説明

骨肉腫の痛み、化学療法誘発性及びヌクレオシド誘発性の痛みを治療するためのペプチド化合物の新規使用

本発明は、腫瘍の痛み、特に骨肉腫の痛みを治療するため、化学療法誘発性の痛みを治療するため、及びヌクレオシド誘発性の痛みを治療するためのペプチド化合物クラスの使用を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍の痛み、特に骨肉腫の痛みを治療するため、化学療法誘発性の痛みを治療するため、及びヌクレオシド誘発性の痛みを治療するためのペプチド化合物クラスの使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
ある種のペプチドは、中枢神経系(CNS)活性を示すことが知られており、癲癇及び他のCNS疾患の治療に有用である。米国特許第5378729号に記載されているこれらのペプチドは下記式(Ia):
【0003】
【化1】

[式中、
− Rは、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール、アリール低級アルキル、複素環、複素環低級アルキル、低級アルキル複素環、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであり、かつRは、非置換であるか、又は少なくとも1つの電子求引基若しくは電子供与基で置換されており;
− R1は、水素又は低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、複素環低級アルキル、複素環、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、それぞれ、非置換又は電子供与基若しくは電子求引基で置換されており;かつ
− R2及びR3は、独立して、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、複素環、複素環低級アルキル、低級アルキル複素環、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキル、又はZ−Yであり、ここで、R2及びR3は、非置換であっても、又は少なくとも1つの電子求引基若しくは電子供与基で置換されていてもよく;
− Zは、O、S、S(O)a、NR4、PR4、又は化学結合であり;
− Yは、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ハロ、複素環、複素環低級アルキルであって、かつYは、非置換であっても、又は電子供与基若しくは電子求引基で置換されていてもよく、ただし、Yがハロである場合にはZは化学結合であり、又は
ZYは一緒になって、NR4NR5R7、NR4OR5、ONR4R7、OPR4R5、PR4OR5、SNR4R7、NR4SR7、SPR4R5若しくはPR4SR7、NR4PR5R6若しくはPR4NR5R7
【0004】
【化2】

であり、
R4、R5、及びR6は、独立して、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニルであって、ここで、R4、R5、及びR6は、非置換であっても、又は電子求引基若しくは電子供与基で置換されていてもよく;かつ
R7は、R6又はCOOR8又はCOR8であり;
R8は、水素又は低級アルキル、又はアリール低級アルキルであって、ここで、前記アリール又はアルキル基は、非置換であっても、又は電子求引基若しくは電子供与基で置換されていてもよく;かつ
− nは1〜4であり;かつ
− aは1〜3である]
を有する。
【0005】
米国特許第5773475号はまた、CNS疾患の治療に有用なさらなる化合物を開示している。これらの化合物は、下記式(IIa):
【0006】
【化3】

[式中、
Arは、非置換又はハロで置換されたアリールであり;R3は低級アルコキシであり;かつR1はメチルである]
を有する、N−ベンジル−2−アミノ−3−メトキシ−プロピオンアミドである。
【0007】
米国特許第5378729号及び同第5773475号は、本明細書に参照として援用される。しかし、これらの特許のいずれも、腫瘍の痛み、特に骨肉腫の痛みを治療するため、化学療法誘発性の痛みを治療するため、及びヌクレオシド誘発性の痛みを治療するためのこれらの化合物の使用を記載していない。
【0008】
国際公開第02/074297号は、末梢神経障害性の痛みと関連するアロディニア(allodynia)の治療に有用な医薬組成物を調製するための、式(IIa)[式中、Arは、少なくとも1つのハロで置換されていてもよいフェニルであり、R3は、1〜3個の炭素原子を含む低級アルコキシであり、かつR1はメチルである]の化合物の使用に関する。
【0009】
国際公開第02/074784号は、異なるタイプ及び症状の急性及び慢性の痛み、特に非神経障害性の炎症性の痛み、例えば、関節リウマチの痛み及び/又は二次炎症性骨関節炎の痛みなどを治療するための、抗侵害受容特性を示す式(Ia)及び/又は式(IIa)を有する化合物の使用に関する。
【特許文献1】米国特許第5378729号明細書
【特許文献2】米国特許第5773475号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
現在、様々な疼痛症候群に対して極めて強力である鎮痛剤は全く存在しない。炎症性又は神経障害性の痛みを導く異なるメカニズムが、一般的な鎮痛作用を有する化合物の同定を困難なものにしている。我々のみが、初めて、癌の痛み(例えば、腫瘍誘発性の骨肉腫の痛み)、化学療法誘発性の痛み、又はヌクレオシド誘発性の痛みなどの、全てが様々な分子的起源を有するような異なる疼痛症候群の背後にあるメカニズムを理解する。抗欝剤、抗痙攣剤、又は痛みの治療に用いられる化合物群を表すオピオイドは、疼痛症候群の治療におけるその有効性に関して共通のパターンを有さない。これが、様々な疼痛症候群における新規化合物の活性を予測し難いものにし、複数の痛み動物モデルにおける詳細な特徴付けを要求する。
【0011】
末梢又は中枢神経系に対する損傷又は機能不全後の神経障害性の痛みは、有効な治療を欠くという困難な臨床的問題を残している(Bennett, 1994;Murphy and Reid, 2001)。抗痙攣剤は、いくつかの形態の神経障害性の痛みの管理のために用いられている(Sindrup and Jenssen, 1999;Jensen, 2002)。ハルコセライド(Harkoseride)又はADD 234037とも称される、SPM 927(R−2−アセトアミド−N−ベンジル−3−メトキシプロピオンアミド)は新規抗痙攣薬である。これは、抗痙攣剤の新規クラスとして合成されている一連の官能性アミノ酸に属する(Kohn et al. 1991)。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本研究は、癌の痛み、特に骨肉腫の痛み、化学療法誘発性の痛み、及びヌクレオシドアナログ誘発性の痛みのラットモデルにおける、SPM 927の鎮痛作用を示す。
【0013】
骨は、肺及び肝臓に次ぐ、第三の最も一般的な転移部位であり、乳癌、前立腺癌、及び肺癌の罹患者における転移性疾患の原発部位である。転移性疾患をもたらす骨病変はまた、重篤な骨の痛みを引き起こし、これは、癌患者にとって主要な臨床的問題である。このタイプの痛みは、その間欠的な進行性の性質、及び移動による悪化に起因して、治療が困難である。この痛みモデルにおける主症状は、機械的アロディニアである。温熱性痛覚過敏及び機械的痛覚過敏はまた、2つの後肢における体重負荷差により測定されるとおりに実証されている(Medhurst et al., 2002)。ヒト患者における骨の痛みの治療は、主として、オピオイドの使用に限定されているが、効力のあるオピオイドの有効性は最小であり、その有効量は、一連の衰弱副作用をもたらす。結果として、腫瘍誘発性の骨の痛みを予防、治療、及び軽減するために用いることのできる新規療法が臨床的に必要とされている。腫瘍誘発性の骨の痛みを治療するための候補となる療法は、ラットモデルを用いて評価できる。なぜなら、ラットは、疼痛刺激に対する行動反応を試験するのに優れているからである。1つのモデルは、痛み評価の評価項目を用いた、脛骨近位端の骨髄空間へのラット乳腺癌細胞の注入を伴い(Medhurst et al., 2002)、痛み評価を腫瘍移植後7〜15日目に実施した。
【0014】
化学療法誘発性の痛みは、ビンカアルカロイドなど、例えばビンクリスチン(vincristine)などの神経毒性薬と関連する神経障害性の痛みの形態であり、痛みを伴う錯感覚及び感覚異常により特徴付けられる。ビンクリスチンの臨床的抗腫瘍効果は、2つの主なステージで起こるように思われる(Weiss et al., 1974)、混合された感覚運動ニューロパシーの進行により制限される(Casey et al., 1973, Tanner et al., 1998 et al. 1998)。初期ステージにおいて、末梢軸索は、ビンクリスチンによりダメージを受け、主な症状は、錯感覚と感覚異常である。後期ステージにおいて、長期間、高用量が投与された場合に、これはより頻繁に生じ、軸索は消失し、主な臨床的発見は運動機能の消失である。記載したビンクリスチンラットモデルは、初期ステージのビンクリスチン誘発性の化学療法的ニューロパシーを反映するようである。依然として根底にあるメカニズムは完全には理解されていないが、軸索の微小管細胞骨格の崩壊、及び無髄感覚軸索径の増大がもたらされることが記載されている(Quasthoff et al., 2002)。これらの結果は、侵害受容感覚ニューロンにおける微小管構造の変化が、ビンクリスチン誘発性の痛覚過敏を伴うことを実証した。
【0015】
ヌクレオシドアナログによって誘発される、痛みを伴う末梢性ニューロパシーは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者における重要な疾病源として認識されつつある(Cohen, 2002)。この重篤な衰弱副作用は、AIDS(後天性免疫不全症候群)療法の強制的な短縮又はさらには中止さえももたらし得る(Yatvin et al., 1999)。このニューロパシーは、治療の約10週目において、手に危害を加えない(sparing the hands)両足における突然の強く焼けるような不快感の発症により特徴付けられ、これは、何日かにわたって重篤な強度に達する(Dubinsky et al., 1989)。この神経病の根底にある生化学的メカニズムは、依然として明確に確立されていないが、ミトコンドリア毒性が、このニューロパシー進行の一因となると報告されている。最近、抗レトロウイルスヌクレオシドアナログAIDS治療薬(ddC(2',3'−ジデオキシシチジン)、ddI(2',3'−ジデオキシイノシン)、又はd4T(2',3'−ジデヒドロ−3'−デオキシチミジン))でのラットの中毒が、ラットにおいて増強された侵害受容をもたらすことが報告されている(Joseph et al., 2004)。関連するメカニズムは、抗痛覚過敏薬がこれらのモデルにおいて効果的であるので、代謝性又は毒性の痛みを伴う末梢性ニューロパシーの他のモデルに寄与することが発見されているメカニズムとは異なるようである。プロテインキナーゼA、プロテインキナーゼC、プロテインキナーゼG、p42/p44−マイトジェン−活性化タンパク質キナーゼ(ERK1/2)、及び一酸化窒素シンターゼの阻害剤は、末梢性ニューロパシーに何の効果も有さず、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤誘発性過敏に何の効果も有さない。細胞内カルシウムモジュレーター(TMB−8及びQuin−2)は、中毒動物のこの過敏性を逆転できる唯一の薬剤であり、このタイプの神経障害性の痛みにおける細胞内カルシウムの役割を強く示唆する。
【0016】
化学療法、例えば、ビンクリスチンなどのビンカアルカロイドでの治療、又はタキソール、スラミン、シスプラチン、カルボプラチン、又はオキサリプラチンでの治療などは、癌及びHIV患者の治療のために用いられる。加えて、HIV及び/又は腫瘍患者はまた、抗レトロウイルス薬又は抗ウイルス薬でも治療される。
【0017】
腫瘍の痛み、特に骨肉腫の痛みを治療するため、化学療法誘発性の痛みを治療するため、及びヌクレオシド誘発性の痛みを治療するための式(Ib)及び/又は式(IIb)の化合物の使用は報告されていない。従って、本発明は、腫瘍の痛み、特にAIDSと関連する腫瘍の痛み、骨肉腫の痛み、骨、内臓、軟組織、若しくは神経への湿潤若しくは圧迫による腫瘍進行の間に生じる痛み、及び/又は転移誘発性の痛み、例えば、これに限定されないが、転移誘発性の骨肉腫の痛み、乳癌、前立腺癌、又は肺癌の罹患者における転移性疾患により誘発される痛みなどを予防、軽減、及び/又は治療するための医薬組成物を調製するための、式(Ib)及び/又は式(IIb)の前記化合物の使用に関する。本発明はさらに、化学療法誘発性の痛み、例えば、これに限定されないが、化学療法誘発性の神経障害性の痛み、ビンカアルカロイド誘発性の痛み、ビンクリスチン誘発性の痛み、及び/又はタキソール、スラミン、シスプラチン、カルボプラチン及び/又はオキサリプラチンにより誘発される痛みなどを予防、軽減、及び/又は治療するための医薬組成物の調製のための、式(Ib)及び/又は式(IIb)の化合物の使用に関する。本発明はさらに、ヌクレオシド及び/又はヌクレオシドアナログ誘発性の痛み、例えば、これに限定されないが、ヌクレオシド及び/又はヌクレオシドアナログにより誘発される痛みを伴う末梢性ニューロパシー、抗腫瘍及び/又は抗ウイルスヌクレオシドアナログにより誘発される痛み、及び/又は抗レトロウイルスヌクレオシドアナログ、例えば、AZT(3'−アジドチミジン)、ddC、ddI、及び/又はd4Tなど(例えばAIDS療法において)により誘発される痛みなどを予防、軽減、及び/又は治療するための医薬組成物の調製のための、式(Ib)及び/又は式(IIb)の化合物の使用に関する。
【0018】
本発明はまた、腫瘍の痛み、化学療法誘発性の痛み、及び/又は少なくとも1種のヌクレオシド及び/又は少なくとも1種のヌクレオシドアナログにより誘発される痛みを予防、軽減、及び/又は治療するための医薬組成物の調製のための、式(Ib)及び/又は式(IIb)の化合物の使用にも関する。
【0019】
驚くべきことに、(Ib)及び/又は(IIb)の化合物、特に(R)−2−アセトアミド−N−ベンジル−3−メトキシプロピオンアミド(SPM 927)の適用により、腫瘍誘発性の骨肉腫の痛みモデル、化学療法誘発性及びヌクレオシドアナログ誘発性の神経障害性の痛みモデルにおいて、機械的及び温熱性痛覚過敏、並びに機械的及び温熱性アロディニアが低減された。
【0020】
本発明の化合物は、下記一般式(Ib):
【0021】
【化4】

