説明

駆動工具

【課題】グリップの先端部に設けられたバッテリ装着部への打撃時の振動を緩和する。
【解決手段】駆動機構12を有するボディ10と、ボディ10の一側部13に設けられるマガジン20と、ボディ10の一側部13に設けられるグリップ30と、グリップ30の先端部に設けられ、着脱可能なバッテリパック33が装着されるバッテリ装着部34と、マガジン20とグリップ30との間に、燃料カートリッジが装着される燃料供給部40と、マガジン20とグリップ30とを燃料供給部40を介して連結する架橋部51,52とを備える。架橋部52は、グリップ30の付け根側で連結され、バッテリ装着部34の横を離間部53としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打撃時に比較的大きい衝撃を発生する駆動機構を有する駆動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス燃焼式駆動工具(打込工具)、圧縮空気式駆動工具(打込工具)等のマガジンを備えた駆動工具は、ボディ内に、駆動機構を備え、マガジンより供給されるファスナ(釘、ステープル、ピン、ねじ等)を、木材、石膏ボード、鋼板、コンクリート等の対象物に打ち込む。例えば、ガス燃焼式駆動工具は、駆動機構を有するボディと、ボディ又はノ−ズ部に設けられるマガジンと、ボディに設けられるグリップと、グリップの先端部に設けられ、着脱可能なバッテリパックが装着されるバッテリ装着部とを備えている。
【0003】
このガス燃焼式駆動工具は、先ず、ボディ内の密閉された燃焼室内へ可燃性の燃料ガスを注入し、燃焼室内で燃料ガスと空気との混合ガスをファンで撹拌し、撹拌された混合ガスに点火プラグで点火し、混合ガスを燃焼室内で燃焼する。これにより、燃焼室は、高圧状態となり、打撃シリンダ内に収容されている打撃ピストンを打撃シリンダ内で衝撃的に駆動する。マガジンに装填されているファスナは、駆動された打撃ピストンによって射出口より射出され、対象物へ打ち込まれる。
【0004】
このようにボディには、駆動機構が内蔵され、更に、ファスナが装填されたマガジンや燃料ガスが充填された燃料カートリッジも取り付けられ、更に、点火プラグやファンを駆動するためのバッテリパックも装着される。したがって、ガス燃焼式駆動工具は、使用時、重い工具となる。また、対象物が薄鋼板やコンクリートといった強固な物にファスナを打ち込むため、打撃時に、大きな衝撃等の力が発生する。
【0005】
そこで、ガス燃焼式駆動工具には、マガジンとグリップとを架橋部で連結し、全体の強度補強を図るようにしたものがある。この種のガス燃焼式駆動工具では、マガジンとグリップとを架橋部で連結し、例えば、打撃時に発生する大きな衝撃等によっても、また、誤って落としてしまったときにも、マガジンやグリップが破損しないようにしている。
【0006】
また、特許文献1のガス燃焼式駆動工具のボディには、ファスナが装填されたマガジンと燃料ガスが充填された燃料カートリッジが装填される燃料供給部とグリップとがファスナの射出口側から順に設けられている。架橋部は、マガジンの先端側と燃料供給部の先端側との間、及び、燃料供給部とマガジンとの間を架橋部で架橋している。ここで、燃料供給部とマガジンとの間の架橋部は、グリップ先端部に設けられたバッテリ装着部に連結されている。
【0007】
バッテリ装着部は、グリップの先端面を開口端として構成され、内側に、バッテリパックの挿入側に設けられた端子部と接触する接点が設けられている。バッテリ装着部は、バッテリパックが装着され、ロック機構で装着状態がロックされると、端子部と接点とが安定して接触し、ボディに対して電力供給が可能な状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−297839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ガス燃焼式駆動工具において、打撃時に発生する衝撃に伴う振動は、ボディよりグリップやマガジンや架橋部を介してバッテリ装着部にまで伝達される。特許文献1のガス燃焼式駆動工具は、燃料供給部とマガジンとの間の架橋部がグリップ先端部に設けられたバッテリ装着部に連結されているので、打撃時の振動がバッテリ装着部に架橋部より直接的に伝わってしまう。バッテリ装着部に繰り返し大きな振動が伝達されると、その都度、バッテリパックの端子部やバッテリ装着部の接点との接触部分ががたつくことから、場合によっては、端子部や接点、更に、ロック機構が破損してしまうおそれがある。また、端子部や接点に接続する半田等が破損したり、バッテリパック内のセルの電気的接続が破損するおそれもある。
