説明

飲料用顆粒とその製造方法

【課題】カップ飲料自動販売機の原料供給装置でのブリッジ現象を解消して、スクリュによる定量供給ができ、ケールの各種栄養価に加えて、黒糖のミネラルおよびビタミン等の栄養価を摂取することができ、さらには、黒糖の甘味によりケールの苦味を抑制して、所謂青汁として飲用しやすくなる飲料用顆粒の製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】空気中で攪拌しているケール微粉末2に対して、黒糖の溶解液を吹付けu8、顆粒状3になすことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カップ飲料自動販売機の原料として用いられるような飲料用顆粒とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アブラナ科の植物である緑黄色野菜のケールは、ビタミンE,A,B1,B2,鉄,カリウム,リン,カルシウム等の栄養素の他に繊維、食物繊維を豊富に含み身体に有用なことが知られている。
【0003】
そこで、上述のケールの微粉末をカップ飲料自動販売機の原料として用い、所謂青汁として飲用する場合、カップ飲料自動販売機の原料供給装置のスクリュでケール微粉末を押出して、カップに供給するが、ケールとして微粉末状のものを用いると、スクリュによる押出し時に、微粉末の架橋現象(bridge formation,いわゆるブリッジ)が発生し、スクリュの周囲に微末がブリッジし、スクリュのみが回転するという不具合が生じ、カップに対する原料の定量供給が困難となる問題点があった。
【0004】
上述のブリッジ現象を解消するためには、微粉末を顆粒状に成すことが考られる。そこで、本出願人は、ケール粉末を、水、デキストリン(dextrin,デンプンを加水分解し、マルトースまたはデキストロースに至る中間段階生成物の総称)で粒状と成したものを製造し、カップ飲料自動販売機の原料供給装置にて該粒状物を押出すことを試みたが、望ましい結果が得られなかった。
また、上述のデキストリンは糊剤として用いられる単なる添加剤であり、味も栄養価もなく、飲用としては好ましくないものである。
【0005】
一方、特許文献1には、ケール粉末と、難消化性デキストリンとを含有する健康食品が開示されているが、この特許文献1にはカップ飲料自動販売機における原料の定量供給を意図する技術思想は全く開示されていない。
【0006】
【特許文献1】特開2004−298199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、黒糖の溶解液にてケール微粉末を顆粒状に成すことにより、カップ飲料自動販売機の原料供給装置でのブリッジ現象を解消して、スクリュによる定量供給ができ、ケールの各種栄養価に加えて、黒糖のミネラルおよびビタミン等の栄養価を摂取することができ、さらには、黒糖の甘味によりケールの苦味を抑制して、所謂青汁として飲用しやすくなる飲料用顆粒とその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による飲料用顆粒の製造方法は、空気中で攪拌しているケール微粉末に対して、黒糖の溶解液を吹付けて顆粒状になすことを特徴とするものである。
上記構成によれば、ケール微粉末に黒糖の溶解液を吹付けて、顆粒状と成したので、カップ飲料自動販売機の原料供給装置でのブリッジ現象を解消することができ、同装置内のスクリュによる定量供給ができる。
【0009】
また、ケールの各種の栄養価に加えて、注水、注湯時に水に溶ける黒糖のミネラルおよびビタミン等の栄養価を摂取することができる。
因に、黒糖はその100g当たり次の成分を有する。タンパク質1.7g,炭水化物89.7g,灰分3.6g,ナトリウム27mg,カリウム1100mg,カルシウム240mg,マグネシウム31mg,リン31mg,鉄4.7mg,亜鉛0.5mg,銅0.24mg,ビタミンB0.05mg,ビタミンB0.07mg,ナイアシン0.8mg,ビタミンB0.72mg,葉酸10μg,パントテン酸1.38mgであり、エネルギは354Kcalである。
さらに、黒糖の甘味によりケールの苦味を抑制することができるので、飲用しやすくなり、飲料用としてのレベルアップを図ることができる。
【0010】
この発明による飲料用顆粒は、黒糖の溶解液を結合剤として黒糖粒子の表面にケール微粉末を付着させて顆粒状に形成したことを特徴とするものである。
上記構成によれば、黒糖粒子の表面にケール微粉末を付着させて顆粒状に形成したので、カップ飲料自動販売機の原料供給装置での架橋現象を回避することができ、そのスクリュによる定量供給を行なうことができる。
