説明

駐輪装置

【課題】駐輪時に駐輪装置に入庫する、サイズの異なる二輪車や三輪車の該駐輪装置からの離脱を効果的に防止することができる駐輪装置を提供すること。
【解決手段】駐輪装置1が備える前輪後部抱持手段6が備える底板6aが、車輪が前輪後部抱持手段6に進入したときに回転するように構成されており、駐輪装置1が備える前輪離脱阻止機構が、前輪後部抱持手段6の車輪進入方向前縁部に設けられた一対の保持部材6fを備える。前輪後部抱持手段6に車輪が進入してきたときに、保持部材6fの一端が車輪に押圧され、他端が車輪を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車や三輪車を駐輪させる駐輪装置に関し、特に、二輪車や三輪車の前輪の後部において、該前輪の両側から前輪のタイヤを保持することによって前輪の離脱を阻止する機構を備えた駐輪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路交通法による規制が強化され、駅周辺や商店街周辺に駐輪させている自動二輪車等の二輪車や三輪車の取り締まりが強化されている。このため、駐輪場の需要が高まっている。この種の駐輪場は、一定のスペースを確保し、管理する人員をおいて管理することが望ましい。
しかし、近年では、駅周辺や商店街周辺の開発が進み、需要のある駅周辺や商店街周辺では十分なスペースを確保することが難しい上に、管理する人員を配置すると、どうしても駐輪代が高くならざるを得ない。
一方、二輪車のうち、特に、排気量の小さい小型自動二輪車や自転車は、重量が軽いこと等の理由により盗難による被害が多い。路上に駐輪させた二輪車は、たとえロックしていても盗難に遭うことがあり、近年、路上駐輪させた二輪車の盗難による被害が増大している。
そこで、狭いスペースであっても多数台の二輪車や三輪車を駐輪させておくことができ、しかも、管理する人員を常時配置しなくとも管理でき、安い駐輪料金で二輪車を安全に駐輪させておくことのできる駐輪場が求められている。
このような駐車場に設置する駐輪装置として、例えば特許文献1に記載のものが提案されている。
【0003】
特許文献1に記載された駐輪装置は、前輪支持装置を備えた二輪車の駐輪装置に関するものであって、前輪を保持するためのフレームに固定された断面形状が略く字状の前輪前部抱持手段と、同じくフレームにこの前輪前部抱持手段と離間対向させて回動可能に軸支された、断面形状が同じく略「く」の字状の前輪後部抱持手段とを備えている。
駐輪時には二輪車を立てたままで押して、その前輪を前輪後部抱持手段と前輪前部抱持手段とで半径方向から抱持して二輪車を自立した状態で入庫保持すると共に、入庫状態でロックする。また、入庫状態を解く時にこのロック状態を解除できるように構成している。
また、二輪車の前輪の後部下方を抱持する前輪後部抱持手段と、前輪の前部上方を抱持する前輪前部抱持手段とを備え、該前輪後部抱持手段及び前輪前部抱持手段によって該前輪の後部下方と、前部上方の双方が抱持されたときに該該前輪後部抱持手段及び前輪前部抱持手段をロックする機構が設けられた駐輪装置が考えられる。
【特許文献1】国際公開WO2005/049417号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が提案する駐輪装置は、入庫時に二輪車の前輪をフレームに回転可能に取り付けた前輪後部抱持手段に乗せて押し、該前輪後部抱持手段を回転させることにより、二輪車の前輪が案内され、当該前輪の前部がフレームに固定した前輪前部抱持手段に嵌まり込んで入庫が行なわれるように構成されている。
入庫時のロックは、前輪前部抱持手段に延設されたロックアームの端部と前輪後部抱持手段に延設されたロックアームの端部とが重なり、重なったロックアームに設けられた孔部を錠前でロックする。
【0005】
上記特許文献1が提案する駐輪装置では、前輪後部抱持手段により前輪の後部を抱持しても、前輪のサイズが例えば小さいと、前輪前部抱持手段によってきちんと抱持されない場合が生ずるという問題がある。
すなわち、前輪後部抱持手段と前輪前部抱持手段の間隔が、標準的な前輪サイズ(径の大きさ)を有する二輪車を想定して設計されている場合、このサイズより小さい前輪を有する二輪車の場合、前輪後部抱持手段と前輪前部抱持手段により前輪を抱持しても、前輪を持ち上げることにより、前輪を前輪後部抱持手段と前輪前部抱持手段から離脱させることが可能になる。
【0006】
したがって、前輪前部抱持手段と前輪後部抱持手段に設けられたロックアームを錠前でロックしても、前輪を持ち上げて、前輪を前輪前部抱持手段と前輪後部抱持手段の上方へ抜き取ることができることとなり、防犯上の難点となっていた。
また、駐輪代を必要とする駐輪場において、利用者が出庫する際、前輪を持ち上げて前輪前部抱持手段と前輪後部抱持手段から抜き取り、駐輪代を支払わずに出庫してしまうことも可能となる。
さらに、ロック手段は前輪後部抱持手段と前輪前部抱持手段の各ロックアームを錠前を用いてロックする構成であるので、煩雑である上に、鍵を管理する管理者が必要となり、人件費が掛かることから駐輪代が高くなるという問題もあった。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、駐輪時に駐輪装置に入庫する、サイズの異なる二輪車や三輪車の該駐輪装置からの離脱を効果的に防止することができる駐輪装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明においては、次のようにして前記課題を解決する。
