説明

飲料用容器

【課題】金属製真空二重構造の容器本体1の開口部11に飲み口部材を装着し、開口部分に差し入れる栓部を備えた蓋体を装着してなる飲料携帯用の容器において、液漏れ防止機能のためのパッキン構造に基づく問題点を解消する。
【解決手段】容器本体1の開口部11に、備えたシリコン樹脂で形成され、開口部上端を被覆する口当て部21と、開口部内周面に密嵌装着できる内環状部22と、内環状部の下方部を内方に窄めた密閉受け部23とを備えた飲み口体2を装着し、内周面に開口部外周面に螺合装着できる外環状部31と、装着時に下面外周縁が前記密閉受け部に食い込む栓部33とを備えた蓋体を被冠装着してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として携帯に適する保温構造を備え、特に飲み口から直接喫飲できる飲料用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯に適する保温機能を備える飲料用容器は、容器本体を金属製の真空二重構造としているもので、所謂マグボトルと称されている。この飲料容器においては、容器本体の上方開口部分を飲み口として直接唇を付けて喫飲する物も知られているが、携帯する飲料が熱い場合に、金属製容器体の開口縁と直接唇が触れると、金属製容器体も熱くなっており、喫飲し難いので、従前より容器本体の開口部に樹脂製の飲み口部を備えた部材を付設することが提案されている。
【0003】
具体的には、特許文献1(特開2009−67409号公報図5)には、金属製の容器本体の開口部の外周面に螺合装着する外環状部と、開口部上端を覆う飲み口部と、開口部内周面に位置する内環状部を一体に形成した環状体と、環状体の内周面に螺合装着する蓋体で構成されている飲料用容器の飲み口構造が開示されている。
【0004】
また特許文献2(意匠登録第1386767号公報断面図)には、金属製容器体の開口部上縁を覆う飲み口部と内環状部を備えた環状体と、開口部の外周面に螺合装着すると共に開口部を閉塞する蓋体で構成されている飲料用容器の飲み口構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−67409号公報図5。
【特許文献2】意匠登録第1386767号公報断面図。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のような飲み口部を備える環状体と蓋体の組み合わせで、金属製容器本体を備えた飲料用容器の飲み口構造においては、当然容器本体内の飲料が漏れ出ないように、密封構造(パッキン構造)が採用されている。
【0007】
例えば前記特許文献1に開示されている飲み口構造においては、環状体の内環状部と容器本体の間と、蓋体における内環状部の内周面と対面する個所に、各々パッキンを装着している。
【0008】
また特許文献2記載に開示されている飲み口構造においては、環状体の内環状部と容器本体の間と、蓋体における容器本体の開口部内周面と対面する個所に、各々パッキンを装着している。
【0009】
このようにパッキンを装着する場合には、輪状のパッキンが外れないように装着個所は適宜な凹所形状に形成する必要があり、環状体や蓋体の当該個所の製造が煩雑であり、清潔に保つためには、パッキンを取り外して洗浄するため煩瑣であり、また取り外したパッキンの装着忘れによる液漏れ等の虞もある。
【0010】
そこで本発明は、パッキンを不要とする新規な飲み口構造を備えた飲料用容器を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る飲料用容器は、金属製真空二重構造で形成された容器本体の開口部に、適宜な柔軟性を備えた弾性材料で形成され、開口部上端を被覆する口当て部と、開口部内周面に密嵌装着できる内環状部と、内環状部の下方部を内方に窄めた密閉受け部とを備えた飲み口体を装着し、内周面に開口部外周面に螺合装着できる外環状部と、装着時に下面外周縁が前記密閉受け部に食い込む栓部とを備えた蓋体を被冠装着してなることを特徴とするものである。
【0012】
従って樹脂製の飲み口体を容器本体開口部に装着することで、容器本体内の飲料を喫飲する際に、唇は飲み口体の口当て部と接触することになり、従前容器と同様に直飲用として金属製容器本体を採用することによる不都合を解消すると共に、特に飲み口体を適度の柔軟性を有する弾性材料で形成し、開口部内周面に密嵌することで、開口部と飲み口体との当接面が密着して、当該当接面からの液漏れが防止され、また内環状部の下方部を内方に窄めた密閉受け部に形成し、蓋体を被冠装着した際に、栓部の下面外周が前記密閉受け部に食い込んで、飲み口体と蓋体(栓部)との間からの液漏れが防止される。
【0013】
また本発明(請求項2)に係る飲料用容器は、前記の容器において、特に容器本体の開口部下方を窄め形状とした支持突部を形成し、当該支持突部上に密閉受け部が配置されてなるもので、栓部の下圧に対して密閉受け部を支持突部で支持することになるので、密閉受け部が栓部の下圧で下降することなく、確りと栓部を受け止めるので、液漏れが確実に防止される。
【0014】
更に本発明(請求項3)に係る飲料用容器は、前記の容器において、特に蓋体の栓部の下面外周縁を突縁に形成してなるもので、突縁が密閉受け部に食い込むことで、液漏れが更に確実に防止される。
【0015】