【0010】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、グリップの先端部に設けられたバッテリ装着部への打撃時の振動を緩和し、バッテリ装着部や装着されたバッテリパックが破損することを防止することができる駆動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る駆動工具は、上述した課題を解決するため、一端部を出力部とした駆動機構を有するボディと、上記ボディの軸線方向の一側部の上記一端部側に設けられるマガジンと、上記ボディの一側部の上記マガジンより上記一端部と反対側の他端部側に設けられるグリップと、上記グリップの先端部に設けられ、着脱可能なバッテリパックが装着されるバッテリ装着部とを備え、上記グリップのバッテリ装着部と上記マガジンとの間を離間部としている。
【0012】
具体的に、この駆動工具は、上記マガジンと上記グリップとの間に架橋部を設け、上記架橋部のグリップ側を、上記グリップの上記バッテリ装着部より付け根側で固定し、上記バッテリ装着部の上記マガジン側を上記離間部とすることができる。
【0013】
更に具体的に、ボディは、上記マガジンとグリップとの間に、燃料カートリッジが装着される燃料供給部を設け、上記架橋部が上記マガジンと上記グリップとを上記燃料供給部を介して連結するように構成できる。
【0014】
なお、上記バッテリ装着部は、上記バッテリパックの端子部が設けられた挿入側を覆う周壁を設けるようにしても良い。
【0015】
また、上記離間部は、上記グリップ先端部のバッテリ装着部と上記架橋部と上記燃料供給部の先端部とで構成される凹部としても良い。凹部は、例えば開口端側が幅狭に形成され、奥側が幅広となるように形成されている。
【0016】
また、上記離間部に弾性体からなる緩衝部を備えた構成にしても良い。
【0017】
本発明の他の例では、上記ボディは、燃料カートリッジが装着される燃料供給部を該ボディの軸線方向に沿うように設けたものであっても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、グリップのバッテリ装着部とマガジンとの間を離間部としているので、離間部で振動等が緩和され、バッテリ装着部に直接的に打撃時の振動等が伝達されることを防止することができ、バッテリ装着部が破損することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明が適用されたガス燃焼式駆動工具の側面図である。
【図2】上記ガス燃焼式駆動工具を下側から見た斜視図であり、バッテリパックが外された状態を示す。
【図3】上記ガス燃焼式駆動工具を下側から見た斜視図であり、バッテリパックが装着された状態を示す。
【図4】本発明が適用されたガス燃焼式駆動工具の変形例を示す斜視図である。
【図5】上記ガス燃焼式駆動工具の断面図である。
【図6】本発明が適用されたガス燃焼式駆動工具の変形例を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明が適用されたガス燃焼式駆動工具について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下、ガス燃焼式駆動工具について、以下の順に沿って説明する。
【0021】
1.全体構成
2.ボディ
3.マガジン
4.グリップ
5.バッテリ装着部とバッテリパック
6.燃料供給部
7.架橋部
8.動作
9.変形例1
10.その他の変形例
【0022】
[1.全体構成]
図1−図3に示すように、本発明が適用されたガス燃焼式駆動工具1は、ファスナ(釘、ステープル、ピン、ねじ等)を、木材、石膏ボード、鋼板、コンクリート等の対象物に打ち込む打込工具であって、ボディ10と、ボディ10に対してファスナを供給するマガジン20と、マガジン20に並んでボディ10に設けられるグリップ30とを備えている。マガジン20とグリップ30は、ボディ10の軸線方向(ファスナの射出方向)に並んで設けられている。
【0023】
[2.ボディ]
このボディ10は、長手方向の一端部に、ファスナを打ち出す出力部となるノーズ部11が設けられている。また、ボディ10は、内部に、ファスナを打ち出すための駆動機構12を有している。駆動機構12は、燃焼室の打撃シリンダに打撃ピストンが摺動可能に設けられている。駆動機構12は、ボディ10内の密閉された燃焼室内へ可燃性の燃料ガスを注入し、燃焼室内で燃料ガスと空気との混合ガスをファンで撹拌し、撹拌された混合ガスに点火プラグで点火し、混合ガスを燃焼室内で燃焼する。これにより、燃焼室は、高圧状態となり、打撃シリンダ内に収容されている打撃ピストンを打撃シリンダ内で衝撃的に駆動する。マガジン20に装填されているファスナは、駆動された打撃ピストンによってノーズ部11の射出口より射出され、対象物へ打ち込まれる。なお、駆動機構12は、後述のガス燃焼式駆動工具60の駆動機構75とも同様な原理で駆動するものである。
