説明

骨盤矯正ベルト、及び骨盤矯正ベルト用補助具

【課題】 装着時のずれ上がりを防止すると共に、一時的な脱着を容易に行える骨盤矯正ベルトを提供すること。
【解決手段】 弾性を有する主ベルト用布地から構成され主として腸骨部分を覆うと共に一対の自由端部5,6を備えた主ベルト片2と、所定の位置で自由端部5,6同士を係脱可能に位置決め固定する係合部7,8と、主ベルト片2の下方において弱い弾性を有する大腿部用布地から構成される左右一対の大腿取付部3,4とを備え、主ベルト片2と大腿取付部3,4とは、少なくとも前方と側方と後方との三点において上下連結片11,12と大腿連結片13によって連結されている骨盤矯正ベルト1によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨盤矯正ベルト、及び骨盤矯正ベルト用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
現代人の多くは、過食・運動不足・悪姿勢などの生活習慣によって、骨盤周囲に十分な筋肉を維持できず、骨盤の位置が開いて後ろに傾斜している。このため、腰痛を始めとして、様々な慢性疾患が発生すると言う説がある。
骨盤の位置を矯正するベルトに関する技術開発が行われている。これらの骨盤矯正ベルトのうち、ベルトのずれ上がりという問題を回避しようとするものがある。特に、女性の場合には、臀部と腰部との間の長さの差違が男性よりも大きいことから、この問題が大きい。例えば、特許文献1には、腸骨稜および仙腸関節を覆う上段ベルト片と、主として股関節を覆う下段ベルト片とを備え、該上下段ベルト片の両端部は各々重合状態に結合されると共に、同中間部分は複数の弾性を有する布地製連結片により互いに連結され、かつ、上下段ベルト片の両端結合部どうしは係着部材を介して着脱自在に連結すべく構成されてなる骨盤矯正ベルトにおいて、上記下段ベルト片には所定間隔をおいて両側一対の弾性布地製大腿部用取付け部材が吊設状に設けられてなる骨盤矯正ベルトが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004− 24437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された骨盤矯正ベルトを含め、ほとんどの骨盤矯正ベルトは、矯正を行う時間(例えば、数分〜数十分程度)のみに、ベルトのずれ上がりを防止するという観点から開発されたものであり、長時間に渡って装着したままで、日常生活を行うという観点が抜けていた。このため、上記骨盤矯正ベルトを装着したままでトイレに行こうとする場合には、強固に固定したベルトおよび弾性布地製大腿部用取付け部材の全ての結合部分を解除し、これらを体から取り外した後に、用を足す必要がある。このとき、自宅外のトイレでは、取り外した骨盤矯正ベルトを載置する適当な場所が見あたらないことが多い。また、骨盤矯正ベルトを完全に体から取り外すことなく、ベルトの一部を押さえながら用を足そうとすると、上段ベルトの自由端部分が垂れ下がってしまい、トイレの床に付いたり、トイレ内の溜水中に浸漬したりするおそれがある。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装着時のずれ上がりを防止すると共に、一時的な脱着を容易に行える骨盤矯正ベルト等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1の発明に係る骨盤矯正ベルトは、弾性を有する主ベルト用布地から構成され主として腸骨部分を覆うと共に一対の自由端部を備えた主ベルト片と、前記両自由端部に設けられて所定の位置で前記自由端部同士を係脱可能に位置決め固定する係合部と、前記主ベルト片の下方において前記主ベルト用布地よりも弱い弾性を有する大腿部用布地から構成される左右一対の大腿取付部とを備えたものであって、前記主ベルト片と前記大腿取付部とは、少なくとも前方と側方と後方との三点において連結されていることを特徴とする。
上記構成によれば、主ベルト片は大腿取付部によって、ずれ上がりを防止できる。また、トイレに行く際には、主ベルト片に設けられた係合部の係合を解除し、大腿取付部を脚の下方に移動させる。このとき、大腿取付部は、主ベルト用布地よりも弱い弾性を備えた大腿部用布地から構成されているので、脚を通した状態でも下方への移動が可能となる。
