説明

飼料用オレアミド含有組成物

本発明は、概して、飼料用の(食品、サプリメント、嗜好品、玩具等を含めた)組成物、具体的には、体重減少をまたは体重増加の減少を助ける傾向がある組成物、そして具体的には、オレアミドを含む組成物に関する。本発明は、更に、概して、このような組成物を使用する方法に関する。本発明は、更に、概して、このような組成物を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連特許出願への優先権主張】
【0001】
本特許は、米国仮特許出願60/501,688号(2003年9月10日出願)に優先権を主張する。上に挙げた特許出願の全内容が、本特許に援用される。
【0002】
発明の技術
本発明は、概して、飼料用の(食品、サプリメント、嗜好品、玩具等を含めた)組成物、具体的には、体重減少を、または体重増加を減少させることを助ける傾向がある組成物、そして具体的には、オレアミドを含む組成物に関する。本発明は、更に、概して、このような組成物を使用する方法に関する。本発明は、更に、概して、このような組成物を製造する方法に関する。
【0003】
発明の背景
胃腸(GI)管中で見出される内因性カンナビノイドは、胃腸運動性を低下させると報告された。Izzo, A., et al., "Cannabinoid CB1-receptor mediated regulation of gastrointestinal motility in mice in a model of intestinal inflamation", Br. J. Pharm., 134:563-570(2001) を参照されたい。この低下した胃腸運動性は、順次に、空腹感を減少させる傾向がある。腸上皮細胞中に存在する脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)は、内因性胃腸アナンダミド(内因性カンナビノイド)のレベルを変化させることによって胃運動性を制御する場合にある役割を果たしている。具体的には、FAAHは、内因性胃腸アナンダミドを分解し、それによって、胃腸運動性を増加させ、結果として空腹感を増加させる。
【0004】
オレアミド(cis−9−オクタデセニオアミド;CH(CHCH=CH(CHCONH)は、概して、種々の動物の脳で生産される睡眠誘発性脂肪酸アミドである。内因性胃腸アナンダミドのように、オレアミドは、FAAHによって分解される。Boger, D., et al., "Exceptionally potent inhibitors of fatty acid amide hydrolase: the enzyme responsible for degradation of endogenous oleamide and anandamide", Proc. Natl'l Acad. Sci., 9:5044-5049(2000)。Bisogno et al. は、オレアミドおよびアナンダミドを含めたいろいろなFAAH基質を包含する基質競合によって可能なFAAH活性阻害を論じている。Bisogno, T., et al., "Fatty Acid Amide Hydrolase, an enzyme with many bioactive substrates. Possible therapeutic implications", Current Pharm. Design, 8(3):125-133(2002)。Bisogno, T., et al., "Fatty acid amide hydrolase, an enzyme with many bioactive substrates. Possible Therapeutic Implications", Current Pharm. Design, 8(7):533-547(2002) も参照されたい。
【0005】
DeLuca et al. は、乳用 Jersey 雌牛の食料に3.5%までのオレアミドを補足した場合に認められたと彼らが報告した作用を論じている。その報告された作用には、乾物摂取量の減少が含まれる。DeLuca, D., et al., "Feeding oleamide to lactating Jersey cows. 2. Effects on nutrient digestibility, plasma fatty acids, and holmones." J. Dairy Sci., 83:569-576(2000) を参照されたい。
【0006】
