説明

香料システム

本出願は、香料システム並びに新規香料及び/又はかかる香料システムを含む消費者製品、並びにかかる香料システム及び消費者製品の製造方法及び使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、香料システム並びに香料及び/又はかかる香料システムからなる消費者製品、並びにかかる香料システム及び消費者製品の製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者製品は、かかる製品及び/又はかかる製品と接触する部位へ所望の香りを提供することができ、並びに/又は望ましくない匂いを隠すことができる香料及び/又は香料システムの1種以上を含むことができる。現在の香料及び香料システムは、望ましい匂いを提供するけれども、消費者は、長続きしかつ彼ら各人の好みに応じて調整された香りを有する製品を探し続けている。残念ながら、入手可能な多品種の(pool)香料及び香料システムはこうした要望を満たすにはあまりに制約されている。このため、香料製造者はより一層多品種の香料及び香料システムを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
出願人らは、本明細書で開示された組成物が、香料反応生成物を含みかつ香料反応生成物を含む新規香料及び香料システムからなる香り付けされた組成物を含むことによって、かかる要求を満たすと確信している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願は、香料システム並びに新規香料及び/又はかかる香料システムからなる消費者製品、並びにかかる香料システム及び消費者製品の製造方法及び使用方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
定義
本明細書で用いる「消費者製品」は、販売される形態での使用又は消費を意図し、後続する商業的製造又は変性を意図しない、ベビーケア、ビューティケア、衣類及びホームケア、ファミリーケア、フェミニンケア、ヘルスケア、スナック、並びに/又は飲料製品若しくは装置を意味する。このような製品には、おむつ、よだれかけ、拭き取り用品、脱色、着色、染色、コンディショニング、シャンプー、スタイリングを含む毛髪(ヒト、イヌ、及び/又はネコ)の処理に関連する製品及び/又は方法、防臭剤及び制汗剤、パーソナルクレンジング、化粧品、消費者使用のためのクリーム、ローション、及び他の局所適用製品の適用を含むスキンケア、並びにシェービング製品、空気ケア、車ケア、食器洗浄、布地コンディショニング(柔軟化など)、洗濯洗浄、洗濯及びすすぎ補助剤及び/又はケア、硬質表面洗浄及び/又は処理、並びに消費者用又は業務用の他の洗浄などの、布地、硬質表面、並びに布地及びホームケア領域内の任意の他の表面処理に関する製品及び/又は方法、トイレットペーパー、フェイシャルティッシュ、紙ハンカチ、及び/又は紙タオルに関連する製品及び/又は方法、タンポン、女性用ナプキン、練り歯磨き、歯用ジェル、歯用リンス、義歯接着剤、歯ホワイトニングなどの口腔ケアに関連する製品及び/又は方法、咳及び風邪治療薬、鎮痛剤、処方薬、ペットヘルスと栄養、及び水精製などの店頭販売のヘルスケア、主として慣習的な食事間用又は食事随伴物としての消費が意図される加工食品(非限定的な実施例としては、ポテトチップス、トルティーヤチップス、ポップコーン、プレッツェル、コーンチップス、シリアルバー、野菜チップス又はクリスプ、スナックミックス、パーティミックス、マルチグレインチップス、スナッククラッカー、チーズスナック、ポークラインズ、コーンスナック、ペレットスナック、押出成形スナック及びベーグルチップが挙げられる)、並びにコーヒーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0006】
本明細書で使用するとき、用語「洗浄及び/又はトリートメント組成物」としては、特に指示のない限り、顆粒又は粉末状の多目的即ち「強力」洗浄剤、特に洗浄洗剤、液体、ゲル又はペースト状の多目的洗浄剤、特にいわゆる強力液体型、液体高級衣類用洗剤、手洗い食器洗浄剤又は軽質食器洗浄剤、特に泡立ちのよいもの、家庭又は業務用の各種の錠剤、顆粒、液体、及びすすぎ補助剤型などの食器洗い機用洗剤、抗菌手洗い用型、手洗い石鹸、マウスウォッシュ、義歯洗浄剤、歯磨剤、車又はカーペット用シャンプー、浴室洗浄剤などの液体洗浄殺菌剤、ヘアシャンプー及びヘアリンス、シャワージェル及び発泡入浴剤、並びに金属洗浄剤、並びに、漂白補助剤、及び「ステインスティック」又は前処理用型などの洗浄助剤、又はドライヤー付与シート、乾燥及び湿潤型拭取り布並びにパッド、不織布基材、及びスポンジなどの基材付与製品、並びにスプレー剤、及びミスト剤が挙げられる。
【0007】
本明細書で使用するとき、用語「布地ケア組成物」には、特に指示がない限り、布地柔軟化組成物、布地向上組成物、布地フレッシュニング組成物及びこれらの組み合わせを含む。
【0008】
本明細書で使用するとき、「a」及び「an」のような冠詞は、特許請求の範囲で使用されるときには、1以上の請求又は記載されるものを意味するものと理解される。
【0009】
本明細書で使用するとき、「包含する/挙げられる(include)」、「包含する/挙げられる(includes)」及び「包含している/挙げられている/などの(including)」という言葉は、限定することを意図しない。
【0010】
本明細書で使用するとき、用語「固体」は、顆粒、粉末、塊、及び錠剤の製品形態を含む。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「流体」は、液体、ゲル、ペースト及びガスの製品形態を含む。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「部位(situs)」は、紙製品、布地、衣服、硬い表面、毛髪、及び皮膚を含む。
【0013】
特に記載のない限り、構成成分又は組成物の濃度は全て、当該構成成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる構成成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0014】
百分率及び比率は全て、特に指示がない限り、重量で計算されている。百分率及び比率は全て、特に指示しない限り、組成物全体を基準にして計算される。
【0015】
