説明

飲料水供給装置

【課題】容器の口部を、ニードルに対応する位置に容易に、かつ確実に位置決めすることができる装置を提供する。
【解決手段】内部に飲料水70が充填されるとともに、内外を連通する口部27が設けられる柔軟性を有する袋状の容器25と、容器25から供給される飲料水70を貯留させる給水タンク32と、容器25の口部27を貫通して容器25の内部に差し込まれ、容器25の内部と給水タンク32の内部との間を連通するニードル40と、給水タンク32から飲料水70を供給する給水口52とを備えた飲料水供給装置1であって、容器25を容器ホルダー15内に収納するとともに、容器25の口部27を容器ホルダー15に設けられた位置決め溝19内に嵌合させ、この状態で、容器ホルダー15を介して容器25をケーシング2内に装着することにより、容器25の口部27をニードル40に対応する位置に位置決めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水供給装置に関し、特に、内部にミネラルウォーター等の飲料水が充填された容器から、飲料水を適量ずつ供給するのに好適な飲料水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の飲料水供給装置の一例が特許文献1に記載されている。この飲料水供給装置(ウォーターサーバー)は、本体と、本体の上部に設けられるボトルホルダーと、ボトルホルダーに着脱自在に装着されるとともに、内部にミネラルウォーター等の飲料水が充填される袋状の容器と、本体の内部に設けられるとともに、容器から供給される飲料水を貯留させる冷却タンクと、本体の内部に設けられるとともに、冷却タンクから供給される飲料水を貯留させる加熱タンクと、冷却タンクを冷却する冷却手段と、加熱タンクを加熱する加熱手段と、本体の前面側に設けられる2つの供給口とを備えている。
【0003】
このような構成の飲料水供給装置にあっては、ボトルホルダーに容器を装着して、ボトルホルダー側のニードルを容器の口部から容器の内部に差し込むことにより、容器内の飲料水がニードルの通路を通じて冷却タンク内に流入するとともに、冷却タンク内から加熱タンク内に流入し、冷却タンク内及び加熱タンク内に飲料水が貯留される。
【0004】
そして、冷却タンク内の飲料水が冷却手段によって所定の温度に冷却され、加熱タンク内の飲料水が加熱手段によって所定の温度に加熱された後に、何れかの供給口を開くことにより、冷却タンクから冷却水を供給することができ、又は加熱タンクから温水を供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4677508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような構成の飲料水供給装置にあっては、柔軟性を有するビニル製の袋状の容器を用いているため、容器の口部にニードルを差し込んだ際に容器が裂け、容器の内部の飲料水が周囲に飛散するおそれがある。
【0007】
このため、容器の口部を二重構造に形成して強度を高め、口部にニードルを差し込んだ際に容器が裂けるのを防止しているが、ボトルホルダーの底部にニードルが設けられ、上方からボトルホルダー内に容器を装着する構成となっているため、容器をボトルホルダーに装着する際にニードルが容器の下方に隠れてしまい、容器の口部をニードルに合わせるのが難しく、容器のボトルホルダーへの装着に非常に手間がかかる。
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、柔軟性を有する袋状の容器の口部をニードルの位置に容易に、かつ確実に合わせることができる飲料水供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、ケーシングと、該ケーシング内に着脱自在に装着されるとともに、内部に飲料水が充填され、かつ、一部に内外を連通する口部が設けられる柔軟性を有する袋状の容器と、前記ケーシング内に設けられるとともに、前記容器から供給される飲料水を貯留させる給水タンクと、前記ケーシング内に設けられるとともに、前記容器を前記ケーシング内に装着した際に、前記口部を貫通して前記容器の内部に差し込まれて、前記容器の内部と前記給水タンクの内部との間を連通し、前記容器の内部の飲料水を前記給水タンクの内部に流入させるニードルと、前記ケーシングに設けられるとともに、前記給水タンクから飲料水を供給する給水口とを備えた飲料水供給装置であって、前記容器を容器ホルダー内に収納するとともに、前記容器の口部を前記容器ホルダーに設けられた位置決め溝内に嵌合させ、この状態で、前記容器ホルダーを介して前記容器を前記ケーシング内に装着することにより、前記容器の口部を前記ニードルに対応する位置に位置決めするように構成したことを特徴とする。
