説明

駐輪場管理システムおよび動作制限解除方法

【課題】小規模な無人管理駐輪場に設置して好適な安価な料金精算機を使用し、暗証番号を失念した利用者に対する対応の負担軽減と不正行為の防止を図る。
【解決手段】利用者が自転車駐輪時に登録した暗証番号を失念した場合、駐輪料金精算機4は、乱数を用いてお客様コードを生成し、これを表示画面に表示し、さらにお客様コードを所定の変換規則を用いて解除番号に変換し、これを一時的に記憶する。利用者は表示画面に表示されたお客様コードを読み取り、これを管理センタに通知し、管理センタは利用者から通知されたお客様コードを所定の変換規則により解除番号に変換し、この解除番号を利用者に通知する。利用者は、解除番号を駐輪料金精算機4に入力し、駐輪料金精算機4は、一時的に記憶していた解除番号と利用者により入力された解除番号とが合致した場合に精算処理を行い、自転車2をアンロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐輪料金精算機および駐輪ロック装置を備え、暗証番号を利用して自転車の駐輪を管理する駐輪場管理システム、および例えば駐輪場管理システムに好適に用いることができ、暗証番号を利用して所定動作の実行を制限する動作制限装置において、暗証番号の入力がなくても一定の条件を充たした場合に所定動作の実行制限を解除することができる動作制限解除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今では駅周辺に通勤や通学者向けの大型駐輪場が整備されてきて、利用者の利便性の向上と駅周辺の放置自転車問題の解消に効果を挙げている。特に最近は、自転車を個々にロックする個別ロック式の駐輪ロック装置を相当台数設置し、自転車を個々にロックして、その精算処理はエリア毎やフロア毎などの単位で設置される駐輪料金精算機で行うといった形態の駐輪場管理システムを採用する駐輪場が多くなってきた。このような駐輪場管理システムによれば、駐輪場の管理業務を無人か極力少人数で行うことができるようになるため、人件費の抑制により利用料金を低価格に設定することが可能になる。また、このような駐輪管理システムによれば、完全無人管理の小規模駐輪場を比較的容易に実現することができるため、増加する自転車による交通障害への対策として、駅周辺に完全無人管理の小規模駐輪場が多数設置される例も増えている。一方、昨今では高額な電動アシスト自転車やデザイン的に魅力のある有名スポーツメーカーや外国自動車メーカー製の自転車が普及してきており、無人管理の駐輪場における自転車の盗難対策も重要視されている。
【0003】
この点、特許文献1に記載されているように、他人の自転車を誤ってアンロック(解錠)しないように、また他人に誤って若しくは意図的に自分の自転車をアンロックさせないように、駐輪ロック装置に自転車をロックさせた後に駐輪料金精算機側で暗証番号を登録し、他人にその駐輪ロック装置の精算やアンロックができないようにするシステムが提案されている。
【0004】
しかし、駐輪場の駐輪ロック装置に個別に設定された暗証番号を利用者が失念した際には管理者や係員の出動が必要で、完全な無人化が困難であった。すなわち、利用者から暗証番号を失念した旨の申告を受けたときには、管理者や係員が駐輪場にいる当該利用者の身分証明書、利用者登録証、定期等を実際に確認し、当該利用者の申告の真偽を調べ、虚偽の申告により他人の自転車をアンロックして持ち出してしまうことを防止しなければならない。そこで本出願人は、特許文献2に記載の通り、駐輪料金精算機に、駐輪ロック装置の識別番号、および暗証番号を失念した旨を入力すると、駐輪料金精算機の表示部に、登録された暗証番号を、ランダムな複数の偽の暗証番号とともに表示し、この表示を見て利用者が真正の暗証番号を選んで入力した場合には、自転車をアンロックし、一方、複数回の入力機会を与えたものの利用者が真正の暗証番号を入力できなかった場合には、自転車をアンロックしないことにより、暗証番号の失念を装って他人の自転車をアンロックさせるといった不正行為を防止するシステムを発明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−118094号公報
【特許文献2】特開2008−181385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献2に記載のシステムでは、暗証番号を複数表示するための大きな表示装置や、番号を選択するタッチパネルが必要であり、小規模な駐輪場に設置するのに好適な安価な料金精算機では実現が困難であった。
【0007】
また、電話回線を経由して管理センタのサーバからデータ送信する手法を採用するには、データ変換手段等を備えた高度なデータ通信装置が必要であり、小規模で安価な駐輪場に設置するにしては高額な設備となるという問題があった。
【0008】
本発明は例えば上述した問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、例えば小規模で無人管理の駐輪場に設置して好適な安価な料金精算機を使用して、暗証番号を失念した利用者に対する対応の負担を軽減することができ、かつ不正行為の防止を実現することができる駐輪場管理システムおよび動作制限解除方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の駐輪場管理システムは、番号を入力するキー入力手段と、駐輪時に自転車をロック装置にロックさせた利用者が前記キー入力手段を用いて入力した暗証番号を登録する登録手段と、前記登録手段により登録された暗証番号と、精算時に前記キー入力手段を用いて利用者により入力された暗証番号とを照合し、前記登録された暗証番号と前記入力された暗証番号とが合致したときには精算処理に移行することを許可し、前記登録された暗証番号と前記入力された暗証番号とが合致しないときには前記精算処理に移行することを許可しない暗証番号照合手段と、前記暗証番号照合手段により前記精算処理に移行することが許可された場合に前記精算処理を行う精算手段と、前記精算処理後にアンロック信号を前記ロック装置に出力し、駐輪された自転車をアンロックするように前記ロック装置を制御するアンロック制御手段とを備えた駐輪管理システムであって、ユニークなコード番号を生成するコード番号生成手段と、前記コード番号生成手段により生成されたコード番号を表示するコード番号表示手段と、前記コード番号生成手段により生成されたコード番号を所定の変換規則を用いて解除番号に変換する変換手段と、前記利用者が前記コード番号表示手段に表示された前記コード番号を読み取って管理センタに通知すると共に、当該管理センタが当該利用者から通知された前記コード番号を前記所定の変換規則を用いて解除番号に変換し、この解錠番号を当該利用者に通知するために、当該利用者と当該管理センタとの間で通信回線を介する通信を行う通信手段と、前記変換手段により変換された解除番号と、前記キー入力手段を用いて前記利用者により入力された解除番号とを照合し、前記変換された解除番号と前記入力された解除番号とが合致したときには前記精算処理に移行することを許可する解除番号照合手段とを備えていることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