前記主ベルト片は、後部から側部にかけては、骨盤を締め付ける弾性を備えた素材により、側部から前部にかけては、鼠径部への圧迫を回避する柔らかい素材により構成されていることが好ましい。そのような構成とすれば、後部から側部の強い弾性を備えた素材により、骨盤部分を締め付ける力を発揮させる。また、前部を柔らかい素材にすることにより、鼠径部への圧迫を抑えるので、鼠径部にある重要な血管やリンパ管を圧迫せずに済む。特に、前部に強い弾性を備えた素材を用いた従来のものでは、座っているときや屈んだ時に鼠径部への圧迫により痛みを感じるという難点があったが、本願発明の構成によれば、これを解消できる。
【0006】
また、前記主ベルト片と前記大腿取付部とは、上下連結片によって連結されていると共に、前記上記連結片は長さが可変とされており、前記主ベルト片の位置を適切なところに固定可能とされていることが好ましい。
骨盤矯正ベルトがその効果を発揮するためには、装着したときの主ベルト片の位置は装着者の身体において、適切なところで動かないように安定しておく必要がある。骨盤矯正を行うために適切なところとは、骨盤前部に関して、上前腸骨棘(前部の骨盤で一番骨が出っ張っているところ)と恥骨までの間を意味する。主ベルト片が、この位置で安定するのが望ましい。この適切な位置にくる為に、主ベルト片と上下連結片が、特に重要な構成となる。連結片の長さが可変とは、(1)上下連結片の素材自体が弾性を備えたもの(例えば、ゴム紐など)であるか、(2)上下連結片の途中に長さを調節可能な調節部を設ける構成がある。こうして、長さ調節可能な上下連結片が、主ベルト片の装着位置を決定する。主ベルト片を巻く位置は、通常の者には分かりにくいので、前記上前腸棘までに位置するように図面を加えた説明書を添付しておくことが好ましい。上下連結片は、主ベルト片が上部にズレ上がりすることを抑制する機能を兼用する。こうして、上下連結片は、主ベルト片の位置の調節をすると共に、上部へのズレ上がりを抑えるという2つの機能を備える。
従来のベルトでは、長時間に渡って装着を続けると締め付け作用が強くなり、鼠径部などが痛くなることが多かった。この痛みを解消しようとすると、ベルトの装着力を緩める操作を行うが、そうするとベルトが上にズレ上がってしまい、骨盤矯正を行えなくなっていた。この理由のため、ベルトをつけなくなってしまう人がいた。本願発明の構成では、たとえ主ベルト片の締め付けを緩めたとしても、上下連結片の作用によって、主ベルト片がズレ上がる事態が回避される。
【0007】
また、前記主ベルト片と前記両大腿取付部との連結部分において、臀部が位置する後部下方位置には、臀部を覆う臀部覆い部が設けられており、この臀部覆い部は、左臀部、中央部および右臀部の三部分を備えていると共に、前記中央部は左右方向の弾性を備え、上下方向への弾性が規制された材質により構成され、前記左臀部および右臀部は上下方向の弾性を備えた材質により構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、臀部の後部下方が臀部覆い部によって覆われるので、主ベルト片の係合操作によって、臀部が持ち上げられた状態となり、ヒップアップ効果が認められる。なお、上記三部分の全てが上下方向に弾性を備えた材質であると、十分なヒップアップ効果が認められなくなるので好ましくない。また、上記三部分の全てが上下方向への弾性が規制された材質であると、ヒップが臀部覆い部から、はみ出してしまうおそれがあるので好ましくない。
前記主ベルト片には、前記両自由端部に設けられた係合部の係合を解除したときに、該骨盤矯正ベルトを臀部よりも下方に移動可能な範囲で前記両自由端部を繋ぎ止める自由端部規制片が設けられることが好ましい。
上記構成によれば、主ベルト片の係合を解除したときには、両自由端部は、自由端部規制片によって、適当な範囲に留まっているので、垂れ下がってしまいトイレの床や、溜め水に浸漬されるという事態を回避しやすい。
【0008】
前記両大腿取付部において、互いに隣接する中央部分は、弾性を有する大腿連結片によって連結されていることが好ましい。
上記構成によれば、両大腿取付部は、大腿連結片によって互いに連結されているので、そのような連結片がない場合(このときには、両大腿取付部が方向を違えたり、捻れてしまう可能性が高い)に比べると、脚部を大腿連結片に挿入する操作を行いやすい。
また、第2の発明に係る骨盤矯正ベルトは、弾性を有する主ベルト用布地から構成され主として腸骨部分を覆うと共に一対の自由端部を備えた主ベルト片と、前記両自由端部に設けられて所定の位置で前記自由端部同士を係脱可能に位置決め固定する係合部とを備えたものであって、前記主ベルト片の後部下端からは、前方に向かって中央連結片が設けられており、この中央連結片の先端部分が左右一対に分離されて、各々が前記両自由端部の各々の下端に連結していることを特徴とする。
