説明

飲料供給装置

【課題】注出コックの飲料流入部内の発泡飲料が温められないようにして過剰に発泡して注出されることを防ぐ飲料供給装置を提供する。
【解決手段】冷却槽11内の冷却水に浸漬した飲料冷却管12を通して供給される冷却飲料を注出する飲料注出装置20を冷却槽11から離れた位置に設置して、飲料注出装置20に設けた注出コック30に飲料冷却管12を接続する冷却飲料供給管13の周囲に沿って冷却槽11内の冷却水を循環させる冷却導管14を配置した飲料供給装置において、飲料注出装置20に設けた注出コック30の飲料流入部34の略中間部より流入端側に環状溝34aを設けて、その外周に嵌め込んで取り付けた冷却水循環アダプター37との間に形成される冷却水通路Fに冷却導管14を循環する冷却水を通すこと飲料流入部34内の飲料を冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール等の飲料を供給する飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の飲料供給装置においては、特許文献1に記載のように、冷却槽内に貯えた冷却水に浸漬したコイル状の飲料冷却管を通して供給される冷却飲料を注出する飲料注出装置を冷却槽から離れた位置に設置して、飲料注出装置に設けた注出コックは冷却飲料供給管により飲料冷却管と接続している。上記の飲料供給装置では、冷却飲料供給管の周囲に沿って冷却槽内の冷却水が循環する冷却導管が配置されており、冷却飲料供給管を通る飲料は冷却導管内を循環する冷却水により冷却されて飲料注出装置の注出コックに送られるようになっている。
【特許文献1】特開2004−123180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような飲料供給装置においては、冷却導管は、配設を容易にして、その内径が潰れて冷却水の通路を塞ぐことのないように硬質の樹脂製ホースを用いている。このような冷却導管は、硬質の樹脂製ホースであるために注出コックの飲料流入部に巻き付ける等して容易に周囲を覆って冷却することができないので、注出コックの飲料流入部内にある飲料が室温により温められることがあった。注出コックから注出しない時間が長くなって注出コックの飲料流入部内に滞留する飲料が室温により温められると、注出コックから注出されるビール等の発泡飲料がジョッキ等で過剰に発泡して泡の多いビールとなっていた。
【0004】
よって、本発明は、注出コックの飲料流入部内の飲料が温められないようにした飲料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、冷却槽内の冷却水に浸漬した冷却器を通して供給される冷却飲料を注出する飲料注出装置を冷却槽から離れた位置に設置して、飲料注出装置に設けた注出コックに冷却器を接続する冷却飲料供給管の周囲に沿って冷却槽内の冷却水を循環させる冷却導管を配置した飲料供給装置において、注出コックの飲料流入部の外周を冷却導管を循環する冷却水により冷却するようにしたことを特徴とする飲料供給装置を提供するものである。
【0006】
上記のように構成した飲料供給装置においては、注出コックの飲料流入部の外周は冷却導管を循環する冷却水により冷却されているので、注出コックの飲料流入部内の飲料は冷却されて温度が上がることがなくなり、注出コックから常に冷却された状態の飲料として注出することができる。特に、飲料がビール等の発泡飲料であるときに冷却されていない状態で注出すると発泡飲料が過剰に発泡して注出されることになるが、飲料流入部に発泡飲料が滞留しても、飲料流入部内の発泡飲料が冷却されるので、注出コックから過剰に発泡して注出されることがない。
【0007】
上記の飲料供給装置においては、その実施形態において、注出コックの飲料流入部の外周に筒状の冷却水循環アダプターを取付けてその内部に形成された冷却水通路に冷却導管を連通させるようにしてもよい。
【0008】
上記の飲料供給装置においては、他の実施形態において、飲料流入部を巻回する螺旋状の冷却水循環アダプターを取り付けてその内部に形成された冷却水通路に冷却導管を連通させるようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1〜図3は、本発明に係る飲料供給装置を示しており、この飲料供給装置は、冷却槽11内の冷却水に浸漬した冷却器(飲料冷却管)12を通して供給されるビール等の冷却飲料を注出する飲料注出装置20を冷却槽11から離れた位置に設置して、飲料注出装置20に設けた注出コック30に冷却器(飲料冷却管)12を接続する冷却飲料供給管13の周囲に沿って冷却槽11内の冷却水を循環させる冷却導管14を配置し、注出コック30の飲料流入部(コック軸)34の外周を冷却導管14を循環する冷却水により冷却するようにしたものである。以下、本発明に係る飲料供給装置を飲料としてビールを供給する例により説明する。
