説明

飲料濃縮液を分配するためのシステムおよび方法

【課題】 本発明は、酸化や湿分の損失などの影響を防止するために個別の容器の中にパッケージされた2成分の液体または濃縮液を分配するための装置および方法に関するものである。
【解決手段】 液体または濃縮液は、好ましくはぜん動ポンプを含むポンプ送りシステムを通して分配され、共に混合され、あるいは選択的に水などの他の液体によって希釈され、消費可能な飲料を提供することができる。さらに、本発明による装置は、異なる粘性を有する複数の液体または濃縮液を、これらが適切な比率で共に混合されるように分配することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2000年5月16日に出願の同時係属している米国特許出願第09/453932号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、別個の区画または容器に納められた二成分の液体または濃縮液を分配するための装置と方法とに関するものである。この液体または濃縮液は、選択的に水などの他の液体を用いて希釈して混合され、次いで選択的にポンプ・システムを通して分配されることができ、それによって消費飲料が提供される。
【背景技術】
【0003】
液体を貯蔵および分配するためのパッケージ技術において使用される容器として、一般に、密封ポリマー袋またはパウチ(pouch)が含まれる。特に液体または濃縮液を貯蔵するために、この技術分野ではさまざまなパウチが知られている。
【0004】
Jeansの米国特許第4,523,697号は、予め決められた流量で濃縮液を分配するための容器を開示している。この容器はまた、出口弁のところで適合する2つの結合アセンブリと、その内部におけるチューブとを含み、容器の容積に対する制御された加圧を可能にする。
【0005】
Kruger他の米国特許第4,709,835号は、折畳式バッグと、排出口と、計量バルブ・アセンブリを取り付けたときに破断することのできるインサートとを含む、飲料シロップおよび濃縮液のための使い捨てパウチを開示している。このパウチはポストミックス飲料ディスペンサに有用である。
【0006】
Viegasの米国特許第5,307,955号は、流体製品を分配するための柔らかい底を有する軽量デリバリー・パッケージを開示している。このパッケージは自己密封式の分配バルブを含み、粘性のある流体物質を貯蔵し分配するのに特に有用である。
【0007】
さらに、消費飲料を作り出すために2つの液体成分または濃縮液成分を混合することは特に有益である。この混合を貯蔵中または分配の際に行うこともできる。2つの液体または濃縮液は、分配後に単に一緒にしてもよく、混合させることなく分配してもよく、あるいは完全に混合させて共に分配してもよい。例えばSpeerの米国特許第4,204,775号および同第4,316,673号は各々、曲がりくねった経路を使用して2流体混成体をせん断し(shear)、折り重ね(fold)、混合し(mix)、ブレンド(blend)する混合装置を開示している。
【0008】
一般に、各成分から作られた飲料が共に混合されて分配システムにより分配される。分配システムは手動または自動にすることができ、また連続的に動作することも、あるいは断続的な分配ステップで動作することもできる。液体分配システムは一般的に液体を保持するための少なくとも1つの液体容器と、液体を消費可能箇所に分配するためのポンプとを含む。さまざまな液体分配システムが市販されており、従来の技術で開示されている。
【0009】
Sedam他の米国特許第4,306,667号、同第4,359,432号および同第4,376,496号、ならびに米国再発行特許第RE32,179号はすべて、冷蔵キャビネットの中で使用するためのポストミックス炭酸飲料分配システムを開示している。この分配システムは、再補充可能な貯水器を有するソーダ水器と、CO2システムと、バルブ・システムと、ポストミックス飲料シロップを収容して分配するための使い捨てパッケージとを含む。
【0010】
Garabedian他の米国特許第4,564,127号は、自己密封式バルブおよびディスペンサと係合するためのクリップを有する折りたたみ可能なバッグと、バッグ・クリップと係合してバルブを開閉するためのクリップ受け入れ構造と、ポンプと、バッグ用のサポートと、フレームとを含む液体ディスペンサ・システムを開示している。
【0011】
Kirschnerの米国特許第4,901,886号は、冷凍器の温度で濃縮ジュースに水を加えてもとにもどして分配するためのバッグ・イン・タンク・システムを含む、ポストミックス・ジュース分配システムを開示している。バッグインタンク・システムは加圧可能なキャニスタを含み、このキャニスタは、その内部に配置された摺動可能なキャリアであって、圧力下において濃縮液を可撓性バッグから強制的に排出することができるキャリアを有している。
【0012】
Pleet他の米国特許第5,368,195号は、粘性または半粘性の液体を正確に分配するための加圧されたバッグ・イン・ボトル流体ディスペンサ・システムを開示している。このディスペンサ・システムは、香辛料、塗料、顔料、または接着剤を分配するのに特に適しており、手動操作されるガンの引き金によって活動化される計量ユニットを含んでいる。
【0013】
Schroeder他の米国特許第5,615,801号および同第5,735,436号は、ポストミックス・ジュース・ディスペンサ用の使い捨ておよびリサイクル可能な濃縮ジュース・パッケージを開示している。このディスペンサは、濃縮液の連続流を供給するポンプと、容器ハウジングおよびポンプ・ハウジングを含むパッケージ・ハウジングと、一体混合ノズルとを有している。ディスペンサの混合室への連続的な濃縮液の流れは混合を改良することが示唆されている。
【0014】
Credle,Jr他の米国特許第5,803,312号は、手動操作されるポストミックス・ジュース・ディスペンサを開示している。この低コストのディスペンサは、使い捨て濃縮液パッケージと共に使用され、水タンクと、水ポンプと、ポンプ・ハンドルとを含んでいる。このシステムと共に使用するための使い捨て濃縮液パッケージは、一般に、ハンドルに連結される組込み式濃縮液ポンプを備えた可撓性パウチである。
【0015】
