説明

駐車装置の作業床装置とこれを備える駐車装置

【課題】点検作業時に、作業床を所定の格納場所からリフト上に移動させ、これを足場として利用できるようにする駐車装置の作業床装置を提供する。
【解決手段】入庫した車両が格納される駐車棚3と、該駐車棚3の横方向に位置し上下方向に延びる昇降路5と、該昇降路5を昇降し駐車棚3との間で車両が受け渡されるリフト7と、を備える駐車装置の作業床装置10であって、駐車棚3の下部または上部に配置される2本以上の水平な作業床積載レール11と、該作業床積載レール11上に載せられる車輪13aを有する作業床13と、リフト7に対し着脱可能な2本以上の水平な取付用レール15と、を備え、リフトが、該リフトに取り付けられた取付用レールと作業床積載レールとを同じ高さにする昇降位置となった時に、作業床積載レールの延長上に取付用レールが位置し、これにより、作業床が作業床積載レールと取付用レールとの間を移動可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車装置の作業床装置とこれを備える駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来における駐車装置の構成を示す概略切断正面図である。図8に示すように、駐車装置は、駐車棚3、昇降路5、リフト21を備える。
駐車棚3は、駐車装置に入庫してきた車両が格納されるスペースである。昇降路5は、駐車棚3と横方向に隣接し上下方向に延びている。リフト21は、昇降路5を昇降し駐車棚3との間で車両が受け渡される。リフト21は、例えば、チェーン23(符号23はワイヤロープであってもよいが、以下において、符号23はチェーンであるとして説明する)により吊り下げられ、昇降路5の上部に設けられた巻上装置25がチェーン23の巻上げ・巻き出しを行うことで、昇降させられる。また、リフト21と各駐車棚3には、リフト21と駐車棚3との間で、車両積載用パレット27を横行させる横行駆動装置9(駆動車輪9)が設けられている。符号29は、紙面手前側に設けられる入庫口を示し、入庫口29から前後方向(即ち、紙面と垂直方向)に移動してきた入庫車両がリフト21に積載される。なお、入庫口29から車両を出庫させることもできる。
【0003】
上述の車両積載用パレット27が、トレイ形式のパレット、即ち、その上面全体が閉じられた形式のパレットである場合には、駐車装置の点検作業時に、この車両積載用パレットを作業員の足場として利用することができる。
【0004】
一方、上述の車両積載用パレット27が、くし歯式パレットである場合には、次のように、作業員の足場としてこの車両積載用パレットを利用することができず、点検作業時の足場とする作業床を別途用意する必要がある。
【0005】
図9は、くし歯式パレット27を使用する駐車装置の構成を示す概略切断正面図であり、図10は、図9のX−X線矢視図である。この駐車装置の構成は、パレットを横方向(即ち、図9の左右方向)に横行させる横行駆動装置を設ける箇所と、車両積載用パレットおよびリフトの構成とが図8の場合と異なる。パレットの横行駆動装置9は、各階において、駐車棚3と昇降路5に設けられ、各横行駆動装置9は、駐車装置の構造体1に固定された一対のフレーム9aと、フレーム9aに設けられくし歯式パレット27を横行させる複数の駆動車輪9bとからなる。
くし歯式リフト7がくし歯式パレット27を上下方向に通過できるように、くし歯式パレット27とくし歯式リフト7は、例えば図10に示す構成となっている。くし歯式リフト7は、横方向(即ち、図10の左右方向)に間隔をおいて配置された一対のフレーム7aと、これらフレーム7aから横方向に延び前後方向(即ち、図10の上下方向)に間隔をおいて設けられた複数のくし歯部材7bとを有する。一方、くし歯式パレット27は、くし歯部材7bの先端同士の横方向間隔より小さい横幅を有するフレーム27aと、該フレーム27aから横方向に延び前後方向に間隔を置いて設けられた複数のくし歯部材27bとを有する。
図9の駐車装置の他の部分の構成は、図8の構成と同じであってよい。なお、図9、図10において、リフト7を安定して昇降させるために、リフト7の一部が嵌合されるガイドレール(図示せず)が、例えば各チェーン23位置にて上下方向に延びている。
【0006】
図9、図10の構成を持つ駐車装置の入庫動作は次のように行われる。
まず、入庫口29から前後方向に進入してきた車両がリフト7に載る。この時、車両のタイヤがリフト7のくし歯部材7bに載った状態となる。
次いで、このリフト7を車両格納対象の駐車棚3の横行駆動装置9よりも上昇させる。