Jenkins et al. は、Holstein 雌牛を、食料によってかまたは第一胃カニューレを介する投与によって4.2%オレアミドに暴露した場合に認められたと彼らが報告した作用を論じている。その報告された作用には、乾物摂取量の減少が含まれる。この研究では、その摂取量減少は、雌牛が望ましくないと感じるオレアミドの独特の味または臭いのためよりもむしろ、主に生理学的であると結論づけられた。Jenkins, T., et al, "Site administration and duration of feeding oleamide to cattle on feed intake and ruminal fatty acid concentrations", J. Anim. Sci., 28:2745-2753(2000) を参照されたい。
【0007】
体重減少に関する長年の研究および開発にもかかわらず、体重減少をまたは体重増加速度の減少を助ける組成物および方法が引き続き要求されている。
【0008】
発明の要旨
本発明は、飼料用の組成物、具体的には、体重減少を、または体重増加速度を減少させることを助ける傾向がある組成物に関する。このような組成物は、種々の哺乳動物および非哺乳動物での使用に適するかもしれないと考えられる。
【0009】
したがって、簡単にいうと、本発明は、一部分は、飼料用の組成物、例えば、食品、栄養サプリメント、嗜好品または玩具などの組成物に関する。その組成物は、(組成物の乾燥重量に基づき)少なくとも約0.1%のオレアミドを含む。
【0010】
一つの考えられる態様において、組成物は、食用肉、食用肉副産物、酪農産物または卵産物を含む。
【0011】
一つの考えられる態様において、組成物は、(組成物の乾燥重量に基づき)約2%〜約25%の一つまたはそれを超える中鎖トリグリセリドを含む。
【0012】
別の考えられる態様において、組成物は、単胃動物による接取を予定している。
【0013】
別のこのような考えられる態様において、組成物は、肉食動物による接取を予定している。
【0014】
別の考えられる態様において、組成物は、雑食動物による接取を予定している。
【0015】
別の考えられる態様において、組成物は、トリによる接取を予定している。
【0016】
本発明は、更に、オレアミドを含む動物用嗜好品に関する。
【0017】
本発明は、更に、オレアミドを含む動物用玩具に関する。
【0018】
本発明は、更に、このような組成物、嗜好品および玩具を製造する方法に関する。
【0019】
本発明は、更に、体重減少を、または体重増加を減少させることを助けるこのような組成物、嗜好品および玩具を使用する方法に関する。
【0020】
本出願人の発明の追加の利点は、本特許を読むことにより、当業者に明らかになるであろう。
【0021】
好ましい態様の詳細な説明
この、好ましい態様の詳細な説明は、本出願人の発明、その理論、およびその実際的応用を、単に当業者に熟知させるためのものであるので、当業者は、本発明をその多数の形態で、特定の使用の必要条件にそれらが最も良く適合しうるように適応させ且つ応用することができる。この詳細な説明およびその具体的な実施例は、本発明の好ましい態様を示しているが、単に例示を目的とするものである。本発明は、したがって、本明細書中に記載の好ましい態様に制限されることはなく、様々に修飾することができる。
【0022】
本発明によれば、動物用食料中のオレアミドの包含は、体重減少を、または体重増加速度を減少させることを助けるのに有用でありうるということが判明した。いずれか特定の理論に拘束されたくはないが、本出願人は、この利点が、例えば、低下した嗜好性による低下した食欲の結果でありうると考えている。本出願人は、更に、その利点は、代わりに(または少なくとも更に)、オレアミドによる生理学的作用(具体的には、満腹誘発作用)の結果でありうると考えている。具体的には、オレアミドは、FAAH基質として胃腸カンナビノイドと競合し、それによって、胃腸カンナビノイド分解量を減少させることがありうると考えられる。カンナビノイド分解のこの減少は、順次に、低下した胃腸運動性をもたらし、それが、結果として、減少した空腹感、そして最終的には、減少した食物摂取量をもたらすと考えられる。
【0023】
本発明の組成物および方法は、非ヒト霊長類(例えば、サル、チンパンジー等)、愛玩動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマ等)、生産動物(例えば、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシ等)、実験動物(例えば、マウス、ラット等)、および野生のおよび動物園の動物(例えば、オオカミ、クマ、シカ等)などの非ヒト哺乳動物を含めた種々の哺乳動物に有用でありうると考えられる。
【0024】
本発明の若干の態様において、例えば、動物は、単胃動物(すなわち、一つの胃を有する哺乳動物)、例えば、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウサギ、ウマまたはブタなどである。
【0025】
本発明の他の態様において、動物は、肉食哺乳動物、すなわち、肉を食べる哺乳動物である。
