説明

飲食材収容体の害虫忌避方法

【課題】ゴキブリ等の害虫に対する忌避効果が高く飲食材収容体への侵入を3ケ月を超える長期間にわたり十分に防止できると共に、安全でしかも使用が簡便な飲食材収容体の害虫忌避方法の提供。
【課題の解決手段】飲食材に匂いを移しにくい常温揮散性害虫忌避成分を含有する害虫忌避シートを飲食材収容体内面に設置し、前記害虫忌避シートからこのシートあたり1〜200mg/日/mの割合で前記常温揮散性害虫忌避成分を揮散させることによって、害虫の飲食材収容体への侵入を3ケ月を超える長期間にわたり防止する飲食材収容体の害虫忌避方法。前記害虫忌避シートを飲食材収容体内面の2箇所以上に貼付するのが好ましく、また、前記害虫忌避シートとしては、薬剤非透過性シート層の上に、前記常温揮散性害虫忌避成分を含有する樹脂層を積層し、更にこの上に前記常温揮散性害虫忌避成分について透過性を有する薬剤透過性シート層を積層したものが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食材収容体の害虫忌避方法に関し、更に詳しくは、ウォーターサーバーや自動販売機等の飲食材収容体においてゴキブリ等の害虫が寄り付かないようにするための害虫忌避方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ウォーターサーバーや食品等の自動販売機等が普及しているが、内部に飲料や食品が存在するために、これらを求めてゴキブリやアリ等の害虫が内部に侵入する可能性が避けられない。このため、ウォーターサーバーや食品等の自動販売機等においては、害虫による汚染を防止することが求められている。
従来知られた方法として、例えば、特開2005−135231号公報(特許文献1)は、蒸気圧が10-3Pa(25℃)オーダー以下であるピレスロイド系の害虫定住防止成分を含有する金属塗装用塗料で、塗装面の少なくとも一部を塗装してなることを特徴とする害虫定住防止塗料塗装自動販売機を開示する。しかしながら、このものは通常、害虫定住防止成分として揮散性の乏しい殺虫成分を使用しているため、害虫が塗料塗装部分に接触して初めて効果が発現する。従って、害虫の侵入を防止するうえで必ずしも効率的な方法と言えないうえ、塗料塗装部分に接触して死亡した害虫が自動販売機の内部に取り残され不潔となることも想定される。
【0003】
また、特許第4114114号公報(特許文献2)には、常温で揮散性のある殺虫忌避物質を、カップ式自動販売機内で液体式加熱蒸散装置により30日以上の長時間にわたり20〜150mg/日/m3の蒸散量で蒸散させ、カップ式自動販売機内に生息あるいは侵入する害虫を忌避・駆除する方法が記載されている。この方法によれば、揮散性の殺虫忌避物質が自動販売機内の空間に拡散し、一定の忌避・駆除効果を得ることができるので一見効率的に見えるが、液体式加熱蒸散装置に装填される薬液の溶剤が揮散後自動販売機内面に凝縮し、塗装面を侵したり、埃等の付着を招いて汚れを生じたりする問題がある。更に、液体式加熱蒸散装置を用いた場合、3ケ月を超える長期間にわたって忌避・駆除効果を持続させるのは製剤の特性上困難を伴う。
【0004】
ところで、気中に溶剤をむやみに放散しないように、常温揮散性のピレスロイド系薬剤を含有してなる害虫忌避シートやネットを用い、有効成分のみを揮散させる方法もあるが、自動販売機等の用途に開発されたものはない。例えば、特開2010−285417号公報(特許文献3)には、二層のシート層の間に薬剤含有樹脂層を有する積層シート状物であって、この薬剤含有樹脂層は、25℃における蒸気圧が0.001Pa以上であるピレスロイド系薬剤と、エチレン共重合樹脂、合成ゴム樹脂、又はその両方を含有するホットメルト樹脂とを質量混合比5:95〜50:50で混合、熱溶融液状化した混合物を、一方の上記シート層上に積層させて形成させたものであり、かつ、その上に他方の上記シート層を積層させることで、上記の2枚のシート層に挟まれて上記薬剤含有樹脂層が常温で固形状となったものであり、上記シート層の少なくとも一方が上記ピレスロイド系薬剤について透過性を有する薬剤透過性シート層である害虫忌避積層シート状物が開示されている。しかしながら、この害虫忌避積層シート状物は、屋外に面したガラス窓等に貼り付けてオープンな条件で使用し、常温揮散性のピレスロイド系薬剤が直ちに大気中に放散されることを前提としており、ウォーターサーバーや食品等の自動販売機等のような密閉小空間に適用するものではなかった。
ましてや、ピレスロイド系薬剤以外の常温揮散性害虫忌避成分を含有してなる害虫忌避シートやネットを用い、自動販売機等の用途に開発されたものは未だ知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−135231号公報
