説明

駆動装置およびこれを備える撮像装置

【課題】低騒音で信頼性が高く、安価な駆動装置を提供すること。
【解決手段】駆動装置に、第1のアクチュエータ1と、第1のアクチュエータ1によって駆動されて、静止部に対して移動させられる第1の被駆動体4と、第1の被駆動体4に取り付けられた第2のアクチュエータ2と、第2のアクチュエータ2によって駆動されるカメラ部7およびカメラ基板8と、一端が静止部に取り付けられる一方、他端が第1の被駆動体4に取り付けられた第1のフレキシブルプリント基板5と、一端がカメラ基板8に取り付けられる一方、他端が第1の被駆動体4に取り付けられた第2のフレキシブルプリント基板6とを搭載する。第1のフレキシブルプリント基板5を、2層の導体を積層する構造とする一方、第2のフレキシブルプリント基板6を、単層の導体構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被駆動体を駆動する駆動装置およびこれを備える撮像装置に関する。本発明は、例えば、セキュリティ用途の撮像装置等に好適に使用できる駆動装置およびセキュリティ用途の撮像装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、計器等に使用できる可撓性プリント配線板としては、特開平7−263820号公報(特許文献1)に記載されているものがある。この可撓性プリント配線板は、合成樹脂製のベース層上に導電パターンが形成され、そのベース層上に導電パターンを覆う合成樹脂の絶縁層が付着されて構成されている。
【0003】
また、この可撓性プリント配線板は、渦巻形状に成形され、無拘束状態においてその渦巻形状を保持するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−263820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、上記従来の可動性プリント配線板を、駆動装置に利用できるのではないかと考え、次の参考例の駆動装置を考えついた。
【0006】
図9は、その参考例の駆動装置(この参考例の駆動装置は、従来技術でない。この参考例の駆動装置は、本願の出願時において、公知でない。)の構成を示す図である。
【0007】
この駆動装置は、アクチュエータを用いて被駆動体を直交する2軸方向に回転駆動する。この駆動装置は、例えば、カメラの撮影範囲を拡大させて、周囲の状況を撮影する、セキュリテイカメラ等で使用する。
【0008】
図9に示すように、この駆動装置は、筐体330と、その筐体330に固定されているフレーム331と、そのフレーム331に対して固定された第1のアクチュエータ332と、その第1のアクチュエータ332の減速機構333と、その減速機構333の回転軸334とを備える。
【0009】
また、この駆動装置は、上記減速機構333の回転軸334に連結された第1の被駆動体335と、その第1の被駆動体335に固定された第2のアクチュエータ336と、その第2のアクチュエータ336の減速機構337と、その減速機構337の回転軸338と、その回転軸338に取り付けられたカメラ部339とを備える。
【0010】
上記第1のアクチュエータ332は、第1の被駆動体335をA方向に回転駆動可能に支持する。上記第2のアクチュエータ336は、カメラ部339を、B方向に回転駆動可能に支持する。上記第1のアクチュエータ332の回転軸334と、第2のアクチュエータ336の回転軸338とは、直交している。そのため、上記第1のアクチュエータ332と、第2のアクチュエータ336をそれぞれ駆動することで、カメラ部の撮影範囲を変化させることができて、周辺の状況を撮影することができる。
【0011】
上記減速機構333,337は、ギアやベルト等で構成される。上記減速機構333は、第1のアクチュエータ332に設けられ、減速機構337は、第2のアクチュエータ336に設けられる。上記減速機構333,337は、アクチュエータ332,336の推力を大きくしている。
【0012】