本明細書を通じて、所与のあらゆる最大数値限定は、そのようなより小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように、より小さい全ての数値限定を含むと理解されるべきである。本明細書全体を通じて記載されているあらゆる最小数値限定には、それよりも大きいあらゆる数値限定が、あたかもこうしたそれよりも大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように包含される。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲は、こうしたより広い数値範囲内に入る、それよりも狭いあらゆる数値範囲を、あたかもこうしたそれよりも狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0016】
好適な香料類
好適な香料としては、以下の式I〜式IVを有する香料が挙げられ、
【化1】

式中、
C−1とC−2との間の結合は単結合であり、C−2とC−3との間の結合と、一緒の点線とが、二重結合を表わし、あるいは、
C−2とC−3との間の結合は、単結合であり、C−1とC−2との間の結合と一緒の点線は、二重結合を表わす。このような分子は、1−(2−イソブチルシクロヘキサ−1−エニル)ブタ−2−エン−1−オン及び1−(2−イソブチルシクロヘキサ−2−エニル)ブタ−2−ン−1−オンである。
【化2】

式中、
は、水素又はメチルであり、
は、C〜Cアルキルであり、かつ
C−4’とC−5’との間の二重結合は、(E)−配置又は(Z)−配置のいずれかである。
【0017】
式IIを有する分子の例は、(4’Z)−2,2−ジメチル−5−(2’−メチルオクタ−4’−エニル)−2,5−ジヒドロフランである。
【化3】

式IIIを有する分子は、6−メトキシ−1,5,6−トリメチル−5−(3−メチルブタ−2−エニル)シクロヘキサ−1−エンとして知られている。
【化4】

式IVを有する分子は、(E)−3−メチル−5−(2,2,3−トリメチルシクロペンター3−エニル)ペンタ−3−エン−2−オンとして知られている。
【化5】

式Vを有する分子は、(2E,5E/Z)−5,6,7−トリメチルオクタ−2,5−ジエン−4−オンとして知られている。
【化6】

式VIを有する分子は、(E)−1−(6−エチル−2−メチルシクロヘキサ−3−エニル)ブタ−2−エン−1−オンとして知られている。
【0018】
式Iを有する分子は、ルイス酸の存在下において1−イソブチル−シクロヘキセンをクロトン酸クロリド又はクロトン酸無水物でアシル化し、一共役ブタノン即ち式Iの化合物にすることによって調製されてよく、式中、C−1とC−2との間の結合は単結合であり、C−2とC−3との間の結合と一緒の点線は二重結合を表わし、これを酸、例えばPTSAの存在下においてトルエン中で加熱することによって、二共役ブタノン、即ち式(I)の化合物へ異性化することができ、式中、C−2とC−3との間の結合は単結合であり、C−1とC−2との間の結合と一緒の点線は、二重結合を表わす。本出願の実施例1〜3は更に、このような教示を示す。
【0019】
式(II)を有する分子は、3−メチル−5−オキソペンチルアセテートのC〜Cアルキルトリフェニルホスホニウムハロゲン化物とのウィティッヒ反応、及びそれに続くけん化によって、3−メチル置換アルケ−5−ナールを得ることによって調製してよい。これらの3−メチルアルカ−5−エナール類を、それぞれブタ−3−イン−2−オール及び2−メチルブタ−3−イン−2−オールのグリニャール試薬と反応させることによって、二重不飽和1,4−ジオール類を入手可能であるが、これは硫酸水素カリウムなどの一般的な脱水試薬によって、2−メチル置換5−(2’−メチルアルカ−4’−エニル)−2,5−ジヒドロフランへと環化可能である。ウィティッヒ反応の条件を変更することによって、側鎖中のΔ−二重結合の立体化学もまたコントロールすることができる。特定の鏡像異性体又はジアステレオマーの合成又は解像度と同様に、これは一般的な技術水準であり、一般式は、全ての二重結合異性体類だけでなく全ての可能な鏡像異性及びジアステレオマー組成物を含む。しかしながら、単純にコストの制約から、シス構造二重結合を有するジアステレオマー混合物の調製が一般的に有利である。実施例4は更に、このような教示を示す。
【0020】
式(IV)を有する分子は、ディールス・アルダー付加環化、それに続く当該技術分野において既知の条件下でのアセトアルデヒドとのアルドール縮合及び水除去によって製造することができる。
【0021】
式III〜式Vを有する分子は、米国特許第4,052,341号、同第6,723,313(B2)号及び同第7,078,570(B2)号の教示に従って製造することもできる。
【0022】
香料反応生成物
一態様では、本明細書で記載しかつ特許請求した香料反応生成物は、下記の式I、及びIV〜VIの香料から選択される1種以上の香料の反応生成物並びに1種以上のヘテロ原子、例えば窒素、イオウ、リン及び/又はセレンを含む材料を含む。更に別の態様では、前記香料反応生成物は、下記の式I、及びIV〜VIの香料から選択される1種以上の香料の反応生成物並びに1以上のアミン部分、チオール部分、ホスフィン部分及び/又はセレノール部分を含有する材料を含む。更に別の態様では、前記香料反応生成物は、下記の式I、及びIV〜VIの香料から選択される1種以上の香料の反応生成物並びに1以上の一級アミン部分、二級アミン部分及び/又はチオール部分を含有する材料を含む。
【0023】
一態様では、本明細書で記載しかつ特許請求した香料反応生成物は下記の式Iを有する香料の反応生成物並びに1以上のヘテロ原子、例えば窒素、イオウ、リン及び/又はセレンを含有する材料を含む。更に別の態様では、前記香料反応生成物は、下記の式Iを有する香料の反応生成物並びに1以上のアミン部分、チオール部分、ホスフィン部分及び/又はセレノール部分を含有する材料を含む。更に別の態様では、前記香料反応生成物は、下記の式Iを有する香料の反応生成物並びに1以上の一級アミン部分、二級アミン部分及び/又はチオール部分を含有する材料を含む。
【0024】
全ての場合について、香料反応生成物は、他の材料と組み合わせて消費者製品、例えば洗浄及び/又は布地処理製品を形成する前に製造される。
【0025】
全ての場合について、香料と反応する材料、例えば1以上のヘテロ原子を含有する材料は、本出願の「試験方法」セクションにて記載される試験方法1によって判断されるときに、ジプロピレングリコール中1%アントラニル酸メチル溶液よりも小さい臭気強度指数を有し得る。
【0026】
全ての場合について、香料反応生成物は、本出願の「試験方法」セクションにて記載される試験方法2によって判断されるときに、5より大きいあるいは10よりも大きい乾燥表面臭気指数を有し得る。
【0027】