その後、くし歯式パレット27を横行駆動装置9により当該駐車棚3からリフト昇降路5へ横行させる。
続いて、昇降路5に横行させられた当該くし歯式パレット27よりもくし歯式リフト7が下降することで、くし歯式リフト7のくし歯部材7bが、くし歯式パレット27のくし歯部材27bの間を上下方向に通過し、これにより、リフト7上の車両のタイヤが、リフト7のくし歯部材7bからくし歯式パレット27のくし歯部材27bへ乗り移る。
その後、横行駆動装置9により、車両が積載されたくし歯式パレット27を駐車棚3へ横行させることで、車両が駐車棚3へ格納される。
なお、出庫動作は上記と逆の動作により行ってよい。
【0007】
上記のようなくし歯式駐車装置の場合には、くし歯式パレットもくし歯式リフトも、その大部分が上下方向に開口しているため、点検作業時に、これらを作業員の足場として利用できず、足場となる作業床を別途用意する必要がある。
【0008】
くし歯式パレットを使用する駐車装置に、別途設けられる作業床は、例えば特許文献1に記載されている。図11(A)は、特許文献1の構成を示す図である。図11(A)に示すように、作業床として機能する組立式ゴンドラ31を横行台車33に積載し、この横行台車33を一対の固定レール35上に横行可能に設置している。横行台車33には、一対の固定レール35上を走行可能な車輪が設けられ、当該車輪を駆動することにより横行台車33が駐車棚3の側と昇降路5との間を横行する。
【0009】
特許文献1において、組立式ゴンドラ31を使用する場合には次のように動作する。
まず、図11(A)の状態から横行台車33の車輪が駆動させられることにより、組立式ゴンドラ31を載せた横行台車33が昇降路5に横行移動させられる(図11(B)の状態)。
次いで、図11(C)に示すように、リフト37を下方から上昇させることで、組立式ゴンドラ31をリフト37上にすくい上げる。なお、リフト37が昇降して横行台車33を通過する時に、横行台車33とリフト37とは互いに干渉しないようになっている。
その後、図12(A)に示すように、横行台車33を駐車棚3側へ横行移動させることで、昇降路5を開放する。
続いて、図12(B)に示すように、組立式ゴンドラ31が載置されたリフト37を自動車乗込レベルまで下降させ、図12(C)に示すように、組立式ゴンドラ31に取り付けられている折り畳み式手摺31aを矢印Eの如く起立させ固定する。
【特許文献1】特開平10−88787号公報 「エレベータ式駐車装置における組立式ゴンドラ」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1の場合には、組立式ゴンドラ31だけでなく横行台車33を設けるので、これらの格納スペースが大きくなる。また、特許文献1では、横行台車33を昇降路5側に移動させた後、点検作業を開始する前に、昇降路5を開放するため、上述の図12(A)のように横行台車33を駐車棚3の側に戻す動作が必要になる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、くし歯式パレットなどその大部分が開口している車両積載用パレットを使用する場合において、横行台車の格納スペース、および、点検作業開始前に横行台車を駐車棚側に戻す動作を必要とせずに、点検作業時に、作業床を所定の格納場所からリフト上に移動させ、これを足場として利用できるようにする駐車装置の作業床装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、上記作業床装置を備える駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明によると、入庫した車両が格納される駐車棚と、該駐車棚の横方向に位置し上下方向に延びる昇降路と、該昇降路を昇降し前記駐車棚との間で車両が受け渡されるリフトと、を備える駐車装置の作業床装置であって、
前記駐車棚の下部または上部に配置される2本以上の水平な作業床積載レールと、
該作業床積載レール上に載せられる車輪を有する作業床と、
前記リフトに対し着脱可能な2本以上の水平な取付用レールと、を備え、
前記リフトが、該リフトに取り付けられた取付用レールと前記作業床積載レールとを同じ高さにする昇降位置になった時に、前記作業床積載レールの延長上に取付用レールが位置し、これにより、前記作業床が作業床積載レールと取付用レールとの間を移動可能になっている、ことを特徴とする駐車装置の作業床装置が提供される。
【0013】
