説明

高い空隙率を有するナノ多孔質ポリマー発泡体

複数の気泡をその中に画定する熱可塑性ポリマーマトリックスを有するポリマー発泡物品であって、(a)熱可塑性ポリマーマトリックスが、その中に分散した、長さが30nm未満の少なくとも2つの直交寸法を有するナノサイズ核形成添加剤粒子を含有し、(b)ポリマー発泡物品が、(i)発泡前材料1立方センチメートル当たり少なくとも3×1014部位の有効核形成部位密度を有すること、および(ii)300ナノメートル以下の平均気泡サイズを有することの2つの特徴のうち少なくとも1つを有し、(c)ポリマー発泡物品が、核形成添加剤と、二酸化炭素、窒素およびアルゴンの少なくとも1種を含有する発泡剤とを含有する発泡性ポリマー組成物を、発泡温度において急激に膨張させることにより、50パーセントを超える空隙百分率を有するという特徴を有する、ポリマー発泡物品を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2009年11月25日出願の米国仮特許出願第61/264,407号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、ナノ多孔質ポリマー発泡物品およびポリマー発泡物品を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリマー発泡物品(または単純に「ポリマー発泡体」)は、断熱用途において一般的である。ポリマー発泡体の多くの特徴は、発泡体を通した熱伝導率に影響し、したがって断熱材としての発泡体の有効性に影響する。例えば、ポリマー発泡体断熱材を通した熱伝達は、伝導、輻射および対流により生じ得る(例えば、米国特許出願公開第2009/0148665号における教示を参照されたい)。典型的なポリマー発泡体断熱材において、熱伝達の主要な形態は気泡気体伝導であり、これは全熱伝導率の約75パーセント(%)に寄与する。したがって、気泡気体の伝導を低減することにより、ポリマー発泡体を通した熱伝達を大きく低減することができる。
【0004】
気泡気体の熱伝導率への寄与に影響する1つの特性は、気泡サイズである。気泡サイズが約1ミクロンから1ミリメートルのサイズである場合、気体熱伝導に対する気泡サイズの影響は小さい。1ミリメートルを超えると、対流挙動が熱伝導率を増加させる傾向がある。発泡体の気泡サイズが約1ミクロン未満である場合、気体伝導率は、Knudsen効果として知られる効果により減少する。(例えば、図1に示される関係を参照されたい。曲線は、Leeら、「Determination of a mesopore size of aerogels from thermal conductivity measurement」、Journal of Non-Crystalline Solids、2002年3月、第298巻、287〜292頁に記載の方法論に従う。)Knudsen効果は、各単一気泡内で衝突し熱を伝達するために利用可能な各気泡内の気泡気体分子がより少ないために、熱伝導率の低下をもたらす現象である。気泡サイズおよび気泡間の連結性が、気泡を充填する気体の平均自由行程と同じ桁となると、Knudsen効果は大きくなる。気泡気体による熱伝導率は、気泡サイズが1ミクロンから300ナノメートル(nm)に減少するとほぼ半分低下し、気泡サイズが1ミクロンから100nm未満に減少するとほぼ2/3低下する。
【0005】
たとえ偶発的な粗大気泡であっても、微小(300nm以下、好ましくは150nm以下)気泡の断熱効果を低減し得ることを考慮すると、Knudsen効果を最大化するためには、この範囲内の均一な気泡サイズが望ましい。したがって、全ての条件が同じとして、特に均一な気泡サイズ分布を有する発泡体において、発泡体の平均気泡サイズを300nm以下、特に150nm以下に減少させることが、発泡体を通したより低い熱伝導率を達成する上で望ましい。しかしながら、ポリマー発泡物品の他の特性に影響することなく気泡サイズを減少させることは困難である。
【0006】
発泡体体積に対する空隙体積の比である空隙率もまた、ポリマー発泡体の熱伝導率に影響する。一般に、空隙率が低下すると、熱伝導率が増加する。これは、発泡体の気泡を画定する壁を構成するポリマーネットワークを通した熱伝導率が、典型的には気泡内の気体を通した熱伝導率よりも大きいためである。
【0007】
300nm以下の平均気泡サイズおよび0.50を超える空隙率を有するポリマー発泡体が極めて望ましいが、これまで知られている膨張発泡体技術で達成するのは困難であり、可能性が極めて低い。特に、膨張発泡体技術は、エアロゲル技術とは異なり、例えば製造に大量の溶媒を必要としないため、膨張発泡体技術が望ましい。
【0008】
特定の気泡サイズを有する発泡体を生成するためのプロセスを開発する上で、有効核形成部位の数を考慮することが有用である。有効核形成部位は、発泡性ポリマー組成物が発泡体に膨張する際に空隙または気泡を形成する、発泡性ポリマー組成物中の部位の数である(例えば、論文「A Process for Making Microcellular Thermoplastic Parts」、KumarおよびSuh、Polymer Engineering and Science、1990年10月、第30巻、第20号、1323〜1329頁において、「気泡密度」としても知られる)。有効核形成部位の数および空隙率を制御することにより、発泡体の平均気泡サイズが制御される。望ましい断熱発泡体を達成するためには、発泡性ポリマー組成物1立方センチメートル当たり少なくとも3×1014個の有効核形成部位を有するポリマー発泡体を調製し、0.50を超える空隙率(50%を超える空隙百分率)を有するまでそれを膨張させることが望ましい。
【0009】
発泡性ポリマー組成物1立方センチメートル当たり少なくとも3×1014個の有効核形成部位を有し、50%を超える空隙百分率を有するまで膨張したポリマー発泡体が調製可能であることが、断熱ポリマー発泡体の技術分野における望ましい進展である。また、300nm以下、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、さらにより好ましくは150nm以下の平均気泡サイズを有するそのようなポリマー発泡体がさらにより望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、発泡性ポリマー組成物1立方センチメートル当たり少なくとも3×1014個の有効核形成部位を有し、50%を超える空隙百分率を有するまで膨張したポリマー発泡体を調製する問題に対する解決策を提供する。さらに、本発明は、300nm以下、さらに250nm以下、さらに150nm以下の平均気泡サイズを有するそのようなポリマー発泡体を提供することができる。さらに、発泡体は、均一な気泡サイズ分布を有することができる。さらに、本発明の方法は、そのようなポリマー発泡体を生成するための方法を提供する。
【0011】