ある情況では、2つの液体が、同じ装置によって共に分配されてもよい。2つの液体の混合を可能にする単一の装置は、効果的に、よりよく混合された消費者飲料製品を提供する。2つの液体を、Uffenheimer他の米国特許第4,774,057号に開示されているような二液ディスペンサ・パッケージを使用して分配することができる。この特許は、2つの個別液体分配室と、2つの液体槽と、液体槽を分配室に連結する液体供給導管とを含むディスペンサ・パッケージを開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
消費者のために便利な形のコーヒー製品が、溶けやすい粉体として、およびインスタント飲料として一般に市販されている。
【0017】
溶けやすい飲料粉体の態様のコーヒー製品を、調合したばかりの飲料によく似た飲料を提供する程度にまで極めて高い品質のものにすることもできる。にもかかわらず、それらは調合したばかりのコーヒーよりも低質なものとして未だ認知されている。また、溶けやすい飲料粉体が粉体の形態であることは、製品が機械から分配される多くの食品サービスに適用する際に問題を引き起こす。特に、粉体の機械的劣化、橋絡、および閉塞などの問題が発生する。分配装置に粉状製品を補充するには、手作業を必要とすることもあり、機械のホッパーに装荷する場合には補充物質の損失を起こすこともある。
【0018】
インスタント液状コーヒー飲料はアジアの市場では非常に普及している。この飲料は、溶けやすい固形コーヒー、安定剤、水、および通常は砂糖から作られる。白い飲料のために、クリーマまたは漂白剤が含まれていてもよい。通常、これらの飲料は約1重量%の溶けやすい固形コーヒー濃度を有する。これらの飲料は冷たいままで消費されることが非常に多く、一般に、調合されたばかりのコーヒーとは異なる感覚刺激に反応する性質を有する。したがって、これらは調合されたてのコーヒーの代用とならず、また実際にそれを目的としてはいない。
【0019】
また、濃縮流体の形態で便利なコーヒー製品を供給する試みもあった。理論では、コーヒー濃縮液は、溶けやすい飲料粉体よりもすぐれた品質を有すると認められ、食品サービスの応用分野での適用に簡単であるという利点を提供する。しかし残念ながらコーヒー濃縮液は不安定であり、これはその適用をひどく制限する。1つの問題は、コーヒー濃縮液から戻された飲料の品質に否定的な影響を与える、時間による酸味の増加として現れる。また、漂白剤成分またはクリーマ成分の凝結も発生することがある。
【0020】
濃縮液に基剤(base)を加えて酸味の増加を回避または減少させる試みもなされた。例えば、欧州特許出願番号EP−0861596は、コーヒー濃縮液をアルカリで処理して酸性の前駆物質をその酸性塩に変換し、次に処理された濃縮液を酸で中和してpHを約4.7〜5.3にすることを記載している。記載されたこの方法は、酸性前駆物質を安定した塩に変換し、貯蔵中の酸の形成を防止するためである。
【0021】
香りをつけたコーヒー濃縮液の酸味の増加を回避または低下させるもう1つの可能な方法は、濃度を約55%以上に増やすことである。これは欧州特許出願番号EP−0893065に記載されている。
【0022】
2以上の流体を含む飲料を分配するとき、少なくとも2つの流体が別々に貯蔵され、単一の分配システムを使用して共に混合され、また他の任意の成分と容易に混合されることが望ましい。これを、少なくとも2つの流体成分を共に個別に貯蔵するための多成分パッキング・アセンブリを援用して有利に達成することができ、これはパッケージングおよび分配システムの設計における均一性を可能にし、結果的にこれらの少なくとも2つの流体成分からの飲料の出荷と分配実施を簡略化する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、飲料製品を提供するための分配システムであって、別個の区画の中に少なくとも2つの異なる成分を貯蔵するために構成および設計された取り外し可能な多成分パッキング・アセンブリを含み、これら成分は組み合わせられて飲料を形成することができ、また分配システムは、これら成分をパッキング・アセンブリから、パッキング・アセンブリの区画と機能的に関連づけられた添加室へとポンプ送りするための少なくとも1つのポンプ・アセンブリを含み、この添加室は、少なくとも2つの成分を受け入れ、また組み合わせて、飲料製品または飲料形成製品として供給される混合物を形成する分配システムに関するものである。
【0024】
パッキング・アセンブリが、貯蔵中に成分を中に別々に保持するための2つの区画を有することは有利である。パッキング・アセンブリは、2つの区画を形成するために分割されたポリマー薄膜の単一室にすることもできる。あるいは、パッキング・アセンブリは少なくとも2つの別個のパウチを含むこともでき、これらパウチは個々の区画を形成し、単一の外側容器または室によって維持されている。各区画は、成分を区画から個別に分配するためのフィットメント(fitment)を含むこともできる。また、ポンプ・アセンブリは、ぜん動ポンプなどのデュアル・ヘッドまたは多ヘッド容積式ポンプを含む。
【0025】
本発明の別の観点は、少なくとも2つの異なる成分を含む飲料製品を分配するための方法に関するものである。この方法は、少なくとも2つの異なる成分を、単一のパッケージ外部室または容器の複数の個別区画の中に供給および保持するステップを含み、これらの成分は組み合わせられて飲料を形成することができ、またこれらの区画には、ほぼ同時に空になるように決定された相対速度で区画が互いに均一に空になるような相対量で各成分が入っており、少なくとも2つの成分を外部室から引き出して混合することによって、あるいは任意に希釈剤と共に混合することによってこれらを組み合わせ、消費可能な飲料製品を形成し、これを消費者による消費のために分配する。
【0026】
本発明の他の実施形態は、少なくとも2つの異なる成分を含む、分配されたコーヒー飲料の品質を改良するための方法に関するもので、この方法は、少なくとも2つの異なる成分を、単一外部室の複数の個別区画の中に供給および保持するステップを含み、これらの成分は組み合わせられてコーヒー飲料を形成することができ、少なくとも2つの成分を外部室から引き出して混合することによって、あるいは任意に希釈剤(希釈液を含む)と共に混合することによってこれらを組み合わせ、消費可能な飲料製品を形成し、これを消費者による消費のために分配する。一方の成分は実質的にコーヒー・アロマを含まないコーヒー・ベースの濃縮液であり、他方の成分はコーヒー・アロマであることが好ましい。