[式中、
− Rは、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール、アリール低級アルキル、複素環、複素環低級アルキル、低級アルキル複素環、低級シクロアルキル、又は低級シクロアルキル低級アルキルであり、かつRは、非置換であるか、又は少なくとも1つの電子求引基及び/又は少なくとも1つの電子供与基で置換されており;
− R1は、水素又は低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、複素環低級アルキル、低級アルキル複素環、複素環、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、それぞれ、非置換又は少なくとも1つの電子供与基及び/又は少なくとも1つの電子求引基で置換されており;かつ
− R2及びR3は、独立して、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、ハロ、複素環、複素環低級アルキル、低級アルキル複素環、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキル、又はZ−Yであり、ここで、R2及びR3は、非置換であっても、又は少なくとも1つの電子求引基及び/又は少なくとも1つの電子供与基で置換されていてもよく;
− Zは、O、S、S(O)a、NR4、NR'6、PR4、又は化学結合であり;
− Yは、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ハロ、複素環、複素環低級アルキル、低級アルキル複素環であって、かつYは、非置換であっても、又は少なくとも1つの電子供与基及び/又は少なくとも1つの電子求引基で置換されていてもよく、ただし、Yがハロである場合にはZは化学結合であるという条件であり、又は
ZYは一緒になって、NR4NR5R7、NR4OR5、ONR4R7、OPR4R5、PR4OR5、SNR4R7、NR4SR7、SPR4R5、PR4SR7、NR4PR5R6、PR4NR5R7、又はNR5R6R7
【0022】
【化5】

であり;
R'6は、水素、低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルケニルであって、非置換であっても、又は少なくとも1つの電子求引基及び/又は少なくとも1つの電子供与基で置換されていてもよく;
R4、R5、及びR6は、独立して、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニルであって、ここで、R4、R5、及びR6は、独立して、非置換であっても、又は少なくとも1つの電子求引基及び/又は少なくとも1つの電子供与基で置換されていてもよく;
R7は、R6又はCOOR8又はCOR8であって、ここで、R7は、非置換であっても、又は少なくとも1つの電子求引基及び/又は少なくとも1つの電子供与基で置換されていてもよく;
R8は、水素又は低級アルキル、又はアリール低級アルキルであって、ここで、前記アリール又はアルキル基は、非置換であっても、又は少なくとも1つの電子求引基及び/又は少なくとも1つの電子供与基で置換されていてもよく;かつ
− nは1〜4であり;かつ
− aは1〜3である]
を有する。
【0023】
好ましくは、本発明の化合物は、下記一般式(IIb):
【0024】
【化6】