驚くべきことに、問題に対するこの解決策において必要な成分は、発泡性ポリマー組成物および得られるポリマー発泡体内に分散した、30ナノメートル未満の少なくとも2つ、好ましくは3つの直交寸法を有するナノサイズ核形成剤添加剤である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様において、本発明は、複数の気泡をその中に画定する熱可塑性ポリマーマトリックスを含むポリマー発泡物品であって、(a)熱可塑性ポリマーマトリックスが、その中に分散した、長さが30nm未満の少なくとも2つの直交寸法を有するナノサイズ核形成添加剤粒子を含有し、(b)ポリマー発泡物品が、(i)発泡前材料1立方センチメートル当たり少なくとも3×1014部位の有効核形成部位密度を有すること、および(ii)300ナノメートル以下の平均気泡サイズを有することの2つの特徴のうち少なくとも1つを有し、(c)ポリマー発泡物品が、50パーセントを超える空隙百分率を有するという特徴を有する、ポリマー発泡物品である。
【0013】
第2の態様において、本発明は、第1の態様のポリマー発泡物品を調製するための方法であって、(a)発泡温度および初期圧力において、熱可塑性ポリマーマトリックスと、ナノサイズ核形成添加剤と、二酸化炭素、窒素およびアルゴンから選択される少なくとも1種の発泡剤を含有する発泡剤とを含む、発泡性ポリマー組成物を提供するステップであって、発泡性ポリマー組成物は、発泡温度において軟化状態にあり、初期圧力は、発泡を防止するのに十分高いステップと、(b)発泡性ポリマー組成物を、急激に初期圧力未満の圧力に暴露しながら、発泡性ポリマー組成物をポリマー発泡物品に膨張させるステップとを含み、ナノサイズ核形成添加剤は、30ナノメートル未満の少なくとも2つの直交寸法を有し、熱可塑性ポリマーマトリックス内に分散している方法である。
【0014】
本発明の方法は、本発明の発泡物品の調製に有用である。本発明の発泡物品は、建造物および冷却機の断熱等の断熱用途、ならびにフィルタ材料、多孔質膜、エネルギー吸収材料および制御放出マトリックスに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】気泡気体を空気とした場合の、ポリマー発泡体の平均気泡サイズの関数としてのポリマー発泡体熱伝導率に対する気泡気体熱伝導率の寄与の理論的関係を示す図である。
【図2】ポリマー発泡物品において、核形成部位密度を平均気泡サイズおよび空隙率に相関させたプロットである。
【図3】本発明の発泡物品の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
試験方法は、試験法番号とともに日付が示されていない限り、本書の優先日時点での最も最近の試験法を示す。試験法への言及は、試験団体および試験法番号への言及の両方を含む。試験法組織は、以下の略語のうちの1つにより参照される:ASTMは、米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)を指し、ENは、欧州規格(European Norm)を指し、DINは、ドイツ規格協会(Deutsches Institute fur Normung)を指し、ISOは、国際標準化機構(International Organization for Standards)を指す。
【0017】
発泡物品は、3つの互いに垂直な寸法、つまり長さ、幅および厚さを有する。長さ寸法は、発泡物品の最長寸法に沿って存在し、典型的には、押出発泡物品の押出方向に沿っている。厚さ寸法は、最小の大きさを有する寸法であるが、例えば立方体においては長さと等しくなり得る。幅は、長さおよび厚さと互いに垂直であり、長さ以下および厚さ以上の大きさを有し得る。
【0018】
「および/または」は、「および、または代替として」を意味する。全ての範囲は、別段に指定されない限り、端点を含む。
【0019】
「コポリマー」は、共重合またはグラフトされて単一分子を形成する、2種以上のモノマーおよび/またはポリマー成分を含有する分子を意味する。
【0020】
本発明のポリマー発泡物品は、複数の気泡をその中に画定する連続熱可塑性ポリマーマトリックスを含む。連続熱可塑性ポリマーマトリックスは、連続熱可塑性ポリマー相を含み、熱可塑性ポリマーは、典型的には50重量パーセント(wt%)を超え、望ましくは75wt%以上、好ましくは80wt%以上であり、また90wt%以上、95wt%以上、さらに100wt%であってもよく、ここでwt%は、熱可塑性ポリマーマトリックス中のポリマーの総重量に対するものである。
【0021】
本発明の最も広い実施形態において、熱可塑性ポリマーは、制限されることなく、任意の熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーの組合せであってもよい。好適な熱可塑性ポリマーは、ポリスチレンホモポリマーおよびポリスチレンコポリマーを含むスチレンポリマーを含む。好適なポリスチレンコポリマーの具体例は、耐衝撃用ポリスチレン(HIPS)、またはスチレン−ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー(ABS)として知られる、スチレン−アクリロニトリル(SAN)コポリマーおよびスチレン−ゴムコポリマーを含む。好適な熱可塑性ポリマーはまた、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(エチルメタクリレート)(PEMA)、ならびにアクリルランダムおよびブロックコポリマー等のアクリルポリマーを含む。好適な熱可塑性ポリマーからブロックが作製されたブロックコポリマーもまた、好適なポリマーの例である。望ましくは、熱可塑性ポリマーは、単一の非晶質熱可塑性ポリマー、または、単一の非晶質相を形成する複数の熱可塑性ポリマーのブレンドである。
【0022】
1ミクロン未満の平均気泡サイズを有する発泡物品は、ポリカーボネート、ポリ(乳酸)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホンまたはフッ素化ポリマーで作製されるが、本発明のポリマー発泡物品の連続熱可塑性ポリマーマトリックスは、ポリカーボネート、ポリ(乳酸)、フッ素化ポリマーを含まなくてもよく、または、ポリカーボネート、ポリ(乳酸)およびフッ素化ポリマーのうちの2つもしくは3つ全ての任意の組合せを含まなくてもよい。連続熱可塑性ポリマーマトリックスは、典型的には、ポリカーボネートおよびポリ乳酸以外の連続非フッ素化熱可塑性ポリマーを有する。
【0023】
連続熱可塑性ポリマーマトリックスは、複数の気泡を画定し、この気泡は、ポリマー発泡物品の気泡である。気泡の体積は、ポリマー発泡物品中0.50を超える空隙率(50%を超える空隙百分率)を確立するのに十分である。空隙率は、発泡物品中の空隙体積率の指標として役立つ。発泡物品中の空隙率を測定するための1つの手法は、発泡物品中の非空隙材料(すなわち、連続熱可塑性ポリマーマトリックスならびにマトリックス中に分散した任意の添加剤および充填剤)の密度(ρ)および発泡物品の密度(ρ)を決定し、次いで以下の等式を使用して空隙率(p)を求めることによるものである。
p=[1−(ρ)/(ρ)]
空隙率はまた、以下の式を使用して空隙百分率として報告することもできる。
