説明

骨材の吸水率を測定する測定装置及び測定方法

【課題】多孔質などの骨材の吸水率を迅速に測定することにある。
【解決手段】骨材の質量を測定する質量測定装置2と、骨材を乾燥する乾燥装置1と、水中に骨材を配置し加圧する加圧吸水装置3とを備えている骨材の吸水率を測定する測定装置、及び測定方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、骨材の吸水率の測定に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、コンクリートの吸水率の測定は、JIS−A−1110試験方法があり、これは、骨材を飽水状態にさせるため、20℃の室温で約24時間水に浸し、吸水させる。次に、骨材表面の水膜をぬぐい取り、この時点の質量(ag)を測定する。次に、この骨材を100℃の乾燥炉内で定質量となるまで乾燥し、室温まで冷却し、その質量(bg)を測る。
【0003】吸水率(Q)は、上記で測定した吸水状態の質量(ag)と乾燥状態の質量(bg)を用いて、式Q=(a−b)/b×100(%)から求める。
【0004】しかし、近年重要視されている、再生骨材、低品質天然骨材は、一般に吸水率が通常の骨材と比較して大きい。このような骨材を、自然吸水による従来の試験方法に基づいて吸水させた場合、骨材の吸水曲線は、図3のようになった。即ち、24時間程度(JIS試験法で得られた吸水率)では吸水が完了せず、ほぼ完全に吸水を完了するには、約1週間(168時間)以上を要した。更に、骨材を定質量になるまで乾燥させるには、約2日程度は最低必要となる。このような多孔質骨材を、JISの方法に準じて試験した場合、約10日程度を要することになる。
【0005】一方、再生骨材などは、解体ガラなどより製造されるため、一般に一ロッドから製造される量が、天然骨材と比較して極端に少なく、しかも、吸水率など特性がロッド毎に雑多になっている。そのため、吸水率の測定回数を多くする必要があり、しかも、測定時間を短時間に行う必要がある。もし、従来の自然吸水によって再生骨材の品質管理を実施すると、結果が出る頃には、既に再生コンクリートとして施工に供されてしまう危険が生じる。
【0006】なお、再生骨材の利用については、本出願人が特願平10−339472号、特願平11−115455号として出願している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】<イ>本発明は、骨材の吸水率を迅速に測定することにある。
<ロ>また、本発明は、多孔質の骨材の吸水率を迅速に測定することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】(1)本願の第1の発明は、骨材の乾燥状態の質量と吸水状態の質量から骨材の吸水率を測定する測定装置において、骨材の質量を測定する質量測定装置と、骨材を乾燥する乾燥装置と、水中に骨材を配置し加圧する加圧吸水装置とを備えていることを特徴とする、骨材の吸水率を測定する測定装置である。
(2)本願の第2の発明は、第1の発明の骨材の吸水率を測定する測定装置において、乾燥装置は、高周波加熱装置であることを特徴とする、骨材の吸水率を測定する測定装置である。
(3)本願の第3の発明は、骨材の乾燥状態の質量と吸水状態の質量から骨材の吸水率を測定する測定方法において、水中に骨材を配置し加圧し、吸水状態の骨材の質量を測定し、骨材を乾燥し、乾燥状態の骨材の質量を測定する、又は、骨材を乾燥し、乾燥状態の骨材の質量を測定し、水中に骨材を配置し加圧し、吸水状態の骨材の質量を測定することを特徴とする、骨材の吸水率を測定する測定方法である。
(4)本願の第4の発明は、第3の発明の骨材の吸水率を測定する測定方法において、骨材の乾燥は、高周波加熱で乾燥することを特徴とする、骨材の吸水率を測定する測定方法である。
(5)本願の第5の発明は、第3の発明の骨材の吸水率を測定する測定方法において、骨材を水中に配置する際、蓄熱した状態の骨材を使用することを特徴とする、骨材の吸水率を測定する測定方法。、骨材の吸水率を測定する測定方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】<イ>骨材の吸水率を測定する測定装置骨材の吸水率を測定する測定装置は、図1に示されているように、骨材を十分に乾燥する乾燥装置、骨材と水を容器に入れて骨材に十分水を吸収させる加圧吸水装置、及び、乾燥状態の質量と吸水状態の骨材の質量を測定する質量測定装置を備えている。必要に応じて、測定した乾燥状態の質量と吸水状態の骨材の質量を基にして骨材の吸水率を算出する計算装置を配置する。
