説明

飲料ディスペンサ

【課題】この発明は、専門知識を有するものが直接的かつ迅速に対処を施すことができ、利便性を向上できる飲料ディスペンサを提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明による飲料ディスペンサには、遠隔地に配置された遠隔管理装置21に通信手段20を介して接続される通信部16が設けられており、通信部16は、検出情報10a、設定情報12a、及び管理情報13aを含む表示部14の表示画像14aを遠隔管理装置21に送信し、遠隔管理装置21からの表示変更指令21bを受信して表示部14に表示されている表示画像14aを切換えるとともに、遠隔管理装置21からの設定変更指令21cを受信して動作制御部12に記憶されている設定情報12aを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばジュース等の飲料を供給する飲料ディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲食店などで飲料を販売する際に使用される飲料ディスペンサは、日常的に保守点検が実施され、衛生的であり故障等で営業に支障を来たさないように、常に適正な状態に管理される必要がある。一般に、日常的な保守点検は利用者によって実施され、専門的な点検や故障への対応については利用者からの依頼を受けたメンテナンス業者によって実施される。このような保守点検のシステムでは、効率的な対応は難しい。すなわち、突発的な故障が発生した場合、店舗の営業が止まってしまい、多大な損害が発生する可能性がある。また、深夜営業時に故障が発生すると、メンテナンス業者も日中ほど人材を確保しておらず、対応が遅くなり、営業への支障が大きくなる可能性がある。
【0003】
専門知識を有するものが日常的に飲料ディスペンサを監視していれば、故障前の兆候に気づき、故障に至る前に対処可能な場合もある。また、故障や不具合の内容によっては、専門の管理者や業者が現場に出向かなくても、適切な指示を使用者に伝えて容易に解決する場合もある。このような課題に対して、例えば下記の特許文献1等に示された飲料ディスペンサでは、飲料ディスペンサに設けられたセンサの信号を遠隔地に配置された遠隔管理装置に送信し、遠隔地において飲料ディスペンサの状態を監視できるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−6361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の飲料ディスペンサでは、センサの信号を遠隔管理装置に送信するだけの構成であるので、遠隔地において異常の兆候を発見できたとしても、電話等で対処を利用者に伝えるか、または専門知識を有するものが現地に出向いた上で対処するしかできず、専門知識を有するものが直接的かつ迅速に対処を施すことはできない。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、専門知識を有するものが直接的かつ迅速に対処を施すことができ、利便性を向上できる飲料ディスペンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る飲料ディスペンサは、飲料提供のための複数のセンサ及び機器と、機器の動作制御に用いる設定情報を記憶しており、センサからの検出情報及び設定情報に基づいて機器の動作を制御する動作制御部と、動作制御部からの情報に基づいて、機器の動作を監視することで得られる管理情報を作成する状態管理部と、検出情報、設定情報、及び管理情報を表示する表示部と、表示部に表示変更情報を入力して表示部に表示される情報を切換えるとともに、動作制御部に設定変更情報を入力して設定情報を変更する操作部と、遠隔地に配置された遠隔管理装置に通信手段を介して接続され、検出情報、設定情報、及び管理情報を遠隔管理装置に送信するとともに、遠隔管理装置からの設定変更指令を受信して動作制御部に記憶されている設定情報を変更する通信部とを備える。
【0008】
また、通信部は、検出情報、設定情報、及び管理情報として表示部に表示されている表示画像を遠隔管理装置に送信するとともに、遠隔管理装置からの表示変更指令を受信して表示部に表示されている表示画像を切換える。