【0024】
ノーズ部11の先端部は、安全装置の一部であるコンタクト部材のコンタクトアーム14が設けられている。コンタクトアーム14は、通常突出状態にあり、対象物に押しつけられた際にボディ10の内部に引っ込み、トリガの操作を許可する。
【0025】
[3.マガジン]
ボディ10の軸線方向の一側部13には、ノーズ部11の近傍に、マガジン20が装着されている。マガジン20は、長尺な棒状部材であって、ここでは、ボディ10の軸線方向に対して略垂直となるように設けられている。マガジン20は、後方の先端部に、ファスナを差し込むためのスリットが設けられている。マガジン20は、装填されたファスナを、順次、駆動機構12の打撃ピストンにより押し出される所定位置まで供給する。
【0026】
マガジン20の先端部には、テールカバー21が取り付けられている。テールカバー21は、射出口が設けられるノーズ部11の先端部を構成するコンタクトアーム14と共に、打撃時に、対象物に突き当てられ、打撃補助部として機能する。
【0027】
なお、マガジン20としては、渦巻状連結ファスナを収容する略円筒形状のマガジンであっても良い。また、マガジン20は、先端部がノーズ部11側若しくはこれとは反対に湾曲するように、又は、傾くように設けられていても良い。
【0028】
[4.グリップ]
ボディ10の一側部13の中程、すなわちマガジン20と反対側の他端側には、マガジン20と並ぶように、グリップ30が設けられている。このグリップ30は、操作者が手で把持できる程度の太さで棒状に形成され、ここでは、ボディ10のノーズ部11とは反対側の端部側にやや傾くように形成されている。グリップ30は、ボディ10との付け根側に、把持する手の指が挿入される開口部31が設けられている。ボディ10とグリップ30の付け根とがなす開口部31のコーナ部には、トリガ32が設けられている。このガス燃焼式駆動工具1では、上述のコンタクトアーム14が対象物で押され、トリガ32が引かれたときに限って、ファスナが発射される。勿論、トリガ32を引いた状態でコンタクトアーム14が押されたときに、ファスナを発射するようにしても良く、また、トリガ32を引くだけで、ファスナを発射するようにしても良い。
【0029】
なお、グリップ30は、ボディ10の軸線方向に対して略垂直となるように設けられていても良い。
【0030】
[5.バッテリ装着部とバッテリパック]
このグリップ30の先端部には、グリップ30の延長方向に、ガス燃焼式駆動工具1に電力を供給するバッテリパック33が装着されるバッテリ装着部34が設けられている。
【0031】
ここで、バッテリ装着部34に装着されるバッテリパック33は、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池等の二次電池素子を内蔵しており、略直方体の本体部33aとバッテリ装着部34に挿入される挿入部33bとが一体的に形成されている。そして、略直方体の挿入部33bが本体部33aより小さく形成されている。
【0032】
本体部33aと挿入部33bとの間は、段差部33cとなっている。挿入部33bを構成する側面には、+端子、−端子、温度検出端子等の端子部33dが設けられている。なお、端子部33dは、ボディ10や充電器の制御回路と通信するデータ端子を設け、ボディ10や充電器との間で認証が取れたときに限って、電力供給や充電を行うことができるようにしても良い。また、バッテリパック33の制御部で算出されたバッテリの残量データを、データ端子に出力し、ボディ10に設けた表示部で、バッテリの残量表示をできるようにしても良い。
【0033】
更に、バッテリパック33の一側面には、ロック部材35が設けられている。ロック部材35は、突起状のロック部35aとロック部35aと反対側の操作部35bとを有する。ロック部材35は、バッテリパック33の一側面の凹状の取付部に出没可能に取り付けられ、バネ等の付勢部材によって、内側から外側に突出するロック方向に付勢されている。
【0034】