好適な香料反応生成物は、米国特許出願第2003/0199422(A1)号、同第2004/0220074(A1)号並びに米国特許第6,451,751(B1)号及び同第6,413,920(B1)号並びに本明細書の実施例6の教示に従って製造してよい。ヘテロ原子を含有し、かつ反応生成物を形成するために使用可能である好適な材料は、米国特許出願第2003/0199422(A1)号、同第2004/0220074(A1)号並びに米国特許第6,451,751(B1)号及び同第6,413,920(B1)号並びに本明細書の実施例6に詳細に記載されている。かかる材料は、高分子であってよいが、そうである必要はない。かかる材料の好適な種類は、BASF AG(ドイツ、ルートヴィヒスハーフェン(Ludwigshafen))から、例えば商標名ルパソール(Lupasol)(登録商標)として入手してよい。商標名ルパソール(Lupasol)(登録商標)として市販されている好適なポリエチレンイミン類としては、ルパソール(Lupasol)(登録商標)FG(分子量800)、G20wfv(分子量1300)、PR8515(分子量2000)、WF(分子量25000)、FC(分子量800)、G20(分子量1300)、G35(分子量1200)、G100(分子量2000)、HF(分子量25000)、P(分子量750000)、PS(分子量750000)、SK(分子量2000000)、SNA(分子量1000000)が挙げられる。
【0028】
組成物
一態様では、式I〜VIを、式I、II及び/若しくはVIを、又は式I及び/若しくはII(全て、本明細書中にて既に記載されている)を有する香料から選択される、1種以上の香料並びに補助成分を含む組成物が開示されている。
【0029】
一態様では、本明細書に開示されるような香料反応生成物の実施形態を含む組成物、及び補助剤成分が開示されている。
【0030】
一態様では、かかる香料反応生成物は、式I及びIV〜VI又は式Iの香料(全て本明細書に開示されている通り)から選択される1種以上の反応生成物並びに1種以上のヘテロ原子、例えば窒素、イオウ、リン及び/又はセレンを含有する材料を含む。更に別の態様では、この香料反応生成物は、式I及びIV〜VI又は式Iの香料から選択される1つ以上の香料(全て本明細書に開示されている通り)の反応生成物並びに1以上のアミン部分、チオール部分、ホスフィン部分及び/又はセレノール部分を含有する材料を含む。更に別の態様では、この香料反応生成物は、式I及びIV〜VI又は式Iの香料(全て本明細書に開示されている通り)から選択される1つ以上の香料の反応生成物並びに1以上の一級アミン部分、二級アミン部分及び/又はチオール部分を含有する材料を含む。
【0031】
一態様では、本明細書に開示されるような、式I〜VIと、式I、II及び/若しくはVIと又は式I及び/若しくはIIとから選択される1種以上の香料を含む組成物並びに1種以上のヘテロ原子、例えば窒素、イオウ、リン及び/又はセレンを含む材料を含有する材料が開示されている。更に別の態様では、式I〜VIと、式I、II及び/若しくはVIと、又は式I及び/若しくはIIの香料とから選択される1種以上の香料、並びに1以上のアミン部分、チオール部分、ホスフィン部分及び/又はセレノール部分を含有する材料を含む組成物が開示されている。更に別の態様では、本明細書に開示されるような、式I〜VIと、式I、II及び/若しくはVIと、又は式I、及び/若しくはIIの香料とから選択される1種以上の香料、並びに1以上の一級アミン部分、二級アミン部分及び/又はチオール部分を含有する材料を含有する材料を含む組成物が開示されている。上記の好適な香料及び材料は、組成物へと別々のタイミングで又は同時に添加してよいが、かかる組成物に添加する前に予め反応させて香料反応生成物を形成させたりはしない。全ての場合について、かかる材料、例えば1以上のヘテロ原子を含有する材料は、本出願の「試験方法」セクションにて記載される試験方法1によって判断されるときに、ジプロピレングリコール中の1%アントラニル酸メチル溶液よりも小さい臭気強度指数を有してよい。
【0032】
上記の態様のいずれにおいても、かかる組成物は流体又は固体であってよい。
【0033】
上記の態様のいずれにおいても、かかる組成物は消費者製品であってよい。
【0034】
上記の態様のいずれにおいても、かかる組成物は洗浄及び/又は布地処理製品であってよい。
【0035】
更に、用いられる香料及び/又は香料反応生成物の正確な濃度は、かかる組成物を含む製品の種類及び最終用途に依存するが、任意の上記の態様は、製品総重量を基準にして、約0.001重量%〜約25重量%、約0.01重量%〜約5重量%、あるいは約0.05重量%〜約3重量%の香料及び/又は香料システムを含んでよい。
【0036】
本発明の態様としては、洗濯洗剤組成物(例えば、タイド(TIDE)(商標))、硬質表面洗浄剤(例えば、ミスター・クリーン(MR CLEAN)(商標))、自動食器洗浄用液体(例えば、カスケード(CASCADE)(商標))、食器洗浄用液体(例えば、ドーン(DAWN)(商標))、及び床洗浄剤(例えば、スウィファ(SWIFFER)(商標))中での本発明の香料及び/又は香料システムの使用が挙げられる。洗浄組成物の非限定的な具体例としては、米国特許第4,515,705号、同第4,537,706号、同第4,537,707号、同第4,550,862号、同第4,561,998号、同第4,597,898号、同第4,968,451号、同第5,565,145号、同第5,929,022号、同第6,294,514号、及び同第6,376,445号に記載されるようなものを挙げてよい。本明細書に開示される洗浄組成物は、典型的には水性洗浄操作における使用中に、洗浄水のpHが約5〜約12、又は約7.5〜10.5を有するように処方される。液体食器洗浄製品の処方は、典型的には約6.8〜約9.0のpHを有する。洗浄製品は、通常、約7〜約12のpHを有するように処方される。推奨使用量でのpHを制御する技術としては、緩衝剤、アルカリ、酸等の使用が挙げられ、当業者には周知である。
【0037】
本明細書に開示される布地トリートメント組成物は通常、布地柔軟化活性物質(「FSA」)を含む。好適な布地柔軟化活性物質としては、第四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪酸エステル、ショ糖エステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、粘土、多糖類、脂肪油、ポリマーラテックス、及びこれらの混合物からなる群から選択される物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
補助剤物質
