説明

駐車装置と昇降装置

【課題】 簡易な構成で、安定して運転ができる駐車装置と昇降装置とを提供しようとする。
【解決手段】
従来の車両を駐車させる駐車装置にかわって、上下方向に並んで車両を格納することをできる複数の格納棚を有する主構造体と、車両を乗せることをできるリフトケージと、第二連結部材と該第二連結部材に下側から当接可能であり該第二連結部材に当接する位置から下方向に相対移動可能になった第一連結部材と所定の付勢力を第一連結部材に下向きに作用させる付勢機構とを有する連結機構と、前記連結機構を介して前記リフトケージを前記格納棚に隣り合う昇降路の中に吊ることをできるワイヤと、前記ワイヤの巻き上げと巻き下げとをできる巻上装置と、を備え、第一連結部材がワイヤの一方の端部に固定され、第二連結部材がリフトケージに固定される、ものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を駐車させる駐車装置と車両を昇降路の中で昇降させる昇降装置に係る。特に、車両を吊る構造に特徴のある駐車装置と昇降装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
機械式の駐車装置が、車両を駐車させるのに利用される。
例えば、車両を上下方向に重なって並んだ格納棚に格納する。
この形式の一例の駐車装置は、複数のパレットと複数の格納棚と昇降装置とケージ支持装置とで構成される。
昇降装置が、リフトケージとワイヤと巻上装置とで構成される。
パレットは、車両を載せる四辺形の構造体である。パレットは、種々の形式と大きさの車両をハンドリングするのに便利であるので、一般の駐車装置ではパレットを用いて車両をハンドリングする。一部の駐車装置は、パレットを用いないで車両をハンドリングする。
格納棚は、車両を格納できる棚である。複数の格納棚が上下方向に並ぶ。通例、上下に並んだ複数の駐車棚を昇降路の左右に配置する。入出庫スペースが、昇降路の途中に設けられる。
リフトケージは、車両を載せることをできる構造体である。リフトケージは、車両の乗ったパレットを格納棚とリフトケージの上との間で移動する移載機構を内蔵している。
ワイヤは、リフトケージを格納棚に沿って吊る機械要素である。
巻上装置は、ワイヤを巻き上げと巻き下げとをできる装置である。
ケージ支持装置は、複数の格納棚の内の一つの格納棚の横に並んだときにリフトケージを駐車装置の建屋に支持させる装置である。
【0003】
車両を駐車装置に入庫させる場合の作動を説明する。
車両が、入出庫スペースに置かれたリフトケージに自走して入る。
巻上装置が、ワイヤを巻き上げて、複数の格納棚のうちの一つの格納棚の横に停止する。ケージ支持装置が、リフトケージを建屋の主構造体に支持させる。
移載装置が、車両の乗ったパレットを格納棚に移載し、入庫が完了する。
【0004】
次に、車両を駐車装置から出庫させる場合の作動を説明する。
巻上装置が、ワイヤを巻き上げて、複数の格納棚のうちの一つの格納棚の横に停止する。ケージ支持装置が、リフトケージを建屋の主構造体に支持させる。
移載装置が、車両の載ったパレットを格納棚からリフトケージに移載する。
ケージ支持装置が、リフトケージの支持を外す。
巻上装置が、ワイヤを巻き下げて、リフトケージを入出庫スペースへ下ろす。
車両が、入出庫スペースから自走して出る。
【0005】
ケージ支持装置は、リフトケージでのパレットの乗ったレールのレール面レベルと格納棚でのパレットの乗ったレールのレール面レベルとを一致させて、リフトケージを主構造体に支持させる。
【0006】
駐車装置では、空車の状態のリフトケージの重さと実車の状態のリフトケージの重さとに大きな差がある。
例えば、空車のリフトケージの重さが2.7tonであり、車両の重さが2.5tonであるので、空車時と実車時の重さの差は2.5tonである。
実車状態のリフトケージを吊るワイヤの伸び量と空車時のリフトケージを吊るワイヤの伸び量に差があるので、ケージ支持装置が、リフトケージを支持している状態から支持を外す際に、ワイヤが伸びまたは縮む。その際に、大きな音がでる場合がある。
【0007】
また、ケージ支持装置が、リフトケージの総重量を完全に支持すると、ワイヤに係る張力にアンバランスが生じる。すなわち、ワイヤのリフトケージを吊っている反対側にはカウンターウェイトがぶら下がっているので、一方にカウンターウエイトの力が作用し、反対側には張力が発生しなくなる。
このことは、特に、巻上装置が、駆動シーブにワイヤを巻きかけてフリクションで巻き上げと巻き下げをする形式である場合に、不具合を生ずることがある。例えば、駆動シーブとワイヤのフリクションが不足して、ワイヤの巻き上げまたは巻き下げが不安定になることがある。
近年、駐車数を増加するために格納棚の数を増加させた場合に、巻上装置が大きくならないように、この形式の巻き上装置を採用することがあり、この現象の発生を防止する事が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、簡易な構成で、安定して運転ができる駐車装置と昇降装置とを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両を駐車させる駐車装置を、上下方向に並んで車両を格納することをできる複数の格納棚を有する主構造体と、車両を乗せることをできるリフトケージと、第二連結部材と該第二連結部材に下側から当接可能であり該第二連結部材に当接する位置から下方向に相対移動可能になった第一連結部材と所定の付勢力を第一連結部材に下向きに作用させる付勢機構とを有する連結機構と、前記連結機構を介して前記リフトケージを前記格納棚に隣り合う昇降路の中に吊ることをできるワイヤと、前記ワイヤの巻き上げと巻き下げとをできる巻上装置と、を備え、第一連結部材がワイヤの一方の端部に固定され、第二連結部材がリフトケージに固定される、ものとした。
【0010】