上記カメラ部339には、映像信号を伝送するために利用するフレキシブルプリント基板(図示せず)が取り付けられている。また、第2のアクチュエータ336にも、駆動電流を供給するための電気ケーブル(図示せず)、もしくは、フレキシブルプリント基板(図示せず)が接続されている。ここで、それら基板や電気ケーブルは、第1のアクチュエータ332および第2のアクチュエータ336がそれぞれ、第1の被駆動体335およびカメラ部339を回転駆動する際に負荷となる。この参考例の駆動装置では、基板として、渦巻き状の可撓性プリント配線板を採用することにより、第1の被駆動体335およびカメラ部339を回転駆動する際の負荷を軽減するようにしている。
【0013】
しかしながら、参考例の駆動装置では、製造時に基板を渦巻き形状に形成するための熱処理が必要になり、一般的なフレキシブルプリント基板の製造よりも工程が複雑になるという問題がある。また、駆動装置が、高価になるという問題がある。
【0014】
また、上記参考例の駆動装置では、減速機構を設けることによる騒音や、減速機構の摩耗による寿命の低下などが懸念される。これは映像だけではなく、音声も記録する場合や、長期間の高い動作信頼性を得るうえでの懸念点となる。
【0015】
ここで、この懸念点を解消すべく、減速機構をなくして、アクチュエータの出力軸を可動部に連結するダイレクトドライブ機構を用いるようにすると、駆動時の騒音を大きく低減できると共に、高い信頼性を得ることができる一方、次の問題が生じる。
【0016】
すなわち、減速機構が存在しないから、減速機構を用いたアクチュエータと比較して、単体での出力が大きいアクチュエータを用いる必要性がある。しかし、第2のアクチュエータは、第1のアクチュエータが回転駆動する際の慣性負荷になるため、その外形を大きくした場合、第1のアクチュエータに対する負荷が増大し、駆動が不可能になる。
【0017】
そのため、第2のアクチュエータの出力を確保しつつ、カメラ部に取り付けられているフレキシブルプリント基板による負荷を小さくして、第2のアクチュエータに必要な推力をなるべく小さくし、第2のアクチュエータの外形寸法や重量を小さくする必要がある。
【0018】
ここで、フレキシブルプリント基板の負荷を低減するためには、導体部分の厚みを薄くすることが有効であるが、導体厚みを薄くすると、許容電流の低下を招くから、導体部分の厚みを、むやみに薄くすることはできない。
【0019】
また、許容電流を増大させるため、導体幅を大きくすると、フレキシブルプリント基板の幅が大きくなるから、フレキシブルプリント基板の占有する体積が増加し、その結果として、駆動装置が大きくなる。
【0020】
したがって、この発明の課題は、小型で、信頼性が高く、かつ、安価な駆動装置を提供することにある。また、本発明の課題は、そのような駆動装置を備える撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するため、この発明の駆動装置は、
第1のアクチュエータと、
上記第1のアクチュエータによって駆動されて、静止部に対して移動させられる第1の被駆動体と、
上記第1の被駆動体に取り付けられた第2のアクチュエータと、
上記第2のアクチュエータによって駆動される第2の被駆動体と、
一端が、上記静止部に取り付けられる一方、他端が、上記第1の被駆動体に取り付けられた第1のフレキシブルプリント基板と、
一端が、上記第2の被駆動体に取り付けられる一方、他端が、上記第1の被駆動体に取り付けられた第2のフレキシブルプリント基板と
を備え、
上記第1のフレキシブルプリント基板は、複数の導体の層を積層した構造を有し、
上記第2のフレキシブルプリント基板は、単層の導体構造を有するか、または、上記第1のフレキシブル基板の上記複数の導体の層の数よりも少ない導体の層を積層した構造を有していることを特徴としている。
【0022】
尚、上記静止部とは、上記第1のアクチュエータの駆動中に、3次元空間での座標位置が変化さず、かつ、上記第2のアクチュエータの駆動中に、3次元空間での座標位置が、変化しない、部分や部位であり、例えば、上記静止部には、駆動装置のフレーム等が該当する。
【0023】
