飲料ノズルの洗浄装置
【課題】飲料ノズルの洗浄が容易となる飲料ノズルの洗浄装置を提供すること。
【解決手段】原液ノズル５１と希釈液ノズル５２とを同時に覆い、希釈液ノズル５２から吐出した希釈液を原液ノズル５１に誘導する洗浄カバー６を備えた飲料ノズル５の洗浄装置において、洗浄カバー６は、原液ノズル５１から吐出した原液を希釈液ノズル５２から吐出した希釈液が希釈する注出位置と、希釈液ノズル５２から吐出した希釈液を原液ノズル５１に誘導する洗浄位置との間を移動可能に取り付けられたので、飲料ノズル５を洗浄する場合には、洗浄カバー６を注出位置から洗浄位置に移動させ、希釈液ノズル５２から希釈液を吐出させればよい。これにより、飲料ノズル５を洗浄するために洗浄カバー６を飲料ノズル５にあらたに取り付ける必要がなく、飲料ノズル５の洗浄が容易になる。
【解決手段】原液ノズル５１と希釈液ノズル５２とを同時に覆い、希釈液ノズル５２から吐出した希釈液を原液ノズル５１に誘導する洗浄カバー６を備えた飲料ノズル５の洗浄装置において、洗浄カバー６は、原液ノズル５１から吐出した原液を希釈液ノズル５２から吐出した希釈液が希釈する注出位置と、希釈液ノズル５２から吐出した希釈液を原液ノズル５１に誘導する洗浄位置との間を移動可能に取り付けられたので、飲料ノズル５を洗浄する場合には、洗浄カバー６を注出位置から洗浄位置に移動させ、希釈液ノズル５２から希釈液を吐出させればよい。これにより、飲料ノズル５を洗浄するために洗浄カバー６を飲料ノズル５にあらたに取り付ける必要がなく、飲料ノズル５の洗浄が容易になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、シロップなどの原液と、飲料水、炭酸水などの希釈液とを別々に吐出する飲料ノズルの洗浄装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
シロップなどの原液と、飲料水、炭酸水などの希釈液とを別々に吐出する飲料ノズルは、原液を吐出する原液ノズルと、希釈液を吐出する希釈液ノズルとを備えている。そして、原液ノズルから吐出した原液を希釈液ノズルから吐出した希釈液が希釈する。このように、原液を吐出する原液ノズルと希釈液を吐出する希釈液ノズルとを備えた飲料ノズルは、毎日洗浄することにより、清潔に保たれる。
【０００３】
本願出願人は、飲料ノズルを容易に洗浄すべく、飲料ノズルの洗浄装置を提案している。本願出願人が提案している飲料ノズルの洗浄装置は、原液ノズルと希釈液ノズルとを同時に覆い、希釈液ノズルから希釈液を吐出すると、希釈液を原液ノズルに誘導する洗浄カバーを飲料ノズルに着脱可能に備えている。そして、飲料ノズルに洗浄カバーを装着した状態で希釈液ノズルから希釈液を吐出させると、希釈液は原液ノズルに誘導され、原液ノズルに付着した原液を洗い流す。これにより、原液ノズルは清潔に保たれる（たとえば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００９−２５５９４２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、上述した飲料ノズルの洗浄装置は、飲料を注出する場合に飲料ノズルから洗浄カバーを取り外す必要があり、洗浄カバーを紛失することがあった。また、上述した飲料ノズルの洗浄装置は、洗浄カバーを飲料ノズルに取り付ける作業が煩わしく、飲料ノズルを毎日洗浄するのは難しい。
【０００６】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、洗浄カバーの紛失を回避し、飲料ノズルの洗浄が容易になる飲料ノズルの洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、原液を吐出する原液ノズルと該原液ノズルから吐出した原液を希釈する希釈液を吐出する希釈液ノズルとを備えた飲料ノズルを洗浄する飲料ノズルの洗浄装置であって、前記原液ノズルと前記希釈液ノズルとを同時に覆い、前記希釈液ノズルから吐出した希釈液を前記原液ノズルに誘導する洗浄カバーを備えた飲料ノズルの洗浄装置において、前記洗浄カバーは、前記原液ノズルと前記希釈液ノズルとが同時に露出し、前記原液ノズルから吐出した原液を前記希釈液ノズルから吐出した希釈液が希釈する注出位置と、前記原液ノズルと前記希釈液ノズルとを同時に覆い、前記希釈液ノズルから吐出した希釈液を前記原液ノズルに誘導する洗浄位置との間を移動可能に取り付けられたことを特徴とする。
【０００８】
また、本発明は、上記発明において、前記希釈液ノズルは、前記原液ノズルの側方域を遮蔽する一対の壁部を有することを特徴とする。
【０００９】
また、本発明は、上記発明において、前記洗浄カバーは、前記洗浄カバーが前記注出位置に移動した場合に前記原液ノズルの側方域を遮蔽する一対の壁部を有することを特徴とする。
【００１０】
また、本発明は、上記発明において、前記洗浄カバーは、前記飲料ノズルに取り付けられた状態で前記洗浄カバーが前記注出位置に移動した場合に前記飲料ノズルと干渉し、前記飲料ノズルからの脱落を防止する脱落防止手段を有することを特徴とする。
【００１１】
また、本発明は、上記発明において、前記飲料ノズルを洗浄する場合に希釈液ノズルから吐出する希釈液を炭酸水としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１２】
本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置において、洗浄カバーを注出位置に移動させ、原液ノズルから原液を吐出させるとともに、希釈液ノズルから希釈液を吐出させると、原液ノズルから吐出した原液は希釈液ノズルから吐出した希釈液によって希釈される。これにより、洗浄カバーを取り付けたまま、原液が希釈液によって希釈された飲料を注出できる。一方、洗浄カバーを洗浄位置に移動させ、希釈液ノズルから希釈液を吐出させると、希釈液ノズルから吐出した希釈液は原液ノズルに誘導され、原液ノズルに付着した原液を洗い流す。これにより、飲料ノズルは清潔に保たれる。このように、本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置は、飲料を注出する場合に洗浄カバーを注出位置に移動させ、飲料ノズルを洗浄する場合に洗浄カバーを洗浄位置に移動させるので、洗浄カバーを飲料ノズルから取り外す必要がなく、洗浄カバーの紛失を回避できる。また、飲料ノズルを洗浄する場合には、洗浄カバーを注出位置から洗浄位置に移動させ、希釈液ノズルから希釈液を吐出させればよいので、飲料ノズルを洗浄するために洗浄カバーを飲料ノズルに取り付ける必要がなく、飲料ノズルの洗浄が容易になる。
【００１３】
また、本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置において、希釈液ノズルは、原液ノズルの側方域を遮蔽する一対の壁部を有するので、原液の飛散が防止され、飲料を注出したカップが汚れることがない。
【００１４】
また、本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置において、洗浄カバーは、洗浄カバーが注出位置に移動した場合に原液ノズルの側方域を遮蔽する一対の壁部を有するので、原液の飛散が防止され、飲料を注出したカップが汚れることがない。
【００１５】
また、本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置において、飲料ノズルを洗浄する場合に希釈液ノズルから吐出する希釈液を炭酸水としたので、炭酸水の発泡効果により洗浄効果が増大し、原液ノズルに付着した原液を効率的に洗い流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】図１は、本発明の実施の形態である飲料ノズルの洗浄装置を搭載した飲料ディスペンサを示す外観斜視図である。
【図２】図２は、図１に示した飲料ディスペンサの操作パネルを取り外した状態を示す正面図である。
【図３】図３は、本発明の実施の形態１である飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。
【図４】図４は、図３に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。
【図５】図５は、図３に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【図６】図６は、図３に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【図７】図７は、原液と希釈液とを飲料ノズルに供給する飲料回路を示す図である。
【図８】図８は、飲料ディスペンサの制御構成を示すブロック図である。
【図９】図９は、本発明の実施の形態２である飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。
【図１０】図１０は、図９に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。
【図１１】図１１は、図９に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【図１２】図１２は、図９に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【図１３】図１３は、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す側面図である。
【図１４】図１４は、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す側面図である。
【図１５】図１５は、洗浄カバーを注出位置に移動させ、希釈液ノズルを取り外した状態を示す側面図である。
【図１６】図１６は、希釈液ノズルを取り外した後に洗浄カバーを洗浄位置に移動させた状態を示す側面図である。
【図１７】図１７は、希釈液ノズルを取り外し、洗浄カバーを洗浄位置に移動させた状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
以下に、本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【００１８】
本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置は、シロップなどの原液と、飲料水、炭酸水などの希釈液とを別々に吐出する飲料ノズルの洗浄に用いるもので、飲料ディスペンサやカップ式飲料自動販売機に搭載される。ここでは、飲料ディスペンサに搭載された飲料ノズルの洗浄に好適な飲料ノズルの洗浄装置を例に説明するが、飲料ディスペンサの飲料ノズルの洗浄に限られるものではなく、カップ式飲料自動販売機の飲料ノズルの洗浄に用いることも可能である。
【００１９】
図１は、本発明の実施の形態である飲料ノズルの洗浄装置を搭載した飲料ディスペンサを示す外観斜視図であり、図２は、図１に示した飲料ディスペンサの操作パネルを取り外した状態を示す正面図である。
【００２０】