【0010】
この飲料供給装置は、飲料冷却装置10と、飲料冷却装置10から離れた位置に設置された飲料注出装置20とを備えている。
【0011】
飲料冷却装置10は、図1に示すように、炭酸ガスボンベGからガス管G1を通って送られる炭酸ガスの圧力により圧送されるビール樽B内のビール(飲料)を冷却するものである。飲料冷却装置10には、飲料を冷却する冷却水を貯える冷却槽11が設けられており、冷却槽11内には、コイル状の金属管部材よりなる飲料冷却管(冷却器)12が配置されて冷却水に浸漬されている。飲料冷却管12は、管内を通過するビールを冷却槽11内の冷却水と熱交換することで冷却するものであり、その流入端部には、ビール樽Bに接続されたビールホースB1が連通接続されている。また、飲料冷却管12の流出端部は、飲料注出装置20にビールを送る冷却飲料供給管13に連通接続されている。冷却飲料供給管13の周囲には、冷却槽11内の冷却水をポンプ14aにより循環させる冷却導管14が配置されている。冷却導管14は、冷却槽11内の冷却水を飲料注出装置20に向けて送る冷却水供給管14bと、この冷却水供給管14bにより送られた冷却水を冷却槽11に還流させる冷却水還流管14cとからなり、これら冷却水供給管14bと冷却水還流管14cは、冷却飲料供給管13とともに束ねられていて、これらの管13、14b、14cを束ねた周囲は断熱材に覆われている。
【0012】
冷却槽11の下側には、図1に示すように、冷却槽11内の冷却水を冷却する冷凍装置15が冷却槽11の内周壁に配置された蒸発器15aを除いて設けられている。冷凍装置15は、圧縮機により圧縮した冷媒ガスを凝縮器により冷却して液化させ、この液化冷媒を膨張弁を通して蒸発器15aに導き気化させることで蒸発器15aの周囲に氷Iを形成して冷却槽11内の冷却水を冷却する。
【0013】
冷却槽11の上方には図1に示すように、プロペラ16a付きの撹拌モータ16が設けられており、撹拌モータ16によりプロペラ16aを回転させることで、冷却槽11内の冷却水を流動させ、冷却槽11内の冷却水の温度を均一化するとともに飲料冷却管12内の飲料と熱交換効率を良くする。
【0014】
飲料注出装置20は、飲料冷却装置10により冷却されたビールを注出するものであり、注出コック30と、コック駆動装置40と、ジョッキ台42と、ジョッキ台駆動装置43とを備えている。
【0015】
注出コック30は、図2に示すように、コック本体31の内部に設けた弁機構部32をレバー33の傾倒操作によって開閉させることにより、液注出ノズルまたは泡注出ノズルからビールを液状態または泡状態で注出するものである。
【0016】
注出コック30においては、飲料の流入部となる中空のコック軸(飲料流入部)34がその中間部を固定ブラケット36を介して飲料注出装置20の前面パネル20aに取り付けられている。コック軸34は、熱伝導性の高い金属部材でその一例としてステンレスよりなり、コック軸34の流入端部には、前面パネル20aの内側で冷却飲料供給管13がエルボ継手39を介して連通接続されている。また、コック軸34の流出端部には、前面パネル20aの外側でコック本体31が取付ナット35により固定されている。コック軸34の略中間部より流入端側の外周には、冷却水が通る環状溝34aと、この環状溝34aの両側でシールをするためのOリング37a、37bを嵌め込むためのOリング溝34b、34cが設けられている。コック軸34の外周には、環状溝34aを覆う筒状の冷却水循環アダプター37が嵌め込まれて取り付けられており、この冷却水循環アダプター37は、一端側となる前側を固定ブラケット36に当接されていて他端側となる後側からコック軸34に形成された雌ねじ部34dに螺合する取付ナット38により軸方向に位置決めされて固定されている。コック軸34の環状溝34aと冷却水循環アダプター37の内周面とにより形成された空間は、冷却水が通る冷却水通路Fとなっており、この冷却水通路Fは、冷却水循環アダプター37に形成された冷却水導入口及び冷却水導出口により、冷却水供給管14b及び冷却水還流管14cにエルボ等を介して連通接続されている。なお、冷却水通路Fは、両側に設けたOリング37a、37bによりシールされて漏水することはない。
【0017】
