説明

高い官能化度を有するシラン変性されたポリオレフィン

本発明は、全ての検出されたエチレン含量に対して、13C−NMR分光分析法によって測定された、少なくとも50質量%および最大75質量%のプロピレン含量および13C−NMR分光分析法によって測定された、最大2.5質量%のポリ(エチレン)トライアド含量を有し、示差走査熱分析によって測定された、少なくとも9J/gおよび最大20J/gの溶融エンタルピー、ならびに少なくとも96質量%の室温でのキシレン中の溶解度および少なくとも67質量%の室温でのテトラヒドロフラン中の溶解度を有し、この場合ポリマー上に1つ以上のシランがグラフト化されている、変性されたポリオレフィン、このポリオレフィンの製造法ならびに殊に接着剤中での、または接着剤としての該ポリオレフィンの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ(プロピレン)の一定の含量およびポリ(エチレン)鎖要素の一定の含量を有する、部分結晶性ポリオレフィンポリマーを基礎とする、高い官能化度を有する変性されたポリオレフィン、但し、この場合ポリマー上には1つ以上のシランがグラフトされており、該ポリオレフィンの製造法ならびに殊に接着剤中でまたは接着剤としての該ポリオレフィンの使用に関する。
【0002】
非晶質ポリ−α−オレフィンは、しばしば多彩な用途のために接着剤原料として役立つ。使用範囲は、衛生分野からラミネート化および包装接着剤を経て構造的接着に到るまで、ならびに木材加工における使用に広がっている。この場合、変性されていない非晶質ポリ−α−オレフィン(いわゆる、APAOs)は、純粋に物理的な付着を示し、この付着は、熱可塑的な特徴に基づいて任意に可逆的である。勿論、この変性されていない非晶質ポリ−α−オレフィンは、制限された引張強さおよび接着剪断強さならびに相対的に低い熱安定性を有する。更に、この変性されていない非晶質ポリ−α−オレフィンと、反応性表面基(例えば、−OH)との共有結合は、接着を達成することができない。
【0003】
変性されていないAPAOsの記載された欠点は、事後の官能化(変性)によって取り除くことができ、この場合には、なかんずくカルボン酸またはカルボン酸誘導体および/またはシランは、変性のために使用される。
【0004】
ポリオレフィンと不飽和シランとの反応による、シラン変性されたポリオレフィンの製造は、久しく公知である。既に、欧州特許第0004034号明細書には、シラン化合物を用いてポリ(α−オレフィン)を架橋するための方法が記載されており、この場合には、できるだけ高い架橋度が達成される。架橋は、グラフト直後に行なわれ、低い脆化温度を有する強固で高強度の材料を生じ、例えば、この材料は、ケーブル被覆および/または成形体の製造に使用される。
【0005】
記載されたポリマーを接着剤として使用することはできない。米国特許第4412042号明細書には、シラン結合により架橋されたポリオレフィンの製造方法が記載されており、この方法による架橋された生成物は、高い機械的強度、改善された変形可能性および減少された永続的な百分率での伸びを有する。ポリオレフィンとしては、低い密度のエチレンコポリマーが使用され、このエチレンコポリマーは、気相重合により製造された。本発明によるポリマーは、線材または製造するため、ならびに成形体、管、板またはシートを製造するための被覆材料として使用される。記載されたポリマーを接着剤として使用することはできない。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許第1963571号明細書、ドイツ連邦共和国特許第2353783号明細書およびドイツ連邦共和国特許第2406844号明細書には、微少量のプロペンおよび/または1−ブテンを含有するポリエチレンポリマーまたはエチレンコポリマーを架橋するための方法が記載されている。目的製品は、ポリエチレンを基礎とする架橋された成形体である。
【0007】
ドイツ連邦共和国特許第2554525号明細書およびドイツ連邦共和国特許第2642927号明細書には、ポリマーのシラン官能化、シラノール縮合触媒の混入ならびにポリマーの成形および架橋を含めてストランド圧縮された製品を1つの作業工程で押出機の使用によって製造する方法が記載されている。最終用途として、ケーブル、管およびホースが挙げられる。こうして製造されたポリマーを用いて接着が不可能である場合には、全ての後加工は、変性直後に実施される架橋のために極めて制限される可能性がある。
【0008】
同様に、シラン基をポリオレフィン中に導入することによって、機能性表面、例えばガラス上への付着を改善する方法が存在することは、久しく公知である。即ち、既に米国特許第3075948号明細書中には、飽和シランモノマーおよび2〜6個の炭素原子を有する固体のポリ(α−オレフィン)からなるグラフトポリマーが記載されており、このグラフトポリマーは、ガラスに対して改善された熱安定性および良好な付着力を有する。
【0009】
記載された変性は、固体のポリマー粒子、ポリマーディスクまたはポリマー成形部材であり、特に有利には、ポリマーが少なくとも部分的に溶解される溶液変性であるか、または溶融変性であるが、しかし、この溶融変性は、好ましくない。得られた変性されたポリマーは、成形部材および容器の製造に使用され、ならびにガラス容器の被覆として使用されるが、このポリマーは、完全に異なる要件プロフィール(溶融粘度、架橋されていない状態での材料剛性等)のために、溶融接着剤としての使用には、不適当である。
【0010】
また、シラン架橋のための非晶質ポリ(α−オレフィン)の使用は、既に公知である。即ち、例えば欧州特許第0260103号明細書には、飽和炭素骨格および低い分子量を有する非晶質のシラン変性されたポリマーが記載されており、このポリマーは、天候の影響から保護するために被覆剤として使用される。このようなポリマーのための例としては、エチレンおよび/またはα−オレフィンのコポリマー、殊にEPMおよびEPDMが挙げられる。記載された基礎ポリマーは、非晶質でゴム状であり、および高い弾性率を有する。この基礎ポリマーのゴム状の性質のために、加工可能性は、架橋されていない状態で劣悪である。本願において意図される、接着剤およびパッキング剤中での使用のためには、前記生成物は、不適当である。
【0011】
ドイツ連邦共和国特許第4000695号明細書には、十分に非晶質のポリ(α−オレフィン)を1つのプロセスに使用することが記載されており、このプロセスにおいて、APAOsは、ラジカル供与剤および場合によっては付加的にグラフト能を有するモノマー(例えば、ビニルシラン)と、同時に剪断負荷の際に反応される。得られた生成物は、カーペット被覆材料または溶融接着剤としての使用に適している。このポリマーは、実際に70〜140℃の下方温度範囲〜中程度の温度範囲内での軟化点を有するが、しかし、低い官能化度だけを有している。それというのも、グラフト重合と鎖分解との割合は、不利であるからである。
【0012】
架橋反応は、低い官能化度のために徐々に進行し、反応性表面に対する結合は、比較的弱い。その上、架橋されていない変性されたポリオレフィンならびに架橋されている変性されたポリオレフィンの引張強さは、比較的僅かな値だけを達成し、それによって生成物は、多数の使用分野から排除されたままである。
【0013】
特開2003−002930号公報では、非晶質のポリ(α−オレフィン)と不飽和カルボン酸と場合により付加的に不飽和の芳香族物質(例えば、スチレン)とからなるグラフトポリマーが製造されている。使用されるポリオレフィンは、非晶質であり、およびDSC測定において、1J/gを上廻る結晶度を有しない。湿分架橋性モノマー系、例えばビニル−シランは、議論されておらず、グラフトポリオレフィンは、その基礎ポリマーの性質および使用されたグラフトモノマーの性質のために望ましい材料パラメーターを有さず、殊にこのグラフトポリオレフィンは、軟質すぎ、僅すぎる引張強さを示す。
【0014】
WO 03/070786には、変性されたポリ(1−ブテン)ポリマーの製造方法、この方法から得られる変性されたポリ(1−ブテン)−ポリマーならびに変性されたポリ(1−ブテン)−ポリマーを含有する接着剤組成物が記載されている。この場合、変性に使用されるポリ(1−ブテン)−基礎ポリマーは、0〜100℃の範囲内の融点、20%未満のアイソタクチック指数ならびに4.0未満の多分散度を有する。グラフトモノマーとして、不飽和カルボン酸、カルボン酸無水物または相応する誘導体、例えばアミド、エステル等が挙げられる。ビニルシランは、記載されていない。製造された、変性されたポリマーは、僅かな結晶性のために比較的軟質であり、むしろワックス様の性質を有し、僅かな多分散度は、加工の際に困難をまねく。低い融点は、接着化合物の劣悪な熱安定性を生じさせる。このポリマーは、本願において意図される使用には、不適当である。
【0015】
WO 2006/069205には、50質量%を上廻るプロピレンの含量およびアイソタクチックプロピレンシークエンスの高い含量を有する低粘稠なポリプロピレンポリマーを基礎とする変性されたポリオレフィンが記載されており、このポリオレフィンは、なかんずくラジカルグラフト重合により製造されてもよい。得られた生成物は、使用された基礎ポリマーの材料特性のために、本願において意図される使用分野には、不適当である。WO 2007/067243には、カルボン酸によって官能化された、高いプロピレン含量ないし極めて高いプロピレン含量を有するポリプロピレンポリマーが記載されている。湿分架橋性の系、例えばシランを基礎とする湿分架橋性の系は、記載されていない。記載された生成物は、使用された基礎ポリマーおよび使用されたグラフトモノマーのために、本願において意図される使用分野には不適当である。
【0016】
WO 91/06580には、シラン変性された不飽和の非晶質ポリマーが記載されており、この非晶質ポリマーは、架橋された状態で、例えば成形体として使用されることができる。更に、シラン変性されたポリマーの使用例として、溶融接着剤の接着剤組成物も挙げられる。不飽和の基礎ポリマーの例としては、ゴム状ポリマー、例えばスチレン−ブタジエン−ブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−ブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム、ポリクロロプレンゴムおよびブチルゴムが挙げられる。挙げられた全ての基礎ポリマーは、ゴム弾性(即ち、劣悪な加工可能性も)または別の不利な材料特性(例えば、劣悪な熱安定性)を有し、これらの性質は、前記基礎ポリマーを溶融接着剤の用途に関連して不適当にする。
【0017】
ホットメルト接着剤中でのシラン変性されたポリマーの使用は、同様に公知である。即ち、例えばWO 89/11513には、少なくとも1つのシラン変性された部分結晶性ポリマーまたはシラングラフト化された部分結晶性ポリマーを含有する接着剤組成物が記載されている。この場合、基礎ポリマーとして、殊にC2〜C6α−オレフィンのホモポリマー、コポリマーおよびターポリマーならびにアイソタクチックポリプロピレンポリマーおよび殊にアタクチックポリプロピレンも含有する場合にはポリプロピレンの配合物が挙げられる。アイソタクチックプロピレン(iPP)をグラフト化する場合には、iPPの分子状構造のために極めて急速で完全なポリマー分解が生じ、この場合には、極めて僅かな官能化率だけが達成されることができ、その上、グラフト生成物は、強いワックス状の性質を有する。これとは異なり、アタクチックポリプロピレンそれ自体は、極めて低い軟化点を有する[例えば、H.−G.Elias;Makromolekuele;第III卷;Wiley−VCH:Weinheim;2001]。WO 89/11513に記載された方法形式は、前記欠点の付加をまねき、および材料特性に関連して極めて劣悪な製品性能をまねく。粘度の調節、溶融挙動および接着剤組成物の"粘着"は、因果関係上、長鎖状(Si原子とポリマー鎖との間の結合原子3個超)シランモノマーの使用に帰因し、このシランモノマーは、"開いた構造"を生じる。長鎖状シランモノマーが網状鎖(即ち、2つの架橋位置の間でのモノマー基本単位)の高い重合度によって弱い架橋を生じる限り、長鎖状シランモノマーの使用は、不利であり、このことは、付加的にグラフトポリマーの材料特性に不利に作用する。
【0018】
ドイツ連邦共和国特許第19516457号明細書には、シラングラフト化ポリオレフィン少なくとも50質量%および付加的にカルボン酸グラフト化ポリオレフィンからなる架橋性接着剤組成物が記載されている。グラフト化のための基礎ポリマーとしては、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(エチレン−コ−メタクリレート)およびポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)が挙げられる。記載された生成物は、使用された基礎ポリマーおよび使用されたグラフトモノマーのために、所望される使用分野には不適当である。
【0019】
欧州特許第1508579号明細書には、(シラン)変性された結晶性ポリオレフィンワックスが記載されている。使用されるワックスは、メタロセン触媒反応により製造され、高いプロピレン含量を有する。記載されたポリマーは、そのワックス様の性質およびそれから生じる劣悪な接着特性のために、意図される使用分野には不適当である。本願の要件条件による高い官能化は、使用される基礎ポリマーの材料特性のために達成することができない。
【0020】
WO 2007/001694には、官能化されたポリマー(例えば、シラングラフト化プロピレンポリマーまたは無水マレイン酸グラフト化プロピレンポリマー)を含有するプラスチック組成物が記載されている。基礎ポリマーは、メタロセン触媒を用いて製造され、高い官能化率の達成のために必要な材料特性を有しない。
【0021】
WO 2007/002177には、ポリ(プロピレン)ランダムコポリマーおよび官能化されたポリオレフィンコポリマーおよび官能化されていない接着樹脂を基礎とする接着剤組成物が記載されており、この場合このポリ(プロピレン)ランダムコポリマーは、0.5〜70J/gの溶融エンタルピーおよび少なくとも75%(特に有利に90%超)のアイソタクチックプロピレントライアドの含量を有し、使用され官能化された(シンジオタクチック)ポリマーは、少なくとも0.1%の官能性モノマー単位の含量を有し、およびシンジオタクチックポリマーの場合には、接着剤組成物中に5質量%未満の含量が存在している。記載されたポリ(プロピレン)ランダムコポリマーは、有利にメタロセン触媒反応によって製造され、多分散度は、一面で1.5〜40で示され、他面、1.8〜5で示される。最初に記載された範囲は、メタロセン触媒反応されたポリマーに対して通常でない幅広の間隔幅を有し、この間隔幅は、多モードのモル質量分布および多数の触媒種の同時の存在を示唆する。異なる強度の多数の溶融ピークを有する、25〜105℃の記載された溶融範囲は、同じ芳香を示し、この場合105℃の記載された限界は、ポリプロピレンポリマー、殊にアイソタクチックプロピレンポリマーに対して通常でない低い値を有する。官能化されたポリオレフィンコポリマーは、官能化されたポリ(プロピレン)ランダムコポリマー、シンジオタクチックポリプロピレンコポリマーおよびいわゆるアイソタクチック−アタクチックポリプロピレングラフトポリマーを含む。官能性モノマー単位としては、殊に無水マレイン酸およびグリシジルメタクリレートが挙げられるが、しかし、多種多様な別の官能基、例えばビニルシランも挙げられる。アイソタクチックプロピレン単位(強いラジカル重合体分解)の部分的に極めて高い含量のために、グラフト化/官能化と鎖分解との劣悪な割合が生じる。溶融範囲のために記載された上限は、相応する接着の低い熱安定性に役立つ。その上、記載されたシンジオタクチックポリプロピレンポリマーは、高価であり、市場で殆ど入手不可能である。
【0022】
WO 2007/008765には、低粘稠なシラングラフト化ポリ(エチレン−コ−1−オレフィン)ポリマーを接着原料として使用することが記載されている。変性に使用されるポリマーは、エチレン少なくとも50モル%のエチレン含量を有し、ならびに有利には、1〜3.5の多分散度を有し、この場合全体のバンド幅は、1〜5で示される。このポリマーは、177℃で最小2000cPおよび最大50000cPの低い溶融粘度を示す。1−オレフィンコモノマーとしては、数多くの高級1−オレフィン、例えば1−ヘキセンおよび1−オクテンが挙げられるが、しかし、若干の分枝鎖状1−オレフィン、例えば3−メチル−1−ペンテンならびに早期の要件"1−オレフィン"を満たさない、多種多様な他のモノマー、例えばジエン、スチレン等も挙げられ、それによって全く異なる材料特性を有するポリマーを生じる。殊に、ジエンポリマーは、過酸化物プロセスへの使用の際にゲル粒子の架橋および形成の傾向を有する。これは、基礎ポリマー中でのビニル末端基の本発明による存在によって強化される。シラングラフト化ポリマーは、単に43℃超(PAFT)または60℃超(SAFT)の極めて低い破壊温度(Versagenstemperaturen)を有する。高いエチレン含量を有するポリオレフィンの使用は、必然的にポリマー中の長いエチレンブロックの存在を意味する。これは、再びプラスチック表面上での劣悪な湿潤特性および付着特性をまねき、したがって極めて多数の接着問題は、最適には解決することができない。その上、長いポリエチレンシークエンスは、過酸化物による架橋(このことは、特にケーブル被覆の際に技術的に利用される)の傾向を有し、それによってゲル形成は、回避不可能となる。グラフト化されていない基礎ポリマーは、比較的僅かなモル質量および177℃で最大50000cPの溶融粘度を有する。公知方法により、モル質量(ひいては、溶融粘度も)は、過酸化物により誘発されたグラフト反応の際に鎖分裂によって減少される。従って、高い官能化度を有する相応するポリマーは、必然的に極めて低いモル質量/溶融粘度を有し、および多数の適用範囲には不適当である。公知方法によれば、過酸化物により誘発されたグラフト反応によって同様に使用されるポリマーの多分散度は、減少される。従って、変性されたポリマーは、明らかに3.5未満の多分散度を有し、このことは、特に加工特性の場合に多種多様な欠点をまねく。比較的低分子量の基礎ポリマーの使用は、一般にむしろ僅かな官能化度を生じる。同様に、既に架橋されたポリ(エチレン−コ−イソオレフィン)ポリマーを含有する樹脂組成物が記載されている。この種のゴム状成分を含有する組成物は、目視的に要求の多い用途には、不適当であり(劣悪な表面構造)、さらに、接着剤分野で通常の多数の適用装置(例えば、溶融噴霧装置)上で加工されることができない(適用ノズルの閉塞)。用途として記載された溶融接着剤は、専ら低い溶融粘度を有する。同様に、結晶性ポリ(プロピレン−コ−1−オレフィン)ポリマーおよび部分結晶性ポリ(プロピレン−コ−1−オレフィン)ポリマーが記載されており、これらのポリマーは、同様にグラフト化に適している。前記ポリマーは、少なくとも50モル%のプロピレン含量ならびに有利に同様に177℃で最大50000cPの溶融粘度(グラフト化前およびグラフト化後)ならびに1〜3.5の多分散度を有する。結晶度は、最大2〜60%(即ち、3〜100J/g)で示され、したがって本質的に高い結晶度の範囲内にある。これは、再び劣悪な湿潤を生じるか、またはポリオレフィン表面上で劣悪な粘着を生じ、数多くの適用領域を排除する。