(1)前輪の進入退出方向に所定間隔を空けて設けられ、前輪の進入退出方向に共に回転し、前輪の後部を抱持する前輪後部抱持手段と前輪の前部を抱持する前輪前部抱持手段と、前輪後部抱持手段の回転をロックするオートロック手段とを備え、該前輪後部抱持手段と前輪前部抱持手段との間で、上記前輪の後部下方と前部上方を半径方向から抱持、ロックして、二輪車や三輪車を駐輪させる駐輪装置を設ける。また、上記駐輪装置に、前輪後部抱持手段に設けられ、前輪後部抱持手段に前輪が抱持され、前輪後部抱持手段が回転したとき、前輪に押されて回動し、前輪の両側から前輪のタイヤを保持する前輪離脱阻止機構を設ける。
(2)上記前輪後部抱持手段は、「く」の字状に形成された底板と、該底板の両側部より立設された側板とを有し、該底板の屈曲部分に回転軸が設けられており、車輪が前輪後部抱持手段に進入し、該底板上に載ったときに、該回転軸を軸として、該底板が回転するように構成されている。また、上記前輪離脱阻止機構は、前輪後部抱持手段の車輪進入方向前縁部に回転に可能に設けられた一対の保持部材を備える。そして車輪が進入してきたときに、該保持部材の一端が該車輪に押圧されて回転し、他端が該車輪を保持する。
(3)上記車輪が上記前輪離脱阻止機構によって保持された状態において、該車輪に対して該車輪を駐輪装置から引き外そうとする力が加えられたときに、該前輪離脱阻止機構による該車輪の保持の阻止を解除する過負荷防止機構を設ける。
(4)上記保持部材が、過剰な力が加えられたときに変形する弾性部材から構成され、上記過負荷防止機構として機能する。上記保持部材は、一本の弾性部材により形成することができる。
【発明の効果】
【0009】
(1)本発明の駐輪装置は、前輪を抱持する前輪後部抱持手段の回転をロックするオートロック手段と、前輪後部抱持手段に前輪が抱持されて前輪後部抱持手段が回転したときに前輪に押されて回動し、前輪の両側から前輪のタイヤを保持する前輪離脱阻止機構を備える。
従って、本発明の駐輪装置によれば、前輪が上方に持ち上がらないように前輪の両側から前輪のタイヤを押さえ込むことができる。その結果、前輪サイズの異なる二輪車や三輪車の、該駐輪装置からの離脱を効果的に防止することができる。
このため、前輪サイズの異なる二輪車や三輪車用に多種類の駐輪装置を用意する必要がなく、駐車場建設コストが安くなるとともに、駐輪スペースを有効に利用することができる。
また、駐輪装置からの離脱を防止することができることから、盗難を効果的に防止することができるとともに、利用者が駐輪代を支払わずに出庫してしまうといったことも防止できる。
(2)本発明の駐輪装置は、前輪後部抱持手段の車輪進入方向前縁部に、回動可能に設けられた一対の保持部材を備える。そして、車輪が進入してきたときに、該保持部材の一端が該車輪に押圧されて回転し、他端が該車輪を保持する。
従って、本発明の駐輪装置によれば、車輪の進入にともなう保持部材の回動動作によって、煩雑な操作をすることなく二輪車や三輪車を駐輪装置に入庫させることができる。
さらに、前輪後部抱持手段の回転をロックするオートロック手段を備えているので、錠前等によりロックする場合に比べ、簡単にロックすることができ、また、鍵を管理する管理者も不要となり、駐車場管理コストも安くなる。
(3)本発明の駐輪装置が備える過負荷防止機構が、上記車輪が上記前輪離脱阻止機構によって保持された状態において、該車輪に対して該車輪を駐輪装置から引き外そうとする力が加えられたときに、該前輪離脱阻止機構による該車輪の保持の阻止を解除する。従って、例えば人が駐輪装置から車輪を無理やり抜こうとした場合の駐輪装置の破損を防止することができる。
(4)上記保持部材が、過剰な力が加えられたときに変形する弾性部材から構成されることにより、比較的簡単に過負荷防止機構を構成することができる。また、保持部材を一本の弾性部材により形成することにより、部品点数も少なくなる。さらに、弾性部材だけで保持部材を構成すれば、過剰な力が加えられたときに変形したままになってしまうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の駐輪装置について、図面を参照して説明する。図1乃至10は本発明の第1の実施の形態の駐輪装置の一例を示す図である。この例では、自動二輪車を入庫駐車させる駐輪装置について説明するが、本発明の駐輪装置は、自動二輪車以外の自転車や原付自転車や、三輪車の入庫駐車にも適用可能である。以下では、これらを含めて二輪車という。
図1は、本発明の駐輪装置による二輪車の駐輪の概要を説明する図である。図1(A)は二輪車を入庫する前の状態、図1(B)は二輪車が入庫した後の状態を示している。
駐輪装置1が備える前輪後部抱持手段6は、二輪車8の車輪(前輪)9が前輪後部抱持手段6に進入したときに回転するように構成されており、図1(A)に示すように、実線の位置にある二輪車が、同図破線で示した位置に進入し、前輪後部抱持手段6内に車輪9が進入してくると、前輪後部抱持手段6は図1(B)に示すように回転する。そして、車輪9が更に進入してくると、車輪の前部が前輪前部抱持手段7に当接し、前輪前部抱持手段7が図1(B)に示すように車輪の前部を抱持する。
【0011】
このように、車輪9の後部、前部が前輪後部抱持手段6及び前輪前部抱持手段7により抱持された状態になると入庫が完了する。
前輪後部抱持手段6は、前輪離脱阻止機構として、車輪進入方向前縁部に一対の保持部材(不図示)を備える。この保持部材は、車輪が進入してきたときに、その一端が車輪に押圧され回動し、その他端が車輪9のリム付近を押さえ込む。これにより、車輪9のサイズ(径)が小さい場合であっても、車輪9を上方に持ち上げることができず、車輪9の離脱が防止される。
