説明

駐輪装置

【課題】空の自転車用架台を自動的に跳ね上げ姿勢位置に変換できる駐輪装置を提供する。
【解決手段】昇降用支柱2を昇降するスライダ3に自転車用架台4の基端部が回動可能に枢支され、自転車用架台4を、自転車B1を載置する駐輪待機姿勢位置とこの上方の格納位置とこの格納位置から下降して駐輪待機姿勢位置よりも若干下方に位置付ける駐輪姿勢位置とに上下動可能に構成するとともに、自転車用架台が駐輪姿勢位置にあるときに基端部を支点にして跳ね上げ姿勢位置となるように揺動可能に構成する。そして、自転車用架台4を駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置に付勢する2つのガススプリング44と、自転車用架台4が駐輪待機姿勢位置にあるときに各ガススプリング44の付勢力に抗して当該位置に保持する一方、自転車用架台4が駐輪姿勢位置にあるときに各ガススプリング44の付勢力による跳ね上げ姿勢位置への変換を許容する姿勢変換手段7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐輪装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近来、スーパーマーケットの駐輪場、駅周辺の駐輪場、又はマンションの駐輪場等にあっては、限られたスペースにできるだけ多くの自転車を収納することを目的として自転車を上下に収納するようにした駐輪装置が設けられている。
【0003】
このような駐輪装置としては、自転車を載置する自転車用架台を平面視において左右に位相をずらした状態で上下2段に設け、上段の自転車用架台を利用する場合、この自転車用架台を下降させ、自転車を自転車用架台に載置してから再び上方に上昇させて収納するようにしたものが多く実施されている。
【0004】
斯かる上段の自転車用架台を昇降する場合、自転車を載置した時と自転車を載置していないときとでは昇降操作する力が自転車の重量分大きく異なる。そのため、自転車を載置しているときでも、空の場合と同様に軽い力で昇降できるように支柱にバランス用の錘(カウンターウェイト)を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。そして、このようなカウンターウェイトを設けたものでは、自転車を載せていないときはカウンターウェイトの重量により自転車用架台が勢い良く瞬時に上昇して危険であるため、空で自転車用架台を上昇させる時はカウンターウェイトを作用させないように切り変える着脱機構が設けられている。
【0005】
ところで、前記従来の駐輪装置では、空の自転車用架台が下降していれば、スペースを要して邪魔となるため、空の場合でも自転車を載置した場合と同様に自転車用架台を上方へ上昇させて格納しておく必要がある。
しかし、空の自転車用架台であっても、自転車を載置した場合と同様に上昇させて格納する動作や、着脱機構を切り換える操作が煩わしく、駐輪装置の使い勝手性が悪いものとなる。
【0006】
そこで、本願の発明者らは、自転車用架台が空であるときに跳ね上げて格納するようにした跳ね上げ式の駐輪装置を先に提案している(特許文献2参照)。この駐輪装置は、自転車用架台の基端側部分を支持部材に回動可能に枢支し、前記自転車用架台が、この自転車用架台に自転車が載置される駐輪待機姿勢位置と、この自転車用架台が空であるときにその基端側部分を支点にして先端側部分を上方に跳ね上げる跳ね上げ姿勢位置とに揺動可能とされている。この駐輪装置では、自転車用架台が空であるときに当該自転車用架台の基端側部分を支点にして先端側部分を上方に跳ね上げる操作を行って跳ね上げ姿勢位置に変換することで、空の自転車用架台を簡単な構成で省スペースに格納でき、駐輪装置の使い勝手性も向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−323675号公報
【特許文献2】特開2007−161094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、前記提案のものにあっても、自転車を下して空となった自転車用架台を駐輪待機姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置に変換する際に利用者が自転車用架台の基端側部分を支点にして先端側部分を上方に跳ね上げる操作を行う必要がある。このため、空となった自転車用架台を駐輪待機姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置に利用者が操作し忘れるおそれがあり、これでは自転車用架台が邪魔になってしまう。