本発明によれば、第2のアクチュエータよりも多くの部材を駆動する第1アクチュエータの負荷となる第1のフレキシブルプリント基板が、複数の導体の層を積層した構造を有しているから、第1のフレキシブルプリント基板の占有体積を小さくすることが可能となり装置全体を、コンパクトに構成できる。また、第1のフレキシブルプリント基板をコンパクトに構成しても、各配線の断面が過度に小さくなることがないから、第1のフレキシブルプリント基板上の配線に、所定の電流を確実に流すことができる。また、第2のフレキシブルプリント基板の導体積層数を第1のフレキシブルプリント基板の導体積層数よりも小さくすることにより、第2のフレキシブルプリント基板の変形による負荷を第1のフレキシブルプリント基板のそれと比較して低減することが可能となり、第2のアクチュエータを小さくすることが可能となる。この第2のアクチュエータは第1のアクチュエータの慣性負荷になり、結果として第1のアクチュエータに加わる負荷も小さくすることができる。
【0024】
また、一実施形態では、
上記第1のフレキシブルプリント基板と、上記第2のフレキシブルプリント基板とが、一体である。
【0025】
本発明によれば、第2のフレキシブルプリント基板の導体の積層数(積層数1も含む)が、第1のフレキシブルプリント基板の導体の積層数よりも小さいフレキシブルプリント基板を一体に作製することにより、第1および第2のフレキシブルプリント基板をコネクト部で接続する必要がなくなるため上記実施形態の発明の製造コストを抑制できる。
【0026】
また、本発明の駆動装置は、
第1のアクチュエータと、
上記第1のアクチュエータによって駆動されて、静止部に対して相対運動可能な第1の被駆動体と、
上記第1の被駆動体に取り付けられた第2のアクチュエータと、
上記第2のアクチュエータによって駆動される第2の被駆動体と、
一端が、上記静止部に取り付けられる一方、他端が、上記第1のアクチュエータに取り付けられた第1のフレキシブルプリント基板と、
一端が、上記第2の被駆動体に取り付けられる一方、他端が、上記第1の被駆動体に取り付けられた第2のフレキシブルプリント基板と
を備え、
上記第1のフレキシブルプリント基板の導体の厚みが、上記第2のフレキシブルプリント基板の導体の厚みより大きいことを特徴としている。
【0027】
尚、導体が複数に積層されている場合は、フレキシブルプリント基板の導体の厚みは、各層を構成する導体の厚さの和として定義するものとする。
【0028】
電流が流れる際の抵抗は、配線の断面積に反比例する。したがって、フレキシブル基板の導体の厚さを大きくすることは、導体の積層数を大きくする効果と、同様の効果を生み出す。
【0029】
本発明によれば、第1のアクチュエータの負荷となる第1のフレキシブルプリント基板をコンパクトに構成できる。また、第1のフレキシブルプリント基板と比較して第2のフレキシブルプリント基板の変形時の負荷を小さくすることができる。
【0030】
また、一実施形態では、
上記第1の被駆動体は、上記第1のアクチュエータの出力軸に直接固定されると共に、上記第2の被駆動体は、上記第2のアクチュエータの出力軸に直接固定されている。
【0031】
尚、本明細書中に記載のアクチュエータは、その内部に、減速機構を含まないものとする。したがって、この実施形態では、減速機構が存在しない、ダイレクトドライブ機構が採用されている。
【0032】
本発明によれば、減速機構が存在しないことによって得られる利点、すなわち、動作時の駆動音を低減できると共に、減速機構内の部品の摩耗による寿命の短縮が起こることがないという作用効果を獲得できるのは勿論、従来、減速機構が省略された場合に実現不可能であった装置のコンパクト化も実現することができる。
【0033】
また、本発明の撮像装置は、
本発明の駆動装置を備え、
上記第2の被駆動部は、撮像部を有していることを特徴としている。
【0034】
本発明によれば、低騒音で信頼性が高く、かつ、製造コストを安価に抑制することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の駆動装置によれば、第1,2のフレキシブル基板をコンパクトに構成できて、第1,2のアクチュエータの駆動の際の負荷を、大きく低減できる。したがって、低騒音で信頼性が高く、かつ、製造コストが安価な駆動装置および撮像装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態の駆動装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】上記駆動装置を上面からみた概略図である。