p%=[1−(ρ)/(ρ)]×100%
ポリマー発泡物品の密度(ρ)は、ASTM法D−1622−03のアルキメデス法により決定される。
【0024】
望ましくは、本発明の熱可塑性ポリマー発泡物品の空隙百分率は、60%以上、好ましくは70%以上であり、また75%以上、80%以上、さらに90%以上であってもよい。
【0025】
ポリマー発泡物品は、以下の平均気泡サイズの特徴および有効核形成部位密度の特徴のうちの少なくとも1つを有し、また平均気泡サイズの特徴の実施形態および有効核形成部位密度の特徴の実施形態の両方の任意の組合せを有してもよい。最も望ましくは、ポリマー発泡物品は、有効核形成部位密度の特徴から選択される特徴を有する。
【0026】
望ましくは、ポリマー発泡物品は、300ナノメートル(nm)以下、好ましくは250nm以下、さらにより好ましくは200nm以下の平均気泡サイズを有し、また150nm以下、さらに100nm以下の平均気泡サイズを有してもよい。典型的には、平均気泡サイズは、少なくとも20nm、またはさらに少なくとも40nmである。望ましくは、ポリマー発泡物品は、実質的に粗大気泡を含まず、すなわち、1ミクロンを超える気泡の体積パーセントが、全発泡体体積に対して10%以下、好ましくは5%以下、さらにより好ましくは1パーセント以下である。特に、ポリマー発泡体は、網状となった、または網構造のポリマー支柱として生じてもよく、この場合、気泡サイズは、支柱間の開口に対応する。
【0027】
望ましくは、本発明のポリマー発泡物品は、1つまたは複数の表面上にポリマー発泡物品の全体の厚さの5パーセントを超える厚さを有する非発泡表層(すなわち、10%未満の空隙百分率を有する物品表面上の物品の一部)を含まない。表皮および発泡体の厚さは同じ方向で測定する。
【0028】
以下の手順に従い、ポリマー発泡物品の平均気泡サイズを直接測定する:(a)走査型電子顕微鏡(SEM)により、ポリマー発泡物品の断面を検査する。(b)5ミクロン×5ミクロンの寸法の断面の第1の部分を検査する。(c)10個から20個の気泡の5個から10個の群を選択する。(d)各群内で、平均サイズの気泡と思われる気泡を選択してその気泡の直径を測定し、妥当な平均サイズを示す気泡が明確でない場合(例えば、粗大および微小気泡は存在するが粗大および微小サイズの平均を示す気泡が存在しない場合の二峰性気泡サイズ分布の場合)は、群内の少なくとも10個の無作為な気泡を測定し、それらの10個の気泡の平均を決定する。(e)ポリマー発泡物品の同じ断面のさらに4個から10個の部分に対して、ステップ(c)および(d)を繰り返す。(f)測定した全ての直径の平均を決定し、その平均値をポリマー発泡物品の平均気泡サイズとして使用する。このプロセスは、平均を決定する際に数百個の気泡を含むべきであり、すなわち、数百個の直径を測定し、次いでステップ(f)において平均化するべきである。
【0029】
望ましくは、気泡サイズは、単峰性気泡サイズ分布を有する。しかしながら、気泡サイズ分布が単峰性以外である任意の実施形態において、平均気泡サイズを測定するプロセスは、正確な平均気泡サイズを得るために、気泡サイズが粗大であるか微小であるかを考慮することのない直径測定用の気泡の選択を導入するべきである。
【0030】
最適な断熱特性のためには、ポリマー発泡物品中の全ての気泡の70%以上、好ましくは80%以上、さらにより好ましくは85%以上が、300ナノメートル未満の気泡サイズを有することが望ましい。ポリマー発泡物品中の全ての気泡の70%以上、好ましくは80%以上、さらにより好ましくは85%以上が、150ナノメートル未満の気泡サイズを有することがさらにより望ましい。
【0031】
ポリマー発泡物品は、望ましくは、発泡前材料(発泡性ポリマー組成物)1立方センチメートル(cm)当たり少なくとも3×1014部位の有効核形成部位密度を有する。有効核形成部位の数は、最終発泡体中の唯一の気泡に発達する核形成部位の数に等しい。明確には、独立して核形成するが単一の気泡に合体する気泡が、単一の有効核形成部位に対応する。核形成するが最終発泡体の形成前に崩壊して消滅する気泡は、有効核形成部位とみなされない。熱可塑性ポリマー発泡物品の好ましい実施形態は、1×1015以上、好ましくは3×1015以上、さらにより好ましくは1×1016以上の有効核形成部位密度を有し、また1×1017以上の有効核形成部位密度を有してもよい。典型的には、有効核形成部位密度は、50%を超える空隙百分率を達成するために、約1×1019未満である。
【0032】
ポリマー発泡物品の空隙率(p)、平均気泡サイズ(dnm)(ナノメートル)、ポリマー発泡物品の密度(ρ)および発泡物品中の非空隙材料の密度(ρ)(両方ともグラム毎立方センチメートル(g/cm))から、ポリマー発泡物品の有効核形成部位密度(N)を決定する。以下の式を使用して、まず平均気泡体積(Vcell)を計算する。
【0033】
【数1】

【0034】
以下の式を使用して、発泡体1立方センチメートル当たりの気泡の平均数(N)を決定する。
【0035】
【数2】

【0036】
以下の式を使用して、有効核形成密度(N)を決定する。
【0037】
【数3】

【0038】
空隙率、有効核形成部位密度および平均気泡サイズは全て相関しており、これらの値のうちの任意の2つによって第3の値を計算することができる。図2は、平均気泡サイズに対する空隙百分率のプロットを示し、有効核形成部位密度値を指定する線を含んでいる。そのようなプロットにより、空隙率、平均気泡サイズおよび有効核形成部位密度のうちの任意の2つを使用して、第3の値を決定することができる。
【0039】
本発明のポリマー発泡物品の調製の本質的要素は、特定種類の核形成添加剤の存在である。驚くべきことに、核形成添加剤は、長さが30nm未満の少なくとも2つの直交寸法を有するナノサイズ粒子を含む。理想的には、ナノサイズ核形成添加剤の全ての寸法が、30ナノメートル未満である。ナノサイズ核形成添加剤は、中実または多孔質であってもよい。好適なナノサイズ核形成添加剤材料の例は、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、二酸化チタン、結晶性材料(例えば塩および糖類)、ならびにポリマーナノ粒子を含む。特に望ましいナノサイズ核形成添加剤材料は、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)およびシリカを含む。核形成添加剤は、非晶質または結晶性であってもよい。
【0040】
望ましくは、核形成添加剤は、30ナノメートル未満、好ましくは20nm以下、さらにより好ましくは10nm以下の数平均粒径を有するように、熱可塑性ポリマーマトリックス内に分散される。核形成添加剤の数平均粒径は、小角X線散乱(SAXS)により決定される。核形成添加剤は、核形成添加剤粒子の集塊化または凝集がもたらされるように非効果的に分散され得る。核形成粒子の集塊または群が粗大化し過ぎると、本発明のナノスケールの気泡が効果的に核形成されない。そのため、数平均粒径は、望ましくは上述の範囲内にある。この望ましい数平均粒径範囲の例外は、高いアスペクト比を有する核形成添加剤粒子の場合である。高いアスペクト比の粒子(すなわち、10以上のアスペクト比を有する粒子)の場合、1つまたは2つの寸法が30nm未満であればよい。
