飲料調整マシン
本発明は、飲料調整マシンを用いた飲料調整方法の改良に関し、とりわけ飲料原材料の包装された容器(100)を利用するタイプの飲料調整マシン(10)に関する。この方法は、調整される飲料の予定された特性を得るために、飲料調整マシンの搬送システムの少なくとも一部の内部に含まれる空気の容量を制御するステップを有することを特徴とするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料調整マシンに関し、飲料原材料が包装された容器を利用するタイプの飲料調整マシンに関する。
【背景技術】
【0002】
17世紀以来、喫茶店(コーヒーハウス)は「コーヒー文化」の一部となっている。近年、コーヒーの製造方法は洗練され、熟練した者により最良のコーヒー飲料が提供されるようになっている。1800年初頭に最初のコーヒーマシン(コーヒー製造装置)が開発され、1830年代に自動エスプレッソマシンが発明された。その後、最近10年間は特に、コーヒー製造プロセスの自動化により、コーヒーハウス/コーヒーショップの数が急速に拡大し、エスプレッソやカプチーノなどのより専門的な飲料の需要が増大している。こうしたタイプの飲料は、良質のものを作る上で必要な高い圧力を生成できる高価で複雑な装置を必要とし、その装置が熟練したバリスタ(エスプレッソコーヒーをつくる専門職人)が適正に操作し、維持管理しなければならなかったことから、歴史的には贅沢品と考えられてきた。コーヒー愛好家は、優秀なマシンおよび良質のコーヒーを用いても、オペレータが未熟であると、エスプレッソを不味くしてしまうということに同意する。こうした潮流は、贅沢な最高品質の飲料に対する消費者の需要を喚起するだけでなく、より幅広い専門的な飲料に対する需要を増大し、さらに、こうした飲料を自らの家庭で作れるようにしたいという要求を増大させるものである。
【0003】
承認された技術的定義は存在しないが、ドリップ式コーヒーと比較して、バリスタ品質のエスプレッソは、飲料により多くの溶解固形物が含まれ、繊細な油摘成分が懸濁するため、より深い味わいを有するものと、一般に理解されている。その味わいは、飲料の10〜30%を構成する、口当たりがよく、しかも芳醇な濃赤褐色のクレマ(エスプレッソの液面に浮かぶきめ細かい泡)によるものである。クレマは、従前より9〜10バールとされる高温で生成されたコーヒーから抽出された空気、油分、蛋白質、および砂糖からなる多相の乳濁液である。圧力を上げると、コーヒーの濡れ性を増大させ、抽出度を改善するとともに、クレマが形成されやすくなる。
【0004】
舌が肥えているエスプレッソの愛好家によれば、最適温度より低い温度の水で作ったエスプレッソは酸味があり、最適温度より高い温度の水で作ったものは苦味があると云われている。最適温度とは92℃〜96℃の範囲内である。エスプレッソの品質に影響を与える他の要因として、コーヒー豆の焙煎および時間経過、挽いたときの粒径、コーヒーを入れる(醸造)前の圧縮度、および醸造時間が挙げられる。「最良の」エスプレッソは、醸造過程におけるこれらの主たる要因の調和を図ることにより実現される。
【0005】
家庭用コーヒーマシンは、最初のフィルタ式マシンが1960年代に発明されて以来、実質的な発展を遂げ、今や数多くの家庭における台所必需品となっている。こうしたマシンは、飲料原材料の大容量の供給源、またはポッド、パッド、カートリッジなどの飲料原材料の個別パッケージから取り出して、そのつど飲料を飲料容器に直接的に注ぐものである。以下において、こうしたパッケージは一般的な用語であるカートーリッジとして説明する。こうした洗浄する必要がないカートリッジを用いるマシンによれば、ユーザは、飲料を選択することができる。このようなカートリッジの1つの具体例が欧州特許出願公開第1440903号に記載されている。飲料は、飲料原材料を水に溶かし、懸濁させ、撹拌し、そして醸造することにより作製される。たとえばコーヒー飲料の場合、抽出溶液を作製するために、カートリッジに高温の水を通過させる。このようなマシンにおいて、カートリッジを用いることは、便利であり、作られた飲料の品質が良好であることから、ますます一般的なものとなっている。
【0006】
このようなタイプのカートリッジを用いた飲料調整マシンの具体例が欧州特許出願公開第1440644号に記載されている。このタイプのマシンは、中でも、家庭用ではなく、商業的または産業的なマーケットのために設計された当時の先行技術より低い圧力で操作される点において改善が見られた。したがって、家庭用マーケットのものとしては、費用、信頼性、および性能の点において、より適正なものであった。しかし、低い圧力で作動するマシンが直面する課題は、実質的に高い圧力を必要とせず、バリスタ品質のエスプレッソを提供することはできないという点にあった。
【0007】
しかしながら、消費者の需要の流れが変化したことに伴い、家庭用マシンであっても、熟練を要せず、手頃な価格であり、洗浄の必要性がほとんど、あるいは全くなく、バリスタ品質のエスプレッソを提供し、かつさまざまな他の飲料を提供するものに対する要請がある。
【0008】
より高品質の飲料を提供するというマーケットの要請に応える市販のマシンがいくつかあるが、さまざまな理由により、これらのマシンは比較的に高価なものである。こうしたマシンの具体例として、Gaggia L'Amante(登録商標)、Gaggia Evolution(登録商標)、Nespresso Delonghi Latissimma 660(登録商標)、およびKrups XN2101(登録商標)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1440903号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1440644号
【発明の概要】
【0010】
これらのマシンのほとんどは、構成が複雑な専用のカートリッジを必要とし、エスプレッソのブリュー過程で生じる高い圧力に耐え得るように特別の仕様を要するものである。これらのカートリッジは、一般に、フィルタを採用し、高い圧力下で飲料の所望の品質が得られるような形態を有するカートリッジを用いる。これは、マシンのために設計されたカートリッジの使用に制約を与えるものである。
【0011】
しかし、プレミアム品質のエスプレッソやエスプレッソ以外の飲料を選択可能で、好適には予め包装された飲料カートリッジを用いた飲料調整マシンに改良を加えることが望まれている。このマシンは、通常のブリュー装置(醸造装置)や他の非カートリッジ式マシンであってもよい。
【0012】
既存の低圧の飲料調整マシンで利用される、欧州特許出願公開第1440903号に記載された既存のカートリッジと互換性を有するマシンを提供することが望まれている。
【0013】
したがって本発明は、飲料調整マシンを用いて、1つまたはそれ以上の飲料原材料から飲料を調整する方法を提供するものであり、その方法は、調整される飲料の予定された特性を得るために、飲料調整マシンの搬送システムの少なくとも一部の内部に含まれる空気の容量を制御するステップを有することを特徴とするものである。
【0014】
調整される飲料において、液体に対する空気の比率を増大させるように空気の容量を増大させ、液体に対する空気の比率を低減させるように空気の容量を低減させ、あるいは空気の容量を維持することにより、ガスの容量を能動的に制御することが好ましい。
【0015】
搬送システムに追加的なガスを導入し、搬送システムから空気を排出し、そして/または搬送システムを浄化することにより、搬送システム内のガスの容量を制御することが好ましい。
【0016】
この方法は、好適には、搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を測定するステップを含む。
【0017】
搬送システムの内部に含まれるガスの実際の容量は、飲料調整マシンが最後に行った飲料調整の後に搬送システムの内部に残存するガスの容量に関する記憶されたパラメータから計算してもよい。
【0018】
空気の容量の制御は、飲料を調整する毎に行い、調整される飲料の種別に応じて自動的に行うことが好ましい。
【0019】
択一的には、ガスの容量の制御を手動で行う。
【0020】
飲料原材料の上流側または下流側にあるガスの容量を制御してもよい。
【0021】
飲料調整前および/または飲料調整中に搬送システム内のバルブ手段を選択的に開閉することにより、ガスの容量を制御することが好ましい。
【0022】
本発明は、1つまたはそれ以上の飲料原材料から飲料を調整する飲料調整マシンを提供するものであり、このマシンは、調整される飲料の予定された特性を得るために、飲料調整マシンの搬送システムの少なくとも一部の内部に含まれるガスの容量を制御する手段を有することを特徴とするものである。
【0023】
このマシンは、搬送システムの内部に含まれるガスの実際の容量を決定する手段を有することが好ましい。
【0024】
搬送システムの内部に含まれるガスの実際の容量を決定する手段は、飲料調整マシンが最後に行った飲料調整の後に搬送システムの内部に残存するガスの容量に関する記憶されたパラメータから、搬送システムの内部に含まれるガスの実際の容量を計算する手段を有していてもよい。
【0025】
好適には、記憶されたパラメータは、制御手段に記憶された基本容量パラメータを含み、基本容量パラメータは、未使用の飲料調整マシンまたは浄化サイクルが完了した飲料調整マシンの搬送システムの内部に含まれるガスの実際の容量である。
【0026】
記憶されたパラメータは、飲料調整マシンが調整するようにプログラムされた各種別の飲料を調整した後に、搬送システムの内部に残存するガスの実際の容量に関連するパラメータを含むものであってもよい。
【0027】
搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を決定する手段は、搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を測定する手段を含むことが好ましい。
【0028】
好適には、予定された範囲の飲料を調整するために搬送システムの内部に含まれる必要のある空気の予定された容量に関連するパラメータは制御手段に記憶され、制御手段は、飲料を調整するために必要な予定された容量と実際に含まれる容量との差異を計算するようにプログラムされている。
【0029】
ガスの実際の容量を制御する手段は、搬送システムから空気を排出するバルブ手段および/または浄化手段、および/または搬送システムの内部に追加的な空気を注入する手段を有するものであってもよい。
【0030】
好適には、バルブ手段は、飲料原材料の上流側および/または下流側にある出口バルブを有する。
【0031】
搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を変化させるために、飲料調整サイクルに関連してバルブ手段の操作を制御することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】従来式の飲料調整マシンの正面斜視図であって、カートリッジヘッドが閉口状態にあるときを示す。
【図2】図1の飲料調整マシンの正面斜視図であって、カートリッジヘッドが開口状態にあるときを示す。
【図3】図1の飲料調整マシンの背面斜視図であって、分かりやすくするためにいくつかの構成部品が省略されている。
【図4】図1の飲料調整マシンのカートリッジヘッドの正面斜視図であって、分かりやすくするためにいくつかの構成部品が省略されている。
【図5】図4のカートリッジヘッドの別の正面斜視図であって、分かりやすくするためにいくつかの構成部品が省略されている。
【図6】図4のカートリッジヘッドの側面断面図であって、飲料カートリッジを収容した閉口状態にあるときを示す。
【図7】図4のカートリッジヘッドの側面断面図であって、飲料カートリッジを収容した開口状態にあるときを示す。
【図7a】図4のカートリッジヘッドのためのゴムシールの平面図である。
【図8】新規な可変出口バルブを採用した図1の飲料調整マシンのさまざまな構成部品を示す概略図である。
【図9】図8の可変出口バルブを採用したカートリッジヘッドからの流れを概略的に示す断面図である。
【図10】図9の流出フローにおける可変バルブの1つの実施形態を示す正面断面図であって、閉口状態にあるときを示す。
【図11】図9の流出フローにおける可変バルブの1つの実施形態を示す正面断面図であって、開口状態にあるときを示す。
【図12】図9の流出フローにおける可変バルブの1つの実施形態を示す正面断面図であって、制限状態にあるときを示す。
【図13a】図9の流出フローで可変用いられる、択一的な可変出口バルブの正面端部断面図であって、開口状態にあるときを示す。
【図13b】図9の流出フローで可変用いられる、択一的な可変出口バルブの正面端部断面図であって、閉口状態にあるときを示す。
【図14】図13aのバルブの側面断面図である。
【図15】図13bのバルブの側面断面図である。
【図16a】改良されたガス制御システムを用いて得られた多量のクレマを含むコーヒー飲料を収容する飲料容器の側面断面図である。
【図16b】図16aに示す飲料を得る際に用いられたブリュー・パラメータを示す表である。
【図17a】改良されたガス制御システムを用いて得られた少量のクレマを含むコーヒー飲料を収容する飲料容器の側面断面図である。
【図17b】図17aに示す飲料を得る際に用いられたブリュー・パラメータを示す表である。
【図18】図1の飲料調整マシンで用いられるのに適した飲料カートリッジの平面図である。
【図19】図18の飲料カートリッジの外側部品の側面断面図である。
【図20】図19の外側部品の拡大側面断面図であって、内側に延びる円筒状拡張部を示す。
【図21】図19の外側部品の拡大側面断面図であって、スロットを示す。
【図22】図19の外側部品を上から見た斜視図である。
【図23】図19の外側部品を反対方向から見た斜視図である。
【図24】図19の外側部品を上から見た平面図である。
【図25】飲料カートリッジの内側部品の断面図である。
【図25a】図25の内側部品の拡大断面図であって、開口部を示す。
【図26】図25の内側部品を上から見た斜視図である。
【図27】図25の内側部品を反対方向から見た斜視図である。
【図28】図25の内側部品の別の断面図である。
【図28a】図25の内側部品の別の拡大断面図であって、空気インレットを示す。
【図29】組み立てられた状態にあるカートリッジの正面断面図である。
【図30】別の態様に係るカートリッジの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について、単なる具体例として以下説明する。
本発明は、異なる特性を有するさまざまなタイプの高品質飲料から所望のものを選択して提供できるように、これまでの飲料調整マシンに1つまたはそれ以上の実質的な改良点を加えるものである。これらの改良点は、高品質のエスプレッソを淹れる(作る)ために加圧維持すべき十分に高い圧力を実現し、ユーザの目には見えない圧力を変化させ、手作業による介在を必要としないものとすることである。さらに本発明は、従前実現されなかった点を改善することができる。
【0034】
これらの改善点について、以下詳細に説明する。
1.飲料カートリッジの下流側に調節可能な形態を有するバルブを配設することにより、飲料調整マシンを所定の範囲の圧力で作動させることができる。
2.飲料原材料の中を通過させるガスの量を制御することにより、提供される飲料、とりわけクレマを含む特定の飲料の最終的な様相をより緻密に制御することができる。
【0035】
上述の改善点について、添付図面の図1〜図7に示す既知の飲料調整マシン10を参照しながら説明する。ただし、こうした改善点は、上述のポッドやパッド、硬いまたはやや硬いカートリッジなどを含むさまざまなカートリッジを用いることができる広範な飲料調整マシンにおいて応用することができる。
【0036】
図1〜図3の飲料調整マシン10は、ハウジング11、タンク12、温水ヒータ13、制御プロセッサ(図示せず)、ユーザインターフェイス16、およびカートリッジヘッド17を有する。一般に、カートリッジヘッド17は、使用の際、飲料カートリッジ100およびカートリッジ認識手段20を保持するためのカートリッジホルダ18を有する。カートリッジヘッド17は、使用の際、飲料カートリッジ100に液体を注入するための入口107を穿つための入口穿孔部21と、飲料カートリッジ100から調整された飲料を取り出すための出口穿孔部22とを有する。
【0037】
たとえばコーヒーなどの飲料を点てる(調整する)ために一般に用いられる液体は水であるが、このマシン10は、飲料原材料200と撹拌するミルクまたはミルク調整品などを用いることができる。本明細書において水として説明するものは、飲料を調整するために用いられる任意の液体を含み得るものと理解されたい。
【0038】
ハウジング11の全体または一部は、適当なプラスティックまたは金属で形成されていることが好ましい。ハウジング11は、好適には、組み立て時、マシン10の構成部品を取り付けるためにアクセスできるように、前側半分25と後側半分26とを含む貝殻状構成を有する。
【0039】
ハウジング11の前側半分25は、飲料が提供されるディスペンス・ステーション27を形成し、ディスペンス・ステーションは下方に配置されたドリップトレイを含むカップスタンド23を有する。マシンのユーザインターフェイス16は、ハウジング11の前側半分に設けられ、スタート/ストップボタン28や数多くの状況インジケータ29〜32を含む複数の制御スイッチを有する。状況インジケータ29〜32は、発光ダイオード(LED)であることが好ましく、マシン10の準備状態にあること、マシン10の動作に誤作動が生じたか否か、およびマシン10の動作モードを表示する。LED29〜32は、一定の強度で発光するか、断続的に点滅するか、あるいはマシンの状態に依存して継続的または断続的に点灯するように制御することができる。LED29〜32は、緑色、赤色、および黄色を含むさまざまな色で発光するものであってもよい。スタート/ストップボタン28は、飲料供給サイクルの開始を制御するものであり、手で操作できる押しボタンまたはスイッチ等であることが好ましい。
【0040】
タンク12は、ハウジング11の後側半分に設けられ、好適には、ハウジング11の後側半分に内蔵されるか、接続されている。タンク12は、水または他の液体を充填するための注水口を有し、その注水口は、タンク12がマシン10内の所定位置にあるとき、閉じた状態にある。タンク12の下側部分には、ポンプ14と流体連通する排水口が設けられている。タンク12は、その内部に残る水の残量をユーザが視認できるように透明または半透明の材料で形成してもよい。択一的には、タンク12は、不透明な材料を用いて形成し、視認するための窓を設けてもよい。追加的に、または上記に代えて、タンク12は、低レベルセンサを設け、タンク内の液体レベルが所定レベルより低くなったとき、ポンプ14の作動を禁止し、任意的にはLED等の警告インジケータを点灯させるようにしてもよい。タンク12の内部容量は、約1.5リットルであることが好ましい。
【0041】
ポンプ14は、図8に示すように、タンク12およびヒータ13の間に作動可能に接続され、制御プロセッサで制御される。望ましいポンプは、6バールの圧力で900ml/分の流速を実現するものである。マシン10に流れる水の流速は、ポンプへの電源供給を周期的に停止することにより、ポンプ14の最大流速の一部の割合となるように、制御プロセッサで制御することができる。ポンプは、最大流速の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%のうちの任意の流速となるように制御することができる。ポンプで供給される水の容量の精度は、最初に供給される飲料のプラスマイナス5%以内で、最後に供給される飲料のマイナス5%以内であることが好ましい。容量流量センサ(図示せず)を、ポンプ14の上流側または下流側のいずれかに設けることが好ましい。好適には、容量流量センサは、ロータリセンサである。
【0042】
ヒータ13がハウジング11の内部に配設されている。1つの好適なヒータ13は、1550Wの出力定格を有し、当初約20℃であったポンプ14からの水を、通常の動作温度である85℃にまで1分間で加熱することができる。1つの飲料供給サイクルが完了した後、ヒータが次の飲料供給サイクルを開始できるまでの待機時間は、10秒以下であることが好ましい。ヒータは、飲料供給サイクル中、選択された温度をプラスマイナス2℃の範囲で維持する。飲料供給サイクルのための水は、所定の温度でカートリッジヘッド17に搬送される。ヒータ13は、供給温度を、通常80℃〜98℃の必要とされる温度であって、注水される水の温度より高くなるように迅速に調節することができる。所望される場合、マシン10は、スチームパージ(蒸気清浄)を採用してもよい。スチームパージを形成するための好適な手段は、勢いのあるフローを出す温水ヒータ(瞬間的フローを出すものとして知られたフラッシュヒータ)である。こうしたフラッシュヒータは、典型的には、水が貫通するチューブを有し、そのチューブは1つまたはそれ以上の抵抗部品により加熱されるものである。このフラッシュヒータは、飲料を作るためだけでなく、より高くパワーを設定して、飲料を作った後のフラッシュヒータチューブの残渣物を煮沸して取り除くためにも用いられる。フラッシュヒータの利点は、ボイラ内の水を加熱する上で、実質的な遅延が生じないことである。フラッシュヒータは、要求に応じて水を加熱し、各ブリュー(醸造)サイクル後直ちに給電を停止するので、エネルギ効率が極めてよい。
【0043】
ヒータ13から供給される水は、適当な搬送システムにより、バルブを介してカートリッジヘッド17およびカートリッジ100に供給される。水フローの圧力が許容できる場合は、水はカートリッジ100に流れる。圧力が所定の限界値より小さいとき、または大きい場合、バルブを介して廃棄回収容器に迂回させられる。
【0044】
搬送システムは(図8に示すように)、タンク12に接続された導管、水ポンプ14、水ヒータ13、およびカートリッジヘッド17を有し、水をタンク12からカートリッジ100に搬送する。
【0045】
カートリッジホルダ18は、カートリッジ100内の圧力により形成される(飲料がカプチーノである場合には約250kgである)開放力を操作できるように設計されている。マシン10の動作中、カートリッジ100は拡張しようとするが、その完全性は維持する必要がある。さらにユーザは、システムが加圧している間、カートリッジホルダ18を開放できないようにしておく必要があり、これを実現するために適当な固定機構が配置される。
