説明

飲料注出容器

【課題】収容する飲料の温度にかかわらず、誤使用を生じさせ難い飲料注出容器を提供する。
【解決手段】注ぎ口と飲料を収容する容器本体2との間の密閉口6bがネジ式の上蓋4にて密閉可能な飲料注出容器1の容器本体2に取り付けられる中蓋6の密閉口6bの内周面に周方向に沿って棚状突出部6cが形成されている。中蓋6と上蓋4との間には、筒状の茶こし8が介装されている。茶こし8の外周面には、フランジ8aが形成され、このフランジ8aの下方にはフランジ8aと棚状突出部6cとの間隔を所定距離に保持可能なスペーサー8bが備えられている。また、棚状突出部6cには、スペーサー8bが埋没可能な切り欠き6dが形成されている。スペーサー8bが切り欠き6dに埋没可能に配置することにより上蓋4は全閉可能となり、スペーサー8bが棚状突出部6cに当接状態で配置されることにより、上蓋4は全閉状態となる前に、閉方向への回転が規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジ式の蓋を有した耐熱性の飲料注出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
お茶や水などの飲料を保存するとともに、その飲料を湯飲みなどに注ぐことのできる冷水筒等の飲料注出容器には、取り外しが可能で液体の注入が容易であるネジ式の蓋が多く採用されている。このような飲料注出容器は、本体側の飲料収容部の密閉口を蓋の回転により開閉する構造が一般的である。常温の飲料又は冷水などの比較的温度の低い飲料を保存する場合は、ネジ式の蓋を本体から分離して飲料を注入した後、冷蔵庫等で保存するため、直ぐに蓋を密閉することができる。
【0003】
図7は、従来の飲料注出容器の全体を示した図である。この図7に示す飲料注出容器100は、蓋130が中蓋160と上蓋140とに分離可能に構成されている。中蓋160には取っ手160aと注ぎ口160bが形成されており、液体収容部120に取り付けられている。また、上蓋140はネジ式の栓140aを有しており、この栓140aが中蓋160の密閉口160cに対して螺合により取り付けられている。
【0004】
一方、近頃では、パック詰めされた茶葉の利用が増えるとともに耐熱性の材質も多く用いられている。しかし、熱には強い構造又は材質であっても、熱湯の投入後、直ぐに蓋130を密閉すると、温度変化に伴う内圧の変化により容器に大きな負荷が掛かってしまう。
【0005】
具体的には、蓋130を密閉した後に熱湯の温度が低下して内圧が低下すると、容器本体、特に液体収容部120に応力が生じ、また、蓋130が密閉口160cに固着した場合、無理に抉じ開けようとすると、固着した部分や取っ手160aなどに変形が生じる虞がある。特に、冷蔵庫等で保存すると、さらに内圧変化は大きくなる。このように、温度が十分に低下していない状態で、密閉性の高いネジ式の蓋を閉じると容器の疲労寿命を短くし、場合によっては、亀裂などの疲労破壊を生じる虞もある。
【0006】
そこで、従来から容器の耐疲労性を向上させるために、材質や構造の強度向上が図られ、また、温度低下後に蓋を密閉させることを注意書きとして添えて使用者の注意を喚起する必要があった。
【0007】
なお、上述のような、ネジ式の密閉型冷水筒の構成については、例えば、特許文献1に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−224354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、強度を向上させるためにリブを多用すると、美観を損ねる上に、製造の際の成型や、使用の際のメンテナンスが困難になる。また、肉厚を厚くすることにより強化を図る場合は、重量が増加するので使い勝手が悪くなり、さらに、透明部材を用いている場合には、意図する透明度の実現が困難である。
【0010】
そして、注意喚起のために設けられる取扱説明書やラベル等による効果は、使用者側の解釈や注意力に依存するものであり、すべての使用者に対して一定の効果を得ることは困難である。すなわち、注意書きに気付かずに使用したり、製品に対する過度の信頼により製造者が意図しない状態で使用される場合も予想され、十分な効果を得ることは難しい。
【0011】