【0023】
欧州特許第0827994号明細書には、湿潤架橋性接着原料または接着剤としてのシラングラフト化された非晶質ポリ(α−オレフィン)の使用が記載されている。基礎ポリマーとして、アタクチックポリプロピレン(aPP)、アタクチックポリ(イソブテン)または特にC4〜C10α−オレフィン(0〜95質量%)、プロペン(5〜100質量%)およびエチレン(0〜20質量%)からなるコポリマーまたはターポリマーが使用される。例中に示されたシラン変性されたAPAOは、98℃の軟化点、15*0.1mmの針入深さおよび6000mPa*sの溶融粘度を有する。使用されるアタクチックポリオレフィンおよびAPAOsは、比較的僅かなモル質量および比較的低い結晶度を有し、このことは、変性の際に僅かな可撓性を有する生成物を生じ、この生成物は、僅かな官能性および僅かな引張強さを有し、したがって、多数の用途には、不適当である。
【0024】
芳香族溶剤および/またはエーテル中のポリプロピレンポリマーの溶解度に関連して、学問的な刊行物における数多くの出版物が存在する。
【0025】
即ち、例えば、キシレン溶解性成分の含量は、メタロセン触媒反応によって取得されたアイソタクチックポリ(プロピレン)ホモポリマーの場合に通常、明らかに1質量%未満であり、エチレンを有するランダムコポリマーの場合には、エチレン含量に応じて最大5質量%のキシレン溶解性含量が見出されることが判明した(W.Spaleck:"Metallocene based Polyolefins",J.Scheirs,W.Kaminsky(編者);J.Wiley & Sons;Weinheim;1999)。
【0026】
従って、改善された材料特性を有する官能化されたポリオレフィン、殊によりいっそう高い反応分子数/溶融粘度とも組み合わされた高い官能化度および官能性表面上、殊にガラスおよび木材上での急速な反応結合、未処理のポリプロピレン上での極めて良好な付着ならびに架橋されていない状態および架橋された状態での早い架橋速度および高い引張強さを有するポリオレフィンの必要性が存在した。意外なことに、本発明によるポリオレフィンは、複雑な要件プロフィールを満たし、ひいては殊に接着剤中での使用または接着剤としての使用に適当であることが見い出された。
【0027】
それに応じて、本発明の第1の対象は、プロピレン鎖要素およびエチレン鎖要素の一定の含量を有し、および殊に一定の範囲内の溶融エンタルピーならびにキシレンおよびテトラヒドロフラン(THF)中の最小溶解度を室温で有する、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)およびポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−イソブテン)から選択された、変性されたポリオレフィンであり、この場合示差走査熱量測定(DSC)により第2の加熱の際に測定された、変性に使用される基礎ポリマーの溶融エンタルピーは、少なくとも9J/gおよび最大20J/gであり、この基礎ポリマーの溶解度は、キシレン中で室温で少なくとも96質量%であり(即ち、標準化された溶解試験においてキシレン中で可溶性であるポリマー試料の含量)、テトラヒドロフラン中で室温で少なくとも67質量%であり(即ち、標準化された溶解試験においてテトラヒドロフラン中で可溶性であるポリマー試料の含量)、13C−NMR分光分析法によって測定された、プロピレンの含量は、50〜75質量%であり、13C−NMR分光分析法によって測定された、ポリ(エチレン)トライアドの含量は、(ポリマーのエチレン含量に対して)最大2.5質量%であり、この場合ポリオレフィン上には、1つ以上のシランがグラフト化されている。
【0028】
本発明により特に選択されたポリオレフィンは、殊に有利に接着部の形成に適しており、そこで公知のポリマーと比較して決定的な利点を示す。即ち、本発明によるポリオレフィンは、高い溶融粘度の場合も極めて高い官能化度、未処理のポリオレフィン表面上での極めて良好な付着ならびに官能性表面上での急速な反応結合および早い架橋速度を有する。高いグラフト化度(架橋された状態で高い架橋密度に相当する)は、架橋後に高い材料凝集力を達成し、このことは、極めて高い引張強さならびに極めて高い接着剪断強さを生じ、この場合架橋されていない変性されたポリオレフィンは、高い可撓性および中程度の軟化点を有し、即ち感温性材料の接着にも適している。特殊なポリマー組成または使用された基礎ポリマーの特殊な材料特性は、本発明によるポリオレフィンのプラスの性質にとって本質的なことである。この基礎ポリマーは、プロピレンを50〜75質量%、有利に52〜72質量%、特に有利に55〜70質量%、殊に有利に57〜68質量%含有する。本発明による基礎ポリマー中のエチレントライアドの(同様に13C−NMR分光分析法によって測定された)全含量は、同様に13C−NMR分光分析法により測定された、基礎ポリマーのエチレン含量に対して最大2.5質量%、有利に最大2.3質量%、特に有利に最大2.1質量%、殊に有利に0.1〜2質量%であり、この場合さらに好ましい範囲は、0.15〜1質量%の間ならびに1.1〜1.9質量%の間にある。
【0029】
本発明による変性されたポリマーの物理的な基本的性質は、プロピレンの本発明による含量によって定められる。この場合、本発明によるコモノマーのエチレンおよび/または1−ブテンは、結晶度の微細調整を可能にし、この場合には、特にエチレンがこのために特に好適であり、それというのも、一面でポリプロピレンの結晶度は、特に強く影響を及ぼされ[S.Davison,G.L.Taylor;Br.Polym.J.;4(1974);65頁以降]、他面、ポリ(イソブテン)を用いても共結晶化を生じない[A.Turner−Lones;Polymer;7(1966);第23頁以降]。コモノマーをブロック状で(例えば、トライアドとして)組み込んだ場合には、結晶化妨害剤としての前記コモノマーの有効性は、ランダムな分布と比較して明らかに低下する。他面、微少量のエチレンブロックの存在は、殊に本発明による変性されていないポリマーの一定の最小可撓性の達成にとって本質的なことである。変性されていない基礎ポリマーの本発明による結晶度は、本発明による変性されたポリマーの良好な材料凝集力を生じ、同時に低い針入深さを生じる。同時に、プロピレン含量の制限および特殊なコモノマー混合物により、β切断と比較して高い耐性(水素抽出後の鎖分裂)を有するポリマーが使用され、こうして高いモル質量および高い官能化度を有する変性されたグラフトポリマーが生じる。
【0030】
コモノマーの含量は、本発明によるポリマーに対して100質量%引くプロピレン含量として明らかであり、この場合には、1つのコモノマーならびに2つのコモノマーが使用可能である。
【0031】
1つの特に好ましい実施態様において、基礎ポリマーは、少なくとも15質量%、有利に少なくとも17質量%、特に有利に17〜20質量%、殊に有利に19〜25質量%のエチレン含量を有するポリ(エチレン−コ−プロピレン)である。このモノマー組合せ物は、これが高い可撓性を有する基礎ポリマーの製造を可能にし、この基礎ポリマーが高い可撓性を有する本発明による変性されたポリマーを生じるという利点を有する。ポリ(エチレン−コ−プロピレン)ポリマーの製造の際にエチレントライアドの相応する含量を上廻らないようにするために、重合条件に適合させることは、必要である。殊に、重合触媒は、ランダムなコモノマーの組み込みをもって選択しなければならず、低いモノマー濃度は、反応場所で実現される。
【0032】
更に、特に好ましい実施態様において、基礎ポリマーは、少なくとも15質量%、有利に少なくとも17質量%、特に有利に17〜50質量%、殊に有利に17〜48質量%のエチレンと1−ブテンとの組み合わされた含量を有するポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−イソブテン)であり、この場合さらに特に好ましい実施態様は、20〜34質量%または36〜46質量%のエチレンと1−ブテンとの組み合わされた含量を有する。ポリプロピレンの溶解度は、分子量ならびに結晶度に依存するので、溶解試験により相応する分画を行なうことができる[A.Lehtinen;Macromol.Chem.Phys.;195(1994);第1539頁以降]。
【0033】
エーテルでの抽出により、非晶質のアタクチック含量[J.Boor;"Ziegler−Natta Catalysts and Polymerization",Academic Press;New York;1979]および僅かな結晶度を有する低分子量含量[G.Natta,I.Pasquon,A.Zambelli,G.Gatti;Makromol.Chem.;70(1964);第191頁以降]をポリプロピレンポリマーから得ることができることは、久しく公知である。これとは異なり、高結晶性のアイソタクチックポリマーは、実際に高められた温度でも脂肪族溶剤中ならびにエーテル中で極めて僅かな溶解度を有する[B.A.Krentsel,Y.V.Kissin,V.I.Kleiner,L.L.Stotskaya;"Polymers and Copolymers of higher 1−Olefins";第19/20頁;Hanser Publ.;Muenchen;1997]。可溶性ポリマー含量は、一般に結晶度を有しないかまたは極めて僅かな結晶度だけを有し、融点を全く示さない[Y.V.Kissin;"Isospecific polymerization of olefins";Springer Verlag;New York;1985]。テトラヒドロフラン中で可溶性のポリプロピレンオリゴマーは、明らかに1500g/mol未満の極めて僅かな数平均モル質量を有する[H.EI Mansouri,N.Yagoubi,D.Scholler,A.Feigenbaum,D.Ferrier;J.Appl.Polym.Sci.;71(1999);第371頁以降]。
【0034】
使用される変性されていない(グラフト化されていない)基礎ポリマーまたはその部分結晶性プロピレンポリマーおよび/または結晶性プロピレンポリマーとの混合物は、キシレン中での前記混合物の室温での溶解度(即ち、キシレン中の標準化された溶解試験において溶解する、ポリマー試料の含量)が少なくとも96質量%、有利に少なくとも96.5質量%、特に有利に少なくとも97質量%、殊に有利に少なくとも97.5質量%であることを示す。これは、本発明によるポリマーが結晶性ポリマー含量と、部分結晶性ポリマー含量と非結晶性ポリマー含量とからなる計量された割合を有し、前記含量が本発明による変性されたポリマーの特殊な材料特性を最初に可能にするという利点を有する。
【0035】
使用される変性されていない(グラフト化されていない)基礎ポリマーは、テトラヒドロフラン(THF)中での前記基礎ポリマーの室温での溶解度(即ち、テトラヒドロフラン中の標準化された溶解試験において溶解する、ポリマー試料の含量)が少なくとも67質量%、有利に少なくとも68質量%、特に有利に少なくとも70質量%、殊に有利に少なくとも72質量%であることを示す。これは、本発明によるポリマーまたはポリマー混合物が十分量のアタクチックポリマー含量ならびに低度ないし中程度の鎖長を有するポリマー分子を含有するという利点を有し、このことは、本発明による変性されたポリマーの可撓性および該ポリマーの粘着性にとって、また、多数のポリマー支持体にとっても重要である。
【0036】
使用される変性されていない(グラフト化されていない)基礎ポリマーは、1Hzの剪断速度および最大1%の変形の際に振動流動度測定によって測定される、基礎ポリマーの190℃での溶融粘度が50000〜3000000mPa*s、特に55000〜1500000mPa*s、特に有利に60000〜1000000mPa*s、殊に有利に75000〜750000mPa*sであることを示し、この場合さらに100000〜200000mPa*s、175000〜290000mPa*s、300000〜450000mPa*sならびに400000〜720000mPa*sの範囲は、殊に有利である。この場合、本発明による基礎ポリマーの溶融液は、粘弾性挙動ならびに構造粘性挙動を示す。
【0037】
環球法により測定した、変性されていない(グラフト化されていない)基礎ポリマーの軟化点は、90〜130℃、有利に93〜127℃、特に有利に95〜125℃、殊に有利に98〜122℃であり、この場合さらに好ましい範囲は、98〜105℃の間、106〜117℃の間、および118〜121℃の間にある。これは、基礎ポリマーの変性のために、殊にこの変性がポリマー溶融液を基礎にして実施される場合に、比較的僅かなエネルギー量だけが必要とされるという利点を有する。それというのも、この変性は、既に比較的僅かな温度の際に行なうことができるからである。
【0038】
変性されていない(グラフト化されていない)基礎ポリマーの針入深さは、10*0.1mm〜25*0.1mmの間、有利に12*0.1mm〜23*0.1mmの間、特に有利に13*0.1mm〜21*0.1mmの間、殊に有利に14*0.1mm〜19*0.1mmの間にある。これは、強度(硬度)と可撓性との計量された割合が存在するという利点を有する。
【0039】
第2の加熱で示差走査熱量測定(DSC)によって測定された、変性されていない(グラフト化されていない)基礎ポリマーの溶融エンタルピーは、9〜20J/g、有利に10〜18J/g、特に有利に11〜17J/g、殊rに有利に12〜15J/gである。これは、後の変性または架橋の際に形成することができる、一定の基本凝集が存在するという利点を有する。
【0040】
変性されていない(グラフト化されていない)基礎ポリマーのDSCによって測定されるガラス転移温度は、最大−20℃、有利に最大−23℃、特に有利に最大−25℃、殊に有利に−27℃未満である。それに応じて、本発明によるポリマーは、極めて低い温度での使用に適しており、殊に良好な低温可撓性を有し、このことは、本発明によるポリマーを、高いプロピレン含量ないし極めて高いプロピレン含量を有する相応するポリマー(Tg−10℃超)と区別する。
【0041】
上記の基礎ポリマー上には、本発明によるポリオレフィンの際に1つ以上のシランがグラフト化されている。グラフト化すべきシランは、特にオレフィン系二重結合ならびに直接に珪素原子と結合された1〜3個のアルコキシ基を有する。殊に、1つ以上のシランは、ビニルトリメトキシシラン(VTMO)、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO;H2C=C(CH3)COO(CH23−Si(OCH33)、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランおよび/またはビニルメチルジブトキシシランを含む群から選択されている。殊に好ましいのは、シランビニルトリメトキシシランである。異なるシランモノマーの使用により、本発明による変性されたポリプロピレンの材料特性は、正確に本発明の使用のそれぞれの要件に適合させることができる。即ち、例えば架橋速度および相容性は、別のポリマー(例えば、配合物成分)と比較して変動させることができる。
【0042】
シランで変性されたポリマーは、特殊な性質を有し、この性質は、前記ポリマーの使用の際に上記の利点を生じる。即ち、本発明による変性された(グラフト化された)ポリオレフィンの溶融粘度は、1Hzおよび最大1%の変形での振動流動度測定で測定した、架橋されていない状態で190℃で1000〜75000mPa*s、特に1500〜65000mPa*s、特に有利に2000〜60000mPa*s、殊に有利に2500〜55000mPa*sであり、この場合さらに好ましい範囲は、3000〜7500mPa*sの間、8000〜15000mPa*sの間、16000〜22000mPa*sの間、ならびに25000〜45000mPa*sの間にある。この場合、本発明による変性されたポリマーの溶融液は、粘弾性挙動ならびに構造粘性挙動を示す。従って、変性されたポリオレフィンの可変の溶融粘度に基づいて架橋されていない状態で多種多様の適用方法に適し、それに応じて多種多様の用途範囲(例えば、溶融接着剤、シール材料、成形材料、プライマー等)においても使用することができる変性されたポリオレフィンが使用される。特に、本発明による変性されたポリオレフィンの特徴は、この変性されたポリオレフィンの構造粘度(即ち、剪断速度による溶融粘度の依存性)が架橋されていない状態で分子量が増加するにつれて増大することである。環球法により測定した、架橋されていない、本発明による変性された(グラフト化された)ポリオレフィンの軟化点は、80〜120℃、有利に85〜117℃、特に有利に87〜115℃、殊に有利に90〜112℃であり、この場合さらに好ましい範囲は、90〜99℃の間、ならびに98〜110℃の間にある。従って、一面で中程度の軟化点を有し、即ち既に架橋されていない状態で本発明による変性されたポリオレフィンを使用しながら形成された接着部の十分な耐熱性を生じ、他面、中程度の加工温度および適用温度で加工(なかんずく溶融液中で)を可能にし、ひいては感温性の用途にも適している、変性されたポリオレフィンが使用される。架橋されていない、本発明による変性されたポリオレフィンの侵入深さは、10*0.1mm〜40*0.1mmの間、有利に12*0.1mm〜35*0.1mmの間、特に有利に14*0.1mm〜32*0.1mmの間、殊に有利に17*0.1mm〜30*0.1mmの間にある。従って、架橋されていない状態で強度/硬度と可撓性との間の良好なバランスを有する、変性されたポリオレフィンが使用される。本発明による変性されたポリオレフィンの引張強さは、(他の添加剤なしに)架橋されていない状態で0.5〜7MPaの間、有利に0.6〜6.5MPaの間、特に有利に0.7〜6.0MPaの間、殊に有利に0.75〜5.5MPaの間にあり、この場合さらに好ましい範囲は、0.8〜1.5MPaの間、1.3〜2.5MPaの間、2.0〜3.5MPaの間、ならびに2.5〜5.0MPaの間にある。それによって、殊に高度な基本凝集は、架橋されていない状態で保証される。引張試験において測定された、本発明による変性されたポリオレフィンの引裂時の伸びは、(他の添加剤なしに)架橋されていない状態で75〜1000%の間、有利に90〜950%の間、特に有利に100〜900%の間、殊に有利に110〜800%の間にあり、この場合さらに好ましい範囲は、200〜450%の間、350〜600%の間、ならびに500〜750%の間にある。それによって、架橋されていない状態で可撓性の高い基準を有する、変性されたポリオレフィンが使用される。
【0043】