【0041】
ナノサイズ粒子が、本発明の独特の発泡体を提供するように役立つ核形成剤として機能することは言うまでもなく、効果的な核形成剤として機能するという事実は、当技術分野において知られているものに増して驚くべきことである。例えば、N.S RameshおよびS.T.Leeは、ナノクレイが、ポリプロピレン中のタルクより微細な気泡を生成しない、またはポリオレフィン中の気泡構造を改善しないことを発見した(Cellular Polymers、第24巻、第5号、2005(269〜277))。また、Rameshらは、0.2ミクロン以下の半径(0.4ミクロン以下の直径)を有するゴム粒子添加剤が、実際は気泡密度(すなわち有効核形成部位密度)の低下をもたらすことを発見した(Polymer Engineering and Science、1994年11月、第34巻、第22号(1698〜1706)を参照されたい)。これらの教示を考慮すると、本発明のナノサイズ核形成添加剤が実際に有効核形成部位密度を増加させ、高い空隙率値をもたらすことは、特に驚くべきことである。
【0042】
ポリマー発泡体中のナノサイズ核形成添加剤の量は、典型的には10ppm以上および10wt%以下であり、ここで、ppmは、ポリマー発泡物品中の全ポリマー100万重量部当たりの重量部であり、wt%は、発泡物品中の全ポリマー重量に対するものである。好ましくは、ナノサイズ核形成添加剤は、100ppm以上および5wt%以下の濃度で存在する。さらにより好ましくは、ナノサイズ核形成添加剤は、1000ppm以上および1wt%以下の濃度で存在する。
【0043】
本発明のポリマー発泡物品は、発泡ポリマー薄膜とは区別される。本発明のポリマー発泡物品は、望ましくは、1ミリメートルを超える、好ましくは2ミリメートルを超える、さらにより好ましくは3ミリメートルを超える、さらにより好ましくは4ミリメートルを超える厚さを有する。本発明のポリマー発泡物品の厚さは、5ミリメートル以上、さらに10ミリメートル以上、さらに25ミリメートル以上、および50ミリメートル以上であってもよい。厚さの上限は、処理機材によってのみ限定される。典型的には、本発明のポリマー発泡物品の厚さは、250ミリメートル以下である。
【0044】
本発明のポリマー発泡体は、ナノサイズ核形成充填剤の他に、追加の添加剤をさらに含んでもよい。好適な追加の添加剤の例は、赤外線減衰剤(例えば、カーボンブラック、グラファイト、金属フレーク、二酸化チタンまたは他の金属酸化物);天然吸収クレイ(例えば、カオリナイトおよびモンモリロナイト)ならびに合成クレイ等のクレイ;充填剤(例えば、タルクおよびケイ酸マグネシウム);難燃剤(例えば、ヘキサブロモシクロドデカンおよび臭素化ポリマー等の臭素化難燃剤、トリフェニルホスフェート等のリン難燃剤、ならびに、例えばジクミルおよびポリクミル等の共力剤を含んでもよい難燃剤パッケージ);潤滑剤(例えば、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸バリウム);酸除去剤(例えば、酸化マグネシウムおよびピロリン酸四ナトリウム)、顔料ならびに発泡剤安定剤(例えば、非可塑性ポリアルキレン−オキシドポリマーおよびポリエチレングリコール(PEG)を含むコポリマー、PEGエーテル、ポリエチレンオキシドグラフトポリスチレン/無水マレイン酸(PS/MAH)ランダムコポリマー、ならびにエチレングリコールグラフトポリウレタンランダムコポリマー;非可塑性ポリジメチルシロキサン(PDMS)およびヒドロキシルを含む非可塑性官能化PDMS、ならびにアミン官能化PDMS;ならびにPS/MAHランダムコポリマーを含む。発泡剤安定剤は、本発明における使用に好適な濃度でポリマー組成物中に分散したときにポリマー組成物のガラス転移温度(Tg)を著しく低下させない場合、「非可塑性」である。
【0045】
本発明の方法は、本発明のポリマー発泡物品を調製するものである。一般に、方法は、(a)初期温度および圧力において、熱可塑性ポリマーマトリックスと、ナノサイズ核形成添加剤と、発泡剤とを含む発泡性ポリマー組成物を提供するステップであって、発泡性ポリマー組成物は、膨張可能な軟化状態にあるが、熱可塑性ポリマーマトリックスの軟化温度未満の発泡温度にあり、初期圧力は、発泡を防止するのに十分高いステップと、(b)発泡性ポリマー組成物を、初期圧力未満の圧力に暴露しながら、発泡性ポリマー組成物をポリマー発泡物品に膨張させるステップとを含む。方法は、ステップ(b)の後に、ステップ(b)において生成されたポリマー発泡物品をポリマー発泡物品の加熱後にさらに膨張させる二次膨張ステップをさらに含んでもよい。二次膨張ステップは、例えば、蒸気の適用、放射線照射(例えば、赤外線照射、マイクロ波照射、高周波照射および超音波照射)、物品の真空への暴露、またはこれらの2つ以上の任意の組合せによって行うことができる。
【0046】
熱可塑性ポリマーマトリックスの軟化温度は、非晶質ポリマーのガラス転移温度および半結晶性ポリマーの融点である。熱可塑性ポリマーマトリックスが2種以上の連続非晶質ポリマーを含む場合、軟化温度は、連続非晶質ポリマーの最も高いガラス転移温度である。同様に、熱可塑性ポリマーマトリックスが2種以上の連続半結晶性ポリマーを含む場合、軟化温度は、連続半結晶性ポリマーの最も高い融点である。熱可塑性ポリマーマトリックスが、連続非晶質ポリマーおよび連続半結晶性ポリマーの両方を含む場合、軟化温度は、連続非晶質ポリマーの最も高いガラス転移温度および半結晶性ポリマーの最も高い融点のうち高い方の温度である。
【0047】
発泡性ポリマー組成物の発泡温度は、発泡性ポリマー組成物が軟化状態にある温度であるが、発泡性ポリマー組成物の純熱可塑性ポリマーマトリックスの軟化温度を下回る。望ましくは、発泡温度は、純熱可塑性ポリマーマトリックスの軟化温度を10℃以上、好ましくは20℃下回り、また30℃以上下回ってもよい。発泡温度がそのように低くなり得る理由は、発泡剤が熱可塑性ポリマー樹脂を可塑化し、それにより発泡性ポリマー組成物の軟化温度を、純熱可塑性ポリマーの軟化温度未満に低下させるためである。
【0048】
本発明の方法における使用のための熱可塑性ポリマーマトリックスおよびナノサイズ核形成添加剤は、全ての好ましい実施形態を含めて、本発明のポリマー発泡物品に関して説明される通りである。ナノサイズ核形成添加剤は、発泡性ポリマー組成物の熱可塑性ポリマーマトリックスおよび得られるポリマー発泡物品内に分散している。核形成ナノサイズ添加剤がより完全に分散し、より小さいサイズであるほど、所望の有効核形成部位密度を達成するのに必要な添加剤が少ない。安全のために、核形成充填剤粒子の数は、典型的には、有効核形成部位の数を2倍以上、好ましくは5倍以上上回る。
【0049】
