説明

飲料ディスペンサ

【課題】注出空間の内部を衛生的に保つことを容易にした飲料ディスペンサを提供することを目的とする。
【解決手段】ディスペンサ本体2の内部に設けられたカップステージ11と、フロントパネル3に設けられた開口枠12とによって、飲料が注出される容器を出し入れするための注出空間5が形成されている。また、開口枠12には注出口扉6が回動可能に設けられている。注出口扉6は、ヒンジ7を介して固定部材21の支持部21bに連結されている。固定部材21の締結部21cは、フロントパネル3が閉じられた状態において互いに対向するカップステージ11と開口枠12との間を通って注出空間5の外部に延出しており、フロントパネル3の背面3a側に形成されたボス23に締結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は飲料ディスペンサに係り、特に、飲料が注出される容器を出し入れするための注出空間周辺の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の給茶機(飲料ディスペンサ)によれば、給茶機本体の内部に設けられたカップステージと前面扉に形成された開口部とによって注出空間が形成され、その内部に載置されたカップ等の容器に飲料が注出されるようになっている。一般に、この給茶機のような飲料ディスペンサを職場や食堂等に設置して飲料を無料で提供する場合、利用者が混雑することなく手軽に飲料を飲めるようにするため、前面扉の開口部を開放しておくことが多い。一方、注出中の飲料による利用者の火傷を防止する必要がある場合等においては、飲料が注出空間の外部に飛散することを防止するため、前面扉の開口部を開閉する注出口扉を設けることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−113282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の給茶機に注出口扉を取り付けようとする場合、前面扉の開口部にヒンジをビス止めし、ヒンジによって注出口扉を回動可能に支持することが考えられる。しかしながら、この場合、ビスは注出空間の内部に配置されるため、注出中に飛散した飲料が汚れとして付着する。また、ビス及びその周辺には汚れが溜まりやすく、且つ溜まった汚れを掃除しにくいため、注出空間の内部を衛生的に保つことが困難であるという問題点が生じる。
【0005】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、注出空間の内部を衛生的に保つことを容易にした飲料ディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る飲料ディスペンサは、本体扉によって開閉されるディスペンサ本体と、本体扉に設けられた開口部、及びディスペンサ本体の内部に設けられて飲料が内部に注出されるカップステージから形成される注出空間と、開口部を開閉する注出口扉と、注出口扉を回動可能に支持して注出口扉による開口部の開閉を可能にする回動支持部材とを備えた飲料ディスペンサにおいて、注出口扉を本体扉に対して固定する固定部材をさらに備え、固定部材は、回動支持部材が接合される支持部と、本体扉に締結される締結部とを有し、締結部は、注出空間の外部で本体扉の背面側に締結されることを特徴とするものである。
【0007】
回動支持部材が接合される支持部と、本体扉に締結される締結部とを有する固定部材を用いて注出口扉を本体扉に固定するようにし、締結部を注出空間の外部で本体扉の背面側に締結したので、締結のために用いられる部材や部位、すなわち汚れが溜まりやすいビスやビス穴等が注出空間の内部で露出することがない。また、締結部を本体扉の背面側に締結したので、本体扉を開ければ注出口扉、回動支持部材及び固定部材を一体として取り外すことが可能となり、注出空間の内部で固定部材周辺が汚れたとしても、容易に掃除を行うことができる。したがって、飲料ディスペンサにおいて、注出空間の内部を衛生的に保つことが容易になる。
【0008】
注出空間は、開口部とカップステージとが互いに対向することによって形成され、締結部は、カップステージと開口部との間を通って注出空間の外部に延出して、本体扉の背面側に締結されてもよい。飲料ディスペンサが元々備えているカップステージと開口部との間の僅かな隙間に締結部を通すため、カップステージや開口部に対し、締結部を注出空間の外部に延出させるための穴や溝等の加工を行う必要がない。