また、通信部によって遠隔管理装置に送信される管理情報には、機器の動作時間及び動作回数の少なくとも一方が含まれている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の飲料ディスペンサによれば、通信部は、検出情報、設定情報、及び管理情報を遠隔管理装置に送信するとともに、遠隔管理装置からの設定変更指令を受信して動作制御部に記憶されている設定情報を変更するので、遠隔管理装置からでも異常の兆候を発見できるとともに、該兆候に対する対処を施すことができる。これにより、専門知識を有するものが直接的かつ迅速に対処を施すことができ、利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1による飲料ディスペンサを示す正面図である。
【図2】図1の飲料ディスペンサ1を示すブロック図である。
【図3】図2の表示部に表示される標準画像である。
【図4】図2の表示部に表示されるドリップ状態確認画像である。
【図5】図2の表示部に表示される第1パーツ状態画像である。
【図6】図2の表示部に表示される第2パーツ状態画像である。
【図7】図2の表示部に表示される第3パーツ状態画像である。
【図8】図2の表示部に表示される第4パーツ状態画像である。
【図9】図2の表示部に表示される第5パーツ状態画像である。
【図10】図2の表示部に表示される温度グラフ画像である。
【図11】図2の表示部に表示される設定画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による飲料ディスペンサを示す正面図である。図において、飲料ディスペンサ1には、下部筐体1aと上部筐体1bとが設けられている。下部筐体1aには、製氷部2、ストッカ部3、及びステージ4が設けられている。製氷部2は、例えば周知のオーガ方式やセル方式等の製氷機であり、外部より供給される製氷用水から氷を生成する。ストッカ部3は、製氷部2で生成された氷を貯める貯氷庫であり、製氷部2に隣接して配置されている。ステージ4は、飲料提供されるカップが載置される台であり、製氷部2及びストッカ部3の上方に配置されている。
【0012】
上部筐体1bには、複数のカップサイズセンサ5、氷放出部6、飲料注出部7、及び操作パネル8が設けられている。各カップサイズセンサ5は、ステージ4の後部に立設された壁部5aにおいて飲料ディスペンサ1の高さ方向1cに沿って離間された複数のセンサ体5bからそれぞれ構成されており、ステージ4に載置されたカップの大,中,小のカップサイズを識別するためのものである。
【0013】
氷放出部6は、飲料ディスペンサ1の幅方向1dに沿う略中央に配置された氷放出口6aと、氷放出口6aの上方に配置された氷放出ボタン6bとを有している。また、具体的には図示しないが、氷放出部6は、ギヤモータの駆動力によりスクリュを回転させてスクリュの螺旋刃によりストッカ部3から上方の第2ストッカまで氷を搬送する氷搬送機構、及び第2ストッカに貯められた氷がカップサイズに応じた量だけ氷放出口6aから放出されるように、計量マスで氷を計量した上で氷を氷放出口6aから放出させる氷定量放出機構を有している。氷放出部6は、利用者による氷放出ボタン6bの押下に応じて氷放出口6aから氷を放出する。
【0014】
飲料注出部7は、飲料を生成するとともに、この飲料をステージ4上のカップに注出する。この飲料注出部7には、ドリップ飲料注出部70、ポストミックス飲料注出部71、及び濃縮還元飲料注出部72が含まれている。
【0015】
ドリップ飲料注出部70は、図示しない給湯部からの湯によって例えばコーヒ及び紅茶等のドリップ飲料を生成するドリップ飲料生成器70aと、生成されたドリップ飲料が種類別に貯められる複数のドリップ飲料タンク70bと、ドリップ飲料タンク70bの下部に配置された複数のドリップ飲料注出バルブ70cとを有している。ドリップ飲料生成器70aによってドリップ飲料が生成される際には、ドリップ飲料タンク70bに予め氷が投入されており、ドリップ飲料生成器70aから各ドリップ飲料タンク70bにドリップ飲料が直接滴下される。これにより、ドリップ飲料タンク70bにおいて、ドリップ飲料が所定濃度まで希釈されるとともに冷却される。各ドリップ飲料タンク70bに貯められたドリップ飲料は、対応するドリップ飲料注出バルブ70cからそれぞれ注出される。