このようなバッテリパック33が装着されるバッテリ装着部34は、グリップ30より太く外側に膨出するように形成され、グリップ30と連続する周壁34aによって形成されている。周壁34aの開口端は、バッテリパック33の挿入口34bとなっており、周壁34aで囲まれた空間部は、挿入口34bと連続する挿入部33bの収納部34cとなっている。挿入口34b及び収納部34cは、バッテリパック33の挿入部33bの外形形状と対応した形状となっている。周壁34aは、先端部を自由端とした薄板によって形成され、グリップ30より振動に対して変位し易い構造となっている。
【0035】
周壁34aの内面には、バッテリパック33の端子部33dに対応する接点部34dが導電性の板バネ等を折曲して形成されている。また、周壁34aの内面には、バッテリパック33側のロック部材35のロック部35aが係合する例えば凹状の係合部35cが形成されている。
【0036】
バッテリパック33は、挿入部33bがバッテリ装着部34の挿入口34bより収納部34cに挿入されると、周壁34aの先端部が段差部33cに突き当てられ、ロック部材35のロック部35aが周壁34aの内側にある係合部35cに係合されることで、脱落防止がされた状態でバッテリ装着部34に装着される。この際、バッテリパック33の端子部33dは、周壁34aの内面の接点部34dに安定した状態で接触し、ボディ10に電力供給可能な状態となる。バッテリパック33がバッテリ装着部34に装着されたときには、周壁34aがバッテリパック33の挿入部33bを覆う。周壁34aは、グリップ30より振動に対して変位し易い構造となっており、グリップ30と非同期に変形するため、装着されたバッテリパック33に伝達される振動を緩和することができる。
【0037】
また、バッテリパック33は、ロック部材35の操作部35bを押すことで、ロック部35aと係合部35cとの係合状態を解除し、バッテリ装着部34より取り外すことができる。
【0038】
なお、バッテリパック33の外面及び/又は周壁34aの内面には、振動を減衰させるゴム等の弾性体を配設し、バッテリパック33に伝わる振動を緩和させるようにしても良い。また、バッテリ装着部34は、グリップ30と同じ樹脂材料で射出成形により成形しても良いが、他に、グリップ30より弾性を有する樹脂材料等で成形するようにしても良い。
【0039】
また、バッテリ装着部34の構成は、以上の例に限定されるものではない。例えば、バッテリ装着部は、上述のような周壁34aを設けるのではなく、グリップ30の先端面又はバッテリパックの装着面にスライド溝を設け、他方にスライド溝に係合するスライド係合片を設け、グリップ30の先端面にバッテリパックの装着面をスライドさせるようにしてバッテリパックを取り付けるようにしても良い。この場合、既に公知のロック機構で、バッテリパックを装着位置にロックさせる。
【0040】
[6.燃料供給部]
マガジン20とグリップ30との間には、ガス等の燃料が充填された燃料カートリッジが装着される燃料供給部40が設けられている。燃料供給部40は、略円筒状に形成され、ここでは、グリップ30と略平行となるように形成されている。燃料供給部40は、先端部が開口され、燃料カートリッジの挿入口となっている。この挿入口は、燃料供給部40の先端部に取り付けられた開閉自在のキャップ41によって閉塞される。燃料供給部40は、燃料カートリッジがキャップ41が挿入口を開いた状態で燃料カートリッジが挿入され、この後、挿入口がキャップ41によって閉塞されることで、駆動機構12にガス等の燃料が供給される。
【0041】
なお、燃料供給部40も、ボディ10の軸線方向に対して略垂直となるように設けられていても良い。
【0042】
[7.架橋部]
マガジン20と燃料供給部40とは、先端部側において、第1の架橋部51で連結され、互いを補強するようになっている。また、グリップ30と燃料供給部40とは、第2の架橋部52で連結され、互いを補強するようになっている。すなわち、マガジン20とグリップ30とは、燃料供給部40を介して第1及び第2の架橋部51,52によって連結され、相互に補強し合うようになっている。例えば、操作者が誤ってガス燃焼式駆動工具1を落としてしまったときにも、第1及び第2の架橋部51,52は、マガジン20やグリップ30が破損しないようにしている。
【0043】
[7−1.第1の架橋部]
第1の架橋部51は、基端側部51aと先端側部51bとを有している。基端側部51aは、ボディ10の近傍で、マガジン20と燃料供給部40とを連結し、先端側部51bは、マガジン20の先端側と燃料供給部40の先端側とを連結している。マガジン20と燃料供給部40と基端側部51aと先端側部51bとで囲まれる開口部51cは、燃料供給部40を、操作者が補助グリップとして使用する際、指を通す部分となる。
【0044】
[7−2.第2の架橋部]
