説明

香料又は香味料としての二置換テトラチアン類

【解決手段】
(i)化学式2の化合物


式中、R3とR4は、互いに独立したC2−C4−アルキル又は−アルケニル基であり、又は
(ii)以下の成分、即ち
少なくとも1つの上記化学式2の化合物、並びに
少なくとも1つの化学式1の化合物、及び/又は
少なくとも1つの化学式3の化合物、


式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、互いに独立的してC2−C4−アルキル又は−アルケニル基である、
から成る、又はこれらを含む混合物、
を、香料又は香味料として使用することが記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)特定の二置換テトラチアン類(下の化学式2を参照)の香料又は香味料としての使用、(b)その様なテトラチアン類並びに二置換トリチオラン類(下の化学式1を参照)及び/又は二置換ペンタチエパン類(下の化学式3を参照)を含む混合物、(c)味及び/又は匂いを生成し、強化し、又は改質する、対応方法、(d)上記混合物を含む、香料、香味料、又は味付け物質の組成物、(e)対応する調製物、及び(f)上記混合物を調製する方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
数多くのアリウム属ユリ科植物が、消費に供されている。化学的な観点から述べると、それら植物は、それらの特徴的な味及び匂い属性が、大部分は、1つ又はそれ以上の硫黄原子を含む有機物質により生じることで区別されている。
生で新鮮な刻んだアリウム属植物の特徴的な風味は、アリシン(アリルチオアリルスルフィナ−ト)である。アリシンは、短時間のうちに、硫黄含有開鎖アリル誘導体(ニンニクに含まれる)又は1−プロペニル誘導体(タマネギに含まれる)に転換する、不安定な化合物である。
アリウム属植物は、加熱される(茹でる、焼く、炒めるなど)と、アリシンの酵素転換過程が大幅に加速される。加えて、糖類の熱分解によって、甘みを強く感じるようになる。マイラ−ド反応及び他の化学工程の結果として、多くの料理に興味深い特色を与える香味料が生成される。上で言及したアリル及び1−プロペニル誘導体の他に、とりわけ、環状硫黄含有化合物も生成される(Studies in Natural Products Chemistry、2000年、第23巻、455−485)。
【0003】
具体的には、新鮮な刻みタマネギの典型的代表、即ち1−プロペニルスルフィド誘導体類が、望ましい香味料であるが、これらを化学的に得るには多大な困難が伴う。また、それら化合物は、首尾よく調製され単離されたとしても、非常に低い化学的安定性しか示さない。
以上、説明した理由により、アリウム種又はそれを調理した場合の味及び/又は匂いの印象を有し、且つその様な味及び/又は匂いの印象を、製品、具体的には消費に適した保存食品又は(半)加工製品に、与えることができる物質又は物質の混合物を提供することが望ましい。
新鮮な、又は新しく刻んだ、又は焼いた、又は炒めたタマネギの典型的な味及び/又は匂いの印象を、既存の香味料を使って真似ると共にそれらの官能的印象を長期にわたって維持することは、これまで不可能であった。
従って、本発明の目的は、その様な香味料又は香味料の混合物を提供することである。香味料又は香味料の混合物は、容易に得られるのがよく、特に、高い化学的安定性又は保存安定性を示すのがよい。
【発明の開示】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、上記目的は、以下の化合物又は混合物を香料又は香味料として使用することにより実現され、即ち、
(i)化学式2の化合物、

式中、R3とR4は、互いに独立したC2−C4−アルキル又は−アルケニル基であり、又は
(ii)以下の成分、即ち
少なくとも1つの上記化学式2の化合物、並びに
少なくとも1つの化学式1の化合物、及び/又は
少なくとも1つの化学式3の化合物、
から成る又は含む混合物、

式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、互いに独立的してC2−C4−アルキル又は−アルケニル基である。
【0005】
簡潔さを期すため、本発明により使用される、化学式2の3,6−二置換1,2,4,5−テトラチアン類をテトラチアン類と称し、化学式1の3,5−二置換1,2,4−トリチオラン類をトリチオラン類と称し、化学式3の4,7−二置換1,2,3,5,6−ペンタチエパン類をペンタチエパン類と称することにする。
【0006】
本発明は、化学式2の化合物と化学式1の化合物を含み、且つ任意に化学式3の化合物を含む、混合物にも関しており、
式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、互いに独立的してC2−C4−アルキル又は−アルケニル基であり、
また、化学式2の化合物対化学式1の化合物の重量比は、1:5以上であり、更に望ましくは1:4以上である。
【0007】
本発明は、化学式2の化合物と化学式3の化合物を含み、且つ任意に化学式1の化合物を含む、混合物にも関しており、
式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、互いに独立的して、C2−C4−アルキル又は−アルケニル基である。
【0008】
本発明の範囲内では、アルキル及びアルケニル基は、直鎖又は分鎖型である。化学式1から3の化合物の環のアルキル及び/又はアルケニル基は、シス型又はトランス型配置を有している。適用可能である場合、アルケニル基の二重結合は、E又はZ配置を有している。
【0009】
適するアルキル基は、具体的には、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル、及び2−メチル−2−プロピルである。
適するアルケニル基は、具体的には、1−エテニル、E/Z−1−プロペニル、2−プロペニル、E/Z−1−ブテニル、E/Z−2−ブテニル、E/Z−2−メチル−1−プロペニル、及び2−メチル−2−プロペニルである。
【0010】
化学式1、2、及び3では、基R1、R2又はR3、R4又はR5、R6は、それぞれ互いに独立したC2−C4−アルキル基であるのが望ましく、同一のC2−C4−アルキル基であるのが特に望ましい。更に、基R1、R2又はR3、R4又はR5、R6は、それぞれエチルであるのが最も好適である。
【0011】
Z.Lebensm. Unters−Forch.、1975年、157、28−33には、プロピオンアルデヒドとアンモニア及び硫化水素との反応が記載されている。これにより得られた合成タマネギ・フレ−バ−は、複数の化合物から成るが、このフレ−バ−を、ガスクロマトグラフィ−と質量分光分析により調べた。このフレ−バ−は、とりわけ、3,5−ジエチル−1,2,4−トリチオラン(化学式1、R1及びR2=エチル)と、3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアン(化学式2、R3及びR4=エチル)を含有していた。しかしながら、3,5−ジエチル−1,2,4−トリチオランと、3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアンは、何れも、感覚的(あるいは官能的)に効果のある(sensorially effective)成分であるとも、匂い及び/又は味の観点から有用な成分であるとも認められなかった。ジエチルトリチオラン対ジエチルテトラチアンの比率は、上記文献に記載の混合物のガスクロマトグラフィ−による推定では、約6〜7対1である。