図１に示すように、飲料ディスペンサ１は、ディスペンサ本体２と操作パネル３とを備えている。図２に示すように、ディスペンサ本体２は、前面が開口した箱体であり、その底部には、高さ調整をするための調整脚２１が設けてある。また、ディスペンサ本体２の内部にはバッグインボックス（液体容器）Ｂ（以下「ＢＩＢ」という）を収容する収容庫２２が設けてある。ＢＩＢは、濃縮飲料を封入した袋状の容器をさらに箱状の容器に収容したもので、たとえば、濃縮飲料を封入したプラスチック製の袋容器をさらに段ボール製の箱容器に収容することにより構成してある。そして、ＢＩＢに封入された濃縮飲料を注出した場合に、箱容器の内部で袋容器が収縮することにより、袋容器の内部に空気が入る事態を回避し、濃縮飲料の酸化を防止する。
【００２１】
ディスペンサ本体２の内部であって、収容庫の下方域となる部位には、チューブポンプ４が設けてある。チューブポンプ４は、ＢＩＢに封入された濃縮飲料を汲み出すためのもので、ＢＩＢごとに設けてある。たとえば、図２に示すように、図１に示す飲料ディスペンサ１の収容庫２２には、二つのＢＩＢが収容可能であり、収容庫２２の下方域となる部位には、二つのチューブポンプ４が設けてある。
【００２２】
チューブポンプ４は、ＢＩＢに設けられたチューブ４１の一点を押し潰したローラを移動させることにより、チューブ４１の内部の濃縮飲料を押し出すもので、チューブ４１の開放端４１ａは保持されて、濃縮飲料の吐出口を構成する。そして、ローラが移動すると、ローラによって押し潰されたチューブ４１は、その復元力により元の形状に戻り、その際にチューブ４１の内部が真空となり、チューブ４１の内部に濃縮飲料を吸引する。
【００２３】
また、チューブ４１の開放端４１ａの左側方域には、希釈液の吐出口４２が設けてある。希釈液の吐出口４２は、濃縮飲料を希釈する希釈液を吐出するための吐出口であり、希釈液の吐出口４２から吐出された希釈液は濃縮飲料と混合され、濃縮飲料を希釈する。希釈液は、飲料水、炭酸水などであり、注出する飲料が無炭酸飲料の場合には吐出口４２から飲料水を吐出し、注出する飲料が炭酸飲料の場合には吐出口４２から炭酸水を吐出する。また、注出する飲料が微炭酸飲料の場合には吐出口４２から飲料水と炭酸水とを交互に吐出する。
【００２４】
また、チューブポンプ４の右側方域には、飲料ノズル５が設けてある。飲料ノズル５は、後述するように、シロップなどの原液を吐出する原液ノズル５１と、飲料水、炭酸水などの希釈液を吐出する希釈液ノズル５２とを別々に有しており、原液ノズル５１から吐出した原液と希釈液ノズル５２から吐出した希釈液とを混合することにより、原液を希釈する。
【００２５】
図１に示すように、チューブポンプ４および飲料ノズル５の下方域となるディスペンサ本体２の下端部には、ドリップトレイ２３を備えている。ドリップトレイ２３は、飛び散った飲料や飲料カップからあふれた飲料を受け止めるためのもので、その上には、飲料カップを置くためのカップレスト２４が載置してある。カップレスト２４は、鋼線などの線材を桟状に構成したもので、飛び散った飲料や飲料カップからあふれた飲料はカップレスト２４を通り、ドリップトレイ２３に受け止められる。
【００２６】
操作パネル３は、ディスペンサ本体２の前面開口を覆うためのもので、ディスペンサ本体２の一側縁部（図１に示す飲料ディスペンサ１は左側縁部）に開閉可能に支承されている。操作パネル３の前面には、飲料選択ボタン３１を備えている。
【００２７】
飲料選択ボタン３１は、チューブポンプ４および飲料ノズル５に対応して配置されている。具体的には、飲料選択ボタン３１の配置位置とチューブポンプ４および飲料ノズル５の配置位置とが対応するように配置され、飲料選択ボタン３１で選択された飲料を当該飲料選択ボタン３１の下方域に置かれた飲料カップに注出する。
【００２８】
たとえば、チューブポンプ４から吐出する濃縮飲料を原料とする飲料は通常一種類に限られるので、図１に示すように、一つのチューブポンプ４に対して一つの飲料選択ボタン３１が配置されている。一方、飲料ノズル５からは通常複数種類の飲料が注出されるので、図１に示すように、一つの飲料ノズル５に対して複数の飲料選択ボタン３１が配置されている。
【００２９】
（実施の形態１）
図３は、本発明の実施の形態１である飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観斜視図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。図４は、図３に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。
【００３０】
図３および図４に示すように、飲料ノズル５は、ノズル本体５０を備えている。ノズル本体５０は、ディスペンサ本体２に着脱可能に取り付けられ、洗浄、交換など必要な場合に着脱される。ノズル本体５０は、取付基部５０ａから開放端部５０ｂに向けて斜め下方に延在しており、取付基部５０ａ側には、飲料水、炭酸水などの希釈液を希釈液ノズル５２に供給するパイプ５３が着脱可能に取り付けてあり、パイプ５３よりも開放端部５０ｂ側には、シロップなどの原液を吐出する原液ノズル５１が一体に設けてある。パイプ５３の基部側となる一端には、希釈液接続管５４が接続してあり、希釈液ノズル５２から希釈液を吐出する場合に希釈液接続管５４からパイプ５３に希釈液が供給される。また、パイプ５３の開放端部側となる他端には、希釈液ノズル５２が着脱可能に取り付けてあり、希釈液接続管５４からパイプ５３に供給された希釈液は、希釈液ノズル５２から吐出する。そして、原液ノズル５１から吐出した原液を希釈液ノズル５２から吐出した希釈液が希釈することにより、原液と希釈液とが混合した飲料が飲料カップに注出される。
【００３１】
図３および図４に示すように、原液ノズル５１は、ノズル本体５０の取付基部５０ａから開放端部５０ｂに向けて二列かつ互い違いに、その傾斜が取付基部５０ａから開放端部５０ｂに向けて緩くなるように配置してある。そして、すべての原液ノズル５１から吐出した原液は、カップレスト２４（図１参照）に置かれた飲料カップに注がれる。
【００３２】
また、原液ノズル５１は、基部５１ａ側が円筒形に形成してあり、原液ノズル５１に原液を供給する原液管路５５（シロップ管路）が接続してある（図７参照）。一方、原液ノズル５１の開放部５１ｂ側は、円筒を偏平に押しつぶした形をしており、その先端は、吐出した原液が螺旋を描くように形成してある。
【００３３】
図４に示すように、希釈液ノズル５２の先端部５２ａは、原液ノズル５１に向けて傾いており、原液ノズル５１に対向する側面に吐出口５２ｂが開口している。これにより、原液ノズル５１から吐出した原液と希釈液ノズル５２から吐出した希釈液とは空中において衝突し、混合および希釈される。
【００３４】
ところで、図３および図４に示す飲料ノズル５は、ノズル本体５０に六つの原液ノズル５１が設けてあり、最大六種類の原液を原料とする飲料を提供できる。また、ノズル本体５０に取り付けたパイプ５３には、飲料水、炭酸水の二種類の希釈液が供給され、原液を飲料水で希釈した無炭酸飲料、原液を炭酸水で希釈した炭酸飲料、原液を飲料水と炭酸水とで希釈した微炭酸飲料を提供できる。
【００３５】
図５は、図３に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観斜視図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。図６は、図３に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【００３６】
図３および図５に示すように、ノズル本体５０には、洗浄カバー６が取り付けてある。図６に示すように、洗浄カバー６は、原液ノズル５１と希釈液ノズル５２とを同時に覆い、希釈液ノズル５２から吐出した希釈液を原液ノズル５１に誘導するためのものである。
【００３７】
図３および図５に示すように、洗浄カバー６は、ノズル本体５０の側面に設けた円柱状の突起５０ｃに回動可能に支承され、原液ノズル５１と希釈液ノズル５２とが同時に露出する注出位置（図３および図４参照）と、原液ノズル５１と希釈液ノズル５２とが同時に覆われる洗浄位置（図５および図６参照）との間を移動可能にする。
【００３８】
また、洗浄カバー６は、左右一対を成す側壁部６１と、一対の側壁部６１を相互に接続する底壁部６２とを有している。側壁部６１は、ノズル本体５０に設けた円柱状の突起５０ｃに支承される穴６１ａを中心とした扇形をしており、底壁部６２の内壁面は、穴６１ａの中心を通る軸線を中心とする円弧が集合した円弧面を構成する。これにより、洗浄カバー６を注出位置と洗浄位置との間で移動させても、図４および図６に示すように、底壁部内壁面６２ａが原液ノズル５１の先端や希釈液ノズル５２の先端に当たることがない。また、図４に示すように、洗浄カバー６の底壁部内壁面６２ａに摺接する突出部５０ｂ１をノズル本体５０の開放端部５０ｂに設けても、洗浄カバー６が注出位置と洗浄位置との間で移動できる。
【００３９】
また、図３および図４並びに図６に示すように、洗浄カバー６の底壁部６２には、排水孔６２ｂが設けてある。排水孔６２ｂは、飲料ノズル５の洗浄に用いた希釈液（炭酸水）を排出させるための孔であり、洗浄カバー６の底壁部６２を貫通している。
【００４０】
また、図３〜図６に示すように、洗浄カバー６の側壁部６１には、それぞれ第２側壁部６３が設けてある。第２側壁部６３は、側壁部６１と一体に設けられ、図３および図４に示すように、洗浄カバー６が注出位置に移動した場合に原液ノズル５１の側方域を遮蔽し、原液の飛散を防止する。なお、対となる第２側壁部６３の底部は、開放しており、原液ノズル５１から吐出した原液の障害となることはない。
【００４１】
図７は、原液と希釈液とを飲料ノズルに供給する飲料回路を示す図である。図７に示すように、上述した希釈液接続管５４には、飲料水を供給する飲料水管路５６と、炭酸水を供給する炭酸水管路５７が接続してある。飲料水管路５６の途中には、電磁開閉弁７１が接続してあり、電磁開閉弁７１を開放すると、希釈液接続管５４に飲料水が供給される。そして、希釈液接続管５４に供給された飲料水は、パイプ５３を経由して希釈液ノズル５２から吐出する。炭酸水管路５７は、飲料水に炭酸ガスを溶解させるカーボネータ５８が接続してある。カーボネータ５８には飲料水と炭酸ガスとが供給され、飲料水に炭酸ガスを溶解させることにより、炭酸水を生成する。炭酸水管路５７の途中には、電磁開閉弁７２が接続してあり、電磁開閉弁７２を開放すると希釈液接続管５４に炭酸水が供給される。そして、希釈液接続管５４に供給された炭酸水は、パイプ５３を経由して希釈液ノズル５２から吐出する。
【００４２】
また、上述した原液管路５５には、原液管路５５ごとに原液タンク（シロップタンク）５９が接続してある。また、原液管路５５の途中には、原液管路５５ごとに流量計を備えた原液ポンプ（シロップポンプ）７３が接続してあり、原液ポンプ７３を駆動することにより、原液タンク５９から原液を汲み上げ、原液ノズル５１に供給される。そして、原液ノズル５１に供給された原液は、原液ノズル５１から吐出する。
【００４３】
図８は、飲料ディスペンサの制御構成を示すブロック図である。図８に示すように、上述した飲料選択ボタン３１、チューブポンプ４、飲料水管路５６の途中に接続された電磁開閉弁７１、炭酸水管路５７の途中に接続された電磁開閉弁７２、各原液管路５５に接続された原液ポンプ７３は、制御部７に接続してあり、これらは統括的に制御される。
【００４４】
