説明

飲料提供装置

【課題】冷凍サイクルユニットの廃熱を有効に利用でき、省エネルギ化を図ることができる飲料提供装置を提供する。
【解決手段】氷供給用に、製氷機12と冷凍サイクルユニット13とを備える。湯供給用に、ヒータ24を有する湯タンク21と、給水を受けて貯水するとともに貯水した水を湯タンク21に給水するサブタンク22とを備える。冷凍サイクルユニット13は、冷媒を圧縮機31、加温用熱交換器32、凝縮器33および蒸発器36の順に流して冷凍サイクル38を構成する。加温用熱交換器32はサブタンク22内に配置する。冷凍サイクルユニット13の運転時には、常に、冷凍サイクルユニット13の廃熱を利用してサブタンク22内の水を加温する。湯タンク21への給水時に、サブタンク22内の加温された水を湯タンク21に給水する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温飲料および冷飲料を提供する飲料提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料提供装置としてカップ式飲料自動販売機などでは、湯を供給する湯タンク、冷水を供給する冷水器、および氷を供給する製氷機などを備え、温飲料および冷飲料を提供可能としている。一般に、湯タンクに貯湯する湯を所定温度に沸き上げるのにはヒータが用いられ、冷水器や製氷機の冷却には冷凍サイクルユニットが用いられている。
【0003】
このようなカップ式飲料自動販売機では、省エネルギ化のために、冷凍サイクルユニットの廃熱を利用して湯タンク内の湯を加温し、ヒータの消費電力を軽減するようにした構成がある。冷凍サイクルユニットには、冷媒が圧縮機、加温用熱交換器、凝縮器および蒸発器の順に流れる冷凍サイクルが構成され、加温用熱交換器が湯タンク内に配置されている。
【0004】
そして、湯タンク内の湯の温度が所定の基準温度より低い場合には、加温用熱交換器に冷媒が流れるように冷媒流路を切り換えることにより、冷凍サイクルユニットの廃熱を利用して湯タンク内の湯を加温し、また、湯タンク内の湯の温度が所定の基準温度より高い場合には、加温用熱交換器をバイパスして冷媒が流れるように冷媒流路を切り換えることにより、湯タンク内の湯で冷媒が加温されてしまうのを防止している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−119542号公報(第3頁、図1および図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、通常、湯タンク内の湯は例えば95℃程度の高温に沸き上げられて保温されており、連続販売などにより湯タンク内に大量の給水があったとき以外には、湯タンク内の湯の温度が冷凍サイクルユニットの廃熱を利用して加温可能とする中低温まで低下することはあまりなく、また、中低温まで低下するような状況では、ヒータに通電して高温に沸き上げることになる。しかも、冷凍サイクルユニットの運転タイミングと湯タンク内の温度の低下タイミングとが一致する機会もあまりない。そのため、冷凍サイクルユニットの廃熱を利用して湯タンク内の湯を加温するような機会は少なく、冷凍サイクルユニットの廃熱を有効に利用することができない問題がある。
【0007】
また、冷凍サイクルユニットの廃熱を利用する場合でも、湯タンク内の湯の温度は給水温度などに比べてかなり高く、冷凍サイクルユニットの廃熱を湯タンク内の湯に効率よく熱交換することができず、この点でも冷凍サイクルユニットの廃熱を有効に利用することができない問題がある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、冷凍サイクルユニットの廃熱を有効に利用でき、省エネルギ化を図ることができる飲料提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の飲料提供装置は、冷媒が圧縮機、加温用熱交換器、凝縮器および蒸発器の順に流れる冷凍サイクルを有する冷凍サイクルユニットと、氷供給用および冷水供給用の少なくともいずれか一方であって、前記冷凍サイクルユニットの前記蒸発器が配置された冷却部と、湯を所定温度に沸き上げる沸上手段を有する湯提供時用の湯タンクと、給水を受けて貯水するとともに、貯水した水を前記冷凍サイクルユニットの前記加温用熱交換器との熱交換によって加温し、貯水した水を前記湯タンクに給水するサブタンクとを具備しているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