【0010】
本発明の飲料水供給装置によれば、容器ホルダーの内部に容器を収納し、容器の口部の容器ホルダーの位置決め溝内に嵌合させ、この状態で、容器ホルダーを介して容器をケーシング内に装着することにより、容器の口部をケーシング内のニードルに対応する位置に位置決めすることができ、ニードルを容器の口部に差し込んで容器の内部に挿入させることができる。
従って、柔軟性を有する袋状の容器の口部をニードルに対応する位置に、容易に、かつ確実に位置決めすることができるので、容器のケーシングへの装着を容易に行うことができる。また、ニードルが容器の口部以外の部分に突き刺されることがないので、容器が裂けるようなことはない。
【0011】
また、本発明において、前記口部は、前記容器の内外を連通する筒状の本体部と、該本体部の内面側の一部を封止する封止部と、前記本体部の一端に一体に設けられる環状の第1フランジ部と、前記本体部の他端に一体に設けられるとともに、前記容器に一体に接合される環状の第2フランジ部とからなり、前記容器を前記容器ホルダー内に収納した状態で、前記本体部を前記位置決め溝内に嵌合させ、前記第1フランジ部を前記容器ホルダーの外面側に係止させ、前記第2フランジ部を前記容器ホルダーの内面側に係止させることとしてもよい。
【0012】
本発明の飲料水供給装置によれば、容器を容器ホルダー内に収納した状態で、口部の本体部を位置決め溝内に嵌合させ、第1フランジ部を容器ホルダーの外面側に係止させ、第2フランジ部を容器ホルダーの内面側に係止させることにより、容器の口部を容器ホルダーの所定の位置(容器ホルダーをケーシングに装着した際のニードルに対応する位置)に位置決めすることができる。
【0013】
さらに、本発明において、前記容器ホルダーは、一側面が開口された箱状のホルダー本体と、該ホルダー本体の一側面の開口部を開閉させるホルダー蓋とからなり、前記ホルダー本体の内部に前記容器が収納されるとともに、前記ホルダー本体の底部に前記位置決め溝が設けられていることとしてもよい。
【0014】
本発明の飲料水供給装置によれば、ホルダー本体の内部に容器を収納し、容器の口部をホルダー本体の底部の位置決め溝内に嵌合させ、ホルダー本体の開口部をホルダー蓋で閉じることにより、容器ホルダーの内部に容器が収納され、容器の口部が容器ホルダーの所定の位置(容器ホルダーをケーシングに装着した際のニードルに対応する位置)に位置決めされる。
【0015】
さらに、本発明において、前記容器ホルダーを前記ケーシング内の所定の位置に固定する固定手段を備えていることとしてもよい。
【0016】
本発明の飲料水供給装置によれば、容器ホルダーをケーシング内に装着した際に、容器ホルダーをケーシング内の所定の位置に固定することができるので、容器ホルダーの内部に収納した容器の口部をニードルに対応する位置に確実に位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上、説明したように、本発明の飲料水供給装置によれば、柔軟性を有する袋状の容器をケーシング内に装着した際に、容器の口部をケーシング側のニードルに対応する位置に容易に、かつ確実に位置決めすることができ、ニードルを容器の口部に確実に差し込んで容器の内部に挿入させることができる。
また、容器ホルダーの内部に容器を収納し、容器の口部を容器ホルダーの位置決め溝内に嵌合させ、この状態で容器ホルダーをケーシング内に装着することにより、容器の口部にニードルを差し込むことができるので、容器のケーシングへの装着を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による飲料水供給装置の一実施の形態を示した正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の左側面図である。