【0027】
本発明のさらに別の実施形態は、少なくとも2つの異なる成分を送り出すために適合した飲料パッケージ・アセンブリに関するもので、各成分は特定の粘性を有し、選択的には添加希釈剤と共にされて、飲料を形成する。適合した飲料アセンブリは、少なくとも2つの異なる成分を内部に受け入れて貯蔵するための少なくとも2つの個別の区画を有する外部室を含み、各区画は、1つまたは複数の成分によって占有された所定の容量を内部に有しており、各区画にはフィットメントが取り付けられ、フィットメントは所定のオリフィス(開口)サイズを有し、区画の占有された容量とオリフィス・サイズとは、内部にある成分の特定の粘性に応じて変えられ、飲料の送出と形成の際に成分の適切な流量および所望の流量を提供し、こうして区画はほぼ同時に空になる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態が添付の図面に詳細に図解されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の原理による適切な分配システムが、市販されている現存のシステムを、本明細書に記載の必要な成分を収容するのに適した方法で修正することによって作り出すこともできる。適切な商用システムまたは容易に改良可能な商用システムの例としては、例えばウィスコンシン州watertownのKarma社によって製造されたもの、特にディスペンサモデル670または672がある。商用分配システムの1つまたは複数のエレメントの改良は、例えば少なくとも2つの成分の1つまたは複数の(高い)粘性、および/または成分の2つの粘性における明確な差などの、多くの要素によって変わる可能性がある。好ましくは、ぜん動ポンプなどの容積式ポンプを使用すべきであり、商用分配システムにあるならば別の形式のポンプで代用することもできる。2つまたはそれ以上の流体成分を使用するときは、分配システムは各液体成分に対して1つのシングルヘッド・ポンプを、または少数のデュアル・ヘッドまたはマルチヘッド・ポンプを含むこともできる。本発明で使用するための例示的な商用容積式ポンプとして、フロリダ州BradentonのAnkoProduct社から入手できるMityFlexぜん動ポンプ、および英国CheltenhamのWatson−Marlow社から市販されているぜん動または分配ポンプが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0030】
好ましくは、少なくとも2つの成分の各々をそれ独自のパウチまたはバッグの中に納め、各パウチまたはバッグは、例えば単一区画または室を有する厚紙箱または他の適当な箱の形をなす単一外部室の内部にある個別区画の中に格納され、少なくとも2つの成分は、一体となされた二区画パッケージの中に貯蔵され、こうして各区画は適当な連結手段によって少なくとも互いに連結される。代りに、外部室は少なくとも2つの室を含むこともできる。好ましくは、2つまたはそれ以上のパウチを共にヒートシールするか、または単一パウチを、好ましくはパウチの一端から他端まで延びるヒートシールによって2つまたはそれ以上の室または空所に分離し、少なくとも2つの成分を互いに隔離するとともに、これらの容器を共に保持することができる。
【0031】
ある好ましい実施形態では、パッケージ・アセンブリは、2つまたはそれ以上の、好ましくは2つの薄膜ウェブを含み、この薄膜ウェブはヒートシールされることができ、それによって一列にまたは連続して連結された2以上のエンクロージャまたはパウチが形成される。パッケージ・アセンブリは各ヒートシールにおいて折り曲げ可能であることが好ましい。ヒートシールされた各端部が裏返しに折られて折り目が互い違いになり、この結果、エンクロージャまたはパウチのジグザグ配置またはアコーデオン配置を得られることがさらに好ましい。パッケージ・アセンブリが、少なくとも2つの成分が分配されるまで、これらを分けて保持することに役立つのは有利である。
【0032】
こうして、少なくとも2つの成分の分離を通じて、例えば調量される前に混合された成分を有する製品のいくつかの欠点を回避することによって、いくつかの利点を得られることが考えられる。これらの欠点には次が含まれる。すなわち、ある成分は、分配の前に2つの成分が混合される場合、例えば出荷中、または貯蔵中、もしくは分配装置または設備の内部において、他の成分の品質低下または劣化を引き起こすか加速させることがあり、ある成分は、例えば沈積、凝結、凝集、固化、液化、沈殿物の形成、他の液相の形成、または他の何らかの方法で他の成分から「相分離」し、成分が共に混合される時間と成分混合物が調量されるかまたは分配されるかその両方の時間の間に、結果的に不均一または不均等に混合された製品になることがある。
【0033】
別の実施形態では、好ましくはパッケージ・アセンブリの各成分エンクロージャまたはパウチは、各成分の分配を可能にするための分配フィットメントを含む。各フィットメントが何らかの適当な連結システムによって、分配システムのグランド(例えばパッキン押さえ)に連結できることは有利であり、この連結システムすなわちグランドおよびフィットメントとしては、例えばオランダHeemstedeのInnovativePackaging Netherlandsから市販されているClean−Clic(登録商標)フィットメント(すなわち、オランダ特許番号NL9400346または国際公開番号WO95/24972に開示されており、これらの公開の開示すべては本明細書に参照によって組み込まれている)、またはカリフォルニア州IrvineのScholle社から市販されているScholleフィットメントがある。連結部は急速着脱型の機能を有し、フィットメントはこれを可能にすることが好ましい。代替実施形態では、グランドをパッケージ・アセンブリの一部にすることができ、フィットメントを適切な管によってポンプ・アセンブリに連結することができる。
【0034】
