説明

駆動装置及び光学装置

【課題】アクチュエータを静かに動作させることができる駆動装置を提供する。
【解決手段】
第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6を繰り返し駆動状態及び駆動休止状態として第1移動部材11及び第2移動部材5を細かく高精度に移動させた場合であっても、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6がランダムな間隔で駆動休止状態に入るように、すなわち、周期T1と周期T2とが異なるものとなるように制御することによって、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6が一定の周波数で駆動状態と駆動休止状態との切り替えを行うことを防止し、振動音の発生を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被駆動部材を駆動させる駆動装置及びその駆動装置を備える光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の駆動装置として、駆動信号により伸縮する圧電素子(電気機械変換手段)を有するアクチュエータを備え、各アクチュエータに駆動信号を出力して被駆動部材を移動させる駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1記載の駆動装置は、駆動信号の波形を記憶し、駆動方向と駆動速度に基づき駆動信号の波形を変更して圧電素子へ供給することによってアクチュエータを制御するものである。
【特許文献1】特開平11−155292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、特許文献1に記載の駆動装置において、被駆動部材を高精度に移動するために、アクチュエータを繰り返し駆動状態及び駆動休止状態とすることによって、被駆動部材を細かく移動させるという制御方法を適用することが考えられる。この制御方法は、移動量確認と移動量確認との間の駆動状態と駆動休止状態が1回のみであった場合は期待値と実際の移動量との差が大きくなってしまうため、連続してアクチュエータへ入力される複数のパルス信号を所定のタイミングで間引くことにより複数回駆動休止状態を設け、これによって、移動量確認と移動量確認との間で、駆動状態と駆動休止状態とを繰り返すように制御することで期待値に対する偏差を小さくする制御方法である。しかしながら、そのような駆動装置にあっては、アクチュエータの駆動と休止の繰り返しによって振動音が発生してしまうという問題が生じるおそれがある。
【0004】
そこで本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、アクチュエータを静かに動作させることができる駆動装置及び光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明に係る駆動装置は、駆動信号により伸縮する電気機械変換手段、及び電気機械変換手段に取り付けられると共に電気機械変換手段の伸縮動作に応じて往復運動する駆動軸を有するアクチュエータと、アクチュエータが駆動状態と駆動休止状態とを繰り返すように、電気機械変換手段に対して駆動信号を供給する駆動信号制御手段と、を備え、駆動信号制御手段は、アクチュエータの第1駆動状態及び第1駆動休止状態によって構成される第1周期と第2駆動状態及び第2駆動休止状態によって構成される第2周期とが異なるように、駆動信号を供給することを特徴とする。
【0006】
本発明に係る駆動装置によれば、アクチュエータが駆動状態と駆動休止状態とを繰り返すと共に、アクチュエータの第1駆動状態及び第1駆動休止状態によって構成される第1周期と第2駆動状態及び第2駆動休止状態によって構成される第2周期とが異なるように、電気機械変換手段に対して駆動信号を供給する駆動信号制御手段を備えている。アクチュエータを繰り返し駆動状態及び駆動休止状態として被駆動部材を細かく高精度に移動させた場合であっても、アクチュエータの第1周期と第2周期とが異なるように制御することによって、アクチュエータが一定の周波数で駆動状態と駆動休止状態の切り替えが行われることを防止し、振動音の発生を抑えることができる。これによって、アクチュエータを静かに動作させることができる。
【0007】
また、本発明に係る駆動装置において、アクチュエータを複数備え、駆動信号制御手段は、駆動状態及び駆動休止状態によって構成される周期が、複数のアクチュエータごとに異なるように、駆動信号を供給することが好ましい。複数のアクチュエータを繰り返し駆動状態及び駆動休止状態として被駆動部材を細かく高精度に移動させた場合であっても、複数のアクチュエータの周期が異なるように制御することによって、各アクチュエータが同じ周波数で駆動状態と駆動休止状態の切り替えが行われることを防止し、振動音の発生を抑えることができる。これによって、アクチュエータを静かに動作させることができる。
【0008】
また、本発明に係る駆動装置は、駆動信号により伸縮する電気機械変換手段、及び電気機械変換手段に取り付けられると共に電気機械変換手段の伸縮動作に応じて往復運動する駆動軸を有するアクチュエータと、アクチュエータが駆動状態及び駆動休止状態を繰り返すように、電気機械変換手段に対して駆動信号を供給する駆動信号制御手段と、を備え、駆動信号制御手段は、アクチュエータの駆動状態及び駆動休止状態によって構成される周期に基づく周波数が、可聴周波数以外となるように、駆動信号を供給することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る駆動装置によれば、アクチュエータが駆動状態と駆動休止状態とを繰り返すと共に、アクチュエータの駆動状態及び駆動休止状態によって構成される周期に基づく周波数が、可聴周波数以外となるように、電気機械変換手段に対して駆動信号を供給する駆動信号制御手段を備えている。アクチュエータを繰り返し駆動状態及び駆動休止状態として被駆動部材を細かく高精度に移動させた場合であっても、その駆動状態及び駆動休止状態によって構成される周期に基づく周波数が、可聴周波数以外となるように制御することによって、発生する振動音をユーザが聴き取れない音とすることができる。これによって、アクチュエータを静かに動作させることができる。
【0010】