そこで、本発明では、上記問題を解決するために、収容する飲料の温度にかかわらず、誤使用を生じさせ難い飲料注出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の飲料注出容器は、注ぎ口と飲料収容部との間の密閉口がネジ式の上蓋にて密閉可能な飲料注出容器において、密閉口の内周に沿って縮径方向に突出形成された棚状突出部と、棚状突出部と略同一径に形成され、上蓋と棚状突出部との間に介装される環状体とを有し、棚状突出部と環状体との間隔を所定距離に保持可能なスペーサーが、棚状突出部及び環状体のうち一方に設けられるとともに、このスペーサーが埋没可能な嵌合部が他方に形成され、スペーサーが嵌合部に埋没する環状体の第一の載置状態と、スペーサーが棚状突出部に対する環状体の高さを所定距離に保持する第二の載置状態とのうち、上蓋の当接部を受ける環状体側の受部の、第一の載置状態における位置は、全閉時の当接部の位置以下の高さに位置し、受部の第二の載置状態における位置は、全閉時の当接部の位置よりも上方に位置し、嵌合部の周縁には、スペーサーの配置側に突出する突出縁部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
このように構成すると、第一の載置状態では、スペーサーの嵌合部への埋没により、上蓋に対する環状体側の受部が、全閉時の上蓋側の当接部の高さよりも下方位置に後退するので、上蓋が全閉可能となる。また、第二の載置状態では、スペーサーにより棚状突出部と環状体との間隔が所定距離に保持され、上蓋に当接する環状体側の受部が、全閉時の上蓋側の当接部の高さよりも上方に突出するので、上蓋の閉方向への回転が規制される。また、嵌合部の周縁のスペーサーの配置側に突出するように突出縁部が形成されているので、棚状突出部又は環状体に対して周方向に沿って嵌合部へ向かって摺動してきたスペーサーの先端は、突出縁部にてその摺動が抑止される。
【0014】
これにより、上蓋を直ぐに全閉状態とすることができる、比較的温度の低い飲料を投入する場合には、環状体を第一の載置状態に設定しておくと全閉可能である。
【0015】
また、熱湯の投入直後のように、上蓋を直ぐに全閉状態とすることが好ましくない場合には、環状体を第二の載置状態に設定すると、上蓋が全閉状態となる前に閉方向への回転が規制されるので、全閉を防止することが可能となる。
【0016】
さらに、第二の載置状態において、回転する上蓋の当接部と環状体の受部とが摺接し、上蓋の回転に環状体が従動(供回り)した場合であっても、スペーサーが嵌合部へ達する前に突出縁部にてその摺動が抑止されるので、スペーサーの嵌合部への埋没を防止することができ、環状体と棚状突出部との間隔を所定距離に保持することができる。すなわち、上蓋の回転により第二の載置状態から第一の載置状態へ移行することを防止できる。
【0017】
また、本発明の飲料注出容器は、請求項1に記載の構成に加えて、環状体には、飲料収容部の内側へ伸びる茶こし部が下方に一体形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、栓蓋(上蓋)と密閉口との間に介装された環状体及び、密閉口の内周縁に突出形成された棚状突出部に、スペーサーと嵌合部との組合せからなる構成が設けられているので、環状体の載置について、全閉可能となる第一の載置
状態と、全閉となる直前に閉方向への回転を規制する第二の載置状態とを選択することができる。これにより、直ぐに栓蓋を全閉状態とすることができる比較的低温の飲料投入時と、直ぐに栓蓋を全閉状態とすることができない熱湯投入時に対して2つの載置状態を使い分けることができる。したがって、温度の低下により圧力変化が著しい高温の飲料投入時においても、高温状態において栓蓋が密閉され、容器に応力が発生することを防止できるので、疲労耐久性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態における飲料注出容器の分解斜視図である。
【図2】図1の飲料注出容器の中蓋の拡大図である。
【図3】(a)は、図1の飲料注出容器において、上蓋の全閉を可能とする茶こしの載置状態を示した断面図である。また、(b)は(a)の上蓋の下端周辺を拡大した断面図である。
【図4】(a)は、図1の飲料注出容器において、上蓋の閉方向への回転を規制する茶こしの載置状態を示した断面図である。また、(b)は(a)の上蓋の下端周辺を拡大した断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における飲料注出容器の分解斜視図である。
【図6】図5の飲料注出容器の中蓋の拡大図である。