また、第3の発明に係る骨盤矯正ベルト用補助具は、主として腸骨部分を覆う骨盤矯正ベルトの下方に取り付けられることで、該骨盤矯正ベルトの装着時におけるずれ上がりを規制するものであって、左右一対の大腿取付部と、前記骨盤矯正ベルトと前記大腿取付部とを少なくとも前方と側方と後方との三点において連結する上下連結片とを備え、前記上下連結片の上端部分には、前記骨盤矯正ベルトの下端縁に対して連結可能な連結部が設けられていることを特徴とする。
上記構成によれば、従来の骨盤矯正ベルトのずれ上がりを防止する補助具を提供できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装着時のずれ上がりを防止すると共に、一時的な脱着を容易に行える骨盤矯正ベルト等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態において、骨盤矯正ベルトの自由端部の係合を解除した状態の斜視図である。
【図2】骨盤矯正ベルトの自由端部を係合させたときの斜視図である。
【図3】骨盤矯正ベルトの正面図である。
【図4】骨盤矯正ベルトの背面図である。
【図5】骨盤矯正ベルトの側面図である。
【図6】骨盤矯正ベルトの平面図である。
【図7】骨盤矯正ベルトを装着したときの正面図である。
【図8】骨盤矯正ベルトを装着したときの背面図である。
【図9】骨盤矯正ベルトを装着したときの側面図である。
【図10】第2実施形態において、骨盤矯正ベルトの自由端部を係合させたときの斜視図である。
【図11】骨盤矯正ベルトの正面図である。
【図12】骨盤矯正ベルトの背面図である。
【図13】骨盤矯正ベルトの側面図である。
【図14】骨盤矯正ベルトの平面図である。
【図15】骨盤矯正ベルトを装着したときの正面図である。
【図16】骨盤矯正ベルトを装着したときの背面図である。
【図17】骨盤矯正ベルトを装着したときの側面図である。
【図18】図10において、骨盤矯正ベルトの自由端部の係合を解除したときの様子を示す図である。
【図19】第3実施形態において、骨盤矯正ベルトの自由端部の自由端部を係合させたときの斜視図である。
【図20】骨盤矯正ベルトの平面図である。
【図21】第4実施形態における骨盤矯正ベルト用補助具の斜視図である。
【図22】第4実施形態の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
【0012】
<第1実施形態>
次に、図1〜図9を参照しつつ、第1実施形態について説明する。
図1には、装着前の骨盤矯正ベルト1を示した。この骨盤矯正ベルト1は、特に20歳〜30歳代の若い女性用に開発されたものである。若年女子についても、腰痛を持つ者は多く、特にこの年代では、腰痛治療に加えて、美容の観点からも開発を工夫する必要があった。
骨盤矯正ベルト1には、弾性を有する主ベルト用布地から構成された主ベルト片2と、この主ベルト片2の下方に設けられた左右一つの大腿取付部3,4とを備えている。主ベルト片2は、主として腸骨部分を覆い、適当な位置に保持する役目を果たすためのものである。主ベルト片2の後部から側部にかけては、強い弾性を備えた素材(両手で引っ張っても簡単には伸びない程度の弾性を備えた素材)から構成される強弾性部2Aが設けられ、側部から前部にかけては、鼠径部への圧迫を回避する柔らかい素材から構成される柔軟部2Bが設けられている。
【0013】
主ベルト片2の両端は、自由端部5,6とされている。両自由端部5,6には、相手側の自由端部5,6を係脱可能に位置決め固定する係合部7,8が設けられている。係合部7,8は、面ファスナー(マジックテープ、ベルクロテープなど)によって構成されており、骨盤矯正ベルト1を装着する者の腰回り長に合わせて、適度な接圧を備えた状態で両自由端部5,6同士を固定できる。主ベルト片2の上端部において、自由端部5,6よりも内側(中央方向)に寄った位置には、自由端部規制片9が設けられている。自由端部規制片9は、適当な弾性を備えた部材によって、細長い紐状に形成されており、その両端部が主ベルト片2に連結されている。自由端部規制片9は、係合部7,8の係合を解除したときに、骨盤矯正ベルト1を臀部よりも下方に移動可能な範囲で両自由端部5,6の移動を許容するが、それ以上の自由な移動を規制するようになっている。
【0014】