【図3】上記駆動装置を正面からみた概略図である。
【図4】上記駆動装置を背面からみた概略図である。
【図5】駆動装置を、図3のC方向からみたときの矢視図である。
【図6】第1のフレキシブルプリント基板および第2のフレキシブルプリント基板の構成を説明する図である。
【図7】別の実施形態の図6に対応する図である。
【図8】上記実施形態の駆動装置を搭載した撮像装置の斜視図である。
【図9】参考例(従来例でない)の駆動装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態の駆動装置の斜視図である。尚、図1において、矢印Xは、駆動装置の幅方向を示し、矢印Y方向は、駆動装置の奥行き方向を示し、矢印Z方向は、駆動装置の高さ方向を示す。
【0039】
この駆動装置は、撮像装置に使用される。この駆動装置は、フレーム3と、第1のアクチュエータ1と、第2のアクチュエータ2と、第1の被駆動体4と、カメラ部7と、カメラ基板8と、第1のフレキシブルプリント基板5と、第2のフレキシブルプリント基板6と、給電部材9とを備え、カメラ部7と、カメラ基板8とは、一体化されている。上記カメラ部7と、カメラ基板8と、カメラ基板8に搭載されている電子部品とは、第2の被駆動体を構成している。
【0040】
上記カメラ部7は、撮像の対象になる物体を結像する光学系を有し、その光学系には、仕様毎に各種光学レンズが含まれる。また、上記電子部品には、カメラ部7からの画像を結像して、電気信号に変換する撮像素子が含まれる。上記第2の被駆動体は、撮像部を有し、その撮像部は、上記光学系と、上記撮像素子とを有する。上記第2のフレキシブルプリント基板6は、カメラ基板8に取り付けられている。
【0041】
図2は、上記駆動装置を上面からみた図である。
【0042】
上記第2のアクチュエータ2は、ステッピングモータで構成されている。図1に示すように、上記第2のアクチュエータ2は、カメラ部7およびカメラ基板8を矢印B方向に回転駆動させるようになっている。上記第2のアクチュエータ2は、ネジ等による締結部材で第1の被駆動体4に固定されている。
【0043】
図3は、駆動装置を正面から見た図である。
【0044】
図3に示すように、カメラ部7の端部と、第2のアクチュエータ2の出力軸12とが、減速機構なしで直接連結されて接続されている。また、上記第1の被駆動体4の一端は、第1のアクチュエータ1の出力軸11に直接連結されて接続されている。
【0045】
上記第1のアクチュエータ1は、第1の被駆動体4、第2のアクチュエータ2、カメラ部7およびカメラ基板8を、図2のA方向に回転駆動できるようになっている。
【0046】
図1、図3を参照して、上記第1のアクチュエータ1は、ステッピングモータで構成されている。上記第1のアクチュエータ1はフレーム3にネジ等の締結部材で固定されている。上記給電部材9は、第1のアクチュエータ1に通電する役割を果たしている。
【0047】
図4は、上記駆動装置を背面からみた図である。
【0048】
上記第1のフレキシブルプリント基板5の一端は、静止部である回路基板(後述の図6,図9で説明)に電気的、機械的に接続される一方、図4を参照して、第1のフレキシブルプリント基板5の他端は、第1の被駆動体4に固定されている。また、図2を参照して、上記第1のフレキシブルプリント基板5は、第1の被駆動体4がA方向に回転駆動する際に、変形するようになっている。上記第1のフレキシブルプリント基板5上の電子部品を通じ、カメラ部7からの映像を伝送するための電気信号や、第2のアクチュエータ2の駆動電流や、第2のアクチュエータ2およびカメラ部7のうちの少なくとも一つのホームポジションを検出するための制御信号等がやり取りされる。
【0049】
一方、図1および2を参照して、上記第2のフレキシブルプリント基板6の一端は、カメラ基板8に取り付けられる一方、図4を参照して、第2のフレキシブルプリント基板6の他端は、第1の被駆動体4に固定される。上記第2のフレキシブルプリント基板6は、カメラ部7およびカメラ基板8が図1のB方向に回転駆動した際に、変形するようになっている。上記第2のフレキシブルプリント基板6上の電子部品を通じ、映像信号を伝送するための電気信号等がやり取りされるようになっている。