[式中、
Arは、アリール、特にフェニルであって、非置換又は少なくとも1つのハロで置換されており;R3は、−CH2−Qであって、ここで、Qは低級アルコキシであり;かつR1は低級アルキル、特にメチルである]
を有する。
【0025】
本発明はまた、腫瘍の痛み、特にAIDSと関連する腫瘍の痛み、骨肉腫の痛み、骨、内臓、軟組織、若しくは神経への湿潤若しくは圧迫による腫瘍進行の間に生じる痛み、及び/又は転移誘発性の痛み、例えば、これに限定されないが、転移誘発性の骨肉腫の痛み、乳癌、前立腺癌、又は肺癌の罹患者における転移性疾患により誘発される痛みなどを予防、軽減、及び/又は治療するのに有用な、式(Ib)及び/又は式(IIb)の化合物を含む医薬組成物を対象とする。本発明はさらに、化学療法誘発性の痛み、例えば、これに限定されないが、化学療法誘発性の神経障害性の痛み、ビンカアルカロイド誘発性の痛み、ビンクリスチン誘発性の痛み、及び/又はタキソール、スラミン、シスプラチン、カルボプラチン及び/又はオキサリプラチンにより誘発される痛みなどを予防、軽減、及び/又は治療するのに有用な、式(Ib)及び/又は式(IIb)の化合物を含む医薬組成物に関する。本発明はさらに、ヌクレオシド及び/又はヌクレオシドアナログ誘発性の痛み、例えば、これに限定されないが、ヌクレオシド及び/又はヌクレオシドアナログにより誘発される痛みを伴う末梢性ニューロパシー、抗腫瘍及び/又は抗ウイルスヌクレオシドアナログにより誘発される痛み、及び/又は抗レトロウイルスヌクレオシドアナログ、例えば、AZT、ddC、ddI、及び/又はd4Tなど(例えばAIDS療法において)により誘発される痛みなどを予防、軽減、及び/又は治療するのに有用な、式(Ib)及び/又は式(IIb)の化合物を含む医薬組成物に関する。
【0026】
本発明はまた、腫瘍の痛み、化学療法誘発性の痛み、及び/又は少なくとも1種のヌクレオシド及び/又は少なくとも1種のヌクレオシドアナログにより誘発される痛みを予防、軽減、及び/又は治療するのに有用な、式(Ib)及び/又は式(IIb)の化合物を含む医薬組成物に関する。
【0027】
単独で、又は他の基と組み合わせて用いられる場合、「低級アルキル」基とは、1〜6個の炭素原子、特に1〜3個の炭素原子を含む低級アルキルであり、直鎖又は分枝鎖であってよい。これらの基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、アミル、ヘキシルなどが含まれる。
【0028】
「低級アルコキシ」基とは、1〜6個の炭素原子、特に1〜3個の炭素原子を含む低級アルコキシであり、直鎖又は分枝鎖であってよい。これらの基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどが含まれる。
【0029】
「アリール低級アルキル」基には、例えば、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルイソプロピル、フェニルブチル、ジフェニルメチル、1,1−ジフェニルエチル、1,2−ジフェニルエチルなどが含まれる。
【0030】
単独で、又は組み合わせて用いられる場合、「アリール」という用語は、6〜18個までの環炭素原子及び最大で合計25個までの炭素原子を含み、多核芳香族を含む、芳香族基を意味する。これらのアリール基は、単環、二環、三環、又は多環であってよく、縮合環である。本明細書で用いられる多核芳香族化合物とは、10〜18個の環炭素原子及び最大で合計25個の炭素原子を含む、二環式及び三環式縮合芳香族環系を包含することが意図される。アリール基には、フェニル、及び多核芳香族、例えば、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、アズレニルなどが含まれる。アリール基にはまた、フェロセニルなどの基も含まれる。アリール基は、非置換であっても、又は以下に記載するとおりの電子求引基及び/又は電子供与基で一置換若しくは多置換されていてもよい。
【0031】
「低級アルケニル」とは、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を含むアルケニル基である。これらの基は、直鎖又は分枝鎖であってよく、Z又はE型であってよい。このような基には、ビニル、プロペニル、1−ブテニル、イソブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、(Z)−2−ペンテニル、(E)−2−ペンテニル、(Z)−4−メチル−2−ペンテニル、(E)−4−メチル−2−ペンテニル、ペンタジエニル、例えば、1,3−又は2,4−ペンタジエニルなどが含まれる。
【0032】
「低級アルキニル」という用語は、2〜6個の炭素原子を含むアルキニル基であって、直鎖、及び分枝鎖であってよい。このような基には、エチニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ペンチニル、3−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニルなどが含まれる。
【0033】
単独で、又は組み合わせて用いられる場合、「低級シクロアルキル」という用語は、3〜18個の環炭素原子及び最大で合計25個の炭素原子を含むシクロアルキル基である。シクロアルキル基は、単環、二環、三環、又は多環であってよく、環は縮合されている。シクロアルキルは、完全に飽和されていても、又は部分飽和されていてもよい。例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロオクテニル、シクロヘプテニル、デカリニル(decalinyl)、ヒドロインダニル(hydroindanyl)、インダニル、フェンキル、ピネニル(pinenyl)、アダマンチルなどが含まれる。シクロアルキルは、シス又はトランス型を含む。シクロアルキル基は、非置換であっても、又は以下に記載するとおりの電子求引基及び/又は電子供与基で一置換若しくは多置換されていてもよい。さらに、置換基は、架橋二環式系におけるエンド又はエキソ位のいずれかであってよい。
【0034】
「電子求引及び電子供与」という用語は、水素原子が分子中の同じ位置を占める場合に、水素のものに対して、それぞれ、電子を求引又は供与する置換基の能力を意味する。これらの用語は当業者によく理解されており、本明細書に参照として援用されるAdvanced Organic Chemistry, by J. March, John Wiley and Sons, New York, NY, pp. 16-18 (1985) に記載されている。電子求引基には、ブロモ、フルオロ、クロロ、ヨードなどを含むハロ;ニトロ、カルボキシ、低級アルケニル、低級アルキニル、ホルミル、カルボキシアミド、アリール、第四級アンモニウム、トリフルオロメチルなどのハロアルキル、アリール低級アルカノイル、カルバルコキシなどが含まれる。電子供与基には、ヒドロキシ、メトキシ及びエトキシなどを含む低級アルコキシ;低級アルキル、例えば、メチル及びエチルなど;アミノ、低級アルキルアミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、フェノキシなどのアリールオキシ、メルカプト、低級アルキルチオ、低級アルキルメルカプト、ジスルフィド(低級アルキルジチオ)などの基が含まれる。当業者ならば、上述の置換基のいくつかを、異なる化学的条件下、電子供与又は電子求引すると考えてよいことを理解するだろう。さらに、本発明は、先に同定した基から選択される置換基のいずれの組み合わせをも意図する。
【0035】
「ハロ」という用語には、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードなどが含まれる。
【0036】
「アシル」という用語には、1〜6個の炭素原子を含む低級アルカノイルが含まれ、直鎖又は分子鎖であってよい。これらの基には、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、第三級ブチリル、ペンタノイル、及びヘキサノイルが含まれる。
【0037】
本明細書で用いられる場合には、複素環基は、少なくとも1つの硫黄環原子、窒素環原子、又は酸素環原子を含むが、環中にいくつかの前記原子を含んでいてもよい。本発明により意図される複素環基には、複素環式芳香族化合物、並びに飽和及び部分飽和複素環式化合物が含まれる。これらの複素環は、単環、二環、三環、又は多環であってよく、縮合環である。これらは、好ましくは、最大で18個の環原子、最大で合計17個の環炭素原子、及び最大で合計25個の炭素原子を含んでよい。複素環はまた、いわゆるベンゾヘテロサイクリックを含むことが意図される。代表的な複素環には、フリル、チエニル、ピラゾリル、ピロリル、メチルピロリル、イミダゾリル、インドリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピペリジル、ピロリニル、ピペラジニル、キノリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、モルホリニル、ベンゾキサゾリル、テトラヒドロフリル、ピラニル、インダゾリル、プリニル、インドリニル、ピラゾリンジニル、イミダゾリニル、イミダゾリンジニル、ピロリジニル、フラザニル、N−メチルインドリル、メチルフリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリジル、エポキシ、アジリジノ、オキセタニル、アゼチジニル、窒素含有複素環のN−オキシド、例えば、ピリジニル、ピラジニル、及びピリミジニルのN−オキシドなどが含まれる。複素環基は、非置換であっても、又は電子求引及び/又は電子供与基で一置換若しくは多置換されていてもよい。
【0038】
好ましい複素環は、チエニル、フリル、ピロリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、メチルピロリル、モルホリニル、ピリジル、ピラジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、又はピリダジニルである。好ましい複素環は、5又は6員の複素環式化合物である。特に好ましい複素環は、フリル、ピリジル、ピラジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、又はピリダジニルである。最も好ましい複素環は、フリル及びピリジルである。
【0039】
好ましい化合物は、nが1のものであるが、ジ(n=2)、トリ(n=3)、及びテトラペプチド(n=4)もまた、本発明の範囲内であることが意図される。
【0040】
Rの好ましい値は、アリール低級アルキル、特にベンジル、特に、フェニル環自体が、非置換であるか、又は電子供与基及び/又は電子求引基、例えばハロ(例えば、F)などで置換されているものである。
【0041】
好ましいR1は、H又は低級アルキルである。最も好ましいR1基はメチルである。
【0042】
好ましい電子供与置換基及び/又は電子求引置換基は、ハロ、ニトロ、アルカノイル、ホルミル、アリールアルカノイル、アリーロイル(aryloyl)、カルボキシル、カルバルコキシ、カルボキサミド、シアノ、スルホニル、スルホキシド、複素環、グアニジン、第四級アンモニウム、低級アルケニル、低級アルキニル、スルホニウム塩、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、アミノ低級アルキル、メルカプト、メルカプトアルキル、アルキルチオ、及びアルキルジチオである。「スルフィド」という用語には、メルカプト、メルカプトアルキル、及びアルキルチオが包含され、他方、ジスルフィドという用語には、アルキルジチオが包含される。特に好ましい電子供与基及び/又は電子求引基は、ハロ又は低級アルコキシであり、フルオロ又はメトキシが最も好ましい。これらの好ましい置換基は、式(Ib)及び/又は(IIb)中の任意の基の1つ上に存在してよく、例えば、本明細書で定義したとおりの、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R'6、R7、R8、及び/又はR50など上に存在してよい。
【0043】
R2及びR3を代表するZY基には、ヒドロキシ、アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、アリールオキシ、例えばフェノキシなど;チオアルコキシ、例えば、チオメトキシ、チオエトキシなど;チオアリールオキシ、例えばチオフェノキシなど;アミノ;アルキルアミノ、例えば、メチルアミノ、エチルアミノなど;アリールアミノ、例えばアニリノなど;低級ジアルキルアミノ、例えばジメチルアミノなど;トリアルキルアンモニウム塩、ヒドラジノ;アルキルヒドラジノ及びアリールヒドラジノ、例えば、N−メチルヒドラジノ、N−フェニルヒドラジノ、カルバルコキシヒドラジノ、アルアルコキシ(aralkoxy)カルボニルヒドラジノ、アリールオキシカルボニルヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、例えばN−ヒドロキシルアミノ(−NH−OH)など、低級アルコキシアミノ[(NHOR18)、式中、R18は低級アルキルである]、N−低級アルキルヒドロキシルアミノ[(NR18)OH、式中、R18は低級アルキルである]、N−低級アルキル−O−低級アルキルヒドロキシアミノ、すなわち、[N(R18)OR19、式中、R18及びR19は、独立して、低級アルキルである]、及びO−ヒドロキシルアミノ(−O−NH2);アルキルアミド、例えばアセトアミドなど;トリフルオロアセトアミド;低級アルコキシアミノ(例えば、NH(OCH3));並びに、複素環アミノ、例えばピラゾイルアミノなどが含まれる。
【0044】
R2及びR3を代表する好ましい複素環基は、下記式:
【0045】
【化7】

の単環式5員又は6員複素環部分であるか、又はこれらの対応する部分若しくは完全飽和型であり、式中、
− nは、0又は1であり;かつ
− R50は、H又は電子求引基若しくは電子供与基であり;
− A、E、L、J、及びGは、独立して、CH、又はN、O、及びSからなる群から選択されるヘテロ原子であるが;
− nが0の場合には、Gは、CH、又はNH、O、及びSからなる群から選択されるヘテロ原子であり、ただし、A、E、L、J、及びGのうち多くて2つはヘテロ原子である。
【0046】
nが0の場合には、上記の複素芳香族部分は5員環である一方、nが1の場合には、前記複素環部分は、6員の単環式複素環部分である。好ましい複素環部分は、単環である上述の複素環である。
【0047】
上記で表した環が窒素環原子を含む場合には、N−オキシド型もまた本発明の範囲内であることが意図される。
【0048】
R2又はR3が上記式の複素環である場合には、環炭素原子により主鎖に結合されていてもよい。nが0である場合には、R2又はR3は、窒素環原子により主鎖にさらに結合されていてもよい。
【0049】
R2及びR3の他の好ましい部分は、水素、アリール、例えばフェニルなど、アリールアルキル、例えばベンジルなど、及びアルキルである。
【0050】
R2及びR3の好ましい基は、非置換であっても、又は電子供与及び/又は電子求引基で一置換若しくは多置換されていてもよいことが理解されるべきである。好ましくは、R2及びR3は、独立して、水素、低級アルキルであって、非置換であるか、又は電子求引基及び/又は電子供与基で置換されているかのいずれかであり、例えば、低級アルコキシ(例えば、メトキシ及びエトキシなど)、N−ヒドロキシルアミノ、N−低級アルキルヒドロシキアミノ、N−低級アルキル−O−低級アルキル、及びアルキルヒドロキシアミノなどである。
【0051】
R2及びR3の1つは、水素であることが好ましい。
【0052】
nは1であることが好ましい。
【0053】
より好ましくは、n=1であり、かつR2及びR3の1つは水素である。特に好ましくは、この実施態様において、R2は水素であり、かつR3は低級アルキル又はZYであり;Zは、O、NR4、又はPR4であり;Yは、水素又は低級アルキルであり;ZYは、
【0054】
【化8】

である。
【0055】
別の特に好ましい実施態様において、n=1であり、R2は水素であり、かつR3は、非置換又は電子供与基若しくは電子求引基で置換されていてもよい低級アルキル、NR4OR5、又はONR4R7である。
【0056】
さらに別の特に好ましい実施態様において、n=1であり、R2は水素であり、かつR3は、非置換又はヒドロキシ若しくは低級アルコキシで置換されている低級アルキル、NR4OR5、又はONR4R7であって、式中、R4、R5、及びR7は、独立して、水素又は低級アルキルであり、Rはアリール低級アルキルであり、ここで、アリール基は、非置換であっても、又は電子求引基で置換されていてもよく、かつR1は低級アルキルである。この実施態様において、アリールは、非置換又はハロで置換されているフェニルであることが最も好ましい。
【0057】
R2が水素であり、かつR3が、水素、非置換又は少なくとも1つの電子供与基若しくは電子求引基で置換されているアルキル基、又はZYであることが好ましい。この好ましい実施態様において、より好ましくは、R3は、水素、非置換又は電子供与基で置換されているメチルなどのアルキル基、又はNR4OR5、又はONR4R7であって、式中、R4、R5、及びR7は、独立して、水素又は低級アルキルである。電子供与基が、低級アルコキシ、特にメトキシ又はエトキシであることが好ましい。
【0058】
好ましくは、
− R2及びR3は、独立して、水素、低級アルキル、又はZYであり;
− Zは、O、NR4、又はPR4であり;
− Yは、水素又は低級アルキルであり;又は
− ZYは、
【0059】
【化9】

である。
【0060】
Rがアリール低級アルキルであることもまた好ましい。Rについての最も好ましいアリールはフェニルである。最も好ましいR基はベンジルである。好ましい実施態様において、アリール基は、非置換であっても、又は電子供与基若しくは電子求引基で置換されていてもよい。R中のアリール環が置換されている場合には、特にアリール環上で、電子求引基で置換されていることが最も好ましい。Rについての最も好ましい電子求引基は、ハロ、特にフルオロである。
【0061】
好ましいR1は、低級アルキル、特にメチルである。
【0062】
Rがアリール低級アルキルであり、かつR1が低級アルキルであることがより好ましい。
【0063】
さらに好ましい化合物は、式(Ib)の化合物であって、式中、nは1であり;R2は水素であり;R3は、水素、低級アルキル基、特に電子供与基若しくは電子求引基で置換されているメチル、又はZYであり;Rは、アリール、アリール低級アルキル、例えばベンジルであって、ここで、前記アリール基は、非置換又は電子供与基又は電子求引基で置換されており;かつ、R1は低級アルキルである。この実施態様において、R3は、水素、低級アルコキシ(例えば、メトキシ及びエトキシなど)などの電子供与基で置換されていてもよい低級アルキル基、特にメチル、NR4OR5、又はONR4R7(式中、これらの基は先に定義されている)であることがより好ましい。
【0064】
用いられる最も好ましい化合物は、下記式(IIb):
【0065】
【化10】

