説明

飲料供給装置

【課題】飲料調理用の水のタンクへの給水動作の回数を所望なだけ低減可能な低コストの飲料供給装置を提供する。
【解決手段】飲料を調理するための水を貯水し、飲料を調理する際に必要となる量の水を吐出するタンクと、タンクから吐出される水を用いて飲料を調理する調理部と、タンク内の水位が所定水位であるか否かを検出する検出部と、タンク内の水位が所定水位より低いことを検出部が検出した場合、タンクから吐出される水の量を積算する積算部と、積算部の積算量が飲料一杯分を調理する際に必要となる水の量より多い所定量に達した場合、タンクに水を供給させる給水部と、を備えてなる飲料供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンクに貯水した水を用いて飲料を調理し供給する動作を自動的に行う飲料供給装置が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。この飲料供給装置は、タンク内の水位を検出するための所定の検出手段と、タンク内の水位が所定水位未満となったことが検出手段により検出されると、当該タンク内に給水するための所定の給水手段とを備えている。
【0003】
ここで、検出手段は、例えばフロートスイッチである。また、給水手段は、例えば、水道口とタンクとを接続する配管及び当該配管上の電磁弁、或いは所定の水源からタンクへ水を汲み上げるための配管及び当該配管上のポンプ、これら電磁弁及びポンプを駆動制御するためのコンピュータ及び電源等である。
【特許文献1】特開平9−161146号公報
【特許文献2】実開平6−33286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した飲料供給装置が、例えば、飲料を供給する都度この飲料一杯分を調理するのに必要な水をタンクから吐出する場合、タンク内の水位はその都度所定水位未満となり、よって給水手段もその都度タンクに給水することになる。この場合には、例えば、給水動作の回数が飲料の供給回数と等しくなるため、飲料の供給回数が増加するほど、給水に際し給水手段を停止状態から動作状態へと起動する回数も等しく増加する。電気製品を含む給水手段は、一般に、その起動回数が多いほど寿命が短くなるという問題がある。
【0005】
例えば、前記所定水位を1種類から2種類に増やして、一方をタンクへの給水停止水位とし、他方をタンクへの給水開始水位とするとともに、これら2つの水位の間隔を、これに該当する水量が飲料一杯分の調理に必要な水量よりも多くなるように設定すれば、給水動作の回数を前記間隔に応じて減らすことができる。しかしながら、この場合には、検出手段が2種類の水位を検出するために2個必要となるため、飲料供給装置の製造コストがその分だけ嵩むという問題がある。
【0006】
或いは、例えば、前記所定水位に対し、前記飲料一杯分の調理に必要な水量より多い水量分だけ高い水位まで給水すれば、その分、給水動作の回数を減らすことができる。しかしながら、タンクには、通常、前記所定水位よりも高い位置にオーバーフロー対応の排水口が設けられているため、多めに給水しようとしても、その水量は、既設の排水口の位置によって制限されてしまう。つまり、給水動作の回数を、給水手段の寿命等を考慮した十分な回数分だけ低減することができないという問題がある。
【0007】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、飲料調理用の水のタンクへの給水動作の回数を所望なだけ低減可能な低コストの飲料供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための発明は、飲料を調理するための水を貯水し、前記飲料を調理する際に必要となる量の水を吐出するタンクと、前記タンクから吐出される水を用いて前記飲料を調理する調理部と、前記タンク内の水位が所定水位であるか否かを検出する検出部と、前記タンク内の水位が前記所定水位より低いことを前記検出部が検出した場合、前記タンクから吐出される水の量を積算する積算部と、前記積算部の積算量が前記飲料一杯分を調理する際に必要となる水の量より多い所定量に達した場合、前記タンクに水を供給させる給水部と、を備えてなる飲料供給装置である。
【0009】
