説明

駆動伝達切換機構およびこれを用いたカラープリンタ

【課題】 少ない部品点数で容易に製造できる駆動伝達切換機構を提供する。
【解決手段】 駆動伝達切換機構は、主動ギア1と、該主動ギア1に噛合するアイドラギア2とを備える。主動ギア1とアイドラギア2とは軸間距離が一定となり、且つ、主動ギア1の軸中心を中心としてアイドラギア2を主動ギア1の円周方向に回動可能に固定する支持部材3により支持されている。支持部材3は、主動ギア1を支持基板30に対して回転可能に軸支する主動軸31と、アイドラギア21を支持基板30に対して回転可能に軸支する副動軸32と、これら主動軸31と副動軸32との軸方向に垂直な面を主面とする支持基板30とからなる。そして、これら支持基板30、主動軸31、副動軸32からなる支持部材3は樹脂素材等により一体形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙搬送系の回転をインクリボン搬送系に伝達するかどうかを切り換える駆動伝達切換機構と、この駆動伝達切換機構を備え、用紙の搬送とインクリボンの搬送とを制御し、インクリボンを用いて用紙に所定の画像を形成するカラープリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、イエロ、マゼンタ、シアンのインクリボンを用いて、カラー画像を用紙に印刷するカラープリンタが一般に普及している。この種のカラープリンタは、印刷するカラー画像を色分解して、イエロ画像(以下、Y画像と言う。)、マゼンタ画像(以下、M画像と言う。)、およびシアン画像(以下、C画像と言う。)の3つの画像を生成し、これらの画像を種々の方法により用紙に重ねて印刷することにより、用紙にカラー画像を形成する構成である(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
ところで、このようなカラー画像をインクリボンを用いて形成する熱転写方式のカラープリンタでは、インクリボンの構造から各色毎に用紙へ画像を転写する。この際、インクリボンは、各色の領域が順次繋がる構造であるので、所定方向にのみ搬送すればよいが、用紙は、同じ領域のそれぞれ3色の画像形成(転写)を行わなければならないので、用紙を用紙搬送路に対して往復動させなければならない。このため、これら用紙の搬送とインクリボンの搬送とを一つのモータの駆動力により行うには、これら2つの搬送系の動作を連動させるか、一方のみ(用紙搬送のみ)を動作させるかを切り換える駆動伝達切換機構を備えなければならない。
【0004】
図5(a)は従来の駆動伝達切換機構の概略構成を示す正面図であり、図5(b)はその側面図である。なお、インクリボン搬送系のギアについては図示を省略する。
【0005】
用紙搬送系の搬送ローラを駆動する主動ギア1は、アイドラギア2とそれぞれの円周面に形成された歯により噛合している。そして、これら主動ギア1とアイドラギア2とは、支持部材3により回転可能に固定されている。具体的には、主動ギア1が主動軸31により支持基板30に回転可能に固定され、アイドラギア2が副動軸32により支持基板30に回転可能に固定されている。アイドラギア2と支持基板30との間には、スプリング4が配置されている。
【0006】
このような構造では、主動ギア1が回転すると、この回転がアイドラギア2に伝達される。この際、スプリング4がアイドラギア2と支持基板30との間に配置されていることで、アイドラギア2が回転するとスプリング4による摩擦力により支持基板30とアイドラギア2とが主動ギア1に対して回動する。この動作を用い、リボン搬送系のギアを主動ギア1から所定方向に所定距離の位置(アイドラギア2が噛合可能な位置)に配置することで、主動ギア1の回転に応じて、アイドラギア2がリボン搬送系のギアに噛合する位置に移動したり、逆にアイドラギア2がリボン搬送系のギアに噛合しない位置に移動する。これを利用し、用紙搬送系とリボン搬送系との動作を1つの駆動力発生源(モータ)で制御する。
【特許文献1】特開平9−136466号公報
