養鶏用飼料組成物及び鶏卵
【課題】本発明は採卵鶏飼料およびその飼料を投与することにより、栄養上注目されている中鎖脂肪酸を鶏卵に含有させ、更に抗脂血症の原因とされている鶏卵中のコレステロールを低減する。
【解決手段】ココナッツの果実胚乳およびその果皮を養鶏用の飼料中に含有させ、鶏に投与することによりココナッツ脂質中に含まれる中鎖脂肪酸を鶏卵に移行させ、更に鶏卵中のコレステロールを低減させる。
【解決手段】ココナッツの果実胚乳およびその果皮を養鶏用の飼料中に含有させ、鶏に投与することによりココナッツ脂質中に含まれる中鎖脂肪酸を鶏卵に移行させ、更に鶏卵中のコレステロールを低減させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、動物用飼料に関し、さらに詳しくは養鶏用飼料に関する。また、該養鶏用飼料を用いて生産した鶏卵に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、健康油として注目されている中鎖脂肪酸は、以前より鶏の栄養生理学的特長を有するものとして注目されていたが、入手できる原料の価格が養鶏用には高価なため実際に利用されることはなかった。（非特許文献１）
【０００３】
一方、養鶏業界では産卵率向上の目的のため、高蛋白、高カロリーの濃厚飼料を与える傾向にあり、その結果肝臓等への負担による卵質の低下の問題もでてきている。
【０００４】
また、近年の高脂血症に関係すると言われるコレステロールの問題により、鶏卵に対して低コレステロール卵への要望が高まっている。
【０００５】
しかしながら、このような要望があるにも拘らず安価な中鎖脂肪酸を多く含有し、鶏の健康を維持しながら、更に鶏卵中に通常の養鶏用飼料からは移行されない中鎖脂肪酸を鶏卵中に含有させ、さらにコレステロールも低減させる有効な材料や方法は開発されていない。例えば、中鎖脂肪酸を与え、体脂肪を抑える特許（特許文献１）も出ているが、経済性と動物への嗜好性の問題により実際に採用されていないのが現状である。
【０００６】
また特許文献２では紅麹を投与したり、特許文献３では籾殻、特許文献４ではフィチン酸などを与えて鶏卵中コレステロールを低減させる試みがされているが、コレステロールの低減値は十分なものではない。
【０００７】
また天然の中鎖脂肪酸を含むとされるコプラミール（ヤシ絞り粕）は、安価な飼料原料として一部使用を検討されているが、生産工程中にカビ毒であるアフラトキシンの汚染問題や嗜好性の問題、更に実際に含まれる脂質含量も８％以下と低く目的の効果を期待するために配合率が高くなり、消化や栄養成分上の問題があり、目的とする用途に利用することはできない。
【０００８】
【特許文献１】 特開平５−０５６７５５号公報
【特許文献２】 特開２００３−３２５１１０号公報
【特許文献３】 特開平０７−１７０９１７号公報
【特許文献４】 特開平０７−０７９７０８号公報
【非特許文献１】 古瀬充宏、村井篤嗣、畜産の研究 第４巻 第２号ｐ５５〜６０、第３号ｐ６１〜６６
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
本発明者らは、鶏の健康を維持し、中鎖脂肪酸を鶏卵中に移行させ、更にコレステロールも低減させる安価な飼料材料を開発することを本願発明の研究課題とした。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
本発明者らは、鶏の健康を維持し、中鎖脂肪酸を鶏卵中に移行させ、更にコレステロールも低減させる安価な飼料材料を模索した結果、ココナッツの胚乳部分または果皮部分の乾燥物を養鶏用飼料に配合し、鶏に投与すると、鶏の健康を維持し、産卵率、飼料効率の向上のみならず、鶏卵中に栄養上注目されている中鎖脂肪酸が移行され、更に鶏卵中のコレステロールを低減させる等、極めて有効であることを見出した。
【００１１】
即ち、本発明は、ココナッツの果実胚乳及び／又はその果皮を含有する養鶏用飼料組成物である。
【００１２】
また、本発明は、前記養鶏用飼料組成物が、さらに、飼料、飼料添加物、動物薬、ビタミンプレミックス、栄養強化剤から選ばれる少なくとも一種を含有する養鶏用飼料組成物である。
【００１３】
さらに、本発明は、鶏卵中に中鎖脂肪酸を蓄積する効果を有する養鶏用飼料組成物である。
【００１４】
本発明は、さらに、鶏卵中のコレステロールを低減させる効果を有する養鶏用飼料組成物である。
【００１５】
さらに、本発明は、前記の養鶏用飼料組成物の投与によって生産した鶏卵である。
【００１６】
