説明

餅の製造方法

【課題】再加熱によって軟化し喫食可能とすると、噛み切り易くて飲み込み易い搗きたてのような餅に復元することになる餅の製造方法を提供すること。
【解決手段】アミログラムでの糊化開始温度を±3℃以内、最高粘度を±100BU以内となるように2品種以上の糯米を混米し、この混米を100℃以上で20分以上加熱して蒸米とし、この蒸米を杵搗きして餅とし、70℃以上の前記餅を0℃以下の雰囲気で90分以内に10℃まで冷却して硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温では硬化していて、再加熱した際に、噛み切り易く、口腔内で付着し難く、飲み込み易い、搗きたてのような餅に復元することになる餅の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、米を原料とする食品製造業界では、多種多様な米の各特長を生かして、1年を通じて食味の変化の少ない消費者の嗜好に合った米製品を作るために、品種・産地の異なる米を混米(ブレンドとも言う)している。混米はそれぞれの特徴をもった食味となるが、相乗効果を生じることも知られている(竹生新治郎監修、米の科学、(株)朝倉書店、1998年発行、123〜124頁)。
【0003】
また、例えば、粳米の混米による物性改善方法として、下記の特許文献1〜3が提案されている。
【0004】
これらを簡単に説明すると、特許文献1では、粳米に糯米を混合することで、食味の優れない米に対し、喫食に最適な水分を保ち、ふっくらと炊きたての食感と粘りを与え、食味が改良された米飯が得られることを開示している。
【0005】
また、特許文献2では、アミロース含量が10%以下で、難老化性を示す3種類の低アミロース米を用いた低温で流通可能な米飯食品およびその製造方法を開示している。
【0006】
また、特許文献3では、単独では米飯の粘りや耐硬化性が不十分な硬質米に、適性なブレンドを行うことによって炊飯時の加熱吸水、米飯の物理特性、耐硬化性などの点で元の原料米より優れたブレンド米を提供することを開示している。
【0007】
一方、本国では、餅は、正月、節句、祭り、祝い事などの特別な日に食する食物であり、古来より広く食べられている。特に高齢者にとっては、伝統料理として、また普段の食事としても、餅は欠かせない食物である。
【0008】
しかし、粘りの強い餅は、口の中や喉の粘膜に付着し易く、咽頭への送り込み(嚥下)が難しい。
【0009】
搗きたての餅は、凝集性があり、糊組成が少ないので、咀嚼性、付着性、嚥下性に難儀を感じず、噛み切り易く、口腔内で付着し難く、飲み込み易いのであるが、硬化した餅を再加熱して食した場合には、餅が糊状に融解して、特有の粘り気が増大するために、餅を小さく噛み切ることが難しく、口腔内に付着し、大きな塊のまま咽頭に送られるため、食べ難い。
【0010】
餅を食した高齢者や乳幼児が、餅を気道に詰まらせる事故は古くからあり、毎年後を絶たない。厚生労働省によると、平成8年1月の1ヶ月間で餅を詰まらせて死亡した人は208人で、そのうち60〜80歳までの割合が79.5%を占めていた。さらに、平成11年度自治省消防庁委託研究報告書によれば、気道異物窒息事故の第一位の原因として餅が挙げられ、特に60歳以上の高齢者および6歳未満の乳幼児に当該事故が多発することが報告されている。
【0011】
そこで、下記の特許文献4〜9のように、他の食材を糯米や餅に添加することにより、餅の物性の改善を図った事例が提案されている。
【0012】
これらを簡単に説明すると、特許文献4では、糯米に小麦を加えることで、口当たり、歯触りの良い餅が得られることを開示している。
【0013】
また、特許文献5では、糯米に、オカラやヌカを加えることで、喉につまらせることなく、栄養価の高い、安価な餅が得られることを開示している。
【0014】
また、特許文献6では、高度分岐環状デキストリンを配合して、咀嚼、嚥下しやすい澱粉性食品を製造する製造法を開示している。
【0015】
また、特許文献7では、寒天入りの餅とすることで、粘り気の少ない、軽い食感で胸焼けのしない餅の製造方法を開示している。