本体扉の背面には、開口部の内部側面に対して略平行に延在する補強リブが形成され、固定部材はコ字状に形成され、内部側面及び補強リブに当接してもよい。注出口扉を開閉する際に本体扉に作用する荷重が開口部と補強リブとに分散されるため、本体扉の耐久性を向上することができる。また、固定部材を開口部の内部側面と補強リブとに嵌め込むように取り付けることが可能となり、固定部材を取り付ける際の位置決めが容易となる。
本体扉の背面に固定される金属製の補強部材をさらに備え、締結部は、補強部材を介して本体扉に締結されてもよい。本体扉は樹脂製であることが一般的であるため、金属製の補強部材を用いることにより、本体扉の耐久性をさらに向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、飲料ディスペンサにおいて、注出空間の内部を衛生的に保つことが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る飲料ディスペンサを概略的に示す斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおいて、本体扉が開いた状態を概略的に示す斜視図である。
【図3】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおける固定部材を示す斜視図である。
【図4】(a)は実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおける注出空間周辺を示す断面図であり、(b)は注出空間周辺の要部を示す部分拡大断面図である。
【図5】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおける注出空間周辺の構成を示す斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る飲料ディスペンサにおける固定部材を示す斜視図である。
【図7】実施の形態2に係る飲料ディスペンサにおける注出空間周辺の構成を示す斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係る飲料ディスペンサにおける注出空間周辺を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について添付図に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、この実施の形態1に係る飲料ディスペンサ1を示す。尚、飲料ディスペンサ1における上下方向及び前後方向を図1に示す各矢印によって規定する。
飲料ディスペンサ1は、前面開口を有する箱状のディスペンサ本体2と、ディスペンサ本体2の前部に設けられた樹脂製の本体扉であるフロントパネル3とを備えている。フロントパネル3は、ディスペンサ本体2の一方の側部に回動可能に支持されており、フロントパネル3を回動させることによってディスペンサ本体2の前面開口が開閉されるようになっている(図2の矢印B参照)。また、フロントパネル3の前面には、複数のボタン4aが配置された操作パネル4が設けられており、飲料ディスペンサ1の利用者がボタン4aを操作することによって飲料の注出が行われるようになっている。
【0012】
また、飲料ディスペンサ1は、操作パネル4の下方で開口する注出空間5を有している。注出空間5は、ディスペンサ本体2の内部側に延在する空間であって、その内部における前方側に注出口扉6が設けられることによって、注出空間5の内部と外部とが遮断されるようになっている。注出口扉6は、一端側を回動支持部材である一対のヒンジ7によって回動可能に支持されており、矢印Aで示される方向に回動可能となっている。また、注出口扉6の他端側には、注出口扉6を回動させる際に利用者が把持するためのハンドル8が固定されている。ここで、飲料ディスペンサ1は、注出空間5の内部に載置されたカップ等の容器に飲料を注出するものであり、注出口扉6を回動させることによって、注出空間5への容器の出し入れが可能となる。
【0013】
図2に示すように、注出空間5は、ディスペンサ本体2の内部に設けられたカップステージ11と、フロントパネル3に開口部として設けられた開口枠12とから形成されている。カップステージ11は、前方側で開口した箱状の部材であって、その内部に容器が載置されるようになっている。一方、開口枠12は、注出口扉6によって開閉される部位であって、フロントパネル3の背面3aから突出するように設けられている。ここで、フロントパネル3の背面3aとは、フロントパネル3を閉じた際にディスペンサ本体2の内部側に位置する側の面である。カップステージ11の前方側の周縁部11aと開口枠12の後方側の周縁部12aとは、フロントパネル3が閉じられた際に互いに対向するように形成されており、それにより、注出空間5の内部がディスペンサ本体2の内部から隔てられるようになっている。また、開口枠12の一方の側部には、注出口扉6をフロントパネル3に固定するため、後に詳述する固定部材21が設けられている。