【0016】
ポストミックス飲料注出部71は、氷放出口6aを挟むように配置された一対のポストミックス飲料注出バルブ71aと、このポストミックス飲料注出バルブ71aの上方に配置された複数のポストミックス飲料注出ボタン71bとを有している。また、ポストミックス飲料注出部71は、ポストミックス飲料注出ボタン71bの押下に応じて、図示しないカーボネータからの炭酸水又は微炭酸水とシロップ(原料)とを混合させて例えばコーラ等のポストミックス飲料を生成する。さらに、ポストミックス飲料注出部71は、生成したポストミックス飲料をポストミックス飲料注出バルブ71aから注出する。
【0017】
濃縮還元飲料注出部72は、図中右側に配置された一対の濃縮還元飲料注出バルブ72aと、この濃縮還元飲料注出バルブ72aの上方に配置された濃縮還元飲料注出ボタン72bとを有している。また、濃縮還元飲料注出部72は、濃縮還元飲料注出ボタン72bの押下に応じて、シロップと水とを混合させて例えばオレンジジュース等の濃縮還元飲料を生成するとともに、生成した濃縮還元飲料注出バルブ72aから注出する。
【0018】
利用者への飲料提供は、上述した製氷部2、ストッカ部3、カップサイズセンサ5、氷放出部6、及び飲料注出部7(以降、これらを各ユニットと呼ぶ)によって行われる。すなわち、この実施の形態の飲料ディスペンサ1での飲料提供には、製氷部2による氷の生成、ストッカ部3による氷の貯蔵、カップサイズセンサ5によるカップサイズの検出、氷放出部6による氷の放出、飲料注出部7による飲料の生成、飲料注出部7による飲料の保存、及び飲料注出部7による飲料の注出が含まれる。
【0019】
操作パネル8は、例えば液晶ディスプレイ等の表示器にタッチパネルが重ねられたタッチパネルから構成されており、氷放出部6及びポストミックス飲料注出部71の上方に配置されている。この操作パネル8は、後に詳しく説明するように、上述したユニット単位での電源のオン及びオフの切換え、各部位の動作パターンの設定、及び機械内部の電気部品の動作及び状態の確認に用いられる。
【0020】
次に、図2は、図1の飲料ディスペンサ1を示すブロック図である。図において、飲料ディスペンサ1には、複数のセンサ10、複数の機器11、動作制御部12、状態管理部13、表示部14、操作部15、及び通信部16が設けられている。センサ10及び機器11は、前述した各ユニットを構成する飲料提供のための構成であり、例えばサーミスタ、スイッチ、センサ体5b(図1参照)、モータ、バルブ、ヒータ、及びポンプ等である。
【0021】
動作制御部12は、例えばマイクロコンピュータ等から構成されており、センサ10及び機器11に接続されている。この動作制御部12は、機器11の動作制御に用いる設定情報12aを記憶しており、センサ10からの検出情報10a及び設定情報12aに基づいて機器11の動作を制御して各ユニットの動作を実現する。後に図を用いて説明するが、設定情報12aには、例えば各ユニットを動作させるか否かの設定、ドリップ飲料の一杯当りの注出質量の設定、並びにポストミックス飲料及び濃縮還元飲料の一杯当りの注出時間等が含まれている。
【0022】
状態管理部13は、動作制御部12ととともに例えばマイクロコンピュータ等から構成されており、動作制御部12からの例えば動作制御の結果等を示す情報12bに基づいて管理情報13aを作成する。管理情報13aは、機器11の動作を監視することで得られる情報であり、センサ10及び機器11による飲料提供の状態を管理するためのものである。後に図を用いて説明するが、管理情報13aには、例えばドリップ飲料注出部70によって保存されているドリップ飲料の保存時間、どのモータがどのように駆動されているか、及び機器11の動作回数等が含まれている。
【0023】
表示部14は、図1に示す操作パネル8の表示器部分であり、センサ10からの検出情報10a、動作制御部12に記憶されている設定情報12a、及び状態管理部13によって作成された管理情報13aを表示するものである。操作部15は、操作パネル8のタッチパッド部分であり、表示部14の表示に沿って行われる利用者による操作を信号として出力するものである。すなわち、操作部15は、表示部14に表示変更情報15aを入力して表示部14に表示される情報を切換えるとともに、動作制御部12に設定変更情報15bを入力して設定情報12aを変更する。