第2の駐輪場管理システムは、上述した本発明の第1の駐輪場管理システムにおいて、前記通信手段は、前記利用者と前記管理センタのオペレータとの間の通話を可能にするインターホンであることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第3の駐輪場管理システムは、上述した本発明の第1または第2の駐輪場管理システムにおいて、前記コード番号生成手段は、乱数出力手段を有し、当該乱数出力手段から出力される乱数を前記コード番号として用い、前記コード番号を生成する度に、前回生成したコード番号とは異なるコード番号を生成することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第4の駐輪場管理システムは、上述した本発明の第1ないし第3のいずれかの駐輪場管理システムにおいて、前記変換手段は、前記コード番号生成手段により生成されたコード番号を、前記所定の変換規則および前記自転車の駐輪を開始した時刻に対応する数値を用いて、または前記所定の変換規則および前記暗証番号が登録された時刻に対応する数値を用いて前記解除番号に変換することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の動作制限解除方法は、登録された暗証番号と当該暗証番号の登録後に利用者により入力された暗証番号とを照合し、前記登録された暗証番号と前記入力された暗証番号とが合致したときには所定動作の実行を許可し、前記登録された暗証番号と前記入力された暗証番号とが合致しないときには前記所定動作の実行を許可しない動作制限装置において、前記登録された暗証番号と合致する暗証番号の入力がなくても前記所定動作の実行を許可する動作制限解除方法であって、ユニークなコード番号を生成するコード番号生成工程と、前記コード番号生成工程において生成されたコード番号を表示手段に表示するコード番号表示工程と、前記コード番号生成工程において生成されたコード番号を所定の変換規則を用いて解除番号に変換する変換工程と、前記利用者が前記表示手段に表示された前記コード番号を読み取って管理センタに通知すると共に、当該管理センタが当該利用者から通知された前記コード番号を前記所定の変換規則を用いて解除番号に変換し、この解錠番号を当該利用者に通知するために、当該利用者と当該管理センタとの間で通信回線を介する通信を行う通信工程と、前記変換工程において変換された解除番号と前記利用者により入力された解除番号とを照合し、前記変換された解除番号と前記入力された解除番号とが合致したときには前記所定動作を許可する解除番号照合工程とを備えていることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第2の動作制限解除方法は、上述した本発明の本発明の第1の動作制限解除方法において、前記コード番号生成工程では、乱数出力手段から出力される乱数を前記コード番号として用い、前記コード番号を生成する度に、前回生成したコード番号とは異なるコード番号を生成することを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第3の動作制限解除方法は、本発明の第1または第2の動作制限解除方法において、前記変換工程では、前記コード番号生成工程において生成されたコード番号を、前記所定の変換規則および前記動作制限装置の利用を開始した時刻に対応する数値を用いて、または前記所定の変換規則および前記暗証番号が登録された時刻に対応する数値を用いて前記解除番号に変換することを特徴とする。
【0016】
上述した本発明の第1の駐輪場管理システムにおいて、利用者が暗証番号を失念した場合、駐輪場管理システムは、例えば精算時に利用者による誤った暗証番号の入力が繰り返されたことなどから利用者の暗証番号の失念を把握し、コード番号を生成し、このコード番号を表示し、さらに変換手段により当該コード番号を解除番号へ変換する。一方、利用者は、表示されたコード番号を管理センタに通知し、管理センタは、当該利用者から通知されたコード番号を解除番号に変換してこの解除番号を当該利用者に通知し、当該利用者は、管理センタから通知された解除番号を、キー入力手段を用いて入力する。そして、駐輪場管理システムは、変換手段により変換された解除番号と利用者により入力された解除番号とが合致した場合には、自転車のアンロックを許可する。このように、変換手段により変換された解除番号と、管理センタから利用者に通知された解除番号とを照合することにより自転車のアンロックを許可することができるので、上述した従来技術のように、大きな表示装置も高度なデータ通信装置も不要である。したがって、本発明は、小規模で無人管理の駐輪場に設置して好適な安価な駐輪料金精算機を使用して安価に実現することができる。また、管理センタから利用者に解除番号を通知すればよいため、管理者や係員が駐輪場に出動することはほとんどなくなる。したがって、暗証番号を失念した利用者に対する対応の負担を軽減することができる。さらに管理センタと利用者との間の通知のやり取りを通じて不正行為者を見抜くことができ、不正行為を防ぐことが可能である。
【0017】
また、上述した本発明の第2の駐輪場管理システムでは、利用者と管理センタとの間の通知をインターホンにより行うことができるので、駐輪場管理システムに高度なデータ通信装置を設ける必要がない。したがって、暗証番号の失念対策および不正行為防止対策を講じた駐輪場管理システムを実現するのにかかるコストを削減することができる。
【0018】
また、上述した本発明の第3の駐輪場管理システムでは、コード番号生成手段が、コード番号を生成する度に、前回生成したコード番号とは異なるコード番号を生成する結果、コード番号を変換することにより得られる解除番号も毎回変化する。したがって、暗証番号失念時に自転車をアンロックするために解除番号を取得した利用者が、その解除番号を不正に利用して他の自転車をアンロックすることはできない。このように本発明の第3の駐輪場管理システムによれば、簡単な構成により不正行為防止効果を高めることができる。
【0019】
また、上述した本発明の第4の駐輪場管理システムでは、変換手段が駐輪開始時刻または暗証番号登録時刻に対応する数値と所定の変換規則とを用いてコード番号を解除番号に変換し、一方、管理センタでも、利用者からの通知により得られた駐輪開始時刻または暗証番号登録時刻に対応する数値と所定の変換規則とを用いてコード番号を解除番号に変換してこの解除番号を利用者に通知する。そして、駐輪場管理システムでは、変換手段により算出された解除番号と、利用者により入力された解除番号とが合致した場合に限り、自転車をアンロックする。したがって、正しい駐輪開始時刻または暗証番号登録時刻を知らない者は、駐輪場管理システムの変換手段により算出された解除番号と合致する解除番号を取得することができないので、自転車を不正にアンロックすることはできない。このように、本発明の第4の駐輪場管理システムによれば、簡単な構成により不正防止効果を高めることができる。
【0020】
一方、上述した本発明の第1の動作制限解除方法によれば、安価な動作制限装置であっても、暗証番号の失念対策および不正行為防止対策を実現することができる。
【0021】