さらに、本発明は、前記の養鶏用飼料組成物の投与によって生産した鶏卵であって、該鶏卵中の中鎖脂肪酸が１０ｍｇ／１００ｇ以上であることを特徴とする鶏卵である。
【００１７】
また、本発明は、前記の養鶏用飼料組成物の投与によって生産した鶏卵であって、さらに、鶏卵中のコレステロールが４００ｍｇ／１００ｇ以下であることを特徴とする鶏卵である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
発明の実施の形態を以下に詳述する。
即ち、本発明は、ココナッツの果実胚乳及び／又はその果皮を含有する養鶏用飼料組成物であり、本発明に使用される原料は、ココナッツ果実胚乳そのものか、またはココナッツミルクやデシケートココナッツ製造工程で分離除去される胚乳果皮部分のどちらであってもよく、或いは両者を混合して用いてもよい。両者の成分はほぼ同じである。
【００１９】
本発明で使用できるココナッツは、学術名Ｃｏｃｏｓ ｎｕｃｉｆｅｒａで植物辞典に掲載される既に公知となっているココヤシから採取されるヤシ科植物の果実である。
果実の外皮は、既にマットなどの繊維加工に、内果皮であるヤシ殻は活性炭やココナッツオイルの原料に、また果実胚乳はココナッツミルクやデシケートココナッツの原料として食品に使用されるなど、東南アジアを始めとする熱帯地域では産業や食料の素材として多量に生産、加工されており、安価・容易に入手できるものである。
【００２０】
本発明の養鶏用飼料組成物は、他の飼料原料と配合して鶏に投与するため、ココナッツ果実胚乳または果皮部分はあらかじめ５％以下の水分含量に乾燥し、粉末化しておくことが望ましい。
粉末化と乾燥の順序は特に限定されず、粉末化及び乾燥は、通常の粉砕機及び乾燥機を使用することができる。
【００２１】
本発明のココナッツ果実胚乳皮、または胚乳果皮粉末乾燥物は、通常に市販されている飼料、ビタミンプレミックス、動物薬等に０．１〜５０％重量の範囲で配合することにより、一層高い効果を期待することができる。
配合量は、０．１％以下のときには十分な効果が期待できず、また５０％以上配合すると消化不良などの副作用を生じることがある。
【００２２】
本発明の養鶏用飼料組成物を鶏に投与することにより、鶏卵の中鎖脂肪酸蓄積効果やコレステロール低減効果を得ることができる。
具体的な数値は実施例において示したが、鶏卵中の中鎖脂肪酸は、本願発明の飼料の投与によって１０ｍｇ／１００ｇ以上に蓄積させることができ、また、鶏卵中のコレステロールは４００ｍｇ／１００ｇ以下まで低減させることができる。
【００２３】
本発明の養鶏用飼料組成物を鶏に投与することにより、上記効果ばかりでなく、さらに飼料要求率の改善効果、疾病率の低下効果、産卵率の改善効果、鶏卵の味改善効果をも得ることができる。
【００２４】
本発明の養鶏用飼料組成物で、これら中鎖脂肪酸蓄積の効果やコレステロール低減の効果を得るためには、投与量を一日当たり０．１〜１００ｇ／ｋｇ体重とし、投与期間は最低一週間以上与える必要がある。
配合量や投与期間が上記範囲より少なすぎると十分な効果が期待できず、また上記範囲より投与量が多すぎた場合は消化不良などの副作用を生じることがある。
【００２５】
本発明の養鶏用飼料組成物には、通常の飼料や動物薬の原料として用いられる公知の全ての飼料や飼料添加物を含有させることができる。
【００２６】
具体的には以下の飼料、飼料添加物を配合することができる。
ビタミンＡ、ビタミンＢ群、ビタミンＣ、ビタミンＤ、ビタミンＥ、ビタミンＫ群、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、コリン、タウリンなどのビタミン類、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、プロリン、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、チロシン、リジン、アルギニン、ヒスチジンなどのアミノ酸類、動植物由来の蛋白質類、ＤＮＡ、ＲＮＡなどの核酸類、ショ糖、ブドウ糖、果糖などの糖類、大豆油、菜種油、オリーブ油、コーン油、牛脂、豚脂、β−シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロール、スチグマステロール、エルゴステロールなどの植物ステロール類及びその誘導体、スフィンゴ脂質、リン脂質、グリセロ脂質などの油脂類、トウモロコシ、マイロ、大麦、大豆、米、ゴマ、ゴマ粕、オカラ、フスマ、米糠、小麦粉、片栗粉、粟、ヒエ、魚粉、カキガラ、骨粉、全卵粉、卵黄粉、粉乳などの動植物由来の飼料原料、エトキシキン