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、空となった自転車用架台を利用者が操作し忘れても自動的に跳ね上げ姿勢位置に変換できるようにして空の自転車用架台が邪魔となることを確実に防止することができる駐輪装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明では、自転車を載置する自転車用架台の基端側部分が昇降用支柱にスライダを介して上下方向に昇降可能に支持された駐輪装置を前提とし、前記自転車用架台の基端側部分を前記スライダに回動自在に枢支している。更に、前記自転車用架台を、この自転車用架台に自転車が載置される駐輪待機姿勢位置とこの上方に自転車を格納する格納位置とこの格納位置から下降して前記駐輪待機姿勢位置よりも若干下方に位置付ける駐輪姿勢位置とに上下動可能に構成しているとともに、前記自転車用架台が駐輪姿勢位置にあるときにその基端側部分を支点にして先端側部分を上方に跳ね上げる跳ね上げ姿勢位置となるように揺動可能に構成している。そして、前記自転車用架台を駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置となるように付勢する付勢手段と、前記自転車用架台が駐輪待機姿勢位置にあるときに当該自転車用架台を前記付勢手段の付勢力に抗して当該駐輪待機姿勢位置に保持する一方、前記自転車用架台が駐輪姿勢位置にあるときに前記付勢手段の付勢力による自転車用架台の跳ね上げ姿勢位置への変換を許容する姿勢変換手段と、を備えている。
【0011】
この特定事項により、自転車が載置される駐輪待機姿勢位置では自転車用架台は姿勢変換手段によって付勢手段の付勢力に抗して当該駐輪待機姿勢位置に保持され、自転車が自転車用架台に円滑に載置される。この駐輪待機姿勢位置にて自転車が載置された自転車用架台は、スライダによって昇降用支柱に沿って上昇し、上方に格納される。そして、上方に格納されていた自転車用架台を駐輪待機姿勢位置よりも若干下方の駐輪姿勢位置まで下降させ、この駐輪姿勢位置で自転車を降ろして当該自転車用架台が空になると、姿勢変換手段によって付勢手段の付勢力による自転車用架台の跳ね上げ姿勢位置への変換が許容される。これにより、空の自転車用架台が付勢手段の付勢力によって駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置に自動的に変換され、空となった自転車用架台を駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置に利用者が操作し忘れることがなくなり、空の自転車用架台が邪魔となることがない。
【0012】
また、前記姿勢変換手段に、前記自転車用架台に設けられた係合ピンと、前記スライダに設けられ、前記係合ピンと係合する係合位置と前記係合ピンと非係合な非係合位置とに変換される係合部材と、前記自転車用架台が駐輪待機姿勢位置にあるときに前記係合部材を係合位置に切り換える一方、前記自転車用架台が駐輪姿勢位置にあるときに前記係合部材を非係合位置に切り換える切換手段と、を設けていることが好ましい。
【0013】
この場合には、姿勢変換手段の切換手段は、自転車用架台が駐輪待機姿勢位置にあるときに係合部材を係合位置に切り換えて係合ピンに係合させることで、付勢手段の付勢力に抗して自転車用架台を駐輪待機姿勢位置に保持する一方、空の自転車用架台が駐輪姿勢位置にあるときに係合部材を非係合位置に切り換えて係合ピンに非係合とすることで、付勢手段の付勢力による自転車用架台の駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置への変換を許容している。これにより、空となった自転車用架台が付勢手段の付勢力によって駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置に自動的に変換され、係合ピンに対し係合部材を切り換えるだけの簡単な構成で使用者による空の自転車用架台の跳ね上げ姿勢位置への操作忘れをなくし、空の自転車用架台を駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置に確実に変換することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上、要するに、自転車用架台が駐輪待機姿勢位置にあるときに付勢手段の付勢力に抗して自転車用架台を駐輪待機姿勢位置に保持する一方、上方の格納位置から下降して駐輪姿