また、上述した本発明の第2の動作制限解除方法によれば、暗証番号失念時に所定動作を実行させるために解除番号を取得した者が、その解除番号を不正に利用して別の機会に所定動作を実行させることはできない。したがって、簡単な方法により不正行為の防止効果を高めることができる。
【0022】
また、上述した本発明の第3の動作制限解除方法によれば、正しい利用開始時刻または暗証番号登録時刻を知らない者は、変換工程において変換された解除番号と合致する解除番号を取得することができず、所定動作を実行させることができない。したがって、簡単な方法により不正防止効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、小規模で無人管理の駐輪場に設置して好適な安価な料金精算機を使用した場合であっても、暗証番号の失念を申告した利用者の身分証明書等を実際に確認するために管理者や係員が駐輪場に出動するといった手間をなくすなど、暗証番号を失念した利用者に対する対応の負担を軽減することができ、かつ暗証番号の失念を装って他人の自転車をアンロックして持ち出すなどといった不正行為の防止を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態による駐輪場管理システムを示す外観配置図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による駐輪場管理システムにおける駐輪料金精算機、中継装置および各駐輪ロック装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による駐輪場管理システムにおける暗証番号登録時の画面をテンキーおよび操作キー群と共に示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による駐輪場管理システムにおける精算時の画面をテンキーおよび操作キー群と共に示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態による駐輪場管理システムにおいて精算時に暗証番号が合致しない場合の画面をテンキーおよび操作キー群と共に示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による駐輪場管理システムにおける暗証番号登録時および精算時の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態による駐輪場管理システムにおける精算時の暗証番号入力、照合および解除番号の入力、照合等の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態による駐輪場管理システムにおける解除番号算出サブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態による駐輪場管理システムにおける解除番号算出サブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による駐輪場管理システムを示している。図1において、駐輪場管理システム1は、例えば、駅周辺の小規模駐輪場において、完全無人により自転車2の駐輪管理を実現することができ、かつ暗証番号の利用により駐輪自転車の盗難防止を図ることができる駐輪場管理システムである。駐輪場管理システム1は、複数の駐輪ロック装置ユニット3および駐輪料金精算機4を備えている(図1中では1つの駐輪ロック装置ユニット3のみを図示している)。各駐輪ロック装置ユニット3は、複数の駐輪ロック装置5を連結部材6により連結することにより構成され、駐輪ロック装置ユニット3毎に中継装置7が設けられている。各駐輪ロック装置ユニット3の各駐輪ロック装置5は、連結部材6内に配設された配線8(図2参照)を介して中継装置7と電気的に接続され、中継装置7は埋設配線9を介して駐輪料金精算機4と電気的に接続されている。これにより、駐輪料金精算機4による各駐輪ロック装置5の制御が可能となっている。
【0026】
各駐輪ロック装置5は、駐輪された自転車2の前輪をロックする個別ロック式のロック装置であり、駐輪時に自転車2の前輪を載せるレール11、レール11に載った自転車2の前輪を保持する保持部12等を備えている。また、保持部12には、自転車2の前輪をロックするロック機構部13、および自転車2の前輪が保持部12にロック可能な状態で保持されていることを検知する前輪検知部14が設けられている(図2参照)。さらに、各駐輪ロック装置5には固有の装置番号が明示されており、利用者が何番の駐輪ロック装置5に自転車2をロックしたかがわかるようになっている。
【0027】
一方、駐輪料金精算機4は、暗証番号の登録、駐輪料金の精算、各駐輪ロック装置5のロック/アンロック制御、利用者と管理センタとの通話等を実現する装置であり、例えば駐輪場のエリアまたはフロア毎に設置されている。駐輪料金精算機4の前面には、表示器25、テンキー26、テンキー26と併設され、テンキー26と共にキー入力手段の具体例に当たる操作キー群27、定期カード、クレジットカードやプリペイドカードを挿入するカード挿入口28、紙幣挿入口29、コイン投入口30、案内放送(操作ガイダンス)用のスピーカ31、係員呼出釦32、利用者と管理センタとの間の通信手段の具体例に当たるインターホン33、おつりや領収証などの取出口34等が設けられている。表示器25は、例えば液晶のドットマトリクスタイプの表示画面を有し、文字、数字、枠線等を如何様にも表示することができ、また、テンキー26および操作キー群27は、相互に一体的に構成され、例えばメンブレンスイッチやシートスイッチなどの名称で呼ばれるタッチ式のキー装置である(図3ないし図5参照)。
【0028】
図2は、駐輪料金精算機4、中継装置7および各駐輪ロック装置5の内部における電気的な構成を示している。図2に示すように、駐輪料金精算機4の内部には、CPU(Central Processing Unit)21と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリ等のメモリ22と、CPU21とメモリ22とを接続するバス23とが設けられている。また、CPU21は乱数生成機能を有し、生成した乱数を出力する乱数出力手段として機能する。さらに、駐輪料金精算機4の内部には、駐輪料金精算機4の前面に配置された表示器25、テンキー26、操作キー群27、スピーカ31、係員呼出釦32、インターホン33に加え、カードリーダ35、紙幣リーダ36、領収証プリンタ37、コインセレクタ38、硬貨払出装置39、構内通信部40が設けられ、これらの構成要素はインターフェイス24に接続され、さらにインターフェイス24およびバス23を介してCPU21に接続されている。そして、CPU21がメモリ22に記憶されたプログラムに従い、上述した各構成要素を制御する。これにより、後述するように、暗号番号の登録処理、暗証番号の照合処理、精算処理、暗号番号失念時における解除番号の算出・照合処理、各駐輪ロック装置5のロック/アンロック制御等が実現する。
【0029】
