説明

駐車料金精算機

【課題】 駐車料金精算機の仕様に適合しない磁気カードの磁気記録情報を開示することなく、この磁気カードを使用して駐車料金の割引等のサービスを可能とした駐車料金精算機を提供する。
【解決手段】 挿入されるカードの記録情報読取り用に備えられたカードリーダ・ライタ5で解読可能なデータ記録フォーマット以外で情報が記録されたサービス対象カードであることを特定するためのデータビットパターンを照合用データとして予め記憶し、駐車券情報により駐車料金算出した後(S1〜S3)、カードが挿入されたときに挿入カードから読取ったデータビットパターンと記憶した照合用データとを照合し、一致したときに挿入カードがサービス対象カードであると判断して駐車料金を割引処理する構成とした(S4〜S10、S12)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車料金の精算処理を行う駐車料金精算機に関し、特に、本駐車料金精算機の仕様に適合しない既存の流通磁気カード等を例えば料金割引等のサービスが可能なサービス対象カードとして使用できるようにした駐車料金精算機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駐車料金精算機として、駐車場入場時の入場情報に基づいて算出した駐車時間の割引処理が可能なものがある。かかる駐車料金精算機の例として、例えば駐車場入場時に発行される入場時刻の磁気記録された駐車券の挿入により入場時刻を読取り、読取った入場時刻と現在時刻から駐車時間を算出し、算出した駐車時間に応じて駐車料金を算出する。その後、サービス券が挿入されると、サービス券の磁気記録情報に基づいて駐車料金の割引処理を行う(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−133473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年では、各種の店舗等において顧客獲得のために会員カードやポイントカードを発行し、このようなカードの所有者に対して各種のサービスを提供しており、提供するサービスの1つとして、例えば駐車料金の割引サービスがある。カードにより駐車料金の割引サービスを行うためには、駐車料金精算機で駐車料金の割引サービスが可能なサービス対象カードであることを認識できることが必要であり、そのためには、駐車料金精算機側でサービス対象カードの記録情報が読取れるようにすればよい。
【0004】
しかしながら、店舗が発行する既存のこれら流通カードのデータ記録フォーマットが、必ずしも新たに設置する駐車料金精算機のカード処理装置で読取ることができるデータ記録フォーマットであるとは限らない。この場合、駐車料金精算機の仕様をカードの仕様に適合させて、駐車料金精算機側で対象カードの記録情報が読取れるようにすることが望ましい。しかし、カードの記録情報には店舗経営者やカード所有者にとって開示したくない重要な情報が記録されており、カードのデータ記録フォーマットを駐車料金精算機製造者側に開示して、重要な情報を店舗経営者やカード所有者以外の外部に開示することには問題がある。また、駐車料金精算機製造者側も、仮にカードのデータ記録フォーマットの開示を受けた場合、開示情報の保護管理等の面で負担が大きく掛かるようになる。
【0005】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、サービス対象カードの記録情報を開示することなく、サービス対象カードにより駐車料金の割引サービス等のサービス処理を可能とした駐車料金精算機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、請求項1の発明は、料金の精算処理を行う駐車料金精算機であって、挿入されたカードからデータを検出する情報検出手段と、該情報検出手段で検出可能なデータの内、解読可能なデータ記録フォーマット以外で情報が記録されたサービス対象カードを特定するための一又は複数の照合用データが記憶された記憶手段と、解読可能なデータ記録フォーマット以外で情報が記録されたカードの場合に、前記情報検出手段で検出されたデータと前記照合用データとを比較し、一致したときに挿入されたカードが前記サービス対象カードであると判断し、一致した照合用データに応じたサービスを行うサービス処理手段と、を備える構成としたことを特徴とする。
【0007】
かかる構成では、記憶手段には、駐車料金精算機で解読可能なデータ記録フォーマット以外で情報が記録されたサービス対象カードを特定するための一又は複数の照合用データが予め記憶される。駐車料金精算機にカードが挿入されると情報検出手段がカードのデータを検出し、サービス処理手段が、解読可能なデータ記録フォーマット以外で情報が記録されたカードの場合には、検出されたデータと照合用データとを比較し、一致したときに挿入カードがサービス対象カードと判断して照合用データに応じたサービス処理を実行するようになる。
【0008】
請求項2のように、前記照合用データは、前記解読可能なデータ記録フォーマット以外で情報が記録されたカードに磁気記録されている磁気情報の記録パターンとするとよい。この場合、請求項3のように、前記記録パターンが、前記磁気情報全体のデータビットパターンでもよく、請求項4のように、前記記録パターンが、前記磁気情報の一部を構成する特定フレームのデータビットパターンであってもよい。
【0009】
