられている。そのため、第三壁(20)は周縁(40)に堅く取り付けることができる。外方向に延在する周縁(40)は収容器(6)の上部(8)と収容器(6)の支持面(10)との間に延在して、周縁(40)は上部(8)と支持面(10)との間に締め付けられるようにできることが理解されよう。それ故に、第三壁(20)は、使用中に周縁(40)に締め付けられ(即ち流体圧が印加されるとき)、かくして第三壁(20)が周縁(40)から離れるリスクを減少させる。
【0054】
図4においては、第三壁(20)はろ過紙のような柔軟な多孔質シートで形成されている。図4においては、第二壁(16)はまた、ろ過紙のような柔軟な多孔質シートで形成されている。本実施例においては、第二壁(16)は内方向に延在するフランジ(42)に取り付けられている。本実施例においては、第二壁(16)は内方向に延在するフランジ(42)の内側に取り付けられている。
【0055】
別の図示しない実施態様においては、図1および図2のように、複数の出口開口(30)を備えている第三壁(20)は、ろ過紙のような多孔質シートで又はポリマーフィルムで形成されうることが理解されよう。カプセル(2)は、説明したいずれかの実施例に従う第三壁(20)と組み合わせて、説明したいずれかの実施態様に従う第二壁(16)を有することができることが理解されよう。好ましくは、外周の第一壁(14)は実質的に剛性である。そのため、カプセル(2)は、輸送及び/又は取扱によって変形する傾向はないので、カプセル(2)は収容器(6)に常に適合する。さらに、外周の第一壁(14)は好ましくは弾性であって、外周の第一壁(14)の可能性のある変形は、その変形を生じさせる力が除去されると元に戻る。それにもかかわらず、外周の第一壁(14)は柔軟性シートで、好ましくは第二壁(16)と一体に作ることも可能である。そのため、カプセル(2)のほぼ全体を柔軟性シートで製作し、カプセル(2)を作るのに必要な材料の量を減少させることができる。
【0056】
これらの実施例においては、外周の第一壁(14)はほぼ円筒形である。本発明に従うカプセルはこの形状に限定されないことが理解されよう。外周の第一壁(14)は、例えば、切頭円錐形、半球形、又は六角形若しくは八角形等のような多角形とすることができる。
【0057】
本発明に従うカプセル(2)は、好ましくは、外周の第一壁(14)と第二壁(16)とを有するコーヒー収容カップ(32)を備えることによって製造される。第一壁(14)および第二壁(16)は内部空間(24)を画定する。焙煎し挽かれたコーヒー出発物質、例えば最大30%のロブスタ・コーヒーを含んでいるアラビカ・コーヒーが、所望の粒子分布、所望の含水率、所望の焙煎度および所望の注入量で、コーヒー収容カップ(32)の内部空間(24)に供給される。それから、コーヒー出発物質は、適当な圧縮手段で、例えば約500Nの圧縮力で圧縮される。このカップの内部空間(24)内でのコーヒーの圧縮後は、第二壁(16)から離れる方向を向いている圧縮されたコーヒーの表面は実質的に平らとなりうる。さらに、せいぜい限られた量のコーヒー粒子が、第二壁(14)から離れる方向を向いている外周の第一壁(14)の先端面にありうる。本発明に従うカプセル(2)の本実施例においては、延在する周縁(40)の上に、せいぜい限られた量のコーヒー粒子が存在しうる。その結果として、出口フィルタ、例えばポリマーフィルム層(36)は簡単に設けられることができ、かつ、外周の第一壁(14)と出口フィルタ(20)との間で封止されない領域が生じるリスクを最小にして、出口フィルタは外周の第一壁(14)の延在する周縁(40)の上に緊密な態様で封止される。このこは、実質的に平らな第三壁(20)を有するカプセル(2)をもたらすことになり、換言すれば第三壁(20)はカプセル(2)の中心軸Aに平行な方向に外周の第一壁(14)から実質上広がらない(図3参照)。それ故に、飲料を調製するためにそのようなカプセル(2)を装置(4)に用いるときに、広がった第三壁(20)のためにカプセル(2)は行き詰まるということはなく、収容器(6)内に簡単に配置することができる。本発明の代替的な実施態様においては、コーヒー出発物質の第一の部分がカプセル(2)の内部空間(24)内に挿入される。このコーヒー出発物質の第一の部分を適当な圧縮手段で、例えば約500Nの圧縮力で圧縮することができる。該圧縮手段は、圧縮中に又は相次ぐ圧縮の合間に、回転することができることが理解されよう。このことは、一方においてオイルはかなり減少し、他方においてDMA値は増加するか又は同じレベルに留まるという利点を有する。引続き、コーヒー出発物質の圧縮された第一の部分の上に(前に説明したように)、焙煎し挽かれたコーヒー出発物質の量のうちの追加の部分がカプセル(2)の内部空間(24)内に供給されることができる。そして、コーヒー出発物質の追加の部分は適当な圧縮手段、例えば約500Nの圧縮力で圧縮されて、追加の部分が圧縮される。これは、カプセル(2)内にコーヒー出発物質を挿入して圧縮する簡単な方法を提供する。カプセルを製造する方法が、カプセル(2)内部にコーヒー出発物質の量の2つの部分より多くの部分を交互に挿入し、圧縮することを含むことも出来る。
【0058】