上記構成では、前記駐車棚の下部または上部に設けられる作業床積載レールと、リフトに取り付けられた取付用レールとの間を作業床が移動可能になっているので、駐車装置の点検作業時に、駐車棚の上部または下部に格納された作業床積載レール上の作業床を、例えば、作業員が、リフトに取り付けられた取付用レールに向けて押すことで、作業床を作業床積載レールから取付用レールへ移動させることができる。このように、リフトに積載された作業床を点検作業の足場として利用でき、リフトと共に昇降される作業床上で作業員が駐車装置の点検作業を行うことができる。
しかも、作業床自体に車輪を設けたので、駐車棚の側から作業床を昇降路へ移動させる横行台車を省略できる。従って、横行台車の格納スペース、および、点検作業開始前に横行台車を駐車棚側に戻す動作を無くすことができる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によると、前記作業床および取付用レールには上下方向に貫通する貫通孔が形成されており、
前記リフトの構成部材の上面には係止孔が形成されており、
前記リフトに取付用レールが取り付けられ、該取付用レールの上に前記作業床が載っている状態において、上方から作業床の前記貫通孔と取付用レールの前記貫通孔を通して、前記リフトの係止孔に挿入される係止ピンを備える。
【0015】
上記構成では、リフトに取付用レールが取り付けられ、該取付用レールの上に作業床が載っている状態において、上方から作業床の貫通孔と前記取付用レールの貫通孔を通して、リフトの係止孔に係止ピンが挿入されるので、貫通孔、係止孔および係止ピンという簡単な構成で、水平方向に関して作業床をリフトに固定できる。
【0016】
また、上記別の目的を達成するため、本発明によると、入庫した車両が格納される駐車棚と、該駐車棚の横方向に位置し上下方向に延びる昇降路と、該昇降路を昇降し前記駐車棚との間で車両が受け渡されるリフトと、作業床装置と、を備える駐車装置であって、
前記作業床装置は、
前記駐車棚の下部または上部に配置される2本以上の水平な作業床積載レールと、
該作業床積載レール上に載せられる車輪を有する作業床と、
前記リフトに対し着脱可能な2本以上の水平な取付用レールと、を備え、
前記リフトが、該リフトに取り付けられた取付用レールと前記作業床積載レールとを同じ高さにする昇降位置になった時に、前記作業床積載レールの延長上に取付用レールが位置し、これにより、前記作業床が作業床積載レールと取付用レールとの間を移動可能になっている、ことを特徴とする駐車装置が提供される。この駐車装置により、上述の作業床装置と同じ効果が得られる。
【発明の効果】
【0017】
上述した本発明によると、横行台車の格納スペース、および、点検作業開始前に横行台車を駐車棚側に戻す動作を必要とせずに、点検作業時に、作業床を駐車棚の下部からリフト上に移動させ、これを足場として利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態による作業床装置10を図9の駐車装置に適用した構成を示す概略切断正面図である。従って、図1において、駐車棚3、昇降路5、リフト7、くし歯式パレット27の横行駆動装置9は、図9に基づいて説明したものと同じ構成である。図2は図1のII−II線矢視図である。図3は図2のIII−III線矢視図である。図2において、駐車棚3については、駐車棚3の底面を構成する底面部材3a(図3を参照)を省略し、駐車棚3に設けられる横行駆動装置9のみを示している。
なお、図1〜図3において、符号27は上述したくし歯式パレットを示し、符号23は、リフト7を吊るすようにリフト7に結合されたチェーンまたはワイヤロープを示し(なお、以下では符号23はチェーンであるとして説明する)、符号25は、リフト7を昇降させるためにチェーン23の巻上げ巻き出しを行う巻上装置を示す。符号29は、紙面手前側に設けられる入庫口を示す。
【0020】
本実施形態による作業床装置10は、作業床積載レール11、作業床13、取付用レール15を備える。
【0021】
作業床積載レール11は、駐車棚3の下部に配置される水平なレールである。図2に示すように、作業床積載レール11は、前後方向(即ち、図2の上下方向)互いに間隔をおいて配置され、横方向(即ち、図1の左右方向)に延びている。作業床積載レール11は、駐車装置の構造体1に固定されている。作業床積載レール11の数は、2本以上であり、図2の例では3本であるが、他の数(例えば、2本)の作業床積載レール11を設けてもよい。
【0022】