上記本発明の構成により、主構造体の複数の格納棚が上下方向に並んで車両を格納することをでき、リフトケージが車両を乗せることをでき、連結機構の第一連結部材が前記第二連結部材に下側から当接可能であり前記第二連結部材に当接する位置から下方向に相対移動可能になっており、連結機構の付勢機構が所定の付勢力を第一連結部材に下向きに作用させ、ワイヤが前記連結機構を介して前記リフトケージを前記格納棚に隣り合う昇降路の中に吊ることをでき、巻上装置が前記ワイヤの巻き上げと巻き下げとをでき、第一連結部材がワイヤの一方の端部に固定され、第二連結部材がリフトケージに固定されるので、
車両を乗せた前記リフトケージをワイヤに吊って巻上装置で巻き上げと巻き下げをして、前記リフトケージを前記格納棚に沿って移動でき、前記第二連結部材が前記第一連結部材に当接されているときにワイヤの吊り力が前記第一連結部材と第二連結部材とを介して前記リフトケージを支持し、前記第二連結部材が前記第一連結部材からはなれているときに付勢力が第一連結部材を介してワイヤに張力を与え、ワイヤがたるむのを防止する。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両を昇降路の中で昇降させる昇降装置を、
車両を乗せることをできるリフトケージと、第二連結部材と該第二連結部材に下側から当接可能であり該第二連結部材に当接する位置から下方向に相対移動可能になった第一連結部材と所定の付勢力を第一連結部材に下向きに作用させる付勢機構とを有する連結機構と、前記連結機構を介して前記リフトケージを昇降路の中に吊ることをできるワイヤと、前記ワイヤの巻き上げと巻き下げとをできる巻上装置と、を備え、第一連結部材がワイヤの一方の端部に固定され、第二連結部材がリフトケージに固定される、ものとした。
【0012】
上記本発明の構成により、リフトケージが車両を乗せることをでき、連結機構の第一連結部材が該第二連結部材に下側から当接可能であり該第二連結部材に当接する位置から下方向に相対移動可能になっており、連結機構の付勢機構が所定の付勢力を第一連結部材に下向きに作用させ、ワイヤが前記連結機構を介して前記リフトケージを前記昇降路の中に吊ることをでき、巻上装置が前記ワイヤの巻き上げと巻き下げとをでき、第一連結部材がワイヤの一方の端部に固定され、第二連結部材がリフトケージに固定されるので、車両を乗せた前記リフトケージをワイヤに吊って巻上装置で巻き上げと巻き下げをして、前記リフトケージを昇降路の中で移動でき、前記第二連結部材が前記第一連結部材に当接されているときにワイヤの吊り力が前記第一連結部材と第二連結部材とを介して前記リフトケージを支持し、前記第二連結部材が前記第一連結部材からはなれているときに付勢力が第一連結部材を介してワイヤに張力を与え、ワイヤがたるむのを防止する。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明に係る車両を駐車させる駐車装置と昇降装置とは、その構成により、以下の効果を有する。
主構造体とリフトケージとワイヤと巻上装置とで構成される駐車装置において、リフトケージとワイヤとを連結機構を介して連結し、連結機構を第一連結部材と第二連結部材とに分けて、第一連結部材にワイヤを固定し、第二連結部材にリフトケージを固定し、第二連結部材に下側から第一連結部材を当接可能にし、第一連結部材に下向きに付勢力を作用させたので、車両を乗せた前記リフトケージをワイヤに吊って巻上装置で巻き上げと巻き下げをして、前記リフトケージを前記格納棚に沿って移動でき、前記第二連結部材が前記第一連結部材に当接しているときにワイヤの吊り力が前記第一連結部材と第二連結部材とを介して前記リフトケージを支持し、前記第二連結部材が前記第一連結部材からはなれているときに付勢力が第一連結部材を介してワイヤに張力を与え、ワイヤがたるむのを防止する。
リフトケージとワイヤと巻上装置とで構成される昇降装置において、リフトケージとワイヤとを連結機構を介して連結し、連結機構を第一連結部材と第二連結部材とに分けて、第一連結部材にワイヤを固定し、第二連結部材にリフトケージに固定し、第二連結部材に下側から第一連結部材を当接可能にし、第一連結部材に下向きに付勢力を作用させたので、車両を乗せた前記リフトケージをワイヤに吊って巻上装置で巻き上げと巻き下げをして、前記リフトケージを昇降路のなかで移動でき、前記第二連結部材が前記第一連結部材に当接しているときにワイヤの吊り力が前記第一連結部材と第二連結部材とを介して前記リフトケージを支持し、前記第二連結部材が前記第一連結部材からはなれているときに付勢力が第一連結部材を介してワイヤに張力を与え、ワイヤがたるむのを防止する。
従って、簡易な構成で、安定して運転ができる駐車装置と昇降装置とを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の正面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の斜視図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の平面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の正面断面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の部分図その1である。
【図6】本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の部分図その2である。
【図7】本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の作用図である。
【図8】本発明の第二の実施形態に係る駐車装置の部分図である。
【図9】本発明の第三の実施形態に係る駐車装置の部分図である。
【図10】本発明の第三の実施形態に係る駐車装置の作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る駐車装置のいくつかの実施形態を説明する。本発明は、以下に記載の実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組合わされた態様を含む。
【0016】