また、本発明に係る駆動装置は、駆動信号により伸縮する電気機械変換手段、及び電気機械変換手段に取り付けられると共に電気機械変換手段の伸縮動作に応じて往復運動する駆動軸をそれぞれ有する複数のアクチュエータと、複数のアクチュエータが駆動状態及び駆動休止状態をそれぞれ繰り返すように、電気機械変換手段に対してそれぞれ駆動信号を供給する駆動信号制御手段と、を備え、駆動信号制御手段は、複数のアクチュエータの何れか一つのアクチュエータの第1駆動休止状態が終了し、その後、複数のアクチュエータの何れか一つのアクチュエータが次に第2駆動休止状態に入った場合に、第1駆動休止状態の終了時点から第2駆動休止状態の終了時点までの時間によって得られる周期に基づく周波数が、可聴周波数以外となるように、駆動信号を供給することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る駆動装置によれば、複数のアクチュエータが駆動状態と駆動休止状態とを繰り返す。そして、複数のアクチュエータの何れか一つのアクチュエータの第1駆動休止状態が終了し、その後、複数のアクチュエータの何れか一つのアクチュエータが次に第2駆動休止状態に入った場合に、第1駆動休止状態の終了時点から第2駆動休止状態の終了時点までの時間によって得られる周期に基づく周波数が、可聴周波数以外となるように、電気機械変換手段に対して駆動信号を供給する駆動信号制御手段を備えている。複数のアクチュエータを繰り返し駆動状態及び駆動休止状態として被駆動部材を細かく高精度に移動させた場合であっても、第1駆動休止状態の終了時点から第2駆動休止状態の終了時点までの時間によって得られる周期に基づく周波数が、可聴周波数以外となるように制御することによって、発生する振動音をユーザが聴き取れない音とすることができる。これによって、複数のアクチュエータを静かに動作させることができる。
【0012】
また、本発明に係る駆動装置において、電気機械変換手段は、圧電素子であることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る光学装置は、上述した駆動装置を備えて構成される。この光学装置によれば、上述した駆動装置を備えていることから、アクチュエータを静かに動作させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アクチュエータを静かに動作させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
[第1の実施形態]
本実施形態に係る撮像装置(光学装置)は、例えば撮像光学系と撮像素子を光軸方向と直交する方向に相対移動させて手振れ補正を行うものである。すなわち、手振れに応じて撮像光学系を移動させ、撮像素子との相対位置を変化させることで手振れを補正する。この撮像装置は、静止画を撮影するカメラ、動画を撮影するビデオカメラ、携帯電話に搭載されるカメラなどに適用される。
【0017】
まず、本実施形態に係る撮像装置の機械的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係る撮像装置における撮像部及び手振れ補正機構の分解斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る撮像装置は、被写体の像を取得するための撮像光学系2と撮像素子14とを備えている。撮像光学系2は、撮像素子14に集光する光学系であり、撮影レンズを備えて構成されている。この撮像光学系2は、例えばホルダ2aにレンズ(図示なし)を収容して構成される。撮像光学系2は、単体のレンズで構成してもよいし、複数のレンズによるレンズ群で構成してもよい。
【0018】
撮像光学系2は、第2移動部材5に取り付けられており、撮像素子14に対し光軸Oの方向(光軸方向)と直交する方向に相対移動可能に設けられている。第2移動部材5は、撮像素子14を固定する撮像素子ホルダ13に収容され、球体4で支持されることにより、撮像素子ホルダ13及び撮像素子14に対し光軸方向と直交する方向に相対移動可能となっている。このため、撮像光学系2は、第2移動部材5と共に撮像光学系2が移動することによって、撮像素子14に対し光軸方向と直交する方向に相対移動することになる。
【0019】
その際、撮像光学系2を第2移動部材5に対し光軸方向へ移動可能に取り付けることが好ましい。例えば、第2移動部材5に光軸方向へ向けた支持軸3を取り付け、その支持軸3に沿って撮像光学系2を移動可能に取り付ける。撮像光学系2を光軸方向へ移動させる第3アクチュエータ10としては、第3圧電素子10aの伸縮により往復移動する第3駆動軸10bを備えたものが用いられる。この第3アクチュエータ10は、撮像光学系2を光軸方向へ移動させるアクチュエータとして機能するものである。第3圧電素子10aが第2移動部材5に取り付けられ、第3駆動軸10bが撮像光学系2に摩擦係合される。第3駆動軸10bの一端は、第3圧電素子10aに当接され、例えば接着剤を用いて接着されている。この第3駆動軸10bは、長尺状の部材であり、例えば円柱状のものが用いられる。
【0020】
摩擦係合構造としては、例えば、板バネにより第3駆動軸10bを撮像光学系2のホルダ2aに一定の押圧力で圧接した状態とし、第3駆動軸10bが移動する際に一定の摩擦力を生じさせる構造とする。この摩擦力を超えるように第3駆動軸10bが移動することにより、慣性により撮像光学系2の位置が維持される。一方、その摩擦力を超えないように逆方向へ第3駆動軸10bが移動すると、撮像光学系2もその逆方向へ移動する。このような第3駆動軸10bの往復移動を繰り返すことにより、第2移動部材5に対し相対的に撮像光学系2を移動させることができる。第3圧電素子10aには、その伸長速度と収縮速度を異ならせる電気信号が制御部(図示なし)から入力される。これにより、第3駆動軸10bが異なる速度で往復移動し、撮像光学系2の移動制御を行うことができる。
【0021】
このように、撮像光学系2を第2移動部材5に対し光軸方向へ移動可能に取り付けることにより、第2移動部材5に対し撮像光学系2のみを光軸方向へ移動させてフォーカシングを行うことができる。
【0022】
撮像素子14は、撮像光学系2により結像された像を電気信号に変換する撮像手段であり、撮像素子ホルダ13に固定して取り付けられている。この撮像素子14としては、例えばCCDセンサが用いられる。
【0023】
本実施形態に係る撮像装置は、第1アクチュエータ8、第2アクチュエータ6を備えている。第1アクチュエータ8は、光軸方向と直交するヨー方向Xに撮像光学系2と撮像素子14を相対移動させるアクチュエータである。この第1アクチュエータ8は、例えば、第1圧電素子(電気機械変換手段)8aの伸縮により往復移動する第1駆動軸8bを備えたものが用いられる。第1駆動軸8bは、ヨー方向Xに向けて配置されている。第1圧電素子8aは、撮像素子14が固定される撮像素子ホルダ13に取り付けられている。第1駆動軸8bは、第1移動部材11に摩擦係合されている。第1駆動軸8bの一端は、第1圧電素子8aに当接され、例えば接着剤を用いて接着されている。この第1駆動軸8bは、長尺状の部材であり、例えば円柱状のものが用いられる。