【0012】
Wein-Wiss.、1993年、48(3−6)、214−218には、3,6−ジメチル−1,2,4,5,−テトラチアン(本発明により使用されるものではない化学式2の化合物であり、式中R3及びR4=メチル)は、官能的表現として、ゴムの様な、薬品及び硫黄の様な、と述べられており、4,7−ジメチル−1,2,3,5,6−ペンタチエパン(本発明により使用されるものではない化学式3の化合物であり、式中R5及びR6=メチル)は、肉の様な、と述べられている。上記2つの化合物を共に3,5−ジメチル−1,2,4−トリチオラン(本発明により使用されるものではない化学式1の化合物、式中R1及びR2=メチル)と組み合わせることにより、著者の概論によれば、タマネギ、ゴム、ニンニク又はキャベツの様な異なる印象を実現することが可能であり、問題の物質の濃度次第で相乗効果又は拮抗効果が発現すると言われている。
【0013】
化学式1のトリチオラン類において、R1、R2=本発明による混合物での使用に適するC2−C4−アルキルである、多くのトリチオラン類は、各種肉類のフレーバー並びに酵母抽出物中で同定されることが多く、官能的表現で説明されている場合もある。(11th International Congress of Essential Oils, Fragrances and Flavours(第11回、精油、香料及びフレーバー類国際会議)、(1989年)、インド、ニューデリー、議事録、第4巻、215−243; Mikrobiol. Technol. Lebensm.(1991年)、13、30−57;Proceedings on the 3rd International Haarmann & Reimer Symposium on Recent Developments in Flavor and Fragrance Chemistry,(フレーバー及び香料化学における最近の開発に関する第3回国際ハールマン&ライマーシンポジウム議事録)、1992年、日本、京都、183−213)。これによれば、3,5−ジエチル−1,2,4−トリチオラン(化学式1、R3及びR4=エチル)は、官能的表現として、硫黄の様な、ゴムの様な、タラゴン及びウイキョウの様な、と述べられており、3−エチル−5−n−プロピル−1,2,4−トリチオラン(化学式1、R3=エチル、R4=n−プロピル)は、脂っこい、タラゴン及びウイキョウの様な、と述べられており、3,5−ジ−n−ブチル−1,2,4−トリチオラン(化学式1、R3及びR4=n−ブチル)は、脂っこい、獣脂の様な、及びカリカリした、と述べられている。純粋な3−エチル−5−イソプロピル−1,2,4−トリチオラン(化学式1、R3=エチル、R4=イソプロピル)に関する本発明者の試験では、硫黄臭が際立つ中に僅かに焼け焦げたネギの特性を持つことが示されている。
【0014】
3,5−ジイソプロピル−1,2,4−トリチオラン(化学式1、R1及びR2=イソプロピル)(純度>95%)は、以下のように述べることができ、即ち、ニンニク、脂っこい又は油っぽい、マスタード、タマネギ、硫黄の様である。
3,5−ジイソブチル−1,2,4−トリチオラン(化学式1、R1及びR2=イソブチル)(純度>95%)は、以下のように述べることができ、即ち、ベーコン、脂っこい又は油っぽい、卵、カリカリ感はあるが汁っぽい、焼いた、ゴムの様である。
【0015】
1,2,4−トリチオラン類、1,2,4,5−テトラチアン類、及び1,2,3,5,6−ペンタチエパン類の、目標とする調製及び単離のための合成経路が、Chem. Lett.、1988年、1517−1520に記載されている。2,4,6−三置換置換5,6−ジヒドロ−1,3,5−ジチアジン類から出発し、N−ブロモ−又はN−クロロ−スクシンイミドを用いて酸化することにより、3,6−二置換1,2,4,5−テトラチアン類を調製した。上記1,2,4,5−テトラチアン類を、更に反応させて、脱スルホン化又はスルホン化により、対応する1,2,4−トリチオラン類又は1,2,3,5,6−ペンタチエパン類に転換させた。しかしながら、3,6−ジメチル−1,2,4,5−テトラチアンが実際に単離されたか否かは、この物質の沸点が59度しかなく、明らかに低すぎると思われることから、疑問視されている。
【0016】
本発明により使用される化学式2のテトラチアン類、−並びに、それより得られる化学式1のトリチオラン類及び/又は化学式3のペンタチエパン類−は、それぞれの沸点が高いために、蒸留による精製では得ることができないと考えられる。上記文献(Chem. Letters)の合成法に従えば、シリカゲルの濾過による精製も、N−クロロ又はN−ブロモ−スクシンイミドの誘導体をこれで完全に分離除去することができないことから、適しているとは思えないし、化学式2の調製されたテトラチアン類は、この汚染を考え合わせると、結果的に香味料に又は消費に適した半加工又は加工済み製品に使用するには不向きである。
【0017】
上記文献(Chem. Letters)の合成法に従えば、化学式2のテトラチアン類を調製するための酸化剤は、N−ブロモスクシンイミドからインシトゥで(in situ)生成された臭素である。また、代わりの方法として、化学式2のテトラチアン類を、臭素酸塩と臭化物の均化反応(comproportionation reaction)によりインシトゥで臭素が調製される酸化システムを使用して調製できることが見出されている。酸化剤に由来する二次的成分は実際には純粋に無機であり、容易に分離除去できることは好都合である。クロマトグラフィによる精製後、化学式2のテトラチアン類は、化学式3のペンタチエパン類及び化学式1のトリチオラン類がそうであるように、純粋な物質として得ることができる。更に詳しくは、「合成」の項に記載されている。
【0018】
我々自身による調査は、以下に説明する官能属性という結果となり、内部味評価には、次の条件、即ち、物質は約300ppbから約100ppmで、各回、5%の砂糖溶液と0.5%の塩化ナトリウム溶液で試験すること、という条件を選定した。示した記述子に基づく官能評価を、それぞれ、1(非常に弱い)から9(非常に強い)の尺度に従って行った。
【0019】
一例として、化学式2のテトラチアン類の官能属性を、本発明により特に好適とされている、3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアン(化学式2、R3及びR4=エチル)(純度>95%)の例を使って標示すると、
ネギ(7)、シイタケ(5)、タマネギ(4)、青臭い(3)、蒸した(3)、硫黄の様な(2)、焼け焦げた(2)、となる。
3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアンは、非常に強い(7)味のする、粘々した(7)、濃厚な(7)物質、となる。
【0020】
3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアンは、新鮮な(生の)又は茹でた(蒸した)アリウム植物、具体的には、ネギ、タマネギ、並びにシイタケ、の匂いと味の印象を与えることができる。