また、中継装置7の内部には、埋設配線9を介して駐輪料金精算機4と接続され、駐輪料金精算機4との間で通信を行う通信中継部15と、駐輪料金精算機4から通信中継部15を介して伝えられる制御信号に従って各駐輪ロック装置5の直接的な制御を行うロック装置制御部16とが設けられている。また、各駐輪ロック装置5の保持部12の内部には、上述したようにロック機構部13および前輪検知部14が設けられており、ロック機構部13および前輪検知部14は配線8を介して中継装置7のロック装置制御部16に接続されている。これにより、ロック装置制御部16からの制御信号は、配線8を介して各ロック機構部13に送信され、前輪検知部14からの検知信号は、配線8、ロック装置制御部16および通信中継部15を介して駐輪料金精算機4に送信される。
【0030】
図3ないし図5は駐輪料金精算機4の表示器25に表示される画面をテンキー26および操作キー群27と共に示し、図6ないし図8は駐輪料金精算機4の動作を示している。これより、これらの図を参照しながら、駐輪料金精算機4を中心とした駐輪場管理システム1の動作について説明する。
【0031】
まず、利用者が自転車2を駐輪するときの駐輪場管理システム1の動作について図3および図6を参照しながら説明する。図6において、駐輪料金精算機4は、利用者によるキー入力等の操作が何もない間、通常、図3(1)に示す待機画面を表示器25の表示画面に表示し(ステップS1)、利用者によるキー入力を待っている(ステップS2:N)。図3(1)に示すように、待機画面中の枠線内には、現在日付と時刻が表示されており、画面下部には、精算または暗証番号登録の場合には、まず装置番号を入力することを指図する利用者へのガイダンスが表示されている。
【0032】
例えば、利用者が装置番号「001」の駐輪ロック装置5のレール11に自転車2の前輪を載せ、自転車2の前輪を保持部12に挿入し、ロック機構部13により前輪をロックさせた後、駐輪料金精算機4の前に行き、テンキー26を操作して装置番号「001」のうちの最初の「0」を入力したとする。これに応じて、駐輪料金精算機4は、図3(2)に示す装置番号入力画面を表示器25に表示する(ステップS2:Y、ステップS3)。
【0033】
利用者が、装置番号「001」のうちの最初の「0」の入力に続けて、残りの「0」、「1」を入力し、操作キー群27中の登録キーを押下すると、駐輪料金精算機4は、利用者により入力された装置番号が適切な装置番号か否かを判断する(ステップS4)。判断の結果、利用者により入力された装置番号が不適切な装置番号である場合には(ステップS4:N)、利用者にその旨を告げるためのエラー画面を表示器25の表示画面に表示すると共に、スピーカ31からアラームや警告音声を出力する(ステップS5)。不適切な装置番号とは、例えば駐輪料金精算機4に接続された複数の駐輪ロック装置5にそれぞれ割り当てられた装置番号のいずれにも該当しない番号などである。
【0034】
ステップS4における判断の結果、利用者により入力された装置番号が適切な装置番号である場合には(ステップS4:Y)、駐輪料金精算機4は、利用者により登録キーが押下されたか、精算キーが押下されたかを判断する(ステップS6)。本例の場合、利用者は登録キーを押下しているので、駐輪料金精算機4は、利用者により登録キーが押下されたと判断し、ステップS7に移行する。そして、ステップS7において、駐輪料金精算機4は、装置番号「001」の駐輪ロック装置5について暗証番号が既に登録済みでないことを確認する。確認した結果、装置番号「001」の駐輪ロック装置5について暗証番号が既に登録済みである場合には(ステップS7:Y)、利用者にその旨を告げるためのエラー画面を表示器25の表示画面に表示すると共に、スピーカ31からアラームや警告音声を出力する(ステップS8)。
【0035】
ステップS7における確認の結果、装置番号「001」の駐輪ロック装置5について暗証番号が登録されていない場合には(ステップS7:N)、駐輪料金精算機4は、図3(3)に示す暗証番号入力画面を表示器25に表示する(ステップS9)。暗証番号は例えば4桁の数字であり、利用者は任意の4桁の数字を暗証番号として用いることができる。利用者がテンキー26を操作し、暗証番号として例えば「1225」と入力し、登録キーを押下すると、駐輪料金精算機4は、利用者により入力された暗証番号が適切な暗証番号か否かを判断する(ステップS10)。判断の結果、利用者により入力された暗証番号が不適切な暗証番号である場合には(ステップS10:N)、利用者にその旨を告げるためのエラー画面を表示器25の表示画面に表示すると共に、スピーカ31からアラームや警告音声を出力する(ステップS11)。不適切な暗証番号とは、例えば4桁に満たない番号などである。
【0036】
ステップS10における判断の結果、利用者により入力された暗証番号が適切な暗証番号である場合には(ステップS10:Y)、駐輪料金精算機4は、図3(4)に示す暗証番号確認画面を表示器25の表示画面に表示する(ステップS12)。さらに、駐輪料金精算機4は、利用者により入力された装置番号と暗証番号とを相互に対応づけ、これらをメモリ22に記憶する。そして、所定時間経過後、駐輪料金精算機4は表示器25の表示画面を暗証番号確認画面から待機画面に切り換え、再び、利用者によるキー入力を待つ。
【0037】
この例では、駐輪場の利用者が一時利用者であり、定期券などの購入はしていないものの、雨が降っていない日には通勤・通学などで朝の通勤時間帯に駅近郊の駐輪場に自転車を駐輪させ、電車で職場や学校などへ向かい、夕方の退勤時間帯に電車で到着して駐輪場の自転車で帰宅するといった例を想定しているが、実際に一時利用の場合にはこの様な使用形態がほとんどであると考えられる。
【0038】
このように、駐輪する際、利用者は、駐輪ロック装置5に自転車2をロックさせ、その後、駐輪料金精算機4に駐輪ロック装置5の装置番号を入力してから暗証番号を登録する。当該利用者が、当該駐輪ロック装置5にロックされている自転車2をアンロック(解錠)するためには、原則として、再度、駐輪料金精算機4に当該駐輪ロック装置5の装置番号を入力し、駐輪時に登録した暗証番号と同一の暗証番号を入力した後、駐輪料金の精算を行わなければならない。もっとも、本実施形態による駐車場管理システム1では、後述するように、利用者が暗証番号を失念した場合には、駐輪時に登録した暗証番号と同一の暗証番号を入力しなくても駐輪料金の精算等を行うことができる。
【0039】
なお、暗証番号の利用を望まない利用者も存在するため、本実施形態による駐輪場管理システム1では、暗証番号の登録は利用者の任意である。例えば、暗証番号入力画面表示時に利用者が暗証番号を何も入力しないで登録キーを押すと、暗証番号の登録が省略されるようになっている。この場合には、精算時に装置番号を入力して精算を行うだけで、自転車2がアンロックされる。また、利用者は自転車2を駐輪ロック装置5に駐輪させるだけで、駐輪料金精算機4による操作を一切行わない場合も、予め設定した時間が経過すれば自動的に暗証番号の登録が省略され、駐輪ロック装置5がロックされるようにプログラムされている。
【0040】
次に、利用者が駐輪料金の精算を行うときの駐輪場管理システム1の動作について図4、図6および図7を参照しながら説明する。
【0041】