作業床13は、該作業床積載レール11上に載せられる車輪13aを有する。図2において、作業床13を1点鎖線で示しているが、車輪13aは実線で示している。図1〜図3の例では、各作業床積載レール11に対応して横方向に2つずつ、計6個の車輪13aが作業床13に設けられている。車輪13aは、作業床積載レール11上をこれに沿って転動自在となっている。図3の例では、車輪13aは、作業床積載レール11から外れないように、その軸方向両端に鍔部を有している。
【0023】
取付用レール15は、作業床13の車輪13aが載る水平なレールであり、リフト7に対し着脱可能となっている。即ち、駐車装置の使用時には、取付用レール15はリフト7に取り付けられず、駐車装置の点検作業時に、取付用レール15はリフト7に取り付けられる。図4、図5は、リフト7に取付用レール15が取り付けられた状態を示している。図4は、駐車装置の概略切断正面図であり、図5は、図4のV−V線矢視図である。
取付用レール15の数は、作業床積載レール11の数と同じであって、2本以上である。また、各取付用レール15は、作業床積載レール11と同じ方向に延びるように、リフト7に取り付けられる。従って、リフト7に取り付けられた取付用レール15と作業床積載レール11とが同じ高さとなる高さにリフト7が位置した時に、作業床積載レール11の延長上に取付用レール15が延びる配置となり(図4、図5の状態)、これにより、作業床13(即ち、車輪13a)が作業床積載レール11と取付用レール15との間を移動可能になっている、
図4(または、後述の図6)に示すように、取付用レール15は、その両端において下方に開口する断面コの字状の嵌合部15aを有する。これら嵌合部15aを、それぞれ、リフト7を構成する一対のフレーム7aに上方から嵌合させることで(図4の状態)、取付用レール15をリフト7に取り付けることができる。
また、図5に示すように、取付用レール15がリフト7に取り付けられる位置は、駐車装置の構造体1に固定された横行駆動装置9の前後方向内側である。昇降路5に設けられる横行駆動装置9は、図2のように、前後方向(即ち、図2の左右方向)に間隔を置いて駐車装置の構造体1に固定された一対のフレーム9aと、フレーム9aに横方向に間隔をおいて設けられ回転駆動される駆動車輪9bと、を有する。これら一対のフレーム9aの間に取付用レール15が位置するように、取付用レール15がリフト7に取り付けられる。これにより、リフト7が上下方向に横行駆動装置9を通過しても、リフト7だけでなくこれに取り付けられた取付用レール15も、横行駆動装置9と干渉することがない。
【0024】
図6は、リフト7に対し取付用レール15と作業床13を係止するための構成を示す図である。図6(A)は、図4において、作業床13が駐車棚3の側からリフト7上に移動させられた状態でのリフト7、取付用レール15および作業床13を示す拡大図に相当する。図6(B)は、説明のために示す分離図である。図6(C)は、図6(A)のC−C線矢視図である。
図6に示すように、各取付用レール15には上下方向に貫通する貫通孔15bが形成され、作業床13には上下方向に貫通する貫通孔13bが形成されている。図6の例では、取付用レール15には各嵌合部15aに貫通孔15bが形成され、作業床13にはこれら嵌合部15aの貫通孔15bに対応する各箇所に貫通孔13bが形成されている。
リフト7の構成部材の上面には係止孔7cが形成されている。図6の例では、係止孔7cは、リフト7を構成する一対のフレーム7aの上面に形成されている。
作業床13の貫通孔13bと取付用レール15の貫通孔15bとリフト7の係止孔7cとは、リフト7に取り付けられた取付用レール15の上に作業床13が積載されている状態において、上下方向に重なるように形成されている。これら貫通孔15b,13bと係止孔7cの水平断面形状は例えば円形であってよい。
リフト7に取付用レール15が取り付けられ、該取付用レール15の上に作業床13が載っている状態において、上方から作業床13の貫通孔13bと取付用レール15の貫通孔15bを通して、リフト7の係止孔7cに挿入される係止ピン17がさらに設けられる。図6の例では、係止ピン17は、作業床13の貫通孔13bを通過できないように貫通孔13bの寸法よりも大きい頭部17aを有する。係止ピン17を貫通孔13bと貫通孔15bを通して係止孔7cに挿入すると、係止ピン17の自重により頭部17aの下面が作業床13の上面に接触した状態となるか、または、係止ピン17の先端が係止孔7cの底部に突き当たる状態(この場合、頭部17aは無くてもよい)となり、これにより、作業床13および取付用レール15が、リフト7に対し、水平方向に固定され水平方向に移動することが防止される。