シイタケの味は、一般には、香ばしい又は芳しいネギの様な、及びニンニクに似ている、と言われている。
3,6ジエチル−1,2,4,5−テトラチアンに関する解説は、化学式2の他のテトラチアン類にも同じく又は同様に当てはまる。
【0021】
化学式2のテトラチアン類、具体的に3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアン、の興味深い官能プロフィールは、多くの場合、ネギ及びタマネギの印象が強いが、不快で望ましくない硫黄特性が殆ど存在しない(上の評価を参照)ことから、特に有用である。化学式2のテトラチアン類は、青臭さも存在するので、新鮮な刻みネギ及びタマネギの印象を与える。シイタケ特性が際立つために、官能プロフィールは、非常に複雑な効果を有し、用途及び香味料組成物の広い範囲に使用することができる。
それだけでも既に興味深く且つ有用である上記属性に関わらず、化学式2のテトラチアン類の官能プロフィールは、本発明により、上に示した化学式1のトリチオラン類及び/又は化学式3のペンタチエパン類と組み合わせることにより、更に増補され及び完璧になる。
【0022】
本発明による混合物は、アリウム属植物、特に、タマネギ、シャロット、ニンニク、ニラ、ネギ、野生ニンニク、並びにシイタケ及び/又はドリアン、の官能印象を、際立った硫黄の匂い又は味の印象を与えることなく、提供できることが特に好都合である。
香料、香味料、及び味付け物質の組成物、及びこのような組成物を含む調製物は、本発明により使用される化学式2のテトラチアン類又は本発明による混合物を添加することにより、更にバランスの取れた味の印象を呈する頻度が高まり、即ち、上記の香料、香味料、及び味付け物質の組成物及び調製物は、更にコクが増し、官能プロフィールは、更に円熟さを増し、更に複雑で、更に本格的及び/又は濃厚になるのは、驚くべきことである。
【0023】
本発明により使用される化学式2のテトラチアン類、又は、少なくとも1つの化学式2のテトラチアンと、少なくとも1つの化学式1のトリチオラン及び/又は化学式3のペンタチエパンと、を含む本発明による混合物(上で定義したもの)は、肉、魚、海鮮の味付け、具体的には、豚肉、牛肉、羊肉、鶏肉、小エビ、エビ、カニ、及びイカの味付けを対象とする、香味料組成物及び調製物に組み込むのに特に適している。
【0024】
3,5−ジエチル−1,2,4−トリチオランを35質量%、3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアンを28質量%、4,7−ジエチル−1,2,3,5,6−ペンタチエパンを35質量%、含む混合物について、上記のように官能的表現による評価を行ったところ、
タマネギ(6)、ネギ(6)、シイタケ(4)、蒸した(4)、焼いた(3)、青臭い(3)、ドリアン(3)、硫黄の様な(3)、土臭い(2)、という結果であった。
非常に強い(7)味の粘々した(7)混合物は、濃厚さ(6)があり、個々の成分よりも、バランスの良さが際立ち且つ更に円熟した官能プロフィールを呈した。具体的には、新鮮な刻みタマネギと新鮮な刻みネギの強烈な印象に、茹でた(蒸した)及び焼いた感じが混ざり、これにシイタケ特性と僅かな果実的ニュアンスが加わった印象が検知された。
化学式3の(純粋な)ペンタチエパン類の場合にも、化学式2の(純粋な)テトラチアン類と同様の官能印象が観察されたが、例えば、4,7−ジエチル−1,2,3,5,6−ペンタチエパン(化学式3、R5及びR6=エチル)又は4,7−ジイソプロピル−1,2,3,5,6−ペンタチエパン(化学式3、R5及びR6=イソプロピル)の場合には、硫黄の様な印象が際立って強く(5−6)、悪臭(3−4)及び土臭い(2−3)特性、更には、最初は果実の様な(2−3)味がしたという特性、が見られたことが相違点である。
【0025】
本発明による混合物では、R1からR6は、特に好適には、同一のC2−C4−アルキル基であるが、次の型の組み合わせ、例えば、3,5−ジエチル−1,2,4−トリチオラン、3−メチル−6−プロピル−1,2,4,5−テトラチアン、及び4−イソブチル−7−メチル−1,2,3,5,6−ペンタチエパンも好都合である。
適した混合比が設定された場合、本発明による混合物(上で定義)は、タマネギ、シャロット、ニンニク、ニラ、ネギ、ドリアン、及びシイタケの基本的な官能印象(第一印象)を与える。当業者であれば、混合量又は混合比を変えることにより、それらの第一印象に、新鮮な(生の)、茹でた、蒸した、炒めた、焼いた又は脂っぽい、及び炒めた特性を与えることができるであろう。
【0026】
本発明による混合物では、化学式2の化合物:化学式1の化合物の重量比は、望ましくは1:3から10:1の範囲にあり、更に望ましくは1:2から5:1の範囲にあり、特に望ましくは1:2から2:1の範囲にある。上で説明した官能効果は、特に、上記好適な混合物に当てはまる。
同じ様に、上で説明した官能効果は、化学式2の化合物:化学式3の化合物の重量比が、1:20から20:1の範囲にあり、望ましくは1:10から10:1の範囲にあり、特に望ましくは1:5から5:1の範囲にあり、最適には1:3から3:1の範囲にある、本発明による好適な混合物に当てはまる。
【0027】
本発明による特に好適な混合物は、
(i)少なくとも1つの化学式2の化合物を、5質量%から95質量%、望ましくは10質量%から70質量%、特に望ましくは15質量%から60質量%、
並びに、
(ii)(a)少なくとも1つの化学式1の化合物を、2質量%から95質量%、望ましくは10質量%から70質量%、特に望ましくは15質量%から60質量%、
及び/又は
(ii)(b)少なくとも1つの化学式3の化合物を、1質量%から95質量%、望ましくは10質量%から70質量%、特に望ましくは15質量%から60質量%、を含んでおり、
これら化合物1及び(2及び/又は3)の合計は、混合物の合計重量を基にすれば、75質量%から100質量%、望ましくは90質量%から100質量%である。
特に好ましくは、化学式1、2及び3の化合物を含み、化合物1、2及び3の合計が90質量%から100質量%である混合物が好ましい。
【0028】
特に、
(i)化学式2の化合物を15質量%から40質量%と、
(ii)(a)化学式1の化合物を15質量%から40質量%と、
(ii)(b)化学式3の化合物を15質量%から40質量%と、
を含んでおり、
これら化合物1、2及び3の合計が、混合物の合計重量を基にすれば、90質量%から100質量%である、混合物が好ましい。
【0029】
本発明はまた、アリウム植物の味及び/又は匂いに相当する味及び/又は匂いを生成し、強化し、又は改質する方法において、本発明による混合物(上で説明したもの、望ましくは好適な形態で)の官能的または感覚的に有効な量を、基材調製物と混和する工程から成る方法に関する。
【0030】
化学式2のテトラチアン類と本発明による混合物は、非希釈形態であっても又は希釈形態、例えば、溶液の形態であってもよく、且つその形態で保存してもよい。使用される希釈剤又は溶媒は、望ましくは、水、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、グリセロール、アセトン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、トリアセチン、例えば植物トリグリセリド(任意にはコゥシャ)の様な植物油又は脂肪類、超臨界二酸化炭素、又は上記希釈剤又は溶媒の混合物である。