この飲料供給装置によれば、飲料の供給にともないタンク内の水位が所定水位よりも低くなったときから、給水なしで飲料を少なくとも1回供給した時点では、積算部の積算量は未だ所定量に達していないため、タンクへの給水は行なわれない。つまり、給水部の給水動作の回数は飲料の供給回数よりも少なくなる。ここで、前記所定量は、タンクに給水することなく飲料を所望の回数だけ供給する水量に設定できる。また、検出部は、1つの所定水位に対するタンク内の水位の一致の有無を検出すればよいため、例えばフロートスイッチであれば周知の構成のものが1個で十分である。以上から、この飲料供給装置は、給水動作の回数を所望なだけ低減可能であり、しかも検出部の構成が単純な分だけ低コストである。
【0010】
尚、前述した所望の回数は、2回以上であり、タンク内の所定水位までの水の量を飲料一杯分の調理に必要な水の量で割って小数点以下を切り下げた回数を上限とする。
【0011】
また、かかる飲料供給装置において、前記給水部は、前記積算量が前記所定量に達した場合、前記タンク内の水位が前記所定水位に上昇するまで、前記タンクに水を供給させる、ことが好ましい。
この飲料供給装置によれば、タンクの水位を所定水位にできるだけ維持しつつ、給水動作の回数を効果的に低減可能である。
【0012】
また、かかる飲料供給装置において、前記給水部は、前記タンク内の水位が前記所定水位であることを前記検出部が検出した場合、前記タンクへの水の供給を停止する、ことが好ましい。
この飲料供給装置によれば、実質的な給水開始水位と、給水停止水位たる所定水位とが異なっているにもかかわらず、例えばフロートスイッチであればこれを1個用いるだけで給水の開始及び停止を行なうことができる。よって、飲料供給装置の製造コストをより効果的に低減できる。
【0013】
また、かかる飲料供給装置において、前記積算量は、前記タンク内の水位が前記所定水位であることを前記検出部が検出する都度リセットされる、こととしてもよい。
この飲料供給装置によれば、例えば、タンク内の水位が所定水位であるときから所定水位より低くなったときへ変化したときを起点としてゼロから増加する積算量が得られる。つまり、積算量を正確に求めることができる。
【0014】
また、かかる飲料供給装置において、前記タンクから前記所定量より多い量の水が一度に吐出される場合、当該吐出の終了まで、前記給水部の動作を禁止する制御部、を更に備えたことが好ましい。
仮に、タンクから所定量より多い水を一度に吐出する最中に給水した場合、例えば吐出に給水が追いつくことによって、タンク内の水位が、所定水位となったりまたこれより低くなったりという状態を繰り返す可能性があるため、給水動作が2回以上になるおそれが生じる。しかし、この飲料供給装置によれば、所定量より多い水を一度に吐出する場合にはその終了まで給水動作が禁止されるため、その後にタンクの水位を例えば所定水位とするための給水動作は確実に1回で済むことになる。よって、前述した一度の大量吐出への対応もしつつ、給水動作の回数を効果的に低減可能である。
【発明の効果】
【0015】
飲料調理用の水のタンクへの給水動作の回数を所望なだけ低減可能な低コストの飲料供給装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
===飲料供給装置の構成===
図1乃至図3を参照しつつ、本実施の形態の飲料供給装置1の構成例について説明する。尚、図1は、本実施の形態の飲料供給装置1の外観構成例を示す正面図である。図2は、本実施の形態の供給機構10の構成例を示すブロック図である。図3は、本実施の形態の飲料供給装置1の供給動作の制御を司る構成の一例を示すブロック図である。
【0017】
図1に例示されるように、本実施の形態の飲料供給装置1は、例えばレギュラーコーヒー飲料を供給する装置である。この飲料供給装置1は、カップ載置口3を有する正面パネル2を備えており、このカップ載置口3内の上部には、カップに飲料を吐出するための吐出管5が設けられている。また、正面パネル2におけるカップ載置口3よりも上側の操作パネル4には、例えば2種類の濃度のコーヒーの何れかを選択するための飲料選択釦40が設けられている。同図に例示される飲料選択釦40は、例えば、通常の濃さのコーヒー(STANDARD)の飲料選択釦40aと、これよりも濃いコーヒー(STRONG)の飲料選択釦40bとに分かれている。利用者がカップ載置口3内にカップを載置し所望の飲料選択釦40を押下すると、当該飲料選択釦40に応じた飲料が吐出管5から吐出されるようになっている。尚、飲料供給装置1の正面パネル2の奥(図1の裏側)には、カップ載置口3に載置されたカップに飲料を供給するための以下述べる供給機構10が格納されている。
