説明

飲料システム

本発明は、温かい飲料を作り提供するためのコーヒーメーカー(2)と飲料水を処理して提供するためのウォーターディスペンサー(3)とを具備する飲料システム(1)が記載されている。本システムは、費用があまりかからず、スペースもそれほどとらない。この目的を実現するために、本システムにおいて、コーヒーメーカー(2)またはウォーターディスペンサー(3)の少なくとも一つの機能的構成部品がコーヒーメーカー(2)とウォーターディスペンサー(3)の両方に利用可能なようにコーヒーメーカー(2)とウォーターディスペンサー(3)が互いに接続されることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーメーカーを具備する飲料システムに関する。
【背景技術】
【0002】
消費者は、現在、軽いノンアルコール飲料、特に水を好む傾向にある。水道水を食卓用の水として供するのに適するように処理することができる、すなわち、水道水を冷やしたり、または好ましくは二酸化炭素や酸素といった気体をそこに添加したりすることができる、非常に多様なウォーターディスペンサーが知られている。このようなウォーターディスペンサーは、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3または特許文献4から知られる。一方では、レストラン、コーヒーハウス、カフェテリアでも、あるいは、例えば、オフィスサプライやいわゆるコンビニエンスストアの分野でも、このように処理された水道水の需要は増加しつつある。しかし、何らかの形で必要とされる、コーヒーメーカーに加えてウォーターディスペンサーを設置することは、費用がかかり、追加のスペースも必要になる。いろいろな飲料のディスペンサーを混成することは、上記の特許文献4からまたは特許文献5からすでに知られているが、これまでに混成された飲料は、例えば、特許文献4では水をベースにした冷たい飲料、特許文献5では温かい飲料というように一つのタイプの飲料に限られていた。
【特許文献1】独国実用新案登録第29816612号明細書
【特許文献2】独国特許第19960149号明細書
【特許文献3】国際公開第02/02455号パンフレット
【特許文献4】国際公開第93/10035号パンフレット
【特許文献5】欧州特許出願公開第1352599号明細書
【発明の開示】
【0003】
したがって、本発明の目的は、構造的に簡易な費用がかからない方法でコーヒーまたは紅茶などの温かい飲料と水を提供することが可能であり、かつスペースをあまりとらない飲料システムを提供することである。
【0004】
この目的は、請求項1に明記した特徴によって達成される。
【0005】
本発明による解決手法は、ウォーターディスペンサー及びコーヒーメーカーに必要なまたは適切な機能的構成部品が、一度だけ備え付けられればよいように前記ユニットの両方に使用されることを可能にする。これはコストとスペースを削減する。
【0006】
本発明は、また一方では、共通の洗浄システムがコーヒーメーカーとウォーターディスペンサーの両方に利用できるという点で特に有利である。
【0007】
従来技術(例えば、特許文献1または特許文献2を参照)からわかるように、ウォーターディスペンサーの微生物汚染を防止することがこれまで問題となってきた。この問題は、ウォーターディスペンサーが公共の場で使用される場合に特に重大である。コーヒーメーカーは、今まで組込み型の洗浄システムを装備していたが、本発明によれば、この洗浄システムがウォーターディスペンサーに使用され、後者の衛生上の問題を可能な限り最善の方法で解決するため、本発明による飲料システムはすべての衛生上の要求を満たす。
【0008】
すべての微生物を殺すようにウォーターディスペンサーが湯によって洗浄可能になるように、洗浄システムが湯生成器と連携して動作するとき、ウォーターディスペンサーの洗浄は特に簡単になる。
【0009】
本発明の有利なさらなる展開は、その他の下位請求項によって開示される。これに関して、ウォーターディスペンサーとコーヒーメーカーが共通のハウジングを有することは特に好適である。これは所要スペースとコストをさらに削減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態を図面に基づいて以下に詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明による飲料システム1の不可欠な構成部品を非常に概略的に表した図を示す。飲料システム1は、図示した実施形態では共通のハウジング4に収容されている、コーヒーメーカー2とウォーターディスペンサー3を具備する。しかし、コーヒーメーカー2とウォーターディスペンサー3を別々のハウジングに収容し、後述するような態様で導管によってこれらのハウジングを相互接続することも可能である。
【0012】
コーヒーメーカー2は、自動コーヒーメーカーに必要なまたは望まれる、そしてコーヒーメーカー2が、例えば、特にコーヒーなどの温かい飲料(浸出飲料)を自動的にまたは大部分自動的に作り提供することを保証する、通常の構成部品を備える。
【0013】
表現を簡略にするために、図は、フィルターで入れたコーヒーとエスプレッソ用の2種類のコーヒー豆またはコーヒー挽き粉などの浸出飲料の原料の格納場所として容器35のみを示す。この容器は、図示した実施形態では、ハウジング4の上に置かれ、供給ダクト5aを通じて浸出ユニット6に接続される。浸出ユニット6は、満たされるべき容器11を置くために使用される面10の上に配置される放出手段9の一部をなす排出口8へ導管7を通じて連通する。ここで図示された容器はカップである。
【0014】