【図7】従来の飲料注出容器を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態における飲料注出容器について、図1を用いて説明する。図1は、分解した状態の飲料注出容器を示している。
【0022】
この図1に示すように、本実施の形態における飲料注出容器1は、飲料収容部としての容器本体2、中蓋6、上蓋4及び茶こし8とから構成されている。
【0023】
中蓋6には、注ぎ口6aが形成されており、容器本体2に対して螺合により取り付けられる。
【0024】
茶こし8は、筒状に形成された上方の領域に、周方向に沿ってフランジ8aが形成されている。そして、下方は、筒を斜めにカットすることにより形成された開口8cにメッシュ部材8dが張られた茶こし部が形成されている。また、フランジ8aの下方には、周方向を3等分する間隔で3箇所にスペーサー8bが形成されている。この茶こし8は、中蓋6の内側の密閉口に落とし込まれて配置される。このような構成により、茶こし8の中に茶葉又はパック詰めされた茶葉を配置し、上方から熱湯を注ぎ、容器本体2に浸してお茶の成分を浸出させることができる。
【0025】
上蓋4はネジ式の栓蓋となっており、中蓋6の内側に落とし込まれた茶こし8を挟むような配置で、中蓋6に対して螺合により取り付けられる。
【0026】
このように、上蓋4と中蓋6との間に介装される茶こし8は分離可能であり、使用済みの茶葉は茶こし8ごと取り外すことができるので、上蓋4を中蓋6に締め付けた後、横置き又は縦置きで保存することが可能である。
【0027】
次に、中蓋6の構造について図2を用いて説明する。図2は図1の飲料注出容器1の中蓋6の内側を示した拡大図である。
【0028】
中蓋6の内側には、上方の開口端周辺に、上蓋4と螺合するネジ山6fが形成されているとともに、飲料を収容する空間を密閉する密閉口6bの内周に、縮径方向に突出する棚状突出部6cが周方向に沿って形成されている。棚状突出部6cには、周方向を3等分する位置に切り欠き6d(嵌合部)が形成されている。
【0029】
また、これら切り欠き6dの周縁には、上方に向かって突出した突出縁部6eが形成されている。
【0030】
ここでこれらの切り欠き6dとスペーサー8bとは、ともに周方向を3等分する位置に形成されているので、茶こし8の配置角度を合わせることにより、平面視で互いの位置を重ねることができる。そして、切り欠き6dの幅は、スペーサー8bの幅よりも広くなるように形成されているので、スペーサー8bを切り欠き6dの間に嵌入させることが可能である。このように、茶こし8は、スペーサー8bを切り欠き6dに嵌入させる載置状態(第一の載置状態)と、スペーサー8bの下端を棚状突出部6cの上面の何れかの位置に当接させる載置状態(第二の載置状態)との2つの載置状態を選択して配置することができる。
【0031】
続いて、これら2つの載置状態について、図3及び図4を用いて説明を行う。図3は、スペーサー8bが中蓋6の切り欠き6dへ嵌入状態となるように茶こし8が載置された状態(第一の載置状態)を示した断面図である。このうち、図3(a)は、容器本体2の上端から上蓋4を含む範囲を拡大して示しており、図3(b)は、上蓋4の下端4b及び、茶こし8のフランジ8aの周辺をさらに拡大して示している。
【0032】
また、図4は、スペーサー8bの下端が、中蓋6の棚状突出部6cの上面に当接するように茶こし8が載置された状態(第二の載置状態)を示した断面図である。ここでも図3と同様に、図4(a)には、容器本体2の上端から上蓋4を含む範囲を拡大して示し、図4(b)には、上蓋4の下端4bと茶こし8のフランジ8aの周辺をさらに拡大して示している。
【0033】
上述のように、切り欠き6dとスペーサー8bとの配置が平面視で重なるように茶こし8の配置角度を設定すると、各スペーサー8bがそれぞれの切り欠き6dの間に埋没可能となる。図3(a)、(b)では、この状態において、閉方向への回転により下方へ降りてきた上蓋4のパッキン7と、中蓋6の密閉口6bの内周面とが当接可能となった瞬間を全閉状態としている。
【0034】
そして、このパッキン7が密閉口6bに接した瞬間の上蓋4の下端4bの位置を、全閉時の上蓋4の当接部(下端4b)の位置とし、図中においては一点鎖線にて全閉位置4aとして示している。なお、ここで言う「当接部」とは、以下に説明する、第二の載置状態で、持ち上がった茶こし8のフランジ8a(受部)に対して上蓋4の下端4bが当接するという意味における当接部である。
【0035】