注出コック30の直上には、注出コック30のレバー33の傾倒操作をするコック駆動装置40が設けられおり、コック駆動装置40は、その前面にある操作パネル41の入力により、内部のギヤモータの回転をラックピニオン機構によりスライダの前後方向の移動に切り換え、前後方向に移動するスライダによりレバー33を前後方向に傾倒させるものである。
【0018】
注出コック30の下側には、ジョッキ等を載置するジョッキ台42と、このジョッキ台42を傾動させるジョッキ台駆動装置43とが設けられている。
【0019】
上記のように構成した飲料供給装置におけるビールの注出について説明する。この飲料供給装置の電源を入れると、飲料冷却装置10では、冷凍装置15を運転させることで、冷却槽11の内周壁に配置した蒸発器15aの周囲に氷Iを形成させて冷却槽11内の冷却水を冷却する。このとき、冷却槽11内の冷却水は撹拌モータ16により流動してその温度を均一となる。また、冷却槽11内の冷却水は、ポンプ14aの運転により冷却水供給管14bを通ってコック軸(飲料流入部)36の環状溝34aと冷却水循環アダプター37との間に形成された冷却水通路Fに送られてコック軸34内のビールを冷却し、冷却水還流管14cにより冷却槽11内に戻される。
【0020】
このような状態で操作パネル41を操作することで、コック駆動装置40により注出コック30のレバーを傾倒させて液注出ノズルからビールを注出させたときには、炭酸ガスボンベGからガス管G1によりビール樽Bに送られる炭酸ガスの圧力により、ビール樽B内のビールはビールホースB1を通って飲料冷却装置10の飲料冷却管12に送られる。飲料冷却管12内に送られたビールは、冷却槽11内の冷却水と熱交換することにより冷却されて冷却飲料供給管13に送られる。冷却飲料供給管13内を通るビールは、冷却導管14(冷却水供給管14b、冷却水還流管14c)により冷却された状態で注出コック30に送られる。注出コック30においては、コック軸34内にあるビールは冷却水供給管14bから冷却水通路Fに送られる冷却水により冷却された状態で液注出ノズルから注出される。特に、注出コック30からビールを注出していない時間が長くなったときでも、コック軸34内に滞留するビールは冷却水通路Fを通る冷却水により冷却されているので、その後に注出コック30から注出されるビールは温度が上昇することによって過剰に発泡することなく注出されることになる。
【0021】
本発明における他の実施形態においては、コック軸34の中間部にコック軸34を巻回する熱伝導性の高い金属管部材よりなる螺旋状の冷却水循環アダプターを取り付けて各端部に冷却水供給管14b及び冷却水還流管14cを接続して、その内部を通る冷却水によりコック軸34内のビールを冷却するようにしてもよい。
【0022】
本発明は、ビール等の発泡飲料を供給する飲料供給装置であるが、供給する飲料はビール等の発泡飲料に限られず、チューハイやジュースなどの非発泡飲料を注出するものであってももよく、この場合には、常に冷却された飲料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る飲料供給装置の概略図である。
【図2】図1の注出コックの側面から見た一部破断断面図である。
【図3】図2の背面図である。
【符号の説明】
【0024】
11…冷却槽、12…飲料冷却管(冷却器)、14…冷却導管、20…飲料注出装置、30…注出コック、34…飲料流入部(コック軸)、37…冷却水循環アダプター、F…冷却水通路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却槽内の冷却水に浸漬した冷却器を通して供給される冷却飲料を注出する飲料注出装置を前記冷却槽から離れた位置に設置して、同飲料注出装置に設けた注出コックに前記冷却器を接続する冷却飲料供給管の周囲に沿って前記冷却槽内の冷却水を循環させる冷却導管を配置した飲料供給装置において、
前記注出コックの飲料流入部の外周を前記冷却導管を循環する冷却水により冷却するようにしたことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記注出コックの飲料流入部の外周に筒状の冷却水循環アダプターを取付けてその内部に形成された冷却水通路に前記冷却導管を連通させたことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記注出コックの飲料流入部の外周に同飲料流入部を巻回する螺旋状の冷却水循環アダプターを取り付けてその内部に形成された冷却水通路に前記冷却導管を連通させたことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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