前輪後部抱持手段6が入庫状態になると、後述するようにオートロック手段により、前輪後部抱持手段6の回転が自動的にロックされ、例えば、料金精算装置への料金の入金操作等があるまで、上記ロック状態が保持される。
【0012】
以下、本発明の駐輪装置の具体的構成例について説明する。
図2、図3は、本実施形態の駐輪装置の側面図であり、図2は前輪後部抱持手段6及び前輪前部抱持手段7が回転していない状態(未入庫状態)を示し、図3は前輪後部抱持手段6及び前輪前部抱持手段7が回転している状態(入庫の状態)を示す。
また、図4は本実施形態の駐輪装置の側面図、上面図を示している。
図2、図3、及び図4(B)に示すように、ベース部2と、ベース部2の両側部に離間対向させて設けた各一対の第1支持部3、3と、この第1支持部3,3より斜め上方に立ち上げた第2支持部4、4とから成るフレーム5と、このフレーム5に回転可能に取り付けられた前輪後部抱持手段6と前輪前部抱持手段7とを備える。
前輪後部抱持手段6と前輪前部抱持手段7とは、自動二輪車8(図1を参照)の前輪の進入退出方向に所定間隔を開けて設けられる。前輪後部抱持手段6、前輪前部抱持手段7は、前輪の進入退出方向に共に回転して、それぞれ、前輪の後部、前輪の前部を抱持して、前輪を入庫させる。
本発明の駐輪装置1は、さらに、前輪後部抱持手段6の回転を前輪が入庫した状態で自動的にロック保持するオートロック手段21(図2、図3中21の符号を付して示している機構、詳しくは図9(A)を参照)と、このオートロック手段21による前輪に対するロック状態を自動的に解除するオートロック解除手段23(図2、図3中23を付して示している機構、詳しくは図9(B)を参照)とを備える。すなわち、本発明の駐輪装置1は、前輪後部抱持手段6と前輪前部抱持手段7との間で、上記前輪の後部下方と前部上方を半径方向から抱持、ロックして、自動二輪車8等の二輪車や、三輪車を駐輪させる。
また、前輪後部抱持手段6は、図4乃至7を参照して後述する前輪離脱阻止機構を備える。前輪離脱阻止機構は、前輪後部抱持手段6に前輪が抱持され、前輪後部抱持手段6が回転したとき、前輪に押されて回動し、前輪の両側から前輪のリム付近を保持することによって、前輪の駐輪装置1からの離脱を阻止する。
【0013】
フレーム5のベース部2は、例えば、大型の自動二輪車8の前輪が出入りしても変形しない剛性と材厚を有する金属板で構成されている。このベース部2は、平面略矩形平板状のもので、その前後両側部には、これを地面Gにアンカーボルトなどを用いて据え付けるための所定の取付板(図示せず)が突設されている。
図4(B)に示すように、ベース部2の両側部には、断面コの字形状を呈するようにして設けられた第1支持部3、3が離間対向させ平行に設けられている。この第1支持部3、3の前側に位置する部分からは、斜め上方向へ同じく平行に離間対向させて立ち上げた2本の第2支持部4,4が設けられており(図1を参照)、この第1支持部3、3と第2支持部4、4とでフレーム5を構成している。フレーム5はベース部2を省略し、或はベース部2と共に角パイプや丸パイプ或はアングル部材で構成することは可能であり、要するに設置して前輪後部抱持手段6と前輪前部抱持手段7を回転可能に取り付けられるものであれば足り、実施例のものに限定されない。
【0014】
図4は、本発明の駐輪装置の一例を示す図である。
図4(A)は駐輪装置1の側面図であり、図4(B)は駐輪装置1を図4(A)中のOから矢印の方向に見たときの図である。図4(A),(B)中の実線で描かれた前輪後部抱持手段6は、前輪が前輪後部抱持手段6に進入する前の状態の前輪後部抱持手段6を示し、一点鎖線で描かれた前輪後部抱持手段6は、前輪が前輪後部抱持手段6に進入した後の状態の前輪後部抱持手段6を示す。
図4(C)は、前輪後部抱持手段6が前輪の進入後の状態のときの駐輪装置1を図4(A)中のPから矢印の方向に見たときの図である。
第1支持部3、3間には、前端部側に位置して上述した前輪後部抱持手段6が回動可能に設けられている。この前輪後部抱持手段6は、例えば、側面略「く」の字状に形成された底板6a(図4(B)を参照)と、該底板6aの両側部より立設された側板6b,6bとを有する。また、底板6aの屈曲部分に回転シャフト15(図4(A),(C)を参照)が設けられており、前輪が前輪後部抱持手段6に進入し、該底板6a上に載ったときに、該回転シャフト15を軸として、該底板6aが回転するように構成されている。
【0015】
底板6aの折り曲げ角度はとくに限定はないが、前輪前部抱持手段7との間で前輪を半径方向から抱持した際に、当該前輪を脱出できないように抱持できる角度とすることが望ましい。底板6aの略中央部には、凹溝6d(図4(B)、(C)を参照)が設けられている。この凹溝6dは、例えば、原付自転車のような小型自動二輪車の前輪を駐輪させるためのものである。小型自動二輪車の車輪は、大型自動二輪車の車輪より幅が狭く、径が大きいものが多いために、この小型自動二輪車の車輪を駐輪させるのに凹溝6dを設けてある。凹溝6dの深さは、とくに限定はない。
【0016】
図5は、前輪が進入する前の状態の前輪後部抱持手段を示す図である。また、図6は、前輪が進入した後の状態の前輪後部抱持手段を示す図である。
図5(A)は、図4(A)の実線で示す前輪後部抱持手段6の拡大図であり、前輪が進入する前の状態の前輪後部抱持手段6を示す。