【0026】
本発明の他の態様において、動物は、雑食哺乳動物、すなわち、植物も肉も食べる哺乳動物である。
【0027】
本発明の他の態様において、動物は愛玩動物である。
【0028】
本発明の他の態様において、動物はネコである。
【0029】
本発明の他の態様において、動物はイヌである。
【0030】
本発明の他の態様において、動物はウサギである。
【0031】
本発明の他の態様において、動物はブタである。
【0032】
本発明の他の態様において、動物はウマである。
【0033】
更に、本発明の組成物および方法は、種々の非哺乳動物に有用でありうると考えられる。本発明の若干の態様において、例えば、組成物は、トリによる接取を予定している。考えられる鳥類には、例えば、愛玩用、生産用、動物園用および野生の鳥類(例えば、鳴禽類、オウム類、カモ類、ガチョウ類、ニワトリ類、シチメンチョウ類、ダチョウ類等を含めた)が含まれる。
【0034】
本発明は、種々のオレアミド含有組成物を考えている。考えられる組成物には、例えば、食品、サプリメント、嗜好品および玩具(典型的には、咀嚼可能な且つ接取可能な玩具)が含まれる。
【0035】
オレアミドは、好ましくは、予定の動物の自発的食物摂取量を減少させる量で、組成物中に存在する。概して、本発明の組成物中のオレアミドの濃度は、組成物の乾燥重量に基づき、少なくとも約0.1%(または約0.2%〜約10%、または約1%〜約7%、または約2%〜約6%、または約1%〜約3%、または約3%〜約5%)である。
【0036】
典型的には、組成物のオレアミドおよび他の成分は、混合された場合に、予定の動物がその組成物の接取を許容できないと感じさせる臭いまたは風味を与えない濃度で存在する。多くの場合、望ましい臭いおよび風味は、芳香または風味の増強剤を用いて達成することができる。
【0037】
オレアミドおよび他の成分は、好ましくは、予定の動物の健康に有害でない濃度で存在する。したがって、例えば、オレアミドおよび他の成分は、好ましくは、消化への望ましくない作用、具体的には、数日またはそれより長く続く望ましくない作用のような、消化への長期の望ましくない作用を引き起こさない濃度で存在する。消化への望ましくない作用には、例えば、便秘または下痢が含まれうる。
【0038】
オレアミドおよび他の成分は、好ましくは、安全な体重減少速度に対応する濃度で存在する。典型的には、動物の体重が約2%/週以下で減少するのが好適である。
【0039】
若干の態様において、オレアミド含有組成物は食品である。液体および固体双方の食品が考えられるが、典型的には、固体食品が好適である。食品が固体である場合、オレアミドは、食品上にコーティングされてよいし、食品中に包含されてよいし、または双方であってよい。考えられる食品には、乾燥食品または湿潤食品双方が含まれる。その食品の非オレアミド成分およびそれらの好ましい割合には、表1に上げられるものが含まれる。
【0040】
【表1】

【0041】
考えられる態様において、組成物は、次を含む食品である。
【0042】
(a)少なくとも約0.1%(または約0.2%〜約10%、または約1%〜約7%、または約2%〜約6%、または約1%〜約3%、または約3%〜約5%)のオレアミド;および
(b)次の、
(i)約5%〜約70%(または約10%〜約70%、または約10%〜約60%)のタンパク質、および
(ii)約2%〜約50%(または約5%〜約50%、または約5%〜約40%)の脂肪の内の少なくとも一つ。
このような態様において、組成物は、更に、例えば、次の内の少なくとも一つを含んでよいと考えられる。
【0043】
(a)約50%以下(または約5%〜約45%)の炭水化物、
(b)約40%以下(または約1%〜約20%、または約1%〜約5.5%)の食物繊維、および
(c)約15%以下(または約10%以下、または約2%〜約8%)の一つまたはそれを超える栄養平衡化剤(nutritional balancing agents)。
【0044】
別の考えられる態様において、組成物は、次を含む食品である。
【0045】
(a)少なくとも約0.1%(または約0.2%〜約10%、または約1%〜約7%、または約2%〜約6%、または約1%〜約3%、または約3%〜約5%)のオレアミド、および
(b)約5%〜約70%(または約10%〜約70%、または約10%〜約60%)のタンパク質。
【0046】
別の考えられる態様において、組成物は、次を含む食品である。
【0047】
(a)少なくとも約0.1%(または約0.2%〜約10%、または約1%〜約7%、または約2%〜約6%、または約1%〜約3%、または約3%〜約5%)のオレアミド、および
(b)約2%〜約50%(または約5%〜約50%、または約5%〜約40%)の脂肪。
【0048】
別の考えられる態様において、組成物は、次を含む食品である。
【0049】
