説明

骨延長器

【課題】同軸上に対向配置しなくとも装着可能で、かつ延長器の高さを自在に調節でき、
自然脱落防止機能を備えた、延長方向を3次元的に対応できる骨延長器を提供する。
【解決手段】切り離された2骨片に装着する第1の支持プレート41および第2の支持プレート12と、両プレート間に架橋され両骨片の間隙を調整しうる延長用シャフト13からなる。第1の支持プレート41は、骨固定板42に水平ヒンジ43で連結されたリフトバー44、リフトバー44に水平ヒンジ45で連結されたヒンジボックス46、ヒンジボックス46に垂直ヒンジ47によって連結された受け金具48から構成され、この構造により、受け金具48は骨固定板42に対して自由な連結角度が取れ、かつ高さも変えることができる。受け口49は延長用シャフト13を螺合部を経て空転する構造になっており、脱落が防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向する骨片の間隔を拡張する骨延長器に関する。
【背景技術】
【0002】
頭蓋骨や顔面骨の先天的な変形に対しては、骨を切断し骨片を骨延長術で移動して形態を再建する手術方法がある。この骨延長術は、切断した骨片を極めて寛恕に移動して間隔を拡大することで、骨切断面に仮骨を形成させ、骨移植をすることなく骨の延長、形成を図る手術法である。
【0003】
骨延長術に用いる器具は、創外に装着するものと創内に装着するものに大別されるが、それぞれについて種々のものが提案されている。創内に装着して骨延長を図る器具としては、例えば特許文献1や特許文献2に示されたようなものがあるが、特許文献2に示されたものを除いて、骨の延長方向は一直線方向、すなわち1次元方向に限定されており、その利用には制限があった。また、特許文献2に示された骨調整具は本発明者が先に提案したものであるが、この骨調整具は2次元的、すなわち取り付け面に対して垂直面上で自由に方向を変えることができるようにしたものであり、3次元的に自在な方向に延長できるものではなかった。3次元方向に自在に延長できる骨調整具は未だ存在しない。
【0004】
【特許文献1】特開平10−43203号公報(全頁、全図)
【特許文献2】特開平2001−37767号公報(全頁、全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図21(a)に、前記特許文献1で提案された骨延長器の概要を示す。この骨延長器は、L字型をした一対の支持プレートm1、n1と、これらの間に架け渡された延長用シャフトs1からなるもので、切断された骨B1に移動側の支持プレートm1を固定するとともに、固定側の骨A1に他方の支持プレートn1を固定し、延長用シャフトs1をまわして支持プレートm1を押し進め、骨B1を極めて寛恕に移動してその間隔を徐々に拡大することで骨切断面に仮骨を形成させ、骨の延長を図るものである。
【0006】
この図21(a)の骨延長器の場合、一対の支持プレートm1,n1を同軸上に対向配置できないと延長用シャフトs1を架け渡すことができない。このため、図21(b)に示すように骨面に段差がある骨A2であったり、傾斜角度を有する骨A3では使用することができない。
【0007】
図22(a)に前記特許文献2で提案された骨調整具の概要を示す。この骨調整具は、前記引用文献1の骨延長器の図21(b)で示した問題点を解決したもので、L字型をした一対の支持プレートm2,n2のシャフト支持部c2,d2を水平ヒンジr1,p1によってそれぞれ垂直方向に回動自在とし、骨B1と骨A2のように段差があったり、骨A3のように斜面になっている場合でも延長用シャフトs2を架け渡すことができるようにしたものである。また、この骨調整具では、図22(b)に示すように骨B1の角度を変えることができるし、図22(c)に示すように骨調整具取り付け面に対して垂直面上においては骨B1の延長方向を変えながら延長することができる。
【0008】
しかしながら、前記図22(a)に示した骨調整具においても次のような問題点を残していた。すなわち、図23(a)の平面図中に二点差線で示したように、支持プレートm2,n2は水平方向には角度を変えることができない。このため、水平面上においては骨の延長方向を変えながら延長することはできない。また、一対の支持プレートm2,n2を同軸上に対向配置できないと延長用シャフトs2を架け渡すことができない。これを解決するには、図23(b)に示すように、支持プレートm3が水平方向に回動自在な機構を持つことが必要となる。
【0009】
また、骨A1から骨B1を切り離して延長する際は、通常一対の支持プレートは近接した場所に設置するので、配置できさえすれば延長用シャフトの装着に障害はなく、図22(a)に示したように問題なく架け渡すことができる。しかし、時によっては図24(a)に示すように固定側の支持プレートn2を遠い位置に置かざるを得ない場合があり、その際に延長用シャフトs2の架け渡し経路上に障害物cがあると延長用シャフトs2を装着することができず、延長術が施行できなくなる。
【0010】
本発明は、上記各問題を解決するためになされたもので、第1の目的とするところは、骨の延長方向を延長中に3次元的に自由に変えることができ、また一対の支持プレートを同軸上に対向配置できない場合でも延長用シャフトを架け渡すことができる骨延長器を提供することである。
【0011】
第2の目的とするところは、上記第1の目的に加え、図24(a)に示したように一対の支持プレートm2、n2の間に障害物cが存在するような場合でも、図24(b)に示すように延長用シャフトs4を持ち上げて障害物cを回避し、延長用シャフトs4を支持プレートm4、n4間に架け渡すことができるようにした、障害物回避機能を備えた骨延長器を提供することである。
【0012】
また、骨延長術において仮骨形成を促すには、移動骨片が揺動しないことが重要な要因となるが、そのためには骨延長器の連結部位に遊び(いわゆるガタ)が生じないことが必要である。そこで、第3の目的とするところは、この遊びを無くして移動骨片が揺動することがないように支持できる、揺動防止機能に優れた骨延長器を提供することである。
【0013】
さらに、骨延長術においては、延長開始前に約1週間程度の待機期間を置くが、その間に、あるいは延長中に延長用シャフトが自然に脱落することがある。そこで、第4の目的とするところは、延長用シャフトの自然脱落を防止した3次元対応の骨延長器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は次のような手段を採用した。
すなわち、請求項1の骨延長器は、対向する一方の骨片に取り付けられる第1の支持プレートと、他方の骨片に取り付けられる第2の支持プレートと、該第1および第2の支持プレート間に架け渡されてその先端部を前記第1の支持プレートに係止されるとともに、シャフト後端側を前記第2の支持プレートに螺合されて進退自在とされた延長用シャフトとを備え、前記延長用シャフトをまわして第1の支持プレートを移動させることにより、第1および第2の支持プレートの取り付けられた一対の骨片の間隔を徐々に拡大することで、骨片間に仮骨を形成させ、骨の延長を図る骨延長器において、
前記第1の支持プレートは、一方の骨片に固定される第1の骨固定板と、該第1の骨固定板に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの先端部を挿入して係止する第1の受け金具とからなり、
前記第2の支持プレートは、他方の骨片に固定される第2の骨固定板と、該第2の骨固定板に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの後端側を挿通して螺合支持する第2の受け金具とからなり、