【特許文献2】特許第4114114号公報
【特許文献3】特開2010−285417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、飲食材に匂いを移しにくい常温揮散性害虫忌避成分を含有する害虫忌避シートを用いる飲食材収容体の害虫忌避方法であって、ゴキブリ等の害虫に対する忌避効果が高く飲食材収容体への侵入を3ケ月を超える長期間にわたり十分に防止できると共に、安全でしかも使用が簡便な飲食材収容体の害虫忌避方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の構成が上記目的を達成するために優れた効果を奏することを見出したものである。
(1)飲食材に匂いを移しにくい常温揮散性害虫忌避成分を含有する害虫忌避シートを飲食材収容体内面に設置し、前記害虫忌避シートからこのシートあたり1〜200mg/日/mの割合で前記常温揮散性害虫忌避成分を揮散させることによって、害虫の飲食材収容体への侵入を3ケ月を超える長期間にわたり防止する飲食材収容体の害虫忌避方法。
(2)前記害虫忌避シートを飲食材収容体内面の2箇所以上に貼付する(1)に記載の飲食材収容体の害虫忌避方法。
(3)前記常温揮散性害虫忌避成分が、ピレスロイドエステル化合物、ジオール化合物、アミノ酸エステル化合物、及び二塩基酸エステル化合物から選ばれた1種又は2種以上である(1)又は(2)に記載の飲食材収容体の害虫忌避方法。
(4)前記ピレスロイドエステル化合物が、メトフルトリン、プロフルトリン、及びトランスフルトリンである(3)に記載の飲食材収容体の害虫忌避方法。
(5)前記ジオール化合物がp−メンタン−3,8−ジオール、p−メンタン−1,8−ジオール、及び2−エチル−1,3−ヘキサンジオールであり、前記アミノ酸エステル化合物が3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステルであり、前記二塩基酸エステル化合物がシュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、及びフマル酸ジブチルである(3)に記載の飲食材収容体の害虫忌避方法。
(6)前記害虫忌避シートが、薬剤非透過性シート層の上に、前記常温揮散性害虫忌避成分を含有する樹脂層を積層し、更にこの上に前記常温揮散性害虫忌避成分について透過性を有する薬剤透過性シート層を積層してなる(1)ないし(5)のいずれかに記載の飲食材収容体の害虫忌避方法。
(7)前記樹脂層を形成する樹脂が、エチレン共重合樹脂、合成ゴム樹脂、又はその両方を含有するホットメルト樹脂である(6)に記載の飲食材収容体の害虫忌避方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の飲食材収容体の害虫忌避方法は、飲食材に匂いを移しにくい常温揮散性害虫忌避成分を含有する害虫忌避シートを用いる飲食材収容体の害虫忌避方法であって、ゴキブリ等の害虫に対する忌避効果が高く飲食材収容体への侵入を十分に防止できると共に、安全でしかも使用が簡便なので極めて実用的である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いる害虫忌避シートは、飲食材に匂いを移しにくい常温揮散性害虫忌避成分を含有するプラスチック樹脂製シートである。これは、飲食材収容体に適用する以上、第一に安全性が要求され、匂い移りがなく、しかも少量で効果を発揮する必要があるためである。ジクロルボス等の有機リン剤は高い防除効果を有するが安全性に問題があり、一方、芳香性の天然植物精油の場合、通常匂いが強いうえ少なからぬ薬量を必要とし、低毒性といえども本発明の趣旨に合致しない。
ここで、「飲食材に匂いを移しにくい」とは、それ自身匂いが殆どないか、もしくはごく僅かで、飲食材への匂い移りが殆ど懸念されないことを意味し、また、シートとはフィルム、メッシュ又はシートをいう。厚みは特に限定されず、調整すべき徐放性の程度と、シート全体に必要とする強度に応じて適宜決定すれば良い。
【0010】
前記常温揮散性害虫忌避成分としては、ピレスロイドエステル化合物、ジオール化合物、アミノ酸エステル化合物、及び二塩基酸エステル化合物から選ばれた1種又は2種以上があげられる。
【0011】
このうち、前記ピレスロイドエステル化合物は、その使用時の害虫忌避効果及び使用性などから、30℃における蒸気圧が2×10−4〜1×10−2mmHgの範囲のものが好適に採用される。