第2の架橋部52は、燃料供給部40とグリップ30の相対する側を連結し、内側に、開口部31を形成している。第2の架橋部52のマガジン20側は、燃料供給部40の先端部を除く中程から付け根側に亘って固定されている。また、第2の架橋部52のグリップ30側は、バッテリ装着部34の膨出部分とグリップ30との段差部に固定されている。すなわち、第2の架橋部52は、燃料供給部40、グリップ30、それぞれの先端部を除く部分で、燃料供給部40とグリップ30とを連結し、バッテリ装着部34の横には、空間部を設け、燃料供給部40とバッテリ装着部34や装着されたバッテリパック33とを離間させる離間部53としている。
【0045】
離間部53は、グリップ30の先端部であるバッテリ装着部34と第2の架橋部52と燃料供給部40の先端部で構成される凹部であり、凹部の開口端側が幅狭に形成され、奥側が幅広となるように形成されている。具体的に、ここでは、バッテリ装着部34側を略平面状にし、奥側を燃料供給部40側に窪ませることによって、開口端側より幅広にしている。また、離間部53を構成する凹部の開口端(燃料供給部40の先端部)とバッテリ装着部34に装着されたバッテリパック33の先端部(本体部33aの底面)の位置は、略同じ高さ又はバッテリパック33の先端部の方が若干高くなっている。このように、離間部53は、燃料供給部40の先端部とバッテリ装着部34に装着されたバッテリパック33の先端部との間隔を幅狭にし、高さを略揃える又は段差を小さくすることで、使用時、不意に物が引っかかったりして、作業の邪魔にならないようにしている。
【0046】
なお、離間部53は、以上のような形状に限定されるものではなく、例えば凹部の相対する面が互いに平行となるように、すなわち凹部の幅が同じになるように形成しても良く、また、開口端が幅広となるように形成しても良い。また、燃料供給部40の先端部の方がバッテリパック33の先端部より若干高くなるようにしても良い。
【0047】
以上のように構成される第2の架橋部52は、グリップ30側がバッテリ装着部34の膨出部分とグリップ30との段差部に固定されている。すなわち、第2の架橋部52のグリップ30側は、バッテリ装着部34の周壁34aに固定されていない。したがって、このガス燃焼式駆動工具1では、打撃時の振動がバッテリ装着部34に直接的に伝わることを防止することができ、バッテリ装着部34に装着されたバッテリパック33を振動から保護することができる。
【0048】
なお、図6に示すように、離間部53は、ゴム、発泡体等の弾性体89を緩衝部材として取り付けることによって、バッテリ装着部34に伝わる振動を吸収するようにしても良い。この場合、例えば、弾性体89は、離間部53の凹部の開口端側の相対する燃料供給部40の壁面、バッテリ装着部34の周壁34aの少なくとも何れかに、接着剤や接着テープ等の固定材によって固定される。また、バッテリパック33の本体部33aの大きさは、バッテリ装着部34の周壁34a外形より若干小さく形成され、弾性体89とバッテリ装着部34に装着されたバッテリパック33の本体部33aの側面との間には、バッテリパック33の着脱を可能にするため間隙が形成される。弾性体89は、相対する燃料供給部40とバッテリ装着部34の壁面に挟まれるように取り付けられることで、バッテリ装着部34に伝わる振動を吸収することができる。なお、弾性体89は、振動吸収の効果をより高めるため、離間部53を構成する空間部全体に取り付けるようにしても良い。
【0049】
[8.動作]
以上のようなガス燃焼式駆動工具1は、ファスナを、薄鋼板やコンクリートといった強固な対象物に打ち込む際、ノーズ部11のコンタクトアーム14を対象物に押し付ける。次いで、トリガ32が引かれ、これがマイクロスイッチ等で検出されると、駆動機構12は、燃料供給部40の燃料カートリッジより燃料ガスを燃焼室に供給する。燃焼室では、ファンをモータ等で駆動することによって、燃料ガスと空気とを混合し、混合ガスに点火プラグで点火する。これにより、燃焼室は、高圧状態となり、打撃シリンダ内に収容されている打撃ピストンを打撃シリンダ内で衝撃的に駆動する。これにより、マガジン20より所定位置に供給されているファスナは、ノーズ部11の射出口より射出され、対象物へ打ち込まれる。
【0050】
このような打撃時には、燃焼室での爆発時の衝撃やファスナを射出する際の衝撃によって大きな振動等がボディ10で発生する。このような振動は、ボディ10と一体的なマガジン20、グリップ30及び燃料供給部40を介して、ノーズ部11から最も離れたグリップ30の先端部にあるバッテリ装着部34に装着されたバッテリパック33にまで伝達されることになる。
【0051】