勢位置で自転車用架台が空となったときに付勢手段の付勢力による自転車用架台の駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置への変換を許容することで、空となった自転車用架台を付勢手段の付勢力によって駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置に自動的に変換でき、使用者による空の自転車用架台の跳ね上げ姿勢位置への操作忘れをなくして、空の自転車用架台を邪魔となることなく確実に跳ね上げ姿勢位置に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る駐輪装置の概略構成を示し、自転車用架台が駐輪待機姿勢位置に位置付けられた状態での側面図である。
【図2】図1の駐輪装置を上方から見た平面図である。
【図3】図1の自転車用架台を跳ね上げ姿勢位置に変換した状態を仮想線で示す駐輪装置の側面図である。
【図4】図1の自転車用架台を駐輪待機姿勢位置に変換した状態での姿勢変換手段付近の側面図である。
【図5】図4の姿勢変換手段付近を自転車用架台側から見た正面図である。
【図6】図1の自転車用架台の駐輪姿勢位置で係合部材を非係合位置に切り換えた状態を示す姿勢変換手段付近の側面図である。
【図7】図1の自転車用架台を跳ね上げ姿勢位置に変換した状態での姿勢変換手段付近の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る駐輪装置を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る駐輪装置の概略構成を示し、この駐輪装置1は、昇降用支柱2と、この昇降用支柱2に昇降可能に支持されたスライダ3と、このスライダ3の下部に下部枢支ピン30(図4に表れる)を介して基端部(基端側部分)が回動自在に支持され、当該スライダ3と共に昇降する自転車用架台4とを備えている。
【0017】
前記昇降用支柱2は、地上に設置されるベース部材21より上方に立設されている。また、図2に示すように、前記昇降用支柱2は、断面略C字状に形成され、前面の左右両端縁を除く中央部分が上下方向に亘って連続的に前方(図2では右方)に開口している。
【0018】
前記スライダ3は、前記昇降用支柱2の断面形状に則した形状に形成され、昇降用支柱2の内部に昇降自在に収容されている。また、スライダ3の上端部及び下端部には、前記昇降用支柱2の左右両側端部における前後対向面上をそれぞれ転動するローラ31,31,…が回動自在に支持されている。この各ローラ31は、前記昇降用支柱2の左右両側壁23,23に対しそれぞれ対向するスライダ3の左右の対向壁32,32の前後両端より左右方向に延びる軸(図示せず)に支持されている。
【0019】
前記自転車用架台4は、図1に示すように、前記スライダ3の左右の対向壁32,32の下端部に基端(図1では左端)が枢支された断面略U字状の金属製レールよりなる架台本体41と、前記スライダ3の左右の対向壁32,32の上端部に基端(図1では左端)がそれぞれ枢支されたリンク機構42とを備えている。前記架台本体41は、自転車B1が載置された際に前輪B11の一部を下落させて当該自転車B1を前後動不能に位置決めする切欠部410(図2に表れる)を基端部に有する前輪保持部411と、先端部側において後輪B12を保持する後輪保持部412とを備えている。前記リンク機構42の基端(図1では左端)は、スライダ3の左右の対向壁32,32の上端部間に連結された上部枢支ピン33に回動自在に支持されている一方、先端(図1では右端)は、架台本体41の後輪保持部412に連結されている。そして、前記自転車用架台4は、前記昇降用支柱2の内部でスライダ3を昇降させることによって、自転車用架台4への自転車B1の載置を可能とする前記昇降用支柱2の駐輪待機姿勢位置(図1に実線で示す位置)と、自転車B1を載置した自転車用架台4を上方の格納位置(図1に二点鎖線で示す位置)とに昇降移動するようにしている。
【0020】
更に、前記昇降用支柱2の上端部には、上昇付勢手段5が設けられ、この上昇付勢手段5は、リール51と、このリール51への巻き込み方向に付勢され、導出端が前記スライダ3に取り付けられた板ばね(図示せず)とを備えている。この板ばねによるリール51への巻き込み付勢力は、自転車用架台4の重量に一般的な自転車B1の重量(例えば16kg〜22kgの範囲)を加味した状態で前記スライダ3を上昇付勢するもの、つまり、一般的な重量の自転車B1を自転車用架台4に載置した状態で格納位置に移動させれば不慮に下降しないようにスライダ3を上昇付勢するものとしている。