具体的には、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(メトフルトリン)、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(プロフルトリン)、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボキシレート(トランスフルトリン)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−プロパルギル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル 2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(エムペントリン)などが挙げられるが、なかんずく、メトフルトリン、プロフルトリン及びトランスフルトリンが好ましい。また、これら化合物には、不斉炭素に基づく光学異性や二重結合に基づく幾何異性が存在するが、それらの各々並びに任意の混合物も勿論本発明に包含される。
なお、後述する樹脂層もしくは薬剤透過性シート層に色消失性の染料を含有させ、インジケータ付き害虫忌避シートとして用いる場合、上記ピレスロイドエステル化合物を用いると、染料の色を消失させる効果が適当であるというメリットも有する。
【0012】
また、前記ジオール化合物としては、p−メンタン−3,8−ジオール、p−メンタン−1,8−ジオール、及び2−エチル−1,3−ヘキサンジオールがあげられ、前記アミノ酸エステル化合物としては、3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステルが代表的であり、前記二塩基酸エステル化合物としては、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、及びフマル酸ジブチルが例示される。
かかる害虫忌避成分も常温揮散性を有し、25℃における蒸気圧は概ね1×10−5〜1×10−1mmHgの範囲に該当する。
【0013】
本発明では、前記常温揮散性害虫忌避成分の揮散性能と発明の趣旨に支障を及ぼさない限りにおいて、ジエチルトルアミド(ディート)のような別の害虫忌避成分や、例えば、調香の目的で、α―ピネン、テルピネオール、ゲラニオール、リナロール、シトロネラール、オイゲノール、カンファー、ユーカリプトール等のテルペン系香料や天然植物精油等を若干量添加しても構わない。
【0014】
前記常温揮散性害虫忌避成分を含有する樹脂としては、得られた害虫忌避シートが3ケ月を超える長期間にわたり、常温揮散性害虫忌避成分を安定して徐放する性能を有する限り、エチレン共重合樹脂、合成ゴム系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ロジンエステル系樹脂、パラフィンワックス樹脂等から適宜選択して用いることができる。
【0015】
なかでも、薬剤非透過性シート層の上に、常温揮散性害虫忌避成分を含有する樹脂層を積層し、更にこの上に前記常温揮散性害虫忌避成分について透過性を有する薬剤透過性シート層を積層して構成されるものが好適である。
かかる積層シートにおいて、常温揮散性害虫忌避成分含有樹脂層を形成する樹脂としては、エチレン共重合樹脂、合成ゴム樹脂、又はその両方を含有するホットメルト樹脂が好ましい。前記ホットメルト樹脂とは、加熱によって熱溶融液状化が可能であり、冷却すると再び固形状になる性状を有し、接着剤として利用可能な樹脂である。上記の二枚のシート層を接着させる樹脂としては、樹脂層に常温揮散性害虫忌避成分を含むので、溶媒を揮発させる必要のないホットメルト樹脂が好適である。すなわち、エチレン共重合樹脂と合成ゴム樹脂との少なくとも一方を、常温揮散性害虫忌避成分を固定しシート層を接着させるための接着剤に含めて用いることで、常温揮散性害虫忌避成分が変質を起こす可能性を十分に低く抑えることができる。
これらの樹脂は前記常温揮散性害虫忌避成分との反応性が低いため、混合しても前記ホットメルト樹脂が常温揮散性害虫忌避成分と反応しにくく、常温揮散性害虫忌避成分を3ケ月を超える長期間にわたって保存できる。また、揮散を妨げる副作用はロジンより少ない。さらに、後述するシート層との間で薬剤を高い含有率で保持することができ、且つ十分な接着強度を発揮できる。
【0016】