【0024】
通信部16は、操作パネル8及び動作制御部12に接続されるとともに、例えばイーサネット等の通信手段20を介して遠隔管理装置21に接続されている。遠隔管理装置21は、飲料ディスペンサ1が配置された現地から離れた遠隔地に配置されているコンピュータである。
【0025】
この通信部16は、検出情報10a、設定情報12a、及び管理情報13aを含む表示部14の表示画像14aを、遠隔管理装置21からの要求信号21aに応じて遠隔管理装置21に送信する。また、通信部16は、遠隔管理装置21からの表示変更指令21bを受信して表示部14に表示されている表示画像14aを切換える。さらに、通信部16は、遠隔管理装置21からの設定変更指令21cを受信して動作制御部12に記憶されている設定情報12aを変更する。これにより、遠隔管理装置21でも現地の操作パネル8を操作するのと同様の操作ができる。すなわち、遠隔管理装置21においても検出情報10a、設定情報12a、及び管理情報13aに基づいて機器11の異常の兆候の発生を監視できるとともに、異常の兆候に対して設定情報12aの変更による対処を実施することができる。
【0026】
ここで、表示部14の表示について、より詳細に説明する。表示部14に表示される表示画像には、図3に示す標準画像140、図4に示すドリップ状態確認画像141、図5〜図9に示す第1〜第5パーツ状態画像142〜146、及び図10に示す温度グラフ画像147、及び図11に示す設定画像148が含まれる。
【0027】
図3の標準画像140は、平常時に表示部14に表示されている画面である。この標準画像140には、ドリップ用の湯の温度を示す湯温表示140a、原料保冷庫の温度を示す保存温度表示140b、飲料のドリップ後の経過時間を示す経過時間表示140c、及び複数の状態確認ボタン表示140dが含まれている。経過時間表示140cの枠は、ドリップ後の経過時間が規定の賞味時間を超えた際に点滅するアラーム表示140eを兼ねている。湯温表示140a及び保存温度表示140bは、検出情報10aの表示であり、経過時間表示140c及びアラーム表示140eは、管理情報13aの表示である。なお、検出情報10aの表示はセンサ10の出力信号から直接的に得られる情報の表示であり、管理情報13aの表示は飲料提供に係る機器11の動作を監視することで得られる情報の表示である。
【0028】
状態確認ボタン表示140dはドリップ飲料の種類毎の各タンクに対応するように設けられており、この状態確認ボタン表示140dが利用者によって押下されることで、ドリップ飲料のタンク毎の状態を詳細に示す図4のドリップ状態確認画像141が表示される。このとき、操作部15から表示部14に表示変更情報15aが入力される。この詳細確認画像141には湯量表示141aが含まれており、各タンクに対応する湯量を確認できる。
【0029】
図5の第1パーツ状態画像142は、氷の生成、貯蔵、及び放出に係るパーツの状態を一括して表示する表示画像である。この第1パーツ状態画像142には、運転状態表示142a、戸開状態表示142b、貯氷表示142c、氷放出ボタン状態表示142d、及び計量マス状態表示142eが含まれている。運転状態表示142aは、製氷部2やストッカ部3等に含まれるギヤモータが運転中か否かを示すものである。戸開状態表示142bは、ストッカ部3等の扉が開いているか否かを示すものである。貯氷表示142cは、第2ストッカに氷が貯まっているか否かを示すものである。氷放出ボタン状態表示dは、氷放出ボタン6bがオンされているか否かを示すものである。具体的には、図中、Nがドリップ飲料用の氷に対応する氷放出ボタン6bの状態を示し、1gDがドリップした飲料を希釈冷却する氷に対応する氷放出ボタン6bの状態を示し、Sがソフトドリンク用の氷に対応する氷放出ボタン6bの状態を示している。計量マス状態表示eは、放出される氷を計量するマスの位置を表示するものである。運転状態表示142aは管理情報13aの表示であり、戸開状態表示142b、貯氷表示142c、氷放出ボタン状態表示142d、及び計量マス状態表示142eは検出情報10aの表示である。