前記延長用シャフトは、前記第1の受け金具に挿入して螺合する雄ねじ部と、該雄ねじ部の前方側と後方側に位置して形成された第1および第2の2つの支軸部を有するとともに、前記第1の受け金具は、前記延長用シャフトが挿入係止される最奥部が閉じた盲穴からなる受け口を備え、
該受け口内には、前記延長用シャフトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部と、前記延長用シャフトの2つの支軸部と密着してシャフトを前後2個所で回転自在に軸支する第1および第2の2つの軸受け面と、前記延長用シャフトが最奥部まで挿入された状態において延長用シャフトの雄ねじ部を空転させる空洞部とを有する構成としたことである。
【0015】
請求項2の骨延長器は、対向する一方の骨片に取り付けられる第1の支持プレートと、他方の骨片に取り付けられる第2の支持プレートと、該第1および第2の支持プレート間に架け渡されてその先端部を前記第1の支持プレートに係止されるとともに、シャフト後端側を前記第2の支持プレートに螺合されて進退自在とされた延長用シャフトとを備え、前記延長用シャフトをまわして第1の支持プレートを移動させることにより、第1および第2の支持プレートの取り付けられた一対の骨片の間隔を徐々に拡大することで、骨片間に仮骨を形成させ、骨の延長を図る骨延長器において、
前記第1の支持プレートは、一方の骨片に固定される第1の骨固定板と、該第1の骨固定板に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支されたリフトバーと、該リフトバーの先端部に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの先端部を挿入して係止する第1の受け金具とからなり、
前記第2の支持プレートは、他方の骨片に固定される第2の骨固定板と、該第2の骨固定板に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの後端側を挿通して螺合支持する第2の受け金具とからなり、
前記延長用シャフトは、前記第1の受け金具に挿入して螺合する雄ねじ部と、該雄ねじ部の前方側と後方側に位置して形成された第1および第2の2つの支軸部を有するとともに、前記第1の受け金具は、前記延長用シャフトが挿入係止される最奥部が閉じた盲穴からなる受け口を備え、
該受け口内には、前記延長用シャフトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部と、前記延長用シャフトの2つの支軸部と密着してシャフトを前後2個所で回転自在に軸支する第1および第2の2つの軸受け面と、前記延長用シャフトが最奥部まで挿入された状態において延長用シャフトの雄ねじ部を空転させる空洞部とを有する構成としたものである。
【0016】
請求項3の骨延長器は、対向する一方の骨片に取り付けられる第1の支持プレートと、他方の骨片に取り付けられる第2の支持プレートと、該第1および第2の支持プレート間に架け渡されてその先端部を前記第1の支持プレートに係止されるとともに、シャフト後端側を前記第2の支持プレートに螺合されて進退自在とされた延長用シャフトとを備え、前記延長用シャフトをまわして第1の支持プレートを移動させることにより、第1および第2の支持プレートの取り付けられた一対の骨片の間隔を徐々に拡大することで、骨片間に仮骨を形成させ、骨の延長を図る骨延長器において、
前記第1の支持プレートは、一方の骨片に固定される第1の骨固定板と、該第1の骨固定板に一体的に連接して形成された所定長さからなるリフト板と、該リフト板の先端部に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの先端部を挿入して係止する第1の受け金具とからなり、
前記第2の支持プレートは、他方の骨片に固定される第2の骨固定板と、該第2の骨固定板に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの後端側を挿通して螺合支持する第2の受け金具とからなり、
前記延長用シャフトは、前記第1の受け金具に挿入して螺合する雄ねじ部と、該雄ねじ部の前方側と後方側に位置して形成された第1および第2の2つの支軸部を有するとともに、前記第1の受け金具は、前記延長用シャフトが挿入係止される最奥部が閉じた盲穴からなる受け口を備え、
該受け口内には、前記延長用シャフトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部と、前記延長用シャフトの2つの支軸部と密着してシャフトを前後2個所で回転自在に軸支する第1および第2の2つの軸受け面と、前記延長用シャフトが最奥部まで挿入された状態において延長用シャフトの雄ねじ部を空転させる空洞部とを有し、
前記リフト板を自在に折り曲げることによってリフト板先端に取り付けられた前記ヒンジボックスと第1の受け金具を所定の高さまで持ち上げるようにしたことである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の骨延長器によれば、第1の支持プレートのヒンジボックスが、水平ヒンジと垂直ヒンジによって、第1の骨固定板と第1の受け金具を垂直・水平方向に回動自在に連結しているので、第1の骨固定板は延長用シャフトの架け渡し方向と無関係に自由な面に取り付けることができ、また第1の受け金具に係止される延長用シャフトは第2の支持プレートに固定された骨片を3次元的にあらゆる方向へ移動することができる。このため、従来の骨延長器では困難であった3次元のあらゆる方向への骨延長を自在に行なうことができる。
更に、第1の受け金具の受け口内に形成した前後2つの軸受け面によって延長用シャフトの先端部を前後2個所で回動自在に支持したので、延長用シャフトの遊びを可及的に小さくすることができ、骨固定板に取り付けられた骨の揺動をなくして仮骨新生を促進させることができる。また、延長用シャフト先端の雄ねじ部が受け口内の雌ねじ部を通り越して空洞部内まで達すると、雄ねじ部は該位置で空転するようになり、強制的に逆回転して引き抜かない限り延長用シャフトが第1の受け金具から外れるようなことがなくなり、延長用シャフトの自然脱落を防止できる。
【0018】
請求項2の骨延長器によれば、前記請求項1の骨延長器の構成に加え、第1の骨固定板とヒンジボックスとの間に垂直方向回動自在なリフトバーを介在させたので、延長用シャフトが架け渡される一対の支持プレート間に障害物が存在する場合は、リフトバーで延長用シャフトを持ち上げて障害物を回避することができる。このため、従来の骨延長器では困難であったルフォーI型骨切り延長術での上顎の3次元的骨移動を伴う骨延長が可能となった。
更に、第1の受け金具の受け口内に形成した前後2つの軸受け面によって延長用シャフトの先端部を前後2個所で回動自在に支持したので、延長用シャフトの遊びを可及的に小さくすることができ、骨固定板に取り付けられた骨の揺動をなくして仮骨新生を促進させることができる。また、延長用シャフト先端の雄ねじ部が受け口内の雌ねじ部を通り越して空洞部内まで達すると、雄ねじ部は該位置で空転するようになり、強制的に逆回転して引き抜かない限り延長用シャフトが第1の受け金具から外れるようなことがなくなり、延長用シャフトの自然脱落を防止できる。
【0019】
請求項3の骨延長器によれば、第1の骨固定板に一体的に連接して所定長さのリフト板を形成し、このリフト板を所定の角度に折り曲げることによってリフト板先端に取り付けられたヒンジボックスと第1の受け金具を所定の高さまで持ち上げるようにしたので、前記請求項2の骨延長器におけるリフトバーおよび該リフトバーと第1の骨固定板との間をつなぐ水平ヒンジが不要となり、骨延長器をより小型に構成できる。このため、骨の小さな幼児や子供の骨延長手術に用いて優れた効果を発揮し、また、第1の骨固定板とリフト板を一体成形によって作ることができるのでコストの低減を図ることができ、前記リフトバーを備えた請求項2の骨延長器と同等の機能を有する骨延長器を廉価に提供できる。