ここで、エチレン共重合樹脂とは、エチレンと、これと共重合反応を起こすビニル基やビニリデン基などの反応基を有する他のモノマーとの共重合樹脂を意味し、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合樹脂(すなわち、エチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合樹脂)、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合樹脂などが挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」又は「メタクリル」を示す。その中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂又はエチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂を30質量%以上含むと、前述の効果が好適に発揮され望ましい。変質を抑えて保持された常温揮散性害虫忌避成分は、樹脂層中の含有量と薬剤透過シートの透過性によって制御されながら徐放できる。更に、
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂又はエチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂を30質量%以上含むと、前記常温揮散性害虫忌避成分との反応がより低くなるため好ましく、40質量%以上含むと一層好ましく、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が全てを占めるものであるとより好ましい。なお、エチレン共重合樹脂の、エチレン単量体成分と酢酸ビニルやメタクリル酸メチルモノマーなどの他の単量体成分とのモル比は、5:95〜95:5であると好ましい。この範囲を外れると、エチレン共重合樹脂ではなく、単独重合体の性質が強くなりすぎ、発明の効果を発揮し得なくなる恐れがある。
【0017】
一方、前記合成ゴム樹脂とは、スチレン−ブタジエン−スチレン(以下、「SBS」と略する)ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体が挙げられる。
なお、前記合成ゴム樹脂の割合が増えると、積層シート断面でのブロッキングが生じやすくなるため、合成ゴム樹脂を単独で用いるよりも、前記エチレン共重合樹脂と併用してブロッキングを抑える方が好ましい。
【0018】
前記ホットメルト樹脂としては、前記エチレン共重合樹脂及び前記合成ゴム系樹脂以外に、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ロジンエステル系樹脂、パラフィンワックス樹脂を、その他の成分として含んでもよい。ただし、熱溶融工程での前記常温揮散性害虫忌避成分との相溶性、常温揮散性害虫忌避成分及び接着剤そのものの温度安定性、接着強度が好適なものでなければならない。
【0019】
なお、後述するインジケータ付き害虫忌避シートとする場合は、前記ホットメルト樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂又はエチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂を用いると、混合する染料を太陽光から保護する耐光性の点から望ましい。
【0020】
前記ホットメルト樹脂の軟化点は、70℃以上であると好ましい。軟化点が70℃未満であると、高温環境で保管した時に、ブロッキングやデラミネーション、積層シート断面からの樹脂のブリードアウトなどが起こる可能性がある。一方で、軟化点が180℃以下であることが好ましい。軟化点が180℃を超えると、ほとんどの場合、熱溶融温度が230℃を超えてしまい、前記樹脂層を形成させるために熱溶融液状化にする際に、前記常温揮散性害虫忌避成分が反応して薬効が失われる可能性が無視できないものとなってしまう。なお、ここで軟化点は環球法による。
【0021】
前記樹脂層を形成する前記常温揮散性害虫忌避成分と前記ホットメルト樹脂との質量混合比は、5:95〜50:50であるのが好ましく、10:90〜40:60であるとより好ましい。5:95よりも常温揮散性害虫忌避成分が少ないと、揮散量が絶対的に不足してしまい、害虫忌避効果が不十分となるからである。一方で、50:50よりもホットメルト樹脂が少ないと、接着力が不十分となる可能性が高くなる。
【0022】
更に、前記樹脂層には、前記常温揮散性害虫忌避成分と前記ホットメルト樹脂の他に、常温揮散性害虫忌避成分を変質させず、かつ揮散を著しく妨げないものであれば、その他の各種成分を追加してもよい。例えば、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、光沢剤、分散剤、香料、顔料、染料などが挙げられる。これらの成分は、上記の熱溶融液状化した混合物を調製する際に混合しておくとよい。