本発明の実施形態に係る駐車装置は、前記所定の付勢力が、車両を乗せていない前記リフトケージが前記ワイヤの吊り力のみによって支持された際に、前記リフトケージの重量により前記第二連結部材に作用する下向きの力よりも小さい。
上記実施形態の構成により、車両を乗せていない前記リフトケージが前記ワイヤの吊り力のみによって支持された際に、前記所定の付勢力が前記リフトケージの重量により前記第二連結部材に作用する下向きの力よりも小さいので、前記リフトケージが前記ワイヤの吊り力のみによって支持された際に、前記第一連結部材が下側から前記第二連結部材に当接し、ワイヤの吊り力が前記第一連結部材と第二連結部材とを介して前記リフトケージを支持する。
【0017】
また、本発明の実施形態に係る駐車装置は、前記付勢機構が、予め長さを変えて生じた弾性力を前記第一連結部材に下向きに作用させ前記第二連結部材に上向きに作用させる弾性ばねを持つ。
上記実施形態の構成により、弾性ばねが予め長さを変えて生じた弾性力を前記第一連結部材に下向きに作用させ前記第二連結部材に上向きに作用させので、軽量なばね構造で大きな付勢力を前記第一連結部材を介してワイヤに作用させることができる。
【0018】
また、本発明の実施形態に係る駐車装置は、前記付勢機構が、予め長さを変えて生じた弾性力を前記第一連結部材に下向きに作用させ前記第二連結部材に上向きに作用させる弾性ばねと該弾性ばねの予め変える長さを調整できる調整機構とをもつ。
上記実施形態の構成により、弾性ばねが予め長さを変えて生じた弾性力を前記第一連結部材に下向きに作用させ前記第二連結部材に上向きに作用させ、調整機構が該弾性ばねの長さを調整できるので、軽量な構造で、所望の大きさの付勢力を前記第一連結部材を介してワイヤに作用させることができる。
【0019】
また、本発明の実施形態に係る駐車装置は、前記付勢機構が、前記第一連結部材に吊るされたウエイトを持つ。
上記実施形態の構成により、ウエイトが前記第一連結部材に吊るされるので、ウエイトの重量を前記第一連結部材を介してワイヤに作用させることができる。
【0020】
また、本発明の実施形態に係る駐車装置は、前記第一連結部材が前記第二連結部材に当接する位置から下向きに相対移動したことを検知する検知手段を、備え、前記検知手段が前記第一連結部材の相対移動を検知すると前記巻上装置がワイヤを巻き下げるのを停止する。
上記実施形態の構成により、前記第一連結部材が第二連結部材に当接する位置から下向きに相対移動したことを検知すると前記巻上装置がワイヤを巻き下げるのを停止するので、ワイヤが必要以上に巻き下げられることを防ぐことをできる。
【0021】
また、本発明の実施形態に係る駐車装置は、前記リフトケージが複数の前記格納棚の内の一つの前記格納棚の横に並んだ際に前記リフトケージを前記主構造体により支持させるケージ支持装置、を備える。
上記実施形態の構成により、ケージ支持装置が前記リフトケージが複数の前記格納棚の内の一つの前記格納棚の横に並んだ際に前記リフトケージを前記主構造体により支持させるので、リフトケージと格納棚の間で車両を移載する際に、リフトケージが上下動をしない。また、その際にワイヤに付勢力が作用しており、前記ケージ支持装置が前記リフトケージの支持を外した際に、前記ワイヤの吊り力の変動が小さい。
【0022】
また、本発明の実施形態に係る駐車装置は、前記巻上装置が、前記ワイヤを巻きかけられて生じた摩擦力により前記ワイヤの巻き上げと巻き下げとを行なう駆動シーブと前記ワイヤの他方の端部に連結したカウンタウエイトとを有する。
上記実施形態の構成により、巻上装置の駆動シーブが前記ワイヤを巻きかけられて生じた摩擦力によりワイヤの巻き上げと巻き下げとを行ない、巻上装置のカウンタウェイトが前記ワイヤの他方の端部に連結しているので、前記ワイヤの一方の端部から前記駆動シーブの間に付勢力以上の力が作用し、前記駆動シーブと前記ワイヤの他方の端部との間にカウンタウェイトの重さが作用し、巻上装置の作動が安定する。
【0023】
以下に、本発明に係る昇降装置のいくつかの実施形態を説明する。本発明は、以下に記載の実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組合わされた態様を含む。
【0024】
本発明の実施形態に係る昇降装置は、前記所定の付勢力が、車両を乗せていない前記リフトケージが前記ワイヤの吊り力のみによって支持された際に、前記リフトケージの重量により前記第二連結部材に作用する下向きの力よりも小さい。
上記実施形態の構成により、車両を乗せていない前記リフトケージが前記ワイヤの吊り力のみによって支持された際に、前記所定の付勢力が前記リフトケージの重量により前記第二連結部材に作用する下向きの力よりも小さいので、前記リフトケージが前記ワイヤの吊り力のみによって支持された際に、前記第一連結部材が下側から前記第二連結部材に当接し、ワイヤの吊り力が前記第一連結部材と第二連結部材とを介して前記リフトケージを支持する。
【0025】
また、本発明の実施形態に係る昇降装置は、前記付勢機構が、予め長さを変えて生じた弾性力を前記第一連結部材に下向きに作用させ前記第二連結部材に上向きに作用させる弾性ばねを持つ。
上記実施形態の構成により、弾性ばねが予め長さを変えて生じた弾性力を前記第一連結部材に下向きに作用させ前記第二連結部材に上向きに作用させので、軽量なばね構造で大きな付勢力を前記第一連結部材を介してワイヤに作用させることができる。
【0026】
また、本発明の実施形態に係る昇降装置は、前記付勢機構が、予め長さを変えて生じた弾性力を前記第一連結部材に下向きに作用させ前記第二連結部材に上向きに作用させる弾性ばねと該弾性ばねの予め変える長さを調整できる調整機構とをもつ。
上記実施形態の構成により、弾性ばねが予め長さを変えられて生じた弾性力を前記第一連結部材に下向きに作用させ前記第二連結部材に上向きに作用させ、調整機構が該弾性ばねの長さを調整できるので、軽量な構造で、所望の大きさの付勢力を前記第一連結部材を介してワイヤに作用させることができる。
【0027】
また、本発明の実施形態に係る昇降装置は、前記付勢機構が、前記第一連結部材に吊るされたウエイトを持つ。