【0046】
国際特許出願公開第2006/014936号に記載されているように、1つの好適なデザインによるカートリッジヘッド17を図4〜図7に示す。カートリッジヘッド17のカートリッジホルダ18は、固定された下側部分43、回転可能な上側部分44、および下側部分43と上側部分44の間に配置されたピボット回転可能なカートリッジ実装部45(カートリッジマウント)を有する。上側部分44、下側部分43、およびカートリッジ実装部45は、共通のヒンジ軸46の周りに回転する。図4〜図7は、図面を分かりやすくするためにマシン10のいくつかの構成部品を省略したときのホルダ18を示す。
【0047】
回転可能な上側部分44およびピボット回転可能なカートリッジ実装部45は、クランプ機構を用いて、固定された下側部分43に対して相対的に移動させることができる。クランプ機構は、第1および第2の部材または部品47,48を含むクランプレバーを有する。クランプレバーの第1の部品47は、ホルダ18の両側のそれぞれに設けた2つの第1のピボットポイント48において、上側部分44にピボット回転可能に取り付けられたU字状アームを有する。
【0048】
クランプレバーの第2の部品は、ホルダ18のそれぞれに設けた2つのオーバーセンタ・アーム49を有し、これらのアームのそれぞれは、上側部分44を下側部分43に連結するヒンジ軸46上に設けた第2のピボットポイント50において、上側部分44にピボット回転可能に取り付けられている。オーバーセンタ・アーム49のそれぞれは、シリンダ49a、ステム49b、および弾性スリーブ49cを含む往復移動部品である。シリンダ49aは、内部ボアを有し、一方の端部においてヒンジ軸46に回転可能に取り付けられている。ステム49bは、シリンダ49aのボア内に滑動可能に収容されている。ステム49bの他方の端部は、第3のピボットポイント51において、U字状アーム47に回転可能に取り付けられている。第3のピボットポイント51は、上側部分44を下側部分43に対して接続されず、自由に移動することができる。弾性スリーブ49cは、ステム49bの外側に取り付けられ、使用に際して、シリンダ49aおよびステム49bの隣接表面の間に延びている。弾性スリーブ49cは、オーバーセンタ・アーム49を短縮させるものであるが、オーバーセンタ・アーム49を拡張状態に付勢するものである。ステム49bがシリンダ49aの中を相対的に移動することにより、第3のピボットポイントがヒンジ軸46に対して移動することができる。弾性スリーブ49cは、好適には、シリコーン樹脂で形成されている。図示された実施形態は、2つのオーバーセンタ・アーム49を用いるが、明らかに、ただ1つのオーバーセンタ・アーム49を用いて、閉口機構を構成することができる。
【0049】
U字状アーム47は、ホルダ18の前方部分の周りに延びており、ホルダ18の両側のそれぞれにおいて下方に延びる2つのフック部品52を有し、各フック部品は、ヒンジ軸46に対向するカム表面を有する。ホルダ18の固定された下側部分43は、2つのボスまたはデタント53を有し、ボスは、フック部品52にほぼ位置合わせされた下側部分の前方端部54に隣接する、下側部分43の一方または両方の側部に配置される。
【0050】
図4に示すように、U字状アーム47は、人間工学的なハンドグリップおよびアーム47と一体成形されたフック部品52とを含む一体成形されたプラスティック成形品で形成されるものであってもよい。
【0051】
カートリッジ実装部45は、ホルダ18の上側部品43および下側部品44の間に回転可能に取り付けられている。カートリッジ実装部45には(以下詳細に説明するが)、使用の際、飲料カートリッジ100を受容する実質的に円形形状を有する凹部55が設けられている。凹部55は、飲料カートリッジ100のハンドル部分を収容する不規則部分56を有し、このハンドル部分は飲料カートリッジ100がホルダ18内で回転することを防止するためのものである。カートリッジ実装部45は、図7に示すように開口状態となるように、固定された下側部分43に対してばね付勢され、カートリッジ実装部45は、入口穿孔部21および出口穿孔部22との接触から離脱するように、固定された下側部分43との接触が外れるようにばね付勢される。カートリッジ実装部45には、カートリッジ実装部45が閉口状態に移動したとき、入口穿孔部21および出口穿孔部22とカートリッジ認識手段20とを受容する開口部57が設けられている。
【0052】
上側部分43は、円形視認窓59を含むほぼ円形状の本体部58を有し、消費者は、ディスペンス・サイクル中、この円形視認窓を介して、飲料カートリッジ100を視認することができ、そして飲料カートリッジ100がマシン10に装填されているか否かを確認することができる。この視認窓59は、カップ形状を有し、下向きに延びるリムを含む。さらに視認窓59には、図7に示すように、内側に延びる管状延長部61の形態を有するクランプ部品が設けられている。延長部61は、図6に示すように閉口状態にあるとき、カートリッジヘッドの容積内において下側部分44に向かって延びている。視認窓59は、上側部分43のハウジング58に対して相対的に軸方向に移動させることができる。こうした相対的な移動を実現する1つの構成は、視認窓59と円形ハウジング58との間に、波ばね(図示せず)またはゴム弾性リングなどの同様の弾性手段を配設することにより実現される。択一的な構成によれば、視認窓59とハウジング58との間に延びる一連の螺旋圧縮ばね(図示せず)が配置される。いずれの場合にも、弾性手段は、視認窓59に対して円形ハウジング58を微小角度だけ軸方向に移動させることができる。
【0053】
ホルダ18が閉口状態にあるとき、視認窓59の管状延長部61の遠位端が飲料カートリッジ100のクランプ表面に当接し、(より深いカートリッジを有するものとして図示された)図6に示すように、下側部分44に対して付勢する。外側部品102上の管状延長部61が与える圧力により、飲料カートリッジ100とホルダ18との間を液密に封止することができる。さまざまな深さを有する飲料カートリッジ100を挿入することができるように、視認窓59すなわちカートリッジヘッド17の高さを設定すべきである。図6には、比較的に深いカートリッジを有する装置が図示されている。また同一のカートリッジヘッド17は、より浅いカートリッジを収容することができる。この場合、飲料カートリッジ100の上側表面と視認窓59との間に間隙が形成される。ただし飲料カートリッジ100は、管状延長部61から付加される圧力により、入口および出口において完全に封止することができる。
【0054】
下側部分43は、入口穿孔部21および出口穿孔部22、ならびにカートリッジ認識手段20のヘッドを有する。入口穿孔部21は、使用の際、飲料カートリッジ100のラミネート108に孔を開けるための尖った端部64を含む針状の中空チューブ63を有する。入口穿孔部21は、図7に示すように、下側部分43を貫通し、温水ヒータ13の出口導管66に接続された水導管65と流体連通している。出口穿孔部22は、欧州特許出願公開第0389141号および欧州特許出願公開第0334572号に記載された出口穿孔部と同様のものであって、開口端部を含み、開口端部は、円形形状またはD字形状の断面を有し、その径が飲料提供注ぎ口109より大きいものである。出口穿孔部22の上側端部の弓状部分67は、鋸歯状に形成され、飲料カートリッジ100のラミネートを穿孔し、切除するものである。上側端部の残りの部分は、少なくとも鋸歯状の部分の歯68の土台までシリンダの長手方向に刈り込まれ、切除されたラミネート108は、飲料が提供される前に、折り畳まれるか、出口開口部から取り除かれる。出口穿孔部22は、飲料提供注ぎ口143の外側からラミネート105を穿孔し、カートリッジ実装部45が閉口状態にあるとき、飲料提供注ぎ口143と飲料提供フンネル(漏斗部)140との間に設置されるものである。出口穿孔部22は、切除されたラミネート105を環状のものに折り畳む。こうして、出口穿孔部22および切除されたラミネート105は、提供された飲料から取り除かれる。
【0055】
出口穿孔部22は、その周囲に比較して0.5mmだけ隆起した棚部により包囲されている。
【0056】
有利なことに、出口穿孔部22は、下側部分43から取り外して、たとえば皿洗い機等で完全に洗浄することができる。着脱可能な出口穿孔部22は、設置されたとき、下側部分43の凹部内に収容される。入口穿孔部21および/または出口穿孔部22は、ステンレス鋼の金属材料やプラスティック材料等で形成されている。有利なことに、非金属製材料で穿孔され、切除することができるラミネート105を使用することにより、プラスティック製の切除部品を使用することができる。結果として、入口穿孔部21および出口穿孔部22は、あまり鋭利なものとする必要はなく、消費者が傷つくリスクを低減することができる。さらにプラスティック製の穿孔部品は錆びることはない。好適には、入口穿孔部21および出口穿孔部24は、単体の、一体式のものであって、下側部品43から着脱可能なものである。
【0057】
使用に際し、ホルダ18の上側部分44は、図2に示すように、垂直方向に配向され、または垂直に向かう開口状態から、実質的に水平方向に配向され、または固定下側部分43およびカートリッジ実装部45と係合した閉口状態に移動することができる。上側部分44は、クランプレバーを操作することにより、開口状態から閉口状態に移動させることができる。上側部分44を閉じるためには、ユーザは、U字状アーム47によりクランプレバーを押さえ込む。その結果、上側部分44を回転させると、まず視認窓69の管状延長部61が飲料カートリッジ100のクランプ表面118aに当接する。さらに続けて上側部分44を回転させると、上側部分44およびカートリッジ実装部45が下方に降りてきて、下側部分に当接する。U字状アーム47をさらに回転させると、上側部分44および下側部分43に対してU字状アーム47を回転させることになり、上側部分44のフック部品52が、下側部分43のボス53と係合し、カム表面がボス53の上方を乗り上げる。回転動作の最終段階において、飲料カートリッジ100は、カートリッジ実装部45と視認窓59の間で圧縮される。その結果、視認窓59は、波ばねまたは螺旋ばねの付勢力に対抗して、上側部分44の円形状ハウジング58に対して僅かながら軸方向に移動する。このように移動することにより、飲料カートリッジ100および飲料調整マシン10に対する寛容性を得ることができ、飲料カートリッジ100に加わる圧縮力を一定の許容範囲内に維持することができる。この機構の把持力は、波ばねまたは螺旋ばねの作用により加減されるので、飲料カートリッジ100に対する把持圧力を確保することができる。カートリッジ100内の圧力に対抗するためには、150N〜400Nの力が必要であることが分かっている。カートリッジヘッドを閉口する際、カートリッジ100のラミネート105は、出口穿孔部22の周囲にある棚部に当接するので、張力が与えられる。このとき、円筒状フンネルの外側チューブ42の遠位端がフランジ147に対して0.5mmだけ上方に移動するので、ラミネート105は湾曲する。この移動により、カートリッジ100に加わる圧縮力の大部分は、カートリッジ100の中央領域を介して耐力内側部品103に作用する。こうした把持力により、加圧の際、飲料カートリッジ100の不具合を回避しやすくなり、内側部品103および外側部品102が互いに対して完全に設置され、内部加圧時においても、すべての内側の通路および開口部を意図した寸法に維持することができる。
【0058】
閉口状態において、管状延長部61の遠位端62と下側部品44との間隔が図6の参照符号Dで図示されている。この間隔は、視認窓59、ハウジング58、および下側部品44の寸法により決まる。距離Dは、把持表面118aとカートリッジ100の表面の下方にあるラミネート105との間の距離dと同一であるか、僅かながらより小さくなるように選択されている。このように、カートリッジヘッド17を閉口することにより、カートリッジ100が一定の既知の値の圧力に曝すことができる。さらに第1および第2の実施形態に係るカートリッジは、これら両方のタイプのカートリッジにおける距離Dが同一であるので、同一の圧力値で把持することができる。
【0059】
ホルダ18の第1および第2のピボットポイント48,50の間に、1つの仮想的な基準線を描くことができる。図7に示すように、開口状態にあるとき、第3のピボットポイント51は、固定された下側部分43に最も近い基準線側に配置されている。上側部分44が閉口状態に達すると、把持レバーの第3のピボットポイント51は、第1および第2のピボットポイント48,50を結ぶ基準線を通り越して、固定された下側部分43から最も離れた基準線の反対側に移動する。したがってU字状アーム47は、第1の安定状態から第2の安定状態に「飛び移る(snaps through)」ものである。飛び移り動作には、オーバーセンタ・アーム49を短くした後、弾性スリーブ49cが圧縮することを伴うものである。一旦、第3のピボットポイント51が仮想的な基準線を越えたとき、弾性スリーブ49cの復元力は、第3のピボットポイント51が仮想的な基準線からさらに離れるように作用する。すなわち把持レバーは、2つの安定した状態を有し、レバーは開口状態および閉口状態にあるとき安定しているが、第3のピボットポイントが第1および第2のピボットポイント48,50を結ぶ仮想的な基準線上にあるとき、不安定となる。把持レバーの飛び移り動作は、明確な閉口動作に導く積極的な閉口機構を提供し、把持レバーの回転の最終的な段階において、U字状アーム47および第2のアームの飛び移り動作により、フック部品52がボス53と確実に係合する。さらに第3のピボットポイント51を、第1および第2のピボットポイント48,50を結ぶ仮想的な基準線上を越えて元に戻すために、スリーブ49cを十分に圧縮する力はほとんど必要としないので、弾性スリーブ49cが上側部分44を再び開口するときの抵抗力を与える。有利なことに、レバーの回転によるものではなく、フック部品52とボス53とが相互係合することにより、上側部品および下側部品が分離することを防止することができる。これは、カートリッジヘッド17が内部加圧状態に曝されるとき、カートリッジヘッド17が開口しないようにすることができる点において有用である。
【0060】
上側部分44により加えられる圧力により、カートリッジ100とカートリッジホルダ18の間において、完全な液密封止が実現される。把持力は、加圧時におけるカートリッジ100の不具合を未然防止し、カートリッジ100の内部のすべての通路および開口部の寸法を、内部加圧時においても意図したものに維持することができる。カートリッジ100との液密性を改善するために、本願出願人は、カートリッジ実装部45の凹部55の周囲にゴムシール55aを配置することにより(図7a参照)、ブリュー・サイクル(醸造サイクル)中に形成されるより高い圧力に対して確実に耐え得るようにマシン性能を改善することができる。
【0061】
飲料調整マシン10の制御プロセッサを用いて、醸造サイクルを制御することができる。制御プロセッサは、演算モジュールとメモリとを有する。制御プロセッサは、ヒータ13,ポンプ14、ユーザインターフェイス16、および以下説明する他の構成部品と動作に可能に接続され、これらを制御するものである。
【0062】
マシン10の操作手順は、たとえば欧州特許出願公開第1440644号に記載されているように、制御プロセッサに組み込まれたソフトウェアにより決定される。制御プロセッサのメモリは、飲料調整マシン10に関し、1つまたはそれ以上の操作パラメータに対する1つまたはそれ以上の変数を有する。先行技術に係るマシンにおいては、一般に、飲料調整段階において飲料カートリッジ100を通過する液体の温度、飲料カートリッジ100への供給速度、蒸らしステップの有無、提供される飲料の全体量、醸造段階における液体の流速、および洗浄段階の時間が操作パラメータである。
【0063】
カートリッジ認識手段20の1つの目的は、中でも、挿入されたカートリッジ100のタイプを認識すること、これに応じて1つまたはそれ以上の操作パラメータを調節することにある。操作パラメータに対する変数はメモリに記憶される。カートリッジ100は、その飲料の最適なものを提供するために必要な操作パラメータを表すコードを有する。こうしたコードの具体例が欧州特許出願公開第1440644号に記載されている。
【0064】
制御プロセッサのメモリは、提供される飲料のタイプに関する情報を記録し、次のカートリッジ100のために、マシン10の操作サイクルを調整することができる。これは、2つまたはそれ以上のカートリッジ100を連続的に用いて飲料を作る場合に、とりわけ好都合である。たとえばコーヒーカートリッジの後に、ミルクカートリッジを提供して、カプチーノ飲料を作ってもよい。択一的には、チョコレートカートリッジの後に、ミルクカートリッジを提供して、クリーミィなホットチョコレート飲料を作ってもよい。最初に提供すべき飲料に関する情報を記憶することにより、ミルクカートリッジなどの2番目の飲料の提供手法を最適なものに変更することができる。上記具体例において、ホットチョコレートのために付加されるミルクは、通常、コーヒーに加えるミルクほどに希釈されることはない。さらに、飲料の泡の割合を小さくするために、チョコレートに付加されるミルクは、よりゆっくりとした流速で付加される。当業者には明らかなように、カートリッジの数多くの組み合わせが可能であり、数多くの操作パラメータが存在する。さらに、メモリを用いると、マシン10は、ユーザが次に提供する飲料のタイプを「推測」することができる。たとえばユーザが主に、1種類の飲料を飲む場合、マシンは、その飲料に最適な温度に水ヒータを維持させるように指示することができる。
【0065】
先行技術に係るマシン10における操作は、飲料カートリッジ100をカートリッジヘッド17に挿入し、飲料が提供されるブリュー・サイクルを実行し、マシンからカートリッジ100を取り除くことを含む。
【0066】
カートリッジ100を挿入するために、上述のように、カートリッジホルダ18を開口し、カートリッジ実装部45を露出させる。カートリッジ100は、凹部46内に収容されたカートリッジ実装部45の上に設置される。その後、上述のように把持ハンドル51を操作することにより、カートリッジホルダ18を閉じる。入口穿孔部および出口穿孔部がカートリッジに穿孔し、カートリッジの入口107および出口108を形成する。
【0067】
操作サイクルを開始するために、ユーザは、スタート/ストップボタン28を操作する。操作サイクルは、カートリッジを認識するステップと、飲料提供サイクルステップとを有する。
【0068】
カートリッジ認識ステップは、上述のようにカートリッジセンサおよびロックセンサからの信号で十分と仮定して、光学的なカートリッジ認識手段20を用いて実施される。バーコード40を複合化すると、制御プロセッサを用いて、マシン10の操作パラメータを調節する。ブリュー(醸造)サイクルを自動的に開始する。ブリュー・サイクルは、すべての飲料に対して必ずしもすべての段階(ステップ)を用いることはないが、主たる4つの段階を有する。
1.予備湿潤ステップ
2.待機ステップ
3.醸造ステップ
4.洗浄ステップ
【0069】
予備湿潤段階(ステップ)では、カートリッジ100は、ポンプ14を用いて貯蔵タンク12から液体を充填する。水を充填すると、チャンバ160内の飲料原材料200が水を含む(湿潤する)。充填ステップは、600ミリリットル/分の速い流速または325ミリリットル/分の遅い流速で実施される。より速い流速でポンプ送出できるようになる前に多少とも希釈する必要のある粘性の高い液体飲料原材料がカートリッジ100に含まれる場合に、とりわけ遅い充填流速は有用である。カートリッジ100内に注入される液体の容量は、この段階ではカートリッジ出口108から液体または飲料の滴が落ちないように選択される。
【0070】
待機段階(ステップ)は、予備湿潤段階中の所定の期間において注入された液体により、飲料原材料200を蒸らすことを可能にするものである。予備湿潤段階および蒸らし段階の両方により、飲料原材料200からの抽出可能物の収量を増大させ、飲料の香りを引き立たせることができることが知られている。とりわけ飲料原材料がローストして挽いたコーヒー豆である場合、予備湿潤段階および蒸らし段階は採用される。
【0071】
醸造段階において、飲料原材料200から飲料を作るために、液体をカートリッジに通過させる。液体の温度は制御プロセッサにより決定され、制御プロセッサは、ヒータ13に指示して、タンク12からカートリッジヘッド17に流れる液体を加熱する。液体は、入口バルブおよび入口穿孔部を介してカートリッジホルダ18内に入り、飲料カートリッジ100の入口チャンバ126の内部に流れる。調整された飲料がカートリッジの出口104から排出され、出口バルブ37に入り、ディスペンス・ステーション27内の好適な位置に配置された容器に提供される前に、飲料カートリッジ100内における飲料をブリュー(醸造)および/または撹拌は、欧州特許出願公開第1440644号に記載されているように行われる。
【0072】
洗浄サイクルの間、温水ヒータ13の温度は、システム内の他の部分にある水を蒸気に変換できるように十分に高く維持され、加圧蒸気は、飲料調整マシン10および飲料カートリッジ100を介して吹きつけられる。これにより、すべての飲料が供給され、流路が洗浄され、別の飲料を提供することができる。洗浄サイクルは、流体の大部分を用いて流路を洗浄できるように、醸造および/または撹拌段階が終わっても直ちに開始しない
【0073】
操作サイクルが完了すると、マシン10は自動的に停止し、消費者はカートリッジホルダ18を開き、手動でカートリッジ100を取り出し、廃棄することにより、カートリッジ100を取り除く。択一的には、マシン10は、カートリッジホルダ18を開いて自動的にカートリッジを取り除く自動排出機構を有していてもよい。
【0074】
上述の既知の飲料調整マシン10に対する第1の重要な改善点は、カートリッジの後の圧力制御を行うために、カートリッジ出口に隣接して形態可変バルブ60(図9〜図15)を設けたことにある。これにより、カートリッジ100は、カートリッジ認識手段20により特定されたカートリッジの飲料原材料が必要とするブリュー(醸造)サイクルのタイプに依存して、高い圧力、低い圧力、または醸造サイクル中の変動する圧力を選択して醸造することができるので、マシン10は広範な種類の飲料を作ることが可能となり、自動化された圧力可変システムを提供することができる。改良されたマシンは、たとえば0バールから9バールの範囲、好適には0バールから6バールの範囲の圧力で飲料を提供することができる。