【0030】
この第1パーツ状態画像142では、運転状態表示142a、戸開状態表示142b、及び貯氷表示142cの状態を確認することで、氷が搬送されない原因を確認できる。すなわち、運転状態表示142aのGMが点滅されている場合には、ギヤモータへの信号が出力されていることが確認でき、ギヤモータの故障やスクリュの不良等のハード的な異常が原因であると確認できる。一方で、運転状態表示142aのGMが点滅されていない場合には、ソフト的な異常が原因であると確認できる。また、戸開状態表示142bの冷蔵庫又はビン庫の表示がOFFとされている場合には安全装置の作動が原因であり、貯氷表示142cの表示がFullの場合には上部ストッカが満タンであることが原因であると確認できる。
【0031】
また、第1パーツ状態画像142では、氷放出ボタン状態表示142d及び計量マス状態表示142eの状態を確認することで、氷が放出されない原因を確認できる。すなわち、氷放出ボタン6bを操作しているにも拘わらず氷放出ボタン状態表示142dのN,D,Sが点灯されていない場合には、氷放出ボタン6bが接触不良等によりオンされないことが原因であると確認できる。また、計量マス状態表示142eに反応がない場合には、計量マスが動かないことが原因であると確認できる。
【0032】
さらに、第1パーツ状態画像142では、計量マス状態表示142eの状態を確認することで、氷が定量放出されない原因を確認できる。すなわち、計量マス状態表示142eにおける計量マスの位置が規定位置まで動いていない場合には、氷定量放出機構の設定不良か動作不良が原因として確認できる。
【0033】
また、第1パーツ状態画像141には、画面切換ボタン表示141fが含まれており、利用者により画面切換ボタン表示141fが押下されると、操作部15から表示部14に表示変更情報15aが入力される。
【0034】
図6の第2パーツ状態画像143は、ドリップ動作に係るパーツの状態を一括して表示する表示画像である。この第2パーツ状態画像143には、ヒータ状態表示143a、スイッチ状態表示143b、バルブ状態表示143c、適温表示143d、ファンネル位置表示143e、ユニット位置表示143f、ドリップ開始ボタン状態表示143g、ドリップ状態表示143h、及びポンプ状態表示143iが含まれている。
【0035】
ヒータ状態表示143aは、湯タンクのヒータの運転状態を示す表示である。スイッチ状態表示143bは、湯タンクの水位を検出するフロートスイッチの運転状態を示す表示である。バルブ状態表示143cは、湯タンクへの水の供給を行うウォータバルブの運転状態を示す表示である。適温表示143dは、湯タンク内の湯温が適温か否かを示す表示である。ファンネル位置表示143eは、ファンネルがセットされている位置を示す表示である。この図6では、6つのドリップ飲料タンク70bがレフト、センタ、及びライトの3組に2つずつ区分されており、レフトの組に含まれる右側のドリップ飲料タンク70bにファンネルがセットされていることが示されている。ユニット位置表示143fは、ドリップ飲料生成器70aが正規位置に位置されている場合に点灯される表示であり、ドリップの開始が可能であるか否かを示している。ドリップ開始ボタン状態表示143gは、ドリップを開始するためのドリップ開始ボタンがオンされている場合に点灯される表示である。ドリップ状態表示143hは、ドリップ動作の状態を示す表示であり、Sの点滅によりドリップ動作が行われていることを示し、Eの点灯によりドリップ動作が完了したことを示している。ポンプ状態表示143iは、ドリップ飲料タンク70bに湯を供給するためのポンプ、及びドリップ飲料タンク70bから湯を排出するためのポンプの動作状態を示す表示である。これらヒータ状態表示143a、スイッチ状態表示143b、バルブ状態表示143c、適温表示143d、ファンネル位置表示143e、ユニット位置表示143f、ドリップ開始ボタン状態表示143g、ドリップ状態表示143h、及びポンプ状態表示143iは、検出情報10aの表示である。
【0036】