本発明の目的のために、以下に例示される補助剤の非限定的な一覧は、本発明の組成物での使用に適しており、例えば、性能を補助若しくは向上させるために、洗浄される基材の処理のために、又は香料、着色剤、染料等を用いる場合のように組成物の審美性を変化させるために、望ましくは本発明の特定の実施形態に組み込むことができる。かかる補助剤は、本出願人らの香料及び/又は香料システムを介して供給される構成成分に追加されると理解される。これらの追加的構成成分の明確な性質、及びそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態及び使用されるべき作業の性質によって決まる。好適な補助剤物質としては、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染抑制剤、分散剤、酵素、及び酵素安定剤、触媒物質、漂白活性化剤、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、光沢剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、及び/又は色素が挙げられるが、これらに限定されない。下記の開示に加え、このような他の補助剤の好適な例及び使用濃度は、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812(B1)号、及び同第6,326,348(B1)号に記載されており、これらは参照により組み込まれる。
【0039】
各補助剤成分は、本出願人らの組成物にとって必須ではない。したがって、本出願人らの組成物の特定の実施形態は、以下の補助物質:漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、光沢剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、柔軟剤、キャリア、向水性物質、加工助剤及び/又は色素の1種以上を含有しない。しかし、1種以上の補助剤が存在する場合、このような1種以上の補助剤は、以下に詳細に記載されるように存在してもよい。
【0040】
界面活性剤−本発明による組成物は、界面活性剤又は界面活性剤系を含むことができ、界面活性剤は、非イオン性及び/若しくはアニオン性及び/若しくはカチオン性界面活性剤並びに/又は両性及び/若しくは双極性及び/若しくは半極性非イオン性界面活性剤から選択できる。界面活性剤は通常、洗浄組成物の約0.1重量%から、約1重量%から、又は更には約5重量%から、洗浄組成物の約99.9重量%まで、約80重量%まで、約35重量%まで、又は更には約30重量%までの濃度で存在する。
【0041】
ビルダー−本発明の組成物は、1つ以上の洗剤ビルダー又はビルダー系を含むことができる。存在する場合、組成物は、典型的に、少なくとも約1重量%のビルダー、又は約5重量%若しくは10重量%〜約80重量%、50重量%まで、又は更には30重量%までの前記ビルダーを含む。ビルダーとしては、ポリホスフェートの、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属炭酸塩、アルミノシリケートビルダー、ポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸の種々のアルカリ金属、アンモニウム及び置換アンモニウム塩、並びにメリット酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びこれらの可溶性塩のようなポリカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
キレート化剤−本明細書の組成物はまた、任意で1つ以上の銅、鉄及び/又はマンガンのキレート化剤を含有してもよい。使用される場合、キレート化剤は、一般に本明細書の組成物の約0.1重量%〜約15重量%、又は更には本明細書の組成物の約3.0重量%〜約15重量%を構成する。
【0043】
移染防止剤−本発明の組成物はまた、1種以上の移染防止剤を含んでよい。好適なポリマー移染阻害剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールとのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の組成物中に存在する場合、移染防止剤は、洗浄組成物の約0.0001重量%から、約0.01重量%から、約0.05重量%から、洗浄組成物の約10重量%まで、約2重量%まで、又は更には約1重量%までの濃度で存在する。
【0044】
分散剤−本発明の組成物は分散剤も含むことができる。好適な水溶性有機物質は、ホモポリマー若しくはコポリマーの酸又はこれらの塩であり、それらのうちのポリカルボン酸は、互いに2個を超えない炭素原子によって離間されている少なくとも2個のカルボキシル基を含んでもよい。
【0045】
酵素−組成物は、洗浄性能効果、及び/又は布地ケア効果を提供する1つ以上の洗浄性酵素を含むことができる。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、及び/又はセルラーゼのような従来の適用可能な酵素をアミラーゼと組み合わせた混液である。
【0046】
酵素安定剤−組成物、例えば洗剤において使用するための酵素類は、種々の技術によって安定化することができる。本明細書で採用される酵素は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを酵素に供給する、最終組成物中のカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源の存在によって安定化させることができる。
【0047】
触媒金属錯体−本出願人らの組成物は、触媒金属錯体を包含してもよい。金属含有漂白触媒の1つの種類は、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンのカチオンのような、限定された漂白触媒活性の遷移金属カチオン、亜鉛又はアルミニウムのカチオンのような、漂白触媒活性をほとんど又は全く有さない補助金属カチオン、並びに触媒金属及び補助金属のカチオンに対して規定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤(sequestrate)、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びこれらの水溶性塩を含む触媒系である。このような触媒は、米国特許第4,430,243号に開示される。
【0048】
必要に応じて、本明細書の組成物は、マンガン化合物を用いて触媒され得る。このような化合物及び使用濃度は該技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,576,282号に開示されるマンガン系触媒が挙げられる。
【0049】
本明細書において有用なコバルト漂白触媒は既知であり、例えば、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号に記載されている。このようなコバルト触媒は、既知の手順、例えば、米国特許第5,597,936号、及び同第5,595,967号において教示されているような手順によって容易に調製される。
【0050】
本明細書の組成物はまた、好適には、大多環状の剛性配位子(「MRL」と省略される)の遷移金属錯体を含んでもよい。実用的な事柄として、限定するためではないが、本明細書の組成物及び洗浄方法は、水性洗浄媒体において少なくとも約1億分の1の有益剤MRL種を提供するように調整することができ、MRLを洗浄溶液中に約0.005ppm〜約25ppm、約0.05ppm〜約10ppm、又は更には約0.1ppm〜約5ppmに設定できる。