【0023】
前記染料としてアントラキノン系染料を用いると、前記常温揮散性害虫忌避成分の揮散とともに染料の色を徐々に消失させることができるので、害虫忌避シートに含まれる常温揮散性害虫忌避成分の放出終了を示すインジケータ付き害虫忌避シートとすることができる。この場合、前記染料の含有量は、前記常温揮散性害虫忌避成分に対して0.01〜5重量%であると望ましい。染料が多すぎると常温揮散性害虫忌避成分が揮散しても染料の色が残ってしまい、一方、少なすぎるとそもそも色が視認できない。この範囲で、染料の色の消失と、常温揮散性害虫忌避成分の揮散の終了とのタイミングが合うように量を調整する。
【0024】
次に、積層タイプの害虫忌避シートを構成する各シート層について説明する。
前記樹脂層を挟む二層のシート層のうち一方は、前記常温揮散性害虫忌避成分について非透過性かつ非吸着性の薬剤非透過性シート層である。これは、片面のみから常温揮散性害虫忌避成分を揮散させようとする場合、反対面からの揮散を防いだ方が有用なためである。なお、非透過性とは完全に透過させないものだけではなく、わずかに透過するとしても常温揮散性害虫忌避成分の薬効を発揮する程度の量までは透過しないものも含む。
【0025】
前記薬剤非透過性シート層としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル製シートや、アクリロニトリル、アルミ箔、ポリアミドなどからなるシートを挙げることができる。
前記薬剤非透過性シート層の厚さは、10μm以上であるのが好ましく、20μm以上であるとより好ましい。10μm未満では薄すぎて上記の材質であっても前記常温揮散性害虫忌避成分を透過させてしまう恐れがあり、強度が不足して傷を生じ、その傷から常温揮散性害虫忌避成分を揮散させてしまう可能性が無視できなくなる。一方、厚ければその分透過性が低減されるので、透過の点から特に上限は無い。しかしながら、厚すぎると透明性が低下し、無駄に重量が増加したり、剛性が高くなったりするため、100μm以下であることが好ましく、70μm以下であるとより好ましい。
【0026】
前記樹脂層を挟む二層のうち、他方のシート層は薬剤透過性シート層である。かかるシートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ乳酸などの生分解性の樹脂や、塩化ビニルなどの各種のフィルムが例示される。この中でも常温揮散性害虫忌避成分が浸透、透過することができるポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0027】
前記薬剤透過シート層は、その厚みを変えることにより、前記常温揮散性害虫忌避成分が浸透、透過する速度を制御することができる。常温揮散性害虫忌避成分の含有量にもよるが、ほとんどの場合、10〜100μmであるとよく、20〜70μmであるとより好ましい。10μmより薄いフィルムを使用すると、熱溶融させた混合物をコーティングする際に変形したり破れたりする可能性や、保管中及び使用中にピンホールが開いたり破れたりする可能性が無視できないものとなる。一方で、100μmより厚いと、透明性が損なわれたり、剛性が高くなりすぎたりする。また、過剰の厚みは透過の役に立たないため、無駄となってしまう。
【0028】
これらの薬剤透過シート層としてポリオレフィンを使用し、前記常温揮散性害虫忌避成分として、例えば、エムペントリンやプロフルトリンを用いた場合には、3ヶ月〜12ヶ月程度の使用期間を設定できるので特に好ましい。このポリオレフィンからなるシートとしては、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどが例示される。これらのピレスロイドエステル化合物は、前記薬剤透過シート層に浸透、透過して表面から揮発する。
【0029】
また、前記薬剤透過シート層は、揮散性を適宜変更するため、前後の面を貫く孔を人為的に空けた有孔シートを用いることも出来る。この孔の直径は適宜調整できるものであるが、100〜500μm程度の間で調整するとよい。なお、このような有孔フィルムとする場合には、薬剤透過シートを構成する樹脂自体が薬剤非透過性であっても、孔を通じて前記常温揮散性害虫忌避成分を透過できるので、材料選択の幅が広がる。ただし、樹脂自体が透過性である有孔ポリオレフィン系シートを用いる方が、調整が容易であり利用しやすい。更に、薬剤透過シート層としては、種々の不織布を用いることができる。このような不織布の材質としては、ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、又はそれらの混抄品などを例示することが出来る。