【0021】
そして、前記架台本体41の前輪保持部411と後輪保持部412とは、架台本体41の全長の先端から略三分の一の部分で蝶番(図示せず)を介して中折れ可能に連結されている。更に、リンク機構42は、その全長の先端から略五分の二の部分で蝶番43を介して中折れ可能に構成されている。そして、図3に示すように、前記自転車用架台4は、駐輪待機姿勢位置よりも若干量(例えば25mm程度)下方に位置する駐輪姿勢位置(図3に実線で示す位置)において自転車用架台3に自転車B1が載置されていない空の状態で、架台本体41の先端から略三分の一の部分を蝶番で中折れ(山折れ)させると、この架台本体41の中折れに連動して前記リンク機構42の先端から略五分の二の部分が蝶番43で中折れし、自転車用架台4の先端部が基端部側の各枢支ピン30,33(図4に表れる)を支点にして昇降用支柱2に沿って上方へ跳ね上げられた跳ね上げ姿勢位置(図3に二点鎖線で示す位置)となるようにしている。つまり、自転車用架台3は、自転車B1が載置される駐輪姿勢位置と、昇降用支柱2に沿って先端部を上方へ跳ね上げた跳ね上げ姿勢位置とに変換されるように構成されている。
【0022】
また、図4に示すように、前記スライダ3には、自転車用架台4に自転車B1が載置される前の未載置状態での不慮の上昇移動を禁止する上昇移動禁止装置6が設けられている。この上昇移動禁止装置6は、スライダ3に対し略中央部がピン(図示せず)を介して前後方向に揺動自在に支持された略S字状のロックアーム62と、このロックアーム62の上端に設けられ、自転車用架台4に載置した自転車B1の前輪B11の一部を切欠部410で下落させて位置決めした際にその前輪B11との当接によりロックアーム62の上端を後方へ揺動させる当接片63と、前記ロックアーム62の下端に設けられ、前記当接片63の前方への揺動時に昇降用支柱2の下端開口(図示せず)に係合する一方当接片63の後方への揺動時に昇降用支柱2の下端開口との係合を解除する係合片64と、一端が前記ロックアーム62に係止されるとともに他端が前記スライダ3に係止され、前記ロックアーム62(当接片63)を前方へ揺動させるように付勢するねじりコイルばね65とを備えている。そして、前記ねじりコイルばね65によりロックアーム62の当接片63を前方へ揺動させることで、昇降用支柱2の下端開口にロックアーム62下端の係合片64を係合させ、自転車用架台4に自転車B1が載置される前の未載置状態での不慮のスライダ3の上昇移動を禁止して自転車用架台4を駐輪待機姿勢位置に保持している。一方、自転車用架台4に載置した自転車B1の前輪B11の一部を切欠部410で下落させて位置決めした際にその前輪B11に当接片63を当接させて当該当接片63を後方へ揺動させることで、自転車用架台4に自転車B1を載置した状態での上昇付勢手段5によるスライダ3の上昇移動を許容して自転車用架台4を格納位置(図1に二点鎖線で示す位置)に保持するようにしている。この場合、上昇移動禁止装置6による自転車用架台4の駐輪待機姿勢位置での保持は、自転車用架台4を駐輪待機姿勢位置から下方の駐輪姿勢位置に若干量下降させることで解除される。
【0023】
そして、図5に示すように、前記自転車用架台4の基端に固設された略L字状のL型部材46の上端と前記スライダ3上部の上部枢支ピン33との間には、この両者46,33間を離間する方向に押圧付勢する付勢手段としての2つのガススプリング44,44(図5に2つ表れる)が設けられている。この各ガススプリング44による付勢によって上部枢支ピン33に対しL型部材46を離間させることで、自転車用架台4が駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置に変換されるようにしている。
【0024】
また、図6及び図7に示すように、前記昇降用支柱2の左側壁23(図4では手前側面)と前記スライダ3の左側の対向壁32との間には、姿勢変換手段7が設けられている。この姿勢変換手段7は、前記自転車用架台4が駐輪待機姿勢位置にあるときに当該自転車用架台4を前記各ガススプリング44の付勢力に抗して保持する一方、前記自転車用架台4が駐輪姿勢位置にあるときに前記各ガススプリング44の付勢力による自転車用架台4の駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置への変換を許容している。
【0025】