【特許文献2】特開2001−208162公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、図5に示すような従来の駆動伝達切換機構では、アイドラギア2を主動ギア1に対して回動させるために、アイドラギア2と支持基板30との間にスプリング4を配置している。そして、スプリング4により所定の摩擦力を発生させるために、スプリング4を軸方向に所定圧で押し込む構造が取られている。この場合、アイドラギア2を支持基板30方向に押しながら固定するため、副動軸32をピン等で形成して、このピンを支持基板30に設けられた凹部に圧入して固定している。この構造では、ピンを用いるために部品点数が多くなってしまうとともに、これに伴い製造工数が増加してコストアップとなってしまう。
【0008】
したがって、この発明の目的は、部品点数を少なくし、容易に製造することができる駆動伝達切換機構と、これを用いたカラープリンタを構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、駆動源からの駆動力が伝達される第1ギア(a)と、該第1ギアから所定距離離れた位置に配置された第2ギア(b)と、第1ギアと噛合するアイドリングギア(c)と、該アイドリングギアと第1ギアとを支持する支持体(d)と、該支持体と前記アイドリングギアと間の設置され、前記第1ギアの回転により前記アイドリングギアの移動用トルクを発生するスプリングと(e)を備え、第1ギアの回転によりアイドリングギアを移動させて第2ギアとの噛合を切り換える駆動伝達切換機構において、
支持体を、アイドリングギアを軸支する軸支部材と、第1ギアと前記アイドリングギアと軸間距離を規制する基材とを一体形成することにより形成し、且つ、第1ギアとスプリングとでアイドリングギアの軸方向位置を固定することを特徴としている。
【0010】
この構成では、第1ギアがアイドリングギアに噛合するとともに、第1ギアがアイドリングギアを基材方向に所定圧力で押し、且つスプリングがアイドリングギアを基材と対向する方向に所定圧力で押すことで回転可能に固定する。これにより、アイドリングギアを基材方向に押して回転可能に固定する部材が省略される。
【0011】
また、この発明の駆動伝達切換機構は、第1ギアの駆動力伝達部の基材側の面をアイドリングギアの基材と対向する側の面に当接させることを特徴としている。
【0012】
この構成では、第1ギアの駆動力伝達部、すなわち、円周面に歯が形成され、アイドリングギアの噛合する円板部の基材側面がアイドリングギアの基材に対向する側の面に当接することで、第1ギアの円板部が、アイドリングギアへの駆動力伝達部であるとともに、アイドリングギアを基材方向に所定圧力で押す部材として機能する。
【0013】
また、この発明は、印刷するカラー画像を色分解して、イエロ画像、マゼンタ画像、およびシアン画像の3つの画像を生成する色分解手段と、用紙を用紙搬送路に沿って往復動させる用紙搬送手段と、色分解手段により生成された前記イエロ画像、マゼンタ画像、およびシアン画像の3色の画像に応じて、イエロ、マゼンタ、およびシアンの領域が順次現れるインクリボンを用紙の熱転写させる熱転写手段と、インクリボンを所定方向に搬送するリボン搬送手段と、用紙搬送手段に伝達される駆動力をリボン搬送手段に搬送するかどうかを切り換える駆動伝達切換機構と、を備えたカラープリンタにおいて、
駆動伝達切換機構に、駆動力が伝達されて用紙搬送手段に駆動力を伝達する第1ギア(a)と、該第1ギアから所定距離離れた位置に配置され、リボン搬送手段に駆動力を伝達する第2ギア(b)と、第1ギアと噛合するとともに、該第1ギアの回転により移動することで第2ギアとの噛合を切り換えるアイドリングギア(c)と、該アイドリングギアを軸支するアイドリングギア軸支部材と、第1ギアとアイドリングギアと軸間距離を規制する基材とが一体形成されてなり、アイドリングギアと第1ギアとを支持する支持体(d)と、該支持体と前記アイドリングギアと間の設置され、第1ギアの回転によりアイドリングギアの移動用トルクを発生するスプリング(e)と、を備えるとともに、