【0075】
形態可変バルブ60は、カートリッジ100の下流側に配置され、飲料出口37の内部に配置されることが好ましく、これはカートリッジヘッドの下側部分43に部分的に収容され、下側部分から突出する(図6および図7参照)。バルブ60は、少なくとも開口状態、制限状態、および好適には、以下に示すすべての状態を有するものである。
1.開口状態(図11)
2.制限状態(図12)
3.閉口状態(図10)
4.洗浄/浄化状態
【0076】
出口バルブ60として、ボールバルブ、ピンチバルブ、スリーブバルブ、シートバルブ、またはディスクバルブなどのさまざまなタイプのバルブを用いることができる。図10〜図12に示す実施形態は、飲料出口37内のチャンバ70に配設された回転部品69を有するボール型バルブである。回転部品69は、予め設定された複数の位置の間で回転して、必要とされる状態を提供することができる。非制限状態にあるバルブ60のボアの直径は、たとえばカートリッジ100が低圧フィルタ飲料を提供するためには、少なくとも5mmであることが好ましい。
【0077】
択一的な好適なバルブは、図13〜図15に示すピンチバルブであり、好適にはシリコーンゴムまたはエラストマ材料で形成された可撓性チューブ71と、クランプ機構72とを有する。非制限状態において(図13aおよび図14)、飲料はチューブ71の中を自由に流れる。クランプ機構72は、制限状態(図13bおよび図15)および閉口状態となるように作動する。
【0078】
バルブ60は、マシン10の制御プロセッサにより自動的に制御される。バーコード40を復号化することにより、マシン10に挿入されたカートリッジ100を認識すると、制御プロセッサは、適正な初期設定を選択し、適当ならば、関連する飲料タイプに対するバルブ60の任意の一連の動作を制御する。
【0079】
マシン10は、所定範囲のモードで作動することができ、バルブ60は、以下の具体例で示すように、1つまたはそれ以上の状態に作動することができる。
【0080】
1.ブリュー・サイクルを通じてバルブを開口する。
バルブ60が開口状態にあるとき、動作圧力は2バール以下で、安定した状態で400ミリリットル/分未満の流速を実現する。欧州特許出願公開第1440644号に記載されたものと同様の条件下で飲料を提供することができる。このモードは、紅茶、泡立てたミルク、またはホットチョコレート等の低圧飲料を提供するための既存のカートリッジを用いる旧式のマシン10として利用する場合にとりわけ有用である。
【0081】
2.ブリュー・サイクルを通じてバルブを制限する。
バルブ60が制限状態にあるとき、カートリッジ100内において4バール未満、6バール未満、または9バール未満の比較的に高い動作圧力で、60ミリリットル/分〜300ミリリットル/分の流速を実現する。これは、エスプレッソを作るために必要とされる、飲料原材料200に含まれる固形物の抽出および油成分の乳化を実現する上で十分なものである。この結果として、飲料出口37を制限することにより、バルブ60に流れる飲料に対する剪断効果および撹拌効果をもたらし、良好な空気/液体の乳化作用が得られ、改善されたクレマを実現することができる。有利なことに、このモードを用いると、撹拌効果を実現するために空気を取り込む手段を有さないカートリッジ100、いわゆるノンエダクタ・カートリッジ(non-eductor cartridges)から、エスプレッソおよびカプチーノなどのより高圧の飲料を提供することができる。
【0082】
3.バルブを閉口した後に制限する。
ブリュー・サイクルの開始後(予備湿潤サイクル中であって、ポンプ14が作動する前に)直ちにバルブ60を閉じると、バルブ60を制限状態にした場合に比して、カートリッジ100内においてより高い圧力を形成することができる。
【0083】
バルブを閉口した後に開口するか、あるいはバルブを閉口し、制限した後に、開口する等、実現すべき所望の効果に応じて、さらなる組み合わせも適当である場合がある。
【0084】
必要ならば、ブリュー・サイクルの全体または一部において、バルブ60をさまざまな状態に小刻みに変動させてもよい。飲料提供サイクルにおいて、このようにバルブを操作することにより、徐々に変わる色および/または気泡の大きさ(graduated colour and/or bubble size)を有するクレマが形成された飲料を提供することができる。
【0085】
洗浄サイクル中、制御プロセッサは、バルブ60を制御して、ディスペンス・ステーションではなくドレン領域に蒸気を迂回して噴出し、飲料の見栄えを保存し、混入を防止することができる。
【0086】
上述の既知の飲料調整マシン10に対する第2の重要な改善点は、ガス管理に関連するブリュー制御システムを導入したことにある。驚くべきことに、本願出願人は、このタイプの飲料調整マシン10で作った飲料の特性に対する改善が、先行技術に係るマシンの限界を超えるものであることを見出した。驚くべき効果は、飲料を作る過程において、搬送システムにおけるガスの容積を制御することにより実現され、最終的な飲料における微細な層から驚くほどに深い層に至るまで変化するように飲料に対するクレマの量を制御して、高品質クレマの量を指定することができる。本願出願人は、飲料調整マシン内のガスをうまく利用して、液体に対するガスの比率を変え、良質の安定したクレマがこれまでのマシンでは実現できなかった驚くほど多量に飲料に含ませることができた。搬送システムにより多量のガスを内在させることにより、ブリュー過程および供給過程において、液体に対するガスの比率を遙かに大きくすることができ、ひいてはより多くのクレマを形成することができる。ガスの量を低減することにより、ガスの比率を小さくし、クレマの量を低減することができる。気泡の大きさも同様に、液体に対するガスの比率に影響を受け、この比率が小さいと、目の詰まったクリーミィなクレマが得られ、この比率が大きいと、目の粗い泡だったクレマが得られる。上記改善により、供給すべき飲料のそれぞれに対して、クレマ量および気泡の大きさを最適化する機能を実現することができる。このタイプの既知の飲料調整マシンでは実現されなかったことであるが、ガス量を操作することにより、172ミクロン以上の大きさを有する気泡の発生を最小限に抑制しつつ、飲料の容量の25%以上のクレマを含む良質のエスプレッソを作ることができることを本出願人は確認した。
【0087】
上記改善は、ブリュー・サイクルを制御して、タンク12から飲料原材料200および供給出口まで水を搬送する搬送システム内のガス容量を管理する手段を設けることにより実現することができる。本願明細書において、搬送システムとは、その任意の所定部分を含むものとし、たとえば温水ヒータ13からカートリッジ100まで延びる部分を含み、関連のある場合には、カートリッジ100のヘッドスペース内に含まれるガスを含むことを意図するものである。
【0088】
任意の所与のマシン10の搬送システムに内在し得るガスの「基本容量」は、その構成に依存する。任意の時間における「実際の容量」は、マシン10が飲料を作るために使用中であるか否か、作っている飲料の種別、および蒸気による洗浄サイクルを実行したか否かに応じて変化する。すなわち、ブリュー・サイクル制御の改善点は、すでに存在する実際のガス容量を考慮して、供給すべき飲料の種別(よりきめ細かいクレマおよびより少ない気泡を要求するもの、あるいはより大粒のフロスおよび多くの気泡を要求するもの)に応じて、搬送システム内のガス容量を変更する手段を採用することを含む。ガス容量を変更する手段は、以下の組み合わせにより実現することができる。
1.液体に対するガスの比率を増大させるために、ブリュー・サイクル完了後、次の高圧のブリュー・サイクルに入る前に、搬送システムを洗浄するステップ。
2.液体に対するガスの比率を低減させるために、高圧のブリュー・サイクルに入る前に、搬送システムからガスを排気するステップ。
3.液体に対するガスの比率を増大させるために、高圧のブリュー・サイクルに入る前に、搬送システム内にガスを導入するステップ。
【0089】
搬送システム内のガス容量を低減するためにバルブ手段を設け、搬送システム内にガス(通常、空気)を注入するために空気ポンプを設ける。カートリッジ100の上流側または下流側に、個別の専用空気バルブを搬送システム内に設けてもよい。好適には、上述の形態可変バルブ60バルブ手段として用いてもよい。
【0090】
このようにブリュー・サイクル制御を改善するために、基本的なマシン10に関連して上記説明した追加的なパラメータを制御プロセッサのメモリに記憶させてもよい。これらの追加的なパラメータは、マシン10の特定の配置構成におけるガスの基本容量(使用していないマシン10または洗浄後のマシン10に適用されるガスの基本容量)と、特定の飲料それぞれに関し、クレマを最適化するために高圧のブリュー過程で必要とされる容量とを含む。好適には、追加的パラメータには、マシン10が実施できる各ブリュー操作の完了後に搬送システムに内在するガスの実際容量が含まれる。ただし、飲料を提供する毎に蒸気洗浄サイクルを実行するようにマシンをプログラムしたとき、これは実際の容量を基本容量に効果的にリセットするものであり、温水ヒータ13の下流側にある供給システムから残りの液体が洗い流されるので、必ずしも必要なことではない。
【0091】
したがってブリュー・サイクルは、予備湿潤サイクルの前に追加的ステップ、すなわちガス調整サイクルを有する。このガス調整サイクルは、以下の過程を含む。
1.提供すべきタイプの飲料が必要とするガス容量の評価。
これは、カートリッジコード120に付随する要求パラメータについて、プロセッサのメモリから選択することにより、最も簡便に得られる。
2.マシン10の最近過去の操作に基づいて搬送システム内に現在残っている実際のガス容量の特定。
これは、未使用のマシンまたは洗浄サイクルを行った後のマシンに対する基本容量である。マシンを用いて飲料を提供した後、洗浄サイクルが実施されなかった場合、プロセッサは、最近過去に作った飲料に基づいて、内在するガスに関するパラメータをメモリから理想的に選択する。択一的には、任意のタイミングポイントにおいて、搬送システム内のガス容量を特にモニタする手段を設けてもよい。
3.必要量を得るために、搬送システムに導入または換気すべきガス容量の計算。
4.必要に応じて、追加的ガス(通常、空気)の導入または過剰ガスの排気による、ガス容量の調整。
【0092】
1つの具体例において、飲料提供マシン10は、温水ヒータ13と飲料原材料200との間に延びる搬送システムの領域において36ミリリットルのガス基本容量を有する。
【0093】
上記ステップ3の結果、または用いられるバルブ手段の種類に依存して、上記ステップ4に関して、数多くの異なる態様がある。バルブ手段がカートリッジの下流側にあるとき、すなわち出口バルブであるとき、高圧ブリュー過程前に、飲料原材料200より上流側にある空気の容量を制御する1つの方法は、以下のように、ブリュー・サイクルにおける異なるポイントで出口バルブを閉口することである。
【0094】
1.適正なガス容量が存在する。
プロセッサは、コード120を読み取り値から決定されるように、供給すべき飲料に対して十分な基本容量(36ミリリットル)のガスを要求することを計算した場合、温水ヒータ13から水が入り込む前のブリュー・サイクルの開始時点において出力バルブを閉じる。これは、搬送システムのガス圧縮が直ちに始まり、予備湿潤および蒸らしサイクル中において、カートリッジがより高い圧力に曝され、できあがった飲料を供給する際にのみ開口することを意味する。ポンプ14が作動する前に出口バルブが閉口するので、閉じ込められたガスのすべて(36ミリリットル)が、できあがった飲料の中に混ぜ合わされ、より多くの多少粗いクレマが得られる(図16a)。図示された具体例では、ガラス製の平らな底を有する目盛付きビーカにあるクレマの容量Yは20ミリリットルであり、これに比較して液体の容量Xは50ミリリットルであった。
図16bに示す表は、このモードで、テスト条件下で多量のクレマを含む飲料を作るときに用いられるブリュー・サイクルのパラメータの一例を示すものである。
この表において、0秒の停止条件(たとえばガス抜きステップに対して)、そのステップは実施されない。
【0095】
2.過剰なガス容量が存在する。
一方、少量のクレマを含む飲料が挿入されたカートリッジ100により指定され、搬送システム内に過剰なガスが存在する場合、搬送システム内の過剰なガスが低圧で出口バルブから排出されるまでの短い時間、ポンプ14が作動した後に、出口バルブは閉口する。ブリュー・サイクルの後半にバルブを閉口すると、必要量のガスがカートリッジ100を介して大気中に排気され、より少量のガスが閉じ込められ、圧縮され、高圧ブリュー過程中に飲料の中に混合されて、より少量のよりきめ細かなクレマが得られる(図17a)。図示された具体例では、ガラス製の平らな底を有する目盛付きビーカにあるクレマの容量Yは5ミリリットルであり、これに比較して液体の容量Xは50ミリリットルであった。
図17bに示す表は、このモードで、テスト条件下で少量のクレマを含む飲料を作るときに用いられるブリュー・サイクルのパラメータの一例を示すものである。
【0096】
3.不十分なガス容量が存在する。
ステップ3において、より多量のガスを導入する必要があると判断されたとき、出口バルブを直ちに閉口し、不足分が補填されるまで、空気ポンプを作動させる。その後、高圧ブリュー過程を開始する。
【0097】
次のグラフは、ガス量制御システムを用いた本発明に係る飲料調整マシン10で作ったクレマの特性と(装置A)、当該ガス量制御システムを用いない従来技術に係る2つの飲料調整マシンで作ったクレマの特性と(装置B、装置C)を比較するデジタル式の分析イメージである。ピーク値より右側(気泡の直径が約172ミクロンより大きい領域)におけるグラフの形状を比較すると、装置Aにおいて、クレマに含まれる微小気泡の分布が極めて狭いことが明らかである。装置Cは、Nespresso Latissimmaの登録商標で知られ、約19バールの加圧範囲を有し、9〜15バールの圧力で作動する高圧マシンであるが、より直径の大きい数多くの気泡を含むクレマを、幅広い/粗い分布を形成する。一方、装置Bは、本願出願人によるTassimo/Boschの登録商標で知られ、欧州特許出願公開第1440644号で記載されたマシンと同様の2バール以下の圧力で作動する低圧マシンであり、装置Cにおいて認められた気泡より大きな気泡は認められなかったが、依然として気泡が粗い。
【0098】
【表1】
【0099】
グラフの左端(極めて微小な気泡)は、質的には類似するが、このグラフを作るために用いられたイメージ分析システムの限界値を表すものである。
【0100】
ユーザが押下するのに適したボタンを用いることにより、またはユーザが作るべき飲料の種類およびクレマの特性を指示することにより、飲料調整マシン10におけるガス量制御を実施することができる。
【0101】
カートリッジ100を用いる飲料調整マシン10を参照しつつ、本発明に係る改善点を設類したが、一般的なブリュー装置や、他の非カートリッジ式の装置にも用いることができる。
【0102】
図18〜図30は、上述の改善点を有するマシン10で用いられるのに適したカートリッジ100の実施形態を示すものである。
【0103】
カートリッジ100は、一般に、外側部品102と、内側部品103と、およびラミネート105とを有す。外側部品102、内側部品103、およびラミネート105は、カートリッジ100を形成するように組み立てられ、カートリッジは、1つまたはそれ以上の飲料原材料を収容する内部空間106と、インレット(入口)107と、アウトレット(出口)108と、内部空間106を介してインレット107をアウトレット108に連通する飲料流路とを有する。インレット107およびアウトレット108は、当初、ラミネート105により封止され、使用の際、ラミネート105を穿刺または切除することにより開口される。飲料流路は、以下説明するように、外側部品102、内側部品103、およびラミネート105の空間的な相互関係により規定される。カートリッジは、以下に説明するように、フィルタ104などの他の構成部品を有するものであってもよい。
【0104】
以下説明する第1の態様に係るカートリッジ100を図19〜図29に示す。第1の態様に係るカートリッジ100は、焙煎して挽いたコーヒーなど、クレマを形成することが好ましいエスプレッソタイプの飲料を提供するために特に設計されたものである。ただし、この態様に係るカートリッジ100は、ホットチョコレート、コーヒー、紅茶、甘味飲料、コーディアル飲料、香料飲料、アルコール飲料、フレーバーミルク、フルーツジュース、スカッシュ、ソース、およびデザートを含む他の飲料を作る溜めに用いることができる。
【0105】
図23から明らかなように、カートリッジ100の全体的形状は、ほぼ円形状または円板状であり、その径はその高さより実質的に大きい。図19に示すように、主要軸Xは、外側部品の中心を貫通するものである。通常、外側部品102の全体的な直径は、74.5mmプラスマイナス6mmであり、全体的な高さは、16mmプラスマイナス3mmである。組み立てられた後のカートリッジ100の容量は、通常、30.2mlプラスマイナス20%である。
【0106】
外側部品102は、一般に、ボウル(椀)状シェル110からなり、湾曲した環状壁部113と、閉口上部111と、開口底部112とを有する。閉口上部111から閉口底部112に横断する際、環状壁部113がフレア開口しているため、外側部品102の閉口上部111の直径は、閉口底部112の直径より小さい。環状壁部113および閉口底部112は一体となって、内部空間134を有する容器を形成する。
【0107】
中空の内側に延びる円筒状延長部118は、主要軸X上に中央な配置された閉口上部111に形成されている。図20でより明らかに示すように、円筒状延長部118は、第1の部分119、第2の部分120、および第3の部分121を含む段差形状を有する。第1の部分119は真円の円筒形状を有する。第2の部分120は円錐台形状を有し、内側に傾斜している。第3の部分121は同様に真円の円筒形状を有し、底面131により封鎖されている。第1の部分119、第2の部分120、および第3の部分121の直径は、徐々に小さくなっているため、閉口上部111から円筒状延長部118の閉口底面131に横断するにつれ、円筒状延長部118の径が小さくなる。第2のおよび第3の部分120,121の間にある接続部において、ほぼ水平の肩部132が円筒状延長部118上に形成される。
【0108】
外側に延びる肩部133は、閉口底部112に向かって、外側部品102内に形成される。外側に延びる肩部133は、環状壁部113と同心円を有する第2の壁部115を形成し、第2の壁部115および環状壁部113の間のマニホールド116を形成する環状トラックを構成する。マニホールド116は、外側部品102の周縁部に沿って延びる。一連のスロット117が環状壁部113であって、マニホールド116と同じ高さ位置に設けられ、マニホールド116と外側部品102の内部空間134との間で気体および液体を連通させることができる。図21に示すように、スロット117は、環状壁部113の垂直スリットを有する。20〜40個のスリットが設けられる。図示された実施形態において、通常、37個のスロットがマニホールド116の周縁部に沿って等間隔で配置されている。スロット117は、好適には、1.4mm〜1.8mmの長さを有する。典型的には、各スロット117の長さは、外側部品102の全体的な高さの10%に相当する1.6mmである。各スロット117の幅は、0.25mm〜0.35mmである。典型的には、各スロット117の幅は0.3mmである。保管時または使用時に、飲料原材料がスロットからマニホールド116に流出することを防止するために、スロット117の幅は十分に狭いものとなっている。
【0109】
入口チャンバ126が外側部品102の周縁部であって、外側部品102内に形成されている。図23に明確に示されているように、外側部品102の内部空間134内に入口チャンバ126を構成し、入口チャンバ126を内部空間134から分離する円筒状壁部127が配設されている。円筒状壁部127は、主要軸Xに垂直な平面上に形成された閉じた上側表面128と、上側部分102の底部12と同一平面上にある開いた下側端部129とを有する。図19に示すように、入口チャンバ26は、2つのスロット130を介してマニホールド116と連通する。択一的には、1つないし4つのスロットのスロットを用いて、マニホールド116と入口チャンバ126との連通を実現する。
【0110】
外側に延びる肩部133の下側端部には、外側に延びるフランジ135が設けられ、これは主要軸Xに対して垂直に延びている。典型的には、フランジ135は2mm〜4mmの幅を有する。フランジ135の一部を拡張させて、ハンドル部124を構成し、これを用いて、外側部品102を保持するようにしてもよい。ハンドル部124は、上方向に延びるリム125を有し、把持しやすくすることができる。
【0111】
外側部品102は、高密度のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、またはこれらの材料からなる1つまたは複数のものの積層体である単一の一体成形品で形成される。好適なポリプロピレンは、英国レディッシュ(Redditch, United Kingdom)にあるDSM UK株式会社から市販されているポリマである。外側部品は、不透明、透明、または半透明であってもよい。製造プロセスは、射出成形プロセスであってもよい。
【0112】
図25〜図28に示す内側部品103は、環状フレーム141と、下方向に延びる円筒状フンネル(漏斗部)140とを有する。図25に示す用に、主要軸Xは内側部品103の中心を貫通する。
【0113】