【0024】
摩擦係合構造としては、例えば、板バネにより第1駆動軸8bを第1移動部材11に一定の押圧力で圧接された状態とし、第1駆動軸8bが移動する際に一定の摩擦力を生じさせる構造とする。この摩擦力を超えるように第1駆動軸8bが移動することにより、慣性により第1移動部材11の位置が維持される。一方、その摩擦力を超えないように逆方向へ第1駆動軸8bが移動すると、第1移動部材11もその逆方向へ移動する。このような第1駆動軸8bの往復移動を繰り返すことにより、撮像素子14に対し第1移動部材11をヨー方向Xに沿って移動させることができ、撮像素子14に対し相対的に撮像光学系2をヨー方向Xに移動させることができる。第1圧電素子8aには、その伸長速度と収縮速度を異ならせる電気信号が制御部(図示なし)から入力される。これにより、第1駆動軸8bが異なる速度で往復移動し、撮像光学系2の移動制御を行うことができる。
【0025】
なお、第1アクチュエータ8は、第1圧電素子8aを第1移動部材11側に取り付け、第1駆動軸8bを撮像素子ホルダ13に摩擦係合させて構成する場合もある。
【0026】
第2アクチュエータ6は、光軸方向と直交するピッチ方向Yに撮像光学系2と撮像素子14を相対移動させるアクチュエータである。この第2アクチュエータ6と第1アクチュエータ8は、撮像光学系2と撮像素子14を相対移動させる駆動手段(駆動装置)として機能するものである。
【0027】
ピッチ方向Yは、光軸方向と直交しヨー方向Xと交差する方向に設定される。この第2アクチュエータ6は、例えば、第2圧電素子(電気機械変換手段)6aの伸縮により往復移動する第2駆動軸6bを備えたものが用いられる。第2駆動軸6bは、ピッチ方向Yに向けて配置されている。第2圧電素子6aは、第2移動部材5に取り付けられている。第2駆動軸6bは、第1移動部材11に摩擦係合されている。第2駆動軸6bの一端は、第2圧電素子6aに当接され、例えば接着剤を用いて接着されている。この第2駆動軸6bは、長尺状の部材であり、例えば円柱状のものが用いられる。
【0028】
摩擦係合構造としては、例えば、板バネにより第2駆動軸6bを第1移動部材11に一定の押圧力で圧接された状態とし、第2駆動軸6bが移動する際に一定の摩擦力を生じさせる構造とする。この摩擦力を超えるように第2駆動軸6bが一方向に移動することにより、慣性により第2移動部材5の位置が維持される。一方、その摩擦力を超えないように逆方向へ第2駆動軸6bが移動しようとすると、第2駆動軸6bは摩擦力によって静止したまま、第2移動部材5が一方向へ移動する。このような第2駆動軸6bの往復移動を繰り返すことにより、撮像素子14に対し第2移動部材5をピッチ方向Yに沿って移動させることができ、撮像素子14に対し相対的に撮像光学系2をピッチ方向Yに移動させることができる。第2圧電素子6aには、その伸長速度と収縮速度を異ならせる電気信号が制御部(図示なし)から入力される。これにより、第2駆動軸6bが異なる速度で往復移動し、撮像光学系2の移動制御を行うことができる。
【0029】
第1移動部材11には、上述した摩擦係合によって第2アクチュエータ6が取り付けられている。このため、第1アクチュエータ8の作動により第1移動部材11がヨー方向Xに移動することによって第2アクチュエータ6もヨー方向Xへ移動することとなる。
【0030】
なお、第2アクチュエータ6は、第2圧電素子6aを第1移動部材11側に取り付け、第2駆動軸6bを第2移動部材5に摩擦係合させて構成する場合もある。
【0031】
撮像装置には、位置検出用磁石9、ホール素子15a、15bが設けられている。位置検出用磁石9は、第2移動部材5に取り付けられた磁石であり、ホール素子15a、15bで検出できるだけの磁界を発生するものであれば足りる。ホール素子15a、15bは、位置検出用磁石9から発生する磁界の状態に基づいて撮像素子14と撮像光学系2の光軸方向と直交する方向に対する相対位置を検出する磁気センサであり、例えば、基板17に取り付けられる。このホール素子15a、15bは、光軸方向と直交する方向の相対位置を検出可能なものが用いられる。基板17は、撮像素子ホルダ13に取り付けられる配線基板であり、例えばL字形に屈曲されて用いられる。この基板17には、圧電素子6a、8a、10aのリード線がそれぞれ基板17に取り付けられている。
【0032】
撮像装置には、フォトインタラプタ16が設けられている。フォトインタラプタ16は、撮像光学系2の位置検出を行う位置検出センサである。フォトインタラプタ16は、基板17に取り付けられ、撮像光学系2の近傍位置に配置される。フォトインタラプタ16は、発光部と受光部を備え、発光部と受光部の間を通過する移動片2bの位置検出を通じて、撮像光学系2の光軸方向の位置を検出する。移動片2bは、撮像光学系2のホルダ2aに形成され、撮像光学系2と一体となって移動する部材である。
【0033】
撮像装置は、上カバー1を備えている。上カバー1は、撮像部及び手振れ補正機構を収容する撮像素子ホルダ13の開口部分を被うカバーであり、被写体像を入射するための開口部1aを形成している。
【0034】
第1移動部材11は、第1支持軸12によりヨー方向Xに沿って移動可能に支持されている。第1支持軸12は、ヨー方向Xに向けて配置される軸部材であって、撮像素子ホルダ13に取り付けられている。この第1支持軸12は、第1移動部材11の軸受け部11aを貫通して設けられている。これにより、第1移動部材11は、第1支持軸12によって撮像素子14に対しヨー方向Xのみに移動するように支持されている。
【0035】
第2移動部材5は、第2支持軸7によりピッチ方向Yに沿って移動可能に支持されている。第2支持軸7は、ピッチ方向Yに向けて配置される軸部材であって、第2移動部材5に取り付けられている。この第2支持軸7は、第1移動部材11の軸受け部11bを貫通して設けられている。これにより、第2移動部材5は、第2支持軸7によって第1移動部材11に対しピッチ方向Yのみに移動するように支持されている。
【0036】
次に、本実施形態に係る撮像装置の電気的構成を説明する。図2は、本実施形態に係る撮像装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0037】
図2に示すように、本実施形態に係る撮像装置は、第1制御部(駆動信号制御手段)30を備えている。第1制御部30は、撮像光学系2と撮像素子14の光軸方向と直交する方向における相対移動を制御して手振れ補正を行う制御手段として機能するものである。この第1制御部30は、例えばCPU、ドライバチップを内蔵するLSI(Large Scale Integration)などにより構成されており、詳細は後述する。第1制御部30に接続されるジャイロセンサ50は、手振れ量を検出する手振れ検出センサとして機能するものである。このジャイロセンサ50は、防振ユニットの外部、すなわち撮像素子ホルダ13の外部に配置されている。