(a)少なくとも約0.1%(または約0.2%〜約10%、または約1%〜約7%、または約2%〜約6%、または約1%〜約3%、または約3%〜約5%)のオレアミド、
(b)約5%〜約70%(または約10%〜約70%、または約10%〜約60%)のタンパク質、および
(c)約2%〜約50%(または約5%〜約50%、または約5%〜約40%)の脂肪。
【0050】
別の考えられる態様において、組成物は、次を含む食品である。
【0051】
(a)少なくとも約0.1%(または約0.2%〜約10%、または約1%〜約7%、または約2%〜約6%、または約1%〜約3%、または約3%〜約5%)のオレアミド、
(b)約5%〜約70%(または約10%〜約70%、または約10%〜約60%)のタンパク質、
(c)約2%〜約50%(または約5%〜約50%、または約5%〜約40%)の脂肪、
(d)約50%以下(または約5%〜約45%)の炭水化物、
(e)約40%以下(または約1%〜約20%、または約1%〜約5.5%)の食物繊維、および
(f)約15%以下(または約10%以下、または約2%〜約8%)の一つまたはそれを超える栄養平衡化剤。
【0052】
組成物中の各々の成分の具体的な好ましい量は、例えば、組成物を接取する動物の種;組成物中に包含される具体的な成分;動物の齢、体重、全身健康状態、性別および食事;動物の接取速度;処置される一つまたは複数の組成物状態のタイプ;等を含めた種々の因子に依存するであろう。したがって、成分量は、広範囲に異なってよいし、本特許に挙げられる好ましい割合から逸脱していてもよい。
【0053】
本発明の組成物中のタンパク質は、植物源、動物源または双方を含めた種々の源によって供給されてよいと考えられる。動物源には、例えば、食用肉、食用肉副産物、乳製品(diary)、卵類等が含まれる。食用肉には、例えば、家禽;魚;および哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等)の肉が含まれる。食用肉副産物には、例えば、肺、腎臓、脳、肝および胃・腸(好ましくは、それらの内容物を全てまたは本質的に全て不含の)が含まれる。
【0054】
若干の考えられる態様において、タンパク質は、食用肉、食用肉副産物、酪農産物または卵産物を含む。若干のこのような態様において、例えば、組成物中の1種類または複数の食用肉、食用肉副産物、酪農産物または卵産物の全濃度は、約5%〜約70%(または約10%〜約70%、または約10%〜約60%)である。
【0055】
若干の考えられる態様において、タンパク質は、食用肉または食用肉副産物を含む。若干のこのような態様において、例えば、組成物中の1種類または複数の食用肉および食用肉副産物の全濃度は、約5%〜約70%(または約10%〜約70%、または約10%〜約60%)である。
【0056】
本発明の組成物中の脂肪および炭水化物は、例えば、食用肉、食用肉副産物、他の動物または植物のタンパク質源、穀類およびそれらの混合物を含めた種々の源によって供給されてよい。穀類には、例えば、コムギ、トウモロコシ、オオムギおよびコメが含まれる。
【0057】
本発明の組成物中の繊維は、例えば、セルロース、ビートパルプ、ラッカセイ外皮およびダイズ繊維などの植物性繊維源を含めた種々の源より供給されてよい。
【0058】
具体的には、組成物が動物用食品である場合、ビタミン類および無機質は、好ましくは、欠乏を免れ且つ健康を維持するのに必要な量で含まれる。これら量は、当該技術分野において容易に入手可能である。National Research Council(NRC)は、例えば、生産動物のためのこのような成分の推奨量を提供している。例えば、Nutrient Requirements of Swine (10th Rev. Ed., Nat'l Academy Press, Wash. D.C., 1998)、Nutrient Requirements of Poultry (9th Rev. Ed., Nat'l Academy Press, Wash. D.C., 1994)、Nutrient Requirements of Horses (5th Rev. Ed., Nat'l Academy Press, Wash. D.C., 1989) 等を参照されたい。そして American Feed Control Officials(AAFCO)は、例えば、イヌおよびネコのためのこのような成分の推奨量を提供している。American Feed Control Officials, Incorp., Official publication, pp.126-140(2003) を参照されたい。食品添加物として概して有用な考えられるビタミン類には、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンK、葉酸、イノシトール、ナイアシンおよびパントテン酸が含まれる。食品添加物として概して有用な考えられる無機質および微量元素には、例えば、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、銅、亜鉛、塩素(chorine)および鉄の塩類が含まれる。