の飲料提供装置によれば、冷凍サイクルユニットの運転時には、常に、冷凍サイクルユニットの廃熱を利用してサブタンク内の水を加温することができ、また、冷凍サイクルユニットは冷却部の冷却が必要なときにのみ運転され、冷凍サイクルユニットの運転時には、サブタンク内の水は自然放熱や給水などによって中低温状態にあることが多く、冷凍サイクルユニットの廃熱をサブタンク内の水に効率よく熱交換することができ、したがって、冷凍サイクルユニットの廃熱を有効に利用してサブタンク内の水を加温し、このサブタンク内の加温された水を湯タンクに給水することにより、ヒータの消費電力を軽減でき、省エネルギ化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態を示す飲料提供装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を、図1を参照して説明する。
【0013】
飲料提供装置としてはカップ式飲料自動販売機があり、このカップ式飲料自動販売機は、飲料販売時において、カップ内に原料を投入するとともに、湯または冷水、さらに冷飲料の場合に氷を投入し、カップ内に攪拌具を挿入して回転させることでカップ内の飲料を攪拌混合して調合し、飲料入りカップを提供している。
【0014】
図1には、カップ式飲料自動販売機において、湯を供給する湯供給ユニット11と、氷を供給する冷却部としての製氷機12および冷凍サイクルユニット13とを示し、その他の構成は省略している。
【0015】
湯供給ユニット11は、湯を貯湯する湯タンク21、およびこの湯タンク21に給水するサブタンク22を有し、これら湯タンク21の下部とサブタンク22の上部とが接続管23で接続されている。
【0016】
湯タンク21内には、例えば95℃の所定の沸上温度に湯を沸き上げる沸上手段としてのヒータ24、湯温を検知する図示しない湯温検知手段、および湯の水位を検知する図示しない水位検知手段が配置されている。湯タンク21の上部側には、湯タンク21内の湯を出湯させる図示しない給湯電磁弁、および出湯された湯を所定の給湯場所へ給湯する給湯管25が接続されている。
【0017】
サブタンク22の下部には、水道管などの給水源からの給水管26が接続されている。
【0018】
給水管26には図示しない給水電磁弁が配設されており、湯タンク21の水位置検知手段によって湯タンク21内の水位の低下が検知された場合に給水電磁弁が開き、給水管26からサブタンク22の下部に給水するとともに、サブタンク22内の水を上部から湯タンク21の下部に給水し、湯タンク21内の水位が一定に保たれるように構成されている。
【0019】
また、製氷機12は、所定の製氷動作によって製氷される氷を所定量蓄積し、氷の排出供給に伴って氷の蓄積量が減少したら、製氷動作によって氷を所定量蓄積するように構成されている。
【0020】
冷凍サイクルユニット13は、冷媒が、冷媒を圧縮する圧縮機31、サブタンク22内に配置される加温用熱交換器32、冷媒を凝縮する凝縮器33、冷媒中の水分を除去するドライヤ34、冷媒を膨張させるキャピラリチューブ35、製氷機12に配置されて冷媒で吸熱して冷却する蒸発器36、気液分離するアキュームレータ37を経て圧縮機31に順に流れる冷凍サイクル38を有している。凝縮器33は放熱用のファン39を備えている。
【0021】
次に、カップ式飲料自動販売機の動作について説明する。
【0022】
飲料販売時において、カップ内に、原料を投入するとともに、温飲料の場合には湯タンク21内の湯を投入し、また冷飲料の場合には冷水や製氷機12からの氷を投入し、カップ内に攪拌具を挿入して回転させ、カップ内の飲料を攪拌混合して調合し、飲料入りカップを提供する。
【0023】
製氷機12から氷の供給に伴って氷の蓄積量が減少したことが検知されたら、冷凍サイクルユニット13を運転し、製氷動作する。冷凍サイクルユニット13の運転中は、圧縮機31で冷媒を圧縮し、高温高圧ガスとなった冷媒が加温用熱交換器32を通過して凝縮器33に流れて凝縮され、高圧液となった冷媒がドライヤ34を通過してキャピラリチューブ35で膨張し、低圧液となった冷媒が蒸発器36に流れて製氷機12を冷却し、低圧ガスとなった冷媒がアキュームレータ37を通じて圧縮機31に流れる冷凍サイクル38を繰り返す。
【0024】
これにより、製氷機12では製氷し、サブタンク22ではサブタンク22内の水と加温用熱交換器32内の高温高圧ガス状態の冷媒との熱交換によってサブタンク22内の水を加温する。すなわち、冷凍サイクルユニット13の廃熱を利用してサブタンク22内の水を加温する。