【0014】
尚、飲料ディスペンサ1は、粉末原料と水とを混合することによって飲料を生成するものであり、ディスペンサ本体2の内部における上方側には、粉末原料が収容された3つのキャニスタ13が横方向に並べられた状態で設けられている。また、各キャニスタ13の下方には、対応するキャニスタ13から供給される粉末原料と、図示しない給水管から供給される水とを攪拌して飲料を生成するミキシングユニット14がそれぞれ設けられている。さらにその下方には、ミキシングユニット14から放出される飲料を受けるガイド部材15が設けられており、ガイド部材15の底部には、飲料をカップステージ11の内部に注出するための放出穴15aが形成されている。
【0015】
ここで、図3〜5を用いて、固定部材21の構成及びその周辺の構成について詳細に説明する。
図3(a)に示すように、固定部材21は金属製の薄板からなる部材であって、平面部21aの一端側に形成された支持部21bと、他端側に形成された締結部21cとを有している。支持部21bは、平面部21aの一端側を二箇所で屈折させることによって形成され、平面部21aに対して略平行に延在する部位であって、この支持部21bに一対のヒンジ7が接合されることによって、注出口扉6(図1参照)と固定部材21とが連結されている。
【0016】
尚、ヒンジ7は、第一ブラケット7aと第二ブラケット7bとを、これらが相対的に回動可能となるように軸部7cを介して連結した部材である。ヒンジ7と固定部材21とは、ヒンジ7の第一ブラケット7aと固定部材21の支持部21bとを、例えば溶接等で接合することによって固定されている。一方、締結部21cは、支持部21bとは反対側に屈折されてL字状に形成された部位であって、固定部材21をフロントパネル3に固定するビス24(図4(b)参照)を通すための貫通穴22(図3(b)参照)が二箇所に形成されている。
【0017】
図4(a)に示すように、フロントパネル3はパネル本体3bと枠部材3cとを有しており、これらが接合されることによって、背面3aから突出する開口枠12が形成されている。また、固定部材21は、開口枠12の内周部において図4(a)の左側に位置する内部側面12bに設けられている。図4(b)に示すように、固定部材21の支持部21bは、注出空間5の内部における前方側に配置されている。支持部21bに固定されたヒンジ7には、注出口扉6の一端側が取り付けられており、それにより、注出口扉6と固定部材21とがヒンジ7を介して連結され、注出口扉6が図4(a)の矢印Aで示す方向に回動可能に支持された状態となっている。
【0018】
図4(b)に示すように、固定部材21の平面部21aは、開口枠12の内部側面12bに当接している。また、固定部材21の締結部21cは、フロントパネル3が閉じられた状態において互いに対向するカップステージ11と開口枠12との間を通って注出空間5の外部、すなわちディスペンサ本体2の内部におけるフロントパネル3の背面3a側に延出している。フロントパネル3の背面3aには、開口枠12の外周部から突出するボス23が二箇所(図5参照)に形成されている。締結部21cは、これらのボス23に対して、ビス24及びワッシャ25を用いて締結されている。
【0019】
このように、固定部材21をフロントパネル3に固定するためのビス24及びワッシャ25は、注出空間5の内部側ではなく、ディスペンサ本体2の内部側であるフロントパネル3の背面3a側に取り付けられるため、注出口扉6を開いたときに、利用者からはビス24及びワッシャ25が見えないようになっている。また、図5に示すように、締結部21cは、その貫通穴22に通されたビス24を、フロントパネル3のボス23に形成されたビス穴23aに締め付けることによって締結されている。すなわち、フロントパネル3を開ければ(図2参照)、注出口扉6、ヒンジ7及び固定部材21を一体として着脱できるようになっている。また、フロントパネル3は樹脂製であるため、開口枠12の内部側面12bにヒンジ7を直接ビス止めした場合、ビス止めされた部位の強度が低下する。それに対し、飲料ディスペンサ1では固定部材21の締結部21cをフロントパネル3の背面3a側に締結しているので、上記のような強度の低下を生じることなく、注出口扉6を支持することが可能となっている。