【図4】図1の右側面図である。
【図5】ケーシングと容器ホルダーと容器との関係を示した説明図である。
【図6】容器と給水タンクとの関係を示した説明図である。
【図7】図5の部分拡大図である。
【図8】図7のA−A線に沿って見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図8には、本発明による飲料水供給装置の一実施の形態が示されている。本実施の形態の飲料水供給装置1は、例えば、一般家庭等において、内部にミネラルウォーター等の飲料水70が充填された容器25から、飲料水70を適量ずつ供給するのに有効なものである。
【0020】
すなわち、本実施の形態の飲料水供給装置1は、図1〜図6に示すように、ケーシング2と、ケーシング2の内部に着脱自在に装着されるとともに、内部にミネラルウォーター等の飲料水70が充填される容器25と、ケーシング2の内部に設けられるとともに、容器25から供給される飲料水70を貯留させる給水タンク32と、給水タンク32内の飲料水70を冷却する冷却手段60と、ケーシング2の前面側に設けられるとともに、給水タンク32内から飲料水70を供給する給水口52と、ケーシング2の内部に設けられるとともに、給水タンク32内から飲料水70を吸い上げて給水口52に導く給水ポンプ50と、ケーシング2の内部に設けられるとともに、給水タンク32と給水ポンプ50との間を開閉する開閉バルブ47、48とを備えている。
【0021】
ケーシング2は、図1〜図5に示すように、硬質樹脂等から形成されるものであって、台座3と、台座3の上部に設けられるとともに、内部が仕切板11によって上室5と下室7の2室に仕切られるケーシング本体4と、ケーシング本体4の上室5の上部を開閉させるケーシング蓋8とから構成されている。
【0022】
ケーシング本体4の上室5内には、図5に示すように、容器ホルダー15を介して容器25が着脱自在に装着されるとともに、下室7内には、図6に示すように、給水タンク32、冷却手段60、給水ポンプ50、開閉バルブ47、48等が設けられ、上室5内に装着された容器25から下室7内の給水タンク32内に飲料水70が供給される。
【0023】
ケーシング本体4の前面側には、図5に示すように、常温水又は冷水を選択する選択スイッチ9が設けられるとともに、後述する給水ポンプ50を運転又は停止させるON−OFFスイッチ10が設けられている。選択スイッチ9で常温水又は冷水を選択し、ON−OFFスイッチ10をON−OFFさせることにより、給水ポンプ50に連動して後述する第1開閉バルブ47又は第2開閉バルブ48が開閉され、給水口52から常温水又は冷水が供給される。
【0024】
上室5の内側面には、図5に示すように、上下方向を向く複数の帯状の係合突起6が設けられ、この係合突起6と後述する容器ホルダー15の係合溝17とを相互に係合させることにより、容器ホルダー15を上室5内の所定の位置に固定することができる。係合突起6と係合溝17とにより、容器ホルダー15を上室5内の所定の位置に固定する固定手段が構成される。
【0025】
容器ホルダー15は、図5に示すように、ケーシング本体4の上室5と合致する形状に形成される箱状をなすものであって、一側面が開口するホルダー本体16と、ホルダー本体16の一側面を開閉するホルダー蓋21とから構成され、ホルダー本体16の内部に容器25が収納される。
【0026】
ホルダー蓋21は、ホルダー本体16の開口部の縁部に蝶番22を介して開閉自在に連結されるとともに、ホルダー本体16の開口部を閉じたときに、ホルダー本体16側の凸部又は凹部(図示せず)と相互に嵌合可能な凹部又は凸部(図示せず)が設けられたロックバンド23を備え、このロックバンド23の凹部又は凸部をホルダー本体16側の凸部又は凹部と相互に嵌合させることにより、ホルダー蓋21をホルダー本体16の開口部を閉じた状態にロックすることができる。
【0027】