【0016】
また、特許文献8では、糯米にうるち米、α化うるち米を加えることで、嚥下や咀嚼しやすい餅様食品が得られることを開示している。
【0017】
また、特許文献9では、糯米にコンニャク粒やオオムギ粒を加えることで、喉に詰まり難く、餅状低カロリー食品が得られることを開示している。
即ち、この特許文献4〜9では、糯米や餅に、小麦やオカラ、ヌカ、高度分岐環状デキストリン、寒天、うるち米、αうるち米、コンニャク粒やオオムギ粒を加えることで、咀嚼・嚥下しやすく、歯切れよく、付着性の改善を図ることに成功している。
【0018】
【特許文献1】特開平5−227904号公報
【特許文献2】特許第3477473号公報
【特許文献3】特開2003−18029号公報
【特許文献4】特開平5−7466号公報
【特許文献5】特許第2981882号公報
【特許文献6】特開2001−136898号公報
【特許文献7】特開2002−34479号公報
【特許文献8】特許第3779594号公報
【特許文献9】特許第3837321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
出願人は、これまでに餅をテーマに様々な研究・実験を行っており、試行錯誤した末に前記特許文献1〜3にない糯米の混米技術によって、再加熱後に噛み切り易くて飲み込みやすい搗きたてのような状態に復元する餅を製造可能となる本発明の餅の製造方を完成させた。
【0020】
また、出願人は、前記特許文献4〜9に示したように他の食材を糯米や餅に添加する技術によらず、製餅後の冷却手法を工夫することによって、再加熱後に噛み切り易くて飲み込みやすい搗きたてのような状態に復元する餅を製造可能となる本発明の餅の製造方法を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0021】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0022】
アミログラムでの糊化開始温度を±3℃以内、最高粘度を±100BU以内となるように2品種以上の糯米を混米して製餅後に冷却硬化させ、再加熱によって軟化し喫食可能となる餅として、噛み切り易く、口腔内で付着し難く、飲み込み易い、搗きたてのような餅に復元するようにしたことを特徴とする餅の製造方法に係るものである。
【0023】
また、100℃以上で20分以上加熱した蒸米を杵搗きして餅とし、70℃以上の前記餅を0℃以下の雰囲気で90分以内に10℃まで冷却して硬化させ、再加熱によって軟化し喫食可能となる餅として、噛み切り易く、口腔内で付着し難く、飲み込み易い、搗きたてのような餅に復元するようにしたことを特徴とする餅の製造方法に係るものである。
【0024】
また、アミログラムでの糊化開始温度を±3℃以内、最高粘度を±100BU以内となるように2品種以上の糯米を混米し、この混米を100℃以上で20分以上加熱して蒸米とし、この蒸米を杵搗きして餅とし、70℃以上の前記餅を0℃以下の雰囲気で90分以内に10℃まで冷却して硬化させ、再加熱によって軟化し喫食可能となる餅として、噛み切り易く、口腔内で付着し難く、飲み込み易い、搗きたてのような餅に復元するようにしたことを特徴とする餅の製造方法に係るものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明は上述のように構成したから、再加熱すると、噛み切り易く、口腔内で付着し難く、飲み込み易い、搗きたてのように復元する餅を製造可能となる極めて実用性に秀れた画期的な餅の製造方法となる。
【0026】
また、特に請求項3記載の発明においては、再加熱後に、搗きたての餅とほぼ同等に復元する餅を製造可能となる極めて実用性に秀れた餅の製造方法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0028】
・請求項1記載の発明
アミログラムでの糊化開始温度を±3℃以内、最高粘度を±100BU以内となるように2品種以上の糯米を混米して製餅後に冷却硬化させ、再加熱によって軟化し喫食可能となる餅とする。