【0018】
図2に例示されるように、本実施の形態の供給機構10は、湯供給部100と、飲料調理部200と、飲料供給部300とを備えて構成されている。
【0019】
本実施の形態の湯供給部100は、湯タンク(タンク)110と、給水弁131(給水部)及び給水管(給水部)130と、水位センサ(検出部)120と、希釈用の湯(水)を吐出するためのポンプ145、電磁弁141、142、及び配管140を有する希釈用ラインと、飲料抽出用の湯を吐出するためのポンプ155、電磁弁151、152、及び配管150を有する抽出用ラインとを備えている。ここで、湯タンク110は、ヒータ(不図示)等が内部に設けられて、水を加熱して湯にするとともに、この湯を飲料抽出に適した所定温度に保持するための容器である。また、給水管130は、例えば水道管(不図示)に直結しており、電磁弁である給水弁131が開いている間は湯タンク110に水道水を供給する管である。
【0020】
前述した水位センサ120は、湯タンク110内の水位を検出するセンサであり、湯タンク110の上部に設けられたケース124と、湯タンク110内の水位の上下に応じて図2における時計方向又は反時計方向に回動する回動体121と、この回動体121をケース124に対し回動可能に支持する支軸122と、マイクロスイッチ123とを備えている。ここで、回動体121は、湯面に浮遊するフロート121aと、マイクロスイッチ123のレバー123bを押圧するための扇状体121cと、扇状体121c及びフロート121aを連結して、水位の変化に応じたフロート121aの上下移動を扇状体121cの支軸122周りの回動に変換するための屈曲部材121bとを備えている。また、マイクロスイッチ123は、スイッチボックス123aと、このスイッチボックス123aに対し一端が軸支され他端が常時開く方向にバネ付勢されたレバー123bとを備えている。このマイクロスイッチ123は、スイッチボックス123aに対しレバー123bの他端がバネ付勢に抗して閉じることにより内部のスイッチ(不図示)がオン状態となる一方、スイッチボックス123aに対しレバー123bの他端がバネ付勢で開くことにより前記スイッチがオフ状態となるように構成されている。つまり、本実施の形態のマイクロスイッチ123は、湯タンク110における水位が所定水位(例えば給水停止水位)以上の場合にはオン状態であるが、水位が下がって所定水位未満となったときにオン状態からオフ状態へ変化するようになっている。また、このマイクロスイッチ123は、湯タンク110における水位が所定水位未満の場合にはオフ状態であるが、水位が上がって所定水位に達したときにオフ状態からオン状態へ変化する。
【0021】
本実施の形態の飲料調理部200は、例えば、コーヒー豆を挽くためのコーヒーミル220と、挽き豆及び湯からコーヒーを抽出する抽出装置(調理部)210と、抽出されたコーヒーを飲料タンク310に移すための電磁弁231及び配管230とを備えている。抽出装置210は、前述した抽出用ラインを介して、湯タンク110と連結されている。本実施の形態では、電磁弁231が開いている間、抽出装置210で抽出された飲料が配管230を通じて重力により飲料タンク310に移動するようになっている。
【0022】
本実施の形態の飲料供給部300は、飲料タンク310と、飲料タンク310からの飲料をカップに吐出するためのポンプ325、電磁弁321、322、及び配管320を有する供給用ラインとを備えている。
【0023】
尚、本実施の形態では、湯タンク110の容量は例えばおよそ10リットルであり、抽出装置210におけるシリンダ(不図示)の容量は例えばおよそ2リットルであり、飲料タンク310の容量は例えばおよそ2リットルであるものとする。本実施の形態では、湯タンク110からの湯は、飲料タンク310から供給される例えばカップ一杯分の飲料を希釈するために、前述した希釈用ラインを通じて所定量(例えば200ミリリットル)だけカップに供給されるようになっている。また、湯タンク110からの湯は、飲料調理部200が例えば飲料タンク310を満杯にするだけの飲料を一度に調理するために、前述した抽出用ラインを通じて例えば2リットル分だけ抽出装置210に供給されるようになっている。