【0025】
製氷機12に氷が所定量蓄積されたら、冷凍サイクルユニット13の運転を停止する。これにより、製氷動作、およびサブタンク22内の水の加温を停止する。
【0026】
また、湯タンク21からの給湯に伴って、水位置検知手段で湯タンク21内の水位の低下が検知されたら、給水電磁弁が開き、給水管26からサブタンク22の下部に給水するとともに、サブタンク22内の水を上部から湯タンク21の下部に給水する。湯タンク21内の水位が所定の水位に達したら、給水電磁弁を閉じ、給水を停止する。
【0027】
サブタンク22内に給水されていた水が冷凍サイクルユニット13の廃熱を利用して加温されていた場合には、給水温度の水に比べて熱量を有する予め加温された水が湯タンク21に給水される。そのため、湯タンク21に給水温度の水を給水した場合に比べて、湯タンク21内の湯温の低下を遅らせることができる。
【0028】
湯温検知手段で湯タンク21内の湯温が所定の沸上開始温度に低下したことを検知したら、ヒータ24に通電し、所定の沸上完了温度まで沸き上げる。このときも、湯タンク21に給水温度の水を給水した場合に比べて、加温された水が熱量を予め有しているため、沸上完了までの時間を短縮でき、つまりヒータ24に通電している時間を短縮でき、消費電力を低減できる。
【0029】
また、冷凍サイクルユニット13の運転停止中にサブタンク22内の水の熱が自然放熱されることや、湯タンク21への給水動作時にサブタンク22に給水温度の水が給水されることによって、サブタンク22内の水の温度が低下する。そのため、上述したように、製氷機12で製氷する冷凍サイクルユニット13の運転時には、サブタンク22内の水は冷凍サイクルユニット13の廃熱を利用して加温できる限界温度よりも低い中低温状態にあることが多く、サブタンク22内の水と加温用熱交換器32内の高温高圧ガス状態の冷媒との熱交換が効率的に行われる。つまり、冷凍サイクルユニット13の廃熱をサブタンク22内の水に効率よく熱交換することができる。
【0030】
このように、冷凍サイクルユニット13の運転時には、常に、冷凍サイクルユニット13の廃熱を利用してサブタンク22内の水を加温することができ、また、冷凍サイクルユニット13は製氷機12の冷却が必要なときにのみ運転され、冷凍サイクルユニット13の運転時には、サブタンク22内の水は自然放熱や給水などによって中低温状態にあることが多く、冷凍サイクルユニット13の廃熱をサブタンク22内の水に効率よく熱交換することができる。したがって、冷凍サイクルユニット13の廃熱を有効に利用してサブタンク22内の水を加温し、このサブタンク22内の予め加温された水を湯タンク21に給水することにより、ヒータ24の消費電力を軽減でき、省エネルギ化を図ることができる。
【0031】
なお、冷却部としては、製氷機12に限らず、冷水を供給する冷水供給ユニットでもよい。この冷水供給ユニットは、水槽に冷却水を貯留し、この冷却水中に冷水を供給する冷水パイプの一部を通して冷却するように構成しており、この冷却水の冷却に冷凍サイクルユニットが利用される。また、製氷機12と冷水供給ユニットとで冷凍サイクルユニットを共用している場合には、この共用している冷凍サイクルユニットをサブタンク22内の水の加温に利用する。
【0032】
また、飲料提供装置としては、カップ式飲料自動販売機に限らず、給茶機などにも適用できる。
【符号の説明】
【0033】
12 冷却部としての製氷機
13 冷凍サイクルユニット
21 湯タンク
22 サブタンク
24 沸上手段としてのヒータ
31 圧縮機
32 加温用熱交換器
33 凝縮器
36 蒸発器
38 冷凍サイクル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が圧縮機、加温用熱交換器、凝縮器および蒸発器の順に流れる冷凍サイクルを有する冷凍サイクルユニットと、
氷供給用および冷水供給用の少なくともいずれか一方であって、前記冷凍サイクルユニットの前記蒸発器が配置された冷却部と、
湯を所定温度に沸き上げる沸上手段を有する湯提供時用の湯タンクと、
給水を受けて貯水するとともに、貯水した水を前記冷凍サイクルユニットの前記加温用熱交換器との熱交換によって加温し、貯水した水を前記湯タンクに給水するサブタンクと
を具備していることを特徴とする飲料提供装置。

【図1】
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