【0030】
前記薬剤透過シート層として前記有孔シート及び/又は不織布を使用し、例えば、メトフルトリンやトランスフルトリンを用いる組み合わせは、同様に3ヶ月〜12ヶ月程度の使用期間を設定するうえで好適である。これらの薬剤は、フィルムから浸透・透過することに加えて、孔の部分、又は不織布の間隙からも揮散することで十分な徐放性を確保する。
【0031】
一方で、前記常温揮散性害虫忌避成分の揮散に合わせて徐々に色彩が失われるアントラキノン系染料を用い、外気に接する前記薬剤透過性シート層の表面に印刷を施し、インジケータ付き害虫忌避シートとすることができる。即ち、前記薬剤透過性シート層の表面に前記の染料で印刷すると、常温揮散性害虫忌避成分の揮散に伴って、薬剤透過性シートを透過した常温揮散性害虫忌避成分が前記染料と接触することで、徐々に染料の色が失われていく。この染料の色が消えるタイミングと、常温揮散性害虫忌避成分の揮散が終了するタイミングとが概ね一致するように、常温揮散性害虫忌避成分及び染料の種類と量を調整することによって、インジケータ付きの害虫忌避積層シートとすることができるのである。
【0032】
前記ホットメルト樹脂層とこれらの前記各シート層とから、この発明にかかる害虫忌避シートを形成させる方法としては、前記シート層の一方に、熱溶融液状化させた前記樹脂混合物を塗工し、その混合物が固まる前に、シート層の他方を積層させる一般的な方法を用いることができる。最初に塗工するシート層は、前記薬剤非透過性シート層でも前記薬剤透過性シート層でもよいが、シワが発生し難いなどの理由から薬剤非透過性シート層に塗工する方が好ましい。
【0033】
こうして調製された本発明の害虫忌避シートの大きさとしては、適宜選択して使用することが出来るが、使用する場所により、5cm×5cm〜30cm×30cm程度の大きさとすれば使い易い。特に、ウォーターサーバーの場合、設置スペースが狭いので、小面積のものを多数使用するのが良い。
【0034】
本発明に係る害虫忌避積層シートは、前記薬剤非透過性シート層の樹脂層とは反対側の面に、粘着剤からなる粘着剤層を設け、その上に更に、その粘着剤と剥離可能なセパレータを貼り付けた実施形態とすることが出来る。この実施形態の場合、害虫忌避シートは、前記セパレータを剥がして、前記粘着剤層の接着効果により各種の飲食材収容体内面に貼り付けることができる。
【0035】
これらに使用される粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤など各種の粘着剤が例示されるが、特にこれらに限定されるものではない。ただし、これらの粘着剤は、前記常温揮散性害虫忌避成分が吸着しても変質しないものが必要である。また、粘着剤の代わりに両面粘着テープを使用することも可能である。またセパレータについては、紙やフィルム材質のものなど一般的なセパレータとして各種のセパレータが例示されるが、特にこれらに限定されない。
また、前記粘着剤層にも、前記樹脂層と同様に、その他の成分を含有させてもよい。例えば、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、光沢剤、分散剤、香料、顔料、染料などが挙げられる。
【0036】
本発明は、本発明の害虫忌避シートを飲食材収容体内面に設置し、害虫忌避シートからこのシートあたり1〜200mg/日/m、好ましくは2〜100mg/日/mの割合で常温揮散性害虫忌避成分を揮散させ、害虫の飲食材収容体への侵入を3ケ月を超える長期間にわたり防止することを特徴とする。ここで、設置方法としては、飲食材収容体内面の2個所以上に、前述の粘着剤層を用いて貼付したり、適宜設けた固定具から吊り下げる方法などがあるが、前者の方法が使いやすく便利である。
特許文献2では、カップ式自動販売機内で液体式加熱蒸散装置により、常温で揮散性のある殺虫忌避物質、代表的にはエンペントリンを20〜150mg/日/m3の蒸散量で蒸散させ、カップ式自動販売機内に生息あるいは侵入する害虫を忌避・駆除する方法を開示している。これに対し、本発明の方法は、特許文献2において溶剤を揮散させることによる問題点を解消し、しかも低揮散量でも有効なことが認められた。これは、害虫忌避シートを飲食材収容体内面に設置し、好ましくは分散して配置する結果、飲食材収容体内の熱対流が有効に活用され有効成分が効率的に隅々まで拡散するためと考えられる。
【0037】
本発明に係る害虫忌避シートを保管するにあたっては、その周囲を包装密封することによって、密封した容器内で上記常温揮散性害虫忌避成分の蒸気を飽和させ、それ以上の上記樹脂層からの揮散を防ぐことができる。そして、使用時に開封し、ウォーターサーバーや食品等の自動販売機等に施用すれば良い。