20℃および65%の相対空気湿度での耐候試験機中で他の添加剤なしで40日間の基準試験体の貯蔵時間後の架橋された状態で本発明による変性されたポリオレフィンの引張強さは、架橋されていない状態の場合よりも少なくとも50%高く、有利に少なくとも60%高く、特に有利に少なくとも75%高く、殊に有利に少なくとも100%高く、この場合40日間の貯蔵後に引張強さとして、少なくとも2.0MPa、有利に少なくとも2.5MPa、特に有利に少なくとも2.75MPa、殊に有利に少なくとも3.0MPaの値が達成される。特殊な実施態様において、殊に蛍光X線分光分析法(RFA分光分析法)によって測定されたシリコン含量が0.5質量%超、有利に0.6質量%超、特に有利に0.7質量%超であり、および振動流動度測定によって測定された、架橋されていないポリマーの溶融粘度が190℃(1Hz、1%の変形)で10000mPa*s未満、有利に7500mPa*s未満、特に有利に5000mPa*s未満、殊に有利に4000mPa*s未満である場合には、20℃および65%の相対空気湿度での耐候試験機中で他の添加剤なしで40日間の基準試験体の貯蔵時間後の架橋された状態で本発明による変性されたポリオレフィンの引張強さは、架橋されていない状態で達成される値を上廻り、少なくとも150%、有利に少なくとも200%、特に有利に少なくとも250%、殊に有利に300%超である。この場合、本発明による変性されたポリオレフィンの引張強さは、(他の添加剤なしに)架橋された状態で20℃および65%の相対空気湿度で耐候試験機中での40日間の基準試験体の貯蔵時間後に少なくとも3.5MPaである。従って、変性されたポリオレフィンの特殊な材料特性、例えば極めて高いグラフト化度(同時に架橋されていない状態で低い溶融粘度で)のために、反応性基の架橋によって極めて高い強度を有する結合に硬化しうる、変性されたポリオレフィンが使用される。特殊な実施態様において、引張試験で他の添加剤なしに20℃および65%の相対空気湿度で耐候試験機中での40日間の貯蔵時間後に測定された、本発明による変性されたポリオレフィン(基準試験体)の引裂時の伸びは、架橋にも拘わらず、増大し、架橋された状態では、架橋されていない状態で達成された値の少なくとも110%、有利に少なくとも120%、特に有利に130〜500%、殊に有利に150〜400%である。即ち、本発明によるポリマーは、貯蔵時に生じる架橋およびそれに関連した、材料凝集力(引張強さ参照)の上昇にも拘わらず、架橋後でも高い可撓性を有し、この場合この可撓性は、使用された基礎ポリマーのコポリマー組成、使用される開始剤または使用される開始剤グラフトモノマーの組合せ、開始剤とグラフトモノマーとの量比ならびに反応条件により個別的に所定の要件に適合させることができる。更に、特に好ましい実施態様において、引裂時の伸びは、架橋(貯蔵時間)が進行するにつれて連続的に低下し、この場合には、20℃および65%の相対空気湿度で耐候試験機中での基準試験体の40日間の貯蔵時間後に、架橋されていない状態で達成される値の少なくとも50%、有利に少なくとも55%、特に有利に少なくとも60%、殊に有利に少なくとも65%に相当する引裂時の伸びが達成される。従って、本発明による変性されたポリマーの可撓性は、当面する要件プロフィールに応じて、架橋により上昇されてもよいし、減少されてもよい。本発明による変性されたポリオレフィンは、(反応されていない残留モノマーの完全な分離後に)RFA分光分析法(蛍光X線分光分析法)によって測定された、少なくとも0.3質量%、有利に少なくとも0.35質量%、特に有利に少なくとも0.4質量%、殊に有利に0.45〜2質量%のシリコン含量を有し、この場合さらに特に好ましい範囲は、0.5〜0.75質量%の間、0.7〜0.95質量%の間、0.8〜1.25質量%の間、および1.1〜2質量%の間にある。
【0044】
記載された好ましい性質を有するポリオレフィンは、全く特殊な方法で接着、殊にホットメルト接着剤としての使用またはホットメルト接着剤中への使用に適しており、公知の系と比較して好ましい性質を示す。これは、殊に処理されていないポリオレフィン上、殊に処理されていないポリプロピレンならびに紙/ボール紙、木材、ガラスおよび/または金属、殊にアルミニウム上への顕著な付着について言えることである。
【0045】
更に、本発明の対象は、本発明による変性されたポリオレフィンを製造する方法であり、この方法は、同様に13C−NMR分光分析法によって測定されたエチレン含量に対する、13C−NMR分光分析法によって測定された、50〜75質量%のプロピレン含量および13C−NMR分光分析法によって測定された、最大2.5質量%のエチレントライアドの含量ならびにDSC(第2の加熱)により測定された、9〜20J/gの溶融エンタルピーおよび少なくとも96質量%の室温でのキシレン中の溶解度(即ち、標準化溶解試験でキシレン中に溶解された、ポリオレフィン試料の含量)ならびに少なくとも67質量%の室温でのテトラヒドロフラン(THF)中の溶解度(即ち、標準化溶解試験でテトラヒドロフラン中に溶解された、ポリマー試料の含量)を有する部分結晶性ポリオレフィンを、少なくとも1つのラジカル開始剤および1つ以上のシランと接触させ、それに続いてポリオレフィン上への1つ以上のシランのグラフト反応を行なうことによって特徴付けられる。
【0046】
本発明による基礎ポリマーは、記載されたモノマーの重合によって製造される。
【0047】
本発明によるポリマーは、例えばプロピレンと選択的にエチレンおよび/または1−ブテンとをTiCl3・(AlCl3n混合触媒(n=0.2〜0.5)を用いて重合させることによって得られ、この場合トリアルキルアルミニウム化合物は、共触媒として使用される。モノマーエテンは、ガス状で使用され、一方、モノマーのプロペンおよび1−ブテンはガス状でも液状でも使用することができる。モル質量調整剤として、例えばガス状水素が使用されてよい。重合は、有利に例えば脂肪族炭化水素の群から選択された不活性溶剤中で実施される。装入されたモノマーの重合も同様に可能である。重合は、攪拌釜中またはカスケード型攪拌釜中で実施される。反応温度は、30℃〜200℃の間にある。本発明によるポリマーは、公知技術水準に対応して、その反応溶液の形かまたはより遅い時点での何れかで化学的に安定化されることができ、このポリマーは、太陽光入射、空気湿分および酸素の支障のある影響から保護される。この場合には、例えば立体障害アミン(HALS安定剤)、立体障害フェノール、ホスファイトおよび/または芳香族アミンを含有する安定剤(例えば、テトラキス(メチレン−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)および/または2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ−3,9−ビス(オクタデシル)[5,5]ウンデカン)を使用することができる特に有利には、加水分解活性の末端基だけを含有する安定剤が使用される。この場合、安定剤の作用量は、ポリマーに対して0.1〜2質量%の範囲内にある。
【0048】
グラフト化に適したシランは、予めオレフィンの記述に記載されており、有利には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−)シラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシランおよび/またはビニルメチルジブトキシシラン、殊にビニルトリメトキシシランを含む群から選択されている。シランは、グラフト化の際に通常、基礎ポリマーに対して、0.1〜20質量%、特に0.5〜17質量%、特に有利に0.75〜15質量%、殊に有利に1〜14質量%の量で使用され、この場合さらに特に好ましい範囲は、0.75〜5.5質量%の間、3.5〜7.5質量%の間、7〜9.75質量%の間、ならびに9.5〜13.75質量%の間にある。
【0049】
1つ以上のシランは、公知技術水準の全ての方法により、例えば溶液中または有利に溶融液中で基礎ポリマー上にグラフト化されることができ、この場合1つ以上のラジカル供与体は、十分な量で使用される。適した作業形式は、ドイツ連邦共和国特許第4000695号明細書から確認することができ、このドイツ連邦共和国特許明細書は、説明のために引き合いに出されたものである。例えば、次のラジカル供与体を使用することができる:ジアシルペルオキシド、例えばジラウリルペルオキシドまたはジデカノイルペルオキシド、アルキル過酸エステル、例えば第三ブチルペルオキシ−2−エトルヘキサノエート、ペルケタール、例えば1,1−ジ(第三ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンまたは1,1−ジ(第三ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、ジアルキルペルオキシド、例えば第三ブチルクミルペルオキシド、ジ(第三ブチル)ペルオキシドまたはジクミルペルオキシド、C−ラジカル供与体、例えば3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサンまたは2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンならびにアゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾ−ジ(2−アセトキシプロパン)等。このグラフト化は、殊に30〜250℃の温度で行なわれる。特殊な実施態様において、前記の作業形式は、溶解法であり、この場合には、脂肪族炭化水素および/または芳香族炭化水素ならびに環式エーテルが溶剤として使用されうる。特に有利には、溶剤として少なくとも1つの芳香族炭化水素が使用される。適した芳香族炭化水素は、殊にトリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエンおよびキシレンであり、特に有利には、キシレンが使用される。特に好ましい脂肪族炭化水素は、例えばプロパン、n−ブタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンおよびオクタンである。特に好ましい環式エーテルは、テトラヒドロフラン(THF)である。
【0050】
エーテル、殊に環式エーテルを溶剤として使用する場合には、使用される開始剤ならびに反応条件は、使用されるエーテルの爆発性過酸化物の形成を阻止するかまたは制御するために、特に細心の注意を払って選択されなければならない。殊に、特殊な抑制剤(例えば、IONOL)の付加的な使用を検討することができる。
【0051】
溶液中でのグラフト化プロセスの場合には、使用される基礎ポリマーの濃度は、少なくとも10質量%、有利に少なくとも15質量%、特に有利に少なくとも20質量%、殊に有利に少なくとも22.5質量%である。溶液中でのグラフト化プロセスの反応温度は、30〜200℃、有利に40〜190℃、特に有利に50〜180℃、殊に有利に55〜140℃である。溶液グラフト化は、非連続的または連続的に行なわれる。非連続的な反応の実施の場合には、最初に固体のポリマー(例えば、顆粒、粉末等として)が使用される溶剤中に溶解される。そのために他の選択的な方法の場合には、状態調節された重合溶液は、基礎ポリマーの製造法から直接に使用され、反応温度にもたらされる。それに続いて、単数のモノマー/複数のモノマーおよび単数のラジカル開始剤/複数のラジカル開始剤が添加される。特に好ましい実施態様において、溶剤の基礎ポリマーおよびモノマーが装入され、反応温度にもたらされ、他方、ラジカル開始剤は、定義された時間に亘って連続的に供給される。これは、定常のラジカル濃度が低く、したがって、グラフト化反応と鎖分裂との比が特に有利な結果となる(即ち、よりいっそう多くのグラフト化反応およびよりいっそう少ない鎖分裂)という利点を有する。更に、特に好ましい実施態様において、溶剤および単数または複数の基礎ポリマーが装入され、反応温度にもたらされ、他方、単数または複数のモノマーおよびラジカル開始剤は、一緒に(例えば、混合物の形で)かまたは互いに別々に、定義された時間に亘って連続的に供給される。これは、定常のラジカル濃度ならびにモノマー濃度が反応場所で低いという利点を有し、このことは、鎖分裂ならびにホモポリマーの形成を制限する。これは、熱的に開始される(単独)重合の傾向を強く有するモノマーを使用する場合に重要である。特に有利には、種々に定義された供給時間に続いてさらなる量のラジカル開始剤が供給され、反応溶液中の残留モノマーの含量は、最少化される。反応器として、有利に攪拌釜が使用され、他の選択的な方法の場合の反応容器、例えば非連続的な混練型反応器の使用は、同様に可能であり、殊に低い反応温度および/または高いポリマー濃度の場合に有利である。連続的な反応の実施の場合には、最初に1つ以上の前方容器(例えば、攪拌釜)中で固体のポリマーが少なくとも1つの溶剤に溶解され、引続き連続的に単数/複数の反応容器中に供給される。他の選択的な方法の場合の同様に特に好ましい実施態様において、基礎ポリマーの製造プロセスからの状態調節されたポリマー溶液が直接に使用される。更に、同様に特に好ましい実施態様において、固体のポリマー(例えば、粉末、顆粒、ペレット等の形で)は、少なくとも1つの溶剤と一緒に連続的に(一軸または多軸の)スクリュー型射出成形機または連続混練機中に計量供給され、温度および/または剪断の作用下で溶解され、および引続き連続的に単数/複数の反応容器中に計量供給される。溶液中で連続的なグラフト化反応を実施するための反応容器または反応器として、連続型攪拌釜、カスケード型攪拌釜、流動管、強制運搬部を備えた流動管(例えば、スクリュー押出機)、反応混練機ならびにこれらの任意の組合せがこれに該当する。強制運搬部を備えた流動管を使用する場合、これは、有利には押出機であり、この場合には、一軸、二軸ならびに多軸の押出機を使用することができる。特に有利には、二軸の押出機および/または多軸の押出機が使用される。殊に、有利には、本発明による変性されたポリマーを溶液中で連続的に製造するために、任意の順序で流動管、強制運搬部を備えた流動管および連続型攪拌釜からなる反応器の組合せが使用され、その際、有利には、強制運搬部を備えた流動管中または連続型攪拌釜中で残留モノマーおよび揮発性の副生成物/分解生成物の除去も行なわれる。
【0052】
他の選択的な方法の場合、有利には溶融法であり、この場合には、少なくとも1つのラジカル開始剤が直接に溶融液中に計量供給される。殊に、前記変法の場合、ポリマー材料の温度は、少なくとも1つのラジカル開始剤の供給の時点で供給されたラジカル開始剤の少なくとも1つのSADT(Self accelerating decomposition temperature=自己加速分解を開始しうる温度)を上廻る。溶融液中でのグラフト化プロセスの反応温度は、160〜250℃、有利に165〜240℃、特に有利に168〜235℃、殊に有利に170〜230℃である。溶融液グラフト化は、非連続的な運転形式または連続的な運転形式で行なわれる。非連続的な反応の実施の場合には、固体のポリマー(例えば、顆粒、粉末、ペレット等として)が最初に溶融され、場合によっては均質化される。他の選択的な方法の場合には、直接に重合プロセスからの状態調節されたポリマー溶融液が使用され、反応温度にもたらされる。単数または複数のモノマーおよび単数または複数のラジカル開始剤の添加が行なわれる。
【0053】
特殊な実施態様において、単数または複数のモノマーおよびポリマー溶融液は、均質に混合され、反応温度にもたらされ、他方、単数または複数のラジカル開始剤は、定義された時間に亘って連続的に供給される。これは、定常のラジカル濃度が低く、したがって、グラフト化反応と鎖分裂との比が特に有利な結果となる(即ち、よりいっそう多くのグラフト化反応およびよりいっそう少ない鎖分裂)という利点を有する。
【0054】
更に、特に好ましい実施態様において、ポリマー溶融液は、装入され、および均質化され、他方、単数または複数のモノマーおよびラジカル開始剤は、一緒に(例えば、混合物の形で)かまたは互いに別々に、定義された時間に亘って連続的に供給される。これは、定常のラジカル濃度ならびにモノマー濃度が反応場所で低いという利点を有し、このことは、鎖分裂ならびにホモポリマーの形成を制限する。最後のホモポリマーの形成は、存在する反応温度で熱的に開始される(単独)重合の傾向を有するモノマーを使用する場合に特に重要である。反応器として有利には、プレート状攪拌アーム(wandgaengigem Ruhraggregat)を備えた攪拌釜または反応混練機が使用される。
【0055】
連続的な反応の実施の場合には、最初に1つ以上の前方容器(例えば、攪拌釜)中で固体のポリマーが溶融され、引続き連続的に単数/複数の反応容器中に計量供給される。他の選択的な方法の場合の同様に特に好ましい実施態様において、重合プロセスからの状態調節されたポリマー溶融液が直接に使用される。更に、同様に特に好ましい実施態様において、固体のポリマー(例えば、粉末、顆粒、ペレット等の形で)は、連続的に(一軸または多軸の)スクリュー押出機または連続混練機中に計量供給され、温度および/または剪断の作用下で溶融され、および引続き連続的に単数/複数の反応容器中に計量供給される。溶融液中で連続的なグラフト化反応を実施するための反応容器または反応器として、連続型攪拌釜、カスケード型攪拌釜、流動管、強制運搬部を備えた流動管(例えば、スクリュー押出機)、反応混練機ならびにこれらの任意の組合せがこれに該当する。強制運搬部を備えた流動管を使用する場合、これは、有利には押出機であり、この場合には、一軸、二軸ならびに多軸の押出機が使用される。特に有利には、二軸の押出機および/または多軸の押出機が使用される。殊に、有利には、本発明による変性されたポリマーを溶融液中で連続的に製造するために、任意の順序で流動管、強制運搬部を備えた流動管および連続型攪拌釜からなる反応器の組合せが使用され、その際、有利には、強制運搬部を備えた流動管中または連続型攪拌釜中で残留モノマーおよび揮発性の副生成物/分解生成物の除去も行なわれる。
【0056】
本発明による変性されたポリマーは、架橋された状態または架橋されていない状態で成形材料、保護材料、接着剤、標識材料、被覆材料、防水シート(Dichtungsbahnen)または防水屋根材(Dachbahnen)、プライマー、プライマー配合物、付着助剤配合物、分散液、懸濁液および/または乳濁液中への使用に適しているか、または成形材料、保護材料、接着剤、標識材料、被覆材料、防水シートまたは防水屋根材(、プライマー、プライマー配合物、付着助剤配合物、分散液、懸濁液および/または乳濁液としての使用に適している。それに応じて、本発明の対象は、同様に、記載された使用分野での本発明による変性されたポリオレフィンの使用ならびに本発明によるポリオレフィンを含有する、相応する成形材料、保護材料、接着剤、標識材料、被覆材料、防水シートまたは防水屋根材、プライマーまたはプライマー配合物、付着助剤配合物、分散液、懸濁液および/または乳濁液である。
【0057】
本発明によるポリオレフィンは、特に成形材料としての使用に適しており、および/または成形材料中での使用に適している。更に、成形材料は、他の成分を含有することができる。他の成分は、殊に別のポリマーを含むことができ、この場合この別のポリマーは、1つ以上のエチレンポリマ、および/またはアイソタクチックプロピレンポリマーおよび/またはシンジオタクチックプロピレンポリマーおよび/またはアイソタクチックポリ−1−ブテン−ポリマーおよび/またはシンジオタクチックポリ−1−ブテン−ポリマーである。特に、これは、少なくとも1つの本発明によるポリマー以外に他の変性されたポリオレフィンおよび/または変性されていないポリオレフィン、殊にポリプロピレンおよび/または充填剤および/または強化材料、例えばガラス繊維を含有する成形材料である。
【0058】
本発明による変性されたポリオレフィンは、特に保護材料としての使用に適しており、および/または保護材料中での使用に適している。特に、これは、少なくとも1つの本発明によるポリマー以外に他の変性されたポリオレフィンおよび/または変性されていないポリオレフィン、殊にポリプロピレンおよび/または充填剤および/または強化材料、例えばガラス繊維を含有する保護材料である。殊に、本発明による保護材料は、自動車分野で使用されているかかる材料である。殊に有利なのは、下張り床保護材料(PVCプラスチゾル代用品)である。