請求項5のように、前記サービス処理手段は、前記解読可能なデータ記録フォーマットで情報記録されたサービス券の場合には、前記サービス券の記録情報に応じたサービスを行う構成とするとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の駐車料金精算機によれば、本機では解読できないデータ記録フォーマットで磁気記録されたサービス対象カードを使用して例えば駐車料金の割引等のサービスを提供することができる。また、サービス対象カードに記録された重要な情報を開示せずに済むので、保護する必要のある個人情報等の管理負担が増大する心配がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る駐車料金精算機の一実施形態を示すブロック図である。
図1において、本実施形態の駐車料金精算機1は、駐車料金の精算処理を行うもので、その構成は、音声案内ユニット2と、時計ユニット3と、料金表示部4と、カードリーダ・ライタ5と、投入金表示部6と、紙幣処理ユニット7と、硬貨処理ユニット8と、プリンタ9と、RAM10と、ROM11と、I/Oユニット12と、制御部13と、を含んで構成されている。
【0012】
前記音声案内ユニット2は、駐車料金精算機1の操作手順等を利用者に案内するもので、スピーカー等の音声発生機器を有して成る。前記時計ユニット3は、現在時刻を計時するものである。また、前記料金表示部4は、挿入された駐車券から読取った入場時刻と駐車券挿入時の時刻に基づいて算出した駐車料金を表示するものである。
前記カードリーダ・ライタ5は、駐車券やサービス券、或いは、当該カードリーダ・ライタ5で解読可能なデータ記録フォーマット以外で情報記録されこの駐車料金精算機1の仕様に適合しないサービス対象カードである例えばポイントカードや会員カード等の既存流通カードにより駐車料金の精算を行う場合に、駐車券やサービス券に記録された磁気記録情報を読取ると共に、例えば店舗経営者から提供されたカード認識のための最小限情報としてサービス対象カードの磁気トラックに記録された磁気情報のデータビットパターンや、磁気情報の一部を構成する特定フレームのデータビットパターン等を検出するものである。このカードリーダ・ライタ5は、図2に示すように、制御部5Aと、例えば搬送ローラ等の搬送手段を駆動するモータ5Bと、搬送経路の適所に複数設置されるセンサ5Cと、搬送経路途中に配置される磁気ヘッド5Dと、通信部5Eと、を備える。前記制御部5Aは、センサ5Cのカード検知信号によりモータ5Bの駆動を制御してカードの搬送を制御し、磁気ヘッド5Dで読取ったカードの記録情報やサービス対象カードから検出されたデータを通信部5Eを介して駐車料金精算機1の制御部13に送信する。従って、カードリーダ・ライタ5が情報検出手段の機能を備える。尚、サービス対象カードの磁気トラック位置が、この駐車料金精算機1の仕様に基づく磁気カードの磁気トラック位置と異なる場合は、磁気ヘッド5Dは、サービス対象カードの磁気トラックのデータ検出用磁気ヘッドと、駐車料金精算機1の仕様に基づく磁気カードの磁気情報読取り用磁気ヘッドとからなる。
【0013】
前記投入金表示部6は、駐車料金を紙幣又は硬貨によって精算する場合に、前記紙幣又は硬貨の投入された金額を表示するものである。前記紙幣処理ユニット7は、料金精算時に紙幣を受け付けて計数処理するものであり、また、前記硬貨処理ユニット8は、料金精算時に硬貨を受け付けて計数処理するものである。また、前記プリンタ9は、図示しない領収書発行ボタンの操作により領収書等を発行するものである。
【0014】
前記RAM10は、例えば駐車場の管理データや前記サービス対象カードを特定するための照合用データを予め記憶するものである。前記ROM11は、後述する制御部13の動作を制御するためのプログラムや、駐車料金を算出するための計算式等を格納したものである。前記I/Oユニット12は、音声案内ユニット2、料金表示部4、投入金表示部6、紙幣処理ユニット7及び硬貨処理ユニット8と、制御部13との間の信号の入出力を制御するものである。
【0015】
前記制御部13は、前記時計ユニット3と、カードリーダ・ライタ5と、プリンタ9と、RAM10との動作を統括的に制御するもので、例えばCPU等の演算装置から成り、後述する図4のフローチャートに従って、駐車料金の精算処理を制御する。
次に、本実施形態の駐車料金精算機1の精算処理動作を図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。尚、提供するサービスとして駐車料金の割引サービスを例に説明する。
【0016】
ステップ1(図中S1で示し、以下同様とする)では、挿入されたカードの磁気情報を読取って駐車券か否かを判定し、駐車券であれば、ステップ2に進む。
ステップ2では、駐車券に記録された入場時刻情報を読取る。
ステップ3では、ステップ2で読取った入場時刻と現在時刻から駐車時間を算出し、算出した駐車時間に応じた駐車料金を算出する。
【0017】
ステップ4では、カードの挿入があったか否かを判定し、カード挿入があればステップ5に進む。
ステップ5では、挿入されたカードの磁気データの読取りを行う。
ステップ6では、挿入カードのデータ記録フォーマットから本機仕様のサービス券であるか否かを判定し、解読可能なデータ記録フォーマットの磁気データであれば、ステップ12に進む。一方、解読可能なデータ記録フォーマット以外の磁気データであれば、ステップ7に進む。
【0018】