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの抗酸化剤、プロピオン酸、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸ナトリウムなどの防黴剤、アルギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、プロピレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ゼラチン、グルコマンナン、グアーガム、アラビアガム、ローストビーンガム、寒天などの粘結剤、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤、ギ酸などの調整剤、塩化カリウム、塩化ナトリウム、クエン酸鉄、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸亜鉛、炭酸コバルト、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、ＤＬ−トレオニン鉄、乳酸カルシウム、フマル酸第１鉄、ペプチド亜鉛、ペプチド鉄、ペプチド銅、ペプチドマンガン、ヨウ化カリウム、ヨウ素酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸亜鉛メチオニン、硫酸コバルト、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、リン酸１水素カリウム、リン酸２水素カリウム、リン酸１水素ナトリウム、リン酸２水素ナトリウムなどのミネラル類、アスタキサンチン、クリプトキサンチン、β−カロチンなどの色素類、アミラーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ・ペクチナーゼ複合酵素、セルラーゼ、フィターゼ、ラクターゼ、リパーゼなどの酵素類、サリノマイシンナトリウム、センジュラマイシンナトリウム、デコキネート、クエン酸モランテル、デストマイシンＡ、ハイグロマイシンＢ、亜鉛バシトラシン、アラビマイシン、エフロトマイシン、キタサマイシン、リン酸タイロシン、ビコザマイシン、硫酸コリスチンなどの抗菌性物質、乳酸菌、酪酸菌、ビフィズス菌などの生菌剤が挙げられる。
【実施例】
【００２７】
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得るものである。
【実施例１】
【００２８】
〔ココナッツ果実胚乳乾燥物の製造方法〕
ココナッツ胚乳果実をココナッツより取り出し、市販カッターで５ｍｍサイズ以下に裁断した。このときの水分は４５％であった。その後、ドラム乾燥機で１５０℃、１時間乾燥して白色から黄白色の香ばしいココナッツ果実胚乳乾燥粉末物を得た。乾燥物の分析値を表１に示す。
【表１】
【実施例２】
【００２９】
実施例１で調整されたココナッツ果実胚乳乾燥粉末を表２の養鶏用飼料に３％と５％添加して赤穂市の採卵鶏農場において（品種：ボリスブラウン）３００羽を１００羽ずつ３区に分け３週間飼料を与え、採卵した卵を分析して表３のような結果を得た。
【表２】
【表３】
【００３０】
上記の結果より、本発明品を添加した区、Ｉ及びＩＩにおいては比較区で存在しなかった中鎖脂肪酸が含有しており、飼料からの移行が確認された。また鶏卵中のコレステロールも比較区と比べ下がる傾向を示した。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、動物用飼料に関し、さらに詳しくは養鶏用飼料に関する。また、該養鶏用飼料を用いて生産した鶏卵に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、健康油として注目されている中鎖脂肪酸は、以前より鶏の栄養生理学的特長を有するものとして注目されていたが、入手できる原料の価格が養鶏用には高価なため実際に利用されることはなかった。（非特許文献１）
【０００３】
一方、養鶏業界では産卵率向上の目的のため、高蛋白、高カロリーの濃厚飼料を与える傾向にあり、その結果肝臓等への負担による卵質の低下の問題もでてきている。
【０００４】
また、近年の高脂血症に関係すると言われるコレステロールの問題により、鶏卵に対して低コレステロール卵への要望が高まっている。
【０００５】
しかしながら、このような要望があるにも拘らず安価な中鎖脂肪酸を多く含有し、鶏の健康を維持しながら、更に鶏卵中に通常の養鶏用飼料からは移行されない中鎖脂肪酸を鶏卵中に含有させ、さらにコレステロールも低減させる有効な材料や方法は開発されていない。例えば、中鎖脂肪酸を与え、体脂肪を抑える特許（特許文献１）も出ているが、経済性と動物への嗜好性の問題により実際に採用されていないのが現状である。
