説明

飲料注出装置

【課題】飲料容器内のガスの圧力を適正圧力となるように制御する飲料注出装置において、飲料を注出していないときに飲料容器内の飲料に過剰にガスが溶け込まないようにする。
【解決手段】飲料注出装置10の制御装置50は、調圧制御手段により圧力センサ22による飲料容器T内のガスの計測圧力が適正圧力算出手段により算出した適正圧力となるように圧力調整弁21を開閉するように制御しており、制御装置50は飲料を注出したときに圧力センサ22によるガスの計測圧力が所定時間内に所定圧力低下することの入力により注出モードであると判断し、調圧制御手段により飲料容器T内のガスの圧力を調圧制御し、飲料を注出しないときに圧力センサ22によるガスの計測圧力が所定時間内に所定圧力低下しないことの入力により待機モードであると判断して調圧制御手段を実行せずに圧力調整弁21を閉弁するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器内のガスの圧力を適正圧力となるように制御する制御装置を備えた飲料注出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所定圧力の炭酸ガスの供給源から発泡飲料を貯える密閉した飲料容器に炭酸ガスを供給するガス供給導管に設けられて飲料容器内の炭酸ガスの圧力を計測する圧力センサと、ガス供給導管に設けられて飲料容器に供給する炭酸ガスの圧力を調整する圧力調整弁と、飲料容器から発泡飲料を導出する飲料供給導管に接続されて発泡飲料を注出する飲料注出手段と、飲料供給導管に設けられて飲料容器から導出する発泡飲料の温度を計測する飲料温度センサと、飲料温度センサによる発泡飲料の計測温度から飲料容器に供給する炭酸ガスの適正圧力を算出する適正圧力算出手段と、圧力センサによる飲料容器内の炭酸ガスの計測圧力が適正圧力算出手段により算出した適正圧力となるように圧力調整弁を開閉するように制御する調圧制御手段とを有する制御装置とを備えた飲料注出装置が開示されている。
【特許文献1】実用新案登録第2517824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の飲料注出装置においては、制御装置は圧力センサによる炭酸ガスの計測圧力が適正圧力算出手段により算出した適正圧力となるように圧力調整弁を開閉するように制御しているが、飲料注出手段により発泡飲料を注出しない時間が長くなると、飲料容器内の発泡飲料に過剰に炭酸ガスが溶け込むこととなり、炭酸ガスが過剰に溶け込んだ状態で発泡飲料を注出すると、発泡飲料が過剰に発泡した状態となって注出されることになっていた。
【0004】
また、飲料温度センサは飲料供給導管に設けられているので、飲料注出手段により発泡飲料を注出しない時間が長くなって飲料供給導管内の発泡飲料が滞留した状態となることがあり、飲料供給導管内の発泡飲料は外気の温度の影響を受けて飲料容器内の発泡飲料より高い温度となることがある。このような状態で、飲料温度センサにより計測した発泡飲料の温度から適正圧力算出手段により飲料容器に供給する炭酸ガスの適正圧力を算出すると、算出された適正圧力は実際の飲料容器内の飲料の温度から算出される適正圧力より高い圧力が算出され、飲料容器内の発泡飲料は炭酸ガスが過剰に供給されることになり、飲料注出手段から飲料を注出するときに発泡飲料が吹き出したりすることがあった。本発明は、このような問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、所定圧力のガス供給源から飲料を貯える密閉した飲料容器にガスを供給するガス供給導管に設けられて飲料容器内のガスの圧力を計測する圧力センサと、ガス供給導管に設けられて飲料容器に供給するガスの圧力を調整する圧力調整弁と、飲料容器から飲料を導出する飲料供給導管に接続されて飲料を注出する飲料注出手段と、飲料供給導管に設けられて飲料容器から導出する飲料の温度を計測する飲料温度センサと、飲料温度センサによる飲料の計測温度から飲料容器に供給するガスの適正圧力を算出する適正圧力算出手段と、圧力センサによる飲料容器内のガスの計測圧力が適正圧力算出手段により算出した適正圧力となるように圧力調整弁を開閉するように制御する調圧制御手段とを有する制御装置とを備えた飲料注出装置において、制御装置は、飲料を注出する注出モードであるときに調圧制御手段により適正圧力となるように制御し、飲料を注出しない待機モードであるときに調圧制御手段を実行せずに圧力調整弁を閉弁するように制御したことを特徴とする飲料注出装置を提供するものである。