[式中、
− Arは、アリール、特にフェニルであって、非置換又は少なくとも1つの電子供与基若しくは電子求引基、特にハロで置換されており;
− R1は、低級アルキル、特に1〜3個の炭素原子を含むものであり;かつ
− R3は、先に定義したとおりであるが、特に、水素、非置換又は少なくとも1つの電子供与基若しくは電子求引基で置換されている低級アルキル、又はZYである]
のものである。さらにより好ましくは、この実施態様において、R3は、水素、非置換又は電子供与基で置換されている低級アルキル基、NR4OR5、又はONR4R7である。最も好ましくは、R3は、CH2−Q(式中、Qは、低級アルコキシ、特に1〜3個の炭素原子を含むものである);NR4OR5、又はONR4R7であって、式中、R4は、水素又は1〜3個の炭素原子を含むアルキルであり、R5は、水素、又は1〜3個の炭素原子を含むアルキルであり、かつR7は、水素、又は1〜3個の炭素原子を含むアルキルである。
【0066】
最も好ましいR1はCH3である。最も好ましいR3はCH2−Qであり、式中、Qはメトキシである。
【0067】
最も好ましいアリールはフェニルである。最も好ましいハロはフルオロである。
【0068】
最も好ましい化合物には以下が含まれる:
(R)−2−アセトアミド−N−ベンジル−3−メトキシ−プロピオンアミド;
O−メチル−N−アセチル−D−セリン−m−フルオロベンジル−アミド;
O−メチル−N−アセチル−D−セリン−p−フルオロベンジル−アミド;
N−アセチル−D−フェニルグリシンベンジルアミド;
D−1,2−(N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド;
D−1,2−(O−メチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド。
【0069】
本明細書に記載のR1、R2、R3、R、及びnのマーカッシュ群の様々な組み合わせ及び置換(permutation)は、本発明の範囲内であると意図されることが理解されるべきである。さらに、本発明はまた、R1、R2、R3、n、及びR、並びにそれらの各種組み合わせ中のそれぞれのマーカッシュ群(grouping)の1つ以上の要素を含む、化合物及び組成物を包含する。従って、例えば、R1が、それぞれのnの値に関して、R2、R3、及びRの任意及び全ての置換基と組み合わされた、先に列挙した1つ以上の置換基であってよいことを本発明は意図する。
【0070】
本発明で用いられる化合物は、1つ以上の不斉炭素を含んでいてよく、かつラセミ体及び光学活性の形態で存在してよい。それぞれの不斉炭素の周りの配置は、D型又はL型のいずれかであり得る。キラル炭素原子の周りの配置を、Cahn−Prelog−Ingold命名規則において、R又はSとしても記載できることは当業者に周知である。様々なエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにラセミ混合物及びエタンチオマー、ジアステレオマー、又はその両方の混合物を含む、それぞれの不斉炭素の周りの様々な配置の全ては、本発明により意図される。
【0071】
主鎖において、R2及びR3基が結合された炭素原子で不斉(asymmetry)が存在する。nが1の場合には、本発明の化合物は、下記式:
【0072】
【化11】