この第2パーツ状態画像143では、ドリップ状態表示143hを確認することでドリップが開始されるか否かを確認できるとともに、適温表示143d、ファンネル位置表示143e、ユニット位置表示143f、ドリップ開始ボタン状態表示143g、及びポンプ状態表示143iを確認することで、ドリップが開始されない原因を確認できる。すなわち、適温表示143dが点灯されていない場合には、湯タンク内の湯が沸いていないことが原因であると確認できる。また、ファンネル位置表示143eの点灯位置がドリップを行う位置でない場合、及びユニット位置表示143fが点灯していない場合には、ファンネル及びドリップ飲料生成器70aの位置が適切でないことが原因であると確認できる。さらに、ドリップ開始ボタンを操作しているにも拘わらずドリップ開始ボタン状態表示143gが点灯されない場合には、ドリップ開始ボタンが接触不良等によりオンされないことが原因であると確認できる。さらにまた、ポンプ状態表示143iのいずれかの表示が消灯されている場合には、各ポンプに異常が生じていることが原因であると確認できる。
【0037】
また、第2パーツ状態画像143では、ヒータ状態表示143a、スイッチ状態表示143b、及びバルブ状態表示143cを確認することで、湯が沸かない原因を確認できる。すなわち、いずれかのヒータ状態表示143aが点滅されている場合には、ヒータに異常が生じていることが原因であると確認できる。また、スイッチ状態表示143bがオフになっている場合には、湯タンクに水が供給されていないことが原因であると確認できる。さらに、いずれかのバルブ状態表示143cが点滅されている場合には、ウォータバルブに異常が生じていることが原因であると確認できる。
【0038】
図7の第3パーツ状態画像144は、ドリップ飲料の注出に係る構成に含まれるパーツの状態を一括して表示する表示画像である。この第3パーツ状態画像144には、ドリップ飲料センサ状態表示144a、ドリップ飲料バルブ状態表示144b、及びドリップ飲料ランプ状態表示144cが含まれている。ドリップ飲料センサ状態表示144aは、ドリップ飲料注出部70の下部に位置するカップサイズセンサ5に含まれる各センサ体5bの検出状態を示す表示である。ドリップ飲料バルブ状態表示144bは、ドリップ飲料注出バルブ70cを開閉するための構成の状態を示す表示であり、ドリップ飲料注出バルブ70cの操作を検出する注出スイッチがオンされるか否か、及び注出スイッチがオンされた場合にドリップ飲料注出バルブ70cを開くソレノイドアクチュエータが動作されるか否かを示している。ドリップ飲料ランプ状態表示144cは、運転ランプの状態を示す表示である。ドリップ飲料が出っ放しになった時には、これらドリップ飲料センサ状態表示144a、ドリップ飲料バルブ状態表示144b、及びドリップ飲料ランプ状態表示144cがハイライト状態となる。ドリップ飲料センサ状態表示144a、ドリップ飲料バルブ状態表示144b、及びドリップ飲料ランプ状態表示144cは、検出情報10aの表示である。
【0039】
この第3パーツ状態画像144では、ドリップ飲料センサ状態表示144a、ドリップ飲料バルブ状態表示144b、及びドリップ飲料ランプ状態表示144cを確認することで、飲料が定量注出されない原因を確認できる。すなわち、ドリップ飲料センサ状態表示144aを確認することで、センサによるカップサイズの識別に異常が生じていること、又はセンサ自体に異常が生じていることが原因であると確認できる。また、ドリップ飲料バルブ状態表示144bを確認することで、ドリップ飲料注出バルブ70cの注出スイッチ又はソレノイドアクチュエータに異常が生じていることが原因であると確認できる。さらに、ドリップ飲料ランプ状態表示144cを確認することで、ドリップ飲料の注出準備が整っていないことが原因であると確認できる。
【0040】
図8の第4パーツ状態画像145は、ポストミックス飲料及び濃縮還元飲料を含むソフトドリンクの注出に係る構成に含まれるパーツの状態を一括して表示する表示画像である。この第4パーツ状態画像145には、ソフトドリンク注出ボタン状態表示145a、ソフトドリンクバルブ状態表示145b、及びポンプ状態表示145cが含まれている。ソフトドリンク注出ボタン状態表示145aは、ポストミックス飲料注出ボタン71b及び濃縮還元飲料注出ボタン72bがオンされているか否かの状態を示す表示である。ソフトドリンクバルブ状態表示145bは、ポストミックス飲料注出バルブ71a及び濃縮還元飲料注出バルブ72aの開閉状態を示す表示である。