好ましい実施形態において、ステップ(a)は、発泡剤への混合前または混合後に、ナノサイズ核形成添加剤を、熱可塑性ポリマーマトリックス中に混合するステップを含む。望ましくは、ナノサイズ核形成添加剤は、粒子の核形成効率を最大化するために、ナノサイズ核形成添加剤粒子の集塊化またはクラスタ化が可能な限り少ない状態でポリマーマトリックス全体に十分分散させる。ポリマーマトリックスへのナノサイズ核形成添加剤の分散度を最大化するために、ナノサイズ核形成添加剤は、望ましくは、ナノサイズ核形成剤がゾル、湿潤ゲル、スラリーまたは溶液の形態にあり、ナノサイズ核形成添加剤がすでにキャリア溶媒中に分散している間に、軟化熱可塑性ポリマーマトリックス中に分散させる。この好ましい実施形態の一形態において、ナノサイズ核形成添加剤のゾル、湿潤ゲル、スラリーまたは溶液が軟化熱可塑性ポリマーマトリックス中に混合され、熱、真空または熱および真空の両方を使用してキャリア溶媒が除去され、ナノサイズ核形成添加剤が熱可塑性ポリマーマトリックス中に分散したままとなる。
【0050】
この好ましい実施形態の例として、水等のキャリア溶媒中のシリカ、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)、炭水化物および塩から選択される1種または複数種のナノサイズ核形成剤のゾル、湿潤ゲル、スラリーまたは溶液を提供し、ゾル、湿潤ゲル、スラリーまたは溶液を軟化熱可塑性ポリマーマトリックス中に直接溶融配合する。熱可塑性ポリマーマトリックスへのナノサイズ核形成添加剤の分散前、後、またはその間に、発泡剤を熱可塑性ポリマーマトリックス中に混合する。
【0051】
発泡剤は、ポリマー発泡体の調製に一般的に使用される任意の発泡剤であってもよい。好適な発泡剤は、以下のうちの1種または2種以上を含む:無機気体、例えば二酸化炭素、アルゴン、窒素および空気;有機発泡剤、例えば水、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロブタンおよびシクロペンタンを含む、1個から9個の炭素を有する脂肪族および環式炭化水素;好ましくは塩素不含の1個から5個の炭素を有する完全および部分水素化アルカンおよびアルケン(例えば、ジフルオロメタン(HFC−32)、パーフルオロメタン、フッ化エチル(HFC−161)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2テトラフルオロエタン(HFC−134a)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、パーフルオロエタン、2,2−ジフルオロプロパン(HFC−272fb)、1,1,1−トリフルオロプロパン(HFC−263fb)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)および1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc));1個から5個炭素を有する脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノールおよびイソプロパノール;カルボニル含有化合物、例えばアセトン、2−ブタノンおよびアセトアルデヒド;エーテル含有化合物、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル;カルボキシレート化合物、例えばギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル;カルボン酸および化学発泡剤、例えばアゾジカルボンアミド、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホ−ヒドラジド、4,4−オキシベンゼンスルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、アゾジカルボン酸バリウム、Ν,Ν’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、トリヒドラジノトリアジンおよび重炭酸ナトリウム。
【0052】
望ましくは、発泡剤は、二酸化炭素、アルゴンおよび窒素等の極めて核形成性の発泡剤を含む。そのような核形成発泡剤は、ナノサイズ核形成添加剤表面で容易に核形成し、発泡体膨張中に大量の核形成部位を生成する。好ましくは、発泡剤は、主要(最も高濃度の)発泡剤として、二酸化炭素、アルゴン、または二酸化炭素およびアルゴンの両方を含む。高い核形成力を有するより低い溶解度の気体、例えば窒素が、共発泡剤として最も好適である。
【0053】
望ましい空隙率を達成するためには、発泡性ポリマー組成物中の全発泡剤の濃度は、望ましくは18wt%以上、好ましくは20wt%以上、さらにより好ましくは22wt%以上、最も好ましくは24wt%以上である。同時に、発泡剤の量は、一般に50wt%以下、典型的には40wt%以下、多くの場合35wt%以下である。wt%は、全発泡性ポリマー組成物重量に対するものである。
【0054】
望ましくは、二酸化炭素は、20wt%以上、好ましくは22wt%以上、最も好ましくは25wt%以上の濃度で存在する。同時に、二酸化炭素は、典型的には、50wt%以下、好ましくは40wt%以下、最も好ましくは35wt%以下の濃度で存在する。
【0055】
典型的には、発泡剤として二酸化炭素が選択される場合、有利には、二酸化炭素の溶解度を高める熱可塑性ポリマーが存在する。特に興味深いのは、二酸化炭素を含まないマトリックスポリマーの軟化温度を約50℃下回る温度で熱可塑性ポリマーがゴム状を維持する熱力学的条件の範囲を有する熱可塑性ポリマーである。そのような材料の例は、高い二酸化炭素圧力においてガラス転移を抑制する逆行ガラス化挙動(RVB)を示すことが判明している材料である。(RVBのさらなる定義および特性決定については、例えば、Nawabyら、「Polymer-CO2 Systems Exhibiting Retrograde Behavior and Formation of Nanofoams」、Polymer International、第56巻、(2007)、67〜73頁を参照されたい。)RVBを示すポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(エチルメタクリレート)(PEMA)およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)コポリマーである。RVBを示すポリマーは、溶解度が高いより広範囲の熱力学的条件を得るのに有益であるが、本発明の必要十分条件ではない。したがって、本発明のポリマー発泡体および発泡性ポリマー組成物は、RVBを示すポリマーを含有してもよく、またはRVBを示すポリマーを含まなくてもよい。
【0056】
発泡性ポリマー組成物は、本発明のポリマー発泡物品に対して説明されるような追加の添加剤を含有してもよい。
【0057】
熱可塑性ポリマー組成物および発泡剤の組合せは、発泡性ポリマー組成物を形成する。発泡性ポリマー組成物は、発泡剤を熱可塑性ポリマー中に溶解し、発泡剤の膨張による発泡性ポリマー組成物の発泡を防止するために十分な初期圧力下に維持する。ナノサイズ核形成添加剤、発泡剤および任意の望ましい追加の添加剤の全てを発泡性ポリマー組成物中に混合した後、発泡を生じさせるために、発泡性ポリマー組成物を急激に初期圧力より低い圧力の雰囲気に暴露する。減圧速度は、有効核形成部位密度に影響し得る。望ましくは、減圧の初期速度は、10メガパスカル毎秒(MPa/s)以上、好ましくは20MPa/s以上、より好ましくは100MPa/s以上、最も好ましくは200MPa/s以上である。