上記実施形態の構成により、ウエイトが前記第一連結部材に吊るされるので、ウエイトの重量を前記第一連結部材を介してワイヤに作用させることができる。
【0028】
また、本発明の実施形態に係る昇降装置は、前記第一連結部材が前記第二連結部材に当接する位置から下向きに相対移動したことを検知する検知手段を、備え、前記検知手段が前記第一連結部材の相対移動を検知すると前記巻上装置がワイヤを巻き下げるのを停止する。
上記実施形態の構成により、前記第一連結部材が第二連結部材に当接する位置から下向きに相対移動したことを検知すると前記巻上装置がワイヤを巻き下げるのを停止するので、ワイヤが必要以上に巻き下げられることを防ぐことをできる。
【0029】
また、本発明の実施形態に係る昇降装置は、前記リフトケージが昇降路で停止した際に前記リフトケージを昇降路に沿って設置された主構造体により支持させるケージ支持装置と、を備える
上記実施形態の構成により、ケージ支持装置が前記リフトケージが昇降路で停止した際に前記リフトケージを前記主構造体により支持させるので、リフトケージが上下動をしない。また、その際にワイヤに付勢力が作用しており、前記ケージ支持装置が前記リフトケージの支持を外した際に、前記ワイヤが前記リフトケージに作用する吊り力の変動が小さい。
【0030】
また、本発明の実施形態に係る昇降装置は、前記巻上装置が、前記ワイヤを巻きかけられて生じた摩擦力により前記ワイヤの巻き上げと巻き下げとを行なう駆動シーブと前記ワイヤの他方の端部に連結したカウンタウエイトとを有する。
上記実施形態の構成により、巻上装置の駆動シーブが前記ワイヤを巻きかけられて生じた摩擦力によりワイヤの巻き上げと巻き下げとを行ない、巻上装置のカウンタウェイトが前記ワイヤの他方の端部に連結しているので、前記ワイヤの一方の端部から前記駆動シーブの間に付勢力以上の力が作用し、前記駆動シーブと前記ワイヤの他方の端部との間にカウンタウェイトの重さが作用し、巻上装置の作動が安定する。
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0032】
最初に、本発明の第一の実施形態に係る駐車装置を、図を基に、説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の正面図である。図2は、本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の斜視図である。図3は、本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の平面図である。図4は、本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の正面断面図である。図5は、本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の部分図その1である。図6は、本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の部分図その2である。
【0033】
駐車装置は、車両1を駐車させる装置であり、パレット10と主構造体20と昇降装置とケージ支持装置70とで構成される。
昇降装置は、リフトケージ30とワイヤ40と巻上装置50と連結機構60とで構成される。
【0034】
パレット10は、車両1を乗せることのできる構造体である。パレットは、上から見て、略長四辺形の形状を持つ。パレットは短辺に沿って車輪を持ち、短辺に沿った方向に移動可能である。車両は、パレット10の長辺に沿った向きに自走して、パレット20の上に乗る。パレット10は、後述するリフトケージ30に設けられたパレットレール33と格納棚21との上に車輪を転動して、リフトケージ30と格納棚21との間を移動可能になっている。
車両1を駐車する際には、パレット10は、車両1を乗せて、格納棚21に格納される。
昇降路Hは、入出庫スペースSを含んで上下方向に延びる空間である。
例えば、地上に据付けられる駐車装置では、入出庫スペースSは地面に設けられ、昇降路Hが、入出庫スペースSの上方に設けられる。
車両1を入出庫する際には、パレット10は、リフトケージ30に乗って、昇降路Hを昇降して、入出庫スペースSと格納棚21の横との間を移動する。
【0035】
主構造体20は、駐車装置の建屋の骨格であり、N個の格納棚21と柱22と梁23と2N個の支持部材24とで構成される。
複数の格納棚21は、上下方向に並んで車両1を格納することをできる棚である。
例えば、格納棚21は、パレット10の車輪が転動するパレットレールである。
通常、格納棚21は、昇降路Hの左右に配置される。
柱22は、格納棚21を支持する構造部材である。
梁23は、柱22を左右に繋ぐ構造部材である。
支持部材24は、リフトケージ30を昇降路Hの中の格納棚21の横に位置決めするために、後述するケージ支持装置70の作用よりリフトケージ30を支持する部材である。
支持部材24は、昇降路Hの左右に建てられた柱22に固定される。
【0036】
リフトケージ30は、車両1を乗せることをできる装置であり、リフトケージ構造体31と移載装置32とパレットレール33とで構成される。
リフトケージ構造体31は、上から見て矩形に配された長手の横部材31aと矩形の四隅に固定され縦方向に延びる縦部材31bとでできた構造体である。
移載装置32は、パレット10をリフトケージ30の上と格納棚21との間で移載できる装置である。
例えば、移載装置32は、チェーン駆動して左右方向に移動できるクランプを持つ。移載装置32は、パレット20に係止したクランプを左右方向に移動し、パレット20を格納棚21からパレットレール33へ移動し、パレットレール33から格納棚21へ移動する。
パレットレール33は、パレット10の車輪が転動できる1対の長手部材である。左右方向に延びるパレットレール33が、リフトケージ構造体31の横部材31aに固定される。
【0037】
ワイヤ40は、後述する連結機構60を介してリフトケージ30を昇降路Hの中に吊ることをできる機械要素である。
ワイヤ40の一方の端部が、リフトケージ30の縦部材31bに連結機構60を介して結合する。