このように、スペーサー8bが切り欠き6dに埋没するように配置すると、下端4bを受ける受部としてのフランジ8aの上面の位置が、全閉時の下端4bの高さ位置以下、すなわち、全閉位置4a以下の高さへ降下するので、上蓋4を全閉状態とすることができる。
【0036】
また、図4(a)、(b)に示すように、スペーサー8bが切り欠き6dに埋没しない配置、すなわち、棚状突出部6cの上面にスペーサー8bの下端が当接する状態においては、スペーサー8bの高さ分(所定距離)だけ、茶こし8のフランジ8aが持ち上がって
いる。これにより、上蓋4の下端4b(当接部)と当接するフランジ8aの上面(環状体側の受部)は、図3にも示した全閉位置4aよりも高い位置に配置され、上蓋4が密閉口6bを閉じることができない状態となっている。
【0037】
したがって、図3及び図4を用いて示したように、本実施の形態における飲料注出容器1では、茶こし8の配置角度を選択することにより、上蓋4が全閉状態となり得る配置(第一の載置状態)と、上蓋4が全閉状態となり得ない配置(第二の載置状態)とを、投入する飲料の状態に応じて使い分けることが可能である。
【0038】
例えば、直ぐに上蓋4を閉じて保存する場合は、図3に示したように、スペーサー8bが切り欠き6dに嵌入する状態で茶こし8を配置すれば良い。このように配置すると、上蓋4の閉方向に対する規制はなく、全閉状態にすることができるので、直ちに保存状態に移すことが可能である。このため、水出し可能なパック詰めの茶葉等を茶こし8内に投入した状態で上蓋4を閉じ、そのまま冷蔵庫等で保存することができる。
【0039】
しかし、熱湯を投入してお茶の浸出を飲料注出容器1内で行う場合などのように、直ぐに上蓋4を密閉すると、温度低下に伴う内圧変化により容器に応力が生じてしまう虞がある場合には、図4に示したように、スペーサー8bの下端が棚状突出部6cに当接するように茶こし8の配置角度を設定すれば良い。このように配置すると、上蓋4は全閉状態になる前に、その下端4bが、スペーサー8bの高さ分だけ持ち上がったフランジ8aの上面に突き当たり、閉方向への回転が規制されるので、誤って高温状態のまま上蓋4が閉じられることを防止することが可能である。
【0040】
このように、上蓋4の閉方向への回転を規制する構造が茶こし8にフランジ8a及びスペーサー8bとして設けられているので、お茶の浸出を行う際には、必ず茶こしとともにこれら回転規制のための構成が配置されることになる。また、本実施の形態に示す構成では、棚状突出部6cの周方向に占める領域の方が、切り欠き6dの占める領域よりも大きくなるように形成されているので、図4に示した状態に配置される確率が高い。このように、特段に配慮せずとも、安全な方向に機能しやすい構造となっている。
【0041】
さらに、図2に示したように、切り欠き6dの周縁には、突出縁部6eが上方に向かって突出形成されている。これは、上述の上蓋4の閉方向への回転規制をより確実に機能させるために設けられている。すなわち、図4の状態となるように茶こし8が配置された場合であっても、上蓋4が何かの拍子に回転してしまったり、又は、上蓋4が上記の閉回転規制位置に達するまでに、この回転に伴って、上蓋4と摺接する茶こし8が従動する場合がある。そして、周方向に沿って回動してきたスペーサー8bが切り欠き6dに近付く場合が考えられる。しかしこのような場合であっても、周方向に回動してきたスペーサー8bは、切り欠き6dの周縁の突出縁部6eによりその回動を抑止される。これにより、意図しない状態でスペーサー8bが切り欠き6dの間に嵌入されることを防止することが可能である。
【0042】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態における飲料注出容器について、図5及び図6を用いて説明する。
【0043】
図5に示した本実施の形態における飲料注出容器10は、飲料収容部としての容器本体2及び上蓋4については、第1の実施の形態において図1に示した飲料注出容器1と同じであるが、中蓋16と茶こし18とは構造が異なっている。
【0044】
図5にて明らかなように、本実施の形態では、茶こし18のフランジ18aに切り欠き
18bが形成されている。そして、この切り欠き18bの周縁には、下方に向かって突出縁部18cが形成されている。
【0045】
また、図6にて明らかなように、中蓋16の密閉口16bの近傍に、周方向に沿って形成された棚状突出部16cには、図2の中蓋6のように切り欠き6dは形成されておらず、この代わりにスペーサー16dが上向きに設けられている。
【0046】