また本発明(請求項4)に係る飲料用容器は、前記の容器において、特に容器本体の開口部内周面に凹条部を形成すると共に、飲み口体外周面に前記凹条部に対応する突条を設けてなるもので、飲み口体を容器本体の開口部に嵌合装着した際に、突条が凹条部に入り込んで密着するので、飲み口体の装着が確りと為される(上方の離脱が防止される)と共に、飲み口体と開口部との当接部からの液漏れをより確実に防止する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成は上記の通りで、口当て部を備えた飲み口体を適度な弾性を有するシリコン樹脂で形成すると共に、下方内周を窄めて密閉受け部とし、蓋体に設けた栓部で密閉受け部を押圧して開口部を閉塞するようにしたもので、従前の口当て部を備えた環状体を備えた飲料容器と異なり、栓部等にパッキンを組み込む必要がなく、この結果パッキンを組み込むための複雑な栓構造も必要なく、洗浄に際しても面倒なパッキン着脱作業を要することがない便利な口当て部を備えた飲料用容器を提供できたものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の要部の分解斜視図。
【図2】同一部省略した全体断面図。
【図3】同一部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明の実施形態について説明する。実施形態に示した飲料用容器は、容器本体1と、容器本体1に一体に装着される飲み口体2と、着脱操作を行う蓋体3で構成される。
【0019】
容器本体1は、従前の保温携帯飲料容器と同様に金属製真空二重構造で、縦長の円筒形状の容器であり、上方に開口部11を形成してなるもので、特に開口部外周面には、蓋体3を螺合装着する螺条部12を設け、開口部11の内周下方部分には、上方の開口個所より窄めて支持突部13を形成し、更に開口部内周面には、凹条部14を形成してなる。
【0020】
飲み口体2は、シリコン樹脂等の適度な弾性を備えた弾性材料で形成したもので、開口部上端を内外周面と共に被覆し、且つ喫飲に不都合が無いような上方突縁形状とした口当て部21と、開口部内周面に密嵌装着できる内環状部22と、内環状部の下方部を内方に窄め、支持突部13と対応する密閉受け部23とを備えたもので、また前記凹条部14と対応する突条24を内環状部22の外周面に設けてなる。
【0021】
蓋体3は、容器本体1の上方から被冠する逆容器形状にして、外環状部31の内周面に開口部外周面の螺条部12に螺合できる内側螺条32を設け、蓋体3の装着時に飲み口体に差し入れられる栓部33を設けてなるもので、特に栓部33は、その下面外周縁に一周する突縁34を設けたものである。
【0022】
而して容器本体1の開口部11に飲み口体2を圧入して嵌合装着すると、飲み口体2がシリコン樹脂のような適度の柔軟性を有する弾性材料で形成されており、飲み口体2の内環状部22が開口部11の内周面に密着すると共に、外周面の突条24が凹条部14に嵌り込み、抜け止め状態となり、飲み口体2が容器本体1と一体化する。
【0023】
従って飲み口体2は、容器本体1の開口部11の上端を、喫飲に適する口当て部21で被覆しているので、飲料が熱い場合でも支障なく喫飲できるものであり、且つ飲み口体2が開口部11の内周面に密着しているものであるから、開口部11と飲み口体2との当接面からの液漏れが防止され、喫飲時の液だれも生じない。
【0024】
また蓋体3は、容器本体1に装着した飲み口体2の上方から被冠して装着するもので、容器本体1の螺条部12に内側螺条32を螺合し、栓部33を飲み口体2の内方に差し入れると、栓部33の下面外周縁に設けた突縁34が、内方に絞り込まれている密閉受け部23に当接し、更に蓋体3の螺合装着を進めると、突縁34が密閉受け部23に食い込むことになる。
【0025】
特に密閉受け部23が、容器本体1の支持突部13で支えられることになるので、栓部33の下圧に対して確りと受け止めることになり、突縁34が樹脂製である密閉受け部23に確実に食い込み、当該箇所の水封が実現し、充分な栓機能が発揮されるものである。
【0026】
従って前記の飲料用容器は、パッキン構造を備えることなく、液漏れを確実に防止することになり、パッキン構造を採用した際の問題点を解消したものである。
【符号の説明】
【0027】
1 容器本体
11 開口部
12 螺条部
13 支持突部
14 凹条部
2 飲み口体
21 口当て部
22 内環状部
23 密閉受け部
24 突条
3 蓋体
31 外環状部
32 内側螺条
33 栓部
34 突縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製真空二重構造で形成された容器本体の開口部に、適宜な柔軟性を備えた弾性材料で形成され、開口部上端を被覆する口当て部と、開口部内周面に密嵌装着できる内環状部と、内環状部の下方部を内方に窄めた密閉受け部とを備えた飲み口体を装着し、内周面に開口部外周面に螺合装着できる外環状部と、装着時に下面外周縁が前記密閉受け部に食い込む栓部とを備えた蓋体を被冠装着してなることを特徴とする飲料用容器。
【請求項2】
容器本体の開口部下方を窄め形状として支持突部を形成し、当該支持突部上に密閉受け部が配置されてなる請求項1記載の飲料用容器。
【請求項3】
蓋体の栓部の下面外周縁を突縁に形成してなる請求項1又は2記載の飲料用容器。
【請求項4】
容器本体の開口部内周面に凹条部を形成すると共に、飲み口体外周面に前記凹条部に対応する突条を設けてなる請求項1乃至3記載の何れかの飲料用容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−206751(P2012−206751A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73980(P2011−73980)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000111867)パール金属株式会社 (15)
【Fターム(参考)】