ホルダー本体16の他側面及びホルダー蓋21の外面には、ケーシング本体4の上室5の内側面の各係合突起6と相互に係合可能な係合溝17が設けられ、容器ホルダー15をケーシング本体4の上室5内に装着した際に、上室5の各係合突起6と容器ホルダー15の各係合溝17とを相互に係合させることにより、容器ホルダー15を上室5内の所定の位置に固定することができる。
【0028】
ホルダー本体16の底部中央部には、図5、図7〜図8に示すように、一側面の開口から他側面の方向に延出するとともに、先端がアール面20に形成された所定の長さ、幅のI形状の位置決め溝19が設けられ、この位置決め溝19内に後述する容器25の口部27の本体部28が嵌合可能に構成されている。
【0029】
容器25は、柔軟性を有する材料(各種の合成樹脂材等)から形成される袋状をなすものであって、内部にミネラルウォーター等の飲料水70が充填されている。容器25の一部には、容器25の内外を貫通する貫通孔26が設けられ、この貫通孔26に口部27が設けられている。
【0030】
口部27は、図7及び図8に示すように、円筒状の本体部28と、本体部28の一端に一体に設けられる環状の第1フランジ部29と、本体部28の他端に一体に設けられる環状の第2フランジ部30と、本体部28の内面側の一部を封止する円板状の封止部31とから構成されている。
【0031】
口部27は、容器25の貫通孔26の周縁部に第2フランジ部30を接着剤、熱融着等の接合手段によって一体に接合することにより、容器25の貫通孔26に対応する部分に一体に設けられている。
【0032】
口部27は、本体部28がホルダー本体16の位置決め溝19内に嵌合可能、第1フランジ部29がホルダー本体16の外面側に係止可能、第2フランジ部30がホルダー本体16の内面側に係止可能に構成されている。
【0033】
口部27の本体部28をホルダー本体16の位置決め溝19内に嵌合させ、位置決め溝19内を移動させて先端のアール面20に接触させることにより、口部27の本体部28を容器ホルダー15の所定の位置(容器ホルダー15をケーシング2の上室5内に装着した際のケーシング2側のニードル40に対応する位置)に位置決めすることができる。
【0034】
口部27の本体部28は、内面側にニードル40を差し込み可能な内径寸法に設定されるとともに、封止部31は、本体部の内面側にニードル40を差し込んだ際に、容器25の内部の飲料水70の重量でニードル37を突き刺し可能な強度に設定されている。これにより、容器ホルダー15を介して容器25をケーシング2の上室5内に装着することにより、容器25内の飲料水70の重量でニードル40を封止部31に突き刺し、ニードル40の先端を容器25の内部に挿入することができる。
【0035】
仕切板11は、図5及び図6に示すように、板状をなすものであって、中央部にケーシング本体4の上室5と下室7との間を連通する円形状の連通孔12が設けられ、この連通孔12に対応する下室7内の部分に給水タンク32が設けられている。
【0036】
給水タンク32は、下端が閉塞された円筒状をなす金属製のタンクであって、図6に示すように、上端に外方に環状に張り出るフランジ部33が一体に設けられ、このフランジ部33を仕切板11の下面側の連通孔12の周縁部にパッキン(図示せず)等を介してねじ(図示せず)により固定することにより、仕切板11の下面側に取り付けられている。
【0037】
給水タンク32の底部には、図6に示すように、内外を貫通する2つの流出孔(第1流出孔34、第2出孔35)が設けられている。給水タンク32内にはバッフル55が設けられ、このバッフル55によって給水タンク32内が上部タンク36と下タンク37とに仕切られている。
【0038】
バッフル55は、円板状をなすものであって、中央部に連通管56が貫通した状態で設けられ、この連通管56を給水タンク32の底部の第1流出孔34に接続することにより、バック55が給水タンク32内の所定の位置に位置決めされ、給水タンク32内の上部タンク36及び下部タンク37が所定の容積に設定される。
【0039】
バッフル55の外周面と給水タンク32の内周面との間には所定の隙間が設けられ、この隙間を介して上部タンク36と下部タンク37との間が相互に連通し、この隙間を介して、容器25から上部タンク36内に供給された飲料水70が下部タンク37内に流入する。