図26および図27に最もよく図示されているように、環状フレーム141は、外側リム151と、等間隔で配置された半径方向のスポーク153により外側リムに接続された内側ハブ152とを有する。内側ハブ152は、円筒状フンネル140から延び、これと一体に形成されている。濾過開口部155が、半径方向のスポーク153の間の環状フレーム141内に形成されている。フィルタ104は、濾過開口部155をカバーするように環状フレーム141上に配置される。好適には、フィルタは、たとえばポリエステル製の非不織布繊維材料などの湿潤強度の高い材料で形成される。紙繊維織布を含むセルロース系材料等の防水性のセルロース系材料を含む他の材料を用いてもよい。紙繊維織布は、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、および/またはポリエチレン繊維と混ぜ合わせることができる。これらのプラスティック材料をセルロース系材料に取り込むことにより、セルロース系材料をヒートシール可能なものにすることができる。フィルタ104は、このように環状フレーム141にシールできるように、熱および/または圧力により活性化される材料を用いて処理または被膜することができる。
【0114】
図25の断面図で示すように、内側ハブ152は外側リム151より下方に配置され、その結果、環状フレーム141は傾斜した下側形状を有する。
【0115】
各スポーク153の上側表面には直立ウェブ154が配設され、直立ウェブは、環状フレーム141の上方にある何もない空間を複数の通路157に分割するものである。各通路157は、両方の再度をウェブ154で、下側表面をフィルタ104で形成される。通路157は、外側リム151から、ウェブ154の内側先端部により形成される開口部156における円筒状のフンネル140に向かって下方向に延び、フンネルの内部に延びるものである。
【0116】
円筒状フンネル140は、内側にある飲料注ぎ口143を包囲する内側外側チューブ142を有する。外側チューブ142は、円筒状フンネル140の外側部分を構成する。飲料注ぎ口143は、その上端部において、環状フランジ147を介して外側チューブ142に連結される。飲料注ぎ口143は、上側端部において通路157の開口部156と連通するインレット145と、下側端部において準備できた飲料をカップまたは他の容器に注ぐためのアウトレット144とを有する。飲料注ぎ口43は、チューブ143の上側端部に隣接して配置される折り曲げ部分166を含む段差状の形状を有するものである。
【0117】
図25を参照すると、飲料注ぎ口143には、アウトレット144から飲料注ぎ口143まで上方に延びる隔壁165が設けられている。隔壁165は、飲料が飲料注ぎ口143から供給されるとき、飲料の噴出および/またはしぶきの防止を支援するものである。
【0118】
リム167は、外側チューブ142を飲料注ぎ口143に接続する環状フランジから直立するように配置されている。リム167は、飲料注ぎ口143までインレット145を包囲し、リム167と外側チューブ142の上側部分との間に環状チャンネル169を形成する。リム167は、内側に延びた肩部168を有する。図25および図25aに示すように、リム167の周縁部に沿った1点において、開口部170がスロットの形態として配設され、このスロットはリム167の上端部から、肩部168の高さレベルより僅かに下方の位置まで延びている。このスロットの幅は、0.64mmである。
【0119】
図28および図28aに示すように、開口部170に対して周方向に位置合わせされた環状フランジ147に、空気取り込み口171が設けられている。フランジ147の下方にあって外側チューブ142と飲料注ぎ口143との間にある空間と、フランジ147の上方の1点とを連通させるために、空気取り込み口171は、フランジ147を貫通する開口部を有する。好適には、図示のように、空気取り込み口171は、上側円錐台部173と、下側円筒部172とを有する。空気取り込み口171は、典型的には、ピンなどの成型ツールを用いて形成される。空気取り込み口171が傾斜した形状を有するので、成型ツールを成型品からより容易に離型することができる。空気取り込み口171に隣接する外側チューブ142の壁部は、空気取り込み口171から飲料注ぎ口143のインレット145まで延びるシュート(落とし樋)を構成するように成形されている。図28aに示すように、傾斜した肩部174が空気取り込み口171とシュートとの間に形成され、スロット170から噴出する飲料ジェットが空気取り込み口171の直近にあるフランジ147の上側表面上を直ちに汚すことのないようにしている。
【0120】
内側部品103は、ポリプロピレンまたは同様の上記材料を用いて、外側部品102と同様に射出成形により、形成された単一の一体成形部品として形成することができる。
【0121】
択一的には、内側部品103および/または外側部品102は、生分解性ポリマを用いて形成してもよい。適当な材料の具体例として、分解性ポリエチレン(たとえば英国のボアハムウッド(Borehamwood)にあるSymphony Environmentalから供給されるSPITEK)、生分解性ポリエステルアミド(米国ミネソタ州にあるCargilから供給されるPLA)、デンプンをベースとしたポリマ、セルロース誘導体、およびポリペプチドがある。
【0122】
ラミネート105は、2つの層で構成されており、第1の層はアルミニウムからなり、第2の層は無延伸ポリプロピレンからなる。アルミニウム層の厚みは0.02mm〜0.07mmである。無延伸ポリプロピレン層の厚みは0.025mm〜0.065mmである。1つの実施形態では、アルミニウム層の厚みは0.06mmで、ポリプロピレン層の厚みは0.025mmである。このラミネート105は、組み立て時に丸まる(カーリング)することに対して高い抵抗力を有するので、とりわけ有利である。その結果、ラミネート105は、適正な大きさおよび形状に予め裁断し、歪ませることなく、製造ライン上の組み立てステーションに搬送することができる。したがって、ラミネート108は、とりわけ溶接するのに適している。PET/アルミニウム/PP、PE/EVOH/PP、PET/金属化物/PP、アルミニウム/PPのラミネートを含む他のラミネート材料を用いることができる。ダイカット式のラミネートストックの代わりに、ロール式ラミネートストックを用いることもできる。
【0123】
可撓性ラミネートの代わりに、剛体または半剛体の蓋を用いて、カートリッジ100を閉じるようにしてもよい。
【0124】
カートリッジ100の組み立ては、次のステップを有する。
a)内側部品103を外側部品102内に挿入し、
b)フィルタが円筒状フンネル140の上方に受容され、環状フレーム141に載置されるように、フィルタ104を裁断し、内側部品103の上に設置し、
c)内側部品103、外側部品102、およびフィルタ104を、超音波溶接により接合し、
d)1つまたはそれ以上の飲料原材料でカートリッジ100に充填し、
e)ラミネート105を外側部品102に添付する。
【0125】
これらのステップについて、より詳細に以下説明する。
外側部品103は、上方向に延びる開口底部112を有する。内側部品103は、外側部品102内に挿入され、外側リム151は、カートリッジ100の上面111における軸方向延長部114内に緩やかに適合する。外側部品102の円筒状延長部118は、同時に、内側部品103の円筒状フンネル140の上側部分内に受容される。
【0126】
円筒状延長部118の第3の部分121は、支持リム167の内側に配設されている。第2の部分120と第3の部分121の間にある円筒状延長部118の肩部132は、内側部品103の支持リム167の上側端部を支持している。接触領域は、内側部品103と外側部品102との間に形成され、円筒状延長部118と支持リム167との間に、カートリッジ100の周縁部のほぼ全体に延びるシール面を有する。ただし、支持リム167内のスロット107が支持リム167を貫通して、肩部168より僅かに下方の位置まで延びているので、円筒状延長部118と支持リム167との間のシール面は液密封止ではない。その結果、円筒状延長部118と支持リム167との間の接触嵌合により、スロット170を開口部に変換し、環状チャンネル169と飲料注ぎ口143との間において、ガスおよび液体の連通を可能とするものである。開口部は、典型的には、幅が0.64mmで、長さが0.69mmである。
【0127】
その後、フィルタ材料が環状リムに当接するように、フィルタ104を内側部品103の上方に設置する。そして超音波溶接プロセスを用いて、フィルタ104を内側部品103に接合するとともに、同一のプロセスステップで、内側部品103を外側部品102に接続する。内側部品103およびフィルタ104は外側リム151の周りを溶接される。内側部品103および外側部品102は、外側リム151の周りおよびウェブ154の上端部の溶接ラインを介して接続される。
【0128】
図29に最も分かりやすく図示されているように、外側部品102および内側部品103が一体に接続されて、環状フランジ141の下方であって、濾過チャンバを構成する円筒状フンネル140の外側に何もない空間を形成する。濾過チャンバ160、および環状フレーム141の上方にある通路157は、フィルタペーパー104により分離されている。
【0129】
濾過チャンバ160は、1つまたはそれ以上の飲料原材料200を収容する。1つまたはそれ以上の飲料原材料200は、濾過チャンバ160内に装填される。エスプレッソタイプの飲料については、原材料は焙煎して挽いたコーヒーである。濾過チャンバ130内の飲料原材料の装填密度は必要に応じて変えることができる。通常、フィルタ処理されたコーヒー製品については、濾過チャンバは、焙煎して挽いた5.0g〜10.2gのコーヒーを、通常5mm〜14mmの厚みを有する濾過ベッド内に収容する。任意ではあるが、内部空間106は、その内部を自由に移動できる1つまたはそれ以上の球体などの物体を収容して、飲料提供中に、乱流を形成し、または飲料原材料の塊を粉砕することを支援することができる。
【0130】
そしてラミネート105の周縁部に沿って接合部161を形成することにより、外側部品102にラミネート105を固着し、外側に延びたフランジ135の下側表面にラミネート105を接続する。接合部161は、入口チャンバ126の円筒状壁部127の下側端部に対してラミネート105を封止するように延びている。さらに、接合部162は、ラミネート105と、円筒状フンネル140の外側チューブ142の下側端部との間に形成される。ラミネート105は、濾過チャンバ160の下側端部を形成し、入口チャンバ126および円筒状フンネル140を封止する。ただし、飲料提供する前においては、ラミネート105と飲料注ぎ口43の下側端部の間に微小な隙間163が形成されている。ラミネート105の材料特性に依存して、熱接合および超音波接合などのさまざまな接合方法を用いることができる。
【0131】
有利なことに、内側部品103は、外側部品102とラミネート105の間に延びるものである。内側部品103は、ポリプロピレンなどの比較的に硬い材料で成形されている。そのため内側部品103は、カートリッジ100に圧力が加えられたとき、ラミネート105と外側部品102とが離間した状態に維持する機能を果たす負荷支持部品を構成する。カートリッジ100は、使用時には130N〜280Nの圧力負荷を受けることが好ましい。この圧力は、内部圧力下においてカートリッジが損傷しないように機能し、内部部品103と外側部品102を互いに押しつけるように作用する。これは、カートリッジ100を加圧している際、カートリッジ100内の通路および開口部の内部寸法を一定とし、変化させないようにするものである。
【0132】
使用時、加圧された水が、インレット107を介して入口チャンバ126へ、カートリッジ100内に入る。ここから、水は、スロット117からマニホールド116を回ってカートリッジ1の濾過チャンバ160に流れる。水は、濾過チャンバ160を介して半径方向内側に仕向けられ、その内部に収容された飲料原材料200と混合される。これと同時に、水は、飲料原材料200を介して上方向に仕向けられる。水が飲料原材料200の中を流れることにより形成された飲料が、フィルタ104およびフィルタ開口部155を通過して、環状フレーム141の上方に配置された通路157に流れる。
【0133】
半径方向の通路157に流れる飲料は、ウェブ154の間の通路157に沿って下方に流れ、開口部156を通り、円筒状フンネル140の環状チャンネル169に流れる。環状チャンネル169からの飲料は、飲料を濾過チャンバ160および通路157の内部に収集する飲料の負圧により、開口部128へ仕向けられる。こうして飲料は、開口部にジェットとして、飲料注ぎ口143の上端部により形成される拡張チャンバ内に流れるように仕向けられる。図29に示すように、飲料のジェットは、空気入口171の上方に直接的に流れる。飲料を開口部の狭窄部を通過させることにより、作られる飲料に圧力を加えることができる。飲料が飲料注ぎ口143に入るとき、飲料の圧力は依然として比較的に低い。このため空気が空気入口171を介して吸引されるとき、多数の微小な気泡の形態として飲料の流れの中に空気が取り込まれる。開口部から噴出する飲料ジェットは、下方の出口14へと集められ、飲料は開口部からカップなどの容器に供給され、このとき気泡が所望のクレマとして形成される。すなわち、開口部およびインレット171は一体として、空気を飲料に取り込むエダクタ(液体気体混合装置)を構成するものである。圧力損失を低減するために、飲料は、できるだけ滑らかにエダクタ内を流れるようにする必要がある。なお高圧状態においては、空気の取り込み機構を作動させない。
【0134】
スポーク153およびリム151の接合部の上方にあるフィルタ104は、外側部品に対して封止されているので、短絡することはなく、すべての飲料は確実にフィルタ104を通過させることができる。
【0135】
図30は、本発明に係る飲料調整マシン10に用いられる、第2の実施形態による飲料カートリッジ100を示すものである。第1および第2の実施形態に係る同様の構成部品は、同様の符号を用いて参照する。第2の実施形態に係るカートリッジ100の数多くの構成部品および機能が第1の実施形態のものと同一である。ただし図30から明らかなように、図29に示すカートリッジ100と比較すると、カートリッジ100が全体的に高くなっている。外側部品102の背丈が高いので、より大容量の空間を形成することができ、その内部に、より多量の飲料原材料200を収容することができる。したがって、第2の実施形態に係るカートリッジ100は、より多量の飲料を提供するのに適している。外側部品102およびカートリッジ100の直径は、第1の実施形態のものと同一である。典型的には、組み立てられたカートリッジ100の保管容量は、50ml〜58mlのプラスマイナス20%である。第1の実施形態と同様、外側部品102は、底部に把持表面118を含む凹部を有する。本発明によれば、表面118aとラミネート105の下側表面の間の間隔Dは、第1の実施形態の場合と同じである。このため、長く延びた凹部は、ラミネート105に向かう距離の約60%で延びる。有利なことであるが、これにより、以下に説明するように、用いられるクランプ構成を簡略化することができる。
【0136】
同様に、第2の実施形態に係るカートリッジ100は、エダクタ式の空気インレット171を有さない。
【0137】
第1および第2の実施形態による上記カートリッジ1は、エダクタ式または非エダクタ式のカートリッジの具体例として提供され、上記の改良された飲料提供装置とともに用いることができる。
【符号の説明】
【0138】
10…飲料調整マシン
100…カートリッジ(飲料原材料の包装容器)
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料調整マシンに関し、飲料原材料が包装された容器を利用するタイプの飲料調整マシンに関する。
【背景技術】
【0002】
17世紀以来、喫茶店(コーヒーハウス)は「コーヒー文化」の一部となっている。近年、コーヒーの製造方法は洗練され、熟練した者により最良のコーヒー飲料が提供されるようになっている。1800年初頭に最初のコーヒーマシン(コーヒー製造装置)が開発され、1830年代に自動エスプレッソマシンが発明された。その後、最近10年間は特に、コーヒー製造プロセスの自動化により、コーヒーハウス/コーヒーショップの数が急速に拡大し、エスプレッソやカプチーノなどのより専門的な飲料の需要が増大している。こうしたタイプの飲料は、良質のものを作る上で必要な高い圧力を生成できる高価で複雑な装置を必要とし、その装置が熟練したバリスタ(エスプレッソコーヒーをつくる専門職人)が適正に操作し、維持管理しなければならなかったことから、歴史的には贅沢品と考えられてきた。コーヒー愛好家は、優秀なマシンおよび良質のコーヒーを用いても、オペレータが未熟であると、エスプレッソを不味くしてしまうということに同意する。こうした潮流は、贅沢な最高品質の飲料に対する消費者の需要を喚起するだけでなく、より幅広い専門的な飲料に対する需要を増大し、さらに、こうした飲料を自らの家庭で作れるようにしたいという要求を増大させるものである。
【0003】
承認された技術的定義は存在しないが、ドリップ式コーヒーと比較して、バリスタ品質のエスプレッソは、飲料により多くの溶解固形物が含まれ、繊細な油摘成分が懸濁するため、より深い味わいを有するものと、一般に理解されている。その味わいは、飲料の10〜30%を構成する、口当たりがよく、しかも芳醇な濃赤褐色のクレマ(エスプレッソの液面に浮かぶきめ細かい泡)によるものである。クレマは、従前より9〜10バールとされる高温で生成されたコーヒーから抽出された空気、油分、蛋白質、および砂糖からなる多相の乳濁液である。圧力を上げると、コーヒーの濡れ性を増大させ、抽出度を改善するとともに、クレマが形成されやすくなる。
【0004】
舌が肥えているエスプレッソの愛好家によれば、最適温度より低い温度の水で作ったエスプレッソは酸味があり、最適温度より高い温度の水で作ったものは苦味があると云われている。最適温度とは92℃〜96℃の範囲内である。エスプレッソの品質に影響を与える他の要因として、コーヒー豆の焙煎および時間経過、挽いたときの粒径、コーヒーを入れる(醸造)前の圧縮度、および醸造時間が挙げられる。「最良の」エスプレッソは、醸造過程におけるこれらの主たる要因の調和を図ることにより実現される。
【0005】
家庭用コーヒーマシンは、最初のフィルタ式マシンが1960年代に発明されて以来、実質的な発展を遂げ、今や数多くの家庭における台所必需品となっている。こうしたマシンは、飲料原材料の大容量の供給源、またはポッド、パッド、カートリッジなどの飲料原材料の個別パッケージから取り出して、そのつど飲料を飲料容器に直接的に注ぐものである。以下において、こうしたパッケージは一般的な用語であるカートーリッジとして説明する。こうした洗浄する必要がないカートリッジを用いるマシンによれば、ユーザは、飲料を選択することができる。このようなカートリッジの1つの具体例が欧州特許出願公開第1440903号に記載されている。飲料は、飲料原材料を水に溶かし、懸濁させ、撹拌し、そして醸造することにより作製される。たとえばコーヒー飲料の場合、抽出溶液を作製するために、カートリッジに高温の水を通過させる。このようなマシンにおいて、カートリッジを用いることは、便利であり、作られた飲料の品質が良好であることから、ますます一般的なものとなっている。
【0006】
このようなタイプのカートリッジを用いた飲料調整マシンの具体例が欧州特許出願公開第1440644号に記載されている。このタイプのマシンは、中でも、家庭用ではなく、商業的または産業的なマーケットのために設計された当時の先行技術より低い圧力で操作される点において改善が見られた。したがって、家庭用マーケットのものとしては、費用、信頼性、および性能の点において、より適正なものであった。しかし、低い圧力で作動するマシンが直面する課題は、実質的に高い圧力を必要とせず、バリスタ品質のエスプレッソを提供することはできないという点にあった。
【0007】
しかしながら、消費者の需要の流れが変化したことに伴い、家庭用マシンであっても、熟練を要せず、手頃な価格であり、洗浄の必要性がほとんど、あるいは全くなく、バリスタ品質のエスプレッソを提供し、かつさまざまな他の飲料を提供するものに対する要請がある。
【0008】
より高品質の飲料を提供するというマーケットの要請に応える市販のマシンがいくつかあるが、さまざまな理由により、これらのマシンは比較的に高価なものである。こうしたマシンの具体例として、Gaggia L'Amante(登録商標)、Gaggia Evolution(登録商標)、Nespresso Delonghi Latissimma 660(登録商標)、およびKrups XN2101(登録商標)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1440903号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1440644号
【発明の概要】
【0010】
これらのマシンのほとんどは、構成が複雑な専用のカートリッジを必要とし、エスプレッソのブリュー過程で生じる高い圧力に耐え得るように特別の仕様を要するものである。これらのカートリッジは、一般に、フィルタを採用し、高い圧力下で飲料の所望の品質が得られるような形態を有するカートリッジを用いる。これは、マシンのために設計されたカートリッジの使用に制約を与えるものである。
【0011】
しかし、プレミアム品質のエスプレッソやエスプレッソ以外の飲料を選択可能で、好適には予め包装された飲料カートリッジを用いた飲料調整マシンに改良を加えることが望まれている。このマシンは、通常のブリュー装置(醸造装置)や他の非カートリッジ式マシンであってもよい。
【0012】
既存の低圧の飲料調整マシンで利用される、欧州特許出願公開第1440903号に記載された既存のカートリッジと互換性を有するマシンを提供することが望まれている。
【0013】
したがって本発明は、飲料調整マシンを用いて、1つまたはそれ以上の飲料原材料から飲料を調整する方法を提供するものであり、その方法は、調整される飲料の予定された特性を得るために、飲料調整マシンの搬送システムの少なくとも一部の内部に含まれる空気の容量を制御するステップを有することを特徴とするものである。
【0014】
調整される飲料において、液体に対する空気の比率を増大させるように空気の容量を増大させ、液体に対する空気の比率を低減させるように空気の容量を低減させ、あるいは空気の容量を維持することにより、ガスの容量を能動的に制御することが好ましい。
【0015】
搬送システムに追加的なガスを導入し、搬送システムから空気を排出し、そして/または搬送システムを浄化することにより、搬送システム内のガスの容量を制御することが好ましい。
【0016】