化学式2のテトラチアン類と本発明による混合物は、希釈すると(即ち、不活性希釈剤に接触させると)、驚くほどに長い期間の保存に安定して耐えることができる。希釈した場合、例えば室温(約20℃)では、長期間(少なくとも24ヶ月)官能的な観点では変化しないことが分かった。化学式2のテトラチアン又は本発明による混合物の含有量は、希釈剤と化学式2のテトラチアン又は本発明による混合物との混合物を基にすれば、0.01質量%から30質量%の範囲にあり、望ましくは0.1質量%から10質量%の範囲にあり、特に望ましくは0.5質量%から5質量%の範囲にあるのが好都合である。
【0031】
希釈剤として特に適しているのは、(a)トリアセチン、並びに(b)同一又は異なる脂肪酸基を有する中鎖長のトリグリセリド類(C6からC10;MCT=中鎖トリグリセリド類)であり、これらトリグリセリド類は、味の観点では実質的に中性である。
更に驚くべきことには、香料、香味料、及び味付け物質組成物、及び調製物並びにそのような組成物を含む半加工製品は、化学式2のテトラチアン類又は本発明による混合物の存在下では、それらの官能的特徴(例えば、新鮮なタマネギ)が長期に亘って維持される。
本発明は、従って、(i)本発明による混合物又は(ii)本発明により使用される化学式2の1つ又は複数のテトラチアン類(式中、R3、R4は、それぞれ、他のC2−C4−アルケニル又はC2−C4−アルキルから独立しているが、R3とR4は同時にエチルではない)を含む、調製物(特に、栄養摂取及び楽しみに供されるもの)、半加工製品、及び香料、香味料、及び味付け物質組成物を、更に提供している。これについては、以下の説明及び図を参照されたい。
【0032】
本発明により使用される化学式2のテトラチアン類又は本発明による混合物は、特に栄養摂取又は楽しみに供される調製物などに使用できるが、この他の香味料又は味付け物質と共に、本発明による香味料組成物の成分として使用されるのが望ましい。本発明により使用される化学式2のテトラチアン(類)(式中、R3及びR4は上で定義した通り)に加えて、又は本発明による混合物に加えて、この様な香味料組成物は、例えば、合成の、天然の、又は天然と同質の、香味料又は植物抽出物の様な、別の官能的または感覚的に活性を有する物質を含む。(i)化学式2のテトラチアン(類)又は(ii)本発明による混合物の、本発明による香味料組成物の別の成分に対する比は、必然的に香味料組成物の望ましい全体的な官能印象に大きく依存する。
【0033】
栄養摂取又は楽しみに供される、本発明による調製物は、化学式2のテトラチアン(式中、R3及びR4は上で定義した通り)、又は本発明による混合物を、官能的または感覚的に有効な量と、1つ又は複数の基材物質、補助物質、及び食料品及びスナック類に従来使用されている添加物と、を含む。本発明による調製物は、一般には、化合物2のテトラチアン又は本発明による混合物を、調製物の全重量を基にして、0.0000001質量%(0.001ppm)から0.05質量%(500ppm)までの範囲で、望ましくは0.0000002質量%(0.002ppm)から0.01質量%(100ppm)までの範囲で、特に望ましくは0.0000005質量%(0.005ppm)から0.005質量%(50ppm)までの範囲で、含む。また、基材物質、補助物質、及び食料品又はスナック類に従来使用されている添加物は、調製物の全重量を基にして、99.999999質量%以内、望ましくは10質量%から80質量%までの範囲で、含まれていてもよい。調製物は、調製物の全重量を基にして、99.999999質量%以内、望ましくは5質量%から80質量%までの範囲で、水を更に含んでいてもよい。
【0034】
栄養摂取又は楽しみに供される、本発明の範囲内にある調製物は、例えば、焼き物(例えば、パン、乾いたビスケット、ケーキ類、他の焼き物類)、菓子類(例えば、チョコレート、フルーツガム、硬い又は柔らかいキャラメル類、チューイングガム、甘草アメ)、アルコール又は非アルコール飲料(例えば、コーヒー、茶、ワイン、ワイン含有飲料、ビール、ビール含有飲料、リキュール類、ウイスキー類、ブランディ類、果汁含有炭酸飲料類、等張性飲料類、清涼飲料類、ネクター類、果実及び野菜ジュース類、果汁又は野菜汁調製物)、インスタント飲料類、肉製品(例えば、ハム、生鮮ソーセージ又は生ソーセージ調製物)、卵又は卵製品(例えば、乾燥卵、卵白、卵黄)、シリアル製品(例えば、朝食用シリアル類、ムースリ・バー類)、乳製品(例えば、乳飲料、牛乳入りアイスクリーム、ヨーグルト、ケフィア、生鮮チーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、乾燥粉乳、乳清、バター、バターミルク)、果実調製物(例えば、ジャム類、果実入りアイスクリーム、果実ソース類)、野菜調製物(例えば、ケチャップ、ソース類、乾燥野菜類)、スナック品(例えば、焼いた又は揚げたジャガイモのチップス又はジャガイモ果肉製品、トウモロコシ又はピーナッツ系押出品)、脂肪又は油を主原料とする製品又はそれらの乳濁液類(例えば、マヨネーズ、レムラード、ドレッシング類)、調理済食品及びスープ類、香辛料、香辛料混合物、及び、特に、スナック部門で使用される調味料類である。本発明の範囲に入る調製物は、栄養摂取又は楽しみに供される別の調製物を製造するための半加工製品としても使用することができる。本発明の範囲に入る調製物は、カプセル、錠剤(被覆された又は被覆されていない錠剤、例えば、腸溶性被覆)、糖衣錠、顆粒、小丸薬、固体混合物、液相の分散剤、の各形態、乳濁液の形態、粉末状、ペースト状、食品サプリメントとしての他の飲み込める又は噛める調製物の形態であってもよい。
【0035】
本発明により使用される化学式2のテトラチアン、又は本発明による混合物、又はこれらの物質を含む香味料組成物は、全ての使用形態において、乾燥した、ペースト状の、又は液体の事前混合を介して添加しても、他の成分とは事前に混和させずにそのまま添加しても、何れでもよい。添加の時期は、使用形態及び製造法によって異なる。
化学式2のテトラチン類又は本発明による混合物を含む、栄養摂取又は楽しみに供される好適な調製物は、スープ類(タマネギ、ネギ、アスパラガス、豆、ニンジン、トマト、鶏肉、牛肉、マッシュルーム、魚、エビ、及びカニのスープ類の様なインスタントスープ類、並びに上記各種類の缶詰スープ類)、ソース類(牛肉、豚肉、羊肉、魚、カニ、エビ、マッシュルーム、アスパラガス、タマネギ、及びネギなどの各種インスタントソース類)、香辛料(牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、及び野菜などの各種ブイヨン、並びに各種の調味料混合物又は食塩のような香辛料類)、スナック類又はスナック品(焼いた又は揚げたジャガイモのチップス又はジャガイモ果肉製品、トウモロコシ又はピーナッツ系押出物)、脂肪又は油を主原料とする製品(マヨネーズ、レムラード、及びドレッシング類)、及び調理済食品類である。
【0036】
本発明による混合物は、調味料に使用するのが望ましい。適した調味料は、例えば、合成、天然、又は天然と同質の香味料、並びに、多糖類、例えば、マルトデキストリン;塩類、例えば、食塩;香辛料、例えば、パプリカ及び胡椒;砂糖類又は砂糖代用物又は甘味料、例えばサッカリン;及び味強化剤、例えば、グルタミン酸一ナトリウム及び/又はイノシン一リン酸;の様な担体類、を含む。