【0059】
本発明の組成物は、更に、当該技術分野において知られている添加物を含有してよい。好ましくは、このような添加物は、本発明によって提供される目的および作用を損なわない量で存在する。考えられる添加物の例には、例えば、体重管理に機能的に有益である物質;安定化作用を有する物質;感覚刺激性物質;加工助剤;嗜好性を増大させる物質;着色性物質;および栄養的利点を与える物質が含まれる。
【0060】
体重管理に利点を与えることができる考えられる物質には、例えば、非発酵性繊維、カルニチン、ピコリン酸クロミニウム、中鎖トリグリセリド等が含まれる。一つのこのような態様において、例えば、組成物は、組成物の乾燥重量に基づき、約2%〜約25%(または約5%〜約20%、または約7%〜約18%、または約12%〜約16%)の一つまたはそれを超える中鎖トリグリセリド(MCT)を含む。本特許中で用いられる「MCT」は、約8〜約12個の炭素を有する飽和脂肪酸鎖を含有する一つまたはそれを超えるトリグリセリドである。これら脂肪酸鎖は、しばしば、優先的に存在するカプリル酸(8炭素)およびカプリン酸(10炭素)の鎖であるが、より少ない量のカプロン酸(6炭素)およびラウリン酸(12炭素)の鎖を含む。トリグリセリド中の脂肪酸鎖は各々、同一であってよいしまたは異なっていてよい。MCTの源には、例えば、ヤシ油、マカダミア油、パーム油、パーム核油およびこのような油の混合物が含まれる。
【0061】
考えられる安定化用物質には、例えば、組成物の保存寿命を増加させる傾向がある物質が含まれる。このような物質の潜在的に適する例には、例えば、保存剤、酸化防止剤、協力剤および金属イオン封鎖剤、包装用ガス、安定化剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤および保湿剤が含まれる。乳化剤および/または増粘剤の例には、例えば、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテルおよび修飾デンプンが含まれる。
【0062】
着色、嗜好性および栄養目的に考えられる添加物には、例えば、着色剤;酸化鉄;塩化ナトリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウムおよび他の食用塩類;ビタミン類;無機質;および着香剤が含まれる。組成物中のこのような添加物の量は、典型的には、5%までである(組成物の乾燥基準)。
【0063】
サプリメントには、例えば、全体の栄養的平衡および性能を改善するように別の食料と一緒に用いられる食料が含まれる。考えられるサプリメントには、他の食料へのサプリメントとして未希釈で与えられる、別個に利用可能な動物配給量の他の部分を含む自由選択肢を与えられる、または完全食を生じるように動物の普通食で希釈されまたは混合されて与えられる組成物が含まれる。AAFCOは、例えば、American Feed Control Officials, Incorp., Official Publication, p.220(2003) に、サプリメントに関する考察を提供している。サプリメントは、例えば、散剤、液剤、シロップ剤、丸剤、カプセル封入組成物等を含めたいろいろな形であってよい。
【0064】
嗜好品には、例えば、動物が非食事時間中に食べたくなるように動物に与えられる組成物が含まれる。イヌ用の考えられる嗜好品には、例えば、イヌ用骨製品が含まれる。嗜好品は、栄養的であってよく、その場合、組成物は一つまたはそれを超える栄養素を含み、しかも例えば、食品について上に記載の組成物を有していてよい。非栄養的嗜好品は、無毒性であるいずれか他の嗜好品を包含する。オレアミドは、その嗜好品上にコーティングされうるし、嗜好品中に包含されうるし、または双方でありうる。
【0065】
玩具には、例えば、咀嚼可能な玩具が含まれる。イヌ用の考えられる玩具には、例えば、人工骨製品が含まれる。オレアミドは、その玩具の表面上または玩具成分の表面上にコーティングを形成しうるし、部分的にまたは完全に玩具中に包含されうるし、または双方でありうる。考えられる態様において、オレアミドは、予定の使用者によって経口利用可能である。広範囲の適する玩具が、現在市販されている。例えば、米国特許第5,339,771号(および米国特許第5,339,771号に開示された参考文献)を参照されたい。更に、例えば、米国特許第5,419,283号(および米国特許第5,419,283号に開示された参考文献)を参照されたい。本発明は、部分的に接取可能な玩具(例えば、プラスチック成分を含む玩具)および完全に接取可能な玩具(例えば、生皮および種々の人工骨製品)双方を考えているということが理解されるはずである。更に、本発明は、ヒトおよび非ヒト双方の使用、具体的には、愛玩動物、生産動物および動物園の動物の使用、そして具体的には、イヌ、ネコまたはトリの使用のための玩具を考えているということが理解されるはずである。