この方法は、好適には、搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を測定するステップを含む。
【0017】
搬送システムの内部に含まれるガスの実際の容量は、飲料調整マシンが最後に行った飲料調整の後に搬送システムの内部に残存するガスの容量に関する記憶されたパラメータから計算してもよい。
【0018】
空気の容量の制御は、飲料を調整する毎に行い、調整される飲料の種別に応じて自動的に行うことが好ましい。
【0019】
択一的には、ガスの容量の制御を手動で行う。
【0020】
飲料原材料の上流側または下流側にあるガスの容量を制御してもよい。
【0021】
飲料調整前および/または飲料調整中に搬送システム内のバルブ手段を選択的に開閉することにより、ガスの容量を制御することが好ましい。
【0022】
本発明は、1つまたはそれ以上の飲料原材料から飲料を調整する飲料調整マシンを提供するものであり、このマシンは、調整される飲料の予定された特性を得るために、飲料調整マシンの搬送システムの少なくとも一部の内部に含まれるガスの容量を制御する手段を有することを特徴とするものである。
【0023】
このマシンは、搬送システムの内部に含まれるガスの実際の容量を決定する手段を有することが好ましい。
【0024】
搬送システムの内部に含まれるガスの実際の容量を決定する手段は、飲料調整マシンが最後に行った飲料調整の後に搬送システムの内部に残存するガスの容量に関する記憶されたパラメータから、搬送システムの内部に含まれるガスの実際の容量を計算する手段を有していてもよい。
【0025】
好適には、記憶されたパラメータは、制御手段に記憶された基本容量パラメータを含み、基本容量パラメータは、未使用の飲料調整マシンまたは浄化サイクルが完了した飲料調整マシンの搬送システムの内部に含まれるガスの実際の容量である。
【0026】
記憶されたパラメータは、飲料調整マシンが調整するようにプログラムされた各種別の飲料を調整した後に、搬送システムの内部に残存するガスの実際の容量に関連するパラメータを含むものであってもよい。
【0027】
搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を決定する手段は、搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を測定する手段を含むことが好ましい。
【0028】
好適には、予定された範囲の飲料を調整するために搬送システムの内部に含まれる必要のある空気の予定された容量に関連するパラメータは制御手段に記憶され、制御手段は、飲料を調整するために必要な予定された容量と実際に含まれる容量との差異を計算するようにプログラムされている。
【0029】
ガスの実際の容量を制御する手段は、搬送システムから空気を排出するバルブ手段および/または浄化手段、および/または搬送システムの内部に追加的な空気を注入する手段を有するものであってもよい。
【0030】
好適には、バルブ手段は、飲料原材料の上流側および/または下流側にある出口バルブを有する。
【0031】
搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を変化させるために、飲料調整サイクルに関連してバルブ手段の操作を制御することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】従来式の飲料調整マシンの正面斜視図であって、カートリッジヘッドが閉口状態にあるときを示す。
【図2】図1の飲料調整マシンの正面斜視図であって、カートリッジヘッドが開口状態にあるときを示す。
【図3】図1の飲料調整マシンの背面斜視図であって、分かりやすくするためにいくつかの構成部品が省略されている。
【図4】図1の飲料調整マシンのカートリッジヘッドの正面斜視図であって、分かりやすくするためにいくつかの構成部品が省略されている。
【図5】図4のカートリッジヘッドの別の正面斜視図であって、分かりやすくするためにいくつかの構成部品が省略されている。
【図6】図4のカートリッジヘッドの側面断面図であって、飲料カートリッジを収容した閉口状態にあるときを示す。
【図7】図4のカートリッジヘッドの側面断面図であって、飲料カートリッジを収容した開口状態にあるときを示す。
【図7a】図4のカートリッジヘッドのためのゴムシールの平面図である。
【図8】新規な可変出口バルブを採用した図1の飲料調整マシンのさまざまな構成部品を示す概略図である。
【図9】図8の可変出口バルブを採用したカートリッジヘッドからの流れを概略的に示す断面図である。
【図10】図9の流出フローにおける可変バルブの1つの実施形態を示す正面断面図であって、閉口状態にあるときを示す。
【図11】図9の流出フローにおける可変バルブの1つの実施形態を示す正面断面図であって、開口状態にあるときを示す。
【図12】図9の流出フローにおける可変バルブの1つの実施形態を示す正面断面図であって、制限状態にあるときを示す。
【図13a】図9の流出フローで可変用いられる、択一的な可変出口バルブの正面端部断面図であって、開口状態にあるときを示す。
【図13b】図9の流出フローで可変用いられる、択一的な可変出口バルブの正面端部断面図であって、閉口状態にあるときを示す。
【図14】図13aのバルブの側面断面図である。
【図15】図13bのバルブの側面断面図である。
【図16a】改良されたガス制御システムを用いて得られた多量のクレマを含むコーヒー飲料を収容する飲料容器の側面断面図である。
【図16b】図16aに示す飲料を得る際に用いられたブリュー・パラメータを示す表である。
【図17a】改良されたガス制御システムを用いて得られた少量のクレマを含むコーヒー飲料を収容する飲料容器の側面断面図である。
【図17b】図17aに示す飲料を得る際に用いられたブリュー・パラメータを示す表である。
【図18】図1の飲料調整マシンで用いられるのに適した飲料カートリッジの平面図である。
【図19】図18の飲料カートリッジの外側部品の側面断面図である。
【図20】図19の外側部品の拡大側面断面図であって、内側に延びる円筒状拡張部を示す。
【図21】図19の外側部品の拡大側面断面図であって、スロットを示す。
【図22】図19の外側部品を上から見た斜視図である。
【図23】図19の外側部品を反対方向から見た斜視図である。
【図24】図19の外側部品を上から見た平面図である。
【図25】飲料カートリッジの内側部品の断面図である。
【図25a】図25の内側部品の拡大断面図であって、開口部を示す。
【図26】図25の内側部品を上から見た斜視図である。
【図27】図25の内側部品を反対方向から見た斜視図である。
【図28】図25の内側部品の別の断面図である。
【図28a】図25の内側部品の別の拡大断面図であって、空気インレットを示す。
【図29】組み立てられた状態にあるカートリッジの正面断面図である。
【図30】別の態様に係るカートリッジの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について、単なる具体例として以下説明する。
本発明は、異なる特性を有するさまざまなタイプの高品質飲料から所望のものを選択して提供できるように、これまでの飲料調整マシンに1つまたはそれ以上の実質的な改良点を加えるものである。これらの改良点は、高品質のエスプレッソを淹れる(作る)ために加圧維持すべき十分に高い圧力を実現し、ユーザの目には見えない圧力を変化させ、手作業による介在を必要としないものとすることである。さらに本発明は、従前実現されなかった点を改善することができる。
【0034】
これらの改善点について、以下詳細に説明する。
1.飲料カートリッジの下流側に調節可能な形態を有するバルブを配設することにより、飲料調整マシンを所定の範囲の圧力で作動させることができる。
2.飲料原材料の中を通過させるガスの量を制御することにより、提供される飲料、とりわけクレマを含む特定の飲料の最終的な様相をより緻密に制御することができる。
【0035】
上述の改善点について、添付図面の図1〜図7に示す既知の飲料調整マシン10を参照しながら説明する。ただし、こうした改善点は、上述のポッドやパッド、硬いまたはやや硬いカートリッジなどを含むさまざまなカートリッジを用いることができる広範な飲料調整マシンにおいて応用することができる。
【0036】
図1〜図3の飲料調整マシン10は、ハウジング11、タンク12、温水ヒータ13、制御プロセッサ(図示せず)、ユーザインターフェイス16、およびカートリッジヘッド17を有する。一般に、カートリッジヘッド17は、使用の際、飲料カートリッジ100およびカートリッジ認識手段20を保持するためのカートリッジホルダ18を有する。カートリッジヘッド17は、使用の際、飲料カートリッジ100に液体を注入するための入口107を穿つための入口穿孔部21と、飲料カートリッジ100から調整された飲料を取り出すための出口穿孔部22とを有する。
【0037】
たとえばコーヒーなどの飲料を点てる(調整する)ために一般に用いられる液体は水であるが、このマシン10は、飲料原材料200と撹拌するミルクまたはミルク調整品などを用いることができる。本明細書において水として説明するものは、飲料を調整するために用いられる任意の液体を含み得るものと理解されたい。
【0038】
ハウジング11の全体または一部は、適当なプラスティックまたは金属で形成されていることが好ましい。ハウジング11は、好適には、組み立て時、マシン10の構成部品を取り付けるためにアクセスできるように、前側半分25と後側半分26とを含む貝殻状構成を有する。
【0039】
ハウジング11の前側半分25は、飲料が提供されるディスペンス・ステーション27を形成し、ディスペンス・ステーションは下方に配置されたドリップトレイを含むカップスタンド23を有する。マシンのユーザインターフェイス16は、ハウジング11の前側半分に設けられ、スタート/ストップボタン28や数多くの状況インジケータ29〜32を含む複数の制御スイッチを有する。状況インジケータ29〜32は、発光ダイオード(LED)であることが好ましく、マシン10の準備状態にあること、マシン10の動作に誤作動が生じたか否か、およびマシン10の動作モードを表示する。LED29〜32は、一定の強度で発光するか、断続的に点滅するか、あるいはマシンの状態に依存して継続的または断続的に点灯するように制御することができる。LED29〜32は、緑色、赤色、および黄色を含むさまざまな色で発光するものであってもよい。スタート/ストップボタン28は、飲料供給サイクルの開始を制御するものであり、手で操作できる押しボタンまたはスイッチ等であることが好ましい。
【0040】
タンク12は、ハウジング11の後側半分に設けられ、好適には、ハウジング11の後側半分に内蔵されるか、接続されている。タンク12は、水または他の液体を充填するための注水口を有し、その注水口は、タンク12がマシン10内の所定位置にあるとき、閉じた状態にある。タンク12の下側部分には、ポンプ14と流体連通する排水口が設けられている。タンク12は、その内部に残る水の残量をユーザが視認できるように透明または半透明の材料で形成してもよい。択一的には、タンク12は、不透明な材料を用いて形成し、視認するための窓を設けてもよい。追加的に、または上記に代えて、タンク12は、低レベルセンサを設け、タンク内の液体レベルが所定レベルより低くなったとき、ポンプ14の作動を禁止し、任意的にはLED等の警告インジケータを点灯させるようにしてもよい。タンク12の内部容量は、約1.5リットルであることが好ましい。
【0041】
ポンプ14は、図8に示すように、タンク12およびヒータ13の間に作動可能に接続され、制御プロセッサで制御される。望ましいポンプは、6バールの圧力で900ml/分の流速を実現するものである。マシン10に流れる水の流速は、ポンプへの電源供給を周期的に停止することにより、ポンプ14の最大流速の一部の割合となるように、制御プロセッサで制御することができる。ポンプは、最大流速の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%のうちの任意の流速となるように制御することができる。ポンプで供給される水の容量の精度は、最初に供給される飲料のプラスマイナス5%以内で、最後に供給される飲料のマイナス5%以内であることが好ましい。容量流量センサ(図示せず)を、ポンプ14の上流側または下流側のいずれかに設けることが好ましい。好適には、容量流量センサは、ロータリセンサである。
【0042】
ヒータ13がハウジング11の内部に配設されている。1つの好適なヒータ13は、1550Wの出力定格を有し、当初約20℃であったポンプ14からの水を、通常の動作温度である85℃にまで1分間で加熱することができる。1つの飲料供給サイクルが完了した後、ヒータが次の飲料供給サイクルを開始できるまでの待機時間は、10秒以下であることが好ましい。ヒータは、飲料供給サイクル中、選択された温度をプラスマイナス2℃の範囲で維持する。飲料供給サイクルのための水は、所定の温度でカートリッジヘッド17に搬送される。ヒータ13は、供給温度を、通常80℃〜98℃の必要とされる温度であって、注水される水の温度より高くなるように迅速に調節することができる。所望される場合、マシン10は、スチームパージ(蒸気清浄)を採用してもよい。スチームパージを形成するための好適な手段は、勢いのあるフローを出す温水ヒータ(瞬間的フローを出すものとして知られたフラッシュヒータ)である。こうしたフラッシュヒータは、典型的には、水が貫通するチューブを有し、そのチューブは1つまたはそれ以上の抵抗部品により加熱されるものである。このフラッシュヒータは、飲料を作るためだけでなく、より高くパワーを設定して、飲料を作った後のフラッシュヒータチューブの残渣物を煮沸して取り除くためにも用いられる。フラッシュヒータの利点は、ボイラ内の水を加熱する上で、実質的な遅延が生じないことである。フラッシュヒータは、要求に応じて水を加熱し、各ブリュー(醸造)サイクル後直ちに給電を停止するので、エネルギ効率が極めてよい。
【0043】
ヒータ13から供給される水は、適当な搬送システムにより、バルブを介してカートリッジヘッド17およびカートリッジ100に供給される。水フローの圧力が許容できる場合は、水はカートリッジ100に流れる。圧力が所定の限界値より小さいとき、または大きい場合、バルブを介して廃棄回収容器に迂回させられる。
【0044】
搬送システムは(図8に示すように)、タンク12に接続された導管、水ポンプ14、水ヒータ13、およびカートリッジヘッド17を有し、水をタンク12からカートリッジ100に搬送する。
【0045】
カートリッジホルダ18は、カートリッジ100内の圧力により形成される(飲料がカプチーノである場合には約250kgである)開放力を操作できるように設計されている。マシン10の動作中、カートリッジ100は拡張しようとするが、その完全性は維持する必要がある。さらにユーザは、システムが加圧している間、カートリッジホルダ18を開放できないようにしておく必要があり、これを実現するために適当な固定機構が配置される。
【0046】
国際特許出願公開第2006/014936号に記載されているように、1つの好適なデザインによるカートリッジヘッド17を図4〜図7に示す。カートリッジヘッド17のカートリッジホルダ18は、固定された下側部分43、回転可能な上側部分44、および下側部分43と上側部分44の間に配置されたピボット回転可能なカートリッジ実装部45(カートリッジマウント)を有する。上側部分44、下側部分43、およびカートリッジ実装部45は、共通のヒンジ軸46の周りに回転する。図4〜図7は、図面を分かりやすくするためにマシン10のいくつかの構成部品を省略したときのホルダ18を示す。
【0047】
回転可能な上側部分44およびピボット回転可能なカートリッジ実装部45は、クランプ機構を用いて、固定された下側部分43に対して相対的に移動させることができる。クランプ機構は、第1および第2の部材または部品47,48を含むクランプレバーを有する。クランプレバーの第1の部品47は、ホルダ18の両側のそれぞれに設けた2つの第1のピボットポイント48において、上側部分44にピボット回転可能に取り付けられたU字状アームを有する。
【0048】
クランプレバーの第2の部品は、ホルダ18のそれぞれに設けた2つのオーバーセンタ・アーム49を有し、これらのアームのそれぞれは、上側部分44を下側部分43に連結するヒンジ軸46上に設けた第2のピボットポイント50において、上側部分44にピボット回転可能に取り付けられている。オーバーセンタ・アーム49のそれぞれは、シリンダ49a、ステム49b、および弾性スリーブ49cを含む往復移動部品である。シリンダ49aは、内部ボアを有し、一方の端部においてヒンジ軸46に回転可能に取り付けられている。ステム49bは、シリンダ49aのボア内に滑動可能に収容されている。ステム49bの他方の端部は、第3のピボットポイント51において、U字状アーム47に回転可能に取り付けられている。第3のピボットポイント51は、上側部分44を下側部分43に対して接続されず、自由に移動することができる。弾性スリーブ49cは、ステム49bの外側に取り付けられ、使用に際して、シリンダ49aおよびステム49bの隣接表面の間に延びている。弾性スリーブ49cは、オーバーセンタ・アーム49を短縮させるものであるが、オーバーセンタ・アーム49を拡張状態に付勢するものである。ステム49bがシリンダ49aの中を相対的に移動することにより、第3のピボットポイントがヒンジ軸46に対して移動することができる。弾性スリーブ49cは、好適には、シリコーン樹脂で形成されている。図示された実施形態は、2つのオーバーセンタ・アーム49を用いるが、明らかに、ただ1つのオーバーセンタ・アーム49を用いて、閉口機構を構成することができる。
【0049】
U字状アーム47は、ホルダ18の前方部分の周りに延びており、ホルダ18の両側のそれぞれにおいて下方に延びる2つのフック部品52を有し、各フック部品は、ヒンジ軸46に対向するカム表面を有する。ホルダ18の固定された下側部分43は、2つのボスまたはデタント53を有し、ボスは、フック部品52にほぼ位置合わせされた下側部分の前方端部54に隣接する、下側部分43の一方または両方の側部に配置される。
【0050】
図4に示すように、U字状アーム47は、人間工学的なハンドグリップおよびアーム47と一体成形されたフック部品52とを含む一体成形されたプラスティック成形品で形成されるものであってもよい。
【0051】
カートリッジ実装部45は、ホルダ18の上側部品43および下側部品44の間に回転可能に取り付けられている。カートリッジ実装部45には(以下詳細に説明するが)、使用の際、飲料カートリッジ100を受容する実質的に円形形状を有する凹部55が設けられている。凹部55は、飲料カートリッジ100のハンドル部分を収容する不規則部分56を有し、このハンドル部分は飲料カートリッジ100がホルダ18内で回転することを防止するためのものである。カートリッジ実装部45は、図7に示すように開口状態となるように、固定された下側部分43に対してばね付勢され、カートリッジ実装部45は、入口穿孔部21および出口穿孔部22との接触から離脱するように、固定された下側部分43との接触が外れるようにばね付勢される。カートリッジ実装部45には、カートリッジ実装部45が閉口状態に移動したとき、入口穿孔部21および出口穿孔部22とカートリッジ認識手段20とを受容する開口部57が設けられている。
【0052】
上側部分43は、円形視認窓59を含むほぼ円形状の本体部58を有し、消費者は、ディスペンス・サイクル中、この円形視認窓を介して、飲料カートリッジ100を視認することができ、そして飲料カートリッジ100がマシン10に装填されているか否かを確認することができる。この視認窓59は、カップ形状を有し、下向きに延びるリムを含む。さらに視認窓59には、図7に示すように、内側に延びる管状延長部61の形態を有するクランプ部品が設けられている。延長部61は、図6に示すように閉口状態にあるとき、カートリッジヘッドの容積内において下側部分44に向かって延びている。視認窓59は、上側部分43のハウジング58に対して相対的に軸方向に移動させることができる。こうした相対的な移動を実現する1つの構成は、視認窓59と円形ハウジング58との間に、波ばね(図示せず)またはゴム弾性リングなどの同様の弾性手段を配設することにより実現される。択一的な構成によれば、視認窓59とハウジング58との間に延びる一連の螺旋圧縮ばね(図示せず)が配置される。いずれの場合にも、弾性手段は、視認窓59に対して円形ハウジング58を微小角度だけ軸方向に移動させることができる。
【0053】
ホルダ18が閉口状態にあるとき、視認窓59の管状延長部61の遠位端が飲料カートリッジ100のクランプ表面に当接し、(より深いカートリッジを有するものとして図示された)図6に示すように、下側部分44に対して付勢する。外側部品102上の管状延長部61が与える圧力により、飲料カートリッジ100とホルダ18との間を液密に封止することができる。さまざまな深さを有する飲料カートリッジ100を挿入することができるように、視認窓59すなわちカートリッジヘッド17の高さを設定すべきである。図6には、比較的に深いカートリッジを有する装置が図示されている。また同一のカートリッジヘッド17は、より浅いカートリッジを収容することができる。この場合、飲料カートリッジ100の上側表面と視認窓59との間に間隙が形成される。ただし飲料カートリッジ100は、管状延長部61から付加される圧力により、入口および出口において完全に封止することができる。
【0054】
下側部分43は、入口穿孔部21および出口穿孔部22、ならびにカートリッジ認識手段20のヘッドを有する。入口穿孔部21は、使用の際、飲料カートリッジ100のラミネート108に孔を開けるための尖った端部64を含む針状の中空チューブ63を有する。入口穿孔部21は、図7に示すように、下側部分43を貫通し、温水ヒータ13の出口導管66に接続された水導管65と流体連通している。出口穿孔部22は、欧州特許出願公開第0389141号および欧州特許出願公開第0334572号に記載された出口穿孔部と同様のものであって、開口端部を含み、開口端部は、円形形状またはD字形状の断面を有し、その径が飲料提供注ぎ口109より大きいものである。出口穿孔部22の上側端部の弓状部分67は、鋸歯状に形成され、飲料カートリッジ100のラミネートを穿孔し、切除するものである。上側端部の残りの部分は、少なくとも鋸歯状の部分の歯68の土台までシリンダの長手方向に刈り込まれ、切除されたラミネート108は、飲料が提供される前に、折り畳まれるか、出口開口部から取り除かれる。出口穿孔部22は、飲料提供注ぎ口143の外側からラミネート105を穿孔し、カートリッジ実装部45が閉口状態にあるとき、飲料提供注ぎ口143と飲料提供フンネル(漏斗部)140との間に設置されるものである。出口穿孔部22は、切除されたラミネート105を環状のものに折り畳む。こうして、出口穿孔部22および切除されたラミネート105は、提供された飲料から取り除かれる。