【0040】
下室7内には、図6に示すように、給水タンク32の第1流出孔34に一端が接続される第1給水管45と、給水タンク32の第2流出孔35に一端が接続される第2給水管46と、第1給水管45の他端に流入ポートが接続される第1開閉バルブ47と、第2給水管46の他端に流入ポートが接続される第2開閉バルブ48と、第1開閉バルブ47の流出ポート及び第2開閉バルブ48の流出ポートにT字管49を介して吸込口が接続される自給式の給水ポンプ50と、給水ポンプ50の吐出口に一端が接続される第3給水管51とが設けられ、第3給水管51の他端がケーシング2の前面側の給水口52に接続されている。
【0041】
第1開閉バルブ47及び第2開閉バルブ48は電磁弁であって、ケーシング2の前面側の選択スイッチ9により常温水又は冷水を選択して、給水ポンプ50のON−OFFスイッチ10をON−OFFさせて、給水ポンプ50をON−OFFさせることにより、給水ポンプ50に連動して第1開閉バルブ47又は第2開閉バルブ49が開閉される。
【0042】
バッフル55の連通管56、第1流出孔34、第1給水管45、第1開閉バルブ47、T字管49、給水ポンプ50、及び第3給水管51により、給水タンク32の上部タンク36から給水口52に常温水を導く常温水供給系統57が構成され、第2流出孔35、第2給水管46、第2開閉バルブ48、T字管49、給水ポンプ50、及び第3給水管51により、給水タンク32の下部タンク37から給水口52に冷水を導く冷水供給系統58が構成される。
【0043】
仕切板11の連通孔12には、図6に示すように、円板状のタンク蓋38が着脱自在に装着され、このタンク蓋38によって給水タンク32の上端開口が開閉可能に構成されている。タンク蓋38と給水タンク32の上端開口との間にはパッキン(図示せず)が介装され、このパッキンによってタンク蓋38と給水タンク32との間がシールされ、給水タンク32の内面側に密閉された空間が形成される。
【0044】
タンク蓋38の中央部には、図5及び図6に示すように、ニードル40が貫通した状態で設けられている。ニードル40は、先端が尖った形状の略筒状をなすものであって、内面側に上下方向を向く通路41が設けられている。通路41の上端は、タンク蓋38の上面側に開口され、通路41の下端は、タンク蓋38の下面側の給水タンク32内に開口されている。
【0045】
ニードル40のタンク蓋38の上面から突出している部分の根元部にはOリング(図示せず)が装着され、ニードル40を容器25の口部27の本体部28の内面側に差し込んだ際に、このOリングがニードル40の外周面と本体部28の内周面との間に介装されることにより、ニードル40の外周面と本体部28の内周面との間がシールされ、容器25内の飲料水70がケーシング2の上室5内に漏出するのが防止される。
【0046】
図6に示すように、ニードル40を容器25の口部27の本体部2の内面側に差し込み、ニードル40を封止部31に突き刺して、ニードル40の先端を容器25の内部に挿入することにより、容器25の内部の飲料水70がニードル40の通路41を介して給水タンク32の上部タンク36内に流入し、上部タンク36からバッフル55の外周面と給水タンク32の内周面との間の隙間を介して下部タンク37内に流入し、給水タンク32の上部タンク36、連通管56、第1給水管45、下部タンク37、第2給水管46の内部に飲料水70が充填される。
【0047】
冷却手段60は、図6に示すように、給水タンク32の外周面の下部タンク37に対応する部分に密着した状態に取り付けられる金属製の筒状の取付リング61と、取付リング61の外面側に密着した状態に取り付けられるペルチェ素子62と、ペルチェ素子62の外面側に密着した状態に取り付けられるヒートシンク63と、ヒートシンク63の外面側に取り付けられるファン64と、給水タンク32の外面を覆うように取り付けられる円筒状の断熱材(図示せず)と、ペルチェ素子62及びファン64の電源装置(図示せず)とから構成されている。
【0048】
ペルチェ素子62としては、給水タンク32内の飲料水70を冷却可能なものあれば特に制限はなく、市販の各種のペルチェ素子を使用することができる。ペルチェ素子62は、吸熱面が取付リング61側となり、放熱面が外側となるように、取付リング61の外面側に密着した状態に取り付けられる。