図5(B)は、前輪後部抱持手段6を図5(A)中のOから矢印の方向に見たときの図である。また、図6(A)は、前輪が進入した後の状態の前輪後部抱持手段6を示す図であり、図6(B)は、前輪後部抱持手段6を図6(A)のQから矢印の向きに見たときの図である。
前輪後部抱持手段6には、図5(B)中に示す前輪後部抱持手段6の車輪進入方向前縁部6e,6eに設けられた一対の板状の保持部材6fを備える前輪離脱阻止機構が設けられている。該保持部材6fは、前輪後部抱持手段6の車輪進入方向前縁部6e,6eに回転可能に設けられている。例えば、保持部材6fは、底板6aに平行でかつ側板6bに平行な軸6gを回転軸として回動するように前輪後部抱持手段6に取り付けられている。6kは戻しバネであり、保持部材6fを図5の状態になるように付勢している。前輪後部抱持手段6に図1(A)に示す車輪(前輪)9が進入すると、保持部材6fが備えるアーム部材6hが該車輪9に押圧されて、該保持部材6fが回動する。該保持部材6fの回動に伴って、該保持部材6fの端部6iが、図5(B)中に示される位置から図6(B)中に示される位置まで回動し、該図6(B)中に示される位置において、車輪9が離脱しないように該車輪9のタイヤを両側から保持する。なお、保持部材6fの端部6jは、該保持部材6fの回動に伴って、図5(B)中に示される位置から図6(B)中に示される位置まで回動する。
【0017】
図7は、保持部材の回動動作を説明する図である。
図7中の太線の矢印の方向に車輪9が進入して、該車輪9がアーム部材6hを押圧すると、図7中の実線で示される保持部材6fが、図7中の一点鎖線で示される位置まで回動する。
【0018】
次に、特に図4(C)、図8(B)及び図9(C)に示したように、ベース部2の両側の第1支持部3、3と当該ベース部2との間には、一対の第1支持板17、17が取り付けられており、この一対の第1支持板17、17間に、回転シャフト15が回転可能に軸支されている。この回転シャフト15には、その外周に前輪後部抱持手段6(図4を参照)の底板6aが、その折曲部の部分において溶着などの手段で固着されている。
【0019】
図8は、前輪後部抱持手段の自動復帰手段を示す図である。
図8(A)は前輪後部抱持手段6の自動復帰手段の正面図を示し、図8(B)は、自動復帰手段の断面図を示す。
回転シャフト15の、左側の第1支持部3内には、回転シャフト15に連結された前輪後部抱持手段6の自動復帰手段19が設置されている。
この自動復帰手段19は、第1支持板17に軸受部材15cを介して回転可能に取り付けた回転シャフト15の左側端部に共に回転するように取り付けた回転ドラム19aと、この回転ドラム19aの周辺部に設けた係止ピン19bとベース部2の上面との間に、回転シャフト15に巻き付けられて設けられたトーションスプリングから成る付勢手段19cとで構成され、付勢手段19cにより二輪車が入庫していないとき前輪後部抱持手段6を図1(A)、図2に示す回転位置に保持させる。
19dは、リミットスイッチであり、前輪後部抱持手段6の回転を検出し、自動二輪車の入庫と出庫を検知する。
なお、付勢手段19cは、他の構成のスプリング(例えば引張コイルスプリングや圧縮コイルスプリング)を用いてこれに代えても良い。
【0020】
図9は、オートロック手段及びオートロック解除手段を示す図である。
図9(A)は、歯車21aと爪部材21dの係合状態を示し、図9(B)は歯車21dと爪部材21dの非係合状態を示し、図9(C)は歯車21aの部分の断面図を示している。
図9に示すように、第1支持板17に軸受部材15bを介して回転可能に取り付けた第1回転シャフト15の、右側の第1支持部3内には、オートロック手段21が設置されている。
なお、上記オートロック手段21は、回転シャフト15に共に回転するように取り付けた歯車21aと、この歯車21aの歯部21bと噛み合うべく、第1支持板17に取り付けた支軸21cに回転可能に取り付けた爪部材21dと、この爪部材21dの外周端部に設けた取付ピン21sへ取り付けたワイヤー21eと、このワイヤー21eを引張って爪部材21dを動作させるアクチュエータ21f(図2、図10を参照)とで構成されている。
図9(A)中、29は、爪部材21dの支軸21cからの抜けを防止するスナップリングである。このスナップリング29はEリングであっても良い。さらに21gは、このワイヤー21eの外周を包囲するワイヤー管であって、このワイヤー管21gの一端は、図9に示したように、第1支持板17に固定され、他端は下記の図10に示したように、取付板34に固定されている。なお、爪部材21dには、後述するオートロック解除手段23が付設されている。
【0021】
図10は、駐輪装置の第1及び第2アクチュエータを示す図である。
図10(A)は、第1及び第2アクチュエータの正面図を示し、図10(B)は、第1及び第2アクチュエータの側面図を示す。
図10に示すように、図9(A)を参照して前述したワイヤー21eは、さらに取付板34へ上下方向へ摺動可能に取り付けた第1スライドドラム21hに取付具21iを介して取り付けられている。第1スライドドラム21hは、その外周に懸架した第1形状記憶合金線21jを介して例えば第1ハモニカ端子21kから吊り下げられており、第1スライドドラム21hと第1形状記憶合金線21jと第1ハモニカ端子21kとで第1アクチュエータ21fを構成している。
図10に示したように、第1スライドドラム21hを取付板34へ摺動可能に取り付ける手段は、第1スライドドラム21hの中心部に設けたガイド長孔21lと、このガイド長孔21lへ挿入係止されると共に、取付板34に取り付けた一対のガイドピン21m、21mとで構成されている。