更に、第1の受け金具の受け口内に形成した前後2つの軸受け面によって延長用シャフトの先端部を前後2個所で回動自在に支持したので、延長用シャフトの遊びを可及的に小さくすることができ、骨固定板に取り付けられた骨の揺動をなくして仮骨新生を促進させることができる。また、延長用シャフト先端の雄ねじ部が受け口内の雌ねじ部を通り越して空洞部内まで達すると、雄ねじ部は該位置で空転するようになり、強制的に逆回転して引き抜かない限り延長用シャフトが第1の受け金具から外れるようなことがなくなり、延長用シャフトの自然脱落を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1〜図4に、本発明に係る骨延長器の第1の実施の形態を示す。
図1は第1の実施の形態に係る骨延長器1の全体構造を示す斜視図、図2(a)(b)は第1,第2の受け金具19,23と延長用シャフト13部分の断面図、図3(a)は第1の支持プレート11の断面図、図3(b)は第1の支持プレート11の平面図、図4は第2の支持プレート12の断面図である。
【0021】
この第1の実施の形態に係る骨延長器1は、図1にその全体図を示すように、一組の支持プレート11,12と、これら支持プレートの間に架け渡される棒状の延長用シャフト13とから構成されている。
【0022】
第1の支持プレート11は、取り付け穴15aにスクリュー(ねじ)14を打ち込むことによって移動側の骨片に取り付けられる第1の骨固定板15と、該骨固定板15に水平ヒンジ16によって垂直方向回動自在に軸支されたヒンジボックス17と、該ヒンジボックス17の先端部に垂直ヒンジ18によって水平方向回動自在に軸支され、かつ延長用シャフト13の先端部を挿入して係止する第1の受け金具19とから構成されている。この構造によって、第1の支持プレート11は、第1の骨固定板15を取り付けた骨面より見て、延長用シャフト13に連結された第2の支持プレート12に固定されている骨を3次元的に任意の方向に自由に移動させることができる。また、この第1の支持プレート11によって、前述した図23(a)中に二点鎖線で示したように支持プレートm2,n2を同軸上に対向配置できない場合でも、図23(b)に示すように受け金具を回動して支持プレートm3,n3間に架け渡すことができるようにしたものである。
【0023】
一方、第2の支持プレート12は、取り付け穴21aにスクリューを打ち込むことによって固定側の骨に取り付けられる第2の骨固定板21と、該骨固定板21に水平ヒンジ22によって垂直方向回動自在に軸支され、かつ延長用シャフト13の後端側を挿通して螺合支持する第2の受け金具23とから構成されている。
【0024】
第2の受け金具23は、延長用シャフト13の後端側に形成されたシャフト進退用のねじ部25をねじ穴部24に螺合させることによって延長用シャフト13を支持しており、延長用シャフト13は回転することによって前後方向に自在に進退できる。これらの構造によって、第2の支持プレート12は、第2の骨固定板21を取り付けた骨面から見て、延長用シャフト13に連結された第1の支持プレート11に固定されている骨を垂直面上で2次元的に自由に移動させることができる。
【0025】
言い換えれば、上記構造の骨延長器1を用いると、第2の支持プレート12に固定された骨A1は、図5(a)の平面図及び図5(b)の側面図に示すように、第1の支持プレート11を支点として3次元的に任意の方向に延長することができ、一方、第1の支持プレート11に固定された骨B1は、図5(c)の側面図に示すように、第2の支持プレート12を支点として垂直面上で2次元的に任意の方向に延長することができる。また、第1の支持プレート11と第2の支持プレート12を同軸上に対向配置できない場合でも延長用シャフト13を架け渡すことが可能となる。
【0026】
また、第1の支持プレート11に取り付けられた骨B1は、図6(a)の平面図および図6(b)の側面図に示すように、骨延長中においても水平ヒンジ16と垂直ヒンジ18によって3次元的に任意の方向に向きを変えることができる。同様に、第2の支持プレート12に取り付けられた骨A1は、図6(c)の側面図に示すように、骨延長中においても水平ヒンジ22によって垂直面上において2次元的に自由に向きを変えることができる。なお、骨B1を3次元的に延長しようとする場合には、図5(a)(b)に示したのとは逆に、図6(d)の側面図に示すように、第1の支持プレート11を骨A1に、第2の支持プレート12を骨B1に取り付ければよい。これによって、骨B1は図5(a)(b)に示した骨A1と同様に3次元的に自由な方向へ移動することができる。
【0027】
さらに、本発明では、前記延長用シャフト13が第1の支持プレート11から簡単に外れることがないように係止するとともに、第1の受け金具19との遊びを可能な限り小さくして第1の支持プレート11に固定された骨の揺動を可能な限り軽減して仮骨新生を促進する工夫がなされている。
【0028】
延長用シャフト13は、図2(a)(b)に示したように、シャフト最先端部31に続いて所定範囲を平滑な外周面からなる第1の支軸部26とされ、該第1の支軸部26に続いて螺合用の雄ねじ部27が形成されている。そして、この雄ねじ部27に続いて所定幅の凹部28が形成され、さらにこの凹部28に続いて平滑な外周面からなる第2の支軸部29が形成されている。
【0029】
一方、第1の受け金具19は、前記延長用シャフト13の先端部を挿入して係止するための受け口30を備えている。この受け口30は、前記延長用シャフト13の最先端部31が当接する盲端32を最奥部に備えた盲穴からなり、この最奥部の盲端32に続いて、前記延長用シャフト13の第1の支軸部26と摺接して延長用シャフト13を回転自在に支持する第1の軸受け面33が形成されている。
【0030】
前記第1の軸受け面33に続いて、延長用シャフト13の雄ねじ部27が遊びを持って入り込む大きさの空洞部34が形成されており、延長用シャフト13の雄ねじ部27がこの空洞部34まで進入して入り込んだとき延長用シャフト13を空転させるように構成されている。さらに、前記空洞部34に続いて、延長用シャフト13の雄ねじ部27と螺合する雌ねじ部36が形成されており、この雌ねじ部36に続いて、延長用シャフト13の第2の支軸部29と摺接して延長用シャフト13を回転自在に支持する第2の軸受け面37が形成されている。
【0031】
図2(a)において、延長用シャフト13を第1の受け金具19の受け口30に挿入して回転させると、延長用シャフト13の先端側に形成した雄ねじ部27が第1の受け金具19の受け口30内の雌ねじ部36と螺合して回転しながら進入していき、最終的に図2(b)に示すように延長用シャフト13の雄ねじ部27が空洞部34内に達し、雄ねじ部27は空転するようになる。
【0032】
そして、図2(b)の状態において、延長用シャフト13をさらに回転させると、第2の受け金具23は第2の骨固定板21によって固定側の骨に固定されているので、延長用シャフト13はさらに前方へ向かって進んでいき、延長用シャフト13の最先端部31が受け口30の最奥部の盲端32に当接して第1の受け金具19を前方へと押していく。これによって第1の受け金具19にヒンジボックス17を介して連結された第1の骨固定板15は、延長用シャフト13と一緒になって前進して行き、第1の骨固定板15を固定された骨片の延長を行なうことができる。
【0033】
なお、図2(b)の状態においては、延長用シャフト13は、強制的に逆転して引き戻さない限り第1の受け金具19から離脱することがなくなり、延長用シャフト13の脱落を防止することができる。さらに、この図2(b)の状態では、延長用シャフト13の先端側に形成した第1,第2の2つの支軸部26,29と、第1の受け金具19の受け口30内に形成した第1,第2の2つの軸受け面33,37が密着した状態で摺接し、延長用シャフト13の先端部を前後2個所の軸受け面33,37で回転自在に支持する。このため、延長用シャフト13が揺動するようなことがなくなる。