【０００６】
また特許文献２では紅麹を投与したり、特許文献３では籾殻、特許文献４ではフィチン酸などを与えて鶏卵中コレステロールを低減させる試みがされているが、コレステロールの低減値は十分なものではない。
【０００７】
また天然の中鎖脂肪酸を含むとされるコプラミール（ヤシ絞り粕）は、安価な飼料原料として一部使用を検討されているが、生産工程中にカビ毒であるアフラトキシンの汚染問題や嗜好性の問題、更に実際に含まれる脂質含量も８％以下と低く目的の効果を期待するために配合率が高くなり、消化や栄養成分上の問題があり、目的とする用途に利用することはできない。
【０００８】
【特許文献１】 特開平５−０５６７５５号公報
【特許文献２】 特開２００３−３２５１１０号公報
【特許文献３】 特開平０７−１７０９１７号公報
【特許文献４】 特開平０７−０７９７０８号公報
【非特許文献１】 古瀬充宏、村井篤嗣、畜産の研究 第４巻 第２号ｐ５５〜６０、第３号ｐ６１〜６６
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
本発明者らは、鶏の健康を維持し、中鎖脂肪酸を鶏卵中に移行させ、更にコレステロールも低減させる安価な飼料材料を開発することを本願発明の研究課題とした。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
本発明者らは、鶏の健康を維持し、中鎖脂肪酸を鶏卵中に移行させ、更にコレステロールも低減させる安価な飼料材料を模索した結果、ココナッツの胚乳部分または果皮部分の乾燥物を養鶏用飼料に配合し、鶏に投与すると、鶏の健康を維持し、産卵率、飼料効率の向上のみならず、鶏卵中に栄養上注目されている中鎖脂肪酸が移行され、更に鶏卵中のコレステロールを低減させる等、極めて有効であることを見出した。
【００１１】
即ち、本発明は、ココナッツの果実胚乳及び／又はその果皮を含有する養鶏用飼料組成物である。
【００１２】
また、本発明は、前記養鶏用飼料組成物が、さらに、飼料、飼料添加物、動物薬、ビタミンプレミックス、栄養強化剤から選ばれる少なくとも一種を含有する養鶏用飼料組成物である。
【００１３】
さらに、本発明は、鶏卵中に中鎖脂肪酸を蓄積する効果を有する養鶏用飼料組成物である。
【００１４】
本発明は、さらに、鶏卵中のコレステロールを低減させる効果を有する養鶏用飼料組成物である。
【００１５】
さらに、本発明は、前記の養鶏用飼料組成物の投与によって生産した鶏卵である。
【００１６】
さらに、本発明は、前記の養鶏用飼料組成物の投与によって生産した鶏卵であって、該鶏卵中の中鎖脂肪酸が１０ｍｇ／１００ｇ以上であることを特徴とする鶏卵である。
【００１７】
また、本発明は、前記の養鶏用飼料組成物の投与によって生産した鶏卵であって、さらに、鶏卵中のコレステロールが４００ｍｇ／１００ｇ以下であることを特徴とする鶏卵である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
発明の実施の形態を以下に詳述する。
即ち、本発明は、ココナッツの果実胚乳及び／又はその果皮を含有する養鶏用飼料組成物であり、本発明に使用される原料は、ココナッツ果実胚乳そのものか、またはココナッツミルクやデシケートココナッツ製造工程で分離除去される胚乳果皮部分のどちらであってもよく、或いは両者を混合して用いてもよい。両者の成分はほぼ同じである。
【００１９】
本発明で使用できるココナッツは、学術名Ｃｏｃｏｓ ｎｕｃｉｆｅｒａで植物辞典に掲載される既に公知となっているココヤシから採取されるヤシ科植物の果実である。
果実の外皮は、既にマットなどの繊維加工に、内果皮であるヤシ殻は活性炭やココナッツオイルの原料に、また果実胚乳はココナッツミルクやデシケートココナッツの原料として食品に使用されるなど、東南アジアを始めとする熱帯地域では産業や食料の素材として多量に生産、加工されており、安価・容易に入手できるものである。
【００２０】
本発明の養鶏用飼料組成物は、他の飼料原料と配合して鶏に投与するため、ココナッツ果実胚乳または果皮部分はあらかじめ５％以下の水分含量に乾燥し、粉末化しておくことが望ましい。
粉末化と乾燥の順序は特に限定されず、粉末化及び乾燥は、通常の粉砕機及び乾燥機を使用することができる。
【００２１】
本発明のココナッツ果実胚乳皮、または胚乳果皮粉末乾燥物は、通常に市販されている飼料、ビタミンプレミックス、動物薬等に０．１〜５０％重量の範囲で配合することにより、一層高い効果を期待することができる。