【0066】
本発明の組成物を製造する場合、組成物の成分は、オレアミドが、組成物の乾燥含量に基づき、少なくとも約0.1%(または約0.2%〜約10%、または約1%〜約7%、または約2%〜約6%、または約1%〜約3%、または約3%〜約5%)の濃度で組成物中に存在するように調整される。オレアミドは、例えば、組成物の他の成分の混合中および/または後などの製剤の加工中に、組成物中に包含されてよい。組成物中へのこれら成分の分布は、慣用的な手段によって達成することができる。
【0067】
本発明の組成物(具体的には、食品)は、慣用的なペットフード加工を用いて、缶詰のまたは湿潤した形で製造することができる。一つの考えられる態様において、粉砕された動物(例えば、哺乳動物、家禽および/または魚)タンパク質組織を、魚油、穀粒(cereal grains)、他の栄養平衡化成分、特別な目的の添加物(例えば、ビタミンおよび無機質混合物、無機塩類、セルロースおよびビートパルプ、増量剤等)を含めた他の成分;および加工用に更に十分に加えられる水と混合する。これら成分は、好ましくは、成分をブレンドしながら加熱するのに適した容器中で混合される。混合物の加熱は、例えば、直接蒸気噴射によるまたは熱交換器を装着した容器を用いることによるような、いずれか適する方式を用いて行うことができる。最後の成分の添加後、その混合物を、約50°F〜約212°Fの範囲の温度に加熱する。この範囲外の温度は、利用可能であるが、他の加工助剤を使用しなければ、商業的に非実用的であるかもしれない。適当な温度に加熱された場合、その材料は、典型的に、濃厚液の形であろう。その濃厚液を、缶に充填する。蓋をして、容器を気密封止する。次に、密封された缶を、それら内容物を滅菌するように設計された慣用的な装置中に入れる。これは、通常は、約230°Fを超える温度に、例えば、用いられる温度および組成物に依存する適当な時間加熱することによって行われる。
【0068】
本発明の組成物(具体的には、食品)は、慣用的な加工を用いて乾燥した形で製造することができる。一つの考えられる態様において、乾燥成分、例えば、動物タンパク質源、植物タンパク質源、穀類等を含めたものを、粉砕し且つ一緒に混合する。次に、脂肪、油、動物タンパク質源、水等を含めた湿潤したまたは液体の成分を、その乾燥配合物に加え且つ混合する。次に、その混合物を、粗挽き粒または類似の乾燥品に加工する。粗挽き粒は、しばしば、押出法を用いて成形されるが、その場合、乾燥成分および湿潤成分の混合物に、機械作業を高圧・高温で行い、そして小開口部を介してそれを押し込み、回転ナイフで切断して粗挽き粒にする。次に、湿潤粗挽き粒を乾燥させ、そして場合により、例えば、フレーバー、脂肪、油、粉末等が含まれてよい一つまたはそれを超える局所コーティングでコーティングする。粗挽き粒は、更に、押出よりもむしろ焼付法を用いてドウから製造することができるが、その場合、ドウを型に入れた後、乾熱加工する。
【0069】
本発明の嗜好品は、例えば、乾燥食品について上に記載されたのと同様の押出法または焼付法によって製造することができる。他の加工を用いて、オレアミドを、既存の嗜好品形態の外面上にコーティングするかまたは既存の嗜好品形態中に注入することもできる。
【0070】
本発明の動物用玩具は、典型的に、いずれか既存の玩具をオレアミドでコーティングすることによって製造される。
【実施例】
【0071】
次の実施例は、単に詳しく説明するものであり、いずれにせよ、本開示を制限するものではない。
【0072】
実施例1
ビーグル犬に、乾燥対照食かまたは乾燥試験食を、随意に連続4週間与えた。それらイヌを、毎週体重測定し、それらの食物摂取量を毎日記録した。対照食および試験食中の成分は、下の表2に記載されている。
【0073】
【表2】

【0074】
この実験の結果を、下の表3および表4に示す。表3に示されるように、自発的食物摂取量の減少は、対照食を与えられたイヌに相対して、4%オレアミド試験食を与えられたイヌについて、研究経過にわたって認められた。そして表4に示されるように、対照食を与えられたイヌに相対して一層大きい体重減少が、4%オレアミド試験食を与えられたイヌについて、研究経過にわたって認められた。
【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【0077】
実施例2
身体状態スコア(1=痩身、5=肥満体)が>4のビーグル犬に、対照食かまたは試験食を、随意に63日間与えた。双方の研究において、それらイヌを、毎週体重測定し、それらの食物摂取量を毎日記録した。対照食および試験食中の成分は、上の表2に記載の通りである。
【0078】