大腿取付部3,4は、主ベルト用布地よりも弱い弾性を有する大腿部用布地から構成されており、適当に伸び縮みすることで、大腿の周囲に適度な弾性で固定する。大腿取付部3,4の上下幅は、約4mm〜15mm程度(好ましくは、5mm〜12mm)となっており、骨盤矯正ベルト1を下方にずらす場合には、大腿に沿って下方への移動が可能とされている。大腿取付部3,4は、主ベルト片2の後方に連続するように連結されており、その連結部分(すなわち、臀部が位置する後部下方位置)には、臀部を覆う臀部覆い部10が設けられている。この臀部覆い部10は、左臀部16、中央部14および右臀部15の三部分に分かれて形成されている。このうち、中央部14は左右方向の弾性を備え、上下方向への弾性が規制された材質により構成されている。一方、右臀部15および左臀部16は、上下方向の弾性を備え、左右方向への弾性が記載された材質により構成されている。
また、大腿取付部3,4の前方と側方(外側の側方)は、上下連結片11,12によって、主ベルト片2と連結されている。こうして、主ベルト片2と大腿取付部3,4とは、少なくとも前方と側方と後方との三点において連結されている。上下連結片11,12は、所定の弾性を備えており、主ベルト片2が上方に必要以上にずれ上がるのを規制する。上下連結片11,12には、装着者の体型に合わせて、長さを調節可能とする調節部56が設けられている。
また、両大腿取付部3,4において、互いに隣接する中央部分は、弾性を有する大腿連結片13によって連結されている。大腿連結片13は、又の下方部分全体を覆うように面状に形成されている。
【0015】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用及び効果について説明する。
骨盤矯正ベルト1を装着するには、自由端部5,6の係合部7,8の係合を解除した状態で、大腿取付部3,4の足先を通す。このとき、両大腿取付部3,4は、大腿連結片13によって互いに連結されているので、連結片がない場合に比べると、脚部を大腿連結片3,4に挿入する操作を行いやすい。
次いで、骨盤矯正ベルト1全体を脚に沿って上方に移動させる。このとき、大腿取付部3,4は、適当に伸張変形しながら大腿の上方に移動している。主ベルト片2を所定の位置まで移動させたら、両自由端部5,6を前面(腹側)において、互いに重ね合わせるようにして、係合部7,8同士を係合させる。なお、本実施形態では、左側の自由端部6が下側となり、右側の自由端部5が上側に重ね合わせられるようになっているが、これを逆に構成しても良い。主ベルト片2が装着されたときには、強弾性部2Aによって骨盤部分を適度に締め付ける一方、側部から前部(特に、前部)は柔軟部2Bにより、鼠径部への圧迫が抑えられる。このため、鼠径部にある重要な血管やリンパ管を圧迫せずに済む。
なお、装着者の体型に合わせて、調節部56を適当に調節することにより、主ベルト片2と大腿取付部3,4との位置を適切な位置に設定できるので、体格の異なる者に対しても、自分に適度な長さを設定できる。
【0016】
また、この状態では、大腿取付部3,4は所定の弾性を以て大腿部に固定されており、大腿取付部3,4と主ベルト片2とは上下連結片11,12及び大腿連結片13(の後部)によって連結されているので、骨盤矯正ベルト1の上方へのずれ上がりを規制できる。
また、臀部の後部下方が臀部覆い部10によって覆われているので、主ベルト片2の係合操作によって、臀部が持ち上げられた状態となり、ヒップアップ効果も認められる。このとき、臀部覆い部10の三部分14,15,16の全てが上下方向に弾性を備えた材質であると、十分なヒップアップ効果が認められなくなるが、本実施形態では、中央部14が左右方向への弾性を備え、左右臀部15,16が上下方向への弾性を備えている。このため、装着時には、装着者の体型に合わせて、中央部14が適当に左右方向に弾性変形すると共に、左右臀部15,16が良好なヒップアップ効果を奏する。このことは、特に女性に取っては有効な効果となる。
次に、トイレに行く際のように、骨盤矯正ベルト1の装着を一時的に解除する場合の操作方法について説明する。まず、係合部7,8の係合を解除し、自由端部5,6を解放する。次いで、大腿取付部3,4を大腿から脚の下方に移動させる。このとき、大腿取付部3,4は、主ベルト用布地よりも弱い弾性を備えた大腿部用布地から構成されているので、脚を通した状態でも骨盤矯正ベルト1の下方への移動が可能となっている。更に、大腿取付部3,4は、上下幅が短い弾性片とされているので、上下方向に長い構成(例えば、特許文献1を参照)に比べると、下方への移動が更に容易となっている。
【0017】