そして、上述した飲料ノズル５、電磁開閉弁７１，７２、原液ポンプ７３、洗浄カバー６は、本発明の実施の形態１である飲料ノズルの洗浄装置を構成し、上述した制御部７は、同時に飲料ノズルの洗浄装置の制御部を構成する。また、図２に示すように、飲料ノズル５の側方域となるディスペンサ本体２の前面には、洗浄開始ボタン２６が設けてある。洗浄開始ボタン２６は、洗浄開始命令を制御部７に入力するための洗浄開始命令入力手段であり、図８に示すように、制御部７に接続してある。そして、洗浄開始ボタン２６を押下すると、制御部７に洗浄開始命令が入力される。
【００４５】
また、図３および図５に示すように、飲料ノズル５の近傍域には、センサ２７が設けてある。センサ２７は、洗浄位置に移動した洗浄カバー６を検出するためのもので、図８に示すように、制御部７に接続してある。そして、洗浄カバー６が洗浄位置にある場合に検出信号を出力し、制御部７に検出信号が入力される。
【００４６】
上述した飲料ノズルの洗浄装置に飲料ノズル５を洗浄させる場合には、洗浄カバー６を注出位置から洗浄位置に移動させ、洗浄開始ボタン２６を押下する。すると、制御部７には、センサ２７から検出信号が入力され、洗浄開始ボタン２６から洗浄開始命令が入力される。
【００４７】
検出信号と洗浄開始命令が入力されると、制御部７はノズル洗浄を開始する。具体的には、炭酸水管路５７の途中に接続してある電磁開閉弁７２を一定時間開放する。すると、炭酸水は、カーボネータ５８から炭酸水管路５７、希釈液接続管５４、パイプ５３を経由して希釈液ノズル５２から吐出する。
【００４８】
希釈液ノズル５２から吐出した炭酸水は、洗浄カバー６により、原液ノズル５１に誘導され、その後、排水孔６２ｂから排出される。そして、一定時間が経過すると、制御部７は、炭酸水管路５７の途中に接続してある電磁開閉弁７２を閉鎖する。これにより、原液ノズル５１に付着した原液は、洗い流され、原液ノズル５１は清潔に保たれる。
【００４９】
その後、原液ポンプ７３を順番に駆動することにより、原液ノズル５１から所定量の原液を吐出させる。これにより、原液ノズル５１に侵入した炭酸水が原液とともに排出され、原液ノズル５１は原液で満たされる。
【００５０】
上述した本発明の実施の形態１である飲料ノズルの洗浄装置は、洗浄カバー６を注出位置に移動させ、原液ノズル５１から原液を吐出させるとともに、希釈液ノズル５２から希釈液を吐出させると、原液ノズル５１から吐出した原液は希釈液ノズル５２から吐出した希釈液によって希釈される。これにより、飲料ノズル５に洗浄カバー６を取り付けたまま、原液が希釈液によって希釈された飲料を注出できる。
【００５１】
一方、洗浄カバー６を洗浄位置に移動させ、希釈液ノズル５２から炭酸水を吐出させると、希釈液ノズル５２から吐出した炭酸水は原液ノズル５１に付着した原液を洗い流す。これにより、飲料ノズル５は清潔に保たれる。
【００５２】
このように、本発明の実施の形態１である飲料ノズルの洗浄装置は、飲料を注出する場合に洗浄カバー６を注出位置に移動させ、飲料ノズル５を洗浄する場合に洗浄カバー６を洗浄位置に移動させるので、洗浄カバー６を飲料ノズル５から取り外す必要がなく、洗浄カバー６の紛失を回避できる。
【００５３】
また、飲料ノズル５を洗浄する場合には、洗浄カバー６を注出位置から洗浄位置に移動させればよいので、飲料ノズル５を洗浄するために洗浄カバー６をあらためて飲料ノズル５に取り付ける必要がなく、飲料ノズル５の洗浄が容易になる。
【００５４】
さらに、洗浄カバー６は、洗浄カバー６が注出位置に移動した場合に原液ノズル５１の側方域を遮蔽する一対の第２側壁部６３を有するので、原液の飛散が防止され、飲料を注出したカップが汚れることがない。
【００５５】
また、飲料ノズル５を洗浄する場合に吐出する希釈液を炭酸水としたので、炭酸水の発泡効果により洗浄効果が増大し、原液ノズル５１に付着した原液を効率的に洗い流すことができる。
【００５６】
（実施の形態２）
図９は、本発明の実施の形態２である飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。図１０は、図９に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。なお、本発明の実施の形態２である飲料ノズルは、上述した実施の形態１である飲料ノズルと共通の構成を有するので、共通の構成については同一の符号を付して説明し、異なる構成については新たな符号を付して説明する。
【００５７】
図９および図１０に示すように、飲料ノズル５は、ノズル本体５０を備えている。ノズル本体５０は、ディスペンサ本体２に着脱可能に取り付けられ、洗浄、交換など必要な場合に着脱される。ノズル本体５０は、取付基部５０ａから開放端部５０ｂに向けて斜め下方に延在しており、取付基部５０ａ側には、飲料水、炭酸水などの希釈液を希釈液ノズル５２に供給するパイプ５３が着脱可能に取り付けてあり、パイプ５３よりも開放端部５０ｂ側には、シロップなどの原液を吐出する原液ノズル５１が一体に設けてある。パイプ５３の基部側となる一端には、希釈液接続管５４が接続してあり、希釈液ノズル５２から希釈液を吐出する場合に希釈液接続管５４からパイプ５３に希釈液が供給される。また、パイプ５３の開放端部側となる他端には、希釈液ノズル５２が着脱可能に取り付けてあり、希釈液接続管５４からパイプ５３に供給された希釈液は、希釈液ノズル５２から吐出する。そして、原液ノズル５１から突出した原液を希釈液ノズル５２から吐出した希釈液が希釈することにより、原液と希釈液とが混合した飲料が飲料カップに注出される。
【００５８】
図９および図１０に示すように、原液ノズル５１は、ノズル本体５０の取付基部５０ａから開放端部５０ｂに向けて二列かつ互い違いに、その傾斜が取付基部５０ａから開放端部５０ｂに向けて緩くなるように配置してある。そして、すべての原液ノズル５１から吐出した原液は、カップレスト２４（図１参照）に置かれた飲料カップに注がれる。
【００５９】
また、原液ノズル５１は、基部側が円筒形に形成してあり、原液ノズル５１に原液を供給する原液管路５５（シロップ管路）が接続してある（図７参照）。一方、原液ノズル５１の開放部５１ｂ側は、円筒を偏平に押しつぶした形をしており、その先端は、吐出した原液が螺旋を描くように形成してある。
【００６０】
図９および図１０に示すように、希釈液ノズル５２の先端部５２ａは、原液ノズル５１に向けて傾いており、原液ノズル５１に対向する側面に吐出口５２ｂが開口している。これにより、原液ノズル５１から突出した原液と希釈液ノズル５２から吐出した希釈液とは空中において衝突し、混合および希釈される。
【００６１】
また、希釈液ノズル５２の先端には、一対の側壁部５２ｃが設けてある。側壁部５２ｃは、原液ノズル５１の側方域を遮蔽し、原液の飛散を防止する。なお、対となる側壁部５２ｃの間は、開放しており、原液ノズル５１から吐出した原液の障害となることはない。
【００６２】
ところで、図９および図１０に示す飲料ノズル５は、ノズル本体５０に六つの原液ノズル５１が設けてあり、最大六種類の原液を原料とする飲料を提供できる。また、ノズル本体５０に取り付けたパイプ５３には、飲料水、炭酸水の二種類の希釈液が供給され、原液を飲料水で希釈した無炭酸飲料、原液を炭酸水で希釈した炭酸飲料、原液を飲料水と炭酸水とで希釈した微炭酸飲料を提供できる。
【００６３】
図１１は、図９に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観斜視図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。図１２は、図９に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【００６４】
図９および図１１に示すように、ノズル本体５０には、洗浄カバー８が取り付けてある。図１１および図１２に示すように、洗浄カバー８は、原液ノズル５１と希釈液ノズル５２とを同時に覆い、希釈液ノズル５２から吐出した希釈液を原液ノズル５１に誘導するためのものである。
【００６５】
図９および図１１に示すように、洗浄カバー８は、ノズル本体５０の側面に設けた円柱状の突起５０ｃに回動可能に支承され、原液ノズル５１と希釈液ノズル５２とが同時に露出する注出位置（図９および図１０参照）と、原液ノズル５１と希釈液ノズル５２とが同時に覆われる洗浄位置（図１１および図１２参照）との間を移動可能にする。
【００６６】
また、洗浄カバー８は、左右対を成す側壁部８１と、一対の側壁部８１を相互に接続する底壁部８２とを有している。側壁部８１は、ノズル本体５０に設けた円柱状の突起５０ｃに支承される円弧溝８１ａの中心を中心とした扇形をしており、底壁部８２の内壁面は、円弧溝８１ａの中心を通る軸線を中心とする円弧が集合した円弧面を構成する。これにより、洗浄カバー８を注出位置と洗浄位置との間で移動させても、図１０および図１２に示すように、底壁部内壁面８２ａが原液ノズル５１の先端や希釈液ノズル５２の先端に当たることがない。また、図１０および図１４に示すように、洗浄カバー８の底壁部内壁面８２ａに摺接する突出部５０ｂ１をノズル本体５０の開放端部５０ｂに設けても、洗浄カバー８が注出位置と洗浄位置との間で移動できる。
【００６７】
また、図９および図１０並びに図１２に示すように、洗浄カバー８の底壁部８２には、排水溝８２ｂが設けてある。排水溝８２ｂは、飲料ノズル５の洗浄に用いた希釈液（炭酸水）を排出するための溝であり、コの字状に形成され、洗浄カバー８の底壁部８２を貫通している。また、排水溝８２ｂを設けることにより、舌片状に形成された可撓片８２ｃの端部内壁には、突起８２ｃ１が設けてある。この突起８２ｃ１は、洗浄カバー８が注出位置にあるときに、上述した突出部５０ｂ１と係合することにより、洗浄カバー８が自重や振動により洗浄位置に移動する事態を防止する。そして、洗浄カバー８が注出位置から洗浄位置に移動する際には、可撓片８２ｃが撓むことにより、突出部５０ｂ１が突起８２ｃ１を乗り越える。同様に、洗浄カバー８が洗浄位置から注出位置に移動する際には、可撓片８２ｃが撓むことにより、突出部５０ｂ１が突起８２ｃ１を乗り越える。
【００６８】
また、洗浄カバー８の端部内壁には、突起８２ｄが設けてある。この突起８２ｄは、ノズル本体５０と洗浄カバー８との間にできた空間を閉鎖し、効率的に原液ノズル５１を洗い流すためのもので、図１２に示すように、洗浄カバー８が洗浄位置にあるときに上述した突出部５０ｂ１と係合する。そして、洗浄カバー８が洗浄位置から注出位置に移動する際には、突出部５０ｂ１または洗浄カバー８が撓むことにより、突出部５０ｂ１が突起８２ｄを乗り越える。同様に、洗浄カバー８が注出位置から洗浄位置に移動する際には、突出部５０ｂ１または洗浄カバー８が撓むことにより、突出部５０ｂ１が突起８２ｄを乗り越える。
【００６９】
図１３は、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す側面図であり、図１４は、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す側面図である。
【００７０】
洗浄カバー８は、飲料ノズル５（具体的には、ノズル本体５０）に取り付けられた状態で洗浄カバー８が注出位置に移動した場合に飲料ノズル５（ノズル本体５０）と干渉し、飲料ノズル５（ノズル本体５０）からの脱落を防止する脱落防止手段を有している。脱落防止手段は、円弧溝８１ａと円弧溝８１ａに至る直線溝８１ｂとで構成してある。