【0029】
本発明では、農作物として収穫された2品種以上の糯米だけを混米して使用する。酸味料や水飴、増粘多糖類のような食品添加物は使用しない。
【0030】
一般に、澱粉の糊化の特徴を表現するのにアミログラムが使用されており、それは澱粉懸濁液を一定速度で加温したときの粘度と温度との関係を示すものである。澱粉粒が糊化すると粘性を生じることに起因して、粘度が急上昇する温度を糊化開始温度(糊化温度、転移温度、粘度上昇温度とも言う)と言う。1.5℃/分で95℃まで加熱を続け、最大の粘度を示す値を最高粘度と言い、粒の膨潤性との相関がある(二國次郎監修、澱粉科学ハンドブック、(株)朝倉書店、初版1977年発行、第13版1997年発行、37〜38頁)。
【0031】
糊化開始温度は、米の品種、産地、年度によっても異なり、低い米で55℃、高い米で70℃にも及び、温度範囲が広い。
【0032】
搗きたての餅の場合は、100℃程度で数十分間、蒸されるので、糊化開始温度が広範囲に渡っていても、その温度帯を一気に通過するので、糊化開始温度を特定しなくとも良い。さらに、最高粘度が低い米の場合は伸びる餅に、最高粘度が高い米の場合は弾力のある餅になるが、搗きたての餅は、上下左右に関係なく、均一に混合、杵搗きされているので、糊化開始温度や最高粘度がばらついている糯米を使用しても、一つの凝集体として振る舞う。それゆえ、搗きたての餅は、噛み切り易く、口腔内で付着し難く、飲み込み易い。
【0033】
一方、冷却硬化した餅を焼く、煮る、蒸す等、再加熱によって軟化し喫食可能とした場合は、定形個体の周囲から徐々に熱が伝わるので、糊化開始温度の低い米澱粉から先に糊組成として溶解してしまい、定形個体の中心まで加熱し終わる頃には、餅の周囲に存在している糊化開始温度の低い米澱粉が完全に糊状に融解して、特有の粘り気が増大するために、付着性が増して飲み込み難くなる。加えて、最高粘度のばらつき範囲が広い場合は、伸びる部分と弾力のある部分が散在しているので噛み切り難く、飲み込み難い。
【0034】
この点、本発明では、原料米の段階で、糯米のアミログラムでの糊化開始温度を±3℃以内、最高粘度を±100BU以内となる2品種以上の糯米を選別して原料米の品質のばらつきを少なくし、この選別した糯米を混米して製餅後に冷却硬化させるので、再加熱によって軟化し喫食可能とした場合には、噛み切り易く、口腔内で付着し難く、飲み込み易い、搗きたてのような餅に復元することになる。
【0035】
なお、米の銘柄の判別については、製餅後でも文献(中村澄子ら,糯加工品における糯米の品種判別および異種穀類の混入検出技術の開発,日本農芸化学会誌,78,984-993,2004)に記載の方法にて定性・定量することができる。
【0036】
・請求項2記載の発明
100℃以上で20分以上加熱した蒸米を杵搗きして餅とし、70℃以上の前記餅を0℃以下の雰囲気で90分以内に10℃まで冷却して硬化させ、再加熱によって軟化し喫食可能となる餅とする。
【0037】
搗きたての餅を緩慢に冷却すると、澱粉−水系の複合体が崩壊し、離水した状態で餅が硬化(離水老化と呼ばれている)するので、喫食可能となるように再加熱した場合には、水のない澱粉も存在することから搗きたての餅には復元しない。
【0038】
この点、本発明では、100℃以上で20分以上加熱した蒸米を杵搗きし、糊化開始温度上限の70℃以上で杵搗きを終了するので、搗きたての餅としての物性(食感)が付与され、餅として完成した状態でも糊化状態を維持したものとなり、次いで、この餅を0℃以下の雰囲気で90分以内に10℃まで冷却して素早く硬化させるので、水分が澱粉に取り込まれたまま硬化(ゲル状老化と呼ばれている)することになる。そして、このように水分を取り込んだまま硬化した餅は、再加熱によって軟化し喫食可能とした場合に、噛み切り易く、口腔内で付着し難く、飲み込み易い、搗きたてのような餅に復元することになる。
【0039】
・請求項3記載の発明