【0038】
第1制御部30は、ジャイロセンサ50の検出信号S1xとホール素子15aの検出信号S2xを入力し、第1アクチュエータ8に駆動信号Sxを出力する。ジャイロセンサ50の検出信号S1xは、ヨー方向X(X方向)の手振れ量に関する検出信号である。ホール素子15aの検出信号S2xは、ヨー方向Xにおける撮像素子14と撮像光学系2の相対位置に関する検出信号である。
【0039】
また、第1制御部30は、ジャイロセンサ50の検出信号S1yとホール素子15bの検出信号S2yを入力し、第2アクチュエータ6に駆動信号Syを出力する。ジャイロセンサ50の検出信号S1yは、ピッチ方向Y(Y方向)の手振れ量に関する検出信号である。ホール素子15bの検出信号S2yは、ピッチ方向Yにおける撮像素子14と撮像光学系2の相対位置に関する検出信号である。
【0040】
また、第3アクチュエータ10に接続される第2制御部(駆動信号制御手段)40は、撮像光学系2の光軸方向へ移動を制御する制御手段として機能するものである。この第2制御部40は、例えばオートフォーカス用ICやマイコンなどにより構成される。第2制御部40は、図示しない測距装置により被写体までの距離情報を取得し、その距離情報とフォトインタラプタ16の検出信号に基づいて第3アクチュエータ10に駆動信号を出力し、撮像光学系2を移動制御する。
【0041】
次に、第1制御部30が有する手振れ補正信号の生成機能について説明する。図3は、本実施形態に係る撮像装置における手振れ補正回路の概要図である。第1制御部30内には、例えば図3に示すように、差動増幅器31を用いた手振れ補正回路が設けられている。この手振れ補正回路は、X方向の手振れ補正を行うものとY方向の手振れ補正を行うものの二つが設けられる。X方向の手振れ補正回路は、ジャイロセンサ50の検出信号S1xとホール素子15aの検出信号S2xの差分に応じて第1アクチュエータ8の駆動信号Sxを生成する。Y方向の手振れ補正回路は、ジャイロセンサ50の検出信号S1yとホール素子15bの検出信号S2yの差分に応じて第2アクチュエータ6の駆動信号Syを生成する。これにより、手振れ量と撮像光学系2と撮像素子14の相対移動量の差分を減少させて、手振れ補正が行われることとなる。
【0042】
ジャイロセンサ50の検出信号S1x、S1yは、積分回路32により積分処理して差動増幅器31に入力することが好ましい。また、ホール素子15a、15bの検出信号S2x、S2yは、アンプ回路33により増幅処理してから差動増幅器31に入力することが好ましい
【0043】
次に、第1制御部30が有する駆動信号の出力機能について詳細を説明する。図4は、本実施形態に係る撮像装置における第1制御部30の電気的構成の詳細を示す概要図である。図4に示すように、第1制御部30は、例えば、CPU60、ドライバチップ61,62を備えている。ドライバチップ61,62は、第1アクチュエータ8、第2アクチュエータ6と対応して設けられており、共通の電源回路63に接続されている。ドライバチップ61,62と電源回路63との間には、電源出力安定化のための電源コンデンサC1が設けられている。
【0044】
CPU60はクロック回路を有しており、駆動信号Sx,Syをドライバチップ61,62に出力させるための入力信号SxIN,SyINを生成する機能を有している。ドライバチップ61,62は、第1アクチュエータ8の第1圧電素子8a及び第2アクチュエータ6の第2圧電素子6aにそれぞれ接続されており、ドライブ回路として機能するものである。ドライバチップ61,62は、CPU60から入力した入力信号SxIN,SyINを電圧増幅又は電流増幅して駆動信号Sx,Syを生成し、第1アクチュエータ8の第1圧電素子8a及び第2アクチュエータ6の第2圧電素子6aへそれぞれ出力する機能を有している。ドライバチップ61,62は、例えば入力段を論理回路により構成し、出力段に電界効果型のトランジスタ(FET)を2つ備えたものが用いられる。2つのトランジスタは、出力信号として、Hi出力(高電位出力)、Lo出力(低電位出力)及びOFF出力(オープン出力)を出力可能に構成されている。
【0045】
次に、ドライバチップ61,62が入出力する信号について詳細を説明する。最初に、ドライバチップ61が入出力する信号について説明する。図5は、ドライバチップ61に入力される入力信号SxINを示しており、横軸が時間である。図5(A)は、第1移動部材11を第1圧電素子8aに接近させる方向に移動させる際に入力される入力信号AIN,BIN(正転時の信号)の波形を示し、図5(B)は、第1移動部材11を第1圧電素子8aから離間させる方向に移動させる際に入力される入力信号AIN,BIN(逆転時の信号)の波形を示す。
【0046】
このように、CPU60から出力される入力信号SxINは、二つのパルス信号AIN,BINからなる。この二つのパルス信号AIN,BINは、同一の周波数F1(周期T1)であって、互いの位相を異ならせることにより、互いの信号の電位差が一方向に段階的に変化し、逆方向に急激に変化する信号、又は、互いの信号の電位差が一方向に急激に変化し、逆方向に段階的に変化する信号となっている。例えば、図5(A)、(B)において、一方の信号がHiとなりLoに低下した後に他方の信号がHiとなるように設定されている。それらの信号において、一方の信号がLoになった際に一定のタイムラグtOFFの経過後、他方の信号がHiとなるように設定される。
【0047】
図6は、ドライバチップ61から出力される駆動信号Sxの波形を示し、横軸が時間である。図6(A)、(B)の信号は、図5(A)、(B)の入力信号に基づいて出力される信号であって、第1アクチュエータ8の駆動時における信号である。すなわち、図6(A)は、第1移動部材11を第1圧電素子8aに接近させる方向に移動させる際に出力される駆動信号AOUT,BOUT(正転時の信号)の波形を示し、図6(B)は、第1移動部材11を第1圧電素子8aから離間させる方向に移動させる際に出力される駆動信号AOUT,BOUT(逆転時の信号)の波形を示す。
【0048】
図6(A)、(B)において、パルス信号からなるそれぞれの二つの駆動信号AOUT,BOUTは、第1圧電素子8aの二つの端子(図1参照)に入力される信号であり、上述した駆動信号Sxを構成する信号である。この二つのパルス信号は、同一の周波数F1(周期T)であって、互いの位相を異ならせることにより、互いの信号の電位差が一方向に段階的に変化し、逆方向に急激に変化する信号、又は、互いの信号の電位差が一方向に急激に変化し、逆方向に段階的に変化する信号となっている。そして、AOUTとBOUTとの電位差が第1圧電素子8aの入力電圧となる。これらのパルス信号の電位差により第1圧電素子8aが伸長又は収縮する。そして、1パルスごとの信号が連続して第1アクチュエータ8に入力されることにより、連続駆動が行われることとなる(駆動状態)。