【００７１】
図１３に示すように、洗浄カバー８が注出位置に移動した状態で洗浄カバー８に設けられた直線溝８１ｂは、円弧溝８１ａから手前側斜め下方に向かって延びている。この状態で洗浄カバー８を取り外そうとすると、図１３において矢印で示すように、洗浄カバーを奥側斜め上方（図１３において右側上方）に向けて移動させる必要がある。しかしながら、この場合には、図１０に示すように、ノズル本体５０の開放端部５０ｂに設けた突出部５０ｂ１と洗浄カバー８の底壁部内壁面８２ａとが干渉し、洗浄カバー８を取り外すことができない。言い換えると、洗浄カバー８は、洗浄位置においてノズル本体５０から脱落することはない。
【００７２】
図１４に示すように、洗浄カバー８が洗浄位置に移動した状態で洗浄カバー８に設けられた直線溝８１ｂは、円弧溝８１ａから奥側斜め下方に向かって延びている。この状態で洗浄カバー８を取り外そうとすると、図１４において矢印で示すように、洗浄カバー８を手前側上方（図１４において左側上方）に向けて移動させる必要がある。しかしながら、この場合には、図１２に示すように、希釈液ノズル５２の先端と洗浄カバー８の底壁部内壁面８２ａとが干渉し、洗浄カバー８を取り外すことができない。言い換えると、洗浄カバー８は、このままでノズル本体５０から脱落することはない。
【００７３】
図１５は、洗浄カバーを注出位置に移動させ、希釈液ノズルを取り外した状態を示す側面図である。図１６は、希釈液ノズルを取り外した後に洗浄カバーを洗浄位置に移動させた状態を示す側面図である。図１７は、希釈液ノズルを取り外し、洗浄カバーを洗浄位置に移動させた状態を示す図である。
【００７４】
ノズル本体５０から洗浄カバー８を取り外す場合には、図１３に示すように、まず、洗浄カバー８を注出位置に移動させる。そして、図１５に示すように、洗浄カバー８を注出位置に移動させた状態で、希釈液ノズル５２をパイプ５３から取り外す。つぎに、図１６に示すように、洗浄カバー８を注出位置から洗浄位置に移動させる。この場合に、直線溝８１ｂは、円弧溝８１ａから奥側斜め下方に向かって延びているから、この状態で洗浄カバー８を取り外そうとすると、図１６において矢印で示すように、洗浄カバー８を手前側上方（図１６において左側上方）に向けて移動させる必要がある。この場合は、図１７に示すように、すでに希釈液ノズル５２が取り外してあるので、希釈液ノズル５２の先端と洗浄カバー８の底壁部内壁面８２ａとが干渉することはない。これにより、洗浄カバー８を取り外すことができる。すなわち、洗浄カバー８は所定の手順を踏むことにより取り外される。
【００７５】
図７に示すように、実施の形態２である飲料ノズルの洗浄装置も上述した実施の形態１である飲料ノズルの洗浄装置と同様に、希釈液接続管５４には、飲料水を供給する飲料水管路５６と、炭酸水を供給する炭酸水管路５７が接続してある。飲料水管路５６の途中には、電磁開閉弁７１が接続してあり、電磁開閉弁７１を開放すると、希釈液接続管５４に飲料水が供給される。そして、希釈液接続管５４に供給された飲料水は、パイプ５３を経由して希釈液ノズル５２から吐出する。炭酸水管路５７は、飲料水に炭酸ガスを溶解させるカーボネータ５８が接続してある。カーボネータ５８には飲料水と炭酸ガスとが供給され、飲料水に炭酸ガスを溶解させることにより、炭酸水を生成する。炭酸水管路５７の途中には、電磁開閉弁７２が接続してあり、電磁開閉弁７２を開放すると希釈液接続管５４に炭酸水が供給される。そして、希釈液接続管５４に供給された炭酸水は、パイプ５３を経由して希釈液ノズル５２から吐出する。
【００７６】
また、原液管路５５には、原液管路５５ごとに原液タンク（シロップタンク）５９が接続してある。また、原液管路５５の途中には、原液管路５５ごとに流量計を備えた原液ポンプ（シロップポンプ）７３が接続してあり、原液ポンプ７３を駆動することにより、原液タンク５９から原液を汲み上げ、原液ノズル５１に供給される。そして、原液ノズル５１に供給された原液は、原液ノズル５１から吐出する。
【００７７】
図８に示すように、実施の形態２である飲料ノズルの洗浄装置も上述した実施の形態１である飲料ノズルの洗浄装置と同様に、上述した飲料選択ボタン３１、チューブポンプ４、飲料水管路５６の途中に接続された電磁開閉弁７１、炭酸水管路５７の途中に接続された電磁開閉弁７２、各原液管路５５に接続された原液ポンプ７３は、制御部７に接続してあり、これらは統括的に制御される。
【００７８】
そして、上述した飲料ノズル５、電磁開閉弁７１，７２、原液ポンプ７３、洗浄カバー８は、本発明の実施の形態２である飲料ノズルの洗浄装置を構成し、上述した制御部７は、同時に飲料ノズルの洗浄装置の制御部を構成する。また、図２に示すように、飲料ノズル５の側方域となるディスペンサ本体２の前面には、洗浄開始ボタン２６が設けてある。洗浄開始ボタン２６は、洗浄開始命令を制御部に入力するための洗浄開始命令入力手段であり、図８に示すように、制御部７に接続してある。そして、洗浄開始ボタン２６を押下すると、制御部７に洗浄開始命令が入力される。
【００７９】
また、図９および図１１に示すように、飲料ノズル５の近傍域には、センサ２７が設けてある。センサ２７は、洗浄位置に移動した洗浄カバー８を検出するためのもので、図８に示すように、制御部７に接続してある。そして、洗浄カバー８が洗浄位置にある場合に検出信号を出力し、制御部７に検出信号が入力される。
【００８０】
上述した飲料ノズルの洗浄装置に飲料ノズル５を洗浄させる場合には、洗浄カバー８を注出位置から洗浄位置に移動させ、洗浄開始ボタン２６を押下する。すると、制御部７には、センサ２７から検出信号が入力され、洗浄開始ボタン２６から洗浄開始命令が入力される。
【００８１】
検出信号と洗浄開始命令が入力されると、制御部７はノズル洗浄を開始する。具体的には、炭酸水管路５７の途中に接続してある電磁開閉弁７２を一定時間開放する。すると、炭酸水は、カーボネータ５８から炭酸水管路５７、希釈液接続管５４、パイプ５３を経由して希釈液ノズル５２から吐出する。
【００８２】
希釈液ノズル５２から吐出した炭酸水は、洗浄カバー８により、原液ノズル５１に誘導され、その後、排水溝８２ｂから排出される。そして、一定時間が経過すると、制御部７は、炭酸水管路５７の途中に接続してある電磁開閉弁７２を閉鎖する。これにより、原液ノズル５１に付着した原液は、洗い流され、原液ノズル５１は清潔に保たれる。
【００８３】
その後、原液ポンプ７３を順番に駆動することにより、原液ノズル５１から所定量の原液を吐出させる。これにより、原液ノズル５１に侵入した炭酸水が原液とともに排出され、原液ノズル５１は原液で満たされる。
【００８４】
上述した本発明の実施の形態２である飲料ノズルの洗浄装置は、洗浄カバー８を注出位置に移動させ、原液ノズル５１から原液を吐出させるとともに、希釈液ノズル５２から希釈液を吐出させると、原液ノズル５１から吐出した原液は希釈液ノズル５２から吐出した希釈液によって希釈される。これにより、飲料ノズル５に洗浄カバー８を取り付けたまま、原液が希釈液によって希釈された飲料を注出できる。
【００８５】
一方、洗浄カバー８を洗浄位置に移動させ、希釈液ノズル５２から炭酸水を吐出させると、希釈液ノズル５２から吐出した炭酸水は原液ノズル５１に付着した原液を洗い流す。これにより、飲料ノズル５は清潔に保たれる。
【００８６】
このように、本発明の実施の形態２である飲料ノズルの洗浄装置は、飲料を注出する場合に洗浄カバー８を注出位置に移動させ、飲料ノズル５を洗浄する場合に洗浄カバー８を洗浄位置に移動させるので、洗浄カバー８を飲料ノズル５から取り外す必要がなく、洗浄カバー８の紛失を回避できる。
【００８７】
また、飲料ノズル５を洗浄する場合には、洗浄カバー８を注出位置から洗浄位置に移動させればよいので、飲料ノズル５を洗浄するために洗浄カバー８をあらためて飲料ノズル５に取り付ける必要がなく、飲料ノズル５の洗浄が容易になる。
【００８８】
さらに、希釈液ノズル５２は、原液ノズル５１の側方域を遮蔽する一対の側壁部５２ｃを有するので、原液の飛散が防止され、飲料を注出したカップが汚れることがない。
【００８９】
また、飲料ノズル５を洗浄する場合に吐出する希釈液を炭酸水としたので、炭酸水の発泡効果により洗浄効果が増大し、原液ノズル５１に付着した原液を効率的に洗い流すことができる。
【００９０】
さらに、洗浄カバー８は、飲料ノズル５（具体的には、ノズル本体５０）に取り付けられた状態で洗浄カバー８が注出位置に移動した場合に飲料ノズル５（ノズル本体５０）と干渉し、飲料ノズル５（ノズル本体５０）からの脱落を防止する脱落防止手段を有しているので、飲料注出中に洗浄カバー８が脱落することがない。
【符号の説明】
【００９１】
１ 飲料ディスペンサ
２ ディスペンサ本体
２６ 洗浄開始ボタン
２７ センサ
３ 操作パネル
３１ 飲料選択ボタン
４ チューブポンプ
４１ チューブ
４１ａ 開放端
４２ 吐出口
５ 飲料ノズル
５０ ノズル本体
５０ａ 取付基部
５０ｂ 開放端部
５０ｂ１ 突出部
５０ｃ 突起
５１ 原液ノズル
５１ａ 基部
５１ｂ 開放部
５２ 希釈液ノズル
５２ａ 先端部
５２ｂ 吐出口
５２ｃ 側壁部
５３ パイプ
５４ 希釈液接続管
５５ 原液管路
５６ 飲料水管路
５７ 炭酸水管路
５８ カーボネータ
５９ 原液タンク
６ 洗浄カバー
６１ 側壁部
６１ａ 穴
６２ 底壁部
６２ａ 底壁部内壁面
６２ｂ 排水孔
６３ 第２側壁部
７ 制御部
７１ 電磁開閉弁
７２ 電磁開閉弁
７３ 原液ポンプ
８ 洗浄カバー
８１ 側壁部
８１ａ 円弧溝
８１ｂ 直線溝
８２ 底壁部
８２ａ 底壁部内壁面
８２ｂ 排水溝
８２ｃ 可撓片
８２ｃ１ 突起
８２ｄ 突起
【技術分野】
【０００１】
本発明は、シロップなどの原液と、飲料水、炭酸水などの希釈液とを別々に吐出する飲料ノズルの洗浄装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
シロップなどの原液と、飲料水、炭酸水などの希釈液とを別々に吐出する飲料ノズルは、原液を吐出する原液ノズルと、希釈液を吐出する希釈液ノズルとを備えている。そして、原液ノズルから吐出した原液を希釈液ノズルから吐出した希釈液が希釈する。このように、原液を吐出する原液ノズルと希釈液を吐出する希釈液ノズルとを備えた飲料ノズルは、毎日洗浄することにより、清潔に保たれる。
【０００３】
本願出願人は、飲料ノズルを容易に洗浄すべく、飲料ノズルの洗浄装置を提案している。本願出願人が提案している飲料ノズルの洗浄装置は、原液ノズルと希釈液ノズルとを同時に覆い、希釈液ノズルから希釈液を吐出すると、希釈液を原液ノズルに誘導する洗浄カバーを飲料ノズルに着脱可能に備えている。そして、飲料ノズルに洗浄カバーを装着した状態で希釈液ノズルから希釈液を吐出させると、希釈液は原液ノズルに誘導され、原液ノズルに付着した原液を洗い流す。これにより、原液ノズルは清潔に保たれる（たとえば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００９−２５５９４２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、上述した飲料ノズルの洗浄装置は、飲料を注出する場合に飲料ノズルから洗浄カバーを取り外す必要があり、洗浄カバーを紛失することがあった。また、上述した飲料ノズルの洗浄装置は、洗浄カバーを飲料ノズルに取り付ける作業が煩わしく、飲料ノズルを毎日洗浄するのは難しい。