この実験の結果を、下の表5および表6に示す。表5に示されるように、自発的食物摂取量の減少は、対照食を与えられたイヌに相対して、4%オレアミド試験食を与えられたイヌについて、研究経過にわたって認められた。そして表6に示されるように、対照食を与えられたイヌに相対して一層大きい体重減少が、4%オレアミド試験食を与えられたイヌについて、研究経過にわたって認められた。
【0079】
【表5】

【0080】
【表6】

【0081】
実施例1および実施例2の結果は、イヌ用食品へのオレアミドの添加が、時間経過での食物摂取量および体重の減少に対応するということを示している。食物摂取量の減少は、自発的であったし、体重の減少は、安全な且つ望ましい速度(すなわち、2%/週以下)で生じた。
【0082】
実施例3
二つの嗜好性評価プロトコールを用いて、オレアミド含有食品についての嗜好性を評価した。第一プロトコールは、標準的な二皿試験であり、接取される全食品を用いて嗜好性を評価した。第二プロトコールは、認知的嗜好性評価(CPA)プロトコールであり、この場合、3種類の対象物の内の一つへの選択的反応を用いて、優先する食品を決定した。Araujo, J., et al., "A novel cognitive palatability assessment protocol for dogs", J. Anim. Sci., 82:2200-2208(2004) を参照されたい。この後者の手順は、満腹誘発性を有する食品についての嗜好性を評価するのに特に有用であるが、それについて、標準的な二皿試験は、このような性状のない食品を好むことで偏ると考えられる。
【0083】
次の3種類の試験食を、この実験に用いた。
【0084】
1.対照食:Hill's Prescription Diet Canine w/d 食品。
【0085】
2.低用量食:2%オレアミドを補足した Hill's Prescription Diet Canine w/d 食品。
【0086】
3.高用量食:4%オレアミドを補足した Hill's Prescription Diet Canine w/d 食品。
イヌには、毎日1回1時間給餌した。
【0087】
二皿試験プロトコールは、高用量オレアミド食よりも対照食の優先と、低用量オレアミド食より僅かに対照食の優先を示した。しかしながら、それら優先の差は、統計的有意性を欠いていた。この有意性の欠如は、小さい試料サイズおよび個体変動のためでありうる。データは、食品経験の関数としても変化した。
【0088】
CPAプロトコールを用いて調べられたイヌは、最初に二皿プロトコールで調べられたイヌの場合よりも、高い全摂取量および大きい対照食優先を有していた。CPAプロトコールは、高用量食よりも対照食の統計的に有意の優先と、対照食よりも低用量食の有意でない優先を示した。CPAプロトコールの結果は、安定な個々の優先を示した。有意性の欠如は、個体変動差の反映でありうる。
【0089】
それらイヌは、与えられた対照食および低用量食を全て接取した。対照的に、僅か25%のイヌだけが、与えられた高用量食を全て接取した。
【0090】
実施例4
若いビーグル犬に、次の食品の内の一つを与えた。
【0091】
1.対照食:Hill's Prescription Diet Canine w/d 食品。
【0092】
2.低用量食:2%オレアミドを補足した Hill's Prescription Diet Canine w/d 食品。
【0093】
3.高用量食:4%オレアミドを補足した Hill's Prescription Diet Canine w/d 食品。
それらイヌには、毎日1回1時間給餌した。活動度(activity)を、特別に設計された首輪内に置かれたアクチウォッチ(actiwatch)を用いて評価した。各々の食品についての連続的活動度データを、連続して7日間、昼と夜に記録した。
【0094】
この実験は、高用量食を与えられたイヌにおいて、有意に一層大きい昼間活動度を示した。対照食または低用量食を与えられたイヌの場合、昼間活動度に有意差はなかった。そしていずれのイヌについても、夜間活動度に有意差はなかった。
【0095】
上に引用された参考文献は全て、本特許に援用される。
【0096】
「含む」という語は、排他的よりもむしろ包括的と解釈されるべきである。
【0097】
上の、好ましい態様の詳細な説明は、本発明、その理論、およびその実際的応用を、単に当業者に熟知させるためのものであるので、当業者は、本発明をその多数の形態で、特定の使用の必要条件にそれらが最も良く適合しうるように適応させ且つ応用することができる。本発明は、したがって、上の態様に制限されることはなく、様々に修飾することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼料用組成物であって、
(組成物の乾燥重量に基づき)少なくとも約0.1%のオレアミド;および