【0051】
本遷移金属漂白剤触媒中の好適な遷移金属としては、マンガン、鉄、及びクロムが挙げられる。本明細書における好適なMRLは、架橋した特定の種類の超剛性配位子、例えば、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンである。
【0052】
好適な遷移金属MRLは、既知の手順、例えば、PCT国際公開特許第00/32601号及び米国特許第6,225,464号で教示されているような手順によって容易に製造される。
【0053】
洗浄組成物の製造及び使用方法
本発明の組成物は、任意の好適な形態に処方されることができ、配合者によって選択される任意の方法によって調製されることができ、その非限定的な具体例は、米国特許第5,879,584号、同第5,691,297号、同第5,574,005号、同第5,569,645号、同第5,565,422号、同第5,516,448号、同第5,489,392号、及び同第5,486,303号に記載されている。
【0054】
使用方法
本明細書に開示される有益剤デリバリー粒子を含有する組成物は、ある部位、とりわけ表面又は布地を洗浄又は処理するのに使用することができる。通常、前記場所の少なくとも一部は、希釈されない形態又は希釈された液体、例えば洗浄液の、本出願人らの組成物の実施形態と接触され、そしてその後、任意に、その場所が洗浄及び/又はすすがれてもよい。1つの態様では、ある部位が任意で洗浄及び/又はすすがれ、本発明による粒子に又は前記粒子を含む組成物に接触され、次に任意で洗浄及び/又はすすがれる。本発明の目的上、洗浄とは、擦ること及び機械的攪拌を包含するが、これらに限定されない。布地は、標準的な消費者の使用条件で洗濯又は処理することが可能な大部分の任意の布地を含んでよい。開示される組成物を含み得る液体のpHは、約3〜約11.5であってもよい。かかる組成物は、典型的には溶液中で約500ppm〜約15,000ppmの濃度で使用される。洗浄溶媒が水である場合、水の温度は、通常約5℃〜約90℃であり、部位が布地を含む場合、水対布地の比は、通常約1:1〜約30:1である。
【0055】
試験方法
方法1:臭気強度指数方法
臭気強度指数とは、純粋な化学物質が、香料内で使用される臭気がない溶剤であるジプロピレングリコール中にて1%で希釈された場合を意味する。この百分率は、使用濃度よりも大きなものを表わしている。臭いを嗅ぐストリップ、あるいはいわゆる「ブロッター」を浸し、評価するために専門家パネリストに提示した。専門家パネリストは、少なくとも6カ月にわたって臭気評価の訓練を受けた評価者であり、パネリストの行う評価は、継続的に対照に対する正確性と再現性を確認される。各アミン化合物について、パネリストには1つの対照(Meアントラニレート、パネリストには未知のもの)及びサンプルの、2つのブロッターが提示される。パネリストには、臭いを検出しなかったものには0、強い臭いを検出したものには5の、0〜5の臭気強度スケールで、両方の臭いのストリップを格付けするように依頼した。
【0056】
結果:
以下は、本発明で使用するのに好適であり、かつ上記手順に従うアミン化合物の、臭気強度指数を表す。いずれの場合も数は5人の専門家パネリスト間の算術平均であり、結果は95%の信頼水準で統計的有意差のあるものである。
【0057】
アントラニル酸メチル1%(対照) 3.4
エチル−4−アミノベンゾエート(EAB)1% 0.9
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
方法2:乾燥表面臭気インデックスの測定方法
生成物の調製:
香料付けしていない生成物ベースにアミン反応生成物を添加する。
【0058】
香料付けしていない生成物ベース(略称は、以降で実施例について定義されている通り)は、次の通りである。
【表1】

【0059】
アミン反応生成物の濃度は、乾燥布地上で少なくとも20の臭気等級を得るように選択される。液体の場合は容器を振盪することで、粉末の場合はスパチュラで、注意深く混合した後、生成物を24時間放置する。
【0060】
洗浄プロセス:
得られた生成物を、そのカテゴリーにふさわしい用量並びにディスペンサーで、洗濯機内に添加する。対応する市場の製品のために設定された推奨用量に対応する量は、通常は、粉末洗剤又は液体洗剤の場合、グラニュレッテ(granulette)、又はアリエレッテ(ariellette)などの現在の投入装置を介して70〜150gであり、液体柔軟仕上げ剤の場合は25〜40mLである。40℃の短サイクル、水充填(10〜18℃の温度で硬度15°)かつ1200rpmの最大回転でミーレ(Miele)W830洗濯機を使用する、4つのバスタオル(170g)で負荷は構成される。
【0061】
考慮される、香料を含まない対応する成分に対して同一プロセスを適用し、対照として使用する。対照及びサンプルに対する、用量、布地負荷及び洗浄サイクルは、同一である。
【0062】
乾燥プロセス:
洗浄サイクル終了後2時間以内に、脱水したが依然として濡れている布地の臭いを、以下に述べる尺度を使用して評価した。その後、布地の半分を一列にして吊るし、考えうるあらゆる汚染を避けて、24時間乾燥させる。特に指定のない限り、この乾燥は室内で実施する。周囲条件は、18〜25℃の室温かつ50〜80%の空気湿分である。他の半分は、回転式乾燥機内に置き、完全な「ベリードライ(very dry)」サイクルを実施する。即ち、ミーレ・ノボトロニック(Miele Novotronic)T430を、ホワイト−エクストラ・ドライ(完全サイクル)のプログラムに設定した。回転式乾燥機で乾かした布地は更に、翌日に評価した。次に、無臭室内の開放したアルミニウムバッグ内で布地を保存し、7日後に再度評価する。
【0063】
臭気評価:
臭気は、専門家パネリストが布地の臭いを注意深く嗅ぐことによって評価される。全ての布地臭気等級化には、0〜100スケールが使用される。等級スケールは、以下の通り。
100=極めて強い香料臭気
75=非常に強い香料臭気
50=強い臭気
40=平均的な香料臭気
30=かすかな香料臭気
20=弱い香料臭気
10=非常に弱い香料臭気
0=臭気無し
【0064】
1日後及び/又は7日後における、アミン反応生成物と香料原材料との間の5等級より大きい差が、統計的に有意である。1日後及び/又は7日後の10等級以上の差は、階段状変化を表す。換言すれば、アミン反応生成物と香料原材料との間に、5等級より大きい差、好ましくは少なくとも10等級より大きい差が、1日後又は7日後のいずれか、あるいは1日後及び7日後の両方で観察される場合には、アミン化合物が臭気強度指数を満足させるという条件で、アミン反応生成物が本発明で使用するのに好適であると結論づけることができる。
【実施例】