【0055】
出口穿孔部22は、その周囲に比較して0.5mmだけ隆起した棚部により包囲されている。
【0056】
有利なことに、出口穿孔部22は、下側部分43から取り外して、たとえば皿洗い機等で完全に洗浄することができる。着脱可能な出口穿孔部22は、設置されたとき、下側部分43の凹部内に収容される。入口穿孔部21および/または出口穿孔部22は、ステンレス鋼の金属材料やプラスティック材料等で形成されている。有利なことに、非金属製材料で穿孔され、切除することができるラミネート105を使用することにより、プラスティック製の切除部品を使用することができる。結果として、入口穿孔部21および出口穿孔部22は、あまり鋭利なものとする必要はなく、消費者が傷つくリスクを低減することができる。さらにプラスティック製の穿孔部品は錆びることはない。好適には、入口穿孔部21および出口穿孔部24は、単体の、一体式のものであって、下側部品43から着脱可能なものである。
【0057】
使用に際し、ホルダ18の上側部分44は、図2に示すように、垂直方向に配向され、または垂直に向かう開口状態から、実質的に水平方向に配向され、または固定下側部分43およびカートリッジ実装部45と係合した閉口状態に移動することができる。上側部分44は、クランプレバーを操作することにより、開口状態から閉口状態に移動させることができる。上側部分44を閉じるためには、ユーザは、U字状アーム47によりクランプレバーを押さえ込む。その結果、上側部分44を回転させると、まず視認窓69の管状延長部61が飲料カートリッジ100のクランプ表面118aに当接する。さらに続けて上側部分44を回転させると、上側部分44およびカートリッジ実装部45が下方に降りてきて、下側部分に当接する。U字状アーム47をさらに回転させると、上側部分44および下側部分43に対してU字状アーム47を回転させることになり、上側部分44のフック部品52が、下側部分43のボス53と係合し、カム表面がボス53の上方を乗り上げる。回転動作の最終段階において、飲料カートリッジ100は、カートリッジ実装部45と視認窓59の間で圧縮される。その結果、視認窓59は、波ばねまたは螺旋ばねの付勢力に対抗して、上側部分44の円形状ハウジング58に対して僅かながら軸方向に移動する。このように移動することにより、飲料カートリッジ100および飲料調整マシン10に対する寛容性を得ることができ、飲料カートリッジ100に加わる圧縮力を一定の許容範囲内に維持することができる。この機構の把持力は、波ばねまたは螺旋ばねの作用により加減されるので、飲料カートリッジ100に対する把持圧力を確保することができる。カートリッジ100内の圧力に対抗するためには、150N〜400Nの力が必要であることが分かっている。カートリッジヘッドを閉口する際、カートリッジ100のラミネート105は、出口穿孔部22の周囲にある棚部に当接するので、張力が与えられる。このとき、円筒状フンネルの外側チューブ42の遠位端がフランジ147に対して0.5mmだけ上方に移動するので、ラミネート105は湾曲する。この移動により、カートリッジ100に加わる圧縮力の大部分は、カートリッジ100の中央領域を介して耐力内側部品103に作用する。こうした把持力により、加圧の際、飲料カートリッジ100の不具合を回避しやすくなり、内側部品103および外側部品102が互いに対して完全に設置され、内部加圧時においても、すべての内側の通路および開口部を意図した寸法に維持することができる。
【0058】
閉口状態において、管状延長部61の遠位端62と下側部品44との間隔が図6の参照符号Dで図示されている。この間隔は、視認窓59、ハウジング58、および下側部品44の寸法により決まる。距離Dは、把持表面118aとカートリッジ100の表面の下方にあるラミネート105との間の距離dと同一であるか、僅かながらより小さくなるように選択されている。このように、カートリッジヘッド17を閉口することにより、カートリッジ100が一定の既知の値の圧力に曝すことができる。さらに第1および第2の実施形態に係るカートリッジは、これら両方のタイプのカートリッジにおける距離Dが同一であるので、同一の圧力値で把持することができる。
【0059】
ホルダ18の第1および第2のピボットポイント48,50の間に、1つの仮想的な基準線を描くことができる。図7に示すように、開口状態にあるとき、第3のピボットポイント51は、固定された下側部分43に最も近い基準線側に配置されている。上側部分44が閉口状態に達すると、把持レバーの第3のピボットポイント51は、第1および第2のピボットポイント48,50を結ぶ基準線を通り越して、固定された下側部分43から最も離れた基準線の反対側に移動する。したがってU字状アーム47は、第1の安定状態から第2の安定状態に「飛び移る(snaps through)」ものである。飛び移り動作には、オーバーセンタ・アーム49を短くした後、弾性スリーブ49cが圧縮することを伴うものである。一旦、第3のピボットポイント51が仮想的な基準線を越えたとき、弾性スリーブ49cの復元力は、第3のピボットポイント51が仮想的な基準線からさらに離れるように作用する。すなわち把持レバーは、2つの安定した状態を有し、レバーは開口状態および閉口状態にあるとき安定しているが、第3のピボットポイントが第1および第2のピボットポイント48,50を結ぶ仮想的な基準線上にあるとき、不安定となる。把持レバーの飛び移り動作は、明確な閉口動作に導く積極的な閉口機構を提供し、把持レバーの回転の最終的な段階において、U字状アーム47および第2のアームの飛び移り動作により、フック部品52がボス53と確実に係合する。さらに第3のピボットポイント51を、第1および第2のピボットポイント48,50を結ぶ仮想的な基準線上を越えて元に戻すために、スリーブ49cを十分に圧縮する力はほとんど必要としないので、弾性スリーブ49cが上側部分44を再び開口するときの抵抗力を与える。有利なことに、レバーの回転によるものではなく、フック部品52とボス53とが相互係合することにより、上側部品および下側部品が分離することを防止することができる。これは、カートリッジヘッド17が内部加圧状態に曝されるとき、カートリッジヘッド17が開口しないようにすることができる点において有用である。
【0060】
上側部分44により加えられる圧力により、カートリッジ100とカートリッジホルダ18の間において、完全な液密封止が実現される。把持力は、加圧時におけるカートリッジ100の不具合を未然防止し、カートリッジ100の内部のすべての通路および開口部の寸法を、内部加圧時においても意図したものに維持することができる。カートリッジ100との液密性を改善するために、本願出願人は、カートリッジ実装部45の凹部55の周囲にゴムシール55aを配置することにより(図7a参照)、ブリュー・サイクル(醸造サイクル)中に形成されるより高い圧力に対して確実に耐え得るようにマシン性能を改善することができる。
【0061】
飲料調整マシン10の制御プロセッサを用いて、醸造サイクルを制御することができる。制御プロセッサは、演算モジュールとメモリとを有する。制御プロセッサは、ヒータ13,ポンプ14、ユーザインターフェイス16、および以下説明する他の構成部品と動作に可能に接続され、これらを制御するものである。
【0062】
マシン10の操作手順は、たとえば欧州特許出願公開第1440644号に記載されているように、制御プロセッサに組み込まれたソフトウェアにより決定される。制御プロセッサのメモリは、飲料調整マシン10に関し、1つまたはそれ以上の操作パラメータに対する1つまたはそれ以上の変数を有する。先行技術に係るマシンにおいては、一般に、飲料調整段階において飲料カートリッジ100を通過する液体の温度、飲料カートリッジ100への供給速度、蒸らしステップの有無、提供される飲料の全体量、醸造段階における液体の流速、および洗浄段階の時間が操作パラメータである。
【0063】
カートリッジ認識手段20の1つの目的は、中でも、挿入されたカートリッジ100のタイプを認識すること、これに応じて1つまたはそれ以上の操作パラメータを調節することにある。操作パラメータに対する変数はメモリに記憶される。カートリッジ100は、その飲料の最適なものを提供するために必要な操作パラメータを表すコードを有する。こうしたコードの具体例が欧州特許出願公開第1440644号に記載されている。
【0064】
制御プロセッサのメモリは、提供される飲料のタイプに関する情報を記録し、次のカートリッジ100のために、マシン10の操作サイクルを調整することができる。これは、2つまたはそれ以上のカートリッジ100を連続的に用いて飲料を作る場合に、とりわけ好都合である。たとえばコーヒーカートリッジの後に、ミルクカートリッジを提供して、カプチーノ飲料を作ってもよい。択一的には、チョコレートカートリッジの後に、ミルクカートリッジを提供して、クリーミィなホットチョコレート飲料を作ってもよい。最初に提供すべき飲料に関する情報を記憶することにより、ミルクカートリッジなどの2番目の飲料の提供手法を最適なものに変更することができる。上記具体例において、ホットチョコレートのために付加されるミルクは、通常、コーヒーに加えるミルクほどに希釈されることはない。さらに、飲料の泡の割合を小さくするために、チョコレートに付加されるミルクは、よりゆっくりとした流速で付加される。当業者には明らかなように、カートリッジの数多くの組み合わせが可能であり、数多くの操作パラメータが存在する。さらに、メモリを用いると、マシン10は、ユーザが次に提供する飲料のタイプを「推測」することができる。たとえばユーザが主に、1種類の飲料を飲む場合、マシンは、その飲料に最適な温度に水ヒータを維持させるように指示することができる。
【0065】
先行技術に係るマシン10における操作は、飲料カートリッジ100をカートリッジヘッド17に挿入し、飲料が提供されるブリュー・サイクルを実行し、マシンからカートリッジ100を取り除くことを含む。
【0066】
カートリッジ100を挿入するために、上述のように、カートリッジホルダ18を開口し、カートリッジ実装部45を露出させる。カートリッジ100は、凹部46内に収容されたカートリッジ実装部45の上に設置される。その後、上述のように把持ハンドル51を操作することにより、カートリッジホルダ18を閉じる。入口穿孔部および出口穿孔部がカートリッジに穿孔し、カートリッジの入口107および出口108を形成する。
【0067】
操作サイクルを開始するために、ユーザは、スタート/ストップボタン28を操作する。操作サイクルは、カートリッジを認識するステップと、飲料提供サイクルステップとを有する。
【0068】
カートリッジ認識ステップは、上述のようにカートリッジセンサおよびロックセンサからの信号で十分と仮定して、光学的なカートリッジ認識手段20を用いて実施される。バーコード40を複合化すると、制御プロセッサを用いて、マシン10の操作パラメータを調節する。ブリュー(醸造)サイクルを自動的に開始する。ブリュー・サイクルは、すべての飲料に対して必ずしもすべての段階(ステップ)を用いることはないが、主たる4つの段階を有する。
1.予備湿潤ステップ
2.待機ステップ
3.醸造ステップ
4.洗浄ステップ
【0069】
予備湿潤段階(ステップ)では、カートリッジ100は、ポンプ14を用いて貯蔵タンク12から液体を充填する。水を充填すると、チャンバ160内の飲料原材料200が水を含む(湿潤する)。充填ステップは、600ミリリットル/分の速い流速または325ミリリットル/分の遅い流速で実施される。より速い流速でポンプ送出できるようになる前に多少とも希釈する必要のある粘性の高い液体飲料原材料がカートリッジ100に含まれる場合に、とりわけ遅い充填流速は有用である。カートリッジ100内に注入される液体の容量は、この段階ではカートリッジ出口108から液体または飲料の滴が落ちないように選択される。
【0070】
待機段階(ステップ)は、予備湿潤段階中の所定の期間において注入された液体により、飲料原材料200を蒸らすことを可能にするものである。予備湿潤段階および蒸らし段階の両方により、飲料原材料200からの抽出可能物の収量を増大させ、飲料の香りを引き立たせることができることが知られている。とりわけ飲料原材料がローストして挽いたコーヒー豆である場合、予備湿潤段階および蒸らし段階は採用される。
【0071】
醸造段階において、飲料原材料200から飲料を作るために、液体をカートリッジに通過させる。液体の温度は制御プロセッサにより決定され、制御プロセッサは、ヒータ13に指示して、タンク12からカートリッジヘッド17に流れる液体を加熱する。液体は、入口バルブおよび入口穿孔部を介してカートリッジホルダ18内に入り、飲料カートリッジ100の入口チャンバ126の内部に流れる。調整された飲料がカートリッジの出口104から排出され、出口バルブ37に入り、ディスペンス・ステーション27内の好適な位置に配置された容器に提供される前に、飲料カートリッジ100内における飲料をブリュー(醸造)および/または撹拌は、欧州特許出願公開第1440644号に記載されているように行われる。
【0072】
洗浄サイクルの間、温水ヒータ13の温度は、システム内の他の部分にある水を蒸気に変換できるように十分に高く維持され、加圧蒸気は、飲料調整マシン10および飲料カートリッジ100を介して吹きつけられる。これにより、すべての飲料が供給され、流路が洗浄され、別の飲料を提供することができる。洗浄サイクルは、流体の大部分を用いて流路を洗浄できるように、醸造および/または撹拌段階が終わっても直ちに開始しない
【0073】
操作サイクルが完了すると、マシン10は自動的に停止し、消費者はカートリッジホルダ18を開き、手動でカートリッジ100を取り出し、廃棄することにより、カートリッジ100を取り除く。択一的には、マシン10は、カートリッジホルダ18を開いて自動的にカートリッジを取り除く自動排出機構を有していてもよい。
【0074】
上述の既知の飲料調整マシン10に対する第1の重要な改善点は、カートリッジの後の圧力制御を行うために、カートリッジ出口に隣接して形態可変バルブ60(図9〜図15)を設けたことにある。これにより、カートリッジ100は、カートリッジ認識手段20により特定されたカートリッジの飲料原材料が必要とするブリュー(醸造)サイクルのタイプに依存して、高い圧力、低い圧力、または醸造サイクル中の変動する圧力を選択して醸造することができるので、マシン10は広範な種類の飲料を作ることが可能となり、自動化された圧力可変システムを提供することができる。改良されたマシンは、たとえば0バールから9バールの範囲、好適には0バールから6バールの範囲の圧力で飲料を提供することができる。
【0075】
形態可変バルブ60は、カートリッジ100の下流側に配置され、飲料出口37の内部に配置されることが好ましく、これはカートリッジヘッドの下側部分43に部分的に収容され、下側部分から突出する(図6および図7参照)。バルブ60は、少なくとも開口状態、制限状態、および好適には、以下に示すすべての状態を有するものである。
1.開口状態(図11)
2.制限状態(図12)
3.閉口状態(図10)
4.洗浄/浄化状態
【0076】
出口バルブ60として、ボールバルブ、ピンチバルブ、スリーブバルブ、シートバルブ、またはディスクバルブなどのさまざまなタイプのバルブを用いることができる。図10〜図12に示す実施形態は、飲料出口37内のチャンバ70に配設された回転部品69を有するボール型バルブである。回転部品69は、予め設定された複数の位置の間で回転して、必要とされる状態を提供することができる。非制限状態にあるバルブ60のボアの直径は、たとえばカートリッジ100が低圧フィルタ飲料を提供するためには、少なくとも5mmであることが好ましい。
【0077】
択一的な好適なバルブは、図13〜図15に示すピンチバルブであり、好適にはシリコーンゴムまたはエラストマ材料で形成された可撓性チューブ71と、クランプ機構72とを有する。非制限状態において(図13aおよび図14)、飲料はチューブ71の中を自由に流れる。クランプ機構72は、制限状態(図13bおよび図15)および閉口状態となるように作動する。
【0078】
バルブ60は、マシン10の制御プロセッサにより自動的に制御される。バーコード40を復号化することにより、マシン10に挿入されたカートリッジ100を認識すると、制御プロセッサは、適正な初期設定を選択し、適当ならば、関連する飲料タイプに対するバルブ60の任意の一連の動作を制御する。
【0079】
マシン10は、所定範囲のモードで作動することができ、バルブ60は、以下の具体例で示すように、1つまたはそれ以上の状態に作動することができる。
【0080】
1.ブリュー・サイクルを通じてバルブを開口する。
バルブ60が開口状態にあるとき、動作圧力は2バール以下で、安定した状態で400ミリリットル/分未満の流速を実現する。欧州特許出願公開第1440644号に記載されたものと同様の条件下で飲料を提供することができる。このモードは、紅茶、泡立てたミルク、またはホットチョコレート等の低圧飲料を提供するための既存のカートリッジを用いる旧式のマシン10として利用する場合にとりわけ有用である。
【0081】
2.ブリュー・サイクルを通じてバルブを制限する。
バルブ60が制限状態にあるとき、カートリッジ100内において4バール未満、6バール未満、または9バール未満の比較的に高い動作圧力で、60ミリリットル/分〜300ミリリットル/分の流速を実現する。これは、エスプレッソを作るために必要とされる、飲料原材料200に含まれる固形物の抽出および油成分の乳化を実現する上で十分なものである。この結果として、飲料出口37を制限することにより、バルブ60に流れる飲料に対する剪断効果および撹拌効果をもたらし、良好な空気/液体の乳化作用が得られ、改善されたクレマを実現することができる。有利なことに、このモードを用いると、撹拌効果を実現するために空気を取り込む手段を有さないカートリッジ100、いわゆるノンエダクタ・カートリッジ(non-eductor cartridges)から、エスプレッソおよびカプチーノなどのより高圧の飲料を提供することができる。
【0082】
3.バルブを閉口した後に制限する。
ブリュー・サイクルの開始後(予備湿潤サイクル中であって、ポンプ14が作動する前に)直ちにバルブ60を閉じると、バルブ60を制限状態にした場合に比して、カートリッジ100内においてより高い圧力を形成することができる。
【0083】
バルブを閉口した後に開口するか、あるいはバルブを閉口し、制限した後に、開口する等、実現すべき所望の効果に応じて、さらなる組み合わせも適当である場合がある。
【0084】
必要ならば、ブリュー・サイクルの全体または一部において、バルブ60をさまざまな状態に小刻みに変動させてもよい。飲料提供サイクルにおいて、このようにバルブを操作することにより、徐々に変わる色および/または気泡の大きさ(graduated colour and/or bubble size)を有するクレマが形成された飲料を提供することができる。
【0085】
洗浄サイクル中、制御プロセッサは、バルブ60を制御して、ディスペンス・ステーションではなくドレン領域に蒸気を迂回して噴出し、飲料の見栄えを保存し、混入を防止することができる。
【0086】
上述の既知の飲料調整マシン10に対する第2の重要な改善点は、ガス管理に関連するブリュー制御システムを導入したことにある。驚くべきことに、本願出願人は、このタイプの飲料調整マシン10で作った飲料の特性に対する改善が、先行技術に係るマシンの限界を超えるものであることを見出した。驚くべき効果は、飲料を作る過程において、搬送システムにおけるガスの容積を制御することにより実現され、最終的な飲料における微細な層から驚くほどに深い層に至るまで変化するように飲料に対するクレマの量を制御して、高品質クレマの量を指定することができる。本願出願人は、飲料調整マシン内のガスをうまく利用して、液体に対するガスの比率を変え、良質の安定したクレマがこれまでのマシンでは実現できなかった驚くほど多量に飲料に含ませることができた。搬送システムにより多量のガスを内在させることにより、ブリュー過程および供給過程において、液体に対するガスの比率を遙かに大きくすることができ、ひいてはより多くのクレマを形成することができる。ガスの量を低減することにより、ガスの比率を小さくし、クレマの量を低減することができる。気泡の大きさも同様に、液体に対するガスの比率に影響を受け、この比率が小さいと、目の詰まったクリーミィなクレマが得られ、この比率が大きいと、目の粗い泡だったクレマが得られる。上記改善により、供給すべき飲料のそれぞれに対して、クレマ量および気泡の大きさを最適化する機能を実現することができる。このタイプの既知の飲料調整マシンでは実現されなかったことであるが、ガス量を操作することにより、172ミクロン以上の大きさを有する気泡の発生を最小限に抑制しつつ、飲料の容量の25%以上のクレマを含む良質のエスプレッソを作ることができることを本出願人は確認した。
【0087】
上記改善は、ブリュー・サイクルを制御して、タンク12から飲料原材料200および供給出口まで水を搬送する搬送システム内のガス容量を管理する手段を設けることにより実現することができる。本願明細書において、搬送システムとは、その任意の所定部分を含むものとし、たとえば温水ヒータ13からカートリッジ100まで延びる部分を含み、関連のある場合には、カートリッジ100のヘッドスペース内に含まれるガスを含むことを意図するものである。
【0088】
任意の所与のマシン10の搬送システムに内在し得るガスの「基本容量」は、その構成に依存する。任意の時間における「実際の容量」は、マシン10が飲料を作るために使用中であるか否か、作っている飲料の種別、および蒸気による洗浄サイクルを実行したか否かに応じて変化する。すなわち、ブリュー・サイクル制御の改善点は、すでに存在する実際のガス容量を考慮して、供給すべき飲料の種別(よりきめ細かいクレマおよびより少ない気泡を要求するもの、あるいはより大粒のフロスおよび多くの気泡を要求するもの)に応じて、搬送システム内のガス容量を変更する手段を採用することを含む。ガス容量を変更する手段は、以下の組み合わせにより実現することができる。