図5は、本発明に従うカプセル(2)の実施例を示しており、ここで、抽出可能な製品は複数の、この例では4個の、タブレット(58,60,62,64)にコンパクト化されている。図5においては、それらのタブレット(58,60,62,64)は内部空間(24)の内部に積み重ねられている。図5においては、それぞれのタブレット(58,60,62,64)は、カプセル(2)の内部空間(24)のほぼ全断面に広がっている。この実施例では、タブレット(58,60,62,64)の密度、即ち圧縮度はそれぞれのタブレットで異なっている。タブレット(58,60,62,64)の密度は第二壁(16)から第三壁(20)に向かう方向で増加している。これは、流体は密度の高いほうのタブレットよりも密度の低いほうのタブレットをより容易に濡らすために、上流のそれぞれのタブレットは適切に濡らされ、一方、湯は続く下流のタブレットを濡らすという利点をもたらす。従って、抽出可能な製品の湿潤を均一性の高いものとすることができる。実施例では4個の積み重ねたタブレットを図示しているが、タブレットの数はいくつでも使用できることが理解されよう。
【0059】
図6は1つのタブレット(66)のコンパクト化された抽出可能な製品を含むカプセル(2)の実施例を示している。図6の実施例においては、タブレット(66)は、第二壁(16)に面するタブレット(66)の側面から第三壁(20)の方向にタブレット(66)内に延在する穴(68)を有する。穴(68)の長さは、穴(68)に沿う方向のタブレット(66)の厚さより短い。従って、穴(68)はタブレット(66)を通る流体に対して短絡通路を形成しないが、流体にタブレット(66)の中心部への通路を与える。これらの穴(68)はタブレット内への流体の所定の浸透を可能にする。従って、コンパクト化された抽出可能な製品の所望の湿潤を得ることができる。
【0060】
タブレット(66)、又は複数のタブレット(58,60,62,64)は前記のいずれかのカプセル(2)と共に使用できることが理解されよう。また、抽出可能な製品がタブレット(1つ又は複数)にコンパクト化されるときは、カプセル(2)の第二壁(16)は厳密には不要であり、それは抽出可能な製品は使用前にカプセル(2)から流出しそうもないからであることも理解されよう。
【0061】
以上の記載では、本発明の実施態様の特定の実施例を参照して本発明を記載した。しかし、添付の特許請求の範囲の請求項に記載した本発明の広い意図と範囲から逸脱することなく、各種の変形や変更をすることができることは明らかである。
【0062】
例えば、開いたカプセルは、使用前に気密の包装材に入れて有効期限を長くすることができる。
【0063】
例えば、カプセル(2)は生分解性原料から作ることができる。
【0064】
例えば、カプセル(2)は寸法が異なり、形状が異なるものも可能である。
【0065】
さらに、異なる適切なコンパクト化装置を使用してカプセルの内側でコーヒーをコンパクト化することも可能であろう。
【0066】
コーヒーは、本発明の別の実施態様においては、カプセルの内部空間に供給される前にコンパクト化されうる。例えば、カプセルのコーヒー収容カップの内部空間の寸法に対応した寸法で、最初にコーヒーをタブレットに圧縮する。
【0067】
しかし、別の変更、変形及び代替も可能である。明細書、図面及び実施例は、従って、限定的な意味と云うより例示的な意味であると見なされるべきものである。
【0068】
請求項において、括弧内の参照番号は、請求項を限定するものと解釈されるべきではない。「有する、又は含む」という語は、請求項に記載の特徴又は工程とは異なる他のものを排除するものではない。さらに、語「1つ」は「ただ1つ」に限定して解釈するものではなく、むしろ「少なくとも1つ」を意味するのに用いられていて、複数を排除するものではない。或る複数の手段が相互に異なる請求項に単に記載されていることは、これらの手段の組合せが有利に使用できないことを示すのではない。
【符号の説明】
【0069】
1 システム
2 カプセル(交換可能な)
4 装置
6 収容器
8 上部(収容器の)
10 支持面(収容器の)
12 流体供給器
14 外周の第一壁
16 第二壁(外周の)
18 第1の端
20 第三壁(外周の)
22 第2の(開いた)端
24 内部空間
26 入力開口
28 出口
30 容器(カップのような)
32 コーヒー収容カップ
36 出口フィルタ
38 出口開口(出口フィルタの)
40 周縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出可能な製品、例えば焙煎し挽かれたコーヒーを用いて摂取に適した所定量の飲料を調製するためのカプセルであって、該カプセルは
外周の第一壁、
該外周の第一壁を第1の端で閉じている第二壁と、
該第二壁の反対側の第2の、開いた端で、該外周の第一壁を閉じており、カプセルから調製した飲料を排出するように配置された穿孔された及び/又は多孔質の第三壁と
を有し、
ここで、該第一壁、第二壁及び第三壁は、抽出可能な製品を備える内部空間を取り囲んでおり、ここで、該カプセルの該内部空間内の該抽出可能な製品は、少なくとも部分的にコンパクト化されている、
前記カプセル。
【請求項2】
該カプセルは、4.0〜8.0g、好ましくは5.0〜6.5g、より好ましくは約5.3g±0.2gの焙煎し挽かれたコーヒーを備えている、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