【0038】
本発明の飲食材収容体の害虫忌避方法によれば、各種の害虫を飲食材収容体から忌避させ、侵入を確実に防止することができる。対象とする害虫としては、匍匐害虫であるゴキブリ類、アリ類(クロアリ、アカアリ、アミメアリ等を含む)、チャタテムシ、シバンムシ、コクゾウムシ、カツオブシムシ、ダニ類等のほか、蚊類、蚋、ユスリカ類、ハエ類、チョウバエ類、イガ類やヤスデ、ヨトウムシ、サシバエ、サンドフライ、ヌカカ、シラミ、ヒメカツオブシムシ、ナンキンムシ、シミ、ゲジゲジ、カメムシ、ワラジムシ、ダンゴムシ、ムカデ、ナメクジ等があげられる。
【0039】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0040】
ピレスロイドエステル化合物であるプロフルトリンとホットメルト樹脂[エチレン−酢酸ビニル共重合体接着剤:アロンエバーグリップリミテッド製「エバーグリップ PK222」、軟化点;79℃、エチレン−酢酸ビニル共重合体含有率:40%、「EVA1」と略記]とを、質量混合比23:77で130℃にまで加熱溶融させて混合後、薬剤非透過性シート層[ポリエチレンテレフタレート製フィルム:ユニチカ(株)製「エンブレット」、厚さ;25μm、「PET−A」と略記]の表面に、シート面積(10cm×10cm)あたりプロフルトリン量が0.1gとなるように塗工した。
樹脂の固化後、樹脂層の上に薬剤透過性シート層[ポリエチレン製フィルム:東洋紡績(株)製「リックス」、厚さ;50μm、「PE50」と略記]を貼り、更にPET−A層の裏面に粘着層を設けて本発明で用いる害虫忌避シートを調製した。
得られたシートを4分割し、ウォーターサーバーの内部(体積:約4000cm)の4側面に各片を1枚ずつ上記粘着層を介して貼り付けた。
ウォーターサーバー内において、この害虫忌避シートからのプロフルトリン揮散量は、40mg/日/m〜10mg/日/mで推移し、およそ1年間にわたりゴキブリやアリ等がウォーターサーバー内へ侵入するのを防止できた。
【実施例2】
【0041】
実施例1に準じ、表1に示す各種害虫忌避シート(大きさ:10cm×10cm)を4枚
ずつ作製した。実際の自動販売機を模したサイズで開口部を有するボックス(体積:約1m)をつくり、その内部の4側面に供試シートを1枚ずつ貼り付けた。
用いたホットメルト樹脂層、薬剤非透過性シート層及び薬剤透過性シート層等の仕様は以下のとおりである。
<ホットメルト樹脂>
・エチレン−酢酸ビニル共重合体接着剤:アロンエバーグリップリミテッド製「エバーグリップ292」、エチレン−酢酸ビニル共重合体含有率;45% 軟化点;105℃、表中「EVA2」と略記。
・エチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂:住友化学(株)製「WH303」、軟化点;146℃、表中「EMMA」と略記。
・合成ゴム接着剤:旭化成(株)製SBSブロック共重合体「タフプレンA」、軟化点;96℃、表中「SBS」と略記。
・ロジンエステル:荒川化学工業(株)製「AA−G」、軟化点86℃、表中「ロジン」と略記。
<薬剤非透過性シート層>
・ポリエチレンテレフタレート製フィルム:ユニチカ(株)製「エンブレット」、厚さ;50μm、「PET−B」と略記。
・ポリブチレンテレフタレート製フィルム:オージーフィルム(株)製PBT、厚さ;50μm、「PBT」と略記。
・アクリロニトリル製フィルム;タマポリ(株)製「ハイトロンBX」、厚さ;50μm、「AN」と略記。
<薬剤透過性シート層>
・ポリエチレン製フィルム:東洋紡績(株)製「リックス」、厚さ;30μm、「PE30」と略記。
・ポリプロピレン製フィルム:東洋紡績(株)製「パイレン」、厚さ;30μm、「PP30」と略記。
・ポリプロピレン製フィルム:東洋紡績(株)製「パイレン」、厚さ;50μm、「PP50」と略記。
・有孔ポリプロピレン製フィルム:ニダイキ(株)製「機孔I」、厚さ;30μm、直径250μmの孔を25cm当たり200個穿孔、「有孔PP30」と略記。
・ポリエチレンテレフタレート製不織布:ユニセル(株)製「RT−0113W」、目付;60g/m、厚さ;120μm、「不織布」と略記。
<アントラキノン系染料>
・染料I:(株)永廣堂本店製「SUMIPLAST BLUE OA」、「染料I」と略記。
【0042】
ゴキブリの逃亡防止処置を施したアリーナ内に、前記処理ボックスと無処理ボックスとを配置し、その間に水と餌を置いた。