ここで、このガス燃焼式駆動工具1は、第2の架橋部52のグリップ30側を、バッテリ装着部34よりグリップ30の付け根側で固定するようにし、バッテリ装着部34の燃料供給部40側に離間部53を設けるようにしている。したがって、このガス燃焼式駆動工具1では、第2の架橋部52からグリップ30の先端部にあるバッテリ装着部34に装着されたバッテリパック33に伝わる振動を緩和することができる。したがって、バッテリ装着部34の接点部34dやバッテリパック33の端子部33dが振動によって破損することを防止することができる。また、バッテリパック33内の半田付けやバッテリ装着部34内の半田付け等が振動によって破損することを防止することができる。更に、バッテリパック33内のセルの電気的接続が破損することを防止することができる。
【0052】
なお、本件特許出願人は、バッテリパック33の先端部(本体部33aの底面)に加速度センサを取り付け、バッテリパック33の本体部33aの底面に対して略垂直及び略平行な方向の振動を計測した。また、比較例として、第2の架橋部62を設けていないガス燃焼式駆動工具のバッテリパックの先端部(本体部の底面)に加速度センサを取り付け、バッテリパックの本体部の底面に対して略垂直及び略平行な方向の振動を計測した。この結果、本件特許出願人は、本発明が適用されたガス燃焼式駆動工具1では、ボディ10の軸線方向及び軸線方向に垂直な方向、すなわちバッテリパック33の本体部33aの底面に対して略垂直及び略平行な方向の振動が大幅に改善されることを確認している。
【0053】
更に、バッテリ装着部34を構成する周壁34aは、グリップ30や第2の架橋部52より振動に対して変位し易い構造となっており、グリップ30や第2の架橋部52と非同期に変形する。このため、バッテリパック33の挿入部33bを覆っている周壁34aは、装着されたバッテリパック33に伝達される振動を緩和することができる。
【0054】
[9.変形例1]
次に、図4及び図5を参照して、上記ガス燃焼式駆動工具1の変形例を説明する。このガス燃焼式駆動工具60は、ボディ61の軸線方向(ファスナの射出方向)と平行な一側部62に、ガス等の燃料が充填された燃料カートリッジが装着される燃料供給部63が設けられていることを特徴とする。すなわち、このガス燃焼式駆動工具60は、上記ガス燃焼式駆動工具1のように、燃料供給部63がグリップ30と略平行に設けられているものではない。
【0055】
具体的に、燃料供給部63は、ガス等の燃料が充填された燃料カートリッジが装着される装着空間部64を有している。装着空間部64の燃料カートリッジの挿入口65は、ボディ61のファスナの射出口とは反対側の面に設けられ、ボディ61に回動可能に取り付けられたキャップ66によって開閉される。装着空間部64には、キャップ66が開いた状態で、燃料カートリッジのノズルとは反対側の端部を挿入端として挿入される。
【0056】
ガス燃焼式駆動工具60では、ボディ61の燃料供給部63が設けられた一側部62のファスナの射出口側にマガジン67が設けられている。マガジン67は、長尺な棒状部材であって、ここでは、ノーズ部68の近傍において、ボディ61の軸線方向に対して略垂直となるように設けられている。なお、更なる詳細は、上述したマガジン20と同様なため詳細は省略する。
【0057】
ボディ61の一側部62の中程、すなわちマガジン67と反対側の他端側には、マガジン67と並ぶように、グリップ69が設けられている。このグリップ69は、操作者が手で把持できる程度の太さで棒状に形成され、ここでは、ボディ61のノーズ部68とは反対側の端部側にやや傾くように形成されている。そして、マガジン67とグリップ69との間は、開口部70となっており、グリップ69の付け根には、トリガ82が設けられている。なお、更なる詳細は、上述したグリップ30と同様なため省略する。
【0058】
このグリップ69の先端部には、グリップ69の延長方向に、ガス燃焼式駆動工具60に電力を供給するバッテリパック71が装着されるバッテリ装着部72が設けられている。ここで、バッテリパック71もバッテリ装着部72も、上述したバッテリパック33とバッテリ装着部34と同様である。
【0059】
更に、マガジン67とグリップ69とは、架橋部73によって連結されている。架橋部73は、一端がマガジン67の中程に固定され、他端がバッテリ装着部72の膨出部分とグリップ69との段差部に固定されている。すなわち、架橋部73は、マガジン67、グリップ69、それぞれの先端部を除く部分で、マガジン67とグリップ30とを連結し、バッテリ装着部72の横に、離間部74を設けるようにしている。
【0060】