【0065】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0066】
実施例1:(E)−1−(2−イソブチルシクロヘキサ−2−エニル)ブタ−2−エン−1オン
a)1−イソブチルシクロヘキサノール
−60℃にて、ジエチルエーテル(800mL)中1.7M第3級ブチルリチウムのペンタン溶液(1000mL、1.7モル、2.1当量)を、ヨウ化イソブチル(157g、0.81モル、1.0当量)と共に、1時間以内で滴下して処理した。得られた溶液を−70℃にて45分間攪拌し、10℃まで温め、−70℃まで冷却し、この温度において4時間以内でシクロヘキサノン(100.7mL、0.971モル、1.2当量)で処理した。添加が終了した時点で、前記反応混合物を室温にしてから、氷/HO(500mL)内に注ぎ、濃HClで酸性化した。水相をジエチルエーテル(300mL)で抽出し、合一させた有機相を水(400mL)及びNaCl飽和水溶液(500mL)で洗浄し、乾燥させ(50gMgSO)、かつ溶媒を蒸発させて、粗製1−イソブチルシクロヘキサノール(148g)を得た。
【0067】
b)1−イソブチルシクロヘキサ−1−エン
ビグリュー(Vigreux)蒸留装置を装着したフラスコ内で、粗製1−イソブチルシクロヘキサノール(200g、1.28モル)を、リン酸(100g)で処理し、減圧下(170hPa(170mbar))にて、145℃で加熱した。1−イソブチルシクロヘキサ−1−エン及び水を蒸留しつつ(沸点60℃)、1−イソブチルシクロヘキサノールの第2留分(492g、3.15モル)を反応フラスコ内に滴加した。添加が終了した時点で、濃い反応混合物をパラフィン油(100mL)及び追加のリン酸(50g)で希釈し、更に加熱した(170〜40hPa(170〜40mbar)の真空)。留出物をデカントし、かつ水相をペンタン(100mL)にて抽出した。合一させた有機相を乾燥させ(MgSO)、かつ溶媒を蒸発させて、1−イソブチルシクロヘキサ−1−エン(448g、78%)を得た。
【0068】
c)(E)−1−(2−イソブチルシクロヘキサ−2−エニル)ブタ−2−エン−1オン
−70℃にて、クロトン酸クロリド(350mL、90%、3.24モル、1.0当量)によりジクロロメタン(2.5L)中の四塩化スズの溶液(533mL、4.54モル、1.4当量)を処理した。得られた溶液を30分間攪拌し、ジクロロメタン(400mL)中の1−イソブチルシクロヘキサ−1−エン溶液(448g、3.24モル)にて1.5時間以内に処理した。得られた混合物を1時間−70℃にて攪拌し、氷/HO中に注ぎ込んだ。有機相は、まず濃NaOHで洗浄し、次にHOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物(592g)を短経路ビグリュー(Vigreux)蒸留(0.15hPa(0.15mbar)、浴温度:160℃)して、留分(495g、沸点範囲:90〜130℃)を得、それを短経路ビグリュー(Vigreux)カラム(0.11hPa(0.11mbar)、浴温度:160℃)を再び使用して再蒸留し、(E)−1−(2−イソブチルシクロヘキサ−2−エニル)ブタ−2−エン−1オン(202g、30%)を得た。沸点:120℃(0.11hPa(0.11mbar))。
【0069】
実施例2:(E)−1−(2−イソブチルシクロヘキサ−1−エニル)ブタ−2−エン−1−オン/(E)−1−(2−イソブチルシクロヘキサ−2−エニル)ブタ−2−エン−1−オン(60:40)
p−トルエンスルホン酸一水和物(3.7g、19.5モル)にて、トルエン(3l)中の(E)−1−(2−イソブチルシクロヘキサ−2−エニル)ブタ−2−エン−1オン(202g、0.979モル)溶液を処理し、18時間還流させ、水中に注いだ。有機相を乾燥させ(MgSO)、濃縮した。粗生成物(181g、(E)−1−(2−イソブチルシクロヘキサ−1−エニル)ブタ−2−エン−1−オン/(E)−1−(2−イソブチルシクロヘキサ−2−エニル)ブタ−2−エン−1−オン)の68:32混合物)を短経路ビグリュー(Vigreux)蒸留(0.11hPa(0.11mbar)、浴温度:140〜160℃)して、ブテノン(181g、90%、沸点範囲90〜110℃)の混合物を得、スルザー・カラムを使用してそれを再蒸留し(0.08hPa(0.08mbar)、浴温度:150℃)、(E)−1−(2−イソブチルシクロヘキサ−1−エニル)ブタ−2−エン−1−オン/(E)−1−(2−イソブチルシクロヘキサ−2−エニル)ブタ−2−エン−1−オンの60:40混合物(145.6g、72%)を得た。
【0070】
実施例3:(E)−1−(2−イソブチルシクロヘキサ−1−エニル)ブタ−2−エン−1−オン/(E)−1−(2−イソブチルシクロヘキサ−2−エニル)ブタ−2−エン−1−オン(91:9)
p−トルエンスルホン酸一水和物(70mg、0.37ミリモル)にて、トルエン(28ml)中の(E)−1−(2−イソブチルシクロヘキサ−2−エニル)ブタ−2−エン−1オン(2.7g、13.1ミリモル)溶液を処理し、18時間還流させ、水中に注いだ。ジエチルエーテルにて水相を3回抽出し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で合一させた有機相を洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。粗生成物(3.2g、(E)−1−(2−イソブチルシクロヘキサ−1−エニル)ブタ−2−エン−1−オン(B)/(E)−1−(2−イソブチルシクロヘキサ−2−エニル)ブタ−2−エン−1オン(A)の64:36混合物)のFC(400gSiO、ヘキサン/ジエチルエーテル90:0.5)によって、第1留分(0.31g、11%、10:90B/A)、第2留分(0.52g、19%、71:29B/A)、及び第3留分(0.39g、14%、91:9B/A)を得た。
【0071】
実施例4:(4’Z)−2,2−ジメチル−5−(2’−メチルオクタ−4’−エニル)−2,5−ジヒドロフラン
窒素雰囲気下にて、乾燥THF250mL中カリウムt−ブトキシド46.3g(413ミリモル)溶液を−15℃〜−10℃にて、乾燥THF500mL中のブチルトリフェニルホスホニウムブロミドの攪拌混合物150g(376ミリモル)へ添加した。添加完了後、−10℃で30分間撹拌を続けた後、乾燥THF250mL中3−メチル−5−オキソペンチルアセテート65.3g(413ミリモル)を30分以内で滴下して添加した。更に、15分間−10℃にて撹拌を続けてから冷却浴を取り除き、反応混合物を室温まで温めた。室温で3時間撹拌後、反応混合物を1Lの水中へと注ぎ、有機層を分離し、水層を各回1Lエーテルにて2回抽出した。合一させた有機層を混合し、水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製材料(191g)をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル100kg、ペンタン/エーテル、19:1、R=0.40)によって精製し、(5Z)−3−メチルノネ−5−エニルアセテート57.9g(78%)を無色液体として得た。