【0024】
また、本実施の形態では、飲料調理部200は、例えば濃い目のコーヒー(図1の「STRONG」)を予め調理しておき、これを飲料供給部300の飲料タンク310に収容している。利用者が飲料選択釦40bを押下した場合、飲料タンク310内のコーヒーが、前述した供給用ライン及び吐出管5を通じて、カップに直接供給されるようになっている。一方、利用者が飲料選択釦40aを押下した場合、飲料タンク310内のコーヒーが前述した供給用ラインを通じて吐出管5まで供給されるとともに、湯供給部100の湯タンク110内の湯(例えば200ミリリットル分の湯)が前述した希釈用ラインを通じて吐出管5まで供給されるようになっている。これにより、カップには、前記濃い目のコーヒーを湯で希釈した通常の濃さのコーヒー(図1の「STANDARD」)が供給されることになる。
【0025】
図3に例示されるように、本実施の形態の飲料供給装置1は、制御部(検出部、積算部、給水部)500と、前述した操作パネル4と、前述した供給機構10と、前述したマイクロスイッチ123と、タイマ501、502、503と、RAM504と、ROM505とを備えている。ここで、操作パネル4は、飲料選択釦40を備えており、供給機構10は、ポンプ145、155、325、給水弁131、及び電磁弁6を備えている。
【0026】
制御部500は、所定のCPU(不図示)を有し、前述した操作パネル4、供給機構10、マイクロスイッチ123、タイマ501、502、503、RAM504、及びROM505を統括制御するものである。
タイマ501は、後述する、ポンプ145、155、325の駆動時間を計時するためのものである。
【0027】
RAM504は、後述する、湯タンク110からの湯の累積吐出量(積算量)や飲料タンク310における飲料の残量等の情報を記憶するものである。また、RAM504は、後述する、湯タンク110の水位が所定水位未満となってから給水開始するまでに許容される湯の吐出量(所定量)、飲料タンク310に飲料の補充が必要となる当該飲料の残量及び満杯量、湯タンク110から抽出装置210に湯が供給されていることを示す抽出フラグ等の情報を記憶するものである。
ROM505は、制御部500が後述する動作を実行するための所定のプログラム等を記憶するものである。
【0028】
===飲料供給装置の動作===
図4及び図5を参照しつつ、前述した構成を備えた飲料供給装置1の動作例について説明する。尚、図4は、本実施の形態の湯供給部100の希釈動作及び給水動作における制御部500の処理手順例を示すフローチャートである。図5は、本実施の形態の飲料供給部300の供給動作及び飲料抽出のための湯供給部100の動作における制御部500の処理手順例を示すフローチャートである。
【0029】
<<<飲料希釈のための湯供給動作及び給水動作>>>
湯タンク110から希釈用ラインを通じて湯を供給している際に湯タンク110の水位が所定水位未満となり、それから所定期間を経た後に湯タンク110に給水する動作について説明する。
【0030】
図4に例示されるように、制御部500は、希釈用ラインのポンプ145を駆動しているか否かを判別する(S100)。これは、つまり、飲料を希釈する湯が吐出されているか否かを判別するものである。より詳しくは、制御部500は、例えば、電磁弁141、142が開いてポンプ145のモータ(不図示)を駆動しているか否かを判別する。
【0031】
ポンプ145を駆動していると判別した場合(S100:YES)、制御部500は、水位センサ120のマイクロスイッチ123がオフ状態である否かを判別する(S101)。これは、つまり、湯タンク110における水位が所定水位未満であるか否かを判別するものである。本実施の形態では、所定水位は、後述する給水停止水位である。
【0032】
マイクロスイッチ123がオフ状態であると判別した場合(S101:YES)、制御部500は、タイマ501をリセットした後に計時を開始させ(S102)、タイマ501に計時された時間を湯の吐出量に換算してこの情報をRAM504に記憶させる(S103)。これは、つまり、希釈用ラインのポンプ145の駆動時間に応じた湯の吐出量を求めて記憶するものである。