第1ギアの基材側の面をアイドリングギアの基材と対向する側の面に当接させることを特徴としている。
【0014】
この構成では、前述の駆動伝達切換機構をカラープリンタに適用し、第1ギアを用紙搬送手段の駆動力伝達に用い、第2ギアをリボン搬送手段の駆動力伝達手段に用いる。そして、アイドリングが第1ギアにより回転および回動することで、アイドリングギアと第2ギアとの噛合が制御される。これにより、リボン搬送手段の動作を用紙搬送手段の動作に対して、同期・非同期にする制御が行われる。この結果、用紙の搬送方向に応じてリボンの搬送を行うかどうかが切り換えられる。この際、第1ギアがアイドリングギアに駆動力を伝達するとともにアイドリングギアを基材方向に所定圧力で押し込み、アイドリングギアの回転と回動とが行われる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、第1ギアでアイドリングギアの駆動力を伝達するとともに、アイドリングギアを第1ギアに対して回動可能に固定することができ、簡素な構造で、且つ製造が容易な駆動伝達切換機構を構成することができる。
【0016】
また、この発明によれば、第1ギアの駆動力伝達部でアイドリングギアを押すので、より簡素な構造の駆動伝達切換機構を構成することができる。
【0017】
また、この発明によれば、この駆動伝達切換機構を用いることで、用紙の往復搬送とインクリボンの一定方向搬送とを一つのモータで動作させることができるので、簡素な構造で、且つ製造が容易なカラープリンタを構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の第1の実施形態に係る駆動伝達切換機構について、図を参照して説明する。なお、以下の説明では、カラープリンタの用紙搬送手段およびインクリボン搬送手段に用いる駆動伝達切換機構について説明する。
【0019】
図1(a)は本実施形態に係る駆動伝達切換機構の概略構成を示す正面図であり、図1(b)はその側面図である。
【0020】
図1に示すように、駆動伝達切換機構は、本発明の搬送手段に相当する用紙搬送手段の用紙搬送用ローラ(図示せず)に取り付けられた主動ギア1と、該主動ギア1に噛合するアイドラギア2と、主動ギア1から所定距離離れた位置に配置された従動ギア5とを備える。主動ギア1とアイドラギア2とは軸間距離が一定となり、且つ、主動ギア1の軸中心を中心としてアイドラギア2を主動ギア1の円周方向に回動可能に固定する支持部材3により支持されている。支持部材3は、主動ギア1の軸中心に形成された所定径の貫通孔の挿通して主動ギア1を支持基板30に対して回転可能に軸支する主動軸31と、アイドラギア2の軸中心に形成された所定径の貫通孔に挿通してアイドラギア21を支持基板30に対して回転可能に軸支する副動軸32と、これら主動軸31と副動軸32との軸方向に垂直な面を主面とする支持基板30とからなる。そして、これら支持基板30、主動軸31、副動軸32からなる支持部材3は樹脂素材等により一体形成されている。また、この支持部材3は、図示しないプリンタの筐体および主動ギア1に対して、主動軸31の軸を中心として、回動可能に設置されている。
【0021】
従動ギア5は自身の軸中心に形成された所定径の貫通孔に挿通された従動軸51によりプリンタの筐体に対して回転可能に軸支されている。また、従動ギア5は本発明のリボン搬送手段に相当するインクリボンカートリッジの軸に設けられたギア(図示)に接続している。
【0022】
主動ギア1は、円周面に歯の形成されていない基部11と、該基部11よりも径が大きく、且つ円周面に歯が形成された駆動力伝達部12とからなり、基部11が支持基板30側となるように設置されている。
【0023】
アイドラギア2は、円周面に歯の形成されていない基部21と、該基部21よりも径が小さく、且つ円周面に歯が形成された駆動力伝達部22とからなり、基部21が支持基板30側となるように設置されている。
【0024】