【0049】
ヒートシンク63及びファン64としては、ペルチェ素子62が給水タンク32内の飲料水70から吸熱した熱を効率良く放熱させることができるものであれば特に制限はなく、市販の各種のヒートシンク及びファンを使用することができる。本実施の形態においては、放熱フィンを備えたヒートシンク63を用い、放熱フィンが外側を向くようにペルチェ素子62の外面側に取り付けられ、このヒートシンク63の外面側にファン64が取り付けられる。
【0050】
冷却手段60を作動させて、ペルチェ素子62を介して給水タンク32の下部タンク37内の飲料水70から吸熱し、この熱をヒートシンク63及びファン64を介して放熱させることにより、冷却タンク32の下部タンク37内の飲料水70が冷却され、下部タンク37内に所定の温度の冷水72が貯留される。
【0051】
そして、上記のように構成した本実施の形態の飲料水供給装置1を用いて飲料水70を供給するには、まず、図5に示すように、容器ホルダー15のホルダー本体16の内部に容器25を収納し、容器25の口部27の本体部28をホルダー本体16の位置決め溝19内に嵌合させ、本体部28を位置決め溝18内を移動させて先端側のアール面20に接触させることにより、本体部28を位置決め溝19の先端側に位置決めする。
【0052】
この場合、本体部28が位置決め溝19内に嵌合され、第1フランジ部29がホルダー本体16の外面側に係止され、第2フランジ部30がホルダー本体16の内面側に係止された状態で、本体部28を位置決め溝19の先端側に位置決めすることができるので、口部27の本体部28を容器ホルダー15のホルダー本体16の所定の位置(容器ホルダー15をケーシング2の上室5装着した際のケーシング2側のニードル40に対応する位置)に確実に位置決めすることができる。
【0053】
また、容器25は、柔軟性を有する材料から形成された袋状をなすものであるので、ホルダー本体16の内面形状に馴染むように自由に変形して、ホルダー本体の内部に収納されることになるので、容器25に局部的に過大な荷重が作用するようなことはなく、容器25が破損するようなことはない。
【0054】
次に、容器25の口部27を位置決め溝19の先端に位置決めした後に、ホルダー本体16の開口部をホルダー蓋21で閉塞し、ホルダー蓋21のロックバンド23の凹部又は凸部とホルダー本体16側の凸部又は凹部とを相互に嵌合させることにより、ホルダー蓋21でホルダー本体16の開口部を閉じた状態にロックする。
【0055】
次に、ケーシング2のケーシング蓋8を開いて上室5の上部を開口させ、内部に容器25を収納した状態の容器ホルダー15を上方から上室5内に挿入し、容器ホルダー15の外面側の各係合溝17内に上室5の内面側の各係合突起6を係合させ、各係合突起6を各係合溝17に沿って下方にスライドさせることにより、容器ホルダー15を上室5内の所定の位置に装着する。
【0056】
これにより、図6に示すように、仕切版11の中央部のニードル40が容器25の口部27の本体部28の内面側に差し込まれ、容器25の内部の飲料水70の重量によってニードル40が口部27の本体部28の内面側の封止部31に突き刺され、ニードル40の先端が封止部31を貫通して容器25の内部に挿入される。
【0057】
ニードル40の先端が容器25の内部に挿入されると、容器25の内部の飲料水70がニードル40の通路41を介して給水タンク32の上部タンク36内に流入し、上部タンク36内からバッフル55の連通管56及び第1流出孔34を介して第1給水管45内に流入する。また、上部タンク36内に流入した飲料水70は、上部タンク36内からバッフル55と給水タンク32との間の隙間を介して下部タンク37内に流入し、下部タンク37から第2流出孔35を介して第2給水管46内に流入する。これにより、給水タンク32の上部タンク36、下部タンク37、連通路56、第1給水管45、第2給水管46の内部に飲料水70が充填される。
【0058】