[式中、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R'6、R7、R8、R50、Z、及びYは先に定義したとおりである]
のものである。
【0073】
本明細書で用いられる場合、配置という用語は、たとえ他のキラル中心が分子中に存在し得るとしても、R2及びR3が結合された炭素原子の周りの配置を意味するものとする。従って、D又はLなどの特定の配置に関する場合には、R2及びR3が結合された炭素原子でのD又はL立体異性体を意味することが理解されるべきである。しかし、もし化合物中に存在するならば、他のキラル中心での全ての可能なエナンチオマー及びジアステレオマーも含まれる。
【0074】
本発明の化合物は、全ての光学異性体を対象とし、すなわち、本発明の化合物は、L−立体異性体又はD−立体異性体(R2及びR3が結合された炭素原子において)のいずれかである。これらの立体異性体は、L及びD立体異性体の混合物、例えばラセミ混合物中で発見されてよい。D立体異性体が好ましい。
【0075】
好ましくは実質的にエナンチオピュア(enantiopure)な、R配置の式(III)の化合物がより好ましく、式中、R置換基は、非置換又は少なくとも1つのハロ基で置換されたベンジルであり、R3は、CH2−Q(式中、Qは、1〜3個の炭素原子を含む低級アルコキシである)であり、かつR1はメチルである。好ましくは、Rは、非置換ベンジル、又はフルオロ基である少なくとも1つのハロ基で置換されたベンジルである。
【0076】
置換基に応じて、本発明の化合物は、さらに付加塩を形成してよい。これらの形態の全ては、立体異性体の混合物を含む本発明の範囲内であると意図される。
【0077】
用いられる化合物の製造方法は、米国特許第5378729号及び同第5773475号に記載されており、この両方の内容は参照として本明細書に援用される。
【0078】
本発明で用いられる化合物は、式(Ib)及び/又は(IIb)で表されるものとして、又は遊離アミノ基の存在によるその塩基特性を考慮した塩の形態で用いられ得るものとして有用である。従って、式(Ib)及び/又は(IIb)の化合物は、医薬として許容可能な酸を含む、多種多様な酸、無機酸及び有機酸とともに塩を形成する。治療的に許容可能な酸との塩は、もちろん、高められた水溶性が最も有利である製剤の調製において有用である。
【0079】
これらの医薬として許容可能な塩はまた、治療効果も有する。これらの塩には、無機酸、例えば、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、及び硫酸などの塩、並びに有機酸、例えば、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、過塩素酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、アリールスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)、リン酸、及びマロン酸などの塩が含まれる。
【0080】
本発明は、式(Ib)及び/又は(IIb)の少なくとも1つの化合物を投与することを含む、ヒトを含む哺乳動物における上記の病気又は病態を予防、軽減、及び/又は治療するための方法をさらに対象とする。
【0081】
本発明で用いられる化合物は、治療的に有効な量で使用されることが好ましい。
【0082】
医師は、最も適するであろう本発明の治療剤の用量を決定し、これは、投与形態及び選択される特定の化合物によって変化し、さらには、治療中の患者、患者の年齢、治療されるべき疾病の種類によって変化するだろう。一般的には、化合物の最適用量よりも実質的に少ない低用量で治療を開始して、その条件下で最適な効果が得られるまで用量を少しずつ増加させることが望まれるだろう。組成物が経口投与される場合には、非経口で投与される、より少量のものと同一の効果を得るために、より多量の活性剤が必要とされるだろう。化合物は、比較可能な治療剤と同じように有用であり、用量レベルは、これらの他の治療剤で一般的に実施されるレベルと同一規模(order of magnitude)である。
【0083】
好ましい実施態様において、本発明の化合物は、1日当たり、体重1 kg当たり、約1 mg〜約100 mgの範囲の量、より好ましくは、1日当たり、体重1 kg当たり、約1 mg〜約10 mgの範囲の量で投与される。この用法は、最適な治療反応を得るために、医師により調整されてよい。それを必要とする患者は、少なくとも50 mg/日、好ましくは少なくとも200 mg/日、より好ましくは少なくとも300 mg/日、最も好ましくは少なくとも400 mg/日の本発明の化合物用量で治療されてよい。一般的に、それを必要とする患者は、最大で6 g/日、より好ましくは最大で1 g/日、最も好ましくは最大で600 mg/日の用量で治療されてよい。しかし、ある場合においては、より高用量又は低用量が必要とされてよい。
【0084】
別の好ましい実施態様において、日用量は、さらなる治療の間に維持される、所定の日用量に達するまで増加する。
【0085】
さらに別の好ましい実施態様において、いくつかの分割量を毎日投与してよい。例えば、1日当たり3回量、好ましくは1日当たり2回量を投与してよい。1日当たり1回量を投与することがより好ましい。
【0086】
さらに別の好ましい実施態様において、本発明の化合物の量は、複数の治療対象にわたる平均として計算される、0.1〜15μg/mL(トラフ)及び5〜18.5μg/mL(ピーク)の血漿濃度をもたらすように投与されてよい。
【0087】
式(Ib)及び/又は(IIb)の化合物は、都合のよい方法で、例えば、経口、静脈内(この場合、水溶性である)、筋内、髄腔内、又は皮下経路などにより投与されてよい。経口及び/又はi.v.投与が好ましい。
【0088】
本発明の医薬組成物は、上述のとおりの本発明の実施態様で特定されたとおりの投与期間及び/又は投与経路で、上述のとおりの血漿濃度をもたらすために、上述のとおりの治療計画、特に上述のとおりの用量での治療のために調製されてよい。
【0089】
別の好ましい実施態様において、それを必要とする、ヒトを含む哺乳動物の治療のための上述のとおりの本発明の方法には、ウイルス感染、例えば、レトロウイルス感染、AIDSを含むHIV感染など、癌、例えば、乳癌、前立腺癌、肺癌、骨肉腫、転移性疾患など、及び/又は骨、内臓、軟組織、若しくは神経への湿潤若しくは圧迫による腫瘍進行を予防、軽減、及び/又は治療するためのさらなる活性剤を投与することと組み合わせて、本発明の化合物を投与することが含まれる。本発明の化合物及びさらなる活性剤は、一緒になって、すなわち単回投与の形態で投与されても、又は別々に、すなわち分離投与(separate dose form)形態で投与されてもよい。従って、本発明の医薬組成物には、先に定義したとおりの本発明の化合物を含めてよく、かつウイルス感染、例えば、レトロウイルス感染、AIDSを含むHIV感染など、癌、例えば、乳癌、前立腺癌、肺癌、骨肉腫、転移性疾患など、及び/又は骨、内臓、軟組織、若しくは神経への湿潤若しくは圧迫による腫瘍進行を予防、軽減、及び/又は治療するためのさらなる活性剤をさらに含めてよい。医薬組成物には、単回投与形態を含めてよく、又は先に定義したとおりの本発明の化合物を含む第一の組成物と、さらなる活性剤を含む第二の組成物とを含む分離投与形態を含めてもよい。
【0090】
本発明の化合物は、上述のとおりの医薬組成物を調製するために用いられてよい。
【0091】
式(Ib)及び/又は(IIb)の化合物は、例えば、不活性希釈剤又は吸収可能な食用キャリアなどともに経口投与されてもよく、又はハード若しくはソフトシェルゼラチンカプセルに封入されてもよく、又は錠剤に圧縮されてもよく、又は食餌のフール(fool)に直接組み込まれてもよい。治療目的での経口投与のために、式(Ib)及び/又は(IIb)の活性化合物は、賦形剤とともに組み込まれてもよく、かつ摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエファー(wafer)などの形態で用いられてよい。このような組成物及び調製物(preparation)には、少なくとも1%の式(Ib)及び/又は(IIb)の活性化合物が含まれるべきである。組成物及び調製物のパーセンテージは、もちろん、変更されてよく、都合よくは、ユニットの約5重量%〜約80重量%であってよい。このような治療的に有用な組成物における式(Ib)及び/又は(IIb)の活性化合物の量は、適した用量が得られる量である。本発明の好ましい組成物又は調製物には、約10 mg〜6 gの式(Ib)及び/又は(IIb)の活性化合物が含まれる。
【0092】
錠剤、トローチ、ピル、カプセルなどにはまた、以下が含まれてもよい:結合剤、例えば、トラガカントガム、アカシア、コーンスターチ、又はゼラチンなど;賦形剤、例えば、第二リン酸カルシウムなど;崩壊剤、例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸など;滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムなど;及び甘味剤、例えば、スクロース、ラクトース、又はサッカリンが添加されてもよく、又は着香剤(flavoring agent)、例えば、ペパーミント、ウィンターグリーン油、又はチェリー香料が添加されてもよい。投与ユニット形態がカプセルである場合には、上記タイプの物質に加えて液体キャリアを含めてもよい。
【0093】
様々な他の物質が、コーティングとして存在してよく、又は別法として、投与ユニットの物理的形態を変更してよい。例えば、錠剤、ピル、又はカプセルは、セラック、糖、又はその両方でコーティングされてよい。シロップ又はエリキシル剤には、活性化合物、甘味剤としてスクロース、保存料としてメチル及びプロピルパラビン、着色料、及びチェリー又はオレンジフレーバーなどの香味料を含めてもよい。もちろん、いずれの投与ユニット形態を調製する場合にも用いられるいずれの物質も、医薬として純粋であり、用いられる量で実質的に非毒性でなければならない。さらに、活性化合物を、徐放性調製物及び製剤に組み込んでもよい。例えば、徐放性投与形態は、樹脂の放出特性を変更するために拡散バリアコーティングを用いて任意選択でコーティングされ得る、イオン交換樹脂に活性成分を結合することが意図される。
【0094】
活性化合物はまた、非経口投与又は腹腔内投与されてもよい。分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物中で、並びにオイル中で調製され得る。貯蔵及び使用の通常の条件下、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐための保存料を含む。
【0095】
注入可能な使用に適した医薬形態には、滅菌水溶液(この場合、水溶性である)又は分散液、及び滅菌した注入可能な溶液又は分散液の即時調製のための滅菌粉末が含まれる。全ての場合において、形態は無菌でなければならず、簡単にシリンジによって注入可能な程度に流動的でなければならない。形態は、製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、かつバクテリア及び菌類などの微生物の汚染作用を回避して貯蔵されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、適したこれらの混合物、及び植物油などを含む溶媒又は分散媒であることができる。適した流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することにより、分散液の場合には所要の粒径を保持することにより、及び界面活性剤を使用することにより保持され得る。微生物作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによりもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖又は塩化ナトリウムなどを含めることが好ましい。注入可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの組成物中での使用によりもたらされ得る。
【0096】
滅菌した注入可能な溶液は、必要に応じて、上記で列挙した他の様々な成分を有する適切な溶媒中に所要量の活性化合物を組み込み、それに続いてろ過滅菌にすることにより調製される。一般的に、分散液は、基本的な(basic)分散媒と、上記で列挙したものからの所要の他の成分とを含む滅菌ビヒクル中に、様々な滅菌した活性成分を組み込むことにより調製される。滅菌した注入可能な溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、あらかじめろ過滅菌したその溶液からの、任意のさらなる所望の成分を加えた、真空乾燥、凍結乾燥技術である。
【0097】
本明細書で用いる場合、「医薬として許容可能なキャリア」には、医薬的に活性な物質のための、当分野で周知の、任意及び全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、並びに等張剤及び吸収遅延剤が含まれる。任意の通常の媒体又は薬剤が活性成分と不適合である場合を除いて、治療用組成物におけるその使用が意図される。追加の活性成分もまた組成物中に組み込むことができる。
【0098】
非経口組成物を投与ユニット形態で、又は投与が容易かつ均一な用量で処方することが特に有利である。本明細書で用いられる投与ユニット形態とは、治療されるべき哺乳動物対象のために、単一用量として適した物理的に別個のユニットを意味する;各ユニットには、所要の医薬的キャリアと関連して、所望の治療効果をもたらすために、計算された所定量の活性物質が含まれる。本発明の新規投与ユニット形態に対する特異性は、(a)活性物質の独特の特性及び達成されるべき特定の治療効果、並びに(b)詳細には本明細書で開示するとおりの、身体上の健康が損なわれている病的状態を有する生体における病気を治療するために活性物質などを調合する分野における、固有の制限により影響(dictated)され、かつ直接的に依存する。
【0099】
主要な活性成分は、上述のとおり、投与ユニット形態で、適した医薬的に許容可能なキャリアとともに、有効量で、都合よくかつ効果的な投与のために調合される。例えば、ユニット投与形態には、約10 mg〜約6 gの範囲の量で主要な活性化合物を含めることができる。比率で表すと、活性化合物は、通常、キャリアの約1〜約750 mg/mLで存在する。追加の活性成分を含む組成物の場合には、用量は、通常用量及び前記成分の投与方法を参照することにより決定される。
【0100】
本明細書で用いる場合、「患者」又は「対象」という用語は、温血動物、好ましくは哺乳動物、例えば、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、マウス、ラット及びヒトを含む霊長類などを意味する。好ましい患者はヒトである。
【0101】
「治療」という用語は、病気又は病態と関連する痛みを取り除くか、又は患者の病気若しくは病態を治癒(curing)若しくは軽減するかのいずれかを意味する。
【0102】
本発明の化合物は、上述のタイプの疾患を患っている患者に有効量で投与される。これらの量は、上述のとおりの治療的に有効な量と同等である。
【0103】
以下の実施例には、腫瘍誘発性の骨肉腫の痛みモデル、化学療法誘発性及びヌクレオシドアナログ誘発性の神経障害性の痛みモデルにおいて、機械的及び温熱性痛覚過敏、並びに機械的及び温熱性アロディニアを低減するSPM 927の特性を示す。
【0104】
使用した物質は、ハルコセライドとも称されるSPM 927であった。標準的な化学命名法では、(R)−2−アセトアミド−N−ベンジル−3−メトキシプロピオンアミドである。
【0105】
[実施例]
SPM 927の全身投与の効果を、腫瘍誘発性の骨肉腫の痛みモデル、化学療法誘発性及びヌクレオシドアナログ誘発性の神経障害性の痛みモデルにおいて、ラットで検査した。SPM 927は、これらのモデルにおいて、機械的及び温熱性痛覚過敏、並びに機械的及び温熱性アロディニアを低減した。SPM 927が、骨肉腫の痛み、並びに化学療法誘発性及びヌクレオシド誘発性のニューロパシーを治療するための鎮痛剤として有用であり、概して、モルヒネよりも活性であることが実証された。
【0106】
[材料及び方法]
(骨肉腫ラットモデル)
(細胞培養)
RPMI−1640(Gibco、500 mL)、10%熱不活性化ウシ胎仔血清(Hyclone)、L−グルタミン(最終濃度2 mM、Gibco)、及び抗生物質溶液(最終濃度100 U/mLペニシリン及び100μg/mL硫酸ストレプトマイシン、Gibco)を含む媒体中で細胞を培養した。0.1%トリプシン(Gibco)に短時間暴露することにより、細胞を組織培養フラスコから離し、ついで以下のとおりに注入のために調製した:およそ1,200 rpmで10分間細胞を遠心分離した。得られたペレットを、いずれのカルシウム又はマグネシウムをも含まないリン酸緩衝生理食塩水(PBS、Mediatech)で2回洗浄した。最終的なペレットを、PBSに再懸濁し、血球計を用いて細胞計数を得た。注入のための最終濃度を得るために細胞を希釈し、注入を実施するまで氷上に置いた。
【0107】
(外科処置)
1週間の隔離(quarantine)後、細胞媒体又は3×104同系MRMT−1ラット乳腺癌細胞のいずれかを、各ラットの脛骨近位端の髄腔に注入した。手順としては、第一に、ケタミン/キシラジンを用いて動物に麻酔をかけ、右足領域を剃り、ヨード溶液で処理し、70%エタノール溶液で消毒した。1 cmの吻尾方向の切開(rostral−caudal incision)を、脛骨の上半分(top half)上の皮膚に施した。鈍的切開を実施して脛骨を暴露し、筋肉又は血管に対して最小の損傷を確保した。23ゲージのニードルを用いて、膝関節下部、1〜3 mm、頚骨に穴を開けた。骨の髄内の管(intramedullary canal)へと押し下げることのできる角度でニードルを挿入した。髄内の管への経路が開かれたら、23ゲージのニードルを除去し、5μLハミルトンシリンジとつながれたブラントニードル(blunt needle)に置き換えた。培養媒体+ビヒクル、又は腫瘍細胞+ビヒクルの3μL量を、髄内の管へと注入した。同時にシリンジを除去しながら癌細胞を徐々に注入し、管内のスペースを細胞で満たした。注入後、骨ろう(bone wax)を用いて注入部位を閉じた。ついで、手術用ステープル(staple)を用いて傷を閉じた。動物が意識を回復するまで、術後処置及び観察を行った。
【0108】
(行動測定)
(投与)
8日目又は15日目において、機械的アロディニアについては試験開始20分前に、温熱性痛覚過敏については試験開始およそ40分前に、単回投与のビヒクル、対象化合物、又は被験物質をラットに投与した。SPM 927の薬理活性に基づいて、薬剤処理後90分より長くない時間で試験を実施する必要があった。9日目において、体重負荷についての試験開始20分前に、参照化合物又は被験物質をラットに投与した。
【0109】
(侵害受容評価)
7、8、14、及び15日目において、痛み評価試験を実施した。7日目及び14日目において、ベースライン評価を実施した。ベースライン試験のおよそ20分前に、全ての動物に生理食塩水を腹腔内投与した。開始8日目及び15日目において、試験/参照物質を注入してからおよそ20分後に、動物に対して一連の侵害受容評価を実施した。試験の順序は、全ての動物について同じであった。第一に、機械的アロディニアについて動物を評価し、ついで温熱性痛覚過敏について動物を評価した。9日目及び15日目において、体重負荷についての試験を動物に行った。第一に、ベースライン体重負荷反応について動物を評価した。ベースライン測定の後、試験/参照物質をラットに注入し、少なくとも20分後、別の体重負荷分析を動物に行った。
【0110】
(機械的アロディニア)
ベースライン(7日目)及び8日目において、全ての動物の罹患(右)後肢に対して、機械的アロディニアのVon Frey試験を実施した。この試験において、金網の床を有する小さなプレキシガラス(plexiglas)の箱にラットを置いた。およそ10分間慣れさせた後、ケージの床を介して下から一連の細いナイロンファイバーを適用し、後肢の足底面に押し付けた。試験の間、ラットを拘束せず、かつ手を触れなかった。フィラメントの直径は、与える力の対数尺(logarithmic scale)を提供し、従って、感知する強度の直線及び間隔尺度を提供した。最も弱い力を有するファイバーを第一に試験したが、これは、大部分のラットについて、検出の正常閾値未満である。それぞれ連続的に強いファイバーを試験し、いずれの場合にも、モノフィラメントをちょうど曲げ始めるのに必要な力を用いた。圧力に反応してラットがその足を上げた場合に、フィラメントサイズを記録し、次により弱いフィラメントを用いた。引っ込める(withdrawal)閾値に焦点を当てるために、連続的により大きな及びより小さなファイバーを使用することを伴う、Chapmanの「アップダウン」方法に従って、引っ込める閾値を測定した。アロディニアにおける有意な増加は、群平均値の比較に基づいた。
【0111】
(温熱性痛覚過敏試験)
ベースライン(7日目及び14日目)並びに8日目及び15日目において、温熱性痛覚過敏についての試験を動物に行った。それぞれのラットを、高加熱ガラス表面上の個々のプレキシガラスチャンバー中に置き、およそ10分間慣れさせた。動物が静止したら、光ファイバー熱源をガラスの真下に導き、動物の右後肢に向けた。赤外線ビームを作動させ、ラットがその足を上げるか、又は動かした場合に、ビームを自動的に止めた。装置のタイマーは、足を移動させる潜時(latency)を記録し、これは、熱からもたらされる痛みを検出するための動物についての時間を意味するものであった。ラットが25秒以内に動かなかった場合には、熱源を自動的に止め、足へのダメージがないことを確保した。罹患後肢についてのみ試験した。このプロセスを、それぞれのラットについて、少なくとも2回、約3分おきに繰り返した。潜時が、互いに2秒以内である場合には、それらを平均化した。潜時が2秒を超えて異なる場合には、2つの潜時が2秒以内となるまでラットを試験し、これらの2つの数を平均化した。足を引っ込めるための潜時についての群平均を、より大きな痛覚感受性を示すより低い潜時を有した群にわたって比較した。
【0112】
(体重負荷)
4〜6グループにおける動物を、薬剤処理グループに再ランダム化した後、9日目及び15日目において、全ての動物に体重負荷試験を行った。罹患後肢の体重負荷を、対側肢と比較した、同側肢による体重負荷差として評価した。実験的には、各足での動物の体重分布を記録する別々の変換パッド上にそれぞれの後肢が乗るようにデザインされたプレキシガラスチャンバー中にラットを置いた。各足から5回の読み取りを得て、ついで、体重負荷差(WBD;対側読み取り−同側読み取り)として表される結果を用いて平均化した。到着した翌日に、体重に基づいて、ラットを1群につき8匹の動物に配分した。それぞれの群についての平均体重を再調査し、平均値及び標準偏差が、均一性の前提を満たすことを確保した。8日目におけるVon Frey試験結果に基づいて、4〜6グループにおける動物を、体重負荷試験についての新規処理群に再ランダム化し、その前回の群割り当てからのいずれの偏りをも防いだ。1〜3グループにおける動物は、SPM 927処理を受けていない動物であったので、それらの指定群内のままにした。
【0113】
(ビンクリスチン誘発性痛みモデル)
(動物処理)
この研究のために、86匹の雌Dark Agoutiラット(150〜200 g)を用いた(Harlan、Gannat、France)。ラットを群で飼育し(1ケージ当たり3匹の動物)、任意に得られる食餌及び水を与えながら、制御温度(21〜22℃)及び反転明暗サイクル(12時間/12時間)を有する部屋で維持した。全ての実験は、産業ガイドラインに従って実施した。1〜5日目、8〜12日目、及び15〜16日目に、ビンクリスチンを毎日注入(0.15 mg/kg/d、腹腔内投与)することによりビンクリスチン中毒を達成した。17日目において、動物に行動試験を行い、薬物処理を施した。ビンクリスチン−中毒化ラットを、5つの実験群(1群当たり11匹のラット)にランダムに分配した:1.ビンクリスチン/ビヒクル、腹腔内投与;2.ビンクリスチン/SPM 927(3 mg/kg)、腹腔内投与;3.ビンクリスチン/SPM 927(10 mg/kg)、腹腔内投与;4.ビンクリスチン/SPM 927(30 mg/kg)、腹腔内投与;5.ビンクリスチン/モルヒネ(3 mg/kg)、皮下投与。SPM 927及びモルヒネは、それぞれ、行動試験の実施30分前及び45分前に注入した。
【0114】
(冷水浴試験(温熱性アロディニア))
冷水(4℃)の表面下およそ1 cmに水没させたアイスプラットフォームに動物を置き、動物の足の有毛皮膚及び無毛皮膚が冷水と接触するようにした。最初の反応(なめる、足の移動、わずかな跳躍)前の潜時を、30秒間の中断時間(cut off time)で記録した。
【0115】
(ホットプレート試験(温熱性アロディニア/痛覚過敏))
38℃又は52℃に調整したホットプレート(Bioblock、France)上のガラスシリンダー中に動物を置いた。最初の反応(なめる、足の移動、わずかな跳躍又は熱から逃れるためのジャンプ)前の潜時を、30秒間の中断時間で記録した。
【0116】
(Von Frey毛刺激試験(機械的アロディニア))
金属グリッド床上にラットを置いた。グリッド床を介してvon Freyフィラメント(Bioseb、France)を挿入し、後肢の足底面にこれを適用することにより、侵害受容試験を実施した。試験は、異なるvon Freyフィラメントのいくつかの適用からなった(1〜1.5 sの頻度)。10 g〜100 gのフィラメントから、von Freyフィラメントを適用した。動物が後肢を移動させたらすぐに機械的アロディニア閾値を記録し、試験を止め、フィラメント番号を記録した。
【0117】
(足圧力試験(機械的痛覚過敏))
ラットの後肢背に線形増加する機械力を適用する、Randall−Selitto足圧力装置(Bioseb、France)を用いて、侵害受容屈曲反射を定量化した。機械的侵害受容閾値を、ラットが足を引っ込めるグラム力として定義した。中断圧力を250gに設定した。
【0118】
(データ分析)
ANOVA及びそれに続くポストホック(post−hoc)分析(ダネット検定)を用いて、それぞれの個々の時点における行動データの群を比較した。
【0119】
(ヌクレオシド誘発性の痛み)
(動物、ddC中毒、及び実験群)
この研究のために、50匹の雄Sprague Dawley(〜220 g)ラットを用いた(Janvier、Le Genest−St−Isle、France)。ラットを群で飼育し(1ケージ当たり3匹の動物)、任意に得られる食餌及び水を与えながら、制御温度(21〜22℃)及び反転明暗サイクル(12時間/12時間)を有する部屋で維持した。全ての実験は、産業ガイドラインに従って実施した。ddCの単回投与(50 mg/kg、尾静脈でのI.V.)により中毒を達成した。10日目及び20日目において、動物に行動試験を行い、薬物処理を施した。ddC−中毒化ラットを、5つの実験群(1群当たり10匹のラット)にランダムに分配した:1.コントロール/ビヒクル、腹腔内投与;2.ddC/ビヒクル、腹腔内投与;3.ddC/SPM 927(3 mg/kg)、腹腔内投与;3.ddC/SPM 927(10 mg/kg)、腹腔内投与;4.ddC/SPM 927(30 mg/kg)、腹腔内投与;5.ddC/モルヒネ(3 mg/kg)、皮下投与。SPM 927及びモルヒネは、それぞれ、行動試験の実施30分前及び45分前に注入した
【0120】
(20日目におけるブラッシング試験)
足、脇腹、及び下背の毛を、振動(1〜2/sの速度;30秒間)を用いて、綿棒で連続的にブラッシングした。毛(pelage)のみを乱すように、毛を介して綿棒を動かすのに必要とされる力より強い力を加えずにブラッシングを行った。ブラッシングを逃れるための発声及び中程度の効果(moderate effect)を計測した。
【0121】
[結果]
(骨肉腫ラットモデル)
(機械的アロディニア)
図1には、ベースライン試験後及び薬剤処理後のVon Freyフィラメントに対する群反応を示す。全体(overall)のtwo−way ANOVAを用いて実施した統計分析は、処理群については有意に異なったが(p<0.01)、ベースライン対処理効果ではそうではなかった。「処理(treatment)」後の「細胞のみ」の群を、それぞれの処理群と比較するone−way ANOVA検定は、モルヒネ群(p<0.01)、並びに20及び40 mg/kgのSPM 927群(p<0.05)について、機械的アロディニアのレベルでの有意な差を明らかにした。5 mg/kgのモルヒネ処理は、ベースライン試験時に明らかにされたアロディニアを完全に逆転した。さらに、健康な群と腫瘍が注入された「細胞のみ」の群についての「処理後」のデータの間で極めて有意な差が実証された(p<0.01)。統計上の差はまた、「細胞のみ」の群とモルヒネ群についてのベースライン値及び投与後値の間にも存在する(p<0.01)。
【0122】
(温熱性痛覚過敏)
14日目及び15日目における温熱足試験についてのデータ(図2)は、全ての腫瘍注入群について、足を移動させるベースライン潜時であったことを示す。これは、two−way ANOVAを用いて極めて有意であると確認され、ここで、薬剤効果はp<0.0001であり、処理効果は、p<0.05で有意であった。ベースライン又は予め処理したデータは、互いにいずれの差も示さない他の群と、「細胞なし」対「細胞のみ」の群(ダネットポストホック検定[Dunnett's post−hoc test];p<0.001)について有意に異なった。さらに、処理後の群は、「細胞なし」対「細胞のみ」(ダネット;p<0.001)、及び「細胞のみ」対SPM 927 30 mg/kg投与(ダネット;p<0.001)について異なった。モルヒネコントロール群は、統計的有意性を示さなかったが、とはいえ、モルヒネが足の移動に対する潜時を増加させることを示す傾向はあった。
【0123】
(機械的痛覚過敏)
グラフ(図3)は、全体のtwo−way ANOVAが、有意な群の差、0<0.001を示したことを示す。体重負荷差は、(対側肢による体重負荷)−(同側肢(腫瘍注入)による体重負荷)として定義されるので、より高い数字は、両方の足での均等な重量分配を意味する0を有する非罹患足でのより大きな重量を示すだろう。回収されたベースラインデータは正数を示し、これらの動物がすべて、その非罹患足により大きな重量を置いていることを明らかにした。「細胞のみ」の群と比較する場合、モルヒネ群及び40 mg/kg SPM 927群は、「細胞のみ」の群と比べて、処理後のその対側肢に置かれる重量で有意な減少(p<0.05)を示した。
【0124】
(ビンクリスチン誘発性の痛み)
(冷水浴試験)
図4に示すとおり、有意な統計上の差が6グループ間で見られた(p<0.05、Anova検定)。ビヒクルで処理されたビンクリスチン動物は、約14秒間のタイムスコアを示すコントロール動物とは対照的に、冷水浴試験において非常に短い閾値潜時(threshold latency)(約9秒間)を示した。ビンクリスチン動物をSPM 927で処理すると、特に10及び30 mg/kgの処理投与について、閾値潜時で有意な増加(p<0.05、ダネット検定)が誘導され、これは、コントロール動物のものと実際に同程度になった。しかし、3 mg/kgでは、閾値潜時は、統計上の差に達しなかったとはいえ、ビンクリスチン動物のものよりもわずかに大きかった。モルヒネ処理は、ビンクリスチン動物の閾値潜時を、コントロールラットから得られるものを上回るレベルに拡張した。
【0125】
(38℃でのホットプレート試験)
図5は、ホットプレート(38℃)試験におけるビンクリスチン動物の閾値潜時が、コントロール動物のものよりも有意に短かった(p<0.05、ダネット検定)を示す。ビンクリスチンラットを、3、10、及び30 mg/kgのSPM 927で処理すると、閾値潜時において有意(p<0.05、ダネット検定)な増加が誘導された。10及び30 mg/kgの処理投与では、STZ−ラットのパフォーマンスは、コントロール動物のものと同程度になった。10及び30 mg/kgのSPM 927と同様に、3 mg/kgのモルヒネは、STZ−動物の閾値潜時を、コントロールラットのものと同程度のレベルに拡張した。
【0126】
(52℃でのホットプレート試験)
図6に示すとおり、ビンクリスチンラットの足を引っ込める潜時は、コントロール動物のものよりも有意に短かった(p<0.05、ダネット検定)。ビンクリスチンラットをSPM 927で処理すると、ビヒクル処理動物と比較して、足を引っ込める潜時において、有意な増加(p<0.05、ダネット検定)が誘導された。3及び10、30 mg/kgの用量で得られた効果は、コントロールものと同程度であった。
【0127】
(足圧力試験)
Randall及びSelittoの鎮痛メーター(analgesy−meter)を用いることによって、ビンクリスチン動物は、コントロール動物のパフォーマンスと比較して、足を引っ込める潜時において著しい減少を実証した(図7)。ビンクリスチンラットを10及び30 mg/kgのSPM 927で処理すると、ビンクリスチンラットの足を引っ込める潜時において、有意な増加(p<0.05、ダネット検定)が誘導されたが、3 mg/kgでは誘導されなかった。この試験において、モルヒネ処理は、ビンクリスチンラットのパフォーマンスを変更しなかった(p>0.05、ダネット検定)。
【0128】
(Von Freyフィラメント試験)
この試験において(図8)、ビンクリスチンラットの足を引っ込める潜時は、コントロールラットのもの(約60 g)と比較して、有意に減少(約20 g)した。SPM 927での処理は、ビンクリスチンラットの足を引っ込める潜時を拡張した。ビヒクル処理群との差は、10及び30 mg/kgの処理投与で有意なレベルに達した(p<0.05、ダネット検定)。モルヒネ処理は、コントロール群のものと同程度のレベルにビンクリスチンラットのパフォーマンスを回復させた。
【0129】
(ヌクレオシド誘発性の痛みラットモデル)
(温熱性アロディニア)
図9に示すとおり、有意な統計上の差が6グループ間で見られた(p<0.05、Anova検定)。ビヒクルで処理されたddC動物は、約20秒間のタイムスコアを示すコントロール動物とは対照的に、冷水浴試験において非常に短い閾値潜時(約11秒間)を示した。ddC動物をSPM 927で処理すると、閾値潜時で有意な増加(p<0.05、ダネット検定)が誘導され、これは、3種の試験用量である、3、10、及び30 mg/kgについてのコントロール動物のものと実際に同程度になった。モルヒネ処理は、ddC動物の閾値潜時を、コントロールラットから得られるものと同程度のレベルに拡張した。
【0130】
(20日目におけるブラッシング試験)
図10は、D 20で実施したブラッシング試験の結果を示す。SPM 927(3、10、及び30 mg/kg)で処理した動物は、鳴き声の総数で有意な減少を示した(p<0.05、ダネット検定)。ここで再び、3 mg/kgのモルヒネは、ddC動物における鳴き声の総数で有意に減少できた。
【0131】
(D10におけるVon Freyフィラメント試験)
この試験において(図11)、ddCラットの足を引っ込める潜時は、コントロールラットのもの(約85 g)と比較して、有意に減少(約50 g)した。SPM 927での処理は、ddCラットの足を引っ込める潜時を拡張した。ビヒクル処理群との差は、3、10、及び30 mg/kgの処理投与で、コントロール群と同程度のレベルへと有意なレベルに達した(p<0.05、ダネット検定)。3 mg/kgでのモルヒネ処理は、コントロール群のものと類似したレベルにddCラットのパフォーマンスを回復させた。
【0132】
(D20における52℃でのホットプレート試験)
図12に示すとおり、ddCラットの足を引っ込める潜時は、コントロール動物のものより有意に短かった(p<0.05、ダネット検定)。30 mg/kgの用量のみのSPM 972でddCラットを処理することにより、ビヒクル処理動物と比較して、足を引っ込める潜時において有意な増加(p<0.05、ダネット検定)が誘導された。3及び10 mg/kgの用量で得られた効果は、非処理のビヒクル群と同程度であった。モルヒネ処理後、ddCラットのパフォーマンスは、コントロール動物のものと類似するものになった。
【0133】
(D10における足圧力試験)
Randall及びSelittoの鎮痛メーターを用いることによって、ddC動物は、コントロール動物のパフォーマンスと比較して、足を引っ込める潜時において著しい減少を実証した(図13)。ddCラットを3種の用量である、3、10、及び30 mg/kgの全ての用量のSPM 927で処理すると、ddCラットの足を引っ込める潜時において、有意な増加(p<0.05、ダネット検定)が誘導された。この場合もやはり、モルヒネ処理は、ddCラットのパフォーマンスを増加させた(p<0.05、ダネット検定)。
【0134】
[結論]
全身性(systemic)のSPM 927は、単回投与後、骨肉腫の痛み、化学療法誘発性及びヌクレオシド誘発性の痛みのラットモデルにおいて、用量依存性の抗アロディニア効果及び抗痛覚過敏効果をもたらした。従って、SPM 927、並びに式(Ib)及び/又は(IIb)で開示するとおりの関連化合物は、ヒトにおける化学療法及びヌクレオシドでの処理後の癌の間の痛み、例えば、骨肉腫の痛みなどの治療に有用である。
【0135】
[参考文献]