【0022】
なお、図10に示したように、第1スライドドラム21hの左上に設けられているものは、第1形状記憶合金線21jに流した電流を動作終了後、直ちに遮断するためのマイクロスイッチ25である。
即ち、第1形状記憶合金線21jに電流が流れると、加熱されて瞬時に収縮するので、第1スライドドラム21hは上方へ摺動する。すると、この第1スライドドラム21hの左上外周端がマイクロスイッチ25の作動片25aに接触してこれを押すので、このマイクロスイッチ25がONされ、第1形状記憶合金線21jに流れている電流を遮断することになる。
このことによって、第1形状記憶合金線21jに流れる電流を10分の1秒程度にして節約することができる。なお、第1スライドドラム21hが上動すると、この第1スライドドラム21hに懸架されたワイヤー21eを牽引して爪部材21d(図9を参照)を回動動作させる。そしてこのようにして動作させられた爪部材21dは、付勢手段27aによってその回動位置を保持するので、動作後ワイヤー21eがマイクロスイッチ25の動作により弛んでもそれだけで元位置へは自動的に戻ることはない。
【0023】
爪部材21dには、とくに図9と図10に示したように、オートロック解除手段23が付設されている。
このオートロック解除手段23は、爪部材21dの外周のワイヤー21eの取付箇所の対向位置(約180°間隔)に設けた取付ピン21tに取り付けたワイヤー23aと、このワイヤー23aを取り付けた第2スライドドラム23bと、この第2スライドドラム23bを摺動させる第2形状記憶合金線23cと、この第2形状記憶合金線23cに電気を流す第2ハモニカ端子23dとから構成されており、第2スライドドラム23bと第2形状記憶合金線23cと第2ハモニカ端子23dで第2アクチュエータ23eを構成している。
この第2アクチュエータ23eは取付板34に第1アクチュエータ21fと並んで設置されている。指示記号23iは、第2ワイヤー23aの外周を包囲するワイヤー管であって、このワイヤー管23iの一端はとくに図9に示したように、第1支持板17に固定され、他端は図10に示したように取付板34に固定されている。
第2ワイヤー23aはさらに取付板34へ上下方向へ摺動可能に取り付けた第2スライドドラム23bに取付具23jを介して取り付けられている。第2スライドドラム23bは、その外周に懸架した第2形状記憶合金線23cを介して、第2ハモニカ端子23dから吊り下げられており、前述したように、第2スライドドラム23bと第2形状記憶合金線23cと第2ハモニカ端子23dで第2アクチュエータ23eを構成している。
第1アクチュエータ21fと第2アクチュエータ23eは、起動回路(アクチュエータ起動回路)により、それぞれが独立して動作することができる。
【0024】
第2スライドドラム23bを取付板34へ摺動可能に取り付ける手段は、図10に示したように、第2スライドドラム23bの中心部に設けたガイド長孔23gと、このガイド長孔23gへ挿入係止されて取付板34に取り付けた一対のガイドピン23h、23hとで構成されている。
なお、図10に示したように、第2スライドドラム23bの左上に設けられているものは、第2形状記憶合金線23cに流した電流を動作終了後、直ちに遮断するためのマイクロスイッチ26である。
即ち、第2形状記憶合金線23cに電流が流れると、加熱されて瞬時に収縮するので、第2スライドドラム23bは上方へ摺動する。すると、この第2スライドドラム23bの右上外周端がマイクロスイッチ26の作動片26aに接触してこれを押すので、このマイクロスイッチ26がONされ、第2形状記憶合金線23cに流れている電流を遮断することになる。このことによって、第2形状記憶合金線23cに流れる電流を10分の1秒程度にして節約することができる。
なお、第2スライドドラム23bが上動すると、この第2スライドドラム23bに懸架されたワイヤー23aを牽引して爪部材21d(図9を参照)を先ほどとは逆の方向へ回動動作させる。そしてこのようにして動作させられた爪部材21dは、付勢手段27aによってその回動位置を保持するので、動作後ワイヤー23aがマイクロスイッチ26の動作により弛んでもそれだけで元位置へは自動的に戻ることはない。
【0025】
図9に示したように、爪部材21dに取り付けた係止ピン21rとその支軸21cに取り付けた係止ピン21qとの間には、第1爪部材21dを一方向へ回動付勢させる引張りコイルスプリングから成る付勢手段27aが張設されている。この場合、係止ピン21qの位置は支軸21cに対してセンターをずらせてあるので、爪部材21dはワイヤー21eとワイヤー23aによって左右いずれの方向へ回動させられても、一度回転させられた後は付勢手段27aによって上述したようにその回動位置を保持することになる。爪部材21dは、歯車21aに対し、当該歯車21aのオートロック方向の回転の時の回転時には、その爪部21nを歯車21aの歯部21bに喰い込ませることによって、その回転を阻止するが、その逆の回転方向にあっては、歯車21aの回転を阻止しないように、その配置関係が定められている。
【0026】
また、図9に示したように、歯車21aには、その外周に回転検知手段35が設置されている。この回転検知手段35は、例えば光センサーからなる回転角度検知センサーであるが、この回転検知センサーの光センサーに代えて、マイクロスイッチや、磁気検知手段のような、他の公知のセンサーを用いてもよい。歯車21aには回転検知手段35用の透孔21o、21pが所定間隔を空けて設けられている。