そして、主動ギア1の駆動力伝達部12の円周面に形成された歯と、アイドラギア2の駆動力伝達部22の円周面に形成された歯とが噛合することで、主動ギア1に伝達された駆動力がアイドラギア2に伝達される。
【0025】
また、アイドラギア2の基部21の支持基板30に対向する側の面(駆動力伝達部22側の面)は、主動ギア1の駆動力伝達部12の支持基板30側の面(基部11側の面)に、当接している。さらに、アイドラギア2と支持基板30との間にはスプリング4が設置されており、このスプリング4には主動ギア1の駆動力伝達部12がアイドラギア2の基部21に当接することにより、所定の圧力が加わっている。
【0026】
このような構成とすることで、アイドラギア2は、主動ギア1の駆動力伝達部12とスプリング4とにより挟まれて、副動軸32の軸方向の所定位置に固定される。
【0027】
次に、このような構成の駆動伝達切換機構の動作について図2、図3を参照して説明する。
【0028】
図2、図3は、駆動伝達切換機構の動作状態を示す概略側面図であり、図2は主動ギア1が順方向(用紙を用紙供給側から用紙搬出側に搬送させる方向)に回転する場合を示し、図3は主動ギア1が逆方向(用紙を用紙搬出側から用紙供給側に搬送させる方向)に回転する場合を示す。そして、図2(a)はアイドラギア2が従動ギア5に近接していく状態を示し、図2(b)はアイドラギア2が従動ギア5に噛合している状態を示す。また、図3(a)はアイドラギア2が従動ギア5に噛合している状態を示し、図3(b)はアイドラギア2が従動ギア5から離間していく状態を示す。
【0029】
まず、主動ギア1に図示しないモータから駆動力が伝達されると、主動ギア1が順方向に回転する。主動ギア1が順方向に回転することにより、主動ギア1と同軸に取り付けられた用紙搬送ローラ(図示せず)が順方向に回転する。
【0030】
主動ギア1が順方向に回転することにより、該主動ギア1に噛合するアイドラギア2が回転して駆動力が伝達される。ここで、アイドラギア2が主動ギア1とスプリング4とに狭持されて、且つスプリング4がアイドラギア2と支持基板30とに所定の付勢力(押圧力)を作用することで、アイドラギア2の回転とともに、アイドラギア2と支持基板30とが主動ギア1の軸を回動中心として回動する。そして、アイドラギア2が従動ギア5に当接して、アイドラギア2の歯と従動ギア5の歯とが噛合すると、アイドラギア2の回動が停止して、アイドラギア2の回転が従動ギア5に伝達されて従動ギア5がリボン搬送順方向(インクリボンを供給側から巻き取り側に搬送させる方向)に回転する。
【0031】
例えば、図2に示すように、主動ギア1が支持基板30側から見て時計回り(順方向)に回転する場合に、アイドラギア2は反時計回りに回転するとともに、時計回り方向に回動する(図2(a))。そして、アイドラギア2が従動ギア5に噛合すると、従動ギア5が時計回りに回転する(図2(b))。そして、従動ギア5はインクリボンカートリッジの軸に噛合しているので、この回転により、インクリボンカートリッジの軸は反時計回りに回転する。インクリボンカートリッジの軸が反時計回りに回転することにより、インクリボンがリボン搬送順方向に搬送される。すなわち、用紙を順方向(用紙供給側から用紙搬出側)に搬送するのと同期してインクリボンをリボン搬送順方向に搬送することができる。
【0032】
一方、主動ギア1に図示しないモータから前述の状態と逆の駆動力が伝達されると、主動ギア1が前述とは逆方向に回転する。主動ギア1が逆方向に回転することにより、主動ギア1と同軸に取り付けられた用紙搬送ローラ(図示せず)が逆方向(用紙を用紙搬出側から用紙供給側に搬送させる方向)に回転する。
【0033】
主動ローラ1が逆方向に回転することにより、該主動ローラ1に噛合するアイドラギア2が回転して駆動力が伝達される。ここで、アイドラギア2が主動ローラ1とスプリング4とに狭持されて、且つスプリング4がアイドラギア2と支持基板30とに所定の付勢力(押圧力)を作用することで、アイドラギア2の回転とともに、アイドラギア2と支持基板30とが主動ローラ1の軸を回動中心として前述とは逆方向に回動する。このように、アイドラギア2が逆方向に回転することにより、アイドラギア2が従動ギア5から離間して、従動ギア5の回転が停止する。そして、アイドラギア2は、主動ギア1に対して所定位置まで回動すると停止して、この停止位置で回転を続ける。