添加室はどのような室でもよく、この中に少なくとも2つの成分を(また選択的にこの中に希釈剤を)ポンプで入れることができる。室が、少なくとも2つの成分(および選択的に希釈剤)の接触を可能にするか、または消費用飲料として分配される前にこれらの成分の混合を可能にするのに適していることは好ましい。室における成分のこの追加は、結果的に完全な混合となるが、完全な混合は必ずしも必要とは限らない。添加室が成分のいくつかまたはすべてのための接触室として役立つことは有利である。ある実施形態では、(任意の希釈剤を含む)すべての成分は添加室において接触するかまたは混合される。別の実施形態では、少なくとも2つの成分は添加室において接触するかまたは混合されるが、希釈剤は後で追加される。さらに別の実施形態では、少なくとも2つの成分および/または1つもしくは複数の希釈剤は最初に接触するか、または最初に混合され、残りの成分から分離してある成分の組み合せを形成する。この実施形態では、初期接触または混合が添加室の前後または中で生じ、残りの成分は後で接触されるか、または後で初期成分の組み合せと混合される。
【0035】
分配しようとする飲料製品としては、例えばコーヒー・ベース、コーヒー味、またはモカ味の飲料、またはこれらの混合物を含むコーヒー形式の飲料、ソーダ、コーラ、味付けセルツァ炭酸水、またはこれらの混合物を含む炭酸飲料、ジュース飲料、他の形式の味付け飲料、例えばミルクベースまたは非乳製品クリーマ・ベースの脂肪または成分を含むクリーム状飲料、またはこれらの組み合せを挙げることができるが、これらに限られるものではない。分配しようとする飲料製品がクリーム状および/またはコーヒー形式の飲料であることは好ましい。
【0036】
少なくとも2つの成分を、ともに固定されている個別の容器の中に別個に貯蔵することもがき、または代りに単一容器中の個別の区画に個別に貯蔵することもできる。容器はディスペンサ容器であることが好ましい。ある実施形態では、少なくとも2つの個別成分をコーヒー・ベースの濃縮液およびコーヒー・アロマにすることができる。別の実施形態では、少なくとも2つの個別成分を強いリキュールおよび蒸留液にすることができる。
【0037】
各区画が空になる流量は均一であるべきであり、例えば製品の粘性、区画の容量、フィットメントのサイズなどの、さまざまな固有の設計特性によって決まる。均一に空にすることが、無駄で不適切な飲料の準備を避けるために重要である。例えば、芳香成分の区画がコーヒー濃縮液成分の前に空になる場合には、結果的に得られるコーヒーはおそらく芳香物のないまずい味を有することになろう。
【0038】
さまざまな成分の粘性は、なかでも結果的に得られる飲料の性質および貯蔵または使用温度に応じて大きく変化するが、すべて約0.1cPs〜10000cPsの範囲内にあることが好ましい。粘性が異なる2つの成分が存在する一実施形態では、低い粘性に対する高い粘性の比は約200〜5000であり、好ましくは約500〜2000、さらに好ましくは約1000である。ある好ましい実施形態では、2つの成分が存在し、好ましくはそれぞれ約0.1cPs〜10cPsおよび約200cPs〜10000cPs、さらに好ましくはそれぞれ約0.5cPs〜2cPsおよび約500cPs〜7500cPs、最も好ましくはそれぞれ約1cPsおよび約1000cPs〜5000cPsの粘性を有する。
【0039】
パッケージ・アセンブリの各区画の区画容量、およびその中の1つまたは複数の成分の占有容量は、例えばその中に置こうとする1つまたは複数の成分の粘性、フィットメントのサイズ、区画における分配される各飲料製品内の成分の適切な量、および各区画における成分の相対比に応じて大きく変わりうる。ある実施形態では、区画容量と占有容量を約50mLと10Lとの間、好ましくは約100mLと5Lとの間、さらに好ましくは約200mLと4Lとの間にすることができる。各区画の占有容量と区画容量は実質的に同じにすることもできるが、各区画の占有容量は一般的には区画容量より小さい。
【0040】
本発明による各区画のフィットメントのオリフィスのサイズは、1つまたは複数の成分の粘性、望みの流量、および区画内の量などの要素、ならびに各区画における成分の相対比によって変わる。
【0041】
各区画における成分の相対比も、飲料製品の性質に応じて大きく変わりうる。パッケージ・アセンブリの中に区画が2つだけあるときには、2つの区画における1つまたは複数の成分の相対比は約20:1〜1:20、好ましくは約10:1〜1:10、さらに好ましくは約5:1〜1:5であることが望ましい。
【0042】
各区画における成分の容積流量は、先に指摘したような上述の条件および特性のいずれかに応じて、大きく変わりうる。好ましい一実施形態では、各容積流量は約1mL/分〜100mL/分、好ましくは約5mL/分〜50mL/分、さらに好ましくは約20mL/分〜35mL/分である。
【0043】
任意に、分配システムは、分配システムのさまざまなエレメントの一部またはすべてを連結する配管システムを含むことができる。この配管システムは、消費可能飲料と接触してこれを分配するための、何らかの適当な形式の配管またはチュービング、典型的には柔軟なポリマー材料でできたものを含む。適当な配管の例としては、PTFE、PE、HDPE、PP、PVC、シリコーンなどの食品級プラスチックが挙げられる。例えば、TYGON(登録商標)およびNORPRENE(登録商標)は、使用できる2つの形式のチュービングである。
【0044】
任意に、特に少なくとも2つの成分が粘性または半粘性の液体もしくは濃縮液であるときには、本発明による分配システムは、液体もしくは濃縮液のための希釈剤を提供する手段を含むこともできる。この希釈剤はどのような消費用液体でもよく、水(温水、冷水、または微温水、好ましくは温水)、炭酸水(セルツァ炭酸水またはソーダ水を含む)、ミルクまたは非乳製品、これらのいずれかを含む溶液、またはこれらの混合物にすることができるが、これらに限られるものではない。希釈剤がバクテリア汚染を受けやすいときには、例えば乳製品を希釈剤として使用するとき、分配システムは例えば無菌パイプなどの、この種の汚染を抑制または防止するための設備を含むべきであることを理解されたい。
【0045】