また、主ベルト片2の係合を解除したときには、両自由端部5,6は、自由端部規制片9によって、適当な範囲に留まっている。このため、骨盤矯正ベルト1を下方に移動させる際や、用を足している際にも、自由端部5,6が垂れ下がってしまい、トイレの床や、溜め水に浸漬されるという事態を回避できる。
加えて、本実施形態の骨盤矯正ベルト1では、主ベルト片2に薄い大腿取付部3,4が付いており、装着時に下着・スパッツなどの重ね度合いが小さくなっている。このため、夏場に装着したときにも、股間部のムレが少なくなる。
なお、本実施形態においては、係合部7,8は面ファスナーから構成されているが、本発明によれば、係合部は他の構成、例えば複数の鉤と鉤受けとを縦横に配置したものなどを用いることもできる。
【0018】
<第2実施形態>
次に、図10〜図18を参照しつつ、第2実施形態について説明する。なお、本実施形態と第1実施形態とにおいて、同様の構成については、同一の符号を付して、説明を省略する。
図10には、装着前の骨盤矯正ベルト20を示した。この骨盤矯正ベルト20は、主として男性用に開発されたものである。本実施形態では、主ベルト片21は、かなり長く設定されており、腰回り長がかなり異なる者に対しても使用可能とされている。大腿取付部22,23の上下長さ(幅長)は、第1実施形態のものよりも長く設定され、筋肉量が多く太い男性の大腿部に対して適応されている。大腿取付部22,23と主ベルト片21とは、内方・前方・側方・及び後方の四カ所において、上下連結片26〜29によって連結されている。また、両大腿取付部22,23には、中間および後方の2カ所において、互いの大腿取付部22,23を連結する大腿連結片24,25が設けられている。
このように構成された本実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用および効果を奏する。
特に、本実施形態では、第1実施形態に比べると、自由端部5,6が長く設定されているので、図18に示すように、自由端部規制片9によって自由端部5,6が自由に移動してしまうのを規制する効果が大きい。
なお、大腿連結片24,25または、上下連結片26〜29については、後述の連結部55に備えられている調節部56を設けて、長さを調節可能とすることができる。このようにすれば、体格の異なる者に対しても、自分に適度な長さを設定できるので、好ましい実施形態となる。
【0019】
<第3実施形態>
次に、図19及び図20を参照しつつ、第3実施形態について説明する。なお、本実施形態と上記実施形態とにおいて、同様の構成については、同一の符号を付して、説明を省略する。
本実施形態の骨盤矯正ベルト40は、主ベルト片41の後部中央下端から中央連結片42が延接されており、この中央連結片42の前方が左右二股に分離されており、それぞれの先端部分が主ベルト片41の両自由端部5,6のそれぞれに連結する連結端部43,44とされている。このように、骨盤矯正ベルト40では、主ベルト片41の下端縁と中央連結片42とによって、大腿取付部が形成されるようになっている。つまり、主ベルト片41の下端縁が大腿取付部の一部を兼用する構成とされている。
このように構成された本実施形態によっても、上記実施形態と同様の作用および効果を奏する。
【0020】
<第4実施形態>
次に、図21を参照しつつ、第4実施形態について説明する。本実施形態は、骨盤矯正ベルト用補助具(以下、補助具という)50,51である。この補助具50,51は、従来構成の骨盤矯正ベルトBに連結されることで、装着時のずれ上がりを規制するためのものである。
補助具50,51には、左右一対の大腿取付部52,53と、各大腿取付部52,53の前方・側方・後方(2カ所)の合計4カ所において骨盤矯正ベルトBと連結する上下連結片54とが備えられている。上下連結片54の下端部分は、大腿取付部52,53に連結されている一方、上端部には、骨盤矯正ベルトBの下端縁に連結するための連結部55が設けられている。連結部55は、クリップ状に構成されており、骨盤矯正ベルトBに挟み付けられることで、骨盤矯正ベルトBと補助具50,51とを固定する。なお、連結部55の連結態様は、クリップ状に挟み付けるだけでなく、骨盤矯正ベルトBを厚さ方向に貫く突状部と、その突状部に係合する係合部から構成することもできる。その他にも、ホックとハトメなどを用いることもできる。
【0021】
また、上下連結片54の中央部分には、長さを調節可能な調節部56が設けられている。
上記のように構成された本実施形態によれば、従来の骨盤矯正ベルトBのずれ上がりを防止する補助具50,51を提供できる。
図22には、第4実施形態の変形例を示した。この補助具60では、左右の大腿取付部52,53の内方(股下に当たる部分)を連結する前後一対の大腿連結片61,62が設けられている。