例えば、装置番号「001」の駐輪ロック装置5に自転車2を駐輪させている利用者が、夕方の帰宅時間帯に、駐輪料金の精算のために駐輪料金精算機4の前に戻ってきたとする。このとき、駐輪料金精算機4は、通常、図4(1)に示すような待機画面を表示器25の表示画面に表示している。そして、利用者がテンキー26を操作して装置番号「001」のうちの最初の「0」を入力すると、駐輪料金精算機4は、表示器25の表示画面を、図4(2)に示す装置番号入力画面に切り換える。続いて、利用者が装置番号の残り「0」、「1」を入力し、操作キー群27中の精算キーを押下したとき、駐輪料金精算機4は、入力された装置番号が適切な装置番号であるか否かの判断を行う。精算時における駐輪料金精算機4によるこれらの動作は、上述した駐輪時(暗証番号登録時)におけるステップS1ないしS4の動作と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0042】
続いて、駐輪料金精算機4は、利用者により登録キーが押下されたか、精算キーが押下されたかを判断する(ステップS6)。利用者は精算キーを押下しているので、駐輪料金精算機4は、利用者により精算キーが押下されたと判断し、ステップS13に移行する。そして、ステップS13において、駐輪料金精算機4は、装置番号「001」の駐輪ロック装置5が駐輪状態(自転車2の前輪がロックされている状態)であるか否か、および装置番号「001」の駐輪ロック装置5について暗証番号が登録済みであるか否かを判断する。前輪検知部14からの検知信号により装置番号「001」の駐輪ロック装置5が駐輪状態でないことが判明した場合には、駐輪料金精算機4は、エラー画面を表示すると共に、アラーム等を鳴らし、処理をステップS3に戻して装置番号入力画面を再び表示する。
【0043】
ステップS13における判断の結果、装置番号「001」の駐輪ロック装置5が駐輪状態であり、かつ装置番号「001」の駐輪ロック装置5について暗証番号が登録済みである場合には(ステップS13:Y)、駐輪料金精算機4は、図4(3)に示す暗証番号入力画面を表示器25の表示画面に表示する(図7中のステップS21)。
【0044】
利用者が暗証番号を入力すると、駐輪料金精算機4は、装置番号「001」の駐輪ロック装置5について登録されている暗証番号、すなわち、装置番号「001」に対応づけられてメモリ22に記憶されている暗証番号と、利用者により現在入力された暗証番号とを照合する(ステップS22)。装置番号「001」の駐輪ロック装置5について登録されている暗証番号と、利用者により現在入力された暗証番号とが合致する場合には(ステップS22:Y)、駐輪料金精算機4は、図4(4)に示すような料金画面を表示器25の表示画面に表示し(図6中のステップS14)、利用者が料金画面の表示内容に従って駐輪料金を支払うのを待つ(ステップS15:N)。利用者が現金の投入やカードの挿入により駐輪料金の支払を行うと、これに応じて、駐輪料金精算機4は駐輪料金の精算処理を行い、精算処理が完了した後(ステップS15:Y)、装置番号「001」の駐輪ロック装置5に駐輪してある自転車2をアンロックするためのアンロック信号を、中継装置7を介して当該駐輪ロック装置5に出力する(ステップS16)。これにより、アンロック信号に従って装置番号「001」の駐輪ロック装置5が制御され、当該駐輪ロック装置5に駐輪してある自転車2の前輪がアンロックされ、当該自転車2を駐輪ロック装置5から移動させることが可能になる。その後、駐輪料金精算機4は、表示器25の表示画面を待機画面に切り換え、キー入力待ちの状態になる。
【0045】
一方、ステップS13における判断の結果、装置番号「001」の駐輪ロック装置5が駐輪状態であるものの、装置番号「001」の駐輪ロック装置5について暗証番号が登録されていない場合には(ステップS13:N)、利用者が暗証番号の登録を省略した場合に当たるので、駐輪料金精算機4は、料金画面の表示、駐輪料金の精算、および当該駐輪ロック装置5へのアンロック信号の出力を行い(ステップS14ないしステップS16)、その後、待機状態となる。
【0046】
他方、装置番号「001」の駐輪ロック装置5に自転車2を駐輪したときに暗証番号を登録した利用者が暗証番号を失念した場合には、当該利用者は、図7中のステップS21において表示された暗証番号入力画面に応じて番号を入力するも、駐輪料金精算機4に登録されている暗証番号と合致する番号を入力することは困難であると考えられる。本実施形態における駐輪料金精算機4は、ステップS22において、例えば装置番号「001」の駐輪ロック装置5について登録されている暗証番号と、利用者により現在入力された暗証番号とを照合した結果、当該登録されている暗証番号と当該入力された暗証番号とが合致しない場合には(ステップS22:N)、利用者にその旨を告げるために、図5(1)に示すようなエラー画面を表示器25の表示画面に表示すると共に、スピーカ31からアラームや警告音声を出力した後(ステップS23)、暗証番号入力画面により利用者に再び暗証番号の入力を促す。そして、利用者により入力された暗証番号が、登録された暗証番号と合致しない回数がn回(例えば3回)繰り返されるまで、入力された暗証番号の照合(ステップS22)とエラー表示等(ステップS23)を繰り返し行う。この間に、利用者が暗証番号を思い出し、利用者により入力された暗証番号が、登録された暗証番号と合致した場合には、上述したように処理は図6中のステップS14に移行する。
【0047】
一方、ステップS22およびS23をn回繰り返したにもかかわらず、利用者により入力された暗証番号が、登録された暗証番号と合致しない場合には(ステップS24:Y)、駐輪料金精算機4は、図5(2)に示すような暗証番号解除方法問い合わせ案内画面を表示器25の表示画面に表示する(ステップS25)。暗証番号解除方法問い合わせ案内画面には、管理センタと連絡をとる旨のガイダンス、およびお客様コード(例えば「12345」)等が表示される。後述するように、お客様コードは、暗証番号解除方法問い合わせ案内画面の表示直前にCPU21の上記乱数生成機能により生成されたユニークなコード番号である。お客様コードを含む暗証番号解除方法問い合わせ案内画面を表示した後、駐輪料金精算機4は、後述するように、メモリ22に予め記憶された設定番号、CPU21により生成されたお客様コード、およびメモリ22に予め記憶された所定の変換規則を用いて演算を行うことにより、解除番号を算出し(ステップS26)、これをメモリ22に一時的に記憶する。なお、この解除番号は表示器25の表示画面に表示しない。
【0048】