本発明による分配システムの中に希釈剤を供給する手段は、どのような適切な手段でもよいが、希釈剤容器と、分配の際またはその前に希釈剤を少なくとも2つの成分に供給するための機構とを含むべきである。希釈剤は、例えば上記の詳細に述べた配管などの、当技術分野では周知の適当ないかなる方法によっても供給することができ、例えば手動または自動活動化可能なバルブを使用して、またはポンプ機構を使用して制御することもできる。ある場合には、特にポンプ・アセンブリがマルチヘッド・ポンプを含む場合には、ポンプ送り機構をあらかじめ本発明による分配のポンプ送りシステムの中に含めることもできる。代りに、ポンプ送り用の機構は、本発明による分配システムの中で使用するために、どのようなポンプ・アセンブリおよび/またはどのような配管系統も含むことができる。供給しようとする希釈剤を特定の温度に保たなければならない場合には、加熱装置または冷却装置もしくはその両方、ならびに希釈剤容器の中の温度を監視および/または制御するための手段を、本発明による分配システムの中に置くことができる。
【0046】
好ましい一実施形態では、本発明は、コーヒー飲料を提供するための飲料システムであって、少なくとも10重量%の溶性のコーヒー固体濃度を有するコーヒー・ベースの濃縮物を含み、これからコーヒー・アロマが除去されている第1貯蔵区画と、コーヒー・アロマを入れた第2貯蔵区画とを有する容器を備えた飲料システムを提供する。
【0047】
食品サービスに適用するためには、コーヒー・ベースの濃縮物およびコーヒー・アロマを適当なディスペンサ容器に個別に貯蔵することもできる。容器は、コーヒー・ベースの濃縮物およびコーヒー・アロマのために分けることができ、または個別の貯蔵室を有する単一の容器を使用することもできる。容器を、例えば水蒸気、酸素、および光の透過を最小限に保つことができる障壁薄膜で作られたパウチにすることができるのは有利である。例えば、ポリエステル/アルミニウム/ポリエチレンなどの積層を含む適当な障壁薄膜が市販されている。
【0048】
コーヒー・ベース飲料を小売りに適用するためには、2つの成分を、コーヒー・ベースの濃縮液とコーヒー・アロマのための個別貯蔵室を有する適当な容器の中にパッケージすることが好ましい。適当な容器としては、多区画スティック・パック、クリームなどを入れる小さな袋、カートン・ベースの四面体パック、UNIFILLパック、圧搾可能なプラスチック・ボトル、直立パウチ、プラスチック・カップなどが挙げられる。容器は、コーヒー・ベースの濃縮液とコーヒー・アロマの両方が同時に飲料再構成に使用できるように、容器の開口部が両方の室を開くように設計されていることが好ましい。
【0049】
本発明の一観点は、溶性の濃縮コーヒー固体とコーヒー・アロマとの個別貯蔵が溶性の濃縮コーヒー固体の安定性を有意に向上させるという発見に基づくものである。したがって、コーヒー・ベースの濃縮物とコーヒー・アロマを個別に貯蔵することによって、また飲料を再構成する際にこれらを再度組み合わせることによって、良品質のコーヒー飲料を提供することができる。
【0050】
使用される確かな手順は決定的なものではないので、どのような適当な手順を用いてもコーヒー・ベースの濃縮物を得ることができる。通常は、コーヒー・ベースの濃縮物は、コーヒー抽出法によって得られたコーヒー・エキスを濃縮して望みのコーヒー濃度にすることによって準備される。コーヒー・エキスは、焙じたコーヒー豆を抽出にかけることによって通常の方法で作ることができる。抽出手順の選択と設計は好みの問題であり、本発明に決定的な影響を有するものではないので、どのような適当な抽出手順も使用することができる。適当な抽出手順は米国特許第5,997,929号および同第5,897,903号に記載されており、これらの開示は本明細書に参照によって組み込まれる。同様に、濃縮手順の選択と設計も好みの問題であり、本発明に決定的な影響を有するものではないので、どのような適当な濃縮手順も使用することができる。もちろん、コーヒー・ベースの濃縮物を、溶けやすいコーヒー粉を水に溶解して望みの濃度にすることによって準備することもできる。
【0051】
コーヒー・ベースの濃縮物の濃度は、溶性のコーヒー固体で少なくとも10重量%であり、例えば少なくとも30重量%である。濃縮物が微生物の成長を支持しないような十分に高い濃度であること、例えば約50〜65重量%であることが好ましい。濃度を65重量%以上にすることもできるが、粘性が増すので分配がより困難になる。
【0052】
コーヒー・ベースの濃縮物を、貯蔵中の酸の形成に対処するかまたは減らすために処理することもできる。貯蔵中の酸の形成に対処するためには、コーヒー・ベースの濃縮物のpHを正規のpHより約0.5〜1.0単位だけ上げることもできる。それでもpHは貯蔵中に落ちるが、コーヒー・ベースの濃縮物は、受け入れ可能な貯蔵期間中に極度の酸性にはならない。pHを上げるためにはどのような適当な手順を使用してもよい。例えば、コーヒー・ベースの濃縮物にアルカリを加えてpHを上げることもできる。適当なアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、苛性カリ、および重炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0053】
代替案として、イオン交換樹脂によるイオン交換法によってpHを上げることもできる。これは、コーヒー・ベースの濃縮物に添加物を加えないという利点を提供する。代替案として、アルカリ添加とイオン交換との組み合せももちろん実施することができる。コーヒー・ベースの濃縮物がイオン交換処理を受けてpHを上げたエキスから得られることは好ましい。
【0054】
コーヒー・ベースの濃縮物を冷蔵または冷凍された条件、好ましくは冷凍された条件で貯蔵すること有利である。これには、コーヒー・ベースの濃縮物の安定性を向上できるという利点がある。
【0055】
コーヒー・ベースの濃縮物において酸先駆物質の加水分解を誘導することによって、酸の形成を減少または防止することもできる。これは、pHを上げて酸先駆物質に安定した塩を形成させ、次いで濃縮物のpHを低下させることによって行うことができる。これは、欧州特許出願0861596に記載されているようなアルカリの添加によって、またはイオン交換を使用することによって行うことができる。通常pHは約9以上に上げられる。適当な酸またはイオン交換を使用して、pHを正規のコーヒーpH範囲に再び下げることもできる。代替案として、酸先駆物質を熱的に加水分解して、または酵素を使用して、例えばエステラーゼを使用して加水分解することもできる。
【0056】
酸の形成を、膜分離法を用いてコーヒー・ベースの濃縮物から酸先駆物質を除去することによって減少または防止することができる。コーヒー・ベースの濃縮物が膜分離を受けたエキスから得られることは好ましい。適当な膜が市販されている。