1.液体に対するガスの比率を増大させるために、ブリュー・サイクル完了後、次の高圧のブリュー・サイクルに入る前に、搬送システムを洗浄するステップ。
2.液体に対するガスの比率を低減させるために、高圧のブリュー・サイクルに入る前に、搬送システムからガスを排気するステップ。
3.液体に対するガスの比率を増大させるために、高圧のブリュー・サイクルに入る前に、搬送システム内にガスを導入するステップ。
【0089】
搬送システム内のガス容量を低減するためにバルブ手段を設け、搬送システム内にガス(通常、空気)を注入するために空気ポンプを設ける。カートリッジ100の上流側または下流側に、個別の専用空気バルブを搬送システム内に設けてもよい。好適には、上述の形態可変バルブ60バルブ手段として用いてもよい。
【0090】
このようにブリュー・サイクル制御を改善するために、基本的なマシン10に関連して上記説明した追加的なパラメータを制御プロセッサのメモリに記憶させてもよい。これらの追加的なパラメータは、マシン10の特定の配置構成におけるガスの基本容量(使用していないマシン10または洗浄後のマシン10に適用されるガスの基本容量)と、特定の飲料それぞれに関し、クレマを最適化するために高圧のブリュー過程で必要とされる容量とを含む。好適には、追加的パラメータには、マシン10が実施できる各ブリュー操作の完了後に搬送システムに内在するガスの実際容量が含まれる。ただし、飲料を提供する毎に蒸気洗浄サイクルを実行するようにマシンをプログラムしたとき、これは実際の容量を基本容量に効果的にリセットするものであり、温水ヒータ13の下流側にある供給システムから残りの液体が洗い流されるので、必ずしも必要なことではない。
【0091】
したがってブリュー・サイクルは、予備湿潤サイクルの前に追加的ステップ、すなわちガス調整サイクルを有する。このガス調整サイクルは、以下の過程を含む。
1.提供すべきタイプの飲料が必要とするガス容量の評価。
これは、カートリッジコード120に付随する要求パラメータについて、プロセッサのメモリから選択することにより、最も簡便に得られる。
2.マシン10の最近過去の操作に基づいて搬送システム内に現在残っている実際のガス容量の特定。
これは、未使用のマシンまたは洗浄サイクルを行った後のマシンに対する基本容量である。マシンを用いて飲料を提供した後、洗浄サイクルが実施されなかった場合、プロセッサは、最近過去に作った飲料に基づいて、内在するガスに関するパラメータをメモリから理想的に選択する。択一的には、任意のタイミングポイントにおいて、搬送システム内のガス容量を特にモニタする手段を設けてもよい。
3.必要量を得るために、搬送システムに導入または換気すべきガス容量の計算。
4.必要に応じて、追加的ガス(通常、空気)の導入または過剰ガスの排気による、ガス容量の調整。
【0092】
1つの具体例において、飲料提供マシン10は、温水ヒータ13と飲料原材料200との間に延びる搬送システムの領域において36ミリリットルのガス基本容量を有する。
【0093】
上記ステップ3の結果、または用いられるバルブ手段の種類に依存して、上記ステップ4に関して、数多くの異なる態様がある。バルブ手段がカートリッジの下流側にあるとき、すなわち出口バルブであるとき、高圧ブリュー過程前に、飲料原材料200より上流側にある空気の容量を制御する1つの方法は、以下のように、ブリュー・サイクルにおける異なるポイントで出口バルブを閉口することである。
【0094】
1.適正なガス容量が存在する。
プロセッサは、コード120を読み取り値から決定されるように、供給すべき飲料に対して十分な基本容量(36ミリリットル)のガスを要求することを計算した場合、温水ヒータ13から水が入り込む前のブリュー・サイクルの開始時点において出力バルブを閉じる。これは、搬送システムのガス圧縮が直ちに始まり、予備湿潤および蒸らしサイクル中において、カートリッジがより高い圧力に曝され、できあがった飲料を供給する際にのみ開口することを意味する。ポンプ14が作動する前に出口バルブが閉口するので、閉じ込められたガスのすべて(36ミリリットル)が、できあがった飲料の中に混ぜ合わされ、より多くの多少粗いクレマが得られる(図16a)。図示された具体例では、ガラス製の平らな底を有する目盛付きビーカにあるクレマの容量Yは20ミリリットルであり、これに比較して液体の容量Xは50ミリリットルであった。
図16bに示す表は、このモードで、テスト条件下で多量のクレマを含む飲料を作るときに用いられるブリュー・サイクルのパラメータの一例を示すものである。
この表において、0秒の停止条件(たとえばガス抜きステップに対して)、そのステップは実施されない。
【0095】
2.過剰なガス容量が存在する。
一方、少量のクレマを含む飲料が挿入されたカートリッジ100により指定され、搬送システム内に過剰なガスが存在する場合、搬送システム内の過剰なガスが低圧で出口バルブから排出されるまでの短い時間、ポンプ14が作動した後に、出口バルブは閉口する。ブリュー・サイクルの後半にバルブを閉口すると、必要量のガスがカートリッジ100を介して大気中に排気され、より少量のガスが閉じ込められ、圧縮され、高圧ブリュー過程中に飲料の中に混合されて、より少量のよりきめ細かなクレマが得られる(図17a)。図示された具体例では、ガラス製の平らな底を有する目盛付きビーカにあるクレマの容量Yは5ミリリットルであり、これに比較して液体の容量Xは50ミリリットルであった。
図17bに示す表は、このモードで、テスト条件下で少量のクレマを含む飲料を作るときに用いられるブリュー・サイクルのパラメータの一例を示すものである。
【0096】
3.不十分なガス容量が存在する。
ステップ3において、より多量のガスを導入する必要があると判断されたとき、出口バルブを直ちに閉口し、不足分が補填されるまで、空気ポンプを作動させる。その後、高圧ブリュー過程を開始する。
【0097】
次のグラフは、ガス量制御システムを用いた本発明に係る飲料調整マシン10で作ったクレマの特性と(装置A)、当該ガス量制御システムを用いない従来技術に係る2つの飲料調整マシンで作ったクレマの特性と(装置B、装置C)を比較するデジタル式の分析イメージである。ピーク値より右側(気泡の直径が約172ミクロンより大きい領域)におけるグラフの形状を比較すると、装置Aにおいて、クレマに含まれる微小気泡の分布が極めて狭いことが明らかである。装置Cは、Nespresso Latissimmaの登録商標で知られ、約19バールの加圧範囲を有し、9〜15バールの圧力で作動する高圧マシンであるが、より直径の大きい数多くの気泡を含むクレマを、幅広い/粗い分布を形成する。一方、装置Bは、本願出願人によるTassimo/Boschの登録商標で知られ、欧州特許出願公開第1440644号で記載されたマシンと同様の2バール以下の圧力で作動する低圧マシンであり、装置Cにおいて認められた気泡より大きな気泡は認められなかったが、依然として気泡が粗い。
【0098】
【表1】
【0099】
グラフの左端(極めて微小な気泡)は、質的には類似するが、このグラフを作るために用いられたイメージ分析システムの限界値を表すものである。
【0100】
ユーザが押下するのに適したボタンを用いることにより、またはユーザが作るべき飲料の種類およびクレマの特性を指示することにより、飲料調整マシン10におけるガス量制御を実施することができる。
【0101】
カートリッジ100を用いる飲料調整マシン10を参照しつつ、本発明に係る改善点を設類したが、一般的なブリュー装置や、他の非カートリッジ式の装置にも用いることができる。
【0102】
図18〜図30は、上述の改善点を有するマシン10で用いられるのに適したカートリッジ100の実施形態を示すものである。
【0103】
カートリッジ100は、一般に、外側部品102と、内側部品103と、およびラミネート105とを有す。外側部品102、内側部品103、およびラミネート105は、カートリッジ100を形成するように組み立てられ、カートリッジは、1つまたはそれ以上の飲料原材料を収容する内部空間106と、インレット(入口)107と、アウトレット(出口)108と、内部空間106を介してインレット107をアウトレット108に連通する飲料流路とを有する。インレット107およびアウトレット108は、当初、ラミネート105により封止され、使用の際、ラミネート105を穿刺または切除することにより開口される。飲料流路は、以下説明するように、外側部品102、内側部品103、およびラミネート105の空間的な相互関係により規定される。カートリッジは、以下に説明するように、フィルタ104などの他の構成部品を有するものであってもよい。
【0104】
以下説明する第1の態様に係るカートリッジ100を図19〜図29に示す。第1の態様に係るカートリッジ100は、焙煎して挽いたコーヒーなど、クレマを形成することが好ましいエスプレッソタイプの飲料を提供するために特に設計されたものである。ただし、この態様に係るカートリッジ100は、ホットチョコレート、コーヒー、紅茶、甘味飲料、コーディアル飲料、香料飲料、アルコール飲料、フレーバーミルク、フルーツジュース、スカッシュ、ソース、およびデザートを含む他の飲料を作る溜めに用いることができる。
【0105】
図23から明らかなように、カートリッジ100の全体的形状は、ほぼ円形状または円板状であり、その径はその高さより実質的に大きい。図19に示すように、主要軸Xは、外側部品の中心を貫通するものである。通常、外側部品102の全体的な直径は、74.5mmプラスマイナス6mmであり、全体的な高さは、16mmプラスマイナス3mmである。組み立てられた後のカートリッジ100の容量は、通常、30.2mlプラスマイナス20%である。
【0106】
外側部品102は、一般に、ボウル(椀)状シェル110からなり、湾曲した環状壁部113と、閉口上部111と、開口底部112とを有する。閉口上部111から閉口底部112に横断する際、環状壁部113がフレア開口しているため、外側部品102の閉口上部111の直径は、閉口底部112の直径より小さい。環状壁部113および閉口底部112は一体となって、内部空間134を有する容器を形成する。
【0107】
中空の内側に延びる円筒状延長部118は、主要軸X上に中央な配置された閉口上部111に形成されている。図20でより明らかに示すように、円筒状延長部118は、第1の部分119、第2の部分120、および第3の部分121を含む段差形状を有する。第1の部分119は真円の円筒形状を有する。第2の部分120は円錐台形状を有し、内側に傾斜している。第3の部分121は同様に真円の円筒形状を有し、底面131により封鎖されている。第1の部分119、第2の部分120、および第3の部分121の直径は、徐々に小さくなっているため、閉口上部111から円筒状延長部118の閉口底面131に横断するにつれ、円筒状延長部118の径が小さくなる。第2のおよび第3の部分120,121の間にある接続部において、ほぼ水平の肩部132が円筒状延長部118上に形成される。
【0108】
外側に延びる肩部133は、閉口底部112に向かって、外側部品102内に形成される。外側に延びる肩部133は、環状壁部113と同心円を有する第2の壁部115を形成し、第2の壁部115および環状壁部113の間のマニホールド116を形成する環状トラックを構成する。マニホールド116は、外側部品102の周縁部に沿って延びる。一連のスロット117が環状壁部113であって、マニホールド116と同じ高さ位置に設けられ、マニホールド116と外側部品102の内部空間134との間で気体および液体を連通させることができる。図21に示すように、スロット117は、環状壁部113の垂直スリットを有する。20〜40個のスリットが設けられる。図示された実施形態において、通常、37個のスロットがマニホールド116の周縁部に沿って等間隔で配置されている。スロット117は、好適には、1.4mm〜1.8mmの長さを有する。典型的には、各スロット117の長さは、外側部品102の全体的な高さの10%に相当する1.6mmである。各スロット117の幅は、0.25mm〜0.35mmである。典型的には、各スロット117の幅は0.3mmである。保管時または使用時に、飲料原材料がスロットからマニホールド116に流出することを防止するために、スロット117の幅は十分に狭いものとなっている。
【0109】
入口チャンバ126が外側部品102の周縁部であって、外側部品102内に形成されている。図23に明確に示されているように、外側部品102の内部空間134内に入口チャンバ126を構成し、入口チャンバ126を内部空間134から分離する円筒状壁部127が配設されている。円筒状壁部127は、主要軸Xに垂直な平面上に形成された閉じた上側表面128と、上側部分102の底部12と同一平面上にある開いた下側端部129とを有する。図19に示すように、入口チャンバ26は、2つのスロット130を介してマニホールド116と連通する。択一的には、1つないし4つのスロットのスロットを用いて、マニホールド116と入口チャンバ126との連通を実現する。
【0110】
外側に延びる肩部133の下側端部には、外側に延びるフランジ135が設けられ、これは主要軸Xに対して垂直に延びている。典型的には、フランジ135は2mm〜4mmの幅を有する。フランジ135の一部を拡張させて、ハンドル部124を構成し、これを用いて、外側部品102を保持するようにしてもよい。ハンドル部124は、上方向に延びるリム125を有し、把持しやすくすることができる。
【0111】
外側部品102は、高密度のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、またはこれらの材料からなる1つまたは複数のものの積層体である単一の一体成形品で形成される。好適なポリプロピレンは、英国レディッシュ(Redditch, United Kingdom)にあるDSM UK株式会社から市販されているポリマである。外側部品は、不透明、透明、または半透明であってもよい。製造プロセスは、射出成形プロセスであってもよい。
【0112】
図25〜図28に示す内側部品103は、環状フレーム141と、下方向に延びる円筒状フンネル(漏斗部)140とを有する。図25に示す用に、主要軸Xは内側部品103の中心を貫通する。
【0113】
図26および図27に最もよく図示されているように、環状フレーム141は、外側リム151と、等間隔で配置された半径方向のスポーク153により外側リムに接続された内側ハブ152とを有する。内側ハブ152は、円筒状フンネル140から延び、これと一体に形成されている。濾過開口部155が、半径方向のスポーク153の間の環状フレーム141内に形成されている。フィルタ104は、濾過開口部155をカバーするように環状フレーム141上に配置される。好適には、フィルタは、たとえばポリエステル製の非不織布繊維材料などの湿潤強度の高い材料で形成される。紙繊維織布を含むセルロース系材料等の防水性のセルロース系材料を含む他の材料を用いてもよい。紙繊維織布は、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、および/またはポリエチレン繊維と混ぜ合わせることができる。これらのプラスティック材料をセルロース系材料に取り込むことにより、セルロース系材料をヒートシール可能なものにすることができる。フィルタ104は、このように環状フレーム141にシールできるように、熱および/または圧力により活性化される材料を用いて処理または被膜することができる。
【0114】
図25の断面図で示すように、内側ハブ152は外側リム151より下方に配置され、その結果、環状フレーム141は傾斜した下側形状を有する。
【0115】
各スポーク153の上側表面には直立ウェブ154が配設され、直立ウェブは、環状フレーム141の上方にある何もない空間を複数の通路157に分割するものである。各通路157は、両方の再度をウェブ154で、下側表面をフィルタ104で形成される。通路157は、外側リム151から、ウェブ154の内側先端部により形成される開口部156における円筒状のフンネル140に向かって下方向に延び、フンネルの内部に延びるものである。
【0116】
円筒状フンネル140は、内側にある飲料注ぎ口143を包囲する内側外側チューブ142を有する。外側チューブ142は、円筒状フンネル140の外側部分を構成する。飲料注ぎ口143は、その上端部において、環状フランジ147を介して外側チューブ142に連結される。飲料注ぎ口143は、上側端部において通路157の開口部156と連通するインレット145と、下側端部において準備できた飲料をカップまたは他の容器に注ぐためのアウトレット144とを有する。飲料注ぎ口43は、チューブ143の上側端部に隣接して配置される折り曲げ部分166を含む段差状の形状を有するものである。
【0117】
図25を参照すると、飲料注ぎ口143には、アウトレット144から飲料注ぎ口143まで上方に延びる隔壁165が設けられている。隔壁165は、飲料が飲料注ぎ口143から供給されるとき、飲料の噴出および/またはしぶきの防止を支援するものである。
【0118】
リム167は、外側チューブ142を飲料注ぎ口143に接続する環状フランジから直立するように配置されている。リム167は、飲料注ぎ口143までインレット145を包囲し、リム167と外側チューブ142の上側部分との間に環状チャンネル169を形成する。リム167は、内側に延びた肩部168を有する。図25および図25aに示すように、リム167の周縁部に沿った1点において、開口部170がスロットの形態として配設され、このスロットはリム167の上端部から、肩部168の高さレベルより僅かに下方の位置まで延びている。このスロットの幅は、0.64mmである。
【0119】
図28および図28aに示すように、開口部170に対して周方向に位置合わせされた環状フランジ147に、空気取り込み口171が設けられている。フランジ147の下方にあって外側チューブ142と飲料注ぎ口143との間にある空間と、フランジ147の上方の1点とを連通させるために、空気取り込み口171は、フランジ147を貫通する開口部を有する。好適には、図示のように、空気取り込み口171は、上側円錐台部173と、下側円筒部172とを有する。空気取り込み口171は、典型的には、ピンなどの成型ツールを用いて形成される。空気取り込み口171が傾斜した形状を有するので、成型ツールを成型品からより容易に離型することができる。空気取り込み口171に隣接する外側チューブ142の壁部は、空気取り込み口171から飲料注ぎ口143のインレット145まで延びるシュート(落とし樋)を構成するように成形されている。図28aに示すように、傾斜した肩部174が空気取り込み口171とシュートとの間に形成され、スロット170から噴出する飲料ジェットが空気取り込み口171の直近にあるフランジ147の上側表面上を直ちに汚すことのないようにしている。
【0120】
内側部品103は、ポリプロピレンまたは同様の上記材料を用いて、外側部品102と同様に射出成形により、形成された単一の一体成形部品として形成することができる。
【0121】
択一的には、内側部品103および/または外側部品102は、生分解性ポリマを用いて形成してもよい。適当な材料の具体例として、分解性ポリエチレン(たとえば英国のボアハムウッド(Borehamwood)にあるSymphony Environmentalから供給されるSPITEK)、生分解性ポリエステルアミド(米国ミネソタ州にあるCargilから供給されるPLA)、デンプンをベースとしたポリマ、セルロース誘導体、およびポリペプチドがある。
【0122】
ラミネート105は、2つの層で構成されており、第1の層はアルミニウムからなり、第2の層は無延伸ポリプロピレンからなる。アルミニウム層の厚みは0.02mm〜0.07mmである。無延伸ポリプロピレン層の厚みは0.025mm〜0.065mmである。1つの実施形態では、アルミニウム層の厚みは0.06mmで、ポリプロピレン層の厚みは0.025mmである。このラミネート105は、組み立て時に丸まる(カーリング)することに対して高い抵抗力を有するので、とりわけ有利である。その結果、ラミネート105は、適正な大きさおよび形状に予め裁断し、歪ませることなく、製造ライン上の組み立てステーションに搬送することができる。したがって、ラミネート108は、とりわけ溶接するのに適している。PET/アルミニウム/PP、PE/EVOH/PP、PET/金属化物/PP、アルミニウム/PPのラミネートを含む他のラミネート材料を用いることができる。ダイカット式のラミネートストックの代わりに、ロール式ラミネートストックを用いることもできる。
【0123】
可撓性ラミネートの代わりに、剛体または半剛体の蓋を用いて、カートリッジ100を閉じるようにしてもよい。
【0124】
カートリッジ100の組み立ては、次のステップを有する。
a)内側部品103を外側部品102内に挿入し、
b)フィルタが円筒状フンネル140の上方に受容され、環状フレーム141に載置されるように、フィルタ104を裁断し、内側部品103の上に設置し、
c)内側部品103、外側部品102、およびフィルタ104を、超音波溶接により接合し、
d)1つまたはそれ以上の飲料原材料でカートリッジ100に充填し、
e)ラミネート105を外側部品102に添付する。
【0125】
これらのステップについて、より詳細に以下説明する。
外側部品103は、上方向に延びる開口底部112を有する。内側部品103は、外側部品102内に挿入され、外側リム151は、カートリッジ100の上面111における軸方向延長部114内に緩やかに適合する。外側部品102の円筒状延長部118は、同時に、内側部品103の円筒状フンネル140の上側部分内に受容される。
【0126】
円筒状延長部118の第3の部分121は、支持リム167の内側に配設されている。第2の部分120と第3の部分121の間にある円筒状延長部118の肩部132は、内側部品103の支持リム167の上側端部を支持している。接触領域は、内側部品103と外側部品102との間に形成され、円筒状延長部118と支持リム167との間に、カートリッジ100の周縁部のほぼ全体に延びるシール面を有する。ただし、支持リム167内のスロット107が支持リム167を貫通して、肩部168より僅かに下方の位置まで延びているので、円筒状延長部118と支持リム167との間のシール面は液密封止ではない。その結果、円筒状延長部118と支持リム167との間の接触嵌合により、スロット170を開口部に変換し、環状チャンネル169と飲料注ぎ口143との間において、ガスおよび液体の連通を可能とするものである。開口部は、典型的には、幅が0.64mmで、長さが0.69mmである。