この場合、ニードル40の外周面に装着されたOリングが、ニードル40の外周面と口部27の本体部28の内周面との間に介装され、このOリングによって両者間がシールされることになるので、容器25の内部の飲料水70が両者間を介してケーシング2の上室3内に漏出するようなことはない。また、ニードル40の外周面と本体部28の内周面との間を介して、上室5内の空気が容器25の内部に流入することもない。
【0059】
そして、この状態で冷却手段60を作動させて、冷却手段60のペルチェ素子62及びファン64を作動させることにより、給水タンク32の下部タンク37内の飲料水70を所定の温度に冷却する。
【0060】
そして、選択スイッチ9により常温水又は冷水を選択し、給水ポンプ50のON−OFFスイッチ10をONにすることにより、給水ポンプ50に連動して第1開閉バルブ47又は第2開閉バルブ48が開き、上部タンク36内から常温水71が常温水供給系統57を介して給水口52に導かれ、又は下部タンク37内から冷水72が冷水供給系統58を介して給水口52に導かれ、給水口52を介して常温水71又は冷水72が供給される。
【0061】
そして、容器25の内部の飲料水70を全量使い切った後に、容器25を新しいものと交換することにより、新しい容器25から飲料水70を給水タンク31の上部タンク36及び下部タンク37内に供給することができ、常温水供給系統57又は冷水供給系統58を介して常温水71又は冷水72を継続して供給することができる。
【0062】
上記のように構成した本実施の形態の飲料水供給装置1にあっては、柔軟性を有する袋状の容器25を容器ホルダー15内に収納し、容器25の口部27を容器ホルダー15の位置決め溝19内に嵌合させて、容器ホルダー15の所定の位置に位置決めし、この状態で、容器ホルダー15を介して容器25をケーシング2の上室5内に装着することにより、容器25の口部27の本体部28をケーシング2側のニードル40に対応する位置に位置眼することができ、ニードル40を本体部28の内面側に差し込んで封止部31に突き刺し、封止部31を貫通して容器25の内部に挿入することができる。
【0063】
従って、容器25の口部27をケーシング2側のニードル40に対応する位置に合わせる作業が不要となるので、容器25のケーシング2の上室5内への装着、容器25を新しいものと交換する作業を容易に行うことができる。また、ニードル40が容器25の口部27以外の部分に突き刺さることがないので、容器25が裂けるようなこともない。
【0064】
また、容器25の口部27は、本体部28が容器ホルダー15のホルダー本体16の位置決め溝19内に嵌合され、第1フランジ部29がホルダー本体16の外面側に係止され、第2フランジ部30がホルダー本体16の内面側に係止された状態で、位置決め溝19の先端側に位置決めされるので、容器25の口部27が位置決め溝19の先端側からずれるようなことはない。従って、容器の口部27の本体部28をケーシング2側のニードル40に対応する位置に確実に位置決めすることができ、ニードル40を本体部28の内面側に確実に差し込んで封止部31に突き刺し、封止部31を貫通して容器25の内部に挿入することができる。
【0065】
さらに、容器ホルダー15の外面側の各係合溝17とケーシング2の上室5の内面側の各係合突起6とを相互に係合させることにより、容器ホルダー15を上室5内の所定の位置に固定しているので、容器ホルダー15の内部に収納した容器25の口部27の本体部28を、ケーシング2側のニードル40に対応する位置に確実に位置決めすることができ、ニードル40を本体部28の内面側に確実に差し込んで封止部31に突き刺し、封止部31を貫通して容器25の内部に挿入することができる。
【0066】
さらに、容器25を容器ホルダー25の内部に収納した際に、容器25は容器ホルダー25の内面形状に馴染むように自由に変形して容器ホルダー25の内部に収納されることになるので、容器25に局部的に過大な荷重が作用して容器25が破損するようなことはなく、容器25内に充填されている飲料水をほぼ全量使い切ることができる。
【0067】
なお、前記の説明においては、ミネラルウォーター等の飲料水70を対象としたが、その他の各種の飲料水を対象としてもよい。
【0068】