【0072】
次工程にて、この(5Z)−3−メチルノネ−5−エニルアセテート55.0g(278ミリモル)をエタノールと水の1:1混合物600mL中に溶解させた。激しく撹拌しながら、水酸化ナトリウム55.5g(1.39モル)を添加し、その後反応混合物を3時間加熱還流させた。反応混合物を室温まで冷却後、エタノールをロータリーエバポレーターで減圧下にて除去し、得られた残留物を水300mLにて希釈した。粗生成物を2回、各回エーテル500mLにて抽出し、合一させた有機抽出物を2回、ブライン300mLにて洗浄した。硫酸ナトリウムによる乾燥及び減圧下での溶媒除去後、得られた残留物(51.2g)をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル1.00kg、ペンタン/エーテル、9:1、R=0.11)によって精製し、(5Z)−3−メチルノネ−5−エン−1−オール39.9g(92%)を無色の液体として得た。
【0073】
激しく攪拌している乾燥テトラヒドロフラン15mL中の削り屑状マグネシウム2.32g(95.6ミリモル)懸濁液へ、乾燥テトラヒドロフラン40mL中の臭化エチル10.4g(95.6ミリモル)溶液を30分かけて滴加し、ヒートガンで時々加熱することによって反応を開始させた。反応混合物を90分間還流下にて撹拌した後、室温まで冷却させ、撹拌しながら乾燥テトラヒドロフラン40mL中の2−メチルブタ−3−イン−2−オール3.54g(42.2ミリモル)溶液を滴加した。次に、反応混合物を再度3時間還流させ、加熱浴を取り除き、撹拌しながら乾燥テトラヒドロフラン40mL中の(5Z)−3−メチルノナ−5−エン−1−オール6.50g(42.2ミリモル)溶液を、室温にて30分かけて添加した。撹拌しながら反応混合物を一晩還流させ、室温まで冷却させ、NHCl飽和水溶液100mLを注ぐことによってクエンチした。有機層を分離し、各回500mLのエーテルにて3回水性層を抽出した。合一させた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥するまでロータリーエバポレーターにて濃縮した。得られた残留物(10.8g)をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル200g、ペンタン/エーテル、1:1、R=0.22)によって精製し、(9Z)−2,7−ジメチルトリデセ−9−エン−3−イン−2,5−ジオール7.76g(77%)を無色の油として得た。
【0074】
室温にて、硫酸バリウム上10%パラジウム520mg(0.488ミリモル)及びキノリン190mg(1.47ミリモル)をエタノール170mL中のこの(9Z)−2,7−ジメチルトリデセ−9−エン−3−イン−2,5−ジオール7.70g(32.3ミリモル)攪拌溶液に添加した。フラスコを排気し、窒素で3回フラッシュし、3回排気し、水素でフラッシュした。次に、得られた反応混合物を水素雰囲気下、周囲気圧及び周囲温度で1.5時間撹拌してから、排気しかつ窒素で換気した。反応フラスコを空気に対して開放し、セライトのパッド上で吸引することで触媒を濾し取った。ロータリーエバポレーターにて減圧下で溶媒を除去後、得られた粗生成物(8.07g)をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル100g、ペンタン/エーテル、1:1、R=0.28)によって精製し、(3Z,9Z)−2,7−ジメチルトリデカ−3,9−ジエン−2,5−ジオール4.28g(55%)を無色の油として得た。
【0075】
クーゲルロール蒸留装置内にて、(3Z,9Z)−2,7−ジメチルトリデカ−3,9−ジエン−2,5−ジオール4.20g(17.5ミリモル)及びKHSO 300mg(2.21ミリモル)を120hPa(120mbar)にて、蒸発反応生成物を−78℃のバルブ内にトラップしながら150℃まで加熱した。冷却トラップ内に物質がそれ以上凝縮しなくなるまで、温度を180℃まで徐々に上昇させた。得られた留出物(2.27g)をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル200g、ペンタン/エーテル、99:1、ペンタン/エーテル、19:1についてR=0.66)によって精製し、表題化合物2.14g(55%)を得た。クーゲルロール蒸留により更に精製し、70〜80℃、0.05hPa(0.05mbar)にて、(4’Z)−2,2−ジメチル−5−(2’−メチルオクタ−4’−エニル)−2,5−ジヒドロフラン1.14g(29%)を無色液体のジアステレオマー混合物として得た。
【0076】
実施例5:(2E)−1−(rel−(1R,2S,6S)−6−エチル−2−メチルシクロヘキサ−3−エニル)ブタ−2−エン−1−オン
A)−15℃にて、ジクロロメタン(680mL)中のBF・OEt溶液(54g、0.38モル)を3−ヘキセン−2−オン(220.1g、純度89%、2モル)によって10分以内で処理した。次に、1,3−ペンタジエン(490g、7.2モル、0℃にて予冷したもの)を添加し、得られた溶液を30分間0℃にて撹拌し、次に1時間20℃にて撹拌してから、0℃にて冷却し、KCO 20%水溶液(250mL)にて処理した。得られた混合物を40分間攪拌し、濃縮した(43℃、300hPa(300mbar)まで)。水相をヘキサン(500mL)にて洗浄し、合一させた有機相をKCO 20%水溶液(100mL)にて3回、飽和NaCl水溶液にて洗浄し、乾燥させ(MgSO)、かつ濃縮した。粗生成物(400g)をスルザー蒸留(0.4〜0.1hPa(0.4〜0.1mbar))して、1−(rel−(1R,2S,6S)−6−エチル−2−メチルシクロヘキサ−3−エニル)エタン−1−オン(326g、98%収率)を得た。
【0077】
B)−78℃にて、テトラヒドロフラン(23mL)中のジイソプロピルアミン(6.6g、34ミリモル)の溶液を、n−ブチルリチウム(21mL、ヘキサン中1.6M、34ミリモル)で処理した。得られた溶液を0℃まで温め、−78℃まで冷却し、かつ1−(rel−(1R,2S,6S)−6−エチル−2−メチルシクロヘキサ−3−エニル)エタン−1−オン(4.5g、27ミリモル)のテトラヒドロフラン(23mL)溶液で処理した。得られた溶液を20分間−20℃にて攪拌し、−78℃まで冷却し、かつアセトアルデヒド(1.8g、41ミリモル)のテトラヒドロフラン(23mL)溶液にて処理した。1時間撹拌した後、1N HCl水溶液(50mL)を添加し、反応混合物を20℃まで温めた。水相をジエチルエーテルで抽出し、合一させた有機相を乾燥させ(MgSO)、かつ濃縮した。残留物(4.9g)のトルエン(4.9mL)溶液をパラ−トルエンスルホン酸一水和物(20mg)で処理し、一晩還流させた。反応混合物を冷却し、NaHCO飽和水溶液で処理し、及び水相をジエチルエーテルで抽出した。合一させた有機相を乾燥し(MgSO)、濃縮した。粗生成物のFC(SiO 550g、ヘキサン/ジエチルエーテル 9:1)から、(2E)−1−(rel−(1R,2S,6S)−6−エチル−2−メチルシクロヘキサ−3−エニル)ブタ−2−エン−1−オン(2.9g、56%)を得た。