以上のような架橋部73は、グリップ69側がバッテリ装着部72の膨出部分とグリップ69との段差部に固定され、バッテリ装着部72の横を離間部74としている。したがって、このガス燃焼式駆動工具60では、打撃時の振動がバッテリ装着部72に直接的に伝わること防止することができ、バッテリ装着部72に装着されたバッテリパック71を振動から保護することができる。
【0061】
ボディ61内には、燃料供給部63と隣接して、ファスナを打ち出すための駆動機構75が設けられている。この駆動機構75は、上述の駆動機構12と同様であるが、ここでは更に詳細に説明する。この駆動機構75は、ボディ61内に配置された打撃シリンダ76に打撃ピストン77が摺動可能に設けられている。また、打撃シリンダ76に設けられた可動スリーブ78によって密閉形成された燃焼室79が設けられている。燃焼室79では、燃料カートリッジから噴射ノズル81を介して供給された可燃性混合ガスに点火プラグで点火して爆発的に燃焼させ、この高圧の燃焼ガスで打撃ピストン77を駆動してノーズ部68内のファスナを打撃する。
【0062】
すなわち、打撃シリンダ76内には、打撃ピストン77が摺動自在に収容され、打撃ピストン77には、マガジン67から供給されるファスナを打ち出すドライバ83が一体的に結合されている。また、ノーズ部68の中心には、ドライバ83が摺動する摺動孔84が形成されている。摺動孔84は、マガジン67の先端が臨まされ、ファスナが一本ずつ供給される。
【0063】
燃焼室79は、打撃ピストン77のフランジと打撃シリンダ76とボディ61の内部に形成されたシリンダヘッド85との間に配置されている環状の可動スリーブ78によって形成されている。燃焼室79は、可動スリーブ78をシリンダヘッド85側に移動させることにより密閉され、反対側に移動させることにより開放されて大気と連通される。
【0064】
シリンダヘッド85には、燃料カートリッジに接続される噴射ノズル81と、燃焼室79内の混合ガスに点火して燃焼させるための点火プラグとが設けられている。更に、シリンダヘッド85には、噴射ノズル81によって燃焼室79内に噴射された可燃性ガスを燃焼室79内の空気と撹拌させて燃焼室79内で所定の空燃比の混合ガスを生成する回転ファン86が設けられている。
【0065】
以上のようなガス燃焼式駆動工具60は、ファスナを対象物に打ち込むとき、ノーズ部68のコンタクト部材87を対象物に押しつけ、コンタクト部材87を移動させる。これにより、可動スリーブ78は、移動して、シリンダヘッド85に当接し、密閉した燃焼室79を形成する。燃焼室79は、密閉されると、燃料カートリッジからの可燃性ガスが噴射ノズル81から噴射され、これと共に、モータによって回転ファン86が回転され、可燃ガスと空気とが撹拌され混合される。
【0066】
コンタクト部材87が移動することにより、トリガ82は、有効となり、トリガ82が引かれると、混合ガスは、密閉された燃焼室79内で点火プラグによって点火され、燃焼し、爆発的に膨張する。この燃焼ガスの圧力によって、打撃ピストン77のフランジが押され、ドライバ83が衝撃的に駆動し、ノーズ部68内に供給されているマガジン67内の先頭のファスナを打撃し、ファスナを対象物に打ち込む。
【0067】
打ち込みが完了すると、燃焼室79は、温度が急激に下がり、負圧となり、大気圧との差圧によって、打撃ピストン77は、元の位置に戻る。そして、ノーズ部68を対象物から引き離すことで、圧縮コイルバネ88の付勢力により、可動スリーブ78とコンタクト部材87が元の突出する位置に戻り、燃焼室79が開放され、初期状態に戻る。
【0068】
以上のようなガス燃焼式駆動工具60によっても、打撃時に、燃焼室79での爆発時の衝撃やファスナを射出する際の衝撃によって大きな振動等がボディ61で発生する。このような振動は、ボディ61と一体的なマガジン20やグリップ30を介して、ノーズ部68から最も離れたグリップ69の先端部にあるバッテリ装着部72に装着されたバッテリパック71にまで伝達されることになる。
【0069】
ここで、このガス燃焼式駆動工具60は、架橋部73のグリップ69側を、バッテリ装着部72よりグリップ69の付け根側で固定するようにし、バッテリ装着部72のマガジン67側に離間部74を設けるようにしている。したがって、このガス燃焼式駆動工具60では、架橋部73からグリップ69の先端部にあるバッテリ装着部72に装着されたバッテリパック71に伝わる振動を緩和することができる。したがって、バッテリパック71の端子部やバッテリ装着部72の接点部が振動によって破損することを防止することができる。また、バッテリパック71内の半田付けやバッテリ装着部72内の半田付け等が振動によって破損することを防止することができる。更に、バッテリパック71内のセルの電気的接続が破損することを防止することができる。