【0058】
発泡性ポリマー組成物は、発泡性ポリマー組成物の発泡温度で膨張を開始する。膨張中、発泡性ポリマー組成物は膨張し、冷却されてポリマー発泡物品を形成する。任意選択で、本発明のポリマー発泡物品となる前に追加の膨張を誘導するためには、得られた発泡体をさらなる熱および恐らくは蒸気に暴露する、追加の調整ステップが有益である。
【0059】
発泡は、バッチタンク発泡および押出発泡を含む、熱可塑性ポリマー発泡体の調製に好適な任意の発泡技術により行うことができる。
【0060】
バッチタンク発泡では、核形成添加剤を含有する熱可塑性ポリマーマトリックスを圧力容器(タンク)内に提供し、発泡剤を容器内に提供し、熱可塑性ポリマーマトリックス中に発泡剤を所望の濃度まで溶解するために十分高く容器の内部を加圧する。所望の濃度の発泡剤が熱可塑性ポリマーマトリックス中に溶解したら、熱可塑性ポリマーマトリックスが発泡温度で軟化状態にある間に容器内の圧力を解放し、熱可塑性ポリマーマトリックスを熱可塑性ポリマー発泡物品に膨張させる。典型的には、圧力下での熱可塑性ポリマーマトリックスへの発泡剤の溶解は、純ポリマーマトリックス軟化温度(二酸化炭素の非存在下での軟化温度)を超える温度まで加熱する必要なく、熱可塑性ポリマーマトリックスを軟化状態に可塑化するのに十分であるが、熱可塑性ポリマーマトリックスを軟化させて発泡を促進するために必要な場合は、タンクに熱が与えられてもよい。
【0061】
押出発泡プロセスは、初期圧力および軟化状態において発泡性組成物を押出機内に提供するステップと、次いで発泡性組成物を発泡温度で初期圧力より低い圧力の環境内に吐出し、発泡性組成物の熱可塑性ポリマー発泡体への膨張を開始するステップを含む。押出プロセスは、連続的または半連続的(例えば蓄積押出)であってもよい。一般的な押出プロセスでは、熱可塑性ポリマー組成物を加熱してそれを軟化させることで押出機内で熱可塑性ポリマーを発泡剤と混合することにより、発泡性ポリマー組成物を調製し、任意の有意な程度まで発泡剤の膨張を防止する(好ましくは、発泡剤のいかなる膨張も防止する)混合(初期)温度および初期圧力で、発泡剤組成物を軟化熱可塑性ポリマー組成物と混合し、望ましくは、初期温度を発泡温度として使用するのではなく、発泡性ポリマー組成物を発泡温度まで冷却し、次いで、ダイを介して、発泡温度および初期圧力未満の温度および圧力を有する環境内に発泡性組成物を吐出する。発泡性組成物をより低い圧力に吐出すると、発泡剤は熱可塑性ポリマーを熱可塑性ポリマー発泡体に膨張させる。望ましくは、混合後、およびダイを介して吐出する前に、発泡性組成物を冷却する。連続プロセスでは、本質的に連続的な発泡を可能とするために、本質的に一定の速度で発泡性組成物をより低い圧力内に吐出する。
【0062】
好適な押出発泡プロセスでは、膨張前に発泡性ポリマー組成物を初期温度未満の発泡温度に冷却すること、および発泡温度への冷却後および押出の前に発泡性ポリマー組成物を全体的に混合することが有益となり得る。
【0063】
蓄積押出は、1)熱可塑性材料および発泡剤組成物を混合して発泡性ポリマー組成物を形成するステップと、2)発泡性ポリマー組成物を発泡させない温度および圧力に維持された保持ゾーン内に、発泡性ポリマー組成物を押し出すステップであって、保持ゾーンは、発泡性ポリマー組成物が発泡するより低い圧力のゾーン内に開放したオリフィスを画定するダイ、およびダイオリフィスを閉鎖する開放可能なゲートを有するステップと、3)可動ラムを用いて機械的圧力を発泡性ポリマー組成物に実質的に同時に印加しながらゲートを周期的に開放し、組成物を保持ゾーンからダイオリフィスを通してより低い圧力のゾーン内に排出するステップと、4)排出された発泡性ポリマー組成物を発泡体に膨張させるステップとを含む、半連続的押出プロセスである。
【0064】
合体ストランド発泡体プロセスもまた、本押出プロセスの好適な実施形態である。一般に、合体ストランド発泡体プロセス中、発泡性ポリマー組成物は、発泡性ポリマー組成物が押出後に膨張する際、得られた発泡ポリマーのストランドが互いに接触し、部分的に互いに合体するように配向した複数のオリフィスを含有するダイを通して押し出される。得られた発泡物品(「ストランド発泡体」)は、発泡体の押出方向に延在する発泡体ストランドの組成物である。表層は、典型的には、合体ストランド発泡体中の各ストランドを画定する。合体ストランド発泡体プロセスが好適であるが、プロセスは、独立した発泡体ストランドを形成し、続いてストランドを互いに融合してスタンド発泡体(stand foam)を形成するステップを含まなくてもよい。
【0065】
押出発泡体およびバッチタンク発泡体は、カプセル化されたビーズの集合体を含まないことで膨張ポリマービーズ発泡体とは区別される。ストランド発泡体は、ビーズ発泡体に類似した表層を有するが、ストランド発泡体の表層は、セル群を完全にはカプセル化せず、むしろ発泡体の押出方向のみに延在する管を形成する。本発明のポリマー発泡物品は、好ましくは、バッチタンクポリマー発泡体(バッチタンクプロセスから調製されたポリマー発泡体)または押出ポリマー発泡体である。望ましくは、本発明の方法は、バッチタンクプロセスまたは押出発泡体プロセスである。
【0066】
一実施形態において、本発明の熱可塑性発泡物品は、架橋熱可塑性ポリマーマトリックスをさらに有してもよい。熱可塑性ポリマーマトリックスの架橋は、適切な周波数の放射線をポリマーマトリックスに照射すると生じ得る。多くの場合、ポリマーマトリックスは、放射線照射後にポリマー鎖間の架橋を誘引する、および/または架橋剤として機能する開始剤を含有する。架橋を達成するための放射線照射は、行われる場合は、典型的には全ての膨張が完了した後に行われる。放射線照射は、膨張が進行するにつれて行われてもよいが、これはより困難なプロセスであり、膨張中のポリマーマトリックスの粘度増加をもたらす。
【0067】
本発明の発泡物品は、断熱物品および濾過物品(液体および/または気体用)としての機能を含む、多くの実用性を有する。本発明の熱可塑性発泡物品は、より複雑な物品内に組み込まれ、例えば、上張り材(例えばポリマーフィルム)、硬質基板、または両方を備える断熱複合物品を形成し得る。
【実施例】
【0068】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示する。
【0069】
シリカ核形成剤および比較例
比較例A〜Dでは、任意のナノサイズ核形成添加剤を用いずに、熱可塑性ポリマーマトリックスとしてPMMA(重量平均分子量120,000g/mol、Sigma−Aldrich社製)を使用する。
【0070】
実施例1〜6では、同じPMMAを含むが、PMMA内に分散したシリカナノサイズ核形成添加剤をさらに含む熱可塑性ポリマーマトリックスを使用する。シリカナノサイズ核形成添加剤は、各実施例において、熱可塑性ポリマーマトリックス内に分散した場合約5nmの数平均シリカ粒径を有する。これは、核形成添加剤が、5nm以下の、および30nmを確実に下回る3つの直交寸法を有することを意味する。