化学式2のテトラチアン類又は本発明による混合物を含む本発明による調製物は、化学式2のテトラチアン又は本発明による混合物を、溶液の形態又は固体又は液体の担体との混合物の形態で、栄養摂取又は楽しみに供される調製物に組み込むことによって造ることができる。好都合なことに、化学式2のテトラチアン又は本発明による混合物を含む、溶液形態の本発明による調製物は、噴霧乾燥により固体調製物に転換させることができる。
【0037】
調製物を製造する場合、更に好適な実施形態として、化学式2のテトラチアン又は本発明による混合物、及び任意に、本発明による調製物の他の成分を、乳濁液に;例えば、フォスファチジルコリンから開始してリポソームに;ミクロスフィアに;ナノスフィアに;又は食品及びスナック類に適したマトリックス、例えば、スターチ、スターチ誘導体、他の多糖類、天然脂肪類、天然ワックス類、のマトリックスのカプセル類、又はタンパク質、例えばゼラチンのカプセル類に、事前に組み込むことも可能である。別の実施形態では、化学式2のテトラチアン又は本発明による混合物は、適した錯化剤、例えば、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体、望ましくはβ−シクロデキストリン、と事前に錯化させ、その形態で使用される。
【0038】
栄養摂取又は楽しみに供される、本発明による調製物の他の成分として、基材物質、補助物質、及び食品又はスナック類に従来使用されている添加物を更に使用することができ、そのようなものには、例えば、水、生鮮又は処理済の植物系又は動物系の基材又は生の物質の混合物(例えば、生の、焼いた、乾燥させた、発酵させた、スモークした、及び/又は茹でた肉、卵、骨、軟骨、魚、甲殻類及び貝類、野菜類、果実類、ハーブ類、ナッツ類、野菜又は果実ジュース類又はペースト類、又は上記の混合物)、消化される又は消化されない炭水化物(例えば、サッカロース、マルトース、フルクトース、グルコース、デキストリン、アミロース、アミロペンクチン、イヌリン、キシラン、セルロース)、糖アルコール類(例えば、ソルビトール、マニトール、キシリトール)、天然又は硬化させた脂肪類(例えば、獣脂、ラード、パーム油、ココナツ脂肪、硬化させた植物性脂肪)、脂肪油類(例えば、ヒマワリ油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、アザミ油、オリーブ油、クルミ油、魚油、大豆油、ゴマ油)、脂肪酸類又はその塩類(例えば、ステアリン酸カリウム、パルミチン酸カリウム)、タンパク質を形成する又は形成しないアミノ酸類及び関連化合物(例えば、タウリン、クレアチン、クレアチニン)、ペプチド類、天然又は処理されたタンパク質類(例えば、ゼラチン)、酵素類(例えば、ペプチダーゼ、グルコシダーゼ、リパーゼ)、核酸類、ヌクレオチド類(イノシトール・リン酸塩)、味改質物質(例えば、グルタミン酸ナトリウム、2−フェノキシプロピオン酸)、乳化剤(例えば、レシチン、ジアシルグリセロール)、安定剤(例えば、カラギーナン、アルギン酸塩、イナゴマメ粉、グアール粉)、保存料(例えば、安息香酸、ソルビン酸)、酸化防止剤(例えば、トコフェロール、アスコルビン酸)、キレート剤(例えば、クエン酸)、有機又は無機酸性化剤(例えば、リンゴ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リン酸)、苦味物質(例えば、キニーネ、カフェイン、リモニン)、甘味料(例えば、サッカリン、シクラミン酸塩、アスパルテーム、ネオテーム、ネオヘスペリジン、ジヒドロカルトウモロコシ)、鉱塩類(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、リン酸ナトリウム)、酵素褐変を防止する物質(例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸)、精油類、植物抽出物、天然又は合成着色料又は着色用色素(例えば、カロチノイド、フラボノイド、アントシアニン、クロロフィル、及びそれらの誘導体)、香辛料並びに香料、合成、天然、又は天然と同質の香味料、及び味付け物質、がある。
【0039】
本発明は、本発明による調製物を、製造された調製物に香味付けして完成品として提供するための半加工製品として使用することにも関する。
最後に、本発明は、本発明による混合物を調製するための方法にも関し、前記方法は、以下の工程、即ち、
− 2,4,6−三置換置換5,6−ジヒドロ−1,3,5−ジチアジンを、酸素、塩素、臭素、及びヨウ素から成る群から選択される1つ又はそれ以上の酸化剤で酸化する工程であって、前記酸化剤は、元素形態で使用され、又はインシトゥで無機前駆体から調製される、その様な酸化剤で酸化する工程を含む。使用される酸化剤は、望ましくは臭素であり、インシトゥで臭化物と臭素酸塩から調製されるのが好都合である。
【0040】
合成
化学式1のトリチオラン類、化学式2のテトラチアン類、及び化学式3のペンタチエパン類の合成
既に説明したように、Chem.Lett.、1988年、1517−1520に記載の3,6−ジメチル−1,2,4,5−テトラチアンは最適ではない。N−ブロモ−又はN−クロロ−スクシンイミドの使用と反応条件(塩化メチレン中に、−78℃で、5時間)は不都合である、というのも、3,6−ジメチル−1,2,4,5−テトラチアンの精製後でさえ、使用されたスクシンイミド誘導体の痕跡がなお検出される。
2,4,6−三置換置換5,6ジヒドロ−1,3,5−ジチアジン類を、酸化剤、例えば、酸素、塩素、臭素、又はヨウ素、中でも臭素が好適であるが、そのような酸化剤を使って酸化させることが可能であることが、現在では分かっている。インシトゥで、臭素酸ナトリウムと臭化ナトリウムから臭素を生成するのが特に好適である。
【0041】
酸化させると、混合物が生成されるが、これは、反応条件次第で、化学式1のトリチオラン、化学式2のテトラチアン、及び化学式3のペンタチエパンを、異なる割合で含んでおり、これについては下の概略的な反応方程式を参照頂きたいが、式中、個々の基Rは、C2−C4−アルキル又はアルケニル基である。基R*及びR**は、必ずしもというわけではないが多くの場合、Rと同一である。

【0042】
混合置換基を有する生成物を調製する場合には、以下の「代表例」を参照されたい。
2,4,6−三置換置換5,6ジヒドロ−1,3,5−ジチアジン類の酸化時の反応混合物のpH値は、酸の添加により、pH値0から6の範囲に、望ましくは0から3の範囲に、特に望ましくは0.5から1.5の範囲に調製され、約1のpH値が最適である。
pH値の調製に好適な酸類は、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、p−トルエンスルホン酸、並びに高分子担持酸類又は樹脂類、例えば、Amberlyst又はLewatitの品名で市販されているものなど、である。塩酸と硫酸が特に好適である。
反応は、希釈液で行う。水の他に、希釈剤として、有機性溶媒、任意には水性溶媒を使用してもよい。
【0043】
適した有機希釈剤は、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、二臭化エチレン、二塩化エチレン、エチルアセテート、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、1−プロパノール、tert−ブチルメチルエーテル、及びジエチルエーテルである。