【0033】
制御部500は、RAM504に記憶された湯の吐出量が所定量に達したか否かを判別する(S104)。この所定量とは、例えば、湯タンク110の水位が所定水位未満となってから給水開始するまでに許容される湯の吐出量として予め設定されており、その情報はRAM504に記憶されている。また、この吐出量は、カップ一杯分の希釈に使用される湯の量(例えば200ミリリットル)よりも多い量(例えば500ミリリットル)に設定されている。
【0034】
もし前記吐出量が前記所定量に達していないと判別した場合(S104:NO)、制御部500は、希釈用ラインのポンプ145が停止したか否かを判別する(S105)。ポンプ145が停止していないと判別した場合(S105:NO)、制御部500は、ステップS103の処理を再度実行する。一方、ポンプ145が停止したと判別した場合(S105:YES)、制御部500は、ステップS100の処理を再度実行する。
【0035】
尚、前述したステップS103の2度目以降の処理では、制御部500は、タイマ501に計時されたポンプ145の駆動時間を湯の吐出量(V)に換算するとともに、RAM504から湯の吐出量(V’)の情報を読み出し、これらを加算した湯の累積吐出量(V+V’、積算量)をRAM504に記憶更新させる。
【0036】
もし累積吐出量が前記所定量に達したと判別した場合(S104:YES)、制御部500は、RAM504に記憶されている湯の累積吐出量をゼロにリセットし(S106)、希釈用ラインのポンプ145が停止したか否かを判別する(S107)。ポンプ145が停止していないと判別した場合(S107:NO)、制御部500は同判別を再度実行する。ポンプ145が停止したと判別した場合(S107:YES)、制御部500は、後述する抽出フラグが無いか否かを判別する(S108)。抽出フラグが有ると判別した場合(S108:NO)、制御部500は同判別を再度実行する。つまり、本実施の形態では、制御部500は、希釈用ラインのポンプ145が駆動している場合これが停止するまで待つとともに、抽出フラグが有る場合これが無くなるまで待つようになっている。尚、以後、「抽出フラグが有る」とは、例えば、RAM504に記憶された抽出フラグの論理値が1であることを意味し、「抽出フラグが無い」とは、前記論理値が0であることを意味するものとする。
【0037】
抽出フラグが無いと判別した場合(S108:YES)、制御部500は、給水弁131を開いて(S109)、マイクロスイッチ123がオフ状態からオン状態へ変化したか否かを判別する(S110)。マイクロスイッチ123がオフ状態からオン状態へ変化したと判別すると(S110:YES)、制御部500は、給水弁131を閉じて(S111)、ステップS100の処理を再度実行する。これにより、湯タンク110では、水位が給水停止水位たる所定水位に達するまで給水が行なわれる。
【0038】
<<<飲料供給動作及び飲料抽出のための湯供給動作>>>
飲料タンク310から供給用ラインを通じて飲料を供給している際にその残量が所定量以下となったときに、飲料抽出を行なうべく湯タンク110から抽出装置210に湯を供給する動作について説明する。
【0039】
図5に例示されるように、制御部500は、供給用ラインのポンプ325を駆動しているか否かを判別する(S200)。これは、つまり、飲料が吐出されているか否かを判別するものである。より詳しくは、制御部500は、例えば、電磁弁321、322が開いてポンプ325のモータ(不図示)を駆動しているか否かを判別する。
【0040】
ポンプ325を駆動していると判別した場合(S200:YES)、制御部500は、タイマ502をリセットした後に計時を開始させ(S201)、タイマ502に計時された時間を飲料の吐出量(V)に換算するとともに、RAM504から飲料の満杯量(V’)の情報を読み出し、満杯量から吐出量を減算した残量(V’−V)をRAM504に記憶更新させる(S202)。これは、つまり、供給用ラインのポンプ325の駆動時間に応じた飲料の残量を求めて記憶するものである。
【0041】
制御部500は、RAM504に記憶された飲料の残量が所定量以下になったか否かを判別する(S203)。この所定量とは、飲料タンク310に飲料の補充が必要となる当該飲料の残量として予め設定されており、その情報は満杯量の情報とともにRAM504に記憶されている。