【0049】
駆動信号AOUT,BOUTは、例えば一方の信号がHi出力となりLo出力に低下した後に他方の信号がHi出力となるように設定されている。それらの信号において、一方の信号がLo出力になった際に一定のタイムラグtOFFの経過後、他方の信号がHi出力となるように設定される。
【0050】
また、駆動信号AOUT,BOUT、すなわち第1圧電素子8aを作動させる電気信号は、可聴周波数を超える周波数の信号が用いられる。図6(A)、(B)において、二つの信号の周波数F1は、可聴周波数を超える周波数信号とされ、例えば、30〜80kHzの周波数信号とされ、より好ましくは40〜60kHzとされる。このような周波数の信号を用いることにより、圧電素子の可聴領域における作動音を低減することができる。
【0051】
図7は、第1アクチュエータ8の駆動信号AOUT,BOUTの波形を示し、横軸が時間である。第1アクチュエータ8の駆動制御においては、図7に示すように、複数のパルス信号が連続して第1アクチュエータ8へ入力され、連続駆動を行っている途中、所定のタイミングでパルス信号を間引き、第1圧電素子8aの二つの端子に入力される電圧差をゼロとすることによって、駆動休止状態を設ける。これによって、第1アクチュエータ8は、駆動状態と駆動休止状態とを繰り返すように制御される。このように、第1アクチュエータ8が駆動状態と駆動休止状態とを繰り返して第1移動部材11を細かく移動させることにより、高精度に移動させることが可能となる。
【0052】
また、第1アクチュエータ8の駆動休止状態は、ランダムな間隔で設けられ、駆動休止状態の長さもランダムに設定される。具体的には、図7に示すように、駆動状態1,2,3の間に、ランダムな間隔及びランダムな長さで駆動休止状態1,2が設けられる。これによって、駆動状態1(第1駆動状態)及び駆動休止状態1(第1駆動休止状態)によって構成される周期T1(第1周期)と駆動状態2(第2駆動状態)及び駆動休止状態2(第2駆動状態)によって構成される周期T2(第2周期)とは、異なるものとなる。その後の周期についても、互いに異なるものとなる。なお、駆動休止状態の長さは、図6(A)、(B)に示す駆動時の入力信号における1パルスの周期時間以上の長い時間とすることが好ましい。
【0053】
次に、ドライバチップ62が入出力する信号について説明する。ドライバチップ62の入力信号AIN,BINは、ドライバチップ61が出力する信号と振幅、波長、周波数等が同一であって、位相(又は初期位相)が同じ信号である。ドライバチップ62の駆動信号AOUT,BOUTは、ドライバチップ61が出力する信号と振幅、波長、周波数等が同一であって、位相(又は初期位相)が同じ信号である。また、第2アクチュエータ6の駆動制御においても、パルス信号を間引くことによって、駆動休止状態を設け、駆動状態と駆動休止状態とを繰り返すように制御される。更に、第2アクチュエータ6も、第1アクチュエータ8と同じく、駆動休止状態がランダムな間隔で設けられ、駆動休止状態の長さもランダムに設定される。
【0054】
第1アクチュエータ8、第2アクチュエータ6に入力される信号は、図6に示すものに限られるものではなく、パルス信号でなく鋸歯波状の信号や三角波状の信号などであってもよい。
【0055】
なお、第2制御部40においても、第1制御部30と同様の構成とされており、第3アクチュエータ10にドライバチップ61,62の駆動信号AOUT,BOUTと振幅、波長、周波数等が同一であって、位相(又は初期位相)の同じ信号が入力される。また、パスル信号を間引くことによって、駆動休止状態が設けられ、これによって、第3アクチュエータ10は、駆動状態と駆動休止状態とを繰り返すように制御される。更に、第3アクチュエータ10も、第1アクチュエータ8と同じく、駆動休止状態がランダムな間隔で設けられ、駆動休止状態の長さもランダムに設定される。
【0056】
次に、本実施形態に係る撮像装置において、手振れ補正を行う際の動作について説明する。
【0057】
図2において、撮像装置を用いて撮影を行う際に手振れが生じている場合には、ジャイロセンサ50が手振れ量を検出し、手振れの検出信号S1を第1制御部30に出力する。第1制御部30において、ジャイロセンサ50の検出信号S1とホール素子15a、15bの検出信号S2とに基づいて、手振補正回路を用いて撮像素子14に撮像される画像がぶれないように、駆動信号Sx,Syを演算する。そして、CPU60がドライバチップ61,62に対して入力信号AIN,BINを同じ位相で出力する。信号入力されたドライバチップ61,62は、第1アクチュエータ8の第1圧電素子8a及び第2アクチュエータ6の第2圧電素子6aに対し、駆動信号AOUT,BOUTをそれぞれ出力する。圧電素子6a,8aは、それぞれ入力された駆動信号AOUT,BOUTに基づいて伸縮し、撮像光学系2と撮像素子14とを相対移動させることによって手振れ補正を行う。
【0058】
このような駆動制御を行った場合、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6に供給される駆動信号AOUT,BOUTは、図7に示すような波形となる。上述のように、駆動信号AOUT,BOUTにはランダムな間隔及び長さで駆動休止状態が設けられるため、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータは、ランダムな間隔で駆動休止状態に入ることができる。すなわち、駆動状態1及び駆動休止状態1によって構成される周期T1と駆動状態2及び駆動休止状態2によって構成される周期T2とが異なるものとなるように駆動する。
【0059】