ワイヤ40の中間が、巻上装置50に巻きかけられる。ワイヤ40の一方の端部が、昇降路Hの中を上下移動する。ワイヤ40の他方の端部が、主構造体に沿って上下移動する。
例えば、各3本のワイヤを一組とする。4組のワイヤの一方の端部が、各々連結機構60を介して縦部材31bに連結する。合計12本のワイヤは、巻上装置50のシーブに巻きかけられる。カウンタウェイト56が、合計12本のワイヤの他方の端部に連結される。
【0038】
巻上装置50は、昇降路Hの中をワイヤ40の巻き上げと巻き下げとをできる装置であり、巻上シーブ51と駆動シーブ52とアイドルシーブ53と減速機54と巻上モータ55とカウンタウェイト56とで構成される。
巻上シーブ51は、リフトケージ30の四隅から立ち上がるワイヤ40を昇降路Hの上部に巻きかけ、駆動シーブ52に誘導するシーブである。
駆動シーブ52は、ワイヤ40を巻きかけられて生じた摩擦力によりワイヤ40の巻き上げと巻き下げとを行なうシーブである。駆動シーブ52が回転すると、摩擦力がワイヤ40を引っ張る。
アイドルシーブ53は、駆動シーブ52に隣り合って空転し、駆動シーブ52でのワイヤの巻きかけ角度を大きくするシーブである。
減速機54は、入力軸の回転を減速して駆動シーブ52に連結する出力軸を回転させる機械要素である。
巻上モータ55は、減速機54の入力軸を回転させる機械要素である。
【0039】
連結機構60は、ワイヤ40の一方の端部をリフトケージ30に連結する機構であり、第一連結部材61と第二連結部材62と付勢機構63と検知手段64とで構成される。
【0040】
第一連結部材61は、後述する第二連結部材62に下側から当接可能であり、第二連結部材62に当接する位置から下方向に相対移動可能になった部材である。第一連結部材61は、ワイヤの一方の端部に固定される。
例えば、第一連結部材61は、第一ブロック61aと第一ロッド61bと第一ワイヤ結合部材61cとで構成される。
第一ブロック61aは、6面体のブロックであり、第一ロッド61bの下端が固定される。
第一ロッド61bは、上下に伸びるロッドであり、後述する第二連結部材62に上下方向に移動自在に案内される。
第一ワイヤ結合部材61cは、第一ロッド61bの上方の端部に固定され、ワイヤ40の一方の端部を結合する部材である。
第一ブロック61aが、リフトケージ30の総重量の略1/4の重さを支える。
空車時のリフトケージ30の総重量は、リフトケージ30単体の重量である。
実車字のリフトケージ30の総重量は、リフトケージ30単体の重量とパレットと車両の総合計である。
第一ブロック61aに作用した力は、第一ロッド61bと第一ワイヤ結合部材61cとを介して、ワイヤ40に伝わる。
【0041】
第二連結部材62は、リフトケージ30に固定される。
例えば、第二連結部材62は、第二下部ブロック62aと第二上部ブロック62bと第二円筒部材62cとで構成される。
第二下部ブロック62aは、リフトケージ30の縦部材31bに固定されるブロックである。第二下部ブロック62aは、上下方向に下部貫通穴が設けられる。後述する弾性ばね63aが、下部貫通穴を上下方向に貫通できる。さらに、第一ブロック61aの上面が、第二下部ブロック62aの下面に当接可能である。例えば、第一ブロック61aの四辺形の上面の四隅が、第二下部ブロック62aに当接できる。
第二上部ブロック62bは、第二下部ブロック62aの上部に配置され、リフトケージ30の縦部材31bに固定される。第二上部ブロック62bは、上下方向に上部貫通穴が設けられる。第一ロッド61bが、上部貫通穴を貫通し、上下方向に移動自在である。
第二円筒部材62cは、第二下部ブロック62aと第二上部ブロック62bとを繋ぐ円筒部材である。後述する弾性ばね63aが、第二円筒部材62cの中空空間に納められる。
【0042】
従って、第二下部ブロック62aの下面が第一ブロック61aの上面に当接する。
説明の便宜上、図5乃至図6において、第二下部ブロック62aの下面を基準位置Lとして説明する。
第一ブロック61aの上面が所定の基準位置Lに位置する際に、第二連結部材62は下側から第一連結部材61に当接する。
第一ブロック61aの上面が所定の基準位置Lより下側に位置する際に、第二連結部材62は第一連結部材61の下側への相対移動を自由にする。
【0043】
付勢機構63は、所定の付勢力を第一連結部材61に下向きに作用させる機構である。
例えば、付勢機構63は、予め長さを自由長さから変えて生じた弾性力を第一連結部材61に下向きに作用させ、第二連結部材62に上向きに作用させる弾性ばね63aを持つ。
例えば、予め圧縮された弾性ばね63aが、第二円筒部材62cの中に格納される。弾性ばね63aの上端が第二上部ブロック62bの下部に当接し、弾性ばね63aの上向きの予圧縮力が第二上部ブロック62bに作用する。弾性ばね63aの下端が第一ブロック61aの上部に当接し、弾性ばね63aの下向きの予圧縮力が第一連結部材61に作用する。
【0044】
所定の付勢力が、車両1を乗せていないリフトケージ30がワイヤ40の吊り力のみによって支持された際に、リフトケージ30の重量により第二連結部材62に作用する下向きの力よりも小さくてもよい。
4個の連結機構60がリフトケージ30の四隅の縦部材31bの各々に連結しており、車両1の乗っていないリフトケージの重量W0がほぼ均等に4個の連結機構60に作用している場合には、弾性ばね63aの予圧縮力を1/4×W0より小さくする。
この様にすると、リフトケージ30がワイヤ40の吊り力のみのよって吊られる場合、第一ブロック61aの上面が第二下部ブロック62aの下面に当接する。リフトケージ30が後述するケージ支持装置70の作用により主構造体20に支持される場合、第一ブロック61aの上面が第二下部ブロック62aの下面から離れて、ワイヤ40には弾性ばね63aの予圧縮力に相当する引っ張り力が作用する。
【0045】
検知手段64は、第一連結部材61が第二連結部材62に当接する位置から下側へ相対移動したことを検知する手段である。検知手段64が第一連結部材61の相対移動を検知すると巻上装置50がワイヤを巻き下げるのを停止する。