【0059】
本発明による変性されたポリオレフィンは、特に接着剤としての使用に適しており、および/または接着剤中での使用に適している。
【0060】
プラスチックの使用者に必要とされる性質、例えば接着力、初期付着力、架橋速度、架橋密度、粘度、硬度、弾性率、温度安定性および酸化安定性等を調節するために、本発明によるポリオレフィンには、通常、望ましい接着剤特性の調節に使用される他の物質が添加されてよい。勿論、この場合には、水を含有する添加剤中で本発明による接着剤の架橋速度を上昇させることができることに注目すべきである。本発明によるポリマーのシラン基により、使用される添加剤への反応的結合を行なうことができることは、本発明にとって特に特性を示す。殊に、使用される充填剤および/または強化材料(例えば、繊維)は、本発明によるポリマー中に含有されているシラン基によって反応的にポリマーマトリックスに結合され、このことは、特に好ましい材料特性、殊に高度な材料凝集力(引張強さ)および繊維強化の際の極めて高い抗張力を生じる。
【0061】
更に、本発明による変性されたポリオレフィンの本質的な特性は、充填剤と共に接着すべき表面上への接着剤/接着剤成分の化学的結合を行なうことができることである。これは、相応する反応性基(例えば、−OH)を使用する表面で、特に良好な付着力および接着力を生じる。更に、反応的結合と共に、本発明による変性されたポリオレフィンと同様の表面極性を使用する表面上で特に高い接着力を達成することができる(例えば、ポリ(1−ブテン)、ポリプロピレン、ポリエチレン等)。
【0062】
本発明による接着剤配合物中には、本発明による変性されたポリオレフィンと共に他の成分が含有されていてよい。他の成分の場合、殊に溶液配合物は、ヘテロ原子を有するかまたはヘテロ原子を有しない環式および/または直鎖状の脂肪族および/または芳香族の炭化水素であることができ、また、相応するハロゲン化炭化水素であることができる。しかし、特にハロゲン化炭化水素は、全く使用されない。室温で液状の接着剤配合物において、記載された炭化水素は、特に最大90質量%、有利に最大80質量%、特に有利に最大75質量%、殊に有利に最大50質量%の配合物含量を有する。
【0063】
殊に有利に、本発明による接着剤配合物は、当業者に公知の全ての種類の接着部に使用されることができるホットメルト接着剤配合物である。
【0064】
本発明によるホットメルト接着剤配合物は、特殊な性質、例えば変形能、付着能、加工能、架橋速度、架橋密度、(溶融液または溶液)粘度、強度、結晶化速度、接着性、貯蔵安定性等の達成に必要とされる、他の成分を含有することができる。他の成分の含量は、本発明の特殊な実施態様において、殊に有利に最大10質量%である。これは、接着剤配合物の材料特性が本質的に使用される本発明によるポリマーの材料特性であるという利点を有する。このような接着剤配合物は、極めて僅かな費用で製造することができる。
【0065】
他の選択可能な方法によれば、本発明のもう1つの実施態様において、他の成分の含量は、10質量%超であることができる。この場合、他の成分は、全配合物に対して最大80質量%、有利に最大60質量%、特に有利に最大50質量%、殊に有利に最大40モル%である。
【0066】
他の成分は、架橋促進剤、殊にシラノール縮合触媒、選択的に導電性であってもよいし、絶縁性であってもよい無機充填剤および/または有機充填剤、選択的に導電性であってもよいし、絶縁性であってもよい無機顔料および/または有機顔料、合成樹脂および/または天然樹脂、殊に接着樹脂、剛性油および/または天然油、選択的に導電性であってもよいし、絶縁性であってもよい無機または有機の、合成および/または天然のポリマー、選択的に導電性であってもよいし、絶縁性であってもよい無機または有機の、合成および/または天然の繊維、無機および/または有機の安定剤、および/または無機および/または有機の難燃剤であることができる。
【0067】
殊に、他の成分は、樹脂を含み、この場合には、接着層の一定の性質、殊に接着層の接着性および/または付着力、流動挙動およびクリープ挙動および/または接着剤の粘度を特殊な要件に適合させるために、樹脂が使用される。この樹脂は、天然樹脂および/または合成樹脂であることができる。天然樹脂の場合には、前記の天然樹脂は、主成分としてアビエチン酸(例えば、コロホニウム)を含有する。更に、前記樹脂は、テルペン樹脂またはポリテルペン樹脂、石油樹脂および/またはクマロンインデン樹脂であることができ、この場合には、殊にいわゆるC5樹脂および/またはC9樹脂および/またはC5/C9樹脂からのコポリマーが問題である。本発明によるホットメルト接着剤配合物中の樹脂の含量は、殊に全配合物に対して殊に最大45質量%、有利に1〜40質量%、特に有利に2〜30質量%、殊に有利に3〜20質量%である。
【0068】
更に、本発明によるホットメルト接着剤配合物中には、古典的な非晶質(または部分結晶性)ポリ(α−オレフィン)(いわゆるAPAOs)が他の成分として含有されていてよい。記載された非晶質(または部分結晶性)ポリ(α−オレフィン)は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、または例えば古典的なチーグラーナッタ触媒反応またはメタロセン触媒反応によって得られる、5〜20個の炭素原子を有する直鎖状および/または分枝鎖状の1−オレフィンからのホモポリマー/コポリマーおよび/またはターポリマーであることができる。非晶質ポリ(α−オレフィン)の含量は、殊に全配合物に対して殊に最大50質量%、有利に最大40モル%、特に有利に最大30モル%である。特に、他の成分は、結晶性または部分結晶性のポリオレフィンであり、このポリオレフィンは、殊にアイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリエチレン(HDPE、LDPEおよび/またはLLDPE)、アイソタクチックポリ(1−ブテン)、シンジオタクチックポリ(1−ブテン)、これらのコポリマーおよび/またはこれらと5〜10個の炭素原子を有する直鎖状および/または分枝鎖状の1−オレフィンとのコポリマーである。更に、結晶性または部分結晶性のポリオレフィンが化学的に変性されたポリオレフィンであることは、好ましく、この場合化学的変性は、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸、アクリレート、メタクリレート、不飽和エポキシ化合物、シランアクリレート、シランおよびヒドロキシアルキルシランによるかかる化学的変性を含む。
【0069】
更に、他の成分は、極性基を有するポリマーを含むことができる。極性基を有するポリマーは、ポリスチレンコポリマー(例えば、無水マレイン酸、アクリルニトリル等で)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、(コ)ポリエステル、ポリウレタン、(コ)ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリアクリル酸、ポリカーボネートならびに化学的に変性されたポリオレフィン(例えば、ポリ(プロピレン−グラフト無水マレイン酸)またはポリ(プロピレン−グラフトアルコキシビニルシラン)を含む。この場合、本発明によるポリマーと極性基含有ポリマーとを混合した場合には、ポリマー鎖の直ちの反応的結合および/または時間的に遅延された反応的結合を生じ、前記の反応的結合は、特に2つのポリマー相の間の改善された相容性を生じ、このことは、例えば使用されたポリマーのガラス転移温度の変動で確認することができる。特に有利には、前記の反応的結合は、ポリマー相が共通のガラス転移温度を示し、即ち巨視的な混合可能性を有することを生じる。
【0070】
更に、他の成分は、エチレン、プロピレン、ブタジエン、スチレンおよび/またはアクリロニトリルを基礎とするホモポリマーおよび/またはコポリマー(またはオリゴマー)を含み、前記ポリマーは、他のコモノマーとしてジエンおよび/または環式ジエン、ブタジエン、スチレンおよび/またはイソプレンを含むことができ、殊に前記ポリマーは、ブロックコポリマー、殊にゴム、例えば天然ゴムおよび合成ゴム、ポリ(ブタジエン)、ポリ(イソプレン)、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴムおよびニトリルゴムである。ブタジエン、スチレンおよび/またはイソプレンを基礎とするポリマーの含量は、ホットメルト接着剤配合物に対して最大20質量%、有利に1〜15質量%、特に有利に1.5〜10質量%、殊に2〜9質量%である。オリゴマーは、有利にブタジエンオリゴマーである。
【0071】
更に、他の成分は、エチレン、プロピレン、ジエンおよび/またはシス,シス−1,5−シクロオクタジエン、エキソ−ジシクロペンタジエン、エンド−ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンを基礎とするエラストマーポリマーを含むことができ、殊に前記の他の成分は、エチレン−プロピレンゴム、EPM(二重結合不含、エチレン含量40〜75質量%)および/またはEPDMである。エチレン、プロピレン、ジエンおよび/またはシス,シス−1,5−シクロオクタジエン、エキソ−ジシクロペンタジエン、エンド−ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンを基礎とするポリマーの含量は、ホットメルト接着剤配合物に対して通常、最大20質量%、有利に1〜15質量%、特に有利に1.5〜10質量%、殊に2〜9質量%である。
【0072】
他の選択可能な方法によれば、他の成分は、ワックス、殊に変性されたワックスおよび変性されていないワックスを含むことができ、この場合前記ワックスは、特にポリエチレン、ポリプロピレンおよび/またはポリ(1−ブテン)、パラフィンワックス、メタロセンワックス、ミクロワックス、ポリアミドワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックスおよび/またはフィッシャー−トロプシュワックスである。前記ワックスの含量は、ホットメルト接着剤配合物に対して最大50質量%、有利に1〜40質量%、特に有利に2〜30質量%、殊に有利に3〜20質量%である。
【0073】
更に、他の成分は、充填剤を含むことができ、この場合には、接着層の特殊な特性プロフィール、例えば温度使用範囲、強度、収縮、導電性、磁気作用および/または熱伝導性を意図的に特殊な要件に適合させるために、充填剤が使用される。一般に、充填剤は、無機充填剤および/または有機充填剤である。無機充填剤は、殊に珪酸(疎水性珪酸を含めて)、石英砂、白亜、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム(後者の3つは、特にナノスケールの形である)、重晶石、ガラス粒子(殊に、光の反射を増加させるための球状の粒子)、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト粒子、アスベスト繊維および/または金属粉末から選択されている。有機充填剤は、例えばカーボンブラック、瀝青、架橋されたポリエチレン、架橋されたゴムまたはゴム混合物、合成繊維、例えばポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、サラン繊維、MP繊維または天然繊維、例えば麦わら、木材、羊毛、生糸、亜麻、大麻、黄麻および/またはサイザル麻である。前記充填剤の含量は、ホットメルト接着剤配合物に対して最大80質量%、有利に1〜60質量%、特に有利に5〜40質量%、殊に有利に7〜30質量%である。
【0074】
同様に、他の成分は、架橋促進剤を含むことができる。これは、本発明によるポリマーが短時間で接合後に該ポリマーの最大の負荷可能性を達成する接着に使用される場合に特に好ましい。架橋促進剤として、多数の化合物、殊にブレンステッド酸および/またはルイス酸、例えば酢酸、イタコン酸、酢酸亜鉛(II)、酢酸カドミウム、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、塩化亜鉛(II)、塩化錫(IV)、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート、蒼鉛シトレート、酸化蒼鉛(III)、チタン酸蒼鉛、テトラブチルゲルマニウム、テトラブチル錫、ホウ化チタン、酸化チタン(IV)、チタンアセチルアセトネート、トリブチルチタネート、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム(II)、亜鉛アセチルアセトネート、亜鉛メタクリレート、ニオブ酸亜鉛、酸化錫(II)、酸化錫(IV)、アセチルアセトン酸ジルコニウム(IV)、酸化ジルコニウム(IV)および/または珪酸ジルコニウム(IV)が適している。
【0075】
同様に、他の成分は、安定剤を含み、この場合には、接着剤配合物を外部の影響、例えば(加工)熱、剪断応力、太陽光の入射、空気湿分および酸素の影響から保護するために、前記安定剤は、使用される。適した安定剤は、例えば立体障害アミン(HALS安定剤)、立体障害フェノール、ホスファイトおよび/または芳香族アミンである(例えば、IRGANOX、KINOX、DOVERNOX、WESTON、IRGAPHOS、DOVERPHOSおよび/またはIONOLの製品名で商業的に入手可能である)。特に有利には、本発明により使用される安定剤は、1分子当たり加水分解活性の末端基だけを含有する。記載された配合物中で、安定剤の含量は、ホットメルト接着剤配合物に対して最大3質量%、有利に0.05〜2.5質量%、殊に0.1〜2質量%である。特殊な実施態様において、本発明による変性されたポリマーに対して単数/複数の安定剤の反応的結合が生じ、それによって接着化合物からの安定剤の移行が阻止される。
【0076】
更に、他の成分は、1つ以上の油を含むことができ、この油は、天然油および/または合成油であることができる。前記の1つ以上の油は、特に加工温度で0.1〜1000mPa*s、有利に1〜750mPa*s、大抵の場合に有利に2〜500mPa*sの粘度を有する。適した油は、例えば鉱油、(医薬用)ホワイト油、イソブテン油、ブタジエン油、水素化ブタジエン油および/またはパラフィン油である。1つ以上の油の含量は、ホットメルト接着剤配合物に対して最大50質量%、有利に1〜45質量%、特に有利に3〜40質量%、殊に有利に5〜38質量%である。
【0077】
更に、ホットメルト接着剤配合物中には、無機顔料および/または有機顔料、UV活性剤、ポリマーの結晶化を促進させ、ひいては接着剤の開放時間("開放時間"=接着すべき部材を互いに結合することができる時間間隔)を減少させる有機成核剤および/または無機成核剤が含有されていてよい。
【0078】
更に、本発明によるホットメルト接着剤配合物の好ましい形において、予め記載された配合物は、多相ブレンドである。
【0079】
更に、本発明の対象は、本発明の1つ以上の変性されたポリオレフィンを含有する接着部である。殊に、この接着部は、包装品接着部、衛生用品接着部、木材接着部、ガラス表面の接着部および/または封止部、ラベル接着部、貼合せシート接着部、カーペット接着部または人工芝接着部、靴接着部、感圧接着部、書物接着部または織物接着部である。
【0080】
ポリオレフィン表面上および/またはガラス表面上の、またはポリオレフィン表面および/またはガラス表面の接着のために本発明による変性されたポリオレフィンを使用する場合に、燃焼、プラズマ処理、コロナ処理、スルホン化、エッチング、プライマー塗布等によってポリオレフィン表面および/またはガラス表面のエネルギー的前処理および/または化学的前処理を省略することができ、それにも拘わらず、前記表面上で極めて良好な付着を達成することは、本発明のために特殊な特性を示す。
【0081】
包装品接着部の場合、包装用材料は、材料の木材、ボール紙、紙、プラスチック、金属、セラミック、ガラス、人造繊維および/または天然繊維および/または織物を含むことができる。包装用材料は、特に非極性プラスチック、殊にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)またはこれらと直鎖状C2〜C201−オレフィンおよび/または分枝鎖状C2〜C201−オレフィンとのコポリマー、例えば架橋されていないポリエチレン、例えばLDPE、LLDPEおよび/またはHDPE、および/または(例えば、シラン架橋された)架橋されたポリオレフィン、殊にシラン架橋されたポリエチレンである。更に、非極性プラスチックは、殊にポリスチレン−、ポリブタジエン−、ポリイソプレン−ホモポリマーおよび/またはコポリマー、および/またはこれらと直鎖状C2〜C201−オレフィンおよび/または分枝鎖状C2〜C201−オレフィンとのコポリマー、またはジエン、例えばEPDM、EPMまたはEPR、および/または合成ゴムまたは天然ゴムである。
【0082】
本発明による変性されたポリマーは、該ポリマーが(他の添加剤なしに)耐候試験機(20℃/65%の相対空気湿度)中での少なくとも14日間の貯蔵時間後に純粋なポリプロピレン接着部(材料:処理されていないアイソタクチックポリプロピレン)中で少なくとも1.25N/mm2、有利に少なくとも1.5N/mm2、特に有利に少なくとも1.75N/mm2、殊に有利に少なくとも2.0N/mm2の接着剪断強さを有することを示す。42日間の貯蔵時間後に、(他の添加剤なしに)処理されていないポリプロピレン上での接着剪断強さ少なくとも1.75N/mm2、有利に少なくとも2.0N/mm2、殊に有利に少なくとも2.25N/mm2が達成される。
【0083】
極性プラスチックの場合には、殊にポリアクリレート、殊にポリアルキルメタクリレート、ポリビニルアセテート、ポリエステルおよび/またはコポリエステル、殊にポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレート、ポリアミドおよび/またはコポリアミド、アクリルニトリルコポリマー、殊にアクリルニトリル/ブタジエン/スチレンコポリマーおよび/またはスチレン/アクリルニトリルコポリマー、無水マレイン酸コポリマー、殊にS/MSAコポリマーおよび/またはMSAグラフト化ポリオレフィン、例えばポリプロピレンおよび/またはポリエチレン、ポリ塩化ビニルおよび/またはポリカーボネートが問題である。
【0084】
一般に、包装用材料は、ボール箱、箱、コンテナ、枚葉紙、ディスク、フィルムおよび/またはシートとして存在することができる。例えば、相応するプラスチックシートは、押出、圧延、吹込成形、注型技術、溶液流延、深絞り成形または複数のこれらの技術の組合せにより製造されることができる。例えば、プラスチックシートは、単層シートであり、この単層シートは、配向されているかまたは配向されていない。単層シートを配向する場合には、一軸、二軸または多軸の配向が存在していてよく、この場合配向軸は、シートの引抜方向に対して任意の角度であってよい。
【0085】