該カプセルの該内部空間は、約10〜14ml、好ましくは11.5〜12.5ml、より好ましくは約11.8mlの容積を有する、請求項1または2に記載のカプセル。
【請求項4】
該内部空間全体が該抽出可能な製品によって占められている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項5】
該焙煎し挽かれたコーヒーは、該内部空間内の圧縮されたコーヒーが実質的に均一な密度を有するように圧縮されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項6】
該焙煎し挽かれたコーヒーは、重量による粒径分布を有するコーヒー出発物質をコンパクト化することによって得られており、粒径の該粒径分布の10パーセンタイル値は20〜60μm、好ましくは40μm未満であり、粒径の50パーセンタイル値は350〜570μm、好ましくは490μm未満であり、粒径の90パーセンタイル値は600〜800μm、好ましくは700μm未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項7】
該第三壁は、調製された飲料を該カプセルから排出するための出口フィルタを備え、該出口フィルタは、例えばフィルタ紙または複数の出口開口を備えたポリマーフィルムによって形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項8】
該出口フィルタは、100〜170個の開口、好ましくは110〜150個、より好ましくは約145個の開口を備えており、開口の直径は、0.4mm±0.05mmと0.2mm±0.05mmとの間、好ましくは約0.3mm±0.05mmである、請求項7に記載のカプセル。
【請求項9】
該第一外周壁は実質的に剛性である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項10】
該カプセルは、入口フィルタを備えており、ここで該入口フィルタは、該出口フィルタと組合せた該コンパクト化された抽出可能な製品の流れ抵抗よりも小さな流れ抵抗を有する、請求項7〜9のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項11】
該コンパクト化された飲料原料はタブレットの形で提供されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項12】
該タブレットは、該第二壁に面するタブレットの面から第三壁の方向に延在する少なくとも1つの穴を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項13】
該抽出可能な製品は、好ましくは互いに異なる充填密度の、複数のタブレットの形にコンパクト化されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項14】
充填密度は、該カプセルの該第二壁から該カプセルの該第三壁に向かって増加している、請求項13に記載のカプセル。
【請求項15】
該少なくとも部分的にコンパクト化された抽出可能な製品は、重量による粒径分布を有しており、粒径の10パーセンタイル値は20〜60μm、好ましくは40μm未満であり、粒径の50パーセンタイル値は400〜600μm、好ましくは450〜550μmであり、粒径の90パーセンタイル値は700〜1000μm、好ましくは825〜950μmである、請求項1〜14のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載のカプセルを製造する方法であって、該方法が、
焙煎し挽かれたコーヒー出発物質を受け取るように配置された内部空間を画定している、該外周の第一壁と、該第二壁及び該第三壁の内の1つとを備えているコーヒー収容カップを用意すること、
該コーヒー収容カップの該内部空間内に、ある量の焙煎し挽かれたコーヒー出発物質を用意すること、
該カプセルがコンパクト化されたコーヒーを含むように、該ある量の焙煎し挽かれたコーヒー出発物質を圧縮すること、
を含む、前記カプセルを製造する方法。
【請求項17】
該ある量の焙煎し挽かれたコーヒー出発物質の第一の部分を該内部空間内に用意すること、
該第一の部分がコンパクト化されるように該第一の部分を圧縮すること、
次に、該カプセルの該内部空間内の圧縮された第一の部分の上に、該ある量の焙煎し挽かれたコーヒー出発物質の別の部分を用意すること、
該別の部分がコンパクト化されるように該別の部分を圧縮すること、
を含む、請求項16に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項18】
該焙煎し挽かれたコーヒーのコンパクト化された体積は、該コーヒー収容カップの内部空間の容積に実質的に同じである、請求項16または17に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項19】
該焙煎し挽かれたコーヒーは、実質的に50〜800N、好ましくは略400〜600N、より好ましくは約500Nの圧縮圧で圧縮される、請求項16〜18のいずれか1項に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項20】