これに対し、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6が一定の間隔で休止する場合を説明する。図8は、比較例に係るアクチュエータに供給される駆動信号AOUT,BOUTの波形を示し、横軸が時間である。図8に示すように、駆動状態1〜4の間に、一定間隔及び長さで駆動休止状態1〜3を設ける。これによって、駆動状態1及び駆動休止状態1による周期、駆動状態2及び駆動休止状態2による周期、及び駆動状態3及び駆動休止状態3による周期は何れも一定となる。すなわち、駆動状態1及び駆動休止状態1によって構成される周期、駆動状態2及び駆動休止状態2によって構成される周期、及び駆動状態3及び駆動休止状態3によって構成される周期がそれぞれ同じものとなる(図中における周期T3)。これによって、アクチュエータが一定の周期、すなわち一定の周波数で駆動と休止を繰り返し、その周波数が可聴周波数の範囲である場合は、アクチュエータの動作によって振動音が発生してしまう。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る撮像装置によれば、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6を繰り返し駆動状態及び駆動休止状態として第1移動部材11及び第2移動部材5を細かく高精度に移動させた場合であっても、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6がランダムな間隔で駆動休止状態に入るように、すなわち、図7中の周期T1と周期T2とが異なるものとなるように制御することによって、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6が一定の周波数で駆動状態と駆動休止状態との切り替えを行うことを防止し、振動音の発生を抑えることができる。これによって、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6を静かに動作させることができる。
【0061】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る撮像装置は、アクチュエータの駆動状態及び駆動休止状態によって構成される周期に基づく周波数が、可聴周波数以外となるように制御している点で、第1の実施形態に係る撮像装置と主に相違している。図9は、第2の実施形態に係る撮像装置の制御部が出力する駆動信号の駆動状態と駆動休止状態のタイミングを示す図である。
【0062】
すなわち、第2の実施形態に係る撮像装置においては、図9に示すように、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6に、一定の間隔及び長さで駆動休止状態を設けた駆動信号が、それぞれ入力される。具体的には、第1アクチュエータ8の駆動状態1A〜3Aの間に、一定の間隔及び長さで駆動休止状態1A,2Aが設けられる。第2アクチュエータ6の駆動状態1B〜3Bの間にも、第1アクチュエータ8の駆動休止状態1A,2Aと同じタイミング及び長さで駆動休止状態1B,2Bが設けられる。駆動状態1A〜3A,1B〜3B及び駆動休止状態1A〜3A,1B〜3Bによってそれぞれ構成される周期T4に基づく周波数は、可聴周波数以外、例えば、20Hzより低い周波数または20kHzより高い周波数に設定されており、これによって、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6は、可聴周波数以外の周波数でそれぞれ駆動状態及び駆動休止状態の切り替えを行うことができる。
【0063】
以上のように、本実施形態に係る撮像装置によれば、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6を繰り返し駆動状態及び駆動休止状態として被駆動部材を細かく高精度に移動させた場合であっても、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6の駆動状態及び駆動休止状態によって構成される周期T4に基づく周波数が、可聴周波数以外となるように制御することによって、発生する振動音をユーザが聴き取れない音とすることができる。これによって、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6を静かに動作させることができる。
【0064】
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る撮像装置は、第1アクチュエータと第2アクチュエータとが異なるタイミングで駆動休止状態となっている点で、第2の実施形態に係る撮像装置と主に相違している。図10は、第3の実施形態に係る撮像装置の制御部が出力する駆動信号の駆動状態と駆動休止状態のタイミングを示す図である。
【0065】
すなわち、第3の実施形態に係る撮像装置においては、図10に示すように、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6に、一定の間隔及び長さで駆動休止状態を設けた駆動信号が、それぞれ異なるタイミングで入力される。図10においては、第1アクチュエータ8の駆動状態1A〜4Aの間に、一定の間隔及び長さで駆動休止状態1A〜3Aが設けられる。一方、第2アクチュエータ6の駆動状態1B〜4Bの間には、第1アクチュエータ8の駆動休止状態1A〜3Aと同じ間隔及び長さでタイミングの異なる駆動休止状態1B〜3Bが設けられる。駆動状態と駆動休止状態の切り替えのタイミングをアクチュエータ全体として見たときに、第1アクチュエータ8の駆動状態1A〜3Aの途中に、第2アクチュエータ6の駆動休止状態1B〜3Bがそれぞれ一定間隔で設けられており、これによって、周期T5で駆動状態と駆動休止状態の切り替えが行われることとなる。
【0066】
具体的には、駆動休止状態1Bの終了時点から駆動休止状態1Aの終了時点までの時間、駆動休止状態1Aの終了時点から駆動休止状態2Bの終了時点までの時間、駆動休止状態2Bの終了時点から駆動休止状態2Aの終了時点までの時間、駆動休止状態2Aの終了時点から駆動休止状態3Bの終了時点までの時間、駆動休止状態3Bの終了時点から駆動休止状態3Aの終了時点までの時間、及び駆動休止状態3Aの終了時点から駆動休止状態4Bの終了時点までの時間によって得られる周期が何れも一定周期T5となり、この周期T5に基づく周波数が、可聴周波数以外、例えば、20Hzより低い周波数または20kHzより高い周波数に設定されている。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る撮像装置によれば、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6を繰り返し駆動状態及び駆動休止状態として被駆動部材を細かく高精度に移動させた場合であっても、第2アクチュエータ6の駆動休止状態の終了時点から第1アクチュエータ8の駆動休止状態の終了時点までの時間によって得られる周期T5に基づく周波数が、可聴周波数以外となるように制御することによって、発生する振動音をユーザが聴き取れない音とすることができる。これによって、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6を静かに動作させることができる。
【0068】