配合量は、０．１％以下のときには十分な効果が期待できず、また５０％以上配合すると消化不良などの副作用を生じることがある。
【００２２】
本発明の養鶏用飼料組成物を鶏に投与することにより、鶏卵の中鎖脂肪酸蓄積効果やコレステロール低減効果を得ることができる。
具体的な数値は実施例において示したが、鶏卵中の中鎖脂肪酸は、本願発明の飼料の投与によって１０ｍｇ／１００ｇ以上に蓄積させることができ、また、鶏卵中のコレステロールは４００ｍｇ／１００ｇ以下まで低減させることができる。
【００２３】
本発明の養鶏用飼料組成物を鶏に投与することにより、上記効果ばかりでなく、さらに飼料要求率の改善効果、疾病率の低下効果、産卵率の改善効果、鶏卵の味改善効果をも得ることができる。
【００２４】
本発明の養鶏用飼料組成物で、これら中鎖脂肪酸蓄積の効果やコレステロール低減の効果を得るためには、投与量を一日当たり０．１〜１００ｇ／ｋｇ体重とし、投与期間は最低一週間以上与える必要がある。
配合量や投与期間が上記範囲より少なすぎると十分な効果が期待できず、また上記範囲より投与量が多すぎた場合は消化不良などの副作用を生じることがある。
【００２５】
本発明の養鶏用飼料組成物には、通常の飼料や動物薬の原料として用いられる公知の全ての飼料や飼料添加物を含有させることができる。
【００２６】
具体的には以下の飼料、飼料添加物を配合することができる。
ビタミンＡ、ビタミンＢ群、ビタミンＣ、ビタミンＤ、ビタミンＥ、ビタミンＫ群、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、コリン、タウリンなどのビタミン類、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、プロリン、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、チロシン、リジン、アルギニン、ヒスチジンなどのアミノ酸類、動植物由来の蛋白質類、ＤＮＡ、ＲＮＡなどの核酸類、ショ糖、ブドウ糖、果糖などの糖類、大豆油、菜種油、オリーブ油、コーン油、牛脂、豚脂、β−シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロール、スチグマステロール、エルゴステロールなどの植物ステロール類及びその誘導体、スフィンゴ脂質、リン脂質、グリセロ脂質などの油脂類、トウモロコシ、マイロ、大麦、大豆、米、ゴマ、ゴマ粕、オカラ、フスマ、米糠、小麦粉、片栗粉、粟、ヒエ、魚粉、カキガラ、骨粉、全卵粉、卵黄粉、粉乳などの動植物由来の飼料原料、エトキシキン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの抗酸化剤、プロピオン酸、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸ナトリウムなどの防黴剤、アルギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、プロピレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ゼラチン、グルコマンナン、グアーガム、アラビアガム、ローストビーンガム、寒天などの粘結剤、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤、ギ酸などの調整剤、塩化カリウム、塩化ナトリウム、クエン酸鉄、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸亜鉛、炭酸コバルト、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、ＤＬ−トレオニン鉄、乳酸カルシウム、フマル酸第１鉄、ペプチド亜鉛、ペプチド鉄、ペプチド銅、ペプチドマンガン、ヨウ化カリウム、ヨウ素酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸亜鉛メチオニン、硫酸コバルト、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、リン酸１水素カリウム、リン酸２水素カリウム、リン酸１水素ナトリウム、リン酸２水素ナトリウムなどのミネラル類、アスタキサンチン、クリプトキサンチン、β−カロチンなどの色素類、アミラーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ・ペクチナーゼ複合酵素、セルラーゼ、フィターゼ、ラクターゼ、リパーゼなどの酵素類、サリノマイシンナトリウム、センジュラマイシンナトリウム、デコキネート、クエン酸モランテル、デストマイシンＡ、ハイグロマイシンＢ、亜鉛バシトラシン、アラビマイシン、エフロトマイシン、キタサマイシン、リン酸タイロシン、ビコザマイシン、硫酸コリスチンなどの抗菌性物質、乳酸菌、酪酸菌、ビフィズス菌などの生菌剤が挙げられる。