また、暗証番号を失念し、暗証番号の入力をn回試みたものの、登録された暗証番号と合致する暗証番号の入力をすることに失敗した利用者は、インターホン33を用い、電話回線を介して管理センタと通話し、お客様コードを管理センタに通知すると共に、管理センタから解除番号の通知を受ける(ステップS27)。すなわち、当該利用者は、暗証番号解除方法問い合わせ案内画面に従って、駐輪料金精算機4に設けられたインターホン33を用いて、この駐輪場を管理している管理センタに連絡する。当該利用者は、管理センタのオペレータと通話し、暗証番号を失念した旨をオペレータに申告すると共に、暗証番号解除方法問い合わせ案内画面に表示されたお客様コードを読み取り、読み取ったお客様コードをオペレータに通知する。一方、管理センタでは、利用者からの連絡がどの駐輪場のどの駐輪料金精算機4からのものか把握できるようになっている。利用者からのこのような申告および通知を受けた管理センタのオペレータは、当該利用者に対し、運用上のルールに基づいて当該利用者の氏名、年齢、連絡先などの確認を当該利用者に対して行う。この確認により当該利用者が不正行為を行おうとしているのではないことが判明した場合には、管理センタのオペレータは、当該利用者から通知されたお客様コード、管理センタで秘密に管理している設定番号、および管理センタで秘密に管理している所定の変換規則を用いて解除番号を算出する。ここで管理センタのオペレータが用いる設定番号および所定の変換規則は、駐輪料金精算機4の内部において解除番号の算出に用いられる設定番号および所定の変換規則と同じものである。続いて、管理センタのオペレータは、算出した解除番号を当該利用者に通知する。当該利用者はインターホン33を介して解除番号の通知を受け取る。さらに、管理センタのオペレータは、当該利用者に対し、この解除番号を駐輪料金精算機4に入力することにより暗証番号を入力しなくても精算に移行することができる旨を案内する。
【0049】
当該利用者は、管理センタのオペレータからの案内に従い、通知された解除番号を、テンキー26を用いて駐輪料金精算機4に入力し、精算キーを押下する。続いて、駐輪料金精算機4は、駐輪料金精算機4内において算出されてメモリ22に一時的に記憶されている解除番号と、利用者により現在入力された解除番号とを照合する(ステップS28)。駐輪料金精算機4内において算出されてメモリ22に一時的に記憶されている解除番号と、利用者により現在入力された解除番号とが合致した場合には(ステップS28:Y)、駐輪料金精算機4は、料金画面の表示、駐輪料金の精算、および当該駐輪ロック装置5へのアンロック信号の出力を行い(図6中のステップS14ないしステップS16)、その後、待機状態となる。一方、駐輪料金精算機4内において算出されてメモリ22に一時的に記憶されている解除番号と、利用者により現在入力された解除番号とが合致しない場合には(ステップS28:N)、駐輪料金精算機4は、利用者にその旨を告げるために、エラー画面を表示器25の表示画面に表示すると共に、スピーカ31からアラームや警告音声を出力した後(ステップS29)、利用者に再び解除番号の入力を促す。そして、利用者により入力された解除番号が、駐輪料金精算機4内で算出されてメモリ22に一時的に記憶されている解除番号と合致しない回数がm回(例えば3回)繰り返されるまで、入力された解除番号の照合(ステップS28)とエラー表示等(ステップS29)を繰り返し行う。この間に、利用者により入力された解除番号が、メモリ22に一時的に記憶された解除番号と合致した場合には、上述したように処理は図6中のステップS14に移行する。
【0050】
ステップS28およびS29をm回繰り返したにもかかわらず、利用者により入力された解除番号が、メモリ22に一時的に記憶された解除番号と合致しない場合には(ステップS30:Y)、駐輪料金精算機4は、係員を呼び出して作業する必要がある旨を案内する係員呼出推奨表示を表示器25の表示画面に表示する(ステップS31)。
【0051】
このように、本実施形態による駐輪場管理システム1によれば、利用者が、登録した暗証番号を失念した場合にも、解除番号を入力することにより、精算を行い、自転車2をアンロックすることができる。なお、メモリ22に一時的に記憶された解除番号や、利用者が失念した暗証番号等は、精算処理が終了して駐輪ロック装置5をアンロックした時点でクリアしておくことが望ましい。
【0052】
次に、暗証番号の照合をn回繰り返したものの暗証番号の合致がなかった時点(ステップS24終了時点)から解除番号の算出(ステップS25)にかけて駐輪料金精算機4の内部で実行される解除番号算出サブルーチンについて図8を参照しながら具体的に説明する。図8に示すように、暗証番号の照合をn回繰り返したものの暗証番号の合致がないことが判明した時点(ステップS24終了時点)から、暗証番号解除方法問い合わせ案内画面を表示するまでの間、駐輪料金精算機4は、予め記憶された設定番号をメモリ22から読み出し(ステップS41)、続いてCPU21の乱数生成機能を働かせて所定の桁数の乱数を生成する(ステップS42)。例えば、設定番号は10桁の数字「1234567890」であり、乱数は「12345」である。もちろん、この乱数は、生成する度に異なるユニークな値であり、前回生成された値とは異なる。そして、暗証番号解除方法問い合わせ案内画面を表示するとき、駐輪料金精算機4は、この乱数をお客様コードとして暗証番号解除方法問い合わせ案内画面内に表示する(図5(2)参照)。一方、設定番号は表示画面に表示されない。
【0053】
続いて、駐輪料金精算機4は、設定番号、生成した乱数(すなわちお客様コード)、および予めメモリ22に記憶された所定の変換規則を用いて解除番号を生成する(ステップS43)。例えば、所定の変換規則は、設定番号をお客様コードで割って得られた値の上4桁を解除番号とするという内容である。この場合、解除番号の演算は、1234567890÷12345=10000.55となり、解除番号は1000となる。この解除番号は、メモリ22に一時的に記憶される。また、解除番号は表示画面に表示されない。
【0054】
また、図7中のステップS27で、管理センタのオペレータによっても解除番号の算出が行われるが、この解除番号の算出も、駐輪料金精算機4の内部において実行される図8中の解除番号算出サブルーチンと同じ方法で行われる。管理センタのオペレータによる解除番号の算出は、管理センタに設けられたパーソナルコンピュータ等で行ってもよいし、電卓を用いて行ってもよい。
【0055】
以上説明した通り、本発明の第1の実施形態による駐輪場管理システム1によれば、利用者が暗証番号を失念した場合でも解除番号を利用して精算に進み、自転車2をアンロックすることができる。このとき、利用者は管理センタのオペレータとの通話によって解除番号を取得するため、高度なデータ通信機能は不要であり、安価な駐輪料金精算機4でも暗証番号の失念に対応することができ、係員の駐輪場への出動回数が大幅に減らし、係員の負担を軽減することができる。また、管理センタのオペレータは、利用者との通話により利用者が不正行為者でないことを確認でき、仮に不正行為者が正当な利用者を装っていることを見破ることがでなかったとしても、当該不正行為者の存在、声色等を特定することができ、これらが当該不正行為者の発見を容易にする資料となる。さらに、お客様コードは、これが表示される直前にCPU21の乱数生成機能により生成されるので、表示される毎に異なるコード番号となるため、お客様コードから算出される解除番号も毎回異なる番号となる。したがって、たとえ不正行為者が解除番号を取得しても、この解除番号を使用して他の自転車をアンロックすることはできず、それゆえ、不正行為防止効果を高めることができる。
【0056】
次に、本発明の第2の実施形態について図9を参照しながら説明する。本実施形態の特徴は、設定番号、お客様番号および所定の変換規則に加え、自転車2の駐輪を開始した時刻(駐輪場管理システムの利用を開始した時刻)に対応する数値を用いて解除番号を算出することにある。本発明の第2の実施形態による駐輪場管理システムでは、図8中の解除番号算出サブルーチンに代えて、図9中の解除番号算出サブルーチンが用いられる。