[第4の実施形態]
第4の実施形態に係る撮像装置は、第1アクチュエータと第2アクチュエータとが、それぞれランダムなタイミングで駆動休止状態となっている点で、第3の実施形態に係る撮像装置と主に相違している。図11は、第4の実施形態に係る撮像装置の制御部が出力する駆動信号の駆動状態と駆動休止状態のタイミングを示す図である。
【0069】
すなわち、第4の実施形態に係る撮像装置においては、図11に示すように、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6に、ランダムな間隔で一定の長さの駆動休止状態を設けた駆動信号が、それぞれ異なるタイミングで入力される。図11においては、第1アクチュエータ8の駆動状態1A〜4Aの間に、ランダムな間隔で一定の長さの駆動休止状態1A〜3Aがそれぞれ設けられる。一方、第2アクチュエータ6の駆動状態1B,2Bの間には、ランダムな間隔で一定の長さの駆動休止状態1Bが設けられる。
【0070】
このように、駆動休止状態となるタイミングがアクチュエータごとにランダムになるように、すなわち、駆動状態及び駆動休止状態によって構成される周期が第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6ごとに異なるように駆動信号を供給している。従って、複数のアクチュエータを繰り返し駆動状態及び駆動休止状態として被駆動部材を細かく高精度に移動させた場合であっても、複数のアクチュエータの周期が異なるように制御することによって、各アクチュエータが同じ周波数で駆動状態と駆動休止状態の切り替えが行われることを防止し、振動音の発生を抑えることができる。これによって、アクチュエータを静かに動作させることができる。
【0071】
特に、図11においては、駆動状態と駆動休止状態の切り替えのタイミングをアクチュエータ全体として見たときに、第1アクチュエータ8の駆動状態2Aの途中に第2アクチュエータ6の駆動休止状態1Bが設けられ、第2アクチュエータ6の駆動状態2Bの途中に第1アクチュエータ8の駆動休止状態2A,3Aが設けられている。これによって、駆動状態2Aと駆動休止状態1Bにより周期T6で、駆動状態2Bと駆動休止状態2Aにより周期T7で、駆動状態3Aと駆動休止状態3Aにより周期T8で切り替えが行われることとなる。
【0072】
具体的には、駆動休止状態1Aの終了時点から駆動休止状態1Bの終了時点までの時間によって得られる周期T6、駆動休止状態1Bの終了時点から駆動休止状態2Aの終了時点までの時間によって得られる周期T7、及び駆動休止状態2Aの終了時点から駆動休止状態3Aの終了時点までの時間によって得られる周期T8はいずれも異なるものとなる。また、この周期T6,T7,T8に基づく周波数は、いずれも可聴周波数以外、例えば、20Hzより低い周波数または20kHzより高い周波数に設定されている。
【0073】
以上のように、本実施形態に係る撮像装置によれば、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6を繰り返し駆動状態及び駆動休止状態として被駆動部材を細かく高精度に移動させた場合であっても、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6がランダムな間隔で駆動休止状態に入るように、すなわち、図11中の周期T6,T7,T8が互いに異なるものとなるように制御することによって、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6が一定の周波数で駆動状態と駆動休止状態との切り替えを行うことを防止し、振動音の発生を抑えることができる。また、仮に振動音が発生したとしても、周期T6,7,8に基づく周波数が、いずれも可聴周波数以外となるように制御することによって、発生する振動音をユーザが聴き取れない音とすることができる。これによって、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6を静かに動作させることができる。
【0074】
なお、上述した実施形態は本発明に係る撮像装置の一例を示すものである。本発明に係る撮像装置は、これらの実施形態に係る撮像装置に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、実施形態に係る撮像装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0075】
例えば、上述した実施形態では、手振れ補正機構として手振れに応じて撮像素子14に対して撮像光学系2を移動させるものについて説明したが、撮像光学系2に対し撮像素子14を移動させるものであってもよい。この場合であっても、上述した実施形態に係る撮像装置と同様な作用効果が得られる。
【0076】
また、上述した実施形態では、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6は、それぞれ正転の場合を説明したが、第1アクチュエータ8が正転であり、第2アクチュエータ6が逆転の場合であっても、上述した実施形態に係る撮像装置と同様な作用効果が得られる。なお、第1アクチュエータ8が逆転であり、第2アクチュエータ6が正転の場合や、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータがそれぞれ逆転の場合であってもよい。
【0077】
また、上述した実施形態では、駆動装置を手振れ補正機構を有する撮像装置に適用した例について説明したが、ズーム機構やオートフォーカス機構を有する撮像装置にも適用可能である。例えば、図12に示すように、第1アクチュエータ8により駆動可能に構成された移動レンズ103、第2アクチュエータ6により駆動可能に構成された移動レンズ102を備える撮像装置に適用することができる。この撮像装置は、例えば、光軸Oを屈曲させる屈曲光学系が適用されており、固定レンズ105、プリズム104、移動レンズ103、102、固定レンズ101及び撮像素子100を備えている。そして、第1アクチュエータ8、第2アクチュエータ6が駆動することによって移動レンズ103、102が移動し、ズーム機能及びオートフォーカス機能が実現される。固定レンズ105から入射する被写体106の像は、プリズム104を介して屈曲され、移動レンズ103、移動レンズ102、固定レンズ101を介して撮像素子100で検出される。このように、本発明は、手振れ補正機構、ズーム機構、又はオートフォーカス機構、若しくはこれらの組み合わせの何れにも適用可能である。
【0078】