また、前記の説明においては、常温水71又は冷水72の何れかを選択して供給するように構成したが、常温水71のみ、又は冷水72のみを供給するように構成してもよい。常温水71のみ、又は冷水72のみを供給する場合には、給水ポンプ50のON−OFFのみで足りるので、開閉バルブ47、48が不要となる。
【符号の説明】
【0069】
1 飲料水供給装置
2 ケーシング
3 台座
4 ケーシング本体
5 上室
6 係合突起
7 下室
8 ケーシング蓋
9 選択スイッチ
10 ON−OFFスイッチ
11 仕切板
12 連通孔
15 容器ホルダー
16 ホルダー本体
17 係合溝
19 位置決め溝
20 アール面
21 ホルダー蓋
22 蝶番
23 ロックバンド
25 容器
26 貫通孔
27 口部
28 本体部
29 第1フランジ部
30 第2フランジ部
31 封止部
32 給水タンク
33 フランジ部
34 第1流出孔
35 第2流出孔
36 上部タンク
37 下部タンク
38 タンク蓋
40 ニードル
41 通路
45 第1給水管
46 第2給水管
47 第1開閉バルブ
48 第2開閉バルブ
49 T字管
50 給水ポンプ
51 第3給水管
52 給水口
55 バッフル
56 連通管
57 常温水供給系統
58 冷水供給系統
60 冷却手段
61 取付リング
62 ペルチェ素子
63 ヒートシンク
64 ファン
70 飲料水
71 常温水
72 冷水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、該ケーシング内に着脱自在に装着されるとともに、内部に飲料水が充填され、かつ、一部に内外を連通する口部が設けられる柔軟性を有する袋状の容器と、前記ケーシング内に設けられるとともに、前記容器から供給される飲料水を貯留させる給水タンクと、前記ケーシング内に設けられるとともに、前記容器を前記ケーシング内に装着した際に、前記口部を貫通して前記容器の内部に差し込まれて、前記容器の内部と前記給水タンクの内部との間を連通し、前記容器の内部の飲料水を前記給水タンクの内部に流入させるニードルと、前記ケーシングに設けられるとともに、前記給水タンクから飲料水を供給する給水口とを備えた飲料水供給装置であって、
前記容器を容器ホルダー内に収納するとともに、前記容器の口部を前記容器ホルダーに設けられた位置決め溝内に嵌合させ、この状態で、前記容器ホルダーを介して前記容器を前記ケーシング内に装着することにより、前記容器の口部を前記ニードルに対応する位置に位置決めするように構成したことを特徴とする飲料水供給装置。
【請求項2】
前記口部は、前記容器の内外を連通する筒状の本体部と、該本体部の内面側の一部を封止する封止部と、前記本体部の一端に一体に設けられる環状の第1フランジ部と、前記本体部の他端に一体に設けられるとともに、前記容器に一体に接合される環状の第2フランジ部とからなり、
前記容器を前記容器ホルダー内に収納した状態で、前記本体部を前記位置決め溝内に嵌合させ、前記第1フランジ部を前記容器ホルダーの外面側に係止させ、前記第2フランジ部を前記容器ホルダーの内面側に係止させることを特徴とする請求項1に記載の飲料水供給装置。
【請求項3】
前記容器ホルダーは、一側面が開口された箱状のホルダー本体と、該ホルダー本体の一側面の開口部を開閉させるホルダー蓋とからなり、前記ホルダー本体の内部に前記容器が収納されるとともに、前記ホルダー本体の底部に前記位置決め溝が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料水供給装置。
【請求項4】
前記容器ホルダーを前記ケーシング内の所定の位置に固定する固定手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の飲料水供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−95495(P2013−95495A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241548(P2011−241548)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(511189492)富士山の銘水株式会社 (3)
【Fターム(参考)】