ポンプ状態表示145cは、濃縮還元飲料注出部72に含まれるウェーブポンプの運転状態を示す表示である。なお、図中左側の2つのブロック(ソフトドリンク注出ボタン状態表示145aのS1〜S9を含むブロック)と該ブロックの下に位置するソフトドリンクバルブ状態表示145b(三角で囲まれた一組のLR)がポストミックス飲料に係る表示であり、図中右側の2つのブロックと該ブロックの下に位置するソフトドリンクバルブ状態表示145bとが濃縮還元飲料に係る表示である。ソフトドリンク注出ボタン状態表示145a、ソフトドリンクバルブ状態表示145b、及びポンプ状態表示145cは、検出情報10aの表示である。
【0041】
この第4パーツ状態画像145では、ソフトドリンク注出ボタン状態表示145a、ソフトドリンクバルブ状態表示145b、及びポンプ状態表示145cを確認することで、飲料が注出されない原因を確認できる。すなわち、ソフトドリンク注出ボタン状態表示145aを確認することで、ポストミックス飲料注出ボタン71b及び濃縮還元飲料注出ボタン72bに接触不良等の異常が生じていることが原因であることが確認できる。また、ソフトドリンクバルブ状態表示145bを確認することで、ポストミックス飲料注出バルブ71a及び濃縮還元飲料注出バルブ72aに異常が生じていることが原因であることが確認できる。さらに、ポンプ状態表示145cを確認することで、濃縮還元飲料注出部72に含まれるウェーブポンプに異常が生じていることが原因であると確認できる。
【0042】
図9の第5パーツ状態画像146には、サーミスタ、ポンプ、モータ、及びバルブ等の飲料提供に係る機器11の動作回数を示す動作回数表示146aと、各機器11において断線が生じているか否かを示す断線診断表示146bとが含まれている。すなわち、第5パーツ状態画像146は、飲料提供に係る機器11の交換時期の判断や故障原因の究明(動作回数が少ないにも拘わらず故障した場合には他の原因が考えられる)に用いられる表示画像である。動作回数表示146a及び断線診断表示146bは、管理情報13aの表示である。なお、管理情報13aには、これら機器11の動作回数の蓄積データも含まれており、この蓄積データから動作回数の時間の流れに沿う変化を表示してもよい。
【0043】
図10の温度グラフ画像147には、飲料提供に係る機器11の温度変化を示す温度グラフ表示147aが含まれている。すなわち、温度グラフ画像147は、機器11の故障の判断、及び原料の品質管理に用いられる表示画像である。温度グラフ表示147aは、管理情報13aの表示である。この温度グラフ画像147では、運転率から冷凍回路部品の寿命が推測できる。
【0044】
図11の設定画像148には、給湯器、氷放出部6、ドリップ飲料注出部70、ポストミックス飲料注出部71、濃縮還元飲料注出部72、カーボネータの電源のオン及びオフの設定を示す電源設定表示148aと、ヒータの熱量の設定を示す熱量表示148bと、ストッカ部3の霜取り機能のオン及びオフの設定を示す機能設定表示148cと、給湯器及び製氷部2の電源を自動で切換えるタイマの設定を示すタイマ設定表示148dとが含まれている。これら電源設定表示148a、熱量表示148b、機能設定表示148c、及びタイマ設定表示148dは、設定情報12aの表示である。異常があった場合、異常のあった箇所のみ停止し、サービスすれば、営業への支障を最小限に抑えられる。
【0045】
このような飲料ディスペンサ1では、通信部16は、検出情報10a、設定情報12a、及び管理情報13aを遠隔管理装置21に送信するとともに、遠隔管理装置21からの設定変更指令21cを受信して動作制御部12に記憶されている設定情報12aを変更するので、遠隔管理装置21からでも異常の兆候を発見できるとともに、該兆候に対する対処を施すことができる。これにより、専門知識を有するものが直接的かつ迅速に対処を施すことができ、利便性を向上できる。
【0046】
また、通信部16は、表示部14に表示されている表示画像14aを遠隔管理装置21に送信するとともに、遠隔管理装置21からの表示変更指令21bを受信して表示部14に表示されている表示画像14aを切換えるので、遠隔地と現地とで操作パネル8の表示及び操作を共有でき、異常の兆候の発見及び兆候に対する対処の実施をより確実に行うことができる。