【0071】
まず、74ミリリットルのオルトケイ酸テトラエチル(Sigma−Aldrich社製)、75ミリリットルのエタノール(Fischer Scientific社製)および55ミリリットルの脱イオン水を、激しく撹拌しながら混合することでゾルを調製することにより、シリカナノサイズ核形成添加剤を調製する。0.5モル塩酸を添加することにより、混合物のpHを2.0に調節する。約23℃で12時間、混合物の撹拌を継続する。得られるゾルは、ゾル1ミリリットル当たり約0.1グラムのシリカナノサイズ核形成添加剤濃度を有する。約40ミリリットルの0.2モル水酸化アンモニウムをゾルに添加することにより、ゾルをゲルに変換する。ゲル化は、pH6.5で約5分で生じる。ゲル中のシリカナノサイズ核形成添加剤の濃度は、ゲル1ミリリットル当たり0.083グラムである。
【0072】
実施例1〜4および実施例6では、Haakeミキサー内で、PMMA50グラム当たり15ミリリットルのゲルを摂氏200度(℃)で溶融ブレンドすることによりシリカゲルをPMMA中に配合し、PMMA熱可塑性ポリマーマトリックス材料100重量部中3重量部のシリカを得る。実施例5では、PMMA100重量部当たり0.5重量部のシリカの濃度を達成するように比を適宜修正する。
【0073】
比較例および実施例の両方において、200℃および69メガパスカルで2分間、熱可塑性ポリマーマトリックス材料を、表1に示す厚さを有するシートに圧縮成形する。シートを、幅4ミリメートルおよび長さ約20ミリメートルの断片に切断し、バッチ発泡プロセスにおいて使用する。
【0074】
圧縮二酸化炭素源に接続され、排気弁を含む高圧ステンレススチール製容器を使用して、バッチ発泡プロセスによりポリマー発泡物品を調製する。容器の容積は、7ミリリットルから55ミリリットルである。シリカゲルナノサイズ核形成添加剤を含有する熱可塑性ポリマーマトリックスを、容器容積の約5〜10%を満たすように容器内に挿入する。容器を満たし過ぎると、発泡中のポリマーの十分な膨張が阻害される。内部に熱可塑性ポリマーマトリックスを含む容器を封止し、二酸化炭素でソーク圧力まで容器を加圧し、ソーク温度まで調整する。特定のソーク時間容器の加圧を維持し、次いで、排気弁を使用して容器内の圧力を急激に解放し、少なくとも20メガパスカル毎秒の減圧速度を達成する。容器内では、ポリマーマトリックスが発泡してポリマー発泡物品を形成する。選択された試料に対して、減圧1分以内に、表1に示す温度および期間でポリマー発泡物品を湯浴中に浸漬することにより、二次膨張を行う。
【0075】
表1は、比較例A〜Eおよび実施例1〜6におけるソーク圧力(メガパスカル)、ソーク温度(℃)およびソーク時間(時間)を列挙している。
【0076】
比較例CおよびD、ならびに実施例4〜6では、最終ポリマー発泡物品を得るために、ポリマー発泡物品を表1に示すような二次膨張ステップに供する。
【0077】
比較例AおよびBに対する実施例1および2の比較は、2つの異なるソーク温度において、シリカナノサイズ核形成添加剤の存在が、いかにして平均気泡サイズの劇的な減少および有効核形成部位密度の増加をもたらすかを示している。
【0078】
また、比較例Cに対する実施例3の比較は、バッチプロセスにおいてより厚いポリマーマトリックス断片を使用すると、シリカナノサイズ核形成添加剤の添加の影響が、平均気泡サイズを劇的に減少させ、均一な気泡サイズ分布を誘導し、有効核形成部位密度を増加させることを示している。
【0079】
比較例Dと実施例4および5との比較は、シリカナノサイズ核形成添加剤あり、およびなしでの二次膨張の効果を示しており、添加剤(3pphの投入率および0.5pphの投入率の両方において)によって微小均一気泡サイズ分布がもたらされ、一方核形成添加剤なしでは、より粗大な気泡および不均一な気泡サイズ分布がもたらされることが明確である。
【0080】
比較例Eと実施例6との比較は、ナノサイズ核形成添加剤あり、およびナノサイズ核形成添加剤なしで調製された発泡物品の間のさらに別の劇的な差異を示している。
【0081】
【表1】

【0082】
炭水化物および多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)核形成剤
POSSを極性溶媒中、これらの場合においてはエタノール中に溶解して核形成添加剤の3wt%溶液を形成することにより、実施例7〜10の熱可塑性ポリマーマトリックスを調製する。POSS核形成剤材料は、全ての寸法において約1nm未満である。熱可塑性ポリマーおよび核形成添加剤含有エタノール溶液の両方を一緒にHaakeミキサー内に加えることにより、核形成添加剤の溶液をPMMA(実施例1〜6において使用されたのと同様)中に分散させる。熱可塑性ポリマー100重量部当たり0.25重量部の核形成剤の熱可塑性ポリマー中濃度を提供するのに十分な溶液を添加する。得られた熱可塑性ポリマーマトリックスを、200℃および69メガパスカルで2分間、厚さ3ミリメートルのシートに圧縮成形する。得られたシートを、幅約4ミリメートルおよび長さ約20ミリメートルの断片に切断する。
【0083】
実施例1〜6において使用された二酸化炭素でのバッチ発泡プロセスに従い、熱可塑性コポリマーマトリックスの断片からポリマー発泡体を調製する。
【0084】
表2は、実施例7〜10におけるソーク圧力(メガパスカル)、ソーク温度(℃)およびソーク時間(時間)、ならびに発泡物品特性を列挙している。
【0085】
【表2】

【0086】
以下を除いて、実施例7〜10と同様に実施例11〜14の熱可塑性ポリマーマトリックスを調製する。
(1)熱可塑性ポリマーマトリックスとして、モノマー重量で50wt%メチルメタクリレートおよび50wt%エチルメタクリレートであるコポリマー(実施例11〜13ではScientific Polymer Products, Inc製の310,000グラム/モルの重量平均分子量、実施例14では460,000グラム/モルの重量平均分子量)を使用する。
(2)実施例11では、熱可塑性ポリマー100重量部当たり核形成剤1重量部の核形成剤濃度を提供するのに十分な核形成剤を使用する。
【0087】
表3は、実施例11〜14におけるソーク圧力(メガパスカル)、ソーク温度(℃)およびソーク時間(時間)、ならびに発泡物品特性を列挙している。
【0088】
【表3】

【0089】
スチレン−アクリロニトリルコポリマーの実施例
スチレン−アクリロニトリル(SAN)コポリマー(TYRIL(登録商標)125、TYRILはThe Dow Chemical Company社の商標である)を使用して、熱可塑性ポリマー発泡物品を調製する。SANは、逆行ガラス化挙動を示さないポリマーである。まず、熱可塑性ポリマーマトリックスを調製する。比較例Fでは、核形成添加剤なしでSANコポリマーを使用する。実施例15では、POSSをエタノール中に溶解してエタノールに対し3重量パーセントのPOSS溶液を形成し、次いでHaakeミキサー内で溶液をSANコポリマーとブレンドすることにより、SANコポリマー100重量部当たり0.25部の濃度でSANコポリマーにPOSSを配合する。比較例Fおよび実施例15の両方において、熱可塑性ポリマーマトリックスを、厚さ3ミリメートルのシートに圧縮成形する。得られたシートを、幅約4ミリメートルおよび長さ約20ミリメートルの断片に切断する。