【0042】
もし前記残量が前記所定量以下になっていないと判別した場合(S203:NO)、制御部500は、供給用ラインのポンプ325が停止したか否かを判別する(S204)。ポンプ325が停止していないと判別した場合(S204:NO)、制御部500はステップS202の処理を再度実行する。一方、ポンプ325が停止したと判別した場合(S204:YES)、制御部500は、ステップS200の処理を再度実行する。
【0043】
尚、前述したステップ202の2度目以降の処理では、制御部500は、タイマ502に計時されたポンプ325の駆動時間を飲料の吐出量(V)に換算するとともに、RAM504から残量(V’)の情報を読み出し、残量から吐出量を減算した新たな残量(V’−V)をRAM504に記憶更新させる。
【0044】
もし前記残量が前記所定量以下になったと判別した場合(S203:YES)、制御部500は、ポンプ325が停止したか否かを判別する(S205)。ポンプ325が停止していないと判別した場合(S205:NO)、制御部500は同判別を再度実行する。
【0045】
ポンプ325が停止したと判別した場合(S205:YES)、制御部500は、RAM504において抽出フラグを有りにするとともに、抽出用ラインのポンプ155を駆動して電磁弁151、152を開け(S206)、タイマ503をリセットした後に計時を開始させる(S207)。制御部500は、タイマ503の計時時間を参照して、これがRAM504に記憶されている所定時間に達したか否かを判別する(S208)。もし計時時間が所定時間に達したと判別した場合(S208:YES)、制御部500は、RAM504において抽出フラグを無しにし、抽出用ラインの電磁弁151、152を閉じてポンプ155を停止させ、RAM504に記憶されている飲料の残量を満杯量に記憶更新させて(S209)、ステップS200の処理を再度実行する。
【0046】
ここで、本実施の形態の抽出フラグは、飲料抽出を行なうべく湯タンク110から抽出装置210に湯を供給している間に「有り」となっている。また、前述したステップS208の所定時間は、例えば、抽出装置210を満杯にするための所要時間である。尚、このステップS208で比較される計時時間及び所定時間は、それぞれ湯量に換算されたものであってもよい。
【0047】
===給水動作の回数を所望なだけ低減可能な低コストの飲料供給装置===
本実施の形態の飲料供給装置1によれば、飲料の供給にともない湯タンク110内の水位が所定水位(即ち、給水停止水位)よりも低くなったときから、給水することなく前述のステップS104の所定量に応じた回数だけ飲料を供給した後に、再び所定水位まで給水が行なわれる。つまり、例えば給水弁131の閉塞状態から開放状態への変化の回数は、飲料の供給回数よりも少なくなる上に、前記所定量は、湯タンク110に給水することなく飲料を所望の回数だけ供給する水量に設定できる。また、水位センサ120の構成は、所定水位に対する湯タンク110内の水位の一致の有無を検出するべく、マイクロスイッチ123を1個だけ使用する周知の構成である。以上から、本実施の形態の飲料供給装置1は、給水弁131の動作回数を所望なだけ低減可能であり、しかも、例えば2種類以上の所定水位に対応する装置に比べて、マイクロスイッチ123が1個で済む分だけ低コストである。
【0048】
尚、前述した所望の回数は、2回以上であり、湯タンク110内の所定水位までの湯の量を飲料一杯分の調理に必要な湯の量で割って小数点以下を切り下げた回数を上限とする。
【0049】
例えば、仮に、湯タンク110内の湯をカップ一杯の飲料の希釈のために200ミリリットル吐出する動作を1日500回行うとすれば、飲料の販売回数と給水の動作回数とが同じ場合には、給水弁131は1年間で182,500回(=500回/日×365日)動作する。このため、仮に、給水弁131が50万回動作をその寿命とする場合、この給水弁131の使用可能期間は3年以内となる。ところが、本実施の形態の飲料供給装置1によれば、前記所定量を例えば500ミリリットルとすることにより、1回に200ミリリットルの湯の吐出3回について1回の割合で給水すればよいこととなる。つまり、給水弁131の1年間の動作回数を前述の3分の1である60,833回まで低減することができるため、給水弁131の寿命は3倍に向上することになる。即ち、前記50万回を寿命とすれば、給水弁131は、およそ8年間使用できることになる。