【0047】
さらに、管理情報13aに機器11の動作回数が含まれており、通信部16は、第5パーツ状態画像145として機器11の動作回数を遠隔管理装置21に送信するので、遠隔地においても機器11の交換時期を判断でき、異常の兆候をより確実に発見できる。
【0048】
なお、実施の形態1では、通信部16が表示部14に表示されている表示画像14aを遠隔管理装置21に送信すると説明したが、表示画像という形式ではなく、センサからの検出情報、動作制御部に記憶されている設定情報、及び状態管理部が作成した管理情報をデータとして遠隔管理装置に直接送信してもよい。すなわち、通信部は、センサ及び状態管理部に接続されていてもよい。このように構成することで、飲料ディスペンサと遠隔管理装置との間で送受信されるデータ量を小さくでき、短時間でより多くの情報を遠隔地で得ることができる。この構成は、複数の飲料ディスペンサを1台の遠隔管理装置で集中管理する場合に特に有効である。
【0049】
また、実施の形態1では、機器11の動作回数を示す動作回数表示145aが含まれる第5パーツ状態画像145を遠隔管理装置21に送信する構成を説明したが、機器の動作時間を示す表示が含まれる表示画像を遠隔管理装置に送信してもよい。これは、機器の動作時間からも、機器の交換時期を判断でき、異常の兆候を発見できるためである。すなわち、通信部によって遠隔管理装置に送信される管理情報には、機器の動作時間及び動作回数の少なくとも一方が含まれていればよい。
【符号の説明】
【0050】
1 飲料ディスペンサ、 10 センサ、 10a 検出情報、 11 機器、 12 動作制御部、 12a 設定情報、 13 状態管理部、 13a 管理情報、 14 表示部、 14a 表示画像、 15 操作部、 15a 表示変更情報、 15b 設定変更情報、 16 通信部、 20 通信手段、 21 遠隔管理装置、 21b 表示変更指令、 21c 設定変更指令

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料提供のための複数のセンサ及び機器と、
前記機器の動作制御に用いる設定情報を記憶しており、前記センサからの検出情報及び前記設定情報に基づいて前記機器の動作を制御する動作制御部と、
前記動作制御部からの情報に基づいて、前記機器の動作を監視することで得られる管理情報を作成する状態管理部と、
前記検出情報、前記設定情報、及び前記管理情報を表示する表示部と、
前記表示部に表示変更情報を入力して前記表示部に表示される情報を切換えるとともに、前記動作制御部に設定変更情報を入力して前記設定情報を変更する操作部と、
遠隔地に配置された遠隔管理装置に通信手段を介して接続され、前記検出情報、前記設定情報、及び前記管理情報を前記遠隔管理装置に送信するとともに、前記遠隔管理装置からの設定変更指令を受信して前記動作制御部に記憶されている前記設定情報を変更する通信部と
を備えていることを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項2】
前記通信部は、前記検出情報、前記設定情報、及び前記管理情報として前記表示部に表示されている表示画像を前記遠隔管理装置に送信するとともに、前記遠隔管理装置からの表示変更指令を受信して前記表示部に表示されている前記表示画像を切換えることを特徴とする請求項1記載の飲料ディスペンサ。
【請求項3】
前記通信部によって前記遠隔管理装置に送信される前記管理情報には、前記機器の動作時間及び動作回数の少なくとも一方が含まれていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飲料ディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−126569(P2011−126569A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286545(P2009−286545)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【出願人】(593143898)日本マクドナルド株式会社 (2)
【Fターム(参考)】