【0034】
例えば、図3に示すように、主動ギア1が支持基板30側から見て反時計回り(逆方向)に回転する場合に、アイドラギア2は時計回りに回転するとともに、反時計回り方向に回動し始める(図3(a))。そして、アイドラギア2が回動して従動ギア5から離間すると、従動ギア5の回転が停止し、アイドラギア2は主動ギア1の軸中心を回動中心として、時計回りに回転しながらが反時計回りに回動する(図3(b))。このような構成とすることで、用紙を逆方向(用紙搬出側から用紙供給側)に搬送する場合には、インクリボンが搬送されない。
【0035】
以上のような構成とすること、用紙を順方向に搬送する場合にはインクリボンを搬送し、用紙を逆方向に搬送する場合にはインクリボンの搬送を停止することができる。すなわち、1つのモータで2つの駆動の切換制御を行う駆動伝達切換機構を構成することができる。そして、前述の構成を用いることにより、主動ギアでアイドラギアの軸方向に位置を固定することができるので、駆動伝達切換機構を簡素な構造で構成することができ、さらに製造工程が簡素化されて容易に駆動伝達切換機構を形成することができる。
【0036】
次に、第2の実施形態に係るカラープリンタについて説明する。
【0037】
図4は、本発明の実施形態であるカラープリンタの主要部の構成を示すブロック図である。
【0038】
この実施形態のカラープリンタ100は、本体の動作を制御部101と、印刷するカラー画像の入力を受け付ける画像入力部102と、画像入力部102に入力されたカラー画像を色分解して、イエロ画像(以下、Y画像と言う。)、マゼンタ画像(以下、M画像と言う。)、およびシアン画像(以下、C画像と言う。)の3つの画像を生成する入力画像処理部103と、用紙を搬送する搬送部104と、搬送部104が搬送している用紙にY画像、M画像、およびC画像を重ねて印刷する印刷部105とを備えている。ここで、印刷部105が本発明のリボン搬送手段および熱転写手段に相当する。
【0039】
画像入力部102には、ディジタルカメラで撮像した撮像画像や、スキャナ等で読み取った読取画像が入力される。入力画像処理部103は、入力された画像を色分解して、Y画像、M画像、およびC画像を生成する。印刷部105は、インクリボンを用いてカラー画像を用紙に印刷する。このインクリボンは、用紙の搬送方向の長さ毎に、イエロ、マゼンタ、シアン、およびオーバコートの各インク層を繰り返し形成したものである。印刷部105は、用紙にY画像を印刷し、次に印刷したY画像にM画像を重ねて印刷し、そして印刷したY画像およびM画像に重ねてC画像を印刷し、最後に用紙全体にオーバコートを施してカラー画像を印刷を完了する。このように、印刷部105がY画像、M画像、C画像を別々の印刷工程で印刷する構成であるので、搬送部104は用紙搬送路に用紙を往復搬送できるように構成されている。一方、印刷部105のインクリボン搬送部は、インクリボンが前述のように各インク層が順に繋がる構造であるので、インクリボンを一定方向にのみ搬送するように構成されている。そして、搬送部104と前記インクリボン搬送部とは1つのモータにより駆動されている。ここで、この駆動系に前述の駆動伝達切換機構を用いることにより、前述の用紙の搬送とインクリボンの搬送とを簡素な構造で実現することができる。すなわち、簡素な構造のカラープリンタを構成することができる。
【0040】
なお、前述の説明では、駆動伝達切換機構をカラープリンタに適用した構成について示したが、カラープリンタに限ることなく、2つの駆動系を同期、非同期させて1つの駆動源で駆動する構造の装置であれば、前述の駆動伝達切換機構を適用することができ、前述の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1の実施形態に係る駆動伝達切換機構の概略構成を示す正面図および側面図
【図2】駆動伝達切換機構の主動ギア1が時計回りに回転する場合の動作状態を示す概略側面図
【図3】駆動伝達切換機構の主動ギア1が反時計回りに回転する場合の動作状態を示す概略側面図
【図4】第2の実施形態であるカラープリンタの主要部の構成を示すブロック図
【図5】従来の駆動伝達切換機構の概略構成を示す正面図および側面図
【符号の説明】
【0042】
1−主動ギア
11−主動ギア1の基部
12−主動ギア1の駆動力伝達部
2−アイドラギア
21−アイドラギア2の基部
22−アイドラギア2の駆動力伝達部
3−支持部材
30−支持基板
31−主動軸
32−副動軸
4−スプリング
5−従動ギア
51−従動軸
100−カラープリンタ
101−制御部
102−画像入力部
103−入力画像処理部
104−搬送部
105−印刷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷するカラー画像を色分解して、イエロ画像、マゼンタ画像、およびシアン画像の3つの画像を生成する色分解手段と、
用紙を用紙搬送路に沿って往復動させる用紙搬送手段と、
前記色分解手段により生成された前記イエロ画像、マゼンタ画像、およびシアン画像の3色の画像に応じて、イエロ、マゼンタ、およびシアンの領域が順次現れるインクリボンを前記用紙の熱転写させる熱転写手段と、
前記インクリボンを所定方向に搬送するリボン搬送手段と、
前記用紙搬送手段に伝達される駆動力を前記リボン搬送手段に搬送するかどうかを切り換える駆動伝達切換機構と、を備えたカラープリンタにおいて、
前記駆動伝達切換機構は、
前記駆動力が伝達されて前記用紙搬送手段に駆動力を伝達する第1ギアと、
該第1ギアから所定距離離れた位置に配置され、前記リボン搬送手段に前記駆動力を伝達する第2ギアと、
前記第1ギアと噛合するとともに、該第1ギアの回転により移動することで前記第2ギアとの噛合を切り換えるアイドリングギアと、
該アイドリングギアを軸支するアイドリングギア軸支部材と、前記第1ギアと前記アイドリングギアと軸間距離を規制する基材とが一体形成されてなり、前記アイドリングギアと前記第1ギアとを支持する支持体と、
該支持体と前記アイドリングギアと間の設置され、前記第1ギアの回転により前記アイドリングギアの移動用トルクを発生するスプリングと、を備えるとともに、
前記第1ギアの前記基材側の面は前記アイドリングギアの前記基材と対向する側の面に当接されてなることを特徴とするカラープリンタ。
【請求項2】
駆動源からの駆動力が伝達される第1ギアと、
該第1ギアから所定距離離れた位置に配置された第2ギアと、
前記第1ギアと噛合するアイドリングギアと、
該アイドリングギアと前記第1ギアとを支持する支持体と、
該支持体と前記アイドリングギアと間の設置され、前記第1ギアの回転により前記アイドリングギアの移動用トルクを発生するスプリングとを備え、
前記第1ギアの回転により前記アイドリングギアを移動させて前記第2ギアとの噛合を切り換える駆動伝達切換機構において、
前記支持体は、前記アイドリングギアを軸支する軸支部材と、前記第1ギアと前記アイドリングギアと軸間距離を規制する基材とが一体形成されてなり、
且つ、前記第1ギアと前記スプリングとが前記アイドリングギアの軸方向位置を固定することを特徴とする駆動伝達切換機構。
【請求項3】
前記第1ギアの駆動力伝達部の前記基材側の面が前記アイドリングギアの前記基材と対向する側の面に当接されている請求項2に記載の駆動伝達切換機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−15687(P2006−15687A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197860(P2004−197860)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】