【0020】
尚、注出口扉6の前面には平板状のプレート26が設けられており、プレート26は、その背部から突出して注出口扉6を貫通するネジ部26aを有している。注出口扉6は、注出口扉6を貫通したネジ部26aに袋ナット27を締結することによってヒンジ7の第二ブラケット7bに取り付けられている。
【0021】
次に、この実施の形態1に係る飲料ディスペンサ1によって飲料の注出を行う際の動作及び操作方法について説明する。
図1に示すように、まず飲料ディスペンサ1の利用者によって注出口扉6が開かれ、注出空間5の内部に入れられたカップ等の容器がカップステージ11(図2参照)の底部に載置される。次いで、利用者は、注出口扉6を閉じた後に操作パネル4のボタン4aを操作し、それにより、注出すべき飲料が選択される。図2に示されるように、注出すべき飲料が選択されると、対応するキャニスタ13からの粉末原料と、図示しない給水管からの水とがミキシングユニット14に供給される。ミキシングユニット14は、これらを内部で攪拌することによって飲料を生成し、生成した飲料をガイド部材15に放出する。ガイド部材15に放出された飲料は、放出穴15aを介してカップステージ11内の容器に注出される。飲料の注出が終了すると、利用者によって注出口扉6が開かれ、飲料が注出された容器が注出空間5から取り出される。
【0022】
尚、飲料ディスペンサ1は3つのキャニスタ13を備えており、通常、各キャニスタ13内には異なる粉末原料が収容されている。すなわち、飲料ディスペンサ1は、異なる3種類の飲料を注出可能となっており、注出される飲料の種類は利用者の操作によって選択されるものであるが、各キャニスタ13及び各ミキシングユニット14の動作は、選択された飲料の種類に関わらず共通である。
【0023】
ここで、図4(a)に示すように、フロントパネル3を閉じた状態において、ディスペンサ本体2の内部と注出空間5の内部とは、カップステージ11及び開口枠12によって隔てられている。また、固定部材21の締結部21cは、注出空間5の外部に延出しており、フロントパネル3の背面3aに形成されたボス23にビス24によって締結されている。すなわち、注出空間5の内部には、汚れが溜まりやすく、且つ溜まった汚れの掃除を行いにくいビス24やワッシャ25等が配置されておらず、これらの部材によって生じる凹凸がないため、注出中の飲料が飛散することによって注出空間5の内部が汚れたとしても、その汚れを容易に落とすことが可能となっている。
【0024】
また、図5に示すように、固定部材21の締結部21cは、フロントパネル3の背部に形成されたボス23のビス穴23aにビス24を締め付けることによって取り付けられているため、フロントパネル3を開けてビス24及びワッシャ25を取り外せば、固定部材21を容易に取り外すことができるようになっている。すなわち、固定部材21及びその周辺に汚れが溜まったとしても、注出口扉6、ヒンジ7及び固定部材21を一体として取り外せるため、汚れた箇所の掃除を容易に行うことが可能となっている。
【0025】
さらに、注出口扉6、ヒンジ7及び固定部材21を取り外した際、これらを固定するためのボス23が注出空間5の内部で露出することがないため、飲料ディスペンサ1の利用形態等に応じて注出口扉6を取り付けない場合において、ボス23及びビス穴23aによって注出空間5内の見た目が悪くなることがない。ここで、注出口扉6を設けるかどうかは飲料ディスペンサ1の利用形態等に応じて異なるため、フロントパネル3を共通の部品とし、注出口扉6を選択的に取り付け可能とすることが望まれる。
【0026】
この場合、固定部材21を用いずに、開口枠12にヒンジ7をビス止めしようとすると、その都度ビス穴の加工を行う必要が生じて製造効率が悪くなるため、開口枠12に予めビス穴を形成しておくことが考えられる。しかしながら、注出口扉6を取り付けない製品ではビス穴が露出した状態となって見た目が悪くなり、且つ露出したビス穴に汚れが溜まるため、注出口の内部を衛生的に保つことが困難になるという問題点が生じる。すなわち、固定部材21を備えた飲料ディスペンサ1では、予めボス23及びビス穴23aが形成されているフロントパネル3を注出口扉6の有無に関わらず共通の部品として用いることが可能となり、その際に製品の見た目が悪くなることや注出空間5の内部が不衛生になることがない。
【0027】