浸出ユニット6には、湯生成器13で作られる湯が導管12を通じて供給される。湯生成器13としては、コーヒーメーカーに適合し使用される、例えば、ボイラーまたは連続流ヒーターまたはその他の種類の湯生成器があり得る。図示した実施形態では、湯生成器13は、例えば、当該建物の給水管であり得る冷水供給器へ導管14を通じて接続される。湯導管12は、浸出ユニット6への湯の供給を制御する通常の浸出用バルブ15をその管路上に備える。さらに、例えば、エスプレッソを作るための圧力の増加を生じさせるポンプ16が備えられてもよい。図示した実施形態では、ポンプ16は、湯生成器13の上流の冷水導管14上に配置される。これに加えて、水フィルター16aが備えられてもよい。水フィルター16aは、ポンプ16の上流に配置されるとよい。
【0015】
コーヒーメーカー2は、ミルク含有飲料を提供するようにさらに構成される。これらの飲料はコーヒーまたは紅茶を含む混合飲料であってもよいし、または純粋な温かいまたは冷たいミルクの形態で提供されることもある。コーヒーメーカー2は、この目的のためにミルク準備ユニット17を具備する。このユニット17は、ハウジング4の内部または外部に配置することができるミルク供給器18を含む。ミルク供給器18は、商用の小売パックであってもよいし、または小売パックの中身を移し入れる別のミルク容器であってもよい。
【0016】
ミルク供給器18は、例えば、冷却ブロック20を含む冷却ユニット19内に収容される(図4)。ミルク供給器18はさらに、ミルク導管21を通じて放出手段9に連通し、好ましくは、別途の排出口22に終端する。ここでは乳化チャンバー21aによってだけ示される、通常の泡立てユニットのうちの一つをミルク供給器18と排出口22の間に設けることができる。泡立てユニットは、自動的な空気の吸い込み(ベンチュリ効果)または能動的な空気の吹き込み及び蒸気の導入の可能性を具備する。泡立てユニットは一般に知られているので、これらのユニットの詳細な説明はここでは省く。
【0017】
コーヒーメーカー2はまた、ハウジング4の外面に配置される通常の操作素子31を具備する。操作素子31は、前記操作素子のそれぞれの作動に対応して、プログラム化された操作シーケンスに従ってコーヒーメーカー2の機能を既知の方法で制御する制御ユニット32に接続される。
【0018】
コーヒーメーカー2は、何らかの既知の洗浄システム23を具備することができる。図示した実施形態では、洗浄システム23は、湯生成器13と適切にプログラム化された制御ユニット32を含み、コーヒーメーカー2の関連構成部品(例えば、浸出ユニット6及び排出口9、並びに、図示しない方法でミルク導管21、乳化チャンバー21a及びミルク/ミルク泡排出口)が、湯で洗浄され殺菌されることを保証する。さらに、蒸気を導入するための及び/または洗浄剤を導入または充填するための既知のユニットのうちの一つを備えることができる。後者は図示されない。
【0019】
ウォーターディスペンサー3は、供給導管24の形態での冷水供給と水を提供するための排出口を含む。二酸化炭素及び/または酸素などの気体を水に添加することが好ましくは可能である。これが望まれる場合、気体源25がさらに備えられる。図示した実施形態では、商用の気体カートリッジが使用される。気体源25は、減圧弁26aを介して、導管24中に導かれた水に気体源25からの気体を導入する炭化器27へ接続される。導管24上の炭化器27の後ろには、気体の逃げを引き起こす水/気体混合物のあまりに急速な圧力除去を防止する補正弁26bが設けられる。炭化器27、減圧弁26a及び/または補正弁26には通常の構造設計を使用可能であり、例えば、電気的にまたは手動で作動可能である。
【0020】
本発明によれば、コーヒーメーカー2とウォーターディスペンサー3は、共通の機能的構成部品を使用する。図示した飲料システム1はコーヒーメーカーを基にしているので、ここではウォーターディスペンサー3はコーヒーメーカー2の機能構成部品を使用する。
【0021】
具体的には、水導管24は、冷水導管14から、後者が湯生成器13へ開放する前に分岐する。水導管24はポンプ16と水フィルター16a各々の下流で分岐するため、ポンプ16(水圧を増加するため、それにより気体の吸い込みをよくするための)と水フィルター16aはウォーターディスペンサー3でも使用可能となる。冷水導管14から分岐する水導管分岐24は、その管路上に、ユーザ入力に従って制御ユニット32を介して開閉されるバルブ28が組み込まれている。また、ウォーターディスペンサー3もコーヒーメーカー2の制御及び操作手段、具体的には、制御ユニット32と操作素子31を利用するように、ユーザ入力は好ましくは操作素子31を介して発生する。
【0022】
水導管24及び/または炭化器27は、好ましくは冷却される。図示した実施形態では、これは、ミルク供給器18とミルク導管21をも具備する冷却ユニット19によって行われる。水導管24は、水を冷却するために、とりわけ気体の吸い込み性をよくするために、冷却ユニット19内を通り炭化器27の上流及び/または下流まで延びるように実現され得る。この目的で、例えば、水導管24は、炭化器27に至る前に、貫流冷却24aを生じさせるように冷却ユニット内をループ状に延設するように実現される。
【0023】
水導管24は、炭化器27の下流で放出手段9へ開放されるが、別途の排出口へ、または図面に示されるように、結果的にコーヒー飲料と共に飲料水も注ぎ出すことができる共通の排出口8へ開放される。
【0024】
ウォーターディスペンサー3は、コーヒーメーカー2の洗浄ユニット23を利用するが、この目的で、バルブ29によって遮断されるように構成される導管30を通じて特別に湯生成器13へ接続される。湯生成器13からの湯を使用してウォーターディスペンサー3のすべての部位を洗浄できるように、導管30は、好ましく、炭化器27の上流で遮断弁8のできるだけ近くに終端すべきである。さらに、図示しないが、洗浄剤等の入力への接続を備えることができる。