【0057】
飲料を再構成するときにコーヒー・ベースの濃縮物にアルカリを加えることも可能である。これは、コーヒー・ベースの濃縮物と共にアルカリを分配することによって行うことができる。
【0058】
コーヒー・ベースの濃縮物は実質的にコーヒー・アロマのないものであるべきである。焙じたコーヒー豆を加工して上述のようなコーヒー・ベースの濃縮物にすることは、結果的にコーヒー・ベースの濃縮物からすべてのコーヒー・アロマが実質的に損失することになる。しかしながら、加工中にコーヒー・アロマを特に除去して、次にコーヒー・アロマを収集することが好ましい。こうして、コーヒー・アロマを濃縮物から分離するが、損失はない。コーヒー・アロマの取り出しや収集のプロセスは周知である。通常、コーヒー・アロマは、例えばコーヒー豆のすりつぶし中または直後に不活性ガスを使用して、また水蒸気を使用して抽出中にコーヒー・エキスからコーヒー・アロマを剥ぎ取ることによって、1ステップまたは多ステップで取り出される。
【0059】
代替案として、新鮮なコーヒーの出しがらを水またはコーヒー・エキスでスラリー化して、コーヒー・アロマをスラリーから取り出すこともできる。適当な手順が米国特許出願番号09/057741に記載されており、この開示は参照によって組み込まれる。
【0060】
コーヒー・アロマを何らかの適当な手順によって捕獲することもできる。通常は、コーヒー・アロマを1つまたは複数の凝縮器(コンデンサ)の中でキャリア・ガスから凝縮することによって捕獲される。それぞれ次の凝縮器が前の凝縮器よりも低い温度で作動する、複数の凝縮器を使用することが好ましい。必要もしくは望むならば、凝縮器の1つを低温アロマ凝縮器にすることもできる。適当な低温アロマ凝縮器が米国特許第5,182,926号に記載されており、この開示は参照によって組み込まれる。捕獲されたアロマを、望むならば、部分凝縮または精留などの技法を用いて濃縮することもできる。
【0061】
捕獲されたコーヒー・アロマを、コーヒー油またはコーヒー油を含むエマルジョンなどの適当なキャリア基質と組み合わせることもできる。
【0062】
コーヒー・エキスの製造とコーヒー・アロマの捕獲の工程を、望むならば酸素の少ないまたは酸素のない条件の下で行うことができる。これは当技術分野では周知のように、例えば不活性ガスのブランケットの下で実施することによって達成される。さらに、工程で水が必要な場合にはいつでも、酸素を分離された水を使用することもできる。
【0063】
コーヒー・アロマは、酸素の少ないまたは酸素のない条件の下で貯蔵されることが好ましい。同様に、コーヒー・ベースの濃縮物も酸素の少ないまたは酸素のない条件の下で貯蔵することができる。さらに、望むならば、コーヒー・アロマおよび/またはコーヒー・ベースの濃縮物に酸素スカベンジャを加えることもできる。適当な酸素スカベンジャは米国特許出願番号09/018,566に記載されており、この開示は参照によって組み込まれる。さらに望むならば、コーヒー・アロマを冷蔵または冷凍条件の下で貯蔵することができる。これはアロマの安定性が改良されるという利点を有する。
【0064】
本発明による分配システムはまた、任意に、ある機能的または美的利益をもたらすことのある他の構成部分を含むこともできる。任意選択的な構成部分の中には、制御システム、配電盤、ディスペンサ・ハウジング、ドリップ・パン、温水または冷水タップ、およびフレームが含まれ、このフレームの上に、本発明による分配システムの1つまたは複数の要素を置くか取り付けるか支えることができる。
【0065】
本発明の別の観点は、好ましくは粘性または半粘性の液体または濃縮液である少なくとも2つの成分を含む飲料を分配するための方法であって、少なくとも2つの成分を単一のパッケージ・アセンブリの中に個別に貯蔵すること、少なくとも2つの成分を共に組み合わせて、あるいは任意に希釈剤と共に組み合わせて消費用飲料を形成すること、および消費者によって消費されるために消費用飲料を分配することを含み、少なくとも2つの成分の少なくとも1つは別の一成分から分離された区画に貯蔵されている方法に関するものである。
【0066】
ある好ましい実施形態では、図1に示すように、分配システムは、双容器2、ぜん動ポンプ・ハウジング6とポンプ・モータ16とを含むポンプ・アセンブリ17、3つの入口(2つは2つの成分の各々から来る配管用4a、4bで、1つは希釈剤タンク11につながる配管用配管用18)を有する添加室12、外部容器2上のフィットメントに接続するための2つのグランド1a、1bを有するコネクタ・アセンブリ19、およびハウジング8とドア9とを含むディスペンサ・フレームを有する。
【0067】
図2に示す双容器が2つの成分パウチ21a、21bを含み、これらのパウチは2つの薄膜ウェブによって連結され、これらの薄膜ウェブはほぼウェブの中間に沿って密封線21cに沿ってヒートシールされていることは好ましい。代りに、ヒートシールではなく、パウチを例えば何らかの適当な接着剤または熱可融性中間薄膜、または溶融材料によって互いに接着固定することもできる。各成分パウチは、メス(雌)のパウチ・フィットメント22a、22bを含み、メス・パウチ・フィットメントは、有利にはパウチ表面の外側に突出し、特に成分の粘性と必要な分配比に応じたサイズのオリフィス23a、23bを形成している。各フィットメントは、好ましくは「プッシュ・アンド・ロック(push−and−lock)」アセンブリによって1つのグランド1aまたは1bに固定可能に構成されており、グランド1a、1bに連結されたそれぞれの連結チューブまたは管4a、4bの部分を通じて両パウチからの流れを可能にする。外見的には、双容器を単一パッケージ・アセンブリとして取り扱うことができる。パッケージ・アセンブリを非常に便利に分配システムの中に置いて、成分の分配が飲料製品を形成できるようにすることができる。代わりの実施形態(図示せず)では、2つのパウチを、2つのフィットメントが同軸に位置するように好ましくは実質的に中間またはヒートシールにおいて折り重ねて、単一の分配グランドへの連結がそこからの流れを可能にできるようにしてもよい。
【0068】
代りに、図3に示すように、成分パウチ21a、21bが、単一の容器2の中に隣接して置かれた2つの個別部材として格納され、この容器はこれらのパウチを共に保持している。各成分パウチはメス・パウチ・フィットメント22a、22bを有する。これらのパウチフィットメント22a、22bを、好ましくは一種の着脱式機構(離脱金具)によってデュアル・グランド1a、1bに連結することができる。