このように、ヒンジ7が接合される支持部21bと、フロントパネル3に締結される締結部21cとを有する固定部材21を用いて注出口扉6をフロントパネル3に固定するようにし、締結部21cを注出空間5の外部でフロントパネル3の背面3a側に締結したので、汚れが溜まりやすいビス24やビス穴23a等が注出空間5の内部で露出することがない。また、締結部21cをフロントパネル3の背面3a側に締結したので、フロントパネル3を開ければ注出口扉6、ヒンジ7及び固定部材21を一体として取り外すことが可能となり、注出空間5の内部で固定部材21周辺が汚れたとしても、容易に掃除を行うことができる。したがって、飲料ディスペンサ1において、注出空間5の内部を衛生的に保つことが容易になる。
【0028】
また、飲料ディスペンサが元々備えているカップステージ11と開口枠12との間の僅かな隙間に締結部21cを通すため、カップステージ11や開口枠12に対し、締結部21cを注出空間5の外部に延出させるための穴や溝等の加工を行う必要がない。
【0029】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係る飲料ディスペンサの構成について説明する。
この実施の形態2に係る飲料ディスペンサは、実施の形態1における固定部材21に代えて、以下に説明する固定部材31を用いるように構成したものである。尚、以下の実施の形態において、図1〜5の参照符号と同一の符号は、同一又は同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
【0030】
図6に示すように、固定部材31は、実施の形態1における固定部材21の平面部21a及び支持部21bと同様である平面部31a及び支持部31bを有している。支持部31bには一対のヒンジ7が接合されており、これらのヒンジ7を介して注出口扉6(図1参照)と固定部材31とが連結されている。また、固定部材31は、支持部31bの反対側がコ字状に形成された部材であって、平面部21aの先端側で屈折された第一屈折部31dと、第一屈折部31dの先端側でさらに屈折された第二屈折部31eとからなる締結部31cを有している。第二屈折部31eには、固定部材31をフロントパネル3に固定するための貫通穴32が二箇所に形成されている。
【0031】
一方、図7に示すように、フロントパネル3の背面3aにおいて、開口枠12の側方に位置する部位には、フロントパネル3の剛性を高めるための補強リブ3dが形成されている。また、補強リブ3dは、開口枠12の内部側面12b(図4(a)参照)に対して略平行に延在するように形成されている。ここで、固定部材31の平面部31aと第二屈折部31eとは、互いに対向する側面同士の間が長さLとなるように形成されている。同様に、補強リブ3dは、開口枠12の内部側面12b(図4(a)参照)と、開口枠12とは反対側にある補強リブ3dの側面との間が長さLとなるように形成されている。すなわち、固定部材31は、開口枠12と補強リブ3dとを間に挟むように嵌めこまれる部材であり、その平面部31aと第二屈折部31eとが、それぞれ開口枠12と補強リブ3dとに当接するようになっている。補強リブ3dにはビス穴3eが二箇所に形成されており、ワッシャ25及び第二屈折部31eの貫通穴32に通したビス24をビス穴3eに締め付けることによって、締結部31cが補強リブ3dに締結される。その他の構成については、実施の形態1と同様である。
【0032】
このように、締結部31cを有し、コ字状に形成された固定部材31を用いることによって注出口扉6をフロントパネル3に固定しても、補強リブ3d、ビス24及びワッシャ25は、注出口扉6を開いたときに利用者から見えない位置に配置されるため、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、固定部材31は、開口枠12と補強リブ3dとに当接しているため、注出口扉6を開閉する際にフロントパネル3に作用する荷重が開口枠12と補強リブ3dとに分散され、それにより、フロントパネル3の耐久性を向上することができる。また、固定部材31を、開口枠12と補強リブ3dとに嵌め込むように取り付けることが可能となるため、固定部材31を取り付ける際における位置決めが容易となる。
【0033】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3に係る飲料ディスペンサについて説明する。