【0050】
上記第2のフレキシブルプリント基板6に流れる電流は、第1のアクチュエータ1や第2のアクチュエータ2を流れる電流と比較して小さくなっている。本実施例では、上記第2のフレキシブルプリント基板6の各信号線の厚みは、9μmに設定され、第2のフレキシブルプリント基板6上の各信号線の幅は、0.3mmに設定されている。また、上記第2のフレキシブルプリント基板6上の信号線の本数は、約40になっている。
【0051】
上記第2のフレキシブルプリント基板6は、その第2のフレキシブルプリント基板6の厚さ方向において、単層の導体構造を有している。上記第2のフレキシブルプリント基板6のX方向の幅は、約16mmになっている。上記第2のフレキシブルプリント基板6のX方向の幅は、カメラ基板8のX方向の寸法よりも小さくなっている。このようにして、上記第2のフレキシブルプリント基板6の存在が、駆動装置のX方向の外形寸法に影響を与えることがないようにしている。また、この構成を採用することにより、上記第2のアクチュエータ2が、カメラ部7、カメラ基板8の被駆動体を回転駆動する際の第2のフレキシブルプリント基板6の負荷を小さくして、第2のアクチュエータ2に必要な推力を小さくし、第2のアクチュエータ2の外形を小さくするようにしている。
【0052】
一方、上述のように、上記第1のフレキシブルプリント基板5上の電子部品を通じ、カメラ部7からの映像を伝送するための電気信号や、第2のアクチュエータ2の駆動電流や、ホームポジションを検出するための制御信号等がやり取りされるようになっている。ここで、特に、第1のフレキシブルプリント基板5上において、第2のアクチュエータ2を駆動するための配線には電流を多く流す必要があるから、その配線の断面積を大きく取る必要がある。
【0053】
ここで、上記第1のフレキシブルプリント基板5で、第1のフレキシブルプリント基板5の厚さ方向において、単層の導体構造を採用した場合、第1のフレキシブルプリント基板5の幅が20mm以上必要となる一方、第1のフレキシブルプリント基板5の厚さ方向において、導体を2層に積層した場合、第1のフレキシブルプリント基板5の幅を約11mmとすることが可能になる。この実施形態では、第1のフレキシブルプリント基板5は、2層の導体を第1のフレキシブルプリント基板5の厚さ方向に積層する構造を有している。したがって、図1に示すように、第1のフレキシブルプリント基板5は、その幅方向がZ方向に平行になるように第1のフレーム3と第1の被駆動体4の間に配置されているから、この実施形態のように導体を2層に積層することにより、駆動装置のZ方向の高さを低くすることが可能になる。
【0054】
尚、この上記では、第1のフレキシブルプリント基板5の導体の厚みが、第2のフレキシブルプリント基板6の導体の厚みより大きくなっている。また、この実施形態では、上記第1のアクチュエータ1の推力を、第2のアクチュエータ2の推力よりも大きくしている。その理由は、上記第1のアクチュエータ1の主な駆動対象物が、第1の被駆動体4、第2のアクチュエータ2、カメラ部7、および、カメラ基板8であるのに対し、第2のアクチュエータ2の主な駆動対象物は、カメラ部7およびカメラ基板8であって、第1のアクチュエータ1が回転駆動させる対象物の質量が、第2のアクチュエータ2が回転駆動させる対象物の質量よりも大きいからである。
【0055】
また、上記第1のフレキシブルプリント基板5の方が、伝送される信号も多いから、第1のフレキシブルプリント基板5が変形する際の負荷が、大きくなりやすいからである。尚、第1のアクチュエータ1を、大きくしすぎると、駆動装置のサイズが大きくなってしまって、好ましくないことは、言うまでもない。
【0056】
図5は、駆動装置を、図3のC方向からみたときの矢視図である。尚、図5では、理解を容易にするため、フレーム3の図示を省略している。
【0057】
図5に示すように、上記第1のアクチュエータ1は、第1のアクチュエータ1の回転中心位置Dを中心とする、第2のアクチュエータ2の外接円(その半径はR1で表される)の円内に収まっている。このようにして、駆動装置のX方向、Y方向のサイズの増加を抑制している。尚、上記第2のアクチュエータ2は、第1のアクチュエータ1によりDを中心として回転駆動させられるため、R1の円内に存在している。