【0034】
また、骨延長時、延長用シャフト13と第1の受け金具19の間に遊びがあると、延長用シャフト13に対して第1の受け金具19が揺動し、ひいては第1の骨固定板15に固定された骨片も揺動して仮骨新生の障害になるが、本発明では上記したように第1の受け金具19の受け口30内に形成した第1,第2の2つの軸受け面33,37で延長用シャフト13の先端部を回動自在に密着支持することにより、延長用シャフト13と第1の受け金具19の間の遊びをなくし、揺動を防いでいる。この結果、仮骨新生は促進される。
【0035】
次に、上記第1の実施の形態に係る骨延長器1の使用方法について説明する。
第1の実施の形態に係る骨延長器1は、主として、反対咬合に対するルフォーIII型、IV型骨切り延長手術と、上下顎の片側短縮に対する顎骨延長手術に用いられる。
【0036】
図7は、骨延長器1を用いた上下顎の片側短縮症例に対する施術例である。
左側の上顎と下顎が短縮し、顔面が傾斜している症例に対して、図7(a)に示すように上顎を左右の骨切り線70に沿って切断し、梨状孔にかけた蝶番72を支点にして左側上顎を骨延長器1にて下方に延長すると、上顎は回転して水平になる。下顎は、左側の下顎枝骨73を骨切り線75に沿って、右側の下顎枝骨74を骨切り線76に沿って切断して左側に骨延長器1を懸け、上顎の延長に合わせて延長する。上下顎が水平になるまで延長したら、上・下顎の骨延長器1をそれぞれ抜去し、図7(b)の斜線部77,78にできた新生骨が強度を増すまでプレート固定に代える。
【0037】
図8は、上顎における骨延長器1の実際の使用例である。
骨延長器1の第1の支持プレート11の骨固定板15を、骨切りした上顎骨体部81にスクリューを打って固定する。第1の支持プレート11は、ヒンジボックス17と受け金具19の作用で3次元的に自由な向きを取ることができるため、上顎骨体部81のどこにでも容易に取りつけることができる。第2の支持プレート12は、斜め上方の側頭部82の骨にスクリューを打って固定する。延長用シャフト13を回転させると、第1の支持プレート11に支持された上顎骨体部81は下方に延長されていく。
【0038】
図9は、下顎における骨延長器1の実際の使用例である。
左下顎枝骨は骨切り線91に沿って、右下顎枝骨は骨切り線92に沿って切断後、第1の支持プレート11を左下顎枝骨の骨切り線91よりも遠位側の骨93に固定し、第2の支持プレート12を近位側の骨94に固定して骨延長器1を装着する。延長用シャフト13を回転させると、遠位側の骨93は顎関節で固定されて移動しないため、近位側の骨94は下前方に移動し、下顎枝骨を延長する。なお、実際の手術では上顎と下顎を歯牙に固定して一体化してあるので、上顎の移動に連動して下顎も延長され、咬合が狂うことはない。
【0039】
〔第2の実施の形態〕
図10〜図12に、本発明に係る骨延長器の第2の実施の形態を示す。
図10は第2の実施の形態に係る骨延長器2の全体構造を示す斜視図、図11は第1の支持プレート41の斜視図、図12(a)は第1の支持プレート41の断面図、図12(b)は第1の支持プレート41の平面図である。
【0040】
なお、第2の実施の形態における第2の支持プレート12および延長用シャフト13は、前記第1の実施の形態における第2の支持プレート12および延長用シャフト13と同じ構造になるので、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。また、第1の支持プレート41の受け口49の内部構造(図12参照)も、前記第1の実施の形態における第1の支持プレート11の受け口30と同じ構造になるので、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0041】
この第2の実施の形態に係る骨延長器2は、前記第1の実施の形態に係る骨延長器1に更なる改良を加え、図24(a)に示すように一対の支持プレートm2、n2の間に障害物cが存在するような場合でも、図24(b)に示すように延長用シャフトs4を上方へ持ち上げて障害物cを回避し、支持プレートm4,n4間に架け渡すことができるようにしたものである。
【0042】
上記機能を実現するため、第2の実施の形態に係る骨延長器2では、延長用シャフト13の先端部を支持して係止する第1の支持プレート41を前記第1の実施の形態に係る第1の支持プレート11とは異なる構造とし、骨固定板42とヒンジボックス46との間に、水平ヒンジ43,45によって垂直方向に回動自在としたリフトバー44を介在させたもので、第1の実施の形態に係る骨延長器1に比べて1関節多い3関節構造としたものである。
【0043】
すなわち、第2の実施の形態における第1の支持プレート41は、取り付け穴42aにスクリュー(ねじ)を打ち込むことによって移動側の骨片に取り付けられる第1の骨固定板42と、該骨固定板42に水平ヒンジ43によって垂直方向回動自在に軸支されたリフトバー44と、該リフトバー44の先端部に水平ヒンジ45によって垂直方向回動自在に軸支されたヒンジボックス46と、前記延長用シャフト13の先端部を支持して係止するとともに、前記ヒンジボックス46の先端部に垂直ヒンジ47によって水平方向回動自在に軸支された第1の受け金具48とで構成し、水平ヒンジ43を支点とするリフトバー44の垂直方向の回動によってヒンジボックス46と第1の受け金具48を上方に持ち上げることができるようにしたものである。
【0044】
なお、第1の骨固定板42に対するリフトバー44の回動角度は、図12(a)に示すように、ストッパー50,51によって骨固定板と同軸一直線状を0度として反時計方向に45度まで、リフトバー44に対するヒンジボックス46の回動角度はストッパー52,53によってリフトバーと同軸一直線状を0度として時計方向に45度までとされており、延長用シャフト13を通じて作用する骨伸張力が第1の骨固定板42に効率的に伝わるようになっている。また、ヒンジボックス46に対する第1の受け金具48の回動角度は、図12(b)に示すように、ヒンジボックス46の先端面にストッパー54a,54bを形成してこのストッパー54a,54bと回動する第1の受け金具48の先端壁面55を当接させることにより、ヒンジボックスと同軸一直線状を0度として±35度までに制限され、第1の支持プレート42の取り付け面に対する水平方向の回動範囲を制限することによって移動骨片の不必要な回転移動を制限している。
【0045】
上記構造になる骨延長器2によれば、延長用シャフト13は、リフトバー44の作用によって、第1の支持プレート41が取り付けられた骨面よりも高い位置まで持ち上げられて維持され、延長用シャフト13の架け渡し経路上に存在する障害物を回避しつつ、第1の支持プレート41にて支持された骨片を移動(延長)させることができる。なお、リフトバー44を介在させても、ヒンジボックス46と第1の受け金具48の機能は、図12(a)(b)に示すように第1の実施の形態に係る骨延長器1のヒンジボックス17と第1の受け金具19と同様である。従って、第1の実施の形態と同様に、第1の支持プレート41は延長用シャフト13を3次元的に、第2の支持プレート12は延長用シャフト13を2次元的に自由な方向に移動することができ、また第1の骨固定板42を自由な角度で取り付けることができる。
【0046】
次に、上記第2の実施の形態に係る骨延長器2の使用方法を説明する。
第2の実施の形態に係る骨延長器2は、主として、反対咬合に対するルフォーI、II型骨切り延長手術に用いられる。また、ルフォーIII型、IV型骨切り延長手術に前記第1の実施の形態に係る骨延長器1と併用して用いられる。