【０００６】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、洗浄カバーの紛失を回避し、飲料ノズルの洗浄が容易になる飲料ノズルの洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、原液を吐出する原液ノズルと該原液ノズルから吐出した原液を希釈する希釈液を吐出する希釈液ノズルとを備えた飲料ノズルを洗浄する飲料ノズルの洗浄装置であって、前記原液ノズルと前記希釈液ノズルとを同時に覆い、前記希釈液ノズルから吐出した希釈液を前記原液ノズルに誘導する洗浄カバーを備えた飲料ノズルの洗浄装置において、前記洗浄カバーは、前記原液ノズルと前記希釈液ノズルとが同時に露出し、前記原液ノズルから吐出した原液を前記希釈液ノズルから吐出した希釈液が希釈する注出位置と、前記原液ノズルと前記希釈液ノズルとを同時に覆い、前記希釈液ノズルから吐出した希釈液を前記原液ノズルに誘導する洗浄位置との間を移動可能に取り付けられたことを特徴とする。
【０００８】
また、本発明は、上記発明において、前記希釈液ノズルは、前記原液ノズルの側方域を遮蔽する一対の壁部を有することを特徴とする。
【０００９】
また、本発明は、上記発明において、前記洗浄カバーは、前記洗浄カバーが前記注出位置に移動した場合に前記原液ノズルの側方域を遮蔽する一対の壁部を有することを特徴とする。
【００１０】
また、本発明は、上記発明において、前記洗浄カバーは、前記飲料ノズルに取り付けられた状態で前記洗浄カバーが前記注出位置に移動した場合に前記飲料ノズルと干渉し、前記飲料ノズルからの脱落を防止する脱落防止手段を有することを特徴とする。
【００１１】
また、本発明は、上記発明において、前記飲料ノズルを洗浄する場合に希釈液ノズルから吐出する希釈液を炭酸水としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１２】
本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置において、洗浄カバーを注出位置に移動させ、原液ノズルから原液を吐出させるとともに、希釈液ノズルから希釈液を吐出させると、原液ノズルから吐出した原液は希釈液ノズルから吐出した希釈液によって希釈される。これにより、洗浄カバーを取り付けたまま、原液が希釈液によって希釈された飲料を注出できる。一方、洗浄カバーを洗浄位置に移動させ、希釈液ノズルから希釈液を吐出させると、希釈液ノズルから吐出した希釈液は原液ノズルに誘導され、原液ノズルに付着した原液を洗い流す。これにより、飲料ノズルは清潔に保たれる。このように、本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置は、飲料を注出する場合に洗浄カバーを注出位置に移動させ、飲料ノズルを洗浄する場合に洗浄カバーを洗浄位置に移動させるので、洗浄カバーを飲料ノズルから取り外す必要がなく、洗浄カバーの紛失を回避できる。また、飲料ノズルを洗浄する場合には、洗浄カバーを注出位置から洗浄位置に移動させ、希釈液ノズルから希釈液を吐出させればよいので、飲料ノズルを洗浄するために洗浄カバーを飲料ノズルに取り付ける必要がなく、飲料ノズルの洗浄が容易になる。
【００１３】
また、本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置において、希釈液ノズルは、原液ノズルの側方域を遮蔽する一対の壁部を有するので、原液の飛散が防止され、飲料を注出したカップが汚れることがない。
【００１４】
また、本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置において、洗浄カバーは、洗浄カバーが注出位置に移動した場合に原液ノズルの側方域を遮蔽する一対の壁部を有するので、原液の飛散が防止され、飲料を注出したカップが汚れることがない。
【００１５】
また、本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置において、飲料ノズルを洗浄する場合に希釈液ノズルから吐出する希釈液を炭酸水としたので、炭酸水の発泡効果により洗浄効果が増大し、原液ノズルに付着した原液を効率的に洗い流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】図１は、本発明の実施の形態である飲料ノズルの洗浄装置を搭載した飲料ディスペンサを示す外観斜視図である。
【図２】図２は、図１に示した飲料ディスペンサの操作パネルを取り外した状態を示す正面図である。
【図３】図３は、本発明の実施の形態１である飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。
【図４】図４は、図３に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。
【図５】図５は、図３に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【図６】図６は、図３に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【図７】図７は、原液と希釈液とを飲料ノズルに供給する飲料回路を示す図である。
【図８】図８は、飲料ディスペンサの制御構成を示すブロック図である。
【図９】図９は、本発明の実施の形態２である飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。
【図１０】図１０は、図９に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。
【図１１】図１１は、図９に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【図１２】図１２は、図９に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【図１３】図１３は、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す側面図である。
【図１４】図１４は、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す側面図である。
【図１５】図１５は、洗浄カバーを注出位置に移動させ、希釈液ノズルを取り外した状態を示す側面図である。
【図１６】図１６は、希釈液ノズルを取り外した後に洗浄カバーを洗浄位置に移動させた状態を示す側面図である。
【図１７】図１７は、希釈液ノズルを取り外し、洗浄カバーを洗浄位置に移動させた状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
以下に、本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【００１８】
本発明にかかる飲料ノズルの洗浄装置は、シロップなどの原液と、飲料水、炭酸水などの希釈液とを別々に吐出する飲料ノズルの洗浄に用いるもので、飲料ディスペンサやカップ式飲料自動販売機に搭載される。ここでは、飲料ディスペンサに搭載された飲料ノズルの洗浄に好適な飲料ノズルの洗浄装置を例に説明するが、飲料ディスペンサの飲料ノズルの洗浄に限られるものではなく、カップ式飲料自動販売機の飲料ノズルの洗浄に用いることも可能である。
【００１９】
図１は、本発明の実施の形態である飲料ノズルの洗浄装置を搭載した飲料ディスペンサを示す外観斜視図であり、図２は、図１に示した飲料ディスペンサの操作パネルを取り外した状態を示す正面図である。
【００２０】
図１に示すように、飲料ディスペンサ１は、ディスペンサ本体２と操作パネル３とを備えている。図２に示すように、ディスペンサ本体２は、前面が開口した箱体であり、その底部には、高さ調整をするための調整脚２１が設けてある。また、ディスペンサ本体２の内部にはバッグインボックス（液体容器）Ｂ（以下「ＢＩＢ」という）を収容する収容庫２２が設けてある。ＢＩＢは、濃縮飲料を封入した袋状の容器をさらに箱状の容器に収容したもので、たとえば、濃縮飲料を封入したプラスチック製の袋容器をさらに段ボール製の箱容器に収容することにより構成してある。そして、ＢＩＢに封入された濃縮飲料を注出した場合に、箱容器の内部で袋容器が収縮することにより、袋容器の内部に空気が入る事態を回避し、濃縮飲料の酸化を防止する。
【００２１】
ディスペンサ本体２の内部であって、収容庫の下方域となる部位には、チューブポンプ４が設けてある。チューブポンプ４は、ＢＩＢに封入された濃縮飲料を汲み出すためのもので、ＢＩＢごとに設けてある。たとえば、図２に示すように、図１に示す飲料ディスペンサ１の収容庫２２には、二つのＢＩＢが収容可能であり、収容庫２２の下方域となる部位には、二つのチューブポンプ４が設けてある。
【００２２】
チューブポンプ４は、ＢＩＢに設けられたチューブ４１の一点を押し潰したローラを移動させることにより、チューブ４１の内部の濃縮飲料を押し出すもので、チューブ４１の開放端４１ａは保持されて、濃縮飲料の吐出口を構成する。そして、ローラが移動すると、ローラによって押し潰されたチューブ４１は、その復元力により元の形状に戻り、その際にチューブ４１の内部が真空となり、チューブ４１の内部に濃縮飲料を吸引する。
【００２３】
また、チューブ４１の開放端４１ａの左側方域には、希釈液の吐出口４２が設けてある。希釈液の吐出口４２は、濃縮飲料を希釈する希釈液を吐出するための吐出口であり、希釈液の吐出口４２から吐出された希釈液は濃縮飲料と混合され、濃縮飲料を希釈する。希釈液は、飲料水、炭酸水などであり、注出する飲料が無炭酸飲料の場合には吐出口４２から飲料水を吐出し、注出する飲料が炭酸飲料の場合には吐出口４２から炭酸水を吐出する。また、注出する飲料が微炭酸飲料の場合には吐出口４２から飲料水と炭酸水とを交互に吐出する。
【００２４】
また、チューブポンプ４の右側方域には、飲料ノズル５が設けてある。飲料ノズル５は、後述するように、シロップなどの原液を吐出する原液ノズル５１と、飲料水、炭酸水などの希釈液を吐出する希釈液ノズル５２とを別々に有しており、原液ノズル５１から吐出した原液と希釈液ノズル５２から吐出した希釈液とを混合することにより、原液を希釈する。
【００２５】
図１に示すように、チューブポンプ４および飲料ノズル５の下方域となるディスペンサ本体２の下端部には、ドリップトレイ２３を備えている。ドリップトレイ２３は、飛び散った飲料や飲料カップからあふれた飲料を受け止めるためのもので、その上には、飲料カップを置くためのカップレスト２４が載置してある。カップレスト２４は、鋼線などの線材を桟状に構成したもので、飛び散った飲料や飲料カップからあふれた飲料はカップレスト２４を通り、ドリップトレイ２３に受け止められる。
【００２６】
操作パネル３は、ディスペンサ本体２の前面開口を覆うためのもので、ディスペンサ本体２の一側縁部（図１に示す飲料ディスペンサ１は左側縁部）に開閉可能に支承されている。操作パネル３の前面には、飲料選択ボタン３１を備えている。
【００２７】