例えば、検知手段64は、第一ブロック61aが第二下部ブロック62aから離れて下側にΔLだけ移動した時に接点がオンオフする様に調整されたリミットスイッチである。
この様にすると、リフトケージ30が後述するケージ支持装置70の作用により主構造体20により支持される場合、第一ブロック61aの上面が第二下部ブロック62aの下面から離れてΔLだけ下降した位置で、第一連結部材61が停止する。
従って、リフトケージ30が後述するケージ支持装置70の作用により主構造体20に支持される場合には、ワイヤ40に付勢手段の付勢力が常に作用し、駆動シーブ52の作動の安定を維持できる。
【0046】
ケージ支持装置70は、リフトケージが複数の格納棚21の内の一つの格納棚21の横に並んだ際にリフトケージ30を主構造体20により支持させる装置である。
例えば、ケージ支持装置70は、揺動部材71と揺動支持部材72と係止部材73と引張ばね74と揺動ケーブル75と支持姿勢確認スイッチ76と退避姿勢確認スイッチ77と揺動アクチエータ78とで構成される。
揺動部材71は、中央部を揺動中心として支持姿勢と退避姿勢との間で揺動できる略L字型の部材である。支持姿勢では、揺動部材71のL字型の一方の端部が縦部材31bの外側に突き出し、揺動部材71のL字型の他方の端部が係止部材73に当接する。揺動部材71のL字型の一方の端部は、主構造体20の支持部材34の上面に係止することができる。
揺動部材71が支持部材34に係止すると、リフトケージの重量による上向きの力が揺動部材71のL字型の一方の端部に作用し、係止部材73が揺動部材71のL字型の一方の端部を支える。退避姿勢では、揺動部材71のL字型の一方の端部が縦部材31bの内側へ引っ込む。
揺動支持部材72は、揺動部材71をその中央部を回転中心として揺動自在に支持する部材であり、縦部材31bに固定される。
係止部材73は、支持姿勢にある揺動部材71を支える部材であり、縦部材31bに固定される。
引張ばね74は、揺動部材71を退避姿勢になるように引っ張るばねであり、一端を揺動部材71に固定され、他端を縦部材31bに固定される。
揺動ケーブル75は、揺動部材71を支持姿勢になるように引っ張ることのできるケーブルであり、一端を揺動部材71に固定され、他端を後述する揺動アクチエータ78に固定される。
支持姿勢確認スイッチ76は、揺動部材71が支持姿勢にあるときの接点がオンオフするリミットスイッチである。
退避姿勢確認スイッチ77は、揺動部材71が退避姿勢にあるときの接点がオンオフするリミットスイッチである。
揺動アクチエータ78は、揺動ケーブル75を引っ張ることのできるアクチエータであある。揺動アクチエータ78は、リフトケージ30に固定される。
従って、揺動アクチエータ78が、揺動ケーブル75を引っ張ると揺動部材71が支持姿勢になり、支持姿勢確認スイッチ76の接点がオンオフする。揺動アクチエータ78が、揺動ケーブル75を弛めると揺動部材71が退避姿勢になり、退避姿勢確認スイッチ77の接点がオンオフする。
【0047】
次に、本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の作用を、図を基に、説明する。
図7は、本発明の第一の実施形態に係る駐車装置の作用図である。
説明の容易のために、複数のワイヤを1本のワイヤで代表し、4個の連結機構を1個の連結機構で代表して説明する。
付勢機構63の付勢力は、弾性ばねの長さをH1に予圧縮させた際の予圧縮力F1である。
予圧縮力F1は、空車状態のリフトケージ30の総重量Wより小さい。
空車のときのリフトケージの総重量Wは、W0である。
実車のときのリフトケージの重量総Wは、W0+W1である。ここで、W1は、パレットと車両1の重量の合計である。
【0048】
図7の(A)は、ワイヤ40がリフトケージ30を昇降路Hで昇降させているときの状態を模式的に示している。
ワイヤ40がリフトケージ30の総重量Wを吊っている。第一連結部材61が第二連結部材62に下側から当接する。付勢機構(弾性ばね)63は圧縮されて、H1の長さになっている。
この状態で、リフトケージの総重量Wが、第一連結部材61と第二連結部材62とを介して、ワイヤ40につたわる。
このときのワイヤの張力T1とリフトケージの総重量Wの関係は以下の通りになる。
T1=W
ワイヤが昇降路Hに沿ってリフトケージ30を昇降させると、付勢機構(弾性ばね)の付勢力(弾性力)は、リフトケージ30の動きになんら影響を与えない。
【0049】
図7の(B)は、ワイヤ40に吊ったリフトケージ30がケージ支持装置70により主構造体20に着床しかけている状態である。
ワイヤ40に作用する引っ張り力がWから小さくなり、ケージ支持装置70により支持する力が大きくなる。
このときのワイヤの張力T2とリフトケージ30の総重量Wと主構造体の支持力Pの関係は以下の通りになる。
T2=WーP
T2が予圧縮力F1より大きい間は、第一連結部材61が第二連結部材62に下側から当接する。付勢機構(弾性ばね)63は圧縮されて、H1の長さになっている。
【0050】
図7の(C)は、ワイヤ40に吊ったリフトケージ30がケージ支持装置70により主構造体20に着床した状態である。
第一連結部材61は、第二連結部材62から下側へ離れて止まっている。
ワイヤ40に作用する引っ張り力T3は、付勢機構(弾性ばね)の予圧縮力F1に等しくなる。
T3=F1
このとき、ケージ支持装置により主構造体20がリフトケージ30を支持する力Pは以下の通りとなる。
P=WーF1
ここで、実際の付勢機構(弾性ばね)の予圧縮力は、長さが伸びたことで、ΔL×Kだけ小さな値になっているが、説明上は無視した。ここでKは、弾性ばねのばね定数である。
【0051】
ケージ支持装置70により主構造体20に支持されたリフトケージ30をワイヤ40のみで吊る際は、図7の(C)から(A)の状態に変化する。
この様になるので、ワイヤに係る張力はT3からT1へ変化し、少なくともF1を下回ることがない。
従って、巻上装置50の駆動シーブ52に巻きかけられたワイヤ40の張力が一定の値以上を維持し、常に巻上装置50が安定してワイヤを巻上げまたは巻き下げする。
【0052】