【0069】
流体流動カップリングは、例えば米国特許第5,609,195号、同第5,467,806号および同第5,816,298号に開示されているような「ドライ・ブレーク」式であることが好ましい。より詳細には、流体流動カップリングは第1のおす部品と第2のメス部品との間の連結に関するものであり、この連結を通じて流体は流れることができる。カップリング部品が外れると、これらは互いに再密封されて、1つまたは複数のチュービングと1つまたは複数の容器とのいずれからの流体の損失も防止する。さらに、これらのカップリングの「ドライ・ブレーク」の観点は、望ましい最小の流体保持容量を意味するので、したがって流体は第1カップリング部品においても第2カップリング部品においても密封されず、したがって周辺大気条件への露出または周辺大気条件への放出を最小限にする。
【0070】
本明細書で値の範囲に関して使用されている用語「約」は、その範囲で述べた値のいずれかの値または両方の値を多少変えることと理解されたい。
【0071】
(実施例)
下記の例は、本発明による分配システムにおいて使用するための方法と材料、またはこのいずれかの1つまたは複数の要素の単なる代表的なものであり、いずれにしても本発明の範囲を制限するものと解釈されるものではない。
【0072】
例1
焙じて粉砕したコーヒーを、溶けやすいコーヒー固体約8〜10重量%を含むコーヒー・エキスと共にスラリー・タンクの中に入れた。こうして得られたスラリーを、スラリー・ポンプを使用してディスクおよびドーナツ形回収塔の頂部に送った。約20kPa(ゲージ圧)以下の低圧の蒸気を回収塔の底部の中に送った。回収比率は、焙じて粉砕したコーヒーに対して50重量%の蒸気であった。
【0073】
回収塔を出たアロマをつけたガス流を、パックされた精留塔における精留による濃縮にかけた。精留凝縮器において凝縮する液体を収集して、焙じて粉砕したコーヒーを約10重量%含んだものにした。コーヒー・アロマをガラスびんの中に入れて酸素から防いだ。
【0074】
次いで、回収塔から出た回収されたスラリーを、3つの抽出反応器と2つの可溶化反応器とからなる連続抽出システムにおける抽出にかけた。このシステムは、本明細書に参照によって組み込まれている米国特許第5,897,903号に記載されている。3つの抽出反応器はそれぞれ120℃、110℃、110℃で操作される。2つの可溶化反応器は1.75MPaで5分間、および1.75MPaで8分間操作される。抽出システムにおいて使用した水は酸素を分離したもので、不活性ブランクをシステムと共に使用して、酸素が入ることを減らした。
【0075】
得られたエキスを回収エキスと呼ぶ。回収エキスをさらに、蒸発システムを使用して濃縮し、約55重量%の溶けやすいコーヒー固体を含むコーヒー・ベースの濃縮液を提供する。(コーヒー固体に対する重量で)約0.75〜1%の水酸化ナトリウムをコーヒー・ベースの濃縮液に加えた。この量の水酸化ナトリウムは6カ月の期間にわたって酸の形成を中和するのに十分であった。次にコーヒー・ベースの濃縮液をガラスびんの中に入れて、不活性ガス条件の下で保持した。
【0076】
3つの群の試料を貯蔵のために準備した。実験対象標準群のために、コーヒー・ベースの濃縮液を約10%のコーヒー・アロマのレベルでコーヒー・アロマと組み合わせ、−40℃で冷凍した。コーヒー・ベースの濃縮液とコーヒー・アロマを処理工程中に酸素から防護した。
【0077】
従来の技術の処方は、コーヒー・ベースの濃縮液をコーヒー・アロマ約10%レベルでコーヒー・アロマと組み合わせることによって行われ、ガラスびんの中に入れられる。コーヒー・ベースの濃縮液とコーヒー・アロマは、処理中酸素から保護された。
【0078】
例1のために、コーヒー・ベースの濃縮液とコーヒー・アロマとをガラスびんの中に個別に貯蔵した。従来の技術の処方と例1のびんを20℃で6カ月間不活性ガスの下で貯蔵した。
【0079】
貯蔵試験の期間にわたってコーヒー飲料を各試料群から準備し、「対象との相違(differencefrom control)」感覚評価法を用いる審査員団によって評価した。例1の飲料を準備するために、約10重量%のコーヒー・アロマをベース・コーヒー濃縮液に加えた。各貯蔵試料は冷凍された実験の対象標準に比較して評価された。各審査員は、1〜10の得点を与えて相違の度合いを示した。得点が9および10である場合には、これは審査員が貯蔵試料を冷凍された実験の対象標準から相違しているものとして示すことができないことを意味する。得点が6〜8の場合には、冷凍された実験の対象標準からの相違は検出されるが相違は許容できる。得点が6以下の場合には、貯蔵試料と冷凍された実験の対象標準との相違は許容できない。9以下の得点が与えられた場合には、各審査員は次の特性、すなわち濁りの度合い、コーヒー味、焙煎味、スモモ味/糖蜜味、酸味、にがみ、およびこくにおける相違を記載するように求められる。審査員たちはまた、相違を記載するために他の特性を使用することも自由である。評価の後に、審査員団は評価対象の試料のために合意された得点を与える。
【0080】
例1の試料から準備された飲料は試用中の飲料は6〜8の値の得点を得た。6カ月間の貯蔵の後に、相違は(1)より低いコーヒー味、(2)より低い焙煎味、および(3)いくらかの生木のような特徴があった。しかしながら、相違は許容できる。従来の技術の処方で準備された飲料は6以下の値の得点を得て、許容できなかった。
【0081】
例2
例1の処理を繰り返したが、コーヒー・ベースの濃縮液に水酸化ナトリウムを加えるのではなく、回収エキスを膜精留、特に分子量カットオフ3.5Kの膜を使用して超精留にかけ、こうして浸透物の中で約25%のコーヒー固体を除去した。回収されたエキスを精留して処理中のアロマの損失を防止することが好ましい。次いで、濃縮水をさらに蒸発させて、コーヒー・ベースの濃縮液を形成した。コーヒー・ベースの濃縮液とコーヒー・アロマをガラスびんの中に個別に貯蔵した。例2のコーヒー・ベースの濃縮液とコーヒー・アロマから得られた飲料は、試用中に6〜8の値の得点を得た。
【0082】
例3