飲料選択ボタン３１は、チューブポンプ４および飲料ノズル５に対応して配置されている。具体的には、飲料選択ボタン３１の配置位置とチューブポンプ４および飲料ノズル５の配置位置とが対応するように配置され、飲料選択ボタン３１で選択された飲料を当該飲料選択ボタン３１の下方域に置かれた飲料カップに注出する。
【００２８】
たとえば、チューブポンプ４から吐出する濃縮飲料を原料とする飲料は通常一種類に限られるので、図１に示すように、一つのチューブポンプ４に対して一つの飲料選択ボタン３１が配置されている。一方、飲料ノズル５からは通常複数種類の飲料が注出されるので、図１に示すように、一つの飲料ノズル５に対して複数の飲料選択ボタン３１が配置されている。
【００２９】
（実施の形態１）
図３は、本発明の実施の形態１である飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観斜視図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。図４は、図３に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。
【００３０】
図３および図４に示すように、飲料ノズル５は、ノズル本体５０を備えている。ノズル本体５０は、ディスペンサ本体２に着脱可能に取り付けられ、洗浄、交換など必要な場合に着脱される。ノズル本体５０は、取付基部５０ａから開放端部５０ｂに向けて斜め下方に延在しており、取付基部５０ａ側には、飲料水、炭酸水などの希釈液を希釈液ノズル５２に供給するパイプ５３が着脱可能に取り付けてあり、パイプ５３よりも開放端部５０ｂ側には、シロップなどの原液を吐出する原液ノズル５１が一体に設けてある。パイプ５３の基部側となる一端には、希釈液接続管５４が接続してあり、希釈液ノズル５２から希釈液を吐出する場合に希釈液接続管５４からパイプ５３に希釈液が供給される。また、パイプ５３の開放端部側となる他端には、希釈液ノズル５２が着脱可能に取り付けてあり、希釈液接続管５４からパイプ５３に供給された希釈液は、希釈液ノズル５２から吐出する。そして、原液ノズル５１から吐出した原液を希釈液ノズル５２から吐出した希釈液が希釈することにより、原液と希釈液とが混合した飲料が飲料カップに注出される。
【００３１】
図３および図４に示すように、原液ノズル５１は、ノズル本体５０の取付基部５０ａから開放端部５０ｂに向けて二列かつ互い違いに、その傾斜が取付基部５０ａから開放端部５０ｂに向けて緩くなるように配置してある。そして、すべての原液ノズル５１から吐出した原液は、カップレスト２４（図１参照）に置かれた飲料カップに注がれる。
【００３２】
また、原液ノズル５１は、基部５１ａ側が円筒形に形成してあり、原液ノズル５１に原液を供給する原液管路５５（シロップ管路）が接続してある（図７参照）。一方、原液ノズル５１の開放部５１ｂ側は、円筒を偏平に押しつぶした形をしており、その先端は、吐出した原液が螺旋を描くように形成してある。
【００３３】
図４に示すように、希釈液ノズル５２の先端部５２ａは、原液ノズル５１に向けて傾いており、原液ノズル５１に対向する側面に吐出口５２ｂが開口している。これにより、原液ノズル５１から吐出した原液と希釈液ノズル５２から吐出した希釈液とは空中において衝突し、混合および希釈される。
【００３４】
ところで、図３および図４に示す飲料ノズル５は、ノズル本体５０に六つの原液ノズル５１が設けてあり、最大六種類の原液を原料とする飲料を提供できる。また、ノズル本体５０に取り付けたパイプ５３には、飲料水、炭酸水の二種類の希釈液が供給され、原液を飲料水で希釈した無炭酸飲料、原液を炭酸水で希釈した炭酸飲料、原液を飲料水と炭酸水とで希釈した微炭酸飲料を提供できる。
【００３５】
図５は、図３に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観斜視図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。図６は、図３に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【００３６】
図３および図５に示すように、ノズル本体５０には、洗浄カバー６が取り付けてある。図６に示すように、洗浄カバー６は、原液ノズル５１と希釈液ノズル５２とを同時に覆い、希釈液ノズル５２から吐出した希釈液を原液ノズル５１に誘導するためのものである。
【００３７】
図３および図５に示すように、洗浄カバー６は、ノズル本体５０の側面に設けた円柱状の突起５０ｃに回動可能に支承され、原液ノズル５１と希釈液ノズル５２とが同時に露出する注出位置（図３および図４参照）と、原液ノズル５１と希釈液ノズル５２とが同時に覆われる洗浄位置（図５および図６参照）との間を移動可能にする。
【００３８】
また、洗浄カバー６は、左右一対を成す側壁部６１と、一対の側壁部６１を相互に接続する底壁部６２とを有している。側壁部６１は、ノズル本体５０に設けた円柱状の突起５０ｃに支承される穴６１ａを中心とした扇形をしており、底壁部６２の内壁面は、穴６１ａの中心を通る軸線を中心とする円弧が集合した円弧面を構成する。これにより、洗浄カバー６を注出位置と洗浄位置との間で移動させても、図４および図６に示すように、底壁部内壁面６２ａが原液ノズル５１の先端や希釈液ノズル５２の先端に当たることがない。また、図４に示すように、洗浄カバー６の底壁部内壁面６２ａに摺接する突出部５０ｂ１をノズル本体５０の開放端部５０ｂに設けても、洗浄カバー６が注出位置と洗浄位置との間で移動できる。
【００３９】
また、図３および図４並びに図６に示すように、洗浄カバー６の底壁部６２には、排水孔６２ｂが設けてある。排水孔６２ｂは、飲料ノズル５の洗浄に用いた希釈液（炭酸水）を排出させるための孔であり、洗浄カバー６の底壁部６２を貫通している。
【００４０】
また、図３〜図６に示すように、洗浄カバー６の側壁部６１には、それぞれ第２側壁部６３が設けてある。第２側壁部６３は、側壁部６１と一体に設けられ、図３および図４に示すように、洗浄カバー６が注出位置に移動した場合に原液ノズル５１の側方域を遮蔽し、原液の飛散を防止する。なお、対となる第２側壁部６３の底部は、開放しており、原液ノズル５１から吐出した原液の障害となることはない。
【００４１】
図７は、原液と希釈液とを飲料ノズルに供給する飲料回路を示す図である。図７に示すように、上述した希釈液接続管５４には、飲料水を供給する飲料水管路５６と、炭酸水を供給する炭酸水管路５７が接続してある。飲料水管路５６の途中には、電磁開閉弁７１が接続してあり、電磁開閉弁７１を開放すると、希釈液接続管５４に飲料水が供給される。そして、希釈液接続管５４に供給された飲料水は、パイプ５３を経由して希釈液ノズル５２から吐出する。炭酸水管路５７は、飲料水に炭酸ガスを溶解させるカーボネータ５８が接続してある。カーボネータ５８には飲料水と炭酸ガスとが供給され、飲料水に炭酸ガスを溶解させることにより、炭酸水を生成する。炭酸水管路５７の途中には、電磁開閉弁７２が接続してあり、電磁開閉弁７２を開放すると希釈液接続管５４に炭酸水が供給される。そして、希釈液接続管５４に供給された炭酸水は、パイプ５３を経由して希釈液ノズル５２から吐出する。
【００４２】
また、上述した原液管路５５には、原液管路５５ごとに原液タンク（シロップタンク）５９が接続してある。また、原液管路５５の途中には、原液管路５５ごとに流量計を備えた原液ポンプ（シロップポンプ）７３が接続してあり、原液ポンプ７３を駆動することにより、原液タンク５９から原液を汲み上げ、原液ノズル５１に供給される。そして、原液ノズル５１に供給された原液は、原液ノズル５１から吐出する。
【００４３】
図８は、飲料ディスペンサの制御構成を示すブロック図である。図８に示すように、上述した飲料選択ボタン３１、チューブポンプ４、飲料水管路５６の途中に接続された電磁開閉弁７１、炭酸水管路５７の途中に接続された電磁開閉弁７２、各原液管路５５に接続された原液ポンプ７３は、制御部７に接続してあり、これらは統括的に制御される。
【００４４】
そして、上述した飲料ノズル５、電磁開閉弁７１，７２、原液ポンプ７３、洗浄カバー６は、本発明の実施の形態１である飲料ノズルの洗浄装置を構成し、上述した制御部７は、同時に飲料ノズルの洗浄装置の制御部を構成する。また、図２に示すように、飲料ノズル５の側方域となるディスペンサ本体２の前面には、洗浄開始ボタン２６が設けてある。洗浄開始ボタン２６は、洗浄開始命令を制御部７に入力するための洗浄開始命令入力手段であり、図８に示すように、制御部７に接続してある。そして、洗浄開始ボタン２６を押下すると、制御部７に洗浄開始命令が入力される。
【００４５】
また、図３および図５に示すように、飲料ノズル５の近傍域には、センサ２７が設けてある。センサ２７は、洗浄位置に移動した洗浄カバー６を検出するためのもので、図８に示すように、制御部７に接続してある。そして、洗浄カバー６が洗浄位置にある場合に検出信号を出力し、制御部７に検出信号が入力される。
【００４６】
上述した飲料ノズルの洗浄装置に飲料ノズル５を洗浄させる場合には、洗浄カバー６を注出位置から洗浄位置に移動させ、洗浄開始ボタン２６を押下する。すると、制御部７には、センサ２７から検出信号が入力され、洗浄開始ボタン２６から洗浄開始命令が入力される。
【００４７】
検出信号と洗浄開始命令が入力されると、制御部７はノズル洗浄を開始する。具体的には、炭酸水管路５７の途中に接続してある電磁開閉弁７２を一定時間開放する。すると、炭酸水は、カーボネータ５８から炭酸水管路５７、希釈液接続管５４、パイプ５３を経由して希釈液ノズル５２から吐出する。
【００４８】
希釈液ノズル５２から吐出した炭酸水は、洗浄カバー６により、原液ノズル５１に誘導され、その後、排水孔６２ｂから排出される。そして、一定時間が経過すると、制御部７は、炭酸水管路５７の途中に接続してある電磁開閉弁７２を閉鎖する。これにより、原液ノズル５１に付着した原液は、洗い流され、原液ノズル５１は清潔に保たれる。
【００４９】
その後、原液ポンプ７３を順番に駆動することにより、原液ノズル５１から所定量の原液を吐出させる。これにより、原液ノズル５１に侵入した炭酸水が原液とともに排出され、原液ノズル５１は原液で満たされる。
【００５０】
上述した本発明の実施の形態１である飲料ノズルの洗浄装置は、洗浄カバー６を注出位置に移動させ、原液ノズル５１から原液を吐出させるとともに、希釈液ノズル５２から希釈液を吐出させると、原液ノズル５１から吐出した原液は希釈液ノズル５２から吐出した希釈液によって希釈される。これにより、飲料ノズル５に洗浄カバー６を取り付けたまま、原液が希釈液によって希釈された飲料を注出できる。
【００５１】
一方、洗浄カバー６を洗浄位置に移動させ、希釈液ノズル５２から炭酸水を吐出させると、希釈液ノズル５２から吐出した炭酸水は原液ノズル５１に付着した原液を洗い流す。これにより、飲料ノズル５は清潔に保たれる。
【００５２】
このように、本発明の実施の形態１である飲料ノズルの洗浄装置は、飲料を注出する場合に洗浄カバー６を注出位置に移動させ、飲料ノズル５を洗浄する場合に洗浄カバー６を洗浄位置に移動させるので、洗浄カバー６を飲料ノズル５から取り外す必要がなく、洗浄カバー６の紛失を回避できる。
【００５３】
また、飲料ノズル５を洗浄する場合には、洗浄カバー６を注出位置から洗浄位置に移動させればよいので、飲料ノズル５を洗浄するために洗浄カバー６をあらためて飲料ノズル５に取り付ける必要がなく、飲料ノズル５の洗浄が容易になる。