【0006】
上記のように構成した飲料注出装置においては、制御装置は、飲料注出手段により飲料を注出する注出モードであるときに飲料容器内のガスの圧力が調圧制御手段により適正圧力となるように制御し、飲料注出手段により飲料を注出しない待機モードであるときに調圧制御手段を実行せずに圧力調整弁を閉弁するように制御しているので、注出モードであるときには飲料容器内の飲料は調圧制御手段によりガスが適正圧力となるように制御された状態で飲料注出手段から注出され、待機モードであるときには調圧制御手段が実行されずに圧力調整弁が閉弁されているので飲料容器内の飲料には過剰にガスが溶け込むことがない。また、上記の飲料注出装置は、特に炭酸ガスを含むビール等の発泡飲料を注出するときに最適の効果を得ることができ、注出モードであるときには、調圧制御手段により適正圧力となるように制御されているので適度な量の炭酸ガスを含むビール等の発泡飲料を注出することができ、待機モードのときには、圧力調整弁が閉弁されているので飲料容器内のビール等の発泡飲料には過剰に炭酸ガスが溶け込むことがなく、飲料注出手段からビール等の発泡飲料を注出するときにビール等の発泡飲料が吹き出したり、泡過多な状態で注出されることがない。
【0007】
上記のように構成した飲料注出装置においては、制御装置は、飲料注出手段により飲料を注出したときに圧力センサによって入力されるガスの計測圧力が所定時間内に所定圧力低下すると注出モードであると判断し、飲料注出手段により飲料を注出しないときに圧力センサによって入力されるガスの計測圧力が所定時間内に所定圧力低下しないと待機モードと判断するのが好ましく、このようにしたときには、制御装置により注出モードと待機モードとの判断をするに際し、飲料注出装置には新たにセンサ等の機器を追加することがなくコストアップとならない。
【0008】
上記のように構成した飲料注出装置においては、制御装置は注出モードであるときに飲料温度センサにより計測された飲料の計測温度により適正圧力算出手段を実行するように制御し、待機モードであるときに飲料温度センサにより計測された飲料の計測温度により適正圧力算出手段を実行しないように制御するのが好ましく、このようにしたときには、適正圧力算出手段により飲料容器に供給するガスの適正圧力を算出するときに飲料温度センサにより計測される飲料は、飲料供給導管内に滞留した状態の飲料でなく飲料容器内から導出されたすぐの飲料であるので、適正圧力算出手段は飲料容器内の飲料の温度とほぼ同じ温度の飲料により適正圧力を算出することになる。これにより、待機モードの時間が長くなって飲料供給導管内の飲料が外気の影響を受けても、制御装置は適正圧力算出手段により飲料容器内の飲料の温度に応じた適正圧力を算出することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明による飲料注出装置の一実施形態を図面を参照して説明する。本発明に係る飲料注出装置10は、所定圧力のガス供給源(ガスボンベ)Gから飲料(ビール)を貯える密閉した飲料容器(ビール樽)Tに炭酸ガス(ガス)を供給するガス供給導管20に設けられて飲料容器T内の炭酸ガスの圧力を計測する圧力センサ22と、ガス供給導管20に設けられて飲料容器Tに供給するガスの圧力を調整する圧力調整弁21と、飲料容器Tから飲料を導出する飲料供給導管30に接続されて飲料を注出する飲料注出手段(注出コック)40と、飲料供給導管30に設けられて飲料容器Tから導出される飲料の温度を計測する飲料温度センサ31と、飲料温度センサ31による飲料の計測温度から飲料容器Tに供給するガスの適正圧力を算出する適正圧力算出手段と、圧力センサ22による飲料容器T内のガスの計測圧力が適正圧力算出手段により算出した適正圧力となるように圧力調整弁21を開閉するように制御する調圧制御手段とを有する制御装置50とを備えている。この飲料注出装置10においては、制御装置50は飲料注出手段40により飲料を注出する注出モードであるときに飲料容器T内のガスの圧力が調圧制御手段により適正圧力となるように制御し、飲料注出手段40により飲料を注出しない待機モードであるときに調圧制御手段を実行せずに圧力調整弁21を閉弁するように制御している。