例1の処理を繰り返したが、コーヒー・ベースの濃縮液に水酸化ナトリウムを加えるのではなく、回収エキスを、DOWEX樹脂を入れたイオン交換塔に通して、pHを(コーヒー固体に対して重量で)1%の水酸化ナトリウムを加えたものと等価の値に上げた。回収エキスを使用して処理中のコーヒー・アロマの傷みを最小限に抑えることが好ましい。処理した回収エキスをさらに蒸発させて、コーヒー・ベースの濃縮液を形成した。コーヒー・ベースの濃縮液とコーヒー・アロマをガラスびんの中に個別に貯蔵した。コーヒー・ベースの濃縮液とコーヒー・アロマから準備された飲料は、試用中に6〜8の値の得点を得た。
【0083】
例4
コーヒー・アロマを冷凍条件下で貯蔵した点を除き、例1の処理を繰り返した。コーヒー・ベースの濃縮液と冷凍貯蔵されたコーヒー・アロマから準備された飲料は、試用中に6〜8の値の得点を得た。
【0084】
例5
例1のコーヒー・ベースの濃縮液とコーヒー・アロマを各々、酵母菌32菌株、糸状菌22菌株、および乳酸菌15菌株を含む微生物混合剤によって接種した。試料を20℃で貯蔵した。微生物の成長は検出されず、すべての有機体は2週間後またはそれ以上の期間の後に生存可能でなくなった。
【0085】
例6
本発明によるパッケージ・アセンブリは2つの区画A、Bを含み、各々は1リットルより僅かに大きな区画容量を有し、各々は直径が約4mmのオリフィスを持つフィットメントが取り付けられている。区画Aには、粘性が約1000cPsと5000cPsの間のコーヒー濃縮液がある。区画Bには約1cPsのコーヒー・アロマ蒸留物がある。この場合、飲料製品におけるコーヒー・アロマに対するコーヒー濃縮液の相対比は約1:1である。
【0086】
例7
本発明による分配装置は、例6のパッケージ・アセンブリ、ならびに連結グランド、デュアル・ヘッド・ポンプ・アセンブリ、混合室、希釈タンプ、および連結チュービングを含む。
【0087】
例8
例7の分配システムによって提供される飲料製品を本発明の方法によって分配できるのは有利である。こうして、2つの成分が約30mL/分の所定の流量で、分配システムの混合室へポンプ送りされ、混合室でこれらは約170mLの温水(約70℃〜90℃の温度)とともに混合されて希釈される。それから、結果として得られた混合物は消費のために分配される。
【0088】
上述の説明は本発明の好ましい実施形態を示したが、本発明の精神および範囲を逸脱することなくさまざまな追加および/または代用を実施形態として行うことができるのは理解されよう。本発明の実施において使用され、また特定の環境および操作上の要件に特に適合する構造、形状、配置、比率、材料、および構成部分の多くの変更を伴って本発明の原理から逸脱することなく本発明を使用できることは、当業者には理解されよう。したがって、ここで開示された実施形態はすべての態様において例示なものであり、限定的なものではないとして考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】好ましい分配システムの各エレメントの概略斜視図と、これらをどのように組み立てるかを示す図である。
【図2】好ましいデュアル・パッケージ・アセンブリと分配システムに連結するための結合エレメントとの概略図である。
【図3】デュアル・パッケージ・アセンブリが成分を入れた内部区画とは異なる外部容器を有する、本発明の別の実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの異なる成分を含む飲料製品を分配するための方法において、
少なくとも2つの異なる成分を、単一パッケージ・アセンブリの別個の区画内に供給して保持するステップであって、前記成分は組み合わせられて飲料を形成することができ、前記区画には、所定の速さで前記各成分が他の区画に対して均一に空になるように、実質的に同時に前記成分を空にするような相対量で前記各成分が含まれているステップと、
少なくとも2つの前記成分を前記パッケージ・アセンブリから引き出して組み合わせ、それらを混合し、あるいは選択的に希釈剤と共にそれらを混合し、それによって消費可能な飲料製品を形成するステップと、
消費者の消費のために前記消費可能飲料製品を分配するステップと
を含む飲料製品の分配方法。
【請求項2】
第1の成分が第1の粘性を有し、第2の成分が第2の粘性を有し、ある粘性を有する希釈剤をこれらの成分と組み合わせ、このとき第1粘性、第2粘性、またはこれらの両方が、希釈剤の粘性の2倍以上である請求項1に記載の飲料製品の分配方法。
【請求項3】
前記希釈剤が水、炭酸水、ミルクまたは非牛乳ミルク製品、これらのいずれかを含む溶液、またはこれらの混合物である請求項2に記載の飲料製品の分配方法。
【請求項4】
前記第1成分が、少なくとも約10重量%の可溶性コーヒー固形体を含むコーヒー・ベース濃縮液であり、前記第2成分がコーヒー・アロマである請求項2に記載の飲料製品の分配方法。
【請求項5】
少なくとも2つの異なる成分を送出するのに適した飲料パッケージ・アセンブリであって、前記各成分は特定の粘性を有し、選択的に付加的な希釈剤と共に飲料を形成する飲料パッケージ・アセンブリにおいて、
少なくとも2つの異なる前記成分を内部に受け入れて貯蔵するための少なくとも2つの別個の区画を有する外部室であって、各区画は、前記成分によって占有された所定の容量を内部に有している外部室と、
前記各区画に取り付けられ、所定のオリフィス・サイズを有しているフィットメントとを含んでおり、
前記区画の占有された容量とフィットメントのオリフィス・サイズは、内部の成分の特定の粘性によって変えられて前記飲料の送出と形成の際に前記成分の適切な流量および所望の比率を提供し、それによって前記区画が実質的に同時に空になることを特徴とする飲料パッケージ・アセンブリ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−50061(P2008−50061A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288984(P2007−288984)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【分割の表示】特願2002−559343(P2002−559343)の分割
【原出願日】平成14年1月22日(2002.1.22)
【出願人】(590002013)ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー (31)
【Fターム(参考)】