この実施の形態3に係る飲料ディスペンサは、実施の形態2における固定部材31がフロントパネル3の補強リブ3dに直接ビス止めされていたのに対し、以下に説明する金属製の補強部材43を介して、固定部材41をフロントパネル3の背面3aに固定するように構成したものである。
【0034】
図8(a)に示すように、フロントパネル3の背面3aには、金属製の平板から形成された補強部材43が取り付けられるようになっている。補強部材43は、その両端部で屈折された脚部43aを有しており、脚部43aに形成された貫通穴43bにビス44を通し、フロントパネル3の背面3aに形成されたビス穴3fに締め付けることによって固定されている。また、補強部材43は、フロントパネル3の背面3aに向かって開口するようにコ字状に形成されるとともに、ビス穴43cが二箇所に形成された取付部43dを有している。
【0035】
図8(b)に示すように、補強部材43がフロントパネル3に取り付けられた状態において、取付部43dは開口枠12と補強リブ3dとの間に配置されており、この取付部43dに固定部材41が締結されるようになっている。固定部材41は、実施の形態2における固定部材31と同様にコ字状に形成された部材であって、第一屈折部41d及び第二屈折部41eからなる締結部41cを有している。また、締結部41cにおいて、補強部材43の取付部43dに対向する第一屈折部41dには貫通穴42が二箇所に形成されており、ワッシャ25及び貫通穴42に通したビス24が、取付部43dのビス穴43cに締め付けられるようになっている。すなわち、固定部材41の締結部41cは、補強部材43を介してフロントパネル3に締結される。
【0036】
このように、固定部材41の締結部41cを、補強部材43を介してフロントパネル3に締結しても、実施の形態1、2と同様の効果が得られる。また、補強部材43は金属製であるため、注出口扉6を開閉する際、樹脂製のフロントパネル3が荷重を受ける部位の強度が増し、フロントパネル3の耐久性をさらに向上することが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1 飲料ディスペンサ、2 ディスペンサ本体、3 フロントパネル(本体扉)、3a フロントパネルの背面(本体扉の背面)、3d 補強リブ、5 注出空間、6 注出口扉、7 ヒンジ(回動支持部材)、11 カップステージ、12 開口枠(開口部)、12a 開口枠の内部側面(開口部の内部側面)、21,31,41 固定部材、21b,31b 支持部、21c,31c,41c 締結部、43 補強部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体扉によって開閉されるディスペンサ本体と、
前記本体扉に設けられた開口部、及び前記ディスペンサ本体の内部に設けられて飲料が内部に注出されるカップステージから形成される注出空間と、
前記開口部を開閉する注出口扉と、
前記注出口扉を回動可能に支持して前記注出口扉による前記開口部の開閉を可能にする回動支持部材と
を備えた飲料ディスペンサにおいて、
前記注出口扉を前記本体扉に対して固定する固定部材をさらに備え、
前記固定部材は、前記回動支持部材が接合される支持部と、前記本体扉に締結される締結部とを有し、
前記締結部は、前記注出空間の外部で前記本体扉の背面側に締結されることを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項2】
前記注出空間は、前記開口部と前記カップステージとが互いに対向することによって形成され、
前記締結部は、前記カップステージと前記開口部との間を通って前記注出空間の外部に延出して、前記本体扉の前記背面側に締結される請求項1に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項3】
前記本体扉の前記背面には、前記開口部の内部側面に対して略平行に延在する補強リブが形成され、
前記固定部材はコ字状に形成され、前記内部側面及び前記補強リブに当接する請求項1または2に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項4】
前記本体扉の前記背面に固定される金属製の補強部材をさらに備え、
前記締結部は、前記補強部材を介して前記本体扉に締結される請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料ディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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