【００５４】
さらに、洗浄カバー６は、洗浄カバー６が注出位置に移動した場合に原液ノズル５１の側方域を遮蔽する一対の第２側壁部６３を有するので、原液の飛散が防止され、飲料を注出したカップが汚れることがない。
【００５５】
また、飲料ノズル５を洗浄する場合に吐出する希釈液を炭酸水としたので、炭酸水の発泡効果により洗浄効果が増大し、原液ノズル５１に付着した原液を効率的に洗い流すことができる。
【００５６】
（実施の形態２）
図９は、本発明の実施の形態２である飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。図１０は、図９に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す図である。なお、本発明の実施の形態２である飲料ノズルは、上述した実施の形態１である飲料ノズルと共通の構成を有するので、共通の構成については同一の符号を付して説明し、異なる構成については新たな符号を付して説明する。
【００５７】
図９および図１０に示すように、飲料ノズル５は、ノズル本体５０を備えている。ノズル本体５０は、ディスペンサ本体２に着脱可能に取り付けられ、洗浄、交換など必要な場合に着脱される。ノズル本体５０は、取付基部５０ａから開放端部５０ｂに向けて斜め下方に延在しており、取付基部５０ａ側には、飲料水、炭酸水などの希釈液を希釈液ノズル５２に供給するパイプ５３が着脱可能に取り付けてあり、パイプ５３よりも開放端部５０ｂ側には、シロップなどの原液を吐出する原液ノズル５１が一体に設けてある。パイプ５３の基部側となる一端には、希釈液接続管５４が接続してあり、希釈液ノズル５２から希釈液を吐出する場合に希釈液接続管５４からパイプ５３に希釈液が供給される。また、パイプ５３の開放端部側となる他端には、希釈液ノズル５２が着脱可能に取り付けてあり、希釈液接続管５４からパイプ５３に供給された希釈液は、希釈液ノズル５２から吐出する。そして、原液ノズル５１から突出した原液を希釈液ノズル５２から吐出した希釈液が希釈することにより、原液と希釈液とが混合した飲料が飲料カップに注出される。
【００５８】
図９および図１０に示すように、原液ノズル５１は、ノズル本体５０の取付基部５０ａから開放端部５０ｂに向けて二列かつ互い違いに、その傾斜が取付基部５０ａから開放端部５０ｂに向けて緩くなるように配置してある。そして、すべての原液ノズル５１から吐出した原液は、カップレスト２４（図１参照）に置かれた飲料カップに注がれる。
【００５９】
また、原液ノズル５１は、基部側が円筒形に形成してあり、原液ノズル５１に原液を供給する原液管路５５（シロップ管路）が接続してある（図７参照）。一方、原液ノズル５１の開放部５１ｂ側は、円筒を偏平に押しつぶした形をしており、その先端は、吐出した原液が螺旋を描くように形成してある。
【００６０】
図９および図１０に示すように、希釈液ノズル５２の先端部５２ａは、原液ノズル５１に向けて傾いており、原液ノズル５１に対向する側面に吐出口５２ｂが開口している。これにより、原液ノズル５１から突出した原液と希釈液ノズル５２から吐出した希釈液とは空中において衝突し、混合および希釈される。
【００６１】
また、希釈液ノズル５２の先端には、一対の側壁部５２ｃが設けてある。側壁部５２ｃは、原液ノズル５１の側方域を遮蔽し、原液の飛散を防止する。なお、対となる側壁部５２ｃの間は、開放しており、原液ノズル５１から吐出した原液の障害となることはない。
【００６２】
ところで、図９および図１０に示す飲料ノズル５は、ノズル本体５０に六つの原液ノズル５１が設けてあり、最大六種類の原液を原料とする飲料を提供できる。また、ノズル本体５０に取り付けたパイプ５３には、飲料水、炭酸水の二種類の希釈液が供給され、原液を飲料水で希釈した無炭酸飲料、原液を炭酸水で希釈した炭酸飲料、原液を飲料水と炭酸水とで希釈した微炭酸飲料を提供できる。
【００６３】
図１１は、図９に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す外観斜視図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。図１２は、図９に示した飲料ノズルの洗浄装置の要部を示す側断面図であって、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す図である。
【００６４】
図９および図１１に示すように、ノズル本体５０には、洗浄カバー８が取り付けてある。図１１および図１２に示すように、洗浄カバー８は、原液ノズル５１と希釈液ノズル５２とを同時に覆い、希釈液ノズル５２から吐出した希釈液を原液ノズル５１に誘導するためのものである。
【００６５】
図９および図１１に示すように、洗浄カバー８は、ノズル本体５０の側面に設けた円柱状の突起５０ｃに回動可能に支承され、原液ノズル５１と希釈液ノズル５２とが同時に露出する注出位置（図９および図１０参照）と、原液ノズル５１と希釈液ノズル５２とが同時に覆われる洗浄位置（図１１および図１２参照）との間を移動可能にする。
【００６６】
また、洗浄カバー８は、左右対を成す側壁部８１と、一対の側壁部８１を相互に接続する底壁部８２とを有している。側壁部８１は、ノズル本体５０に設けた円柱状の突起５０ｃに支承される円弧溝８１ａの中心を中心とした扇形をしており、底壁部８２の内壁面は、円弧溝８１ａの中心を通る軸線を中心とする円弧が集合した円弧面を構成する。これにより、洗浄カバー８を注出位置と洗浄位置との間で移動させても、図１０および図１２に示すように、底壁部内壁面８２ａが原液ノズル５１の先端や希釈液ノズル５２の先端に当たることがない。また、図１０および図１４に示すように、洗浄カバー８の底壁部内壁面８２ａに摺接する突出部５０ｂ１をノズル本体５０の開放端部５０ｂに設けても、洗浄カバー８が注出位置と洗浄位置との間で移動できる。
【００６７】
また、図９および図１０並びに図１２に示すように、洗浄カバー８の底壁部８２には、排水溝８２ｂが設けてある。排水溝８２ｂは、飲料ノズル５の洗浄に用いた希釈液（炭酸水）を排出するための溝であり、コの字状に形成され、洗浄カバー８の底壁部８２を貫通している。また、排水溝８２ｂを設けることにより、舌片状に形成された可撓片８２ｃの端部内壁には、突起８２ｃ１が設けてある。この突起８２ｃ１は、洗浄カバー８が注出位置にあるときに、上述した突出部５０ｂ１と係合することにより、洗浄カバー８が自重や振動により洗浄位置に移動する事態を防止する。そして、洗浄カバー８が注出位置から洗浄位置に移動する際には、可撓片８２ｃが撓むことにより、突出部５０ｂ１が突起８２ｃ１を乗り越える。同様に、洗浄カバー８が洗浄位置から注出位置に移動する際には、可撓片８２ｃが撓むことにより、突出部５０ｂ１が突起８２ｃ１を乗り越える。
【００６８】
また、洗浄カバー８の端部内壁には、突起８２ｄが設けてある。この突起８２ｄは、ノズル本体５０と洗浄カバー８との間にできた空間を閉鎖し、効率的に原液ノズル５１を洗い流すためのもので、図１２に示すように、洗浄カバー８が洗浄位置にあるときに上述した突出部５０ｂ１と係合する。そして、洗浄カバー８が洗浄位置から注出位置に移動する際には、突出部５０ｂ１または洗浄カバー８が撓むことにより、突出部５０ｂ１が突起８２ｄを乗り越える。同様に、洗浄カバー８が注出位置から洗浄位置に移動する際には、突出部５０ｂ１または洗浄カバー８が撓むことにより、突出部５０ｂ１が突起８２ｄを乗り越える。
【００６９】
図１３は、洗浄カバーが注出位置に移動した状態を示す側面図であり、図１４は、洗浄カバーが洗浄位置に移動した状態を示す側面図である。
【００７０】
洗浄カバー８は、飲料ノズル５（具体的には、ノズル本体５０）に取り付けられた状態で洗浄カバー８が注出位置に移動した場合に飲料ノズル５（ノズル本体５０）と干渉し、飲料ノズル５（ノズル本体５０）からの脱落を防止する脱落防止手段を有している。脱落防止手段は、円弧溝８１ａと円弧溝８１ａに至る直線溝８１ｂとで構成してある。
【００７１】
図１３に示すように、洗浄カバー８が注出位置に移動した状態で洗浄カバー８に設けられた直線溝８１ｂは、円弧溝８１ａから手前側斜め下方に向かって延びている。この状態で洗浄カバー８を取り外そうとすると、図１３において矢印で示すように、洗浄カバーを奥側斜め上方（図１３において右側上方）に向けて移動させる必要がある。しかしながら、この場合には、図１０に示すように、ノズル本体５０の開放端部５０ｂに設けた突出部５０ｂ１と洗浄カバー８の底壁部内壁面８２ａとが干渉し、洗浄カバー８を取り外すことができない。言い換えると、洗浄カバー８は、洗浄位置においてノズル本体５０から脱落することはない。
【００７２】
図１４に示すように、洗浄カバー８が洗浄位置に移動した状態で洗浄カバー８に設けられた直線溝８１ｂは、円弧溝８１ａから奥側斜め下方に向かって延びている。この状態で洗浄カバー８を取り外そうとすると、図１４において矢印で示すように、洗浄カバー８を手前側上方（図１４において左側上方）に向けて移動させる必要がある。しかしながら、この場合には、図１２に示すように、希釈液ノズル５２の先端と洗浄カバー８の底壁部内壁面８２ａとが干渉し、洗浄カバー８を取り外すことができない。言い換えると、洗浄カバー８は、このままでノズル本体５０から脱落することはない。
【００７３】
図１５は、洗浄カバーを注出位置に移動させ、希釈液ノズルを取り外した状態を示す側面図である。図１６は、希釈液ノズルを取り外した後に洗浄カバーを洗浄位置に移動させた状態を示す側面図である。図１７は、希釈液ノズルを取り外し、洗浄カバーを洗浄位置に移動させた状態を示す図である。
【００７４】
ノズル本体５０から洗浄カバー８を取り外す場合には、図１３に示すように、まず、洗浄カバー８を注出位置に移動させる。そして、図１５に示すように、洗浄カバー８を注出位置に移動させた状態で、希釈液ノズル５２をパイプ５３から取り外す。つぎに、図１６に示すように、洗浄カバー８を注出位置から洗浄位置に移動させる。この場合に、直線溝８１ｂは、円弧溝８１ａから奥側斜め下方に向かって延びているから、この状態で洗浄カバー８を取り外そうとすると、図１６において矢印で示すように、洗浄カバー８を手前側上方（図１６において左側上方）に向けて移動させる必要がある。この場合は、図１７に示すように、すでに希釈液ノズル５２が取り外してあるので、希釈液ノズル５２の先端と洗浄カバー８の底壁部内壁面８２ａとが干渉することはない。これにより、洗浄カバー８を取り外すことができる。すなわち、洗浄カバー８は所定の手順を踏むことにより取り外される。
【００７５】
図７に示すように、実施の形態２である飲料ノズルの洗浄装置も上述した実施の形態１である飲料ノズルの洗浄装置と同様に、希釈液接続管５４には、飲料水を供給する飲料水管路５６と、炭酸水を供給する炭酸水管路５７が接続してある。飲料水管路５６の途中には、電磁開閉弁７１が接続してあり、電磁開閉弁７１を開放すると、希釈液接続管５４に飲料水が供給される。そして、希釈液接続管５４に供給された飲料水は、パイプ５３を経由して希釈液ノズル５２から吐出する。炭酸水管路５７は、飲料水に炭酸ガスを溶解させるカーボネータ５８が接続してある。カーボネータ５８には飲料水と炭酸ガスとが供給され、飲料水に炭酸ガスを溶解させることにより、炭酸水を生成する。炭酸水管路５７の途中には、電磁開閉弁７２が接続してあり、電磁開閉弁７２を開放すると希釈液接続管５４に炭酸水が供給される。そして、希釈液接続管５４に供給された炭酸水は、パイプ５３を経由して希釈液ノズル５２から吐出する。