アリーナ内にチャバネゴキブリ成虫を約500匹放った後、経時的に両ボックスへのチャバネゴキブリ成虫の侵入及び生息状況を観察し、下記式に基づき侵入防止率を算出した。結果を表2に示す。
侵入防止率(%)=[無処理ボックスの侵入虫数−処理ボックスの侵入虫数]/
無処理ボックスの侵入虫数×100
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
試験の結果、飲食材に匂いを移しにくい常温揮散性害虫忌避成分を含有する害虫忌避シートを飲食材収容体内面に設置し、前記害虫忌避シートからこのシートあたり1〜200mg/日/mの割合で前記常温揮散性害虫忌避成分を揮散させることを特徴とする本発明の飲食材収容体の害虫忌避方法によれば、ゴキブリに対する忌避効果が高く、自動販売機への侵入を3ケ月を超える長期間にわたって十分に防止できた。しかも、その侵入防止は液体式加熱蒸散方式と較べると低薬量で実現でき、自動販売機を汚すこともなく極めて実用的であった。なお、飲食材収容体内面への設置方法としては、飲食材収容体内面の2ケ所以上に貼付する方法が好ましかった。
これに対し、液体式加熱蒸散方式(比較例5)の場合、電源が必要で不便なだけでなく、薬液の溶剤が自動販売機の内部に付着して不潔となった。害虫忌避シートを用いた場合でも、比較例1や2のように、常温揮散性害虫忌避成分の揮散量を長期間ずっと1〜200mg/日/mの範囲内で推移させることができないものは、安定した忌避効果を奏しえなかった。また、揮散性の乏しいフェノトリンを用いた比較例3は不適で、匂いの強いテルペン化合物の使用(比較例4)は、本発明の趣旨に合致しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の飲食材収容体食品の害虫忌避方法は、ウォーターサーバーや自動販売機だけでなく広範な害虫忌避用途を目的として利用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食材に匂いを移しにくい常温揮散性害虫忌避成分を含有する害虫忌避シートを飲食材収容体内面に設置し、前記害虫忌避シートからこのシートあたり1〜200mg/日/mの割合で前記常温揮散性害虫忌避成分を揮散させることによって、害虫の飲食材収容体への侵入を3ケ月を超える長期間にわたり防止することを特徴とする飲食材収容体の害虫忌避方法。
【請求項2】
前記害虫忌避シートを飲食材収容体内面の2箇所以上に貼付することを特徴とする請求項1に記載の飲食材収容体の害虫忌避方法。
【請求項3】
前記常温揮散性害虫忌避成分が、ピレスロイドエステル化合物、ジオール化合物、アミノ酸エステル化合物、及び二塩基酸エステル化合物から選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の飲食材収容体の害虫忌避方法。
【請求項4】
前記ピレスロイドエステル化合物が、メトフルトリン、プロフルトリン、及びトランスフルトリンであることを特徴とする請求項3に記載の飲食材収容体の害虫忌避方法。
【請求項5】
前記ジオール化合物がp−メンタン−3,8−ジオール、p−メンタン−1,8−ジオール、及び2−エチル−1,3−ヘキサンジオールであり、前記アミノ酸エステル化合物が3−(N−アセチル−N−ブチル)アミノプロピオン酸エチルエステルであり、前記二塩基酸エステル化合物がシュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、及びフマル酸ジブチルであることを特徴とする請求項3に記載の飲食材収容体の害虫忌避方法。
【請求項6】
前記害虫忌避シートが、薬剤非透過性シート層の上に、前記常温揮散性害虫忌避成分を含有する樹脂層を積層し、更にこの上に前記常温揮散性害虫忌避成分について透過性を有する薬剤透過性シート層を積層してなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の飲食材収容体の害虫忌避方法。
【請求項7】
前記樹脂層を形成する樹脂が、エチレン共重合樹脂、合成ゴム樹脂、又はその両方を含有するホットメルト樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の飲食材収容体の害虫忌避方法。

【公開番号】特開2012−254963(P2012−254963A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155957(P2011−155957)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000207584)大日本除蟲菊株式会社 (184)
【Fターム(参考)】