好適な有機(任意に水性)希釈剤は、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、及び1,4−ジオキサン、及びそれら物質と水との混合物である。特に好適な希釈剤は、テトラヒドロフラン及びテトラヒドロフランと水との混合物である。
反応処理の観点から、化学式1から3の化合物を含む反応生成物は、例えば、ジエチルエーテル又はtert−ブチルメチルエーテルの様な、水に非混和性の溶剤を用いた、相分離及び/又は水性相の抽出によって、(もはや)水と混和性でない有機相に転換される。この有機相に、例えば、エタノールを添加し、揮発性が高く水に対して非混和性である溶媒を蒸留により取り除く。得られた、例えば、エタノール溶液から、油性粗生成物を分離して、望ましくは吸着剤で濾過することにより、精製する。
【0044】
吸着剤は、活性炭素、様々に異なる活性度を有するシリカゲル、様々に異なる活性度を有する中性の酸化アルミニウム、様々に異なる活性度を有する塩基性アルミニウム、セライト、又は硫酸ナトリウムであるのが望ましい。様々に異なる活性度を有する中性の酸化アルミニウムを使用するのが好適である。
精製された生成混合物は、本発明による用途などに使用することができる。化学式1のトリチオラン、化学式2のテトラチアン、及び化学質3のペンタチエパンの個々の化合物は、必要に応じて、分取クロマトグラフィにより混合物から単離される。
【0045】
実施例
特に指示のない限り、全ての量は重量単位である。
代表例:3,5−ジエチル−1,2,4−トリチオラン、3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアン、及び4,7−ジエチル−1,2,3,5,6−ペンタチエパンの混合物の調製
a)2,4,6−トリエチル−1,3,5−ジチアジナン(=2,4,6−トリエチル−5,6−ジヒドロ−1,3,5−ジチアジン)
20%の硫化アンモニウム溶液400mlと、テトラヒドロフラン(THF)250mlを混合した。プロパナール40gを、室温で定量だけ添加し、混合物を室温で4時間攪拌した。メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)100mlを添加した後、相を分離させ、MTBEで水性相を二度抽出した。水で洗浄し、硫化ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を減圧下取り除いた。所望の2,4,6−トリエチル−1,3,5−ジチジナン含有量が96%の粗生成物47gを得た。
この生成物は、それ以上の処理を加えずに、次の合成工程で使用した。
【0046】
b)2,4,6−トリエチル−1,3,5−ジチアジナンの酸化
工程a)で得た2,4,6−トリエチル−1,3,5−ジチアジン50gを、THF400mlに溶かし、これに、臭素酸ナトリウム38gと臭化ナトリウム26gを400mlの水に溶かした溶液を加えた。次いで、氷で冷やしながら、制御されたやり方で1N塩酸を添加して、この溶液のpHを慎重に約pH1にもっていった。反応が止むと、氷の水槽を取り除いて、室温で3時間、攪拌を行った。反応混合物をジエチルエーテルで2回抽出し、複合有機相を、炭酸水素ナトリウム溶液とチオ硫酸ナトリウム溶液で連続して洗浄し、その後、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、溶液をエタノールで希釈し、エーテルを減圧下慎重に除去した。
油性相10gを、エタノール溶液から分離した。この粗生成物は、3,5−ジエチル−1,2,4−トリチオラン18%、3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアン11%、及び4,7−ジエチル−1,2,3,5,6−ペンタチアパン14%を含有していた。
粗生成物をエーテルに取り、エーテル/ペンタンを使って中性の酸化アルミニウムを通して濾過した。
【0047】
溶媒を減圧下除去したところ、以下の組成(GCにより判定)、即ち、
3,5−ジエチル−1,2,4−トリチオラン35%、
3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアン28%、
4,7−ジエチル−1,2,3,5,6−ペンタチエパン35%、
を有する本発明による混合物4gを得た。
個々の物質を、分取クロマトグラフィにより、各場合に純度>95%になるように単離した。
HPLC条件:カラム=Grom Saphir 65C18、相=5μm125*8mm、溶離剤=エタノール:水=70:30。
【0048】
化学式1、2及び3の構造は、それぞれのラマンスペクトルを既知の基準化合物と比較することにより確認することができた。既知の基準化合物のラマンスペクトルでは、S−Sジスルフィド振動は、ラマンスペクトルの540cm-1から500cm-1の範囲内に特徴的位置を有し、S−Sトリスルフィド振動は、510cm-1から450cm-1の範囲内に特徴的位置を有することが示されている。例示的に述べると、ジイソプロピルジスルフィドはS−S振動が524cm-1と510cm-1に、1,2,5,6−テトラチオシクロオクタンはS−S振動が521cm-1と504cm-1に、ジイソプロピルトリスルフィドはS−S−S振動が507cm-1と487cm-1に、1,2,3,5,6−ペンタチエパンはS−S振動が502cm-1に、又はS−S−S振動が485cm-1と465cm-1に見られる。
【0049】
各ラマンスペクトルでは、3,5−ジエチル−1,2,4−トリチオランは、S−S振動が518cm-1に見られ、3,6−ジエチル−1,2,4、5−テトラチアンは、S−S振動が533cm-1と514cm-1に見られ、4,7−ジエチル−1,2,3,5,6−ペンタチエパンは、S−S振動が526cm-1と507cm-1に、又はS−S−S振動が493cm-1と479cm-1と465cm-1に見られた。
工程a)によるジチアジン、及び、工程b)によるトリチオラン類、テトラチアン類、及びペンタチエパン類、の基の意義は、工程a)に使用するアルデヒド(類)の選択により決まる。
【0050】
仮に、例えば、工程a)で、プロパノールの代わりに、分子等量分のプロパノールとイソブチルアルデヒドの混合物を使用すると、2,4,6−トリエチル1,3,5−ジチアジナン並びに2,4,6−トリイソプロピル−1,3,6−ジチアジナンの他に、混合アルキル基(エチル基及びイソプロピル基)を有する1,3,5−ジチアジナン類が形成され、そこから、工程b)の酸化処理を経て、混合アルキル基を有する、対応する化学式1のトリチオラン類、化学式2のテトラチアン類、及び化学式3のペンタチエパン類が得られる。
【0051】
適用例1:代表的なネギ香味料混合物の改質
代表的なネギ香味料(=混合物A)は、次の組成により、即ち、
プロパンチオール(0.05%)、1%の植物トリグリセリドに溶かしたジアリルジスルフィド(0.10%)、ヘキサナール(0.15%)、ネギ油(0.20%)、ジプロピルトリスルフィド(0.40%)、2−トランス−ヘキサナール(0.60%)、1−ペンテン−3−オル(1.20%)、アリネート(アリル・イソチオシアネート)(1.60%)、3−シス−ヘキセノール(1.71%)、及びジプロピルジスルフィド(2.01%)、の混合物を、植物トリグリセリド(91.98%)の様なマトリックス(母材)に混和して、調製した。