ステップ7では、挿入カードから当該カードの磁気データの例えばデータビットパターンを検出し、検出したデータビットパターンをRAM10に記憶されている照合用パターンデータと照合する。
ステップ8では、パターンが一致したか否かを判定し、一致すればポイントカードや会員カード等のサービス対象カードと判断してステップ12に進む。不一致であれば、ステップ9に進む。
【0019】
ステップ9では、未照合の照合用パターンデータがあるか否かを調べて照合処理の終了か否かを判定し、未照合の照合用パターンデータがあれば、ステップ10に進み、照合用パターンデータを更新してステップ7に戻る。未照合の照合用パターンデータがなければ照合終了と判断してステップ11に進む。
ステップ11では、例えば割引サービス対象外のカードである旨のエラー表示を行い、利用者に知らせ、例えば割引処理することなくステップ13に進み、ステップ3の駐車料金を表示する。
【0020】
ステップ6、8の判定がYESとなりステップ12に進んだ場合は、サービス券に記録されたサービス情報やサービス対象カードに対して予め設定した割引情報に基づいて、ステップ3で算出した駐車料金を減額する割引処理を実行し、ステップ13で、ステップ12で算出した割引後の駐車料金を表示する。
ステップ14では、精算が完了したか否かを判定し、例えば表示された駐車料金以上の現金の投入により精算完了と判断して精算処理動作を終了する。
【0021】
かかる本実施形態の駐車料金精算機1によれば、本機1仕様のカードリーダ・ライタ5では解読できないデータ記録フォーマットで磁気記録されたポイントカードや会員カードを使用して駐車料金の割引等のサービスを提供することができる。しかも、ポイントカードや会員カードに記録された重要な情報を開示せずに済むので、保護する必要のある個人情報等の管理負担が増大する心配がない。
【0022】
尚、本実施形態では、この駐車料金精算機仕様のサービス券による駐車料金の割引サービスも可能な構成であるが、ポイントカードや会員カード等の本機仕様に適合しないサービス対象カードのみによる割引サービス可能な構成としてもよい。この場合は、図3のステップ6の動作が省略される。
また、サービス対象カードを特定するためのデータは、カードリーダ・ライタ5の制御部5Aでサービス情報にコード変換して料金精算機1本体の制御部13に送信してもよく、カードリーダ・ライタ5の制御部5Aから料金精算機1本体の制御部13に送信した後、制御部13側でサービス情報にコード変換するようにしてもよい。
【0023】
また、本実施形態では、サービス対象カードを特定するためのデータを、カードに磁気記録された情報の記録パターンとしたが、例えばサービス対象カードの表面の特徴的図柄として画像認識処理を利用してサービス対象カード判別のための照合処理を行うようにしてもよい。この場合、例えばサービス対象カードの表面の特徴的図柄を照合用データとして記憶させ、挿入されたカードの表面の図柄を画像で読込み、画像認識処理によりカード表面の特徴的図柄を抽出して照合処理するような構成が考えられる。
【0024】
また、サービス対象カードを利用して提供するサービスは、料金の割引処理に限るものではなく、例えば、ポイントカードであればポイント付与等のサービス処理をすることが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る駐車料金精算機の一実施形態を示すブロック図
【図2】同上実施形態のカードリーダ・ライタの構成例を示すブロック図
【図3】同上実施形態の駐車料金精算処理動作を説明するフローチャート
【図4】図3に続くフローチャート
【符号の説明】
【0026】
1 駐車料金精算機
3 時計ユニット
5 カードリーダ・ライタ
7 紙幣処理ユニット
8 硬貨処理ユニット
10 RAM
13 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
料金の精算処理を行う駐車料金精算機であって、
挿入されたカードからデータを検出する情報検出手段と、
該情報検出手段で検出可能なデータの内、解読可能なデータ記録フォーマット以外で情報が記録されたサービス対象カードを特定するための一又は複数の照合用データが記憶された記憶手段と、
解読可能なデータ記録フォーマット以外で情報が記録されたカードの場合に、前記情報検出手段で検出されたデータと前記照合用データとを比較し、一致したときに挿入されたカードが前記サービス対象カードであると判断し、一致した照合用データに応じたサービスを行うサービス処理手段と、
を備える構成としたことを特徴とする駐車料金精算機。
【請求項2】
前記照合用データは、前記解読可能なデータ記録フォーマット以外で情報が記録されたカードに磁気記録されている磁気情報の記録パターンである請求項1に記載の駐車料金精算機。
【請求項3】
前記記録パターンが、前記磁気情報全体のデータビットパターンである請求項2に記載の駐車料金精算機。
【請求項4】
前記記録パターンが、前記磁気情報の一部を構成する特定フレームのデータビットパターンである請求項2に記載の駐車料金精算機。
【請求項5】
前記サービス処理手段は、前記解読可能なデータ記録フォーマットで情報記録されたサービス券の場合には、前記サービス券の記録情報に応じたサービスを行う構成である請求項1〜4のいずれか1つに記載の駐車料金精算機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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