【0078】
実施例6 予め形成されたアミン反応生成物
以下の成分を秤量し、ガラスバイアル瓶に加えた:
香料材料の50%
BASFからのルパソール(Lupasol)WF(CAS番号09002−98−6)の50%を、60℃の温水浴中に使用前に1時間載置した。ウルトラ・ツゥラックス(Ultra-Turrax)T25ベーシック装置(IKAより)を使用して、2種類の成分の混合を5分間行った。混合が完了したら、サンプルを60℃の温水浴中に±12時間載置した。均質な粘稠材料が得られる。
【0079】
上記で記載されるのと同様の方法で、構成成分間において異なる比率を使用することが可能である:
【表2】

【0080】
実施例7
香料及びアミンを含有する生成物処方の非限定例を次表に要約する。
【表3】

N,N−ジ(タローオイルオキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド。
bメチル−ビス(タローアミドエチル)−2−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート。
脂肪酸とメチルジエタノールアミンとのモル比1.5:1での反応生成物を、塩化メチルで四級化し、得られるN,N−ビス(ステアロイル−オキシ−エチル)N,N−ジメチルアンモニウムクロリドとN−(ステアロイル−オキシ−エチル)N−ヒドロキシエチルN,Nジメチルアンモニウムクロリドとの1:1モル比混合物。
ナショナル・スターチ(National Starch)から商標名カトー(CATO)(登録商標)で入手可能なカチオン性高アミローストウモロコシデンプン。
実施例1〜5にて提供される芳香剤分子の好適な組み合わせ。
米国特許第5,574,179号、第15欄、1〜5行目の式を有する、エチレンオキシドとテレフタレートとのコポリマーであって、式中、各Xはメチルであり、各nは40であり、uは4であり、各R1は本質的に1,4−フェニレン部分であり、各R2は、本質的にエチレン、1,2−プロピレン部分、又はこれらの混合物である。
ワッカー(Wacker)からのSE39
ジエチレントリアミン5酢酸。
ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas Co.)から入手可能なカトン(KATHON)(登録商標)CG。「PPM」は、「百万分の一」。
グルタルアルデヒド
DC2310の商標名でダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)から入手可能なシリコーン消泡剤。
ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas Co.)からアキュラン(Aculan)44の商標名にて入手可能な、疎水的に改質されたエトキシル化ウレタン。
本明細書に開示されているようなアミン部分を含む1種以上の材料。
+残部
【0081】
実施例8 乾燥洗濯処方
【表4】

本明細書に開示されているようなアミン部分を含む1種以上の材料。
【0082】
実施例9 液体洗濯処方(HDLs)
【表5】

本明細書に開示されているようなアミン部分を含む1種以上の材料。
【0083】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0084】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参照により組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0085】
以上、本発明の特定の実施形態を図示、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変を行うことが可能である点は当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料反応生成物であって、前記香料反応生成物が5より大きい乾燥表面臭気指数を有し、前記香料反応生成物が、
a.)式I、及びIV〜VI、好ましくは式Iの香料から選択される1種以上の香料の反応生成物と、
b.)1種以上のヘテロ原子を含む材料であって、好ましくは、前記1種以上のヘテロ原子が、窒素、イオウ、リン及び/又はセレンから選択され、前記材料が、ジプロピレングリコール中1%アントラニル酸メチル溶液より小さい臭気強度指数を有し、好ましくは、前記材料が、アミン部分、チオール部分、ホスフィン部分及び/又はセレノール部分のうち1種以上を含む1種以上のヘテロ原子を含み、より好ましくは、前記材料が一級アミン部分、二級アミン部分、及び/又はチオール部分のうち1種以上を含む1種以上のヘテロ原子を含む、材料と、
を含む、香料反応生成物。
【請求項2】
消費者製品であって、
a.)請求項1に記載の香料反応生成物からなる群から選択される、香料反応組成物、及び/又は式I、及びIV〜VIの香料から選択される1種以上の香料と、
b.)補助剤成分と、
を含む、消費者製品。
【請求項3】
請求項1に記載の香料反応生成物からなる群から選択される香料反応生成物を含む、請求項2に記載の消費者製品。
【請求項4】
式I、II、VIを有する香料から選択される香料、式I及びIIを有する香料から選択される香料、並びにこれらの混合物を含む、請求項2又は3に記載の消費者製品。
【請求項5】
部位を処理及び/又は洗浄する方法であって、前記方法が、
a.)前記部位を、所望により洗浄及び/又はすすぐ工程と、
b.)前記部位を、請求項1に記載の香料反応生成物、及び/又は請求項2〜4のいずれか一項に記載の消費者製品から選択される消費者製品、並びにこれらの混合物と、接触させる工程と、
c.)前記部位を、所望により洗浄及び/又はすすぐ工程と、
を含む方法。
【請求項6】
請求項1に記載の香料反応生成物、及び/又は請求項2〜4のいずれか一項に記載の消費者製品から選択される消費者製品、並びにこれらの混合物で、処理される部位。

【公表番号】特表2010−528161(P2010−528161A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509589(P2010−509589)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/065899
【国際公開番号】WO2008/151273
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】