【0047】
以下に、反対咬合などの際、上顎骨を水平に切り離して前方に移動(延長)するルフォーI型骨切り延長術の施術例を示す。手術の概略は、図13(a)に示すように上顎骨81を水平な骨切り線80に沿って骨切りし、図13(b)に示すように上顎骨81を前方に延長して正しい咬合を獲得するものである。
【0048】
図14は、上顎における骨延長器2の実際の使用例である。
上顎骨81を水平に切断したうえで、延長用シャフト13が頬骨弓82の下を通り、第1の支持プレート41が上顎骨81に、第2の支持プレート12が側頭骨の外耳孔上部83付近に固定されるように、骨延長器2を装着する。頬骨弓82の下方には下顎筋突起84があり、延長用シャフト13は頬骨弓82と下顎筋突起84の間を通るようになる。
【0049】
これを下方より見た図15の模式図で説明すると、骨延長器2の第1の支持プレート41が第1の実施の形態に係る骨延長器1の第1の支持プレート11のような2関節構造だと、延長用シャフト13は図中二点鎖線で示すように下顎筋突起84に当たってしまうが、第2の実施の形態のようなリフトバー44を備えた3関節構造だと、リフトバー44が延長用シャフト13を高い位置に維持するため、下顎筋突起84を回避して骨延長器2を装着することができる。従って、前記図14において延長用シャフト13を回転して前進させると第1の受け金具48が押され、リフトバー44を介して第1の骨固定板42に支持された上顎骨81が前方に移動(延長)する。この際、リフトバー44の傾斜角度は延長用シャフト13に対して最大で45度までとしてあり、力は十分に伝達される。また、図14において第1の支持プレート42が取り付けられた上顎骨81の時計方向への不要な回転は、図12(b)に示したストッパー54aによって阻止される。
【0050】
また、図16(a)に示すように、術前の状態において上顎骨91の正中と下顎骨92の正中が一致していない場合は、左右の延長量を変え、上顎骨91を回転しながら前方に移動(延長)して正中を合わせるようにする(図16(b))。この際は、図16(c)に模式的に示すように、第1の支持プレート41の水平ヒンジ43,45が回転移動する骨面に沿って第1の骨固定板42の角度を追随させるので、前方移動は円滑に進むことができる。この機能は、2関節構造になる第1の実施の形態の延長器1にも共通の機能である。
【0051】
また、後退した上顎骨が図17(a)に示すように上方を向いた開咬状態のことがあるが、この場合はそのまま前方に移動(延長)しても開咬自体は改善できないので、ゴムなどの弾性牽引部材で上顎骨91を下方に牽引しながら前方に延長して図17(b)に示すような正しい咬合を獲得する。この際は、図17(c)に模式的に示すように、第1の支持プレート41の垂直ヒンジ47が第1の骨固定板42を上顎骨91の回転に追随させるので、二点鎖線で示すように前傾移動が可能となる。この機能は、2関節構造になる第1の実施の形態の骨延長器1にも共通の機能である。
【0052】
〔第3の実施の形態〕
図18および図19に、本発明に係る骨延長器の第3の実施の形態を示す。
図18(a)は第3の実施の形態に係る骨延長器における第1の支持プレート61の断面図、図18(b)はその平面図、図19は前記第1の支持プレート61の分解斜視図である。
【0053】
なお、第3の実施の形態における第2の支持プレー12および延長用シャフト13は、前記第1および第2の実施の形態における第2の支持プレート12および延長用シャフト13と同じ構造になるので、これらの部分の図示とその詳細な説明は省略する。また、延長用シャフト13を挿入支持する第1の受け金具48も前記第2の実施の形態における第1の受け金具48と同じ構造になるので、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0054】
この第3の実施の形態に係る骨延長器3は、前記第2の実施の形態に係る骨延長器2の簡易型とも言うべきものであって、前記第2の実施の形態におけるリフトバー44を不要とし、このリフトバー44に代えて第1の骨固定板62から所定長さのリフト板63を一体に延設したものである。
【0055】
すなわち、第3の実施の形態における第1の支持プレート61は、取り付け穴62aを備えた第1の骨固定板62と、該第1の骨固定板62の先端部に一体的に連接して形成された所定長さからなるリフト板63と、該リフト板63の先端部に水平ヒンジ64によって垂直方向回動自在に軸支されたヒンジボックス65と、延長用シャフト13の先端部を支持して係止するとともに、前記ヒンジボックス65の先端部に垂直ヒンジ47によって水平方向回動自在に軸支された第1の受け金具48とで構成され、前記リフト板63と骨固定板62の境界部付近をベンダーなどの治具によって任意の角度(通常、0〜45度の範囲)に折り曲げることにより、図18(a)に示すようにリフト板63の先端に取り付けられたヒンジボックス65と第1の受け金具48を上方へ持ち上げるようにしたものである。
【0056】
また、図示例においては、所定長さからなるリフト板63の中間適宜位置に、1個または複数個(図示例では1個)の補助固定穴63aが形成されており、第1の骨固定板62が取り付けられる骨の形状によっては、折り曲げられたリフト板63をスクリューで骨に固定できるようにし、リフト板63の強度をより高めることができるように構成されている。
【0057】
この第3の実施の形態に係る骨延長器3の場合、延長用シャフト13から作用する骨伸張力は所定角度に折り曲げられたリフト板63が受け止め、骨固定板62に伝えている。従って、リフト板63および該リフト板63と一体成形された骨固定板62は、前記骨延長力によって折り曲げ形状が変形することがない強度を備えるとともに、手術開始時にはベンダーなどの治具を用いて任意の角度に折り曲げることができるように、その材質および板厚と板幅が選定されている。
【0058】
リフト板63の先端とヒンジボックス65との間には両者の回動を規制するストッパー66,67が形成され、図18(a)に示すように、リフト板63の延長線方向を0度として時計方向に30度から90度まで回動できるように制限されている。これによって、移動骨片のぶれを最小限に抑えることができる。また、図18(b)に示すように、ヒンジボックス65の先端面にストッパー68a,68bを形成してこのストッパー68a,68bと回動する第1の受け金具48の先端壁面55を当接させることにより、前記第2の実施の形態におけるのと同様に移動骨片の不必要な回転移動を制限している。
【0059】
なお、図18の例では、リフト板63を骨固定板62との境界部付近で折り曲げているが、リフト板63の折り曲げ位置はこの位置に限定されるものではなく、折り曲げ可能な限りリフト板63のどの位置で折り曲げてもよいものである。どの位置で折り曲げるかは、実際の施術時に取り付け個所の骨との関係で決定すればよい。また、リフト板63部分に形成した補助固定穴63aは省略することもできる。
【0060】
上記構造になる骨延長器3は、第2の実施の形態に係る骨延長器2におけるリフトバー44および該リフトバー44と第1の骨固定板42との間をつなぐ水平ヒンジ43が不要である。従って、骨延長器を小型に構成することが可能となり、骨の小さな幼児や子供の骨延長手術に用いて極めて効果的である。また、専用のリフトバー44や水平ヒンジ43の類を不要とし、第1の骨固定板62とリフト板63を一体成形によって作ることができるので、製造コストも低減でき、骨延長器を廉価に提供できる。
【0061】