【実施例】
【００２７】
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得るものである。
【実施例１】
【００２８】
〔ココナッツ果実胚乳乾燥物の製造方法〕
ココナッツ胚乳果実をココナッツより取り出し、市販カッターで５ｍｍサイズ以下に裁断した。このときの水分は４５％であった。その後、ドラム乾燥機で１５０℃、１時間乾燥して白色から黄白色の香ばしいココナッツ果実胚乳乾燥粉末物を得た。乾燥物の分析値を表１に示す。
【表１】
【実施例２】
【００２９】
実施例１で調整されたココナッツ果実胚乳乾燥粉末を表２の養鶏用飼料に３％と５％添加して赤穂市の採卵鶏農場において（品種：ボリスブラウン）３００羽を１００羽ずつ３区に分け３週間飼料を与え、採卵した卵を分析して表３のような結果を得た。
【表２】
【表３】
【００３０】
上記の結果より、本発明品を添加した区、Ｉ及びＩＩにおいては比較区で存在しなかった中鎖脂肪酸が含有しており、飼料からの移行が確認された。また鶏卵中のコレステロールも比較区と比べ下がる傾向を示した。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ココナッツの果実胚乳及び／又はその果皮を含有する養鶏用飼料組成物。
【請求項２】
前記養鶏用飼料組成物が、さらに、飼料、飼料添加物、動物薬、ビタミンプレミックス、栄養強化剤から選ばれる少なくとも一種を含有する請求項１に記載の養鶏用飼料組成物。
【請求項３】
鶏卵中に中鎖脂肪酸を蓄積する効果を有する請求項１又は２に記載の養鶏用飼料組成物。
【請求項４】
さらに、鶏卵中のコレステロールを低減させる効果を有する請求項１〜３のいずれかに記載の養鶏用飼料組成物。
【請求項５】
請求項１〜４のいずれかに記載の養鶏用飼料組成物の投与によって生産した鶏卵。
【請求項６】
鶏卵中の中鎖脂肪酸が１０ｍｇ／１００ｇ以上であることを特徴とする請求項５に記載の鶏卵。
【請求項７】
さらに、鶏卵中のコレステロールが４００ｍｇ／１００ｇ以下であることを特徴とする請求項５又は６に記載の鶏卵。
【請求項１】
ココナッツの果実胚乳及び／又はその果皮を含有する養鶏用飼料組成物。
【請求項２】
前記養鶏用飼料組成物が、さらに、飼料、飼料添加物、動物薬、ビタミンプレミックス、栄養強化剤から選ばれる少なくとも一種を含有する請求項１に記載の養鶏用飼料組成物。
【請求項３】
鶏卵中に中鎖脂肪酸を蓄積する効果を有する請求項１又は２に記載の養鶏用飼料組成物。
【請求項４】
さらに、鶏卵中のコレステロールを低減させる効果を有する請求項１〜３のいずれかに記載の養鶏用飼料組成物。
【請求項５】
請求項１〜４のいずれかに記載の養鶏用飼料組成物の投与によって生産した鶏卵。
【請求項６】
鶏卵中の中鎖脂肪酸が１０ｍｇ／１００ｇ以上であることを特徴とする請求項５に記載の鶏卵。
【請求項７】
さらに、鶏卵中のコレステロールが４００ｍｇ／１００ｇ以下であることを特徴とする請求項５又は６に記載の鶏卵。
【公開番号】特開２００６−２８８３６２（Ｐ２００６−２８８３６２Ａ）
【公開日】平成１８年１０月２６日（２００６．１０．２６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１３９０３２（Ｐ２００５−１３９０３２）
【出願日】平成１７年４月８日（２００５．４．８）
【出願人】（５０５０４２８８２）株式会社デイリーエッグ (1)
【出願人】（５９２２５６０４７）日和産業株式会社 (4)
【出願人】（５９２２５６０５８）大和化成株式会社 (4)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年１０月２６日（２００６．１０．２６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年４月８日（２００５．４．８）
【出願人】（５０５０４２８８２）株式会社デイリーエッグ (1)
【出願人】（５９２２５６０４７）日和産業株式会社 (4)
【出願人】（５９２２５６０５８）大和化成株式会社 (4)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]