なお、図2中の28は、第1、第2アクチュエータの部分を覆う覆板であり、28aはその蓋である。また、図示した第2支持部4、4は、自動二輪車8の入庫時にその前輪で前方向へ強く押圧されることから、第1支持部3、3との間に、例えばアングルプレートのような補強部材を取り付けてもよい。
【0027】
図1乃至4に示したように、第2支持部4の上端部側には、上述した前輪前部抱持手段7が回動可能に取り付けられている。この前輪前部抱持手段7は、例えば、図4に示したように、側面略「く」の字形状に折り曲げて成る底板7aと、この底板7aの両側部より立設されて前輪の両側部をそれぞれ覆うと共に、それぞれ外側に傾斜して形成されている両側板7b、7bとから成る。
この底板7aの折り曲げ角度はとくに限定されないが、前輪後部抱持手段6との間で前輪を半径方向から抱持した際に、当該前輪を脱出できないような角度とすることが望ましい。底板7aの幅は、例えば、大型自動二輪車の前輪の幅より狭く、原付自転車のような小型自動二輪車の車輪の幅より若干広い寸法に形成されている。
【0028】
次に、本発明の第1の実施の形態の駐輪装置1の作用を説明する。
図1(A)は、駐輪装置に自動二輪車を入庫する前の状態を示す図である。また、図2は、自動二輪車が入庫する前の状態における駐輪装置の側面図の例である。
まず、駐輪装置1が自動二輪車8の入庫を待つ入庫待機状態の時は、図1(A)と図2に示したように、前輪後部抱持手段6と前輪前部抱持手段7は、指示線A、A’で示した入庫待機位置にある。
この時は、歯車21aと爪部材21dとは係合状態にはない。また、上記入庫待機位置にある前輪後部抱持手段6が備える保持部材6fは、前述した図5(B)に示すような状態にある。この入庫待機状態の駐輪装置1に自動二輪車8を入庫させるべく、図1(A)に示したように、その前輪を前輪後部抱持手段6の底板6aの端部へ当てがい、進行方向へ押して、当該前輪(車輪)9を底板6aの上に乗せ、さらに進行方向へ押すと、前輪後部抱持手段6は、回転ドラム19aに作用させた自動復帰手段19の付勢手段19cの付勢力に抗して回転シャフト15と共に図中時計方向へ回転して、車輪9の進入を許容する。
【0029】
車輪9が進入すると、保持部材6fに設けられたアーム部材6hが該車輪9に押圧されて、該保持部材6fが回動する。該保持部材6fの回動に伴って、該保持部材6fの端部6iが、図5(B)中に示される位置から図6(B)中に示される位置まで回動して、車輪9が離脱しないように該車輪9を保持する。また、進入した自動二輪車8の前輪の前部上部によって、前輪前部抱持手段7が押されて図中反時計方向へ回転し、この前輪前部抱持手段7と前輪後部抱持手段6とで、入庫のために進入した自動二輪車8の車輪9のリム部分を半径方向から抱え込む。
【0030】
図1(B)は、駐輪装置へ自動二輪車を入庫した状態を示す図である。また、図3は、自動二輪車が入庫した状態における駐輪装置の側面図の例である。
上述したように前輪前部抱持手段7と前輪後部抱持手段6とで自動二輪車8の車輪9を半径方向から抱え込むと、図1(B)に示すように、駐輪装置は、自動二輪車9が入庫した状態となる。
駐輪装置1が自動二輪車8が入庫した状態の時は、図3に示したように、前輪後部抱持手段6と前輪前部抱持手段7は、指示線B、B’で示した入庫位置にある。自動二輪車9が入庫すると、回転シャフト15に取り付けた歯車21aに設置された回転検知手段35(図9を参照)が、歯車21aの入庫に伴う回転を検知し、自動二輪車8の入庫がなされたものと判断して、アクチュエータ起動回路のアクチュエータ21f側をONさせる。すると、アクチュエータ21fの第1形状記憶合金線21j(図10を参照)に電流が流れ、当該第1形状記憶合金線21jが過熱されて変形することにより、第1スライドドラム21hを上方ヘスライドさせるので、ワイヤー21eが牽引されて爪部材21dを図中時計方向へ回転させて、その爪部21nを歯車21aの歯部21bと係合することにより、前輪後部抱持手段6がロックされることになる。
【0031】
前輪後部抱持手段6が一度ロックされると、アクチュエータ起動回路がアクチュエータ21fに対する通電をOFFさせても、爪部材21dが付勢手段27aによって歯車21aと歯合する方向へ回動付勢されているので、ロック状態は維持されている。
即ち、この状態の時に前輪後部抱持手段6が自動二輪車8を出庫する方向へ回転する力を受けても、爪部材21dは、出庫する方向へ回転しようとする歯車21aの回転を阻止する。また、車輪9が進入し、前輪前部抱持手段7と前輪後部抱持手段6とで該車輪9を半径方向から抱え込んだ状態においては、図6(B)に示すように、前輪後部抱持手段6が備える保持部材6fの端部6iが、車輪9が離脱しないように両側から該車輪9のタイヤを保持する。
従って、この状態の時に自動二輪車8を上方へ持ち上げようとしても、該保持部材6fが該車輪9のタイヤを両側から保持しているので、車輪9は前輪後部抱持手段6から離脱しない。その結果、自動二輪車8の出庫はできないことになる。
【0032】
入庫した自動二輪車8を出庫させる場合は、例えば、駐輪装置1に対応する料金精算装置への料金の入金操作をする。これに応じて、アクチュエータ起動回路のアクチュエータ23eの側がONされ、第2形状記憶合金線23cに電流が流れ、当該第2形状記憶合金線23cの形態が変化して縮む。これにより、ワイヤー23aを介して爪部材21dが反時計方向へ回転して、歯車21aとの間の係合状態が解かれるので、前輪後部抱持手段6の反転が許容される。