図20に上記第3の実施の形態に係る骨延長器3の取り付け例を示す。この第3の実施の形態に係る骨延長器3は、前記第2の実施の形態に係る骨延長器2と同様の症例に対して骨延長器2と同様に用いることができる。図20(a)は、移動側の骨B1に第1の支持プレート61を取り付けるとともに、固定側の骨A1に第2の支持プレート12を取り付け、上方へ向かって折り曲げたリフト板63によって延長用シャフト13を高く持ち上げることにより、障害物cを回避した場合の例である。図20(b)は、折り曲げられたリフト板63に沿うように骨B1の一部が存在する場合に、補助固定穴63a(図18参照)にスクリューを打ち込んでリフト板63を固定し、折り曲げられたリフト板63の取り付け強度をより強固に補強した場合の例である。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されるものではなく、発明の目的の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、第1の骨固定板15,42,62および第2の骨固定板21の形状は骨に固定可能な形状であればよく、またこれら骨固定板に設けた取り付け穴15a,21a,42a,62aの数や配置、これら骨固定板に対する水平ヒンジ16,22,43の設置位置も制限されない。また、各水平、垂直ヒンジ部分の回動角度範囲も前記実施の形態で挙げた角度に限定されるものではなく、骨延長器の仕様に応じて自由に設定できるものである。
【0063】
また、延長用シャフト13の後端側に形成されたシャフト進退用のねじ部25は、図示したようにシャフトの進退に必要な範囲にのみ刻んでもよいし、シャフトの中間部分を含むシャフト全長にわたって刻んでもよい。特に、一対の支持プレート11,12(41,12)(61,12)を遠く離れた場所に設置するような場合には、シャフト進退用のねじ部25は図1,図10に示したように延長用シャフト13の進退に必要な範囲にのみ刻み、それ以外のシャフト中間部分にはねじ山を刻まないようにすることが望ましい。これによって、延長用シャフト13を回転した際、シャフト中間部分のねじ山が周辺の軟部組織を巻き込んでシャフトの回転が抑制されたり、組織に損傷を与えるようなことを防止でき、より安全な骨延長を行なうことができる。
【0064】
この明細書は、以下の事項を開示する。
(1)対向する一方の骨片に取り付けられる第1の支持プレートと、他方の骨片に取り付けられる第2の支持プレートと、該第1および第2の支持プレート間に架け渡されてその先端部を前記第1の支持プレートに係止されるとともに、シャフト後端側を前記第2の支持プレートに螺合されて進退自在とされた延長用シャフトとを備え、前記延長用シャフトをまわして第1の支持プレートを進退させることにより、第1および第2の支持プレートの取り付けられた一対の骨片の間隔を調整可能とした骨延長器において、前記第1の支持プレートを、一方の骨片に固定される第1の骨固定板と、該第1の骨固定板に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支されたヒンジボックスと、該ヒンジボックスの先端部に垂直ヒンジによって水平方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの先端部を挿入して係止する第1の受け金具とで構成し、前記第2の支持プレートを、他方の骨片に固定される第2の骨固定板と、該第2の骨固定板に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの後端側を挿通して螺合支持する第2の受け金具とで構成した骨延長器。
【0065】
(2)対向する一方の骨片に取り付けられる第1の支持プレートと、他方の骨片に取り付けられる第2の支持プレートと、該第1および第2の支持プレート間に架け渡されてその先端部を前記第1の支持プレートに係止されるとともに、シャフト後端側を前記第2の支持プレートに螺合されて進退自在とされた延長用シャフトとを備え、前記延長用シャフトをまわして第1の支持プレートを進退させることにより、第1および第2の支持プレートの取り付けられた一対の骨片の間隔を調整可能とした骨延長器において、前記第1の支持プレートを、一方の骨片に固定される第1の骨固定板と、該第1の骨固定板に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支されたリフトバーと、該リフトバーの先端部に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支されたヒンジボックスと、該ヒンジボックスの先端部に垂直ヒンジによって水平方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの先端部を挿入して係止する第1の受け金具とで構成し、前記第2の支持プレートを、他方の骨片に固定される第2の骨固定板と、該第2の骨固定板に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの後端側を挿通して螺合支持する第2の受け金具とで構成した骨延長器。
【0066】
(3)対向する一方の骨片に取り付けられる第1の支持プレートと、他方の骨片に取り付けられる第2の支持プレートと、該第1および第2の支持プレート間に架け渡されてその先端部を前記第1の支持プレートに係止されるとともに、シャフト後端側を前記第2の支持プレートに螺合されて進退自在とされた延長用シャフトとを備え、前記延長用シャフトをまわして第1の支持プレートを進退させることにより、第1および第2の支持プレートの取り付けられた一対の骨片の間隔を調整可能とした骨延長器において、前記第1の支持プレートは、一方の骨片に固定される第1の骨固定板と、該第1の骨固定板に一体的に連接して形成された所定長さからなるリフト板と、該リフト板の先端部に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支されたヒンジボックスと、該ヒンジボックスの先端部に垂直ヒンジによって水平方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの先端部を挿入して係止する第1の受け金具とからなり、前記第2の支持プレートは、他方の骨片に固定される第2の骨固定板と、該第2の骨固定板に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの後端側を挿通して螺合支持する第2の受け金具とからなり、前記リフト板を自在に折り曲げることによってリフト板先端に取り付けられた前記ヒンジボックスと第1の受け金具を所定の高さまで持ち上げるようにした骨延長器。
【0067】
(4)上記(2)の骨延長器におけるリフトバーを所定の角度範囲内で回動自在とした骨延長器。
【0068】
(5)上記(3)の骨延長器におけるリフト板を所定の角度範囲内で回動自在とした骨延長器。
【0069】
(6)上記(2)〜(5)のいずれかの骨延長器における第1の受け金具を所定の角度範囲内で回動自在とした骨延長器。
【0070】
(7)上記(1)〜(6)のいずれかの骨延長器において、前記延長用シャフトは、前記第1の受け金具に挿入して螺合する雄ねじ部と、該雄ねじ部の前方側と後方側に位置して形成された第1および第2の2つの支軸部とを有するとともに、前記第1の受け金具は、前記延長用シャフトが挿入係止される最奥部が閉じた盲穴からなる受け口を備え、該受け口内には、前記延長用シャフトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部と、前記延長用シャフトの2つの支軸部と密着してシャフトを前後2個所で回転自在に軸支する第1および第2の2つの軸受け面と、前記延長用シャフトが最奥部まで挿入された状態において延長用シャフトの雄ねじ部を空転させる空洞部とを有することを特徴とする骨延長器。
【0071】