具体的には、姿勢変換手段7は、前記架台本体41の前輪保持部411の基端より右側方に突設された係合ピン71と、前記スライダ3の右側の対向壁32に基端が固設されて前方へ延びる支持具35の突出端部にピン721を介して略中央部が回転自在に支持され、上端に前記係合ピン71と係合する係合部722を有する係合部材72とを備えている。また、前記姿勢変換手段7は、係合部材72の係合部722を前記係合ピン71と係合する係合位置と前記係合ピン71と非係合な非係合位置とに変換されるように両位置側に付勢するコイルばね73を備えている。このコイルばね73は、一端が係合部材72のピン721と係合部722とのほぼ中央付近に係止されている一方、他端が前記支持具35の突出端の下端位置に係止されている。そして、前記コイルばね73の付勢力によって、そのコイルばね73の両端を繋ぐ線分mがピン721の中心を越えて前方側(図4では右側)に位置するときに係合部材72を係合位置(図4及び図7に示す位置)に変換し、前記線分mがピン721の中心を越えて後方側(図4及び図7では左側)に位置するときに係合部材72を非係合位置(図6に示す位置)に変換するようにしている。更に、前記姿勢変換手段7は、自転車用架台4が駐輪待機姿勢位置にあるときに当該自転車用架台4を各ガススプリング44の付勢力に抗して保持するように前記係合部材72の係合部722を係合位置に、自転車用架台4が駐輪待機姿勢位置にあるときに当該自転車用架台4を各ガススプリング44の付勢力によって跳ね上げ位置への変換を許容するように前記係合部材72の係合部722を非係合位置に、それぞれ切り換える切換手段74を備えている。
【0026】
前記切換手段74は、前記係合部材72の下端に回転自在に支持されたローラ741と、前記ベース部材21に固設され、前記ローラ741を転動させて案内する傾斜面742を有する略台形状の案内部材743とを備えている。この案内部材743の傾斜面742は、ローラ741が下方に行くに従い前方に案内されるように傾斜している。そして、前記切換手段74は、空の自転車用架台4を駐輪待機姿勢位置よりも若干量(例えば25mm程度)下方へ押し下げて駐輪姿勢位置まで下降させた際に、案内部材743の傾斜面742を転動するローラ741によって係合部材72(係合部722)を非係合位置に切り換える。また、前記L型部材46下面には、略L字状のフック部材461の基端(上端)が取り付けられている。このフック部材461は、その先端(下端)が空の自転車用架台4を駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置に変換する際に係合部722の背後(図7では左側)から係合部材72に当接し、当該係合部材72を係合位置に切り換える。更に、前記切換手段74は、前記係合ピン71を係合部722に案内する案内面723を係合部材72の上部に備えていて、空の自転車用架台4が跳ね上げ姿勢位置から駐輪姿勢位置に変換された際に係合部材72の上部に当接した係合ピン71を係合部722に係合させるように案内している。そして、前記自転車用架台4は、自転車B1を載置している格納位置から駐輪姿勢位置に変換して自転車を降ろした際に切換手段74によって係合部材72の係合部722が非係合位置に切り換えられているために、駐輪姿勢位置で自転車B1が降ろされて空になると自動的に跳ね上げ姿勢位置に変換されるようになっている。
【0027】
この場合、係合部材72は、空の自転車用架台4が駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置に変換された際に係合位置に切り換えられ、この状態で空の自転車用架台4が跳ね上げ姿勢位置から駐輪姿勢位置に変換されてから駐輪待機姿勢位置に変換されると、係合ピン71が案内面723で案内されて係合部722に係合する。また、切換手段74は、駐輪待機姿勢位置で自転車用架台4に自転車B1が載置されていると、当該自転車用架台4を駐輪待機姿勢位置から下方の駐輪姿勢位置に切り換えて係合部722が非係合位置へ切り換えられても、自転車B1の自重によって各ガススプリング44の付勢力による自転車用架台4の駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置への変換が規制されている。
【0028】