【0010】
また、制御装置50は、飲料注出手段40により飲料を注出したときに圧力センサ22によって入力されるガスの計測圧力が所定時間内に所定圧力低下すると注出モードであると判断し、飲料注出手段40により飲料を注出しないときに圧力センサ21によって入力されるガスの計測圧力が所定時間内に所定圧力低下しないと待機モードと判断している。また、制御装置50は注出モードであるときに飲料温度センサ31により計測された飲料の計測温度により適正圧力算出手段を実行するように制御し、待機モードであるときに飲料温度センサ31により計測された飲料の計測温度により適正圧力算出手段を実行しないように制御している。以下に、この飲料注出装置10を飲料容器Tとしてビールを貯えたビール樽Tを用いた実施形態により詳述する。
【0011】
図1に示すように、この飲料注出装置10内には、内部に冷却水を貯えて飲料を冷却する冷却水槽11と、この冷却水槽11の内壁に配置した蒸発器12に冷媒を循環させる冷凍装置13が収容されており、冷却水槽11内に貯えた冷却水は冷凍装置13を運転させることで蒸発器12の周囲に形成される氷により冷却される。
【0012】
図1に示すように、飲料注出装置10は、炭酸ガスを充填したガスボンベG内の炭酸ガスをビール樽Tに供給するガス供給導管20と、ビール樽(飲料容器)Tからビールを導出する飲料供給導管30と、飲料供給導管30から導出されるビールを注出する注出コック(飲料注出手段)40とを備えている。なお、ガスボンベGにはビール樽Tに供給する炭酸ガスの圧力を所定圧力(0.5MPa)に調整する調圧バルブVが設けられている。
【0013】
図1に示すように、ガス供給導管20には、圧力調整弁21と、圧力センサ22とがガスが通る上流側から順に配設されている。ガス供給導管20は、その流入端部20aにてガスボンベGから炭酸ガスを送るガスホースGaに接続され、その流出端部20bにてビール樽Tに炭酸ガスを送るガスホースGbに接続されている。圧力調整弁21は電磁開閉弁であって、その開弁時にガスボンベGからビール樽Tへ送られる炭酸ガスの供給を許容し、その閉弁時にガスボンベGからビール樽Tへの炭酸ガスの供給を遮断するものである。圧力センサ22は、ビール樽Tに供給される炭酸ガスの圧力を測定することで、ビール樽T内の炭酸ガスの圧力を測定するものである。
【0014】
図1に示すように、飲料供給導管30は、その流入端部30aにてビール樽Tからビールを供給するビールホースTaに接続され、その流出端部30bにて注出コック40に接続されている。この飲料供給導管30には、飲料温度センサ31と液切れセンサ32がビールが流れる上流側から順に配設されている。飲料温度センサ31は、ビール樽Tから供給されるビールの温度を検出するものであって、この飲料温度センサ31の検出温度がビール樽T内のビールの温度とみなされる。液切れセンサ32は電極式のセンサであり、一対の対向した電極間の電気抵抗値を測定することによりビール樽Tから飲料供給導管30により導出されるビールの通過及び非通過を検出するものである。なお、液切れセンサ32は、ビール等の飲料と水等の洗浄用水の各電気抵抗値の違いから、ビール等の飲料の通過及び非通過を検出するが、水等の洗浄用水の通過及び非通過を検出しないようになっている。飲料供給導管30はその中間部分にてコイル形状の冷却管部33として形成され、この冷却管部33が冷却水槽11内に収容されている。
【0015】
注出コック40は、図示しない弁機構を内蔵しており、レバー41の操作によりビール樽T内から飲料供給導管30を通して圧送されるビールを液状態と泡状態にて注出するノズル42を有している。
【0016】
飲料注出装置10は、図2に示すように、圧力調整弁21、各種センサ22,23,31,32に接続した制御装置50を備えている。制御装置50は、図4に示すフローチャートに示すプログラムを実行するマイクロコンピュータ51と、図3に示すビール樽T内のビールの温度に応じてビール樽Tに充填する炭酸ガスの適正圧力を規定するマップを記憶したメモリ52と、計時をするためのタイマ53とを備えている。
【0017】