アミログラムでの糊化開始温度を±3℃以内、最高粘度を±100BU以内となるように2品種以上の糯米を混米し、この混米を100℃以上で20分以上加熱して蒸米とし、この蒸米を杵搗きして餅とし、70℃以上の前記餅を0℃以下の雰囲気で90分以内に10℃まで冷却して硬化させ、再加熱によって軟化し喫食可能となる餅とする。
【0040】
即ち、本発明は、請求項1の製造方法と請求項2の製造方法を併用して餅を製造しているので、請求項1の発明と請求項2の発明の相乗効果が得られ、再加熱によって軟化し喫食可能とした場合に、一層搗きたてのような餅に復元することになる。
【実施例】
【0041】
本発明の具体的な実施例について説明する。
【0042】
平成19年産の糯米10品種のアミログラムを測定し、糊化開始温度、最高粘度を求めた。
【0043】
糊化開始温度、最高粘度が請求項1の範囲内のものを2品種以上を選定し、混米して「請求項1範囲内の混米」とした。また、比較用として糊化開始温度、最高粘度が請求項1の範囲外のものを2品種以上を選定し、混米して「請求項1範囲外の混米」とした。
【0044】
混米した精白米を洗米し、水中に7時間浸漬後に、水切りし、100℃以上で20分以上蒸して蒸米とし、杵搗きして餅に加工し、搗きたて直後を「搗きたての餅」とした。
【0045】
この餅を請求項2の冷却方法により硬化させて「請求項2冷却の餅」とした。また、比較用として請求項2とは異なる緩慢な冷却方法により餅を硬化させて「緩慢冷却の餅」とした。
【0046】
硬化後の餅を、10倍量の室温(常温)の水と一緒に加熱し、沸騰したら熱源を停止し、2分間放置した。加熱することで喫食可能な状態に調理した餅を「再加熱後の餅」とした。
【0047】
アミログラムの測定方法については文献(二國次郎監修、澱粉科学ハンドブック、(株)朝倉書店、初版1977年発行、第13版1997年発行、227〜228頁)および、文献(有坂將美ら,高アミロース米澱粉糊液の性質,応用糖質科学,41,1-7,1994)に従って測定し、糊化開始温度、最高粘度を求めた。
【0048】
酸溶解度の測定方法については文献(有坂將美ら,高アミロース米澱粉糊液の性質,応用糖質科学,41,1-7,1994)に従った。なお、酸溶解度は澱粉の糊化状態(糊組成の定量)を評価することができる。
【0049】
SDS溶解度の測定方法については、文献(有坂將美ら,分散性による糯米生地の糊化度、老化度及び崩壊度の推定,日本食品工業学会誌,36,55-61,1989)に従った。SDS溶解度は、餅の糊化度(α化度)と老化度および老化の質(離水老化やゲル状老化)を評価することができる。
【0050】
それぞれのサンプルについて実験した結果を以下に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
請求項1範囲内の混米で製造した搗きたての餅の糊組成を100とすると、請求項1範囲外の混米で製造した搗きたての餅の糊組成は、10%多かった。請求項1範囲外の混米で製造した搗きたての餅を緩慢冷却すると、再加熱した場合に、搗きたての餅以上に糊組成が増加した。請求項1範囲内の混米で製造し、請求項2の急速冷却を行うと、再加熱後の餅は、糊組成が、搗きたての餅と同量であり、搗きたての餅に復元していることが分かる。また、請求項1範囲内の混米で製造した搗きたての餅を緩慢冷却した場合と、請求項1範囲外の混米で製造した搗きたての餅を請求項2冷却した場合においても、搗きたての餅に近い状態に復元していることが分かる。
【0053】
【表2】

【0054】
請求項1範囲内の混米で製造した搗きたての餅の糊化度を100とすると、請求項1範囲外の混米で製造した搗きたての餅の糊化度も100であった。しかし、請求項1範囲外の混米で製造した搗きたての餅に緩慢冷却を行うと、再加熱後の餅の糊化度が減少した。請求項1範囲内の混米で製造し、請求項2の急速冷却を行うと、再加熱後の餅は、糊化度が搗きたてと同一であり、搗きたての餅に復元していることが分かる。また、請求項1範囲内の混米で製造した搗きたての餅を緩慢冷却した場合と、請求項1範囲外の混米で製造した搗きたての餅を請求項2冷却した場合においても、搗きたての餅に近い状態に復元していることが分かる。
【0055】
【表3】

【0056】