また、上述した実施形態では、制御対象のアクチュエータが2つの場合を説明したが、3つ以上のアクチュエータを制御する場合であってもよい。例えば、上述した実施形態の撮像装置が、変倍調整機構(ズーム機能)を実現する第4アクチュエータをさらに備え、第1制御部30が、第1アクチュエータ8、第2アクチュエータ6、第3アクチュエータ10及びズーム用のアクチュエータを制御する場合に適用できる。この場合、駆動状態と駆動休止状態の切り替えのタイミングを4つのアクチュエータ全体として見たときに、可聴周波数以外の周波数で駆動状態と駆動休止状態の切り替えが行われるように制御する。また、このように構成することにより、ズームとフォーカスのレンズ駆動を同一時間帯で実行することができるので、動作時間を短くすることができる。
【0079】
また、上述した第4実施形態では、駆動休止状態の長さが一定となっているが、長さをランダムに設定してもよい。
【0080】
さらに、上述した実施形態では、撮像装置のアクチュエータとして、電機機械変換手段に圧電素子を用いたものを採用しているが、電気機械変換手段に高分子アクチュエータ、形状記憶合金などの他の駆動部品を用いた場合、あるいはそれらを組み合わせた場合でもよい。
【0081】
また、上述した実施形態では、駆動装置により光学系を駆動させているが、撮像素子などの光電変換素子を駆動させてもよい。
【0082】
なお、上述した実施形態では、一の駆動休止状態の終了時点から次の駆動休止状態の終了時点までの時間を1周期として説明したが、どこを基準にして考えてもよい。例えば、一の駆動休止状態の開始時点から次の駆動休止状態の開始時点までの時間を1周期として考えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置における撮像部及び手振れ補正機構の分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す第1制御部が有する手振れ補正回路の概要図である。
【図4】図3に示す駆動装置における第1制御部の電気的構成を示す概略図である。
【図5】図4に示すドライバチップに入力される入力信号の波形を示す図である。
【図6】図4に示すドライバチップから出力される駆動信号の波形を示す図である。
【図7】図4に示す第1制御部が出力する駆動信号の波形を示す図である。
【図8】従来の駆動装置における制御部が出力する駆動信号の波形を示す図である。
【図9】第2の実施形態に係る撮像装置の制御部が出力する駆動信号の駆動状態と駆動休止状態のタイミングを示す図である。
【図10】第3の実施形態に係る撮像装置の制御部が出力する駆動信号の駆動状態と駆動休止状態のタイミングを示す図である。
【図11】第4の実施形態に係る撮像装置の制御部が出力する駆動信号の駆動状態と駆動休止状態のタイミングを示す図である。
【図12】他の駆動装置のレンズ構成の概要を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0084】
6,8…アクチュエータ、6a,8a…圧電素子(電気機械変換手段)、6b,8b…駆動軸、30…第1制御部(駆動信号制御手段)、40…第2制御部(駆動信号制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号により伸縮する電気機械変換手段、及び前記電気機械変換手段に取り付けられると共に前記電気機械変換手段の伸縮動作に応じて往復運動する駆動軸を有するアクチュエータと、
前記アクチュエータが駆動状態と駆動休止状態とを繰り返すように、前記電気機械変換手段に対して前記駆動信号を供給する駆動信号制御手段と、
を備え、
前記駆動信号制御手段は、前記アクチュエータの第1駆動状態及び第1駆動休止状態によって構成される第1周期と第2駆動状態及び第2駆動休止状態によって構成される第2周期とが異なるように、前記駆動信号を供給することを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記アクチュエータを複数備え、
前記駆動信号制御手段は、駆動状態及び駆動休止状態によって構成される周期が、複数の前記アクチュエータごとに異なるように、前記駆動信号を供給することを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
駆動信号により伸縮する電気機械変換手段、及び前記電気機械変換手段に取り付けられると共に前記電気機械変換手段の伸縮動作に応じて往復運動する駆動軸を有するアクチュエータと、
前記アクチュエータが駆動状態及び駆動休止状態を繰り返すように、前記電気機械変換手段に対して前記駆動信号を供給する駆動信号制御手段と、
を備え、
前記駆動信号制御手段は、前記アクチュエータの駆動状態及び駆動休止状態によって構成される周期に基づく周波数が、可聴周波数以外となるように、前記駆動信号を供給することを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
駆動信号により伸縮する電気機械変換手段、及び前記電気機械変換手段に取り付けられると共に前記電気機械変換手段の伸縮動作に応じて往復運動する駆動軸をそれぞれ有する複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータが駆動状態及び駆動休止状態をそれぞれ繰り返すように、前記電気機械変換手段に対してそれぞれ前記駆動信号を供給する駆動信号制御手段と、
を備え、
前記駆動信号制御手段は、前記複数のアクチュエータの何れか一つのアクチュエータの第1駆動休止状態が終了し、その後、前記複数のアクチュエータの何れか一つのアクチュエータが次に第2駆動休止状態に入った場合に、前記第1駆動休止状態の終了時点から前記第2駆動休止状態の終了時点までの時間によって得られる周期に基づく周波数が、可聴周波数以外となるように、前記駆動信号を供給することを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
前記電気機械変換手段は、圧電素子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の駆動装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項記載の駆動装置を備え、
前記駆動装置により光学部材または光電変換素子を駆動させることを特徴とする光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−51057(P2010−51057A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210767(P2008−210767)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】