【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】図1には、骨肉腫痛みモデル(ラット)における機械的アロディニアの試験を示す。骨肉腫ラットを漸増濃度のSPM 927(10 mg、20 mg、及び40 mg)で処理し、モルヒネ処理骨肉腫ラット、処理していない骨肉腫ラット(細胞のみ)、及びコントロールラットと比較した。
【図2】図2には、骨肉腫痛みモデル(ラット)における14日目及び15日目での温熱性足刺激の試験を示す。骨肉腫ラットを漸増濃度のSPM 927(3 mg、10 mg、及び30 mg)で処理し、モルヒネ処理骨肉腫ラット、処理していない骨肉腫ラット(細胞のみ)、及びコントロールラットと比較した。
【図3】図3には、骨肉腫痛みモデル(ラット)の体重負荷差の試験を示す。骨肉腫ラットを漸増濃度のSPM 927(10 mg、20 mg、及び40 mg)で処理し、モルヒネ処理骨肉腫ラット、処理していない骨肉腫ラット(細胞のみ)、及びコントロールラットと比較した。
【図4】図4には、モルヒネ(3 mg/kg)と比較した、化学療法誘発性痛みモデル(ビンクリスチンで処理されたラット)における冷水浴試験の温熱性アロディニアに対する、漸増濃度のSPM 927(3 mg/kg、10 mg/kg、及び30 mg/kg)の効果を示す。
【図5】図5には、モルヒネ(3 mg/kg)と比較した、化学療法誘発性痛みモデル(ビンクリスチンで処理されたラット)における38℃でのホットプレート試験の温熱性アロディニアに対する、漸増濃度のSPM 927(3 mg/kg、10 mg/kg、及び30 mg/kg)の効果を示す。
【図6】図6には、モルヒネ(3 mg/kg)と比較した、化学療法誘発性痛みモデル(ビンクリスチンで処理されたラット)における52℃でのホットプレート試験の温熱性痛覚過敏に対する、漸増濃度のSPM 927(3 mg/kg、10 mg/kg、及び30 mg/kg)の効果を示す。
【図7】図7には、モルヒネ(3 mg/kg)と比較した、化学療法誘発性痛みモデル(ビンクリスチンで処理されたラット)における足圧力試験の機械的痛覚過敏に対する、漸増濃度のSPM 927(3 mg/kg、10 mg/kg、及び30 mg/kg)の効果を示す。
【図8】図8には、モルヒネ(3 mg/kg)と比較した、化学療法誘発性痛みモデル(ビンクリスチンで処理されたラット)におけるFrey毛刺激試験の機械的アロディニアに対する、漸増濃度のSPM 927(3 mg/kg、10 mg/kg、及び30 mg/kg)の効果を示す。
【図9】図9には、モルヒネ(3 mg/kgを皮下投与)の効果と比較した、ヌクレオシド誘発性痛みモデル(ddCで処理されたラット)における温熱性アロディニア試験(冷水浴)での腹腔内投与された漸増濃度のSPM 927(3 mg/kg、10 mg/kg、及び30 mg/kg)の効果を示す。
【図10】図10には、モルヒネ(3 mg/kgを皮下投与)の効果と比較した、ヌクレオシド誘発性痛みモデル(ddCで処理されたラット)における機械的アロディニア試験(D 20でブラッシング)での腹腔内投与された漸増濃度のSPM 927(3 mg/kg、10 mg/kg、及び30 mg/kg)の効果を示す。
【図11】図11には、モルヒネ(3 mg/kgを皮下投与)の効果と比較した、ヌクレオシド誘発性痛みモデル(ddCで処理されたラット)における機械的アロディニア試験(von Frey毛)での腹腔内投与された漸増濃度のSPM 927(3 mg/kg、10 mg/kg、及び30 mg/kg)の効果を示す。
【図12】図12には、モルヒネ(3 mg/kgを皮下投与)の効果と比較した、ヌクレオシド誘発性痛みモデル(ddCで処理されたラット)における温熱性痛覚過敏試験(52℃でのホットプレート)での腹腔内投与された漸増濃度のSPM 927(3 mg/kg、10 mg/kg、及び30 mg/kg)の効果を示す。
【図13】図13には、モルヒネ(3 mg/kgを皮下投与)の効果と比較した、ヌクレオシド誘発性痛みモデル(ddCで処理されたラット)における機械的痛覚過敏試験(足圧力)での腹腔内投与された漸増濃度のSPM 927(3 mg/kg、10 mg/kg、及び30 mg/kg)の効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍の痛み、化学療法誘発性の痛み、及び/又は少なくとも1つのヌクレオシド及び/又は少なくとも1つのヌクレオシドアナログにより誘発される痛みを予防、軽減、及び/又は治療するのに有用な医薬組成物を調製するための、下記式(Ib)を有する化合物又は医薬として許容可能なその塩の使用:
【化1】