【0011】
また、ケールの高い栄養価と併せて、水に溶ける黒糖のミネラル(ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム,リン,鉄,亜鉛,銅)およびビタミンB,B,B,ナイアシン等の栄養価を摂取することができる。
さらに、黒糖の甘味により、ケールの苦味を抑えて、飲用しやすくなるうえ、カップに水、湯等を注入した時、黒糖が水に溶けて、ケールの微粉末が浮遊するので、望ましい色合いを確保することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、黒糖の溶解液にてケール微粉末を顆粒状に成したので、カップ飲料自動販売機の原料供給装置でのブリッジ現象を解消して、スクリュによる定量供給ができ、ケールの栄養価に加えて、黒糖のミネラルおよびビタミン等の栄養価を摂取することができ、さらには、黒糖の甘味によりケールの苦味を抑制して、飲用しやすくなる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ブリッジ現象を解消して、スクリュによる定量供給ができ、ケール成分に加えて、黒糖のミネラル、ビタミン等の成分を得るという目的を、空気中で攪拌しているケール微粉末に対して、黒糖の溶解液を吹付けて顆粒状になすという構成にて実現した。
【実施例】
【0014】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は飲料用顆粒とその製造方法を、製造工程の順に示し、図1において、農薬、化学肥料を一切用いない有機栽培で得られたケール1の生葉を準備する(準備工程)。
【0015】
上述のケール2の生葉は、洗浄工程u1において、水、または水に対して殺菌剤としてのクエン酸を加えた溶液を用いて洗浄処理される。次にスライス工程u2で、洗浄後のケール2の生葉をスライス装置を用いてにて細切れに切断(スライス)した後に、殺菌工程u3で殺菌処理を施す。
【0016】
次に一次乾燥工程u4で、スライスおよび殺菌されたケール片を予備乾燥室(図示せず)に入れて、約40〜50℃の温度の乾燥風にて一次乾燥させる。この一次乾燥の後に荒粉砕工程u5で、ケール片を所定の大きさに荒粉砕した後に、次の遠赤外線乾燥工程u6で、一次乾燥および荒粉砕後のケールを、遠赤外線乾燥室(図示せず)に入れて、遠赤外線(波長が50μm〜1mmの範囲の電磁波)をムラなく照射し、均一に乾燥処理すると共に、遠赤活性化を図り、かつ乾燥処理により水分を除去し、残りの水分を約3.5〜4.0wt%にする。
【0017】
この遠赤外線乾燥により荒粉砕されたケールはその栄養素を何等損なうことなく乾燥処理される。次に粉砕工程u7で、遠赤乾燥後のケールを、粉砕機にて約1〜80μmの微粉末に粉砕して、ケール微粉末2を得る。
ケール微粉末2はその100g中に次の各成分を有するものである。
【0018】
タンパク質24.1g,脂質4.7g,糖質19.3g,繊維9.2g,食物繊維30.6g,灰分18.1g,ナトリウム474mg,カルシウム2.32g,リン444mg,鉄6.05mg,カリウム5.2g,マグネシウム500mg,亜鉛2.96mg,総カロチン33.6mg,ビタミンA効力18700IU,β−カロチン33.6mg,ビタミンB0.41mg,ビタミンB1.54mg,総ビタミンC437mg,総ビタミンE14.9mg,ビタミンU16.0mg,γ−アミノ酪酸304mg,葉酸0.88g,スーパーオキシド消去活性2.7×10/g,水分3.2gで、エネルギは216Kcalである。
【0019】
また、ケール微粉末2を1〜80μmとすることで、飲用時に喉にひっかかることなく、適切な飲用性を確保することができる。
【0020】
次に、顆粒化工程u8で、ケール微粉末2を送風手段としてのブロアからの起風により空気中で攪拌させながら、この攪拌しているケール微粉末2に対して、黒糖の溶解液をスプレーにて霧状にして均一に吹付ける。溶解液を霧状と成すことで製品歩留りの向上を図ることができる。
【0021】
このケール微粉末2に対する黒糖溶解液の吹付け処理により、該黒糖の溶解液を結合剤として、黒糖粒子の表面に多数のケール微粉末2を付着させ、定量供給性を考慮して、その粒径が約0.1〜1.0mmの顆粒状と成して、飲料用顆粒3を得る。
【0022】
ここで、上述の黒糖としては消石灰による処理を施していないものを用いると、飲用時の美味を増すことができる。また、ケール微粉末2と黒糖との割合は、ケール微粉末2が90〜97wt%、残部が黒糖であることが望ましく、顆粒化された製品の含水量は3wt%、または、それ以下が望ましい。