次に、本発明の第二の実施形態に係る駐車装置を、図8を基に、説明する。
駐車装置は、車両1を駐車させる装置であり、パレット10と主構造体20とリフトケージ30とワイヤ40と巻上装置50と連結機構60とケージ支持装置70とで構成される。
第二の実施形態に係る駐車装置の構造は、連結機構60の構造を除いて、第一の実施形態に係る駐車装置のものと同じなので、異なる点のみを説明する。
【0053】
連結機構60は、ワイヤ40の一方の端部をリフトケージ30に連結する機構であり、第一連結部材61と第二連結部材62と付勢機構63と検知手段64とで構成される。

連結機構60の構造は、付勢機構63を除いて、第一の実施形態に係る駐車装置のものと同じであるので、異なる点のみを説明する。
【0054】
付勢機構63は、所定の付勢力を第一連結部材61に下向きに作用させる機構である。
例えば、付勢機構63は、予め長さを自由長さから変えて生じた弾性力を第一連結部材61に下向きに作用させ第二連結部材62に上向きに作用させる弾性ばね63aと、弾性ばねの予め変える長さを調整できる調整機構63bとを持つ。
弾性ばね63aの構造は、第一の実施形態に係る駐車装置のものと同じである。
例えば、調整機構63bは、第二上部ブロック62bに設けられた押しボルトである。
押しボルトをねじ込むと、弾性ばねの予圧縮する長さを変更し、予圧縮力を所望の値にすることができる。
リフトケージ30の重量によってリフトケージ30の四隅に設けられた連結機構に作用する力は、必ずしも均等でない。また弾性ばねの諸元も製造工程の相違によりばらつく。
従って、調整機構63bがあると、四隅に設けられた連結機構60にセットする付勢力をそれぞれに最も好ましい値に調整できる。
【0055】
本発明の第二の実施形態に係る駐車装置の作用は、第一の実施形態に係る駐車装置の作用と同一であるので、説明を省略する。
【0056】
次に、本発明の第三の実施形態に係る駐車装置を、図9及び図10を基に、説明する。
駐車装置は、車両1を駐車させる装置であり、パレット10と主構造体20とリフトケージ30とワイヤ40と巻上装置50と連結機構60とケージ支持装置70とで構成される。
本発明の第三の実施形態に係る駐車装置の構造は、連結機構60の構造を除いて、第一の実施形態に係る駐車装置のものと同じなので、異なる点のみを説明する。
【0057】
連結機構60は、ワイヤ40の一方の端部をリフトケージ30に連結する機構であり、第一連結部材61と第二連結部材62と付勢機構63と検知手段64とで構成される。
連結機構60の構造は、付勢機構63を除いて、第一の実施形態に係る駐車装置のものと同じであるので、異なる点のみを説明する。
【0058】
付勢機構63は、所定の付勢力を第一連結部材61に下向きに作用させる機構である。
例えば、付勢機構63は、第一連結部材61に吊るされたウエイト65を持つ。
ウエイト65の重量が、付勢力として第一連結部材に下向きに作用する。
ウエイトの重量は、巻上装置50が安定してワイヤ40を巻上げて巻き下げるのに必要なワイヤの張力である。
【0059】
次に、本発明の第三の実施形態に係る駐車装置の作用を、図を基に説明する。
図10は、本発明の第三の実施形態に係る駐車装置の作用図である。
説明の容易のために、複数のワイヤを1本のワイヤで代表し、4個の連結機構を1個の 連結機構で代表して説明する。
付勢機構63の付勢力は、ウエイト65の重量である
空車のリフトケージの重量総Wは、W0である。
実車のときリフトケージの重量総Wは、W0+W1である。ここで、W1は、パレット10と車両1の重量の合計である。
【0060】
図10の(A)は、ワイヤ40がリフトケージ30を昇降路で昇降させているときの状態を模式的に示している。
ワイヤ40がリフトケージ30の総重量Wを吊っている。第一連結部材61が第二連結部材62に下側から当接する。
この状態で、リフトケージの総重量Wが、第一連結部材61と第二連結部材62とを介して、ワイヤ40につたわる。
このときのワイヤの張力T1とリフトケージの総重量Wの関係は以下の通りになる。
T1=W
ワイヤが昇降路Hに沿ってリフトケージ30を昇降させると、付勢装置(弾性ばね)の弾性力は、リフトケージ30の動きになんら影響を与えない。
【0061】
図10の(B)は、ワイヤ40に吊ったリフトケージ30がケージ支持装置70により主構造体20に着床しかけている状態である。
ワイヤ40に作用する引っ張り力がWから小さくなり、ケージ支持装置70により支持する力が大きくなる。
このときのワイヤの張力T2とリフトケージ30の総重量Wと主構造体20の支持力Pの関係は以下の通りになる。
T2=WーP
T2がウエイト重量F2より大きい間は、第一連結部材61が第二連結部材62に下側から当接する。
【0062】
図7の(C)は、ワイヤ40に吊ったリフトケージ30がケージ支持装置70により主構造体20に着床した状態である。
第一連結部材61は、第二連結部材62から下側へ離れて止まっている。
ワイヤ40に作用する引っ張り力T3は、ウエイト重量F2に等しくなる。
T3=F1
このとき、ケージ支持装置により主構造体20がリフトケージ30を支持する力Pは以下の通りとなる。
P=W
【0063】
ケージ支持装置70により主構造体20に支持されたリフトケージ30をワイヤ40のみで吊る際は、図7の(C)から(A)の状態に変化する。
この様になるので、ワイヤに係る張力はT3からT1へ変化し、少なくともF2を下回ることがない。
従って、巻上装置50の駆動シーブ52に巻きかけられたワイヤ40の張力が一定の値以上を維持し、常に巻上装置50が安定してワイヤを巻上げまたは巻き下げする。
【0064】
上述の実施形態の駐車装置と駐車装置用リフタとを用いれば、以下の効果を発揮する。