【0070】
なお、このガス燃焼式駆動工具60においても、離間部74に、上記図6で弾性体89として示したような弾性体を設けるようにしても良い。この場合、弾性体は、マガジン67とバッテリ装着部72との間を跨ぐように設けられる。この弾性体にあっても、相対するマガジン67の壁面、バッテリ装着部72の壁面の何れかに、接着剤や接着テープ等の固定材によって固定される。弾性体は、相対するマガジン67の壁面とバッテリ装着部72の壁面とで挟まれるように、すなわち跨ぐように取り付けられることで、バッテリ装着部72に伝わる振動を吸収することができる。なお、離間部74に設けられる弾性体の大きさは、特に限定されるものではない。
【0071】
[10.その他の変形例]
以上、本発明が適用された駆動工具として、ガス燃焼式駆動工具1,60を例に取り説明したが、本発明は、他に、圧縮空気で駆動機構を駆動し、ファスナを打ち出す圧縮空気式駆動工具に適用しても良い。圧縮空気式駆動工具の場合、駆動機構は、エアコンプレッサから例えばグリップ先端のエアプラグを介して供給された圧縮空気をボディ内のエアチャンバに供給し、打撃ピストンを衝撃的に駆動することによって、ファスナを打ち出すように構成される。また、本発明は、ねじ打機若しくはハツリ機等の打撃工具に適用しても良い。
【符号の説明】
【0072】
1 ガス燃焼式駆動工具、10 ボディ、11 ノーズ部、12 駆動機構、13 一側部、14 コンタクトアーム、20 マガジン、21 テールカバー、30 グリップ、31 開口部、32 トリガ、33 バッテリパック、33a 本体部、33b 挿入部、33c 段差部、33d 端子部、34 バッテリ装着部、34a 周壁、34b 挿入口、34c 収納部、34d 接点部、35 ロック部材、35a ロック部、35b 操作部、35c 係合部、40 燃料供給部、41 キャップ、51 第1の架橋部、51a 基端側部、51b 先端側部、51c 開口部、52 第2の架橋部、53 離間部、60 ガス燃焼式駆動工具、61 ボディ、62 一側部、63 燃料供給部、64 装着空間部、65 挿入口、66 キャップ、67 マガジン、68 ノーズ部、69 グリップ、70 開口部、71 バッテリパック、72 バッテリ装着部、73 架橋部、74 離間部、75 駆動機構、76 打撃シリンダ、77 打撃ピストン、78 可動スリーブ、79 燃焼室、81 噴射ノズル、82 トリガ、83 ドライバ、84 摺動孔、85 シリンダヘッド、86 回転ファン、87 コンタクト部材、88 圧縮コイルバネ、89 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部を出力部とした駆動機構を有するボディと、
上記ボディの軸線方向の一側部において、上記一端部側に設けられるマガジンと、
上記ボディの一側部の上記マガジンより上記一端部と反対側の他端部側に設けられるグリップと、
上記グリップの先端部に設けられ、着脱可能なバッテリパックが装着されるバッテリ装着部とを備え、
上記グリップのバッテリ装着部と上記マガジンとの間を離間部としている駆動工具。
【請求項2】
更に、上記マガジンと上記グリップとの間に架橋部を備え、
上記架橋部のグリップ側は、上記グリップの上記バッテリ装着部より付け根側で固定され、上記バッテリ装着部の上記マガジン側を上記離間部としている請求項1記載の駆動工具。
【請求項3】
上記ボディには、上記マガジンとグリップとの間に、燃料カートリッジが装着される燃料供給部が設けられ、
上記架橋部は、上記マガジンと上記グリップとを上記燃料供給部を介して連結している請求項2記載の駆動工具。
【請求項4】
上記バッテリ装着部は、上記バッテリパックの端子部が設けられた挿入側を覆う周壁を有する請求項1−3の内何れか1項記載の駆動工具。
【請求項5】
上記離間部は、上記グリップ先端部のバッテリ装着部と上記架橋部と上記燃料供給部の先端部とで構成される凹部である請求項3又は4記載の駆動工具。
【請求項6】
上記凹部は、開口端側が幅狭に形成され、奥側が幅広となるように形成されている請求項5記載の駆動工具。
【請求項7】
上記ボディは、燃料カートリッジが装着される燃料供給部が該ボディの軸線方向に沿うように設けられている請求項2記載の駆動工具。
【請求項8】
上記離間部は、弾性体からなる緩衝部を備えた請求項1−7の内何れか1項記載の駆動工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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