他の選択可能な方法によれば、プラスチックシートは、多層シートであることができ、この場合複数のシート層は、同一の材料ならびに異なる材料から完成されていてよい。本発明による変性されたポリマーは、殊にポリオレフィンシートの付着力を改善するために適している。この場合には、2つのポリオレフィン層の間の付着力の改善ならびに最も上のポリオレフィン層の付着力の改善(例えば、被覆/ラッカー塗布等のために)は、本発明による変性されたポリマーによって殊に可能である。多層シートは、配向されていてもよいし、配向されていなくともよい。多層プラスチックシートを配向する場合には、一軸、二軸または多軸の配向が存在していてよく、この場合配向軸は、シートの引抜方向に対して任意の角度であってよい。特殊な実施態様において、多層プラスチックシートは、複合シートである。この場合、本発明による変性されたポリマーは、卓越してポリマーシートと複合材料との付着を形成し、および/またはポリマーシートと複合材料との付着を改善するために適している。殊に、卓越した付着特性は、ポリオレフィン−アルミニウム複合体、ポリオレフィン−ガラス複合体、ポリオレフィン−紙/ボール紙複合体およびポリオレフィン/天然繊維複合体の場合に実現することができる。複合シートを接着する場合、1つ以上のシート層は、複合材料からなることができ、この場合複合材料は、連続的な形(例えば、紙、アルミニウムシート等)および/または非連続的な形(例えば、粒子および/または繊維)で存在することができる。
【0086】
殊に、本発明によりプラスチック包装材料を接着する場合には、一般にプラスチック表面の化学的前処理および/またはエネルギー的前処理(例えば、プラズマ処理、コロナ処理、エッチング、スルホン化等)は、付着の達成のためには不要である。
【0087】
木材用包装材料を接着する場合、木材用包装材料は、塊状の純粋な木材、純粋な木材の貼合せシート、プラスチック貼合せシート、MDF板および/または類似の木材状物質であることができる。この場合には、樹脂貧有木材または油貧有木材、例えばブナ材、オーク材等が使用されてよいが、しかし、樹脂富有木材または油富有木材、例えばチーク材、松材等が使用されてよい。殊に、接着力は、木材からの油および/または樹脂またはこれらの成分を接着境界層へ拡散させることによって本発明によるポリマーに対してあまり弱くならず、即ち長い貯蔵時間後でもなお高い接着剪断値を有する。多くの場合に通常の木材種中に含有されている天然の湿分によって、(接着層の厚さに依存して)接着層の急速で完全な架橋が達成され、このことは、本発明によるポリマーを使用しながらの木材接着の際に特に高い接着剪断強さを生じる。
【0088】
衛生用品を接着する場合には、原則的に全く制限は存在せず、例えばこの場合には、おむつ、生理帯、パット等が問題である。一般的な場合には、本発明による接着部によって多層構造体が形成され、この多層構造体は、異なる材料、例えばポリマーシートおよび不織布を含む。更に、湿分吸収性物質、例えばポリアクリル酸粒子(殊に、架橋されていないかまたは部分架橋された)は、接着部中に含有されていてよく、この接着部は、本発明による変性されたポリオレフィンによって反応的に接着層に結合されていてもよく、殊に本発明による変性されたポリオレフィンは、吸収剤層のためのマトリックス材料および/または下地材料としても適している。
【0089】
更に、本発明による接着部の使用分野は、構造的木材接着部、殊に縁部接着部および/または装飾紙外装部および/または装飾紙貼合せ部および/または取付け接着部(例えば、家具組立)である。この場合には、変性されていないポリオレフィンとは異なり、本発明によるポリマーの架橋によって高い温度負荷に耐えなければならないような接着部も可能である(例えば、ケーキの範囲内での貼合された作業面)。木材接着部の場合、使用される木材は、塊状の純粋な木材、純粋な木材の貼合せシート、プラスチック貼合せシート、MDF板および/または類似の木材状物質であることができる。この場合には、樹脂貧有木材または油貧有木材、例えばブナ材、オーク材等が使用されてよいが、しかし、樹脂富有木材または油富有木材、例えばチーク材、松材等が使用されてよい。殊に、接着力は、木材からの油および/または樹脂またはこれらの成分を接着境界層へ拡散させることによって本発明によるポリマーに対してあまり弱くならず、即ち長い貯蔵時間後でもなお高い接着剪断値を有する。接着部の場合、木材に関与して必然的に木材中に存在する湿分によって、特に完全な架橋が成功し、このことは、極端な抵抗能を有する接着部を生じる。
【0090】
本発明による変性されたポリマーは、該ポリマーが(他の添加剤なしに)耐候試験機(20℃/65%の相対空気湿度)中での少なくとも14日間の貯蔵時間後に純粋な木材接着部(木材種:処理されていないブナ材)中で少なくとも1.5N/mm2、有利に少なくとも2.0N/mm2、特に有利に少なくとも2.5N/mm2、殊に有利に少なくとも3.0N/mm2の接着剪断強さを有することを示す。42日間の貯蔵時間後に、(他の添加剤なしに)処理されていない木材試験体(ブナ材)上での接着剪断強さ少なくとも2.5N/mm2、有利に少なくとも3.5N/mm2、特に有利に少なくとも3.75N/mm2、殊に有利に少なくとも4N/mm2が達成される。
【0091】
更に、本発明による接着部の本質的な使用分野は、ガラス表面に関与する接着部である。
【0092】
この場合、前記の接着部は、湿分吸収性物質、例えばシリカゲル、モレキュラーシーブ、ポリアクリル酸粒子等を含有することができる。この場合には、特に多重ディスク絶縁ガラス複合体が問題である。このために、個々の構造とは無関係に、例えば他のスペーサーを用いてかまたは他のスペーサーを用いずに、当業者に公知の全ての種類の多重ディスク絶縁ガラス複合体が適している。
【0093】
更に、本発明による接着部の場合には、ガラス表面に関与して貼合せを実施することができる。
【0094】
更に、ガラス表面は、ガラス繊維の表面、例えばガラス繊維ケーブルの表面であることができ、例えばデータ回線および/または電話回線に使用される。
【0095】
本発明による変性されたポリオレフィンは、架橋されていない状態での該ポリオレフィンの可塑的変形可能性のために、特に良好にシーリング材料に使用することができるかまたはシーリング材料として使用することができ、殊に全部または部分的にガラス表面上に塗布されるようなシーリング材料に使用することができる。
【0096】
更に、本発明の実施態様において、接着すべき対象は、ラベルである。この場合、ラベルは、紙シート、プラスチックシート、金属シートおよび/または多層シートからなることができ、殊にラッカー塗布された、被覆された、アルマイト処理された、および/または別の方法で表面処理された金属缶、殊にブリキ缶ならびにガラス瓶またはプラスチック(殊にPET)瓶の目印のために使用される。殊に、ラベル接着部のための接着剤は、いわゆる"感圧性"接着剤(PSA)である。
【0097】
更に、本発明の実施態様において、接着部は、貼合せ部であり、この場合貼合せるべき表面は、無機材料および/または有機材料の表面、特に金属(例えば、鋼、アルミニウム、黄銅、銅、錫、亜鉛、エナメル)、ガラス、セラミックおよび/または無機建築材料、例えば開放気孔または密閉気孔を有するコンクリートからなる表面である。更に、表面は、木材、紙、ボール紙および/またはプラスチックであることができる。表面は、無機材料および有機材料(例えば、ガラス繊維複合材料)からなる複合材料であってもよい。この場合、対向被覆された貼合せシート材料は、無機天然材料および/または有機天然材料であることができる。対向被覆された無機貼合せシート材料の例は、超薄手のガラスディスク、セラミック膜および/または金属箔(例えば、アルミニウム箔)である。対向被覆された有機貼合せシート材料の相応する例は、紙、ボール紙、化粧張り木材、プラスチック(例えば、プラスチックシートとして)、天然織物および/または合成織物、不織布、人工皮革および/または天然皮革である。
【0098】
殊に、本発明による接着部は、自動車の内部空間内での接着部(例えば、日除け(Sichtblenden)、天井内張、荷物室カバー、内部空間の内装等)である。
【0099】
更に、本発明の特殊な実施態様において、カーペットおよび/または人工芝を製造するための接着部が問題である。殊に、ニップルおよびフィラメントを埋め込むための接着部が使用される。この場合、埋め込むべき繊維または繊維複合体は、天然繊維および/または合成繊維である。天然繊維または繊維複合体の例は、羊毛、綿花、サイザル麻、黄麻、わら、大麻、亜麻、生糸および/またはこれらの繊維からの混合物である。
【0100】
埋め込むべき合成繊維または繊維複合体の例は、(コ)ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、(コ)ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維および/またはこれらの繊維からの混合物である。人工芝接着部の場合には、接着部によって埋め込まれたフィラメントは、ポリプロピレンフィラメント、ポリエチレンフィラメント、ポリアミドフィラメント、ポリエステルフィラメントまたは記載されたプラスチックの混合フィラメントから選択されている。殊に、好ましいのは、ポリエチレンフィラメントおよび/またはポリプロピレンフィラメントである。殊に、人工芝接着部の範囲内で、フィラメントの高い抗張力(僅かな塗布質量の場合も)および架橋されていないポリマーならびに架橋されたポリマーの高い可撓性と一緒の、処理されていないポリエチレンおよび/またはポリプロピレン上での本発明による変性されたポリオレフィンの良好な付着力は、特殊な利点として挙げることができる。
【0101】
特に、接着部は、カーペットの背面被覆のために使用される。更に、付加的に織物支持体は、対向貼合せされてよい。
【0102】
得られたカーペット要素は、例えばいわゆる反物、タイルカーペットまたは事後に変形可能な自動車用カーペットである。ニップルおよびフィラメントを埋め込むための記載された用途において、含有された、本発明による変性されたポリオレフィンは、190℃での溶融粘度最大10000mPa*s、有利に最大8000mPa*s、特に有利に1000〜7000mPa*s、殊に有利に1250〜6500mPa*sを有する。塗布質量は、殊に20〜1500g/m2である。この場合、溶融接着剤材料の塗布は、有利にスプレー塗布、ナイフ塗布および/またはロール塗布または圧延塗布として行なわれる。他の例は、当業者の専門的な技能によるものである。
【0103】
更に、本発明による接着部は、靴接着部であることができ、この靴接着部は、例えば運動靴の範囲内で使用することができ、および/またはいわゆるシボ付けした皮革の製造に使用することができる。
【0104】
同様に、本発明による接着部は、いわゆる"感圧接着部"(PSA)である。この場合、含有されるポリマーおよび/または配合物成分の少なくとも1つが"冷たい流れ"(即ち、融点を有しないかまたは室温未満の融点を有する)を有することは、好ましい。冷たい流れを有する配合物成分は、例えばポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−ヘキセン−コ−1−オクテン)、ポリアクリレート等である。本発明による変性されたポリオレフィンを相応する感圧接着剤配合物中で架橋することによって、特に弾性の接着コンパウンドが製造される。
【0105】
書物接着部の場合には、一般に、書物結合の経過の際に行なわれる接着部が問題である。
【0106】
織物接着部の場合、多数の織物層は、点状または平面状で互いに結合されることができ、この場合接着すべき織物要素は、天然材料または合成材料を含むことができる。殊に、天然の織物要素は、羊毛、馬の毛、綿花、亜麻布、大麻、黄麻、サイザル麻、亜麻、わらおよび/または皮革である。好ましい合成織物要素は、成分としてポリプロピレン、ポリエチレン、(コ)ポリアミド、(コ)ポリエステル、ナイロン、ペルロンおよび/またはケフラー(Keflar(登録商標))を含む。殊に、接着すべき要素の1つ以上は、構造的パットである。特殊な実施態様において、本発明による接着剤配合物は、粉末の形で接着すべき織物層の間に導入され、熱エネルギー(例えば、アイロンプレス機)によって活性化される。
【0107】
同様に、本発明の本発明による実施態様において、本発明による変性されたポリオレフィンは、標識材料、被覆材料、防水シートまたは防水屋根材中に使用されてよい。
【0108】
本発明による標識材料は、既に成形材料または接着剤配合物の説明の際に記載された他の成分を含有することができる。例えば、本発明による標識材料は、道路標識材料として使用されてよい。
【0109】
被覆材料の場合には、例えばボール紙または紙の被覆のための被覆材料ならびにボール紙または紙を含有する複合材料の被覆が問題であり、この場合この複合材料は、他の材料成分として金属箔/金属層(例えば、アルミニウムを基礎とする)および/またはプラスチックシートを含有することもできる。
【0110】
更に、本発明によるポリマーは、防水シートへの使用に適している。この防水シート中には、本発明によるポリマーと共に他の成分が含有されていてよく、殊に他の成分は、別のポリマー、充填剤および瀝青である。防水シートの場合には、本発明による変性されたポリマーの含量は、防水シートに対して最大30質量%、有利に最大27質量%、特に有利に最大25質量%、殊に有利に最大22質量%である。殊に、防水シートは、防水屋根材である。
【0111】
更に、本発明による変性されたポリオレフィンは、プライマーとしての、付着助剤としての、またはプライマー配合物中および/または付着助剤配合物中への使用に適しており、この場合には、殊にハロゲン化有機成分を欠くことは、好ましい。殊に、本発明によるポリマーを含有するプライマー配合物および付着助剤配合物が使用され、処理されていないポリオレフィン表面上、殊に勝利されていないポリエチレンおよび/またはポリプロピレン上ならびにガラス表面上での有機被覆および/または有機接着剤の付着力が達成される。特殊な場合には、プライマー配合物および/または付着助剤配合物が下塗剤として、ポリプロピレン成形部材上、例えば自動車用緩衝器および/または外装部材上に施こされ、引続くラッカー塗布のよりいっそう良好な付着力を達成する。
【0112】
本発明によるプライマーまたはプライマー配合物中には、本発明による変性されたポリオレフィンと共に他の成分が含有されていてよい。殊に、室温で液状のプライマー/プライマー配合物中には、ヘテロ原子を有するかまたはヘテロ原子を有しない、環式炭化水素および/または直鎖状の脂肪族炭化水素および/または芳香族炭化水素が含有されており、相応するハロゲン化炭化水素の使用も可能である。しかし、特にハロゲン化炭化水素は、全く使用されない。室温で液状のプライマー/プライマー配合物において、記載された炭化水素は、最大95質量%、有利に最大93質量%、特に有利に最大90質量%、殊に有利に最大85質量%の配合物含量を有する。
【0113】
更に、本発明による変性されたポリオレフィンは、分散液、懸濁液および/または乳濁液中への使用に適している。記載された分散液、懸濁液および/または乳濁液中で、本発明によるポリオレフィンの含量は、全配合物に対して有利に10質量%を上廻る。
【0114】
本発明による変性されたポリオレフィンは、純粋な物質として、または記載された配合物の形(室温で固体である配合物の場合に)で接着すべき支持体上に、有利に溶融液の形で50℃〜300℃、特に100℃〜285℃、特に有利に130℃〜260℃、殊に有利に140〜250℃の温度で塗布される。加熱中または溶融中に、表面上でのゲル粒子の形成を阻止するために、保護ガス(例えば、窒素、アルゴン等)で包囲するかまたは覆うことは、望ましい。そのために、多種多様の塗布技術、例えば圧延塗布またはロール塗布、幅広スリットノズルによる塗布、ナイフ塗布、点塗布、マルチライン塗布(multiline−Auftrag)、ロトサーム(Rototherm)塗布、渦動法でのスプレー塗布、幅広面でのメルトブロー法(breitflaechig mit melt blow−Verfahren)またはエアアシスト噴霧法を操作することができる。本発明による変性されたポリマーをスプレー塗布で使用する場合には、殊に保護ガス(例えば、窒素、アルゴン等)を噴霧媒体として使用することは、好ましい。引続き、支持体は、いわゆる開放時間内で組み立てられ、この場合この開放時間の期間は、塗布される混合物の組成に依存する。塗布された接着剤が予熱された支持体、ロール等または放射線によって塗布温度に維持される場合には、勿論、支持体の組立のためには、長時間が使用される。
【0115】
前記系は、水によって架橋され;これは、使用者の要求および支持体の特性に応じて環境空気からの水蒸気により、蒸気処理または熱水処理によって、または配合物成分および/または支持体中に含有されている水によって行なわれる。
【0116】
また、当業者であれば、さらに実施することなく、上記の記載を最も広い範囲で利用しうることから出発する。それ故に、好ましい実施態様および実施例は、単に記載された開示内容として解釈すべきであり、決して何らかの形で開示内容を制限して解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】木材/木材接着部の試験において、公知技術水準と比較して本発明による系の引張剪断強さに関連する結果を示す略図。
【図2】PP/PP接着部の試験において、公知技術水準と比較して本発明による系の引張剪断強さに関連する結果を示す略図。
【0118】
次に、本発明は、実施例につき詳説される。本発明の選択可能な実施態様は、同様にして得られる。
【実施例】
【0119】
分析:
a)高温13C−NMR
ポリマー組成、(コ)モノマー立体規則度ならびにモノマーブッロクの数は、高温13C−NMRにより測定される。ポリマーの13C−NMR分光分析法は、例えば以下の文献に記載されている:

【0120】
b)レオロジー
レオロジー測定は、ASTM D 4440−01("プラスチックのための標準試験方法:動的機械的特性 メルトレオロジー")により板−板形状寸法(板直径:50mm)を有する、Anton Paar社の流動計MCR 501を使用して振動測定として行なわれる。最大試料変形率として、全ての測定において1%が使用され、温度依存測定は、1Hzの即低周波数および1.5K/分の冷却速度で実施される。
【0121】