【0050】
また、前述のステップS206乃至S209において湯タンク110から前記所定量より多い湯を一度に吐出する際、仮にこの吐出中に給水した場合、湯タンク110内の水位は、例えば所定水位に対し上下する可能性があるため、給水動作が2回以上になるおそれが生じる。しかし、本実施の形態の飲料供給装置1によれば、前述のステップS108及びS108:NOに示されるように、前記所定量より多い水を一度に吐出する場合には抽出フラグが「有り」とされて、吐出が終了するまで給水動作が禁止されるため、その後に湯タンク110の水位を例えば所定水位とするための給水動作は確実に1回で済むことになる。よって、本実施の形態の飲料供給装置1は、前述した一度の大量吐出への対応もしつつ、給水動作の回数を効果的に低減可能である。但し、これに限定されるものではなく、例えば、湯の吐出中に給水したとしても、湯タンク110内の水位が所定水位より常に低くなる程度に給水速度が吐出速度よりも遅くなるように設計されていれば、この吐出後の給水動作は1回で済む。
【0051】
尚、前述した実施の形態では、湯タンク110における給水停止水位が所定水位であったが、これに限定されるものではない。例えば、所定水位よりも高い水位で給水を停止するものであってもよい。このような所定水位からの上昇分の水量は、給水動作の回数の更なる低減に寄与し得る。
【0052】
また、前述した実施の形態では、湯タンク110への給水の停止には水位センサ120を用いていたが、これに限定されるものではない。例えば、給水管130での水の流量が一定であれば、給水弁131の開放時間を計時しつつ一定量の給水を行なうことにより、湯タンク110における一定の水位(例えば所定水位よりも高い水位)で給水を停止させることができる。
【0053】
また、前述した実施の形態では、前述のステップS106に示されるように、RAM504に記憶された湯の累積吐出量は、これが前記所定量に達した時点でゼロにリセットされていたが、これに限定されるものではない。例えば、前述のステップS110:YESの直後、即ち、湯タンク110内の水位が所定水位となったときにゼロにリセットされるものであってもよい。これにより、例えば、湯タンク110内の水位が所定水位であるときから所定水位より低くなったときへ変化したときを起点としてゼロから増加する湯の累積吐出量が得られる。つまり、累積吐出量を正確に求めることができる。
【0054】
===その他の実施の形態===
前述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0055】
前述した実施の形態では、給水部は、給水弁131、水道管に直結した給水管130、及び制御部500を備えて構成されるものであったが、これに限定されるものではない。例えば、給水弁131及び給水管130の代わりに、所定の水源から湯タンク110へ水を汲み上げるための配管及び当該配管上のポンプを使用してもよい。この場合の給水動作は、例えば、ポンプの起動動作である。このような給水部を備えた前述の飲料供給装置1によれば、ポンプの起動回数を低減できるため、ポンプの寿命が向上するとともにその起動に係る消費電力も低減できる。尚、給水部は、湯タンク110に自動的に給水するための給水手段であればいかなるものであってもよい。
【0056】
また、前述した実施の形態では、湯(水)を用いた飲料の調理が2通りあって、一方は、前述した濃い目の飲料を希釈することであり、他方は、この濃い目の飲料自体を抽出することであった。また、前者の調理には1回に例えば200ミリリットル(飲料一杯分の調理に必要な量)の湯を使用し、後者の調理には1回に例えば2リットル(飲料複数杯分の調理に必要な一度に吐出される量)の湯を使用するものとした。但し、湯を用いた調理の種類や必要な湯量等は、以上に限定されるものではない。また、飲料一杯分の調理に必要な量の湯を吐出するためのラインと、飲料複数杯分の調理に必要な一度に吐出される量の湯を吐出するためのラインとは、同一ラインであってもよい。
【0057】