該カプセルの該内部空間は、約10〜14ml、好ましくは11.5〜12.5ml、より好ましくは約11.8mlの容積を有している、請求項16〜20のいずれか1項に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項21】
該圧縮ステップの前に、該カプセル内に用意される予定の該焙煎し挽かれたコーヒー出発物質の注入体積は、コーヒー出発物質250g当たり好ましくは600〜700ml、より特別にはコーヒー出発物質250g当たり630〜660mlである、請求項15〜20のいずれか1項に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項22】
該コンパクト化された焙煎し挽かれたコーヒーは、4.0〜8.0g、好ましくは5.0〜6.5g、より好ましくは約5.3g±0.2gの重さを有している、請求項15〜21のいずれか1項に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項23】
コーヒー豆が、重量による粒径分布を有する焙煎し挽かれた出発物質を与えるように挽かれ、ここで該粒径分布の粒径の10パーセンタイル値は20〜60μm、好ましくは40μm未満であり、粒径の50パーセンタイル値は370〜470μm、好ましくは425μm未満であり、粒径の90パーセンタイル値は600〜800μm、好ましくは700μm未満である、請求項15〜22のいずれか1項に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項24】
該焙煎し挽かれたコーヒー出発物質は、1.0〜4.0%、好ましくは1.5〜2.2%、より好ましくは約1.5%の含水率を有している、請求項15〜22のいずれか1項に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項25】
該焙煎し挽かれたコーヒー出発物質のためのコーヒー豆は、約250〜1000秒の間、好ましくは450〜700秒の間、焙煎される、請求項16〜24のいずれか1項に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項26】
該焙煎し挽かれたコーヒー出発物質の焙煎度は30〜60の範囲である、請求項15〜25のいずれか1項に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項27】
請求項15〜26のいずれか1項に記載の方法によって得られうるカプセル。
【請求項28】
抽出可能な製品を使用して摂取に適する所定量の飲料を調製するためのシステムであって、該システムは、
請求項1〜15及び/又は請求項27のいずれか1項に記載の交換可能なカプセル、
ある量の流体、例えば水を加圧下で該交換可能なカプセルへ供給するための流体供給器と、該交換可能なカプセルを保持するための収容器とを備えている装置、および
該カプセルから該調製された飲料を排出しそして該飲料を容器、例えばカップに供給するために、使用中に該カプセルと流体連絡している出口、
を備えている、上記システム。
【請求項29】
流体供給デバイスは、約4〜20バール、好ましくは9〜15バールの圧力下で流体を該交換可能なカプセルへ供給するように適応されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
抽出可能な製品、例えば焙煎し挽かれたコーヒーを使用して摂取に適する所定量の飲料を用意するための方法であって、以下の工程:
請求項1〜15及び/又は請求項27のいずれか1項に記載の交換可能なカプセルを用意すること、
該交換可能なカプセルを保持するための収容器と、ある量の流体、例えば水を少なくとも6バールの圧力下で該交換可能なカプセルへ供給する流体供給デバイスと、該カプセルから該調製された飲料を排出しそして該飲料を容器、例えばカップに供給するために、使用中に該カプセルと流体連絡している出口とを備えている装置を用意すること、
該交換可能なカプセルを該収容器内に配置すること、
該飲料を調製するために該抽出可能な製品へ圧力下で該流体を供給すること、それによって、比較的小さなコーヒー粒子が該出口フィルタに近接して置かれそして該出口フィルタと共に該カプセルの流量制限を与えるように、比較的小さなコーヒー粒子を該カプセルの内部空間内で再分布させること、
を含む、前記の方法。
【請求項31】
請求項28〜29のいずれか1項に記載のシステムを使う、かつ好ましくは請求項1〜15及び/又は請求項27のいずれか1項に記載のカプセルを使う、請求項30に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2012−530537(P2012−530537A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516020(P2012−516020)
【出願日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【国際出願番号】PCT/NL2009/050838
【国際公開番号】WO2010/137965
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(512164779)コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ. (28)
【Fターム(参考)】