【0057】
すなわち、図9に示すように、暗証番号の照合をn回繰り返したものの暗証番号の合致がないことが判明した時点(図7中のステップS24終了時点)から、暗証番号解除方法問い合わせ案内画面を表示するまでの間、駐輪料金精算機4は、予め記憶された設定番号をメモリ22から読み出し(ステップS51)、続いてCPU21の乱数生成機能を働かせて所定の桁数の乱数を生成する(ステップS52)。続いて、駐輪料金精算機4は、当該利用者が自転車2の駐輪を開始した時刻をメモリ22から読み取り、この時刻の時値を、当該利用者が自転車2の駐輪を開始した時刻に対応する数値として抽出する(ステップS53)。ここで、駐輪料金精算機4は、例えば、駐輪時に自転車2の前輪が保持部12に挿入されたことが前輪検知部14により検知された時刻をメモリ22に記憶しており、ステップS53では、この時刻を、利用者が自転車2の駐輪を開始した時刻として用いる。
【0058】
例えば、設定番号は10桁の数字「1234567890」であり、乱数は「12345」である。そして、当該利用者が自転車2の駐輪を開始した時刻が12時34分であるとすれば、当該利用者が自転車2の駐輪を開始した時刻に対応する数値は、その時値「12」である。また、ステップS52において生成した乱数はお客様コードとして暗証番号解除方法問い合わせ案内画面に表示されるが、設定番号、当該利用者が自転車2の駐輪を開始した時刻、および当該利用者が自転車2の駐輪を開始した時刻に対応する数値は、いずれも表示画面に表示されない。
【0059】
続いて、駐輪料金精算機4は、設定番号、お客様コード、当該利用者が自転車2の駐輪を開始した時刻に対応する数値、および予めメモリ22に記憶された所定の変換規則を用いて解除番号を生成する(ステップS54)。例えば、第2の実施形態による所定の変換規則は、設定番号をお客様コードで割って得られた値をさらに、当該利用者が自転車2の駐輪を開始した時刻に対応する数値で割り、これにより得られた値の上4桁を解除番号とするという内容である。この場合、解除番号の演算は、1234567890÷12345÷12=8333.79となり、解除番号は8333となる。この解除番号は、メモリ22に一時的に記憶される。
【0060】
また、図7中のステップS27において、管理センタのオペレータは、当該利用者との通話において、当該利用者から、暗証番号を失念した旨の申告およびお客様コードの通知に加え、当該利用者が自転車2の駐輪を開始した時刻の通知を受ける。この駐輪時刻の通知は、当該利用者の記憶に基づくものである。そして、管理センタのオペレータは、当該利用者から通知されたお客様コード、駐輪開始時刻および所定の変換規則を用いて、駐輪料金精算機4の内部において実行される図9中の解除番号算出サブルーチンと同じ方法で解除番号を算出する。ここで、利用者から通知を受けた駐輪開始時刻は、当該利用者の記憶に基づくものであるため曖昧な場合がある。例えば、利用者が自転車を実際に駐輪した時刻が12時59分である場合、利用者から駐輪開始時刻が13時過ぎである旨の通知を受ける場合がある。このような場合を考慮して、管理センタのオペレータは、例えば、利用者から通知された駐輪開始時刻の時値、利用者から通知された駐輪開始時刻の時値に1を加えた値、および利用者から通知された駐輪開始時刻の時値に1を引いた値を用いて3つの解除番号を算出し、利用者に通知してもよい。これにより、正当な利用者は、3つの解除番号を順に駐輪料金精算機4に入力するうち、確実に精算に進むことができる。
【0061】
このように、本発明の第2の実施形態による駐輪場管理システムによれば、自転車の駐輪を開始した時刻を認識していない者は、自転車をアンロックすることができないので、不正行為防止効果を高めることができる。
【0062】
なお、上述した各実施形態では、利用者と管理センタのオペレータとの間でお客様コードおよび解除番号等の情報を交換する通信手段として、駐輪料金精算機4に設けられたインターホン33を用いる場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば利用者が自転車2を駐輪した駐輪ロック装置5と接続された駐輪料金精算機4の近傍に設置された、当該駐輪料金精算機4とは別個のインターホンを上記通信手段として用いてもよい。また、利用者と管理センタのオペレータとの間でお客様コードおよび解除番号等の情報を交換する通信手段として、インターホンまたは電話を用いた通話に代えて、電子メールやウェブサイトを用いてもよい。この場合には、例えば、利用者が所持する携帯端末のメール送信機能やウェブサイト閲覧機能を利用すればよい。
【0063】
また、上述した各実施形態では、暗証番号の照合をn回繰り返したものの暗証番号の合致がなかった時点(ステップS24終了時点)から暗証番号解除方法問い合わせ案内画面を表示するまで(ステップS25)の間にお客様コードを生成し、これを表示画面に表示する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。精算時に利用者が装置番号を入力して精算キーを押下した直後に、お客様コードを生成し、これを表示画面に表示してもよい。お客様コードは、利用者による駐輪場の利用の度に異なるコード番号であるため、解除番号の生成以外にも用途が考えられる。例えば、駐輪料金精算機4の動作に異常があり、自転車2がアンロックされない場合や、利用者が現金を持ち合わせておらず困っている場合などに利用者が管理センタのオペレータに相談を持ちかけたときに、当該利用者等を特定するのに利用することができる。
【0064】
また、上述した各実施形態では、駐輪料金精算機4の内部に予め設定されている設定番号(および駐輪開始時刻)を読み込んで、指定桁数の乱数(お客様コード)との演算によって得た解の上4桁を解除番号として決定しているが、本発明はこれに限らない。例えお客様コードに対して解除番号を導き出す計算手法であればどのようなものでもよく、お客様コードの一部の数字のみを使用して、予め設定した設定番号の読出し桁を変更するなど、お客様コードが公開鍵であり、設定番号が秘密鍵であるといった簡単な暗号・復号手段を用いれば、他の計算手法であっても実現可能であり、特に管理センタのオペレータに計算処理を実行させるまでもない手法なども、容易に採用してこれを実現することができる。
【0065】
また、上述した第2の実施形態では、解除番号の算出に、利用者が自転車の駐輪を開始した時刻を用いる場合を例にあげたが、本発明はこれに限らず、利用者が暗証番号を登録した時刻を用いてもよい。
【0066】
また、本発明の駐輪場管理システムと合わせて、ビデオカメラの監視システムを併用したり、管理センタとの通話内容を記録しておくなどの他のセキュリティシステムと併用することで、お互いのシステムの弱点を補間し合い、セキュリティ効果を増大させることができる。
【0067】
また、上述した各実施形態では、動作制限装置の具体例として駐輪場管理システムを例にあげ、本発明の動作制限解除方法を、この駐輪場管理システムに適用する場合を例にあげたが、本発明の動作制限解除方法は、駐車場管理システム、ビル管理システム、ロッカー、電子施解錠装置等、他のシステムや装置にも適用することができる。