また、前述した実施の形態では、希釈用ライン、抽出用ライン、及び供給用ラインには、それぞれポンプ145、155、325が設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、各ラインにおいて湯又は飲料が自重で落下して流れるものであってもよい。
【0058】
また、前述した実施の形態では、検出部は、水位検出センサ120及び制御部500を備えて構成されるものであったが、これに限定されるものではない。要するに、湯タンク110内の水位が所定水位であるか否かを検出するための手段であれば、いかなるものであってもよい。
【0059】
また、前述した実施の形態では、飲料はコーヒーであり、調理部はそのコーヒーの抽出装置210であったが、これに限定されるものではない。要するに、湯タンク110から吐出される水を用いて飲料を調理できるのであれば、飲料及び調理部は、いかなる飲料及びその調理のための手段であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施の形態の飲料供給装置の外観構成例を示す正面図である。
【図2】本実施の形態の供給機構の構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態の飲料供給装置の供給動作の制御を司る構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態の湯供給部の希釈動作及び給水動作における制御部の処理手順例を示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態の飲料供給部の供給動作及び飲料抽出のための湯供給部の動作における制御部の処理手順例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 飲料供給装置 2 正面パネル 3 カップ載置口
4 操作パネル 5 吐出管 6 電磁弁
10 供給機構 40、40a、40b 飲料選択釦
100 湯供給部 110 湯タンク 120 水位センサ
121 回動体 121a フロート 121b 屈曲部材
121c 扇状体 122 支軸 123 マイクロスイッチ
123a スイッチボックス 123b レバー 130 給水管
131 給水弁 140、150、230、320 配管
141、142、151、152、231、321、322 電磁弁
200 飲料調理部 210 抽出装置 220 コーヒーミル
300 飲料供給部 310 飲料タンク 500 制御部
501、502、503 タイマ 504 RAM 505 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を調理するための水を貯水し、前記飲料を調理する際に必要となる量の水を吐出するタンクと、
前記タンクから吐出される水を用いて前記飲料を調理する調理部と、
前記タンク内の水位が所定水位であるか否かを検出する検出部と、
前記タンク内の水位が前記所定水位より低いことを前記検出部が検出した場合、前記タンクから吐出される水の量を積算する積算部と、
前記積算部の積算量が前記飲料一杯分を調理する際に必要となる水の量より多い所定量に達した場合、前記タンクに水を供給させる給水部と、
を備えたことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記給水部は、前記積算量が前記所定量に達した場合、前記タンク内の水位が前記所定水位に上昇するまで、前記タンクに水を供給させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記給水部は、前記タンク内の水位が前記所定水位であることを前記検出部が検出した場合、前記タンクへの水の供給を停止する、
ことを特徴とする請求項2に記載の飲料供給装置。
【請求項4】
前記積算量は、前記タンク内の水位が前記所定水位であることを前記検出部が検出する都度リセットされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項5】
前記タンクから前記所定量より多い量の水が一度に吐出される場合、当該吐出の終了まで、前記給水部の動作を禁止する制御部、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate