説明

駆動回路、駆動方法、電子機器、及び表示装置

【課題】ディスプレイを構成する各画素の輝度のばらつきを抑制する。
【解決手段】第1の駆動用トランジスタは、ドレインからソースに第1の電流を供給し、第2の駆動用トランジスタは、第1の駆動用トランジスタのゲート電位が映像信号の信号電位とされ、第1の駆動用トランジスタのゲートとソースの間の電圧が補正される補正期間に、第1の駆動用トランジスタのソース電位が、第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、ドレインからソースに第2の電流を供給し、発光素子は、第1の駆動用トランジスタのソースから供給される第1の電流と、第2の駆動用トランジスタのソースから供給される第2の電流とにより、補正期間で補正された電圧に応じた明るさで発光する。本開示は、例えば、有機ELパネルを構成する各画素としての駆動回路に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動回路、駆動方法、電子機器、及び表示装置に関し、特に、例えば、ディスプレイを構成する各画素の輝度のばらつきを抑制できるようにした駆動回路、駆動方法、電子機器、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光素子として有機EL(Electro Luminescent)素子を用いた平面自発光型のパネル(以下、有機ELパネルと称する)の開発が盛んになっている(例えば、特許文献1乃至5参照)。
【0003】
この有機EL素子は、有機薄膜に電界をかけると発光する現象を利用した発光素子であり、印加電圧が10V以下で駆動するため、低消費電力である。
【0004】
また、有機EL素子は、自ら光を発する自発光素子であるため、液晶ディスプレイのように、バックライト等の照明部材を必要としないため、軽量化及び薄型化が容易である。
【0005】
さらに有機EL素子は、その応答速度が数μs程度と非常に高速であるので、動画表示時の残像が発生しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−255856号公報
【特許文献2】特開2003−271095号公報
【特許文献3】特開2004−133240号公報
【特許文献4】特開2004−029791号公報
【特許文献5】特開2004−093682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の有機ELパネルでは、各画素の輝度にばらつきが生じてしまうことがあった。
【0008】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ディスプレイを構成する各画素の輝度のばらつきを抑制できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の側面の駆動回路は、ドレインからソースに第1の電流を供給する第1の駆動用トランジスタと、前記第1の駆動用トランジスタのゲート電位が映像信号の信号電位とされ、前記第1の駆動用トランジスタのゲートとソースの間の電圧が補正される補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、ドレインからソースに第2の電流を供給する第2の駆動用トランジスタと、前記第1の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第1の電流と、前記第2の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第2の電流とにより、前記補正期間で補正された前記電圧に応じた明るさで発光する発光素子とを含む駆動回路である。
【0010】
前記第1の駆動用トランジスタのゲートと、前記第2の駆動用トランジスタのゲートとが接続され、前記第1の駆動用トランジスタのソースと、前記第2の駆動用トランジスタのソースとが接続されているようにすることができる。
【0011】
前記補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、オフ状態からオン状態とされるスイッチング素子をさらに設けることができ、前記第2の駆動用トランジスタでは、前記スイッチング素子がオン状態とされたことに対応して、前記スイッチング素子を介して電源線と接続されたドレインからソースに前記第2の電流を供給することができる。
【0012】
前記第1の駆動用トランジスタと前記第2の駆動用トランジスタは、ゲート、ドレイン、及びソースの向きがそれぞれ一致するように配置されるようにすることができる。
【0013】
本開示の第1の側面の駆動方法は、第1の駆動用トランジスタと、第2の駆動用トランジスタと、発光素子とを含む駆動回路の駆動方法であって、前記第1の駆動用トランジスタによる、ドレインからソースに第1の電流を供給する第1の供給ステップと、前記第2の駆動用トランジスタによる、前記第1の駆動用トランジスタのゲート電位が映像信号の信号電位とされ、前記第1の駆動用トランジスタのゲートとソースの間の電圧が補正される補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、ドレインからソースに第2の電流を供給する第2の供給ステップと、前記発光素子による、前記第1の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第1の電流と、前記第2の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第2の電流とにより、前記補正期間で補正された前記電圧に応じた明るさで発光する発光ステップとを含む駆動方法である。
【0014】
本開示の第1の側面の電子機器は、ドレインからソースに第1の電流を供給する第1の駆動用トランジスタと、前記第1の駆動用トランジスタのゲート電位が映像信号の信号電位とされ、前記第1の駆動用トランジスタのゲートとソースの間の電圧が補正される補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、ドレインからソースに第2の電流を供給する第2の駆動用トランジスタと、前記第1の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第1の電流と、前記第2の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第2の電流とにより、前記補正期間で補正された前記電圧に応じた明るさで発光する発光素子とを含む電子機器である。
【0015】
本開示の第1の側面の表示装置は、複数の画素部を発光させて画像を表示する表示パネルを含み、前記画素部は、ドレインからソースに第1の電流を供給する第1の駆動用トランジスタと、前記第1の駆動用トランジスタのゲート電位が映像信号の信号電位とされ、前記第1の駆動用トランジスタのゲートとソースの間の電圧が補正される補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、ドレインからソースに第2の電流を供給する第2の駆動用トランジスタと、前記第1の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第1の電流と、前記第2の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第2の電流とにより、前記補正期間で補正された前記電圧に応じた明るさで発光する発光素子とを有する表示装置である。
【0016】
本開示の第1の側面によれば、前記第1の駆動用トランジスタにより、ドレインからソースに第1の電流が供給され、前記第2の駆動用トランジスタにより、前記第1の駆動用トランジスタのゲート電位が映像信号の信号電位とされ、前記第1の駆動用トランジスタのゲートとソースの間の電圧が補正される補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、ドレインからソースに第2の電流が供給され、前記発光素子が、前記第1の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第1の電流と、前記第2の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第2の電流とにより、前記補正期間で補正された前記電圧に応じた明るさで発光される。
【0017】
本開示の第2の側面の駆動回路は、第1の駆動用トランジスタと、第2の駆動用トランジスタと、スイッチングトランジスタと、サンプリングトランジスタと、保持容量と、発光素子とを含み、前記保持容量の一端には、信号線から前記サンプリングトランジスタを介して映像信号が供給され、前記映像信号が前記保持容量の一端に供給された状態で、第1の電源から前記第1の駆動用トランジスタを介して前記保持容量の他端に電流を供給して、前記保持容量の両端間の電圧を補正する補正期間と、補正された電圧に応じて前記第1の電源から前記第1の駆動用トランジスタを介して供給される第1の電流と、補正された電圧に応じて第2の電源から前記スイッチングトランジスタと前記第2の駆動用トランジスタとを介して供給される第2の電流とにより前記発光素子を発光させる発光期間とを有する駆動回路である。
【0018】
前記スイッチングトランジスタは前記補正期間においてオフ状態とされるようにすることができる。
【0019】
前記第1の電源と前記第2の電源は、同一の電源とされているようにすることができる。
【0020】
本開示の第2の側面の電子機器は、第1の駆動用トランジスタと、第2の駆動用トランジスタと、スイッチングトランジスタと、サンプリングトランジスタと、保持容量と、発光素子とを含み、前記保持容量の一端には、信号線から前記サンプリングトランジスタを介して映像信号が供給され、前記映像信号が前記保持容量の一端に供給された状態で、第1の電源から前記第1の駆動用トランジスタを介して前記保持容量の他端に電流を供給して、前記保持容量の両端間の電圧を補正する補正期間と、補正された電圧に応じて前記第1の電源から前記第1の駆動用トランジスタを介して供給される第1の電流と、補正された電圧に応じて第2の電源から前記スイッチングトランジスタと前記第2の駆動用トランジスタとを介して供給される第2の電流とにより前記発光素子を発光させる発光期間とを有する電子機器である。
【0021】
本開示の第2の側面によれば、前記保持容量の一端には、信号線から前記サンプリングトランジスタを介して映像信号が供給され、前記補正期間において、前記映像信号が前記保持容量の一端に供給された状態で、第1の電源から前記第1の駆動用トランジスタを介して前記保持容量の他端に電流が供給されて、前記保持容量の両端間の電圧が補正され、前記発光期間において、補正された電圧に応じて前記第1の電源から前記第1の駆動用トランジスタを介して供給される第1の電流と、補正された電圧に応じて第2の電源から前記スイッチングトランジスタと前記第2の駆動用トランジスタとを介して供給される第2の電流とにより前記発光素子が発光される。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、ディスプレイを構成する各画素の輝度のばらつきを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】基本駆動手法が適用された有機ELパネルの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の有機ELパネルを構成する各画素部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図3】各画素部の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】発光期間T0における画素部の一例を示す図である。
【図5】消灯期間T1における画素部の一例を示す図である。
【図6】閾値補正準備期間T2における画素部の一例を示す図である。
【図7】閾値補正期間T3における画素部の一例を示す図である。
【図8】書き込み+移動度補正期間T4における画素部の一例を示す図である。
【図9】発光期間T5における画素部の一例を示す図である。
【図10】画素部の位置に応じて、走査線電位の波形が異なる場合の一例を示す図である。
【図11】各画素部の輝度にむらが生じる場合の一例を示す図である。
【図12】本開示の概要を説明するための図である。
【図13】本開示における有機ELパネルの構成例を示すブロック図である。
【図14】本開示における各画素部の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図15】本開示におけるテレビジョン受像機の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示における実施の形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.背景の説明
2.本実施の形態(駆動用トランジスタを分割して構成するときの例)
3.変形例
【0025】
<1.背景の説明>
まず、本開示の理解を容易にし、且つ、背景を明らかにするため、基本となる駆動手法(以下、基本駆動手法と称する)が適用される有機ELパネルについて、図1乃至図9を参照して説明する。
【0026】
図1は、基本駆動手法が適用された有機ELパネル11の構成例を示している。
【0027】
この有機ELパネル11は、アクティブマトリクス型の有機ELパネルであり、画素アレイ部21、画素アレイ部21を駆動する駆動部として、データドライバ41及びゲートドライバ42が設けられている。
【0028】
画素アレイ部21には、N×M個の画素部31−(1, 1)乃至31−(N, M)が行列状に配置されている。なお、N,Mは、相互に独立した1以上の整数値である。
【0029】
データドライバ41及びゲートドライバ42は、例えば、ドライバIC(Integrated Circuit)で構成される。この例では、ゲートドライバ42は、画素アレイ部21の外部の片側に配置されている。ただし、ゲートドライバ42の配置は特に限定されず、例えば、画素アレイ部21の外部の両側に配置されてもよい。
【0030】
ゲートドライバ42は、DSドライバ51−1乃至51−N及びWSドライバ52−1乃至52−Nにより構成される。
【0031】
また、有機ELパネル11は、N本の走査線WSL−1乃至WSL−N、N本の電源線DSL−1乃至DSL−N、及びM本の映像信号線DTL−1乃至DTL−Mも有している。
【0032】
なお、走査線WSL−1乃至WSL−N、映像信号線DTL−1乃至DTL−M、電源線DSL−1乃至DSL−Nのそれぞれを特に区別する必要がない場合、以下、単に、走査線WSL、映像信号線DTL、電源線DSLのそれぞれと称する。
【0033】
また、以下、画素部31−(1, 1)乃至31−(N, M)、DSドライバ51−1乃至51−N、WSドライバ52−1乃至52−Nのそれぞれを特に区別する必要がない場合、単に、画素部31、DSドライバ51、WSドライバ52のそれぞれと称する。
【0034】
図1に示されるように、1行目の画素部31−(1,1)乃至31−(1,M)は、走査線WSL−1でWSドライバ52−1と、電源線DSL−1でDSドライバ51−1と、それぞれ接続されている。N行目の画素部31−(N,1)乃至31−(N,M)は、走査線WSL−NでWSドライバ52−Nと、電源線DSL−NでDSドライバ51−Nと、それぞれ接続されている。図示しないが、他の行の画素部31についても同様な接続がなされている。
【0035】
また、1列目の画素部31−(1,1)乃至31−(N,1)は、映像信号線DTL−1でデータドライバ41と接続されている。2列目の画素部31−(1,2)乃至31−(N,2)は、映像信号線DTL−2でデータドライバ41と接続されている。M列目の画素部31−(1,M)乃至31−(N,M)は、映像信号線DTL−Mでデータドライバ41と接続されている。図示しないが、他の列の画素部31についても同様な接続がなされている。
【0036】
ゲートドライバ42は、WSドライバ52−1乃至52−Nを順次駆動することで、走査線WSL−1乃至WSL−Nの電位を水平期間(以下、1Hと称する)で順次切換えて画素部31を行単位で線順次走査する。また、ゲートドライバ42は、DSドライバ51−1乃至51−Nを駆動することで、この線順次走査に合わせて電源線DSL−1乃至DSL−Nの電位を高電位または低電位に切換える。データドライバ41は、線順次走査に合わせて各1H内で、映像信号線DTL−1乃至DTL−Mの電位を、映像信号の信号電圧Vsigと基準電圧Vofsとに切換える。
【0037】
[画素部31の詳細な構成例]
次に、図2は、有機ELパネル11を構成する各画素部31の詳細な構成例を示している。
【0038】
図2には、有機ELパネル11に含まれるN×M個の画素部31のうちの1つが拡大されて描画されている。
【0039】
画素部31は、サンプリング用トランジスタ91、駆動用トランジスタ92、保持容量93、有機EL素子である発光素子94、及び補助容量95を含むように構成されている。なお、EL素子ELP97の等価回路は、発光素子94及び補助容量95により表すことができる。
【0040】
画素部31は、サンプリング用トランジスタ91及び駆動用トランジスタ92の2個のトランジスタから構成される。このような構成の駆動回路は、2Tr(トランジスタ)駆動回路と称される。なお、画素部31は、2Tr駆動回路に限定されない。
【0041】
サンプリング用トランジスタ91と駆動用トランジスタ92とは、それぞれ、Nチャネル型トランジスタから構成される。サンプリング用トランジスタ91のゲートは走査線WSLに接続されている。サンプリング用トランジスタ91のドレインは、映像信号線DTLに接続されている。サンプリング用トランジスタ91のソースは、駆動用トランジスタ92のゲートGに接続されている。
【0042】
駆動用トランジスタ92のドレインは、電源線DSLに接続されている。駆動用トランジスタ92のソースSは、発光素子94のアノードに接続されている。駆動用トランジスタ92のゲートGは、サンプリング用トランジスタ91のソースに接続されている。
【0043】
保持容量93は、駆動用トランジスタ92のゲートGとソースSの間に接続されている。この保持容量93の容量値を、以下、Csと記述する。発光素子94のカソードは、配線96に接続されている。従って、発光素子94のカソードの電位の値は、配線96の電位Vcathとなる。
【0044】
補助容量95は、発光素子94のアノード(駆動用トランジスタ92のソースS)と配線96の間に接続されている。補助容量95の容量値を、以下、Csubと記述する。
【0045】
発光素子94は、電流発光素子であるため、その電流値を制御することで、発光輝度の階調を可変させることができる。画素部31では、駆動用トランジスタ92のゲートGの電位(以下、ゲート電位と称する)を変化させることで、発光素子94の電流値が制御され、その結果、発光輝度の階調が可変する。
【0046】
駆動用トランジスタ92は、飽和領域で動作するように設計されている。即ち、駆動用トランジスタ92のドレインは電源線DSLに接続されており、この電源線DSLの電位を高電位にすることで、駆動用トランジスタ92は飽和領域で動作する。
【0047】
なお、飽和領域とは、Vgs−Vth<Vdsが満たされる領域をいう。Vdsは、駆動用トランジスタ92のドレインとソースSの間の電圧(以下、ドレインソース間電圧と称する)を示す。Vthは、駆動用トランジスタ92の閾値電圧を示す。Vgsは、駆動用トランジスタ92のゲートGとソースSの間の電圧(以下、ゲートソース間電圧と称する)を示す。
【0048】
飽和領域で動作中の駆動用トランジスタ92は、ドレインとソースSの間に一定の電流を流す定電流源として機能する。なお、この駆動用トランジスタ92のドレインとソースSの間に流れる電流を、以下、ドレインソース間電流と称し、その電流値をIdsと記述する。このドレインソース間電流Idsは、次式(1)で示すことができる。
Ids = (1/2)×μ×(W/L)×Cox×(Vgs - Vth)2 ・・・(1)
【0049】
ここで、式(1)において、μは移動度を、Wはゲート幅を、Lはゲート長を、Coxは単位面積あたりのゲート酸化膜容量を、それぞれ示している。
【0050】
サンプリング用トランジスタ91は、走査線WSLを介してWSドライバ52から供給される制御信号の電位に応じてオン(導通)する。サンプリング用トランジスタ91がオンされると、保持容量93は、映像信号線DTLを介してデータドライバ41から供給される映像信号の信号電位Vsigを保持する。
【0051】
駆動用トランジスタ92は、高電位となっている電源線DSLから電流の供給を受け、保持容量93に保持された信号電位Vsigに応じたドレインソース間電流を発光素子94に流す。この発光素子94に流されるドレインソース間電流を、以下、駆動電流とも適宜称する。発光素子94に一定以上の駆動電流が流れることにより、発光素子94(画素部31)が発光する。
【0052】
また、画素部31は、閾値補正機能を有している。この閾値補正機能とは、駆動用トランジスタ92の閾値電圧Vthに相当する電圧を保持容量93に保持させる機能である。この閾値補正機能により、駆動用トランジスタ92の閾値電圧Vthのばらつきの影響をキャンセルすることができる。この駆動用トランジスタ92の閾値電圧Vthのばらつきは、画素部31毎の発光輝度のばらつきの原因の一つとなっている。従って、閾値補正機能により、画素部31毎の発光輝度のばらつきをある程度抑えることが可能となる。
【0053】
画素部31は、上述した閾値補正機能に加え、さらに移動度補正機能も有している。移動度補正機能とは、信号電位Vsigを保持容量93に保持させる際に、信号電位Vsigに対して、駆動用トランジスタ92の移動度μについての補正を加える機能である。
【0054】
画素部31は、さらにブートストラップ機能も有している。ブートストラップ機能とは、駆動用トランジスタ92のソースSの電位の変動にゲートGの電位を連動させる機能である。換言すると、ブートストラップ機能は、駆動用トランジスタ92のゲートソース間電圧を一定に維持させる機能である。
【0055】
[画素部31の動作説明]
次に、図3のタイミングチャートを参照して、画素部31の動作例について説明する。
【0056】
図4乃至図9は、それぞれ、後述する発光期間T0、消光期間T1、閾値補正準備期間T2、閾値補正期間T3、書き込み+移動度補正期間T4、及び発光期間T5における駆動用トランジスタ92の様子の一例を示している。
【0057】
図3には、図中横方向の時間軸に対する、映像信号線DTLの電位(以下、映像信号線電位DTともいう)、電源線DSLの電位(以下、電源線電位DSともいう)、走査線WSLの電位(以下、走査線電位WSともいう)、駆動用トランジスタ92のゲート電位Vg、及び駆動用トランジスタ92のソース電位Vsの変化の一例が示されている。
【0058】
図3において、時刻t1までの期間は、発光素子94が発光される発光期間T0である。この発光期間T0では、図4に示されるように、電源線DSLの電源線電位DSが高電位VCC_Hとされ、サンプリング用トランジスタ91がオフとされる。
【0059】
また、発光期間T0において、駆動用トランジスタ92は飽和領域で動作するように設定されているため、EL素子ELP97に流れる電流Ids'は、式(1)により算出される値となる。
【0060】
図3において、時刻t1から時刻t3までの期間は、発光素子94が消光される消光期間T1である。時刻t1において、データドライバ41は、映像信号線電位DTを基準電位Vofsから信号電位Vsigに切換える。また、時刻t1において、DSドライバ51は、電源線電位DSを高電位VCC_Hから低電位VCC_Lに切換えるようにして、画素部31を図5に示されるような状態にする。
【0061】
これにより、時刻t1から時刻t2までの期間に、ゲート電位Vgが低下し、保持容量93を介したカップリングにより、ソース電位Vsも低下する。ソース電位Vsは、図3に示されるように、低電位VCC_Lまで低下する。
【0062】
このとき、ソース電位Vs(=VCC_L) ≦ Vthel + Vcathとなり、駆動用トランジスタ92がカットオフされ、発光素子94の発光が停止する。即ち、発光素子94が消光する。なお、Vthelは、発光素子94のEL閾値電圧を示す。
【0063】
また、消灯期間T1において、走査線電位WSは、低電位VWS_Lとされている。
【0064】
時刻t3から時刻t4までの期間は、閾値補正の準備が行われる閾値補正準備期間T2である。閾値補正を行うためには、駆動用トランジスタ92のゲートソース間電圧Vgsを閾値電圧Vthよりも大にする必要がある。
【0065】
従って、閾値補正準備期間T2では、駆動用トランジスタ92のゲートソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthよりも大(Vgs > Vth)となるように閾値補正の準備が行われる。
【0066】
なお、閾値補正準備期間T2は、図3に示されるように、分割された複数の期間(例えば、時刻t3から時刻t4までの期間と、時刻t5から時刻t6までの期間)としてもよいし、連続した1の期間(例えば、時刻t3から時刻t4までの期間のみ)としてもよい。
【0067】
すなわち、時刻t3から時刻t4までの間で行われる閾値補正の準備により、Vgs > Vthとされた場合には、時刻t5から時刻t6までの期間で閾値補正の準備を行う必要がなくなる。また、時刻t3から時刻t4までの間で行われる閾値補正の準備により、Vgs > Vthとされていない場合には、時刻t5から時刻t6までの期間で閾値補正の準備を行う必要がある。
【0068】
時刻t3の直前に、データドライバ41は、映像信号線電位DTを、信号電位からVsigから基準電位Vofsに切換え、時刻t3において、WSドライバ52は、走査線電位WSを、低電位VWS_Lから高電位VWS_Hに切換える。
【0069】
これにより、サンプリング用トランジスタ91は、図6に示されるように、走査線電位WSが高電位VWS_Hに切換えられた時刻t3でオンとされ、ゲート電位Vgは、より高電位の基準電位Vofsとされる。
【0070】
これにより、ゲートソース間電圧Vgsは、電圧(Vofs - VCC_L)とされ、消灯期間T1における電圧よりも基準電位Vofsだけ上昇して、Vgs > Vthとされる。
【0071】
時刻t7から時刻t8までの期間は、1回目の閾値補正が行われる閾値補正期間T3である。時刻t7は、映像信号線電位DTが基準電位Vofsに切換えられ、走査線電位WSが高電位VWS_Hに切換えられた後のタイミングを示す時刻である。
【0072】
時刻t7において、DSドライバ51は、電源線電位DSを低電位VCC_Lから高電位VCC_Hに切換える。
【0073】
時刻t7において、走査線電位WSは高電位VWS_Hとされているため、サンプリング用トランジスタ91はオンされている。また、電源線電位DSは高電位VCC_Hに切換えられているため、発光素子94のアノードが、駆動用トランジスタ92のソースとなる。
【0074】
そして、図7に示されるように、駆動用トランジスタ92のドレインからソースSに電流が流れ、ソース電位Vsが上昇する。
【0075】
このため、Vs ≦ Vthel + Vcathである限り、つまり、EL素子ELP97のリーク電流が、駆動用トランジスタ92に流れる電流よりも十分に小さい場合、駆動用トランジスタ92に流れる電流は、保持容量93と補助容量95とを充電するために使われる。
【0076】
これにより、時刻t7から時刻t8までの間、時間の経過とともに、ソース電位Vsは、図3に示されるように上昇する。
【0077】
時刻t7から時刻t8までの間、ゲート電位Vgは一定である。これにより、ゲートソース間電圧Vgsが低下し、保持容量93への閾値電圧Vthの書き込みが行われる。
【0078】
時刻t8において、WSドライバ52は、走査線電位WSを高電位VWS_Hから低電位VWS_Lに切換えて、サンプリング用トランジスタ91をオフさせる。これにより、駆動用トランジスタ92のゲートGの状態はフローティング状態となる。
【0079】
図3に示される例では、時刻t7から時刻t8における閾値補正が不十分となっている。即ち、時刻t8の時点で、Vgs >Vthとなっている。この場合、時刻t8から時刻t9までの期間において、ドレインからソースSに電流が流れ、ゲート電圧Vg及びソース電圧Vsは同時に上昇する。この期間において、ゲートソース間電圧Vgsは保持される。
【0080】
なお、Vs ≦ Vthel + Vcatである限り、EL素子ELP97には逆バイアスが掛かっているため、発光することはない。
【0081】
この例では、閾値補正は、1フレームが表示される1フレーム期間(以下、1Fと称する)内で4回行われている。ただし、1F内における閾値補正回数は、4回に限定されない。
【0082】
時刻t9から時刻t10までの期間は、2回目の閾値補正が行われる閾値補正期間T3である。時刻t9は、映像信号線電位DTが基準電位Vofsに切換えられた後のタイミングを示す時刻である。
【0083】
時刻t9において、WSドライバ52は、走査線電位WSを低電位VWS_Lから高電位VWS_Hに切換え、サンプリング用トランジスタ91をオンさせる。また、時刻t9において、映像信号線電位DTは、基準電位Vofsである。
【0084】
これにより、駆動用トランジスタ92のゲート電位Vgは基準電位Vofsとされる。また、駆動用トランジスタ92のドレインからソースSに電流が流れ、ソース電位Vsが上昇する。これにより、ゲートソース間電圧Vgsが低下し、保持容量93への書き込みが行われる。
【0085】
時刻t10は、映像信号線電位が信号電位Vsigに切換えられる前のタイミングである。この時刻t10において、WSドライバ52は、走査線電位WSを高電位VWS_Hから低電位VWS_Lに切換え、サンプリング用トランジスタ91をオフさせる。
【0086】
これにより、駆動用トランジスタ92のゲートGの状態はフローティング状態となる。この例では、2回目の閾値補正が不十分となっている。即ち、時刻t10の時点で、Vgs>Vthとなっている。この場合、時刻t10から時刻t11までの期間において、ドレインからソースSに電流が流れ、ゲート電位Vg及びソース電位Vsが上昇する。この期間において、ゲートソース間電圧Vgsは保持される。
【0087】
時刻t11から時刻t12までの期間は、3回目の閾値補正が行われる閾値補正期間T3であり、2回目の閾値補正が行われた閾値補正期間T3の場合と同様の閾値補正が行われる。
【0088】
この例では、3回目の閾値補正が不十分となっている。即ち、時刻t12の時点で、Vgs>Vthとなっている。この場合、時刻t12から時刻t13までの期間において、ドレインからソースSに電流が流れ、ゲート電位Vg及びソース電位Vsが上昇する。この期間において、ゲートソース間電圧Vgsは保持される。
【0089】
時刻t13から時刻t14までの期間は、4回目の閾値補正が行われる閾値補正期間T3である。時刻t13は、映像信号線電位が基準電位Vofsに切換えられた後のタイミングを示す時刻である。時刻t13において、WSドライバ52は、走査線電位WSを低電位VWS_Lから高電位VWS_Hに切換え、サンプリング用トランジスタ91をオンさせる。
【0090】
これにより、駆動用トランジスタ92のゲート電位Vgが基準電位Vofsとなる。また、駆動用トランジスタ92のドレインからソースSに電流が流れ、ソース電位Vsが上昇する。これにより、ゲートソース間電圧Vgsが低下し、保持容量93への書き込みが行われる。この書き込みは、駆動用トランジスタ92がカットオフするまで、即ち、Vgs=Vthが満たされるまで行われる。図3の例では、時刻t14から時刻t15の間でVgs=Vthが満たされている。
【0091】
時刻t15から時刻t16までの期間は、映像信号の書き込みと移動度の補正が行われる書き込み+移動度補正期間T4である。時刻t15は、映像信号線電位DTが信号電位Vsigに切換えられた後のタイミングを示す時刻である。
【0092】
時刻t15において、WSドライバ52は、走査線電位WSを低電位VWS_Lから高電位VWS_Hに切換え、図8に示されるように、サンプリング用トランジスタ91をオンさせる。これにより、ゲート電位Vgは、図3に示されるように、基準電位Vofsから信号電位Vsigまで上昇する。また、保持容量93の一端(駆動用トランジスタ92のゲート側と接続された一端)には、サンプリング用トランジスタ91を介して信号電位Vsigが供給(印加)される。
【0093】
そして、駆動用トランジスタ92が、ドレインからソースに電流を供給することにより、保持容量93の他端(駆動用トランジスタ92のソース側と接続された他端)には、駆動用トランジスタ92のドレインからソースを介して電流が供給される。これにより、信号電位Vsigが閾値電圧Vthに足し込まれる形で保持容量93に書き込まれると共に、移動度補正用の電圧ΔVμが差し引かれる形で保持容量93に書き込まれる。即ち、保持容量93には、Vsig+Vth−ΔVμが書き込まれることとなる。その結果、駆動用トランジスタ92のソース電位Vsは、VsOまで上昇し、ゲートソース間電圧VgsはVsig-Vs0(=Vsig+Vth−ΔVμ)に補正される。換言すれば、保持容量93の両端間の電圧(電位差)はVsig+Vth−ΔVμに補正される。
【0094】
時刻t16以降は、発光素子94が発光される発光期間T5である。時刻t16は、映像信号線電位DTが基準電位Vofsに切換えられる前のタイミングを示す時刻である。
【0095】
時刻t16において、WSドライバ52は、図9に示されるように、走査線電位WSを高電位VWS_Hから低電位VWS_Lに切換え、サンプリング用トランジスタ91をオフさせる。これにより、駆動用トランジスタ92のゲートGの状態はフローティング状態になる。すると、ブートストラップ動作が行われ、保持容量93に書き込まれた電圧(Vsig+Vth−ΔVμ)が維持されたまま、駆動用トランジスタ92のゲート電位Vg及びソース電位Vsが上昇する。
【0096】
発光期間T5における画素部31の動作はより詳細には次のようになる。即ち、駆動用トランジスタ92は、保持容量93に書き込まれた電圧(Vsig+Vth−ΔVμ)に応じた一定の駆動電流Idsを発光素子94に供給する。
【0097】
これにより、ソース電位Vs、つまり、発光素子94のアノードの電位(以下、アノード電位と称する)は、発光素子94に駆動電流Idsが流れる電圧VEL(>Vthel + Vcath)まで上昇し、発光素子94の状態は発光状態に移行する。
【0098】
ここで、保持容量93に書き込まれた電圧(Vsig+Vth−ΔVμ)とは、保持容量93の両端間の電圧であるため、ゲートソース間電圧Vgs=Vsig+Vth−ΔVμとなる。したがって、発光素子94に供給される駆動電流Idsは、式(1)より、ゲートソース間電圧Vgs=Vsig+Vth−ΔVμに応じて、(1/2)×μ×(W/L)×Cox×(Vsig−ΔVμ)2とされる。
【0099】
すなわち、書き込み+移動度補正期間T4において、保持容量93の両端間の電圧が電圧(Vsig+Vth−ΔVμ)に補正されることにより、駆動用トランジスタ92の特性(例えば、ゲート幅Wや、ゲート長L、ゲート酸化膜容量Cox)に基づく電流Idsが、ゲートソース間電圧(Vsig+Vth−ΔVμ)に応じた一定の駆動電流Idsに変更される。
【0100】
ところで、書込み+移動度補正期間T4では、図3に示したように、走査線電位WSの波形は、時刻t15において、低電位VWS_Lから高電位VWS_Lに変化し、時刻t16において、高電位VWS_Lから低電位VWS_Lに変化するものとして説明した。
【0101】
しかしながら、実際には、走査線電位WSの波形は、画素部31の位置に応じて異なるものとなる。
【0102】
次に、図10は、画素部31の位置に応じて、走査線電位WSの波形が異なる場合の一例を示している。
【0103】
図10Aには、WSドライバ52(ゲートドライバ42)の近くに設けられた画素部31における書込み+移動度補正期間T4の走査線電位WS、ゲート電位Vg、及びソース電位Vsの一例が示されている。
【0104】
図10Bには、WSドライバ52から遠くに設けられた画素部31における書込み+移動度補正期間T4の走査線電位WS、ゲート電位Vg、及びソース電位Vsの一例が示されている。
【0105】
WSドライバ52の近くに設けられた画素部31では、図10Aに示されるように、走査線電位WSの波形が急峻となる。このため、書込み+移動度補正期間T4において、ゲート電位Vgの波形は急峻となり、ソース電位Vsは、移動度補正により、大きく上昇する。
【0106】
これに対して、WSドライバ52から遠くに設けられた画素部31では、図10Bに示されるように、走査線電位WSの波形がなまってしまう。このため、書込み+移動度補正期間T4において、ゲート電位Vgの波形はなまってしまい、ソース電位Vsは、図10Aの場合と比較して、ゆっくりと上昇する。
【0107】
このため、WSドライバ52の近くに設けられた画素部31では、図10Aに示されるように、ゲートソース間電圧Vgsは小さくなるため、画素部31は低輝度となる(発光素子94は低輝度で発光する)。
【0108】
また、WSドライバ52から遠くに設けられた画素部31では、図10Bに示されるように、ゲートソース間電圧Vgsは大きくなるため、画素部31は高輝度となる(発光素子94は高輝度で発光する)。
【0109】
したがって、図11に示されるように、有機ELパネル11において、画素アレイ部21を構成する各画素部31において、輝度にむらが生じてしまう。
【0110】
<2.本実施の形態>
[本開示の概要]
次に、図12は、本開示における概要を示している。
【0111】
図12A及び図12Bには、WSドライバ52(ゲートドライバ42)の近くに設けられた画素部31における書込み+移動度補正期間T4の走査線電位WS、ゲート電位Vg、及びソース電位Vsの一例が、実線により示されている。
【0112】
すなわち、図12Aには、書き込み+移動度補正期間T4において、ゲートソース間電圧Vgsが小さなものなり、画素部31が低輝度となる場合の一例が示されている。
【0113】
また、図12Bには、書き込み+移動度補正期間T4において、ソース電位Vsの上昇が緩やかなものとなっているため、ゲートソース間電圧Vgsが大きなものなり、画素部31が高輝度となる場合の一例が示されている。
【0114】
なお、図12A及び図12Bには、対比のために、WSドライバ52の遠くに設けられた画素部31における書込み+移動度補正期間T4の走査線電位WS、ゲート電位Vg、及びソース電位Vsの一例が、点線により示されている。
【0115】
ここで、駆動用トランジスタ92のドレインからソースSに流れる電流が大きい程に、保持容量93の充電に要する充電時間tが短いものとなる。
【0116】
これは、CV=itより、t=CV/iが導出されることから明らかである。なお、Cは、保持容量93の静電容量を、Vは、保持容量93の端子間電圧を、電流iは、保持容量93に流れる電流を表す。
【0117】
また、ソース電位Vsは、充電時間tが短いほどに、図12Aに示されるように、書き込み+移動度補正期間T4における上昇の度合いが大きなものとなる。この場合、ゲートソース間電圧Vgsは小となり、画素部31は低輝度とされる。
【0118】
一方、ソース電位Vsは、充電時間tが長いほどに、図12Bに示されるように、書き込み+移動度補正期間T4における上昇の度合いが小さなものとなる。この場合、ゲートソース間電圧Vgsは大となり、画素部31は高輝度とされる。
【0119】
したがって、例えば、WSドライバ52の近くに設けられた画素部31ほど、駆動用トランジスタ92のドレインからソースSに流れる電流を少なくするようにして、充電時間tを長くする。
【0120】
これにより、書き込み+移動度補正期間T4において、ソース電位Vsの上昇の度合いが、図12Aに示されるようなものから、図12Bに示されるようなものとなる。
【0121】
このため、例えば、WSドライバ52の近くに設けられた画素部31が低輝度となる事態を抑止することができるようになるので、各画素部31の輝度が異なることにより、輝度のむらが生じる事態を抑止できるようになる。
【0122】
[有機ELパネル111の構成例]
図13は、本実施の形態である有機ELパネル111の構成例を示している。
【0123】
なお、この有機ELパネル111は、図2の有機ELパネル11と同様に構成される部分については同一の符号を付すようにしているため、それらの説明は、以下、適宜、省略する。
【0124】
すなわち、この有機ELパネル111には、ゲートドライバ42に代えて、DSドライバ51及びWSドライバ52の他、新たなDSドライバ131を有するゲートドライバ42'が設けられている。
【0125】
また、この有機ELパネル111には、画素部31に代えて、サンプリング用トランジスタ91乃至EL素子ELP97の他、新たなスイッチング用トランジスタ151及び駆動用トランジスタ152を有する画素部31'が設けられている。それ以外は、図2の有機ELパネル11と同様である。
【0126】
なお、DSドライバ51とDSドライバ131にそれぞれ接続される電源線を区別するために、以下、DSドライバ51に接続される電源線をDSL1といい、DSドライバ131に接続される電源線をDSL2という。
【0127】
DSドライバ131は、ゲートドライバ42'により駆動され、電源線DSL2の電位を高電位または低電位に切換える。
【0128】
スイッチング用トランジスタ151と駆動用トランジスタ152とは、それぞれ、Nチャネル型トランジスタから構成される。スイッチング用トランジスタ151のゲートは電源線DSL2に接続されている。スイッチング用トランジスタ151のドレインは、電源線DSL1に接続されている。スイッチング用トランジスタ151のソースは、駆動用トランジスタ152のドレインに接続されている。
【0129】
なお、図13において、駆動用トランジスタ92のドレインは、電源線DSL1に接続されている。したがって、駆動用トランジスタ92のドレイン、及びスイッチング用トランジスタ151のドレインには、同一の電源から電源線DSL1を介して電流が供給される。
【0130】
また、図13において、スイッチング用トランジスタ151のドレインは、電源線DSL1に接続されるようにしたが、電源線DSL1とは異なる他の電源線に接続されるようにしてもよい。そして、駆動用トランジスタ92のドレインに電流を供給する第1の電源とは異なる第2の電源から、他の電源線を介して、スイッチング用トランジスタ151のドレインに電流を供給するようにしてもよい。
【0131】
但し、この場合、第1の電源及び第2の電源は、それぞれ、同一のタイミングで同一の電流を供給する必要があるため、電気的に接続させるようにして、1個の電源として機能させることが望ましい。
【0132】
駆動用トランジスタ152のドレインは、スイッチング用トランジスタ151のソースに接続されている。
【0133】
また、駆動用トランジスタ152は、駆動用トランジスタ92と同一のソースS及びゲートGを有している。すなわち、駆動用トランジスタ152のソースSは、発光素子94のアノードに接続されている。駆動用トランジスタ92のゲートGは、サンプリング用トランジスタ91のソースに接続されている。
【0134】
また、駆動用トランジスタ152は、駆動用トランジスタ92と同様に、飽和領域で動作するように設計されている。そして、飽和領域で動作中の駆動用トランジスタ152は、ドレインとソースSの間に一定の電流を流す定電流源として機能する。
【0135】
なお、発光期間T5において、駆動用トランジスタ152から発光素子94に第1の駆動電流が、駆動用トランジスタ92から発光素子に第2の駆動電流が、それぞれ供給される。また、第1の駆動電流と第2の駆動電流の総和が、駆動電流Idsとなるように、駆動用トランジスタ152と駆動用トランジスタ92が構成される。
【0136】
式(1)から明らかなように、駆動電流Idsは、駆動用トランジスタの特性(例えば、ゲート幅Wや、ゲート長L、ゲート酸化膜容量Cox)に基づく値とされる。そして、例えば、駆動電流Idsは、ゲート幅Wと比例の関係にあり、ゲート長Lと反比例の関係にある。このため、例えば、図13の場合、駆動用トランジスタ92において、ゲート幅をW/2とし、ゲート長をLとして構成する。また、駆動用トランジスタ152において、ゲート幅をW/2とし、ゲート長をLとして構成する。
【0137】
これにより、駆動用トランジスタ152から発光素子94に供給される第1の駆動電流、及び駆動用トランジスタ92から発光素子94に供給される第2の駆動電流は、それぞれ、図2のように構成した場合に発光素子94に流れる駆動電流Idsの半分とされる。なお、この場合、図2における駆動用トランジスタ92は、ゲート幅をWとし、ゲート長をLとして構成されるものとする。また、式(1)において、移動度μ、ゲート酸化膜容量Cox、ゲートソース間電圧Vgs及び閾値電圧Vthは、図2における駆動用トランジスタ92と、図13における駆動用トランジスタ92及び152とで同一であるものとする。
【0138】
よって、書き込み+移動度補正期間T4において、駆動用トランジスタ92のドレインからソースSに流れる電流の量(駆動電流)が、図2に示されるように構成した場合の半分になるので、保持容量93の充電に要する充電時間tは2倍となる。
【0139】
したがって、ソース電位Vsの上昇の度合いを、例えば、図12Aに示されるようなものから、図12Bに示されるようなものとすることができる。
【0140】
[画素部31'の動作説明]
次に、図14のタイミングチャートを参照して、画素部31'の動作例について説明する。
【0141】
なお、図14では、書き込み+移動度補正期間T4の終了時刻t16まで、図3で説明したような処理が行われる。このため、図14では、書き込み+移動度補正期間T4と、その前後の期間のみを簡単に図示している。
【0142】
すなわち、DSドライバ131は、電源線DSL2の電源線電位を、書き込み+移動度補正期間T4の終了時刻t16まで、低電位VCC_Lとし、スイッチング用トランジスタ151をオフのままとする。
【0143】
これにより、スイッチング用トランジスタ151がオフである場合、つまり、書き込み+移動度補正期間T4の終了時刻t16までは、画素部31'は、画素部31と同様にして、図2(図3)を参照して説明したように動作することとなる。
【0144】
但し、図13の駆動用トランジスタ92は、図2の駆動用トランジスタ92により供給される電流の半分を供給する点が、図2の場合とは異なる。
【0145】
これにより、書き込み+移動度補正期間T4において、ソース電位Vsの上昇速度が、図2に示されるように構成した場合の1/2倍となり、画素部31の輝度を、従来の輝度よりも低くすることができる。よって、画素部31において、輝度にむらが生じることを抑制することが可能となる。
【0146】
書き込み+移動度補正期間T4の終了後、発光期間T5に遷移する。このとき、DSドライバ131は、図14に示されるように、電源線DSL2の電源線電位を、低電位VCC_Lから高電位VCC_Hに切換え、スイッチング用トランジスタ151をオンさせる。
【0147】
これにより、駆動用トランジスタ92及び駆動用トランジスタ152において、それぞれのドレインの電位は、同じ高電位VCC_Hとなる。
【0148】
また、駆動用トランジスタ92及び駆動用トランジスタ152において、ゲートどうしが接続され、ソースどうしが接続されているため、駆動用トランジスタ92と駆動用トランジスタ152とのゲート電位Vgは同じ電位となる。
【0149】
同様に、駆動用トランジスタ92と駆動用トランジスタ152とのソース電位Vsも同じ電位となる。
【0150】
これにより、発光期間T5において、駆動用トランジスタ92は、保持容量93に書き込まれた電圧(Vsig+Vth−ΔVμ)に応じた一定の駆動電流(Ids/2)を発光素子94に供給する。
【0151】
ここで、保持容量93に書き込まれた電圧(Vsig+Vth−ΔVμ)とは、保持容量93の両端間の電圧である。このため、ゲートソース間電圧Vgs=Vsig+Vth−ΔVμとなる。
【0152】
また、駆動用トランジスタ92では、ゲート幅をW/2とし、ゲート長をLとしている。したがって、駆動用トランジスタ92から発光素子94に供給される駆動電流は、式(1)より、(Ids/2)=(1/2)×μ×(W/2×1/L)×Cox×(Vsig−ΔVμ)2となる。
【0153】
すなわち、書き込み+移動度補正期間T4において、保持容量93の両端間の電圧が電圧(Vsig+Vth−ΔVμ)に補正されることにより、駆動用トランジスタ92の特性に基づく電流(の量)が、電圧(Vsig+Vth−ΔVμ)に応じた一定の駆動電流(Ids/2)に変更される。これにより、駆動用トランジスタ152の特性に基づく電流も同様にして、電圧(Vsig+Vth−ΔVμ)に応じた一定の駆動電流(Ids/2)に変更される。
【0154】
また、発光期間T5において、駆動用トランジスタ152は、駆動用トランジスタ92と同様にして、保持容量93に書き込まれた電圧(Vsig+Vth−ΔVμ)に応じた一定の駆動電流(Ids/2)を発光素子94に供給する。
【0155】
これにより、発光素子94には、図2に示されるように構成した場合と同様の駆動電流Ids(=(Ids/2)+(Ids/2))が供給される。
【0156】
<3.変形例>
本実施の形態では、駆動用トランジスタ92から発光素子94に対して、駆動電流(Ids/2)を供給するようにし、駆動用トランジスタ152から発光素子94に対して、駆動電流(Ids/2)を供給するようにした。
【0157】
しかしながら、駆動用トランジスタ92から発光素子94に供給される駆動電流は、駆動電流(Ids/2)に限定されず、駆動用トランジスタ92のゲート幅Wやゲート長Lを変化させることにより変更することができる。
【0158】
これにより、書き込み+移動度補正期間T4において、ソース電位を上昇させるために用いられる電流を、画素部31'の位置に応じて異なるものとすることができる。
【0159】
すなわち、例えば、書き込み+移動度補正期間T4において、画素部31'が、WSドライバ52に近い程に、より少ない電流を流すようにして、輝度を高くするようにする。また、例えば、画素部31'が、WSドライバ52から遠い程に、より多くの電流を流すようにして、輝度を低くするようにする。
【0160】
これにより、画素部31'の位置に応じて、輝度のむらが生じる事態を抑制できるようになる。
【0161】
また、画素部31'では、駆動用トランジスタ92及び駆動用トランジスタ152において、ゲート、ドレイン、ソースの向きが一致するように配置して、駆動用トランジスタ92と駆動用トランジスタ152の特性が、それぞれ同様となるようにしている。
【0162】
このため、駆動用トランジスタ92のみを用いて、閾値補正や移動度補正を行う場合でも、駆動用トランジスタ152の閾値や移動度が補正されたものと同様の効果を得ることができる。
【0163】
なお、本開示は、以下のような構成もとることができる。
(1)ドレインからソースに第1の電流を供給する第1の駆動用トランジスタと、前記第1の駆動用トランジスタのゲート電位が映像信号の信号電位とされ、前記第1の駆動用トランジスタのゲートとソースの間の電圧が補正される補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、ドレインからソースに第2の電流を供給する第2の駆動用トランジスタと、前記第1の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第1の電流と、前記第2の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第2の電流とにより、前記補正期間で補正された前記電圧に応じた明るさで発光する発光素子とを含む駆動回路。
(2)前記第1の駆動用トランジスタのゲートと、前記第2の駆動用トランジスタのゲートとが接続され、前記第1の駆動用トランジスタのソースと、前記第2の駆動用トランジスタのソースとが接続されている前記(1)に記載の駆動回路。
(3)前記補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、オフ状態からオン状態とされるスイッチング素子をさらに含み、前記第2の駆動用トランジスタは、前記スイッチング素子がオン状態とされたことに対応して、前記スイッチング素子を介して電源線と接続されたドレインからソースに前記第2の電流を供給する前記(2)に記載の駆動回路。
(4)前記第1の駆動用トランジスタと前記第2の駆動用トランジスタは、ゲート、ドレイン、及びソースの向きがそれぞれ一致するように配置される前記(1)乃至(3)に記載の駆動回路。
(5)第1の駆動用トランジスタと、第2の駆動用トランジスタと、発光素子とを含む駆動回路の駆動方法において、前記第1の駆動用トランジスタによる、ドレインからソースに第1の電流を供給する第1の供給ステップと、前記第2の駆動用トランジスタによる、前記第1の駆動用トランジスタのゲート電位が映像信号の信号電位とされ、前記第1の駆動用トランジスタのゲートとソースの間の電圧が補正される補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、ドレインからソースに第2の電流を供給する第2の供給ステップと、前記発光素子による、前記第1の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第1の電流と、前記第2の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第2の電流とにより、前記補正期間で補正された前記電圧に応じた明るさで発光する発光ステップとを含む駆動方法。
(6)ドレインからソースに第1の電流を供給する第1の駆動用トランジスタと、前記第1の駆動用トランジスタのゲート電位が映像信号の信号電位とされ、前記第1の駆動用トランジスタのゲートとソースの間の電圧が補正される補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、ドレインからソースに第2の電流を供給する第2の駆動用トランジスタと、前記第1の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第1の電流と、前記第2の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第2の電流とにより、前記補正期間で補正された前記電圧に応じた明るさで発光する発光素子とを含む電子機器。
(7)複数の画素部を発光させて画像を表示する表示パネルを含み、前記画素部は、ドレインからソースに第1の電流を供給する第1の駆動用トランジスタと、前記第1の駆動用トランジスタのゲート電位が映像信号の信号電位とされ、前記第1の駆動用トランジスタのゲートとソースの間の電圧が補正される補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、ドレインからソースに第2の電流を供給する第2の駆動用トランジスタと、前記第1の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第1の電流と、前記第2の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第2の電流とにより、前記補正期間で補正された前記電圧に応じた明るさで発光する発光素子とを有する表示装置。
(8)第1の駆動用トランジスタと、第2の駆動用トランジスタと、スイッチングトランジスタと、サンプリングトランジスタと、保持容量と、発光素子とを含み、前記保持容量の一端には、信号線から前記サンプリングトランジスタを介して映像信号が供給され、前記映像信号が前記保持容量の一端に供給された状態で、第1の電源から前記第1の駆動用トランジスタを介して前記保持容量の他端に電流を供給して、前記保持容量の両端間の電圧を補正する補正期間と、補正された電圧に応じて前記第1の電源から前記第1の駆動用トランジスタを介して供給される第1の電流と、補正された電圧に応じて第2の電源から前記スイッチングトランジスタと前記第2の駆動用トランジスタとを介して供給される第2の電流とにより前記発光素子を発光させる発光期間とを有する駆動回路。
(9)前記スイッチングトランジスタは前記補正期間においてオフ状態とされる前記(8)に記載の駆動回路。
(10)前記第1の電源と前記第2の電源は、同一の電源とされている前記(8)又は(9)に記載の駆動回路。
(11)第1の駆動用トランジスタと、第2の駆動用トランジスタと、スイッチングトランジスタと、サンプリングトランジスタと、保持容量と、発光素子とを含み、前記保持容量の一端には、信号線から前記サンプリングトランジスタを介して映像信号が供給され、前記映像信号が前記保持容量の一端に供給された状態で、第1の電源から前記第1の駆動用トランジスタを介して前記保持容量の他端に電流を供給して、前記保持容量の両端間の電圧を補正する補正期間と、補正された電圧に応じて前記第1の電源から前記第1の駆動用トランジスタを介して供給される第1の電流と、補正された電圧に応じて第2の電源から前記スイッチングトランジスタと前記第2の駆動用トランジスタとを介して供給される第2の電流とにより前記発光素子を発光させる発光期間とを有する電子機器。
【0164】
ところで、以上説明した有機ELパネル111は、パネルモジュールとも称される。このパネルモジュールに、さらに、電源回路、画像LSI(Large Scale Integration)などが付加されて、表示装置が構成される。
【0165】
有機ELパネルを用いた表示装置は、例えば、図15に示されるように、有機ELパネル171aを有するテレビジョン受像機171等の電子機器に適用することができる。また、電子機器としては、テレビジョン受像機171の他、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話、テレビジョン受像機などを採用することができる。即ち、これらの電子機器に入力された、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器のディスプレイに本開示を適用することが可能である。
【0166】
なお、本開示による実施の形態は、上述した本実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0167】
11 有機ELパネル, 21 画素アレイ部, 31,31' 画素部, 41 データドライバ, 42,42' ゲートドライバ, 51-1乃至51-N DSドライバ, 52-1乃至52-N WSドライバ, 91 サンプリング用トランジスタ, 92 駆動用トランジスタ, 93 保持容量, 94 発光素子, 95 補助容量, 96 配線, 97 EL素子ELP, 111 有機ELパネル, 131 DSドライバ, 151 スイッチング用トランジスタ, 152 駆動用トランジスタ, 171 テレビジョン受像機, 171a 有機ELパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレインからソースに第1の電流を供給する第1の駆動用トランジスタと、
前記第1の駆動用トランジスタのゲート電位が映像信号の信号電位とされ、前記第1の駆動用トランジスタのゲートとソースの間の電圧が補正される補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、ドレインからソースに第2の電流を供給する第2の駆動用トランジスタと、
前記第1の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第1の電流と、前記第2の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第2の電流とにより、前記補正期間で補正された前記電圧に応じた明るさで発光する発光素子と
を含む駆動回路。
【請求項2】
前記第1の駆動用トランジスタのゲートと、前記第2の駆動用トランジスタのゲートとが接続され、
前記第1の駆動用トランジスタのソースと、前記第2の駆動用トランジスタのソースとが接続されている
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、オフ状態からオン状態とされるスイッチング素子をさらに含み、
前記第2の駆動用トランジスタは、前記スイッチング素子がオン状態とされたことに対応して、前記スイッチング素子を介して電源線と接続されたドレインからソースに前記第2の電流を供給する
請求項2に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記第1の駆動用トランジスタと前記第2の駆動用トランジスタは、ゲート、ドレイン、及びソースの向きがそれぞれ一致するように配置される
請求項3に記載の駆動回路。
【請求項5】
第1の駆動用トランジスタと、第2の駆動用トランジスタと、発光素子とを含む駆動回路の駆動方法において、
前記第1の駆動用トランジスタによる、ドレインからソースに第1の電流を供給する第1の供給ステップと、
前記第2の駆動用トランジスタによる、前記第1の駆動用トランジスタのゲート電位が映像信号の信号電位とされ、前記第1の駆動用トランジスタのゲートとソースの間の電圧が補正される補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、ドレインからソースに第2の電流を供給する第2の供給ステップと、
前記発光素子による、前記第1の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第1の電流と、前記第2の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第2の電流とにより、前記補正期間で補正された前記電圧に応じた明るさで発光する発光ステップと
を含む駆動方法。
【請求項6】
ドレインからソースに第1の電流を供給する第1の駆動用トランジスタと、
前記第1の駆動用トランジスタのゲート電位が映像信号の信号電位とされ、前記第1の駆動用トランジスタのゲートとソースの間の電圧が補正される補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、ドレインからソースに第2の電流を供給する第2の駆動用トランジスタと、
前記第1の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第1の電流と、前記第2の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第2の電流とにより、前記補正期間で補正された前記電圧に応じた明るさで発光する発光素子と
を含む電子機器。
【請求項7】
複数の画素部を発光させて画像を表示する表示パネルを含み、
前記画素部は、
ドレインからソースに第1の電流を供給する第1の駆動用トランジスタと、
前記第1の駆動用トランジスタのゲート電位が映像信号の信号電位とされ、前記第1の駆動用トランジスタのゲートとソースの間の電圧が補正される補正期間に、前記第1の駆動用トランジスタのソース電位が、前記第1の電流に応じた速さで上昇したことに対応して、ドレインからソースに第2の電流を供給する第2の駆動用トランジスタと、
前記第1の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第1の電流と、前記第2の駆動用トランジスタのソースから供給される前記第2の電流とにより、前記補正期間で補正された前記電圧に応じた明るさで発光する発光素子と
を有する
表示装置。
【請求項8】
第1の駆動用トランジスタと、
第2の駆動用トランジスタと、
スイッチングトランジスタと、
サンプリングトランジスタと、
保持容量と、
発光素子と
を含み、
前記保持容量の一端には、信号線から前記サンプリングトランジスタを介して映像信号が供給され、
前記映像信号が前記保持容量の一端に供給された状態で、第1の電源から前記第1の駆動用トランジスタを介して前記保持容量の他端に電流を供給して、前記保持容量の両端間の電圧を補正する補正期間と、
補正された電圧に応じて前記第1の電源から前記第1の駆動用トランジスタを介して供給される第1の電流と、補正された電圧に応じて第2の電源から前記スイッチングトランジスタと前記第2の駆動用トランジスタとを介して供給される第2の電流とにより前記発光素子を発光させる発光期間と
を有する駆動回路。
【請求項9】
前記スイッチングトランジスタは前記補正期間においてオフ状態とされる
請求項8に記載の駆動回路。
【請求項10】
前記第1の電源と前記第2の電源は、同一の電源とされている
請求項8に記載の駆動回路。
【請求項11】
第1の駆動用トランジスタと、
第2の駆動用トランジスタと、
スイッチングトランジスタと、
サンプリングトランジスタと、
保持容量と、
発光素子と
を含み、
前記保持容量の一端には、信号線から前記サンプリングトランジスタを介して映像信号が供給され、
前記映像信号が前記保持容量の一端に供給された状態で、第1の電源から前記第1の駆動用トランジスタを介して前記保持容量の他端に電流を供給して、前記保持容量の両端間の電圧を補正する補正期間と、
補正された電圧に応じて前記第1の電源から前記第1の駆動用トランジスタを介して供給される第1の電流と、補正された電圧に応じて第2の電源から前記スイッチングトランジスタと前記第2の駆動用トランジスタとを介して供給される第2の電流とにより前記発光素子を発光させる発光期間と
を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−47717(P2013−47717A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185717(P2011−185717)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】