【0068】
また、図6中のステップS9ないしS12が登録手段の具体例であり、図7中のステップS21およびS22が暗証番号照合手段の具体例であり、図6中のステップS14およびS15が精算手段の具体例であり、図6中のステップS16がアンロック制御手段の具体例である。また、図8中のステップS42および図9中のステップS52がそれぞれコード番号生成手段の具体例であり、図7中のステップS25がコード番号表示手段の具体例であり、図8中のステップS43および図9中のステップS54がそれぞれ変換手段の具体例であり、図7中のステップS28が解除番号照合手段の具体例である。また、図8中のステップS42および図9中のステップS52がそれぞれコード番号生成工程の具体例であり、図7中のステップS25がコード番号表示工程の具体例であり、図8中のステップS43および図9中のステップS54がそれぞれ変換工程の具体例であり、図7中のステップS28が解除番号照合工程の具体例である。
【0069】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う駐輪場管理システムおよび動作制限解除方法もまた本発明の技術思想に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、都市部駅周辺に点在する小規模な駐輪場の駐輪料金精算機や、複数の駐輪場を管理する駐輪場管理システム等に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 駐輪場管理システム
2 自転車
3 駐輪ロック装置ユニット
4 駐輪料金精算機
5 駐輪ロック装置
7 中継装置
25 表示器
26 テンキー
27 操作キー群
31 スピーカ
32 係員呼出釦
33 インターホン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
番号を入力するキー入力手段と、
駐輪時に自転車をロック装置にロックさせた利用者が前記キー入力手段を用いて入力した暗証番号を登録する登録手段と、
前記登録手段により登録された暗証番号と、精算時に前記キー入力手段を用いて利用者により入力された暗証番号とを照合し、前記登録された暗証番号と前記入力された暗証番号とが合致したときには精算処理に移行することを許可し、前記登録された暗証番号と前記入力された暗証番号とが合致しないときには前記精算処理に移行することを許可しない暗証番号照合手段と、
前記暗証番号照合手段により前記精算処理に移行することが許可された場合に前記精算処理を行う精算手段と、
前記精算処理後にアンロック信号を前記ロック装置に出力し、駐輪された自転車をアンロックするように前記ロック装置を制御するアンロック制御手段とを備えた駐輪管理システムであって、
ユニークなコード番号を生成するコード番号生成手段と、
前記コード番号生成手段により生成されたコード番号を表示するコード番号表示手段と、
前記コード番号生成手段により生成されたコード番号を所定の変換規則を用いて解除番号に変換する変換手段と、
前記利用者が前記コード番号表示手段に表示された前記コード番号を読み取って管理センタに通知すると共に、当該管理センタが当該利用者から通知された前記コード番号を前記所定の変換規則を用いて解除番号に変換し、この解錠番号を当該利用者に通知するために、当該利用者と当該管理センタとの間で通信回線を介する通信を行う通信手段と、
前記変換手段により変換された解除番号と、前記キー入力手段を用いて前記利用者により入力された解除番号とを照合し、前記変換された解除番号と前記入力された解除番号とが合致したときには前記精算処理に移行することを許可する解除番号照合手段とを備えていることを特徴とする駐輪場管理システム。
【請求項2】
前記通信手段は、前記利用者と前記管理センタのオペレータとの間の通話を可能にするインターホンであることを特徴とする請求項1に記載の駐輪場管理システム。
【請求項3】
前記コード番号生成手段は、乱数出力手段を有し、当該乱数出力手段から出力される乱数を前記コード番号として用い、前記コード番号を生成する度に、前回生成したコード番号とは異なるコード番号を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の駐輪場管理システム。
【請求項4】
前記変換手段は、前記コード番号生成手段により生成されたコード番号を、前記所定の変換規則および前記自転車の駐輪を開始した時刻に対応する数値を用いて、または前記所定の変換規則および前記暗証番号が登録された時刻に対応する数値を用いて前記解除番号に変換することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の駐輪場管理システム。
【請求項5】
登録された暗証番号と当該暗証番号の登録後に利用者により入力された暗証番号とを照合し、前記登録された暗証番号と前記入力された暗証番号とが合致したときには所定動作の実行を許可し、前記登録された暗証番号と前記入力された暗証番号とが合致しないときには前記所定動作の実行を許可しない動作制限装置において、前記登録された暗証番号と合致する暗証番号の入力がなくても前記所定動作の実行を許可する動作制限解除方法であって、
ユニークなコード番号を生成するコード番号生成工程と、
前記コード番号生成工程において生成されたコード番号を表示手段に表示するコード番号表示工程と、
前記コード番号生成工程において生成されたコード番号を所定の変換規則を用いて解除番号に変換する変換工程と、
前記利用者が前記表示手段に表示された前記コード番号を読み取って管理センタに通知すると共に、当該管理センタが当該利用者から通知された前記コード番号を前記所定の変換規則を用いて解除番号に変換し、この解錠番号を当該利用者に通知するために、当該利用者と当該管理センタとの間で通信回線を介する通信を行う通信工程と、
前記変換工程において変換された解除番号と前記利用者により入力された解除番号とを照合し、前記変換された解除番号と前記入力された解除番号とが合致したときには前記所定動作を許可する解除番号照合工程とを備えていることを特徴とする動作制限解除方法。
【請求項6】
前記コード番号生成工程では、乱数出力手段から出力される乱数を前記コード番号として用い、前記コード番号を生成する度に、前回生成したコード番号とは異なるコード番号を生成することを特徴とする請求項5に記載の動作制限解除方法。
【請求項7】
前記変換工程では、前記コード番号生成工程において生成されたコード番号を、前記所定の変換規則および前記動作制限装置の利用を開始した時刻に対応する数値を用いて、または前記所定の変換規則および前記暗証番号が登録された時刻に対応する数値を用いて前記解除番号に変換することを特徴とする請求項5または6に記載の動作制限解除方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−70510(P2011−70510A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222383(P2009−222383)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】