(8)上記(1)〜(7)のいずれかの骨延長器において、前記延長用シャフトは、第2の支持プレートと螺合してシャフトを進退させるためのねじ部がシャフトの進退範囲に対応する部分にのみ形成され、該部以外の部分にはねじ部を形成されていないことを特徴とする骨延長器。
【0072】
上記(1)の骨延長器によれば、第1の支持プレートのヒンジボックスが、水平ヒンジと垂直ヒンジによって、第1の骨固定板と第1の受け金具を垂直・水平方向に回動自在に連結しているので、第1の骨固定板は延長用シャフトの架け渡し方向と無関係に自由な面に取り付けることができ、また第1の受け金具に係止される延長用シャフトは第2の支持プレートに固定された骨片を3次元的にあらゆる方向へ移動することができる。このため、従来の骨延長器では困難であった3次元のあらゆる方向への骨延長を自在に行なうことができる。
【0073】
上記(2)の骨延長器によれば、上記(1)の骨延長器の構成に加え、第1の骨固定板とヒンジボックスとの間に垂直方向回動自在なリフトバーを介在させたので、延長用シャフトが架け渡される一対の支持プレート間に障害物が存在する場合は、リフトバーで延長用シャフトを持ち上げて障害物を回避することができる。このため、従来の骨延長器では困難であったルフォーI型骨切り延長術での上顎の3次元的骨移動を伴う骨延長が可能となった。
【0074】
上記(3)の骨延長器によれば、第1の骨固定板に一体的に連接して所定長さのリフト板を形成し、このリフト板を所定の角度に折り曲げることによってリフト板先端に取り付けられたヒンジボックスと第1の受け金具を所定の高さまで持ち上げるようにしたので、上記(2)の骨延長器におけるリフトバーおよび該リフトバーと第1の骨固定板との間をつなぐ水平ヒンジが不要となり、骨延長器をより小型に構成できる。このため、骨の小さな幼児や子供の骨延長手術に用いて優れた効果を発揮し、また、第1の骨固定板とリフト板を一体成形によって作ることができるのでコストの低減を図ることができ、前記リフトバーを備えた請求項2の骨延長器と同等の機能を有する骨延長器を廉価に提供できる。
【0075】
上記(4)の骨延長器によれば、リフトバーを所定の角度範囲内で回動自在としたので、リフトバーの必要以上の回動を規制することができ、延長用シャフトから作用する骨伸張力を移動骨片に効率的に伝えることができる。
【0076】
上記(5)記載の骨延長器によれば、リフト板を所定の角度範囲内で回動自在としたので、延長用シャフトから作用する骨伸張力を移動骨片に効率的に伝えることができるとともに、移動骨片のぶれを最小限に抑えることができる。
【0077】
上記(6)の骨延長器によれば、第1の受け金具を所定の角度範囲内で回動自在としたので、第1の支持プレートの取り付け面に対する水平方向の回動範囲を制限することができ、移動骨片の不必要な回転移動を制限できる。
【0078】
上記(7)の骨延長器によれば、第1の受け金具の受け口内に形成した前後2つの軸受け面によって延長用シャフトの先端部を前後2個所で回動自在に支持したので、延長用シャフトの遊びを可及的に小さくすることができ、骨固定板に取り付けられた骨の揺動をなくして仮骨新生を促進させることができる。また、延長用シャフト先端の雄ねじ部が受け口内の雌ねじ部を通り越して空洞部内まで達すると、雄ねじ部は該位置で空転するようになり、強制的に逆回転して引き抜かない限り延長用シャフトが第1の受け金具から外れるようなことがなくなり、延長用シャフトの自然脱落を防止できる。
【0079】
上記(8)の骨延長器によれば、延長用シャフトを進退するためのねじ部を延長用シャフトの進退に必要な範囲にだけ形成したので、延長用シャフトが架け渡される第1、第2の一対の支持プレートを遠く離れた場所に設置するような場合でも、延長用シャフトの回転時にシャフト中間のねじ部が周辺の軟部組織を巻き込んでシャフトの回転を抑制したり、組織に損傷を与えるというようなことがなくなり、より安全に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1の実施の形態に係る骨延長器の全体構造を示す斜視図である。
【図2】(a)は延長用シャフトを第2の受け金具に挿通した状態の第1,第2の受け金具と延長用シャフト部分の断面図、(b)は延長用シャフトを第1,第2の受け金具間に架け渡した状態の第1,第2の受け金具と延長用シャフト部分の断面図である。
【図3】(a)は第1の実施の形態における第1の支持プレートの断面図、(b)はその平面図である。
【図4】第2の支持プレートの断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る骨延長器の延長方向の説明図であって、(a)は第2の支持プレートに固定された骨が第1の支持プレートを支点として水平面上で自由な方向に延長できることを示す略示平面図、(b)は第2の支持プレートに固定された骨が第1の支持プレートを支点として垂直面上で自由な方向に延長できることを示す略示側面図、(c)は第1の支持プレートに固定された骨が第2の支持プレートを支点として垂直面上で自由な方向に延長できることを示す略示側面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る骨延長器の骨片移動の説明図であって、(a)は第1の支持プレートを取り付けられた骨自体の向きが水平面上で変化する場合の第1の支持プレートの追随状態を示す略示平面図、(b)は第1の支持プレートを取り付けられた骨自体の向きが垂直面上で変化する場合の第1の支持プレートの追随状態を示す略示側面図、(c)は第2の支持プレートを取り付けられた骨自体の向きが垂直面上で変化する場合の第2の支持プレートの追随状態を示す略示側面図、(d)は第1の支持プレートと第2の支持プレートの取り付け位置を逆にした場合の例を示す略示側面図である。
【図7】(a)(b)は第1の実施の形態に係る骨延長器を用いた上下顎の片側短縮症例に対する施術例の説明図である。
【図8】上顎における第1の実施の形態に係る骨延長器の実際の使用例を示す図である。
【図9】下顎における第1の実施の形態に係る骨延長器の実際の使用例を示す図である。
【図10】第2の実施の形態に係る骨延長器の全体構造を示す斜視図である。
【図11】第2の実施の形態における第1の支持プレートの斜視図である。
【図12】(a)は第2の実施の形態における第1の支持プレートの断面図、(b)はその平面図である。
【図13】(a)(b)は第2の実施の形態に係る骨延長器を用いた、上顎骨を水平に切り離して前方に移動するルフォーI型骨延長術の施術例の説明図である。
【図14】上顎における第2の実施の形態に係る骨延長器の実際の使用例を示す図である。
【図15】図14中の骨延長器部分を下方側から見た模式図である。
【図16】(a)〜(c)は上顎骨の正中と下顎骨の正中が一致していない場合の施術方法の説明図である。
【図17】(a)〜(c)は上顎骨が後退して開咬状態にある場合の第2の実施の形態に係る骨延長器を用いた施術方法の説明図である。
【図18】第3の実施の形態に係る骨延長器を示すもので、(a)は第3の実施の形態に係る骨延長器における第1の支持プレートの断面図、(b)はその平面図である。
【図19】第3の実施の形態に係る骨延長器における第1の支持プレートの分解斜視図である。
【図20】第3の実施の形態に係る骨延長器の取り付け例を示すもので、(a)は通常の取り付け例を示す図、(b)は折り曲げられたリフト板に沿って骨が存在する場合の取り付け例を示す図である。
【図21】(a)(b)は特許文献1で提案された骨延長器の説明図である。
【図22】(a)〜(c)は特許文献2で提案された骨調整具の説明図である。
【図23】(a)(b)は図22に示した骨調整具の問題点を説明するための図である。
【図24】(a)(b)は同じく図22に示した骨調整具の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0081】