試料の最大の変形は、試料が全体の測定時間の間に線形的な粘弾性範囲内にあるように選択する。従って、本発明によるポリマーは、とりわけこのポリマーの溶融液が粘弾性の挙動を示すことによって傑出している。粘弾性材料は、フック固体と比べて、変形から生ずる応力を所定の時間にわたって散逸により分解する(リラクゼーション)という性質の点で優れている。もっぱら不可逆的な歪みの剪断/伸びの作用下で影響を受けるニュートン液体とは異なり、粘弾性流体は、変形エネルギーの一部を、剪断力を除去した後に再回収することができる(いわゆる「記憶効果」)[N.P.Cheremisinoff;"An Introduction to Polymer Rheology and Processing"; CRC Press; London; 1993]。本発明によるポリマーの溶融液のさらなる特徴は、いわゆる構造粘性が生じることである。かかる構造粘性は、剪断応力が生ずる力として材料の出発構造を剪断速度に応じて分解する挙動を意味する。この分解工程は最小の剪断速度を必要とするので、材料は、この剪断速度並びにニュートン流動の下で流れる。ルシャトリエの原理は説明を提供し、その際、構造粘性液体の「待避(Ausweichen)」(機械的負荷の前)が剪断表面に沿った方向において摩擦抵抗の低下のために存在する。最後のものは、最初の状態の平衡構造の分解及び剪断延伸された構造の構成をもたらし、このことは軽減された流れ(粘度減少)を再度もたらす。ポリマー溶融液においては、極めて小さい剪断速度もしくは小さい剪断幅の場合にのみニュートン領域が認識可能である。この測定は、レオメトリー試験法(振幅「スイープ」、すなわち、剪断幅に依存した固定周波数での測定)により可能であり、かつ、測定が可逆的に、すなわち、再現可能な範囲内で実施されるのが望ましい場合に必要とされる[R.S.Lenk;"Rheologie der Kunstostoffe"; C.Hanser Verlag;Muenchen;1971;J.Meissner;"Rheologisches Verhalten von Kunststoff−Schmelzen und −Loesungen" in:"Praktische Rheologie der Kunststoffe"; VDI−Verlag; Duesseldorf; 1978; J.−F.Jansson; Proc.8th.Int.Congri.Rheol.; 1980; Vol.3]。この振動レオメトリーは、その小さい力作用、その小さい変形およびそれゆえに試料形態に対する小さい作用のために、構造粘性挙動を示す材料の試験に特に良好に好適である。変性されたポリマーは、本発明の場合に常に他の添加剤なしに架橋されていない状態で測定され、この場合には、有利に測定中に乾燥保護ガスまたは不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン等)で覆われる。本発明による変性されたポリオレフィンの架橋によって、(1分子当たりの)モル質量の形成を生じ、このことは、結果として溶融粘度の上昇を生じる。この場合、この上昇の基準は、なかんずく使用されるモノマー、試験体の厚さ、架橋促進剤の濃度およびグラフト化度(即ち、グラフト化された湿潤架橋性基の量)により左右される。高いグラフト化度を有する完全に架橋された、本発明による変性されたポリマーは、なお極めて高い温度でのみ溶融するかまたは全く溶融せず、或る程度のゴム弾性を有する(即ち、記憶モジュールは、極めて幅広い温度範囲内で損失モジュールを著しく上廻る)。
【0122】
c)針入深さ(PEN)
針入深さは、DIN EN 1426により測定される。変性されたポリマーは、本発明の場合に常に他の添加剤なしに架橋されていない状態で測定され、この場合には、有利に測定中に乾燥保護ガスまたは不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン等)で覆われる。本発明によるポリオレフィンの架橋によって、ポリマー分子間での架橋を生じ、この場合このポリマー分子は、材料特性、例えば針入深さの変化を生じさせる。この場合、この上昇の基準は、なかんずく使用されるモノマー、架橋促進剤の濃度およびグラフト化度(即ち、グラフト化された湿潤架橋性基の量)により左右される。この場合、針入深さは、一般に架橋進行が増大するにつれて減少する。
【0123】
d)DSC
結晶分の溶融エンタルピー、ガラス転移温度および溶融範囲は、示差走査熱量測定(DSC)によって加熱速度10K/分で第2の加熱曲線からDIN53765に従って測定される。熱流曲線の変曲点は、ガラス転移温度として評価される。変性されたポリマーは、本発明の場合に常に他の添加剤なしに架橋されていない状態で測定され、この場合には、有利に測定中に乾燥保護ガスまたは不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン等)で覆われる。本発明によるポリオレフィンの架橋によって、ポリマー分子間での結合を生じ、この場合このポリマー分子は、材料特性、例えばガラス転移温度、単数または複数の融点および溶融エンタルピーの変化を生じさせる。この場合、この変化の基準は、なかんずく使用されるモノマー、試料の厚さ、架橋促進剤の濃度およびグラフト化度(即ち、グラフト化された湿潤架橋性基の量)により左右される。一般に、本発明による変性されたポリオレフィンの場合には、架橋が増大すると上昇するガラス転移温度、上昇する融点および減少する溶融エンタルピーから出発することができる。高いグラフト化度を有する、完全に架橋された、本発明による変性されたポリマーは、なお極めて高い温度でのみ溶融するかまたは全く溶融せず、架橋されていない変性されたポリオレフィンと比較して、例えば変性された本発明によるポリオレフィンは、極めて弱いガラス転移だけを有するかまたは全くガラス転移を有さず、なお極めてよりいっそう僅かな溶融エンタルピーだけを有するかまたは全く溶融エンタルピーを有しない。
【0124】
e)引張強さおよび引裂時の伸び
引張強さおよび引裂時の伸びは、DIN EN ISO 527−3に従って測定される。本発明によるポリオレフィンを架橋することによって、ポリマー分子間で結合を生じ、この場合このポリマー分子は、材料特性、例えば引張強さおよび引裂時の伸びの変化を生じさせる。この場合、この変化の基準は、なかんずく使用されるモノマー、試料の厚さ、架橋促進剤の濃度およびグラフト化度(即ち、グラフト化された湿潤架橋性基の量)により左右される。一般に、本発明による変性されたポリオレフィンの場合には、架橋が増大すると、引張強さの上昇を生じる。引裂時の伸びは、使用されるグラフトモノマーおよび使用される反応条件に応じて、原理的に架橋が増大すると上昇してもよいし、減少してもよい。
【0125】
f)軟化点(環球法)
軟化点は、環球法により、DIN EN 1427に従って測定される。変性されたポリマーは、本発明の場合に常に他の添加剤なしに架橋されていない状態で測定され、この場合には、有利に測定中に乾燥保護ガスまたは不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン等)で覆われる。本発明によるポリオレフィンの架橋によって、ポリマー分子間での結合を生じ、この場合このポリマー分子は、材料特性、例えば軟化温度の変化を生じさせる。この場合、この変化の基準は、なかんずく使用される単数または複数のモノマー、試料の厚さ、架橋促進剤の濃度およびグラフト化度(即ち、グラフト化された湿潤架橋性基の量)により左右される。一般に、本発明による変性されたポリオレフィンの場合には、架橋が増大すると、軟化点の上昇を生じる。高いグラフト化度を有する、完全に架橋された、本発明による変性されたポリマーは、なお極めて高い温度でのみ軟化するかまたは全く軟化しない(概念規定による)。
【0126】
g)接着剪断強さ
接着剪断強さは、DIN EN 1465に従って測定される。使用される全ての試験体は、試料調整前に清浄化され、および脱塵される。全てのプラスチック体は、付加的に試料調整前に適した清浄化剤で脱脂される。全ての清浄化され、脱塵され、および脱脂された試験体は、使用前に耐候試験機中で20℃および20%の相対空気湿度で貯蔵される。それによって、例えば木材試験体の場合に均一な含水量が達成される。高められた湿分によって必然的に引き起こされた、例えば親水性ポリマーまたは加水分解敏感性のポリマーの特異的な効果は、こうして排除されるかまたは最小化される。本発明によるポリオレフィンの架橋によって、ポリマー分子間の結合を生じ、この場合このポリマー分子は、材料特性、例えば接着剪断強さの変化を生じさせる。これは、なかんずく、架橋されていない状態で接着剪断強さの試験の際に凝集破壊(接着層内での材料不能)が確認された場合に当てはまる。この場合、この変化の基準は、なかんずく使用される単数または複数のグラフトモノマー、接着層の厚さ、架橋促進剤の濃度およびグラフト化度(即ち、グラフト化された湿潤架橋性基の量)により左右される。一般に、本発明による変性されたポリオレフィンの場合、架橋が増大すると接着剪断強さの上昇を生じ、それというのも、一面で試料表面上への反応的結合(改善された付着)が生じ、他面、モル質量の形成(改善された凝集)が生じる。
【0127】
h)RFA分光分析法
アルミニウム外殻中に注型されかつ硬化された試験片を鉄製ポンチ(直径30mm)で打ち抜く。この測定は、二重測定として行なわれる。ポリマー試験片の層厚は、5mm超である。この試験片を試験片ホルダー中に位置付け、および測定する(測定器:PANalytical PW 2404)。定量的測定をボラックスタブレット(Borax−Tabletten)中のSiの外部較正に対して行なう。
【0128】
i)キシレン溶解度
キシレン−異性体混合物を使用し、その際、ポリマーを還流下で溶解させ、次いでこの溶液を室温に冷却する。ポリオレフィン2gをキシレン250ml中に、撹拌下で、かつキシレンの沸点まで加熱させつつ溶解させる。20分間、還流下で煮沸させた後に、このポリマー溶液を25℃に冷却する。溶解されていないポリオレフィンまたは沈殿したポリオレフィンを濾別し(15cmの吸引漏斗、Sartorius 390−濾紙)、および乾燥させる。上方に留まるポリマー溶液を、5倍過剰のメタノール(37%水性HClの液滴と混合した)中で析出沈殿させる。生じる沈殿物を濾別し、および80℃で乾燥キャビネット(真空)中で乾燥させる。変性されたポリマーは、本発明の場合には、有利に他の添加剤なしに架橋されていない状態で測定され、この場合には、同様に有利に溶解試験に使用される変性されたポリマーの貯蔵は、乾燥保護ガス/不活性ガスの下で行なわれる。本発明によるポリオレフィンの架橋によって、ポリマー分子間での結合を生じ、この場合このポリマー分子は、材料特性、例えば溶解度の変化を生じさせる。この場合、この変化の基準は、なかんずく使用される単数または複数のグラフトモノマー、溶解試験に使用されるポリマー粒子の厚さ、架橋促進剤の濃度およびグラフト化度(即ち、グラフト化された湿潤架橋性基の量)により左右される。一般に、本発明による変性されたポリオレフィンの場合には、架橋が増大すると、溶解度の著しい減少を生じる。高いグラフト化度を有する、完全に架橋された、本発明による変性されたポリマーの場合には、一般にむしろ或る程度の膨潤能よりも少ない溶解度が観察される。
【0129】
j)THF中での溶解度
THF中での溶解度は、部分結晶性ポリオレフィンの1つの特徴である。実施は、キシレン中での溶解試験と同様に行なう。架橋度の影響に関連して、キシレンの場合には、前記のことは、少なくとも低度の差こそあれ、THFにも当てはまる。
【0130】
この場合、記載された測定法は、グラフト化すべき基礎ポリマーが問題であるかまたは本発明によるポリオレフィンが問題であるかとは無関係に、本発明の範囲内での全ての測定に関連する。
【0131】
例:
本発明による基礎ポリマーおよび本発明によらない比較例
基礎ポリマー(本発明による例No.3〜6)を、アルミニウムで還元されたTiCl4(TiCl3*0.33AlCl3)の形での結晶性塩化チタンとアルミニウムトリイソブチルとからなる混合コンタクト(質量比1:4)を使用して製造する。第1表中に記載されたモノマーを、溶剤のn−ブタン中で70℃で実験室用オートクレーブ中で重合し、この場合には、目的のモル質量に応じて異なる量の水素をモル質量調整剤として使用する。10〜36バールの圧力が生じる。モノマーのエテンおよびプロペンを3時間の反応時間中に連続的に供給し、モノマーの1−ブテンを使用される溶剤と一緒に装入する。3時間後に、この反応混合物をイソプロパノールと混合し、これにより反応を停止させる。蒸発器中で、変換されていないモノマーならびに溶剤のn−ブタンを蒸発させる。ポリマーを溶融し、および190℃の温度で充填する。
【0132】
【表1】

【0133】
2.本発明による変性されたポリマー:
溶融液中での本発明による変性されたポリオレフィンの製造:
部分結晶性ポリオレフィン(組成および材料パラメーターは、第1表を参照のこと)を二軸押出機(Berstorff ZE40)中でモノマーのビニルトリメトキシシランおよび開始剤の過酸化ジクミル(量は、第2表を参照のこと)と、一定の反応温度(第2表参照)で約90秒間(VWZ)混合する。過剰のモノマーを押出機の最後の帯域中で約20ミリバールの真空で蒸発させる。引続き、安定化をIRGANOX 1076 約0.3質量%によって行なう。
【0134】
【表2】

【0135】
【表3】

【0136】
3.溶液中での本発明による変性されたポリオレフィンの製造
部分結晶性ポリオレフィン150g(組成および材料パラメーターは、第1表を参照のこと)を実験室用反応器中で溶剤750g(種類は、第3表を参照のこと)中に溶解し、および一定の反応温度(第3表)にもたらす。引続き、開始剤1.85gならびにモノマー18.75g(種類は、第3表を参照のこと)を120分間の反応時間で連続的に供給する。供給に引き続いて、30分間の後反応段階を行なう。溶剤および残留モノマーを蒸発器により分離する。
【0137】
【表4】

【0138】
4.他の添加剤なしの接着部
a)木材接着部
本発明による変性されたポリオレフィンを190℃で乾燥キャビネット中で保護ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン等)の下で1時間溶融し、引続き170℃の温度で(サーモセンサーを用いて)木材試験体(木材種:ブナ材 塊状)上に塗布する。この木材試験体を20秒間で他の木材試験体(木材種:ブナ材 塊状)と4cm2の面積で繋ぎ合わせて1つに組み立て、および5分間、2kgの重さで接合するように加圧する。突き出る接着ポリマーを除去する。引続き、接着サンプルを20℃/65%の相対空気湿度で一定数の日数の間、耐候試験機中に貯蔵し、引続き引張試験により接着サンプルの機械的性質について試験する。
【0139】
図1は、公知技術水準と比較して本発明による系の引張剪断強さに関連する結果を示す。本発明によらない例7および8と比較して、既に明らかに短い貯蔵時間または架橋時間の後に明らかによりいっそう高い(+700%まで)接着剪断値が達成され、このことは、木材表面への明らかに良好な結合および接着層内でのよりいっそう高い架橋密度に帰因しうる。
【0140】
b)ポリプロピレン接着部:
本発明による変性されたポリオレフィンを190℃で乾燥キャビネット中で保護ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン等)の下で1時間溶融し、引続き170℃の温度で(サーモセンサーを用いて)ポリプロピレン試験体(アイソタクチックプロピレン、"PP−DWST7"製造業者:Simona AG社)上に塗布する。
【0141】
このポリプロピレン試験体を20秒間で他のポリプロピレン試験体(アイソタクチックポリプロピレン、"PP−DWST7 製造業者:Simona AG社)と4cm2の面積で繋ぎ合わせて1つに組み立て、および5分間、2kgの重さで接合するように加圧する。突き出る接着ポリマーを除去する。引続き、接着サンプルを20℃/65%の相対空気湿度で一定数の日数の間、耐候試験機中に貯蔵し、引続き引張試験により接着サンプルの機械的性質について試験する。
【0142】
図2は、公知技術水準と比較して本発明による系の引張剪断強さに関連する結果を示す。
【0143】
5.架橋触媒を用いての接着部
a)PMMAの接着部/被覆
本発明による変性されたポリオレフィン100g宛を乾燥キャビネット中で180℃で保護ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン等)の下で1時間溶融する。引続き、熱い溶融液を有する用量をヒートプレート上で混練機を備えたIKA攪拌機を用いて攪拌する。170℃でDBTLマスターバッチ5g(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa Gmbh、およびジブチル錫ジラウレート2質量%からなる)を添加し、および15分間均質化する。引続き、ポリマー溶融液を一定の接着温度で(サーモセンサーを用いて)ポリメチルメタクリレート試験体(成形材料"7N"、Evonik Roehm GmbH社)上に塗布する。このポリメチルメタクリレート試験体を20秒間で他のポリメチルメタクリレート試験体(成形材料"7N"、Evonik Roehm GmbH社)と4cm2の面積で繋ぎ合わせて1つに組み立て、および5分間、2kgの重さで接合するように加圧する。突き出る接着ポリマーを除去する。引続き、接着サンプルを20℃/65%の相対空気湿度で14日間、耐候試験機中に貯蔵し、引続き引張試験により接着サンプルの機械的性質について試験する。
【0144】
170℃の接着温度で、次に結果が達成される:
例9による、本発明による変性されたポリオレフィン:0.55N/mm2
例10による、本発明による変性されたポリオレフィン:0.80N/mm2
【0145】
接着フィルムは、試験後に残留物不含であるようにPMMA表面から剥離することができる。
【0146】
240℃の接着温度で、次に結果が達成される:
例9による、本発明による変性されたポリオレフィン:0.70N/mm2
例10による、本発明による変性されたポリオレフィン:1.1N/mm2
【0147】
接着フィルムは、試験後に残留物不含であるようにPMMA表面から剥離することができる。
【0148】
従って、接着温度を上昇させることによって、本発明による変性されたポリオレフィンを使用する場合に、接着剪断強さの明らかな上昇(+40%まで)を達成させることができ、この場合PMMA表面は、攻撃されることはない。
【0149】
b)樹脂含有/油含有木材の接着部
本発明による変性されたポリオレフィン100g宛を乾燥キャビネット中で180℃で保護ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン等)の下で1時間溶融する。引続き、熱い溶融液を有する用量をヒートプレート上で混練機を備えたIKA攪拌機を用いて攪拌する。170℃でDBTLマスターバッチ5g(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa Gmbh、およびジブチル錫ジラウレート2質量%からなる)を添加し、および15分間均質化する。引続き、ポリマー溶融液を一定の接着温度で(サーモセンサーを用いて)木材試験体(木材種:松材またはチーク材)上に塗布する。この木材試験体を20秒間でそれぞれ同じ木材種(即ち、松材またはチーク材)の他の木材試験体と4cm2の面積で繋ぎ合わせて1つに組み立て、および5分間、2kgの重さで接合するように加圧する。突き出る接着ポリマーを除去する。引続き、接着サンプルを20℃/65%の相対空気湿度で14日間または28日間、耐候試験機中に貯蔵し、引続き引張試験により接着サンプルの機械的性質について試験する(表参照)。
【0150】
【表5】

【0151】
c)ポリ塩化ビニルの接着部
本発明による変性されたポリオレフィン100g宛を乾燥キャビネット中で180℃で保護ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン等)の下で1時間溶融する。引続き、熱い溶融液を有する用量をヒートプレート上で混練機を備えたIKA攪拌機を用いて攪拌する。170℃でDBTLマスターバッチ5g(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa Gmbh、およびジブチル錫ジラウレート2質量%からなる)を添加し、および15分間均質化する。引続き、ポリマー溶融液を一定の接着温度で(サーモセンサーを用いて)ポリ塩化ビニル試験体(ケマドゥーア(Koemadur)、製造業者:Profine GmbH社 Koemmerling プラスチック)上に塗布する。このポリ塩化ビニル試験体を20秒間で他のポリ塩化ビニル試験体(ケマドゥーア(Koemadur)、製造業者:Profine GmbH社 Koemmerling プラスチック)と4cm2の面積で繋ぎ合わせて1つに組み立て、および5分間、2kgの重さで接合するように加圧する。突き出る接着ポリマーを除去する。引続き、接着サンプルを20℃/65%の相対空気湿度で14日間、耐候試験機中に貯蔵し、引続き引張試験により接着サンプルの機械的性質について試験する。変性されていないVESTOPLAST 750(本発明によらない、Evonik Degussa GmbH社)を使用する場合、0.62N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0152】