また、制御装置50は、メモリ52に記憶させたマップに基づき、飲料温度センサ31によるビールの計測温度からビール樽Tに供給する炭酸ガスの適正圧力を算出する適正圧力算出手段と、圧力センサ22によるビール樽T内の炭酸ガスの計測圧力が適正圧力算出手段により算出した適正圧力となるように圧力調整弁21を開閉するように制御する調圧制御手段とを備えている。例えばビール樽T内のビールの温度が25度で適正圧力算出手段により適正圧力が0.25MPaと算出されているときに、調圧制御手段は、ビール樽T内の炭酸ガスの圧力を適正圧力として算出された0.25MPaとなるように、適正圧力の0.25MPaより少し低い(例えば0.01MPa)適性圧力下限値として0.24MPaとなると圧力調整弁21を開放し、ガスボンベGから炭酸ガスが流入して適正圧力0.25MPaより少し高い(例えば0.01MPa)適正圧力上限値として0.26MPaとなると圧力調整弁21を閉止させて調圧している。
【0018】
また、制御装置50は、注出コック40によりビールを注出したときに圧力センサ22によって入力される炭酸ガスの計測圧力が所定時間内(例えば本実施形態においては2秒以内)に所定圧力(例えば本実施形態においては0.02Mpa)低下すると注出コックからビールを注出する注出モードであると判断し、注出コック40によりビールを注出しないときに圧力センサ22によって炭酸ガスの計測圧力が上記所定時間内に上記所定圧力低下しないと注出コック40からビールを注出しない待機モードと判断する判断手段を備えている。なお、待機モードであるときにも、ビール樽T内の炭酸ガスはビールに溶け込んでその圧力が徐々に低下するが、圧力の低下は例えば待機モードの当初0.3MPaとなっていた圧力が2〜3時間経過したときに0.01MPa低下する程度であり、上記の注出モードであると判断されるような短時間で急激な圧力の低下と異なるものである。
【0019】
また、制御装置50は、注出モードであるときに調圧制御手段により適正圧力となるように制御し、待機モードであるときに調圧制御手段を実行せずに圧力調整弁21を閉弁するように制御する制御手段と、注出モードであるときに飲料温度センサ31により計測されたビールの計測温度により適正圧力算出手段を実行するように制御し、待機モードであるときに飲料温度センサ31により計測されたビールの計測温度により適正圧力算出手段を実行しないように制御する制御手段とを備えている。
【0020】
上記のように構成した飲料注出装置10の作動を説明する。飲料注出装置10の図示しない電源スイッチをONにすると、冷凍装置13が起動して冷却水槽11内の冷却水が冷却される。以下の説明においては予め注出モードを経てビール樽Tに供給する炭酸ガスの適正圧力が算出され、ビール樽T内の炭酸ガスの圧力が一度適正圧力に調圧された後の状態により説明する。
【0021】
図4に示すように、制御装置50は、先ずステップ100とステップ101の処理を繰り返し実行する。制御装置50は、ステップ100において、圧力センサ22によって入力される炭酸ガスの計測圧力が2秒以内に0.02Mpa低下したか否かの判断をし、注出コック40によりビールが注出されてないときにはビール樽T内の炭酸ガスの圧力は2秒以内に0.02MPa低下することがないので「NO」と判定してステップ101に進めてビールを注出しない待機モードに設定し、再びステップ100に戻す。この待機モードにおいては、調圧制御手段が実行されることがないので圧力調整弁21は閉弁されたままである。
【0022】
この待機モードである状態で、制御装置50がステップ100とステップ101の処理を繰り返し実行しているときに注出コック40によりビールを注出すると、飲料供給導管30からビールが導出されてビール樽T内の炭酸ガスの圧力が急激に低下する。これにより、圧力センサ22によって制御装置50に入力される炭酸ガスの計測圧力が2秒以内に0.02MPa以上低下し、制御装置50は、ステップ100において「YES」と判定してステップ102に進めてビールを注出する注出モードに設定する。
【0023】
注出モードとなると、制御装置50は、先ずステップ103において、タイマ53により注出モードとなった時間tのカウントを開始する。次ぎに、制御装置50は、ステップ104において、調圧制御手段によりビール樽T内の炭酸ガスの圧力を適正圧力となるように制御する。詳述すると、ビール樽T内のビールの温度が20℃で適正圧力が0.25MPaと算出されていれば、制御装置50は、調圧制御手段により、ビール樽T内の炭酸ガスの圧力を適正圧力の0.25MPaより0.01MPa低い適性圧力下限値の0.24MPaとなると圧力調整弁21を開放し、ガスボンベGから炭酸ガスが流入して適正圧力の0.25MPaより0.01MPa高い適正圧力上限値の0.26MPaとなると圧力調整弁21を閉止させて適正圧力0.25MPaとなるように調圧制御する。