1,2,3 骨延長器
11,41,61 第1の支持プレート
12 第2の支持プレート
13 延長用シャフト
15,42,62 第1の骨固定板
15a,42a,62a 取り付け穴
16,22,43,45,64 水平ヒンジ
17,46,65 ヒンジボックス
18,47 垂直ヒンジ
19,48 第1の受け金具
21 第2の骨固定板
21a 取り付け穴
23 第2の受け金具
24 ねじ穴部
25 ねじ部
26 第1の支軸部
27 雄ねじ部
28 凹部
29 第2の支軸部
30,49 受け口
31 シャフトの最先端部
32 盲端
33 第1の軸受け面
34 空洞部
36 雌ねじ部
37 第2の軸受け面
44 リフトバー
50,51,52,53,66,67 ストッパー
54a,54b,68a,68b ストッパー
55 第1の受け金具の先端壁面
63 リフト板
63a 補助固定穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一方の骨片に取り付けられる第1の支持プレートと、他方の骨片に取り付けられる第2の支持プレートと、該第1および第2の支持プレート間に架け渡されてその先端部を前記第1の支持プレートに係止されるとともに、シャフト後端側を前記第2の支持プレートに螺合されて進退自在とされた延長用シャフトとを備え、前記延長用シャフトをまわして第1の支持プレートを移動させることにより、第1および第2の支持プレートの取り付けられた一対の骨片の間隔を徐々に拡大することで、骨片間に仮骨を形成させ、骨の延長を図る骨延長器において、
前記第1の支持プレートは、一方の骨片に固定される第1の骨固定板と、該第1の骨固定板に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの先端部を挿入して係止する第1の受け金具とからなり、
前記第2の支持プレートは、他方の骨片に固定される第2の骨固定板と、該第2の骨固定板に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの後端側を挿通して螺合支持する第2の受け金具とからなり、
前記延長用シャフトは、前記第1の受け金具に挿入して螺合する雄ねじ部と、該雄ねじ部の前方側と後方側に位置して形成された第1および第2の2つの支軸部を有するとともに、前記第1の受け金具は、前記延長用シャフトが挿入係止される最奥部が閉じた盲穴からなる受け口を備え、
該受け口内には、前記延長用シャフトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部と、前記延長用シャフトの2つの支軸部と密着してシャフトを前後2個所で回転自在に軸支する第1および第2の2つの軸受け面と、前記延長用シャフトが最奥部まで挿入された状態において延長用シャフトの雄ねじ部を空転させる空洞部とを有することを特徴とする骨延長器。
【請求項2】
対向する一方の骨片に取り付けられる第1の支持プレートと、他方の骨片に取り付けられる第2の支持プレートと、該第1および第2の支持プレート間に架け渡されてその先端部を前記第1の支持プレートに係止されるとともに、シャフト後端側を前記第2の支持プレートに螺合されて進退自在とされた延長用シャフトとを備え、前記延長用シャフトをまわして第1の支持プレートを移動させることにより、第1および第2の支持プレートの取り付けられた一対の骨片の間隔を徐々に拡大することで、骨片間に仮骨を形成させ、骨の延長を図る骨延長器において、
前記第1の支持プレートは、一方の骨片に固定される第1の骨固定板と、該第1の骨固定板に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支されたリフトバーと、該リフトバーの先端部に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの先端部を挿入して係止する第1の受け金具とからなり、
前記第2の支持プレートは、他方の骨片に固定される第2の骨固定板と、該第2の骨固定板に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの後端側を挿通して螺合支持する第2の受け金具とからなり、
前記延長用シャフトは、前記第1の受け金具に挿入して螺合する雄ねじ部と、該雄ねじ部の前方側と後方側に位置して形成された第1および第2の2つの支軸部を有するとともに、前記第1の受け金具は、前記延長用シャフトが挿入係止される最奥部が閉じた盲穴からなる受け口を備え、
該受け口内には、前記延長用シャフトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部と、前記延長用シャフトの2つの支軸部と密着してシャフトを前後2個所で回転自在に軸支する第1および第2の2つの軸受け面と、前記延長用シャフトが最奥部まで挿入された状態において延長用シャフトの雄ねじ部を空転させる空洞部とを有することを特徴とする骨延長器。
【請求項3】
対向する一方の骨片に取り付けられる第1の支持プレートと、他方の骨片に取り付けられる第2の支持プレートと、該第1および第2の支持プレート間に架け渡されてその先端部を前記第1の支持プレートに係止されるとともに、シャフト後端側を前記第2の支持プレートに螺合されて進退自在とされた延長用シャフトとを備え、前記延長用シャフトをまわして第1の支持プレートを移動させることにより、第1および第2の支持プレートの取り付けられた一対の骨片の間隔を徐々に拡大することで、骨片間に仮骨を形成させ、骨の延長を図る骨延長器において、
前記第1の支持プレートは、一方の骨片に固定される第1の骨固定板と、該第1の骨固定板に一体的に連接して形成された所定長さからなるリフト板と、該リフト板の先端部に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの先端部を挿入して係止する第1の受け金具とからなり、
前記第2の支持プレートは、他方の骨片に固定される第2の骨固定板と、該第2の骨固定板に水平ヒンジによって垂直方向回動自在に軸支され、かつ前記延長用シャフトの後端側を挿通して螺合支持する第2の受け金具とからなり、
前記延長用シャフトは、前記第1の受け金具に挿入して螺合する雄ねじ部と、該雄ねじ部の前方側と後方側に位置して形成された第1および第2の2つの支軸部を有するとともに、前記第1の受け金具は、前記延長用シャフトが挿入係止される最奥部が閉じた盲穴からなる受け口を備え、
該受け口内には、前記延長用シャフトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部と、前記延長用シャフトの2つの支軸部と密着してシャフトを前後2個所で回転自在に軸支する第1および第2の2つの軸受け面と、前記延長用シャフトが最奥部まで挿入された状態において延長用シャフトの雄ねじ部を空転させる空洞部とを有し、
前記リフト板を自在に折り曲げることによってリフト板先端に取り付けられた前記ヒンジボックスと第1の受け金具を所定の高さまで持ち上げるようにしたことを特徴とする骨延長器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−137071(P2010−137071A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30726(P2010−30726)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【分割の表示】特願2006−106820(P2006−106820)の分割
【原出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(596075509)有限会社メディコ・インターメディア (2)
【Fターム(参考)】