例9(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、1.14N/mm2の接着剪断強さが測定される。例10(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、1.34N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0153】
d)ポリエチレンの接着部
本発明による変性されたポリオレフィン100g宛を乾燥キャビネット中で180℃で保護ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン等)の下で1時間溶融する。引続き、熱い溶融液を有する用量をヒートプレート上で混練機を備えたIKA攪拌機を用いて攪拌する。170℃でDBTLマスターバッチ5g(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa Gmbh、およびジブチル錫ジラウレート2質量%からなる)を添加し、および15分間均質化する。引続き、ポリマー溶融液を一定の接着温度で(サーモセンサーを用いて)ポリエチレン試験体("PE−HWST"、製造業者:Simona AG社)上に塗布する。
【0154】
このポリエチレン試験体を20秒間で他のポリエチレン試験体("PE−HWST"、製造業者:Simona AG社)と4cm2の面積で繋ぎ合わせて1つに組み立て、および5分間、2kgの重さで接合するように加圧する。突き出る接着ポリマーを除去する。引続き、接着サンプルを20℃/65%の相対空気湿度で14日間、耐候試験機中に貯蔵し、引続き引張試験により接着サンプルの機械的性質について試験する。変性されていないVESTOPLAST 750(本発明によらない、Evonik Degussa GmbH社)を使用する場合、0.69N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0155】
例9(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、0.83N/mm2の接着剪断強さが測定される。例10(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、1.20N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0156】
e)ポリ(エチレンテレフタレート)の接着部
本発明による変性されたポリオレフィン100g宛を乾燥キャビネット中で180℃で保護ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン等)の下で1時間溶融する。引続き、熱い溶融液を有する用量をヒートプレート上で混練機を備えたIKA攪拌機を用いて攪拌する。170℃でDBTLマスターバッチ5g(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa Gmbh、およびジブチル錫ジラウレート2質量%からなる)を添加し、および15分間均質化する。引続き、ポリマー溶融液を一定の接着温度で(サーモセンサーを用いて)ポリエチレンテレフタレート試験体("Axpet clear 099"、製造業者:Bayer Polymers社)上に塗布する。このポリエチレンテレフタレート試験体を20秒間で他のポリエチレンテレフタレート試験体("Axpet clear 099"、製造業者:Bayer Polymers社)と4cm2の面積で繋ぎ合わせて1つに組み立て、および5分間、2kgの重さで接合するように加圧する。突き出る接着ポリマーを除去する。引続き、接着サンプルを20℃/65%の相対空気湿度で14日間、耐候試験機中に貯蔵し、引続き引張試験により接着サンプルの機械的性質について試験する。変性されていないVESTOPLAST 750(本発明によらない、Evonik Degussa GmbH社)を使用する場合、0.4N/mm2の接着剪断強さが測定される。例9(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、1.23N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0157】
例10(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、1.54N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0158】
f)ポリカーボネートの接着部
本発明による変性されたポリオレフィン100g宛を乾燥キャビネット中で180℃で保護ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン等)の下で1時間溶融する。引続き、熱い溶融液を有する用量をヒートプレート上で混練機を備えたIKA攪拌機を用いて攪拌する。170℃でDBTLマスターバッチ5g(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa Gmbh、およびジブチル錫ジラウレート2質量%からなる)を添加し、および15分間均質化する。引続き、ポリマー溶融液を一定の接着温度で(サーモセンサーを用いて)ポリカーボネート試験体("Makrolon mono"、製造業者:Bayer Polymers社)上に塗布する。
【0159】
このポリカーボネート試験体を20秒間で他のポリカーボネート試験体("Makrolon mono"、製造業者:Bayer Polymers社)と4cm2の面積で繋ぎ合わせて1つに組み立て、および5分間、2kgの重さで接合するように加圧する。突き出る接着ポリマーを除去する。引続き、接着サンプルを20℃/65%の相対空気湿度で14日間、耐候試験機中に貯蔵し、引続き引張試験により接着サンプルの機械的性質について試験する。変性されていないVESTOPLAST 750(本発明によらない、Evonik Degussa GmbH社)を使用する場合、0.21N/mm2の接着剪断強さが測定される。例9(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、0.68N/mm2の接着剪断強さが測定される。例10(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、1.15N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0160】
g)ポリアミド−6の接着部
本発明による変性されたポリオレフィン100g宛を乾燥キャビネット中で180℃で保護ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン等)の下で1時間溶融する。引続き、熱い溶融液を有する用量をヒートプレート上で混練機を備えたIKA攪拌機を用いて攪拌する。170℃でDBTLマスターバッチ5g(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa Gmbh、およびジブチル錫ジラウレート2質量%からなる)を添加し、および15分間均質化する。引続き、ポリマー溶融液を一定の接着温度で(サーモセンサーを用いて)ポリアミド−6試験体("Sustamid 6"、製造業者:Cadlillac Plastic社)上に塗布する。
【0161】
このポリアミド−6試験体を20秒間で他のポリアミド−6試験体("Sustamid 6"、製造業者:Cadlillac Plastic社)と4cm2の面積で繋ぎ合わせて1つに組み立て、および5分間、2kgの重さで接合するように加圧する。突き出る接着ポリマーを除去する。引続き、接着サンプルを20℃/65%の相対空気湿度で14日間、耐候試験機中に貯蔵し、引続き引張試験により接着サンプルの機械的性質について試験する。変性されていないVESTOPLAST 750(本発明によらない、Evonik Degussa GmbH社)を使用する場合、0.62N/mm2の接着剪断強さが測定される。例9(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、1.29N/mm2の接着剪断強さが測定される。例10(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、2.04N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0162】
h)高い耐衝撃性のポリスチレンの接着部
本発明による変性されたポリオレフィン100g宛を乾燥キャビネット中で180℃で保護ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン等)の下で1時間溶融する。引続き、熱い溶融液を有する用量をヒートプレート上で混練機を備えたIKA攪拌機を用いて攪拌する。170℃でDBTLマスターバッチ5g(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa Gmbh、およびジブチル錫ジラウレート2質量%からなる)を添加し、および15分間均質化する。引続き、ポリマー溶融液を一定の接着温度で(サーモセンサーを用いて)ポリスチレン試験体("METZO(登録商標)Plast SB/HK"、製造業者:Metzeier Plastics GmbH社)上に塗布する。このポリスチレン試験体を20秒間で他のポリスチレン試験体("METZO(登録商標)Plast SB/HK"、製造業者:Metzeier Plastics GmbH社)と4cm2の面積で繋ぎ合わせて1つに組み立て、および5分間、2kgの重さで接合するように加圧する。突き出る接着ポリマーを除去する。引続き、接着サンプルを20℃/65%の相対空気湿度で14日間、耐候試験機中に貯蔵し、引続き引張試験により接着サンプルの機械的性質について試験する。変性されていないVESTOPLAST 750(本発明によらない、Evonik Degussa GmbH社)を使用する場合、0.31N/mm2の接着剪断強さが測定される。例9(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、0.82N/mm2の接着剪断強さが測定される。例10(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、1.62N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0163】
k)ABSの接着部
本発明による変性されたポリオレフィン100g宛を乾燥キャビネット中で180℃で保護ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン等)の下で1時間溶融する。引続き、熱い溶融液を有する用量をヒートプレート上で混練機を備えたIKA攪拌機を用いて攪拌する。170℃でDBTLマスターバッチ5g(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa Gmbh、およびジブチル錫ジラウレート2質量%からなる)を添加し、および15分間均質化する。引続き、ポリマー溶融液を一定の接着温度で(サーモセンサーを用いて)ABS試験体("METZO(登録商標)PLAST ABS/G"、製造業者:Metzeier Plastics GmbH社)上に塗布する。
【0164】
このABS試験体を20秒間で他のABS試験体("METZO(登録商標)PLAST ABS/G"、製造業者:Metzeier Plastics GmbH社)と4cm2の面積で繋ぎ合わせて1つに組み立て、および5分間、2kgの重さで接合するように加圧する。突き出る接着ポリマーを除去する。引続き、接着サンプルを20℃/65%の相対空気湿度で14日間、耐候試験機中に貯蔵し、引続き引張試験により接着サンプルの機械的性質について試験する。
【0165】
変性されていないVESTOPLAST 750(本発明によらない、Evonik Degussa GmbH社)を使用する場合、0.23N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0166】
例9(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、1.19N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0167】
例10(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、2.0N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0168】
l)鋼の接着部
本発明による変性されたポリオレフィン100g宛を乾燥キャビネット中で180℃で保護ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン等)の下で1時間溶融する。引続き、熱い溶融液を有する用量をヒートプレート上で混練機を備えたIKA攪拌機を用いて攪拌する。170℃でDBTLマスターバッチ5g(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa Gmbh、およびジブチル錫ジラウレート2質量%からなる)を添加し、および15分間均質化する。引続き、ポリマー溶融液を一定の接着温度で(サーモセンサーを用いて)鋼試験体(特殊鋼1.4301、寸法:100mm×20mm×1.5mm)上に塗布する。この鋼試験体を20秒間で他の鋼試験体(特殊鋼1.4301、寸法:100mm×20mm×1.5mm)と4cm2の面積で繋ぎ合わせて1つに組み立て、および5分間、2kgの重さで接合するように加圧する。突き出る接着ポリマーを除去する。引続き、接着サンプルを20℃/65%の相対空気湿度で14日間、耐候試験機中に貯蔵し、引続き引張試験により接着サンプルの機械的性質について試験する。
【0169】
変性されていないVESTOPLAST 750(本発明によらない、Evonik Degussa GmbH社)を使用する場合、0.36N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0170】
例9(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、0.41N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0171】
例10(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、0.66N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0172】
m)アルミニウムの接着部
本発明による変性されたポリオレフィン100g宛を乾燥キャビネット中で180℃で保護ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン等)の下で1時間溶融する。引続き、熱い溶融液を有する用量をヒートプレート上で混練機を備えたIKA攪拌機を用いて攪拌する。170℃でDBTLマスターバッチ5g(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa Gmbh、およびジブチル錫ジラウレート2質量%からなる)を添加し、および15分間均質化する。引続き、ポリマー溶融液を一定の接着温度で(サーモセンサーを用いて)アルミニウム試験体(99.5、寸法:100mm×20mm×1.5mm)上に塗布する。このアルミニウム試験体を20秒間で他のアルミニウム試験体(99.5、寸法:100mm×20mm×1.5mm)と4cm2の面積で繋ぎ合わせて1つに組み立て、および5分間、2kgの重さで接合するように加圧する。突き出る接着ポリマーを除去する。引続き、接着サンプルを20℃/65%の相対空気湿度で14日間、耐候試験機中に貯蔵し、引続き引張試験により接着サンプルの機械的性質について試験する。変性されていないVESTOPLAST 750(本発明によらない、Evonik Degussa GmbH社)を使用する場合、0.26N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0173】
例9(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、0.3N/mm2の接着剪断強さが測定される。例10(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、0.36N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0174】
n)銅の接着部
本発明による変性されたポリオレフィン100g宛を乾燥キャビネット中で180℃で保護ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン等)の下で1時間溶融する。引続き、熱い溶融液を有する用量をヒートプレート上で混練機を備えたIKA攪拌機を用いて攪拌する。170℃でDBTLマスターバッチ5g(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa Gmbh、およびジブチル錫ジラウレート2質量%からなる)を添加し、および15分間均質化する。引続き、ポリマー溶融液を一定の接着温度で(サーモセンサーを用いて)銅試験体(SF−CUF24、寸法:100mm×20mm×1.5mm)上に塗布する。この銅試験体を20秒間で他の銅試験体(SF−CUF24、寸法:100mm×20mm×1.5mm)と4cm2の面積で繋ぎ合わせて1つに組み立て、および5分間、2kgの重さで接合するように加圧する。突き出る接着ポリマーを除去する。引続き、接着サンプルを20℃/65%の相対空気湿度で14日間、耐候試験機中に貯蔵し、引続き引張試験により接着サンプルの機械的性質について試験する。
【0175】
変性されていないVESTOPLAST 750(本発明によらない、Evonik Degussa GmbH社)を使用する場合、0.27N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0176】
例9(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、0.30N/mm2の接着剪断強さが測定される。例10(本発明による)に記載の変性されたポリオレフィンを使用する場合、0.36N/mm2の接着剪断強さが測定される。