食用肉、食用肉産物、酪農産物および卵産物から成る群より選択される少なくとも一つの成分
を含む組成物。
【請求項2】
前記組成物が、(組成物の乾燥重量に基づき)約0.2%〜約10%のオレアミドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、(組成物の乾燥重量に基づき)約1%〜約3%のオレアミドを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、(組成物の乾燥重量に基づき)約3%〜約5%のオレアミドを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、食用肉および食用肉産物から成る群より選択される少なくとも一つの成分を含み、そして
該組成物中の食用肉および食用肉産物の全濃度が、(組成物の乾燥重量に基づき)約5%〜約70%である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、イヌおよびネコから成る群より選択される動物による接取用に製造された食品を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
飼料用組成物であって、
(組成物の乾燥重量に基づき)少なくとも約0.1%のオレアミド;および
(組成物の乾燥重量に基づき)約2%〜約25%の一つまたはそれを超える中鎖トリグリセリド
を含む組成物。
【請求項8】
前記組成物が、(組成物の乾燥重量に基づき)約2%〜約6%のオレアミドを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
飼料用組成物であって、
(組成物の乾燥重量に基づき)少なくとも約0.1%のオレアミドを含み;そして
該組成物が、単胃動物、雑食動物、肉食動物およびトリから成る群より選択される動物による接取用に製造されている組成物。
【請求項10】
前記組成物が、(組成物の乾燥重量に基づき)約2%〜約6%のオレアミドを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、単胃動物による接取用に製造されている、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、ウサギ、ネコ、イヌ、ウマおよびブタから成る群より選択される動物による接取用に製造されている、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、雑食動物および肉食動物から成る群より選択される動物による接取用に製造されている、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の組成物を製造する方法であって、オレアミドを食品中に包含することを含む方法。
【請求項15】
請求項7に記載の組成物を製造する方法であって、オレアミドを食品中に包含することを含む方法。
【請求項16】
請求項9に記載の組成物を製造する方法であって、オレアミドを食品中に包含することを含む方法。
【請求項17】
動物の体重を減少させることまたは体重増加を減少させることを助ける方法であって、請求項1に記載の組成物を該動物に与えることを含む方法。
【請求項18】
動物の体重を減少させることまたは体重増加を減少させることを助ける方法であって、請求項7に記載の組成物を該動物に与えることを含む方法。
【請求項19】
動物の体重を減少させることまたは体重増加を減少させることを助ける方法であって、請求項9に記載の組成物を該動物に与えることを含む方法。
【請求項20】
前記動物が、イヌおよびネコから成る群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
動物用嗜好品であって、オレアミドを含む嗜好品。
【請求項22】
請求項21に記載の動物用嗜好品であって、
(嗜好品の乾燥重量に基づき)約2%〜約6%のオレアミドを含み;そして
該嗜好品が、イヌおよびネコから成る群より選択される動物による接取用に製造されている嗜好品。
【請求項23】
動物用玩具であって、オレアミドを含む玩具。
【請求項24】
請求項23に記載の動物用玩具であって、イヌおよびネコから成る群より選択される動物による使用のため製造される玩具。

【公表番号】特表2007−504832(P2007−504832A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526367(P2006−526367)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/029811
【国際公開番号】WO2005/025325
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】