【0025】
次に、上述の構成を有する作業床装置10の動作を図7に基づいてして説明する。
駐車装置の点検作業を行わない時には、図7(A)に示すように作業床13は作業床積載レール11上に載った状態で、駐車棚3の下部に格納されている。この状態では、作業床13をその上面に雨水が溜まるようにトレイ状に構成することで、作業床13を雨水受けとして兼用することができる。
駐車装置の点検作業を行う場合には、リフト7を作業床13と同じ程度の高さに位置するように昇降させる。その後、作業員は作業員がタラップを上って下部に作業床13が格納されている駐車棚3の上記底面部材3aに乗って、取付用レール15をリフト7に取り付ける。具体的には、取付用レール15の嵌合部15aをリフト7のフレーム7aに嵌合させ、図7(B)の状態にする。
次いで、取付用レール15と作業床積載レール11とが同じ高さになるように、リフト7の高さを調節する。これにより、作業床積載レール11の延長線上に取付用レール15が配置された状態となる。
その後、作業員が、作業床13を昇降路5に向けて押すことで、作業床13を作業床積載レール11から取付用レール15へ横行移動させ、図7(C)の状態にする。
続いて、作業員が、係止ピン17を作業床13の貫通孔13bと取付用レール15の貫通孔15bを通して、リフト7の係止孔7cに挿入することで、作業床13および取付用レール15がリフト7に対し水平方向に固定される(詳しくは、図6(A)の状態)。
その後、作業員が作業床13に乗り、このリフト7を昇降させながら、駐車装置の点検作業を行うことができる。点検作業が終了したら、上記と逆の手順で作業床13を駐車棚3の下部に格納する。
【0026】
上述した実施形態による駐車装置の作業床装置10によると、駐車棚3の下部に設けられる作業床積載レール11と、リフト7に取り付けられた取付用レール15との間を作業床13が移動可能になっているので、駐車装置の点検作業時に、駐車棚3の下部に格納された作業床積載レール11上の作業床13を、例えば、作業員が、リフト7に取り付けられた取付用レール15に向けて押すことで、作業床13を作業床積載レール11から取付用レール15へ移動させることができる。このように、リフト7に積載された作業床13を点検作業の足場として利用でき、リフト7と共に昇降される作業床13上で作業員が駐車装置の点検作業を行うことができる。
しかも、作業床13自体に車輪13aを設けたので、駐車棚3の側から作業床13を昇降路5へ移動させる図11の横行台車33を省略できる。従って、横行台車33の格納スペース、および、点検作業開始前に横行台車33を駐車棚3側に戻す動作を無くすことができる。
【0027】
また、リフト7に取付用レール15が取り付けられ、該取付用レール15の上に作業床13が載っている状態において、上方から作業床13の貫通孔13bと取付用レール15の貫通孔15bを通して、リフト7の係止孔7cに係止ピン17が挿入されるので、貫通孔15b、係止孔7cおよび係止ピン17という簡単な構成で、水平方向に関して作業床13をリフト7に固定できる。
【0028】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0029】
例えば、上述の実施形態では、作業床13には車輪13aを回転駆動する駆動装置を設けなかったが、車輪13aを回転駆動する駆動装置(モータなど)を作業床13に設けてもよい。
【0030】
また、本発明の作業床装置は、図8の駐車装置に適用できるだけでなく、駐車棚3と昇降路5との間で横行される車両積載用パレットを有し、昇降路5に位置するこの車両積載用パレットの上方からリフトが下降し当該車両積載用パレットと干渉することなく当該車両積載用パレットを通過することで、車両がリフトから当該車両積載用パレットに乗り移るように構成された他の駐車装置に適用できる。例えば、本発明の作業床装置は、くし歯式リフトおよびくし歯式車両積載用パレットを使用する図8以外の他の駐車装置に適用できる。
【0031】
また、上述の実施形態では、駐車棚3と昇降路5は横方向に隣接していたが、駐車棚3が昇降路5の横方向に位置していればよく、必ずしも駐車棚3と昇降路5とが隣接していなくてもよい。
【0032】