【0025】
図1では、コーヒーメーカー2とウォーターディスペンサー3は、非常に多数の共通の機能的構成部品を使用する。しかし、少数の選択した共通の機能的構成部品のみを使用することも可能である。共通に使用される機能的構成部品の好適な組み合わせを図2から4に示す。
【0026】
図2は、湯生成器13から引き出されて水導管24へ開放する、その途中に遮断弁29を含む洗浄用導管30を通じた、きわめて目的にかなった好適な洗浄ユニット23の共通使用を示す。
【0027】
図3は、ポンプ16、制御ユニット32及び操作素子31の共通使用を示す。
【0028】
図4は、ミルク供給器18を冷却するために使用される冷却ブロック20を含む冷却ユニット19並びに冷却ブロックを通り導かれる導管24中の水の共通使用を示す。つまり、図示した実施形態では、気体源25と炭化器27はどちらも冷却されないことになる。
【0029】
図面に示した上記の実施形態の変形によれば、共通に使用される機能的構成部品のその他の組み合わせも考えられる。一方、ウォーターディスペンサーが、水圧を増加し、気体の吸い込みをよくするために、例えば、ポンプを含み、このポンプが入れ替わりにコーヒーメーカーによっても使用されることも可能である。ウォーターディスペンサーとコーヒーメーカーが別々のハウジングに収容されている場合、二つのハウジング間の必要な接続は、互いに独立して運ぶことができるように離脱可能であるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による飲料システムの概略全体図を示す。
【図2】本発明による飲料システムの特定の部位の概略部分図を示す。
【図3】本発明による飲料システムの特定の部位の概略部分図を示す。
【図4】本発明による飲料システムの特定の部位の概略部分図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温かい飲料を作り提供するためのコーヒーメーカー(2)と飲料水を処理して提供するためのウォーターディスペンサー(3)とを具備する飲料システム(1)であって、前記コーヒーメーカー(2)または前記ウォーターディスペンサー(3)の少なくとも一つの機能的構成部品が前記コーヒーメーカー(2)と前記ウォーターディスペンサー(3)の両方に利用可能なように前記コーヒーメーカー(2)と前記ウォーターディスペンサー(3)が互いに接続される飲料システム(1)。
【請求項2】
洗浄システム(23)が、前記コーヒーメーカー(2)と前記ウォーターディスペンサー(3)の両方に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の飲料システム。
【請求項3】
前記洗浄システム(23)は、前記コーヒーメーカー(2)の湯生成器(13)を含むことを特徴とする、請求項2に記載の飲料システム。
【請求項4】
新鮮な水を供給するための手段、好ましくは供給導管(14)及び/または水フィルター(16a)が、前記コーヒーメーカー(2)と前記ウォーターディスペンサー(3)の両方に接続されることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の飲料システム。
【請求項5】
制御及び/または操作ユニット、好ましくは制御ユニット(32)及び/または制御パネル(31)が、前記コーヒーメーカー(2)と前記ウォーターディスペンサー(3)の両方に接続されることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の飲料システム。
【請求項6】
前記ウォーターディスペンサー(3)は、水に気体を導入するための気体導入手段(27)を含み、前記コーヒーメーカー(2)と前記ウォーターディスペンサー(3)の前記気体導入手段(27)の両方に接続される昇圧ポンプ(16)が備えられることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれかに記載の飲料システム。
【請求項7】
前記コーヒーメーカー(2)は、ミルクを冷却するための冷却ユニット(19)を備え、前記冷却ユニット(19)は、前記ウォーターディスペンサー(3)の構成部品(24、25、27)を冷却するために前記ウォーターディスペンサー(3)に接続されることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載の飲料システム。
【請求項8】
前記ウォーターディスペンサー(3)と前記コーヒーメーカー(2)は、共通のハウジング(4)を有することを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載の飲料システム。
【請求項9】
前記コーヒーメーカー(2)と前記ウォーターディスペンサー(3)は、共通の排出口(8)を有することを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれかに記載の飲料システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−502276(P2009−502276A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523198(P2008−523198)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007205
【国際公開番号】WO2007/014653
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(506423970)ダブリューエムエフ ヴェルテンベルギッシュ メタルヴァーレンファブリック アーゲー (6)
【Fターム(参考)】