このように上記本実施形態によれば、装着時のずれ上がりを防止すると共に、一時的な脱着を容易に行えるので、日常生活における長時間の装着にも耐え得る骨盤矯正ベルト等を提供できた。
【符号の説明】
【0022】
1,20,40…骨盤矯正ベルト
2,21,41…主ベルト片
2A…強弾性部
2B…柔軟部
3,4,22,23,52,53…大腿取付部
5,6…自由端部
7,8…係合部
9…自由端部規制片
10…臀部覆い部
11,12,26,27,28,29,54…上下連結片
13,24,25,61,62…大腿連結片
50,51…骨盤矯正ベルト用補助具
55…連結部
56…調節部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する主ベルト用布地から構成され主として腸骨部分を覆うと共に一対の自由端部を備えた主ベルト片と、前記両自由端部に設けられて所定の位置で前記自由端部同士を係脱可能に位置決め固定する係合部と、前記主ベルト片の下方において前記主ベルト用布地よりも弱い弾性を有する大腿部用布地から構成される左右一対の大腿取付部とを備えたものであって、
前記主ベルト片と前記大腿取付部とは、少なくとも前方と側方と後方との三点において連結されていることを特徴とする骨盤矯正ベルト。
【請求項2】
前記主ベルト片は、後部から側部にかけては、骨盤を締め付ける弾性を備えた素材により、側部から前部にかけては、鼠径部への圧迫を回避する柔らかい素材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の骨盤矯正ベルト。
【請求項3】
前記主ベルト片と前記大腿取付部とは、上下連結片によって連結されていると共に、前記上記連結片は長さが可変とされており、前記主ベルト片の位置を適切なところに固定可能とされていることを特徴とする請求項1または2に記載に骨盤矯正ベルト。
【請求項4】
前記主ベルト片と前記両大腿取付部との連結部分において、臀部が位置する後部下方位置には、臀部を覆う臀部覆い部が設けられており、この臀部覆い部は、左臀部、中央部および右臀部の三部分を備えていると共に、前記中央部は左右方向の弾性を備え、上下方向への弾性が規制された材質により構成され、前記左臀部および右臀部は上下方向の弾性を備えた材質により構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の骨盤矯正ベルト。
【請求項5】
前記主ベルト片には、前記両自由端部に設けられた係合部の係合を解除したときに、該骨盤矯正ベルトを臀部よりも下方に移動可能な範囲で前記両自由端部を繋ぎ止める自由端部規制片が設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の骨盤矯正ベルト。
【請求項6】
前記両大腿取付部において、互いに隣接する中央部分は、弾性を有する大腿連結片によって連結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の骨盤矯正ベルト。
【請求項7】
弾性を有する主ベルト用布地から構成され主として腸骨部分を覆うと共に一対の自由端部を備えた主ベルト片と、前記両自由端部に設けられて所定の位置で前記自由端部同士を係脱可能に位置決め固定する係合部とを備えたものであって、
前記主ベルト片の後部下端からは、前方に向かって中央連結片が設けられており、この中央連結片の先端部分が左右一対に分離されて、各々が前記両自由端部の各々の下端に連結していることを特徴とする骨盤矯正ベルト。
【請求項8】
主として腸骨部分を覆う骨盤矯正ベルトの下方に取り付けられることで、該骨盤矯正ベルトの装着時におけるずれ上がりを規制するものであって、
左右一対の大腿取付部と、前記骨盤矯正ベルトと前記大腿取付部とを少なくとも前方と側方と後方との三点において連結する上下連結片とを備え、前記上下連結片の上端部分には、前記骨盤矯正ベルトの下端縁に対して連結可能な連結部が設けられていることを特徴とする骨盤矯正ベルト用補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−19815(P2012−19815A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157602(P2010−157602)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(510192237)
【Fターム(参考)】