【0024】
次ぎに、制御装置50は、ステップ105において、適正圧力算出手段によりビール樽T内の炭酸ガスの適正圧力を算出する。詳述すると、制御装置50は、ビール樽Tから飲料供給導管30に導出している状態、または導出されたすぐの状態で飲料温度センサ31によって計測されたビールの計測温度からメモリ52に記憶したマップに基づいて算出された炭酸ガスの適正圧力を算出し、この算出した適正圧力を以後の調圧制御手段による調圧に用いる。
【0025】
次ぎに、制御装置50は、ステップ106において、ステップ103からカウントを開始した時間tが注出モードに設定されてから所定時間として2分経過したか否かを判断し、時間tが2分経過していなければ「NO」と判定してステップ104及び105において上述した調圧制御手段と適正圧力算出手段による処理を繰り返し実行し、時間tが2分経過すれば「YES」と判定してステップ100から始まる処理を再び実行する。
【0026】
上記のように構成した飲料注出装置10においては、制御装置50は、注出コック40によりビールを注出する注出モードであるときに調圧制御手段により適正圧力となるように制御し、注出コック40によりビールを注出しない待機モードであるときに圧力調整弁21を閉弁するように制御しているので、注出モードであるときにはビール樽T内のビールは調圧制御手段により適正圧力となるように制御された状態で注出コック40から注出され、注出されたビールは適度な炭酸ガスを含んだものとすることができ、待機モードであるときには調圧制御手段が実行されずに圧力調整弁21が閉弁されていてビール樽T内のビールには過剰に炭酸ガスが溶け込むことがないので、注出コック40からビールを注出するときにノズル42からビールが吹き出したり、泡過多な状態で注出されることがない。
【0027】
上記のように構成した飲料注出装置10においては、制御装置50は、注出コック40によりビールを注出したときに圧力センサ22によって入力される炭酸ガスの計測圧力が所定時間として例えば2秒以内に所定圧力として0.02MPa低下すると注出モードであると判断し、注出コック40によりビールを注出しないときに圧力センサ22によって入力される炭酸ガスの計測圧力が所定時間内として例えば2秒以内に所定圧力として0.02MPa低下しないと待機モードと判断するのが好ましく、このようにしたときには、制御装置50により注出モードと待機モードとの判断をするに際し、飲料注出装置10には新たにセンサ等の機器を追加することがなくコストアップとならない。特に、注出モードと待機モードとを判断するのに飲料供給導管30にビールの通過を検出するように流量センサ等を設けた場合には、飲料供給導管30内から導出するビールはこの流量センサが障害物となって飲料供給導管30内で発泡するおそれがあるが、上記のように構成した飲料注出装置10においてはそのような問題は生ずることがない。また、圧力センサ22によって入力されるビール樽T内の炭酸ガスの計測圧力が所定時間内に所定圧力低下するか否かにより注出モードと待機モードであることを判断した本発明は、飲料供給導管30内でビールの液圧の変動を検出するよりも圧力の変動割合が大きく確実に検出することができるものである。
【0028】
上記のように構成した飲料注出装置10においては、制御装置50は注出モードであるときに飲料温度センサ31により計測されたビールの計測温度により適正圧力算出手段を実行するように制御し、待機モードであるときに飲料温度センサ31により計測された飲料の計測温度により適正圧力算出手段を実行しないように制御するのが好ましく、このようにしたときには、適正圧力算出手段によりビール樽Tに供給する炭酸ガスの適正圧力を算出するときに飲料温度センサ31により計測されるビールは、飲料供給導管30内に滞留した状態のビールでなくビール樽T内から導出されたすぐのビールであるので、適正圧力算出手段はビール樽T内のビールの温度とほぼ同じ温度のビールにより適正圧力を算出することになる。これにより、待機モードの時間が長くなって飲料供給導管30内のビールが外気の影響を受けても、制御装置50は適正圧力算出手段によりビール樽T内の飲料の温度に応じた適正圧力を算出することができるようになる。