請求項1範囲内の混米並びに請求項1範囲外の混米で製造した搗きたての餅の老化度を0、双方の混米で製造した餅を請求項2の急速冷却したものの老化度を100とすると、緩慢冷却を行った餅は、双方とも老化度が減少し、完全に老化していないことが分かった。
【0057】
【表4】

【0058】
SDS溶解度の測定において、分散温度52.5℃と45℃との分散度の差がある場合を離水老化、差のない場合をゲル状老化と仮定すると、請求項2の急速冷却を行った餅は、請求項1範囲内の混米で製造したものも請求項1範囲外の混米で製造したものもゲル状老化をしており、緩慢冷却を行った餅は、離水老化していた。
【0059】
【表5】

【0060】
搗きたての餅と再加熱後の餅を10名のパネラーで食味試験を行った。普段、各パネラーが食べ慣れている餅の噛み切り易さ、口腔内での付着し難さ、飲み込み易さを3として、それよりも悪いを1、やや悪いを2、やや良いを4、良いを5として、5段階の官能評価とした。
【0061】
請求項1範囲内の混米で製造した搗きたての餅の食味は最高点を示し、これを請求項2の方法で急速冷却を行い再加熱した餅の食味も同点数であることから、請求項1範囲内の混米で製造した餅を請求項2の冷却方法で硬化した餅を再加熱した場合は、搗きたての餅に復元していることが分かる。
【0062】
請求項1範囲内の混米で製造した搗きたての餅を緩慢冷却で硬化させたものの再加熱後の評価は、若干劣るが、搗きたての餅に近い状態まで復元していることが分かる。
【0063】
請求項1範囲外の混米で製造した搗きたての餅を請求項2の急速冷却で硬化させたものの再加熱後の評価は、さらに劣るが、請求項1範囲外の混米で製造した搗きたての餅を緩慢冷却で硬化させたものの再加熱後の評価よりも搗きたての餅に近い状態に復元していることが分かる。
【0064】
これらの評価結果から、請求項1範囲内の混米で製造した餅を、請求項2の急速冷却で硬化させると、即ち請求項3の製造方法を行うと、再加熱によって軟化し喫食可能とした場合に、噛み切り易く、口腔内で付着し難く、飲み込み易い、搗きたてのような餅に復元することが分かるが、請求項1範囲内の混米で製造した搗きたての餅を緩慢冷却した場合と、請求項1範囲外の混米で製造した搗きたての餅を請求項2冷却した場合においても、搗きたての餅に近い状態に復元していることが分かる。
【0065】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミログラムでの糊化開始温度を±3℃以内、最高粘度を±100BU以内となるように2品種以上の糯米を混米して製餅後に冷却硬化させ、再加熱によって軟化し喫食可能となる餅として、噛み切り易く、口腔内で付着し難く、飲み込み易い、搗きたてのような餅に復元するようにしたことを特徴とする餅の製造方法。
【請求項2】
100℃以上で20分以上加熱した蒸米を杵搗きして餅とし、70℃以上の前記餅を0℃以下の雰囲気で90分以内に10℃まで冷却して硬化させ、再加熱によって軟化し喫食可能となる餅として、噛み切り易く、口腔内で付着し難く、飲み込み易い、搗きたてのような餅に復元するようにしたことを特徴とする餅の製造方法。
【請求項3】
アミログラムでの糊化開始温度を±3℃以内、最高粘度を±100BU以内となるように2品種以上の糯米を混米し、この混米を100℃以上で20分以上加熱して蒸米とし、この蒸米を杵搗きして餅とし、70℃以上の前記餅を0℃以下の雰囲気で90分以内に10℃まで冷却して硬化させ、再加熱によって軟化し喫食可能となる餅として、噛み切り易く、口腔内で付着し難く、飲み込み易い、搗きたてのような餅に復元するようにしたことを特徴とする餅の製造方法。

【公開番号】特開2010−51275(P2010−51275A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221820(P2008−221820)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(593201958)越後製菓株式会社 (22)
【Fターム(参考)】