【0052】
1.このようにして得られた混合物Aに、3,6−ジイソプロピル−1,2,4,5−テトラチアンを植物トリグリセリドに溶かした1%溶液を0.1質量%から0.5質量%分添加した。こうして得られた香味料組成物(混合物A1)は、更に複雑な特性を示し、好ましい脂肪特性を備えた焼いたタマネギという興味深いニュアンスで格別に表現された。
2.3,5−ジエチル−1,2,4−トリチオランを29%、3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアンを39%、4,7−ジエチル−1,2,3,5,6−ペンタチエパンを31%、含む本発明による混合物を植物トリグリセリドに溶かした1%溶液を調製した。この1%溶液の0.1質量%から0.5質量%分を混合物Aに添加した。こうして得られた調味料組成物(混合物A2)では、コク、自然さ、本格さが更に増すとともに複雑性も増したことがはっきり出ており、天然ネギの味プロフィールは、生鮮特性が加わった結果、更に円熟し更に調和の取れたものとして知覚された。
【0053】
適用例2:代表的なタマネギ調味料混合物の改質
代表的なタマネギ調味料(=混合物B)を次の処方により、即ち、
2−トランス−ヘキサナール(0.26%)、ネギ油(0.31%)、アリネート(0.39%)、メチルプロピルジスルフィド(0.51%)、悪臭油(0.65%)、植物トリグリセリドに溶かしたジチアジン(1.28%)、ジメチルトリスルフィド(1.28%)、ジプロピルジスルフィド(2.56%)、ジプロピルトリスルフィド(5.13%)、プロピレングリコール(8.20%)、及びタマネギ油(10.26%)、の混合物を、トリアセチン(69.17%)の様なマトリックスに溶かして、調製した。
1.3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアンを植物トリグリセリドに溶かした1%溶液の0.2質量%分を、混合物Bに添加した。こうして得られた香味料組成物(混合物B1)は、全体的に更に濃厚で自然なネギに似た特性を呈した。
【0054】
2.3,5−ジエチル−1,2,4−トリチオランを35%、3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアンを28%、4,7−ジエチル−1,2,3,5,6−ペンタチエパンを35%、含む本発明による混合物を植物トリグリセリドに溶かした1%溶液を調製した。この1%溶液の0.1質量%から0.5質量%分を、混合物Bに添加した。こうして得られた香味料組成物(混合物B2)は、新鮮な刻みタマネギの更に際立つ特徴を顕著に示した。この効果は、混合物Bに含まれるタマネギ油が単独で作り出せるものではない。同様に、混合物B2には、好ましい焼いた特性が見い出された。新鮮な刻みタマネギの官能印象は、本発明による上記混合物の添加によって長く保たれ、長期に亘り(官能的または感覚的に)安定していた。タマネギ油は保存すると新鮮さを失うことから、特筆すべきは、新鮮な刻みタマネギの味の印象の持続性である。
【0055】
適用例3:ドリアン香味料混合物
代表的なドリアン香味料(=混合物C)を、次の処方により、即ち、
プロピレングリコールに溶かした10%カプロン酸(0.10%)、メチルシクロペンテノロン−3,2,2nat.(0.10%)、イソ吉草酸エチル(0.51%)、ジメチルスルフィド(0.20%)、プロピレングリコールに溶かした10%ジアセチルnat.(0.20%)、プロピレングリコールに溶かした10%エチルマルトール(0.51%)、プロピレングリコールに溶かした1%フェニレチルアセテート(0.81%)、バニリン(1.01%)、イソプロピルチオール(1.01%)、ブチルアセテート(1.01%)、エチルブチレート(1.01%)、エチルアセテート(1.01%)、及びプロパンチオール(2.02%)、の混合物を、プロピレングリコール(90.70%)の様なマトリックスに溶かして、調製した。
【0056】
3,5−ジエチル−1,2,4−トリチオランを35%、3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアンを28%、4,7−ジエチル−1,2,3,5,6−ペンタチエパンを35%、含む本発明による混合物を植物トリグリセリドに溶かした1%溶液を調製した。この1%溶液の0.1質量%から0.6質量%分を混合物Cに添加した。こうして得られた香味料組成物は、際立って強い味印象と強烈さ、並びに長期の付着性を呈した。また、ドリアンらしい特性は、際立って、更に複雑で更に自然である。
【0057】
適用例4:シイタケ香味料混合物
代表的なシイタケ香味料(=混合物D)は、次の処方により、即ち、
3,5−ジメチル−2−エチルピラジン(0.08%)、2,6−ジメチルピラジン(0.15%)、プロピレングリコールに溶かした1%メチルチオプロパノール(0.15%)、2,5−ジメチルピラジン(0.15%)、3−オクタノール(0.45%)、メチルフルフリル・ジスルフィド(0.45%)、トリアセトンに溶かした0.1%o−クレゾール(0.76%)、ジイソプロピルトリスルフィド(1.21%)、2−ヒドロキシ−3−メチル−シクロペント−2−エノンnat.(1.37%)、1−オクタン−3−オル(1.52%)、ジメチルトリスルフィド(2.27%)、植物トリグリセリドに溶かした1%ジメチルオキシフロン(2.27%)、及びトリアセトンに溶かした10%トリチアヘキサンー2,3,5(4.55%)、の混合物を、植物トリグリセリド(84.62%)の様なマトリックスに溶かして、調製することができる。
【0058】
3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアンをトリアセチンに溶かした1%溶液の0.1質量%から0.8質量%分を混合物Dに添加することにより、茹でたシイタケキノコの、土の様な香ばしいニュアンスが強化される。
3,5−ジエチル−1,2,4−トリチオランを35%、3,6−ジエチル−1,2,4,5−テトラチアンを28%、4,7−ジエチル−1,2,3,5,6−ペンタチエパンを35%、含む本発明による混合物を植物トリグリセリドに溶かした1%溶液を調製した。この1%溶液の0.1質量%から0.6質量%分を混合物Cに添加した。而して、シイタケキノコの天然味プロフィールの複雑な官能印象を、卓越したやり方で調製できた。
【0059】
適用例5:スナック品
スナック類は、殆どが、例えば、ジャガイモやトウモロコシのチップス類、押出物、小球、ポップコーン、プレッツェル、脂で揚げた又はオーブンで焼いたパン生地製品の様な、風味の良いスナック類である。化学式2のテトラチアン、又は本発明による混合物、又は上記物質の1つを含む香味料組成物の、スナック品への適用は、調味料、吹き付けオイルスラリー、脂肪性詰め物、又はパン生地香味料により行われる。
クラッカー類を調製する場合の基本的処方の例は、
小麦粉(60%〜63%)、ベーキングパウダー(1.0%〜1.5%)、植物油(6.0%〜6.5%)、麦芽糖シロップ(2.0%〜2.5%)、乳化剤(1.2%〜1.8%)、重炭酸アンモニウム(1.5%〜2.0%)、乾燥脱脂粉乳(1.0%〜1.5%)、生パン酵母(0.3%〜0.9%)、食塩(0.3%〜0.6%)、水(20.0%〜23.5%)である。