【0058】
図6は、第1のフレキシブルプリント基板5および第2のフレキシブルプリント基板6の構成を説明する図である。
【0059】
図6に示すように、第1のフレキシブルプリント基板5の一端は、静止部である回路基板に接続される一方、第1のフレキシブルプリント基板5の他端は、補強板13に固定されている。上記補強板13には、第1のフレキシブルプリント基板5と電気的に接続されているコネクタ15と、第2のアクチュエータ2(図1参照)に駆動電流を印加するための給電部材14とが固定されている。上記給電部材14と、第1のフレキシブルプリント基板5とは、電気的に接続されている。
【0060】
上記補強板13は、ネジ等により第1の被駆動体4に固定されている。上記補強板13は、第1の被駆動体4(図1参照)が回転駆動する際、第1の被駆動体4と一体に駆動するようになっている。
【0061】
上記第2のフレキシブルプリント基板6の一端は、カメラ基板8(図1参照)に接続される一方、第2のフレキシブルプリント基板6の他端は、補強板13に設けられたコネクタ15に接続されている。このようにして、第1のフレキシブルプリント基板5と、第2のフレキシブルプリント基板6とを、電気的に接続している。
【0062】
このように、本発明において、駆動装置の組立工程に応じて、導体の積層数が異なるフレキシブルプリント基板や、積層厚みの異なるフレキシブルプリント基板を、適宜選択して使用することにより、複数のフレキシブルプリント基板をあらかじめ取り付けておく等の作業の利便性を図ることができる。
【0063】
図7は、別の実施形態の図6に対応する図である。
【0064】
図7に示す実施形態では、コネクタが存在しなくて、第1のフレキシブルプリント基板105、第2のフレキシブルプリント基板106、および、第2のアクチュエータ用給電部材114が、補強板113上に固定されている。この時、上記第1のフレキシブルプリント基板105は、導体を2層に積層してなる構造を有する一方、第2のフレキシブルプリント基板106は、単層の導体構造を有している。また、上記第2のアクチュエータ用給電部材114は、導体を複数層積層してなる構造を有している。
【0065】
このように、一枚のフレキシブルプリント基板の中で、導体の積層数を適宜変化させることで、コネクタをなくすことができて、フレキシブルプリント基板のコストを低くすることができる。
【0066】
図8は、上記実施形態の駆動装置を搭載した撮像装置の斜視図である。
【0067】
この撮像装置は、回路基板221と、第1の筐体222と、第2の筐体223とを備え、第2の筐体223は、透明の半球形状である。上記第1の筐体222および第2の筐体223は、駆動装置を覆っている。
【0068】
上記回路基板221には、被駆動体であるカメラ部7(図1参照)およびカメラ基板8(図1参照)から送られる信号を処理するための電子部品が搭載されている。また、上記回路基板221上には、映像処理回路以外に、2つのアクチュエータの駆動回路や、外部との通信回路等も形成されている。
【0069】
尚、上記実施形態の駆動装置では、第1のフレキシブルプリント基板5が、2層の導体を積層した構造を有する一方、第2のフレキシブルプリント基板6が、複数の導体を積層しない単層の導体構造を、有していた。しかしながら、本発明では、第1のフレキシブルプリント基板が、その第1のフレキシブルプリント基板の厚さ方向において複数の導体の層を積層した構造を有し、第2のフレキシブルプリント基板が、その第2のフレキシブルプリント基板の厚さ方向において、単層の導体構造を有するか、または、上記複数よりも少ない導体の層を積層した構造を有していさえすれば、第1および2のフレキシブルプリント基板の夫々の導体の積層数は、如何なる自然数であっても良い。
【0070】
また、上記実施形態および変形の駆動装置では、第1のフレキシブルプリント基板5,105と、第2のフレキシブルプリント基板6,106とが、補強板13およびコネクタ15を用いて、または、補強板113を用いて、一体化されていた。しかしながら、本発明では、第1のフレキシブルプリント基板と、第2のフレキシブルプリント基板とは、一体化されていなくても良い。