【0023】
つまり、顆粒化された製品の含水量が3wt%を超過する場合には、べとつくので、保存性能および定量供給性が阻害される。また、ケール微粉末2の割合が97wt%を超過すると顆粒化が阻害され、逆に、ケール微粉末2の割合が90wt%よりも過少な場合には、飲用時にケール本来の栄養価の摂取量が低下するので、上記90〜97wt%の範囲内に設定するものである。
【0024】
このようにして製造された飲料用顆粒3を、カップ飲料自動販売機の原料供給装置に投入し、そのスクリュによる押出しを実験した結果、ブリッジ現象がなく、スクリュによる定量供給ができた。
【0025】
また、上記黒糖は、含蜜糖のうちの1つであって、結晶母液つまり糖蜜を分離することなく、固結させ、粉砕したものであって、この黒糖を水で溶かした溶解液を結合剤としているので、飲用時には黒糖が水に溶けて、この黒糖の甘味により、ケールの苦味や臭味を抑えて、飲用しやすいものとなった。
【0026】
以上詳述したように、上記実施例の飲料用顆粒の製造方法は、空気中で攪拌しているケール微粉末2に対して、工程u8で、黒糖の溶解液を霧状にして吹付けて顆粒状になすものである。
【0027】
この構成によれば、ケール微粉末2に黒糖の溶解液を吹付けて、約0.1〜1.0mmの顆粒状と成したので、カップ飲料自動販売機の原料供給装置でのブリッジ現象を解消することができ、同装置内のスクリュによる定量供給ができる。
また、ケールの各種の栄養価に加えて、注水、注湯時に水に溶ける黒糖のミネラルおよびビタミン等の栄養価を摂取することができる。
【0028】
ここで、黒糖はその100g当たり次の成分を有する。タンパク質1.7g,炭水化物89.7g,灰分3.6g,ナトリウム27mg,カリウム1100mg,カルシウム240mg,マグネシウム31mg,リン31mg,鉄4.7mg,亜鉛0.5mg,銅0.24mg,ビタミンB0.05mg,ビタミンB0.07mg,ナイアシン0.8mg,ビタミンB0.72mg,葉酸10μg,パントテン酸1.38mgであり、エネルギは354Kcalである。
【0029】
さらに、黒糖の甘味によりケールの苦味を抑制することができるので、飲用しやすくなり、飲料用としてのレベルアップを図ることができ、またエネルギ源にもなる。
また、上記実施例の飲料用顆粒は、黒糖の溶解液を結合剤として黒糖粒子の表面にケール微粉末2を付着させて顆粒状に形成したものである(飲料用顆粒3参照)。
【0030】
この構成によれば、黒糖粒子の表面にケール微粉末2を付着させて顆粒状に形成したので、カップ飲料自動販売機の原料供給装置での架橋現象を回避することができ、そのスクリュによる定量供給を行なうことができる。
【0031】
また、ケールの高い栄養価と併せて、水に溶ける黒糖のミネラル(ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム,リン,鉄,亜鉛,銅)およびビタミンB1,B2,B6,ナイアシン等の栄養価を摂取することができる。
さらに、黒糖の甘味により、ケールの苦味を抑えて、飲用しやすくなるうえ、カップに水、湯等を注入した時、黒糖が水に溶けて、ケールの微粉末2が浮遊するので、望ましい色合いを確保することができる。
【0032】
なお、上記実施例で開示したように、ケール微粉末2の大きさは1〜80μmが望ましく、飲料用顆粒3の粒径は約0.1〜1.0mmが望ましく、ケール微粉末2と黒糖との割合は、ケール微粉末2が90〜97wt%で、残部が黒糖であることが望ましく、さらに、顆粒化された製品の含水量は3wt%、または、それ以上が望ましく、さらには、黒糖溶解液は霧状に成して均一に吹付けることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の飲料用顆粒とその製造方法を示す工程図。
【符号の説明】
【0034】
2…ケール微粉末
3…飲料用顆粒
u8…顆粒化工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中で攪拌しているケール微粉末に対して、黒糖の溶解液を吹付けて顆粒状になすことを特徴とする
飲料用顆粒の製造方法。
【請求項2】
黒糖の溶解液を結合剤として黒糖粒子の表面にケール微粉末を付着させて顆粒状に形成したことを特徴とする
飲料用顆粒。

【図1】
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