【0127】
その後、フィルタ材料が環状リムに当接するように、フィルタ104を内側部品103の上方に設置する。そして超音波溶接プロセスを用いて、フィルタ104を内側部品103に接合するとともに、同一のプロセスステップで、内側部品103を外側部品102に接続する。内側部品103およびフィルタ104は外側リム151の周りを溶接される。内側部品103および外側部品102は、外側リム151の周りおよびウェブ154の上端部の溶接ラインを介して接続される。
【0128】
図29に最も分かりやすく図示されているように、外側部品102および内側部品103が一体に接続されて、環状フランジ141の下方であって、濾過チャンバを構成する円筒状フンネル140の外側に何もない空間を形成する。濾過チャンバ160、および環状フレーム141の上方にある通路157は、フィルタペーパー104により分離されている。
【0129】
濾過チャンバ160は、1つまたはそれ以上の飲料原材料200を収容する。1つまたはそれ以上の飲料原材料200は、濾過チャンバ160内に装填される。エスプレッソタイプの飲料については、原材料は焙煎して挽いたコーヒーである。濾過チャンバ130内の飲料原材料の装填密度は必要に応じて変えることができる。通常、フィルタ処理されたコーヒー製品については、濾過チャンバは、焙煎して挽いた5.0g〜10.2gのコーヒーを、通常5mm〜14mmの厚みを有する濾過ベッド内に収容する。任意ではあるが、内部空間106は、その内部を自由に移動できる1つまたはそれ以上の球体などの物体を収容して、飲料提供中に、乱流を形成し、または飲料原材料の塊を粉砕することを支援することができる。
【0130】
そしてラミネート105の周縁部に沿って接合部161を形成することにより、外側部品102にラミネート105を固着し、外側に延びたフランジ135の下側表面にラミネート105を接続する。接合部161は、入口チャンバ126の円筒状壁部127の下側端部に対してラミネート105を封止するように延びている。さらに、接合部162は、ラミネート105と、円筒状フンネル140の外側チューブ142の下側端部との間に形成される。ラミネート105は、濾過チャンバ160の下側端部を形成し、入口チャンバ126および円筒状フンネル140を封止する。ただし、飲料提供する前においては、ラミネート105と飲料注ぎ口43の下側端部の間に微小な隙間163が形成されている。ラミネート105の材料特性に依存して、熱接合および超音波接合などのさまざまな接合方法を用いることができる。
【0131】
有利なことに、内側部品103は、外側部品102とラミネート105の間に延びるものである。内側部品103は、ポリプロピレンなどの比較的に硬い材料で成形されている。そのため内側部品103は、カートリッジ100に圧力が加えられたとき、ラミネート105と外側部品102とが離間した状態に維持する機能を果たす負荷支持部品を構成する。カートリッジ100は、使用時には130N〜280Nの圧力負荷を受けることが好ましい。この圧力は、内部圧力下においてカートリッジが損傷しないように機能し、内部部品103と外側部品102を互いに押しつけるように作用する。これは、カートリッジ100を加圧している際、カートリッジ100内の通路および開口部の内部寸法を一定とし、変化させないようにするものである。
【0132】
使用時、加圧された水が、インレット107を介して入口チャンバ126へ、カートリッジ100内に入る。ここから、水は、スロット117からマニホールド116を回ってカートリッジ1の濾過チャンバ160に流れる。水は、濾過チャンバ160を介して半径方向内側に仕向けられ、その内部に収容された飲料原材料200と混合される。これと同時に、水は、飲料原材料200を介して上方向に仕向けられる。水が飲料原材料200の中を流れることにより形成された飲料が、フィルタ104およびフィルタ開口部155を通過して、環状フレーム141の上方に配置された通路157に流れる。
【0133】
半径方向の通路157に流れる飲料は、ウェブ154の間の通路157に沿って下方に流れ、開口部156を通り、円筒状フンネル140の環状チャンネル169に流れる。環状チャンネル169からの飲料は、飲料を濾過チャンバ160および通路157の内部に収集する飲料の負圧により、開口部128へ仕向けられる。こうして飲料は、開口部にジェットとして、飲料注ぎ口143の上端部により形成される拡張チャンバ内に流れるように仕向けられる。図29に示すように、飲料のジェットは、空気入口171の上方に直接的に流れる。飲料を開口部の狭窄部を通過させることにより、作られる飲料に圧力を加えることができる。飲料が飲料注ぎ口143に入るとき、飲料の圧力は依然として比較的に低い。このため空気が空気入口171を介して吸引されるとき、多数の微小な気泡の形態として飲料の流れの中に空気が取り込まれる。開口部から噴出する飲料ジェットは、下方の出口14へと集められ、飲料は開口部からカップなどの容器に供給され、このとき気泡が所望のクレマとして形成される。すなわち、開口部およびインレット171は一体として、空気を飲料に取り込むエダクタ(液体気体混合装置)を構成するものである。圧力損失を低減するために、飲料は、できるだけ滑らかにエダクタ内を流れるようにする必要がある。なお高圧状態においては、空気の取り込み機構を作動させない。
【0134】
スポーク153およびリム151の接合部の上方にあるフィルタ104は、外側部品に対して封止されているので、短絡することはなく、すべての飲料は確実にフィルタ104を通過させることができる。
【0135】
図30は、本発明に係る飲料調整マシン10に用いられる、第2の実施形態による飲料カートリッジ100を示すものである。第1および第2の実施形態に係る同様の構成部品は、同様の符号を用いて参照する。第2の実施形態に係るカートリッジ100の数多くの構成部品および機能が第1の実施形態のものと同一である。ただし図30から明らかなように、図29に示すカートリッジ100と比較すると、カートリッジ100が全体的に高くなっている。外側部品102の背丈が高いので、より大容量の空間を形成することができ、その内部に、より多量の飲料原材料200を収容することができる。したがって、第2の実施形態に係るカートリッジ100は、より多量の飲料を提供するのに適している。外側部品102およびカートリッジ100の直径は、第1の実施形態のものと同一である。典型的には、組み立てられたカートリッジ100の保管容量は、50ml〜58mlのプラスマイナス20%である。第1の実施形態と同様、外側部品102は、底部に把持表面118を含む凹部を有する。本発明によれば、表面118aとラミネート105の下側表面の間の間隔Dは、第1の実施形態の場合と同じである。このため、長く延びた凹部は、ラミネート105に向かう距離の約60%で延びる。有利なことであるが、これにより、以下に説明するように、用いられるクランプ構成を簡略化することができる。
【0136】
同様に、第2の実施形態に係るカートリッジ100は、エダクタ式の空気インレット171を有さない。
【0137】
第1および第2の実施形態による上記カートリッジ1は、エダクタ式または非エダクタ式のカートリッジの具体例として提供され、上記の改良された飲料提供装置とともに用いることができる。
【符号の説明】
【0138】
10…飲料調整マシン
100…カートリッジ(飲料原材料の包装容器)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料調整マシンを用いて、1つまたはそれ以上の飲料原材料から飲料を調整する方法であって、調整される飲料の予定された特性を得るために、飲料調整マシンの搬送システムの少なくとも一部の内部に含まれる空気の容量を制御するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
調整される飲料において、液体に対する空気の比率を増大させるように空気の容量を増大させ、液体に対する空気の比率を低減させるように空気の容量を低減させ、あるいは空気の容量を維持することにより、空気の容量を能動的に制御することを特徴とする請求項1に記載の飲料調整方法。
【請求項3】
搬送システムに追加的なガスを導入し、搬送システムから空気を排出し、そして/または搬送システムを浄化することにより、搬送システム内の空気の容量を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の飲料調整方法。
【請求項4】
搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を測定するステップをさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項5】
飲料調整マシンが最後に行った飲料調整の後に搬送システムの内部に残存する空気の容量に関する記憶されたパラメータから、搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を計算することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項6】
空気の容量の制御は、飲料を調整する毎に行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項7】
空気の容量の制御は、調整される飲料の種別に応じて自動的に行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項8】
aの容量の制御は、手動で行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項9】
飲料原材料の上流側にある空気の容量を制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項10】
飲料原材料の下流側にある空気の容量を制御することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項11】
飲料調整前および/または飲料調整中に搬送システム内のバルブ手段を選択的に開閉することにより、空気の容量を制御することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項12】
1つまたはそれ以上の飲料原材料から飲料を調整する飲料調整マシンであって、調整される飲料の予定された特性を得るために、飲料調整マシンの搬送システムの少なくとも一部の内部に含まれる空気の容量を制御する手段を有することを特徴とする飲料調整マシン。
【請求項13】
搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を決定する手段をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の飲料調整マシン。
【請求項14】
搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を決定する手段は、飲料調整マシンが最後に行った飲料調整の後に搬送システムの内部に残存する空気の容量に関する記憶されたパラメータから、搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を計算する手段を有することを特徴とする請求項13に記載の飲料調整マシン。
【請求項15】
記憶されたパラメータは、制御手段に記憶された基本容量パラメータを含み、基本容量パラメータは、未使用の飲料調整マシンまたは浄化サイクルが完了した飲料調整マシンの搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量であることを特徴とする請求項14に記載の飲料調整マシン。
【請求項16】
記憶されたパラメータは、飲料調整マシンが調整するようにプログラムされた各種別の飲料を調整した後に、搬送システムの内部に残存する空気の実際の容量に関連するパラメータを含むことを特徴とする請求項14または15に記載の飲料調整マシン。
【請求項17】
搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を決定する手段は、搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を測定する手段を含むことを特徴とする請求項13に記載の飲料調整マシン。
【請求項18】
予定された範囲の飲料を調整するために搬送システムの内部に含まれる必要のある空気の予定された容量に関連するパラメータは制御手段に記憶され、制御手段は、飲料を調整するために必要な予定された容量と実際に含まれる容量との差異を計算するようにプログラムされていることを特徴とする請求項13〜17のいずれか1に記載の飲料調整マシン。
【請求項19】
空気の実際の容量を制御する手段は、搬送システムから空気を排出するバルブ手段および/または浄化手段、および/または搬送システムの内部に追加的な空気を注入する手段を有することを特徴とする請求項13〜18のいずれか1に記載の飲料調整マシン。
【請求項20】
バルブ手段は、飲料原材料の下流側にある出口バルブを有することを特徴とする請求項19に記載の飲料調整マシン。
【請求項21】
バルブ手段は、飲料原材料の上流側にあるバルブを有することを特徴とする請求項19または20に記載の飲料調整マシン。
【請求項22】
搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を変化させるために、飲料調整サイクルに関連してバルブ手段の操作を制御することを特徴とする請求項18〜22のいずれか1に記載の飲料調整マシン。
【請求項1】
飲料調整マシンを用いて、1つまたはそれ以上の飲料原材料から飲料を調整する方法であって、調整される飲料の予定された特性を得るために、飲料調整マシンの搬送システムの少なくとも一部の内部に含まれる空気の容量を制御するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
調整される飲料において、液体に対する空気の比率を増大させるように空気の容量を増大させ、液体に対する空気の比率を低減させるように空気の容量を低減させ、あるいは空気の容量を維持することにより、空気の容量を能動的に制御することを特徴とする請求項1に記載の飲料調整方法。
【請求項3】
搬送システムに追加的なガスを導入し、搬送システムから空気を排出し、そして/または搬送システムを浄化することにより、搬送システム内の空気の容量を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の飲料調整方法。
【請求項4】
搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を測定するステップをさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項5】
飲料調整マシンが最後に行った飲料調整の後に搬送システムの内部に残存する空気の容量に関する記憶されたパラメータから、搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を計算することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項6】
空気の容量の制御は、飲料を調整する毎に行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項7】
空気の容量の制御は、調整される飲料の種別に応じて自動的に行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項8】
aの容量の制御は、手動で行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項9】
飲料原材料の上流側にある空気の容量を制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項10】
飲料原材料の下流側にある空気の容量を制御することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項11】
飲料調整前および/または飲料調整中に搬送システム内のバルブ手段を選択的に開閉することにより、空気の容量を制御することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1に記載の飲料調整方法。
【請求項12】
1つまたはそれ以上の飲料原材料から飲料を調整する飲料調整マシンであって、調整される飲料の予定された特性を得るために、飲料調整マシンの搬送システムの少なくとも一部の内部に含まれる空気の容量を制御する手段を有することを特徴とする飲料調整マシン。
【請求項13】
搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を決定する手段をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の飲料調整マシン。
【請求項14】
搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を決定する手段は、飲料調整マシンが最後に行った飲料調整の後に搬送システムの内部に残存する空気の容量に関する記憶されたパラメータから、搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を計算する手段を有することを特徴とする請求項13に記載の飲料調整マシン。
【請求項15】
記憶されたパラメータは、制御手段に記憶された基本容量パラメータを含み、基本容量パラメータは、未使用の飲料調整マシンまたは浄化サイクルが完了した飲料調整マシンの搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量であることを特徴とする請求項14に記載の飲料調整マシン。
【請求項16】
記憶されたパラメータは、飲料調整マシンが調整するようにプログラムされた各種別の飲料を調整した後に、搬送システムの内部に残存する空気の実際の容量に関連するパラメータを含むことを特徴とする請求項14または15に記載の飲料調整マシン。
【請求項17】
搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を決定する手段は、搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を測定する手段を含むことを特徴とする請求項13に記載の飲料調整マシン。
【請求項18】
予定された範囲の飲料を調整するために搬送システムの内部に含まれる必要のある空気の予定された容量に関連するパラメータは制御手段に記憶され、制御手段は、飲料を調整するために必要な予定された容量と実際に含まれる容量との差異を計算するようにプログラムされていることを特徴とする請求項13〜17のいずれか1に記載の飲料調整マシン。
【請求項19】
空気の実際の容量を制御する手段は、搬送システムから空気を排出するバルブ手段および/または浄化手段、および/または搬送システムの内部に追加的な空気を注入する手段を有することを特徴とする請求項13〜18のいずれか1に記載の飲料調整マシン。
【請求項20】
バルブ手段は、飲料原材料の下流側にある出口バルブを有することを特徴とする請求項19に記載の飲料調整マシン。
【請求項21】
バルブ手段は、飲料原材料の上流側にあるバルブを有することを特徴とする請求項19または20に記載の飲料調整マシン。
【請求項22】
搬送システムの内部に含まれる空気の実際の容量を変化させるために、飲料調整サイクルに関連してバルブ手段の操作を制御することを特徴とする請求項18〜22のいずれか1に記載の飲料調整マシン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7a】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図14】
【図15】
【図16a】
【図16b】
【図17a】
【図17b】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図25a】
【図26】
【図27】
【図28】
【図28a】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7a】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図14】
【図15】
【図16a】
【図16b】
【図17a】
【図17b】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図25a】
【図26】
【図27】
【図28】
【図28a】
【図29】
【図30】
【公表番号】特表2012−518508(P2012−518508A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551523(P2011−551523)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000551
【国際公開番号】WO2010/125326
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(510218179)クラフト・フーズ・アール・アンド・ディ・インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】KRAFT FOODS R&D, INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000551
【国際公開番号】WO2010/125326
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(510218179)クラフト・フーズ・アール・アンド・ディ・インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】KRAFT FOODS R&D, INC.
【Fターム(参考)】
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