【0090】
実施例1〜6において使用された二酸化炭素でのバッチ発泡プロセスに従い、熱可塑性コポリマーマトリックスの断片からポリマー発泡体を調製する。
【0091】
表4は、SANコポリマー発泡物品のためのプロセスおよびその結果をまとめている。
【0092】
【表4】

【0093】
実施例15は、逆行ガラス化特性を有さないポリマーを使用しても、本発明のポリマー発泡物品を得ることができることを示している。比較例Fに対する実施例15の比較は、さらに、逆行ガラス化特性を有さないポリマーであっても、発泡中の熱可塑性ポリマーマトリックスに核形成添加剤が含まれることにより、気泡サイズの驚異的な減少および有効核形成部位密度の驚異的な増加が得られることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気泡をその中に画定する熱可塑性ポリマーマトリックスを含むポリマー発泡物品であって、
a)熱可塑性ポリマーマトリックスが、その中に分散した、長さが30nm未満の少なくとも2つの直交寸法を有するナノサイズ核形成添加剤粒子を含有し、
b)ポリマー発泡物品が、
i)発泡前材料1立方センチメートル当たり少なくとも3×1014部位の有効核形成部位密度を有すること、および
ii)300ナノメートル以下の平均気泡サイズを有すること
の2つの特徴のうち少なくとも1つを有し、
c)ポリマー発泡物品が、50パーセントを超える空隙百分率を有する
という特徴を有する、ポリマー発泡物品。
【請求項2】
発泡前材料1立方センチメートル当たり少なくとも3×1014部位の有効核形成部位密度を有することをさらに特徴とする、請求項1に記載のポリマー発泡物品。
【請求項3】
発泡物品が、200ナノメートル以下の平均気泡サイズを有し、1ミクロンを超える気泡の体積パーセントが、全発泡体体積に対して10パーセント以下である、請求項1に記載のポリマー発泡物品。
【請求項4】
核形成添加剤が、熱可塑性ポリマーマトリックス中に分散して、30ナノメートル以下の数平均粒径を有することをさらに特徴とする、請求項1に記載のポリマー発泡物品。
【請求項5】
80%を超える空隙百分率を有することをさらに特徴とする、請求項1に記載のポリマー発泡物品。
【請求項6】
熱可塑性ポリマーマトリックスが、非フッ素化ポリマーの連続相を含む、請求項1に記載のポリマー発泡物品。
【請求項7】
熱可塑性ポリマーマトリックスが、ポリカーボネート連続相を含まない、請求項1に記載のポリマー発泡物品。
【請求項8】
フッ素化材料、ポリカーボネート連続相、ポリエーテルイミド連続相、ポリエーテルスルホン連続相およびポリ乳酸連続相を含まない、請求項1に記載のポリマー発泡物品。
【請求項9】
それぞれの大きさが1ミリメートルを超える、幅、長さおよび厚さを有する、請求項1に記載のポリマー発泡物品。
【請求項10】
ナノサイズ核形成添加剤の濃度が、熱可塑性ポリマーマトリックス100万重量部当たり10重量部から熱可塑性ポリマーマトリックス100重量部当たり20重量部までの範囲内である、請求項1に記載のポリマー発泡物品。
【請求項11】
熱可塑性ポリマーマトリックスが、架橋熱可塑性ポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー発泡物品。
【請求項12】
請求項1に記載のポリマー発泡物品を調製するための方法であって、
a.発泡温度および初期圧力において、熱可塑性ポリマーマトリックスと、ナノサイズ核形成添加剤と、二酸化炭素、窒素およびアルゴンから選択される少なくとも1種の発泡剤を含有する発泡剤とを含む、発泡性ポリマー組成物を提供するステップであって、発泡性ポリマー組成物は、発泡温度において軟化状態にあり、初期圧力は、発泡を防止するのに十分高いステップと、
b.発泡性ポリマー組成物を、急激に初期圧力未満の圧力に暴露しながら、発泡性ポリマー組成物をポリマー発泡物品に膨張させるステップと
を含み、ナノサイズ核形成添加剤は、30ナノメートル未満の少なくとも2つの直交寸法を有し、熱可塑性ポリマーマトリックス内に分散している方法。
【請求項13】
ステップ(b)のポリマー発泡物品を加熱して、ポリマー発泡物品の二次膨張を達成するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(a)が、ナノサイズ核形成添加剤がゾル、湿潤ゲル、スラリーまたは溶液として溶媒中にある間に、ナノサイズ核形成添加剤を熱可塑性ポリマーマトリックス中に分散させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ナノサイズ核形成添加剤が、シリカ、オリゴマーシルセスキオキサン、炭水化物および塩からなる群から選択され、溶媒を蒸発させて核形成添加剤が熱可塑性マトリックス内に分散したままとし、30ナノメートル未満の少なくとも2つの寸法を有したままとする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
押出方法であり、発泡用ダイを通して発泡性ポリマー組成物を押し出すことによりステップ(b)が行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
発泡剤が、全発泡性ポリマー組成物重量を基準として少なくとも20重量パーセントの二酸化炭素を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
ナノサイズ核形成添加剤の全寸法が、10ナノメートル以下である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
ナノサイズ核形成添加剤が、熱可塑性ポリマーマトリックス中に分散した形態で、30ナノメートル以下の数平均粒径を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
発泡性ポリマー組成物をポリマー発泡物品に膨張させる間またはその後、および任意の望ましい二次膨張の間またはその後に行われるステップ(c)であって、ポリマー発泡物品に放射線を照射して、熱可塑性ポリマーマトリックスの架橋を誘導するステップを含むステップ(c)をさらに含む、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−512307(P2013−512307A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541087(P2012−541087)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/054921
【国際公開番号】WO2011/066060
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】