【００７６】
また、原液管路５５には、原液管路５５ごとに原液タンク（シロップタンク）５９が接続してある。また、原液管路５５の途中には、原液管路５５ごとに流量計を備えた原液ポンプ（シロップポンプ）７３が接続してあり、原液ポンプ７３を駆動することにより、原液タンク５９から原液を汲み上げ、原液ノズル５１に供給される。そして、原液ノズル５１に供給された原液は、原液ノズル５１から吐出する。
【００７７】
図８に示すように、実施の形態２である飲料ノズルの洗浄装置も上述した実施の形態１である飲料ノズルの洗浄装置と同様に、上述した飲料選択ボタン３１、チューブポンプ４、飲料水管路５６の途中に接続された電磁開閉弁７１、炭酸水管路５７の途中に接続された電磁開閉弁７２、各原液管路５５に接続された原液ポンプ７３は、制御部７に接続してあり、これらは統括的に制御される。
【００７８】
そして、上述した飲料ノズル５、電磁開閉弁７１，７２、原液ポンプ７３、洗浄カバー８は、本発明の実施の形態２である飲料ノズルの洗浄装置を構成し、上述した制御部７は、同時に飲料ノズルの洗浄装置の制御部を構成する。また、図２に示すように、飲料ノズル５の側方域となるディスペンサ本体２の前面には、洗浄開始ボタン２６が設けてある。洗浄開始ボタン２６は、洗浄開始命令を制御部に入力するための洗浄開始命令入力手段であり、図８に示すように、制御部７に接続してある。そして、洗浄開始ボタン２６を押下すると、制御部７に洗浄開始命令が入力される。
【００７９】
また、図９および図１１に示すように、飲料ノズル５の近傍域には、センサ２７が設けてある。センサ２７は、洗浄位置に移動した洗浄カバー８を検出するためのもので、図８に示すように、制御部７に接続してある。そして、洗浄カバー８が洗浄位置にある場合に検出信号を出力し、制御部７に検出信号が入力される。
【００８０】
上述した飲料ノズルの洗浄装置に飲料ノズル５を洗浄させる場合には、洗浄カバー８を注出位置から洗浄位置に移動させ、洗浄開始ボタン２６を押下する。すると、制御部７には、センサ２７から検出信号が入力され、洗浄開始ボタン２６から洗浄開始命令が入力される。
【００８１】
検出信号と洗浄開始命令が入力されると、制御部７はノズル洗浄を開始する。具体的には、炭酸水管路５７の途中に接続してある電磁開閉弁７２を一定時間開放する。すると、炭酸水は、カーボネータ５８から炭酸水管路５７、希釈液接続管５４、パイプ５３を経由して希釈液ノズル５２から吐出する。
【００８２】
希釈液ノズル５２から吐出した炭酸水は、洗浄カバー８により、原液ノズル５１に誘導され、その後、排水溝８２ｂから排出される。そして、一定時間が経過すると、制御部７は、炭酸水管路５７の途中に接続してある電磁開閉弁７２を閉鎖する。これにより、原液ノズル５１に付着した原液は、洗い流され、原液ノズル５１は清潔に保たれる。
【００８３】
その後、原液ポンプ７３を順番に駆動することにより、原液ノズル５１から所定量の原液を吐出させる。これにより、原液ノズル５１に侵入した炭酸水が原液とともに排出され、原液ノズル５１は原液で満たされる。
【００８４】
上述した本発明の実施の形態２である飲料ノズルの洗浄装置は、洗浄カバー８を注出位置に移動させ、原液ノズル５１から原液を吐出させるとともに、希釈液ノズル５２から希釈液を吐出させると、原液ノズル５１から吐出した原液は希釈液ノズル５２から吐出した希釈液によって希釈される。これにより、飲料ノズル５に洗浄カバー８を取り付けたまま、原液が希釈液によって希釈された飲料を注出できる。
【００８５】
一方、洗浄カバー８を洗浄位置に移動させ、希釈液ノズル５２から炭酸水を吐出させると、希釈液ノズル５２から吐出した炭酸水は原液ノズル５１に付着した原液を洗い流す。これにより、飲料ノズル５は清潔に保たれる。
【００８６】
このように、本発明の実施の形態２である飲料ノズルの洗浄装置は、飲料を注出する場合に洗浄カバー８を注出位置に移動させ、飲料ノズル５を洗浄する場合に洗浄カバー８を洗浄位置に移動させるので、洗浄カバー８を飲料ノズル５から取り外す必要がなく、洗浄カバー８の紛失を回避できる。
【００８７】
また、飲料ノズル５を洗浄する場合には、洗浄カバー８を注出位置から洗浄位置に移動させればよいので、飲料ノズル５を洗浄するために洗浄カバー８をあらためて飲料ノズル５に取り付ける必要がなく、飲料ノズル５の洗浄が容易になる。
【００８８】
さらに、希釈液ノズル５２は、原液ノズル５１の側方域を遮蔽する一対の側壁部５２ｃを有するので、原液の飛散が防止され、飲料を注出したカップが汚れることがない。
【００８９】
また、飲料ノズル５を洗浄する場合に吐出する希釈液を炭酸水としたので、炭酸水の発泡効果により洗浄効果が増大し、原液ノズル５１に付着した原液を効率的に洗い流すことができる。
【００９０】
さらに、洗浄カバー８は、飲料ノズル５（具体的には、ノズル本体５０）に取り付けられた状態で洗浄カバー８が注出位置に移動した場合に飲料ノズル５（ノズル本体５０）と干渉し、飲料ノズル５（ノズル本体５０）からの脱落を防止する脱落防止手段を有しているので、飲料注出中に洗浄カバー８が脱落することがない。
【符号の説明】
【００９１】
１ 飲料ディスペンサ
２ ディスペンサ本体
２６ 洗浄開始ボタン
２７ センサ
３ 操作パネル
３１ 飲料選択ボタン
４ チューブポンプ
４１ チューブ
４１ａ 開放端
４２ 吐出口
５ 飲料ノズル
５０ ノズル本体
５０ａ 取付基部
５０ｂ 開放端部
５０ｂ１ 突出部
５０ｃ 突起
５１ 原液ノズル
５１ａ 基部
５１ｂ 開放部
５２ 希釈液ノズル
５２ａ 先端部
５２ｂ 吐出口
５２ｃ 側壁部
５３ パイプ
５４ 希釈液接続管
５５ 原液管路
５６ 飲料水管路
５７ 炭酸水管路
５８ カーボネータ
５９ 原液タンク
６ 洗浄カバー
６１ 側壁部
６１ａ 穴
６２ 底壁部
６２ａ 底壁部内壁面
６２ｂ 排水孔
６３ 第２側壁部
７ 制御部
７１ 電磁開閉弁
７２ 電磁開閉弁
７３ 原液ポンプ
８ 洗浄カバー
８１ 側壁部
８１ａ 円弧溝
８１ｂ 直線溝
８２ 底壁部
８２ａ 底壁部内壁面
８２ｂ 排水溝
８２ｃ 可撓片
８２ｃ１ 突起
８２ｄ 突起
【特許請求の範囲】
【請求項１】
原液を吐出する原液ノズルと該原液ノズルから吐出した原液を希釈する希釈液を吐出する希釈液ノズルとを備えた飲料ノズルを洗浄する飲料ノズルの洗浄装置であって、前記原液ノズルと前記希釈液ノズルとを同時に覆い、前記希釈液ノズルから吐出した希釈液を前記原液ノズルに誘導する洗浄カバーを備えた飲料ノズルの洗浄装置において、
前記洗浄カバーは、前記原液ノズルと前記希釈液ノズルとが同時に露出し、前記原液ノズルから吐出した原液を前記希釈液ノズルから吐出した希釈液が希釈する注出位置と、前記原液ノズルと前記希釈液ノズルとを同時に覆い、前記希釈液ノズルから吐出した希釈液を前記原液ノズルに誘導する洗浄位置との間を移動可能に取り付けられたことを特徴とする飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項２】
前記希釈液ノズルは、前記原液ノズルの側方域を遮蔽する一対の壁部を有することを特徴とする請求項１に記載の飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項３】
前記洗浄カバーは、前記洗浄カバーが前記注出位置に移動した場合に前記原液ノズルの側方域を遮蔽する一対の壁部を有することを特徴とする請求項１に記載の飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項４】
前記洗浄カバーは、前記飲料ノズルに取り付けられた状態で前記洗浄カバーが前記注出位置に移動した場合に前記飲料ノズルと干渉し、前記飲料ノズルからの脱落を防止する脱落防止手段を有することを特徴とする請求項１〜３のいずれか一つに記載の飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項５】
前記飲料ノズルを洗浄する場合に希釈液ノズルから吐出する希釈液を炭酸水としたことを特徴とする請求項１〜４のいずれか一つに記載の飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項１】
原液を吐出する原液ノズルと該原液ノズルから吐出した原液を希釈する希釈液を吐出する希釈液ノズルとを備えた飲料ノズルを洗浄する飲料ノズルの洗浄装置であって、前記原液ノズルと前記希釈液ノズルとを同時に覆い、前記希釈液ノズルから吐出した希釈液を前記原液ノズルに誘導する洗浄カバーを備えた飲料ノズルの洗浄装置において、
前記洗浄カバーは、前記原液ノズルと前記希釈液ノズルとが同時に露出し、前記原液ノズルから吐出した原液を前記希釈液ノズルから吐出した希釈液が希釈する注出位置と、前記原液ノズルと前記希釈液ノズルとを同時に覆い、前記希釈液ノズルから吐出した希釈液を前記原液ノズルに誘導する洗浄位置との間を移動可能に取り付けられたことを特徴とする飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項２】
前記希釈液ノズルは、前記原液ノズルの側方域を遮蔽する一対の壁部を有することを特徴とする請求項１に記載の飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項３】
前記洗浄カバーは、前記洗浄カバーが前記注出位置に移動した場合に前記原液ノズルの側方域を遮蔽する一対の壁部を有することを特徴とする請求項１に記載の飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項４】
前記洗浄カバーは、前記飲料ノズルに取り付けられた状態で前記洗浄カバーが前記注出位置に移動した場合に前記飲料ノズルと干渉し、前記飲料ノズルからの脱落を防止する脱落防止手段を有することを特徴とする請求項１〜３のいずれか一つに記載の飲料ノズルの洗浄装置。
【請求項５】
前記飲料ノズルを洗浄する場合に希釈液ノズルから吐出する希釈液を炭酸水としたことを特徴とする請求項１〜４のいずれか一つに記載の飲料ノズルの洗浄装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【公開番号】特開２０１２−１４４２６９（Ｐ２０１２−１４４２６９Ａ）
【公開日】平成２４年８月２日（２０１２．８．２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−３３９２（Ｐ２０１１−３３９２）
【出願日】平成２３年１月１１日（２０１１．１．１１）
【出願人】（０００２３７７１０）富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年８月２日（２０１２．８．２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１月１１日（２０１１．１．１１）
【出願人】（０００２３７７１０）富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Ｆターム（参考）】
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