適用例2のタマネギ香味料組成物(混合物B2)を、0.05%から5%の量だけ、この基本的な処方に添加したが、基本的処方の重量に基づいて、0.1%から2%の範囲で従量添加を行うのが望ましい。
【0060】
適用例6:調味料
例えば、スナック類の調味料の調製を、次の処方に基づいて行った。
調味料を調製する場合の基本的処方の例は、
食塩(10%〜25%)、担体(例えば、乳清粉末)(40%〜60%)、増量剤(例えば、粉末脂肪)(5%〜15%)、味強化剤(1.5%〜3.5%)、補助物質(例えば、シリカ)(0.1%〜5%)、粉チーズ(10%〜30%)、加水分解植物性タンパク質(5%〜10%)、酵母抽出物(5%〜15%)、香辛料(1%〜5%)、酸性化剤(例えば、クエン酸)(0.1%〜1.0%)、着色剤(例えば、パプリカ抽出物)(0.1%〜1.0)である。
適用例2のタマネギ香味料組成物(混合物B2)を、1%から20%の量だけ、この基本的な処方に添加したが、基本的処方の重量に基づいて、5%から15質量%の範囲で従量添加を行うのが望ましい。
【0061】
適用例7:ネギクリームスープ
ネギクリームスープの調製を、次の処方に基づいて行った。
ネギクリームスープの基本的処方の例は、
乳脂肪分、Vana Crema(25%〜30%)、ジャガイモ澱粉(15%〜25%)、乳糖、ラクトース(18%〜22%)、マルトデキストリン(10%〜12%)、塩(7%〜9%)、グルタミン酸ナトリウム塩(2%〜4%)、植物性脂肪(2%〜4%)、粉末ホウレンソウ(1%〜2%)、クエン酸粉末(0.2〜0.4%)、粉末ネギ(1〜2%)、凍結乾燥ネギ片(約10mmx10mm)(0.5%〜1.5%)、野菜煮汁粉末(0.2%〜0.5%)、ウコン抽出物(0.05%〜0.1%)。
適用例1のネギ香味料組成物(混合物A2)を、1質量%から15質量%の量だけ、この基本的な処方に添加したが、基本的処方の重量に基づいて、3質量%から10質量%の範囲で従量添加を行うのが望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)化学式2の化合物、

式中、R3とR4は、互いに独立してC2−C4−アルキル又は−アルケニル基である、
又は
(ii)以下の成分、即ち
少なくとも1つの上記化学式2の化合物、並びに
少なくとも1つの化学式1の化合物、及び/又は
少なくとも1つの化学式3の化合物、
から成る混合物又はこれらを含む混合物、

式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、互いに独立的してC2−C4−アルキル又は−アルケニル基である、
の、香料又は香味料としての使用。
【請求項2】
化学式2の化合物と化学式1の化合物、並びに任意に化学式3の化合物、を含む混合物であって、

式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、互いに独立的してC2−C4−アルキル又は−アルケニル基であり、
前記化学式2の化合物:前記化学式1の化合物の重量比は、1:5以上であり、望ましくは1:4以上である、混合物。
【請求項3】
化学式2の化合物と化学式3の化合物、並びに任意に化学式1の化合物、を含む混合物であって、

式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、互いに独立的してC2−C4−アルキル又は−アルケニル基である、混合物。
【請求項4】
前記化学式2の化合物:前記化学式1の化合物の重量比が、1:3から10:1の範囲にあり、望ましくは1:2から5:1の範囲にあり、特に望ましくは1:2から2:1の範囲にある、請求項2又は3に記載の混合物。
【請求項5】
前記化学式2の化合物:前記化学式3の化合物の重量比が、1:20から20:1の範囲にあり、望ましくは1:10から10:1の範囲にあり、特に望ましくは1:5から5:1の範囲にあり、最適には1:3から3:1の範囲にある、請求項2から4の何れかに記載の混合物。
【請求項6】
(i)少なくとも1つの前記化学式2の化合物を、5質量%から95質量%、望ましくは10質量%から70質量%、特に望ましくは15質量%から60質量%、
並びに、
(ii)(a)少なくとも1つの前記化学式1の化合物を、2質量%から95質量%、望ましくは10質量%から70質量%、特に望ましくは15質量%から60質量%、
及び/又は、
(ii)(b)少なくとも1つの前記化学式3の化合物を、1質量%から95質量%、望ましくは10質量%から70質量%、特に望ましくは15質量%から60質量%、含んでおり、
前記化合物1及び(2及び/又は3)の合計が、前記混合物の合計重量を基にして、75質量%から100質量%、望ましくは90質量%から100質量%である、請求項2から5の何れかに記載の混合物。
【請求項7】
(i)前記化学式2の化合物を15質量%から40質量%と、
(ii)(a)前記化学式1の化合物を15質量%から40質量%と、
(ii)(b)前記化学式3の化合物を15質量%から40質量%と、
を含んでおり、
前記化合物1、2、及び3の合計が、前記混合物の合計重量を基にして、90質量%から100質量%である、請求項6に記載の混合物。
【請求項8】
アリウム植物の味及び/又は匂いに対応する味及び/又は匂いを生成し、強化し、又は改質する方法において、請求項2から7の何れかに記載の混合物の感覚的に有効な量を、基材調製物と混合する段階から成る方法。
【請求項9】
(i)1つ又はそれ以上の化学式2の化合物、

式中、R3、R4は、互いに独立したC2−C4−アルキル又はC2−C4−アルケニル基であるが、R3、R4は、同時にエチルではない、
又は
(ii)請求項2から7の何れかに記載の混合物、
を含む、香料、香味料、又は味付け物質組成物。
【請求項10】
請求項2から7の何れかに記載の混合物、又は請求項9に記載の香料、香味料、又は味付け物質組成物、を含む調製物。
【請求項11】
請求項2から7の何れかに記載の混合物を調製する方法であって、
酸素、塩素、臭素、及びヨウ素から成る群から選択される1つ又はそれ以上の酸化剤であって、元素形態で使用されるか又はインシトゥで無機前駆物質から調製される酸化剤により、2,4,6−三置換置換5,6−ジヒドロ−1,3,5−ジチアジン類を酸化する段階を含む、方法。
【請求項12】
前記使用される酸化剤が、臭素であり、インシトゥで臭化物と臭素酸塩から調製される、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2008−512537(P2008−512537A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530706(P2007−530706)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/054380
【国際公開番号】WO2006/027352
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(503236223)シムライズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンジツト・ゲゼルシヤフト (51)
【Fターム(参考)】