その結果、自動二輪車8の車輪9に対するロック状態が解かれ、自動二輪車8の車輪9を後進させることが可能となる。
自動二輪車8の車輪9が後進すると、前輪後部抱持手段6が、例えば図1(B)中反時計方向へ回転して、前述した図1(A)中に示すような入庫待機位置となる。また、自動二輪車8の車輪9が後進するとともに、図6(B)に示す位置にあって車輪9を両側から保持していた保持部材6fが、図5(B)に示す位置まで回動して、車輪9の保持が解除される。その結果、自動二輪車を出庫させることが可能となる。
【0033】
ところで、本発明の駐輪装置は、自動二輪車の前輪を保持しロックする機構を備えたものであり、無理に自動二輪車を駐輪装置から引き外そうとすると、場合によっては駐輪装置や車両が破損する可能性がある。
このような問題に対処するためには、駐輪装置や車両が大きく破損する前にロックをはずす過負荷防止機構を設けるのが望ましい。
以下、無理に力が加わったとき、上記ロックを解除する過負荷防止機構を備えた本発明の第2の実施形態について説明する。図11及び図12を参照して後述する、弾性部材100を備える保持部材11a、又は、図14を参照して後述するオートロック手段が、該過負荷防止機構を構成する。具体的には、保持部材11aが、過剰な力が加えられたときに変形する弾性部材から構成される。
図11及び図12は、本発明の第2の実施の形態の駐輪装置が備える前輪後部抱持手段を示す図である。
図11(A)は、自動二輪車8の前輪が進入する前の状態の前輪後部抱持手段10を示し、図11(B)は、前輪後部抱持手段10を図11(A)中のOから矢印の方向に見たときの図である。図11(C)は、図11(B)に示す前輪後部抱持手段10が備える保持部材11aを図11(B)中のPから矢印の方向に見たときの図である。
図11(D)は、図11(B)に示す前輪後部抱持手段7が備える保持部材11aを図11(B)中のQから矢印の方向に見たときの図である。
【0034】
図11(B)中に示す前輪後部抱持手段10は、図5(A)、(B)を参照して前述した前輪後部抱持手段6が備える一対の保持部材6fに代えて、コイルバネ等の弾性部材100を有する保持部材11aを備える。保持部材11aは、図11(B)中に示す前輪後部抱持手段10の車輪進入方向前縁部11b,11bに設けられ、前輪離脱阻止機構を構成する。該保持部材11aは、前輪後部抱持手段10が備える底板6aに平行でかつ側板6bに平行な軸11cを回転軸として回動可能なように設けられている。11dは戻しバネであり、保持部材11aを図11の状態になるように付勢している。
図12は、自動二輪車8の前輪が進入した後の状態の前輪後部抱持手段10を示している。前輪(車輪)9が進入した状態においては、保持部材11aの端部12bが、車輪9のタイヤを両側から保持して、車輪9の駐輪装置からの離脱を阻止する。
【0035】
図13は、図11に示す保持部材の回動動作を説明する図である。
図13中の太線の矢印の方向に車輪9が進入して、該車輪9が、保持部材11aのアーム部12aを押圧すると、図13中の実線で示される保持部材11aが、図13中の一点鎖線で示される位置まで回動する。保持部材11aの回動に伴って、保持部材11aの端部12bが、車輪9が離脱しないように該車輪9のタイヤを両側から保持する。
図11〜図13に示す構成において、人が駐輪装置から車輪9を引き抜こうとすると、抜こうとする力によって、図12中に示す保持部材11aが有する弾性部材100が撓んで、該保持部材11aにより構成される前輪離脱阻止機構から車輪9が離脱する。
従って、例えば人が駐輪装置から車輪9を無理やり抜こうとした場合の駐輪装置の破損を防止することができる。
なお、保持部材11aを一本の弾性部材により形成することにより、部品点数も少なくなる。さらに、弾性部材だけで保持部材11aを構成すれば、過剰な力が加えられたときに変形したままになってしまうことがない。
また、図5、図6に示した板状の保持部材6fにバネ部材を設けて、過負荷防止機構の機能を有する保持部材として構成するようにしてもよい。
【0036】
図14は、本発明の第2の実施の形態の駐輪装置が備えるオートロック手段を示す図であり、この実施形態においては、大きな力が加わったとき、オートロック手段31に設けた破断ピンを破断させることにより、大きな損傷無く、車輪9を引き抜けるようにしたものである。
図14(A)は、歯車21aと爪部材21dの係合状態を示している。オートロック手段31が備える構成要素のうち、図9を参照して前述したオートロック手段21が備える構成要素と同一符号のものは、該オートロック手段21が備える構成要素と同様である。オートロック手段31は、オートロック手段21が備える構成要素に加え、回転シャフト15と歯車21aとに差し込まれて該回転シャフト15と歯車21aとを固定する破断ピン41を備える。
図14(B)は、破断ピン41の構成例を示す。破断ピン41は図14(B)に示すような切欠き部42を備える。切欠き部42は、上述した図14(A)に示すように、破断ピン41が回転シャフト15に差し込まれた場合に切欠き部42が第1回転シャフト15の外周部近傍に配置されるような位置に設けられる。
【0037】
例えば、人が駐輪装置から車輪9を無理やり抜こうとして、駐輪装置に過負荷が掛かると、図14(A)、(B)で説明した破断ピン41が、切欠き部42が設けられた位置において破断する。破断ピン41が破断すると、歯車21aが第1回転シャフト15から独立して回転可能になり、オートロック手段31による車輪9に対するロック状態が解除される。このため、例えば人が駐輪装置から車輪9を無理やり抜こうとした場合の駐輪装置の破損を防止することができる。