【0071】
また、上記実施形態の駆動装置では、カメラ部7の端部と、第2のアクチュエータ2の出力軸12とが、減速機構なしで直接連結されて接続されていると共に、第1の被駆動体4の一端が、第1のアクチュエータ1の出力軸11に減速機構なしで直接連結されて接続されていた。しかしながら、この発明では、第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータのうちの少なくとも一方の出力軸は、減速機構に接続されていても良い。
【0072】
尚、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 第1のアクチュエータ
2 第2のアクチュエータ
3 フレーム
4 第1の被駆動体
5,105 第1のフレキシブルプリント基板
6,106 第2のフレキシブルプリント基板
7 カメラ部
8 カメラ基板
9 第1のアクチュエータ用の給電部材
11 第1のアクチュエータの出力軸
12 第2のアクチュエータの出力軸
13,113 補強板
14,114 第2のアクチュエータ用の給電部材
15 コネクタ
221 回路基板
222 第1の筐体
223 第2の筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のアクチュエータと、
上記第1のアクチュエータによって駆動されて、静止部に対して移動させられる第1の被駆動体と、
上記第1の被駆動体に取り付けられた第2のアクチュエータと、
上記第2のアクチュエータによって駆動される第2の被駆動体と、
一端が、上記静止部に取り付けられる一方、他端が、上記第1の被駆動体に取り付けられた第1のフレキシブルプリント基板と、
一端が、上記第2の被駆動体に取り付けられる一方、他端が、上記第1の被駆動体に取り付けられた第2のフレキシブルプリント基板と
を備え、
上記第1のフレキシブルプリント基板は、複数の導体の層を積層した構造を有し、
上記第2のフレキシブルプリント基板は、単層の導体構造を有するか、または、上記第1のフレキシブル基板の上記複数の導体の層の数よりも少ない導体の層を積層した構造を有していることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置において、
上記第1のフレキシブルプリント基板と、上記第2のフレキシブルプリント基板とが、一体であることを特徴とする駆動装置
【請求項3】
第1のアクチュエータと、
上記第1のアクチュエータによって駆動されて、静止部に対して相対運動可能な第1の被駆動体と、
上記第1の被駆動体に取り付けられた第2のアクチュエータと、
上記第2のアクチュエータによって駆動される第2の被駆動体と、
一端が、上記静止部に取り付けられる一方、他端が、上記第1のアクチュエータに取り付けられた第1のフレキシブルプリント基板と、
一端が、上記第2の被駆動体に取り付けられる一方、他端が、上記第1の被駆動体に取り付けられた第2のフレキシブルプリント基板と
を備え、
上記第1のフレキシブルプリント基板の導体の厚みが、上記第2のフレキシブルプリント基板の導体の厚みより大きいことを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の駆動装置において、
上記第1の被駆動体は、上記第1のアクチュエータの出力軸に直接固定されると共に、上記第2の被駆動体は、上記第2のアクチュエータの出力軸に直接固定されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の駆動装置を備え、
上記第2の被駆動部は、撮像部を有していることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−248282(P2011−248282A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124110(P2010−124110)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】