また、上述の実施形態では、作業床積載レール11は、駐車棚3の下部に設けられていたが、作業床積載レール11は駐車棚3の側に設けられていればよい。例えば、作業床積載レール11は、駐車棚3の上部に設けられていてもよい。また、作業床積載レール11が設けられる階は、図1と異なっていてもよい。例えば、昇降路5が、入庫口29から下方に延びる場合には、最上段の駐車棚3の上部または下部に作業床積載レール11が設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態による作業床装置が適用された駐車装置の概略切断正面図である。
【図2】図1のII−II線矢視図である。
【図3】図2のIII−III線矢視図である。
【図4】リフトに取付用レールが取り付けられた状態を示す駐車装置の概略切断正面図である。
【図5】図4のV−V線矢視図である。
【図6】作業床と取付用レールをリフトに対し水平方向に固定するための構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態による作業床装置の動作を示すための駐車装置の概略切断正面図である。
【図8】従来の駐車装置の構成例を示す概略切断正面図である。
【図9】くし歯式パレットを使用する駐車装置の構成例を示す概略切断正面図である。
【図10】図9のX−X線矢視図である。
【図11】特許文献1の構成を示す駐車装置の概略切断正面図である。
【図12】特許文献1の構成を示す駐車装置の概略切断正面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 駐車装置の構造体、3 駐車棚、3a 底面部材
5 昇降路、7 リフト、7a フレーム
7b くし歯部材、7c 係止孔、9 横行駆動装置
9a フレーム、9b 駆動車輪、10 作業床装置
11 作業床積載レール、13 作業床、13a 車輪
13b 貫通孔、15 取付用レール、15a 嵌合部
15b 貫通孔、17 係止ピン、17a 頭部
23 チェーン(またはワイヤロープ)、25 巻上装置
27 パレット、27a フレーム、27b くし歯部材
29 入庫口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入庫した車両が格納される駐車棚と、該駐車棚の横方向に位置し上下方向に延びる昇降路と、該昇降路を昇降し前記駐車棚との間で車両が受け渡されるリフトと、を備える駐車装置の作業床装置であって、
前記駐車棚の下部または上部に配置される2本以上の水平な作業床積載レールと、
該作業床積載レール上に載せられる車輪を有する作業床と、
前記リフトに対し着脱可能な2本以上の水平な取付用レールと、を備え、
前記リフトが、該リフトに取り付けられた取付用レールと前記作業床積載レールとを同じ高さにする昇降位置になった時に、前記作業床積載レールの延長上に取付用レールが位置し、これにより、前記作業床が作業床積載レールと取付用レールとの間を移動可能になっている、ことを特徴とする駐車装置の作業床装置。
【請求項2】
前記作業床および取付用レールには上下方向に貫通する貫通孔が形成されており、
前記リフトの構成部材の上面には係止孔が形成されており、
前記リフトに取付用レールが取り付けられ、該取付用レールの上に前記作業床が載っている状態において、上方から作業床の前記貫通孔と取付用レールの前記貫通孔を通して、前記リフトの係止孔に挿入される係止ピンを備える、ことを特徴とする請求項1に記載の駐車装置の作業床装置。
【請求項3】
入庫した車両が格納される駐車棚と、該駐車棚の横方向に位置し上下方向に延びる昇降路と、該昇降路を昇降し前記駐車棚との間で車両が受け渡されるリフトと、作業床装置と、を備える駐車装置であって、
前記作業床装置は、
前記駐車棚の下部または上部に配置される2本以上の水平な作業床積載レールと、
該作業床積載レール上に載せられる車輪を有する作業床と、
前記リフトに対し着脱可能な2本以上の水平な取付用レールと、を備え、
前記リフトが、該リフトに取り付けられた取付用レールと前記作業床積載レールとを同じ高さにする昇降位置になった時に、前記作業床積載レールの延長上に取付用レールが位置し、これにより、前記作業床が作業床積載レールと取付用レールとの間を移動可能になっている、ことを特徴とする駐車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−285842(P2008−285842A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130051(P2007−130051)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000198363)石川島運搬機械株式会社 (292)