【0177】
6.本発明によるポリマーを有する接着剤/シール材料のための配合物の例
優先的方法:
本発明による変性されたポリオレフィンを190℃で乾燥キャビネット中で保護ガス雰囲気(例えば、窒素、アルゴン等)の下で1時間溶融した後、配合物成分を添加し、場合によっては溶融し、次に適した混合装置(例えば、ヒートプレート上で混練機を備えたIKA攪拌機を用いて)を用いて均質になるように混合する。
【0178】
強化されていない成形材料
例15に記載の、本発明による変性されたポリオレフィン74.8質量%、
DBTLマスターバッチ5質量%(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa GmbH社、ジブチル錫ジラウレート2質量%)、
アイソタクチックプロピレン20質量%(例えば、SABIC PP 520 P、Sabic社)、
IRGANOX 1076 0.2質量%(オクタデシル−3,5−ジ−(第三ブチル)−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、Ciba社)。
【0179】
繊維強化された成形材料
例16に記載の、本発明による変性されたポリオレフィン59.8質量%、
ガラス繊維5質量%(例えば、Owen Corning CS429YZ)、
DBTLマスターバッチ5質量%(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa GmbH社、ジブチル錫ジラウレート2質量%)、
アイソタクチックポリプロピレン30質量%(例えば、SABIC PP 520 P、Sabic社)、
IRGANOX 1076 0.2質量%(オクタデシル−3,5−ジ−(第三ブチル)−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、Ciba社)。
【0180】
ガラス繊維を使用前に550℃で炉内で1時間、熱分解的に脱サイズする。
【0181】
保護材料(自動車の床下張りの保護)
例9に記載の、本発明による変性されたポリオレフィン40質量%、
部分結晶性ポリオレフィン39.3質量%(VESTOPLAST 708、Evonik Degussa GmbH社)、
DBTLマスターバッチ5質量%(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa GmbH社、ジブチル錫ジラウレート2質量%)、
低粘稠なポリブタジエン油10質量%(例えば、ポリオール 110)、
ガラス繊維5質量%(例えば、Owen Corning CS429YZ)、
カーボンブラック0.5質量%(例えば、Printex 60)、
IRGANOX 1076 0.2質量%(オクタデシル−3,5−ジ−(第三ブチル)−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、Ciba社)。
【0182】
シール材料 絶縁ガラス
例10に記載の、本発明による変性されたポリオレフィン46.3質量%、
DBTLマスターバッチ5質量%(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa GmbH社、ジブチル錫ジラウレート2質量%)、
ブチルゴム20質量%、
ゼオライト、3A 20質量%、
部分結晶性ポリオレフィン5質量%(VESTOPLAST(登録商標) 750、Evonik Degussa GmbH社)、
カーボンブラック3質量%(例えば、Printex 60)、
有機シラン0.5質量%(例えば、Dynasilan GLYMO、Evonik Degussa GmbH社)、
IRGANOX 1076 0.2質量%(オクタデシル−3,5−ジ−(第三ブチル)−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、Ciba社)。
【0183】
自動車の内部空間のための溶融接着剤
例9に記載の、本発明による変性されたポリオレフィン72.8質量%、
DBTLマスターバッチ5質量%(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa GmbH社、ジブチル錫ジラウレート2質量%)、
炭化水素樹脂15質量%(例えば、ESCOREZ 5300、ExxonMobil Chemical社)、
ロジンエステル2質量%(FORAL 105)、
ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)5質量%(例えば、ESCORENE MV02514)、
IRGANOX 1076 0.2質量%(オクタデシル−3,5−ジ−(第三ブチル)−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、Ciba社)。
【0184】
靴接着部のための溶融接着剤
例14に記載の、本発明による変性されたポリオレフィン49.8質量%、
DBTLマスターバッチ5質量%(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa GmbH社、ジブチル錫ジラウレート2質量%)、
部分結晶性ポリオレフィン20質量%(VESTOPLAST(登録商標) 4.8、Evonik Degussa GmbH社)、
炭化水素樹脂15質量%(例えば、ESCOREZ 5300、ExxonMobil Chemical社)、
ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)5質量%(例えば、ESCORENE UL15028)、
部分結晶性ポリエチレンワックス2質量%(VESTOWAX A227、EvonikDegussa GmbH社)、
方解石3質量%、
IRGANOX 1076 0.2質量%(オクタデシル−3,5−ジ−(第三ブチル)−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、Ciba社)。
【0185】
書物接着部のための溶融接着剤
VESTOPLAST 408(登録商標)45.7質量%、Evonik Degussa GmbH社、
例11に記載の、本発明による変性されたポリオレフィン30質量%、
DBTLマスターバッチ5質量%(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa GmbH社、ジブチル錫ジラウレート2質量%)、
飽和炭化水素樹脂10質量%(例えば、ARKON P90)、
ポリオレフィンワックス7質量%(例えば、LICOWAX PP230)、
MSAグラフト化ポリプロピレンワックス2質量%(例えば、LICOMONT TPAR504)、
IRGANOX 1076 0.3質量%(オクタデシル−3,5−ジ−(第三ブチル)−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、Ciba社)。
【0186】
包装品のための溶融接着剤(材料:ポリプロピレン)
部分結晶性ポリオレフィン44.7質量%(VESTOPLAST 828(登録商標)、Evonik Degussa GmbH社)、
例12に記載の、本発明による変性されたポリオレフィン40質量%、
DBTLマスターバッチ5質量%(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa GmbH社、ジブチル錫ジラウレート2質量%)、
炭化水素樹脂10質量%(例えば、ESCOREZ 1102、ExxonMobil Chemical社)、
IRGANOX 1076 0.3質量%(オクタデシル−3,5−ジ−(第三ブチル)−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、Ciba社)。
【0187】
幅広の使用プロフィールを有する汎用溶融接着剤
例9に記載の、本発明による変性されたポリオレフィン84.7質量%、
DBTLマスターバッチ5質量%(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa GmbH社、ジブチル錫ジラウレート2質量%)、
MSAグラフト化ポリプロピレンコポリマー2質量%(例えば、EXXELOR PO 1015)、
ポリオレフィンワックス3質量%(VESTOWAX A616、Evonik Degussa GmbH社)、
炭化水素樹脂5質量%(例えば、ESCOREZ 1102、ExxonMobil Chemical社)、
IRGANOX 1076 0.3質量%(オクタデシル−3,5−ジ−(第三ブチル)−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、Ciba社)。
【0188】
縁部接着部のための溶融接着剤
例16に記載の、本発明による変性されたポリオレフィン24.7質量%、
DBTLマスターバッチ5質量%(VESTOPLAST(登録商標)708 98質量%、Evonik Degussa GmbH社、ジブチル錫ジラウレート2質量%)、
部分結晶性ポリオレフィン15質量%、VESTOPLAS(登録商標) 891、Evonik Degussa GmbH社、
部分結晶性ポリオレフィン10質量%、VESTOPLAS(登録商標) 792、Evonik Degussa GmbH社、
アイソタクチックポリプロピレン3質量%(例えば、SABIC PP 579S、Sabic社)、
MSAグラフト化ポリプロピレンワックス2質量%(例えば、LICOMONT TPAR504)、
水素化脂肪族炭化水素12質量%(例えば、EASTOTAC H−130)、
芳香族炭化水素樹脂4質量%(例えば、NOVARES TN 150)、
ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)コポリマー12質量%(例えば、ELVAX210)、
方解石12質量%、
IRGANOX 1076 0.3質量%(オクタデシル−3,5−ジ−(第三ブチル)−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、Ciba社)。
【0189】
ポリプロピレン/ポリエチレンのためのプライマー(処方1)
キシレン80質量%、
例9に記載の、本発明による変性されたポリオレフィン20質量%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全ての検出されたエチレン含量に対して、13C−NMR分光分析法によって測定された、50〜75質量%のプロピレン含量および13C−NMR分光分析法によって測定された、最大2.5質量%のポリ(エチレン)トライアド含量を有する、変性されたポリオレフィンであって、この場合このポリエチレンは、示差走査熱分析によって測定された、少なくとも9J/gおよび最大20J/gの溶融エンタルピー、少なくとも96質量%の室温でのキシレン中の溶解度および少なくとも67質量%の室温でのテトラヒドロフラン中の溶解度を有し、この場合ポリオレフィン上に1つ以上のシランがグラフト化されている、上記の変性されたポリオレフィン。
【請求項2】
プロピレンと共にさらにエチレンおよび/または1−ブテンを含有する、請求項1記載の変性されたポリオレフィン。
【請求項3】
DSCによって測定された、変性されていない(グラフト化されていない)ポリオレフィンのガラス転移温度が最大−20℃である、請求項1または2記載のポリオレフィン。
【請求項4】
ポリ(エチレン−コ−プロピレン)およびポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−1−ブテン)から選択されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載のポリオレフィン。
【請求項5】
変性された(グラフト化された)架橋されたポリオレフィンの溶融粘度が190℃で1000〜75000mPa*sである、請求項1から4までのいずれか1項に記載のポリオレフィン。
【請求項6】
環球法により測定した、変性された(グラフト化された)架橋されていないポリオレフィンの軟化点が80〜120℃である、請求項1から5までのいずれか1項に記載のポリオレフィン。
【請求項7】
変性された(グラフト化された)架橋されていないポリオレフィンの針入深さが10*0.1mm〜40*0.1mmである、請求項1から6までのいずれか1項に記載のポリオレフィン。
【請求項8】
変性された(グラフト化された)ポリオレフィンの引張強さが架橋されていない状態で少なくとも0.5MPaである、請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリオレフィン。
【請求項9】
引張試験で測定された、変性された(グラフト化された)ポリオレフィンの引裂時の伸びが架橋されていない状態で少なくとも75%である、請求項1から8までのいずれか1項に記載のポリオレフィン。
【請求項10】
1つ以上のシランが、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランおよび/またはビニルメチルジブトキシシランを含む群から選択されている、請求項1から9までのいずれか1項に記載のポリオレフィン。
【請求項11】
蛍光X線分光分析法によって測定されたシリコン含量が少なくとも0.3質量%である、請求項1から10までのいずれか1項に記載のポリオレフィン。
【請求項12】
請求項1記載の変性されたポリオレフィンを製造する方法において、検出された全てのエチレン含量に対する、13C−NMR分光分析法によって測定された、少なくとも50質量%および最大75質量%のプロピレン含量および13C−NMR分光分析法によって測定された、最大2.5質量%のポリ(エチレン)トライアドの含量ならびに示差走査熱分析により測定された、9〜20J/gの溶融エンタルピーを有し、および少なくとも96質量%の室温でのキシレン中の溶解度ならびに少なくとも60質量%の室温でのテトラヒドロフラン中の溶解度を有するポリオレフィンを、少なくとも1つのラジカル開始剤および1つ以上のシランと接触させ、それに続いてポリオレフィン上への1つ以上のシランのグラフト反応を行なうことを特徴とする、請求項1記載の変性されたポリオレフィンを製造する方法。
【請求項13】
1つ以上のシランは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランおよび/またはビニルメチルジブトキシシランを含む群から選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
1つ以上のシランのグラフト化を溶液中または溶融液中で行なう、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
グラフト化を30〜250℃の温度で行なう、請求項12から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの本発明による変性されたポリオレフィンを含有する反応材料の温度は、少なくとも1つのラジカル開始剤の供給時点で供給されるラジカル開始剤のSADT(自己加速分解を開始しうる温度)を上廻る、請求項12から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
成形材料としての、または成形材料中への、保護材料中への、接着剤としての、または接着剤中への、シール材料中への、標識材料中への、被覆材料中への、防水シート中への、または防水屋根材中への、プライマーとしての、またはプライマー配合物中への、および/または付着助剤配合物中への、および/または分散液中への、懸濁液中への、または乳濁液中への請求項1から11までのいずれか1項に記載の変性されたポリオレフィンの使用。
【請求項18】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の1つ以上の変性されたポリオレフィンを含有する、成形材料、保護材料、接着剤、シール材料、標識材料、被覆材料、防水シート、または防水屋根材、プライマー、プライマー配合物、付着助剤配合物、分散液、懸濁液、および/または乳濁液。
【請求項19】
ホットメルト接着剤である、請求項18記載の接着剤。
【請求項20】
さらに、架橋促進剤、無機充填剤および/または有機充填剤、無機顔料および/または有機顔料、合成樹脂および/または天然樹脂、無機および/または有機の合成ポリマーおよび/または天然ポリマー、無機および/または有機の合成繊維および/または天然繊維、無機安定剤および/または有機安定剤、無機難燃座および/または有機難燃剤、樹脂、非晶質ポリ(α−オレフィン)、極性基を有するポリマー、エチレン、ブタジエン、スチレンおよび/またはイソプレンを基礎とするポリマー、エチレン、プロピレン、アクリルニトリルを基礎とするエラストマーポリマー、ジエンおよび/または環式ジエン、スチレン、ワックス、1つ以上の合成油または天然油および/またはUV活性物質を含有する、請求項18または19記載の接着剤。
【請求項21】
さらに別のポリマー、充填剤および/または瀝青を含有する、請求項18載の防水シート。
【請求項22】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の1つ以上の変性されたポリオレフィンを含有する接着部。
【請求項23】
接着部が、包装品接着部、衛生用品接着部、木材接着部、ガラス表面接着部、ラベル接着部、貼合せシート接着部、カーペット接着部または人工芝接着部、靴接着部、感圧接着部、書物接着部または織物接着部である、請求項22記載の接着部。
【請求項24】
20〜1500g/m2の塗布質量を使用する、請求項23記載のニップルおよびフィラメントを埋め込むためのカーペット接着部。
【請求項25】
接着部によって埋め込まれたフィラメントが、ポリプロピレンフィラメント、ポリエチレンフィラメント、ポリアミドフィラメント、ポリエステルフィラメントまたは記載されたプラスチックの混合フィラメントから選択されている、請求項23記載の人工芝接着部。
【請求項26】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の1つ以上のポリオレフィンを含有する、請求項18記載のプライマー配合物および/または付着助剤配合物であって、ポリオレフィンの表面の処理のために使用する、上記の請求項18記載のプライマー配合物および/または付着助剤配合物。
【請求項27】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の1つ以上のポリオレフィンを含有する、請求項18記載の分散液、懸濁液および/または乳濁液であって、ポリマーの含量が全配合物に対して10質量%を上廻る、上記の請求項18記載の分散液、懸濁液および/または乳濁液。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−500292(P2012−500292A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522450(P2011−522450)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058327
【国際公開番号】WO2010/018027
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】