したがって、本実施の形態では、自転車B1が載置される駐輪待機姿勢位置に自転車用架台4が位置しているときに、姿勢変換手段7の切換手段74によって係合部材72の係合部722を係合位置に切り換えて係合ピン71に係合させることで、自転車用架台4が各ガススプリング44の付勢力に抗して当該駐輪待機姿勢位置に保持され、自転車B1が自転車用架台4に円滑に載置される。この駐輪待機姿勢位置にて自転車B1が載置された自転車用架台4は、上昇付勢手段5により付勢されたスライダ3によって昇降用支柱2に沿って上昇し、上方の格納位置に格納される。そして、上方の格納位置に格納されていた自転車用架台4を駐輪待機姿勢位置よりも若干下方の駐輪姿勢位置まで下降させ、この駐輪姿勢位置で自転車B1を降ろして当該自転車用架台4が空になると、姿勢変換手段7の切換手段74によって各ガススプリング44の付勢力による自転車用架台4の跳ね上げ姿勢位置への変換が許容される。これにより、空の自転車用架台4を各ガススプリング44の付勢力によって駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置に自動的に変換でき、空となった自転車用架台4を駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置に利用者が操作し忘れることがなくなって、空の自転車用架台4を邪魔となることなく確実に跳ね上げ姿勢位置に変換することができる。
【0029】
しかも、姿勢変換手段7の切換手段74は、係合ピン71に対し係合部材72の係合部722を空の自転車用架台4の駐輪待機姿勢位置と駐輪姿勢位置との変換動作に伴って係合位置と非係合位置とに切り換えるだけの簡単な構成でよく、使用者の使い勝手性を高める上で非常に有利なものとなる。
【0030】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、前記実施の形態では、上昇移動禁止装置6による上昇付勢手段5の付勢力によって自転車用架台4を格納位置に保持するようにしたが、自転車用架台の格納位置に対応する昇降用支柱の上端に上端開口を設けるとともに、この上端開口に係脱自在に係合する係合部材を自転車用架台に設け、自転車用架台が格納位置まで上昇したときに係合部材を上端開口に係合させて自転車用架台が格納位置に保持されるようにしてもよい。
【0031】
また、本発明の実施の形態では、自転車用架台4基端のL型部材46の上端とスライダ3上部の上部枢支ピン33との間に付勢手段としての2つのガススプリング44,44を設けたが、自転車用架台を駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置に変換させるように上部枢支ピンに対しL型部材を離間させる付勢力が単一のガススプリング又は3つ以上のガススプリングによって得られていてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 駐輪装置
2 昇降支柱
3 スライダ
4 自転車用架台
44 ガススプリング(付勢手段)
7 姿勢変換手段
71 係合ピン
72 係合部材
74 切換手段
B1 自転車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車を載置する自転車用架台の基端側部分が昇降用支柱にスライダを介して上下方向に昇降可能に支持された駐輪装置であって、
前記自転車用架台の基端側部分が前記スライダに回動自在に枢支されており、
前記自転車用架台は、この自転車用架台に自転車が載置される駐輪待機姿勢位置とこの上方に自転車を格納する格納位置とこの格納位置から下降して前記駐輪待機姿勢位置よりも若干下方に位置付けられる駐輪姿勢位置とに上下動可能に構成されているとともに、前記自転車用架台が駐輪姿勢位置にあるときにその基端側部分を支点にして先端側部分を上方に跳ね上げる跳ね上げ姿勢位置となるように揺動可能に構成されており、
前記自転車用架台を駐輪姿勢位置から跳ね上げ姿勢位置となるように付勢する付勢手段と、
前記自転車用架台が駐輪待機姿勢位置にあるときに当該自転車用架台を前記付勢手段の付勢力に抗して当該駐輪待機姿勢位置に保持する一方、前記自転車用架台が駐輪姿勢位置にあるときに前記付勢手段の付勢力による自転車用架台の跳ね上げ姿勢位置への変換を許容する姿勢変換手段と、
を備えていることを特徴とする駐輪装置。
【請求項2】
前記姿勢変換手段は、
前記自転車用架台に設けられた係合ピンと、
前記スライダに設けられ、前記係合ピンと係合する係合位置と前記係合ピンと非係合な非係合位置とに変換される係合部材と、
前記自転車用架台が駐輪待機姿勢位置にあるときに前記係合部材を係合位置に切り換える一方、前記自転車用架台が駐輪姿勢位置にあるときに前記係合部材を非係合位置に切り換える切換手段と、
を備えている請求項1に記載の駐輪装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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