パレット10と主構造体20とリフトゲージ30とワイヤ40と巻上装置50とで構成される駐車装置において、連結機構60がワイヤに固定された第一連結部材61とリフトケージ30に固定された第二連結部材62と付勢機構63とで構成され、第一連結部材61が第二連結部材62に下側から当接可能であり第二連結部材62に当接する位置から下方向に相対移動可能になっており、付勢機構63が所定の付勢力を第一連結部材61に下向きに作用させる様にしたので、車両1を乗せたリフトケージ30をワイヤ40に吊って巻上装置50で巻き上げと巻き下げをして、リフトケージ30を格納棚21に沿って移動できる。また、第二連結部材62が第一連結部材61に当接されているときにワイヤ40の吊り力が第一連結部材61と第二連結部材62とを介してリフトケージ30を支持し、第二連結部材62が第一連結部材61からはなれているときに付勢力が第一連結部材61を介してワイヤ40に張力を与え、ワイヤがたるむのを防止できる。
また、パレット10に乗った車両1をリフトケージ30と格納棚21との間で移載する際に、リフトケージの総重量が大きな重量変化をしても、ワイヤに伸びの変動が少なく、安定して巻上装置50が作動する。
巻上装置50が、ワイヤを駆動シーブに巻きかけ、ワイヤの張力により生ずる摩擦力によりワイヤを巻上げ、巻き下げる形式である場合に、ワイヤの張力を一定の値以上に維持できるので、安定して運転できる。
上記の形式の巻上装置を採用できれば、上下に並べる格納棚の数が増えて、ワイヤの長さが長くなっても、駆動シーブを大きくする必要がなく、巻上装置の大きさをコンパクトにすることができる。
また、所定の付勢力が、車両1を乗せていないリフトケージ30がワイヤ40の吊り力のみによって支持された際にリフトケージ30の重量によって第二連結部材62に作用する力よりも小さい様にしたので、リフトケージ30をワイヤ40の吊り力のみによって支持した際に、第一連結部材61は付勢力に逆らって上方に移動して第二連結部材に当接するので、ワイヤの吊り力が第一連結部材と第二連結部材を介してリフトケージに伝わる。
また、付勢機構を弾性ばねで構成し、第一連結部材と第二連結部材との間に仕込んだので、軽量で簡易な構造で付勢機構を構成できる。
また、弾性ばねの予圧縮力を調整できる調整機構を備えたので、付勢力を調整できる。
また、付勢力をウエイト65で発生させる様にしたので、簡易な構造で第一連結部材61に付勢力を作用させることができる。
また、第一連結部材61が第二連結部材62に当接する位置から相対移動したことを検知すると、巻上装置50がワイヤ40を巻き下げるのを停止する様にしたので、ワイヤ40が必要以上に巻き下げられることを防ぐことをできる。
また、ケージ支持装置70がリフトケージ30が昇降路Hで停止した際にリフトケージ30を主構造体20により支持させる様にしたので、リフトケージ30が上下動をしない。また、その際にワイヤに付勢力が作用しており、ケージ支持装置70がリフトケージ30の支持を外した際に、ワイヤ40がリフトケージ30−に作用する吊り力の変動が小さい。
【0065】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
弾性ばねを圧縮ばねであるとして説明したが、これに限定されず、引っ張りばねであってもよい。
検知手段を第一連結部材の動きにより作動するリミットスイッチであるとして説明したが、これに限定されず、例えば、揺動部材が支持部材に当たることを検知するリミットスイッチを用い、リミットスイッチの接点が作動してから巻上装置を停止させてもよい。
ケージ支持装置を、揺動部材を支持部材に乗せる形式としたが、揺動部材を左右に摺動する摺動部材に変えて、摺動部材が支持部材に嵌合する構造としても良い。
【符号の説明】
【0066】
S 入出庫スペース
H 昇降路
L 基準位置
ΔL 下降距離
1 車両
10 パレット
20 主構造体
21 格納棚
22 柱
23 梁
24 支持部材
30 リフトケージ
31 リフトケージ構造体
31a 横部材
31b 縦部材
32 移載装置
33 パレットレール
40 ワイヤ
50 巻上装置
51 巻上シーブ
52 駆動シーブ
53 アイドルシーブ
54 減速機
55 巻上モータ
56 カウンターウエイト
60 連結機構
61 第一連結部材
61a 第一ブロック
61b 第一ロッド
61c 第一ワイヤ結合部材
62 第二連結部材
62a 第二下部ブロック
62b 第二上部ブロック
62c 第二円筒部材
63 付勢機構
63a 弾性ばね
63b 調整機構
64 検知手段
65 ウエイト
70 ケージ支持装置
71 揺動部材
72 揺動支持部材
73 係止部材
74 引張ばね
75 揺動ケーブル
76 支持姿勢確認スイッチ
77 退避姿勢確認スイッチ
78 揺動アクチエータ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開平7−166732号
【特許文献2】特開平6−129132号
【特許文献3】実開平7−040930号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駐車させる駐車装置であって、
上下方向に並んで車両を格納することをできる複数の格納棚を有する主構造体と、
車両を乗せることをできるリフトケージと、
第二連結部材と該第二連結部材に下側から当接可能であり該第二連結部材に当接する位置から下方向に相対移動可能になった第一連結部材と所定の付勢力を第一連結部材に下向きに作用させる付勢機構とを有する連結機構と、
前記連結機構を介して前記リフトケージを前記格納棚に隣り合う昇降路の中に吊ることをできるワイヤと、
前記ワイヤの巻き上げと巻き下げとをできる巻上装置と、
を備え、
第一連結部材がワイヤの一方の端部に固定され、
第二連結部材がリフトケージに固定される、
ことを特徴とする駐車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−80360(P2011−80360A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12477(P2011−12477)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【分割の表示】特願2005−48(P2005−48)の分割
【原出願日】平成17年1月4日(2005.1.4)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)