【0029】
本実施形態の飲料注出装置10は、注出コック40のレバー41を手動で操作する飲料注出装置であるが、本発明はこのようなこのような飲料注出装置に限られるものでなく、飲料注出装置は注出コック40のレバー41を自動で操作するコック駆動装置を備え、操作部の操作ボタンの入力によりこのコック駆動装置を駆動させてレバー41の操作をさせる自動式の飲料注出装置に適用させても同様の作用効果を得ることができる。また、自動式の飲料注出装置に適用させたときには、上記のステップ100において注出モードとなるか待機モードとなるかの判断を操作部の操作ボタンの入力の有無によって判断させても同様の作用効果を得ることができる。
【0030】
本実施形態においては、飲料容器Tとしてビールを貯えたビール樽Tを用いて説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、他の飲料として酎ハイや炭酸飲料を貯えた飲料容器を用いても同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による飲料注出装置の一実施形態を示す側断面図である。
【図2】図1に示した飲料注出装置における制御装置のブロック図である。
【図3】ビール樽内の炭酸ガスの適正圧力を示すグラフである。
【図4】制御装置により実行されるプログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
10…飲料注出装置、20…ガス供給導管、21…圧力調整弁、22圧力センサ、30…飲料供給導管、31…飲料温度センサ、40…飲料注出手段(注出コック)、50…制御装置、G…ガス供給源(ガスボンベ)、T…飲料容器(ビール樽)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定圧力のガス供給源から飲料を貯える密閉した飲料容器にガスを供給するガス供給導管に設けられて前記飲料容器内のガスの圧力を計測する圧力センサと、
前記ガス供給導管に設けられて前記飲料容器に供給するガスの圧力を調整する圧力調整弁と、
前記飲料容器から飲料を導出する飲料供給導管に接続されて飲料を注出する飲料注出手段と、
前記飲料供給導管に設けられて前記飲料容器から導出する飲料の温度を計測する飲料温度センサと、
前記飲料温度センサによる飲料の計測温度から前記飲料容器に供給するガスの適正圧力を算出する適正圧力算出手段と、前記圧力センサによる前記飲料容器内のガスの計測圧力が前記適正圧力算出手段により算出した適正圧力となるように前記圧力調整弁を開閉するように制御する調圧制御手段とを有する制御装置とを備えた飲料注出装置において、
前記制御装置は、前記飲料注出手段により飲料を注出する注出モードであるときに前記飲料容器内のガスの圧力が前記調圧制御手段により前記適正圧力となるように制御し、前記飲料注出手段により飲料を注出しない待機モードであるときに前記調圧制御手段を実行せずに圧力調整弁を閉弁するように制御したことを特徴とする飲料注出装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記飲料注出手段により飲料を注出したときに前記圧力センサによって入力されるガスの計測圧力が所定時間内に所定圧力低下すると前記注出モードであると判断し、前記飲料注出手段により飲料を注出しないときに前記圧力センサによって入力されるガスの計測圧力が所定時間内に所定圧力低下しないと前記待機モードと判断することを特徴とする請求項1に記載の飲料注出装置。
【請求項3】
前記制御装置は前記注出モードであるときに前記飲料温度センサにより計測された飲料の計測温度により前記適正圧力算出手段を実行するように制御し、前記待機モードであるときに前記飲料温度センサにより計測された飲料の計測温度により前記適正圧力算出手段を実行しないように制御したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の飲料注出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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