[式中、
− Rは、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール、アリール低級アルキル、複素環、複素環低級アルキル、低級アルキル複素環、低級シクロアルキル、又は低級シクロアルキル低級アルキルであり、かつRは、非置換であるか、又は少なくとも1つの電子求引基及び/又は少なくとも1つの電子供与基で置換されており;
− R1は、水素又は低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、複素環低級アルキル、低級アルキル複素環、複素環、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、それぞれ、非置換であるか、又は少なくとも1つの電子供与基及び/又は少なくとも1つの電子求引基で置換されており;
− R2及びR3は、独立して、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、ハロ、複素環、複素環低級アルキル、低級アルキル複素環、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキル、又はZ−Yであり、ここで、R2及びR3は、非置換であっても、又は少なくとも1つの電子求引基及び/又は少なくとも1つの電子供与基で置換されていてもよく;かつR2及びR3における複素環は、フリル、チエニル、ピラゾリル、ピロリル、メチルピロリル、イミダゾリル、インドリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピペリジル、ピロリニル、ピペラジニル、キノリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、モルホリニル、ベンゾキサゾリル、テトラヒドロフリル、ピラニル、インダゾリル、プリニル、インドリニル、ピラゾリンジニル、イミダゾリニル、イミダゾリンジニル、ピロリジニル、フラザニル、N−メチルインドリル、メチルフリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリジル、エポキシ、アジリジノ、オキセタニル、アゼチジニル、又はNが複素環中に存在する場合にはそのN−オキシドであり;
− Zは、O、S、S(O)a、NR4、NR'6、若しくはPR4、又は化学結合であり;
− Yは、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ハロ、複素環、複素環低級アルキル、低級アルキル複素環であって、かつYは、非置換であっても、又は少なくとも1つの電子供与基及び/又は少なくとも1つの電子求引基で置換されていてもよく、ここで、複素環はR2又はR3の場合と同一の意味を有し、かつYがハロである場合にはZは化学結合であるという条件であり、又は
ZYは一緒になって、NR4NR5R7、NR4OR5、ONR4R7、OPR4R5、PR4OR5、SNR4R7、NR4SR7、SPR4R5、PR4SR7、NR4PR5R6、PR4NR5R7、又はNR5R6R7
【化2】