【0011】乾燥装置は、骨材全体に対して速く十分に乾燥処理をできるものがよく、例えば、加熱装置や高周波加熱装置が使用できる。また、加圧吸水装置は、水と骨材を一緒に配置し、水に圧力を付与し、骨材全体に対して速く十分に吸水させるもので、例えば、アムスラーを使用し、密閉加圧する。
【0012】これら装置を使用することにより、骨材の中でも、特に再生骨材をはじめとする多孔質骨材に対しても、乾燥処理や吸水処理の処理時間を短縮することができる。
【0013】<ロ>吸水率の算出骨材の吸水率の算出における処理方法の一実施例を図1に示す。その際の骨材の吸水率の変化を図2に示す。先ず、吸水率試験に供する試料は、絶乾状態の2389.8gの再生骨材を使用する。この骨材を10日間吸水し、吸水率は2.4%程度であった。この骨材を使用して試験を開始する。
【0014】先ず、水分を除去するために、骨材を乾燥装置1で加熱乾燥する。吸水率をほぼ0%にするには、乾燥装置1として乾燥炉を使用すると1日程度かかり、電子レンジなどの高周波加熱装置では、60分程度かかった。乾燥後、質量測定装置2で質量(Bg)を測定する。
【0015】次に、加圧可能な容器5に水を張り、乾燥した骨材を投入する。骨材は蓄熱しているので、水中に投入して冷却することにより熱間吸水する。これにより、骨材は、急激に水を吸収し、吸水率が1.5%程度になった。
【0016】しかし、完全に吸水するには、更に加圧して、骨材内部への水の圧入を行う。圧入によって60分程度で十分に吸水し、吸水率が2.4%程度になった。加圧する圧力は、吸水率が向上する圧力なら良く、例えば3MPa〜5MPaが好ましかった。
【0017】十分に吸水後、骨材を容器5より取り出し、骨材表面の水膜を拭い、質量測定装置2で質量(Ag)を測定した吸水率(Q)は、式Q=(A−B)/B×100(%)により求められる。この処理の所要時間は、乾燥炉を用いても1日〜2日程度であり、高周波加熱装置を使用すると120分程度であった。
【0018】
【発明の効果】本発明は、次のような効果を得ることができる。
<イ>本発明は、骨材、特に多孔質骨材の吸水率を迅速に測定することができる。
<ロ>また、本発明は、今後、急速に進む再生骨材や天然低品質骨材などの多孔質骨材の品質管理を容易に行うことができる。
<ハ>また、本発明は、圧力吸水を基本原理にしているため、ポンプ圧送などによるコンクリートのスランプロスをコントロールできる。
<ニ>また、本発明は、減圧工法製造コンクリートの練り上がり状態の品質管理に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】吸水率の測定図
【図2】吸水率測定経過における骨材の吸水率の変化を示す図
【図3】従来の吸水方法による骨材の吸水率の変化を示す図
【符号の説明】
1・・・乾燥装置
2・・・質量測定装置
3・・・加圧吸水装置
4・・・計算装置
5・・・容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】骨材の乾燥状態の質量と吸水状態の質量から骨材の吸水率を測定する測定装置において、骨材の質量を測定する質量測定装置と、骨材を乾燥する乾燥装置と、水中に骨材を配置し加圧する加圧吸水装置とを備えていることを特徴とする、骨材の吸水率を測定する測定装置。
【請求項2】請求項1に記載の骨材の吸水率を測定する測定装置において、乾燥装置は、高周波加熱装置であることを特徴とする、骨材の吸水率を測定する測定装置。
【請求項3】骨材の乾燥状態の質量と吸水状態の質量から骨材の吸水率を測定する測定方法において、水中に骨材を配置し加圧し、吸水状態の骨材の質量を測定し、骨材を乾燥し、乾燥状態の骨材の質量を測定する、又は、骨材を乾燥し、乾燥状態の骨材の質量を測定し、水中に骨材を配置し加圧し、吸水状態の骨材の質量を測定することを特徴とする、骨材の吸水率を測定する測定方法。
【請求項4】請求項3に記載の骨材の吸水率を測定する測定方法において、骨材の乾燥は、高周波加熱で乾燥することを特徴とする、骨材の吸水率を測定する測定方法。
【請求項5】請求項3に記載の骨材の吸水率を測定する測定方法において、骨材を水中に配置する際、蓄熱した状態の骨材を使用することを特徴とする、骨材の吸水率を測定する測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2001−201502(P2001−201502A)
【公開日】平成13年7月27日(2001.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−13204(P2000−13204)
【出願日】平成12年1月21日(2000.1.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 1999年11月4日発行の日刊工業新聞に掲載
【出願人】(000219875)東急建設株式会社 (2)
【Fターム(参考)】