本発明の第2の実施形態によれば、比較的簡単な構造で、かつ少ない部品点数で駐輪装置を過負荷から保護することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上説明したように本発明に係る駐輪装置は、駐輪時に駐輪装置に入庫する、サイズの異なる二輪車や三輪車の該駐輪装置からの離脱を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の駐輪装置による二輪車の駐輪の概要を説明する図である。
【図2】本実施形態の駐輪装置の側面図(1)である。
【図3】本実施形態の駐輪装置の側面図(2)である。
【図4】本発明の駐輪装置の一例を示す図である。
【図5】前輪が進入する前の状態の前輪後部抱持手段を示す図である。
【図6】前輪が進入した後の状態の前輪後部抱持手段を示す図である。
【図7】保持部材の回動動作を説明する図(1)である。
【図8】前輪後部抱持手段の自動復帰手段を示す図である。
【図9】オートロック手段及びオートロック解除手段を示す図である。
【図10】駐輪装置の第1及び第2アクチュエータを示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態の駐輪装置が備える前輪後部抱持手段を示す図(1)である。
【図12】本発明の第2の実施の形態の駐輪装置が備える前輪後部抱持手段を示す図(2)である。
【図13】保持部材の回動動作を説明する図(2)である。
【図14】本発明の第2の実施の形態の駐輪装置が備えるオートロック手段を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 駐輪装置
2 ベース部
3 第1支持部
4 第2支持部
5 フレーム
6、10 前輪後部抱持手段
6a、7a 底板
6b、7b 両側板
6d 凹溝
6e、11b 車輪進入方向前縁部
6f、11a 保持部材
6g、11c 軸
6h アーム部材
6i、6j、12b 端部
6k、11d 戻しバネ
7 前輪前部抱持手段
8 自動二輪車
9 車輪
12a アーム部
15 回転シャフト
15b 軸受部材
17 第1支持板
19 自動復帰手段
19a 回転ドラム
19b、21q、21r 係止ピン
19c 付勢手段
19d リミットスイッチ
21 オートロック手段
21a 歯車
21b 歯部
21c 支軸
21d 爪部材
21e、23a ワイヤー
21f アクチュエータ
21g、23i ワイヤー管
21h 第1スライドドラム
21i、23j 取付具
21j 第1形状記憶合金線
21k 第1ハモニカ端子
21l、23g ガイド長孔
21m、23h ガイドピン
21n 爪部
21o、21p 透孔
21s、21t 取付ピン
23 オートロック解除手段
23b 第2スライドドラム
23c 第2形状記憶合金線
25、26 マイクロスイッチ
25a、26a 作動片
27a 付勢手段
28 覆板
28a 蓋
29 スナップリング
34 取付板
35 回転検知手段
41 破断ピン
42 切欠き部
100 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪の進入退出方向に所定間隔を空けて設けられ、前輪の進入退出方向に共に回転し、前輪の後部を抱持する前輪後部抱持手段と前輪の前部を抱持する前輪前部抱持手段と、
前輪後部抱持手段の回転をロックするオートロック手段とを備え、
該前輪後部抱持手段と前輪前部抱持手段との間で、上記前輪の後部下方と前部上方を半径方向から抱持、ロックして、二輪車や三輪車を駐輪させる駐輪装置であって、
前輪後部抱持手段に設けられ、前輪後部抱持手段に前輪が抱持され、前輪後部抱持手段が回転したとき、前輪に押されて回動し、前輪の両側から前輪のタイヤを保持する前輪離脱阻止機構を設けた
ことを特徴とする駐輪装置。
【請求項2】
前輪後部抱持手段は、「く」の字状に形成された底板と、該底板の両側部より立設された側板とを有し、該底板の屈曲部分に回転軸が設けられており、車輪が前輪後部抱持手段に進入し、該底板上に載ったときに、該回転軸を軸として、該底板が回転するように構成されており、
前輪離脱阻止機構は、前輪後部抱持手段の車輪進入方向前縁部に回転可能に設けられた一対の保持部材を備え、
車輪が進入してきたときに、該保持部材の一端が該車輪に押圧されて回転し、他端が該車輪を保持する
ことを特徴とする請求項1に記載の駐輪装置。
【請求項3】
上記車輪が上記前輪離脱阻止機構によって保持された状態において、該車輪に対して該車輪を駐輪装置から引き外そうとする力が加えられたときに、該前輪離脱阻止機構による該車輪の保持の阻止を解除する過負荷防止機構を設けた
ことを特徴とする請求項2に記載の駐輪装置。
【請求項4】
上記保持部材が、過剰な力が加えられたときに変形する弾性部材から構成され、上記過負荷防止機構として機能する
ことを特徴とする請求項3に記載の駐輪装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−286378(P2009−286378A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144371(P2008−144371)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(500577932)株式会社庄内クリエート工業 (8)