であり;
R'6は、水素、低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニルであって、非置換であっても、又は少なくとも1つの電子求引基及び/又は少なくとも1つの電子供与基で置換されていてもよく;
R4、R5、及びR6は、独立して、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニルであって、ここで、R4、R5、及びR6は、独立して、非置換であっても、又は少なくとも1つの電子求引基及び/又は少なくとも1つの電子供与基で置換されていてもよく;かつ
R7は、R6又はCOOR8又はCOR8であって、ここで、R7は、非置換であっても、又は少なくとも1つの電子求引基及び/又は少なくとも1つの電子供与基で置換されていてもよく;
R8は、水素又は低級アルキル、又はアリール低級アルキルであって、ここで、前記アリール又はアルキル基は、非置換であっても、又は少なくとも1つの電子求引基及び/又は少なくとも1つの電子供与基で置換されていてもよく;かつ
− nは1〜4であり;かつ
− aは1〜3である]。
【請求項2】
前記腫瘍の痛みが、AIDSと関連する腫瘍の痛み、骨肉腫の痛み、骨、内臓、軟組織、若しくは神経への湿潤若しくは圧迫による腫瘍進行の間に生じる痛み、転移誘発性の痛み、転移誘発性の骨肉腫の痛み、及び/又は乳癌、前立腺癌、若しくは肺癌の罹患者における転移性疾患により誘発される痛みであり、前記化学療法誘発性の痛みが、化学療法誘発性の神経障害性の痛み、ビンカアルカロイド誘発性の痛み、及び/又はビンクリスチン誘発性の痛みであり、及び/又は前記ヌクレオシド及び/又はヌクレオシドアナログ誘発性の痛みが、ヌクレオシド及び/又はヌクレオシドアナログにより誘発される痛みを伴う末梢性ニューロパシー、抗腫瘍及び/又は抗ウイルスヌクレオシドアナログにより誘発される痛み、AIDS療法における抗ウイルスヌクレオシドアナログにより誘発される痛み、及び/又はAZT、ddC、ddI、及び/又はd4Tにより誘発される痛みである、請求項1記載の使用。
【請求項3】
R2及びR3の1つが水素である、請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
nが1である、請求項1乃至3のいずれか一項記載の使用。
【請求項5】
R2及びR3の1つが水素であり、かつnが1である、請求項1乃至4のいずれか一項記載の使用。
【請求項6】
Rがアリール低級アルキルであり、かつR1が低級アルキルである、請求項1乃至5のいずれか一項記載の使用。
【請求項7】
− R2及びR3が、独立して、水素、低級アルキル、又はZYであり;
− Zが、O、NR4、又はPR4であり;
− Yが、水素又は低級アルキルであり;又は
− ZYが、
【化3】

である、請求項1乃至6のいずれか一項記載の使用。
【請求項8】
− R2が水素であり、かつR3が低級アルキル又はZYであり;
− Zが、O、NR4、又はPR4であり;
− Yが、水素又は低級アルキルであり;
− ZYが、
【化4】

である、請求項7記載の使用。
【請求項9】
R2が水素であり、かつR3が、非置換又は少なくとも1つの電子供与基及び/又は少なくとも1つの電子求引基で置換されていてもよい低級アルキル、NR4OR5、又はONR4R7である、請求項1乃至8のいずれか一項記載の使用。
【請求項10】
R3が、非置換又はヒドロキシ若しくは低級アルコキシで置換されている低級アルキル、NR4OR5、又はONR4R7であって、式中、R4、R5、及びR7が、独立して、水素又は低級アルキルであり、Rがアリール低級アルキルであり、ここで、アリール基は、非置換であっても、又は少なくとも1つの電子求引基で置換されていてもよく、かつR1が低級アルキルである、請求項1乃至9のいずれか一項記載の使用。
【請求項11】
アリールがフェニルであり、非置換又はハロで置換されている、請求項1乃至10のいずれか一項記載の使用。
【請求項12】
前記化合物が、
・(R)−2−アセトアミド−N−ベンジル−3−メトキシ−プロピオンアミド;
・O−メチル−N−アセチル−D−セリン−m−フルオロベンジルアミド;
・O−メチル−N−アセチル−D−セリン−p−フルオロベンジルアミド;
・N−アセチル−D−フェニルグリシンベンジルアミド;
・D−1,2−(N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド;又は
・D−1,2−(O−メチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド、
である、請求項1乃至11のいずれか一項記載の使用。
【請求項13】
前記化合物が、下記式(IIb):
【化5】

[式中、
− Arは、非置換又は少なくとも1つのハロ基で置換されているフェニルであり;
− R3は、CH2−Qであって、ここで、Qは1〜3個の炭素原子を含む低級アルコキシであり、かつR1は1〜3個の炭素原子を含む低級アルキルである]
を有するか、又は医薬として許容可能なその塩である、請求項1乃至12のいずれか一項記載の使用。
【請求項14】
Arが非置換フェニルである、請求項13記載の使用。
【請求項15】
ハロがフルオロである、請求項13又は14記載の使用。
【請求項16】
R3がCH2−Qであって、ここで、Qは1〜3個の炭素原子を含むアルコキシであり、かつArが非置換フェニルである、請求項13乃至15のいずれか一項記載の使用。
【請求項17】
前記化合物がR配置であり、下記式:
【化6】

[式中、
− Rは、非置換又は少なくとも1つのハロ基で置換されているベンジルであり;
− R3は、CH2−Qであって、ここで、Qは1〜3個の炭素原子を含む低級アルコキシであり、かつR1はメチルである]
を有するか、又は医薬として許容可能なその塩である、請求項1乃至16のいずれか一項記載の使用。
【請求項18】
実質的にエナンチオピュアである、請求項17記載の使用。
【請求項19】
Rが非置換ベンジルである、請求項17又は18記載の使用。
【請求項20】
ハロがフルオロである、請求項17乃至19のいずれか一項記載の使用。
【請求項21】
R3がCH2−Qであって、ここで、Qは1〜3個の炭素原子を含むアルコキシであり、かつRが非置換ベンジルである、請求項17乃至20のいずれか一項記載の使用。
【請求項22】
式(Ib)の前記化合物が、(R)−2−アセトアミド−N−ベンジル−3−メトキシプロピオンアミド又は医薬として許容可能なその塩である、請求項1又は2記載の使用。
【請求項23】
前記化合物が実質的にエナンチオピュアである、請求項22記載の使用。
【請求項24】
前記医薬組成物が、少なくとも100 mg/日、好ましくは少なくとも200 mg/日、より好ましくは少なくとも300 mg/日、最も好ましくは少なくとも400 mg/日の化合物の用量での治療のために調製される、請求項1乃至23のいずれか一項記載の使用。
【請求項25】
前記医薬組成物が、最大で6 g/日、より好ましくは最大で1 g/日、最も好ましくは最大で600 mg/日の化合物の用量での治療のために調製される、請求項1乃至24のいずれか一項記載の使用。
【請求項26】
前記医薬組成物が、さらなる治療の間に維持される、所定の日用量に達するまでの漸増日用量での治療のために調製される、請求項1乃至25のいずれか一項記載の使用。
【請求項27】
前記医薬組成物が、1日当たり3回用量、好ましくは1日当たり2回用量、より好ましくは1日当たり1回用量での治療のために調製される、請求項1乃至26のいずれか一項記載の使用。
【請求項28】
前記医薬組成物が、複数の治療対象にわたる平均として計算される、0.1〜15μg/mL(トラフ)及び5〜18.5μg/mL(ピーク)の血漿濃度をもたらす投与のために調製される、請求項1乃至27のいずれか一項記載の使用。
【請求項29】
前記医薬組成物が、経口投与又はi.v.投与のために調製される、請求項1乃至28のいずれか一項記載の使用。
【請求項30】
前記医薬組成物が、AIDSを含むHIV感染などのウイルス感染、乳癌、前立腺癌、肺癌、骨肉腫、転移性疾患などの癌、及び/又は骨、内臓、軟組織、若しくは神経への湿潤若しくは圧迫による腫瘍進行の予防、軽減、及び/又は治療のための活性剤をさらに含む、請求項1乃至29のいずれか一項記載の使用。
【請求項31】
前記医薬組成物が、単回投与形態を含むか、又は請求項1及び3乃至23のいずれか一項中で定義したとおりの化合物を含む第一の組成物と、前記さらなる活性剤を含む第二の組成物とを含む分離投与形態を含む、請求項30記載の使用。
【請求項32】
前記医薬組成物が、哺乳動物における投与のために調製される、請求項1乃至31のいずれか一項記載の使用。
【請求項33】
前記医薬組成物が、ヒトにおける投与のために調製される、請求項32記載の使用。
【請求項34】
(a)請求項1及び3乃至23のいずれか一項中で定義したとおりの化合物、及び
(b)AIDSを含むHIV感染などのウイルス感染、乳癌、前立腺癌、肺癌、骨肉腫、転移性疾患などの癌、及び/又は骨、内臓、軟組織、若しくは神経への湿潤若しくは圧迫による腫瘍進行の予防、軽減、及び/又は治療のためのさらなる活性剤、
を含む医薬組成物。
【請求項35】
単回投与形態であるか、又は請求項1及び3乃至23のいずれか一項中で定義したとおりの化合物を含む第一の組成物と、前記さらなる活性剤(b)を含む第二の組成物とを含む分離投与形態を含む、請求項34記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−510758(P2008−510758A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528723(P2007−528723)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009067
【国際公開番号】WO2006/021412
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(507038467)シュヴァルツ・ファーマ・アーゲー (8)
【Fターム(参考)】