このように、本実施の形態では、スペーサー16dと切り欠き18bとが、第1の実施の形態に示したフランジ及び棚状突出部の構成に対してそれぞれ逆側に設けられている。このような構成により、棚状突出部16cのスペーサー16dが、フランジ18aの切り欠き18bに埋没するように茶こし18が配置されると、図3の状態と同様に、茶こし18の上端が下方に後退することにより、上蓋4を全閉状態とすることができる。
【0047】
また、棚状突出部16cのスペーサー16dの先端が、フランジ18aの下面に当接する状態で茶こし18が配置されると、図4に示した状態と同様に、上蓋4が全閉状態となることを規制することが可能である。
【0048】
さらに、フランジ18aの切り欠き18bの周縁に突出縁部18cが形成されているので、上蓋4の回転に伴って茶こし18が従動し、周方向に沿って切り欠き18bが回動した場合であっても、スペーサー16dの先端の位置に近付いたところで、茶こし18の回転が抑止され、上蓋4の閉回転規制状態を保持することが可能である。
【0049】
なお、上記の各実施の形態では、上蓋の閉方向への回転を規制するために、第1の実施の形態では、フランジ及びスペーサーを有する茶こしを備えた構成を例として挙げ、また、第2の実施の形態では、フランジ及び切り欠きを有する茶こしを備えた構成を例として示した。しかし、高温の飲料投入に対しては上蓋の閉方向への回転を規制し、低温の飲料に対しては全閉状態可能とするためには、茶こしの機能は無くても構わない。すなわち、茶こしの下半分の開口及びメッシュは必ずしも含まれる必要はなく、上半分のスペーサー又は切り欠きを有するフランジが形成された筒状体(環状体)を備えていれば十分である。
【0050】
また、上記の各実施の形態では、スペーサー及び切り欠きがそれぞれ3箇所ずつ形成されている構成を例として示したが、単数又は3箇所以外の複数箇所に設けられていてもよく、さらに、両者の構成が同数である必要も無い。
【0051】
さらに、上記の各実施の形態では、スペーサーを埋没可能な構成として、切り欠きを例として挙げたが、スペーサーの嵌入により上蓋との当接位置を変化させることができる構成であれば、有底凹状の嵌合部であっても良い。
【符号の説明】
【0052】
1、10 飲料注出容器
2 容器本体(飲料収容部)
4 上蓋
4a 全閉位置
6、16 中蓋
6a、16a 注ぎ口
6b、16b 密閉口
6c、16c 棚状突出部
6d、18b 切り欠き(嵌合部)
6e、18c 突出縁部
8、18 茶こし
8a、18a フランジ(環状体)
8b、16d スペーサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注ぎ口と飲料収容部との間の密閉口がネジ式の上蓋にて密閉可能な飲料注出容器において、
前記密閉口の内周に沿って縮径方向に突出形成された棚状突出部と、
前記棚状突出部と略同一径に形成され、前記上蓋と前記棚状突出部との間に介装される環状体とを有し、
前記棚状突出部と前記環状体との間隔を所定距離に保持可能なスペーサーが、前記棚状突出部及び環状体のうち一方に設けられるとともに、このスペーサーが埋没可能な嵌合部が他方に形成され、
前記スペーサーが前記嵌合部に埋没する前記環状体の第一の載置状態と、前記スペーサーが前記棚状突出部に対する前記環状体の高さを前記所定距離に保持する第二の載置状態とのうち、
前記上蓋の当接部を受ける前記環状体側の受部の、前記第一の載置状態における位置は、全閉時の前記当接部の位置以下の高さに位置し、
前記受部の前記第二の載置状態における位置は、全閉時の前記当接部の位置よりも上方に位置し、
前記嵌合部の周縁には、前記スペーサーの配置側に突出する突出縁部が形成されている
ことを特徴とする飲料注出容器。
【請求項2】
前記環状体には、前記飲料収容部の内側へ伸びる茶こし部が下方に一体形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料注出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−111510(P2012−111510A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261659(P2010−261659)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(591011650)アスベル株式会社 (15)
【Fターム(参考)】